説明

車両用ブレーキ・システムおよび車両ブレーキ・システムの作動方法

マスタ・ブレーキ・シリンダ(28)と、ブレーキ媒体貯蔵容器(26)と、および貯蔵容器配管(24)を介してブレーキ媒体貯蔵容器(26)と結合されている第1のブレーキ回路(10)であって、少なくとも1つの第1の車輪ブレーキ・シリンダ(22a)、第1の車輪ブレーキ・シリンダ(22a)に付属された第1の車輪入口弁(36a)、第1のブレーキ媒体容量が貯蔵容器配管(24)から開放された第1の車輪入口弁(36a)を介して第1の車輪ブレーキ・シリンダ(22a)内にそれによりポンピング可能な第1のポンプ(32)、第1の車輪ブレーキ・シリンダ(22a)からブレーキ媒体貯蔵容器(26)内への第1のブレーキ媒体移動がそれにより制御可能である連続調節可能な第1の車輪出口弁(50a)、および第1のポンプ(32)の吐出側がそれを介してブレーキ媒体貯蔵容器(26)と結合されているばね付勢された逆止弁(64)を有する結合配管(60)、を備えた該第1のブレーキ回路(10)と、を有する車両用ブレーキ・システムにおいて、この場合、ブレーキ媒体貯蔵容器(26)から第1のポンプ(32)の吐出側へのブレーキ媒体移動がばね付勢された逆止弁(64)により阻止されている、該車両用ブレーキ・システムに関するものである。さらに、本発明は、車両ブレーキ・システムの作動方法に関するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用ブレーキ・システムに関するものである。さらに、本発明は、車両ブレーキ・システムの作動方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電気自動車/ハイブリッド車は、回生制動においていわゆる発電運転される電動機を備えた、回生制動用に設計されたブレーキ・システムを有している。回生制動において得られた電気エネルギーは、中間蓄積後に車両の加速のために使用されることが好ましい。このようにして、通常の車両が走行中の頻繁な制動において有する損失動力、エネルギー損失および電気自動車/ハイブリッド車の有害物質エミッションが低減可能である。
【0003】
しかしながら、電動機例えば電気駆動モータの発電運転は、一般に、車両の特定最小速度を前提とする。したがって、回生ブレーキ・システムは、しばしば、走行中の車両が停止に至るまでの間は、車両車輪に発電ブレーキ・トルクを提供することが可能ではない。このために、ハイブリッド車は、回生運転される電動機に追加して、しばしば、さらに油圧ブレーキ・システムを有し、油圧ブレーキ・システムにより、少なくとも低速範囲内においては、使用できない回生ブレーキのブレーキ作用を、油圧ブレーキ・システムにより補償可能である。この場合、電気エネルギー蓄積器がフルに充電されているときには、たいていの場合、回生ブレーキが車輪に制動トルクを提供可能ではなく、このときにおいても、油圧ブレーキ・システムを介して全制動トルクを提供可能である。
【0004】
他方で、多くの状況において、高い回生率を達成するために、できるだけ低い油圧ブレーキ力を車輪に提供することが好ましい。例えば、中間蓄積器の確実な充電および高いエネルギー節約を保証するために、切換過程後において、切り離された発電機は頻繁に回生ブレーキとして作動される。
【0005】
一般に、ドライバは、回生ブレーキの作動/非作動とは無関係に、例えばドライバのブレーキ・ペダル操作のようなブレーキ入力要素のドライバ操作に対応する車両の全制動トルクを優先する。このために、たいていの電気自動車/ハイブリッド車は、希望の全制動トルクが保持されるように、油圧ブレーキ・システムの制動トルクを回生ブレーキの実際制動トルクに適合させるべき自動装置を有している。これにより、ドライバ自身は、ブレーキ入力要素の対応操作により回生ブレーキの実際制動トルクに適合させることによる減速制御器の役目を行う必要はない。このような自動装置に対する例は、ブレーキ・バイ・ワイヤ・ブレーキ・システム、特にEHB(電子油圧ブレーキ)システムである。しかしながら、その高価な電子装置、機械装置および油圧装置のために、ブレーキ・バイ・ワイヤ・ブレーキ・システムは比較的高価である。
【0006】
ブレーキ・バイ・ワイヤ・ブレーキ・システムの代替態様として、ドイツ特許公開第102008002345A1号は、マスタ・ブレーキ・シリンダから切り離され且つブレーキ媒体貯蔵容器に接続された第1のブレーキ回路を含むブレーキ・システムを記載している。この第1のブレーキ回路に1つの車軸が付属され、この車軸上に、発電運転された電動機の回生ブレーキ・トルクを提供可能である。他の2つのブレーキ回路は、ドライバが直接それらのブレーキ回路内にブレーキ係合し、これにより、2つの他のブレーキ回路に付属された車輪に、直接油圧ブレーキ・トルクを提供可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】ドイツ特許公開第102008002345A1号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、請求項1の特徴を有する車両用ブレーキ・システムおよび請求項13の特徴を有する車両ブレーキ・システムの作動方法を提供する。
本発明は、第1のブレーキ回路に付属された少なくとも1つの第1の車輪が、第1のポンプの操作および/または第1のブレーキ回路の切換可能な弁の切換を介して、マスタ・ブレーキ・シリンダの内部圧力とは無関係に、好ましい第1の油圧ブレーキ・トルクにより制動可能なブレーキ・システムを可能にする。これにより、少なくとも第1の車輪に提供される第1の油圧ブレーキ・トルクを能動的に設定するために、ブレーキ・システムの第1のブレーキ回路が簡単に使用可能であり、これにより、希望の全制動トルクが少なくとも第1の車輪に保持される。
【0009】
例えば、少なくとも第1の車輪に提供される第1の油圧ブレーキ・トルクは、時間的に変化可能な回生ブレーキ・トルクが共用可能なように、能動的に設定可能である。したがって、センサによりおよび/または評価により、全制動トルクのいかなる部分がドライバによりおよび/または車両の自動制御システムにより希望され、且ついかなる実際回生制動トルクが回生ブレーキにより提供されるか、を決定する可能性が存在する。少なくとも1つの他のブレーキ回路により第1のブレーキ回路に付属されていない少なくとも1つの車両車輪に提供される油圧ブレーキ・トルクをオプションとして考慮することにより、提供された制動トルクと希望の全制動トルクとの間にいかなる差がなお存在するかが決定可能である。決定された差に対応する油圧ブレーキ・トルクが、それに続いて、第1のブレーキ回路により少なくとも1つの付属された(第1の)車輪に能動的に提供可能である。これは、ドライバがこのために追加の作業を実行することなく、回生ブレーキ・トルクの共用を可能にする。上記の方法ステップを実行するために高価な電子装置は必要ではない。これにより、本発明が使用されたとき、代替コストのために十分な回生差が保証されている。
【0010】
一方、本発明は、電気自動車/ハイブリッド車における使用に限定されない。例えば、横方向加速度の関数としてのブレーキ力分配もまた、本発明により実行可能である。横方向加速度の関数としてのブレーキ力分配においては、車両の幾つかの車輪好ましくは両方の後軸車輪におけるブレーキ力が、カーブ走行において発生する路面抗力に対応して分配される。このようにして、車輪の摩擦係数特に両方の後車輪の摩擦係数が横方向加速度に適応可能である。これにより、車両は、カーブにおいて、より安定して制動される。第1のブレーキ回路により能動的に設定されるべき油圧ブレーキ・トルクの決定のために、センサ装置によって決定された横方向加速度が使用されることが好ましい。
【0011】
