説明

車両用後側方視認装置

【課題】車両用後側方視認装置の調整の目安を簡便な構造で実現して、調整作業を簡便に行うことを可能にするとともに、乗員にミラー角度を容易に知らせることを可能にする。
【解決手段】ミラー手段33を、後側方の視界を映し出すとともに光源43の光を透過させる反射・透過手段45と、この反射・透過手段45の裏面に設けられ、光源43の光を遮断するとともに光源43の光を透過させる複数の透光孔46a〜46eを有するバック板48とから構成し、乗員が所定の位置からミラー手段33を視認するときに、複数の透光孔46a〜46eから透過される光を、ミラー手段33の設定角度によって選択的に視認できるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用後側方を映し出すサイドミラーに、車体に対するサイドミラーの角度を認知することができる表示を備えた車両用後側方視認装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両用後側方視認装置の中には、手動でミラーの角度調整をするものや電動でミラーの角度調整するものが実用に供されている。この種の車両用後側方視認装置は、乗員が任意の角度にミラーを調整することができるようにしたものが一般的であった。
近年、乗員にミラー角度を知らせるために、車両用後側方視認装置にミラー角度を表示する試みがなされている。
【0003】
このような車両用後側方視認装置として、ミラーハウジングに配置された目盛りにより、ミラーの左右方向の角度変化を認知可能とした構造が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特表2004−529033公報(第31頁、第7図)
【0004】
特許文献1の技術を説明する。
図11は従来の車両用後側方視認装置の基本構成を説明する図である。
従来の車両用後側方視認装置200は、車体に取付けたミラーハウジング201と、このミラーハウジング201に、回動可能に且つ角度調整可能に取付けたミラー203とからなり、ミラーハウジング201の側壁204は、ミラー203の角度を認知することができる目盛り205が形成されたものである。
【0005】
しかし、車両用後側方視認装置200では、ミラーハウジング201の側壁204に目盛り205を記載しているので、ミラー203の角度の調整を目盛りで調整する場合に、調整作業が簡便に行うことができなかった。
また、車両用後側方視認装置200では、ミラーハウジング201の側壁204に目盛り205を記載しているので、ミラー203の角度の認識も直接的ではなく、容易に認識することができなかった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、車両用後側方視認装置の調整の目安を簡便な構造で実現して、調整作業を簡易に行うことができるようにするとともに、乗員にミラー角度を容易に知らせることができる車両用後側方視認装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、ミラーハウジングに対して回動可能に取付けるとともに、角度調整可能に取付けたミラー手段と、ミラーハウジング内に設けた光源とを備えた車両用後側方視認装置であって、ミラー手段は、後側方の視界を映し出すとともに光源の光を透過させる反射・透過手段と、この反射・透過手段の裏面に設けられたバック板に形成され、光源の光を透過させる複数の透光孔とからなり、乗員が所定の位置からミラー手段を視認するときに、複数の透光孔から透過される光を、ミラー手段の設定角度によって選択的に視認できるようにしたことを特徴とする。
【0008】
請求項2に係る発明は、透光孔が、反射・透過手段の上下方向に沿わせて複数個設けられたことを特徴とする。
【0009】
請求項3に係る発明は、透光孔が、反射・透過手段の左右方向に沿わせて複数個設けられたことを特徴とする。
【0010】
請求項4に係る発明は、透光孔が、光源を中心としてバック板に放射状に複数個設けられたことを特徴とする。
【0011】
請求項5に係る発明は、透光孔が、それぞれの透光孔によって光の色を異ならせる色調可変手段を備えたことを特徴とする。
【0012】
請求項6に係る発明は、透光孔が、光を拡散させる拡散手段を備えたことを特徴とする。
【0013】
請求項7に係る発明は、ミラー手段が、上下辺部の少なくとも一辺に沿って目盛りが設けられたことを特徴とする。
【0014】
請求項8に係る発明は、ミラー手段が、左右辺部の少なくとも一辺に沿って目盛りが設けられたことを特徴とする。
【0015】
請求項9に係る発明は、ミラー手段が、上下辺部の少なくとも一辺と左右辺部の少なくとも一辺とに沿って目盛りが設けられたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に係る発明では、ミラーハウジングにミラー手段が回動可能に取付けられ、且つ角度調整可能に取付けられ、ミラーハウジング内に光源が設けられる。
