説明

車両用入力装置

【課題】車両の走行状態又は環境状態に基づいて入力装置の入力画面100の表示時間や表示状態を変更させ、入力者の入力操作の操作性を高めること。
【解決手段】本発明は、入力部60を表示する入力画面100と、該入力画面100に入力者の手が接近したことを検出する接近検出手段50と、走行状態又は環境状態を検出する状態検出手段40とを備え、該接近検出手段が入力者の手の接近を検出したときに該入力画面に入力部を表示し、入力者の手が該入力部から離れてから所定の時間経過後に該入力部の表示を消滅させる入力装置であって、該状態検出手段の検出結果に基づき該所定の時間を変更することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載され、所定の機能を実現する操作装置の入力部を表示する車両用入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両の運転席又は助手席からナビゲーション、オーディオ及びエアコン等の操作を目的とした操作装置であって、手が入力部に接近したらメニュー画面を表示し、手が離れたらメニュー画面が非表示となる入力装置を備えたものが知られている。
【0003】
この種の入力装置に関して、従来から、手がメニュー画面から離れてから非表示となるまでのタイムアウト時間をメニューの階層や操作履歴に基づいて設定し、操作に長い時間を要するメニューにはタイムアウト時間を長く設定することにより、メニュー操作途中で操作時間が足りずに初期画面に戻ってしまい、再操作が必要となる手間を軽減したものが知られている。(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、視認性を向上させるため、画像表示装置を運転者から前面遠方に配置し、これに離間して運転者の近くにタッチパネルとして機能する透過型表示手段を設け、タッチパネル上のタッチスイッチを操作することにより、該前面遠方の操作装置を操作できるようにして操作性を向上させた入力装置が知られており、該タッチスイッチは、指が該透過型表示手段の表面に接近状態にあるとき、および指が隔離してから所定時間の間のみ表示され、また表示状態と非表示状態は動的に切換えることができ、その際の出現や消失を徐々に行う制御も可能である内容が公知である。(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2004−127097号公報
【特許文献2】特開2004−126354号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の特許文献1に記載の構成では、運転者の置かれている状況というのは一切考慮されておらず、メニューの階層や操作履歴に基づいて画一的にタイムアウト時間が設定されるので、例えば、運転者が凹凸の激しい道路を走行していたり、夜間に走行している場合等の入力操作が行いにくい状況では、操作に通常よりも時間がかかるため、タイムアウト時間が足りないことがあるという問題があった。また、タイムアウト時間の設定が長いメニューでも、走行が順調で運転者の走行負担が少ないときには、入力操作がすぐ済んでしまうにも関わらず、いつまでも入力画面が表示されていて煩わしいという問題があった。
【0006】
一方、上述の特許文献2に記載の構成では、指がタッチパネルから離れて所定時間経過したらタッチスイッチを非表示にはするが、非表示とする時間をどのように設定するかまでは考慮されていないので、運転者の走行負荷が高く、タッチスイッチを操作する余裕が無いような状況では早く非表示となってしまい、逆に運転者の走行負荷が低く、運転者がすぐにタッチスイッチの操作を終えてしまう状況では、いつまでもタッチスイッチが残ってしまい、逆に運転の視界を妨げてしまうという問題があった。
【0007】
そこで、本発明では、運転者の走行状態や環境状態を考慮し、運転に余裕がなく、運転者が入力操作をしにくいときには入力画面を長く表示し、逆に操作容易なときには入力画面の表示時間を短くすることにより、入力操作の操作性を高めることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、第1の発明に係る入力装置は、入力部を表示する入力画面と、該入力画面に入力者の手が接近したことを検出する接近検出手段と、走行状態又は環境状態を検出する状態検出手段とを備え、
該接近検出手段が入力者の手の接近を検出したときに該入力画面に入力部を表示し、入力者の手が該入力部から離れてから所定の時間経過後に該入力部の表示を消滅させる入力装置であって、
該状態検出手段の検出結果に基づき該所定の時間を変更することを特徴とする。
【0009】
第2の発明は、第1の発明に係る入力装置において、
前記状態検出手段は、入力者の入力動作に影響を与える走行負荷に基づいて前記走行状態を検出することを特徴とする。
【0010】
第3の発明は、第2の発明に係る入力装置において、
前記走行負荷は、交通情報、路面の凹凸状態、車両の振動状態、車間距離、車両速度、車両加速度又は車両の傾きのいずれか1つ以上に基づいて検出することを特徴とする。
【0011】
第4の発明は、第3の発明に係る入力装置において、
前記入力部の表示を消滅させる前記所定の時間は、検出された走行負荷が高くなるほど、長く設定することを特徴とする。
【0012】
第5の発明は、第1〜4のいずれかの発明に係る入力装置において、
前記入力画面は、透過型パネルであって、該パネルの背後に載置された物に基づいて、該パネルの表示の色を変更することを特徴とする。
【0013】
第6の発明は、第1〜5のいずれかの発明に係る入力装置において、
前記状態検出手段は、車外の明るさに基づいて前記環境状態を検出することを特徴とする。
【0014】
第7の発明は、第1〜6のいずれかに発明に係る入力装置において、