さらに、本発明の使用は動的カーブ制動に対しても可能である。動的カーブ制動においては、カーブ内側車輪におけるブレーキ力がカーブ外側車輪におけるブレーキ力よりも上昇される。これは動的走行特性を達成させる。
【0012】
さらに、本発明は、後退走行の間における有利な制動に対してもまた使用可能である。特に、この場合、後車軸におけるブレーキ力の上昇により、後退走行に対してより良好なブレーキ力分配が設定される。これは後退ブレーキ力分配とも呼ばれる。特に下り坂における低速後退走行において、これは明らかにより安定な制動特性を可能にする。
【0013】
同時に、本発明は、第1のブレーキ回路をマスタ・ブレーキ・シリンダから切り離すことによりペダル感覚の改善の可能性を保証するので、ドライバは、第1のブレーキ回路を、もはや直接ブレーキ・ペダルに加えられる力を介して制御する必要はない。このようにして、ペダル・ストロークもまた短縮可能である。
【0014】
本発明は、さらに、特に後輪駆動車両または全輪駆動車両に対してきわめて有利な、簡単に操作可能で且つコスト的に有利な、通常のブレーキ・バイ・ワイヤ・ブレーキ・システムに対する代替態様を提供する。しかしながら、本発明は、バイ・ワイヤ前車軸を有する前輪駆動に対してもまた使用可能である。
【0015】
ここに記載のブレーキ・システムの特別の利点は、電気操作可能な必要な弁の数が少ないことにある。この場合、操作可能な弁とは、電気制御信号または電気切換信号により、少なくとも開放状態および閉鎖状態に切換可能な弁と理解可能である。特に、第1の車輪出口弁の連続調節可能/連続制御可能な形態によりおよび逆止弁の有利な配置により、追加の電気操作可能な弁特に追加の連続制御可能な弁は必要ではない。これは、有利な第1のブレーキ回路を形成するためのコストを低減させる。同時に、ここに記載の第1のブレーキ回路を使用することにより、ブレーキ・システムの電気操作可能な弁の全体数が低減可能である。以下に、より詳細に記載されるように、これは、必要な全ての、少なくとも開放状態および閉鎖状態に電気的に操作可能/切換可能な弁を操作/制御するために適したブレーキ・システムの電子装置に対するコストを低減させる。
【0016】
ブレーキ媒体貯蔵容器はマスタ・ブレーキ・シリンダと理解されるべきではないことを指摘しておく。その代わりに、ブレーキ媒体貯蔵容器はブレーキ媒体容量またはブレーキ媒体容器と理解可能であり、ブレーキ媒体容器の内部圧力はマスタ・ブレーキ・シリンダの内部圧力とは無関係に設定可能であるか、または例えば大気圧のような固定設定圧力に対応している。
【0017】
有利な一実施形態において、第1のブレーキ回路は、付属された第2の車輪入口弁および連続調節可能(制御可能)な第2の車輪出口弁を有する第2の車輪ブレーキ・シリンダを含み、この場合、第1のポンプにより第2のブレーキ媒体容量が貯蔵容器配管から開放された第2の車輪入口弁を介して第2の車輪ブレーキ・シリンダ内にポンピング可能であり、且つ連続調節可能な第2の車輪出口弁により第2の車輪ブレーキ・シリンダからブレーキ媒体貯蔵容器内への第2のブレーキ媒体移動が制御可能である。第1の油圧ブレーキ・トルクおよび第2の油圧ブレーキ・トルクが車輪ごとに車両の第1の車輪および第2の車輪にそれにより提供可能なこのような第1のブレーキ回路は、1つの車軸特に後車軸の、マスタ・ブレーキ・シリンダからの切離しを可能にする。しかしながら、このような第1のブレーキ回路の使用は、車軸ごとのブレーキ回路分割を有する車両における使用に限定されない。同時に、このような第1のブレーキ回路は、電気制御信号/電気切換信号により少なくとも開放状態および閉鎖状態に切換可能な全体で4つの弁のみを必要とするにすぎない。これは第1のブレーキ回路に対するコストを低減させる。
【0018】
有利な一変更態様において、ブレーキ・システムは、第3の車輪ブレーキ・シリンダを有する少なくとも1つの第2のブレーキ回路を含み、この場合、マスタ・ブレーキ・シリンダの内部容積内の第1の圧力上昇により、第3の車輪ブレーキ・シリンダの内部容積内の第2の圧力上昇が発生可能なように、第2のブレーキ回路が第1の配管を介してマスタ・ブレーキ・シリンダと油圧結合されている。これにより、ドライバは、第2のブレーキ回路内に直接ブレーキ係合する可能性を有している。これは、マスタ・ブレーキ・シリンダに結合されたブレーキ・ペダルないしは対応するブレーキ入力要素を操作したとき、ドライバに対する有利なペダル感覚を自動的に保証する。さらに、第1のブレーキ回路を有するブレーキ・システムは、他の通常のブレーキ回路に匹敵するものである。この場合、以下に、より詳細に説明されるように、ブレーキ・システムの使用可能性は車軸ごとのブレーキ回路分割を有する車両に限定されない。
【0019】
ブレーキ・システムは、第4の車輪ブレーキ・シリンダを有する少なくとも1つの第3のブレーキ回路を含むことが好ましく、この場合、マスタ・ブレーキ・シリンダの内部容積内の第1の圧力上昇により、さらに第4の車輪ブレーキ・シリンダの内部容積内の第3の圧力上昇が発生可能なように、第3のブレーキ回路が第2の配管を介してマスタ・ブレーキ・シリンダと油圧結合されている。このようなブレーキ・システムは、第1のブレーキ回路に付属された車軸が有利に切り離されているにもかかわらず、X型ブレーキ回路分割を有する車両において使用可能である。これは、ブレーキ・システムが切離し可能な車軸を有するが、車軸ごとのブレーキ回路分割を有する車両においてのみ使用可能な該ブレーキ・システムよりもきわめて有利である。特に、ここに記載のブレーキ・システムを使用するとき、X型ブレーキ回路分割にもかかわらず、ブレーキ回路の1つの故障を、比較的少ない費用で確実に補償可能である。
【0020】
ブレーキ・システムがブレーキ力増幅装置を有していてもよく、ブレーキ力増幅装置により、外力制動が実行可能であり、および/またはドライバのブレーキ力に追加して支援力がマスタ・ブレーキ・シリンダの少なくとも1つの調節可能な構成要素に提供可能である。ブレーキ・システムは連続制御可能および/または連続操作可能なブレーキ力増幅装置を含むことが好ましい。連続制御可能および/または連続操作可能なブレーキ力増幅装置とは、能動的なブレーキ力増幅装置と理解可能である。ブレーキ力増幅装置のこのような形態は、ブレーキ力増幅装置の対応操作により、特に第2および/または第3のブレーキ回路の少なくとも1つの弁の節約を保証する。
【0021】
第2のブレーキ回路が正確に2つの操作可能な弁を有し、および/または第3のブレーキ回路が正確に2つの操作可能な弁を有することが好ましい。ブレーキ・システム全体が正確に8つの操作可能な弁を有することが可能であることは好ましく、これらの弁は、ブレーキ・システムの制御装置から提供された電気信号により、少なくとも開放状態および閉鎖状態に制御可能である。したがって、このようなブレーキ・システムは、コスト的に有利な制御装置により作動可能である。
【0022】
例えば、第2のブレーキ回路は、第3の車輪ブレーキ・シリンダに付属された第3の車輪入口弁と、第3のブレーキ媒体容量がマスタ・ブレーキ・シリンダから開放された主切換弁および開放された第3の車輪入口弁を介して第3の車輪ブレーキ・シリンダ内にそれによりポンピング可能な第2のポンプと、第1の蓄積室と、および第3の車輪ブレーキ・シリンダから第1の蓄積室内への第3のブレーキ媒体移動がそれにより制御可能な第3の車輪出口弁と、を含んでいてもよい。このような第2のブレーキ回路は、第3の車輪ブレーキ・シリンダ内に追加の油圧ブレーキ圧力の能動的形成を可能にする。これにより、車両の強い制動が容易に実行可能である。したがって、さらに、第2のブレーキ回路の、主切換弁および/または切換弁の装備は省略可能である。
【0023】
同様に、第2のブレーキ回路は、さらに、主切換弁および/または切換弁を含んでいてもよい。これにより、第2のブレーキ回路が主切換弁および/または切換弁を装備することに追加して、ブレーキ力増幅装置の使用が可能である。
