説明

車両用周辺監視装置

【課題】ユーザを困惑させることなく、低コストで実現可能な車両用周辺監視装置を提供する。
【解決手段】車両用周辺監視装置50は、車両が有するサイドミラーの鉛直下方を含む左側方の情景及び右側方の情景を撮影した撮像画像を取得する一対のサイドカメラ12と、車両の後方上部から前方下部を望む車両のイメージ画像IG、或いは車両の前方上部から後方下部を望む車両のイメージ画像IGを生成するイメージ画像生成部36と、左側方の情景を撮影した撮像画像CGに基づいてイメージ画像IGの左側に描画される左側方画像LGを生成し、右側方の情景を撮影した撮像画像CGに基づいてイメージ画像IGの右側に描画される右側方画像RGを生成する側方画像生成部34とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の周辺を監視する車両用周辺監視装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両には、周囲の状況を確認するためにサイドミラーやルームミラーが備えられているが、これらのミラーを用いても車両の構造上、運転席から情景を確認することができない死角が存在する。このような死角を極力少なくするために、車体(例えばボンネット近傍やリアゲート近傍)にミラーを備えている車両がある。しかしながら、この種のミラーを用いても死角を完全になくすことは容易ではなく、また、このようなミラーを配設した場合には車両のデザインを損なわせることになる。このような問題を鑑みて、近年においては、車両の各部に配設されたカメラにより取得された撮像画像を用いて車両の周囲の状況を確認する技術が利用されている(例えば非特許文献1及び2等)。
【0003】
非特許文献1及び2に記載の技術は、例えば車両を後退させる場合に、車両の後方の情景を撮影して取得された撮像画像と、車両の周囲に配設される4つのカメラにより撮影して取得された撮像画像を用いて生成された車両の周囲を含む鳥瞰画像と、を左右に並べてディスプレイに表示している。
【0004】
しかしながら、非特許文献1及び2に記載の技術では、4つのカメラにより取得された撮像画像を用いて鳥瞰画像を生成しているので、鳥瞰画像に含まれる立体物が撮影されたカメラから放射線状に伸びて表示され不自然なものとなる。また、鳥瞰画像に含まれる立体物が放射状に伸びて表示されることから、ユーザが当該立体物を路面の描画物であると勘違いする可能性がある。このため、車両が立体物に衝突するおそれがある。また、鳥瞰画像において表示される撮像画像が、夫々のカメラが撮影する領域毎に分けられて用いられるので、当該領域の境界部分において立体物が消滅してしまうことがある。このため、ユーザが困惑する可能性もある。このような問題を改善するための技術として、下記に出典を示す特許文献1−3に記載の技術がある。
【0005】
特許文献1に記載の車両周囲監視装置は、車両に8つのカメラを備え、これらのカメラにより取得された撮像画像を用いて車両の全周囲を含む鳥瞰画像を生成する。これらのカメラは、各カメラの撮影範囲の境界部分で垂直に立っている立体物が鳥瞰画像において消滅しないように、当該境界部分で立体物が同じ方向に伸びるような角度で配設される。
【0006】
特許文献2に記載の車両後方モニタシステムは、車両の後方の情景を撮影する後方カメラと、車両の左右両側方に備えられる側方カメラとを備えて構成される。この車両後方モニタシステムは、後方カメラにより取得された撮像画像を用いて俯瞰画像を生成し、当該俯瞰画像と側方カメラにより取得された撮像画像とを組み合わせて一つの画面に表示する。
【0007】
特許文献3に記載の車両用映像表示装置は、車両に複数のカメラを備えて構成される。この車両用映像表示装置は、複数のカメラにより取得された撮像画像に基づいて車両上空の所定の視点から車両を投射した投射映像を生成し、当該作成された投射映像に車両上空の視点からの車両のグラフィックデータを重畳させて表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2003−204547号公報
【特許文献2】特許第3916958号明細書
【特許文献3】特開2003−346189号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】技術紹介(アラウンドビューモニター 日産自動車株式会社)[平成21年2月4日検索]、インターネット<URL:http://www.nissan-global.com/JP/TECHNOLOGY/INTRODUCTION/DETAILS/AVM/>
【非特許文献2】技術紹介(四輪製品ニュース 本田技研工業株式会社)[平成21年2月4日検索]、インターネット<URL:http://www.honda.co.jp/news/2008/4080918b.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1に記載の車両周囲監視装置は、カメラが撮影する領域の境界部分において立体物が消滅してしまうことは少ないが、4つのカメラで車両の全周囲の鳥瞰画像を生成できるところ、8つのカメラを使用するため余計なコストを要する。また、立体物が不自然に伸びることは解消されていない。このため、ユーザが立体物を路面の描画物と勘違いする可能性があるため、車両が立体物に接触する可能性がある。
【0011】
また、特許文献2に記載の車両後方モニタシステムは、側方カメラはサイドミラー越しに見た映像として表示し、俯瞰画像は画面下部が遠方になるように表示される。このため、ユーザが俯瞰画像と側方カメラにより取得された撮像画像との間で視点を切り替えた場合に、夫々の進行方向が異なるので直感的に分かりにくいものとなっている。また、側方カメラは車両の後方に向けて配設されており、車両の側方前端部を表示するには更に2つの側方カメラが必要となり、コストを要してしまう。
【0012】
また、特許文献3に記載の車両用映像表示装置は、車両上空の視点からの画像を表示することが開示されているが、具体的にディスプレイに表示させる方法については何ら開示されていない。
【0013】
非特許文献1及び2に記載の技術は、後退走行時は車両の後方画像と鳥瞰画像とを左右に並べて表示する。後方画像は進行方向遠方部が画面の上方になり、鳥瞰画像は進行方向遠方部が画面の下方になる。このように夫々の画像において進行方向が異なるので、ユーザは困惑してしまい、結果いずれか一方の画像しか参照しない(見ない)ケースが多々ある。
【0014】
本発明の目的は、上記問題に鑑み、ユーザを困惑させることなく、低コストで実現可能な車両用周辺監視装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するための本発明に係る車両用周辺監視装置の特徴構成は、車両が有するサイドミラーに備えられ、当該サイドミラーの鉛直下方を含む前記車両の左側方の情景及び右側方の情景を撮影した撮像画像を取得する一対のサイドカメラと、前記車両の後方上部から当該車両の前方下部を望む、少なくとも車両の一部とサイドミラーとを含む前記車両のイメージ画像、或いは前記車両の前方上部から当該車両の後方下部を望む、少なくとも車両の一部とサイドミラーとを含む前記車両のイメージ画像を生成するイメージ画像生成部と、前記左側方の情景を撮影した撮像画像に基づいて、前記車両の車内に備えられるモニタに表示される前記イメージ画像の左側に描画される当該イメージ画像に応じた左側方画像を生成し、前記右側方の情景を撮影した撮像画像に基づいて、前記モニタに表示される前記イメージ画像の右側に描画される当該イメージ画像に応じた右側方画像を生成する側方画像生成部と、を備える点にある。
【0016】
このような特徴構成とすれば、モニタには、車両を後方上部或いは前方上部から見下ろした視点での表示画像が表示されるので、車両の周辺に存在する物体が不自然に伸びることがない。また、モニタに表示されるイメージ画像は、撮像画像には含まれないサイドミラーを含んで生成されるので、ユーザは車両とその周囲に存在する物体との位置関係を把握し易い。したがって、ユーザは困惑することなく、車両の周囲の状況を把握することができる。また、左右のサイドミラーに夫々1つずつのサイドカメラを備えるだけで良いので、車両用周辺監視装置を低コストで実現することが可能となる。
【0017】
また、前記車両の前方の情景を撮影した撮像画像を取得するフロントカメラが備えられ、前記車両が有するシフトレバーのシフト位置が少なくとも前進走行用の位置である場合に、前記イメージ画像と前記左側方画像と前記右側方画像との上方に、前記フロントカメラにより取得された撮像画像に基づいて生成される前方画像が表示されると好適である。
【0018】
