車両用乗員保護装置
【課題】エアバック装置などの保護手段の起動タイミングを従来よりも早め、保護手段の展開の遅れを防止することが可能な車両用乗員保護装置を提供する。
【解決手段】本発明に係る車両用乗員保護装置は、車両に設けられ、当該車両への衝突を検出する第1衝突検出手段と、第1衝突検出手段よりも車両の中央側に設けられ、車両への衝突を検出する第2衝突検出手段と、乗員を車両への衝突から保護する第1保護手段と、第1及び第2衝突検出手段において車両への衝突が検出された時点で第1保護手段を起動させる制御手段と、車両への衝突を予知する衝突予知手段とを備え、制御手段は、車両の中央からみて第1衝突検出手段が存在する方向からの車両への衝突を衝突予知手段が予知した場合は全て、第1衝突検出手段において当該車両への衝突が検出された時点で第1保護手段を起動させる。
【解決手段】本発明に係る車両用乗員保護装置は、車両に設けられ、当該車両への衝突を検出する第1衝突検出手段と、第1衝突検出手段よりも車両の中央側に設けられ、車両への衝突を検出する第2衝突検出手段と、乗員を車両への衝突から保護する第1保護手段と、第1及び第2衝突検出手段において車両への衝突が検出された時点で第1保護手段を起動させる制御手段と、車両への衝突を予知する衝突予知手段とを備え、制御手段は、車両の中央からみて第1衝突検出手段が存在する方向からの車両への衝突を衝突予知手段が予知した場合は全て、第1衝突検出手段において当該車両への衝突が検出された時点で第1保護手段を起動させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用乗員保護装置に関し、より特定的には、自動車のエアバックシステムなどの車両用乗員保護装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のエアバックシステムにおいて、エアバックの誤展開を防止するため、メインのGセンサと、セーフィングのためのGセンサとが共に車両への衝突を検出した時点でエアバックを展開させる技術が一般に知られている。このような技術に関し近年、セーフィングのためのGセンサに故障又は断線などの異常が発生した場合でもエアバックを展開させることが可能なエアバックシステムが提案されている(例えば、特許文献1など)。
【0003】
以下、図11及び図12を参照しながら、セーフィングのためのGセンサに故障又は断線などの異常が発生した場合でもエアバックを展開させることが可能な従来のエアバックシステムについて説明する。図11は、従来のエアバックシステムを搭載した車両を模式的に示した図である。図12は、従来のエアバックシステムの回路構成を示した図である。
【0004】
図11に示すように、従来のエアバックシステムは、車両1に搭載され、プリクラッシュセンサ(PCSセンサ)2、プリクラッシュECU(PCS_ECU)3、メインGセンサ(MGセンサ)4、エアバックECU(A/B_ECU)5、及びエアバック装置(A/B装置)6を備える。
【0005】
PCSセンサ2は、レーダーで構成され、車両1の前面部に設置される。PCS_ECU3は、車両1内に設置され、PCSセンサ2で得られた情報を元にターゲットとなる他の車両の進路を予測し、予測した他の車両の進路に基づいて自車への衝突の可能性を演算する。PCS_ECU3は、自車への衝突の可能性が高まり、かつ、その衝突が車両1の前面への衝突(前面衝突)である場合、車両1への前面衝突を予知する。PCS_ECU3は、前面衝突を予知したとき、前面衝突を予知したことを示す信号をA/B_ECU5へ出力する。MGセンサ4は、車両1の前面部に設置され、車両1の前後方向の加速度を常時検出している。MGセンサ4は、検出した加速度の大きさを示す信号をA/B_ECU5へ常時出力する。
【0006】
A/B_ECU5は、車両1の中央部に設置され、PCS_ECU3及びMGセンサ4からの出力信号を元に、乗員Aの前方に設置されたA/B装置6を起動させる。具体的には、A/B_ECU5は、図12に示すように、衝突判定部51、セーフィングGセンサ(SGセンサ)52、衝突判定部53、異常判定部54、ANDゲート55、ORゲート56、ANDゲート57、及びエアバック起動部(A/B起動部)58を備える。
【0007】
衝突判定部51には、MGセンサ4からの出力信号が常時入力される。衝突判定部51は、MGセンサ4の出力信号を常時監視し、前から後へ向かう方向の加速度が所定の閾値よりも大きくなったとき、前面衝突が発生したと判定する。衝突判定部51は、前面衝突が発生したと判定したとき、前面衝突が発生したことを示す信号をANDゲート57へ出力する。
【0008】
SGセンサ52は、A/B_ECU5内に設置され、車両1の前後方向の加速度を常時検出している。SGセンサ52は、検出した加速度の大きさを示す信号を衝突判定部53及び異常判定部54へ常時出力する。
【0009】
衝突判定部53には、SGセンサ52からの出力信号が常時入力される。衝突判定部53は、SGセンサ52の出力信号を常時監視し、前から後へ向かう方向の加速度が所定の閾値よりも大きくなったとき、前面衝突が発生したと判定する。衝突判定部53は、前面衝突が発生したと判定したとき、前面衝突が発生したことを示す信号をORゲート56へ出力する。
【0010】
異常判定部54には、SGセンサ52からの出力信号が常時入力される。異常判定部54は、SGセンサ52の出力信号を常時監視し、SGセンサ52に故障又は断線などの異常が発生したか否かを判定する。異常判定部54は、SGセンサ52に異常が発生したと判定したとき、異常が発生したことを示す信号をANDゲート55へ出力する。
【0011】
ANDゲート55には、異常判定部54からの出力信号の他に、PCS_ECU3からの出力信号が入力される。ANDゲート55は、異常判定部54からの出力信号、及びPCS_ECU3からの出力信号が共に入力されたとき、そのことを示す信号をORゲート56へ出力する。ORゲート56は、ANDゲート55からの出力信号、及び衝突判定部53からの出力信号のうちの少なくとも一方が入力されたとき、そのことを示す信号をANDゲート57へ出力する。ANDゲート57は、衝突判定部51からの出力信号、及びORゲート56からの出力信号が共に入力されたとき、そのことを示す信号をA/B起動部58へ出力する。
【0012】
A/B起動部58は、ANDゲート57からの出力信号が入力されたとき、A/B装置6を起動させる。A/B装置6は、起動後、エアバックを展開する。
【0013】
このように、図11及び図12に示した従来のエアバックシステムでは、SGセンサ52の異常を事前に判定し、SGセンサ52に異常が発生している場合には、MGセンサ4が衝突を検出した時点でA/B装置6を起動させている。これにより、SGセンサ52に異常が発生した場合でもエアバックを展開させることを可能にしている。
【特許文献1】特開2005−239059号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、図11及び図12に示した従来のエアバックシステムでは、SGセンサ52に異常が発生していない場合、MGセンサ4及びSGセンサ52の両方において車両1への衝突が検出されないと、エアバックは展開されない。このため、衝突してからエアバックを展開しなければならない展開要求時間に対し、エアバックの展開が遅れるケースがあった。
【0015】
以下、エアバックの展開が遅れる理由について、図13を参照して詳細に説明する。図13は、MGセンサ4、SGセンサ52、及びA/B起動部58の動作タイミングを模式的に示した図である。図13において、時刻t1にPCS_ECU3が前面衝突を予知し、時刻t2に前面衝突が実際に発生したとする。MGセンサ4は、車両1の前面部に設置されるため、実際の前面衝突とほぼ同じタイミングである時刻t2で前面衝突を検出する。一方、SGセンサ52は、車両1の中央部に設置される。このため、SGセンサ52が前面衝突を検出するタイミングは、前面衝突がMGセンサ4からSGセンサ52まで伝達する時間(Δt)だけ、MGセンサ4が前面衝突を検出するタイミングよりも遅延してしまう。よって、図13に示すように、SGセンサ52が前面衝突を検出するタイミングは、時刻t2からΔtだけ遅延した時刻t3となる。A/B起動部58は、SGセンサ52が前面衝突を検出したときに初めてA/B装置6を起動させるため、A/B装置6の起動タイミングは、SGセンサ52が前面衝突を検出するタイミングと同様、時刻t3となる。
【0016】
このように、A/B装置6の起動タイミングは、伝達時間Δtだけ遅れてしまう。これに伴い、エアバックの展開も伝達時間Δtだけ遅れてしまう。これが原因で、展開要求時間に対して、エアバックの展開が遅れるケースがあった。特に、MGセンサ4を車両1の側面部に設置して側面衝突時に側面部のエアバックを展開させる場合、衝突位置から乗員Aまでの距離が短いので、展開要求時間も短くなる。このため、側面衝突時に側面部のエアバックを展開させる場合、エアバックの展開が遅れるケースが特に多かった。
【0017】
それ故、本発明は、エアバック装置などの保護手段の起動タイミングを従来よりも早め、保護手段の展開の遅れを防止することが可能な車両用乗員保護装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、本発明に係る車両用乗員保護装置は、車両に設けられ、当該車両への衝突を検出する第1衝突検出手段と、第1衝突検出手段よりも車両の中央側に設けられ、車両への衝突を検出する第2衝突検出手段と、乗員を車両への衝突から保護する第1保護手段と、第1及び第2衝突検出手段において車両への衝突が検出された時点で第1保護手段を起動させる制御手段と、車両への衝突を予知する衝突予知手段とを備え、制御手段は、車両の中央からみて第1衝突検出手段が存在する方向からの車両への衝突を衝突予知手段が予知した場合は全て、第1衝突検出手段において当該車両への衝突が検出された時点で第1保護手段を起動させることを特徴とする。なお、上記第1衝突検出手段は、例えば後述する実施形態におけるMGセンサ4、右MGセンサ4a、及び左MGセンサ4bのいずれか1つに相当する。また、上記第2衝突検出手段は、例えば後述する実施形態におけるSGセンサ71、左右SGセンサ91、右SGセンサ91a、及び左SGセンサ91bのいずれか1つに相当する。
【0019】
