説明

車両用情報表示装置

【課題】
エージェント機能による提供情報(所定の条件に応じて提供されるプッシュ型情報)を後で呼出して再実行可能に保留情報として保留することにより、後で必要となる情報がワーストタイミングで提供された場合に、この情報を保留して乗員の煩わしさを解消すると共に、必要になった時点で保留情報を呼出して再実行させ、乗員の利便性向上を図ることができる車両用情報表示装置の提供を目的とする。
【解決手段】
種種の情報を表示する表示部を備えた車両用情報表示装置であって、所定の条件に応じてプッシュ型情報を提供する提供手段と、提供手段が提供した提供情報を実行する実行手段S12と、提供情報を削除する削除手段S14と、提供情報を後で呼出して再実行可能に保留情報として保留する保留手段S10とを備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、エージェント機能による検索情報を含む種種の情報を表示する表示部を備えたような車両用情報表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両のインストルメントパネルに設けられたモニタ等の表示部には、ナビゲーションの情報、道路の渋滞情報、空調情報、オーディオ情報、メールや電話等の情報、ニュースや天気等のニュース・ネットワーク情報などが適切に表示されるようになっており、近年、これらの種種の情報に加えて、エージェント機能による提供情報の表示システムも開発されつつある。
【0003】
エージェント機能とは、場面に応じてコンピュータが乗員の意図を理解して、自立的な判断に基づいた処理を実行する機能である。
【0004】
多様な乗員の嗜好を充分に満足させるためにはエージェント機能による提供情報量は膨大なものとなり、これら膨大な量の中から必要な情報を好適なタイミングで表示部に表示しなければ、乗員にとって煩わしさが増大する問題点があったが、従来システムにおいてはエージェント機能による提供情報の実行と削除とはできても、提供情報を保留することができなかった。
【0005】
つまり、エージェント機能による提供情報の中には現時点において必要な情報(オンデマンド情報)と、現時点では必要ないが乗員の利便性向上のために後刻必要となる情報(利便情報)とがあるが、従来システムにおいてはこの利便情報の保留ができず、後で必要となる情報まで削除されてしまう問題点があった。
【0006】
一方、特許文献1には、規格化されたシナリオデータに従ってエージェント機能を実現可能とし、シナリオデータで規定された自律起動条件に基づいてシナリオを起動する車載用エージェントシステムが開示されているが、同文献1にはエージェント機能による情報を保留するという技術思想は何等開示されていない。
【特許文献1】特開2004−54883号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、この発明はエージェント機能による提供情報(所定の条件に応じて提供されるプッシュ型情報)を後で呼出して再実行可能に保留情報として保留することにより、後で必要となる情報がワーストタイミングで提供された場合に、この情報を保留して乗員の煩わしさを解消すると共に、必要になった時点で保留情報を呼出して再実行させ、乗員の利便性向上を図ることができる車両用情報表示装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明による車両用情報表示装置は、種種の情報を表示する表示部を備えた車両用情報表示装置であって、所定の条件に応じてプッシュ型情報を提供する提供手段と、上記提供手段が提供した提供情報を実行する実行手段と、上記提供情報を削除する削除手段と、上記提供情報を後で呼出して再実行可能に保留情報として保留する保留手段とを備えたものである。
【0009】
上述の所定の条件に応じてプッシュ型情報(サービスを提供する側のコンピュータから配信される情報)を提供する提供手段は、エージェント機能による情報を提供する手段のことで、提供手段が提供した提供情報はエージェント機能による情報(いわゆるエージェント情報)のことである。
【0010】
上記構成によれば、上述の提供手段は所定の条件に応じてプッシュ型情報(push type information)を提供し、実行手段は提供手段が提供した提供情報を実行(表示を含む)し、削除手段は提供情報を削除するが、上記保留手段は提供情報を後で呼出して再実行(再表示を含む)可能に保留情報として保留する。
【0011】
このため、後で必要な提供情報が望ましくないタイミングで提供された場合、この提供情報を保留して乗員の煩わしさを解消することができると共に、必要になった時点で保留していた情報(保留情報)を呼出して再実行させることができるので、乗員の利便性向上を図ることができる。
