説明

車両用リッドロック装置

【課題】リッドボックス内からの作業が不要で、リッドボックスの支持壁に設けたリテーナに対するキャップの組付工数の削減が可能であるとともに、キャップのリテーナに対する組付完了を作業者が的確に知り得て、リテーナに対するキャップの脱着性を改善した車両用リッドロック装置を提供する。
【解決手段】車両用リッドロック装置100は、リテーナ10とキャップ20とロックピン30を備えている。リテーナ10には、キャップ20の先端部21がリッドボックス210外からリッドボックス210内に向けて嵌合可能な嵌合部(13)が形成されるとともに、嵌合部(13)よりリッドボックス210外側に係止部12aが形成されている。キャップ20には、前記係止部12aに対して係合・離脱可能な係合部22aを有し、リッドボックス210外にて操作により性変形して傾動可能な操作レバー部22が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体に形成したリッドボックス(例えば、燃料キャップが脱着可能な燃料給油口部が収容されるもの)の開口部を開閉可能なリッドを解錠可能にロックするための車両用リッドロック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の車両用リッドロック装置の一つとして、車体に形成したリッドボックスの支持壁に設けたリテーナと、このリテーナに脱着可能に組付けられるキャップと、このキャップに対して進退可能に組付けられて前記支持壁を貫通して前記リッドボックス内(車体の外側)に突出するロックピンを備えていて、前記リッドボックスに対して傾動可能に組付けられて前記リッドボックスの開口部を開閉可能なリッドが前記ロックピンによって閉状態(ロック状態)にて保持可能に構成されているものがあり、例えば、下記特許文献1に示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−8672号公報
【0004】
上記した特許文献1には、リッドボックス外(車体の内側)からの手作業にて、リッドボックスの支持壁に組付けたリテーナにキャップ(特許文献1ではロックと記載されている)を脱着可能な構成の車両用リッドロック装置が従来例として記載されるとともに、この従来例を改良して、リッドボックス外(車体の内側)からの手作業にて、リッドボックスの支持壁に組付けたリテーナにキャップを組み付けることができるとともに、リッドボックス内(車体の外側)からの手作業にて、リッドボックスの支持壁に組付けたリテーナをキャップとともに支持壁から取り外すことができる車両用リッドロック装置が記載されている。
【発明の概要】
【0005】
(発明が解決しようとする課題)
上記した特許文献1に記載されている従来例の車両用リッドロック装置では、リッドボックス外(車体の内側)からの手作業にて、リッドボックスの支持壁に設けたリテーナにキャップを脱着可能な構成であるため、キャップの脱着に際して、リッドボックス内(車体の外側)からの手作業が不要であるとの利点はあるものの、キャップのリテーナへの組付に際して、キャップのリテーナに対する「位置合わせ作業」と「挿入作業」と「回転作業」が必要であって組付工数が多いという欠点と、キャップのリテーナに対する組付が完了したときの感覚が得られ難くて誤組付が生じやすいという欠点がある。
【0006】
一方、上記した特許文献1に記載されている改良例の車両用リッドロック装置では、上記した欠点は解消し得るものの、キャップのリテーナへの組付がリッドボックス外(車体の内側)からの手作業であるのに対して、リテーナとキャップの支持壁からの取外がリッドボックス内(車体の外側)からの手作業であって、キャップの脱着に際して、リッドボックス外(車体の内側)からの手作業とリッドボックス内(車体の外側)からの手作業が必要であって作業性が悪くなるという欠点がある。
【0007】
なお、上記した特許文献1に記載されている改良例の車両用リッドロック装置では、リッドボックスの支持壁に組付けたリテーナをキャップとともに支持壁から取り外す際に、キャップを支持壁に設けた取付孔を通してリッドボックス内(車体の外側)に引き出す必要があり、ロックピンが、リッドボックス外(車体の内側)にて、電気モータとこの電気モータの回転出力をロックピンの軸方向出力に変換する変換機構とを備えたアクチュエータによって進退可能に構成されている場合には、アクチュエータをキャップ等とともに支持壁に設けた取付孔を通してリッドボックス内に引き出す必要があって、支持壁に設ける取付孔や、これを塞ぐリテーナを大きくする必要がある。
【0008】