以上の構成を有する本発明に係る車両用乗員保護装置によれば、車両の中央からみて第1衝突検出手段が存在する方向からの車両への衝突が衝突予知手段において予知された場合は全て、第1衝突検出手段において当該車両への衝突が検出された時点で第1保護手段が起動する。これにより、第1衝突検出手段が存在する方向からの車両への衝突に関し、第1保護手段の起動を従来よりも早めることができ、第1保護手段の展開の遅れを防止することができる。
【0020】
好ましくは、第1衝突検出手段は、車両の側面部に設けられるとよい。これにより、第1保護手段の起動要求時間(展開要求時間)が短い側面衝突時において、より高い効果を発揮することができる。
【0021】
この場合においてさらに、車両の左側面部に設けられ、当該車両への衝突を検出する第3衝突検出手段と、乗員を車両への衝突から保護する第2保護手段とをさらに備え、第1衝突検出手段は、車両の右側面部に設けられ、第2衝突検出手段は、第1及び第3衝突検出手段よりも車両の中央側に設けられ、第2保護手段は、制御手段によって、第2及び第3衝突検出手段において車両への衝突が検出された時点で起動させられ、制御手段は、車両の右側面方向からの車両への衝突を衝突予知手段が予知した場合は全て、第1衝突検出手段において当該車両への衝突が検出された時点で第1保護手段を起動させ、車両の左側面方向からの車両への衝突を衝突予知手段が予知した場合は全て、第3衝突検出手段において当該車両への衝突が検出された時点で第2保護手段を起動させるとよい。なお、上記第1衝突検出手段は、例えば後述する実施形態における右MGセンサ4aに相当する。また、上記第2衝突検出手段は、例えば後述する実施形態における左右SGセンサ91と、右SGセンサ91a及び左SGセンサ91bとのいずれか一方に相当する。また、上記第3衝突検出手段は、例えば後述する実施形態における左MGセンサ4bに相当する。このように、制御手段は、車両の左側面方向からの車両への衝突と、車両の右側面方向からの車両への衝突とに対し、個別に制御している。これにより、非衝突側の保護手段の誤動作を防止するすることができるとともに、左右の多重衝突が起きた際の保護手段の誤動作も防止することができる。
【0022】
また好ましくは、上記第1及び第2保護手段は、エアバック装置であるとよい。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、エアバック装置などの保護手段の起動タイミングを従来よりも早め、保護手段の展開の遅れを防止することが可能な車両用乗員保護装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
(第1の実施形態)
図1及び図2を参照しながら、本発明の第1の実施形態に係る車両用乗員保護装置の構成について説明する。図1は、第1の実施形態に係る車両用乗員保護装置を搭載した車両を模式的に示した図である。図2は、第1の実施形態に係る車両用乗員保護装置の回路構成を示した図である。なお、以下の説明では、一例として、保護手段をエアバック装置(A/B装置)とし、前面衝突時に、乗員Aの前方に設けられたエアバックを展開させる場合について説明する。
【0025】
図1に示すように、本実施形態に係る車両用乗員保護装置は、車両1に搭載され、PCSセンサ2、PCS_ECU3、MGセンサ4、A/B_ECU7、及びA/B装置6を備える。なお、A/B_ECU7以外の構成部は、図11に示した構成部と同様であり、同じ符号を付し、ここでは説明を省略する。
【0026】
A/B_ECU7は、車両1内の中央部又は車両1のトンネル付近に設置され、PCS_ECU3及びMGセンサ4からの出力信号を元に、車両1の乗員Aの前方に設置されたA/B装置6を起動させる。具体的には、A/B_ECU7は、図2に示すように、SGセンサ71及び制御部72を備える。制御部72は、衝突判定部721及び722、解除要求部723、ORゲート724、ANDゲート725、及びA/B起動部726を備える。
【0027】
衝突判定部721には、MGセンサ4からの出力信号が常時入力される。衝突判定部721は、MGセンサ4の出力信号を常時監視し、前から後へ向かう方向の加速度が所定の閾値よりも大きくなったとき、前面衝突が発生したと判定する。衝突判定部721は、前面衝突が発生したと判定したとき、前面衝突が発生したことを示す信号をANDゲート725へ出力する。
【0028】
SGセンサ71は、A/B_ECU7内に設置され、車両1の前後方向の加速度を常時検出している。SGセンサ71は、検出した加速度の大きさを示す信号を衝突判定部722へ常時出力する。
【0029】
衝突判定部722には、SGセンサ71からの出力信号が常時入力される。衝突判定部722は、SGセンサ71の出力信号を常時監視し、前から後へ向かう方向の加速度が所定の閾値よりも大きくなったとき、前面衝突が発生したと判定する。衝突判定部722は、前面衝突が発生したと判定したとき、前面衝突が発生したことを示す信号をORゲート724へ出力する。
【0030】
解除要求部723には、PCS_ECU3からの出力信号が入力される。解除要求部723は、PCS_ECU3からの出力信号が入力されたとき、SGセンサ71での前面衝突の検出を解除する要求を示す信号をORゲート724へ出力する。
【0031】
ORゲート724は、衝突判定部722からの出力信号、及び解除要求部723からの出力信号のうちの少なくとも一方が入力されたとき、そのことを示す信号をANDゲート725へ出力する。ANDゲート725は、衝突判定部721からの出力信号、及びORゲート724からの出力信号が共に入力されたとき、そのことを示す信号をA/B起動部726へ出力する。
【0032】
A/B起動部726は、ANDゲート725からの出力信号が入力されたとき、A/B装置6を起動させる。
【0033】
次に、以上のように構成された本実施形態に係る車両用乗員保護装置に関し、制御部72の処理の流れを図3を参照して説明する。図3は、制御部72の処理の流れを示したフローチャートである。
【0034】
図3において、処理が開始すると、ステップS10〜S12の処理がほぼ同時に行われる。ステップS10において、衝突判定部721は、MGセンサ4の出力信号を常時監視し、前面衝突が発生したと判定したとき(Yes)、前面衝突が発生したことを示す信号をANDゲート725へ出力する。なお、衝突判定部721が前面衝突が発生したと判定しない場合、ステップS10の処理が繰り返される。ステップS11において、衝突判定部722は、SGセンサ71の出力信号を常時監視し、前面衝突が発生したと判定したとき(Yes)、前面衝突が発生したことを示す信号をORゲート724へ出力する。なお、衝突判定部722が前面衝突が発生したと判定しない場合、ステップS11の処理が繰り返される。ステップS12において、解除要求部723は、PCS_ECU3からの出力信号が入力されたとき(Yes)、SGセンサ71での前面衝突の検出を解除する要求を示す信号をORゲート724へ出力する。なお、PCS_ECU3からの出力信号が入力されない場合、ステップS12の処理が繰り返される。
【0035】
ステップS13において、ORゲート724は、ステップS11の処理によって出力される衝突判定部722からの出力信号と、ステップS12の処理によって出力される解除要求部723からの出力信号とのORを演算する。つまり、ステップS13において、ORゲート724は、ステップS11及びS12の処理によって、衝突判定部722からの出力信号、及び解除要求部723からの出力信号のうちの少なくとも一方が入力されたとき、そのことを示す信号をANDゲート725へ出力する。ステップS14において、ANDゲート725は、ステップS10の処理によって出力される衝突判定部721からの出力信号と、ステップS13の処理によって出力されるORゲート724からの出力信号とのANDを演算する。つまり、ANDゲート725は、ステップS10及びS13の処理によって、衝突判定部721からの出力信号、及びORゲート724からの出力信号が共に入力されたとき、そのことを示す信号をA/B起動部726へ出力する。ステップS15において、A/B起動部726は、ステップS14の処理によってANDゲート725からの出力信号が入力されたとき、A/B装置6を起動させる。以上で、制御部72の処理の流れについての説明を終わる。
【0036】
次に、以上のような構成及び処理によって本実施形態に係る車両用乗員保護装置が奏する効果について、図4を参照して説明する。図4は、MGセンサ4、解除要求部723、及びA/B起動部726の動作タイミングを模式的に示した図である。図4において、時刻t1にPCS_ECU3が前面衝突を予知し、時刻t2に前面衝突が実際に発生したとする。MGセンサ4は、車両1の前面部に設置されるため、実際の前面衝突とほぼ同じタイミングである時刻t2で前面衝突を検出する。一方、SGセンサ71は、車両1の中央部に設置される。このため、SGセンサ71が前面衝突を検出するタイミングは、図13で説明したように、前面衝突がMGセンサ4からSGセンサ71まで伝達する時間(Δt)だけ、MGセンサ4が前面衝突を検出するタイミングよりも遅延してしまう。しかしながら、本実施形態では、PCS_ECU3において前面衝突が予知されたときは無条件に、解除要求部723が、SGセンサ71での前面衝突の検出を解除する要求を行っている。このため、A/B起動部726は、SGセンサ71での前面衝突の検出を待つことなく、MGセンサ4が前面衝突を検出したタイミング(時刻t2)で、A/B装置6を起動させることになる。それ故、本実施形態によれば、従来よりも、上記伝達時間Δtだけ、前面衝突してからエアバックの展開が完了するまでの時間を早めることができる。
【0037】
以上のように、本実施形態に係る車両用乗員保護装置によれば、前面衝突時において、前面部のA/B装置の起動タイミングを従来よりも早めることができ、エアバックの展開の遅れを防止することができる。
【0038】
また、本実施形態に係る車両用乗員保護装置によれば、PCS_ECU3において前面衝突が予知されたときのみ、解除要求部723が、SGセンサ71での前面衝突の検出を解除する要求を行っている。これにより、PCS_ECU3において前面衝突が予知されていないときにSGセンサ71での検出を解除することによって生じるA/B装置の誤動作を防止することができる。
【0039】
なお、本実施形態に係る車両用乗員保護装置は、図5に示すように、シートECU8をさらに備えていてもよい。図5は、シートECU8をさらに備えた第1の実施形態に係る車両用乗員保護装置を搭載した車両を模式的に示した図である。シートECU8は、PCS_ECU3において前面衝突が予知されたとき、乗員Aが着座するシート(図示なし)の背もたれを適切な位置まで起こす制御を行う。