【0012】
この発明の一実施態様においては、上記提供情報は緊急情報と利便情報とを有し、利便情報が保留可能に構成されると共に、緊急情報は即時表示されるものである。
上述の緊急情報は、道路上での事故、車両の故障、車両の燃料残量の略零乃至僅少状態の情報に設定してもよい。
【0013】
上記構成によれば、利便情報は後で呼出して再実行可能に保留することができると共に、緊急情報は表示部に即時表示するので、緊急情報に対する乗員の対応性向上を図ることができる。
【0014】
この発明の一実施態様においては、上記保留情報は、抽象化された記号または名称として集合表示されるものである。
【0015】
上記構成によれば、膨大な量の提供情報の中から乗員が選択して保留した保留情報の量が多くてなっても、抽象化された記号、名称として集合表示されるので、乗員は必要とする保留情報を容易と探すことができる。
【0016】
この発明の一実施態様においては、上記保留情報は、情報種別毎にグルーピング表示されるものである。
【0017】
上記構成によれば、保留情報がその種別毎にグループ化されているので、乗員が必要とする保留情報を探す時、多量の情報の中から必要とする情報を迅速かつ容易に探すことができ、操作性の向上を図ることができる。
【0018】
この発明の一実施態様においては、上記提供情報を処理する実行スイッチ、保留スイッチ、削除スイッチが固定の位置に設けられたものである。
【0019】
上記構成によれば、上述の各スイッチが固定の位置に設けられているので、乗員は車両の運転中に表示部の画面を目視しなくても、感覚的にスイッチの位置が認識できてこれらスイッチに対する操作性がよく、また運転の安全性を確保することができる。
【0020】
この発明の一実施態様においては、 上記何れのスイッチも操作されなかった時、利便情報を一時的に保留する一時保留手段を備えたものである。
【0021】
上記構成によれば、乗員が保留し忘れた利便情報を一時的に保留することができるので、利便性の向上を図ることができる。
【0022】
この発明の一実施態様においては、上記保留情報に基づく検索範囲は、通常検索とは異なるよう検索範囲を変更設定したものである。
上述の保留情報に基づく検索範囲は、通常検索範囲よりも小さく設定されることが望ましい。
【0023】
上記構成によれば、保留情報に基づく検索範囲を通常検索に対して変更設定したので、検索時の煩わしさが解消し、利便性の向上を図ると共に、乗員の手間、負担を省力化することができる。
【0024】
この発明の一実施態様においては、上記保留情報は所定条件で消去されるものである。
上述の所定条件は、目的地までの途中施設情報を保留した場合には、その位置を通過した条件で、目的地に到着した条件に設定しもよい。
【0025】
上記構成によれば、多量の保留情報の中から不要になった情報を所定条件下にて適切に消去することができ、消去していない必要な保留情報の検索性向上を図ることができる。
【0026】
この発明によれば、エージェント機能による提供情報(所定の条件に応じて提供されるプッシュ型情報)を後で呼出して再実行可能に保留情報として保留するので、後で必要となる情報がワーストタイミングで提供された場合に、この情報を保留して乗員の煩わしさを解消すると共に、必要になった時点で保留情報を呼出して再実行させ、乗員の利便性向上を図ることができる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
後で必要となる情報がワーストタイミング提供された時、この情報を保留して乗員の煩わしさを解消すると共に、必要になった時点で保留情報を呼出して再実行させ、乗員の利便性向上を図るという目的を、プッシュ型情報を提供する提供手段が提供した提供情報を後で呼出して再実行可能に保留情報として保留する保留手段を設けるという構成にて実現した。
【実施例】
【0028】
この発明の一実施例を以下図面に基づいて詳述する。
図面は車両用情報表示装置を示し、図1において、インストルメントパネル1におけるステアリングホイール2と対向する部位にはスピードメータ、タコメータ、フューエルメータ等を備えたメータ部3が配設されると共に、インストルメントパネル1の中央部における左右の空調風吹出口4,5(いわゆるベント吹出口)の間には、種種の情報を表示する表示部としてのメインモニタ6を配設し、このメインモニタ6とメータ部3との間において乗員(ドライバ)から目視容易なインストルメントパネル1の所定部にはサブモニタ7を配設している。
【0029】
上述のサブモニタ7は時刻を表示する時刻表示部7aと、車室内の温度を表示する温度表示部7bと、ガソリン残量が僅少または零になった旨、あるいはメールを受信したこと等を文字で表示する文字表示部7c等を含み、主要な情報の視認性の向上を図っている。
