説明

車両用ミラー装置

【課題】アンテナの指向性の変化を小さくすることができる車両用ミラー装置を得る。
【解決手段】本ドアミラー装置では、逆F型アンテナ28がミラー18の導電性光反射膜22に接地されると共にミラー18に支持されているので、鏡面角度調節機構26によってミラー18の車両に対する角度が変更された場合でも、ミラー18と逆F型アンテナ28との相対位置が変化することがない。これにより、逆F型アンテナ28の指向性の変化を小さくすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用ミラー装置に関し、特にアンテナが内蔵された車両用ミラー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電波を受信するアンテナがドアミラー本体の内部に設けられた構成の車両用ドアミラー装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。このような車両用ドアミラー装置では、アンテナがミラーの近くに配置されているので、ミラーがアンテナの指向性に影響を及ぼすという問題がある。特に、ミラーが可動の場合には、ミラーとアンテナとの相対位置が変化するので、アンテナの指向性が変化してしまう。
【特許文献1】特開2004−306677号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は上記事実を考慮し、アンテナの指向性の変化を小さくすることができる車両用ミラー装置を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明に係る車両用ミラー装置は、透明基板及び該透明基板の裏面に形成された導電性光反射膜を有する車両後方視認用のミラーと、前記ミラーを車両に対して変位させる変位機構と、前記ミラーに支持されると共に前記導電性光反射膜に接地されたアンテナと、を有することを特徴としている。
【0005】
請求項1に記載の車両用ミラー装置では、アンテナがミラーの導電性光反射膜に接地されると共にミラーに支持されているので、変位機構によってミラーが車両に対して変位された場合でも、ミラーとアンテナとの相対位置が変化することがない。したがって、アンテナの指向性の変化を小さくすることができる。
【0006】
請求項2に記載の発明に係る車両用ミラー装置は、請求項1に記載の車両用ミラー装置において、前記アンテナは、板状の本体部が前記透明基板の板面に沿って配置された逆F型アンテナとされることを特徴としている。
【0007】
請求項2に記載の車両用ミラー装置では、逆F型アンテナの本体部がミラーの透明基板の板面に沿って配置されているので、透明基板の厚さ方向に沿った逆F型アンテナの設置スペースを小さくすることができる。なお、逆F型アンテナの本体部と透明基板とは、板厚方向に沿って互いに対向していればよく、必ずしも平行である必要はない。
【発明の効果】
【0008】
以上説明したように、本発明に係る車両用ミラー装置では、アンテナの指向性の変化を小さくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1には、本発明の実施形態に係る車両用ミラー装置としてのドアミラー装置10の概略的な構成が正面図にて示されている。また、図2には、このドアミラー装置10を構成するミラー18の部分的な構成が斜視図にて示されている。なお、図中矢印UPは車両上方を示し、矢印FRは車両前方を示している。
【0010】
図1に示されるように、ドアミラー装置10は、図示しない車両のドアパネルに締結固定されたステー12を備えており、このステー12には、図示しない電動格納機構を介してドアミラー本体14が取り付けられている。ドアミラー本体14はバイザ16を備えており、バイザ16の内側には車両後方視認用のミラー18が設けられている。
【0011】
図2に示されるように、ミラー18は透明なガラス又は樹脂からなる透明基板20と、この透明基板20の裏面(車両前方側)に蒸着等の手段により形成されてミラー18の鏡面を構成する導電性光反射膜22とを有している。この導電性光反射膜22には、グランド線24(図1では図示省略)の一端部が接続されており、グランド線24の他端部は例えば車両のドア等に接続されている。これにより、導電性光反射膜22は車両に接地(アース)されている。なお、導電性光反射膜22の材料としては、クロームやアルミニウム等を適用することができる。
【0012】
