説明

車両用入力装置

【課題】 操作部への入力操作を高精度に行うことができ、安全運転と利便性の両立を図ることができ、安全運転と利便性の両立を図ることができる車両用入力装置の提供。
【解決手段】 少なくとも運転席4の乗員から視認可能な位置に設置された表示部2と、表示部2の表示内容に関連付けられ、運転者によって操作部7への入力操作される操作部7と、運転者の有効視野を検出する有効視野検出部10eと、車速を検出する車速検出部10gと、表示部2、操作部7、有効視野検出部10e、及び車速検出部10gと通信可能に設けられ、操作部7への入力操作の有効及び無効を制御する制御部10を備え、制御部10は、車速検出部10gで検出された車速が所定速度以上で、且つ、有効視野検出部10eで検出された運転者の有効視野が表示部2または操作部7に重なった場合に、操作部7への入力操作を無効にすることとした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両用入力装置として特許文献1の記載の技術が知られている。
この発明によれば、運転席の乗員の顔が正面を向いている場合には、助手席の乗員による操作部への入力操作を有効とし、運転席の乗員の顔が正面から外れた場合には、操作部への入力操作を無効としている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2007−17409号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の発明にあっては、運転席の乗員の顔の向きで操作部への入力操作の無効・有効を行っているため、例えば、運転席の乗員が安全確認のために側方を見る場合(例えば、サイドミラーによる車両後方確認時)には、安全運転に支障が無いにも関わらず、操作部への入力操作が無効になってしまうという問題点があった。
【0004】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、操作部への入力操作を高精度に行うことができ、安全運転と利便性の両立を図ることができ、安全運転と利便性の両立を図ることができる車両用入力装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の発明では、運転席の乗員及び助手席の乗員から視認可能な位置に設置された表示部と、上記表示部の表示内容に関連付けられ、上記運転席の乗員及び助手席の乗員によって入力操作される操作部と、上記運転席の乗員の有効視野を検出する有効視野検出部と、車速を検出する車速検出部と、上記表示部、操作部、有効視野検出部、及び車速検出部と通信可能に設けられ、該操作部への入力操作の有効及び無効を制御する制御部を備え、上記制御部は、上記車速検出部で検出された車速が所定速度以上で、且つ、前記有効視野検出部で検出された運転席の乗員の有効視野が前記表示部または操作部に重なった場合に、該操作部への入力操作を無効にすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
請求項1記載の発明では、制御部は、車速検出部で検出された車速が所定速度以上で、且つ、有効視野検出部で検出された運転席の乗員の有効視野が表示部または操作部に重なった場合に、該操作部への入力操作を無効にすることとしている。
これにより、操作部への入力操作を高精度に行うことができ、安全運転と利便性の両立を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、この発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0008】
以下、実施例1を説明する。
なお、実施例1では車両用入力装置をナビゲーション装置に適用した例を説明する。
図1は実施例1の車両用入力装置が採用された車室内前方を示す図、図2は実施例1の車両用入力装置が採用されたナビゲーション装置のシステム構成図、図3は実施例1の制御部による制御処理を説明するフローチャート図である。
【0009】
先ず、全体構成を説明する。
図1に示すように、実施例1の車両用入力装置が採用されたナビゲーション装置1では、表示部(表示画面)2がインストパネル3の運転席4側と助手席5側との間に設けられている。
表示部2は、運転席4の乗員(以下、運転者と称す)及び助手席5の乗員(以下、同乗者と称す)から視認可能な位置に所定の面積範囲X1を有して車室内に向けて設けられている。
【0010】
また、表示部2の下方に近接した位置には、表示部2の表示内容に関連づけられ、運転者と同乗者により入力操作される複数の操作スイッチや操作ダイヤル6からなる操作部7が所定の面積範囲X2を有して車室内に向けて設けられている。