前記入力者の手が前記入力部から離れたことは、接近検出手段により検出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、運転者の走行状態や環境状態を考慮し、運転に余裕がなく、運転者が入力操作をしにくいときには入力画面を長く表示し、逆に操作容易な場合は早く入力画面を表示することにより、入力操作の操作性を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態の説明を行う。
【実施例1】
【0017】
図1は、実施例1に係る操作装置に関連する主要構成の一例を示す機能ブロック図を示す。本実施例の入力装置は、図1に示すように、入力画面100と、表示制御装置70と、接近検出手段50と、状態検出手段40とを備える。入力画面100上には、入力部60が表示される。また、エアコン機能、オーディオ機能、ナビゲーション機能及び電話機能等の入力装置からの入力に応じた所定の機能を実現する具体的な車載機器80を備える。
【0018】
表示制御装置70は、マイクロコンピューターを中心に構成されている。即ち、表示制御装置70は、所定の実行プログラムに従って各種処理を行う演算手段(CPU)71、このCPUの実行プログラム、演算結果を格納するメモリ72(例えばROM、RAM、EEPROPMメモリ等)、のタイマ73、カウンタ、入出力インターフェイス等を有している。これら演算手段(CPU)71、メモリ72、及び入出力インターフェイスは、データバスにより相互に接続されている。尚、以下で説明する表示制御装置70の各種動作・機能は、演算手段(CPU)71によって実行されるプログラムによって実現される。
【0019】
表示制御装置70は、入力部60との間で無線又は有線により通信を行う。表示制御装置70は、入力部60から各種スイッチ信号を受信すると、入力画面100での表示画面の切り換え(各種操作メニュー画像の生成)等を行うと共に、他の制御ECU(例えば、カーナビゲーションECU、オーディオECU及びエアコンECU等)に対して、各種スイッチ信号に応じた信号を送る。他の制御ECUは、表示制御装置70からの信号に応答し、各種スイッチ信号に応じた機能を実現するよう車載機器80(例えばナビゲーションシステム、オーディオ及びエアコン等)を制御する。
【0020】
表示制御装置70は、入力画面100との間で無線又は有線により通信を行う。本例では、入力画面100は、透過型パネルディスプレイである。該透過型パネルディスプレイは、透明なタッチパネルで構成され、入力部たるタッチスイッチ60を備える。その後方背面遠方の視認しやすい位置にはナビゲーション用ディスプレイを備え、該ナビゲーション用ディスプレイを該透過型パネルディスプレイ越しに目視し、近くの該透過型パネルディスプレイ上に表示された入力部60で遠方操作するように構成されている。入力画面100は、階層構造になっている場合は、入力部60の操作スイッチを操作する度に、入力画面101、入力画面102、入力画面103というように切り替わり、所望の機能を実現する操作スイッチが含まれている入力部60まで導くように構成されている。もちろん、階層構造とはせずに、頻度の高い重要な操作スイッチのみを表示した入力部60を1組のみ表示してもよい。
【0021】
状態検出手段40は、車両の走行状態や車両が置かれている環境状態を検出する。ここで、車両の走行状態とは、車両の置かれている状況が運転者の車両の運転にどのような影響を与える状態であるかを意味すると解され、運転者の運転に費やされる走行負荷に基づいて評価される。例えば走行中の道路が凹凸のある路面であったり、道路工事をしているような状況では、通常の走行の障害要因のない道路を通行している場合よりも、運転者の走行負荷が増大した状態となる。走行負荷が高くなるときは、それだけ車両の運転自体に費やされる負担が大きくなり、操作装置の入力をする余裕がなくなるので、入力操作の負担も高くなる。また、周囲が暗くなっているような状態では、日中の明るい状態よりは運転環境は悪化しているので、環境状態が悪くなっていると言える。このように、状態検出手段40は、操作装置の入力動作に影響のある車両の走行状態や環境状態を検出する役割を果たす。なお、状態検出には、種々の状態を検出するのに適した検出器が用いられ、例えばVICS(Viechle Information & Communication System)から送られて来る交通情報を検出するためには、VICS情報を受信できるアンテナが検出器として適切と考えられ、同様に、G−BOOKのように、自動車会社が独自に提供するテレマティクスサービスから渋滞予測等の交通情報を検出する場合には、携帯電話の無線ネットワークに接続して無線通信を行うDCM(Data Communication Module)装置が適切な検出器と考えられる。また、路面の凹凸状態を検出するためには、路面を観察するための車両に搭載した前方監視カメラや車両の振動状態を検出する振動センサが適切な検出器となる。
【0022】
車載機器80は、エアコン、オーディオ、電話及びナビゲーション機能等を実現するための所定の機能を有する機器であり、入力部60の入力信号が表示制御装置70に送られ、該表示制御装置70からの指令に基づいて具体的な機能を実現するように構成されている。
【0023】