【0030】
図2は車両用情報表示装置の制御回路ブロック図を示し、集中処理装置としてのCPU10には、ナビゲーション装置11、オーディオ装置12、空調装置13、メール(詳しくは電子メールシステム)14、電話15、通信手段16、サブモニタ7、メインモニタ6、コントロールスイッチ17(後述するタッチパネル形式の各スイッチを含む)、RAM等の記憶部18が接続されると共に、車両の故障情報19が入力されるように構成している。
【0031】
上述の通信手段16は車外の情報センタ20との間でデータの送受信を行ない、情報センタ20のデータベースには渋滞情報、道路規制情報、交通取締り情報などの各情報が更新、検索可能に記憶されている。
【0032】
図3はエンジン始動時にメインモニタ6に表示される初期画面で、この画面の上部には各種の機動スイッチ(タッチパネル形式のスイッチ)21〜27が表示される。
【0033】
機動スイッチ21はナビゲーション装置を機動するスイッチであり、機動スイッチ22は渋滞情報を表示機動するスイッチであり、機動スイッチ23は空調装置13を機動するスイッチであり、機動スイッチ24はオーディオ装置12を機動するスイッチであり、機動スイッチ25はメール14および電話15を機動するスイッチであり、機動スイッチ26はインターネットおよびニュース用の機動スイッチであり、機動スイッチ27はエージェント機能を機動するスイッチであって、これら各スイッチ21〜27のON時にはメインモニタ6の画面表示内容が当該スイッチに対応した内容に切り換わる。
【0034】
図4はエージェント用の機動スイッチ27ON時の表示画面の一例を示し、メインモニタ6の表示画面において乗員(ドライバ)に近い右側には、エージェント機能による情報(提供情報のことで以下単にエージェント情報と略記する)を処理する実行スイッチSW1と、保留スイッチSW2と、削除スイッチSW3とが常に位置が不変の固定の位置に表示される。
またメインモニタ6の画面中央にはエージェント情報出力としての複数の主画面30,31,32・・・が表示される。
【0035】
図2で示したCPU10は、所定のタイミングでプッシュ型情報を提供する提供手段R1(図5で示すフローチャートの各ステップU2〜U4から成るルーチンR1参照)と、提供手段R1が提供した提供情報(エージェント情報)を実行スイッチSW1のONに対応して、実行(検索、表示など)する実行手段S12(図6で示すフローチャートのステップS12参照)と提供情報(エージェント情報)を削除スイッチSW3のONに対応して削除する削除手段S14(図6で示すフローチャートのステップS14参照)と、提供情報(エージェント情報)を保留スイッチSW2のONに対応して、後で呼出して再実行可能に記憶部18に保留情報として保留する保留手段S10(図6で示すフローチャートのステップS10参照)とを兼ねるものである。
【0036】
ここで、上述のエージェント情報は、事故、車両故障、ガソリン残量略零などの緊急情報と、ベストタイミングでの必要情報としてのオンデマンド情報(on−demand information)と、利便情報とを有し、利便情報が保留可能に構成されると共に、緊急情報およびオンデマンド情報は保留不可であって、即時表示されるように構成している。
【0037】
また上述のCPU10(図2参照)はエージェント情報の1つとしての利便情報の出力時(図6のフローチャートのステップS7参照)に実行スイッチSW1、保留スイッチSW2、削除スイッチSW3の何れのスイッチも操作されなかった時、利便情報を勝手に消去することなく、一時的に保留する一時保留手段S17(図6で示すフローチャートのステップS17参照)をも兼ねるものである。
【0038】
次に図5〜図8で示すそれぞれのフローチャートを参照して、車両用情報表示装置の作用について説明する。
【0039】
まず、図5に示すフローチャートを参照してエージェント機能の作用について説明する。
ステップU1で、CPU10は図2の各要素11〜17、19から各種のエージェント情報を検索および受信(メール等の受信参照)処理する(情報そのものを検索、受信する処理)。
次にステップU2で、CPU10はエージェント情報の受け入れ(エージェント情報として受け入れる処理)を実行し、次のステップU3で、CPU10はエージェント情報を出力(画面表示など)処理し、さらに次のステップU4で、CPU10はエージェント情報の処理を実行(検索、経由地設定等参照)する。
【0040】
次に、図6に示すフローチャートを参照して詳細な内容について説明する。図6に示すフローチャートは図5で示した各ステップU2〜U4の内容を詳細に示すものである。