このような構成とすれば、車両の移動に合わせて変化する前方画像に表示される情景の移動方向と、車両の移動に合わせて変化する左側方画像及び右側方画像に表示される情景の移動方向とを同じにすることができる。したがって、ユーザは前方画像と、左側方画像及び右側方画像とのつながりを把握し易い。したがって、ユーザは困惑することなく車両の周囲の状況を把握することが可能となる。
【0019】
また、前記車両の後方の情景を撮影した撮像画像を取得するリアカメラが備えられ、前記車両が有するシフトレバーのシフト位置が少なくとも後退走行用の位置である場合に、前記イメージ画像と前記左側方画像と前記右側方画像との上方に、前記リアカメラにより取得された撮像画像に基づいて生成される後方画像が表示されると好適である。
【0020】
このような構成とすれば、車両の移動に合わせて変化する後方画像に表示される情景の移動方向と、車両の移動に合わせて変化する左側方画像及び右側方画像に表示される情景の移動方向とを同じにすることができる。したがって、ユーザは後方画像と、左側方画像及び右側方画像とのつながりを把握し易い。したがって、ユーザは困惑することなく車両の周囲の状況を把握することが可能となる。
【0021】
また、前記シフト位置が前記後退走行用の位置である場合の前記イメージ画像が鏡像であると好適である。
【0022】
一般的に後方画像は、ルームミラーに表示されるが如く鏡像画像として表示されるが、それと同様に、左側方画像及び右側方画像も鏡像で表示することで、後方画像と左側方画像及び右側方画像とのつながりを分かり易くすることができる。また、鏡像とすることで、実空間における車両の左右の位置関係と、モニタに表示される表示画像における車両の左右の位置関係とを同じにすることができるので、ユーザは車両の周囲に存在する物体の位置関係を直感的に理解し易くなる。
【0023】
また、前記左側方画像及び前記右側方画像の視点角度が、前記後方画像の視点角度と略等しいと好適である。
【0024】
このような構成とすれば、夫々の画像の視点角度が略等しいので、夫々の画像間におけるつながりをスムーズにすることができる。したがって、ユーザが夫々の画面間にわたって視点を切り替えた場合でも困惑することがなくなる。
【0025】
また、前記モニタに表示される前記左側方画像及び前記右側方画像の上端が、少なくとも前記前方画像に含まれる前記車両に最も近い側の領域と重複するように生成されると好適である。
【0026】
このような構成とすれば、夫々の画像間におけるつながりをスムーズにすることができる。したがって、ユーザは車両の周囲の状況を容易に理解することが可能となる。
【0027】
また、前記モニタに表示される前記左側方画像及び前記右側方画像の上端が、少なくとも前記後方画像に含まれる前記車両に最も近い側の領域と重複するように生成されると好適である。
【0028】
このような構成とすれば、夫々の画像間におけるつながりをスムーズにすることができる。したがって、ユーザは車両の周囲の状況を容易に理解することが可能となる。
【0029】
また、前記一対のサイドカメラは、鉛直下方向を向いて備えられてあると好適である。
【0030】
このような構成において、例えば魚眼レンズを供えたサイドカメラを用いれば、1つのサイドカメラで車両の前方から後方までを撮像可能な側方画像を取得することができる。このため、車両の左右夫々に1つずつサイドカメラを備えればよいので、低コストで車両用周辺監視装置を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明に係る車両用監視装置を備えた車両の概略を示す図である。
【図2】本発明に係る車両用監視装置の概略を示すブロック図である。
【図3】視点について示す図である。
【図4】前進走行時の斜め上方を視点とした場合の表示画像の例を示す図である。
【図5】前進走行時の鉛直上方を視点とした場合の表示画像の例を示す図である。
【図6】前進走行時の車両前方のみの表示画像の例を示す図である。
【図7】後退走行時の斜め上方を視点とした場合の表示画像の例を示す図である。
【図8】後退走行時の鉛直上方を視点とした場合の表示画像の例を示す図である。
【図9】後退走行時の車両後方のみの表示画像の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。図1は、本発明に係る車両用周辺監視装置50を備える車両100の概略を示す鳥瞰図である。車両100には、カメラデバイス1としてフロントカメラ11、サイドカメラ12、リアカメラ13が備えられる。フロントカメラ11は、車両100の前方の情景を撮影した撮像画像CGを取得する。フロントカメラ11は例えばCCDカメラ等により構成される。このようなフロントカメラ11は、図1に示されるように、車両100のフロント部分(例えばフロントグリル等)に備えられる。フロントカメラ11は、例えば魚眼レンズを用いて構成すると好適であり、係る場合には少なくとも図1のAで示される領域の情景を含む撮像画像CGが取得される。
【0033】
サイドカメラ12は、車両100が有するサイドミラー60に備えられる。また、当該サイドカメラ12は、サイドミラー60の鉛直下方を含む車両100の左側方の情景及び右側方の情景を撮影した撮像画像CGを取得する一対のサイドカメラ12a、12b(左サイドカメラ12a及び右サイドカメラ12b)から構成される。本実施形態では、図1に示されるように、車両100の進行方向に対して左側方のサイドミラー60aに備えられるものを左サイドカメラ12aとし、進行方向に対して右側方のサイドミラー60bに備えられるものを右サイドカメラ12bとして説明する。また、特に左サイドカメラ12a及び右サイドカメラ12bのいずれかを限定する必要がない場合には、サイドカメラ12として記載する。
【0034】
左サイドカメラ12aは、左側方のサイドミラー60aの鉛直下方を含む車両100の左側方の情景を撮影し、撮像画像CGを取得する。上述のフロントカメラ11と同様に、サイドカメラ12も魚眼レンズを用いて構成すると好適である。係る場合には、左サイドカメラ12aにより少なくとも図1のBで示される領域の情景を撮影した撮像画像CGが取得される。右サイドカメラ12bは、右側方のサイドミラー60bの鉛直下方を含む車両100の右側方の情景を撮影し、撮像画像CGを取得する。右サイドカメラ12bにより少なくとも図1のCで示される領域の情景を撮影した撮像画像CGが取得される。
【0035】
リアカメラ13は、車両100の後方の情景を撮影した撮像画像CGを取得する。リアカメラ13は、図1に示されるように、車両100のリア部分(例えばリアバンパーやリア部分に備えられるモール等)に備えられる。リアカメラ13も、例えば魚眼レンズを用いて構成すると好適であり、係る場合には少なくとも図1のDで示される領域の情景を撮影した撮像画像CGが取得される。このように、各カメラで撮影される領域は、互いの境界部分において重複するように構成することが可能である。また、図示はしないが、上述の領域A−Dは、夫々重複する領域を有さないように構成することも可能である。
【0036】
本発明に係る車両用周辺監視装置50は、このような車両100に備えられるフロントカメラ11、サイドカメラ12、リアカメラ13により取得された撮像画像CGを用いて、ユーザが好適に車両100の周囲を監視する機能を備えている。図2は、本車両用周辺監視装置50の概略構成を模式的に示すブロック図である。
【0037】
車両用周辺監視装置50は、カメラデバイス1、センサデバイス2、ECU(電子制御ユニット)3、モニタ41、視点切替スイッチ42を備えて構成される。カメラデバイス1は、フロントカメラ11、左サイドカメラ12a、右サイドカメラ12b、リアカメラ13を備えて構成される。センサデバイス2は、ステアリングセンサ21、車輪速センサ22、シフト位置センサ23を備えて構成される。ECU3は、撮像画像取得部31、視点設定部32、前方画像生成部33、側方画像生成部34、後方画像生成部35、イメージ画像生成部36、予測進路線生成部37、表示画像生成部38の各機能部を備えて構成される。このように構成される本車両用周辺監視装置50は、CPUを中核部材として車両100の周辺を監視する種々の処理を行うための上述の機能部がハードウェア又はソフトウェア或いはその両方で構築されている。
【0038】
フロントカメラ11、左サイドカメラ12a、右サイドカメラ12b、リアカメラ13は、夫々が少なくとも領域A−D(図1参照)を含む情景を撮影した撮像画像CGを取得する。このように取得された撮像画像CGは、後述の撮像画像取得部31に伝達される。
【0039】
ステアリングセンサ21は、車両50が有するステアリング61(図1参照)の舵角を検出する。舵角とは、中立状態からステアリング61を時計方向又は反時計方向に回転させた際の回転角に相当するものである。中立状態とは、車両100が備える車輪62の操舵輪(例えば前輪)の方向が車幅と平行となる状態、すなわち車両100が直進可能となる状態である。このようなステアリング61の回転角を検出するステアリングセンサ21は、ホール素子を用いて構成することが可能である。ホール素子は電流が流れている導体に磁界を加えた場合に、導体内部の電荷が横方向に動かされるように受ける力に応じて起電力を生じるホール効果を利用して磁束を検出する素子である。