【0024】
第3のブレーキ回路は第2のブレーキ回路に対応して形成可能である。このようにして、追加の油圧ブレーキ圧力が第4の車輪ブレーキ・シリンダ内にもまた能動的に形成可能である。
【0025】
少なくとも第1のポンプおよび第2のポンプがモータの共通軸上に配置されていてもよいことは有利である。第3のブレーキ回路の第3のポンプもまた、場合により、モータの共通軸上に配置されていてもよい。これは、少なくとも2つのポンプを有するブレーキ・システムの形成において必要なモータの数を低減させる。
【0026】
特にブレーキ・システムが正確に12の操作可能な弁を有していてもよく、これらの弁は、ブレーキ・システムの制御装置から提供される電気信号により少なくとも開放状態および閉鎖状態に制御可能である。ブレーキ・システムにより必要とされる、電気的に少なくとも閉鎖状態および開放状態に切換可能な弁を12の数に制限することは、制御装置として適した電子装置における要求を低減させる。
【0027】
さらに、ブレーキ・システムが発電機を含んでいてもよく、発電機により、第1の車輪ブレーキ・シリンダに付属された第1の車輪に第1の発電ブレーキ・トルクを提供可能であり、および第2の車輪ブレーキ・シリンダに付属された第2の車輪に第2の発電ブレーキ・トルクを提供可能である。特に、ブレーキ・システムのこのような形態において、代替コストに対して、最適な共用過程により十分な回生差が得られる。
【0028】
他の有利な一変更態様において、第1の車輪ブレーキ・シリンダから第1の車輪に提供可能な第1の油圧ブレーキ・トルクおよび第2の車輪ブレーキ・シリンダから車両の第2の車輪に提供可能な第2の油圧ブレーキ・トルクからなる総油圧ブレーキ・トルクの、車両固有の構成要素から設定された目標差を受け取るように、および第1の車輪入口弁が開放状態にあるかぎり、第1の油圧ブレーキ・トルクを目標差だけ変化可能に第1の車輪出口弁を操作し、および第1の車輪入口弁が閉鎖状態にあり且つ第2の車輪入口弁が開放状態にあるかぎり、第2の油圧ブレーキ・トルクが目標差だけ変化可能に第2の車輪出口弁を操作するように、ブレーキ・システムの制御装置が設計されていてもよい。これは、総油圧ブレーキ・トルクの、好ましい目標総ブレーキ・トルクへの確実な適合、および/または総油圧ブレーキ・トルクの、全ての車輪における有利な目標ブレーキ・トルク分配への確実な適合、を可能にする。
【0029】
上記の利点は、対応するブレーキ・システムを有する車両においてもまた保証されている。
対応する車両の制動方法によってもまた、上記の利点は達成可能である。
【0030】
本発明のその他の特徴および利点が以下に図により説明される。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】図1は、ブレーキ・システムの第1の実施形態の回路図を示す。
【図2】図2は、ブレーキ・システムの第2の実施形態の回路図を示す。
【図3】図3は、本方法の一実施形態の流れ図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1は、ブレーキ・システムの一実施形態の回路図を示す。
図1に略図で示されたブレーキ・システムは、電気自動車/ハイブリッド車においてのみ使用可能ではない。その代わりに、ブレーキ・システムは、例えばカーブ走行および/または後退走行の間における制動において車両車輪における好ましいブレーキ力分配を保証するために、任意の車両においてもまた使用可能である。電気自動車/ハイブリッド車におけるブレーキ・システムの使用可能性に関する指針は、単なる例として理解されるべきである。
【0033】
ブレーキ・システムは、共通軸に配置された2つの車輪12aおよび12bを制動するための第1のブレーキ回路10、第3の車輪16を制動するための第2のブレーキ回路14および第4の車輪20を制動するための第3のブレーキ回路18を含む。しかしながら、ブレーキ・システムの使用可能性は、両方の車輪12aおよび12bの同軸配置に限定されない。その代わりに、車輪12aおよび12bは、当該車両の片側または車両の対角方向に配置されていてもよい。
【0034】
図示されているブレーキ・システムは4つの車輪12a、12b、16および20の固定数に限定されないことを指摘しておく。その代わりに、ブレーキ・システムは、より多くの数の車輪が制動可能なように拡張可能である。特に、この場合、ブレーキ・システムは、第1のブレーキ回路10に対応する少なくとも2つのブレーキ回路を有していてもよい。
【0035】
好ましい一実施形態において、車輪12aおよび12bは車両の後車輪である。以下に記載の、2つの車輪12aおよび12bを制動するためのブレーキ圧力の能動的形成により、特に、この場合、車両の強い制動もまた、車両が横滑りすることなく実行可能である。
【0036】
図示の実施形態において、第1のブレーキ回路10は第1の車輪ブレーキ・シリンダ22aを含み、第1の車輪ブレーキ・シリンダ22aは、第1の油圧ブレーキ・トルクを、付属された第1の車輪12aに提供するように設計されている。第2の油圧ブレーキ・トルクは、第1のブレーキ回路10の第2の車輪ブレーキ・シリンダ22bにより第2の車輪12bに提供可能である。以下において明らかなように、両方の車輪ブレーキ・シリンダ22aおよび22bにより、これが有利な状況において、車輪12aおよび12bに異なる油圧ブレーキ・トルクが提供可能である。
【0037】
ブレーキ媒体例えばブレーキ液またはブレーキ・ガスを供給するために、第1のブレーキ回路10は少なくとも1つの貯蔵容器配管24を介してブレーキ媒体貯蔵容器26に結合されている。したがって、第1のブレーキ回路10はマスタ・ブレーキ・シリンダ28への通常の油圧結合を有していない。ブレーキ媒体貯蔵容器26は、例えば通気内孔のような少なくとも1つの供給内孔を介してマスタ・ブレーキ・シリンダ28と結合されていてもよい。その代わりに、ブレーキ媒体貯蔵容器26は、マスタ・ブレーキ・シリンダ28から切り離され且つこのような供給内孔なしに形成されていてもよい。
【0038】
貯蔵容器配管24は配管30内に合流し、配管30の第1の端部に第1のポンプ32の吸込側が結合されている。第1のポンプ32は例えば三連ピストン・ポンプであってもよい。第1のポンプ32として、三連ピストン・ポンプの代わりに、他のピストン数を有するポンプ、例えば単連ピストン・ポンプ、非対称ポンプまたは歯車ポンプが使用されてもよい。第1のポンプ32の吐出側から配管34が車輪入口弁36aに伸長し、第1の車輪入口弁36aは配管38を介して第1の車輪ブレーキ・シリンダ22aと結合されている。第1の車輪入口弁36aは電気制御信号/電気切換信号により少なくとも開放状態および閉鎖状態に切換可能である。第1の車輪入口弁36aに並列に、逆止弁40aを有するバイパス配管が配置されている。逆止弁40aは、バイパス配管を介して配管34から配管38の方向ないしは第1のポンプ32から第1の車輪ブレーキ・シリンダ22aの方向へのブレーキ媒体移動が阻止されているように配向されている。
【0039】
配管42を介して第1のポンプ32の吐出側が第2の車輪入口弁36bと結合され、第2の車輪入口弁36bは、同様に、並列に案内された、第2の逆止弁40bを含むバイパス配管を有している。第2の車輪入口弁36bから配管44が第2の車輪ブレーキ・シリンダ22bに伸長している。それに対応して、逆止弁40bは、バイパス配管を介して、配管42から配管44の方向ないしは第1のポンプ32から第2の車輪ブレーキ・シリンダ22bの方向へのブレーキ媒体移動が阻止されているように配向されている。
【0040】