また、ミラー18は、変位機構としての鏡面角度調節機構26(図1参照)を介してバイザ16に取り付けられており、鏡面角度調節機構26は、図示しないモータの駆動力によって、略車両上下方向を軸方向とする軸周り及び略車両左右方向を軸方向とする軸周りにミラー18を(変位)回動させるようになっている。鏡面角度調節機構26のモータは、車両乗員が車室内に設けられた図示しないスイッチを操作することで駆動されるようになっている。これにより、車両乗員の体格に応じて、ミラー18の車両に対する鏡面角度が調節される。
【0013】
さらに、このドアミラー装置10は、ミラー18の裏側(本ドアミラー装置10の使用状態で車両前方側)に配置された逆F型アンテナ28を有している。逆F型アンテナ28は、導電性を有する材料によって矩形板状に形成された本体部30を有している。この本体部30は、透明基板20の裏面(導電性光反射膜22)に対して平行に配置された状態で、ブロック状の支持部材31を介して接着剤等により導電性光反射膜22(ミラー18の裏面)に取り付けられている。これにより、逆F型アンテナ28はミラー18に支持されており、ミラー18が鏡面角度調節機構26によって回動されると、逆F型アンテナ28がミラー18と一体で回動するようになっている。
【0014】
本体部30の一つの角縁部には、ミラー18側へ向けて延出された板状の短絡部32が設けられており、この短絡部32はミラー18の導電性光反射膜22に接続されている。これにより、逆F型アンテナ28は導電性光反射膜22に接地(アース)されると共に、導電性光反射膜22を介して車両に接地されている。
【0015】
また、本体部30には、短絡部32の近くに同軸ケーブル34(図1では図示省略)の一端部が接続されており、この同軸ケーブル34の他端部は図示しないチューナに接続されている。これにより、車室外から発せられた送信電波を逆F型アンテナ28が受信した際には、この電波に対応する信号が上記チューナへと伝送されるようになっている。
【0016】
次に、本実施形態の作用について説明する。
【0017】
上記構成のドアミラー装置10では、逆F型アンテナ28がミラー18の導電性光反射膜22に接地されると共にミラー18に取り付けられているので、鏡面角度調節機構26によってミラー18の車両に対する角度が変更された場合でも、ミラー18と逆F型アンテナ28との相対位置が変化することがない。これにより、逆F型アンテナ28の指向性の変化を小さくすることができる。
【0018】
なお、図3には、このドアミラー装置10の逆F型アンテナ28の指向性が線図にて示されている。図3から、このドアミラー装置10では、逆F型アンテナ28の指向性の変化が少ないことがわかる。
【0019】
また、このドアミラー装置10では、逆F型アンテナ28の本体部30がミラー18の透明基板20の裏面(導電性光反射膜22)に沿って平行に配置されているので、透明基板20の厚さ方向に沿った逆F型アンテナ28の設置スペースを小さくすることができる。
【0020】
なお、上記実施形態では、アンテナとして逆F型アンテナ28を用いて構成したが、本発明はこれに限らず、別の種類のアンテナを用いて構成してもよい。
【0021】
また、上記実施形態では、本発明を車両用のドアミラー装置に適用した場合について説明したが、本発明は車両用のフェンダーミラー装置に適用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施形態に係るドアミラー装置の概略的な構成を示す正面図である。
【図2】本発明の実施形態に係るドアミラー装置を構成するミラーの部分的な構成を示す斜視図である。
【図3】本発明の実施形態に係るドアミラー装置を構成する逆F型アンテナの指向性を示す図である。
【符号の説明】
【0023】
10 ドアミラー装置(車両用ミラー装置)
18 ミラー
20 透明基板
22 導電性光反射膜
26 鏡面角度調節機構(変位機構)
28 逆F型アンテナ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明基板及び該透明基板の裏面に形成された導電性光反射膜を有する車両後方視認用のミラーと、
前記ミラーを車両に対して変位させる変位機構と、
前記ミラーに支持されると共に前記導電性光反射膜に接地されたアンテナと、
を有する車両用ミラー装置。
【請求項2】
前記アンテナは、板状の本体部が前記透明基板の板面に沿って配置された逆F型アンテナとされることを特徴とする請求項1に記載の車両用ミラー装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−331613(P2007−331613A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−166485(P2006−166485)
【出願日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】