ミラー手段を、後側方の視界を映し出すとともに光源の光を透過させる反射・透過手段と、この反射・透過手段の裏面に設けられたバック板に形成され、前記光源の光を透過させる複数の透光孔とから構成することで、乗員が、複数の透光孔から透過される光を、ミラー手段の設定角度によって選択的に視認できるようにした。これにより、乗員は、ミラー手段の設定角度を透光孔の光る位置によって容易に認識することができる。
例えば、乗員によって好適なミラー手段の設定角度が異なる。ミラー手段の設定角度を調整する際に、自分の好適なミラーポジションを透光孔の光る位置によって記憶しておくことで、容易かつ正確にミラー手段の設定角度を調整することができる。
さらに、ミラー手段の設定角度を調整する際に、透光孔の光る位置で調整することができるので、夜間でもミラーポジションの設定がしやすい。
【0017】
請求項2に係る発明では、透光孔が、反射・透過手段の上下方向に沿わせて複数個設けられたので、上下方向でミラー手段の設定角度を認識することができる。
【0018】
請求項3に係る発明では、透光孔が、反射・透過手段の左右方向に沿わせて複数個設けられたので、左右方向でミラー手段の設定角度を認識することができる。
【0019】
請求項4に係る発明では、透光孔が、光源を中心としてバック板に放射状に複数個設けられたので、上下方向及び左右方向の双方でミラー手段の設定角度を認識することができる。
【0020】
請求項5に係る発明では、透光孔が、それぞれの透光孔によって光の色を異ならせる色調可変手段を備えたので、ミラー手段の設定角度を色で認識することができる。すなわち、現在のミラーポジションを迅速に認識することができ、ミラー手段の設定角度の調整を簡単に行うことができる。
【0021】
請求項6に係る発明では、透光孔が、光を拡散させる拡散手段を備えたので、透光孔の光を、柔らかな光で認識することができる。すなわち、光源の眩しさを低減し、眼にやさしい光として認識することができる。
【0022】
請求項7に係る発明では、ミラー手段に、上下辺部の少なくとも一辺に沿って目盛りが設けられたので、ミラー手段の上下方向に関する設定角度を、より正確に知ることができる。
【0023】
請求項8に係る発明では、ミラー手段に、左右辺部の少なくとも一辺に沿って目盛りが設けられたので、ミラー手段の左右方向に関する設定角度を、より正確に知ることができる。
【0024】
請求項9に係る発明では、ミラー手段に、上下辺部の少なくとも一辺と左右辺部の少なくとも一辺とに沿って目盛りが設けられたので、ミラー手段の上下方向及び左右方向の双方に関する設定角度を、より正確に知ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明を実施するための最良の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
図1は本発明に係る車両用後側方視認装置を採用した車両の車室側から見た斜視図である。
図1に示されている車両10は、車体11の操舵をするステアリング14と、車室12の前方を透過可能に覆うウインドシールド(フロントウインドウ)16と、車室12の上部を覆うルーフ17と、車室12の前方に配置するインストルメントパネル21と、車室12の左右側面を覆う左右の車両用ドア25,26と、乗員(運転者)が車両10の後側方を視認できる左右の車両用ドアミラー(車両用後側方視認装置)29,30と、を備えている。
左右の車両用ドアミラー29,30は車体中心に関して対称形状であり、以下、右の車両用ドアミラー30を「車両用後側方視認装置30」と記載する。
【0026】
図2は図1に示された車両用後側方視認装置の正面図であり、図3は図2の3−3線断面図であり、図4は図3の4部拡大図である。
図2〜図4に示すように、車両用後側方視認装置30は、車両用ドア26(図1参照)に取付けられたミラーステー31と、このミラーステー31に略水平回転自在に取付けられ、車両用ドア26に向けて収納可能なミラーハウジング32と、このミラーハウジング32に水平方向及び垂直方向に揺動可能に取付けられたミラー手段33と、ミラーハウジング32内に設けられた光源43とからなる。
【0027】
ミラー手段33は、ミラーハウジング37の中心で且つ底部42に設けられた光源43と、ミラーハウジング37の開口44に回動可能に且つ角度調整可能に設けられ、後側方の視界を映し出すとともに光源43の光を透過させる反射・透過手段45と、この反射・透過手段45の裏面に設けられたバック板48に形成され、光源43の光を透過させる複数の透光孔46a〜46eとからなる。