配管38の内部に分岐点46が配置され、分岐点46から配管48が第1の車輪出口弁50aに通じている。第2の車輪出口弁50bは配管52を介して配管44の内部に形成された分岐点54と結合されている。第1の車輪出口弁50aおよび第2の車輪出口弁50bは連続調節可能/連続制御可能な弁として形成されている。したがって、車輪出口弁50aおよび50bは、開放状態および閉鎖状態に追加して、さらに少なくとも1つの中間状態に切換可能である。車輪出口弁50aおよび50bのこのような形成の利点に関しては、以下に、より詳細に説明される。
【0041】
第1の車輪出口弁50aから、配管56が、配管30の第1のポンプ32から離れた第2の端部に通じ、この端部内に、第2の車輪出口弁50bから配管58もまた合流している。他の配管60が、第1のポンプ32の吐出側から、貯蔵容器配管24の内部に配置された分岐点62に通じている。配管60の内部に好ましくはばね付勢された逆止弁64が配置され、逆止弁64は、貯蔵容器配管24から第1のポンプ32の吐出側へのブレーキ媒体移動が阻止されているように配向されている。オプションとして、配管60の内部の他の分岐点66を介して圧力センサ68が結合されていてもよい。
【0042】
第1のブレーキ回路10の電気制御信号により制御可能な車輪入口弁36aおよび36bおよび連続調節可能/連続制御可能な車輪出口弁50aおよび50bは、無通電において開放する弁として形成されていてもよい。しかしながら、ここに記載のブレーキ・システムはこのような形成に限定されない。車輪入口弁36a、36b、連続調節可能/連続制御可能な車輪出口弁50aおよび50bおよび第1のポンプ32の操作により、ドライバによるブレーキ入力要素の操作から切り離された圧力設定またはこの操作とは無関係の圧力設定が、車輪ごとに、第1の車輪ブレーキ・シリンダ22aおよび第2の車輪ブレーキ・シリンダ22b内において実行可能である。このために、圧力センサ68が使用されてもよく、圧力センサ68のこの配置は単なる例として理解されるべきである。
【0043】
第1のブレーキ回路10は、車輪ブレーキ・シリンダ22aおよび22b内の車輪ごとのブレーキ圧力の能動的形成のために切換弁を必要としない。これは、第1の車輪12aに作用する第1の油圧ブレーキ・トルクおよび第2の車輪12bに作用する第2の油圧ブレーキ・トルクの形成のために必要な(電気制御信号/電気切換信号により少なくとも開放状態および閉鎖状態に制御可能/切換可能な)弁の数を4つに低減させる。第1のブレーキ回路10に対して必要とされる電気的に制御可能/切換可能な弁の少ない数に基づき、ブレーキ・システムは、弁の切換のために費用のかかる/高価な電子装置が提供される必要なく、少なくとも1つの追加の電気的に制御可能/切換可能な弁を有する少なくとも1つの他のブレーキ回路だけ拡張されればよい。
【0044】
ここに記載のブレーキ・システムにおいて、第2のブレーキ回路14および第3のブレーキ回路18の提供および形成に基づき、ドライバとは無関係のブレーキ圧力形成またはブレーキ・ペダルから切り離されたブレーキ圧力形成に追加して、車輪16および20の直接制動もまた可能である。このために、マスタ・ブレーキ・シリンダ28にブレーキ・ペダル70が結合されている。ブレーキ・ペダル70の代わりにまたはこれに補足して、異なって形成されたブレーキ入力要素がマスタ・ブレーキ・シリンダ28に結合されていてもよい。さらに、ブレーキ力増幅装置72がマスタ・ブレーキ・シリンダ28および/またはブレーキ・ペダル70に結合されていることが有利であり、これにより、ブレーキ・ペダル70の操作によって提供可能なマスタ・ブレーキ・シリンダ28の内部圧力がブレーキ力増幅装置72により増幅可能である。ブレーキ力増幅装置72は例えば電気機械式ブレーキ力増幅装置72および/または油圧式ブレーキ力増幅装置72であってもよい。ブレーキ力増幅装置72は連続制御可能/連続操作可能であることが好ましい。
【0045】
ドライバによるブレーキ・ペダル70の操作がセンサ74により測定可能なように、センサ74がブレーキ・ペダル70に配置されていることが好ましい。センサ74は、ブレーキ・ペダル70の操作に対応するブレーキ力信号および/またはブレーキ・ストローク信号が(図示されていない)評価電子装置に提供されるように設計されていることが好ましい。センサ74は、例えばペダル・ストローク・センサ、ブースタ/膜ストローク・センサおよび/またはステム・ストローク・センサであってもよい。しかしながら、センサ74の実行可能性はここに記載の例に限定されない。
【0046】
マスタ・ブレーキ・シリンダ28に、第2のブレーキ回路14に対する第1の供給配管76および第3のブレーキ回路18に対する第2の供給配管78が結合されている。これは、第2のブレーキ回路14および第3のブレーキ回路18内へのドライバの直接ブレーキ係合を可能にする。
【0047】
第1の供給配管76はマスタ・ブレーキ・シリンダ28と第2のブレーキ回路14の第1の主切換弁80(高圧切換弁)との間を伸長する。分岐点82を介して、さらに、第1の切換弁84が第1の供給配管76に接続されている。これにより、マスタ・ブレーキ・シリンダ28から流出するブレーキ液流れは、供給配管76から、第1の主切換弁80および/または第1の切換弁84を介して選択的に、車両の第3の車輪16に付属されている、第2のブレーキ回路14の第3の車輪ブレーキ・シリンダ86の方向に流動可能である。切換弁84に並列に、逆止弁88を有するバイパス配管が配置されている。逆止弁88は、マスタ・ブレーキ・シリンダ28と車輪ブレーキ・シリンダ86との間の油圧結合を遮断可能にする切換弁84のエラー機能において、マスタ・ブレーキ・シリンダ28から第3の車輪ブレーキ・シリンダ86の方向への油圧結合の継続形成を保証する。これにより、第3の車輪ブレーキ・シリンダ86に付属されたブレーキ・クランプは、切換弁84の故障の間においてもまた、ブレーキ・ペダル70の操作により操作可能である。
【0048】
切換弁84の第1の供給配管76とは反対側から、配管90が第3の車輪入口弁92に伸長している。第3の車輪入口弁92に並列に、逆止弁94を有するバイパス弁が伸長している。
【0049】
さらに、第3の車輪入口弁92は配管96を介して第3の車輪ブレーキ・シリンダ86と結合されている。オプションとして、分岐点98を介して圧力センサ100が配管96に接続されていてもよい。圧力センサ100により第2のブレーキ回路14の内部圧力が決定可能である。
【0050】
分岐点98内に配管102が合流してもよく、配管102の端部に第3の車輪出口弁104が配置されている。第3の車輪出口弁104は単に開放状態および閉鎖状態にのみ切換可能なコスト的に有利な弁として形成されていることが好ましい。
【0051】
第2のブレーキ回路14は第2のポンプ106もまた有し、第2のポンプ106の吸込側は配管108を介して第3の車輪出口弁104と結合されている。分岐点110を介して第1の蓄積室112が配管108に結合されている。配管108の内部の他の分岐点114内に配管116が合流し、配管116の端部に主切換弁80が結合されている。さらに、配管118が第2のポンプ106の吐出側を配管90の内部の分岐点120と結合している。
【0052】
第2のブレーキ回路14の第1の切換弁84および第3の車輪入口弁92は無通電において開放する弁として形成されていることが好ましい。この場合、第1の主切換弁80および第3の車輪出口弁104の、無通電において閉鎖される弁としての形成が有利である。
【0053】