図2は、本実施例で好適に用いられる、透明重畳方式の操作装置を示している。通常多く用いられている操作装置は、図2(A)に示すタッチパネル操作方式である。これは、操作装置の表示画面中に操作スイッチもタッチパネルとして表示され、これにより操作を行うものである。画面表示と操作スイッチが同一画面上にあるため、画面の位置は操作可能な手の届く範囲に置かなければならず、車両の運転中には、運転中の遠方の視点と画面を見る近い視点の切り替えが必要で、運転中は操作しにくく、また安全上にも問題があった。この欠点を改善すべく、本実施例では、図2(B)に示す透明重畳方式の操作装置を採用している。これは、地図等の視認用の画面であるメインディスプレイ30は遠前方に配置して視認性を高め、操作スイッチ60は手前の透明ディスプレイ100にタッチパネルとして表示することにより手の届かない遠前方の画面の操作を可能としたものである。なお、透明ディスプレイ100は、透明なタッチパネルとして機能できる素材であれば何でも適用可能であるが、好適には無機EL(Electro Luminescence)ディスプレイが用いられる。メインディスプレイ30は、例えばTFT−LCD(Thin Film Transister−Liquid Crystal Dispaly)と呼ばれるTFT方式の液晶パネルが用いられる。本実施例では、この透明重畳方式の操作装置への入力装置の適用例を説明する。
【0024】
図3は、透過型パネルディスプレイとして構成された入力画面100の動作を示す斜視図である。図3(A)は、本実施例の通常の状態を示している。図3(B)は、入力画面100に手を接近させたときの入力画面100の状態を示している。図3(C)は、入力部60への入力操作が終わり、手が入力画面100から離れて所定時間経過した状態を示している。
【0025】
通常の待ち画面状態では、図3(A)に示すように、入力画面100には入力部は表示されていない。これは、通常の運転時で特に操作装置の操作を行わないときには、入力部を表示すると視界を妨げ、運転及び遠前方の画面を目視するのに邪魔になるからである。ここで、入力者が操作スイッチの操作を行おうとして、入力画面100に手を接近させると、図3(B)に示すように、手が近付いたことが接近検出手段50により検出され、入力部60が画面上に表示される。接近検出手段50は、入力画面100の入力部60付近のいずれかの箇所に設けられていればよい。接近検出手段50は、通常に用いられる接近センサが好適に用いられ、手が入力画面100に接近したことを検出できるものであれば何でもよい。入力者は、入力部60から所望の操作スイッチを選択して接触することにより、操作スイッチを入れる。操作スイッチに触れることにより、該操作スイッチに対応した機能が実現されるが、所望の機能を実現する操作スイッチが下層にあり、操作に階層的な複数回の選択が必要な場合には、次の階層の入力画面101及び入力部60´に切り替わる。同様に次の入力部60´より操作スイッチを選択することを繰り返し、所望の機能を車載機器80により実現することになる。そして、所望の機能を車載機器80により実現したときには、もはや操作パネルの入力部60は不要となるので、図3(C)に示すように、入力部60は視界を妨げないように所定の時間経過後に消滅する。
【0026】
ところが、走行状態や環境状態により、運転者が連続して入力部60への入力を行うことが困難な場合がある。例えば、路面の凹凸が激しい道路を運転している場合はステアリングをしっかり保持しながら運転する必要があるし、工事中で通行規制を行っている道路を走行している場合には、交通整理をしている人から目を離すことはできない。信号も交通量多く、それでいて結構速い速度で車両が流れている国道のような道路では、車間距離も短く、車線変更、信号による停止と発進等運転の変化が大きいので、常に周囲の交通状況に気を配って走行しなければならない。また、山の急峻で曲がりくねった坂道を運転している場合には、視線は常に前に向けていなければならないし、ステアリングもしっかり握って急なカーブにきちんと対応できるようにしておかなければならない。このような状況下では、走行負荷が高く、運転者はまず車両の運転自体に集中する必要があり、とても操作装置の入力操作をしている余裕はない。一旦、そのような状況下から脱して、余裕を持って運転できるような状態に落ち着いたときに、再び操作装置の入力操作を行うのが通例である。そして再び入力操作を行う際に、入力画面100が図3(C)に示すように入力部60が消滅してしまった状態では、また入力操作を始めからやり直すことになってしまい、不都合である。そこで、上述のような走行負荷が高い走行状態のときには、操作者の手が入力部60から一定時間離れたとしても、図3(B)のように入力部60が表示された状態を通常よりも長く保持するようにすれば、運転者が落ち着いて入力操作ができる状態となったときに入力部60がまだ表示されているので、再入力操作が極めてスムーズになり、操作性が向上するのである。
【0027】
一方で、渋滞している道路を走行しているときには車速が遅く、また、車速が速くとも、交通が流れている場合の東名高速道路のように比較的ゆったりと走行できるときには、運転者の走行負荷は比較的軽いので、操作装置の入力を連続的にやることに困難は無く、すぐに入力操作自体は終わってしまう。入力が終わると、あとは車載機器80の所定の機能を実現するだけであるから、入力部60はもはや不要であり、いつまでも視界に入っていると煩わしく、むしろ運転の妨げになってしまう。そこで、そのような場合には、図3(B)に示す入力部60が表示され続けている状態は必要最小限でよく、入力部60から手が離れたらあまり間を置かずに、図3(C)に示す入力部60が消滅した状態となることが望ましい。運転者の走行負荷が低く、走行状態も良好であるから、それに対応させて、入力者の手が入力部60から離れてからも入力部60の表示を継続する時間は、短く設定するのが好ましいのである。
【0028】