【0040】
また、本実施形態では、保護手段としてエアバック装置が用いられる場合について説明したが、これに限定されない。本実施形態に係る車両用乗員保護装置は、衝突時に乗員を保護することが可能な他の装置を保護手段として用いてもよい。
【0041】
(第2の実施形態)
図6及び図7を参照しながら、本発明の第2の実施形態に係る車両用乗員保護装置の構成について説明する。図6は、第2の実施形態に係る車両用乗員保護装置を搭載した車両を模式的に示した図である。図7は、第2の実施形態に係る車両用乗員保護装置の回路構成を示した図である。なお、以下の説明では、一例として、保護手段をエアバック装置(A/B装置)とし、側面衝突時に、乗員A、Bの側方に設置されたエアバックを展開させる場合について説明する。
【0042】
図6に示すように、本実施形態に係る車両用乗員保護装置は、車両1に搭載され、右PCSセンサ2a、左PCSセンサ2b、PCS_ECU3、右MGセンサ4a、左MGセンサ4b、A/B_ECU9、右A/B装置6a、及び左A/B装置6bを備える。
【0043】
右PCSセンサ2aは、レーダーで構成され、車両1右側の前面部に設置される。左PCSセンサ2bは、レーダーで構成され、車両1左側の前面部に設置される。PCS_ECU3は、車両1内に設置され、右PCSセンサ2a及び左PCSセンサ2bで得られた情報を元にターゲットとなる他の車両の進路を予測し、予測した他の車両の進路に基づいて自車への衝突の可能性を演算する。PCS_ECU3は、自車への衝突の可能性が高まり、かつ、その衝突が車両1右側の側面への衝突(右側面衝突)である場合、車両1への右側面衝突を予知する。PCS_ECU3は、右側面衝突を予知したとき、右側面衝突を予知したことを示す信号をA/B_ECU9へ出力する。一方、PCS_ECU3は、自車への衝突の可能性が高まり、かつ、その衝突が車両1左側の側面への衝突(左側面衝突)である場合、車両1への左側面衝突を予知する。PCS_ECU3は、左側面衝突を予知したとき、左側面衝突を予知したことを示す信号をA/B_ECU9へ出力する。右MGセンサ4aは、車両1右側の側面部に設置され、車両1の左右方向の加速度を常時検出している。右MGセンサ4aは、検出した加速度の大きさを示す信号をA/B_ECU9へ常時出力する。左MGセンサ4bは、車両1左側の側面部に設置され、車両1の左右方向の加速度を常時検出している。左MGセンサ4bは、検出した加速度の大きさを示す信号をA/B_ECU9へ常時出力する。
【0044】
A/B_ECU9は、車両1内の中央部又は車両1のトンネル付近に設置され、PCS_ECU3、右MGセンサ4a、及び左MGセンサ4bからの出力信号を元に、車両1の乗員Aの右側方に設置された右A/B装置6a、又は、車両1の乗員Bの左側方に設置された左A/B装置6bを起動させる。具体的には、A/B_ECU9は、図7に示すように、左右SGセンサ91及び制御部92を備える。制御部92は、右衝突判定部921a、左衝突判定部921b、左右衝突判定部922、左右解除要求部923、ORゲート924a及び924b、ANDゲート925a及び925b、右A/B起動部926a、及び左A/B起動部926bを備える。
【0045】
右衝突判定部921aには、右MGセンサ4aからの出力信号が常時入力される。右衝突判定部921aは、右MGセンサ4aの出力信号を常時監視し、右から左へ向かう方向の加速度が所定の閾値よりも大きくなったとき、右側面衝突が発生したと判定する。右衝突判定部921aは、右側面衝突が発生したと判定したとき、右側面衝突が発生したことを示す信号をANDゲート925aへ出力する。
【0046】
左衝突判定部921bには、左MGセンサ4bからの出力信号が常時入力される。左衝突判定部921bは、左MGセンサ4bの出力信号を常時監視し、左から右へ向かう方向の加速度が所定の閾値よりも大きくなったとき、左側面衝突が発生したと判定する。左衝突判定部921bは、左側面衝突が発生したと判定したとき、左側面衝突が発生したことを示す信号をANDゲート925bへ出力する。
【0047】
左右SGセンサ91は、A/B_ECU9内に設置され、車両1の左右方向の加速度を常時検出している。左右SGセンサ91は、検出した加速度の大きさを示す信号を左右衝突判定部922へ常時出力する。なお、左右SGセンサ91において、右から左へ向かう方向の加速度が検出されたとき、左右SGセンサ91の出力信号の大きさは正になり、左から右へ向かう方向の加速度が検出されたとき、左右SGセンサ91の出力信号の大きさは負になるとする。
【0048】
左右衝突判定部922には、左右SGセンサ91からの出力信号が常時入力される。左右衝突判定部922は、左右SGセンサ91の出力信号を常時監視し、当該出力信号の大きさが正であるか負であるかを判定する。左右衝突判定部922は、出力信号の大きさが正である場合において、その大きさが所定の閾値よりも大きくなったとき、右側面衝突が発生したと判定する。左右衝突判定部922は、右側面衝突が発生したと判定したとき、右側面衝突が発生したことを示す信号をORゲート924aへ出力する。一方、左右衝突判定部922は、出力信号の大きさが負である場合において、その大きさが所定の閾値よりも小さくなったとき、左側面衝突が発生したと判定する。左右衝突判定部922は、左側面衝突が発生したと判定したとき、左側面衝突が発生したことを示す信号をORゲート924bへ出力する。
【0049】
左右解除要求部923には、PCS_ECU3からの出力信号が入力される。PCS_ECU3から右側面衝突を予知したことを示す信号が入力されたとき、左右解除要求部923は、左右SGセンサ91での右側面衝突の検出を解除する要求を示す信号をORゲート924aへ出力する。一方、PCS_ECU3から左側面衝突を予知したことを示す信号が入力されたとき、左右解除要求部923は、左右SGセンサ91での左側面衝突の検出を解除する要求を示す信号をORゲート924bへ出力する。
【0050】
ORゲート924aは、左右衝突判定部922からの出力信号、及び左右解除要求部923からの出力信号のうちの少なくとも一方が入力されたとき、そのことを示す信号をANDゲート925aへ出力する。ANDゲート925aは、右衝突判定部921aからの出力信号、及びORゲート924aからの出力信号が共に入力されたとき、そのことを示す信号を右A/B起動部926aへ出力する。右A/B起動部926aは、ANDゲート925aからの出力信号が入力されたとき、右A/B装置6aを起動させる。
【0051】
ORゲート924bは、左右衝突判定部922からの出力信号、及び左右解除要求部923からの出力信号のうちの少なくとも一方が入力されたとき、そのことを示す信号をANDゲート925bへ出力する。ANDゲート925bは、左衝突判定部921bからの出力信号、及びORゲート924bからの出力信号が共に入力されたとき、そのことを示す信号を左A/B起動部926bへ出力する。左A/B起動部926bは、ANDゲート925bからの出力信号が入力されたとき、左A/B装置6bを起動させる。
【0052】
次に、以上のように構成された本実施形態に係る車両用乗員保護装置に関し、制御部92の処理の流れを図8を参照して説明する。図8は、制御部92の処理の流れを示したフローチャートである。
【0053】
図8において、処理が開始すると、ステップS20〜S25の処理がほぼ同時に行われる。ステップS20において、右衝突判定部921aは、右MGセンサ4aの出力信号を常時監視し、右側面衝突が発生したと判定したとき(Yes)、右側面衝突が発生したことを示す信号をANDゲート925aへ出力する。なお、右衝突判定部921aが右側面衝突が発生したと判定しない場合、ステップS20の処理が繰り返される。ステップS21において、左右衝突判定部922は、左右SGセンサ91の出力信号を常時監視し、右側面衝突が発生したと判定したとき(Yes)、右側面衝突が発生したことを示す信号をORゲート924aへ出力する。なお、左右衝突判定部922が右側面衝突が発生したと判定しない場合、ステップS21の処理が繰り返される。ステップS22において、左右解除要求部923は、PCS_ECU3から右側面衝突を予知したことを示す信号が入力されたとき(Yes)、左右SGセンサ91での右側面衝突の検出を解除する要求を示す信号をORゲート924aへ出力する。なお、PCS_ECU3から右側面衝突を予知したことを示す信号が入力されない場合、ステップS22の処理が繰り返される。
【0054】
ステップS26において、ORゲート924aは、ステップS21の処理によって出力される左右衝突判定部922からの出力信号と、ステップS22の処理によって出力される左右解除要求部923からの出力信号とのORを演算する。つまり、ステップS26において、ORゲート924aは、ステップS21及びS22の処理によって、左右衝突判定部922からの出力信号、及び左右解除要求部923からの出力信号のうちの少なくとも一方が入力されたとき、そのことを示す信号をANDゲート925aへ出力する。ステップS27において、ANDゲート925aは、ステップS20の処理によって出力される右衝突判定部921aからの出力信号と、ステップS26の処理によって出力されるORゲート924aからの出力信号とのANDを演算する。つまり、ANDゲート925aは、ステップS20及びS26の処理によって、右衝突判定部921aからの出力信号、及びORゲート924aからの出力信号が共に入力されたとき、そのことを示す信号を右A/B起動部926aへ出力する。ステップS28において、右A/B起動部926aは、ステップS27の処理によってANDゲート925aからの出力信号が入力されたとき、右A/B装置6aを起動させる。
【0055】
また、ステップS23において、左衝突判定部921bは、左MGセンサ4bの出力信号を常時監視し、左側面衝突が発生したと判定したとき(Yes)、左側面衝突が発生したことを示す信号をANDゲート925bへ出力する。なお、左衝突判定部921bが左側面衝突が発生したと判定しない場合、ステップS23の処理が繰り返される。ステップS24において、左右衝突判定部922は、左右SGセンサ91の出力信号を常時監視し、左側面衝突が発生したと判定したとき(Yes)、左側面衝突が発生したことを示す信号をORゲート924bへ出力する。なお、左右衝突判定部922が左側面衝突が発生したと判定しない場合、ステップS24の処理が繰り返される。ステップS25において、左右解除要求部923は、PCS_ECU3から左側面衝突を予知したことを示す信号が入力されたとき(Yes)、左右SGセンサ91での左側面衝突の検出を解除する要求を示す信号をORゲート924bへ出力する。なお、PCS_ECU3から左側面衝突を予知したことを示す信号が入力されない場合、ステップS25の処理が繰り返される。
