説明

車両用温度調整装置、および車載用熱システム

【課題】熱容量要素を用いて効果的に温度調整することのできる車両用温度調整装置を提供する。
【解決手段】車室内の空気および車両の構成部品のうち少なくとも一方を温度調整対象物とする車両用温度調整装置であって、熱を蓄積可能な熱容量要素1と、低温側から吸熱して高温側に放熱する冷凍サイクル11と、熱容量要素に蓄積した熱を冷凍サイクル11の冷媒と熱交換させる熱交換手段14、16と、冷凍サイクル11の冷媒が持つ熱を温度調整対象物に付与する熱付与手段19、31とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車室内の空気および車両の構成部品のうち少なくとも一方の温度調整を行う車両用温度調整装置、および車載用熱システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電気自動車やハイブリッド車などの電動車両では、電池などの蓄電機器に蓄えた電気エネルギーにてモータを駆動させ走行する。空調に必要な電気エネルギーも同じく電池から得ているが、夏季や冬季など、特に大きな空調エネルギーが必要とされるシーンでは空調に多くの電力を要し、航続距離が低下するという課題がある。
【0003】
これらを回避するため、従来技術として蓄冷器や蓄熱器に熱(熱エネルギー)を蓄えて走行時に使用する技術が提案されているが(例えば特許文献1など)、多くの蓄冷材や蓄熱材を要するため車両重量の増大や搭載スペースの増大を招いている。
【0004】
そこで蓄冷器や蓄熱器の代わりに電池などの熱容量要素を利用し熱(熱エネルギー)を蓄える技術が特許文献2〜4などで提案されている。
【0005】
特許文献2には、電池から発生する熱を車室内に導入し、暖房能力のアシストに利用する技術が記載されている。
【0006】
特許文献3、4には、充電時の抵抗による電池発熱や、スイッチング素子切り替えなどによる発熱促進手段を用いて電池を暖機し熱エネルギーを蓄える技術が記載されている。また、住宅などで空調された空気をホースなどを通じて電池の温調に利用する技術も記載されている。さらには、電池容器に蓄冷材を含み、充電時に冷凍サイクルで電池を冷却して冷熱(冷気エネルギー)を蓄え、走行時に冷却水を介して車室内空気を冷却する技術も記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−059918号公報
【特許文献2】特開平5−178070号公報
【特許文献3】特開2008−92696号公報
【特許文献4】特開2010−268683号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献2の従来技術によると、走行時や充電時に電池から発生した熱を暖房に利用しているが、特に暖房性能が必要な冬季は、電池温度が上がらず車室内空気との温度差が取れないため、十分な暖房能力が得られないという問題がある。
【0009】
ちなみに特許文献2には、暖房に適用した場合の構成については記載されているが、例えば電池を蓄冷体として冷熱を蓄え冷房に使用するための構成は記載されていない。また特許文献2では、走行時や充電時の電池の発熱を空調に利用しているが、電池に積極的に温熱/冷熱を蓄えるような使い方はされておらず、大容量電池の熱容量を十分に使いきれていない。
【0010】
特許文献3、4の従来技術によると、上記した特許文献2の従来技術と同様の問題に加え、冷房使用時にも、電池温度と車室内空気とで温度差が取れず、十分な冷房性能が得られないという問題がある。また、住宅からの空気を導入した場合も同様に温度差が取れず、十分な暖房、冷房性能が得られないという問題がある。また、空気を直接車両に取り込むためのホースなどが必要となり、構造が複雑となる。
【0011】
ちなみに特許文献3、4には、充電時に熱(熱エネルギー)を電池(熱容量要素)に蓄える方法は記載されているが、車両に残った熱を電池などの走行用構成部品に蓄える方法は記載されていない。また、特許文献3、4には、プレ空調の制御フローの記述はあるが、電池(熱容量要素)に熱(熱エネルギー)を蓄積するための制御フローについては記載されていない。
【0012】
本発明は上記点に鑑みて、熱容量要素を用いて効果的に温度調整することのできる車両用温度調整装置を提供することを第1目的とし、二次電池に蓄えられる冷熱を利用して、車室内空調に必要な動力を低減する車載用熱システムを提供することを第2の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記第1目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、車室内の空気および車両の構成部品のうち少なくとも一方を温度調整対象物とする車両用温度調整装置であって、
熱を蓄積可能な熱容量要素(1)と、
低温側から吸熱して高温側に放熱する冷凍サイクル(11)と、
熱容量要素に蓄積した熱を冷凍サイクル(11)の冷媒と熱交換させる熱交換手段(14、16)と、
冷凍サイクル(11)の冷媒が持つ熱を温度調整対象物に付与する熱付与手段(19、31)とを備えることを特徴とする。
【0014】
これによると、熱容量要素(1)に蓄えた熱を冷凍サイクル(11)の冷媒と熱交換させているので、熱容量要素(1)と温度調整対象物との温度差が小さい場合でも、熱容量要素(1)に蓄えた熱を活用できる。そのため、熱容量要素(1)を用いて効果的に温度調整することができる。なお、本発明における熱とは、温熱および冷熱の両方を含む意味のものである。
【0015】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の車両用温度調整装置において、熱付与手段(31)は、冷凍サイクル(11)の冷媒によって温度調整対象物を加熱するようになっており、
熱交換手段(14)は、冷凍サイクル(11)の低圧側に設けられていることを特徴とする。
【0016】
これによると、熱容量要素(1)に蓄えた熱を冷凍サイクル(11)の低圧側冷媒と熱交換させるので、温度調整対象物を加熱する際に冷凍サイクル(11)の低圧を上昇させることができ、ひいては冷凍サイクル(11)の大能力化や省電力化を図ることができる。
【0017】
請求項3に記載の発明では、請求項1または2に記載の車両用温度調整装置において、熱付与手段(19)は、冷凍サイクル(11)の冷媒によって温度調整対象物を冷却するようになっており、
熱交換手段(16)は、冷凍サイクル(11)の高圧側に設けられていることを特徴とする。
【0018】
これによると、熱容量要素(1)に蓄えた熱を冷凍サイクル(11)の高圧側冷媒と熱交換させるので、温度調整対象物を冷却する際に冷凍サイクル(11)の高圧を低下させることができ、ひいては冷凍サイクル(11)の大能力化や省電力化を図ることができる。
【0019】
請求項4に記載の発明では、請求項1ないし3のいずれか1つに記載の車両用温度調整装置において、熱容量要素(1)に蓄積した熱を、冷凍サイクル(11)の冷媒を介することなく温度調整対象物に付与する第2熱付与手段(15)を備えることを特徴とする。
【0020】
これによると、熱容量要素(1)に蓄えた熱を、冷凍サイクル(11)の冷媒を介して温度調整対象物に付与するのみならず、冷凍サイクル(11)の冷媒を介することなく温度調整対象物に付与することもできるので、熱容量要素(1)に蓄積した熱の使い方を多様化できる。
【0021】
請求項5に記載の発明では、請求項4に記載の車両用温度調整装置において、熱容量要素(1)に蓄積した熱を熱交換手段(14、16)によって冷凍サイクル(11)の冷媒と熱交換させる場合と、熱容量要素(1)に蓄積した熱を第2熱付与手段(15)によって温度調整対象物に付与する場合とを切り替える切替手段(20、21、26)を備えることを特徴とする。
【0022】
これにより、熱容量要素(1)に蓄えた熱の使い方を、使用環境等に応じて適切に変更することが可能になる。
【0023】
請求項6に記載の発明では、請求項1ないし5のいずれか1つに記載の車両用温度調整装置において、熱容量要素(1)が蓄積する熱は、車両に搭載された蓄電機器を充電する時の外部電力を用いて与えられるものであることを特徴とする。
【0024】
これによると、外部電力を用いて熱容量要素(1)に蓄積した熱を走行時に使用することができるため、その分、走行時に必要なエネルギーを低減することができ、ひいては車両の航続距離を延ばすことが可能になる。また、車両の航続距離を延ばす必要がない場合には、熱容量要素(1)の熱容量を少なくすることが可能になる。
【0025】
請求項7に記載の発明では、請求項1ないし6のいずれか1つに記載の車両用温度調整装置において、熱容量要素(1)は、車両に搭載された蓄電機器であることを特徴とする。
【0026】
これにより、既存の蓄電機器を熱容量要素として有効活用することができる。ちなみに、蓄電機器は一般的に、他の車載部品と比較して非常に大きな熱容量を持っているため、多くの熱量を蓄えることができるという利点がある。また、蓄電機器は一般的に、日射など外部からの熱を受けにくい部位に配置され、かつ比較的断熱性の高い構造となっているため、蓄電/蓄熱効果が高いという利点もある。
【0027】
請求項8に記載の発明では、請求項1ないし7のいずれか1つに記載の車両用温度調整装置において、熱容量要素(1)への熱の蓄積、および熱付与手段(19、31)による温度調整対象物への熱の付与を断続する断続手段(20、21、26、64)と、
熱容量要素(1)への熱の蓄積の要否を判定し、その判定結果に基づいて断続手段(20、21、26、64)を制御する制御手段(13)とを備え、
制御手段(13)は、熱容量要素(1)への熱の蓄積が必要と判定した場合、まず熱容量要素(1)に熱が蓄積され、その後に、熱容量要素(1)に蓄積した熱が温度調整対象物に付与されるように断続手段(20、21、26、64)を制御することを特徴とする。
【0028】
これによると、熱容量要素(1)への熱の蓄積、および温度調整対象物への熱の付与を適切に行うことができるので、熱容量要素(1)を用いて一層効果的に温度調整することができる。
【0029】
請求項9に記載の発明では、車室内の空気および車両の構成部品のうち少なくとも一方を温度調整対象物とする車両用温度調整装置であって、熱を蓄積可能な熱容量要素(1)と、
熱容量要素(1)に蓄積した熱を温度調整対象物に付与する熱付与手段(15、19、31)と、
熱容量要素(1)への熱の蓄積、および熱付与手段(15、19、31)による温度調整対象物への熱の付与を断続する断続手段(20、21、26、64)と、
熱容量要素(1)への熱の蓄積の要否を判定し、その判定結果に基づいて断続手段(20、21、26、64)を制御する制御手段(13)とを備え、
制御手段(13)は、熱容量要素(1)への熱の蓄積が必要と判定した場合、まず熱容量要素(1)に熱が蓄積され、その後に、熱容量要素(1)に蓄積した熱が温度調整対象物に付与されるように断続手段(20、21、26、64)を制御することを特徴とする。
【0030】
これによると、熱容量要素(1)への熱の蓄積、および温度調整対象物への熱の付与を適切に行うことができるので、熱容量要素(1)を用いて効果的に温度調整することができる。
【0031】
請求項10に記載の発明では、請求項8または9に記載の車両用温度調整装置において、制御手段(13)は、熱容量要素(1)の目標温度を算出し、目標温度に基づいて断続手段(20、21、26、64)を制御するようになっており、
制御手段(13)は、熱容量要素(1)への熱の蓄積が必要と判定した場合と、熱容量要素(1)への熱の蓄積が不要と判定した場合とで目標温度を変化させるようになっていることを特徴とする。
【0032】
これにより、熱容量要素(1)への熱の蓄積を一層適切に行うことができる。
【0033】
具体的には、請求項11に記載の発明のように、請求項10に記載の車両用温度調整装置において、制御手段(13)は、熱容量要素(1)への温熱の蓄積が必要と判定した場合の目標温度を、熱容量要素(1)への温熱の蓄積が不要と判定した場合の目標温度よりも高く設定すすればよい。
【0034】
また具体的には、請求項12に記載の発明のように、請求項10または11に記載の車両用温度調整装置において、制御手段(13)は、熱容量要素(1)への冷熱の蓄積が必要と判定した場合の目標温度を、熱容量要素(1)への冷熱の蓄積が不要と判定した場合の目標温度よりも低く設定すればよい。
【0035】
請求項13に記載の発明では、請求項8ないし12のいずれか1つに記載の車両用温度調整装置において、車両に残っている熱を熱容量要素(1)に回収する熱回収手段(10、60)を備え、
断続手段(20、21、26、64)は、熱回収手段(10、60)による熱の回収を断続可能になっており、
制御手段(13)は、車両のイグニッションスイッチがオフされると熱回収手段(10、60)による熱の回収が開始されるように断続手段(20、21、26、64)を制御することを特徴とする。
【0036】
これにより、停車中に車両に残っている熱を有効利用して温度調整することができる。
【0037】
なお、本発明における「車両のイグニッションスイッチがオフされると前記熱回収手段(10、60)による熱の回収が開始される」とは、車両のイグニッションスイッチがオフされた後すぐに熱の回収が開始されることのみを意味するものではなく、車両のイグニッションスイッチがオフされ且つ所定条件を満たした場合に熱の回収が開始されることをも含む意味のものである。車両のイグニッションスイッチがオフされ且つ所定条件を満たした場合としては、例えば、車両のイグニッションスイッチがオフされてから所定時間が経過した場合が挙げられる。
【0038】
請求項14に記載の発明では、請求項88ないし12のいずれか1つに記載の車両用温度調整装置において、車両に残っている熱を熱容量要素(1)に回収する熱回収手段(10、60)を備え、
断続手段(20、21、26、64)は、熱回収手段(10、60)による熱の回収を断続可能になっており、
制御手段(13)は、走行中に車両に熱が余っているか否かを判定し、車両に熱が余っていると判定した場合、走行中であっても熱回収手段(10、60)による熱の回収が行われるように断続手段(20、21、26、64)を制御することを特徴とする。
【0039】
これにより、車両の走行中に余っている熱を有効利用して温度調整することができる。
【0040】
さらに、上記第2目的を達成するため、請求項15に記載の発明では、二次電池(1a)と冷却媒体との間で熱交換する電池用熱交換器(1b)と、
冷媒を循環させる空調装置用冷凍サイクル装置(11)を構成する凝縮器(33)から減圧器(37、44)に流れる前記冷媒を前記冷却媒体によって冷却させる冷媒冷却用熱交換器(16)と、
前記電池用熱交換器および前記冷媒冷却用熱交換器の間で冷却媒体を循環させるポンプ(12)と、
前記電池用熱交換器から出る冷却媒体を前記冷媒冷却用熱交換器を迂回して前記電池用熱交換器の入口側に導くための迂回通路(23)と、
前記迂回通路および前記冷媒冷却用熱交換器のうちいずれか一方と前記電池用熱交換器との間を開放し、前記迂回通路および前記冷媒冷却用熱交換器のうちいずれか一方以外の他方と前記電池用熱交換器と閉じる第1弁(26)と、
前記冷却媒体を冷却する冷却器(14)と、
前記二次電池が充電器(2)によって充電されるとき、前記冷却器によって前記冷却媒体を冷却させて、かつ前記迂回通路と前記電池用熱交換器との間を開けて前記電池用熱交換器、前記迂回通路、および前記ポンプによって前記冷却媒体が循環する閉回路を構成させるように前記第1弁を制御する第1の制御手段と、
前記冷却媒体の温度を取得する第1温度取得手段(S420)と、
前記凝縮器から前記減圧器に流れる冷媒の温度を取得する第2温度取得手段(S410)と、
前記第1温度取得手段により取得される温度が前記第2温度取得手段により取得さられた温度よりも低いか否かを判定する第1判定手段(S430)と、
前記第1の制御手段の実行後に前記第1温度取得手段により取得された温度が前記第2温度取得手段により取得された温度よりも低いと前記第1判定手段が判定したときに、前記電池用熱交換器と前記冷媒冷却用熱交換器との間を開けて前記電池用熱交換器、前記冷媒冷却用熱交換器、および前記ポンプによって前記冷却媒体が循環する閉回路を構成させるように前記第1弁を制御する第2の制御手段(S470、S480)と、を備えることを特徴とする。