ステップS1で、CPU10は受入れたエージェント情報がオンデマンド情報か、緊急情報か、保留可能な利便情報かを識別する。
次のステップS2で、CPU10はオンデマンド情報か否かを判定し、受入れたエージェント情報がオンデマンド情報であるYES判定時にはステップS4に移行し、NO判定時には別のステップS3に移行する。
【0041】
このステップS3で、CPU10は受入れたエージェント情報が緊急情報であるか否かを判定し、YES判定時には上述のステップS4に移行する一方、NO判定時には別のステップS5に移行する。
【0042】
上述のステップS4で、CPU10はエージェント情報(オンデマンド情報または緊急情報)を出力する。つまり、メインモニタ6に情報内容を可視表示(画面表示)した後に、ステップS1にリターンする。
【0043】
一方、上述のステップS5で、CPU10は利便情報を保留可能情報として認定する。次のステップS6で、CPU10は出力タイミングか否かを判定し、YES判定時にのみ次のステップS7に移行する。
【0044】
このステップS7で、CPU10はメインモニタ6に複数の主画面30,31,32のうち主画面30を図4に示すように表示する。この実施例では目的地を設定した後に、目的地までの途中において各種施設を検索するか否かという場合を例示しているので、主画面30には「目的地への到着が午後になります。」「食事・レストランの施設を検索しますか?」とのメッセージが画面表示される。
【0045】
次にステップS8で、CPU10は保留スイッチSW2のONによる保留操作の有無を判定し、YES判定時には次のステップS9に移行し、NO判定時には別のステップS11に移行する。
【0046】
ここで、上述の保留スイッチSW2のON時にはメインモニタ6の表示内容は図4の内容から図11に示す内容に変化する。つまり図4の主画面30が消えて次の主画面31が表示されると共に、主画面30に相当する表示はメインモニタ6び左下部にアイコン30Aとして表示される。
【0047】
図11で示す主画面31には「目的地の施設には駐車場がありません。」「目的地周辺の駐車場を検索・設定しますか?」とのメッセージが画面表示される。
【0048】
図11に示す画面表示状態下において保留スイッチSW2がONされた場合には、メインモニタ6の表示内容は図11の内容から図12に示す内容に変化する。つまり図11の主画面31が消えて次の主画面32が表示されると共に、主画面31に相当する表示はメインモニタ6の左下部にアイコン31Aとして表示される。
【0049】
上述のステップS9で、CPU10はフラグをF=1とする(F=1は乗員が自らの意図で利便情報を保留したことを示す。)なお、フラグは記憶部18の所定エリアに更新可能に記憶される。
【0050】
次にステップS10で、CPU10は利便情報を後で呼出して再実行可能に保留情報として保留するが、このステップS10の詳細については図7のサブルーチンを参照して後述する。
【0051】
一方、上述のステップS11で、CPU10は検索スイッチSW1がONされたか否かを判定し、YES判定時にはステップS12に移行し、NO判定時には別のステップS13に移行する。
【0052】
上述のステップS12で、CPU10は利便情報の検索を行なう等、実行処理を行なう。例えば、図12に示す画面表示状態下において上述の検索スイッチSW1がON操作されると、このステップS12ではガソリンスタンドの検索および設定が実行される。
【0053】
一方、上述のステップS13で、CPU10は削除スイッチSW3がONされたか否かを判定し、YES判定時にはステップS14に移行し、NO判定時には別のステップS15に移行する。
【0054】
上述のステップS14で、CPU10は乗員の削除スイッチSW3のONに基づいて利便情報を削除処理する。例えば図11に示す画面表示状態下において上述の削除スイッチSW3がON操作されると、このステップS14では駐車場にに関する利便情報が削除される。当然のこととして駐車場に関する利便情報が削除された場合には図12のメインモニタ6にはアイコン31Aは表示されない。
【0055】
一方、上述のステップS15で、CPU10は所定時間が経過し、タイムアップしたか否かを判定し、NO判定時にはステップS8にリターンする一方、タイムアップ時(YES判定時)には次のステップS16に移行する。
このステップS16で、CPU10はフラグをF=2とする(F=2は乗員に無視された利便情報または乗員が保留し忘れた利便情報であることを示す)。
【0056】
次のステップS17で、CPU10は何れのスイッチSW1,SW2,SW3もON操作されなかったことに対応して、利便情報が勝手に消去されることを防止する目的で、この利便情報を一時的に保留する。
【0057】