【0040】
このようなホール素子を用いる場合には、ステアリング61の回転軸の周囲に永久磁石を配設し、ステアリング61の回転に応じて変化する磁界をホール素子により検出すると好適である。また、ホール素子から出力される検出結果は電気信号であるので、ステアリングセンサ21は当該検出結果に基づいてステアリング61の舵角を演算する。ステアリングセンサ21により演算された舵角は舵角情報として、後述の予測進路線生成部37に伝達される。
【0041】
車輪速センサ22は、車両100が有する車輪62(図1参照)の回転速度の検出を行う。車輪速センサ22も上述のステアリングセンサ21と同様にホール素子を用いて構成することが可能であり、適切に車輪62の回転速度を検出することができる。車輪速センサ22は、例えば左前輪の回転軸及び右前輪の回転軸に夫々備えると好適である。このように左右両輪の回転軸に備えることにより、直進及び旋回の別を検出することが可能となる。即ち、左右両輪の回転速度が同じであれば直進であると判定することができ、左右両輪の回転速度が異なっていれば回転速度の遅い方に旋回をしていると判定することができる。なお、車輪速センサ22は車両100が備える前輪の回転軸及び後輪の回転軸の少なくともいずれか一方に備えていれば良い。車輪速センサ22により検出された車輪速度の検出結果は、後述する予測進路線生成部37に伝達される。
【0042】
シフト位置センサ23は、車両100が有するシフトレバー63(図1参照)のシフト位置の検出を行う。シフトレバー63は、本実施形態においては、AT(Automatic Transmission)機構が備えるギヤの切り替えを行うレバーである。このようなAT機構は変速機内部で駆動系が固定され、主に駐車時に使用する〔P〕レンジ、後退時に使用する〔R〕レンジ、変速機内部がフリー状態となり、エンジンからの動力を駆動系に伝達しないようにする〔N〕レンジ、通常走行時に使用する〔D〕レンジ、下り坂等エンジンブレーキを使用する際に使用し、シフトアップの上限を2速に固定する〔2〕レンジ、急な下り坂等、強力なエンジンブレーキを使用する際に使用し、ギヤが1速に固定される〔1〕レンジを有している。AT機構は、このようなシフトレンジに対応するシフト位置毎に出力電圧が出力可能に設定され、シフト位置センサ23は当該出力電圧を検出することにより現在のシフト位置の検出が可能となる。シフト位置センサ23により検出されたシフト位置の検出結果は、後述する視点設定部32及び予測進路線生成部37に伝達される。
【0043】
撮像画像取得部31は、各カメラ11−13から伝達される撮像画像CGを取得する。撮像画像取得部31により取得される撮像画像CGは、撮像画像取得部31が備える一次記憶領域(図示しない)に一次記憶され、必要に応じて後述する前方画像生成部33、側方画像生成部34、後方画像生成部35により読み出されて(抽出されて)使用される。なお、撮像画像取得部31に一次記憶された撮像画像CGは、一次記憶されてから所定時間が経過する毎に消去する構成とすることも可能であるし、ユーザのスイッチ操作等により消去する構成とすることも可能である。或いは、一次記憶領域の容量を所定の固定値で設定し、所謂先入れ先出し方式で一次記憶と消去とを行う構成とすることも可能である。
【0044】
視点設定部32は、詳細は後述するが、車両100の車内に備えられるモニタ41に表示される車両100の周囲の情景や車両100のイメージ画像IG(後述する)の視点を設定する。この視点の設定は、シフト位置センサ23から伝達されるシフトレバー63のシフト位置の検出結果や、ユーザによる視点切替スイッチ42の操作に応じて設定される。例えば、シフト位置センサ23の検出結果に基づいて視点の設定を行う場合には、シフトレバー11の位置が少なくとも前進走行用の位置、即ち、上述のAT機構が有するレンジの〔D〕レンジ、〔2〕レンジ、〔1〕レンジのいずれかの位置にある場合には前進走行用の視点に設定し、シフトレバー11の位置が少なくとも後退走行用の位置、即ち、上述のAT機構が有するレンジの〔R〕レンジの位置にある場合には後退走行用の視点に設定する。
【0045】
ここで、本車両用周辺監視装置50は、詳細は後述するが、車両100の斜め上方から斜め下方を望む視点とする当該車両100の周囲の情景と、車両100の鉛直上方を視点とする当該車両100の周囲の情景とを選択的に切り替えてモニタ41に表示することが可能である。この切り替えは、ユーザが視点切替スイッチ42を押下することにより行うことが可能である。本実施形態では、車両100の斜め上方からの視点がデフォルトとして設定されているとして説明する。したがって、視点設定部38は、シフトレバーが前進走行用の位置にある場合には、前進走行用の斜め上方からの視点として設定し、シフトレバーが後退走行用の位置にある場合には、後退走行用の斜め上方からの視点として設定する。
【0046】
前進走行用の斜め上方からの視点とは、図3(a)の矢印で示されるような車両100の後方上部から当該車両100の前方下部を望む形態とした場合の視点である。なお、上述の視点切替スイッチ42を押下すると、このような視点から図3(b)の矢印で示されるように車両100を鉛直方向で見下ろした場合の視点に変更することが可能である。また、後退走行用の斜め上方の視点とは、図3(c)の矢印で示されるような車両100の前方上部から当該車両100の後方下部を望む形態とした場合の視点である。なお、上述の視点切替スイッチ42を押下すると、前進走行用の斜め上方からの視点から視点切替スイッチ42が押下された場合と同様に、このような視点から図3(b)の矢印で示されるように車両100を鉛直方向で見下ろした場合の視点に変更することが可能である。視点設定部32により設定された視点を示す情報は、後述の前方画像生成部33、側方画像生成部34、後方画像生成部35、イメージ画像生成部36、予測進路線生成部37に伝達される。
【0047】
イメージ画像生成部36は、視点設定部32により設定された視点に応じた車両100のイメージ画像IGを生成する。詳細は後述するが、イメージ画像IGは、図3(a)のように車両100の後方上部から当該車両100の前方下部を望む場合のイメージ画像IG1Fと、図3(b)のように車両100を鉛直方向から見下ろした場合のイメージ画像IG2と、図3(c)のように車両100の前方上部から当該車両100の後方下部を望む場合のイメージ画像IG1Bと、からなる。したがって、視点設定部32により斜め上方からの視点が設定されている場合には、イメージ画像生成部36は、車両100の後方上部から当該車両100の前方下部を望む、少なくとも車両の一部とサイドミラー60とを含む車両100のイメージ画像IG1F、或いは車両100の前方上部から当該車両100の後方下部を望む、少なくとも車両の一部とサイドミラー60とを含む車両100のイメージ画像IG1Bを生成する。
【0048】
即ち、視点設定部32により前進走行用の斜め上方からの視点が設定されている場合には、イメージ画像IG1Fが生成される。このイメージ画像IG1Fには、少なくとも車両の前方部とサイドミラー60とが含まれるように生成される。一方、視点設定部32により後退走行用の斜め上方からの視点が設定されている場合には、イメージ画像IG1Bが生成される。このイメージ画像IG1Bには、車両の後方部とサイドミラー60とが含まれるように生成される。イメージ画像生成部36により生成されたイメージ画像IGは、後述する表示画像生成部38に伝達される。
【0049】
前方画像生成部33は、車両100が有するシフトレバー63の位置が少なくとも前進走行用の位置である場合に、フロントカメラ11により取得された撮像画像CGに基づいて前方画像FGを生成する。シフトレバー63の位置が少なくとも前進走行用の位置とは、上述のAT機構が有するレンジの〔D〕レンジ、〔2〕レンジ、〔1〕レンジが相当する。シフトレバー63がこのような位置にあるか否かは、上述のシフト位置センサ23により検出される。この検出結果に基づいて、上述の視点設定部32がモニタ41に表示する画像の視点を前進走行用の視点に設定する。
【0050】
また、詳細は後述するが、前方画像FGは、図3(a)のように車両100の後方上部から前方下部を見下ろした場合の前方画像FG1と、図3(b)のように車両100を鉛直方向で見下ろした場合の前方画像FG2と、からなる。前方画像生成部33は視点設定部32により設定された視点を示す情報が伝達されると、撮像画像取得部31に一次記憶されているフロントカメラ11により取得された撮像画像CGを抽出する。前方画像生成部33は抽出された撮像画像CGを用いて、モニタ41への表示に適した前方画像FGを生成する。このように生成された前方画像FGは、後述する表示画像生成部38に伝達される。前方画像FGについては後述する。