【0041】
請求項15に記載の発明によれば、二次電池が充電されるとき、冷却器が冷却媒体を冷却し、かつ電池用熱交換器、迂回通路、およびポンプによって冷却媒体が循環する閉回路が構成される。このため、冷却媒体および二次電池に冷熱を蓄えることができる。そして、二次電池の充電が終了した後に、電池用熱交換器、冷媒冷却用熱交換器、およびポンプによって冷却媒体が循環する閉回路を構成される。このため、冷媒冷却用熱交換器において、冷却媒体および電池に蓄えられた冷熱を用いて冷媒を冷却することができる。したがって、凝縮器から出る冷媒の過冷却度を大きくすることができる。このため、空調装置用冷凍サイクル装置の効率を上げることができる。よって、空調装置用冷凍サイクル装置を構成する圧縮機を駆動するためのエネルギを低減することができる。以上により、二次電池に蓄えられる冷熱を利用して、車室内空調に必要な動力を低減することができる。
【0042】
請求項16に記載の発明では、前記第1温度取得手段により取得された温度が閾値よりも低いか否かを判定する第2判定手段(S440)を備え、
前記第1温度検出手段により求められた温度が前記閾値よりも低いと前記第2判定手段が判定したときには前記第2の制御手段が実行され、前記第1温度検出手段により求められた温度が前記閾値よりも高いと前記第2判定手段が判定したときには前記第2の制御手段が実行されないようになっていることを特徴とする。ここで、閾値は、二次電池の許容温度範囲の上限値よりも所定温度下げた温度である。
【0043】
請求項16に記載の発明によれば、冷却媒体の温度が閾値よりも高いときには第2の制御手段が実行されない。ここで、二次電池の温度が高温になると、二次電池において十分な出力性能が得られなくなること以外に、二次電池の使用可能期間(電池寿命)が短くなる恐れがある。出力性能とは、二次電池が電力を出力する性能のことである。
【0044】
これに対して、請求項17に記載の発明では、上述の如く、冷却媒体の温度が閾値よりも高いときには第2の制御手段が実行されない。このため、冷媒冷却用熱交換器において冷媒と冷却媒体との間で熱交換が停止される。したがって、冷却媒体の温度上昇を抑制できる。これに伴い、二次電池の温度が冷却媒体によって上昇することを抑制することができる。よって、二次電池の出力性能の低下を抑えることに加えて、二次電池の使用可能期間が短くなることを抑制することができる。
【0045】
請求項17に記載の発明では、前記冷却器(14)は、前記空調装置用冷凍サイクル装置を構成し、かつ前記減圧器から圧縮機に流れる冷媒により冷却媒体を冷却する蒸発器であることを特徴とする。
【0046】
請求項18に記載の発明では、前記冷媒冷却用熱交換器(16)の入口および出口の間で配置されて、前記冷却媒体を車室外空気により冷却するラジエータ(24)と、
前記ラジエータ、前記冷媒冷却用熱交換器(14)、および前記電池用熱交換器(1b)の間を開閉する第2弁(20、25)と、
前記車室外空気の温度を取得する第3温度取得手段(S400)と、
前記第3温度取得手段により取得される温度が前記第1温度取得手段により取得される温度に比べて低いか否かを判定する第3判定手段(S460)と、を備え、
前記第3温度取得手段により取得される温度が前記第1温度取得手段により取得される温度に比べて低いと前記第3判定手段が判定したときには、前記ラジエータ、前記冷媒冷却用熱交換器(14)、および前記電池用熱交換器(1b)の間を開けて前記電池用熱交換器、前記冷媒冷却用熱交換器、前記ラジエータ、および前記ポンプによって前記冷却媒体が循環する閉回路を構成させるように前記第2の制御手段(S470)が前記第1弁および前記第2弁を制御することを特徴とする。
【0047】
請求項18に記載の発明では、車室外空気の温度が冷却媒体の温度に比べて低いときには、第2の制御手段が第1弁および第2弁を制御して、電池用熱交換器、冷媒冷却用熱交換器、ラジエータ、およびポンプによって冷却媒体が循環する閉回路を構成させる。このため、ラジエータにおいて車室外空気によって冷却媒体を冷却し、この冷却された冷却媒体により冷媒を過冷却することができる。これにより、車室外空気を利用して冷媒の過冷却度を大きくすることができる。
【0048】
請求項19に記載の発明では、前記凝縮器(33)は、前記空調装置用冷凍サイクル装置を構成する圧縮機から吐出される冷媒を凝縮する熱交換器と、この熱交換器から出る液冷媒を過冷却する過冷却部とから構成されていることを特徴とする。
【0049】
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】第1実施形態における車両用温度調整装置の全体構成図である。
【図2】第1実施形態における車両用温度調整装置の冬季充電時の作動を説明する図である。
【図3】第1実施形態における車両用温度調整装置の冬季ウォームアップ時の作動を説明する図である。
【図4】第1実施形態における車両用温度調整装置の冬季第1走行時の作動を説明する図である。
【図5】第1実施形態における車両用温度調整装置の冬季第2走行時の作動を説明する図である。
【図6】第1実施形態における車両用温度調整装置の夏季充電時の作動を説明する図である。
【図7】第1実施形態における車両用温度調整装置の夏季クールダウン時の作動を説明する図である。
【図8】第1実施形態における車両用温度調整装置の夏季第1走行時の作動を説明する図である。
【図9】第1実施形態における車両用温度調整装置の夏季第2走行時の作動を説明する図である。
【図10】第2実施形態における車両用温度調整装置の全体構成図である。
【図11】第3実施形態における車両用温度調整装置の全体構成図である。
【図12】第4実施形態における車両用温度調整装置の全体構成図である。
【図13】第5実施形態における車両用温度調整装置の全体構成図である。
【図14】第6実施形態における制御処理の要部を示すフローチャートである。
【図15】リチウムイオン電池の出力特性イメージを示す図である。
【図16】電池温度と目標電池温度のイメージを示す図である。
【図17】第7実施形態における車両用温度調整装置の全体構成図である。
【図18】第7実施形態における四方弁の切り替えモード構成を示す回路図である。
【図19】第7実施形態における車両用温度調整装置の冬季の作動を説明する図である。
【図20】第7実施形態における制御処理の要部を示すフローチャートである。
【図21】本発明の第8実施形態における車載熱システムの構成図である。
【図22】第8実施形態における二次電池の充電時の電池冷却水回路の冷却水の流れと冷凍サイクルの冷媒の流れとを示す図である。
【図23】第8実施形態における空調制御時の電池冷却水回路の冷却水の流れと冷凍サイクルの冷媒の流れとを示す図である。
【図24】第8実施形態における空調制御時の電池冷却水回路の冷却水の流れと冷凍サイクルの冷媒の流れとを示す図である。
【図25】第8実施形態における空調制御時の電池冷却水回路の冷却水の流れと冷凍サイクルの冷媒の流れとを示す図である。
【図26】第8実施形態における空調制御時の電池冷却水回路の冷却水の流れと冷凍サイクルの冷媒の流れとを示す図である。
【図27】第8実施形態における制御装置の制御処理を示すフローチャートである。
【図28】第8実施形態における冷媒の圧力およびエンタルピーの関係を示す図である。
【図29】本発明の第9実施形態における車載熱システムの構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
(第1実施形態)
以下、第1実施形態を説明する。図1は、本実施形態における車両用温度調整装置の全体構成図である。本実施形態における車両用温度調整装置は、車両用空調装置として用いられるものであり、車室内の空気を温度調整対象物とする。
【0052】
具体的には、本実施形態における車両用温度調整装置は、プラグインハイブリッド車(電動車両)の車両用空調装置として用いられる。プラグインハイブリッド車とは、エンジン(内燃機関)および走行用電動モータから車両走行用の駆動力を得るハイブリッド車のうち、車両停車時に外部電源(商用電源)から供給された電力を二次電池(高圧バッテリ)に充電することのできる車両のことである。
【0053】
なお、本実施形態における車両用温度調整装置は、種々変形することにより、プラグインハイブリッド車のみならず、エンジンの動力で二次電池を充電するハイブリッド車(電動車両)、エンジンが搭載されていない電気自動車(電動車両)、および走行用電動モータが搭載されていない車両(非電動車両)等にも用いることが可能である。
【0054】
車両用温度調整装置は、電池冷却水回路10(熱輸送手段)と冷凍サイクル11(ヒートポンプサイクル)とを備えている。
【0055】
電池冷却水回路10は、二次電池1(蓄電機器)を冷却するための冷却水(電池冷却水)が循環する回路である。二次電池1は、走行用電動モータに走行用電力を供給する。本例では、二次電池1としてリチウムイオン電池が用いられている。
【0056】
二次電池1には充電器2が接続可能になっている。充電器2は、外部電源から供給される電力(外部電力)で二次電池1を充電する際に用いられるものである。
【0057】
本実施形態では、二次電池1は、熱(温熱および冷熱)を蓄積可能な熱容量要素(熱マス、熱蓄積要素)としても用いられ、電池冷却水回路10を循環する冷却水によって二次電池1が加熱、冷却されるようになっている。
【0058】
電池冷却水回路10には、冷却水を循環させるための電池冷却用ウォータポンプ12が設けられている。本例では、電池冷却用ウォータポンプ12は電動ウォータポンプで構成されており、制御装置13(制御手段)から出力される制御信号によって回転数(冷却水流量)が制御されるようになっている。
【0059】
電池冷却用ウォータポンプ12の冷却水出口側かつ二次電池1の冷却水入口側には、第1水冷媒熱交換器14(熱交換手段)が接続されている。第1水冷媒熱交換器14は、電池冷却水回路10の冷却水と冷凍サイクル11の低圧側冷媒とを熱交換させる熱交換器である。
【0060】
二次電池1の冷却水出口側かつ電池冷却用ウォータポンプ12の冷却水入口側には、ヒータコア15(第2熱付与手段)と第2水冷媒熱交換器16(熱交換手段)とが並列に接続されている。
【0061】
ヒータコア15は、室内空調ユニット17の空調ケース18内に配置され、電池冷却水回路10の冷却水と、冷凍サイクル11の室内蒸発器19を通過した車室内送風空気とを熱交換させる熱交換器である。ヒータコア15への冷却水流れは冷却水用第1電磁弁20(切替手段、断続手段)によって断続される。
【0062】
第2水冷媒熱交換器16は、電池冷却水回路10の冷却水と冷凍サイクル11の高圧側冷媒とを熱交換させる熱交換器である。第2水冷媒熱交換器16への冷却水流れは冷却水用第2電磁弁21(切替手段、断続手段)によって断続される。
【0063】
さらに、二次電池1の冷却水出口側には、二次電池1から流出した冷却水をヒータコア15および第2水冷媒熱交換器16を迂回させて電池冷却用ウォータポンプ12の冷却水入口側へ導く第1迂回冷却水通路22および第2迂回冷却水通路23が並列に接続されている。
【0064】
第1迂回冷却水通路22には、電池冷却用ラジエータ24が配置されている。電池冷却用ラジエータ24は、内部を流通する冷却水を外気に放熱させて冷却水を冷却させる熱交換器である。
【0065】
第1迂回冷却水通路22の入口部には、冷媒流路を切り替える第1三方弁25が設けられている。第2迂回冷却水通路23の入口部にも、冷媒流路を切り替える第2三方弁26(切替手段、断続手段)が設けられている。
【0066】
冷却水用第1、第2電磁弁20、21および第1、第2三方弁25、26は、制御装置13から出力される制御信号によって、その開閉作動が制御されるようになっている。
【0067】
冷凍サイクル11は、低温側から吸熱して高温側に放熱する熱サイクル装置であり、空調対象空間である車室内へ送風される車室内送風空気を冷却あるいは加熱する機能を果たす。本実施形態では、冷凍サイクル11は、二次電池1に蓄積させる熱(温熱および冷熱)を発生する熱発生手段としても機能する。
【0068】
冷凍サイクル11の構成機器のうち、圧縮機30は冷媒を吸入し、圧縮して吐出するものであり、例えば車両のボンネット内に配置されている。本例では、圧縮機30は、その外殻を形成するハウジングの内部に圧縮機構および電動モータを収容して構成された電動圧縮機である。
【0069】
圧縮機30の電動モータは、制御装置13から出力される制御信号によって、その作動(回転数)が制御されるようになっており、この回転数制御によって圧縮機30の冷媒吐出能力が変更される。電動モータは、交流モータ、直流モータのいずれの形式を採用してもよい。
【0070】
圧縮機30の圧縮機構は、スクロール型圧縮機構、ベーン型圧縮機構、ローリングピストン型圧縮機構等の各種形式のものを採用することができる。
【0071】
圧縮機30の吐出側には、第2水冷媒熱交換器16の冷媒入口側が接続されている。第2水冷媒熱交換器16の冷媒出口側には、室内凝縮器31(熱付与手段)の冷媒入口側が接続されている。室内凝縮器31は、室内空調ユニット17の空調ケース18内のうち、ヒータコア15の車室内送風空気流れ下流側に配置され、圧縮機30から吐出された高圧冷媒を放熱させて、室内蒸発器19を通過した車室内送風空気を加熱する放熱器として機能する。
【0072】
室内凝縮器31の冷媒出口側には、室内凝縮器31から流出した高圧冷媒を中間圧冷媒となるまで減圧させる第1膨脹弁32の冷媒入口側が接続されている。
【0073】
第1膨脹弁32の冷媒出口側には、室外熱交換器33の冷媒入口側が接続されている。室外熱交換器33は、車両のボンネット内に配置され、内部を流通する低圧冷媒と送風ファン34から送風された外気とを熱交換させる。送風ファン34は、制御装置13から出力される制御信号によって、その作動(送風量)が制御されるようになっている。
【0074】
室外熱交換器33は、暖房モード(暖房運転)時には、低圧冷媒を蒸発させて吸熱作用を発揮させる蒸発器として機能し、冷房モード(冷房運転)時には、高圧冷媒を放熱させる放熱器として機能する。
【0075】
また、室内凝縮器31の冷媒出口側には、室内凝縮器31から流出した冷媒を第1膨脹弁32を迂回させて室外熱交換器33の冷媒入口側へ導く膨張弁迂回通路35が接続されている。膨張弁迂回通路35は、冷媒用第1電磁弁36によって開閉されるようになっている。
【0076】
室外熱交換器33の冷媒出口側には、第2膨脹弁37の冷媒入口側が接続されている。第2膨脹弁37は、冷房モード時に室外熱交換器33から流出した冷媒を減圧させる減圧器である。第2膨脹弁37の冷媒入口側は、冷媒用第2電磁弁38によって開閉されるようになっている。
【0077】
第2膨脹弁37の出口側には、室内蒸発器19の冷媒入口側が接続されている。したがって、室内蒸発器19には、第2膨脹弁37で減圧された冷媒が流入する。
【0078】
室内蒸発器19は、室内空調ユニット17の空調ケース18内のうち、ヒータコア15および室内凝縮器31の車室内送風空気流れ上流側に配置され、冷房モード時にその内部を流通する冷媒を蒸発させて吸熱作用を発揮させることにより車室内送風空気を冷却する。
【0079】
室内蒸発器19の出口側には、アキュムレータ39の入口側が接続されている。アキュムレータ39は、その内部に流入した冷媒の気液を分離して余剰冷媒を蓄える低圧側気液分離器である。アキュムレータ39の気相冷媒出口には、圧縮機30の吸入側が接続されている。
【0080】
さらに、室外熱交換器33の冷媒出口側には、室外熱交換器33から流出した冷媒を第2膨脹弁37および室内蒸発器19を迂回させてアキュムレータ39の入口側へ導く第1迂回冷媒通路40および第2迂回冷媒通路41が並列に接続されている。
【0081】
第1迂回冷媒通路40は、冷媒用第3電磁弁42によって開閉されるようになっている。第2迂回冷媒通路41は、冷媒用第4電磁弁43によって開閉されるようになっている。
【0082】