また、ステアリングコラム8の上には運転者の視線を検出するためのカメラ9が設けられている。
【0011】
ナビゲーション装置1には、操作部7の操作入力の有効及び無効を制御可能な制御部10が備えられている。
図2に示すように、制御部10は、CPU10a(Central Processing Unit)と、ROM10b(Read Only Memory)と、RAM10c(Random Access Memory)と、入力操作切換部10dと、有効視野検出部10eと、乗員検出部10fと、車速検出部10gと、タイマT0が備えられている。
また、制御部10には、前述した表示部2、操作部7、カメラ9の他、乗員検出センサ10h、車速センサ10i(車輪速センサ)、パーキングブレーキON/OFF状態センサ10jに電気的に接続されて通信可能に構成されている。
【0012】
乗員検出センサ10hは、助手席5に設けられた図示しない圧力センサであり、助手席5の同乗者の着座により圧力を検知すると乗員検出部10fに信号を出力する。
車速センサ10i(車輪速センサ)は、車速を検出して車速検出部10gに信号を出力する。
パーキングブレーキON/OFF状態センサ10jは、パーキングブレーキのON/OFF状態を検出して制御部10に信号を出力する。
【0013】
入力操作切換部10dは、CPU10aの指令信号により操作部7への入力操作の有効と無効を切り換える。
これにより、制御部10により操作部7への入力操作が無効になると、運転者または同乗者が操作部7を入力操作しても操作部7は入力操作を受け付けないようになっている。
なお、補足ではあるが、操作部7への入力操作が無効になると、表示部2において表示中の地図や誘導ルートが消えるわけではなく、これらは引き続き表示して動作する。
また、この際、表示部2に入力操作が無効である旨のメッセージを一時的に表示したり、音声で知らせるようにしても良い。
【0014】
有効視野検出部10eは、カメラ9で運転者の顔を撮像して、得られた画像から視線を検出した後、運転者の有効視野を検出する。
なお、運転者の視線の検出方法は、特許第379725号、及び特許第4032994号に記載の技術と同様であるため、その説明は省略する。
【0015】
実施例1の運転者の有効視野は、主に車速に応じて運転者が操作部7を入力操作して表示部2の内容を理解する際に活用され得る範囲となっている。
従って、実施例1では車速が高くなるに連れて有効視野が狭くなる。
また、車速以外にも走行環境(高速、市街地など道路環境、天候、昼夜等)、ドライバ特性(男女、年齢、操作特性)、表示部/操作部特性(表示内容(文字/ボタン)、サイズ、表示色、輝度、コントラスト等に応じて、有効視野は変更する。
例えば、表示内容が文章である場合には、有効視野が狭くなる。
また、有効視野検出部10eは、運転者の視線を検出できない場合には、全ての範囲を有効視野とする。
【0016】
乗員検出部10fは、乗員検出センサ10hからの信号により同乗者の有無を検出する。
【0017】
次に、作用を説明する。
<制御部による入力操作の有効及び無効の制御処理について>
次に、図3のフローチャート図に基づいて、実施例1の制御部10による入力操作の有効及び無効の制御処理について説明する。
なお、以下に説明する制御処理は、車両走行中に所定時間間隔で繰り返し行われる処理であり、車速センサ10iやパーキングブレーキON/OFF状態センサ10jの検出結果により、車両が停車中であると判断された場合には中止される。
【0018】
図3のステップS1では、先ず、制御部10は、操作部7への入力操作を有効にして、ステップS2に移行する。
【0019】
次に、ステップS2では、制御部10は、車速検出部10gから車速Vを取得して、この車速Vが車速Vaよりも大きいかどうかを判定し、大きい場合にはステップS3に移行し、車速Va以下の場合には、車速Vを再取得して、この判定を繰り返す。
なお、車速Vの再取得は、所定時間経過後に行うようにしても良い。
【0020】
次に、ステップS3では、制御部10は、操作部7への入力操作を無効にして、ステップS4に移行する。
【0021】
次に、ステップS4では、制御部10は、乗員検出部10fから同乗者の有無を取得して、同乗者がいる場合にはステップS5に移行し、同乗者がいない場合には、処理を終了する。
【0022】
次に、ステップS5では、制御部10は、有効視野検出部10eから運転者の有効視野を取得してステップS6に移行する。
【0023】
次に、ステップS6では、制御部10は、有効視野が表示部2または操作部7に重なっているかどうかを判定し、重なっていない場合にはステップS7に移行して、タイマT0を作動させた後、ステップS8に移行する。
なお、このタイマT0はリセットされるまで計測を継続する。
【0024】
