説明

車両用灯具

【課題】 本発明は、簡単な構成により、法規的な配光特性の外側においても被視認性に優れ、斬新なデザインを可能にした発光素子から成る車両用灯具を提供することを目的とする。
【解決手段】 発光素子から成る光源11と、上記光源の前方に配置されたレンズ12と、を含んでいる、車両用灯具10であって、上記レンズ12が、上記光源の各発光素子に対応して、各発光素子の光軸と同軸に且つ当該発光素子から半値角以下の範囲内に配置された第一のレンズカット部14と、上記半値角を超えた領域に配置された第二のレンズカット部15と、を備えており、上記第一のレンズカット部が、対応する発光素子からの光を集束させると共に、上記第二のレンズカット部が、対応する発光素子からの光を拡散させるように、車両用灯具10を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光素子を光源とする車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
近年のLEDの発光効率の向上に伴って、光源としてLEDを使用した車両用灯具が、種々提案されている。
例えば図8に示すように、車両用灯具1は、LED2と、このLED2の前方に配置されたインナーレンズ3と、から構成されている。
【0003】
上記LED2は、例えば基板2a上に実装されており、その光軸Oが基板2aの表面に対して垂直に延びるように配置されている。
上記LED2は、図示しない駆動回路により駆動制御されて発光し、見かけ上点光源として作用するようになっている。
【0004】
上記レンズ3は、LED2からの光に作用して、例えば法規的な配光規格を満たすような配光パターンを形成するように構成されたレンズカット3aを備えている。
【0005】
このような構成の車両用灯具1によれば、上記LED2が駆動回路により駆動制御されて、発光する。LED2から出射した光が、光軸に沿って前方に進み、上記レンズ3を介して、光照射方向前方に向かって照射される。
その際、上記レンズ3のレンズカット3aの作用によって、LED2からの光は、所定の配光特性を付与されて、前方に向かって照射され、所定の配光パターンを形成するようになっている。
【0006】
一方、図9に示すような車両用灯具も知られている。
図9において、車両用灯具4は、横向き(図示の場合、上向き)に配置されたLED2と、このLED2の上方に配置されたリフレクタ5と、から構成されている。
この場合、LED2は、その中心軸が、照射すべき方向に延びる光軸Oに対して上向きに垂直に延びるように、配置されている。
【0007】
上記リフレクタ5は、その内面が反射面として構成されており、LED2からの光を前方(図面の場合、右方)に向かって反射するように、前方に向かって凹状に形成されている。
具体的には、上記リフレクタ5は、例えば光照射方向に延びる光軸Oを中心とする回転放物面等の放物面系反射面として構成されており、その焦点位置がLED2の発光中心付近に位置するように配置されている。
【0008】
このような構成の車両用灯具4によれば、上記LED2が駆動回路により駆動制御されて、発光する。このLED2から出射した光が、上方に向かって進み、上記リフレクタ5により反射されて、ほぼ平行光となって、光照射方向前方に向かって照射される。
【0009】
また、図10に示すような車両用灯具も知られている。
図10において、車両用灯具6は、LED2のみにより構成されている。
上記LED2は、その光軸が基板2aの表面に対して垂直に延びるように配置されている。
尚、この場合、上記LED2から側方に出射した光が眩惑光とならないように、フード7により遮断されるようになっている。
【0010】
このような構成の車両用灯具6によれば、上記LED2が駆動回路により駆動制御されて、発光する。このLED2から出射した光が、そのまま光照射方向前方に向かって照射される。
この場合、LED2自体の指向特性のみによって、所定の法規的な配光規格を制御するようになっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところで、このような構成の車両用灯具1,4,6においては、種々の不具合がある。
即ち、車両用灯具1,4においては、LED2からの出射光により法規的な配光(広がり)を満足させるために、レンズ3のレンズカット3aの光学的作用を利用して、あるいはリフレクタ5の反射面形状に基づいて、LED2からの出射光を制御するようになっている。
【0012】
このため、法規的な配光の外側から車両用灯具1のレンズ3を観察した場合、LED2からの出射光の出射量が少ない。これにより、車両用灯具1そして自動車の例えば側方などからの視認性があまり良くない。
【0013】
また、車両用灯具6においては、LED2の配光特性をそのまま車両用灯具の配光パターンとしていることから、法規的な配光を満足させるような配光特性を備えたLED2を選定することが困難であり、所定の配光パターン内における輝度を確保することも困難である。
【0014】