第1迂回冷媒通路40には、第3膨張弁44が設けられている。第3膨張弁44は、室外熱交換器33から流出した冷媒を減圧させる減圧器である。第1迂回冷媒通路40のうち第3膨張弁44の冷媒出口側には、第1水冷媒熱交換器14が設けられている。
【0083】
冷媒用第1〜第4電磁弁36、38、42、43は、制御装置13から出力される制御信号によって、その開閉作動が制御されるようになっている。
【0084】
次に、室内空調ユニット17について説明する。室内空調ユニット17は、車室内最前部の計器盤(インストルメントパネル)の内側に配置されて、室内空調ユニット17の外殻を形成するとともに、その内部に車室内に送風される車室内送風空気の空気通路を形成する空調ケース18を有している。そして、この空気通路に送風機45、室内蒸発器19、ヒータコア15および室内凝縮器31等が収容されている。
【0085】
空調ケース18の空気流れ最上流側には、車室内空気(内気)と外気とを切替導入する内外気切替装置(図示せず)が配置されている。この内外気切替装置は、空調ケース18内に内気を導入させる内気導入口および外気を導入させる外気導入口の開口面積を、内外気切替ドアによって連続的に調整して、内気の風量と外気の風量との風量割合を連続的に変化させるものである。
【0086】
内外気切替装置の空気流れ下流側には、内外気切替装置を介して吸入した空気を車室内へ向けて送風する送風機45が配置されている。この送風機45は、遠心多翼ファン(シロッコファン)を電動モータにて駆動する電動送風機であって、制御装置13から出力される制御電圧によって回転数(送風量)が制御される。
【0087】
送風機45の空気流れ下流側には、室内蒸発器19、ヒータコア15および室内凝縮器31が、送風空気流れ方向にこの順番に配置されている。
【0088】
空調ケース18内には、室内蒸発器19通過後の送風空気を、ヒータコア15を迂回して流すバイパス通路と、室内凝縮器31を迂回して流すバイパス通路とが設けられている。
【0089】
また、空調ケース18内には、室内凝縮器31を通過させる風量を調整する風量調整ドア46が配置されている。風量調整ドア46は、図示しないサーボモータによって駆動され、このサーボモータは、制御装置13から出力される制御信号によって作動が制御されるようになっている。
【0090】
空調ケース18の空気流れ最下流部には、室内蒸発器19、ヒータコア15および室内凝縮器31を通過した空気を、冷却対象空間である車室内へ吹き出す開口部が配置されている。この開口部としては、図示を省略しているが、車両前面窓ガラス内側面に向けて空調風を吹き出すデフロスタ開口部、車室内の乗員の上半身に向けて空調風を吹き出すフェイス開口部、乗員の足元に向けて空調風を吹き出すフット開口部等が設けられている。
【0091】
図示を省略しているが、デフロスタ開口部には、デフロスタ開口部の開口面積を調整するデフロスタドアが配置され、フェイス開口部には、フェイス開口部の開口面積を調整するフェイスドアが配置され、フット開口部には、フット開口部の開口面積を調整するフットドアが配置されている。
【0092】
これらのデフロスタドア、フェイスドアおよびフットドアは、吹出モードを切り替える吹出モード切替手段を構成するものであって、リンク機構等を介して図示しないサーボモータによって駆動され、このサーボモータは、制御装置13から出力される制御信号によってその作動が制御されるようになっている。
【0093】
また、デフロスタ開口部、フェイス開口部およびフット開口部はそれぞれ、空気通路を形成するダクトを介して、車室内に設けられたフェイス吹出口、フット吹出口およびデフロスタ吹出口に接続されている。
【0094】
次に、本実施形態の電気制御部について説明する。制御装置13は、CPU、ROMおよびRAM等を含む周知のマイクロコンピュータとその周辺回路から構成され、そのROM内に記憶された空調制御プログラムに基づいて各種演算・処理を行い、出力側に接続された各種制御機器(電池冷却用ウォータポンプ12、冷却水用第1、第2電磁弁20、21、第1、第2三方弁25、26、圧縮機30、冷媒用第1〜第4電磁弁36、38、42、43および送風機45等)の作動を制御する。
【0095】
制御装置13の入力側には、二次電池1の温度を検出する電池温度センサ50、および二次電池1の出口側における冷却水温度を検出する電池冷却水温度センサ51が接続されている。
【0096】
また、制御装置13の入力側には、車室内温度を検出する内気センサ、外気温を検出する外気センサ、車室内の日射量を検出する日射センサ、室内蒸発器19からの吹出空気温度(蒸発器温度)を検出する蒸発器温度センサ、圧縮機30から吐出された高圧冷媒圧力を検出する吐出圧センサ、圧縮機30に吸入される吸入冷媒圧力を検出する吸入圧センサ等の種々の空調制御用のセンサ群が接続されている。
【0097】
さらに、制御装置13の入力側には、車室内前部の計器盤付近に配置された操作パネル(図示せず)が接続され、この操作パネルに設けられた各種空調操作スイッチからの操作信号が入力される。操作パネルに設けられた各種空調操作スイッチとしては、具体的に、車両用空調装置の作動スイッチ、車室内温度を設定する車室内温度設定スイッチ、冷房モードと暖房モードとの選択スイッチ等が設けられている。
【0098】
なお、制御装置13は、その出力側に接続された各種空調制御機器の作動を制御する制御手段が一体に構成されたものであるが、それぞれの制御対象機器の作動を制御する制御手段を別体に構成してもよい。
【0099】
次に、上記構成における作動を説明する。まず、冬季の作動を図2〜図5に基づいて説明する。図2〜図5では、各作動状態における冷媒の流れを太実線で示している。また、図2〜図5では、図示の都合上、制御装置13等の細部を省略している。
【0100】
図2は冬季の充電時(二次電池1が外部電源に接続されている時)の作動を示している。冬季充電時には、外部電源から供給される電力(外部電力)を用いて圧縮機30を駆動し、冷凍サイクル11(ヒートポンプサイクル)で創出した温熱を第2水冷媒熱交換器16にて電池冷却水回路10へ与えて二次電池1を加熱する。
【0101】
具体的には、冬季充電時には、制御装置13は、電池冷却水回路10の冷却水が電池冷却用ウォータポンプ12→第1水冷媒熱交換器14→二次電池1→第2水冷媒熱交換器16→電池冷却用ウォータポンプ12の順で循環するように、電池冷却用ウォータポンプ12、冷却水用第1、第2電磁弁20、21および第1、第2三方弁25、26を制御する。
【0102】
また、冬季充電時には、制御装置13は、冷凍サイクル11の冷媒が圧縮機30→第2水冷媒熱交換器16→室内凝縮器31→第1膨脹弁32→室外熱交換器33→アキュムレータ39→圧縮機30の順で循環するように、圧縮機30および冷媒用第1〜第4電磁弁36、38、42、43を制御する。このとき、圧縮機30は外部電力によって駆動される。
【0103】
また、冬季充電時には、制御装置13は、送風ファン34を作動(ON)させ、送風機45を停止(OFF)させる。
【0104】
これにより、冷凍サイクル11は、室外熱交換器33で吸熱して第2水冷媒熱交換器16で放熱し、電池冷却水回路10は、第2水冷媒熱交換器16で与えられた熱で二次電池1を加熱する。その結果、二次電池1に温熱が蓄えられる。
【0105】
図3は冬季のウォームアップ時(暖房開始直後)の作動を示している。冬季ウォームアップ時には、充電時に二次電池1に蓄えた温熱を、冷凍サイクル11の吸熱側と熱交換させる。
【0106】
具体的には、冬季ウォームアップ時には、制御装置13は、電池冷却水回路10の冷却水が電池冷却用ウォータポンプ12→第1水冷媒熱交換器14→二次電池1→第2迂回冷却水通路23→電池冷却用ウォータポンプ12の順で循環するように、電池冷却用ウォータポンプ12、冷却水用第1、第2電磁弁20、21および第1、第2三方弁25、26を制御する。
【0107】
また、冬季ウォームアップ時には、制御装置13は、冷凍サイクル11の冷媒が圧縮機30→第2水冷媒熱交換器16→室内凝縮器31→膨張弁迂回通路35→室外熱交換器33→第3膨張弁44→第1水冷媒熱交換器14→アキュムレータ39→圧縮機30の順で循環するように、圧縮機30および冷媒用第1〜第4電磁弁36、38、42、43を制御する。
【0108】
また、冬季ウォームアップ時には、制御装置13は、送風ファン34を停止(OFF)させ、送風機45を作動(ON)させ、風量調整ドア46を開ける。
【0109】
これにより、電池冷却水回路10は、二次電池1に蓄えた温熱を第1水冷媒熱交換器14で冷凍サイクル11の吸熱側に与え、冷凍サイクル11は、吸熱側の第1水冷媒熱交換器14で与えられた熱を室内凝縮器31で放熱して車室内送風空気(送風機45の送風空気)を加熱する。
【0110】
図4は冬季の第1走行時(ウォームアップ後)の作動を示している。ウォームアップ時の作動によって車室内がある程度暖まってきたら、充電時に二次電池1に蓄えた熱を、冷凍サイクル11の吸熱側との熱交換、およびヒータコア15での熱交換の両方に使用する。
【0111】
具体的には、冬季第1走行時には、制御装置13は、電池冷却水回路10の冷却水が電池冷却用ウォータポンプ12→第1水冷媒熱交換器14→二次電池1→ヒータコア15→電池冷却用ウォータポンプ12の順で循環するように、電池冷却用ウォータポンプ12、冷却水用第1、第2電磁弁20、21および第1、第2三方弁25、26を制御する。
【0112】
また、冬季第1走行時には、制御装置13は、冷凍サイクル11の冷媒がウォームアップ時と同じ順で循環するように、圧縮機30および冷媒用第1〜第4電磁弁36、38、42、43を制御する。
【0113】
また、冬季第1走行時には、制御装置13は、送風ファン34を停止(OFF)させ、送風機45を作動(ON)させ、風量調整ドア46を開ける。
【0114】
これにより、電池冷却水回路10は、二次電池1に蓄えた温熱を、第1水冷媒熱交換器14で冷凍サイクル11の吸熱側に与えるとともにヒータコア15で放出させるので、車室内送風空気(送風機45の送風空気)が室内凝縮器31およびヒータコア15の両方で加熱される。
【0115】
図5は冬季の第2走行時の作動を示している。第1走行時の作動によって車室内がさらに暖まってきたら、充電時に二次電池1に蓄えた熱をヒータコア15での熱交換に使用し、冷凍サイクル11の吸熱側との熱交換には使用しないようにする。
【0116】
具体的には、冬季第2走行時には、制御装置13は、電池冷却水回路10の冷却水が第1走行時と同じ順で循環するように、電池冷却用ウォータポンプ12、冷却水用第1、第2電磁弁20、21および第1、第2三方弁25、26を制御する。
【0117】
また、冬季第2走行時には、制御装置13は、圧縮機30を停止(OFF)させて冷凍サイクル11の冷媒が循環しないようにする。
【0118】
また、冬季第2走行時には、制御装置13は、送風ファン34を停止(OFF)させ、送風機45を作動(ON)させる。
【0119】
これにより、電池冷却水回路10は、二次電池1に蓄えた温熱をヒータコア15で放出させて車室内送風空気(送風機45の送風空気)を加熱する。このとき、電池冷却水回路10は、二次電池1に蓄えた温熱を冷凍サイクル11の吸熱側(第1水冷媒熱交換器14)に与えないので、室内凝縮器31は車室内送風空気(送風機45の送風空気)を加熱しない。
【0120】
上記従来技術では、電池に蓄えた熱と車室内空気との温度差が取れず十分な暖房性能が得られなかったが、本実施形態では二次電池1に蓄えた熱を冷凍サイクル11(ヒートポンプサイクル)で汲み上げているため、二次電池1に蓄えた熱(熱エネルギー)を暖房に有効利用できる。
【0121】
また、冷凍サイクル11(ヒートポンプサイクル)単体では低外気温時に吸入圧力、吸入密度が低下し大きな暖房能力が得られないが、本実施形態では、二次電池1に蓄えた熱を吸熱に使用し吸入圧力を上げることで大きな暖房能力が得られる。特に、大能力が必要なウォームアップ時に有効となる。
【0122】
また本実施形態では、冷凍サイクル11(ヒートポンプサイクル)の吸熱側への熱交換と、空気への直接熱交換(ヒータコア15での熱交換)とを切り替えられるため、二次電池1の温度と内外気温、目標吹出温度などに応じて二次電池1に蓄えた熱を最適利用できる。また、車室内温度が上がり大きな暖房能力が必要無い場合には、二次電池1の熱を直接空気へ落とすことによって、冷凍サイクル11(ヒートポンプサイクル)の稼働時間低下、あるいは冷凍サイクル11(ヒートポンプサイクル)を止めることができ、省電力となる。
【0123】
また上記従来技術では、走行時や充電時に発生する熱を利用していたが、あくまで廃熱であり、電池が蓄えられるポテンシャルに対し十分な熱量が蓄えられていない。本実施形態では二次電池1を蓄熱材ととらえ、積極的に加熱して熱量を蓄えているため、二次電池1の熱を暖房に有効利用できる。
【0124】
また本実施形態では、充電時の外部電力を利用して熱創出、蓄熱しているため、走行時に必要な空調熱創出エネルギーが減少し、その分の電池容量を走行に利用できる。そのため、航続距離を延ばすことができる。
【0125】
また本実施形態では、充電時の電池加熱に冷凍サイクル11(ヒートポンプサイクル)を用いているため、電気ヒータなどの加熱手段に比べ高効率に熱を創出できる。
【0126】
次に、夏季の作動を図6〜図9に基づいて説明する。図6〜図9では、各作動状態における冷媒の流れを太実線で示している。また、図6〜図9では、図示の都合上、制御装置13等の細部を省略している。
【0127】
図6は夏季の充電時(二次電池1が外部電源に接続されている時)の作動を示している。夏季充電時には、外部電源から供給される電力(外部電力)を用いて圧縮機30を駆動し、冷凍サイクル11で創出した冷熱を第1水冷媒熱交換器14にて電池冷却水回路10へ与えて二次電池1を冷却する。
【0128】
具体的には、夏季充電時には、制御装置13は、電池冷却水回路10の冷却水が電池冷却用ウォータポンプ12→第1水冷媒熱交換器14→二次電池1→第2迂回冷却水通路23→電池冷却用ウォータポンプ12の順で循環するように、電池冷却用ウォータポンプ12、冷却水用第1、第2電磁弁20、21および第1、第2三方弁25、26を制御する。
【0129】
また、夏季充電時には、制御装置13は、冷凍サイクル11の冷媒が圧縮機30→第2水冷媒熱交換器16→室内凝縮器31→膨張弁迂回通路35→室外熱交換器33→第3膨張弁44→第1水冷媒熱交換器14→アキュムレータ39→圧縮機30の順で循環するように、圧縮機30および冷媒用第1〜第4電磁弁36、38、42、43を制御する。このとき、圧縮機30は外部電力によって駆動される。
【0130】
また、夏季充電時には、制御装置13は、送風ファン34を作動(ON)させ、送風機45を停止(OFF)させる。
【0131】
これにより、冷凍サイクル11は、第1水冷媒熱交換器14で吸熱して室外熱交換器33で放熱し、電池冷却水回路10は、第1水冷媒熱交換器14で与えられた冷熱で二次電池1を冷却する。その結果、二次電池1に冷熱が蓄えられる。
【0132】
図7は夏季のクールダウン時(冷房開始直後)の作動を示している。夏季クールダウン時には、充電時に二次電池1に蓄えた冷熱を、ヒータコア15で車室内空気と熱交換させる。
【0133】
具体的には、夏季クールダウン時には、制御装置13は、電池冷却水回路10の冷却水が電池冷却用ウォータポンプ12→第1水冷媒熱交換器14→二次電池1→ヒータコア15→電池冷却用ウォータポンプ12の順で循環するように、電池冷却用ウォータポンプ12、冷却水用第1、第2電磁弁20、21および第1、第2三方弁25、26を制御する。
【0134】
また、夏季クールダウン時には、制御装置13は、冷凍サイクル11の冷媒が圧縮機30→第2水冷媒熱交換器16→室内凝縮器31→膨張弁迂回通路35→室外熱交換器33→第2膨脹弁37→室内蒸発器19→アキュムレータ39→圧縮機30の順で循環するように、圧縮機30および冷媒用第1〜第4電磁弁36、38、42、43を制御する。
【0135】
また、夏季クールダウン時には、制御装置13は、送風ファン34を作動(ON)させ、送風機45を作動(ON)させ、風量調整ドア46を閉じる。
【0136】