そこで、本発明は、リッドボックスの支持壁に設けたリテーナに対するキャップの脱着に際して、リッドボックス内(車体の外側)からの作業が不要であるとの利点を害することなく、キャップのリテーナに対する組付工数の削減が可能であるとともに、キャップのリテーナに対する組付完了を作業者が的確に知り得る車両用リッドロック装置を提供することを課題とする。
【0009】
(課題を解決するための手段)
本発明は、車体に形成したリッドボックスの支持壁に設けたリテーナと、このリテーナに脱着可能に組付けられるキャップと、このキャップに対して進退可能に組付けられて前記支持壁を貫通して前記リッドボックス内に突出するロックピンを備えていて、前記リッドボックスに対して傾動可能に組付けられて前記リッドボックスの開口部を開閉可能なリッドが前記ロックピンによって閉状態にて保持可能に構成されている車両用リッドロック装置において、
前記リテーナに、前記キャップの先端部(リッドボックス内側の端部)が前記リッドボックス外から前記リッドボックス内に向けて嵌合可能な嵌合部が形成されるとともに、この嵌合部より前記リッドボックス外側に係止部が形成され、
前記キャップに、前記リッドボックス外にて操作により弾性変形して傾動可能であり前記係止部に対して係合・離脱可能な係合部を有している操作レバー部が形成されていて、
前記キャップの先端部が前記リテーナの前記嵌合部に嵌合された状態で、前記操作レバー部が非操作状態であるとき、前記操作レバー部の前記係合部が前記リテーナの前記係止部に弾性的に係合していて、前記キャップが前記リテーナからの離脱を規制され、かつ、前記操作レバー部が操作されて傾動状態であるとき、前記操作レバー部の前記係合部が前記リテーナの前記係止部から離脱していて、前記キャップが前記リテーナからの離脱を許容されるように設定されていることに特徴がある。
【0010】
上記のように構成した本発明の車両用リッドロック装置では、キャップに形成した操作レバー部がリッドボックス外にて操作により弾性変形して傾動可能であり、操作レバー部が操作されて傾動状態であるとき、操作レバー部の係合部がリテーナの係止部から離脱していて、キャップがリテーナからの離脱を許容されるように設定されている。
【0011】
このため、操作レバー部の係合部がリテーナの係止部から離脱すべく、リッドボックス外にての操作で操作レバー部を傾動させた状態で、キャップとロックピンをリッドボックス外に向けて引き抜くことで、キャップとロックピンをリテーナから取り外すことが可能である。また、リッドボックス外にて操作レバー部の係合部とリテーナの係止部とが係合可能な状態(位置合わせを行った状態)として、キャップの先端部がリテーナの嵌合部に嵌合するように押し込めば、操作レバー部の弾性変形を利用して、キャップとロックピンをリテーナに組付けることが可能である。かかる組付状態では、操作レバー部の係合部がリテーナの係止部に弾性的に係合して、キャップがリテーナからの離脱を規制されるため、キャップとロックピンがリテーナによって的確に保持される。
【0012】
以上要するに、本発明では、リッドボックス外での作業のみにてキャップとロックピンをリテーナに対して脱着可能であり、リッドボックス内での作業や工具等は全く不要であるため、また、キャップとロックピンのリテーナに対する脱着に際して、キャップとロックピンのリテーナに対する回転作業が不要であって、キャップとロックピンのリテーナへの組付は、リテーナに対する「位置合わせ作業」と「挿入作業」にて可能であり、かつ、キャップとロックピンのリテーナからの取外は、「操作レバー部の傾動操作(把持作業)」と「キャップとロックピンの引抜作業」にて可能である。このため、当該リッドロック装置のメンテナンス性(キャップとロックピンのリテーナに対する脱着性)がよい。
【0013】
また、本発明では、キャップとロックピンのリテーナへの組付に際して、操作レバー部の弾性変形を利用しているため、その組付時には、操作レバー部の係合部がリテーナの係止部に係合する際に、係合音が発生するとともに係合感触が作業者に伝わる。このため、この係合音や係合感触により作業者は組付完了を的確に知ることも可能である。
【0014】
上記した本発明の実施に際して、前記リテーナと前記キャップ間には、前記嵌合部より前記支持壁から離間した部位に、前記リッドボックス外から前記リッドボックス内に向けて嵌合可能な一対の凹凸嵌合部が形成されていて、これら一対の凹凸嵌合部の対向する対向方向からずらした部位に前記操作レバー部の前記係合部と前記リテーナの前記係止部との係合部位が設定されていることも可能である。この場合には、一対の凹凸嵌合部によってキャップとロックピン等のリテーナに対する支持剛性を高めることが可能であり、当該リッドロック装置の耐振動性能を高めることが可能である。