さらに、車両用灯具1において、レンズ3は、法規的な配光を満足させるためのレンズカット3aを備えていることから、車両用灯具のデザインの観点からは見栄えがあまり良くなく、平凡で陳腐なデザインになってしまう。
【0015】
また、このような問題は、発光素子としてLED2を使用した場合だけでなく、他の種類の発光素子を使用している場合についても、同様に発生する。
【0016】
本発明は、以上の点から、簡単な構成により、法規的な配光特性の外側においても被視認性に優れ、斬新なデザインを可能にした発光素子から成る車両用灯具を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的は、本発明によれば、少なくとも一つの発光素子から成る光源と、上記光源の前方に配置されたレンズと、を含んでいる、車両用灯具であって、上記レンズが、上記光源の各発光素子に対応して、各発光素子の光軸と同軸に且つ当該発光素子から半値角以下の範囲内に配置された第一のレンズカット部と、上記半値角を超えた領域に配置された第二のレンズカット部と、を備えており、上記第一のレンズカット部が、対応する発光素子からの光を集束させると共に、上記第二のレンズカット部が、対応する発光素子からの光を拡散させることを特徴とする、車両用灯具により、達成される。
【0018】
本発明による車両用灯具は、好ましくは、上記第一のレンズカット部が、対応する発光素子からの光を集束させて、所定の配光パターンを形成する。
【0019】
本発明による車両用灯具は、好ましくは、上記第二のレンズカット部が、レンズの入射面と出射面で互いに位相がずれた多数の微小形状を有している。
【0020】
本発明による車両用灯具は、好ましくは、上記光源とレンズとの間に、リフレクタが配置されており、上記光源の各発光素子から出射した光が、それぞれ上記リフレクタで反射して、レンズに向かって進む。
【発明の効果】
【0021】
上記構成によれば、上記光源の各発光素子から出射した光のうち、半値角以下の出射角で出射する光は、上記レンズのそれぞれ対応する第一のレンズカット部に入射し、この第一のレンズカット部により屈折して、光照射方向前方に向かって照射される。
【0022】
その際、第一のレンズカット部の光学的作用に基づいて、この光は、集束することになる。この第一のレンズカット部によって所定の配光パターンを形成し、例えば法規的な配光規格を満たすような配光パターンを形成することになる。
従って、第一のレンズカット部によって自動車に搭載された当該車両用灯具が、所定の機能を果たすことになる。
【0023】
一方、各発光素子から半値角を超えた出射角で出射する光は、上記レンズの第二のレンズカット部に入射し、この第二のレンズカット部により例えば乱屈折する。このため、第二のレンズカット部によって光軸に対して広い角度範囲に広がる配光パターンが形成されることになる。
【0024】
これにより、前述した第一のレンズカット部による配光パターンの外側にも、第二のレンズカット部により光が照射される。この第二のレンズカット部により当該車両用灯具を外部から観察した場合に、広い角度範囲から当該車両用灯具を視認することができる。
【0025】
従って、第二のレンズカット部によって点灯時に、当該車両用灯具そして自動車自体の被視認性が向上し、安全性がより一層高められる。また、第二のレンズカット部による拡散光によって、独創性のある新規なデザインが可能となり、斬新な見栄えが実現され得る。このため、第二のレンズカット部によれば点灯時のフィーリングが高められることになる。
【0026】
上記第二のレンズカット部が、レンズの入射面と出射面で互いに位相がずれた多数の微小形状を有している場合には、各発光素子から第二のレンズカット部に入射した光が、これらの微小形状により乱屈折し、拡散されることになる。
さらに、外部から観察者が移動しながら第二のレンズカット部を観察したとき、観察方向の変化に対応して、第二のレンズカット部からの光が動いているように観察され得る。これにより、より一層斬新な見栄えが得られることになる。
【0027】
上記光源とレンズとの間に、リフレクタが配置されており、上記光源の各発光素子から出射した光が、それぞれ上記リフレクタで反射して、レンズに向かって進む場合には、各発光素子の光軸が上記リフレクタにより折曲げられることになる。この上記リフレクタの光学作用により、各発光素子からの光が集束・拡散され得ることと相まって、車両用灯具のデザインの自由度が大きくなる。
【0028】
このようにして、光源の各発光素子から出射する光を、半値角以下の角度で出射する光と、半値角を超える角度で出射する光とに分ける。そして半値角以下の比較的強い光を集束させて、所定の配光パターンを形成する。また半値角を超える比較的弱い光を拡散させて、広い角度範囲に亘って照射する。
従って、所定の配光パターンにより、法規的な配光規格が満足され得る。また、所定の配光パターンの外側にも光を拡散して照射することによって、車両用灯具そして自動車の被視認性が向上し、さらに斬新な見栄えの外観を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、この発明の好適な実施形態を図1から図7を参照しながら、詳細に説明する。