また、本実施例のような透過型パネルディスプレイ100を用いる場合、該透過型パネルディスプレイ100の背面に物が載置されることが起こり得る。このとき、該載置された物の色によっては、入力部60の表示が背面の荷物と紛れてしまい、見えにくい場合もある。このような場合に、入力部60の色を変更し、入力部60が視認し易い状態の表示に変えてやると便利である。例えば、透過型パネルディスプレイ背面に赤いバッグの荷物が載置されており、入力部60の表示も赤である場合は、両者が重なり合うと紛れてしまい、入力部60が区別しにくくなる。そのような場合には、入力部60を青や黒に変更すると背景と区別が容易になり、見え易くなる。即ち、周囲の環境状態に応じて、入力部60の色等の表示状態を変更するようにするのが好ましい。なお、本実施例では透明な入力画面100の後方に載置された荷物に関し、色に着目して入力部60の表示の色を変更する例を説明したが、他の要素を考慮して入力部60の表示状態を変更するようにしてもよいことは言うまでもない。
【0029】
図4は、本入力装置により実現される処理を示すフローチャートである。
【0030】
ステップ100では、まず入力者の手が入力画面100に接近したか否かが判断される。手の接近は、図3で説明したように、接近検出手段50が用いられる。入力者の手の接近が検出されたときには、ステップ110に移る。接近が検出されないときは、本実施例に係る入力装置の機能は果たさないので、処理を終了する。
【0031】
ステップ110では、入力部60を表示する。地図等の画像を表示するメインディスプレイ30の表示状態に適した入力部60が表示される。入力部60の表示は、所定の入力用操作スイッチが表示されるが、それらの表示は階層構造となっていてもよい。例えば、初期メインメニューの入力画面で、オーディオ機能、エアコン機能、電話機能及び車両情報機能のスイッチが入力部60に表示され、オーディオ機能を選択するよう入力すると、次はCD、MD、DVD及びラジオのメニュー画面を構成する入力部60が表示され、更にラジオの操作スイッチを入力選択すると、次に交通情報を出力する機能の操作スイッチが表示されるような構成としてもよい。ステップ110を実行した後は、ステップ120に移る。
【0032】
ステップ120では、入力操作が有るか否かの判断を行う。入力操作があればステップ130に移る。入力操作が無ければステップ140に移って所定の時間が経過したか否かを判断する。ステップ140で、所定の時間が経過していないと判断されたときは、ステップ120に戻って入力操作が有ったか否かの判断を行う。即ち、ステップ120とステップ140を繰り返し、入力者による操作スイッチの入力操作を待機している状態で、所定の時間が経過したか否かを判断し続けることになる。所定の時間が経過するまで入力操作が無ければ、ステップ150に移り、入力部60は消滅し、一連の処理フローは終了する。なお、所定の時間の測定の起点は、接近検出手段の検出が無くなった時点でもよいし、入力部60が入力画面100に表示された時点でもよい。但し、入力者が入力操作を行おうとして、手を入力画面に近付けたが、そのままどのスイッチを操作するか等で入力操作を迷っている間に、運転の方に手が離せなくなって手がステアリングの方に戻ってしまったりすることはよくあることと考えられるので、接近検出手段で検出可能な所定の領域から手が無くなり、検出されなくなった時点を基準にする方がより好ましい。
【0033】
ステップ130では、入力部60から手が離れたか否かを判断する。手が離れたときは、常に、最後の入力操作となり所定時間のカウントの起点となる可能性があるので、手が離れたか否かを常時判断して認識しておく必要があるからである。手が離れたら、ステップ140に移り、所定の時間が経過したか否かを判断し、経過していなければステップ120に戻り、新たな入力操作があるか否かを常に監視することになる。特に新たな入力操作が無ければ、ステップ120とステップ140を繰り返し、所定の時間が経過した段階でステップ150に移り、表示されている入力部を消滅させ、一連の処理を終える。なお、ステップ130において、手が離れたときをどの時点と判断するかは、入力部60に何か入力操作を行って、入力部60から手が離れたときに設定してもよいし、入力部60付近に接近検出手段を設け、該接近検出手段で検出できる一定の領域から手が離れたときとして設定してもよい。
【0034】
図5は、走行状態を決定する因子の一例について示した表である。本実施例では、走行状態は、大きく分けて3つの因子とした。1つ目は、道路工事や交通事故が発生している、交通渋滞が起きている、といった車両を取り巻く社会的・環境的因子であって、運転者には変えようのない、運転者の置かれている周囲の環境状態を示すものである。2つ目は、車両が走行している道路の状況に関する因子であって、ここでは道路因子と呼ぶ。例えば、路面の凹凸や道路勾配が該当する。図5の表には示していないが、車両が走行している道路の幅等も該当する。3つ目は、車両の走行中のリアル・タイムの個別具体的な状態に関連する、ステアリングの回転、ブレーキ圧、車両速度、車両加速度、車間距離及びワイパー作動といった走行に直接的に関連している因子であり、ここでは走行因子と呼ぶ。
【0035】
基本的に、走行負荷の評価においては、図5に示す表の左端欄下から2つに記載した走行因子及び道路因子の寄与率が高く、車両の走行により直接的に関わり、車両の置かれている状況をより直接的に表現していると考えられる。例えば、車両速度が大きく、車間距離も短く、ブレーキ圧が高く、車両加速度も大きい場合には、高速で詰まった状態で車両を運転していて、しかもブレーキングや加速が頻繁な状態を表現していると推定できるから、走行負荷は高い状態にあると言える。同様に、路面の凹凸が大きければ車両の振動が大きな状態で走行することになり、走行負荷は高いであろうし、道路勾配が大きく、ステアリングの回転が頻繁で回転角度も大きく、ブレーキ圧も高く、加速度が大きい場合は急峻な山道で頻繁に強いブレーキングをしている状態を推定でき、走行負荷は高いと考えられる。また、ワイパーが作動していれば、雨が降っていると推定でき、それだけで走行負荷は高くなると推定できる。逆に、加速度が小さく、車間距離も大きければ、速度一定で安定走行中であることが理解でき、一般道は勿論のこと、例え高速道路を走っていても、走行負荷は低い状態と推定される。更に、速度が常に低く、あるいは停止状態で速度ゼロの状態が頻繁にあり、ステアリングの回転も少なければ、車両は渋滞に巻き込まれていると推定でき、入力装置の操作の困難さという観点から考えれば、走行負荷は低い状態にあると推定できる。