一方、有効視野が表示部2または操作部7に重なっている場合には、ステップS10に移行してタイマT0をリセットした後、ステップS5に戻る。
【0025】
次に、ステップS8では、制御部10は、タイマT0がその作動開始から所定時間t0に達しているか判定し、所定時間t0に達している場合にはステップS9に移行し、達していない場合には、ステップS5に戻る。
ここで、所定時間t0は、走行状況に応じて運転者が車両前方を注視して、この状態が継続して経過していることを判定するための閾値であり、この値(時間)は、車速、走行環境、ドライバ特性等に基づいたデータベースから設定されている。例えば、所定時間t0は1.5秒以下に設定するのが好ましい。
【0026】
最後に、ステップS9では、制御部10は、操作部7への入力操作を有効にして処理を終了する。
【0027】
次に、実施例1の作用を説明する。
このように構成されたナビゲーション装置1では、先ず、初期状態として操作部7への入力操作が有効状態になり、その後、車速Vが車速Vaよりも高くなると、操作部7への入力操作が無効になる(ステップS1→ステップS2→ステップS3)。
これにより、車速Vが車速Vaよりも低い場合には、走行中であっても運転者または同乗者による操作部7への入力操作が可能となる。
なお、この際に可能な入力操作をある程度制限するようにしても良い。
【0028】
車速Vが車速Vaよりも高くなると、同乗者の有無が検出されて、同乗者がいない場合には操作部7への入力操作の無効が維持される(ステップS4→ステップS1)。
これにより、車速Vが車速Vaよりも高くなると、同乗者がいなければ運転者は操作部7への入力操作ができないようになっている。
【0029】
一方、同乗者がいる場合には、運転者が表示部2(面積範囲X1)または操作部7(面積範囲X2)を見ているかどうかが判定されて、運転者が表示部2または操作部7を見ていない場合には、その継続時間がタイマT0で計測される(ステップS5→ステップS6→ステップS7)。
そして、運転者が表示部2または操作部7を見ていない状態が所定時間t0継続した場合には、操作部7への入力操作が有効となる(ステップS8→ステップS9)。
また、この所定時間t0に達するまでの間は、操作部7への入力操作の無効が維持される(ステップS8→ステップS5)。
これにより、同乗者は、運転者が表示部2または操作部7を見ていないと判定されてから所定時間t0経過後に操作部7への入力操作が可能となる。
【0030】
一方、運転者が表示部2または操作部7を見ている場合には、入力操作の無効が維持される(ステップS6→ステップS10→ステップS5)。
【0031】
次に、実施例1の効果を説明する。
このように、実施例1のナビゲーション装置1では、運転者の視線が正常運転状態である前方、サイドミラーによる後方視認時等に行われた操作部7への入力操作は、同乗者による操作部7への入力操作であると判断されて、操作部7への入力操作が有効になる。
これにより、運転者の安全確認による視線の移動によって、操作部7への入力操作が無効になるのを防止できる。
【0032】
また、ナビゲーション装置1の操作は通常、階層構造になっているため、運転者が操作をするために表示部2を見ているか、単なる情報を得るために見ているかをある程度判別できる。
【0033】
また、所定時間t0を、運転状況や運転者の運転負荷や特性に合わせて変化させることで、操作性、利便性と安全性の両立が図ることができる。
【0034】
また、車速上昇など走行状況、ドライバ負荷や特性,表示内容により運転者の有効視野範囲を変化させることで、操作性、利便性、及び安全性の両立が図れる。
例えば、実施例1では車速が上昇した場合や、表示内容が文章の場合には有効視野は狭くなる。それにより有効視野が表示部2または操作部7に重なる範囲が小さくなるため、操作部7への入力操作が無効になりにくくなり,不必要に同乗者による操作部7への入力操作を無効にする場合が減る。
【0035】
さらに、有効視野検出部10eは、運転者の有効視野が検出できない場合には全ての範囲を有効視野とするため、この場合には、有効視野が表示部2または操作部7に重なることとなり、操作部7への入力操作の無効が維持される(ステップS6→ステップS10→ステップS5)。
これにより、例えば、運転者がサングラスを装着していて、視線が検出できない、即ち、有効視野が検出できない場合には、操作部7への入力操作が無効となり、安全運転を促すことにも繋がる。
【0036】
次に、実施例1の効果を請求項1〜3、5〜7に対応する(1)〜(6)と共に記載する。