【0015】
また、上記した本発明の実施に際して、前記ロックピンは、電気モータと、この電気モータの回転出力を前記ロックピンの軸方向出力に変換する変換機構と、前記電気モータおよび前記変換機構を収容するハウジングとを備えたアクチュエータによって、進退可能に構成されており、前記ハウジングと前記キャップとは一体的に形成されていることも可能である。この場合において、前記電気モータと前記変換機構は前記ロックピンの上方に配置されていて、前記電気モータは前記変換機構に比して前記支持壁に近接配置されていることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明による車両用リッドロック装置の一実施形態を示した平面図である。
【図2】図1に示した車両用リッドロック装置の側面図である。
【図3】図1のA−A線に沿った図1右方部分の部分縦断断面図である。
【図4】図2の左方斜め上方から見た斜視図である。
【図5】図2および図4に示したキャップ、ロックピン、アクチュエータ等がリテーナから取り外された状態の図4矢印方向から見た斜視図である。
【図6】図5に示したアクチュエータのハウジングからカバーを取り外した状態の側面図である。
【図7】図1〜図5に示した支持壁にリテーナが組付けられる前の状態を示した斜視図である。
【図8】図7に示したリテーナが支持壁の取付孔に挿通された状態の斜視図である。
【図9】図8に示した状態をリッドボックス内から見た図である。
【図10】図9に示したリテーナと支持壁の側面図である。
【図11】図8に示した状態をリッドボックス外から見た図である。
【図12】図10のB−B線に沿った縦断端面図である。
【図13】図11のC−C線に沿った縦断端面図である。
【図14】図8に示したリテーナが支持壁に対して矢印方向に回転されて支持壁に組付けられた状態の斜視図である。
【図15】図14に示した状態をリッドボックス内から見た図である。
【図16】図15に示したリテーナと支持壁の側面図である。
【図17】図14に示した状態をリッドボックス外から見た図である。
【図18】図16のD−D線に沿った縦断端面図である。
【図19】図17のE−E線に沿った縦断端面図である。
【図20】リテーナを支持壁に一体的に形成した変形実施形態の図3相当の部分縦断断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1〜図6は本発明による車両用リッドロック装置100を示していて、この車両用リッドロック装置100は、図1に示した車体200に形成したリッドボックス210の支持壁211に設けた樹脂製のリテーナ10と、このリテーナ10に脱着可能に組付けられる樹脂製のキャップ20と、このキャップ20に対して進退可能に組付けられて支持壁211を貫通してリッドボックス210内に突出する樹脂製のロックピン30を備えていて、リッドボックス210に対して図示省略した端部にて傾動可能に組付けられてリッドボックス210の開口部210aを開閉可能なリッド220がロックピン30によって閉状態(ロック状態)にて保持可能に構成されている。また、この車両用リッドロック装置100は、ロックピン30をその長手方向に沿って進退可能に駆動するためのアクチュエータACTを備えている。
【0018】
リテーナ10は、図3に示したように、リッドボックス210の支持壁211にシールプレートS1とともに脱着可能に組付けられていて、頭部11と脚部12と挿入孔部13を備えており、図7〜図13に示したように、リッドボックス210内(車体200の外側)から支持壁211に設けた非円形(中央が円形で上下が矩形)の取付孔211aを通して挿通された状態で、図14および図15に示した矢印方向に所定量回転することにより、図14〜図19に示したように、支持壁211に組付けられている。
【0019】
リテーナ10の頭部11は、シールプレートS1を介して支持壁211の車体外側面(図3の右側面)に係合可能で、図15に示したように、支持壁211の取付孔211aを塞ぐことが可能な平板状部分であり、その端面(図3の右端面)には作業者がリテーナ10を指で所定量回転させる際に使用するための十字状突起11a(図7、図9、図15参照)が形成されている。
【0020】
リテーナ10の脚部12は、支持壁211の取付孔211aに抜き差し可能な形状に形成されていて、頭部11からリッドボックス210外に向けて所定量突出する係止部12aと左右一対の切欠部12b1,12b2が形成されるとともに、一対の抜け止め部12c1,12c2(図14、図17参照)と一対のストッパ部12d1,12d2(図12、図18参照)が形成されている。係止部12aは、リテーナ10が支持壁211に組付けられた状態で下方に配置されるものであり、水平部と左右一対の垂直部を有していて、水平部には矩形の孔12a1(図3参照)が形成されている。