第4の車輪20に付属された第3のブレーキ回路18は第2のブレーキ回路14に対応して形成されていてもよい。例えば、分岐点122を介して、オプションとしての他の圧力センサ124が第2の供給配管78に接続されていてもよい。圧力センサ124により、第3のブレーキ回路18の内部に存在する圧力が決定可能である。他の分岐点126を介して、配管128が供給配管78に接続されていてもよく、配管128は分岐点126から第2の主切換弁130に通じている。第3のブレーキ回路18は第2の切換弁132を有していてもよく、第2の切換弁132は分岐点122に結合されている。第2の切換弁132に並列に、逆止弁134を有するバイパス配管が伸長していてもよい。逆止弁134の配向に関しては、第2のブレーキ回路14の例が参照される。配管136が第2の切換弁132から第4の車輪入口弁138に通じていることが好ましい。第4の車輪入口弁138は配管140を介して第4の車輪20に付属された車輪ブレーキ・シリンダ142と結合されている。第4の車輪入口弁138に並列に、逆止弁144を有するバイパス配管が伸長していてもよい。バイパス配管を介しての、配管136から配管140の方向ないしは第2の切換弁132から第4の車輪ブレーキ・シリンダ142の方向へのブレーキ媒体流れが阻止されているように逆止弁144が配向されているとき、それは有利である。
【0054】
第4の車輪入口弁138を第4の車輪ブレーキ・シリンダ142と結合する配管140内に分岐点146が配置されていてもよく、分岐点146内に、その一方の端部に配置された第4の車輪出口弁150を有する配管148が合流している。第4の車輪出口弁150から他の配管152が第3のポンプ154の吸込側に通じている。第3のポンプ154の吐出側は配管156を介して配管136内に配置された分岐点158と結合されている。さらに、第3のブレーキ回路18は第2の蓄積室160を有し、第2の蓄積室160は分岐点162を介して配管152に結合されている。配管152内の他の分岐点164は、第3のブレーキ回路18の主切換弁130を、配管166を介して第3のポンプ154と結合している。
【0055】
第2の切換弁132および第4の車輪入口弁138は無通電において開放する弁として形成されていることが好ましい。この場合、第2の主切換弁130および第4の車輪出口弁150は無通電において閉鎖される弁として形成されているとき、それは有利である。しかしながら、第3のブレーキ回路18の実行可能性は弁130、132、138および150のこの形成に限定されない。
【0056】
図1に示された実施形態の代わりに、第3のブレーキ回路18は、第2のブレーキ回路14に対して顕著な相違を有するように形成されていてもよい。ブレーキ回路14および18に対してここに示された実施例は単なる例として理解されるべきである。
【0057】
両方のブレーキ回路14および18のポンプ106および154は単連ピストン・ポンプであってもよい。ポンプ106および/または154に対して単連ポンプを使用する代わりに、三連ポンプ、非対称ポンプおよび/または歯車ポンプが使用されてもよい。ポンプ32、106および154がモータ170の共通軸168上に配置されていてもよいことは有利である。これは、少なくとも2つのポンプ32、106および154を有するブレーキ・システムに対してコストを低減させる。
【0058】
第2のブレーキ回路14および第3のブレーキ回路18は、マスタ・ブレーキ・シリンダ28の内部容積内の圧力上昇により第3の車輪ブレーキ・シリンダ86の内部容積内の第2の圧力上昇および第4の車輪ブレーキ・シリンダ142の内部容積内の第3の圧力上昇が発生可能なように、配管76および78を介してマスタ・ブレーキ・シリンダ28と油圧結合されている。これにより、ドライバは、ブレーキ・ペダル70の操作により、両方のブレーキ回路14および18内に直接ブレーキ係合可能である。したがって、マスタ・ブレーキ・シリンダ28は、第3の車輪ブレーキ・シリンダ86および第4の車輪ブレーキ・シリンダ142とのみ、このように油圧結合されている。
【0059】
図示された実施形態において、第3の車輪ブレーキ・シリンダ86および第4の車輪ブレーキ・シリンダ142は、車輪入口弁92および138および車輪出口弁104および150のほかに、それぞれ1つの固有の主切換弁80または130および固有の切換弁84または132を設けている。両方のブレーキ回路14および18およびその中に配置された弁80、84、92、104、130、132、138および150の機能性は典型的なESPシステムに対応し、この場合、両方のブレーキ回路14および18の各々は1つの車輪ブレーキのみを含む。
【0060】
以下に、ブレーキ回路10、14および18を有するブレーキ・システムの好ましい作動方法が説明される。
制動されていない場合、ブレーキ回路10、14および18の弁36a、36b、50a、50b、80、84、92、104、130、132、138および150は通電されていないことが好ましい。一般に、ドライバがブレーキ・ペダル70を操作した状況においてのみ、ブレーキ・システムの(図示されていない)制御装置/制御電子装置から弁に電流信号が提供される。
【0061】
ドライバがブレーキ・ペダル70を操作した場合、ドライバは、マスタ・ブレーキ・シリンダ28を介して、好ましくは前車軸の車輪に付属されている両方のブレーキ回路14および18内に直接ブレーキ係合する。センサ74を介して、ドライバのブレーキ希望が、例えばブレーキ力信号および/またはブレーキ・ストローク信号として制御装置の評価装置に提供されてもよい。それに続いて、第1のブレーキ回路10の車輪ブレーキ・シリンダ22aおよび22b内のブレーキ圧力が、ドライバのブレーキ希望に対応してまたはそれを考慮して、制御装置により能動的に設定可能である。このために、第1のポンプ32および両方の車輪出口弁50aおよび50bが、第1のブレーキ回路10の車輪ブレーキ・シリンダ22aおよび22b内に希望されたブレーキ圧力に対応して操作可能である。車輪ブレーキ・シリンダ22aおよび22b内のブレーキ圧力の設定は、圧力制御された出口弁50aまたは50bのΔ−p操作により行われることが有利である。このために、圧力センサ68が第1のブレーキ回路10に結合されていることが好ましい。この代わりに、車輪12aまたは12bの少なくとも1つに圧力センサが配置されていてもよい。
【0062】
制動を解除したとき、即ちドライバがブレーキ・ペダルの操作を解除したとき、第1のブレーキ回路10の車輪出口弁50aおよび50bの少なくとも1つが、ブレーキ希望の解除に対応して開放される。これにより、ブレーキ媒体容量が少なくとも1つの開放された車輪出口弁50aおよび50bを介してブレーキ媒体貯蔵容器26内に流動により戻る。
【0063】
ここに記載のブレーキ回路10、14および18の形態において、第1のブレーキ回路10の第1のポンプ32の運転は、他のブレーキ回路14および18内の自動容量供給とは結合されていない。この場合、ポンプ106および154が軸168上のそれらの共通配置に基づいて同時運転されるにもかかわらず、閉鎖された主切換弁80および130により、ブレーキ回路14および18の車輪ブレーキ・シリンダ86および142内の希望しない追加の圧力形成が阻止可能である。これにより、これが希望されるかぎり、モータ170の運転により、第1のブレーキ回路10の車輪ブレーキ・シリンダ22aおよび22b内にのみ圧力形成が能動的に実行可能である。同時に、これが希望されるかぎり、ドライバによるブレーキ・ペダル70の操作なしに、主切換弁80および130の少なくとも1つの開放およびポンプ106または154の運転により、ブレーキ回路14および18内に能動的圧力形成が実行可能である。
【0064】
車輪ブレーキ・シリンダ86または142の少なくとも1つ内のブレーキ圧力がポンプ106または154により上昇され、且つ同時に、両方の車輪12aおよび12bに存在する油圧ブレーキ・トルクが一定保持されるかまたは低減されるべき場合、第1のポンプ32の運転時に両方の車輪入口弁36aおよび36bが閉鎖される。この場合、第1のポンプ32の吐出側と両方の車輪入口弁36aおよび36bとの間に、上昇された圧力が形成されてもよい。それにもかかわらず、この場合、有利にばね付勢された逆止弁64の開放および供給された容量のブレーキ媒体貯蔵容器26内への戻し供給により、油圧ユニットにおける損傷は阻止可能である。