次に図7のフローチャート(サブルーチン)を参照して、利便情報の保留処理について説明する。この図7に示すサブルーチンは図6で示した各ステップS10,S17のサブルーチンであって、その内容は各ステップS10,S17に共通する。
【0058】
ステップQ1で、CPU10はフラグがF=1か否かを判定し、乗員が自らの意図で利便情報を保留する旨のF=1の時(YES判定時)には次のステップQ2に移行し、NO判定時には別のステップQ4に移行する。
【0059】
上述のステップQ2で、CPU10は利便情報を記憶部18に後で呼出して再実行可能に保留情報として保留する。例えば、図4に示す画面表示状態下において保留スイッチSW2がON操作された場合には、このステップQ2で、CPU10は利便情報としての食事・レストランの施設情報を後で呼出して再実行可能となるように記憶部18に保留情報として保留する。この保留した情報に対応してメインモニタ6にはアイコン30A(図11、図12参照)が表示され、このアイコン30Aをクリックすると、図11の点線で囲繞した所定表示エリア33の内容は図13に示すように変化する。
【0060】
つまり、上述の保留情報は図13に示すように抽象化された記号または名称の一例として「昼」、「お特」、「美味」の各アイコン34,35,36として集合表示されると共に、情報種別毎にグルーピング表示される。図13の実施例では食事関連のグルーピング表示を例示している。
なお、アイコン30Aのクリック時に所定表示エリア33の内容を図13に示すように変化させる構成に代えて、図13の内容を主画面に表示してもよい。
【0061】
ここで、上述のアイコン34をクリックすると、レストラン検索が実行されるが、この場合の検索は保留情報に基づくものであるから、図14に主画面のルート図を示すようにその検索範囲αは、通常検索時の検索範囲βとは異なるように検索範囲のαが小さく設定される。
すなわち、通常の検索範囲βは所定半径の円内に設定されるが、保留情報に基づく検索範囲αは道路に沿う細長い範囲に設定される。
【0062】
次に図7のステップQ3で、保留処理した情報(保留情報)の削除可否判定を実行するが、このステップQ3の詳細ついては図8のサブルーチンを参照して後述する。
【0063】
一方、上述のステップQ4で、CPU10はフラグがF=2か否かを判定し、NO判定時にはサブルーチンの処理を終了する一方、F=2の時(YES判定時)には次のステップQ5に移行する。
【0064】
このステップQ5で、CPU10は所定時間(例えば約10分)が経過したか否かを判定し、YES判定時にのみ次のステップQ6に移行する。
【0065】
このステップQ6で、CPU10はF=2に対応して、利便情報が何れのスイッチSW1,SW2,SW3も操作されていない状態で残っている旨のメッセージを画面表示する。
次にステップQ7で、CPU10は所定時間(例えば約5分)が経過したか否かを判定し、YES判定時にのみ次のステップQ8に移行する。
【0066】
このステップQ8で、CPU10は上述の利便情報が不要であると見なして、保留情報量の増大化(ノイズ低減)を図る目的で、該利便情報を自動削除し、次のステップQ9で、CPU10はフラグをF=0(削除したことを示すフラグ)とする。
【0067】
次に図8のフローチャート(サブルーチン)を参照して保留情報の削除可否判定処理について説明する。この図8に示すサブルーチンは図7で示したステップQ3に相当する。
【0068】
ステップC1で、CPU10は所定時間(例えば1〜2時間)が経過したタイムアップか否かを判定し、NO判定時には次のステップC2に移行する一方、YES判定時には別のステップC4に移行する。
【0069】
上述のステップC2で、CPU10は検索すべき施設の位置を車両が既に通過したか否かを判定し、NO判定時には次のステップC3に移行する一方、YES判定時にはステップC4に移行する。
【0070】
上述のステップC3で、CPU10は車両が目的地に到着したか否かを判定し、NO判定時にはサブルーチンの処理を終了する一方、YES判定時にはステップC4に移行する。
【0071】
上述のステップC4で、CPU10はタイムアップ、位置通過または目的地到着に対応して、保留情報を削除しますかという旨のメッセージを画面表示し、次のステップC5で、CPU10は削除スイッチSW3がONされたか否かを判定して、削除スイッチSW3のON時(YES判定時)にはステップC6に移行し、NO判定時には保留情報を何等削除することなくサブルーチンの処理を終了する。
【0072】
上述のステップC6で、CPU10は不要となった保留情報を削除し、次のステップC7で、CPU10はフラグをF=0とする。