【0056】
ステップS29において、ORゲート924bは、ステップS24の処理によって出力される左右衝突判定部922からの出力信号と、ステップS25の処理によって出力される左右解除要求部923からの出力信号とのORを演算する。つまり、ステップS29において、ORゲート924bは、ステップS24及びS25の処理によって、左右衝突判定部922からの出力信号、及び左右解除要求部923からの出力信号のうちの少なくとも一方が入力されたとき、そのことを示す信号をANDゲート925bへ出力する。ステップS30において、ANDゲート925bは、ステップS23の処理によって出力される左衝突判定部921bからの出力信号と、ステップS29の処理によって出力されるORゲート924bからの出力信号とのANDを演算する。つまり、ANDゲート925bは、ステップS23及びS29の処理によって、左衝突判定部921bからの出力信号、及びORゲート924bからの出力信号が共に入力されたとき、そのことを示す信号を左A/B起動部926bへ出力する。ステップS31において、左A/B起動部926bは、ステップS30の処理によってANDゲート925bからの出力信号が入力されたとき、左A/B装置6bを起動させる。以上で、制御部92の処理の流れについての説明を終わる。
【0057】
次に、以上のような構成及び処理によって本実施形態に係る車両用乗員保護装置が奏する効果について、図9を参照して説明する。図9は、右MGセンサ4a、左右解除要求部923、右A/B起動部926a、左MGセンサ4b、及び左A/B起動部926bの動作タイミングを模式的に示した図である。図9において、時刻t1にPCS_ECU3が右側面衝突を予知し、時刻t2に右側面衝突が実際に発生し、時刻t3にPCS_ECU3が左側面衝突を予知し、時刻t4に左側面衝突が実際に発生したとする。
【0058】
右MGセンサ4aは、車両1右側の側面部に設置されるため、実際の右側面衝突とほぼ同じタイミングである時刻t2で右側面衝突を検出する。一方、左右SGセンサ91は、車両1の中央部に設置される。このため、左右SGセンサ91が右側面衝突を検出するタイミングは、右側面衝突が右MGセンサ4aから左右SGセンサ91まで伝達する時間(Δt’)だけ、右MGセンサ4aが右側面衝突を検出するタイミングよりも遅延してしまう。しかしながら、本実施形態では、PCS_ECU3において右側面衝突が予知されたときは無条件に、左右解除要求部923が、左右SGセンサ91での右側面衝突の検出を解除する要求を行っている。このため、右A/B起動部926aは、左右SGセンサ91での右側面衝突の検出を待つことなく、右MGセンサ4aが右側面衝突を検出したタイミング(時刻t2)で、右A/B装置6aを起動させることになる。また、本実施形態では、PCS_ECU3において左側面衝突が予知されたときは無条件に、左右解除要求部923が、左右SGセンサ91での左側面衝突の検出を解除する要求を行っている。このため、左A/B起動部926bは、左右SGセンサ91での左側面衝突の検出を待つことなく、左MGセンサ4bが左側面衝突を検出したタイミング(時刻t4)で、左A/B装置6bを起動させることになる。それ故、本実施形態によれば、従来よりも、上記伝達時間Δt’だけ、右側面衝突、又は左側面衝突してからエアバックの展開が完了するまでの時間を早めることができる。
【0059】
以上のように、本実施形態に係る車両用乗員保護装置によれば、A/B装置の展開要求時間が短い側面衝突時において、側面部のA/B装置の起動タイミングを従来よりも早めることができ、エアバック展開の遅れを防止することに対し、より高い効果を発揮することができる。
【0060】
また、本実施形態に係る車両用乗員保護装置によれば、PCS_ECU3において例えば右側面衝突が予知されたときのみ、左右解除要求部923が左右SGセンサ91での右側面衝突の検出を解除する要求を行っている。これにより、PCS_ECU3において右側面衝突が予知されていないときに左右SGセンサ91での右側面衝突の検出を解除することによって生じる右側のA/B装置の誤動作を防止することができる。
【0061】
さらに、本実施形態に係る車両用乗員保護装置によれば、左右解除要求部923は、左右SGセンサ91での側面衝突の検出を解除する要求を、左右個別に行っている。これにより、PCS_ECU3において例えば右側面衝突が予知されたときに左右SGセンサ91での左側面衝突の検出を解除することによって生じる左側(非衝突側)のA/B装置の誤動作を防止することができる。また、左右の多重衝突が起きた際のA/B装置の誤動作も防止することができる。
【0062】
なお、本実施形態に係る車両用乗員保護装置は、左右SGセンサ91を1つ用いて、左右の側面衝突を別々に検出する構成を有していたが、これに限定されない。車両用乗員保護装置は、図10に示すように、左右SGセンサ91の代わりに、右側面衝突のみを検出する右SGセンサ91aと、左側面衝突のみを検出する左SGセンサ91bとを備えていてもよい。この場合、車両用乗員保護装置は、左右衝突判定部922の代わりに、右SGセンサ91aからの出力信号を常時監視して右側面衝突が発生したことを判定する右衝突判定部922aと、左SGセンサ91bからの出力信号を常時監視して左側面衝突が発生したことを判定する左衝突判定部922bとを備えることになる。またこの場合、左右解除要求部923は、PCS_ECU3からの出力信号に基づき、右SGセンサ91a及び左SGセンサ91bのいずれか一方の検出を解除する要求を行うことになる。
【0063】
また、本実施形態に係る車両用乗員保護装置は、図5に示したように、シートECU8をさらに備えていてもよい。この場合、シートECU8は、PCS_ECU3において例えば右側面衝突が予知されたとき、乗員Aが着座するシート(図示なし)の背もたれを適切な位置まで起こし、乗員Bが着座するシート(図示なし)については、背もたれを起こさないように制御を行う。
【0064】
また、本実施形態では、例えば右側面衝突時、右A/B装置6aを起動させるようにしていたが、保護手段の種類によっては、非衝突側のA/B装置である左A/B装置6bを起動させるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明に係る車両用乗員保護装置は、エアバック装置などの、衝突時に乗員を保護するための各種保護手段に利用される。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】第1の実施形態に係る車両用乗員保護装置を搭載した車両を模式的に示した図
【図2】第1の実施形態に係る車両用乗員保護装置の回路構成を示した図
【図3】制御部72の処理の流れを示したフローチャート
【図4】MGセンサ4等の動作タイミングを模式的に示した図
【図5】シートECU8をさらに備えた第1の実施形態に係る車両用乗員保護装置を搭載した車両を模式的に示した図
【図6】第2の実施形態に係る車両用乗員保護装置を搭載した車両を模式的に示した図
【図7】第2の実施形態に係る車両用乗員保護装置の回路構成を示した図
【図8】制御部92の処理の流れを示したフローチャート
【図9】右MGセンサ4a等の動作タイミングを模式的に示した図
【図10】右SGセンサ91a及び左SGセンサ91bを備える場合の車両用乗員保護装置の回路構成を示した図
【図11】従来のエアバックシステムを搭載した車両を模式的に示した図
【図12】従来のエアバックシステムの回路構成を示した図
【図13】MGセンサ4等の動作タイミングを模式的に示した図
【符号の説明】
【0067】
1 車両
2 PCSセンサ
2a 右PCSセンサ
2b 左PCSセンサ
3 PCS_ECU
4 MGセンサ
4a 右MGセンサ
4b 左MGセンサ
5、7、9 A/B_ECU
6 A/B装置
6a 右A/B装置
6b 左A/B装置
8 シートECU
51 衝突判定部
52、71 SGセンサ
53、721、722 衝突判定部
54 異常判定部
55、57、725、925a、925b ANDゲート
56、724、924a、924b ORゲート
58、726 A/B起動部
72、92 制御部
723 解除要求部
91 左右SGセンサ
921a 右衝突判定部
921b 左衝突判定部
922 左右衝突判定部
923 左右解除要求部
926a 右A/B起動部
926b 左A/B起動部
91a 右SGセンサ
91b 左SGセンサ
922a 右衝突判定部
922b 左衝突判定部
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用乗員保護装置に関し、より特定的には、自動車のエアバックシステムなどの車両用乗員保護装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のエアバックシステムにおいて、エアバックの誤展開を防止するため、メインのGセンサと、セーフィングのためのGセンサとが共に車両への衝突を検出した時点でエアバックを展開させる技術が一般に知られている。このような技術に関し近年、セーフィングのためのGセンサに故障又は断線などの異常が発生した場合でもエアバックを展開させることが可能なエアバックシステムが提案されている(例えば、特許文献1など)。
【0003】
以下、図11及び図12を参照しながら、セーフィングのためのGセンサに故障又は断線などの異常が発生した場合でもエアバックを展開させることが可能な従来のエアバックシステムについて説明する。図11は、従来のエアバックシステムを搭載した車両を模式的に示した図である。図12は、従来のエアバックシステムの回路構成を示した図である。
【0004】
図11に示すように、従来のエアバックシステムは、車両1に搭載され、プリクラッシュセンサ(PCSセンサ)2、プリクラッシュECU(PCS_ECU)3、メインGセンサ(MGセンサ)4、エアバックECU(A/B_ECU)5、及びエアバック装置(A/B装置)6を備える。
【0005】