【0021】
左右一対の各切欠部12b1,12b2は、リテーナ10が支持壁211に組付けられた状態で、支持壁211から所定量離間した部位にて係止部12aより上方に配置されるものである。また、各切欠部12b1,12b2は、ロックピン30の進退方向にて沿ってコ字状に形成されていて、脚部12の先端(支持壁211から離れる方向)に向けて開口している。
【0022】
一対の抜け止め部12c1,12c2は、図14および図17に示したように、リテーナ10が支持壁211に組付けられた状態にて、支持壁211に対峙するように配置されるものであり、支持壁211にシールプレートS1を介して当接することにより、支持壁211からリッドボックス210内に向けたリテーナ10の抜けを防止している。一対のストッパ部12d1,12d2は、図12および図18に示したように、支持壁211の取付孔211a内に組付けられるものであり、取付孔211aの内壁との当接により取付孔211aに対するリテーナ10の回転を規制している。
【0023】
リテーナ10の挿入孔部13は、頭部11に円形孔を形成することにより形成された嵌合部であり、この嵌合部には、図3に示したように、シールリングS2を装着したキャップ20の先端部21がリッドボックス210外からリッドボックス210内に向けてロックピン30の進退方向にて嵌合可能である。なお、挿入孔部13の脚部12側端部には段部14(図3参照)が形成されていて、この段部14によってキャップ20のリテーナ10に対する嵌合量が規定されている。
【0024】
キャップ20は、アクチュエータACTのハウジング40に一体的に形成されていて、操作レバー部22を有するとともに、左右一対の係合突起23a,23bを有している。操作レバー部22は、キャップ20がリテーナ10に組付けられて状態にて下方となる部位に一体的に形成されていて、リッドボックス210外にて手動操作により弾性変形して傾動可能であり、リテーナ10の係止部12aに対して係合・離脱可能な係合部(突起)22aを有している。なお、リテーナ10の係止部12aと操作レバー部22の係合部(突起)22aの各形状を逆として、すなわち、リテーナ側に突起状の係止部を形成し、操作レバー部側に突起状の係止部に係合する係合部を形成して実施することも可能である。
【0025】
各係合突起23a,23bは、キャップ20がリテーナ10に組付けられる際に、リテーナ10の各切欠部12b1,12b2に摺動可能に嵌合するものであり、キャップ20に一体的に形成されている。また、各係合突起23a,23bは、各切欠部12b1,12b2とによって、リテーナ10とキャップ20間に凹凸嵌合部を形成するためのものであり、リテーナ側に左右一対の係合突起を形成するとともに、キャップ側に左右一対の切欠部を形成して実施することも可能である。
【0026】
ロックピン30は、図3に示したように、シールリングS3を装着されて状態にてキャップ20内に進退方向に組付けられていて、キャップ20とハウジング40を貫通しており、図1に示したように、リッドボックス210内に突出する先端部31にてリッドボックス210の開口部210aを開閉可能なリッド220に設けた係合孔221に係合・離脱可能とされている。なお、ロックピン30のハウジング40外に突出する端部には、アクチュエータACTの電気モータ50が起動不能となった場合のような緊急時に、車室内から紐等を介して手動でロックピン30を退避させるための手動操作部32が設けられている。
【0027】
アクチュエータACTは、図6に示したように、樹脂製のハウジング40内に組付けられて無線通信型キー(所謂、スマートキー)に設けたスイッチ(図示省略)のON・OFFによって駆動・停止される電気モータ50と、この電気モータ50の回転出力をロックピン30の軸方向出力に変換する変換機構60とを備えている。なお、図6では、電気モータ50および変換機構60を収容するハウジング40からカバー41(図1参照)が取り外されている。
【0028】
変換機構60は、電気モータ50の出力軸51に一体回転可能に組付けた樹脂製のウォーム61と、ハウジング40に回転可能に組付けられてウォーム61と噛合する樹脂製のセクタギヤ62と、このセクタギヤ62に固着されてロックピン30に設けた長孔33に係合する樹脂製のピン63を備えていて、金属製の構成部品を多用する電気モータ50に比して軽量とされている。なお、長孔33は、その長手方向がロックピン30の進退方向に対して略直交するように形成されている。