なお、図7で示したサブルーチンに代えて、図9のサブルーチンを採用してもよい。この図9に示すフローチャートは図7のステップQ7に代えて、ステップQ10,Q11を設けたもので、ステップQ6でのメッセージ画面表示後、ステップQ10で、保留スイッチSW2がONされたか否かを判定し、NO判定時にはステップQ8に移行して利便情報を自動的に削除する一方、YES判定時にはステップQ11でフラグをF=1と成した後に、ステップQ2にリターンするように構成したものである。このように構成すると、乗員が保留し忘れた利便情報はステップQ2で保留されるので、乗員の保留し忘れを補完することができる。
【0073】
また図8で示したサブルーチンに代えて、図10のサブルーチンを採用してもよい。この図10に示すフローチャートは図8のステップC5を省略したものであって、タイムアップ、位置通過または目的地到着の何れかの条件成立時に、ステップC4でメッセージ画面表示した後に、不要となった保留情報をステップC6で自動的に削除するものである。
このように構成すると、所定条件下にて不要となった保留情報は乗員の削除スイッチSW3のON操作を必要とすることなく、自動的に削除することができる。
【0074】
このように上記実施例の車両用情報表示装置は、種種の情報を表示する表示部(メインモニタ6参照)を備えた車両用情報表示装置であって、所定の条件に応じてプッシュ型情報を提供する提供手段R1と、上記提供手段R1が提供した提供情報(エージェント情報参照)を実行する実行手段S12と、上記提供情報(エージェント情報参照)を削除する削除手段S14と、上記提供情報(エージェント情報参照)を後で呼出して再実行可能に保留情報として保留する保留手段S10とを備えたものである。
【0075】
上記構成によれば、上述の提供手段R1は所定の条件に応じてプッシュ型情報(この実施例ではエージェント情報と同意)を提供し、実行手段S12は提供手段R1が提供した提供情報(エージェント情報参照)を実行(表示を含む)し、削除手段S14は提供情報(エージェント情報参照)を削除するが、上記保留手段S10は提供情報(エージェント情報参照)を後で呼出して再実行(再表示を含む)可能に保留情報として保留する。
【0076】
このため、後で必要な提供情報(エージェント情報参照)が望ましくないタイミングで提供された場合(例えば車両発進時等に利便情報としての食事・レストラン施設の情報が提供された場合)、この提供情報(エージェント情報参照)を保留して乗員の煩わしさを解消することができると共に、必要になった時点で保留していた情報(保留情報)を呼出して再実行(再表示および施設検索を含む)させることができるので、乗員の利便性向上を図ることができる。
【0077】
また、上記提供情報(エージェント情報参照)は緊急情報(事故、故障、ガソリン残量略零の情報参照)と利便情報とオンデマンド情報とを有し、利便情報が保留可能に構成されると共に、緊急情報およびオンデマンド情報は即時表示されるものである。
【0078】
この構成によれば、利便情報は後で呼出して再実行可能に保留することができると共に、緊急情報は表示部(メインモニタ6参照)に即時表示するので、緊急情報に対する乗員の対応性向上を図ることができる。
さらに、上記保留情報は、図13にアイコン34,35,36で示したように、抽象化された記号または名称として集合表示されるものである。
この構成によれば、膨大な量の提供情報(エージェント情報参照)の中から乗員が選択して保留した保留情報の量が多くなっても、抽象化された記号、名称として集合表示されるので、乗員は必要とする保留情報を容易に探すことができる。
【0079】
加えて、上記保留情報は、情報種別毎にグルーピング表示(図13の食事関連のグルーピング表示参照)されるものである。
この構成によれば、保留情報がその種別毎にグループ化されているので、乗員が必要とする保留情報を探す時、多量の保留情報の中から必要とする保留情報を迅速かつ容易に探すことができ、操作性の向上を図ることができる。
また、上記提供情報(エージェント情報参照)を処理するタッチパネル形の実行スイッチSW1、保留スイッチSW2、削除スイッチSW3が固定の位置に設けられたものである。
【0080】
この構成によれば、上述の各スイッチSW1〜SW3が固定の位置に設けられているので、乗員は車両の運転中に表示部(メインモニタ6参照)の画面を目視しなくても、感覚的にスイッチSW1〜SW3の位置が認識できてこれらスイッチSW1〜SW3に対する操作性がよく、また運転の安全性を確保することができる。
さらに、上記何れのスイッチSW1〜SW3も操作されなかった時、利便情報を一時的に保留する一時保留手段S17を備えたものである。
【0081】
この構成によれば、乗員が保留し忘れた利便情報を一時的に保留することができるので、利便性の向上を図ることができる。