【0036】
また、上述の走行因子及び道路因子に加えて、主にVICS(Viechle Information & Communication System)やG−BOOKで得られる道路工事、交通事故、現在の交通渋滞及び交通渋滞予測といった交通情報に関する因子と、GPS(Global Positioning System)で得られる山道を走っている、又は高速を走っているという車両の走行している地域・道路の種類に関する情報は、走行状態を検出するのに大きな要因となる事項であるので、これらの因子も利用することが望ましい。これらの環境的因子は、直接的に評価の対象パラメータになるというよりも、工事、事故及び渋滞であれば車両の走行速度、山道走行であれば車両の傾きと加速度というように、他の車両に直接的に関係する項目と何らかの関係を有していると考えられるので、これらの環境的因子と、走行因子及び道路因子を状況に応じて適切な割合で考慮する評価式を作成すれば、より精度の高い走行負荷に基づく走行状態の評価が可能となる。評価式は、走行中の負荷をきちんと評価できるものであれば何でもよいが、通常多く用いられる1次多項式y=ax+bx+cx+・・・ も好適に用いることができ、例えば、変数xを走行因子及び道路因子に割り当て、環境因子毎に係数を適切に変化させて設定することにより、評価式を立ててもよい。
【0037】
図6は、状態検出手段40の検出結果に基づいて、入力者の手が入力部60から離れてから入力部60が消滅するまでの、「所定の時間」を変更する処理のフローチャートを示している。
【0038】
ステップ200では、環境因子を考慮の下、走行負荷を評価する因子を用いた評価式を決定する。例えば、高速道路の場合は、速度と車間距離を変数として、各々の係数を決めて評価式を立てる。また、道路工事と交通渋滞では、ともに速度を変数として用いるが、渋滞の方が前の車両の動きを見ていなければならないので、若干走行負荷は大きくなるので、係数を大きくすること等が考えられる。
【0039】
ステップ210では、走行負荷の要因となる因子の大きさを、その測定に適した走行状態検出手段40により検出又は測定する。例えば、車両速度であれば速度計、車両加速度計であれば加速度センサ、車両の傾きであれば傾斜計、前の車両との車間距離であれば接近センサ又は距離センサを用いるのが好適である。
【0040】
ステップ220では、検出又は測定した因子の値を用いて、ステップ200で作成した評価式から走行負荷を算出する。なお、この算出は、表示制御装置70内に搭載された演算手段(CPU)71により実行する。
【0041】
ステップ230では、算出した走行負荷を評価し、所定の評価基準を用いて、所定の時間に反映させるように変換を行う。これは、走行負荷と所定の時間の変換式を用意して滑らかに対応させてもいし、数段階に分けて、範囲毎に対応する時間を決めて変換するようにしてもよい。なお、この演算も、ステップ220と同様に表示制御装置70内に搭載された演算手段(CPU)71を用いて行ってよい。
【0042】
ステップ240では、ステップ230で算出された所定の時間に合わせて、表示制御装置70内に搭載されたタイマ73の設定時間を書き換える。図4におけるステップ140で用いられる所定の時間は、図6で説明したような演算を経て算出したタイマ73の設定時間で定められてよい。なお、所定時間の設定の書き換えは、刻一刻と変換する運転状況に対応させて、随時変更するようにしてもよいし、一定の時間間隔で更新するようにしてもよい。一定時間間隔で行う場合は、ステップ210で検出又は計測する所定の因子の大きさを、該一定時間の平均を取り、その値を用いてステップ220で走行負荷を算出するようにしてもよい。時間平均を取ることにより、特に急ハンドル、急発進、急ブレーキといった運転の突発的対応及びそれらに起因する速度や加速度の大きな変化が平均化され、運転の状態の傾向をより的確に把握することが可能になると考えられる。このような平均化する方法の他に、或いは加えて、上述の環境的因子で大きな評価の枠組みを決め、その後に個々の道路や車両の走行状態に関連する因子項目を用いて微調整を行うような、2段階決定方式を採用してもよい。例えば、交通渋滞中なら走行負荷は低いので、「所定の時間」の基本設定が短めの範囲設定となり、高速道路走行中なら走行負荷は高くなるため長めの範囲設定となり、山道走行中なら相当に走行負荷は高いので更に長めの範囲設定となり、そのように大枠の範囲を定めてから道路の凹凸、ステアリングの回転、ブレーキ圧、車両走行速度、加速度といった車両の走行状態に直接関連する因子を利用して更に詳細に評価を行ってゆく、という方式を採用してもよい。
【0043】
更に、タイマ73を書き換えるだけでなく、ある一定のパターン、例えば所定のエリアを走行しているときには、このパターンをベースにして評価を行う、といったようなデータが蓄積されたら、それをメモリ72の方に記憶しておき、より演算をスムーズに行うような工夫をしてもよい。
【0044】