尚、以下に述べる実施形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0030】
[実施例1]
図1は、本発明を適用した車両用灯具の第一の実施形態の構成を示している。 図1において、車両用灯具10は、少なくとも一つのLEDから成る光源11と、この光源11の前方に配置されたレンズ12と、ハウジング13と、から構成されている。
【0031】
上記光源11は、少なくとも一つ(図示の場合、一つ)のLED11aから構成されている。
ここで、各LED11aは、基板11b上に、その中心軸が基板11bの表面に対してほぼ垂直になるように、実装されている。
各LED11aは、上記基板上に構成され、あるいは外部に接続された駆動回路により駆動制御され、発光するようになっている。
【0032】
上記レンズ12は、透光性材料、例えば樹脂材料から構成されており、上記光源11の各LED11aの中心軸(光軸)に対して垂直に配置されている。
さらに、上記レンズ12は、図2に示すように、各LED11aの中心軸(光軸)付近に位置する第一のレンズカット部14と、この第一のレンズカット部14の上側及び下側に設けられた第二のレンズカット部15と、を備えている。
【0033】
上記第一のレンズカット部14は、図1に示すように、対応するLED11aの光軸に対して、このLED11aの発光特性の半値角θの範囲内に設けられている。
この第一のレンズカット部14は、対応するLED11aからの比較的強い光を集束させて、光照射方向前方(図面にて右方)に向かって照射し、所定の配光パターン、例えば法規的な配光規格を満足するような配光パターンを形成するようになっている。
【0034】
これに対して、上記第二のレンズカット部15は、図1に示すように、対応するLED11aの光軸に対して、このLED11aの発光特性の半値角θを超える領域内に設けられている。
この第二のレンズカット部15は、対応するLED11aからの比較的弱い光を拡散させて、光照射方向前方に向かって照射し、広い角度範囲の配光パターンを形成するようになっている。
【0035】
この第二のレンズカット部15は、具体的には、図3に示すように、表面及び裏面にそれぞれ形成された多数の横方向に並んだ凸状(かまぼこ形状)の微小形状15aから構成されている。
ここで、各微小形状15aは、図4に示すように、それぞれピッチpの間隔で規則的に並んでいる。
上記第二のレンズカット部15の表面の微小形状15aは、裏面の微小形状15aに対して、図4に示すように、例えば上記ピッチpの半分だけ、位相がずれて、逆位相となるように配置されている。
【0036】
また、前述した第一のレンズカット部14は、例えば図5に示すように、対応するLED11aの光軸に関して、上側と下側に分割された集光レンズ部14a,14bとして構成されている。
ここで、これらの上側及び下側の集光レンズ部14a,14bは、それぞれ横長に形成されており、対応するLED11aからの光を光軸に沿って中心付近に横長に集束する凸レンズとして形成されている。
【0037】
上記ハウジング13は、上述した光源11及びレンズ12を覆い、レンズ12から前方に向かって照射される光を透過させるように、前方が開放した箱状に構成されており、この開放した前端が透光性カバー13aにより覆われている。
【0038】
本発明実施形態による車両用灯具10は、以上のように構成されており、光源11の各LED11aが図示しない駆動回路により駆動制御され発光する。
上記光源11の各LED11aから出射した光は、それぞれ上記レンズ12を透過して、光照射方向前方に向かって照射される。
【0039】
その際、LED11aから出射した光の内、発光特性の半値角θ以下の出射角の光L1は、上記レンズ12の第一のレンズカット部14に入射し、この第一のレンズカット部14の光学作用に基づいて、光軸に沿って中心付近に向かって集束される。
これにより、上記光L1は、前方に向かって所定の横長の配光特性で照射される。従って、上記光L1により所定の配光パターン(主配光)が形成されることにより、例えば法規的な配光規格が満たされるようになっている。
【0040】
一方、LED11aから半値角θを超える出射角で出射した光L2は、上記レンズ12の第二のレンズカット部15に入射し、この第二のレンズカット部15の光学作用に基づいて、図6に示すように、乱屈折することにより、左右方向に拡散する。
これにより、上記光L2は、前方に向かって左右に拡散する広い角度範囲の配光特性で照射される。従って、上記光L2により広い配光パターン(補助配光)が形成される。
【0041】
従って、上記光L1による所定の配光パターン(主配光)の外側であっても、上記光L2による補助配光が観察され得ることになる。このため、前記主配光の周囲の被視認性が向上するようになっている。
【0042】