【0051】
後方画像生成部35は、車両100が有するシフトレバー63の位置が少なくとも後退走行用の位置である場合に、リアカメラ13により取得された撮像画像CGに基づいて後方画像BGを生成する。シフトレバー63の位置が少なくとも後退走行用の位置とは、上述のAT機構が有するレンジの〔R〕レンジが相当する。シフトレバー63がこのような位置にあるか否かは、上述のシフト位置センサ23により検出される。この検出結果に基づいて、上述の視点設定部32がモニタ41に表示する画像の視点を後退走行用の視点に設定する。
【0052】
また、詳細は後述するが、後方画像BGは、図3(c)のように車両100の前方上部から後方下部を見下ろした場合の後方画像BG1と、図3(b)のように車両100を鉛直方向で見下ろした場合の後方画像BG2と、からなる。後方画像生成部35は視点設定部32により設定された視点を示す情報が伝達されると、撮像画像取得部31に一次記憶されているリアカメラ13により取得された撮像画像CGを抽出する。後方画像生成部35は抽出された撮像画像CGを用いて、モニタ41への表示に適した後方画像BGを生成する。このように生成された後方画像BGは、後述する表示画像生成部38に伝達される。後方画像BGについては後述する。
【0053】
側方画像生成部34は、左側方の情景を撮影した撮像画像CGに基づいて、車両100に備えられるモニタ41に表示されるイメージ画像IGの左側に描画されるイメージ画像IGに応じた左側方画像LGを生成し、右側方の情景を撮影した撮像画像CGに基づいて、モニタ41に表示されるイメージ画像IGの右側に描画されるイメージ画像IGに応じた右側方画像RGを生成する。左側方の情景を撮影した撮像画像CGとは、左サイドカメラ12aにより取得された撮像画像CGである。側方画像生成部34は、視点設定部32により設定される視点が、前進走行用の視点或いは後退走行用の視点のいずれであっても、左側方の情景が必要である場合には撮像画像取得部31に一次記憶されている左サイドカメラ12aにより取得された撮像画像CGを抽出する。
【0054】
側方画像生成部34は、抽出された左サイドカメラ12aによる撮像画像CGを用いて、モニタ41に表示されるイメージ画像IGの左側に描画されるイメージ画像IGに応じた左側方画像LGを生成する。モニタ41に表示されるイメージ画像IGとは、イメージ画像生成部36により生成されたイメージ画像IGであり、イメージ画像IGの左側とは、前進走行用の視点或いは後退走行用の視点に拘らず、モニタ41に表示されたイメージ画像IGの左側を意味する。イメージ画像IGに応じた左側方画像LGとは、イメージ画像IGが車両100の前方上部から後方下部を望むイメージ画像IGである場合には、前方上部から後方下部を望む左側方画像LGであり、イメージ画像IGが車両100の後方上部から前方下部を望むイメージ画像IGである場合には、後方上部から前方下部を望む左側方画像LGであることを意味する。
【0055】
また、右側方の情景を撮影した撮像画像CGとは、右サイドカメラ12bにより取得された撮像画像CGである。側方画像生成部34は、視点設定部32により設定される視点が、前進走行用の視点或いは後退走行用の視点のいずれであっても、右側方の情景が必要である場合には撮像画像取得部31に一次記憶されている右サイドカメラ12bにより取得された撮像画像CGを抽出する。側方画像生成部34は、抽出された右サイドカメラ12bによる撮像画像CGを用いて、モニタ41に表示されるイメージ画像IGの右側に描画されるイメージ画像IGに応じた右側方画像RGを生成する。モニタ41に表示されるイメージ画像IGとは、イメージ画像生成部36により生成されたイメージ画像IGであり、イメージ画像IGの右側とは、前進走行用の視点或いは後退走行用の視点に拘らず、モニタ41に表示されたイメージ画像IGの右側を意味する。イメージ画像IGに応じた右側方画像RGとは、イメージ画像IGが車両100の前方上部から後方下部を望むイメージ画像IGである場合には、前方上部から後方下部を望む右側方画像RGであり、イメージ画像IGが車両100の後方上部から前方下部を望むイメージ画像IGである場合には、後方上部から前方下部を望む右側方画像RGであることを意味する。
【0056】
なお、詳細は後述するが、左側方画像LGは、図3(a)のように車両100の後方上部から当該車両100の前方下部を望む場合の左側方画像LG1Fと、図3(b)のように車両100を鉛直方向で見下ろした場合の左側方画像LG2と、図3(c)のように車両100の前方上部から当該車両100の後方下部を望む場合の左側方画像LG1Bと、からなる。また、同様に、右側方画像RGは、図3(a)のように車両100の後方上部から当該車両100の前方下部を望む場合の右側方画像RG1Fと、図3(b)のように車両100を鉛直方向で見下ろした場合の右側方画像RG2と、図3(c)のように車両100の前方上部から当該車両100の後方下部を望む場合の右側方画像RG1Bと、からなる。
【0057】
したがって、前進走行時のモニタ41にはイメージ画像IGは正像で表示され、後退走行時のモニタ41にはイメージ画像IGは鏡像で表示される。即ち、シフト位置が後退走行用の位置である場合のイメージ画像IGは鏡像となる。側方画像生成部34により生成される左側方画像LGと右側方画像RGとは、後述する表示画像生成部38に伝達される。
【0058】
予測進路線生成部37は、車両100の舵角と車輪速とシフト位置とに応じて演算された予測進路線gを生成する。舵角を示す情報はステアリングセンサ21から伝達される。また、車輪速は車輪速センサ22から伝達される。シフト位置はシフト位置センサ23から伝達される。これらの情報を用いて、予測進路線生成部37は予測進路線gを生成する。ここで、本車両用周囲監視装置100は、車両100が当該車両100の周囲に存在する物体に接触することを防止することを目的とするため、予測進路線gは例えば車両100が前進走行で左旋回をしようとしている場合には、車両100の右前端及び左後端の軌跡を示すものであれば好適であり、車両100が前進走行で右旋回をしようとしている場合には、車両100の左前端及び右後端の軌跡を示すものであれば好適である。更に、車両100が後退走行で左旋回をしようとしている場合には、車両100の右前端及び左後端の軌跡を示すものであれば好適であり、車両100が後退走行で右旋回をしようとしている場合には、車両100の左前端及び右後端の軌跡を示すものであれば好適である。予測進路線生成部37は、このような予測進路線gを生成し、後述の表示画像生成部38に伝達する。
【0059】
表示画像生成部38は、モニタ41に表示される表示画像DGを生成する。表示画像DGの基となる画像は、上述の前方画像生成部33、側方画像生成部34、後方画像生成部35、イメージ画像生成部36から伝達される画像である。これらの画像を用いて表示画像生成部38は、モニタ41への表示に適した表示画像DGを生成する。また、予測進路線gは生成されている場合には、前方画像生成部33、側方画像生成部34、後方画像生成部35、イメージ画像生成部36から伝達される画像に予測進路線gを重畳して表示画像DGを生成する。表示画像生成部38は、このような表示画像DGをモニタ41に伝達する。
【0060】
モニタ41は、表示画像生成部38により生成された表示画像DGを表示し、ユーザは当該モニタ41に表示される画像を参照することにより車両100の周囲を確認することが可能となる。
【0061】
次に、モニタ41に表示される表示画像DGを用いて説明する。図4は、車両100の前進走行時における斜め上方を視点とする表示画像DGの一例である。シフト位置センサ23によりシフトレバー63のシフト位置が前進走行用の位置にあることが検出されると、視点設定部32は当該検出結果に応じてモニタ41に表示する表示画像DGの視点を車両100の後方上部から前方下部を見る視点に設定する。この場合には、図3(a)に示されるような視点となる。
【0062】
イメージ画像生成部36は、視点設定部32により設定された視点に応じて、少なくとも車両100の一部とサイドミラー60とを含む車両100のイメージ画像IGを生成する。図4においては、符号IG1Fで示される画像が相当する。イメージ画像IG1Fには、ユーザがイメージし易いようにユーザを示すイメージIUFも生成される。なお、この場合、イメージ画像IG1Fは、ユーザの後方から車両100の前方下部を見下ろした正像の画像が生成される。イメージ画像生成部36により生成されたイメージ画像IG1F(ユーザのイメージIUFが生成された場合にはイメージIUFも含む)は、表示画像生成部38に伝達される。