【0029】
上記した実施形態では、キャップ20の先端部21がリテーナ10の挿入孔部(嵌合部)13に嵌合された状態で、操作レバー部22が非操作状態であるとき、操作レバー部22の係合部(突起)22aがリテーナ10の係止部12aに弾性的に係合していて、キャップ20がリテーナ10からの離脱を規制される。また、操作レバー部22が上方に操作されて傾動状態であるとき、操作レバー部22の係合部(突起)22aがリテーナ10の係止部12aから離脱していて、キャップ20がリテーナ10からの離脱(引抜)を許容される。
【0030】
このため、操作レバー部22の係合部(突起)22aがリテーナ10の係止部12aから離脱すべく、リッドボックス210外にて手動操作で操作レバー部22を所要量上方に傾動させた状態で、キャップ20とロックピン30をアクチュエータACTとともにリッドボックス210外に向けて手で引き抜くことで、キャップ20とロックピン30をアクチュエータACTとともにリテーナ10から取り外すことが可能である。また、リッドボックス210外にて操作レバー部22の係合部(突起)22aとリテーナ10の係止部12aとが係合可能な状態(位置合わせを行った状態)として、キャップ20の先端部21がリテーナ10の挿入孔部(嵌合部)13に嵌合するように手で押し込めば、操作レバー部22の弾性変形を利用して、キャップ20とロックピン30をアクチュエータACTとともにリテーナ10に組付けることが可能である。かかる組付状態では、操作レバー部22の係合部(突起)22aがリテーナ10の係止部12aに弾性的に係合して、キャップ20がリテーナ10からの離脱を規制されるため、キャップ20とロックピン30がアクチュエータACTとともにリテーナ10によって的確に保持される。
【0031】
以上要するに、この実施形態では、リッドボックス210外での手作業のみにてキャップ20とロックピン30をアクチュエータACTとともにリテーナ10に対して脱着可能であり、リッドボックス210内での作業や工具等は全く不要であるため、また、キャップ20、ロックピン30、アクチュエータACT等のリテーナ10に対する脱着に際して、キャップ20、ロックピン30、アクチュエータACT等のリテーナ10に対する回転作業が不要であって、キャップ20、ロックピン30、アクチュエータACT等のリテーナ10への組付は、リテーナ10に対する「位置合わせ作業」と「挿入作業」にて可能であり、かつ、キャップ20、ロックピン30、アクチュエータACT等のリテーナ10からの取外は、「操作レバー部の傾動操作(把持作業)」と「キャップ20、ロックピン30、アクチュエータACT等の引抜作業」にて可能である。このため、当該リッドロック装置100のメンテナンス性(キャップ20、ロックピン30、アクチュエータACT等のリテーナ10に対する脱着性)がよい。
【0032】
また、この実施形態では、キャップ20、ロックピン30、アクチュエータACT等のリテーナ10への組付に際して、操作レバー部22の弾性変形を利用しているため、その組付時には、操作レバー部22の係合部(突起)22aがリテーナ10の係止部12aに係合する際に、係合音が発生するとともに係合感触が作業者に伝わる。このため、この係合音や係合感触により作業者は組付完了を的確に知ることも可能である。
【0033】
また、この実施形態では、リテーナ10の各切欠部12b1,12b2とキャップ20の各係合突起23a,23bによって、リテーナ10とキャップ20間に凹凸嵌合部が形成されていて、これらより下方部位に操作レバー部22の係合部(突起)22aとリテーナ10の係止部12aとの係合部位が設定されている。このため、左右一対の凹凸嵌合部によってキャップ20とロックピン30等のリテーナ10に対する支持剛性を高めることが可能であり、当該リッドロック装置100の耐振動性能を高めることが可能である。
【0034】
また、この実施形態では、ロックピン30がアクチュエータACTによって進退可能に構成されており、アクチュエータACTの電気モータ50と変換機構60がロックピン30の上方に配置されていて、電気モータ50は変換機構60に比して支持壁211に近接配置されている。このため、電気モータ50と変換機構60の配置を逆として、変換機構60が電気モータ50に比して支持壁211に近接配置される場合に比して、当該リッドロック装置100の重心位置を支持壁211に近接させることができて、これによっても当該リッドロック装置100の耐振動性能を高めることが可能である。
【0035】