これにより、電池冷却水回路10は、二次電池1に蓄えた冷熱をヒータコア15で放出させ、冷凍サイクル11は、室内蒸発器19で吸熱して室外熱交換器33で放熱するので、ヒータコア15および室内蒸発器19の両方で車室内送風空気(送風機45の送風空気)が冷却される。
【0137】
図8は夏季の第1走行時(クールダウン後)の作動を示している。クールダウン時の作動によって車室内がある程度冷えてきたら、充電時に二次電池1に蓄えた冷熱を、ヒータコア15での熱交換、および冷凍サイクル11の高圧側との熱交換の両方に使用する。
【0138】
具体的には、夏季第1走行時には、制御装置13は、電池冷却水回路10の冷却水が電池冷却用ウォータポンプ12→第1水冷媒熱交換器14→二次電池1→ヒータコア15および第2水冷媒熱交換器16(並列流れ)→電池冷却用ウォータポンプ12の順で循環するように、電池冷却用ウォータポンプ12、冷却水用第1、第2電磁弁20、21および第1、第2三方弁25、26を制御する。
【0139】
また、夏季第1走行時には、制御装置13は、冷凍サイクル11の冷媒がクールダウン時と同じ順で循環するように、圧縮機30および冷媒用第1〜第4電磁弁36、38、42、43を制御する。
【0140】
また、夏季第1走行時には、制御装置13は、送風ファン34を作動(ON)させ、送風機45を作動(ON)させ、風量調整ドア46を閉じる。
【0141】
これにより、電池冷却水回路10は、二次電池1に蓄えた冷熱をヒータコア15および第2水冷媒熱交換器16の両方で放出させ、冷凍サイクル11は、室内蒸発器19で吸熱して第2水冷媒熱交換器16および室外熱交換器33の両方で放熱するので、車室内送風空気(送風機45の送風空気)がヒータコア15および室内蒸発器19の両方で冷却される。
【0142】
図9は夏季の第2走行時の作動を示している。第1走行時の作動によって車室内がさらに冷えてきたら、充電時に二次電池1に蓄えた冷熱を冷凍サイクル11の高圧側との熱交換に使用し、ヒータコア15での熱交換には使用しないようにする。
【0143】
具体的には、夏季第2走行時には、制御装置13は、電池冷却水回路10の冷却水が電池冷却用ウォータポンプ12→第1水冷媒熱交換器14→二次電池1→第2水冷媒熱交換器16→電池冷却用ウォータポンプ12の順で循環するように、電池冷却用ウォータポンプ12、冷却水用第1、第2電磁弁20、21および第1、第2三方弁25、26を制御する。
【0144】
また、夏季第2走行時には、制御装置13は、冷凍サイクル11の冷媒が第1走行時と同じ順で循環するように、圧縮機30および冷媒用第1〜第4電磁弁36、38、42、43を制御する。
【0145】
また、夏季第2走行時には、制御装置13は、送風ファン34を作動(ON)させ、送風機45を作動(ON)させ、風量調整ドア46を閉じる。
【0146】
これにより、電池冷却水回路10は、二次電池1に蓄えた冷熱を第2水冷媒熱交換器16で放出させ、冷凍サイクル11は、室内蒸発器19で吸熱して第2水冷媒熱交換器16および室外熱交換器33の両方で放熱するので、車室内送風空気(送風機45の送風空気)が室内蒸発器19で冷却される。このとき、電池冷却水回路10は、二次電池1に蓄えた冷熱をヒータコア15に与えないので、ヒータコア15は車室内送風空気(送風機45の送風空気)を冷却しない。
【0147】
夏季第2走行時では、冷凍サイクル11の冷媒を室外熱交換器33で冷やす前に第2水冷媒熱交換器16で冷やすことができるので、サイクル高圧を下げることができる。
【0148】
夏季の冷房に適用する場合においては、充電時に二次電池1を十分に冷却しても、空気へ冷気を熱交換していくと徐々に電池温度が上昇する。上記従来技術のように電池に蓄えた冷気を空気と熱交換する方式では、電池温度が20℃を超えた辺りから電池温度と車室内温度との温度差が取れなくなり、冷房への寄与率は目減りしてしまう。
【0149】
本実施形態では、二次電池1の冷熱を冷凍サイクル11の高圧側と熱交換させることで、冷凍サイクル高圧側のエンタルピを拡大でき、ひいては冷房性能向上、省電力化を図ることができる。
【0150】
また、本実施形態では、冷凍サイクル11の高圧側への熱交換と、空気への直接熱交換(ヒータコア15での熱交換)とを切り替えられるため、二次電池1の温度、内外気温、目標吹出温度(車室内へ吹き出す空気の目標温度)などに応じて、二次電池1に蓄えた冷熱を最適利用できる。
【0151】
また、本実施形態では、充電時の外部電力を利用して冷熱を創出、蓄冷しているため、走行時に必要な空調熱創出エネルギーが減少し、その分の電池容量を走行に利用できる。そのため、航続距離を延ばすことができる。
【0152】
また、本実施形態では、二次電池1を蓄冷材ととらえ、積極的に冷却して冷熱を蓄えているため、二次電池1の冷熱を冷房に有効利用できる。
【0153】
要するに、上記従来技術では、電池に蓄えた熱エネルギーを、空気や水を介して車室内空気と熱交換させているのに対し、本実施形態では、電池に蓄えた熱エネルギー(温熱および冷熱)を冷凍サイクルの冷媒と熱交換させているので、電池と車室内の温度差が小さい場合でも、電池に蓄えた熱エネルギー(温熱および冷熱)を空調に有効利用することができる。
【0154】
また、本実施形態によると、電池に蓄えた熱エネルギーの放出先を冷凍サイクル以外にも持っているので、冷凍サイクルの冷媒との熱交換と、その他の放出先との熱交換とを切り替えたり、その両方を同時に利用したりすることができる。そのため、シーンごとに必要な暖房能力・冷房能力に応じて電池熱エネルギーを最適利用することができる。
【0155】
また、本実施形態によると、既存の部品である二次電池1を蓄熱要素として使用しているため、新たに蓄熱材を積む従来技術に比べ、重量およびスペース面で有利である。
【0156】
(第2実施形態)
上記第1実施形態では、冷凍サイクル11を、暖房にも冷房にも使用できるヒートポンプサイクルとした構成例を示したが、本第2実施形態では、図10に示すように、冷凍サイクル11を、冷房として使用するクーラサイクルとしている。
【0157】
具体的には、上記第1実施形態に対して、室内凝縮器31、風量調整ドア46、第1膨脹弁32、膨張弁迂回通路35、冷媒用第1電磁弁36、第2迂回冷媒通路41、冷媒用第4電磁弁43が廃止されている。
【0158】
図10(a)の例では、第2水冷媒熱交換器16は、冷凍サイクル11において室外熱交換器33と第2、第3膨脹弁37、44との間に設けられている。なお、図10(b)に示すように、第2水冷媒熱交換器16は、冷凍サイクル11において圧縮機30と室外熱交換器33との間に設けられていてもよい。また、図10(c)に示すように、第2水冷媒熱交換器16は、室外熱交換器33自体に設けられていてもよい。
【0159】
なお、本実施形態のように暖房に使用せず冷房のみに使用する場合は、ヒータコア15は室内空調ユニット17において室内蒸発器19の風上に配置するのが望ましい。その理由は、ヒータコア15の冷却水温度は10〜40℃程度になり、室内蒸発器19の冷媒温度は0〜10℃程度になるので、ヒータコア15を室内蒸発器19の風上に配置した方が送風空気を効率的に冷却できるからである。
【0160】
(第3実施形態)
本第3実施形態は、図11に示すように、上記第2実施形態に内部熱交換器47を追加している。
【0161】
内部熱交換器47は、室外熱交換器33から流出した高圧冷媒と室内蒸発器19または第1水冷媒熱交換器14から流出した低圧冷媒とを熱交換させることによって、室外熱交換器33から流出した高圧冷媒を冷却して、室内蒸発器19に流入する冷媒のエンタルピを低下させる機能と、圧縮機30へ吸入される冷媒のエンタルピを気相冷媒となるまで上昇させることにより圧縮機30の液圧縮を抑制する機能とを果たす。
【0162】
図11(a)の例では、第2水冷媒熱交換器16は、冷凍サイクル11において室外熱交換器33と内部熱交換器47との間に設けられている。なお、図11(b)に示すように、第2水冷媒熱交換器16は、冷凍サイクル11において内部熱交換器47と第2、第3膨脹弁37、44との間に設けられていてもよい。また、図11(c)に示すように、第2水冷媒熱交換器16は、内部熱交換器47自体に設けられていてもよい。
【0163】
(第4実施形態)
上記第1実施形態では、冬季の電池加熱手段(熱発生手段)として冷凍サイクル11(ヒートポンプサイクル)が用いられているが、本第4実施形態では、図12に示すように、冬季の電池加熱手段(熱発生手段)として冷凍サイクル11以外の加熱用機器48が用いられている。
【0164】
加熱用機器48としては、例えば電気ヒータ、PTCヒータ、ペルチェ素子など、電気を熱に変換する機器が挙げられる。
【0165】
図12の例では、加熱用機器48は、電池冷却水回路10に配置されていて電池冷却水を加熱するようになっている。なお、加熱用機器48を二次電池1の電池パック内に設置して二次電池1を直接加熱するようにしてもよい。
【0166】
本実施形態によると、冬季の電池加熱手段として冷凍サイクル11以外の加熱用機器48を用いているので、上記第1実施形態の第2水冷媒熱交換器16を廃止することができる。このため、上記第1実施形態に比べて構成を簡素化できる。
【0167】
(第5実施形態)
上記第2、第3実施形態では、夏季の電池冷却手段(熱発生手段)として冷凍サイクル11が用いられているが、本第5実施形態では、図13に示すように、夏季の電池冷却手段(熱発生手段)として、冷凍サイクル11以外の冷却用機器49が用いられている。冷却用機器49としては、例えばペルチェ素子などが挙げられる。
【0168】
図13の例では、冷却用機器49は、電池冷却水回路10に配置されていて電池冷却水を冷却するようになっている。なお、冷却用機器49を二次電池1の電池パック内に設置して二次電池1を直接冷却するようにしてもよい。
【0169】
本実施形態によると、冬季の電池加熱手段として冷凍サイクル11以外の冷却用機器49を用いているので、上記第2、第3実施形態の第1水冷媒熱交換器14を廃止することができる。このため、上記第2、第3実施形態に比べて構成を簡素化できる。
【0170】
(第6実施形態)
本第6実施形態は、制御装置13による制御処理の具体例を示すものである。まず、本実施形態の概要を説明する。上記特許文献2〜4には、電池から発生する熱(熱エネルギー)を空調に使用する従来技術が記載されている。また、上記特許文献2〜4には、充電時に電池に熱(熱エネルギー)を蓄積する従来技術も記載されている。
【0171】
本実施形態では、電池に熱を積極的に蓄える熱蓄積モードを持ち、熱蓄積モードのオン/オフ(ON/OFF)に応じて充電時の電池目標温度を変えることにより、充電時の電池の加熱/冷却量を変化させている。その狙いは、熱エネルギーの蓄積が多く必要と判断された場合には、電池の熱容量を最大限に利用して熱を蓄え、走行時の空調などに利用することで、走行時に必要な空調熱創出エネルギーを減らし車両の航続距離を延ばすことにある。
【0172】
本実施形態では、車両走行時に車室内の空調を行う通常空調の他に、プレ空調を行うことができるようになっている。プレ空調とは、外部電源から二次電池1への充電中に、乗員が車両に乗り込む前に車室内を空調する空調運転のことである。
【0173】
ここで、駐車後すぐに二次電池1の加熱/冷却を始めてしまうと、加熱/冷却が早く終わってしまい、加熱/冷却後の放置時間が増え、せっかく蓄えた熱エネルギーが大気へ放出してしまい無駄となる。この点に鑑みて本実施形態では、二次電池1の加熱/冷却をプレ空調と連動させ、プレ空調開始直前に熱エネルギー蓄積を完了させることによって、加熱/冷却後の放置時間を減らして省電力化を図っている。
【0174】
本実施形態を具体的に説明する。本実施形態の車両用温度調整装置の全体構成は、上記第1実施形態と同様である。図14は、制御装置13が実行する制御処理の要部を示すフローチャートである。
【0175】
まずステップS100では、車両のイグニッションスイッチ(IG)がオフ(OFF)になっているか否かを判定する。車両のイグニッションスイッチ(IG)がオフ(OFF)になっていると判定した場合(YES判定の場合)、ステップS110へ進む。一方、車両のイグニッションスイッチ(IG)がオフ(OFF)になっていないと判定した場合(NO判定の場合)、本フローを終了する。
【0176】
ステップS110では、熱蓄積モードがオン(ON)になっているか否かを判定する。本例では、操作パネルに設けられた熱蓄積モード切替スイッチを乗員(ユーザ)が操作することによって熱蓄積モードのオン/オフが切り替えられるようになっている。
【0177】
本例では、熱蓄積モードがオンの場合、二次電池1への熱の蓄積が必要に応じて行われ、熱蓄積モードがオフの場合、二次電池1への熱の蓄積が行われない。熱蓄積モードのオン/オフを、種々の情報をもとに制御装置13で自動切替するようにしてもよい。
【0178】
熱蓄積モードがオンになっていると判定した場合(YES判定の場合)、ステップS120へ進み、一方、熱蓄積モードがオンになっていないと判定した場合(NO判定の場合)、本フローを終了する。
【0179】
ステップS120では、二次電池1が外部電源と接続されているか否かを判定する。二次電池1が外部電源と接続されていると判定した場合(YES判定の場合)、ステップS130へ進み、一方、二次電池1が外部電源と接続されていないと判定した場合(NO判定の場合)、本フローを終了する。
【0180】
ステップS130では、目標電池温度(目標温度)を算出する。本例では、目標電池温度を外気温度、電池温度および空調目標温度TAO(目標吹出温度)等に基づいて算出する。
【0181】
ここで、二次電池1(リチウムイオン電池)の出力特性イメージを図15に示す。図15に示すように、本実施形態で使用しているリチウムイオン電池では、一般に低温時、特に10℃以下の領域では、化学反応が進まないなどの理由により十分な入出力特性が得られない。また、高温時、特に40℃以上の領域では、劣化を防止するために入出力をカットしている。そのため、電池の容量を十分に活かすためには、電池使用時に約10℃〜40℃の範囲で温度管理する必要がある。
【0182】
そこで、ステップS130に次ぐステップS140では、蓄熱および蓄冷のうちいずれが必要であるかを判定する。本例では、目標電池温度と実際の電池温度とを比較して判定する。具体的には、目標電池温度が実際の電池温度よりも高い場合、蓄熱が必要であると判定し、目標電池温度が実際の電池温度よりも低い場合、蓄冷が必要であると判定する。
【0183】
蓄熱が必要であると判定した場合、ステップS150〜S190へ進んで蓄熱を行い、蓄冷が必要であると判定した場合、ステップS200〜S240へ進んで蓄冷を行う。
【0184】
ステップS150〜S190の蓄熱時の制御処理では、まずステップS150でプレ空調が予約されているか否かを判定する。次いでステップS160では加熱必要時間(二次電池1の加熱に要する時間)を算出する。本例では、加熱必要時間を、電池温度、目標電池温度および外気温度等に基づいて算出する。
【0185】
次いでステップS170では、加熱開始時間を算出する。具体的には、プレ空調開始時間から加熱必要時間を逆算して加熱開始時間を決定する。次いで、ステップS180で二次電池1の加熱を行う。具体的には、図2に示した作動(冬季の充電時の作動)を行う。
【0186】
次いで、ステップS190では、電池温度が目標電池温度を上回っているか否かを判定する。電池温度が目標電池温度を上回っていると判定した場合(YES判定の場合)、加熱を終了し、一方、電池温度が目標電池温度を上回っていないと判定した場合(NO判定の場合)、ステップS180へ戻って二次電池1の加熱を継続する。
【0187】
ステップS200〜S240の蓄冷時の制御処理では、まずステップS200でプレ空調が予約されているか否かを判定する。次いでステップS210では冷却必要時間(二次電池1の冷却に要する時間)を算出する。本例では、冷却必要時間を、電池温度、目標電池温度および外気温度等に基づいて算出する。
【0188】
次いでステップS210では、冷却開始時間を算出する。具体的には、プレ空調開始時間から冷却必要時間を逆算して冷却開始時間を決定する。次いで、ステップS220で二次電池1の冷却を行う。具体的には、図6に示した作動(夏季の充電時の作動)を行う。
【0189】