図7は、実施例1に係る入力装置の、夜間時の入力画面100の斜視図を示している。図7(A)は、夜間時における通常の待画面状態の入力画面100を示し、図7(B)は、夜間時における入力時の入力画面100の状態を示している。上述のように、入力者の手が入力部60に接近したときにのみ、初めて入力部60が出現するような構成とすると、夜間においては、車内全体が暗くなるので、透明パネルで構成されている入力画面100自体が見えにくくなり、入力者が入力操作をしようとしたときに、入力画面100及び入力部60の位置自体の見当が付かず、それを探すこと自体にワンアクション要してしまうということが起こり得る。そのような事態を回避すべく、夜間においては、手が入力画面100に接近していない通常の待ち画面状態であっても、常時入力部60が薄っすらと点灯し、操作スイッチ60の位置が常時運転者に分かるような構成とした。入力者に暗闇の中から闇雲に操作スイッチを探させるのではなく、操作スイッチの存在を自らアピールさせることにより、操作性の向上を図ったものである。なお、夜間であることを認識及び検出するためには、前方監視カメラ等の車両搭載カメラにより車外の明るさを検出及び把握したり、日射センサを用いたりして車外の明るさを把握するようにしてもよい。なお、夜間に入ったことを把握する手段としては、車内又は車外の明るさを検出できるセンサ等の検出手段であれば、手段を問わず好適に用いることができる。
【0045】
次に、図7(B)に示すように、入力者が手を入力画面100に近付けたときには、入力部60が濃く点灯し、入力者は入力部60の操作スイッチの位置等を明確に認識できる。濃く点灯することにより、入力部60の操作スイッチがより浮かび上がり、入力者は所望の操作スイッチを容易に探すことができる。一方で、常に入力部60を濃く点灯させると、運転者たる入力者は常に目の前に入力部60がちらついて強制的に認識させられる状態となるので、運転中は特に煩わしく感じるおそれがある。よって、待ち画面状態では入力部60を輝度の弱い薄い光で点灯させ、入力者の手が接近した段階でより輝度の高い光で濃く点灯させることとした。
【0046】
なお、このように待ち画面状態で薄く点灯させるのは、入力部60だけではなく、入力画面100全体も点灯させるようにしてもよいし、入力画面100のみ点灯させ、入力部60は待ち画面状態では出現しない状態しておいてもよい。入力画面100全体を薄く点灯させることにより、運転者はより運転中でも入力画面100との距離感が掴み易くなり、操作性を向上させることができる。入力画面100は、運転者の車両の運転を妨げないような、目に負担が少ない色、及び/又は輝度で点灯させることが好ましい。周囲が暗くなったことを検出するのは、上述のように前方監視カメラ等の車両搭載カメラ、日射センサ及びその他の好適な明るさセンサが好適に用いられる。
【0047】
このように、明るさ等の周囲の環境状態を考慮することにより、本実施例のように操作性の高い入力装置が実現される。
【0048】
図8は、本実施例における入力装置により実現される処理のフローチャートである。図8に示す処理は、図4に示した昼間の場合の処理に対して、周囲が暗いときの環境状態をも考慮した点において異なる。なお、図4に示した処理と同様の処理については、同一の参照符号を付して説明を省略する。
【0049】
ステップ200では、周囲が暗いか否かが判断される。上述の明るさを検出する検出手段により、周囲が暗いと判断されたときは、ステップ210に移る。一方、周囲が暗くないと判断されたときは、ステップ100に移り、手の接近があるか否かが判断される。
【0050】
ステップ210では、入力部60及び/又は入力画面100を薄く点灯させる。ステップ200において周囲が暗いと判断したときは、入力部60及び/又は入力画面100の位置を運転の妨げとならない程度の明るさで灯させて認識させ、操作性の向上を図るためである。その後は、図4と同様に手の接近の有無を判断する。
【0051】
ステップ100で手の接近が検出されたときは、ステップ220に移る。検出されないときは、図4で説明したのと同様に、処理を終了する。
【0052】
ステップ220では、入力部を濃く点灯させる。ステップ100で手の接近が検出されたときには、入力者が入力操作を行おうと意図していると考えられるので、入力部60の存在位置が入力者にはっきりと分かるように、入力部60を目立つように濃く点灯させる。なお、点灯の強さは、昼間と夜間で変えてもよいし、同一としてもよい。
【0053】
ステップ120〜140では、図4と同様の処理を行う。入力操作又は手が離れたときを基準として、所定の時間が経過したらステップ230へと移る。
【0054】
ステップ230では、周囲が暗いか否かが判断される。周囲が暗ければ、ステップ240に移り、入力部60及び/又は入力画面100を薄く点灯させて入力者にその存在が運転を妨げない程度の明るさで分かるような点灯状態に戻し、処理フローを終了する。周囲が明るければ、ステップ150に移り、図4において説明したのと同様に、入力部60を消滅させて処理フローを終了する。
【実施例2】
【0055】
図9(A)は、実施例2に係る入力装置の斜視図を示している。機能ブロックは、実施例1の図1に示した構成と同一であり、処理フローも図4及び6に示したフローチャート及び図5に示した表と同様であるが、図2において示した入力画面100に用いられる操作パネルの形式及び形状が異なる。実施例1と同一の構成要素には同一の符号を付して説明を省略し、対応する構成要素については、実施例1で用いた参照符号と同一の符号番号に´(ダッシュ)を付して示す。本実施例の入力装置は、図9(A)に示すように、メインディスプレイ30と、入力画面100´と、該入力画面100´上に表示された入力部60´、該入力画面100´の入力部60´付近に取り付けて設定された接近検出手段50´、車両床上に取り付けられた色彩検出手段20及び車両床上に載置された荷物90を示す。
【0056】