この場合、前述したように、レンズ12の第二のレンズカット部15に関して、表面の微小形状15aと裏面の微小形状15aの位相が互いにずれていることにより、通過する光L2がより確実に拡散され得る。また、出射方向によって、輝度が異なり、当該車両用灯具10を観察者が横方向に移動しながら観察すると、見る角度によって、輝度変化により光が動いているように観察され得る。
これにより、当該車両用灯具10の被視認性がより一層向上することになる。
【0043】
このようにして、本発明実施形態による車両用灯具10によれば、光源11の各LED11aに対応して、集光特性を備えた第一のレンズカット部14だけでなく、拡散特性を備えた第二のレンズカット部15を設けた。このため、第一のレンズカット部14による配光パターンの外側においても、第二のレンズカット部15による配光パターンが形成される。これにより、外部から視認され得ることになり、当該車両用灯具10の被視認性が向上する。また、第二のレンズカット部15の形状等により、独創性のある新規なデザインが可能になり、斬新な見栄えの外観を呈することが可能になる。
【0044】
[実施例2]
図7は、本発明による車両用灯具の第二の実施形態の構成を示している。
図7において、車両用灯具20は、少なくとも一つのLEDから成る光源21と、この光源21を上方から包囲するように配置されたリフレクタ22と、このリフレクタ22の前方に配置されたレンズ23と、ハウジング24と、から構成されている。
【0045】
上記光源21は、図1に示した車両用灯具10における光源11と同様に、少なくとも一つ(図示の場合、一つ)のLED21aから構成されており、各LED21aは、基板21b上に、その中心軸が基板21bの表面に対してほぼ垂直になるように、実装されている。
ここで、上記光源21は、その基板21bが水平に、即ち個々のLED21aの光軸が上方に向かって延びるように配置されている点でのみ、図1の車両用灯具10における光源11とは異なる構成になっている。
【0046】
上記リフレクタ22は、その内面が反射面として構成されており、LED11aからの光を前方(図面の場合、右方)に向かって反射して光路を折曲げるように、前方に向かって凹状に形成されている。
具体的には、上記リフレクタ22の内面は、例えば光照射方向前方に延びる光軸Oを中心とする回転放物面等の放物面系反射面として構成されており、その焦点位置がLED11aの発光中心付近に位置するように配置されている。
これにより、各LED11aから出射した光は、このリフレクタ22の内面で反射して、ほぼ平行光となって、光照射方向前方に向かって進むことになる。
【0047】
上記レンズ23は、透光性材料、例えば樹脂材料から構成されており、上記光源21の各LED21aの中心軸(光軸)に対して垂直に配置されている。
さらに、上記レンズ23は、図1の車両用灯具10におけるレンズ12と同様に、各LED21aの中心軸(光軸)付近に位置する第一のレンズカット部25と、この第一のレンズカット部25の上側及び下側に設けられた第二のレンズカット部26と、を備えている。
【0048】
上記第一のレンズカット部25は、図1の車両用灯具10におけるレンズ12の第一のレンズカット部14と同様に構成されており、対応するLED21aの光軸に対して、このLED21aの発光特性の半値角θのリフレクタ22で反射した範囲内に設けられている。
【0049】
この第一のレンズカット部25は、対応するLED21aからの比較的強い光を集束させて、光照射方向前方(図面にて右方)に向かって照射する。第一レンズカット部25により所定の配光パターン、例えば法規的な配光規格を満足するような配光パターンを形成するようになっている。
【0050】
一方、上記第二のレンズカット部26は、図1の車両用灯具10におけるレンズ12の第二のレンズカット部15と同様に構成されている。すなわち、対応するLED11aの光軸に対して、このLED21aの発光特性の半値角θのリフレクタ22で反射した範囲の外側に設けられている。
この第二のレンズカット部26は、対応するLED21aからの比較的弱い光を拡散させて、光照射方向前方に向かって照射する。これにより、車両用灯具は、広い角度範囲の配光パターンを形成するようになっている。
【0051】
このような構成の車両用灯具20によれば、図1に示した車両用灯具10と同様に作用する。すなわち、上記光源21の各LED21aから出射した光は、それぞれ上記リフレクタ22で反射してほぼ平行光となって上記レンズ23を透過し、光照射方向前方に向かって照射される。
【0052】
その際、LED21aから出射した光のうち、発光特性の半値角θ以下の出射角の光L1は、上記リフレクタ22で反射した後、上記レンズ23の第一のレンズカット部25に入射する。この光L1は、第一のレンズカット部25の光学作用に基づいて、光軸に沿って中心付近に向かって集束される。
これにより、上記光L1は、前方に向かって所定の配光特性で照射される。従って、上記光L1により所定の配光パターン(主配光)が形成されることにより、例えば法規的な配光規格が満たされるようになっている。
【0053】