次いで、ステップS240では、電池温度が目標電池温度を下回っているか否かを判定する。電池温度が目標電池温度を下回っていると判定した場合(YES判定の場合)、冷却を終了し、一方、電池温度が目標電池温度を下回っていないと判定した場合(NO判定の場合)、ステップS230へ戻って二次電池1の冷却を継続する。
【0190】
以上の説明からわかるように、本実施形態では、充電時に外部電力を用いて電池を加熱または冷却する。この際、冬季であれば、熱蓄積モードOFF時(二次電池1への温熱の蓄積が不要であると判定した場合)よりも電池を高い温度まで加熱する。一方、夏季であれば、熱蓄積モードOFF時(二次電池1への冷熱の蓄積が不要であると判定した場合)よりも低い温度まで冷却する。
【0191】
従来技術の制御では、例えば冬季の外気0℃の場合、電池入出力特性を確保するために、温度管理値に入る10℃程度まで加熱している(目標電池温度=10℃)。本実施形態では、電池にさらに熱量を蓄えて、走行時の暖房、またはエンジンなどの暖機に使用するために、目標電池温度を30℃として、電池を30℃まで加熱する。この目標電池温度は、本実施形態では外気温度、電池温度、空調目標温度TAOなどに基づき算出している。
【0192】
例えば、電池重量200kg、電池比熱を0.9J/g・Kとした場合、従来技術よりも20℃多く加熱させることで約3600kJの熱量を電池に蓄えることができる。これは、効率を無視した単純計算で3kW×20分相当の熱量を蓄えたことになる。
【0193】
図16(a)に、冬季の電池温度と目標電池温度のイメージ図を示す。図16(a)中、破線は本実施形態の熱蓄積モードOFF時(従来技術に相当)を、実線は本実施形態の熱蓄積モードON時を示している。
【0194】
一方、夏季の例では、従来技術の制御では、例えば外気45℃の場合、電池入出力特性を確保するために温度管理値に入る40℃程度まで冷却している(目標電池温度=40℃)。本実施形態では、電池をさらに冷却し、走行時の冷房、またはエンジンなどの冷却に使用するために、目標電池温度を20℃として、電池を20℃まで冷却する。この目標電池温度は、本実施例では外気温度、電池温度、空調目標温度TAOに基づき算出している。
【0195】
例えば、電池重量200kg、電池比熱を0.9J/g・Kとした場合、従来技術よりも20℃多く冷却させることで、約3600kJの熱量を電池に蓄えることができる。これは、効率を無視した単純計算で3kW×20分相当の熱量を蓄えたことになる。
【0196】
図16(b)に、夏季の電池温度と目標電池温度のイメージ図を示す。図16(b)中、破線は本実施形態の熱蓄積モードOFF時(従来技術に相当)を、実線は本実施形態の熱蓄積モードON時を示している。
【0197】
以上の説明からわかるように、本実施形態では、制御装置13は、二次電池1への熱の蓄積の要否を判定し、その判定結果に基づいて二次電池1への熱の蓄積を制御する。具体的には、二次電池1への熱の蓄積が必要と判定した場合、まず二次電池1に熱が蓄積され、その後に、二次電池1に蓄積した熱が車室内空気に付与されるようにする。
【0198】
これにより、二次電池1への熱の蓄積、および車室内空気への熱の付与を適切に行うことができるので、二次電池1を用いて一層効果的に温度調整することができる。
【0199】
また、本実施形態によると、二次電池1への熱の蓄積が必要と判定した場合と、二次電池1への熱の蓄積が不要と判定した場合とで二次電池1の目標温度を変化させるようになっているので、二次電池1への熱の蓄積を一層適切に行うことができる。
【0200】
また、本実施形態によると、外部電力を用いて蓄えた熱エネルギーを走行時の空調や機器の加熱/冷却に使用できるため、走行中に電池から取り出す空調エネルギーが減少し、その分、車両の航続距離を延ばすことができる。
【0201】
しかも、もともと車両に搭載されている電池を熱容量要素として使用しているため、新たに蓄熱材/蓄冷材を搭載する場合に比べ、重量低減が図れ、省スペースとなる。また、非常に熱容量の大きい電池を熱容量要素としているため、多くの熱エネルギーを蓄えることができる。
【0202】
また、本実施形態によると、電池の加熱/冷却をプレ空調の予約と連動させ、プレ空調開始時間に合わせ電池への熱エネルギー蓄積が完了するように制御されているので、加熱/冷却後から車両使用までの放置時間が短くなり、蓄えた熱エネルギーの大気への放熱ロスが減少するため省電力(省エネルギー)となる。
【0203】
(第7実施形態)
上記第1、第6実施形態では、充電時の外部電力を用いて二次電池1に熱(熱エネルギー)を蓄えるようになっているが、本第7実施形態では、車両の廃熱を二次電池1に蓄えるようになっている。
【0204】
図17は、本実施形態の車両用温度調整装置の全体構成図である。本実施形態では、ヒータコア15がエンジン冷却水回路60に設けられている。
【0205】
エンジン冷却水回路60は、エンジン3を冷却するための冷却水(エンジン冷却水)が循環する回路である。エンジン冷却水回路60には、エンジン冷却水を循環させるためのエンジン冷却用ウォータポンプ61が設けられている。本例では、エンジン冷却用ウォータポンプ61は電動ウォータポンプで構成されており、制御装置13から出力される制御信号によって回転数(冷却水流量)が制御されるようになっている。
【0206】
エンジン3の冷却水出口側かつエンジン冷却用ウォータポンプ61の冷却水入口側には、エンジン冷却用ラジエータ62が接続されている。エンジン冷却用ラジエータ62はエンジン冷却水の持つ熱を送風ファン63から送風された外気に放熱させてエンジン冷却水を冷却させる熱交換器である。
【0207】
ヒータコア15は、エンジン3の冷却水出口側かつ電池冷却用ウォータポンプ12の冷却水入口側にて、エンジン冷却用ラジエータ62と並列に接続されている。ヒータコア15の冷却水出口側かつ電池冷却用ウォータポンプ12の冷却水入口側には四方弁64(断続手段)が設けられている。
【0208】
四方弁64は、電池冷却水回路10において、冷却水用第1電磁弁20の冷却水出口側かつ電池冷却用ウォータポンプ12の冷却水入口側に設けられている。したがって、ヒータコア15は、四方弁64を介して電池冷却水回路10に接続可能になっている。四方弁64は、制御装置13から出力される制御信号によって、その開閉作動が制御されるようになっている。
【0209】
制御装置13の入力側には、エンジン3の出口側におけるエンジン冷却水温度を検出するエンジン冷却水温度センサ65が接続されている。
【0210】
図18は、四方弁64の切り替えモード構成を示す回路図である。図18(a)に示す第1モードでは、エンジン冷却水回路60と電池冷却水回路10とが切り離されて、ヒータコア15から流出したエンジン冷却水が電池冷却水回路10を循環することなくエンジン冷却用ウォータポンプ61に吸入される。
【0211】
図18(b)に示す第2モードでは、エンジン冷却水回路60と電池冷却水回路10とが導通(連通)されて、ヒータコア15から流出したエンジン冷却水が電池冷却水回路10を循環可能になる。これにより、エンジン冷却水回路60および電池冷却水回路10は、エンジン3の廃熱を二次電池1に回収する熱回収手段として機能することが可能となる。
【0212】
すなわち、第1モードと第2モードとを切り替えることによって、エンジン3の廃熱の回収が断続可能になっている。
【0213】
次に、上記構成における作動を説明する。図19(a)〜(c)は、冬季(暖房モード)の作動例を示している。なお、図19(a)〜(c)では、各作動状態における冷媒の流れを太実線で示している。また、図19(a)〜(c)では、図示の都合上、制御装置13等の細部を省略している。
【0214】
駐車し、イグニッションスイッチをオフした後(IG OFF後)、熱蓄積モードがオン(ON)となった場合、電池温度センサ50によって二次電池1の温度を検出する。この時点で電池温度が40℃を超えていたら、これ以上二次電池1を加熱すると二次電池1の劣化が進むため、熱蓄積はせずに終了する。
【0215】
電池温度が40℃以下の場合は、図19(a)に示すように、エンジン冷却水回路60と電池冷却水回路10とが切り離された状態で電池冷却用ウォータポンプ12を駆動する。
【0216】
具体的には、制御装置13は、四方弁64を第1モードに切り替え、電池冷却水回路10の冷却水が電池冷却用ウォータポンプ12→第1水冷媒熱交換器14→二次電池1→四方弁64→電池冷却用ウォータポンプ12の順で循環するように電池冷却用ウォータポンプ12、冷却水用第1、第2電磁弁20、21および第1、第2三方弁25、26を制御する。
【0217】
また、制御装置13は、エンジン冷却用ウォータポンプ61を停止(OFF)させてエンジン冷却水回路60のエンジン冷却水が循環しないようにする。また、制御装置13は、圧縮機30を停止(OFF)させて冷凍サイクル11の冷媒が循環しないようにする。また、制御装置13は、送風機45を停止(OFF)させる。
【0218】
次に、図19(b)に示すように、エンジン冷却水回路60と電池冷却水回路10とを導通(連通)させ、エンジン冷却水回路60の熱を電池冷却水回路10へ落とし、電池に蓄える。
【0219】
具体的には、制御装置13は、四方弁64を第2モードに切り替え、電池冷却水回路10の冷却水が電池冷却用ウォータポンプ12→第1水冷媒熱交換器14→二次電池1→四方弁64→エンジン冷却水回路60→四方弁64→電池冷却用ウォータポンプ12の順で循環するように電池冷却用ウォータポンプ12、冷却水用第1、第2電磁弁20、21および第1、第2三方弁25、26を制御する。
【0220】
このとき、制御装置13は、エンジン冷却用ウォータポンプ61を停止(OFF)させる。また、制御装置13は、圧縮機30を停止(OFF)させて冷凍サイクル11の冷媒が循環しないようにする。また、制御装置13は、送風機45を停止(OFF)させる。
【0221】
ここで、電池冷却水温度が急激に上昇すると二次電池1にダメージを与える恐れがあるため、電池冷却水温度が40℃を超えた場合は、四方弁64を第1モードに戻す。この状態で電池冷却水回路の温度が40℃を下回るまで待ち、40℃を下回ったら再び四方弁64を第2モードにする。この間、電池温度が40℃に達した場合は、そこで熱蓄積を終了させる。
【0222】
四方弁64を第2モードとしたままでも電池冷却水温度が40℃を下回るようになったら、図19(c)に示すようにエンジン冷却用ウォータポンプ61を駆動させ、エンジン3に残る熱を電池冷却水回路10へ落とし、二次電池1に蓄える。
【0223】
ここでも、電池冷却水温度が40℃を超えた場合は四方弁64を第1モードに戻し、電池冷却水回路の温度が40℃を下回るまで待ち、40℃を下回ったら四方弁64を再び第2モードとする。この間、電池温度が40℃に達した場合は、そこで熱蓄積を終了させる。
【0224】
これを繰り返し、電池温度が40℃に達しない場合でも、電池温度と電池冷却水温度が近づいてきたら、エンジン3の廃熱を回収し終えたと判断して熱蓄積を終了させる。
【0225】
なお、四方弁64を切り替える代わりに、電池冷却用ウォータポンプ12の流量を変化させるようにしてもよい。すなわち、四方弁64を第2モードにしたままでも、電池冷却用ウォータポンプ12の流量を増加させればエンジン3の廃熱の回収を促進することができ、電池冷却用ウォータポンプ12の流量を減少させればエンジン3の廃熱の回収を抑制することができる。
【0226】
図20は、上記作動を、制御装置13が実行する制御フローとして示したフローチャートである。
【0227】
まずステップS300では、車両のイグニッションスイッチ(IG)がオフ(OFF)になっているか否かを判定する。車両のイグニッションスイッチ(IG)がオフ(OFF)になっていると判定した場合(YES判定の場合)、ステップS310へ進む。一方、車両のイグニッションスイッチ(IG)がオフ(OFF)になっていないと判定した場合(NO判定の場合)、ステップS390へ進んでエンジン冷却用ウォータポンプ61(エンジン冷却用W/P)および電池冷却用ウォータポンプ12(電池冷却用W/P)をともに停止(OFF)させた後に本フローを終了する。
【0228】
ステップS310では、熱蓄積モードがオン(ON)になっているか否かを判定する。本例では、操作パネルに設けられた熱蓄積モード切替スイッチを乗員(ユーザ)が操作することによって熱蓄積モードのオン/オフが切り替えられるようになっている。熱蓄積モードのオン/オフを、種々の情報をもとに制御装置13で自動切替するようにしてもよい。
【0229】
熱蓄積モードがオンになっていると判定した場合(YES判定の場合)、ステップS320へ進み、一方、熱蓄積モードがオンになっていないと判定した場合(NO判定の場合)、ステップS390へ進んでエンジン冷却用ウォータポンプ61(エンジン冷却用W/P)および電池冷却用ウォータポンプ12(電池冷却用W/P)をともに停止(OFF)させた後に本フローを終了する。
【0230】
ステップS320では、電池温度が40℃を上回っているか否かを判定する。電池温度が40℃を上回っていないと判定した場合(NO判定の場合)、ステップS330へ進み、一方、電池温度が40℃を上回っていると判定した場合(YES判定の場合)、ステップS390へ進んでエンジン冷却用ウォータポンプ61(エンジン冷却用W/P)および電池冷却用ウォータポンプ12(電池冷却用W/P)をともに停止(OFF)させた後に本フローを終了する。
【0231】
ステップS330では、電池冷却用ウォータポンプ12(電池冷却用W/P)を作動(ON)させ、エンジン冷却用ウォータポンプ61を停止(OFF)させる。
【0232】
次いでステップS340では、四方弁64を第2モードに切り替える。これにより、図19(b)に示す作動状態になる。
【0233】
次いでステップS350では、電池冷却水温度が40℃を上回っているか否かを判定する。電池冷却水温度が40℃を上回っていないと判定した場合(NO判定の場合)、ステップS360へ進み、一方、電池冷却水温度が40℃を上回っていると判定した場合(YES判定の場合)、ステップS351へ進む。
【0234】
ステップS360では、エンジン冷却用ウォータポンプ61(エンジン冷却用W/P)を作動(ON)させる。これにより、図19(c)に示す作動状態になる。
【0235】
次いでステップS370では、電池冷却水温度が40℃を上回っているか否かを判定する。電池冷却水温度が40℃を上回っていないと判定した場合(NO判定の場合)、ステップS380へ進み、一方、電池冷却水温度が40℃を上回っていると判定した場合(YES判定の場合)、ステップS371へ進む。
【0236】
ステップS380では、電池温度が電池冷却水温度−5℃を上回っているか否かを判定する。換言すれば、電池温度と電池冷却水温度との差(電池温度−電池冷却水温度)が5℃を上回っているか否かを判定する。電池温度が電池冷却水温度−5℃を上回っていると判定した場合(YES判定の場合)、ステップS390へ進んでエンジン冷却用ウォータポンプ61(エンジン冷却用W/P)および電池冷却用ウォータポンプ12(電池冷却用W/P)をともに停止(OFF)させた後に本フローを終了し、一方、電池温度が電池冷却水温度−5℃を上回っていないと判定した場合(NO判定の場合)、ステップS370に戻る。
【0237】
一方、ステップS350にて電池冷却水温度が40℃を上回っていると判定した場合(YES判定の場合)、ステップS351へ進み、電池温度が40℃を上回っているか否かを判定する。電池温度が40℃を上回っていないと判定した場合(NO判定の場合)、ステップS352へ進み、一方、電池温度が40℃を上回っていると判定した場合(YES判定の場合)、ステップS390へ進んでエンジン冷却用ウォータポンプ61(エンジン冷却用W/P)および電池冷却用ウォータポンプ12(電池冷却用W/P)をともに停止(OFF)させた後に本フローを終了する。
【0238】
ステップS352では、四方弁64を第1モードに切り替える。これにより、図19(a)に示す作動状態になる。
【0239】
次いでステップS353では、電池冷却水温度が40℃を上回っているか否かを判定する。電池冷却水温度が40℃を上回っていないと判定した場合(NO判定の場合)、ステップS340に戻り、一方、電池冷却水温度が40℃を上回っていると判定した場合(YES判定の場合)、ステップS390へ進んでエンジン冷却用ウォータポンプ61(エンジン冷却用W/P)および電池冷却用ウォータポンプ12(電池冷却用W/P)をともに停止(OFF)させた後に本フローを終了する。