入力者の手が入力画面100´に接近してくると、接近検出手段50´が該手の接近を検出し、入力部60´が入力画面100´上に表示される。入力画面100´は、図2で説明したのと同様に、透過型パネルディスプレイで構成され、透明なディスプレイ越しにある、後方の状態が視認可能になっている。また、図2で説明したのと同様に、画面はタッチパネル状のスイッチで構成された入力部60´が表示され、入力者が該入力部60´に手を触れて入力操作を行うことにより、メインディスプレイ30を遠隔操作できる。実施例1においては、透過型パネルディスプレイで構成されている入力画面100がメインディスプレイ30を覆うように構成され、運転者はメインディスプレイ30を該透過型パネルディスプレイ越しに目視していたが、実施例2おいては入力画面100´は、メインディスプレイ30を覆うようには構成されておらず、メインディスプレイの下方から後方に向かうように構成され、運転者が、該入力画面100´上でかつ手元近くに表示された入力部60´を入力操作できるように構成されている。これは、実施例1における入力画面よりも、車両室内の広々とした開放感が出る構成となっている。即ち、実施例1においては、入力画面100は運転者の目の前近くの正面にあり、透明とは言え運転者にやや圧迫感を与えるかも知れない可能性があったが、実施例2においては、入力画面が運転中は殆ど運転者の視界に入らない下方にあり、目及び身体からの距離が離れているため、広々とした空間内で運転しているという印象を運転者に与えることができる。しかも、入力画面100´は透明であるので、搭乗者にとっては同じ場所に不透明なパネルがあるときよりも、自分を取り囲む壁は遠くにあるように感じられ、広々とした快適な空間を演出できる。
【0057】
図9(B)は、図9(A)において、荷物90及び透過型パネルディスプレイである入力画面100´を運転者から見た正面図を示す。図9(B)は、入力画面100´の後背面に荷物90が載置された状態を示しており、入力者からは入力画面100´上に表示された入力部60´及び透明な入力画面100´越しに荷物90が視野内に重なって入る。入力者が入力部60´に入力操作を行う際に、荷物90が特に障害とならなければ問題無いが、入力部60´と荷物90の色が同一又は類似しているような場合には、入力者から見て入力部60´が視認しにくい場合があり得る。例えば、図9(B)において、入力部60´が茶色で、荷物90も茶色か又は黒色であったような場合には、両者が重なると、色が紛れてしまい、入力部60´の識別が非常に困難になる。このような場合に、床上に設けられた色彩センサ等の色彩検出手段20により、荷物90の色彩を検出し、入力部60´と荷物90の色彩が同一又は類似し、入力部60´が運転者から見えにくいと判断されたときには、入力部60´の色彩を変更する制御を行う。なお、色彩検出手段20は、色彩を検出できるものであれば、どのような種類・型式のものでも総て好適に使用できる。また、設置場所についても、透明パネルディスプレイ100´の後背面の色彩を検出できる場所に設けられてあればどこに設けられていてもよく、例えば透明パネルディスプレイ100の裏面上部に設け、上部から色彩を検出するようにしてもよい。
【0058】
図9(C)は、入力部60´を白色又は黄色に変更した場合を示している。入力部60´を白色又は黄色にすると、茶色又は黒色の荷物90から浮き出るような色の対比関係となり、入力部60´は運転者から非常に認識し易くなる。即ち、本実施例においては、色彩検出手段20を用い、入力者の置かれた色彩に関する環境状態を認識し、該環境状態に基づいて入力装置の入力画面100´を変更し、操作性を向上させている。
【0059】
図10は、本実施例における入力装置により実現される処理を示すフローチャートである。図4に示した処理と同様の処理については、同一の参照符号を付して説明を省略する。
【0060】
ステップ100及びステップ110では、入力者の手の接近を接近検出手段50´が検出したときには、入力部60´を入力画面100´に表示する。
【0061】
ステップ300では、色彩検出手段20により、入力画面100´の後背面に置かれた荷物90の色を検出する。
【0062】
ステップ310では、荷物90と入力部60´の色彩が同一又は類似か否かを判断する。同一又は類似と判断した場合には、ステップ320に移る。また、同一又は類似でないと判断した場合には、処理フローを終了する。なお、この判断は、厳密に色彩認識を行って両者を比較して判断してもよいが、いくつかの色の群をあるレベルにグループ化しておき、そのグループが一致するか否かでやや粗く判断するようにしてもよい。例えば、黒色、茶色、えんじを同じ色の群、また黄色と緑色を同じ群、青と紫と紺を同じ群とし、荷物90の属する色彩群と、入力部60´の属する色彩群が同一か否かで判断するような方法を採用してもよい。これらの演算は、表示制御手段70に搭載された演算手段(CPU)71で実行するのが好適である。勿論、他の演算手段を用いても構わないことは言うまでもない。
【0063】
ステップ320では、ステップ310での演算結果に基づいて、入力部60´の色を変更する。入力部60´の変更色は、荷物90と異なっていれば何でもよいが、好ましくは、両者の色の対比が鮮明なものが望ましい。従って、ある程度、黒色、茶色系に対しては黄色や緑色系統、赤色系統に対しては白色か黒色系というように、色の系列に対応した組み合わせ色を予め決めておいて用意しておくようにしてもよい。この色の変更も、表示制御手段70に搭載された演算手段(CPU)から入力画面100´の方に変更指令を出して変更制御するように構成してよい。
【0064】
なお、本実施例においては、入力画面100´は、メインディスプレイ30を覆う構成とはなっていないため、常に入力画面100´上に入力部60´を表示するような構成としても、運転者の運転中の視界を妨げるおそれは無い。従って、接近検出手段50´を特に設けることなく、常に入力画面100´上に入力部60´を表示するような構成としてもよい。このような構成とした場合において、例えば、停車時は、入力部60´を小さく表示して、車両室内の広々感を演出するようにしてもよい。入力画面100´が透明であり、車両室内の広々とした空間を演出するのに適しているため、その特性を十分に生かすことができ、また、停車時は運転による走行負担が無く、入力画面100´上の入力部60´の視認が容易であることから、操作機能上に悪影響も与えず、そのような構成としても機能上何ら問題が無いからである。