PCSセンサ2は、レーダーで構成され、車両1の前面部に設置される。PCS_ECU3は、車両1内に設置され、PCSセンサ2で得られた情報を元にターゲットとなる他の車両の進路を予測し、予測した他の車両の進路に基づいて自車への衝突の可能性を演算する。PCS_ECU3は、自車への衝突の可能性が高まり、かつ、その衝突が車両1の前面への衝突(前面衝突)である場合、車両1への前面衝突を予知する。PCS_ECU3は、前面衝突を予知したとき、前面衝突を予知したことを示す信号をA/B_ECU5へ出力する。MGセンサ4は、車両1の前面部に設置され、車両1の前後方向の加速度を常時検出している。MGセンサ4は、検出した加速度の大きさを示す信号をA/B_ECU5へ常時出力する。
【0006】
A/B_ECU5は、車両1の中央部に設置され、PCS_ECU3及びMGセンサ4からの出力信号を元に、乗員Aの前方に設置されたA/B装置6を起動させる。具体的には、A/B_ECU5は、図12に示すように、衝突判定部51、セーフィングGセンサ(SGセンサ)52、衝突判定部53、異常判定部54、ANDゲート55、ORゲート56、ANDゲート57、及びエアバック起動部(A/B起動部)58を備える。
【0007】
衝突判定部51には、MGセンサ4からの出力信号が常時入力される。衝突判定部51は、MGセンサ4の出力信号を常時監視し、前から後へ向かう方向の加速度が所定の閾値よりも大きくなったとき、前面衝突が発生したと判定する。衝突判定部51は、前面衝突が発生したと判定したとき、前面衝突が発生したことを示す信号をANDゲート57へ出力する。
【0008】
SGセンサ52は、A/B_ECU5内に設置され、車両1の前後方向の加速度を常時検出している。SGセンサ52は、検出した加速度の大きさを示す信号を衝突判定部53及び異常判定部54へ常時出力する。
【0009】
衝突判定部53には、SGセンサ52からの出力信号が常時入力される。衝突判定部53は、SGセンサ52の出力信号を常時監視し、前から後へ向かう方向の加速度が所定の閾値よりも大きくなったとき、前面衝突が発生したと判定する。衝突判定部53は、前面衝突が発生したと判定したとき、前面衝突が発生したことを示す信号をORゲート56へ出力する。
【0010】
異常判定部54には、SGセンサ52からの出力信号が常時入力される。異常判定部54は、SGセンサ52の出力信号を常時監視し、SGセンサ52に故障又は断線などの異常が発生したか否かを判定する。異常判定部54は、SGセンサ52に異常が発生したと判定したとき、異常が発生したことを示す信号をANDゲート55へ出力する。
【0011】
ANDゲート55には、異常判定部54からの出力信号の他に、PCS_ECU3からの出力信号が入力される。ANDゲート55は、異常判定部54からの出力信号、及びPCS_ECU3からの出力信号が共に入力されたとき、そのことを示す信号をORゲート56へ出力する。ORゲート56は、ANDゲート55からの出力信号、及び衝突判定部53からの出力信号のうちの少なくとも一方が入力されたとき、そのことを示す信号をANDゲート57へ出力する。ANDゲート57は、衝突判定部51からの出力信号、及びORゲート56からの出力信号が共に入力されたとき、そのことを示す信号をA/B起動部58へ出力する。
【0012】
A/B起動部58は、ANDゲート57からの出力信号が入力されたとき、A/B装置6を起動させる。A/B装置6は、起動後、エアバックを展開する。
【0013】
このように、図11及び図12に示した従来のエアバックシステムでは、SGセンサ52の異常を事前に判定し、SGセンサ52に異常が発生している場合には、MGセンサ4が衝突を検出した時点でA/B装置6を起動させている。これにより、SGセンサ52に異常が発生した場合でもエアバックを展開させることを可能にしている。
【特許文献1】特開2005−239059号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、図11及び図12に示した従来のエアバックシステムでは、SGセンサ52に異常が発生していない場合、MGセンサ4及びSGセンサ52の両方において車両1への衝突が検出されないと、エアバックは展開されない。このため、衝突してからエアバックを展開しなければならない展開要求時間に対し、エアバックの展開が遅れるケースがあった。
【0015】
以下、エアバックの展開が遅れる理由について、図13を参照して詳細に説明する。図13は、MGセンサ4、SGセンサ52、及びA/B起動部58の動作タイミングを模式的に示した図である。図13において、時刻t1にPCS_ECU3が前面衝突を予知し、時刻t2に前面衝突が実際に発生したとする。MGセンサ4は、車両1の前面部に設置されるため、実際の前面衝突とほぼ同じタイミングである時刻t2で前面衝突を検出する。一方、SGセンサ52は、車両1の中央部に設置される。このため、SGセンサ52が前面衝突を検出するタイミングは、前面衝突がMGセンサ4からSGセンサ52まで伝達する時間(Δt)だけ、MGセンサ4が前面衝突を検出するタイミングよりも遅延してしまう。よって、図13に示すように、SGセンサ52が前面衝突を検出するタイミングは、時刻t2からΔtだけ遅延した時刻t3となる。A/B起動部58は、SGセンサ52が前面衝突を検出したときに初めてA/B装置6を起動させるため、A/B装置6の起動タイミングは、SGセンサ52が前面衝突を検出するタイミングと同様、時刻t3となる。
【0016】
このように、A/B装置6の起動タイミングは、伝達時間Δtだけ遅れてしまう。これに伴い、エアバックの展開も伝達時間Δtだけ遅れてしまう。これが原因で、展開要求時間に対して、エアバックの展開が遅れるケースがあった。特に、MGセンサ4を車両1の側面部に設置して側面衝突時に側面部のエアバックを展開させる場合、衝突位置から乗員Aまでの距離が短いので、展開要求時間も短くなる。このため、側面衝突時に側面部のエアバックを展開させる場合、エアバックの展開が遅れるケースが特に多かった。
【0017】
それ故、本発明は、エアバック装置などの保護手段の起動タイミングを従来よりも早め、保護手段の展開の遅れを防止することが可能な車両用乗員保護装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、本発明に係る車両用乗員保護装置は、車両に設けられ、当該車両への衝突を検出する第1衝突検出手段と、第1衝突検出手段よりも車両の中央側に設けられ、車両への衝突を検出する第2衝突検出手段と、乗員を車両への衝突から保護する第1保護手段と、第1及び第2衝突検出手段において車両への衝突が検出された時点で第1保護手段を起動させる制御手段と、車両への衝突を予知する衝突予知手段とを備え、制御手段は、車両の中央からみて第1衝突検出手段が存在する方向からの車両への衝突を衝突予知手段が予知した場合は全て、第1衝突検出手段において当該車両への衝突が検出された時点で第1保護手段を起動させることを特徴とする。なお、上記第1衝突検出手段は、例えば後述する実施形態におけるMGセンサ4、右MGセンサ4a、及び左MGセンサ4bのいずれか1つに相当する。また、上記第2衝突検出手段は、例えば後述する実施形態におけるSGセンサ71、左右SGセンサ91、右SGセンサ91a、及び左SGセンサ91bのいずれか1つに相当する。
【0019】
以上の構成を有する本発明に係る車両用乗員保護装置によれば、車両の中央からみて第1衝突検出手段が存在する方向からの車両への衝突が衝突予知手段において予知された場合は全て、第1衝突検出手段において当該車両への衝突が検出された時点で第1保護手段が起動する。これにより、第1衝突検出手段が存在する方向からの車両への衝突に関し、第1保護手段の起動を従来よりも早めることができ、第1保護手段の展開の遅れを防止することができる。
【0020】
好ましくは、第1衝突検出手段は、車両の側面部に設けられるとよい。これにより、第1保護手段の起動要求時間(展開要求時間)が短い側面衝突時において、より高い効果を発揮することができる。
【0021】
この場合においてさらに、車両の左側面部に設けられ、当該車両への衝突を検出する第3衝突検出手段と、乗員を車両への衝突から保護する第2保護手段とをさらに備え、第1衝突検出手段は、車両の右側面部に設けられ、第2衝突検出手段は、第1及び第3衝突検出手段よりも車両の中央側に設けられ、第2保護手段は、制御手段によって、第2及び第3衝突検出手段において車両への衝突が検出された時点で起動させられ、制御手段は、車両の右側面方向からの車両への衝突を衝突予知手段が予知した場合は全て、第1衝突検出手段において当該車両への衝突が検出された時点で第1保護手段を起動させ、車両の左側面方向からの車両への衝突を衝突予知手段が予知した場合は全て、第3衝突検出手段において当該車両への衝突が検出された時点で第2保護手段を起動させるとよい。なお、上記第1衝突検出手段は、例えば後述する実施形態における右MGセンサ4aに相当する。また、上記第2衝突検出手段は、例えば後述する実施形態における左右SGセンサ91と、右SGセンサ91a及び左SGセンサ91bとのいずれか一方に相当する。また、上記第3衝突検出手段は、例えば後述する実施形態における左MGセンサ4bに相当する。このように、制御手段は、車両の左側面方向からの車両への衝突と、車両の右側面方向からの車両への衝突とに対し、個別に制御している。これにより、非衝突側の保護手段の誤動作を防止するすることができるとともに、左右の多重衝突が起きた際の保護手段の誤動作も防止することができる。
【0022】
また好ましくは、上記第1及び第2保護手段は、エアバック装置であるとよい。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、エアバック装置などの保護手段の起動タイミングを従来よりも早め、保護手段の展開の遅れを防止することが可能な車両用乗員保護装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
(第1の実施形態)
図1及び図2を参照しながら、本発明の第1の実施形態に係る車両用乗員保護装置の構成について説明する。図1は、第1の実施形態に係る車両用乗員保護装置を搭載した車両を模式的に示した図である。図2は、第1の実施形態に係る車両用乗員保護装置の回路構成を示した図である。なお、以下の説明では、一例として、保護手段をエアバック装置(A/B装置)とし、前面衝突時に、乗員Aの前方に設けられたエアバックを展開させる場合について説明する。
【0025】
図1に示すように、本実施形態に係る車両用乗員保護装置は、車両1に搭載され、PCSセンサ2、PCS_ECU3、MGセンサ4、A/B_ECU7、及びA/B装置6を備える。なお、A/B_ECU7以外の構成部は、図11に示した構成部と同様であり、同じ符号を付し、ここでは説明を省略する。
【0026】