【0240】
一方、ステップS370にて電池冷却水温度が40℃を上回っていると判定した場合(YES判定の場合)、ステップS371へ進み、電池温度が40℃を上回っているか否かを判定する。電池温度が40℃を上回っていないと判定した場合(NO判定の場合)、ステップS372へ進み、一方、電池温度が40℃を上回っていると判定した場合(YES判定の場合)、ステップS390へ進んでエンジン冷却用ウォータポンプ61(エンジン冷却用W/P)および電池冷却用ウォータポンプ12(電池冷却用W/P)をともに停止(OFF)させた後に本フローを終了する。
【0241】
ステップS372では、四方弁64を第1モードに切り替える。次いでステップS373では、電池冷却水温度が40℃を上回っているか否かを判定する。電池冷却水温度が40℃を上回っていないと判定した場合(NO判定の場合)、ステップS374へ進んで四方弁64を第2モードに切り替えた後にステップS370に戻り、一方、電池冷却水温度が40℃を上回っていると判定した場合(YES判定の場合)、ステップS371に戻る。
【0242】
本実施形態によると、エンジン3の廃熱を、断熱性が高く熱容量の大きい二次電池1に蓄えておき、次回走行時の熱エネルギーとして使用するので、次回走行時の二次電池1からのエネルギー消費を減らすことができ、ひいては航続距離を延ばすことができる。
【0243】
(第8実施形態)
上述の第5実施形態では、二次電池に蓄えられた冷熱に基づいて車室内送風空気を冷却する例について説明したが、これに代えて、本実施形態では、二次電池に蓄えられた冷熱に基づいて室外熱交換器33から出た冷媒を過冷却する例について説明する。
【0244】
図21は、本実施形態の車載熱システム100の構成を示す図である。図21において図13、図12と同一符号は同一のものを示し、その説明を省略する。
【0245】
車載熱システム100は、図13の車両用温度調整装置において、ヒータコア15、冷却水用第2電磁弁21、および冷却用機器49を削除して、図12の第1水冷媒熱交換器14、第1迂回冷媒通路40、冷媒用第3電磁弁42、および第3膨張弁44を追加したものである。
【0246】
本実施形態では、図13の二次電池1に代えて電池ユニット1Aが用いられている。電池ユニット1Aは、断熱材料からなる断熱容器に電池用熱交換器1bおよび二次電池1aを収納して構成されている。電池用熱交換器1bは、第1水冷媒熱交換器14の出口と第2三方弁26の入口との間に配置されている。電池用熱交換器1bは、二次電池1aと冷却水(冷却媒体)との間で熱交換する。二次電池1aは、走行用電動モータに電力を供給するためのものである。二次電池1aとして、例えば、リチウムイオン電池が用いられる。本実施形態の室外熱交換器33は、凝縮器を構成するもので、圧縮機30から吐出される高圧冷媒を冷却・凝縮する熱交換器と、熱交換器から出る液冷媒を過冷却する過冷却部とから構成されている。
【0247】
制御装置(図中ECUと記す)13は、メモリ、マイクロコンピュータ等から構成されている。メモリには、圧力センサ53の検出圧力に基づいて室外熱交換器33の出口側冷媒温度を求めるためのマップデータが記憶されている。マップデータは、圧力センサ53の複数の検出圧力と室外熱交換器33の複数の出口側冷媒温度とが1対1で対応付けられて構成されているデータである。室外熱交換器33の出口側冷媒温度とは、室外熱交換器33から第2水冷媒熱交換器16に流れる冷媒温度のことである。
【0248】
マイクロコンピュータは、二次電池1aが充電器2によって充電されているときに二次電池1aを冷却するとともに、二次電池1aの充電後に車室内を空調するための制御処理を実行する。マイクロコンピュータは、制御処理を実行する際に、センサ51、54の検出温度、圧力センサ53の検出圧力、およびマップデータに基づいて、電池冷却用ウォータポンプ12、冷却水用第1電磁弁20、第1三方弁25、第2三方弁26、冷媒用第2電磁弁38、冷媒用第3電磁弁42、および圧縮機30を制御する。
【0249】
温度センサ51は、電池用熱交換器1bから第2三方弁26に流れる冷却水の温度を検出する。温度センサ54は、車室外空気の温度を検出する。本実施形態の温度センサ54は、電池冷却用ラジエータ24を通過する空気流れ方向の上流側の空気温度を検出する。圧力センサ53は、室外熱交換器33から第2水冷媒熱交換器16に流れる冷媒の圧力を検出する。
【0250】
次に、本実施形態の制御装置13の制御処理について説明する。
【0251】
制御装置13の制御処理は、二次電池1aの充電中に二次電池1aを冷却するための電池冷却処理と、電池冷却処理の実行後に車室内を空調するための空調制御処理とからなる。以下、電池冷却処理および空調制御処理について別々に説明する。
【0252】
(電池冷却処理)
電池冷却処理は、二次電池1aの温度を許容温度範囲(10℃〜40℃)内に維持するために実施されるものである。許容温度範囲は、二次電池1aの十分な入力性能を維持するとともに、二次電池1aの使用可能期間が短くなることを抑制するために設定されている。入力性能とは、二次電池1aにおいて電力を蓄える性能のことである。図22に制御装置13が電池冷却処理を実行しているときの車載熱システム100の冷媒の循環経路、および冷却水の循環経路を示す。
【0253】
まず、冷凍サイクル11では、冷媒用第3電磁弁42によって第2水冷媒熱交換器16の出口と第3膨張弁44の入口との間を開ける。冷媒用第2電磁弁38によって第2水冷媒熱交換器16の出口と第2膨脹弁37の入口との間を閉じる。
【0254】
このとき、圧縮機30が冷媒を圧縮して高圧冷媒を吐出すると、この高圧冷媒が室外熱交換器33に流れる。室外熱交換器33では、高圧冷媒が送風ファン34からの送風空気により冷却される。その後、この冷却された冷媒は第2水冷媒熱交換器16および冷媒用第3電磁弁42を通過して第3膨張弁44に流れて第3膨張弁44で減圧される。この減圧された冷媒は、第1水冷媒熱交換器14を通過して圧縮機30の入口に戻る。このように、冷媒は、圧縮機30→室外熱交換器33→第2水冷媒熱交換器16→冷媒用第3電磁弁42→第3膨張弁44→第1水冷媒熱交換器14→圧縮機30の順に流れる(図22中太い実線参照)。
【0255】
電池冷却水回路10では、第1の制御手段として、第2三方弁26により電池用熱交換器1bの出口と第2迂回冷却水通路23の入口との間を開けて、かつ第1三方弁25の入口、第2迂回冷却水通路23の入口、および電池用熱交換器1bの出口の間を閉じる。
【0256】
このため、電池冷却用ウォータポンプ12、第1水冷媒熱交換器14、および電池用熱交換器1bによって、冷却水が循環する閉回路(図22中太い鎖線参照)が構成される。したがって、電池冷却用ウォータポンプ12から流れる冷却水が第1水冷媒熱交換器14に流れる。このとき、第1水冷媒熱交換器14が冷却水を冷媒によって冷却する。この冷却された冷却水は電池用熱交換器1bに流れ、電池用熱交換器1bでは、冷却水が二次電池1aを冷却する。このため、二次電池1aの温度が許容温度範囲(10℃〜40℃)内に入ることになる。その後、電池用熱交換器1bを通過した冷却水は、第2三方弁26および第2迂回冷却水通路23を通して電池冷却用ウォータポンプ12の入口に戻る。このように、冷却水が循環することにより、冷却水および二次電池1aに冷熱が蓄えられることになる。
【0257】
(空調制御処理)
空調制御処理は、冷凍サイクル制御処理と冷却水回路制御処理とから構成されている。冷凍サイクル制御処理と冷却水回路制御処理とは時分割で実行される。 以下、冷却水回路制御処理に先だって、冷凍サイクル制御処理について説明する。図23、図24、図25、図26は車載熱システム100の冷媒の循環経路、および冷却水の循環経路を示す。
【0258】
まず、冷媒用第2電磁弁38によって第2水冷媒熱交換器16の出口と第2膨脹弁37の入口との間を開けて、冷媒用第3電磁弁42によって第2水冷媒熱交換器16の出口と第3膨張弁44の入口との間を閉じる。
【0259】
このとき、圧縮機30から吐出される高圧冷媒は、室外熱交換器33、第2水冷媒熱交換器16、および冷媒用第2電磁弁38を通して第2膨脹弁37に流れる。冷媒は第2膨脹弁37で減圧される。この減圧された冷媒は室内蒸発器19で送風機45からの送風空気を冷却する。その後、室内蒸発器19を通過した冷媒は、圧縮機30の入口に戻る。このように、冷媒は、圧縮機30→室外熱交換器33→第2水冷媒熱交換器16→冷媒用第2電磁弁38→第2膨脹弁37→室内蒸発器19→圧縮機30の順に流れる(図23、図24、図25、図26中太い実線参照)。
【0260】
次に、冷却水回路制御処理について図27を用いて説明する。図27は冷却水回路制御処理の詳細を示すフローチャートである。冷却水回路制御処理の実行は、電池冷却処理の実行終了後に圧縮機30の駆動が開始されたときに開始される。
【0261】
まず、ステップS400において、第3温度取得手段として、温度センサ54の検出温度を外気温として取得する。
【0262】
次に、ステップS410において、第2温度取得手段として、室外熱交換器33の出口側冷媒温度を取得する。具体的には、圧力センサ53の検出圧力を検出し、この検出された冷媒圧力に対応する室外熱交換器33の出口側冷媒温度を上述のマップデータから取得する。
【0263】
次に、ステップS420において、第1温度取得手段として、温度センサ51の検出温度を電池冷却水温度として取得する。次に、ステップS430において、
第1判定手段として、室外熱交換器33の出口側冷媒温度が電池冷却水温度よりも高いか否かを判定する。このことにより、第2水冷媒熱交換器16において冷却水による冷媒の過冷却が実施可能か否かを判定する。
【0264】
このとき、室外熱交換器33の出口側冷媒温度が電池冷却水温度よりも高いときには、ステップS430でYESと判定する。つまり、第2水冷媒熱交換器16において冷却水による冷媒の過冷却が実施可能であると判定することになる。
【0265】
例えば、第2水冷媒熱交換器16において冷却水が冷媒を過冷却すると、冷却水の温度が上昇する。これに伴い、電池用熱交換器1bにおける冷却水および冷媒の間の熱交換により二次電池1aの温度が上昇する。そして、二次電池1aの温度が許容温度範囲よりも高くなると、二次電池1aにおいて十分な出力性能が得られなくなることに加えて、二次電池1aの使用可能期間が短くなる恐れがある。出力性能とは、二次電池1aにおいて電力を出力する性能のことである。
【0266】
そこで、次のステップS440において、第2判定手段として、電池冷却水温度が閾値よりも低いか否かを判定する。閾値は、二次電池1aの許容温度範囲の上限値(例えば40℃)よりも所定温度(例えば、3度)分下げた温度に設定されている値である。そして、電池冷却水温度が閾値よりも低いときには、ステップS440において、YESと判定する。つまり、第2水冷媒熱交換器16の熱交換によって二次電池1aに支障が来す恐れがないと判定することになる。これに伴い、次のステップS450、S460、S470(またはS480)において、第2水冷媒熱交換器16における冷媒の過冷却を実施する。
【0267】
具体的には、ステップS450に移行して、冷却水用第1電磁弁20によって第1三方弁25の出口と第2水冷媒熱交換器16の入口との間を開ける。次に、ステップS460において、第3判定手段として、電池冷却水温度が外気温よりも高いか否かを判定する。電池冷却水温度が外気温よりも高いときには、ステップS460でYESと判定して、ステップS470に進む。
【0268】
このとき、第2の制御手段として、第2三方弁26により電池用熱交換器1bの出口と第1三方弁25の入口との間を開放し、かつ電池用熱交換器1bの出口、第1三方弁25の入口、および第2迂回冷却水通路23の入口の間を閉じる。これに加えて、第1三方弁25により、第2三方弁26の出口、冷却水用第1電磁弁20の入口、および電池冷却用ラジエータ24の入口との間を開ける。このため、電池冷却用ウォータポンプ12、第1水冷媒熱交換器14、および電池用熱交換器1b、第1、第2三方弁25、26、電池冷却用ラジエータ24、冷却水用第1電磁弁20、および第2水冷媒熱交換器16によって、冷却水が循環する閉回路(図23中太い鎖線参照)が構成される。
【0269】
よって、電池冷却用ウォータポンプ12から流れる冷却水が第1水冷媒熱交換器14を通過して電池用熱交換器1bに流れる。電池用熱交換器1bでは、冷却水が二次電池1aにより冷却される。この冷却された冷却水は、第2三方弁26を通過する。この通過した冷却水は第1三方弁25で冷却水用第1電磁弁20側に流れる冷却水と電池冷却用ラジエータ24側に流れる冷却水とに分流される。 このとき、第1三方弁25から冷却水用第1電磁弁20側に流れる冷却水は、第1電磁弁20を通して第2水冷媒熱交換器16に流れる。第2水冷媒熱交換器16で冷却水が室外熱交換器33から流れた冷媒を過冷却する。その後、第2水冷媒熱交換器16を通過した冷却水は、電池冷却用ウォータポンプ12の入口側に戻る。第1三方弁25から電池冷却用ラジエータ24側に流れる冷却水が電池冷却用ラジエータ24において外気により冷却される。この冷却された冷却水は、電池冷却用ウォータポンプ12の入口側に戻る。このように電池用熱交換器1bから出た冷却水の一部により冷媒を過冷却し、残りの冷却水が車室外空気により冷却される。
【0270】
その後、図27のステップS400に戻る。このため、室外熱交換器33の出口側冷媒温度が電池冷却水温度よりも高く、かつ電池冷却水温度が閾値よりも低く、さらに電池冷却水温度が外気温よりも高い状態が維持されると、ステップS400、S410、S420のそれぞれの温度取得処理、ステップS430のYES判定、ステップS440のYES判定、ステップS450の電磁弁開処理、ステップS460のYES判定、およびステップS470の三方弁制御処理を繰り返す。
【0271】
次に、電池冷却水温度が外気温よりも低くなると、ステップS460において、NOと判定して、ステップS480に進む。このとき、第2の制御手段として、第1三方弁25により、第2三方弁26の出口と冷却水用第1電磁弁20の入口との間を開け、かつ第2三方弁26の出口、冷却水用第1電磁弁20の入口、および電池冷却用ラジエータ24の入口との間を閉じる。このため、電池冷却用ウォータポンプ12、第1水冷媒熱交換器14、および電池用熱交換器1b、第1、第2三方弁25、26、冷却水用第1電磁弁20、および第2水冷媒熱交換器16によって、冷却水が循環する閉回路(図24中太い鎖線参照)が構成される。これにより、第2水冷媒熱交換器16における冷媒の過冷却が維持されつつ、電池冷却用ラジエータ24による冷却水の冷却が停止される。
【0272】
その後、ステップS400に戻る。このため、室外熱交換器33の出口側冷媒温度が電池冷却水温度よりも高く、かつ電池冷却水温度が閾値よりも低く、さらに電池冷却水温度が外気温よりも低い状態が維持されると、ステップS400、S410、S420のそれぞれの温度取得処理、ステップS430のYES判定、ステップS440のYES判定、ステップS450の電磁弁開処理、ステップS460のNO判定、およびステップS480の三方弁制御処理を繰り返す。
【0273】
その後、例えば、電池用熱交換器1bにおいて二次電池1aが冷却水に放熱することにより電池冷却水温度が上昇して、電池冷却水温度が室外熱交換器33の出口側冷媒温度がよりも高くなると、ステップS430でNOと判定する。すると、ステップS455に移行して、冷却水用第1電磁弁20によって第2水冷媒熱交換器16の入口と第1三方弁25の出口との間を閉じる。このため、第1三方弁25から冷却水用第1電磁弁20を通して第2水冷媒熱交換器16に流れる冷却水の流れが遮断される。これに伴い、第2水冷媒熱交換器16において冷媒と冷却水との間の熱交換が行われなくなる。
【0274】