【0065】
図11(A)は、通常の運転時の入力画面100´上に常時入力部60´が表示された状態を示している。図9(A)に示したように、入力部100´は運転時の運転者の視界内には無く、視界を遮るおそれが無いため、図11(A)のように常時入力部60´を表示しても機能上悪影響を及ぼさない。図11(B)は、車両の停車時の入力画面100´の表示を示している。入力部60´が小さく表示されており、透明な入力画面100´による開放感が十分に生かされている。なお、本実施例を実現するための構成としては、例えば、図示しないが車両に搭載した速度検出器により車両の走行速度、或いはエンジンの起動・停止に連動させて車両が停止状態にあるか否かを検出し、車両が停止状態にあるときには図11(B)における入力画面100´を表示するようなプログラムを表示制御装置70に搭載した演算手段(CPU)71にインストールしておいて、実行するようにしてもよい。
【0066】
また、本実施例においては、入力画面100´が透過型パネルディスプレイで構成されている場合の入力装置を説明したが、これに限られるものではなく、例えば通常の液晶ディスプレイを用いても適用できる。例えば、図9(A)のような形状の液晶ディスプレイを用いて、実施例1で説明したような、入力画面上の入力部の表示を、入力者の手が接近したら表示し、入力操作後所定時間経過してから入力部が消滅するような構成とし、走行状態又は環境状態に応じて該所定時間を変更するような構成としてもよい。更に、同様に図9(A)と同じような形状として構成し、図11で説明したのと同じように入力部を走行時には常に大きく表示し、停車時には小さくして表示するような構成としてもよい。
【0067】
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】実施例1に係る入力装置に関連する主要構成の一例を示す機能ブロック図である。
【図2】透明重畳方式の操作装置の一例を示す斜視図である。
【図3】透過型パネルディスプレイとして構成された入力画面100の一例を示す斜視図である。
【図4】実施例1の入力装置により実現される処理を示すフローチャートである。
【図5】走行状態を決定する因子の一例を示す表である。
【図6】状態検出手段40の検出結果に基づいて所定の時間を変更する処理のフローチャートである。
【図7】図7(A)は、実施例1に係る入力装置における、夜間時の通常の入力画面100の表示を示す斜視図である。図7(B)は、実施例1に係る入力装置における、夜間時の入力時の入力画面100の表示を示す図である。
【図8】実施例1の入力装置により実現される夜間時も考慮した処理を示すフローチャートである。
【図9】図9(A)は、実施例2に係る入力装置の斜視図を示す図である。図9(B)は、入力部60´の色彩変更前の運転者から見た入力画面100´の正面図を示す図である。図9(C)は、入力部60´の色彩変更後の運転者から見た入力画面100´の正面図を示す図である。
【図10】図10は、実施例2の入力装置により実現される処理のフローチャートである。
【図11】図11(A)は、実施例2に係る入力装置の走行中の入力画面100´の表示状態を示す図である。図11(B)は、実施例2に係る入力装置の停車中の入力画面100´の表示状態を示す図である。
【符号の説明】
【0069】
30 メインディスプレイ
40 状態検出手段
50 接近検出手段
60,60´ 入力部
70 表示制御手段
71 演算手段(CPU)
72 メモリ
73 タイマ
80 車載機器
90 荷物
100,100´、101,102,103 入力画面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力部を表示する入力画面と、該入力画面に入力者の手が接近したことを検出する接近検出手段と、走行状態又は環境状態を検出する状態検出手段とを備え、
該接近検出手段が入力者の手の接近を検出したときに該入力画面に入力部を表示し、入力者の手が該入力部から離れてから所定の時間経過後に該入力部の表示を消滅させる入力装置であって、
該状態検出手段の検出結果に基づき該所定の時間を変更することを特徴とする入力装置。
【請求項2】
前記状態検出手段は、入力者の入力動作に影響を与える走行負荷に基づいて前記走行状態を検出することを特徴とする請求項1に記載の入力装置。
【請求項3】
前記走行負荷は、交通情報、路面の凹凸状態、車両の振動状態、車間距離、車両速度、車両加速度又は車両の傾きのいずれか1つ以上に基づいて検出することを特徴とする請求項2に記載の入力装置。
【請求項4】
前記入力部の表示を消滅させる前記所定の時間は、検出された走行負荷が高くなるほど、長く設定することを特徴とする請求項3に記載の入力装置。
【請求項5】
前記入力画面は、透過型パネルであって、該パネルの背後に載置された物に基づいて、該パネルの表示状態を変更することを特徴とする請求項1乃至4に記載の入力装置。
【請求項6】
前記入力者の手が前記入力部から離れたことは、接近検出手段により検出することを特徴とする請求項1乃至5に記載の入力装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−302215(P2007−302215A)
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−135796(P2006−135796)
【出願日】平成18年5月15日(2006.5.15)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】