【0065】
上記の方法は、例えば車輪12aおよび12bの車軸に結合された発電機の発電ブレーキ・トルクを共用するために使用可能である。
センサ74により、実際交通状況を考慮して、いかなるドライバの全制動トルクが希望されるかが特定可能である。同時に、発電機により、いかなる発電ブレーキ・トルクが、車輪12aおよび12bに付属された車軸に直接提供されるかが決定可能である。制御装置/電子装置の(図示されていない)評価装置により、それに続いて、希望の全制動トルク(場合により車輪16および20に提供される油圧ブレーキ・トルク)と車輪12aおよび12bに提供された発電ブレーキ・トルクとの間のブレーキ・トルク差が計算可能である。計算されたブレーキ・トルク差がポンプ32の運転および車輪入口弁36aおよび/または36bおよび連続制御可能/連続操作可能な車輪出口弁50aおよび50bの制御により、車輪12aおよび12bに能動的に設定可能である。
【0066】
これにより、車輪12aおよび12bに提供された油圧ブレーキ・トルクが、既知ではあるが時間的に一定ではない発電ブレーキ・トルクに適合可能である。これは発電ブレーキ・トルクの共用と呼ばれ、この場合、発電ブレーキ・トルクの時間的変動にもかかわらず、好ましくはドライバによるブレーキ・ペダル70の操作に対応する希望の全制動トルクが車輪12aおよび12bに保持されることが確実に保証されている。発電ブレーキ・トルクの共用はドライバに対して感知可能ではない。
【0067】
上記の方法により、カーブ走行の間および/または後退走行の間における制動において、車両の車輪12a、12b、16および20における好ましいブレーキ力分配を設定することもまた可能である。これに対する例が、上記の横方向加速度の関数としてのブレーキ力分配、動的カーブ制動、および/または後退走行の間の制動時の後車軸におけるブレーキ力の上昇である。
【0068】
さらに、第1の車輪ブレーキ・シリンダ22aから第1の車輪12aに提供される第1の油圧ブレーキ・トルクおよび第2の車輪ブレーキ・シリンダ22bから第2の車輪12bに提供される第2の油圧ブレーキ・トルクからなる総油圧ブレーキ・トルクの所定の目標差、ないしは目標差に対応する値、を設定するための特に有利な可能性が記載される。
【0069】
このために、制御装置は、目標差を受け取ったのちに、制御装置が、第1の車輪入口弁36aおよび/または第2の車輪入口弁36bが開放状態または閉鎖状態に制御されているかどうかを決定するように設計されている。特に、制御装置は、第1の車輪入口弁36aが開放状態にあるかぎり、第1の油圧ブレーキ・トルクが目標差だけ変化可能なように、第1の車輪出口弁50aを操作する設計がなされていてもよい。それに対応して、制御装置は、第1の車輪入口弁36aが閉鎖状態にあり且つ第2の車輪入口弁36bが開放状態にあるかぎり、第2の油圧ブレーキ・トルクが目標差だけ変化可能なように、第2の車輪出口弁50bを操作する設計がなされていてもよい。目標差は総油圧ブレーキ・トルクの正または負の差であってもよい。
【0070】
両方の連続制御可能/連続操作可能な車輪出口弁50aおよび50bのこの操作は、車輪ブレーキ・シリンダ22aまたは22bに付属された車輪入口弁36aまたは36bを完全に閉鎖したとき、車輪ブレーキ圧力の制御が他の車輪ブレーキ・シリンダ22aまたは22bに付属された車輪出口弁50aまたは50bにより行われると言い換えることができる。特に、制御装置のこのような形成において、第1の車輪入口弁36aがABS制御に基づき閉鎖されているときもまた、第1の油圧ブレーキ・トルクおよび第2の油圧ブレーキ・トルクからの希望の総制動トルクに対する圧力設定が、第2の車輪出口弁50bの操作により設定可能であることが保証されている。したがって、第1のブレーキ回路10に対する制御可能な圧力設定の機能性は、第1の車輪出口弁50aから第2の車輪出口弁50bに移行可能である。場合により必要な完全な制動解除もまた、この場合、第2の車輪出口弁50bにより実行可能である。それに対応して、ABS制御の場合、逆の方法もまた第2の車輪入口弁36bにより実行可能である。(車輪16および/または20の少なくとも1つにおけるABS制御は、通常の方法で実行可能である。)
しかしながら、ブレーキ・システムの作動は、両方の連続制御可能/連続操作可能な車輪出口弁50aおよび50bのこの操作方式に限定されない。他の操作方式が同様に考えられる。
【0071】
ここに記載のブレーキ・システムは、そのブレーキ回路10、14および18の機能損傷においてもまた有利な安全基準を保証する。
両方のブレーキ回路14または18の1つが故障しているかぎり、第1のブレーキ回路10内に能動的に設定可能な総油圧ブレーキ圧力が、それに対応して適合可能である。これは、3つの車輪12a、12b、16または20における確実な制動を可能にする。例えば制御装置、伝送装置またはエネルギー供給装置の電気故障による第1のブレーキ回路10の故障の場合、本発明によるブレーキ・システムは、なお、両方のブレーキ回路14および18内への直接ブレーキ係合による、ブレーキ力増幅装置72によって増幅可能なブレーキ機能を有している。
【0072】
図1に示されたブレーキ・システムは、電気制御信号/電気切換信号により少なくとも開放状態に制御可能/切換可能な12の弁36a、36b、50a、50b、80、84、92、104、130、132、138および150よりも多い弁を必要としないことを指摘しておく。これにより、有利なX型ブレーキ回路分割、ブレーキ回路10、14および18の1つの故障時においても得られる高い安全基準、および全ての車輪12a、12b、16および20における油圧ブレーキ圧力の車輪ごとの設定の可能性にもかかわらず、図示されたブレーキ・システムの作動のために、コスト的に有利な制御装置が使用可能である。したがって、図1のブレーキ・システムはコスト的に有利に製造可能である。
【0073】
図2は、ブレーキ・システムの第2の実施形態の回路図を示す。
図2に略図で示されたブレーキ・システムは、連続制御可能/連続操作可能なブレーキ力増幅装置72の顕著な利点を示している。このような連続制御可能および/または連続操作可能なブレーキ力増幅装置72は、能動的ブレーキ力増幅装置72とも理解可能である。連続制御可能/連続操作可能なブレーキ力増幅装置72に対して、例えば、制御可能な操作装置を有する(典型的な)真空ブレーキ力増幅装置、電気機械式ブレーキ力増幅装置および/またはペダル操作なしに昇圧するための他の装置が使用可能である。
【0074】
ブレーキ・システムが連続制御可能/連続操作可能なブレーキ力増幅装置72を備えていることに基づき、第2のブレーキ回路14および第3のブレーキ回路18の主切換弁および/または切換弁がそれぞれ節約可能である。さらに、上記の実施形態に比較して、配管および分岐点が省略される。ブレーキ回路14および18の各々が、制御可能な弁として、入口弁92または138および出口弁104または150を有しているにすぎないことが好ましい。したがって、連続制御可能/連続操作可能なブレーキ力増幅装置72を備えたブレーキ・システムは、コスト的に有利に製造可能であり且つ少ない構造空間を必要とするにすぎない。
【0075】
これにより、ブレーキ・システムの操作可能な弁36a、36b、50a、50b、92、104、138および150の全体数は、簡単に8つに低減可能である。したがって、全体で8つの操作可能な弁36a、36b、50a、50b、92、104、138および150を有するブレーキ・システムを作動させるために、コスト的に有利な電子装置もまた適している。
【0076】