【0063】
前方画像生成部33は、視点設定部32により設定された視点に応じて、撮像画像取得部31に一次記憶されているフロントカメラ11により取得された撮像画像CGを抽出し、当該抽出された撮像画像CGを用いて前方画像FGを生成する。図4においては、符号FG1で示される画像が相当する。ここで、前方画像FG1は、ユーザがモニタ41を見た際、モニタ41に前方画像FG1が表示されていると認識し易くするために、撮像画像取得部31から取得した撮像画像CGのうち中央上部の領域をマスクMで表示しないようにすると好適である。
【0064】
また、前方画像FG1の近傍(例えば右下方の領域)には、モニタ41に表示されている前方画像FG1が車両100の周囲のどの領域のものであるかを分かり易くするために、車両全体を縮小した図に対して対応する領域を明示する明示画像MG1を表示すると好適である。図4においては、縮小された車両の図において前方の領域の色等を変更することにより明示する場合の例を示している。前方画像生成部33により生成された前方画像FG1は表示画像生成部38に伝達される。
【0065】
側方画像生成部34は、視点設定部32により設定された視点に応じて、撮像画像取得部31に一次記憶されている左サイドカメラ12aにより取得された撮像画像CGを抽出し、当該抽出された撮像画像CGを用いて左側方画像LGを生成する。図4においては、符号LG1Fで示される画像が相当する。また、側方画像生成部34は、視点設定部32により設定された視点に応じて、撮像画像取得部31に一次記憶されている右サイドカメラ12bにより取得された撮像画像CGを抽出し、当該抽出された撮像画像CGを用いて右側方画像RGを生成する。図4においては、符号RG1Fで示される画像が相当する。
【0066】
モニタ41には、左側方画像LG1F及び右側方画像RG1Fが車両100の周囲のどの領域のものであるかを分かり易くするために、車両全体を縮小した図に対して対応する領域を明示する明示画像MG2を表示すると好適である。図4においては、縮小された車両の図において左側方の領域及び右側方の領域の色等を変更することにより明示する場合の例を示している。
【0067】
ここで、一対のサイドカメラ12は、鉛直下方向を向いてサイドミラー60に備えられる。したがって、サイドカメラ12により取得された撮像画像CGは、サイドミラー60の鉛直下方を中心として撮像された撮像画像CGである。このため、側方画像生成部34が、撮像画像取得部31から抽出した左サイドカメラ12a及び右サイドカメラ12bにより取得された撮像画像CGを単にモニタ41に表示するだけではユーザが違和感を持つこととなる。このため、側方画像生成部33は、視点設定部32により車両100の後方上部から当該車両100の前方下部を望む視点が設定された場合には、撮像画像取得部31から抽出された撮像画像CGから車両100の後方上部から当該車両100の前方下部を望む視点とする左側方画像LG1F及び右側方画像RG1Fを生成する。この生成は、周知の画像処理技術を用いて行うことが可能であるので、説明は省略する。側方画像生成部34により生成された車両100の後方上部から当該車両100の前方下部を望む視点とする左側方画像LG1F及び右側方画像RG1Fは表示画像生成部38に伝達される。
【0068】
表示画像生成部38は、イメージ画像生成部36から伝達される車両100の後方上部から当該車両100の前方下部を望む視点とするイメージ画像IG1Fと側方画像生成部34から伝達される車両100の後方上部から当該車両100の前方下部を望む視点とする左側方画像LG1F及び右側方画像RG1Fとの上方に、前方画像生成部33から伝達される前方画像FG1を表示する。また、表示画像生成部38は、モニタ41に表示される左側方画像LG1F及び右側方画像RG1Fの上端が、少なくとも前方画像FG1に含まれる車両100に最も近い側の領域と重複するように生成する。
【0069】
左側方画像LG1F及び右側方画像RG1Fの上端とは、モニタ41に表示した際の上端である。少なくとも前方画像FG1に含まれる車両100に最も近い側の領域とは、図4に示される前方画像FG1においては下端付近の領域である。このように、表示画像生成部38は、左側方画像LG1F及び右側方画像RG1Fの上端と、前方画像FG1の下端付近の領域とが、重複するように表示画像DGを生成する。このように生成された表示画像DGをモニタ41に表示した場合には、前方画像FG1、左側方画像LG1F、右側方画像RG1Fにおいて車両100の進行方向が一致しているため、左側方画像LG1Fと前方画像FG1とを連続的な画像とすることができ、また、右側方画像RG1Fと前方画像FG1とを連続的な画像とすることができる。したがって、ユーザは夫々の画像間における視点の切り替えをスムーズに行うことができる。
【0070】
本車両用周辺監視装置50によれば、図3(a)に示されるような車両100の斜め上方からの視点から、図3(b)に示されるような車両100の鉛直上方からの視点に切り替えることも可能である。このような視点の切り替えは、ユーザが視点切替スイッチ42を押下することにより実現される。ユーザが視点切替スイッチ42を押下すると、視点設定部32はモニタ41に表示する表示画像DGの視点を車両100の鉛直上方からの視点に設定する。このような視点における表示画像DGについて図5を用いて説明する。
【0071】
イメージ画像生成部36は、視点設定部32により設定された視点に応じて、鉛直上方からの車両100のイメージ画像IGを生成する。図5においては、符号IG2で示される画像が相当する。イメージ画像生成部36により生成されたイメージ画像IG2は、表示画像生成部38に伝達される。
【0072】
前方画像生成部33は、視点設定部32により設定された視点に応じて、撮像画像取得部31に一次記憶されているフロントカメラ11により取得された撮像画像CGを抽出し、当該抽出された撮像画像CGを用いて前方画像FGを生成する。図5においては、符号FG1で示される画像が相当する。ここで、前方画像FG1は、ユーザがモニタ41を見た際、モニタ41に前方画像FG1が表示されていると認識し易くするために、撮像画像取得部31から取得した撮像画像CGのうち中央上部の領域をマスクMで表示しないようにすると好適である。
【0073】
また、前方画像FG1の近傍(例えば上方の領域)には、モニタ41に表示されている前方画像FG1が車両100の周囲のどの領域のものであるかを分かり易くするために、車両全体を縮小した図に対して対応する領域を明示する明示画像MG1を表示すると好適である。図5においては、縮小された車両の図において前方の領域の色等を変更することにより明示する場合の例を示している。前方画像生成部33により生成された前方画像FG1は表示画像生成部38に伝達される。
【0074】
また、前方画像生成部33はイメージ画像生成部36により生成された車両100のイメージ画像IG2の上方に表示する車両100の鉛直上方からの視点の前方画像FGを生成する。図5においては、符号FG2で示される画像が相当する。前方画像生成部33により生成された鉛直上方からの視点の前方画像FG2は表示画像生成部38に伝達される。
【0075】
側方画像生成部34は、視点設定部32により設定された視点に応じて、撮像画像取得部31に一次記憶されている左サイドカメラ12aにより取得された撮像画像CGを抽出し、当該抽出された撮像画像CGを用いて左側方画像LGを生成する。図5においては、符号LG2で示される画像が相当する。また、側方画像生成部34は、視点設定部32により設定された視点に応じて、撮像画像取得部31に一次記憶されている右サイドカメラ12bにより取得された撮像画像CGを抽出し、当該抽出された撮像画像CGを用いて右側方画像RGを生成する。図5においては、符号RG2で示される画像が相当する。側方画像生成部34により生成された左側方画像LG2はイメージ画像生成部36により生成された車両100のイメージ画像IG2の左側に表示され、側方画像生成部34により生成された右側方画像RG2は前記イメージ画像IG2の右側に表示される。側方画像生成部34により生成された左側方画像LG2及び右側方画像RG2は表示画像生成部38に伝達される。
【0076】
後方画像生成部35はイメージ画像生成部36により生成された車両100のイメージ画像IG2の下方に表示する車両100の鉛直上方からの視点の後方画像BGを生成する。図5においては、符号BG2で示される画像が相当する。後方画像生成部35により生成された鉛直上方からの視点の後方画像BG2は表示画像生成部38に伝達される。
【0077】
表示画像生成部38は、前方画像FG1の右側に、車両100の鉛直上方からの視点で示された車両100の周囲の情景を示す画像をモニタ41に表示する。即ち、イメージ画像生成部36から伝達されるイメージ画像IG2の周囲に、前方画像FG2、左側方画像LG2、右側方画像RG2、及び後方画像BG2を表示する。