そのうえ、図14で示したように、上記保留情報に基づく検索範囲αは、通常検索(検索範囲β参照)とは異なるよう検索範囲を変更設定したものである。ここで範囲の大きさはα<βに設定してもよい。
【0082】
この構成によれば、保留情報に基づく検索範囲αを通常検索に対して、例えば小さくなるように、変更設定したので、検索時の煩わしさが解消し、利便性の向上を図ると共に、乗員の手間、負担を省力化することができる。
しかも、上記保留情報は所定条件で消去(ステップC6参照)されるものである。
【0083】
この実施例においては上述の所定条件を、タイムアップ(ステップC1参照)、位置通過(ステップC2参照)、目的地到着(ステップC3参照)のうち少なくとも1つに設定している。
【0084】
この構成によれば、多量の保留情報の中から不要になった情報を所定条件下にて適切に消去することができ、消去していない必要な保留情報の検索性向上を図ることができる。
【0085】
この発明の構成と、上述の実施例との対応において、
この発明の表示部は、実施例のメインモニタ6に対応し、
以下同様に、
提供手段は、CPU10制御によるルーチンR1に対応し、
実行手段は、ステップS12に対応し、
削除手段は、ステップS14に対応し、
保留手段は、ステップS10に対応し、
一時保留手段は、ステップS17に対応するも、
この発明は上述の実施例の構成のみに限定されるものではない。
例えば、メインモニタ6による画面表示での案内に加えて電子音声による案内を併用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】表示部の配設位置を示す説明図。
【図2】車両用情報表示装置の制御回路ブロック図。
【図3】表示部の初期画面を示す説明図。
【図4】エージェント機能機動時の表示画面の一例を示す説明図。
【図5】エージェント機能を示すフローチャート。
【図6】情報表示処理を示すフローチャート。
【図7】利便情報の保留、削除処理のサブルーチンを示すフローチャート。
【図8】所定条件下における保留情報の削除を示すフローチャート。
【図9】サブルーチンの他の実施例を示すフローチャート。
【図10】サブルーチンの他の実施例を示すフローチャート。
【図11】保留スイッチON時の表示画面の一例を示す説明図。
【図12】保留スイッチON時の表示画面の一例を示す説明図。
【図13】グルーピング表示の一例を示す説明図。
【図14】検索範囲の変更を示す説明図。
【符号の説明】
【0087】
6…メインモニタ(表示部)
R1…提供手段
S10…保留手段
S12…実行手段
S14…削除手段
S17…一次保留手段
SW1…実行スイッチ
SW2…保留スイッチ
SW3…削除スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
種種の情報を表示する表示部を備えた車両用情報表示装置であって、
所定の条件に応じてプッシュ型情報を提供する提供手段と、
上記提供手段が提供した提供情報を実行する実行手段と、
上記提供情報を削除する削除手段と、
上記提供情報を後で呼出して再実行可能に保留情報として保留する保留手段とを備えた
車両用情報表示装置。
【請求項2】
上記提供情報は緊急情報と利便情報とを有し、
利便情報が保留可能に構成されると共に、緊急情報は即時表示される
請求項1記載の車両用情報表示装置。
【請求項3】
上記保留情報は、抽象化された記号または名称として集合表示される
請求項1または2記載の車両用情報表示装置。
【請求項4】
上記保留情報は、情報種別毎にグルーピング表示される
請求項1〜3の何れか1に記載の車両用情報表示装置。
【請求項5】
上記提供情報を処理する実行スイッチ、保留スイッチ、削除スイッチが固定の位置に設けられた
請求項1〜4の何れか1に記載の車両用情報表示装置。
【請求項6】
上記何れのスイッチも操作されなかった時、利便情報を一時的に保留する一時保留手段を備えた
請求項5記載の車両用情報表示装置。
【請求項7】
上記保留情報に基づく検索範囲は、通常検索とは異なるよう検索範囲を変更設定した
請求項1記載の車両用情報表示装置。
【請求項8】
上記保留情報は所定条件で消去される
請求項1記載の車両用情報表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2006−38545(P2006−38545A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−216850(P2004−216850)
【出願日】平成16年7月26日(2004.7.26)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】