次に、ステップS490において、電池冷却水温度が外気温よりも高い否かを判定する。電池冷却水温度が外気温よりも高いときには、ステップS490でYESと判定して、ステップS510に進む。このとき、第1三方弁25により、第2三方弁26の出口および電池冷却用ラジエータ24の入口の間を開け、かつ第2三方弁26の出口、電池冷却用ラジエータ24の入口、および冷却水用第1電磁弁20の入口の間を閉じる。このため、電池冷却用ウォータポンプ12、第1水冷媒熱交換器14、および電池用熱交換器1b、第1、第2三方弁25、26、および電池冷却用ラジエータ24によって、冷却水が循環する冷却水回路(図25中太い鎖線参照)が構成される。よって、電池冷却用ウォータポンプ12から第1水冷媒熱交換器14を通して電池用熱交換器1bに流れる冷却水は、電池用熱交換器1bで二次電池1aから吸熱し、この吸熱した冷却水は、第1三方弁25および第2三方弁26を通して電池冷却用ラジエータ24に流れる。このため、電池冷却用ラジエータ24で冷却水が外気により冷却される。このように、二次電池1aから吸熱された熱が車室外に排熱されることになる。
【0275】
その後、ステップS400に戻る。そして、電池冷却水温度が室外熱交換器33の出口側冷媒温度よりも高く、かつ電池冷却水温度が外気温よりも高い状態が維持されると、ステップS400、S410、S420のそれぞれの温度取得処理、ステップS430のNO判定、ステップS455の電磁弁閉処理、ステップS490のYES判定、およびステップS510の三方弁制御処理を繰り返す。
【0276】
次に、電池冷却水温度が外気温よりも低くなると、ステップS490でNOと判定して、ステップS500に進む。このとき、第2三方弁26により、電池用熱交換器1bの出口、第2迂回冷却水通路23の入口、および第1三方弁25の入口との間を閉じて、かつ電池用熱交換器1bの出口および第2迂回冷却水通路23の入口との間を開ける。このため、第2三方弁26、第2迂回冷却水通路23、電池冷却用ウォータポンプ12、第1水冷媒熱交換器14、および電池用熱交換器1bによって、冷却水が循環する冷却水回路(図26中太い鎖線参照)が構成される。
【0277】
この場合、冷凍サイクル11では、冷媒用第3電磁弁42によって第2水冷媒熱交換器16の出口と第3膨張弁44の入口との間を開ける。このため、第2水冷媒熱交換器16の出口から流れる冷媒のうち一部の冷媒が冷媒用第2電磁弁38側に流れ、残りの冷媒が冷媒用第3電磁弁42を通して第1水冷媒熱交換器14に流れる(図25中太い実線参照)。このため、第1水冷媒熱交換器14において冷却水が冷媒により冷却されることになる。
【0278】
また、上述のステップS440において、電池冷却水温度が閾値よりも高いときには、第2水冷媒熱交換器16の熱交換によって二次電池1aに支障が来す恐れがあるとして、NOと判定して、上述したステップS455以降の処理を実行する。これにより、冷却水用第1電磁弁20が第2水冷媒熱交換器16の入口と第1三方弁25の出口との間を閉じることにより、第2水冷媒熱交換器16の熱交換が実施されなくなる。
【0279】
以上説明したように、室外熱交換器33の出口側冷媒温度が電池冷却水温度よりも高く、かつ電池冷却水温度が閾値よりも低い場合には、電池用熱交換器1bで二次電池1aによって冷却された冷却水が第2水冷媒熱交換器16に流れ、冷却水が第2水冷媒熱交換器16で冷媒を過冷却することになる。このため、第2水冷媒熱交換器16を用いない場合に比べて、冷凍サイクル11の効率を高くすることができる。以下、冷凍サイクル11の効率が高くなる理由について図28を参照して説明する。図28は、縦軸を圧力、横軸をエンタルピーとする冷媒(HFC−134a)のモリエル線図である。
【0280】
図中点aから点bに移行する工程は圧縮機30による冷媒の圧縮、点bから点cに移行する工程は室外熱交換器33による冷媒の凝縮、点cから点c’に移行する工程は第2水冷媒熱交換器16による冷媒の過冷却、点c’から点d’に移行する工程は本実施形態の第2膨脹弁37による冷媒の減圧、点d’から点aに移行する工程は本実施形態の室内蒸発器19による冷媒の吸熱を示す。点cから点dに移行する工程は第2水冷媒熱交換器16を用いない冷凍サイクルの第2膨脹弁37による冷媒の減圧、点dから点aに移行する工程は第2水冷媒熱交換器16を用いない冷凍サイクルの室内蒸発器19による冷媒の吸熱を示す。
【0281】
点d’から点aに移行する工程のエンタルピーの変化量をΔieとし、点dから点aに移行する工程のエンタルピーの変化量をΔie_orgとすると、Δie>Δie_orgになる。
【0282】
まず、室内蒸発器19の必要冷房性能をQreqとする。そして、第2水冷媒熱交換器16を用いない冷凍サイクルの冷媒流量をGr_org、第2水冷媒熱交換器16を用いない冷凍サイクルの圧縮機30の動力をLcomp_orgとする。圧縮機30の動力とは、圧縮機30を駆動する際に必要なエネルギーのことである。
【0283】
第2水冷媒熱交換器16を用いない冷凍サイクルでは、次の数式(1)、(2)が成立する。
【0284】
Qreq=Gr_org×Δie_org ・・・・数式(1)
Lcomp_org=Gr_rg×Δic ・・・・数式(2)
次に、本実施形態の冷凍サイクル11の冷媒流量をGr、本実施形態の冷凍サイクル11の圧縮機30の動力をLcompとすると、次の数式(3)、(4)が成立する。
【0285】
Qreq=Gr×Δie ・・・・数式(3)
Lcomp=Gr×Δic ・・・・数式(4)
ここで、上述の如く、Δie_org<Δieであるため、Gr_org>Grが成立する。このため、Lcomp_org>Lcompが成立する。したがって、本実施形態の室内蒸発器19では、第2水冷媒熱交換器16を用いない冷凍サイクルに比べて圧縮機30の電動モータの回転数を低くしても同じ冷房性能が得られる。このため、冷凍サイクル11の成績係数COPを大きくすることができる。
【0286】
以上説明した本実施形態では、室外熱交換器33の出口側冷媒温度が電池冷却水温度よりも高く、かつ電池冷却水温度が閾値よりも低い場合には、電池用熱交換器1bで二次電池1aによって冷却された冷却水が第2水冷媒熱交換器16に流れ、第2水冷媒熱交換器16で冷却水が冷媒を過冷却することになる。このため、第2水冷媒熱交換器16を用いない場合に比べて、冷凍サイクル11の効率を高くすることができる。このため、本実施形態では、圧縮機30の動力を低減することができる。
【0287】
本実施形態では、冷却水温度が閾値よりも高いときには、電磁弁20により第1三方弁25と第2水冷媒熱交換器16との間を閉じる。このため、第2水冷媒熱交換器16において冷却水が冷媒を過冷却することが停止される。したがって、
第2水冷媒熱交換器16の熱交換により冷却水の温度が上昇することを抑制することができる。よって、冷却水の温度上昇に伴って二次電池1aの温度が上昇することを抑制することができる。したがって、二次電池1aの温度が許容温度範囲よりも高くなることを避けることができる。これにより、二次電池1aにおいて十分な出力性能を確保しつつ、二次電池1aの使用可能期間が短くなることを抑制することができる。
【0288】
本実施形態では、外気温が冷却水の温度に比べて低いときには、ステップS470において第2三方弁26によって電池用熱交換器1bの出口と電池冷却用ラジエータ24の入口との間を開ける。このため、電池冷却用ラジエータ24において外気によって冷却水を冷却し、この冷却された冷却水を電池冷却用ウォータポンプ12、第1水冷媒熱交換器14、電池用熱交換器1b、第1、第2三方弁25、26、および冷却水用第1電磁弁20を通して第2水冷媒熱交換器16に流すことができる。このため、外気によって冷却された冷却水が第2水冷媒熱交換器16で冷媒を過冷却することになる。これにより、外気を利用して冷媒の過冷却度を大きくすることができる。
【0289】
本実施形態では、室外熱交換器33の出口側冷媒温度が電池冷却水温度よりも低いときには、電池冷却用ラジエータ24および第1水冷媒熱交換器14のうちいずれか一方により、冷却水が冷却される。このため、電池用熱交換器1bの熱交換により二次電池1aの温度が上昇することを抑制することができる。
【0290】
(第9実施形態)
上述の第8実施形態では、第1三方弁25から第2水冷媒熱交換器16に流れる冷却水の流れを冷却水用第1電磁弁20によって遮断して第2水冷媒熱交換器16における冷媒と冷却水との間の熱交換を停止した例について説明したが、これに代えて、本実施形態では、室外熱交換器33から第2水冷媒熱交換器16に流れる冷媒の流れを遮断して第2水冷媒熱交換器16における熱交換を停止する例について説明する。
【0291】
図29に本実施形態の車載熱システム100の構成を示す。図29において図21と同一符号は同一のものを示す。本実施形態の車載熱システム100は、図21の車載熱システム100において冷却水用第1電磁弁20を削除し、三方弁70および迂回冷媒通路71を追加したものである。迂回冷媒通路71は、室外熱交換器33から流れる冷媒を第2水冷媒熱交換器16を迂回して冷媒用第2、第3の電磁弁38、42側に流すための通路である。三方弁70は、制御装置13によって制御されて、第2水冷媒熱交換器16の入口および迂回冷媒通路71の入口のうち一方と室外熱交換器33の出口との間を開けて、第2水冷媒熱交換器16の入口および迂回冷媒通路71の入口のうち一方以外の他方と室外熱交換器33の出口との間を閉じる。
【0292】
このように構成される本実施形態では、三方弁70が室外熱交換器33の出口と第2水冷媒熱交換器16の入口との間を開けて、かつ第2水冷媒熱交換器16の入口、迂回冷媒通路71の入口、および室外熱交換器33の出口の間を閉じた場合には、室外熱交換器33から冷媒が第2水冷媒熱交換器16に流れる。このため、第2水冷媒熱交換器16における冷媒と冷却水との間の熱交換を開始することができる。
【0293】
三方弁70が迂回冷媒通路71の入口および室外熱交換器33の出口の間を開けて、かつ、室外熱交換器33の出口、迂回冷媒通路71の入口、および第2水冷媒熱交換器16の入口の間を閉じる。これにより、室外熱交換器33から冷媒が迂回冷媒通路71を通して冷媒用第2、第3の電磁弁38、42側に流れる。このため、第2水冷媒熱交換器16における冷媒と冷却水との間の熱交換を停止することができる。
【0294】
以上説明した本実施形態によれば、冷却水用第1電磁弁20に代えて、三方弁70および迂回冷媒通路71を用いることにより、第2水冷媒熱交換器16における冷媒と冷却水との間の熱交換、及び熱交換の停止を行うことができる。このため、例えば、電池冷却水温度が閾値よりも低い場合には、(図27中ステップS440参照)、三方弁70によって室外熱交換器33の出口と第2水冷媒熱交換器16の入口との間を開けることにより、上述の第8実施形態と同様に、第2水冷媒熱交換器16において冷却水が冷媒を過冷却することができる。このため、上述の第8実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0295】
(他の実施形態)
(1)上記実施形態では、二次電池1に蓄えた熱(熱エネルギー)を空調に使用する例を示したが、空調だけでなく、二次電池1に蓄えた熱(熱エネルギー)を自動車構成部品(温度調整対象物)の暖機、冷却に使用してもよい。自動車構成部品としては、例えばエンジン、モータ、インバータ、トランスミッション、トランスアクスルなどが挙げられる。例えば、自動車構成部品を電池冷却水回路10に配置して、電池冷却水で加熱、冷却できるようにすればよい。
【0296】
(2)上記実施形態では、二次電池1から熱を取り出す媒体として冷却水を使用したが、オイルなど他の液体や空気、ガスなどの気体、ヒートパイプなどの相変化を伴う熱発生手段や、ペルチェなどの熱移動手段を用いてもよい。
【0297】
(3)上記実施形態では、冷凍サイクル11として車両空調用のものを用いたが、車両空調用以外の冷凍サイクル(車両空調用とは別の冷凍サイクル)を用いる構成にしてもよい。例えば、二次電池1の電池パックに冷凍サイクルを内蔵させ、スタンドアローンで電池冷却/加熱ができる冷凍サイクルを持つ構成にしてもよい。
【0298】
(4)上記第1〜第6実施形態では、外部電力を用いて創出した熱(熱エネルギー)を二次電池1に蓄え、上記第7実施形態では、エンジンなどの廃熱を二次電池1に蓄えていたが、蓄える熱(熱エネルギー)は、走行中の二次電池1やモータ、インバータなどの廃熱であってもよい。
【0299】
(5)上記実施形態では、充電時(駐車時)に熱(熱エネルギー)を二次電池1に蓄えていたが、走行中に熱(熱エネルギー)を二次電池1に蓄えるようにしてもよい。例えば、走行中にエンジンや空調などの熱(熱エネルギー)が余っているか否かを制御装置13によって判定し、エンジンや空調などの熱(熱エネルギー)が余っていると判定された場合には、走行中であっても二次電池1への蓄熱を実施するようにすればよい。
【0300】
また、走行後の車室内空気や冷凍サイクル中の熱エネルギー(温熱/冷熱)を一旦電気に蓄えておき、次回走行時に使用するような構成としてもよい。
【0301】
(6)上記実施形態では、熱を蓄積する熱容量要素として二次電池1(リチウムイオン電池)を用いたが、これに限定されるものではなく、キャパシタなど他の蓄電機器を用いてもよい。また、蓄電機器に限らず、モータやなど熱容量の大きな他の車載走行用部品を熱容量要素として用いてもよい。
【0302】
(7)上記第6、第7実施形態では、熱蓄積モードON/OFFを乗員(ユーザ)のスイッチ操作で選択していたが、例えばリモコン、携帯電話、パソコンなどで、車両外から有線、無線で熱蓄積モードON/OFF選択ができるようにしてもよい。
【0303】
(8)上記実施形態に対して、熱エネルギー蓄積量の大小を乗員(ユーザ)が選択できるようにしてもよい。例えば、短距離通勤など次回走行予定距離が短い場合は「熱蓄積モード小」、遠出するなど次回走行予定距離が長い場合は「熱蓄積モード大」とすることにより、使い方に応じた最適な熱蓄積ができ、無駄な熱エネルギー蓄積を防止できる。
【0304】
(9)上記実施形態では、熱蓄積モードON/OFFを乗員(ユーザ)のスイッチ操作で選択していたが、種々の情報をもとに熱蓄積モードON/OFFを自動切替するようにしてもよい。例えば、過去の一定期間の温度履歴や、過去の一定期間におけるユーザの使用履歴状態、外気温度、天気予報情報、カーナビでの位置情報などをもとに熱蓄積モードのON/OFFを判定するようにしてもよい。
【0305】
(10)上記実施形態では、目標電池温度を外気温度、電池温度、空調目標温度TAOなどをもとに算出しているが、目標電池温度を他の方法で算出してもよい。例えば、過去の一定期間の温度履歴や、過去の一定期間におけるユーザの使用履歴情報、天気予報情報、カーナビでの位置情報などをもとに目標電池温度を算出するようにしてもよい。
【0306】
特に、過去の一定期間におけるユーザの使用履歴を用いる場合、短距離しか乗車しない場合には、目標電池温度(熱エネルギー蓄積量)を変更するのが好ましい。これにより、乗車時間分の空調を賄うだけの最低限の熱エネルギー蓄積量とすることができ、無駄なエネルギー蓄積を減らすことができる。
【0307】
また、同様に蓄熱/蓄冷の判定についても、上記情報をもとに判断するようにしてもよい。
【0308】
上述の第8、第9の実施形態では、圧力センサ53の検出圧力を用いて、室外熱交換器33の出口側冷媒温度を求める例について説明したが、これに限らず、次の(a)、(b)、(c)のようにしてもよい。
【0309】
(a)圧縮機30から室外熱交換器33に流れる冷媒圧力を検出するための圧力センサを用いる。この圧力センサの検出圧力に基づいて、室外熱交換器33で凝縮された冷媒の温度(以下、凝縮温度という)を算出する。そして、室外熱交換器33の過冷却性能に対応する冷媒の過冷却度を予めメモリに記憶しておき、この記憶された冷媒の過冷却度と上記凝縮温度とから室外熱交換器33の出口側冷媒温度を求める。
【0310】
(b)上記(a)の圧力センサと、外気温を検出する温度センサ54とを用いる。圧力センサの検出圧力と温度センサ54の検出温度とを用いて冷媒の過冷却度を求める。そして、過冷却度と上記凝縮温度とから室外熱交換器33の出口側冷媒温度を求める。
【0311】
(c)圧縮機30の出口と室外熱交換器33の入口との間の冷媒の温度を検出するための検出する温度センサを用いる。この温度センサの検出温度を室外熱交換器33の出口側冷媒温度とする。