(1)運転席4の運転者及び助手席5の同乗者から視認可能な位置に設置された表示部2と、表示部2の表示内容に関連付けられ、運転者及び同乗者によって入力操作される操作部7と、運転者の有効視野を検出する有効視野検出部10eと、車速を検出する車速検出部10gと、表示部2、操作部7、有効視野検出部10e、及び車速検出部10gと通信可能に設けられ、操作部7への入力操作の有効及び無効を制御する制御部10を備え、制御部10は、車速検出部10gで検出された車速が所定速度以上で、且つ、有効視野検出部10eで検出された運転者の有効視野が表示部2または操作部7に重なった場合に、操作部7への入力操作を無効にすることとした。
これにより、操作部7への入力操作を高精度に行うことができ、安全運転と利便性の両立を図ることができる。
【0037】
(2)同乗者の有無を検出可能な乗員検出部10fを備え、制御部10は、車速検出部10gで検出された車速が所定速度以上で、且つ、乗員検出部10fで同乗者が検出されない場合には、操作部7への入力操作を無効にすることを特徴とすることとした。
これにより、車速が所定速度以上で同乗者がいない場合には操作部7への入力操作が無効となり、安全運転を向上できる。
【0038】
(3)制御部10は、乗員検出部10fで同乗者を検出した場合には、有効視野検出部10eで運転者の有効視野を検出し、この検出された有効視野に表示部2または操作部7が重なった場合には、操作部7への入力操作を無効にし、検出された有効視野に表示部2または操作部7が重ならない場合には、この状態が第1所定時間(所定時間t0)の間継続した場合にのみ操作部7への入力操作を有効にすることとした。
これにより、(1)、(2)と同様の作用・効果に加えて、更に安全性を向上できる。
【0039】
(4)有効視野検出部10eは、走行状況に応じて運転者が操作部7を入力操作して表示部2の内容を理解する際に活用され得る範囲を有効視野として設定することとした。
これにより、走行状況に応じて有効視野を変更でき、安全性と利便性の両立を図ることができる。
【0040】
(5)制御部10は、有効視野検出部10eで有効視野を検出できない場合には、操作部7への入力操作を無効にすることとした。
これにより、安全性を更に向上できる。
【0041】
(6)表示部2をナビゲーション装置1の表示画面とし、操作部7をナビゲーション装置1の操作スイッチとした。
これにより、運転者が走行時に特に注視しやすいナビゲーション装置1に用いて、特に好適となる。
【実施例2】
【0042】
以下、実施例2を説明する。
実施例2において、実施例1と同様の構成部材については同じ符号を付してその説明は省略し、相違点のみ詳述する。
【0043】
図4は実施例2の操作部への入力操作時の制御処理を説明するフローチャート図である。
【0044】
実施例2では、実施例1のステップS9で操作部7への入力操作が有効になった場合に、以下に説明する操作部への入力操作有効時の制御処理を行うという点が実施例1と異なる。
また、制御部10には後述するタイマT1〜T3が備えられている。
【0045】
図4に示すように、操作部への入力操作有効時処理のステップS20では、先ず、制御部10は、有効視野検出部10eから運転者の有効視野を取得してステップS21に移行する。
【0046】
次に、ステップS21では、制御部10は、有効視野が表示部2または操作部7に重なっているかどうかを判定し、重なっている場合にはステップS22に移行する。
【0047】
次に、ステップS22では、制御部10は、タイマT1とタイマT2をそれぞれ作動させると共に、タイマT3をリセットした後、ステップS23に移行する。
なお、このタイマT1〜T3はリセットまたは一時停止されるまで計測を継続する。
【0048】
次に、ステップS23では、制御部10は、タイマT1がその作動開始から所定時間t1に達しているかどうかを判定し、所定時間t1に達している場合にはステップS24に移行する。
ここで、所定時間t1は、走行状況に応じて運転者が車両前方を注視して、この状態が継続して経過していることを判定するための閾値であり、この値(時間)は、車速、走行環境、ドライバ特性等に基づいたデータベースから設定されている。
【0049】
次に、ステップS24では、制御部10は、操作部7への入力操作を無効した後、実施例1の図3で説明したステップS3に戻る。勿論、この際、タイマT1〜T3はリセットされる。
【0050】
ステップS21において、制御部10は、有効視野が表示部2または操作部7に重なっていない場合にはステップS25に移行して、タイマT1をリセットし、タイマT2を一時停止し、タイマT3を作動した後、ステップS26に移行する。
【0051】
次に、ステップS26では、制御部10は、タイマT3がその作動開始から所定時間t3に達しているかどうかを判定し、所定時間t3に達している場合にはステップS27に移行し、達していない場合にはステップS20に戻る。