例えば非常ブレーキ状況において、少なくとも車輪ブレーキ・シリンダ86および142内の急速な圧力解除のために、連続制御可能/連続操作可能なブレーキ力増幅装置72および少なくとも1つのポンプ106および154を同時に使用して、有利なブレーキ圧力が形成可能である。能動的圧力形成、即ちブレーキ・ペダル70の操作がない制動過程もまた、連続制御可能/連続操作可能なブレーキ力増幅装置72により実行可能である。
【0077】
使用可能な連続制御可能/連続操作可能なブレーキ力増幅装置72は、ただ2つの車輪16および20の制動のためにのみ使用されることに基づき、より小さい寸法で且つコスト的に有利に形成可能であることを指摘しておく。
【0078】
図3は、本方法の一実施形態の流れ図を示す。
以下に記載の方法により、車両は有利に制動可能である。このために、コスト的に有利なブレーキ・システムが使用可能である。適切なブレーキ・システムは、マスタ・ブレーキ・シリンダ、ブレーキ媒体貯蔵容器および少なくとも1つの第1のブレーキ回路を含み、第1のブレーキ回路は、貯蔵容器配管を介してブレーキ媒体貯蔵容器と結合されている。第1のブレーキ回路は、第1の車輪ブレーキ・シリンダおよび第2の車輪ブレーキ・シリンダ、第1の車輪ブレーキ・シリンダに付属された第1の車輪入口弁および第2の車輪ブレーキ・シリンダに付属された第2の車輪入口弁、第1のブレーキ媒体容量が貯蔵容器配管から開放された第1の車輪入口弁を介して第1の車輪ブレーキ・シリンダ内におよび第2のブレーキ媒体容量が貯蔵容器配管から開放された第2の車輪入口弁を介して第2の車輪ブレーキ・シリンダ内にそれによりポンピング可能なポンプ、第1の車輪ブレーキ・シリンダからブレーキ媒体貯蔵容器内への第1のブレーキ媒体移動がそれにより制御可能である連続調節可能な第1の車輪出口弁、第2の車輪ブレーキ・シリンダからブレーキ媒体貯蔵容器内への第2のブレーキ媒体移動がそれにより制御可能である連続制御可能な第2の車輪出口弁、およびポンプの吐出側がブレーキ媒体貯蔵容器とそれを介して結合されている好ましくはばね付勢された逆止弁を有する結合配管、を含む。この場合、結合配管を介してブレーキ媒体貯蔵容器からポンプの吐出側へのブレーキ媒体移動は、好ましくはばね付勢された逆止弁により阻止されている。本方法を実行するために、例えば上記のブレーキ・システムが使用可能である。しかしながら、本方法の使用可能性は図示されたブレーキ・システムに限定されない。
【0079】
方法ステップS1において、第1の車輪入口弁が開放状態にあるかどうかが決定される。ここで、第1の車輪入口弁が開放状態にあることが決定されるかぎり、方法ステップS2において、第1の車輪ブレーキ・シリンダから車両の第1の車輪に提供される第1の油圧ブレーキ・トルクおよび第2の車輪ブレーキ・シリンダから車両の第2の車輪に提供される第2の油圧ブレーキ・トルクからなる総油圧ブレーキ・トルクが、目標差だけ変化される。これは、方法ステップS2において、第1の油圧ブレーキ・トルクが目標差だけ変化されるように、第1の車輪出口弁を操作することにより行われる。
【0080】
方法ステップS1において、第1の車輪入口弁が閉鎖状態にあることが特定されるかぎり、方法ステップS2の代わりに、以下に記載の方法ステップS3が実行される。この場合、方法ステップS3において、第2の車輪入口弁が開放状態にあるかどうかが決定される。
【0081】
第3の方法ステップS3において、第2の車輪入口弁が開放状態にあることが決定された場合、第2の油圧ブレーキ・トルクが目標差だけ変化されるように、総油圧ブレーキ・トルクの変化が第2の車輪出口弁の操作により行われる(方法ステップS4)。方法ステップS3において、第2の車輪入口弁が閉鎖状態にあることが特定されるかぎり、オプションの方法ステップS5において、所定の待ち時間が保持されたのちに、方法ステップS1または方法ステップS3が反復される。
【0082】
ここに記載の方法は簡単に実行可能である。したがって、本方法によってもまた、上記の利点が達成可能である。
【符号の説明】
【0083】
10 第1のブレーキ回路
12a、12b、16、20 車輪
14 第2のブレーキ回路
18 第3のブレーキ回路
22a、22b、86、142 車輪ブレーキ・シリンダ
24 貯蔵容器配管
26 ブレーキ媒体貯蔵容器
28 マスタ・ブレーキ・シリンダ
30、34、38、42、44、48、52、56、58、90、96、102、108、116、118、128、136、140、148、152、156、166 配管
32、106、154 ポンプ
36a、36b、92、138 車輪入口弁
40a、40b、64、88、94、134、144 逆止弁
46、54、62、66、82、98、110、114、120、122、126、146、158、162、164 分岐点
50a、50b、104、150 車輪出口弁
60 結合配管
68、100、124 圧力センサ
70 ブレーキ・ペダル
72 ブレーキ力増幅装置
74 センサ
76、78 供給配管
80、130 主切換弁
84、132 切換弁
112、160 蓄積室
168 共通軸
170 モータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マスタ・ブレーキ・シリンダ(28)と、
ブレーキ媒体貯蔵容器(26)と、および
貯蔵容器配管(24)を介してブレーキ媒体貯蔵容器(26)と結合されている第1のブレーキ回路(10)であって、少なくとも1つの第1の車輪ブレーキ・シリンダ(22a)、第1の車輪ブレーキ・シリンダ(22a)に付属された第1の車輪入口弁(36a)、第1のポンプ(32)、および第1の車輪ブレーキ・シリンダ(22a)に付属された第1の車輪出口弁(50a)、を備えた該第1のブレーキ回路(10)と、を有する車両用ブレーキ・システムにおいて、
第1のポンプ(32)により第1のブレーキ媒体容量が貯蔵容器配管(24)から開放された第1の車輪入口弁(36a)を介して第1の車輪ブレーキ・シリンダ(22a)内にポンピング可能であること、
第1の車輪出口弁(50a)が連続調節可能な第1の車輪出口弁(50a)であり、連続調節可能な第1の車輪出口弁(50a)により第1の車輪ブレーキ・シリンダ(22a)からブレーキ媒体貯蔵容器(26)内への第1のブレーキ媒体移動が制御可能であること、および
ブレーキ・システムが逆止弁(64)を有する結合配管(60)を含み、逆止弁(64)を介して第1のポンプ(32)の吐出側がブレーキ媒体貯蔵容器(26)と結合され、この場合、ブレーキ媒体貯蔵容器(26)から第1のポンプ(32)の吐出側へのブレーキ媒体移動が逆止弁(64)により阻止されていること、を特徴とする車両用ブレーキ・システム。
【請求項2】
請求項1に記載のブレーキ・システムにおいて、
第1のブレーキ回路(10)が、付属された第2の車輪入口弁(36b)および連続調節可能な第2の車輪出口弁(50b)を有する第2の車輪ブレーキ・シリンダ(22b)を含み、および
第1のポンプ(32)により第2のブレーキ媒体容量が貯蔵容器配管(24)から開放された第2の車輪入口弁(36b)を介して第2の車輪ブレーキ・シリンダ(22b)内にポンピング可能であり、且つ連続調節可能な第2の車輪出口弁(50b)により第2の車輪ブレーキ・シリンダ(22b)からブレーキ媒体貯蔵容器(26)内への第2のブレーキ媒体移動が制御可能である、ブレーキ・システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載のブレーキ・システムにおいて、
ブレーキ・システムが、第3の車輪ブレーキ・シリンダ(86)を有する少なくとも1つの第2のブレーキ回路(14)を含み、および
マスタ・ブレーキ・シリンダ(28)の内部容積内の第1の圧力上昇により、第3の車輪ブレーキ・シリンダ(86)の内部容積内の第2の圧力上昇が発生可能なように、第2のブレーキ回路(14)が第1の配管(76)を介してマスタ・ブレーキ・シリンダ(28)と油圧結合されている、ブレーキ・システム。