このバック板48は、バック板48のガラス51側に形成され、ガラス51面から向かう光を反射する反射層52と、光源43の光を透過させる複数の透光孔46a〜46eと、外周に光源43の光を遮る遮光手段(遮光パッキン)47とからなる。遮光手段47は、黒色のスポンジ等の弾性体にて形成される。
【0028】
反射・透過手段45は、バック板48の表面に密着して配置したガラス51と、バック板48の反射層52とから構成される。すなわち、ガラス51及び反射層52で鏡が構成され後側方の視界を映し出され、ガラス51及び複数の透光孔46a〜46eから光源43の光が透過される。
ガラス51は、左辺部に沿って目盛り58が設けられる。
【0029】
複数の透光孔46a〜46eは、反射・透過手段45の上下方向に沿わせてバック板48に設けられるものである。
また、複数の透光孔46a〜46eは、バック板48及び反射層52を貫通する微小孔であって、光源43よりもバック板48から離間した位置の一点と、バック板48の所定の一点を結ぶ直線上に形成されるとともに、バック板48に所定の深さを保って形成されたものであり、乗員が所定の位置からミラー手段33を視認するときに、複数の透光孔46a〜46eから透過される光を、ミラー手段33の設定角度によって選択的に視認できるようにするために指向性を持たせた構造である。
【0030】
さらに、複数の透光孔46a〜46eは、それぞれに光源43の色を変化させる色調可変手段(カラーレンズ)53a〜53eと、内周部分に光を吸収する吸光面55a〜55eとを有する。
【0031】
色調可変手段53a〜53eは、拡散剤を混入した材質で形成され、光を拡散させる拡散手段を備えるものであり、複数の透光孔46a〜46eの指向性を確保するために、反射層52の表面から所定の距離を凹ませて設置される。
さらに、色調可変手段53a〜53eは、異なる色調を有するカラーレンズである。
吸光面55a〜55eは、具体的には内周部分を黒色に処理するとともに、内周部分に光の吸収を促すマット処理を施したものである。
【0032】
図5(a)〜(f)は図1に示された車両用後側方視認装置の作用を示す説明図であり、(a)〜(c)は車両用後側方視認装置30の正面を示し、(d)〜(f)はそれぞれ(a)〜(c)に対応させた車両用後側方視認装置30の側面を示す。
(a),(d)において、ミラー手段33の設定角度を、水平面H1に対して垂直(θ1=90°)に設定した状態を示し、乗員は透光孔46cから透光(透過)される光のみを認識することができる。透光孔46cは色調可変手段53c(図3参照)を備えるので、例えば、色調可変手段53cの色が黄色のカラーレンズならば、黄色の光として認識される。
【0033】
(b),(e)において、ミラー手段33の設定角度を、水平面H1に対してθ2(θ2<θ1)に設定した状態を示し、乗員は透光孔46bから透光(透過)される光のみを認識することができる。透光孔46bは色調可変手段53b(図3参照)を備えるので、例えば、色調可変手段53bの色が橙色のカラーレンズならば、橙色の光として認識される。
【0034】
(c),(f)において、ミラー手段33の設定角度を、水平面H1に対してθ3(θ3<θ2)に設定した状態を示し、乗員は透光孔46aから透光(透過)される光のみを認識することができる。透光孔46aは色調可変手段53a(図3参照)を備えるので、例えば、色調可変手段53aの色が赤色のカラーレンズならば、赤色の光として認識される。
【0035】
すなわち、図2〜図3に示されたように、ミラー手段33が、反射・透過手段45及びバック板48から構成され、バック板48に、光源43からバック板48の所定の一点を結ぶ直線上に、且つバック板48に所定の深さを保って複数の透光孔46a〜46eが形成され、乗員が、複数の透光孔46a〜46eから透過される光を、ミラー手段33の設定角度によって選択的に視認できるようにした。これにより、乗員は、ミラー手段33の設定角度を透光孔46a〜46eの光る位置によって容易に認識することができる。
【0036】
例えば、乗員によって好適なミラー手段33の設定角度が異なる。ミラー手段33の設定角度を調整する際に、自分の好適なミラーポジションを透光孔46a〜46eの光る位置によって記憶しておくことで、容易かつ正確にミラー手段33の設定角度を調整することができる。
さらに、ミラー手段33の設定角度を調整する際に、透光孔46a〜46eの光る位置で調整することができるので、夜間でもミラーポジションの設定がしやすい。
【0037】
透光孔46a〜46eは、反射・透過手段45の上下方向に沿わせてバック板48に複数個設けられたので、上下方向でミラー手段33の設定角度を認識することができる。
【0038】
透光孔46a〜46eは、それぞれの透光孔46a〜46eによって光の色を異ならせる色調可変手段を備えたので、ミラー手段33の設定角度を色で認識することができる。すなわち、現在のミラーポジションを迅速に認識することができ、ミラー手段33の設定角度の調整を簡単に行うことができる。