ここで、所定時間t3は、走行状況に応じて運転者が車両前方を注視して、この状態が継続して経過していることを判定するための閾値であり、この値(時間)は、車速、走行環境、ドライバ特性等に基づいたデータベースから設定されている。
【0052】
次に、ステップS27では、制御部10は、タイマT2をリセットしてステップS20に戻る。
【0053】
ステップS23において、タイマT1がその作動開始から所定時間t1に達していない場合にはステップS28に移行して、タイマT2が所定時間t2に達しているかどうかを判定し、所定時間t2に達している場合には、ステップS24に移行し、達していない場合にはステップS20に戻る。
【0054】
次に、実施例2の作用を説明する。
このように、実施例2のナビゲーション装置1では、操作入力が有効になると、運転者が表示部2または操作部7を見ているかどうかが判定され、見ている場合にはその継続時間がタイマT1で計測される(ステップS20→ステップS21→ステップS22)。
【0055】
そして、運転者が表示部2または操作部7を見ている状態が所定時間t1継続した場合には、操作部7への入力操作が無効になる(ステップS22→ステップS23→ステップS24)。
一方、運転者が表示部2または操作部7を見ていて、この所定時間t1に達しない場合には、その際に運転者が表示部2または操作部7を見ていた時間がタイマT2で累計される(ステップS23→ステップS28)。
この累計されたタイマT2が所定時間t2になると、即ち、運転者が表示部2または操作部7を間欠的に継続して見ていて、その見ている合計時間が所定時間t2になると、操作部7への入力操作が無効になる(ステップS28→ステップS24)。なお、この合計時間は例えば8秒前後とする。
これにより、運転者が故意に表示部2または操作部7を所定時間t1以下の短い時間内で間欠的に継続して見ることにより、操作部7への入力操作の有効が維持されるのを防止でき、安全運転の向上に繋がる。
【0056】
一方、運転者が表示部2または操作部7を見ていない場合には、その見ていない継続時間がタイマT3で計測される(ステップS21→ステップS25)。
このタイマT3が所定時間t3になると、即ち、運転者が表示部2または操作部7を見ていない状態が所定時間t3継続すると、タイマT2がリセットされると共に、操作部7への入力操作の有効が維持される。(ステップS26→ステップS27→ステップS20)。
また、この所定時間t3に達するまでの間は、タイマT3が作動しながら操作部7への入力操作の有効が維持される。(ステップS26→ステップS20)。
【0057】
次に、実施例2の効果を説明する。
このように構成された実施例2のナビゲーション装置1では、操作部7への入力操作の有効時において、運転者の視線が表示部2または操作部7に所定時間t1以上停留する場合、もしくは停留総時間が所定時間t2に達した場合は、同乗者による操作部7への入力操作であっても、運転者の注意がナビゲーション装置1に集中して安全上運転に支障があるため、操作部7への入力操作を無効にしている。
これにより、入力操作が同乗者によるものであっても、運転者が表示部の操作結果を注視することを防止できる。
特に、運転者が同乗者の入力操作に気をとられて、一度の注視時間は短いが,短時間に繰り返し何度も見返すような状況を防ぐことができ、運転者の脇見運転を防止して、安全性を向上できる。
【0058】
また、走行中で運転者による操作部7への入力操作であっても、運転者の視線による表示部2または操作部7への視線停留時間が短い簡便な操作の場合には操作部7への入力操作が有効であるため、例えば、地図の縮尺変更等は行うことができ、利便性を確保できる。
【0059】
また、所定時間t1〜t3を運転状況、ドライバの運転負荷や特性に合わせて、変化させることで、操作性、利便性と安全性の両立が図れる。
【0060】
最後に、実施例2の効果を請求項4に対応する(7)と共に記載する。
(7)検出された有効視野に表示部2または操作部7が重なる状態が間欠して継続した場合には、この有効視野に入っているときの時間のみを累計すると共に、操作部7への入力操作を有効にし、累計した時間が、第2所定時間(所定時間t2)に達した場合には、操作部7への入力操作を無効にすることとした。
これにより、運転者が故意に表示部2または操作部7を間欠的に継続して見る場合に、操作部7への入力操作の有効が維持されるのを防止でき、安全運転の向上に繋がる。
【0061】
以上、実施例を説明してきたが、本発明は上述の実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても、本発明に含まれる。
例えば、操作部7は通常、複数の操作スイッチ及び操作ダイヤルで構成されるため、一部の操作部7のみの入力操作の有効及び無効を制御することもできる。