A/B_ECU7は、車両1内の中央部又は車両1のトンネル付近に設置され、PCS_ECU3及びMGセンサ4からの出力信号を元に、車両1の乗員Aの前方に設置されたA/B装置6を起動させる。具体的には、A/B_ECU7は、図2に示すように、SGセンサ71及び制御部72を備える。制御部72は、衝突判定部721及び722、解除要求部723、ORゲート724、ANDゲート725、及びA/B起動部726を備える。
【0027】
衝突判定部721には、MGセンサ4からの出力信号が常時入力される。衝突判定部721は、MGセンサ4の出力信号を常時監視し、前から後へ向かう方向の加速度が所定の閾値よりも大きくなったとき、前面衝突が発生したと判定する。衝突判定部721は、前面衝突が発生したと判定したとき、前面衝突が発生したことを示す信号をANDゲート725へ出力する。
【0028】
SGセンサ71は、A/B_ECU7内に設置され、車両1の前後方向の加速度を常時検出している。SGセンサ71は、検出した加速度の大きさを示す信号を衝突判定部722へ常時出力する。
【0029】
衝突判定部722には、SGセンサ71からの出力信号が常時入力される。衝突判定部722は、SGセンサ71の出力信号を常時監視し、前から後へ向かう方向の加速度が所定の閾値よりも大きくなったとき、前面衝突が発生したと判定する。衝突判定部722は、前面衝突が発生したと判定したとき、前面衝突が発生したことを示す信号をORゲート724へ出力する。
【0030】
解除要求部723には、PCS_ECU3からの出力信号が入力される。解除要求部723は、PCS_ECU3からの出力信号が入力されたとき、SGセンサ71での前面衝突の検出を解除する要求を示す信号をORゲート724へ出力する。
【0031】
ORゲート724は、衝突判定部722からの出力信号、及び解除要求部723からの出力信号のうちの少なくとも一方が入力されたとき、そのことを示す信号をANDゲート725へ出力する。ANDゲート725は、衝突判定部721からの出力信号、及びORゲート724からの出力信号が共に入力されたとき、そのことを示す信号をA/B起動部726へ出力する。
【0032】
A/B起動部726は、ANDゲート725からの出力信号が入力されたとき、A/B装置6を起動させる。
【0033】
次に、以上のように構成された本実施形態に係る車両用乗員保護装置に関し、制御部72の処理の流れを図3を参照して説明する。図3は、制御部72の処理の流れを示したフローチャートである。
【0034】
図3において、処理が開始すると、ステップS10〜S12の処理がほぼ同時に行われる。ステップS10において、衝突判定部721は、MGセンサ4の出力信号を常時監視し、前面衝突が発生したと判定したとき(Yes)、前面衝突が発生したことを示す信号をANDゲート725へ出力する。なお、衝突判定部721が前面衝突が発生したと判定しない場合、ステップS10の処理が繰り返される。ステップS11において、衝突判定部722は、SGセンサ71の出力信号を常時監視し、前面衝突が発生したと判定したとき(Yes)、前面衝突が発生したことを示す信号をORゲート724へ出力する。なお、衝突判定部722が前面衝突が発生したと判定しない場合、ステップS11の処理が繰り返される。ステップS12において、解除要求部723は、PCS_ECU3からの出力信号が入力されたとき(Yes)、SGセンサ71での前面衝突の検出を解除する要求を示す信号をORゲート724へ出力する。なお、PCS_ECU3からの出力信号が入力されない場合、ステップS12の処理が繰り返される。
【0035】
ステップS13において、ORゲート724は、ステップS11の処理によって出力される衝突判定部722からの出力信号と、ステップS12の処理によって出力される解除要求部723からの出力信号とのORを演算する。つまり、ステップS13において、ORゲート724は、ステップS11及びS12の処理によって、衝突判定部722からの出力信号、及び解除要求部723からの出力信号のうちの少なくとも一方が入力されたとき、そのことを示す信号をANDゲート725へ出力する。ステップS14において、ANDゲート725は、ステップS10の処理によって出力される衝突判定部721からの出力信号と、ステップS13の処理によって出力されるORゲート724からの出力信号とのANDを演算する。つまり、ANDゲート725は、ステップS10及びS13の処理によって、衝突判定部721からの出力信号、及びORゲート724からの出力信号が共に入力されたとき、そのことを示す信号をA/B起動部726へ出力する。ステップS15において、A/B起動部726は、ステップS14の処理によってANDゲート725からの出力信号が入力されたとき、A/B装置6を起動させる。以上で、制御部72の処理の流れについての説明を終わる。
【0036】
次に、以上のような構成及び処理によって本実施形態に係る車両用乗員保護装置が奏する効果について、図4を参照して説明する。図4は、MGセンサ4、解除要求部723、及びA/B起動部726の動作タイミングを模式的に示した図である。図4において、時刻t1にPCS_ECU3が前面衝突を予知し、時刻t2に前面衝突が実際に発生したとする。MGセンサ4は、車両1の前面部に設置されるため、実際の前面衝突とほぼ同じタイミングである時刻t2で前面衝突を検出する。一方、SGセンサ71は、車両1の中央部に設置される。このため、SGセンサ71が前面衝突を検出するタイミングは、図13で説明したように、前面衝突がMGセンサ4からSGセンサ71まで伝達する時間(Δt)だけ、MGセンサ4が前面衝突を検出するタイミングよりも遅延してしまう。しかしながら、本実施形態では、PCS_ECU3において前面衝突が予知されたときは無条件に、解除要求部723が、SGセンサ71での前面衝突の検出を解除する要求を行っている。このため、A/B起動部726は、SGセンサ71での前面衝突の検出を待つことなく、MGセンサ4が前面衝突を検出したタイミング(時刻t2)で、A/B装置6を起動させることになる。それ故、本実施形態によれば、従来よりも、上記伝達時間Δtだけ、前面衝突してからエアバックの展開が完了するまでの時間を早めることができる。
【0037】
以上のように、本実施形態に係る車両用乗員保護装置によれば、前面衝突時において、前面部のA/B装置の起動タイミングを従来よりも早めることができ、エアバックの展開の遅れを防止することができる。
【0038】
また、本実施形態に係る車両用乗員保護装置によれば、PCS_ECU3において前面衝突が予知されたときのみ、解除要求部723が、SGセンサ71での前面衝突の検出を解除する要求を行っている。これにより、PCS_ECU3において前面衝突が予知されていないときにSGセンサ71での検出を解除することによって生じるA/B装置の誤動作を防止することができる。
【0039】
なお、本実施形態に係る車両用乗員保護装置は、図5に示すように、シートECU8をさらに備えていてもよい。図5は、シートECU8をさらに備えた第1の実施形態に係る車両用乗員保護装置を搭載した車両を模式的に示した図である。シートECU8は、PCS_ECU3において前面衝突が予知されたとき、乗員Aが着座するシート(図示なし)の背もたれを適切な位置まで起こす制御を行う。
【0040】
また、本実施形態では、保護手段としてエアバック装置が用いられる場合について説明したが、これに限定されない。本実施形態に係る車両用乗員保護装置は、衝突時に乗員を保護することが可能な他の装置を保護手段として用いてもよい。
【0041】
(第2の実施形態)
図6及び図7を参照しながら、本発明の第2の実施形態に係る車両用乗員保護装置の構成について説明する。図6は、第2の実施形態に係る車両用乗員保護装置を搭載した車両を模式的に示した図である。図7は、第2の実施形態に係る車両用乗員保護装置の回路構成を示した図である。なお、以下の説明では、一例として、保護手段をエアバック装置(A/B装置)とし、側面衝突時に、乗員A、Bの側方に設置されたエアバックを展開させる場合について説明する。
【0042】
図6に示すように、本実施形態に係る車両用乗員保護装置は、車両1に搭載され、右PCSセンサ2a、左PCSセンサ2b、PCS_ECU3、右MGセンサ4a、左MGセンサ4b、A/B_ECU9、右A/B装置6a、及び左A/B装置6bを備える。
【0043】
右PCSセンサ2aは、レーダーで構成され、車両1右側の前面部に設置される。左PCSセンサ2bは、レーダーで構成され、車両1左側の前面部に設置される。PCS_ECU3は、車両1内に設置され、右PCSセンサ2a及び左PCSセンサ2bで得られた情報を元にターゲットとなる他の車両の進路を予測し、予測した他の車両の進路に基づいて自車への衝突の可能性を演算する。PCS_ECU3は、自車への衝突の可能性が高まり、かつ、その衝突が車両1右側の側面への衝突(右側面衝突)である場合、車両1への右側面衝突を予知する。PCS_ECU3は、右側面衝突を予知したとき、右側面衝突を予知したことを示す信号をA/B_ECU9へ出力する。一方、PCS_ECU3は、自車への衝突の可能性が高まり、かつ、その衝突が車両1左側の側面への衝突(左側面衝突)である場合、車両1への左側面衝突を予知する。PCS_ECU3は、左側面衝突を予知したとき、左側面衝突を予知したことを示す信号をA/B_ECU9へ出力する。右MGセンサ4aは、車両1右側の側面部に設置され、車両1の左右方向の加速度を常時検出している。右MGセンサ4aは、検出した加速度の大きさを示す信号をA/B_ECU9へ常時出力する。左MGセンサ4bは、車両1左側の側面部に設置され、車両1の左右方向の加速度を常時検出している。左MGセンサ4bは、検出した加速度の大きさを示す信号をA/B_ECU9へ常時出力する。
【0044】
A/B_ECU9は、車両1内の中央部又は車両1のトンネル付近に設置され、PCS_ECU3、右MGセンサ4a、及び左MGセンサ4bからの出力信号を元に、車両1の乗員Aの右側方に設置された右A/B装置6a、又は、車両1の乗員Bの左側方に設置された左A/B装置6bを起動させる。具体的には、A/B_ECU9は、図7に示すように、左右SGセンサ91及び制御部92を備える。制御部92は、右衝突判定部921a、左衝突判定部921b、左右衝突判定部922、左右解除要求部923、ORゲート924a及び924b、ANDゲート925a及び925b、右A/B起動部926a、及び左A/B起動部926bを備える。
【0045】