一方、LED21aから半値角θを超える出射角で出射した光L2は、上記リフレクタ22で反射した後、上記レンズ23の第二のレンズカット部26に入射する。光L2は、この第二のレンズカット部26の光学作用に基づいて乱屈折することにより、左右方向に拡散する。
これにより、上記光L2は、前方に向かって左右に拡散する広い角度範囲の配光特性で照射される。従って、上記光L2により広い配光パターン(補助配光)が形成される。
【0054】
従って、上記光L1による所定の配光パターン(主配光)の外側であっても、上記光L2による補助配光が観察され得ることになり、前記主配光の周囲の被視認性が向上するようになっている。
【産業上の利用可能性】
【0055】
上述した実施形態においては、光源11,21を構成する発光素子として一つのLEDが図示されているが、これに限らず、二つ以上のLEDが備えられていてもよい。この場合、各LED11a,21aに対して、上記レンズ12,23は、それぞれ第一のレンズカット部14,25及び第二のレンズカット部15,26を備えることになる。
【0056】
また、上述した実施形態においては、光源11,21を構成する発光素子としてLEDが使用されているが、これに限らず、例えばレーザー素子等の他の種類の発光素子を使用した光源を備えていてもよい。
【0057】
さらに、上述した実施形態においては、車両用灯具10は、単に車両用灯具として説明したが、これに限らず、車両用灯具としては、例えばヘッドランプ等の車両前照灯やフォグランプ等の補助前照灯等を含む種々の車両用灯具や、その他一般の照明灯のための灯具にも本発明を適用し得ることは明らかである。
【0058】
このようにして、本発明によれば、簡単な構成により、法規的な配光特性の外側においても被視認性に優れ、斬新なデザインを可能にした発光素子から成る車両用灯具が提供されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明による車両用灯具の第一の実施形態の構成を示す概略断面図である。
【図2】図1の車両用灯具におけるレンズの(A)裏側及び(B)表側から見た概略斜視図である。
【図3】図1の車両用灯具におけるレンズの構成を示す(A)正面図及び(B)横断面図である。
【図4】図3のレンズにおける表側と裏側の微小形状の位相ずれを示す説明図である。
【図5】図3のレンズにおける第一のレンズカット部を示す拡大斜視図である。
【図6】図1の車両用灯具の点灯時における第二のレンズカット部の光の乱屈折を示す部分拡大断面図である。
【図7】本発明による車両用灯具の第二の実施形態の構成を示す概略断面図である。
【図8】従来のLEDを使用した車両用灯具の一例の構成を示す概略断面図である。
【図9】従来のLEDを使用した車両用灯具の他の例の構成を示す概略断面図である。
【図10】従来のLEDを使用した車両用灯具のさらに他の例の構成を示す概略断面図である。
【符号の説明】
【0060】
10 車両用灯具
11,21 光源
11a,21a LED(発光素子)
12,23 レンズ
13,24 ハウジング
14,25 第一のレンズカット部(集光特性)
15,26 第二のレンズカット部(拡散特性)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つの発光素子から成る光源と、上記光源の前方に配置されたレンズと、を含んでいる、車両用灯具であって、
上記レンズが、上記光源の各発光素子に対応して、各発光素子の光軸と同軸に且つ当該発光素子からの発光量が半値角以下の範囲内に配置された第一のレンズカット部と、上記半値角を超えた領域に配置された第二のレンズカット部と、を備えており、
上記第一のレンズカット部が、対応する半値角の範囲内の発光素子からの光を集束させると共に、
上記第二のレンズカット部が、対応する半値角の範囲内の発光素子からの光を拡散させる
ことを特徴とする、車両用灯具。
【請求項2】
上記第一のレンズカット部が、対応する発光素子からの光を集束させて、所定の配光パターンを形成することを特徴とする、請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
上記第二のレンズカット部が、レンズの入射面と出射面で互いに位相がずれた多数の微小形状を有していることを特徴とする、請求項1または2に記載の車両用灯具。
【請求項4】
上記光源とレンズとの光路の間に、リフレクタが配置されており、
上記光源の各発光素子から出射した光が、それぞれ上記リフレクタで反射して、レンズに向かって進むことを特徴とする、請求項1から3の何れかに記載の車両用灯具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−177060(P2008−177060A)
【公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−9579(P2007−9579)
【出願日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【出願人】(000002303)スタンレー電気株式会社 (2,684)
【Fターム(参考)】