【0312】
上述の第8実施形態では、電池用熱交換器1bの出口と第2三方弁26の入口の間の冷媒温度を温度センサ51によって検出し、温度センサ51の検出温度を
図27のステップS430、S440、S460、S490の判定で用いる冷却水温度とした例について説明したが、これに代えて、(d)、(e)、(f)、(g)のようにしてもよい。
【0313】
(d)温度センサ51の検出温度に所定温度を足した温度を用いてステップS430、S440、S460、S490の判定を実施する。所定温度は、冷却水が電池ユニット1Aから第2水冷媒熱交換器16迄の配管を通して流れる際に冷却水が配管を介して外気から吸熱した熱により上昇する温度に相当する値である。
【0314】
(e)二次電池1aの温度を検出する温度センサを用いる。この温度センサの検出温度をステップS430、S440、S460、S490の判定で用いる冷却水温度とする。
【0315】
(f)二次電池1aの温度を検出する温度センサの検出温度に上記所定温度を足した温度をステップS430、S440、S460、S490の判定で用いる冷却水温度とする。
【0316】
(e)電池用熱交換器1b内の冷却水の温度を検出する温度センサを用いる。この温度センサの検出温度をステップS430、S440、S460、S490の判定で用いる冷却水温度とする。
【0317】
(g)電池用熱交換器1b内の冷却水の温度を検出する温度センサの検出温度に上記所定温度を足した温度をステップS430、S440、S460、S490の判定で用いる冷却水温度とする。
【0318】
上述の第8実施形態では、電池冷却用ラジエータ24を電池冷却用ウォータポンプ12の入口および出口の間で第2水冷媒熱交換器16に対して並列に配置した例について説明したが、これに代えて、電池冷却用ラジエータ24を電池冷却用ウォータポンプ12の入口および出口の間で第2水冷媒熱交換器16に対して直列に配置してもよい。
【0319】
例えば、冷却水用第1電磁弁20の出口と第2水冷媒熱交換器16の入口との間に電池冷却用ラジエータ24を設けた場合には、冷却水用第1電磁弁20から出た冷却水を電池冷却用ラジエータ24を迂回して第2水冷媒熱交換器16の入口側に流すための迂回通路と、迂回通路を開閉する電磁弁とを設ける。そして、電磁弁の開閉により、冷却水用第1電磁弁20と第2水冷媒熱交換器16との間で電池冷却用ラジエータ24および迂回通路のうちいずれか一方に冷却水を流し、電池冷却用ラジエータ24および迂回通路のうちいずれか一方以外の他方に冷却水が流れることを停止することができる。
【0320】
上述の第8、第9の実施形態では、室外熱交換器33として、冷媒を冷却・凝縮する熱交換器と、熱交換器から出る液冷媒を過冷却する過冷却部とからものを用いた例について説明したが、これに代えて、熱交換器および過冷却部のうち熱交換器だけからなる室外熱交換器33を用いてもよい。この場合、室外熱交換器33の出口から出る冷媒のうち液冷媒を第2、第3の膨張弁37、44側に導くためのレシーバを設ける。
【0321】
上述の第8、第9の実施形態では、冷却媒体として冷却水を用いた例について説明したが、冷却水以外の油、或いは気体などの各種の冷却媒体を用いてもよい。
【0322】
上述の第8、第9の実施形態では、第1三方弁25を電池用熱交換器1bの出口、電池冷却用ラジエータ24の入口、および第2水冷媒熱交換器16の入口の間に配置した例について説明したが、これに代えて、第1三方弁25を電池用熱交換器1bの入口、電池冷却用ラジエータ24の出口、および第2水冷媒熱交換器16の出口の間に配置してもよい。同様に、第2三方弁26を電池用熱交換器1bの入口、電池冷却用ラジエータ24の出口、および第2水冷媒熱交換器16の出口の間に配置してもよい。冷却水用第1電磁弁20を電池用熱交換器1bの入口、電池冷却用ラジエータ24の出口、および第2水冷媒熱交換器16の出口の間に配置してもよい。
【0323】
上述の第8、第9の実施形態では、冷却器として第1水冷媒熱交換器14を用いる例について説明したが、これに代えて、冷却器としてペルチェ素子を用いてもよい。
【符号の説明】
【0324】
1 二次電池(蓄電機器、熱容量要素)
1a 二次電池
1b 電池用熱交換器
10 電池冷却水回路(熱回収手段)
11 冷凍サイクル
12 電池冷却用ウォータポンプ
13 制御装置(制御手段)
14 第1水冷媒熱交換器(熱交換手段、冷却器、蒸発器)
15 ヒータコア(第2熱付与手段、熱付与手段)
16 第2水冷媒熱交換器(熱交換手段、冷媒冷却用熱交換器)
19 室内蒸発器(熱付与手段)
20 冷却水用第1電磁弁(切替手段、断続手段)
21 冷却水用第2電磁弁(切替手段、断続手段)
23 第2迂回冷却水通路(迂回通路)
26 第2三方弁(切替手段、断続手段、第1弁)
31 室内凝縮器(熱付与手段)
42 冷媒用第3電磁弁
44 冷媒用第2電磁弁
51 温度センサ
53 圧力センサ
54 温度センサ
60 エンジン冷却水回路(熱回収手段)
64 四方弁(断続手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室内の空気および車両の構成部品のうち少なくとも一方を温度調整対象物とする車両用温度調整装置であって、
熱を蓄積可能な熱容量要素(1)と、
低温側から吸熱して高温側に放熱する冷凍サイクル(11)と、
前記熱容量要素に蓄積した熱を前記冷凍サイクル(11)の冷媒と熱交換させる熱交換手段(14、16)と、
前記冷凍サイクル(11)の冷媒が持つ熱を前記温度調整対象物に付与する熱付与手段(19、31)とを備えることを特徴とする車両用温度調整装置。
【請求項2】
前記熱付与手段(31)は、前記冷凍サイクル(11)の冷媒によって前記温度調整対象物を加熱するようになっており、
前記熱交換手段(14)は、前記冷凍サイクル(11)の低圧側に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の車両用温度調整装置。
【請求項3】
前記熱付与手段(19)は、前記冷凍サイクル(11)の冷媒によって前記温度調整対象物を冷却するようになっており、
前記熱交換手段(16)は、前記冷凍サイクル(11)の高圧側に設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の車両用温度調整装置。
【請求項4】
前記熱容量要素(1)に蓄積した熱を、前記冷凍サイクル(11)の冷媒を介することなく前記温度調整対象物に付与する第2熱付与手段(15)を備えることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の車両用温度調整装置。
【請求項5】
前記熱容量要素(1)に蓄積した熱を前記熱交換手段(14、16)によって前記冷凍サイクル(11)の冷媒と熱交換させる場合と、前記熱容量要素(1)に蓄積した熱を前記第2熱付与手段(15)によって前記温度調整対象物に付与する場合とを切り替える切替手段(20、21、26)を備えることを特徴とする請求項4に記載の車両用温度調整装置。
【請求項6】
前記熱容量要素(1)が蓄積する熱は、車両に搭載された蓄電機器を充電する時の外部電力を用いて与えられるものであることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1つに記載の車両用温度調整装置。
【請求項7】
前記熱容量要素(1)は、車両に搭載された蓄電機器であることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1つに記載の車両用温度調整装置。
【請求項8】
前記熱容量要素(1)への熱の蓄積、および前記熱付与手段(19、31)による前記温度調整対象物への熱の付与を断続する断続手段(20、21、26、64)と、
前記熱容量要素(1)への熱の蓄積の要否を判定し、その判定結果に基づいて前記断続手段(20、21、26、64)を制御する制御手段(13)とを備え、
前記制御手段(13)は、前記熱容量要素(1)への熱の蓄積が必要と判定した場合、まず前記熱容量要素(1)に熱が蓄積され、その後に、前記熱容量要素(1)に蓄積した熱が前記温度調整対象物に付与されるように前記断続手段(20、21、26、64)を制御することを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1つに記載の車両用温度調整装置。
【請求項9】
車室内の空気および車両の構成部品のうち少なくとも一方を温度調整対象物とする車両用温度調整装置であって、
熱を蓄積可能な熱容量要素(1)と、
前記熱容量要素(1)に蓄積した熱を前記温度調整対象物に付与する熱付与手段(15、19、31)と、
前記熱容量要素(1)への熱の蓄積、および前記熱付与手段(15、19、31)による前記温度調整対象物への熱の付与を断続する断続手段(20、21、26、64)と、
前記熱容量要素(1)への熱の蓄積の要否を判定し、その判定結果に基づいて前記断続手段(20、21、26、64)を制御する制御手段(13)とを備え、
前記制御手段(13)は、前記熱容量要素(1)への熱の蓄積が必要と判定した場合、まず前記熱容量要素(1)に熱が蓄積され、その後に、前記熱容量要素(1)に蓄積した熱が前記温度調整対象物に付与されるように前記断続手段(20、21、26、64)を制御することを特徴とする車両用温度調整装置。
【請求項10】
前記制御手段(13)は、前記熱容量要素(1)の目標温度を算出し、前記目標温度に基づいて前記断続手段(20、21、26、64)を制御するようになっており、
前記制御手段(13)は、前記熱容量要素(1)への熱の蓄積が必要と判定した場合と、前記熱容量要素(1)への熱の蓄積が不要と判定した場合とで前記目標温度を変化させるようになっていることを特徴とする請求項8または9に記載の車両用温度調整装置。
【請求項11】
前記制御手段(13)は、前記熱容量要素(1)への温熱の蓄積が必要と判定した場合の前記目標温度を、前記熱容量要素(1)への温熱の蓄積が不要と判定した場合の前記目標温度よりも高く設定することを特徴とする請求項10に記載の車両用温度調整装置。
【請求項12】
前記制御手段(13)は、前記熱容量要素(1)への冷熱の蓄積が必要と判定した場合の前記目標温度を、前記熱容量要素(1)への冷熱の蓄積が不要と判定した場合の前記目標温度よりも低く設定することを特徴とする請求項10または11に記載の車両用温度調整装置。
【請求項13】
前記車両に残っている熱を前記熱容量要素(1)に回収する熱回収手段(10、60)を備え、
前記断続手段(20、21、26、64)は、前記熱回収手段(10、60)による熱の回収を断続可能になっており、
前記制御手段(13)は、前記車両のイグニッションスイッチがオフされると前記熱回収手段(10、60)による熱の回収が開始されるように前記断続手段(20、21、26、64)を制御することを特徴とする請求項8ないし12のいずれか1つに記載の車両用温度調整装置。
【請求項14】
前記車両に残っている熱を前記熱容量要素(1)に回収する熱回収手段(10、60)を備え、
前記断続手段(20、21、26、64)は、前記熱回収手段(10、60)による熱の回収を断続可能になっており、
前記制御手段(13)は、走行中に前記車両に熱が余っているか否かを判定し、前記車両に熱が余っていると判定した場合、走行中であっても前記熱回収手段(10、60)による熱の回収が行われるように前記断続手段(20、21、26、64)を制御することを特徴とする請求項8ないし12のいずれか1つに記載の車両用温度調整装置。
【請求項15】
二次電池(1a)と冷却媒体との間で熱交換する電池用熱交換器(1b)と、
冷媒を循環させる空調装置用冷凍サイクル装置(11)を構成する凝縮器(33)から減圧器(37、44)に流れる前記冷媒を前記冷却媒体によって冷却させる冷媒冷却用熱交換器(16)と、
前記電池用熱交換器および前記冷媒冷却用熱交換器の間で冷却媒体を循環させるポンプ(12)と、
前記電池用熱交換器から出る冷却媒体を前記冷媒冷却用熱交換器を迂回して前記電池用熱交換器の入口側に導くための迂回通路(23)と、
前記迂回通路および前記冷媒冷却用熱交換器のうちいずれか一方と前記電池用熱交換器との間を開放し、前記迂回通路および前記冷媒冷却用熱交換器のうちいずれか一方以外の他方と前記電池用熱交換器と閉じる第1弁(26)と、
前記冷却媒体を冷却する冷却器(14)と、
前記二次電池が充電器(2)によって充電されるとき、前記冷却器によって前記冷却媒体を冷却させて、かつ前記迂回通路と前記電池用熱交換器との間を開けて前記電池用熱交換器、前記迂回通路、および前記ポンプによって前記冷却媒体が循環する閉回路を構成させるように前記第1弁を制御する第1の制御手段と、
前記冷却媒体の温度を取得する第1温度取得手段(S420)と、
前記凝縮器から前記減圧器に流れる冷媒の温度を取得する第2温度取得手段(S410)と、
前記第1温度取得手段により取得される温度が前記第2温度取得手段により取得さられた温度よりも低いか否かを判定する第1判定手段(S430)と、
前記第1の制御手段の実行後に前記第1温度取得手段により取得された温度が前記第2温度取得手段により取得された温度よりも低いと前記第1判定手段が判定したときに、前記電池用熱交換器と前記冷媒冷却用熱交換器との間を開けて前記電池用熱交換器、前記冷媒冷却用熱交換器、および前記ポンプによって前記冷却媒体が循環する閉回路を構成させるように前記第1弁を制御する第2の制御手段(S470、S480)と、を備えることを特徴とする車載用熱システム。
【請求項16】
前記第1温度取得手段により取得された温度が閾値よりも低いか否かを判定する第2判定手段(S440)を備え、
前記第1温度検出手段により求められた温度が前記閾値よりも低いと前記第2判定手段が判定したときには前記第2の制御手段が実行され、前記第1温度検出手段により求められた温度が前記閾値よりも高いと前記第2判定手段が判定したときには前記第2の制御手段が実行されないようになっていることを特徴とする請求項15に記載の車載用熱システム。
【請求項17】
前記冷却器(14)は、前記空調装置用冷凍サイクル装置を構成し、かつ前記減圧器から圧縮機に流れる冷媒により冷却媒体を冷却する蒸発器であることを特徴とする15または16に記載の車載用熱システム。
【請求項18】
前記冷媒冷却用熱交換器(16)の入口および出口の間で配置されて、前記冷却媒体を車室外空気により冷却するラジエータ(24)と、
前記ラジエータ、前記冷媒冷却用熱交換器(14)、および前記電池用熱交換器(1b)の間を開閉する第2弁(20、25)と、
前記車室外空気の温度を取得する第3温度取得手段(S400)と、
前記第3温度取得手段により取得される温度が前記第1温度取得手段により取得される温度に比べて低いか否かを判定する第3判定手段(S460)と、を備え、
前記第3温度取得手段により取得される温度が前記第1温度取得手段により取得される温度に比べて低いと前記第3判定手段が判定したときには、前記ラジエータ、前記冷媒冷却用熱交換器(14)、および前記電池用熱交換器(1b)の間を開けて前記電池用熱交換器、前記冷媒冷却用熱交換器、前記ラジエータ、および前記ポンプによって前記冷却媒体が循環する閉回路を構成させるように前記第2の制御手段(S470)が前記第1弁および前記第2弁を制御することを特徴とする請求項15ないし17のいずれか1つに記載の車載用熱システム。
【請求項19】
前記凝縮器(33)は、前記空調装置用冷凍サイクル装置を構成する圧縮機から吐出される冷媒を凝縮する熱交換器と、この熱交換器から出る液冷媒を過冷却する過冷却部とから構成されていることを特徴とする15ないし18のいずれか1つに記載の車載用熱システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate

【図29】
image rotate


【公開番号】特開2012−232730(P2012−232730A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−38731(P2012−38731)
【出願日】平成24年2月24日(2012.2.24)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】