右衝突判定部921aには、右MGセンサ4aからの出力信号が常時入力される。右衝突判定部921aは、右MGセンサ4aの出力信号を常時監視し、右から左へ向かう方向の加速度が所定の閾値よりも大きくなったとき、右側面衝突が発生したと判定する。右衝突判定部921aは、右側面衝突が発生したと判定したとき、右側面衝突が発生したことを示す信号をANDゲート925aへ出力する。
【0046】
左衝突判定部921bには、左MGセンサ4bからの出力信号が常時入力される。左衝突判定部921bは、左MGセンサ4bの出力信号を常時監視し、左から右へ向かう方向の加速度が所定の閾値よりも大きくなったとき、左側面衝突が発生したと判定する。左衝突判定部921bは、左側面衝突が発生したと判定したとき、左側面衝突が発生したことを示す信号をANDゲート925bへ出力する。
【0047】
左右SGセンサ91は、A/B_ECU9内に設置され、車両1の左右方向の加速度を常時検出している。左右SGセンサ91は、検出した加速度の大きさを示す信号を左右衝突判定部922へ常時出力する。なお、左右SGセンサ91において、右から左へ向かう方向の加速度が検出されたとき、左右SGセンサ91の出力信号の大きさは正になり、左から右へ向かう方向の加速度が検出されたとき、左右SGセンサ91の出力信号の大きさは負になるとする。
【0048】
左右衝突判定部922には、左右SGセンサ91からの出力信号が常時入力される。左右衝突判定部922は、左右SGセンサ91の出力信号を常時監視し、当該出力信号の大きさが正であるか負であるかを判定する。左右衝突判定部922は、出力信号の大きさが正である場合において、その大きさが所定の閾値よりも大きくなったとき、右側面衝突が発生したと判定する。左右衝突判定部922は、右側面衝突が発生したと判定したとき、右側面衝突が発生したことを示す信号をORゲート924aへ出力する。一方、左右衝突判定部922は、出力信号の大きさが負である場合において、その大きさが所定の閾値よりも小さくなったとき、左側面衝突が発生したと判定する。左右衝突判定部922は、左側面衝突が発生したと判定したとき、左側面衝突が発生したことを示す信号をORゲート924bへ出力する。
【0049】
左右解除要求部923には、PCS_ECU3からの出力信号が入力される。PCS_ECU3から右側面衝突を予知したことを示す信号が入力されたとき、左右解除要求部923は、左右SGセンサ91での右側面衝突の検出を解除する要求を示す信号をORゲート924aへ出力する。一方、PCS_ECU3から左側面衝突を予知したことを示す信号が入力されたとき、左右解除要求部923は、左右SGセンサ91での左側面衝突の検出を解除する要求を示す信号をORゲート924bへ出力する。
【0050】
ORゲート924aは、左右衝突判定部922からの出力信号、及び左右解除要求部923からの出力信号のうちの少なくとも一方が入力されたとき、そのことを示す信号をANDゲート925aへ出力する。ANDゲート925aは、右衝突判定部921aからの出力信号、及びORゲート924aからの出力信号が共に入力されたとき、そのことを示す信号を右A/B起動部926aへ出力する。右A/B起動部926aは、ANDゲート925aからの出力信号が入力されたとき、右A/B装置6aを起動させる。
【0051】
ORゲート924bは、左右衝突判定部922からの出力信号、及び左右解除要求部923からの出力信号のうちの少なくとも一方が入力されたとき、そのことを示す信号をANDゲート925bへ出力する。ANDゲート925bは、左衝突判定部921bからの出力信号、及びORゲート924bからの出力信号が共に入力されたとき、そのことを示す信号を左A/B起動部926bへ出力する。左A/B起動部926bは、ANDゲート925bからの出力信号が入力されたとき、左A/B装置6bを起動させる。
【0052】
次に、以上のように構成された本実施形態に係る車両用乗員保護装置に関し、制御部92の処理の流れを図8を参照して説明する。図8は、制御部92の処理の流れを示したフローチャートである。
【0053】
図8において、処理が開始すると、ステップS20〜S25の処理がほぼ同時に行われる。ステップS20において、右衝突判定部921aは、右MGセンサ4aの出力信号を常時監視し、右側面衝突が発生したと判定したとき(Yes)、右側面衝突が発生したことを示す信号をANDゲート925aへ出力する。なお、右衝突判定部921aが右側面衝突が発生したと判定しない場合、ステップS20の処理が繰り返される。ステップS21において、左右衝突判定部922は、左右SGセンサ91の出力信号を常時監視し、右側面衝突が発生したと判定したとき(Yes)、右側面衝突が発生したことを示す信号をORゲート924aへ出力する。なお、左右衝突判定部922が右側面衝突が発生したと判定しない場合、ステップS21の処理が繰り返される。ステップS22において、左右解除要求部923は、PCS_ECU3から右側面衝突を予知したことを示す信号が入力されたとき(Yes)、左右SGセンサ91での右側面衝突の検出を解除する要求を示す信号をORゲート924aへ出力する。なお、PCS_ECU3から右側面衝突を予知したことを示す信号が入力されない場合、ステップS22の処理が繰り返される。
【0054】
ステップS26において、ORゲート924aは、ステップS21の処理によって出力される左右衝突判定部922からの出力信号と、ステップS22の処理によって出力される左右解除要求部923からの出力信号とのORを演算する。つまり、ステップS26において、ORゲート924aは、ステップS21及びS22の処理によって、左右衝突判定部922からの出力信号、及び左右解除要求部923からの出力信号のうちの少なくとも一方が入力されたとき、そのことを示す信号をANDゲート925aへ出力する。ステップS27において、ANDゲート925aは、ステップS20の処理によって出力される右衝突判定部921aからの出力信号と、ステップS26の処理によって出力されるORゲート924aからの出力信号とのANDを演算する。つまり、ANDゲート925aは、ステップS20及びS26の処理によって、右衝突判定部921aからの出力信号、及びORゲート924aからの出力信号が共に入力されたとき、そのことを示す信号を右A/B起動部926aへ出力する。ステップS28において、右A/B起動部926aは、ステップS27の処理によってANDゲート925aからの出力信号が入力されたとき、右A/B装置6aを起動させる。
【0055】
また、ステップS23において、左衝突判定部921bは、左MGセンサ4bの出力信号を常時監視し、左側面衝突が発生したと判定したとき(Yes)、左側面衝突が発生したことを示す信号をANDゲート925bへ出力する。なお、左衝突判定部921bが左側面衝突が発生したと判定しない場合、ステップS23の処理が繰り返される。ステップS24において、左右衝突判定部922は、左右SGセンサ91の出力信号を常時監視し、左側面衝突が発生したと判定したとき(Yes)、左側面衝突が発生したことを示す信号をORゲート924bへ出力する。なお、左右衝突判定部922が左側面衝突が発生したと判定しない場合、ステップS24の処理が繰り返される。ステップS25において、左右解除要求部923は、PCS_ECU3から左側面衝突を予知したことを示す信号が入力されたとき(Yes)、左右SGセンサ91での左側面衝突の検出を解除する要求を示す信号をORゲート924bへ出力する。なお、PCS_ECU3から左側面衝突を予知したことを示す信号が入力されない場合、ステップS25の処理が繰り返される。
【0056】
ステップS29において、ORゲート924bは、ステップS24の処理によって出力される左右衝突判定部922からの出力信号と、ステップS25の処理によって出力される左右解除要求部923からの出力信号とのORを演算する。つまり、ステップS29において、ORゲート924bは、ステップS24及びS25の処理によって、左右衝突判定部922からの出力信号、及び左右解除要求部923からの出力信号のうちの少なくとも一方が入力されたとき、そのことを示す信号をANDゲート925bへ出力する。ステップS30において、ANDゲート925bは、ステップS23の処理によって出力される左衝突判定部921bからの出力信号と、ステップS29の処理によって出力されるORゲート924bからの出力信号とのANDを演算する。つまり、ANDゲート925bは、ステップS23及びS29の処理によって、左衝突判定部921bからの出力信号、及びORゲート924bからの出力信号が共に入力されたとき、そのことを示す信号を左A/B起動部926bへ出力する。ステップS31において、左A/B起動部926bは、ステップS30の処理によってANDゲート925bからの出力信号が入力されたとき、左A/B装置6bを起動させる。以上で、制御部92の処理の流れについての説明を終わる。
【0057】
次に、以上のような構成及び処理によって本実施形態に係る車両用乗員保護装置が奏する効果について、図9を参照して説明する。図9は、右MGセンサ4a、左右解除要求部923、右A/B起動部926a、左MGセンサ4b、及び左A/B起動部926bの動作タイミングを模式的に示した図である。図9において、時刻t1にPCS_ECU3が右側面衝突を予知し、時刻t2に右側面衝突が実際に発生し、時刻t3にPCS_ECU3が左側面衝突を予知し、時刻t4に左側面衝突が実際に発生したとする。
【0058】
右MGセンサ4aは、車両1右側の側面部に設置されるため、実際の右側面衝突とほぼ同じタイミングである時刻t2で右側面衝突を検出する。一方、左右SGセンサ91は、車両1の中央部に設置される。このため、左右SGセンサ91が右側面衝突を検出するタイミングは、右側面衝突が右MGセンサ4aから左右SGセンサ91まで伝達する時間(Δt’)だけ、右MGセンサ4aが右側面衝突を検出するタイミングよりも遅延してしまう。しかしながら、本実施形態では、PCS_ECU3において右側面衝突が予知されたときは無条件に、左右解除要求部923が、左右SGセンサ91での右側面衝突の検出を解除する要求を行っている。このため、右A/B起動部926aは、左右SGセンサ91での右側面衝突の検出を待つことなく、右MGセンサ4aが右側面衝突を検出したタイミング(時刻t2)で、右A/B装置6aを起動させることになる。また、本実施形態では、PCS_ECU3において左側面衝突が予知されたときは無条件に、左右解除要求部923が、左右SGセンサ91での左側面衝突の検出を解除する要求を行っている。このため、左A/B起動部926bは、左右SGセンサ91での左側面衝突の検出を待つことなく、左MGセンサ4bが左側面衝突を検出したタイミング(時刻t4)で、左A/B装置6bを起動させることになる。それ故、本実施形態によれば、従来よりも、上記伝達時間Δt’だけ、右側面衝突、又は左側面衝突してからエアバックの展開が完了するまでの時間を早めることができる。