【0078】
更に、本車両用周辺監視装置50によれば、ユーザが視点切替スイッチ42を押下することにより、モニタ41に車両100の前方画像FGのみを表示することも可能である。この場合の例を図6に示す。ユーザが視点切替スイッチ42を更に押下すると、視点設定部32はモニタ41に表示する表示画像DGの視点を車両100の前方方向への視点に設定する。
【0079】
前方画像生成部33は、視点設定部32により設定された視点に応じて、撮像画像取得部31に一次記憶されているフロントカメラ11により取得された撮像画像CGを抽出し、当該抽出された撮像画像CGを用いて前方画像FGを生成する。図6においては、符号FG1で示される画像が相当する。ここで、前方画像FG1は、ユーザがモニタ41を見た際、モニタ41に前方画像FG1が表示されていると認識し易くするために、撮像画像取得部31から取得した撮像画像CGのうち中央上部の領域をマスクMで表示しないようにすると好適である。
【0080】
また、前方画像FG1の近傍(例えば右下方の領域)には、モニタ41に表示されている前方画像FG1が車両100の周囲のどの領域のものであるかを分かり易くするために、車両全体を縮小した図に対して対応する領域を明示する明示画像MG1を表示すると好適である。図6においては、縮小された車両の図において前方の領域の色等を変更することにより明示する場合の例を示している。前方画像生成部33により生成された前方画像FG1は表示画像生成部38に伝達される。
【0081】
予測進路線生成部37は、車両100の舵角と車輪速とシフト位置とに応じて演算された予測進路線gを生成し、表示画像生成部38に伝達する。図6においては、前方画像FG1に予測進路線gが表示されることから、前方予測進路線と称される。特に、図6においては、符号gLで示される線が、車両100が走行する際の左端の前方予測進路線である。また、符号gRで示される線が、車両100が走行する際の右端の前方予測進路線である。また、車両100の端部を明示するようにしても良い。このような前方予測進路線は、表示画像生成部38に伝達される。
【0082】
表示画像生成部38は、前方画像FG1に前方予測進路線を重畳してモニタ41に表示させる。ユーザは、この表示画像DGを見ることにより、車両100の周囲の情景を容易に把握することができるので、車両100を適切に操舵することが可能となる。このように、本車両用周辺監視装置50によれば、ユーザが視点切替スイッチ42を押下することにより、モニタ41に表示させる画像を適宜、状況に応じて切り替えることが可能である。なお、モニタ41に図6の表示画像DGが表示されている状態において、ユーザが更に視点切替スイッチ42を押下した場合には、図4の表示画像DGに切り替える構成とすると好適である。或いは、視点切替スイッチ42を図4、図5及び図6の夫々の表示画像DGに対応する3段切替タイプで構成することも可能である。
【0083】
次に、車両100の後退走行時における斜め上方を視点とする表示画像DGの一例について図を用いて説明する。シフト位置センサ23によりシフトレバー63のシフト位置が後退走行用の位置にあることが検出されると、視点設定部32は当該検出結果に応じてモニタ41に表示する表示画像DGの視点を車両100の前方上部から後方下部を見る視点に設定する。この場合には、図3(c)に示されるような視点となる。このような視点での表示画像DGを図7に示す。
【0084】
イメージ画像生成部36は、視点設定部32により設定された視点に応じて、少なくとも車両100の一部とサイドミラー60とを含む車両100のイメージ画像IGを生成する。図7においては、符号IG1Bで示される画像が相当する。イメージ画像IG1Bには、ユーザがイメージし易いようにユーザを示すイメージIUBも生成される。なお、この場合、イメージ画像IG1Bは、ユーザの前方から車両100の後方下部を見下ろした画像が生成され、この場合には鏡像の画像が生成される。イメージ画像生成部36により生成されたイメージ画像IG1B(ユーザのイメージIUBが生成された場合にはイメージIUBも含む)は、表示画像生成部38に伝達される。
【0085】
後方画像生成部35は、視点設定部32により設定された視点に応じて、撮像画像取得部31に一次記憶されているリアカメラ13により取得された撮像画像CGを抽出し、当該抽出された撮像画像CGを用いて後方画像BGを生成する。図7においては、符号BG1で示される画像が相当する。後方画像BG1の近傍(例えば右下方の領域)には、モニタ41に表示されている後方画像BG1が車両100の周囲のどの領域のものであるかを分かり易くするために、車両全体を縮小した図に対して対応する領域を明示する明示画像MG1を表示すると好適である。図7においては、縮小された車両の図において後方の領域の色等を変更することにより明示する場合の例を示している。後方画像生成部35により生成された後方画像BG1は表示画像生成部38に伝達される。
【0086】
側方画像生成部34は、視点設定部32により設定された視点に応じて、撮像画像取得部31に一次記憶されている左サイドカメラ12aにより取得された撮像画像CGを抽出し、当該抽出された撮像画像CGを用いて左側方画像LGを生成する。図7においては、符号LG1Bで示される画像が相当する。また、側方画像生成部34は、視点設定部32により設定された視点に応じて、撮像画像取得部31に一次記憶されている右サイドカメラ12bにより取得された撮像画像CGを抽出し、当該抽出された撮像画像CGを用いて右側方画像RGを生成する。図7においては、符号RG1Bで示される画像が相当する。
【0087】
モニタ41には、左側方画像LG1B及び右側方画像RG1Bが車両100の周囲のどの領域のものであるかを分かり易くするために、車両全体を縮小した図に対して対応する領域を明示する明示画像MG2を表示すると好適である。図7においては、縮小された車両の図において左側方の領域及び右側方の領域の色等を変更することにより明示する場合の例を示している。
【0088】
ここで、一対のサイドカメラ12は、鉛直下方向を向いてサイドミラー60に備えられる。したがって、サイドカメラ12により取得された撮像画像CGは、サイドミラー60の鉛直下方を中心として撮像された撮像画像CGである。このため、側方画像生成部34が、撮像画像取得部31から抽出した左サイドカメラ12a及び右サイドカメラ12bにより取得された撮像画像CGを単にモニタ41に表示するだけではユーザが違和感を持つこととなる。このため、側方画像生成部33は、視点設定部32により車両100の前方上部から当該車両100の後方下部を望む視点が設定された場合には、撮像画像取得部31から抽出された撮像画像CGから車両100の前方上部から当該車両100の後方下部を望む視点とする左側方画像LG1B及び右側方画像RG1Bを生成する。この生成は、周知の画像処理技術を用いて行うことが可能であるので、説明は省略する。側方画像生成部34により生成された車両100の前方上部から当該車両100の後方下部を望む視点とする左側方画像LG1B及び右側方画像RG1Bは表示画像生成部38に伝達される。
【0089】
この場合、左側方画像LG1B及び右側方画像RG1Bの視点角度が、後方画像BG1の視点角度と略等しくなるように生成されると好適である。視点角度とは、水平面に対する視点の角度である。即ち、左側方画像LG1B及び右側方画像RG1Bの水平面に対する視点の角度が、後方画像BG1の水平面に対する視点の角度と略等しくなるように生成される。ここで、略等しいとは、完全同一に限定されるものではなく、近い角度であっても良いことを示す。
【0090】
表示画像生成部38は、イメージ画像生成部36から伝達される車両100の前方上部から当該車両100の後方下部を望む視点とするイメージ画像IG1Bと側方画像生成部34から伝達される車両100の前方上部から当該車両100の後方下部を望む視点とする左側方画像LG1B及び右側方画像RG1Bとの上方に、後方画像生成部35から伝達される後方画像BG1を表示する。また、表示画像生成部38は、モニタ41に表示される左側方画像LG1B及び右側方画像RG1Bの上端が、少なくとも後方画像BG1に含まれる車両100に最も近い側の領域と重複するように生成する。左側方画像LG1B及び右側方画像RG1Bの上端とは、モニタ41に表示した際の上端である。少なくとも後方画像BG1に含まれる車両100に最も近い側の領域とは、図7に示される後方画像BG1においては下端付近の領域である。このように、表示画像生成部38は、左側方画像LG1B及び右側方画像RG1Bの上端と、後方画像BG1の下端付近の領域とが、重複するように表示画像DGを生成する。このように生成された表示画像DGをモニタ41に表示した場合には、後方画像BG1、左側方画像LG1B、右側方画像RG1Bにおいて車両100の進行方向が一致しているため、左側方画像LG1Bと後方画像BG1とを連続的な画像とすることができ、また、右側方画像RG1Bと後方画像BG1とを連続的な画像とすることができる。したがって、ユーザは夫々の画像間における視点の切り替えをスムーズに行うことができる。