【請求項4】
請求項3に記載のブレーキ・システムにおいて、
ブレーキ・システムが、第4の車輪ブレーキ・シリンダ(142)を有する少なくとも1つの第3のブレーキ回路(18)を含み、および
マスタ・ブレーキ・シリンダ(28)の内部容積内の第1の圧力上昇により、さらに第4の車輪ブレーキ・シリンダ(142)の内部容積内の第3の圧力上昇が発生可能なように、第3のブレーキ回路(18)が第2の配管(78)を介してマスタ・ブレーキ・シリンダ(28)と油圧結合されている、ブレーキ・システム。
【請求項5】
請求項3または4に記載のブレーキ・システムにおいて、ブレーキ・システムが連続制御可能/連続操作可能なブレーキ力増幅装置(72)を含む、ブレーキ・システム。
【請求項6】
請求項3ないし5のいずれかに記載のブレーキ・システムにおいて、
第2のブレーキ回路(14)が正確に2つの操作可能な弁(92、104)を有すること、および第3のブレーキ回路(18)が正確に2つの操作可能な弁(138、150)を有すること、の少なくともいずれかである、ブレーキ・システム。
【請求項7】
請求項3ないし6のいずれかに記載のブレーキ・システムにおいて、
第2のブレーキ回路(14)が、
第3の車輪ブレーキ・シリンダ(86)に付属された第3の車輪入口弁(92)と、
第3のブレーキ媒体容量がマスタ・ブレーキ・シリンダ(28)から開放された主切換弁(80)および開放された第3の車輪入口弁(92)を介して第3の車輪ブレーキ・シリンダ(86)内にそれによりポンピング可能な第2のポンプ(106)と、
第1の蓄積室(112)と、および
第3の車輪ブレーキ・シリンダ(86)から第1の蓄積室(112)内への第3のブレーキ媒体移動がそれにより制御可能な第3の車輪出口弁(104)と、を含むブレーキ・システム。
【請求項8】
請求項7に記載のブレーキ・システムにおいて、第2のブレーキ回路(14)が、さらに、主切換弁(80)および切換弁(84)の少なくともいずれかを含む、ブレーキ・システム。
【請求項9】
請求項7または8に記載のブレーキ・システムにおいて、少なくとも第1のポンプ(32)および第2のポンプ(106)がモータ(170)の共通軸(168)上に配置されている、ブレーキ・システム。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれかに記載のブレーキ・システムにおいて、
ブレーキ・システムが正確に12の操作可能な弁(36a、36b、50a、50b、80、84、92、104、130、132、138、150)を有し、これらの弁は、ブレーキ・システムの制御装置から提供される電気信号により少なくとも開放状態および閉鎖状態に制御可能である、ブレーキ・システム。
【請求項11】
請求項1ないし10のいずれかに記載のブレーキ・システムにおいて、
ブレーキ・システムが発電機を含み、該発電機により、第1の車輪ブレーキ・シリンダ(22a)に付属された第1の車輪(12a)に第1の発電ブレーキ・トルクを提供可能であり、および第2の車輪ブレーキ・シリンダ(22b)に付属された第2の車輪(12b)に第2の発電ブレーキ・トルクを提供可能である、ブレーキ・システム。
【請求項12】
請求項2ないし11のいずれかに記載のブレーキ・システムにおいて、第1の車輪ブレーキ・シリンダ(22a)から第1の車輪(12a)に提供可能な第1の油圧ブレーキ・トルクおよび第2の車輪ブレーキ・シリンダ(22b)から第2の車輪(12b)に提供可能な第2の油圧ブレーキ・トルクからなる総油圧ブレーキ・トルクの、車両固有の構成要素から設定された目標差を受け取るように、および
第1の車輪入口弁(36a)が開放状態にあるかぎり、第1の油圧ブレーキ・トルクを前記目標差だけ変化可能に第1の車輪出口弁(50a)を操作し、および第1の車輪入口弁(36a)が閉鎖状態にあり且つ第2の車輪入口弁(36b)が開放状態にあるかぎり、第2の油圧ブレーキ・トルクが前記目標差だけ変化可能に第2の車輪出口弁(50b)を操作するように、ブレーキ・システムの制御装置が設計されている、ブレーキ・システム。
【請求項13】
マスタ・ブレーキ・シリンダ(28)と、
ブレーキ媒体貯蔵容器(26)と、
および貯蔵容器配管(24)を介してブレーキ媒体貯蔵容器(26)と結合されている第1のブレーキ回路(10)であって、少なくとも1つの第1の車輪ブレーキ・シリンダ(22a)および第2の車輪ブレーキ・シリンダ(22b)、第1の車輪ブレーキ・シリンダ(22a)に付属された第1の車輪入口弁(36a)および第2の車輪ブレーキ・シリンダ(22b)に付属された第2の車輪入口弁(36b)、第1のブレーキ媒体容量が貯蔵容器配管(24)から開放された第1の車輪入口弁(36a)を介して第1の車輪ブレーキ・シリンダ(22a)内におよび第2のブレーキ媒体容量が貯蔵容器配管(24)から開放された第2の車輪入口弁(36b)を介して第2の車輪ブレーキ・シリンダ(22b)内にそれによりポンピング可能なポンプ(32)、第1の車輪ブレーキ・シリンダ(22a)からブレーキ媒体貯蔵容器(26)内への第1のブレーキ媒体移動がそれにより制御可能である連続調節可能な第1の車輪出口弁(50a)、第2の車輪ブレーキ・シリンダ(22b)からブレーキ媒体貯蔵容器(26)内への第2のブレーキ媒体移動がそれにより制御可能である連続調節可能な第2の車輪出口弁(50b)、およびポンプ(32)の吐出側がブレーキ媒体貯蔵容器(26)とそれを介して結合されている、逆止弁(64)を有する結合配管(60)、を備え、この場合、ブレーキ媒体貯蔵容器(26)からポンプ(32)の吐出側へのブレーキ媒体移動が逆止弁(64)により阻止されている、該第1のブレーキ回路(10)と、を有する車両ブレーキ・システムの作動方法において、
第1の車輪入口弁(36a)が開放状態にあるかどうかを決定するステップ(S1)と、
第1の車輪入口弁(36a)が開放状態にあることが決定されるかぎり、第1の車輪ブレーキ・シリンダ(22a)から車両の第1の車輪(12a)に提供される第1の油圧ブレーキ・トルクおよび第2の車輪ブレーキ・シリンダ(22b)から車両の第2の車輪(12b)に提供される第2の油圧ブレーキ・トルクからなる総油圧ブレーキ・トルクを、第1の油圧ブレーキ・トルクが目標差だけ変化されるように、目標差だけ第1の車輪出口弁(50a)の操作によって変化させるステップ(S2)と、
第1の車輪入口弁(36a)が閉鎖状態にあることが特定されるかぎり、第2の車輪入口弁(36b)が開放状態にあるかどうかを決定するステップ(S3)と、および
第2の車輪入口弁(36b)が開放状態にあることが特定されるかぎり、前記総油圧ブレーキ・トルクを、第2の油圧ブレーキ・トルクが目標差だけ変化されるように、第2の車輪出口弁(50b)の操作によって変化させるステップ(S4)と、
を有する車両ブレーキ・システムの作動方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2013−520345(P2013−520345A)
【公表日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−553255(P2012−553255)
【出願日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際出願番号】PCT/EP2011/051516
【国際公開番号】WO2011/104090
【国際公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【出願人】(591245473)ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング (591)
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【Fターム(参考)】