【0039】
色調可変手段53a〜53eは、拡散剤を混入した材質で形成され、光を拡散させる拡散手段を備えるものであるため、透光孔46a〜46eから選択的に透光された一点方向に進む光を、反射・透過手段45の表面で透光孔46a〜46eの直径方向に拡散することができる。すなわち、いずれの透光孔46a〜46eから透光している場合であっても乗員の目に光を届けることができる。
【0040】
さらに、色調可変手段53a〜53eは拡散手段を備えるものであり、透光孔46a〜46eは、光を拡散させる拡散手段を備えたものと言える。これにより、透光孔46a〜46eの光を、柔らかな光で認識することができる。すなわち、光源43の眩しさを低減し、眼にやさしい光として認識することができる。
【0041】
ミラー手段33は、左右辺部の少なくとも一辺に沿って目盛り58が設けられたので、ミラー手段33の左右方向に関する設定角度を、より正確に知ることができる。
【0042】
図6は本発明に係る第2実施例の車両用後側方視認装置の正面図であり、図7は図6の7−7線断面図であり、図8は図6の8−8線断面図である。
図6〜図8に示すように、車両用後側方視認装置(車両用ドアミラー)60は、車両用ドア26(図1参照)に取付けられたミラーステー61と、このミラーステー61に略水平回転自在に取付けられ、車両用ドア26に向けて収納可能なミラーハウジング62と、このミラーハウジング62に水平方向及び垂直方向に揺動可能に取付けられたミラー手段63と、ミラーハウジング62内に設けられた光源73とからなる。
【0043】
ミラー手段63は、ミラーハウジング62の中心で且つ底部に設けられた光源73と、ミラーハウジング62の開口74に回動可能に且つ角度調整可能に設けられ、後側方の視界を映し出すとともに光源73の光を透過させる反射・透過手段75と、この反射・透過手段75の裏面に設けられたバック板48に形成され、光源73の光を透過させる複数の透光孔76a〜76e及び透光孔77a,77b,77d,77eとからなる。
バック板78は、バック板48のガラス51側に形成され、ガラス51面から向かう光を反射する反射層52と、光源43の光を透過させる複数の透光孔76a〜76e及び透光孔77a,77b,77d,77eと、光源73の光を遮る遮光手段(不図示)とからなる。
【0044】
反射・透過手段75は、バック板78の表面に密着して配置したガラス81と、バック板78の反射層82とから構成される。すなわち、ガラス81及び反射層82で鏡が構成され後側方の視界を映し出され、ガラス81及び複数の透光孔76a〜76e及び透光孔77a,77b,77d,77eから光源73の光が透過される。
ガラス81は、左辺部に沿って縦の目盛り88が設けられ、下辺部に沿って横の目盛り89が設けられる。
【0045】
複数の透光孔76a〜76eは、反射・透過手段75の上下方向に沿わせてバック板78に設けられ、複数の透光孔77a,77b,77d,77eは、反射・透過手段75の左右方向に沿わせてバック板78に設けられるものである。
【0046】
また、複数の透光孔76a〜76e及び透光孔77a,77b,77d,77eは、バック板78及び反射層82を貫通する微小孔であって、光源73よりもバック板78から離間した位置の一点と、バック板78の所定の一点とを結ぶ直線上に形成されるとともに、バック板78に所定の深さを保って形成されたものであり、乗員が所定の位置からミラー手段63を視認するときに、複数の透光孔76a〜76e及び透光孔77a,77b,77d,77eから透過される光を、ミラー手段63の設定角度によって選択的に視認できるようにするために指向性を持たせた構造である。
【0047】
さらに、複数の透光孔76a〜76eは、それぞれに光源73の色を変化させる色調可変手段(カラーレンズ)83a〜83eと、内周部分に光を吸収する吸光面85a〜85eとを有する。
また、透光孔77a,77b,77d,77eは、それぞれに光源73の色を変化させる色調可変手段(カラーレンズ)84a,84b,84d,84eと、内周部分に光を吸収する吸光面86a,86b,86d,86eとを有する。
【0048】
色調可変手段83a〜83e及び色調可変手段84a,84b,84d,84eは、拡散剤を混入した材質で形成され、光を拡散させる拡散手段を備えるものであるため、透光孔76a〜76e及び透光孔77a,77b,77d,77eから選択的に透光された一点方向に進む光を、反射・透過手段75の表面で透光孔76a〜76e及び透光孔77a,77b,77d,77eの直径方向に拡散することができる。すなわち、反射・透過手段75の表面のどの透光孔76a〜76e及び透光孔77a,77b,77d,77eから透光している場合であっても乗員の目に光を届けることができる。