【0091】
本車両用周辺監視装置50によれば、図3(c)に示されるような車両100の斜め上方からの視点から、図3(b)に示されるような車両100の鉛直上方からの視点に切り替えることも可能である。このような視点の切り替えは、ユーザが視点切替スイッチ42を押下することにより実現される。ユーザが視点切替スイッチ42を押下すると、視点設定部32はモニタ41に表示する表示画像DGの視点を車両100の鉛直上方からの視点に設定する。このような視点における表示画像DGについて図8を用いて説明する。
【0092】
イメージ画像生成部36は、視点設定部32により設定された視点に応じて、鉛直上方からの車両100のイメージ画像IGを生成する。図8においては、符号IG2で示される画像が相当する。イメージ画像生成部36により生成されたイメージ画像IG2は、表示画像生成部38に伝達される。
【0093】
後方画像生成部35は、視点設定部32により設定された視点に応じて、撮像画像取得部31に一次記憶されているリアカメラ13により取得された撮像画像CGを抽出し、当該抽出された撮像画像CGを用いて後方画像BGを生成する。図8においては、符号BG1で示される画像が相当する。後方画像BG1の近傍(例えば右下方の領域)には、モニタ41に表示されている後方画像BG1が車両100の周囲のどの領域のものであるかを分かり易くするために、車両全体を縮小した図に対して対応する領域を明示する明示画像MG1を表示すると好適である。図8においては、縮小された車両の図において前方の領域の色等を変更することにより明示する場合の例を示している。後方画像生成部35により生成された後方画像BG1は表示画像生成部38に伝達される。
【0094】
また、後方画像生成部35はイメージ画像生成部36により生成された車両100のイメージ画像IG2の下方に表示する車両100の鉛直上方からの視点の後方画像BGを生成する。図8においては、符号BG2で示される画像が相当する。後方画像生成部35により生成された鉛直上方からの視点の後方画像BG2は表示画像生成部38に伝達される。
【0095】
側方画像生成部34は、視点設定部32により設定された視点に応じて、撮像画像取得部31に一次記憶されている左サイドカメラ12aにより取得された撮像画像CGを抽出し、当該抽出された撮像画像CGを用いて左側方画像LGを生成する。図8においては、符号LG2で示される画像が相当する。また、側方画像生成部34は、視点設定部32により設定された視点に応じて、撮像画像取得部31に一次記憶されている右サイドカメラ12bにより取得された撮像画像CGを抽出し、当該抽出された撮像画像CGを用いて右側方画像RGを生成する。図8においては、符号RG2で示される画像が相当する。側方画像生成部34により生成された左側方画像LG2はイメージ画像生成部36により生成された車両100のイメージ画像IG2の左側に表示され、側方画像生成部34により生成された右側方画像RG2は前記イメージ画像IG2の右側に表示される。側方画像生成部34により生成された左側方画像LG2及び右側方画像RG2は表示画像生成部38に伝達される。
【0096】
前方画像生成部33はイメージ画像生成部36により生成された車両100のイメージ画像IG2の上方に表示する車両100の鉛直上方からの視点の前方画像FGを生成する。図8においては、符号FG2で示される画像が相当する。前方画像生成部33により生成された鉛直上方からの視点の前方画像FG2は表示画像生成部38に伝達される。
【0097】
表示画像生成部38は、後方画像BG1の右側に、車両100の鉛直上方からの視点で示された車両100の周囲の情景を示す画像をモニタ41に表示する。即ち、イメージ画像生成部36から伝達されるイメージ画像IG2の周囲に、前方画像FG2、左側方画像LG2、右側方画像RG2、及び後方画像BG2を表示する。
【0098】
更に、本車両用周辺監視装置50によれば、ユーザが視点切替スイッチ42を押下することにより、モニタ41に車両100の後方画像BGのみを表示することも可能である。この場合の例を図9に示す。ユーザが視点切替スイッチ42を更に押下すると、視点設定部38はモニタ41に表示する表示画像DGの視点を車両100の後方方向への視点に設定する。
【0099】
後方画像生成部35は、視点設定部32により設定された視点に応じて、撮像画像取得部31に一次記憶されているリアカメラ13により取得された撮像画像CGを抽出し、当該抽出された撮像画像CGを用いて後方画像BGを生成する。図9においては、符号BG1で示される画像が相当する。後方画像BG1の近傍(例えば右下方の領域)には、モニタ41に表示されている後方画像BG1が車両100の周囲のどの領域のものであるかを分かり易くするために、車両全体を縮小した図に対して対応する領域を明示する明示画像MG1を表示すると好適である。図9においては、縮小された車両の図において後方の領域の色等を変更することにより明示する場合の例を示している。後方画像生成部35により生成された後方画像BG1は表示画像生成部38に伝達される。
【0100】
予測進路線生成部37は、車両100の舵角と車輪速とシフト位置とに応じて演算された予測進路線gを生成し、表示画像生成部38に伝達する。図9においては、後方画像BG1に予測進路線gが表示されることから、後方予測進路線gBと称される。後方予測進路線gBは、後退する車両100の舵角に応じた車両100の後端の予測軌跡等を示す指標である。本実施形態では、後方予測進路線gBは、車両100の後端の予測軌跡を示す後端予測軌跡線g1及び車両50の後方の距離目安線g2、g3、g4から構成される。距離目安線は、本例では、5m目安線g2、3m目安線g3、1m注意線g4である。後方予測進路線は、基本的に黄色で描画される。但し、1m注意線g4及び、g4よりも車両30側の後端予測進路線g5については、運転者に注意を喚起するために、赤色で描画される。このような後方予測進路線gBは、表示画像生成部38に伝達される。
【0101】
表示画像生成部38は、後方画像BG1に後方予測進路線gBを重畳してモニタ41に表示させる。ユーザは、この表示画像DGを見ることにより、車両100の周囲の情景を容易に把握することができるので、車両100を適切に操舵することが可能となる。このように、本車両用周辺監視装置50によれば、ユーザが視点切替スイッチ42を押下することにより、モニタ41に表示させる画像を適宜、状況に応じて切り替えることが可能である。なお、モニタ41に図9の表示画像DGが表示されている状態において、ユーザが更に視点切替スイッチ42を押下した場合には、図7の表示画像DGに切り替える構成とすると好適である。或いは、視点切替スイッチ42を図7、図8及び図9の夫々の表示画像DGに対応する3段切替タイプで構成することも可能である。
【0102】
〔その他の実施形態〕
上記実施形態では、イメージ画像生成部36が、車両100の後方上部から当該車両100の前方下部を望む、少なくとも車両の一部とサイドミラー60とを含む車両100のイメージ画像IG、或いは車両100の前方上部から当該車両100の後方下部を望む、少なくとも車両の一部とサイドミラー60とを含む車両100のイメージ画像IGを生成するとして説明した。しかしながら、本発明の適用範囲は、これに限定されるものではない。車両100の一部とサイドミラー60とが少なくとも含まれていれば良く、例えば車両100全体を含むイメージ画像IGを生成するように構成することも当然に可能である。この場合には、車両100の全体のイメージ画像IGであるので、サイドミラー60は当然に含まれる。サイドミラー60を含ませてイメージ画像IGを生成するので、ユーザは車両100と周囲に存在する物体との位置関係を把握し易くすることが可能となる。
【0103】
上記実施形態では、一対のサイドカメラ12は、鉛直下方を向いて備えられるとして説明した。しかしながら、本発明の適用範囲は、これに限定されるものではない。サイドカメラ12が、鉛直下方以外の方向を向いて備えることも当然に可能である。このように備えた場合であっても、側方画像生成部34が視点設定部32により設定された視点に応じて、サイドカメラ12により取得された撮像画像CGを基に、左側方画像LG及び右側方画像RGを生成することは当然に可能である。
【0104】