また、入力操作を有効にする場合には、少ない回数での入力操作のみに有効にするようにしても良い。即ち、表示部の表示内容が階層構造になっている場合には、比較的浅い階層に配置されている表示内容のみ、入力操作により表示できるようにすることもできる。
【0062】
また、実施例1のナビゲーション装置1の表示部2で空調、オーディオ、テレビ、インターネット等の各種情報を表示したり、これらを操作部への入力操作により設定・変更できるようにすることは勿論可能であり、その場合もこの発明と同様の作用・効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】実施例1の車両用入力装置が採用された車室内前方を示す図である。
【図2】車両用入力装置が採用されたナビゲーション装置のシステム構成図である。
【図3】実施例1の制御部による制御処理を説明するフローチャート図である。
【図4】実施例2の操作部への入力操作時の制御処理を説明するフローチャート図である。
【符号の説明】
【0064】
T0、T1、T2、T3 タイマ
1 ナビゲーション装置
2 表示部
3 インストパネル
4 運転席
5 助手席
6 操作スイッチ及び操作ダイヤル
7 操作部
8 ステアリングコラム
9 カメラ
10 制御部
10a CPU
10b ROM
10c RAM
10d 入力操作切換部
10e 有効視野検出部
10f 乗員検出部
10g 車速検出部
10h 乗員検出センサ
10i 車速センサ
10j パーキングブレーキON/OFF状態センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転席の乗員及び助手席の乗員から視認可能な位置に設置された表示部と、
前記表示部の表示内容に関連付けられ、前記運転席の乗員及び助手席の乗員によって入力操作される操作部と、
前記運転席の乗員の有効視野を検出する有効視野検出部と、
車速を検出する車速検出部と、
前記表示部、操作部、有効視野検出部、及び車速検出部と通信可能に設けられ、該操作部への入力操作の有効及び無効を制御する制御部を備え、
前記制御部は、前記車速検出部で検出された車速が所定速度以上で、且つ、前記有効視野検出部で検出された運転席の乗員の有効視野が前記表示部または操作部に重なった場合に、該操作部への入力操作を無効にすることを特徴とする車両用入力装置。
【請求項2】
請求項1記載の車両用入力装置において、
助手席の乗員の有無を検出可能な乗員検出部を備え、
前記制御部は、車速検出部で検出された車速が所定速度以上で、且つ、乗員検出部で助手席の乗員が検出されない場合には、操作部への入力操作を無効にすることを特徴とする車両用入力装置。
【請求項3】
請求項2記載の車両用入力装置において、
前記制御部は、乗員検出部で助手席の乗員を検出した場合には、有効視野検出部で運転席の乗員の有効視野を検出し、この検出された有効視野に表示部または操作部が重なった場合には、操作部への入力操作を無効にし、
前記検出された有効視野に表示部または操作部が重ならない場合には、この状態が第1所定時間の間継続した場合にのみ操作部への入力操作を有効にすることを特徴とする車両用入力装置。
【請求項4】
請求項3記載の車両用入力装置において、
前記制御部は、前記検出された有効視野に表示部または操作部が重なる状態が間欠して継続した場合には、この有効視野に入っているときの時間のみを累計すると共に、操作部への入力操作を有効にし、
前記累計した時間が、第2所定時間に達した場合には、操作部への入力操作を無効にすることを特徴とする車両用入力装置。
【請求項5】
請求項1〜4のうちのいずれかに記載の車両用入力装置において、
前記有効視野検出部は、走行状況に応じて運転席の乗員が操作部を入力操作して表示部の内容を理解する際に活用され得る範囲を有効視野として設定することを特徴とする車両用入力装置。
【請求項6】
請求項1〜5のうちのいずれかに記載の車両用入力装置において、
前記制御部は、有効視野検出部で有効視野を検出できない場合には、操作部への入力操作を無効にすることを特徴とする車両用入力装置。
【請求項7】
請求項1〜6のうちのいずれかに記載の車両用入力装置において、
前記表示部をナビゲーション装置の表示画面とし、
前記操作部を前記ナビゲーション装置の操作スイッチとしたことを特徴とする車両用入力装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−127673(P2010−127673A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−300569(P2008−300569)
【出願日】平成20年11月26日(2008.11.26)
【出願人】(000004765)カルソニックカンセイ株式会社 (3,404)
【Fターム(参考)】