また、透光孔76a〜76e及び透光孔77a,77b,77d,77eが、光を拡散させる拡散手段を備えたので、透光孔76a〜76e及び透光孔77a,77b,77d,77eの光を、柔らかな光で認識することができる。すなわち、光源の眩しさを低減し、眼にやさしい光として認識することができる。
【0049】
さらに、色調可変手段83a〜83e及び色調可変手段84a,84b,84d,84eは、複数の透光孔76a〜76e及び透光孔77a,77b,77d,77eの指向性を確保するために、反射層82の表面から所定の距離を凹ませて設置される。
さらに、色調可変手段83a〜83eは、異なる色調のカラーレンズであり、色調可変手段84a,84b,84d,84eは、異なる色調のカラーレンズである。
【0050】
吸光面85a〜85e及び吸光面86a,86b,86d,86eは、具体的には内周部分を黒色に処理するとともに、内周部分に光の吸収を促すマット処理を施したものである。
【0051】
車両用後側方視認装置60では、透光孔77a,77b,77d,77eが、反射・透過手段75の左右方向に沿わせてバック板78に複数個設けられたので、左右方向でミラー手段63の設定角度を認識することができる。
【0052】
車両用後側方視認装置60では、複数の透光孔76a〜76eが、反射・透過手段75の上下方向に沿わせてバック板78に設けられ、複数の透光孔77a,77b,77d,77eは、反射・透過手段75の左右方向に沿わせてバック板78に設けられたので、上下方向及び左右方向の双方でミラー手段63の設定角度を認識することができる。
なお、複数の透光孔は、光源73を中心としてバック板78に放射状に設けられたものでもよく、光源を中心としてバック板78に放射状に設けられることで、反射・透過手段の全面に渡ってミラー手段の設定角度を認識することができる。
【0053】
車両用後側方視認装置60では、ミラー手段63に、上下辺部の少なくとも一辺に沿って目盛り89が設けられたものと言え、ミラー手段63の上下方向に関する設定角度を、より正確に知ることができる。
【0054】
車両用後側方視認装置60では、ミラー手段63に、上下辺部の少なくとも一辺と左右辺部の少なくとも一辺とに沿って目盛り88,89が設けられたものとも言え、ミラー手段63の上下方向及び左右方向の双方に関する設定角度を、より正確に知ることができる。
【0055】
図9は本発明に係る第3実施例の車両用後側方視認装置の断面図であり、図10は図9に示されたカラーフィルタの正面図である。
図9及び図10に示すように、車両用後側方視認装置(車両用ドアミラー)100は、車両用ドア側のミラーステー(不図示)に略水平回転自在に取付けられたミラーハウジング102と、このミラーハウジング102に水平方向及び垂直方向に揺動可能に取付けられたミラー手段103と、ミラーハウジング102内に設けられた光源113とからなる。
【0056】
ミラー手段103は、ミラーハウジング102の中心で且つ底部112に設けられた光源113と、ミラーハウジング102の開口114に回動可能に且つ角度調整可能に設けられ、後側方の視界を映し出すとともに光源113の光を透過させる反射・透過手段115と、この反射・透過手段115の裏面に設けられ、光源113の光を遮断するとともに光源113の光を透過させる複数の透光孔116a〜116eを有するバック板118と、このバック板118の光源113側に設けたフィルタ119とからなる。
バック板118は外周に光源113の光を遮る遮光手段(遮光パッキン)117を備える。遮光手段117は、黒色のスポンジ等の弾性体にて形成される。
【0057】
反射・透過手段115は、反射及び透過可能な半透過鏡(ハーフミラー)若しくは電圧を印加することで透明状態若しくは鏡状態にすることができる調光ガラスである。
複数の透光孔116a〜116eは、反射・透過手段115の上下方向に沿わせてバック板118に設けられ、バック板118を貫通する微小孔であって、光源113よりもバック板118から離間した位置の一点と、バック板118の所定の一点を結ぶ直線上に形成される。さらに、内周部分を黒色に処理するとともに、内周部分に光の吸収を促すマット処理を施した吸光面に仕上げたものである。
【0058】
図10に示すように、フィルタ119は、拡散剤入りの半透明の素材で形成され、別色で印刷された第1印刷領域121〜第3印刷領域123を有する。すなわち、フィルタ119は、拡散手段及び色調可変手段を備える部材である。
【0059】
ミラー手段103では、反射・透過手段115に半透過鏡(ハーフミラー)若しくは調光ガラスを用い、拡散手段及び色調可変手段としてフィルタ119を用いることで、車両用後側方視認装置100の構成の設計の自由度の拡大を図ることができる。
【0060】
尚、本発明に係る車両用後側方視認装置30は、図2に示すように、ミラー手段33に目盛り58が設けられたが、これに限るものではなく、ミラーハウジング32に目盛りを含む補助的な表示を施すことを妨げるものではない。