上記実施形態では、車両100が有するシフトレバー63のシフト位置が少なくとも前進走行用の位置である場合に、イメージ画像IG1Fと左側方画像LG1Fと右側方画像RG1Fとの上方に、フロントカメラ11により取得された撮像画像CGに基づいて生成される前方画像FG1が表示されるとして説明した。しかしながら、本発明の適用範囲は、これに限定されるものではない。シフトレバー63のシフト位置が後退走行用の位置である場合にも、イメージ画像IG1Fと左側方画像LG1Fと右側方画像RG1Fとの上方に、フロントカメラ11により取得された撮像画像CGに基づいて生成される前方画像FG1が表示するように構成することも可能である。また、係る場合には、ユーザによる視点切替スイッチ42の押下に応じて視点を切り替える構成とすると好適である。
【0105】
上記実施形態では、車両100が有するシフトレバー63のシフト位置が少なくとも後退走行用の位置である場合に、イメージ画像IG1Bと左側方画像LG1Bと右側方画像RG1Bとの上方に、リアカメラ13により取得された撮像画像CGに基づいて生成される後方画像BG1が表示されるとして説明した。しかしながら、本発明の適用範囲は、これに限定されるものではない。シフトレバー63のシフト位置が前進走行用の位置である場合にも、イメージ画像IG1Bと左側方画像LG1Bと右側方画像RG1Bとの上方に、リアカメラ13により取得された撮像画像CGに基づいて生成される後方画像BG1が表示するように構成することも可能である。また、係る場合には、ユーザによる視点切替スイッチ42の押下に応じて視点を切り替える構成とすると好適である。
【0106】
上記実施形態では、シフト位置が後退走行用の位置である場合のイメージ画像IG1Bが鏡像であるとして説明した。しかしながら、本発明の適用範囲は、これに限定されるものではない。シフト位置が後退走行用の位置である場合でも、イメージ画像IG1Bを正像で表示する構成とすることも当然に可能である。
【0107】
上記実施形態では、左側方画像LG1B及び右側方画像RG1Bの視点角度が、後方画像BG1の視点角度と略等しいとして説明した。しかしながら、本発明の適用範囲は、これに限定されるものではない。例えば、左側方画像LG1B及び右側方画像RG1Bの視点角度と、後方画像BG1の視点角度とを全く異なる角度に設定して生成することも当然に可能である。
【0108】
上記実施形態では、モニタ41に表示される左側方画像LG1F及び右側方画像RG1Fの上端が、少なくとも前方画像FG1に含まれる車両100に最も近い側の領域と重複するように生成されるとして説明した。また、モニタ41に表示される左側方画像LG1B及び右側方画像RG1Bの上端が、少なくとも後方画像BG1に含まれる車両100に最も近い側の領域と重複するように生成されるとして説明した。この場合には、夫々の画像の接続部分が滑らかになるように、公知のモーフィング処理を行うと好適である。或いは、夫々の画像が重複しないように生成することも当然に可能である。
【0109】
上記実施形態では、視点切替スイッチ42により、表示画像DGの視点が切り替えられるとして説明した。この視点切替スイッチ42は物理的なスイッチでなくても良く、モニタ41をタッチディスプレイとして構成することにより、モニタ41に表示されるタッチボタンで構成することも当然に可能である。
【0110】
上記実施形態では、予測進路線gが、図6の前方画像FG1のみの表示の際、及び図9の後方画像BG1のみの表示の際に重畳されているとして説明した。しかしながら、本発明の適用範囲は、これに限定されるものではない。図4の前方画像FG1、図5の前方画像FG1、図7の後方画像BG1、図8の後方画像BG1においても、予測進路線gを重畳して表示することも当然に可能である。また、左側方画像LGや右側方画像RGに予測進路線gを重畳することも当然に可能である。
【0111】
上記実施形態では、イメージ画像IG1Fには、ユーザがイメージし易いようにユーザを示すイメージIUFが生成され、イメージ画像IG1Bには、ユーザがイメージし易いようにユーザを示すイメージIUBが生成されるとして説明した。しかしながら、本発明の適用範囲は、これに限定されるものではない。イメージIUF、IUBを生成しない構成とすることも当然に可能である。
【0112】
上記実施形態では、イメージ画像IG1Bには、ユーザがイメージし易いようにユーザを示すイメージIUBが生成されるとして説明した。しかしながら、本発明の適用範囲は、これに限定されるものではない。イメージ画像IG1BにイメージIUBを生成することなく、左側方画像LG1Bに「L」の鏡像文字や右側方画像RG1Bに「R」の鏡像文字を付与して表示させることも当然に可能である。このような表示を行うことで、後退走行時にモニタ41に表示される表示画像HGが鏡像であることを明示することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0113】
本発明は、ユーザを困惑させることなく、低コストで実現可能な車両用周辺監視装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0114】
1:カメラデバイス
2:センサデバイス
3:ECU(電子制御ユニット)
11:フロントカメラ
12:サイドカメラ
12a:左サイドカメラ
12b:右サイドカメラ
13:リアカメラ
21:ステアリングセンサ
22:車輪速センサ
23:シフト位置センサ
31:撮像画像取得部
32:視点設定部
33:前方画像生成部
34:側方画像生成部
35:後方画像生成部
36:イメージ画像生成部
37:予測進路線生成部
38:表示画像生成部
41:モニタ
42:視点切替スイッチ
50:車両用周辺監視装置
BG:後方画像
CG:撮影画像
DG:表示画像
FG:前方画像
IG:イメージ画像
LG:左側方画像
RG:右側方画像

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両が有するサイドミラーに備えられ、当該サイドミラーの鉛直下方を含む前記車両の左側方の情景及び右側方の情景を撮影した撮像画像を取得する一対のサイドカメラと、
前記車両の後方上部から当該車両の前方下部を望む、少なくとも車両の一部とサイドミラーとを含む前記車両のイメージ画像、或いは前記車両の前方上部から当該車両の後方下部を望む、少なくとも車両の一部とサイドミラーとを含む前記車両のイメージ画像を生成するイメージ画像生成部と、
前記左側方の情景を撮影した撮像画像に基づいて、前記車両の車内に備えられるモニタに表示される前記イメージ画像の左側に描画される当該イメージ画像に応じた左側方画像を生成し、前記右側方の情景を撮影した撮像画像に基づいて、前記モニタに表示される前記イメージ画像の右側に描画される当該イメージ画像に応じた右側方画像を生成する側方画像生成部と、
を備える車両用周辺監視装置。
【請求項2】
前記車両の前方の情景を撮影した撮像画像を取得するフロントカメラが備えられ、
前記車両が有するシフトレバーのシフト位置が少なくとも前進走行用の位置である場合に、前記イメージ画像と前記左側方画像と前記右側方画像との上方に、前記フロントカメラにより取得された撮像画像に基づいて生成される前方画像が表示される請求項1に記載の車両用周辺監視装置。
【請求項3】
前記車両の後方の情景を撮影した撮像画像を取得するリアカメラが備えられ、
前記車両が有するシフトレバーのシフト位置が少なくとも後退走行用の位置である場合に、前記イメージ画像と前記左側方画像と前記右側方画像との上方に、前記リアカメラにより取得された撮像画像に基づいて生成される後方画像が表示される請求項1又は2に記載の車両用周辺監視装置。
【請求項4】
前記シフト位置が前記後退走行用の位置である場合の前記イメージ画像が鏡像である請求項3に記載の車両用周辺監視装置。
【請求項5】
前記左側方画像及び前記右側方画像の視点角度が、前記後方画像の視点角度と略等しい請求項3又は4に記載の車両用周辺監視装置。
【請求項6】
前記モニタに表示される前記左側方画像及び前記右側方画像の上端が、少なくとも前記前方画像に含まれる前記車両に最も近い側の領域と重複するように生成される請求項2に記載の車両用周辺監視装置。
【請求項7】
前記モニタに表示される前記左側方画像及び前記右側方画像の上端が、少なくとも前記後方画像に含まれる前記車両に最も近い側の領域と重複するように生成される請求項3から5のいずれか一項に記載の車両用周辺監視装置。
【請求項8】
前記一対のサイドカメラは、鉛直下方向を向いて備えられてある請求項1から7のいずれか一項に記載の車両用周辺監視装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2010−221980(P2010−221980A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−74667(P2009−74667)
【出願日】平成21年3月25日(2009.3.25)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】