上記実施形態においては、当該車両用リッドロック装置100のリテーナ10をリッドボックス210の支持壁211に脱着可能に設けて実施したが、図20にて示したように、リッドボックス210の支持壁211にリテーナ10Aを一体的に設けて、当該車両用リッドロック装置100Aのキャップ20がリテーナ10Aに上記実施形態と同様に脱着可能に組付けられるように構成して実施することも可能である。
【0036】
また、上記実施形態においては、当該車両用リッドロック装置100のロックピン30がアクチュエータACTによって駆動されるように構成して実施したが、ロックピンが手動操作によって駆動されるように構成した(アクチュエータACTを無くした)車両用リッドロック装置にも上記実施形態と同様に実施することが可能である。
【符号の説明】
【0037】
100…車両用リッドロック装置、10…リテーナ、11…頭部、12…脚部、12a…係止部、12b1,12b2…切欠部、12c1,12c2…抜け止め部、12d1,12d2…ストッパ部、13…挿入孔部(嵌合部)、20…キャップ、21…先端部、22…操作レバー部、22a…係合部、23a,23b…係合突起、30…ロックピン、31…先端部、32…手動操作部、40…ハウジング、ACT…アクチュエータ、50…電気モータ、60…変換機構、200…車体、210…リッドボックス、211…支持壁、220…リッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体に形成したリッドボックスの支持壁に設けたリテーナと、このリテーナに脱着可能に組付けられるキャップと、このキャップに対して進退可能に組付けられて前記支持壁を貫通して前記リッドボックス内に突出するロックピンを備えていて、前記リッドボックスに対して傾動可能に組付けられて前記リッドボックスの開口部を開閉可能なリッドが前記ロックピンによって閉状態にて保持可能に構成されている車両用リッドロック装置において、
前記リテーナに、前記キャップの先端部が前記リッドボックス外から前記リッドボックス内に向けて嵌合可能な嵌合部が形成されるとともに、この嵌合部より前記リッドボックス外側に係止部が形成され、
前記キャップに、前記リッドボックス外にて操作により弾性変形して傾動可能であり前記係止部に対して係合・離脱可能な係合部を有している操作レバー部が形成されていて、
前記キャップの先端部が前記リテーナの前記嵌合部に嵌合された状態で、前記操作レバー部が非操作状態であるとき、前記操作レバー部の前記係合部が前記リテーナの前記係止部に弾性的に係合していて、前記キャップが前記リテーナからの離脱を規制され、かつ、前記操作レバー部が操作されて傾動状態であるとき、前記操作レバー部の前記係合部が前記リテーナの前記係止部から離脱していて、前記キャップが前記リテーナからの離脱を許容されるように設定されていることを特徴とする車両用リッドロック装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用リッドロック装置において、前記リテーナと前記キャップ間には、前記嵌合部より前記支持壁から離間した部位に、前記リッドボックス外から前記リッドボックス内に向けて嵌合可能な一対の凹凸嵌合部が形成されていて、これら一対の凹凸嵌合部の対向する対向方向からずらした部位に前記操作レバー部の前記係合部と前記リテーナの前記係止部との係合部位が設定されていることを特徴とする車両用リッドロック装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の車両用リッドロック装置において、前記ロックピンは、電気モータと、この電気モータの回転出力を前記ロックピンの軸方向出力に変換する変換機構と、前記電気モータおよび前記変換機構を収容するハウジングとを備えたアクチュエータによって、進退可能に構成されており、前記ハウジングと前記キャップとは一体的に形成されていることを特徴とする車両用リッドロック装置。
【請求項4】
請求項3に記載の車両用リッドロック装置において、前記電気モータと前記変換機構は前記ロックピンの上方に配置されていて、前記電気モータは前記変換機構に比して前記支持壁に近接配置されていることを特徴とする車両用リッドロック装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2011−106198(P2011−106198A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−263919(P2009−263919)
【出願日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【出願人】(000100827)アイシン機工株式会社 (122)
【Fターム(参考)】