【0061】
また、図4及び図6において、拡散手段(色調可変手段53a〜53e、色調可変手段83a〜83e及び色調可変手段84a,84b,84d,84e)は、反射層52,82の表面から所定の距離を凹まして設置されるように記載したが、略同一面に設けられてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明に係る車両用後側方視認装置は、セダンやワゴンなどの乗用車に採用するのに好適である。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明に係る車両用後側方視認装置を採用した車両の車室側から見た斜視図である。
【図2】図1に示された車両用後側方視認装置の正面図である。
【図3】図2の3−3線断面図である。
【図4】図3の4部拡大図である。
【図5】図1に示された車両用後側方視認装置の作用を示す説明図である。
【図6】本発明に係る第2実施例の車両用後側方視認装置の正面図である。
【図7】図6の7−7線断面図である。
【図8】図6の8−8線断面図である。
【図9】本発明に係る第3実施例の車両用後側方視認装置の断面図である。
【図10】図9に示されたカラーフィルタの正面図である。
【図11】従来の車両用後側方視認装置の基本構成を説明する図である。
【符号の説明】
【0064】
10…車両、30,60…車両用後側方視認装置、32,62…ミラーハウジング、33,63…ミラー手段、43,73…光源、45,75…反射・透過手段、46a〜46e,76a〜76e…透光孔、48,78…バック板、53a〜53e,83a〜83e…色調可変手段(拡散手段)、58,88,89…目盛り、77a,77b,77d,77e…透光孔、84a,84b,84d,84e…色調可変手段。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミラーハウジングに対して回動可能に取付けるとともに、角度調整可能に取付けたミラー手段と、ミラーハウジング内に設けた光源とを備えた車両用後側方視認装置であって、
前記ミラー手段は、後側方の視界を映し出すとともに前記光源の光を透過させる反射・透過手段と、この反射・透過手段の裏面に設けられたバック板に形成され、前記光源の光を透過させる複数の透光孔とからなり、
乗員が所定の位置から前記ミラー手段を視認するときに、前記複数の透光孔から透過される光を、前記ミラー手段の設定角度によって選択的に視認できるようにしたことを特徴とする車両用後側方視認装置。
【請求項2】
前記透光孔は、前記反射・透過手段の上下方向に沿わせて複数個設けられたことを特徴とする請求項1記載の車両用後側方視認装置。
【請求項3】
前記透光孔は、前記反射・透過手段の左右方向に沿わせて複数個設けられたことを特徴とする請求項1記載の車両用後側方視認装置。
【請求項4】
前記透光孔は、前記光源を中心として前記バック板に放射状に複数個設けられたことを特徴とする請求項1記載の車両用後側方視認装置。
【請求項5】
前記透光孔は、それぞれの透光孔によって光の色を異ならせる色調可変手段を備えたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の車両用後側方視認装置。
【請求項6】
前記透光孔は、光を拡散させる拡散手段を備えたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の車両用後側方視認装置。
【請求項7】
前記ミラー手段は、上下辺部の少なくとも一辺に沿って目盛りが設けられたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項記載の車両用後側方視認装置。
【請求項8】
前記ミラー手段は、左右辺部の少なくとも一辺に沿って目盛りが設けられたことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項記載の車両用後側方視認装置。
【請求項9】
前記ミラー手段は、上下辺部の少なくとも一辺と左右辺部の少なくとも一辺とに沿って目盛りが設けられたことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項記載の車両用後側方視認装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−238892(P2008−238892A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−80195(P2007−80195)
【出願日】平成19年3月26日(2007.3.26)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】