【0059】
以上のように、本実施形態に係る車両用乗員保護装置によれば、A/B装置の展開要求時間が短い側面衝突時において、側面部のA/B装置の起動タイミングを従来よりも早めることができ、エアバック展開の遅れを防止することに対し、より高い効果を発揮することができる。
【0060】
また、本実施形態に係る車両用乗員保護装置によれば、PCS_ECU3において例えば右側面衝突が予知されたときのみ、左右解除要求部923が左右SGセンサ91での右側面衝突の検出を解除する要求を行っている。これにより、PCS_ECU3において右側面衝突が予知されていないときに左右SGセンサ91での右側面衝突の検出を解除することによって生じる右側のA/B装置の誤動作を防止することができる。
【0061】
さらに、本実施形態に係る車両用乗員保護装置によれば、左右解除要求部923は、左右SGセンサ91での側面衝突の検出を解除する要求を、左右個別に行っている。これにより、PCS_ECU3において例えば右側面衝突が予知されたときに左右SGセンサ91での左側面衝突の検出を解除することによって生じる左側(非衝突側)のA/B装置の誤動作を防止することができる。また、左右の多重衝突が起きた際のA/B装置の誤動作も防止することができる。
【0062】
なお、本実施形態に係る車両用乗員保護装置は、左右SGセンサ91を1つ用いて、左右の側面衝突を別々に検出する構成を有していたが、これに限定されない。車両用乗員保護装置は、図10に示すように、左右SGセンサ91の代わりに、右側面衝突のみを検出する右SGセンサ91aと、左側面衝突のみを検出する左SGセンサ91bとを備えていてもよい。この場合、車両用乗員保護装置は、左右衝突判定部922の代わりに、右SGセンサ91aからの出力信号を常時監視して右側面衝突が発生したことを判定する右衝突判定部922aと、左SGセンサ91bからの出力信号を常時監視して左側面衝突が発生したことを判定する左衝突判定部922bとを備えることになる。またこの場合、左右解除要求部923は、PCS_ECU3からの出力信号に基づき、右SGセンサ91a及び左SGセンサ91bのいずれか一方の検出を解除する要求を行うことになる。
【0063】
また、本実施形態に係る車両用乗員保護装置は、図5に示したように、シートECU8をさらに備えていてもよい。この場合、シートECU8は、PCS_ECU3において例えば右側面衝突が予知されたとき、乗員Aが着座するシート(図示なし)の背もたれを適切な位置まで起こし、乗員Bが着座するシート(図示なし)については、背もたれを起こさないように制御を行う。
【0064】
また、本実施形態では、例えば右側面衝突時、右A/B装置6aを起動させるようにしていたが、保護手段の種類によっては、非衝突側のA/B装置である左A/B装置6bを起動させるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明に係る車両用乗員保護装置は、エアバック装置などの、衝突時に乗員を保護するための各種保護手段に利用される。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】第1の実施形態に係る車両用乗員保護装置を搭載した車両を模式的に示した図
【図2】第1の実施形態に係る車両用乗員保護装置の回路構成を示した図
【図3】制御部72の処理の流れを示したフローチャート
【図4】MGセンサ4等の動作タイミングを模式的に示した図
【図5】シートECU8をさらに備えた第1の実施形態に係る車両用乗員保護装置を搭載した車両を模式的に示した図
【図6】第2の実施形態に係る車両用乗員保護装置を搭載した車両を模式的に示した図
【図7】第2の実施形態に係る車両用乗員保護装置の回路構成を示した図
【図8】制御部92の処理の流れを示したフローチャート
【図9】右MGセンサ4a等の動作タイミングを模式的に示した図
【図10】右SGセンサ91a及び左SGセンサ91bを備える場合の車両用乗員保護装置の回路構成を示した図
【図11】従来のエアバックシステムを搭載した車両を模式的に示した図
【図12】従来のエアバックシステムの回路構成を示した図
【図13】MGセンサ4等の動作タイミングを模式的に示した図
【符号の説明】
【0067】
1 車両
2 PCSセンサ
2a 右PCSセンサ
2b 左PCSセンサ
3 PCS_ECU
4 MGセンサ
4a 右MGセンサ
4b 左MGセンサ
5、7、9 A/B_ECU
6 A/B装置
6a 右A/B装置
6b 左A/B装置
8 シートECU
51 衝突判定部
52、71 SGセンサ
53、721、722 衝突判定部
54 異常判定部
55、57、725、925a、925b ANDゲート
56、724、924a、924b ORゲート
58、726 A/B起動部
72、92 制御部
723 解除要求部
91 左右SGセンサ
921a 右衝突判定部
921b 左衝突判定部
922 左右衝突判定部
923 左右解除要求部
926a 右A/B起動部
926b 左A/B起動部
91a 右SGセンサ
91b 左SGセンサ
922a 右衝突判定部
922b 左衝突判定部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に設けられ、当該車両への衝突を検出する第1衝突検出手段と、
前記第1衝突検出手段よりも前記車両の中央側に設けられ、前記車両への衝突を検出する第2衝突検出手段と、
乗員を前記車両への衝突から保護する第1保護手段と、
前記第1及び第2衝突検出手段において前記車両への衝突が検出された時点で前記第1保護手段を起動させる制御手段と、
前記車両への衝突を予知する衝突予知手段とを備え、
前記制御手段は、前記車両の中央からみて前記第1衝突検出手段が存在する方向からの前記車両への衝突を前記衝突予知手段が予知した場合は全て、前記第1衝突検出手段において当該車両への衝突が検出された時点で前記第1保護手段を起動させることを特徴とする、車両用乗員保護装置。
【請求項2】
前記第1衝突検出手段は、前記車両の側面部に設けられることを特徴とする、請求項1に記載の車両用乗員保護装置。
【請求項3】
前記第1保護手段は、エアバック装置であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の車両用乗員保護装置。
【請求項4】
前記車両の左側面部に設けられ、当該車両への衝突を検出する第3衝突検出手段と、
乗員を前記車両への衝突から保護する第2保護手段とをさらに備え、
前記第1衝突検出手段は、前記車両の右側面部に設けられ、
前記第2衝突検出手段は、前記第1及び第3衝突検出手段よりも前記車両の中央側に設けられ、
前記第2保護手段は、前記制御手段によって、前記第2及び第3衝突検出手段において前記車両への衝突が検出された時点で起動させられ、
前記制御手段は、前記車両の右側面方向からの前記車両への衝突を前記衝突予知手段が予知した場合は全て、前記第1衝突検出手段において当該車両への衝突が検出された時点で前記第1保護手段を起動させ、前記車両の左側面方向からの前記車両への衝突を前記衝突予知手段が予知した場合は全て、前記第3衝突検出手段において当該車両への衝突が検出された時点で前記第2保護手段を起動させることを特徴とする、請求項2に記載の車両用乗員保護装置。
【請求項5】
前記第2保護手段は、エアバック装置であることを特徴とする、請求項4に記載の車両用乗員保護装置。
【請求項1】
車両に設けられ、当該車両への衝突を検出する第1衝突検出手段と、
前記第1衝突検出手段よりも前記車両の中央側に設けられ、前記車両への衝突を検出する第2衝突検出手段と、
乗員を前記車両への衝突から保護する第1保護手段と、
前記第1及び第2衝突検出手段において前記車両への衝突が検出された時点で前記第1保護手段を起動させる制御手段と、
前記車両への衝突を予知する衝突予知手段とを備え、
前記制御手段は、前記車両の中央からみて前記第1衝突検出手段が存在する方向からの前記車両への衝突を前記衝突予知手段が予知した場合は全て、前記第1衝突検出手段において当該車両への衝突が検出された時点で前記第1保護手段を起動させることを特徴とする、車両用乗員保護装置。
【請求項2】
前記第1衝突検出手段は、前記車両の側面部に設けられることを特徴とする、請求項1に記載の車両用乗員保護装置。
【請求項3】
前記第1保護手段は、エアバック装置であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の車両用乗員保護装置。
【請求項4】
前記車両の左側面部に設けられ、当該車両への衝突を検出する第3衝突検出手段と、
乗員を前記車両への衝突から保護する第2保護手段とをさらに備え、
前記第1衝突検出手段は、前記車両の右側面部に設けられ、
前記第2衝突検出手段は、前記第1及び第3衝突検出手段よりも前記車両の中央側に設けられ、
前記第2保護手段は、前記制御手段によって、前記第2及び第3衝突検出手段において前記車両への衝突が検出された時点で起動させられ、
前記制御手段は、前記車両の右側面方向からの前記車両への衝突を前記衝突予知手段が予知した場合は全て、前記第1衝突検出手段において当該車両への衝突が検出された時点で前記第1保護手段を起動させ、前記車両の左側面方向からの前記車両への衝突を前記衝突予知手段が予知した場合は全て、前記第3衝突検出手段において当該車両への衝突が検出された時点で前記第2保護手段を起動させることを特徴とする、請求項2に記載の車両用乗員保護装置。
【請求項5】
前記第2保護手段は、エアバック装置であることを特徴とする、請求項4に記載の車両用乗員保護装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2009−166687(P2009−166687A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−7304(P2008−7304)
【出願日】平成20年1月16日(2008.1.16)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年1月16日(2008.1.16)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
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