説明

車両用表示装置

【課題】所定の切替順序で複数の映像を切り替えて表示することと、この所定の切替順序とは無関係に複数の映像の内から所定の映像を1回の切替操作で選択して表示することの両立が可能な車両用表示装置を提供する。
【解決手段】車両用表示装置1は、自車両の周辺監視用の複数の映像を切り替えて表示可能な表示手段2と、複数の映像を所定の順序で切り替えるための映像切替手段7と、複数の映像から所定の映像を選択するための映像選択手段71と、映像切替手段7による切替操作の繰り返しに基づいて複数の映像を所定の順序で切り替えて表示手段2に表示させると共に、映像選択手段71による1回の切替操作に基づいて所定の映像を表示手段2に表示させる制御手段3と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自車両の周辺監視用の複数の映像を切り替えて表示可能な車両用表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、自車両の周辺監視用の複数の映像を切り替えて表示する車両用表示装置では、切替スイッチによる切替操作の繰り返しによって複数の映像を順次切り替えて液晶パネルに表示させている。見たい映像の順序は、運転者の好みや運転状況によって変わるものであるが、一般には、多くの運転者の好みや多くの運転状況に合うように、映像の切替順序が予め定められている。
【0003】
さらには、映像の切替順序を運転者の好みによって任意に設定できる設定手段を設けた車両用表示装置が開示されている(特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−170288号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、発進時及び駐車時の事故防止を目的に、右ハンドルの自動車の場合に自動車の直前及び左側方(直左)の視界を確保することが求められ、例えば、ボンネットなどが高くて直前や直左がよく見えないデザインのクルマには直前直左鏡を設けなければならないことが、法規定されている。このため、自車両の周辺監視用の複数の映像を切り替えて表示する車両用表示装置では、発進時及び駐車時に、速やかに、直前監視用の映像や、直左監視用の映像に切り替えることが求められる。
【0006】
特許文献1で開示されている車両用表示装置では、直前監視用の映像や直左監視用の映像を、切替順序の最初と2番目となるように設定手段で設定することによって、このような求めに対して対応することができる。しかし、速やかに直前監視用の映像や直左監視用の映像に切り替えることが求められるのは、発進時及び駐車時である。このため、上述したように対応を行なうと、発進時及び駐車時以外の場合では、かえって、見たい映像を選択するために、切替操作を何回も繰り返す必要が生じてしまう。
【0007】
このような問題を解消するには、所定の切替順序で複数の映像を切り替えて表示することと、この所定の切替順序とは無関係に複数の映像の内から所定の映像を1回の切替操作で選択して表示することを両立させることが必要である。
【0008】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、所定の切替順序で複数の映像を切り替えて表示することと、この所定の切替順序とは無関係に複数の映像の内から所定の映像を1回の切替操作で選択して表示することの両立が可能な車両用表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は上記目的を達成するため、以下の技術的手段を採用する。
【0010】
請求項1に記載の発明によれば、自車両の周辺監視用の複数の映像を切り替えて表示可能な表示手段と、複数の映像を所定の順序で切り替えるための映像切替手段と、複数の映像から所定の映像を選択するための映像選択手段と、映像切替手段による切替操作の繰り返しに基づいて複数の映像を所定の順序で切り替えて表示手段に表示させると共に、映像選択手段による1回の切替操作に基づいて所定の映像を表示手段に表示させる制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0011】
この構成によれば、複数の映像を所定の順序で切り替えるための映像切替手段に加えて、複数の映像から所定の映像を選択するための映像選択手段を設けている。このため、映像切替手段による切替操作の繰り返しに基づいて複数の映像を所定の順序で切り替えて表示手段に表示させることに加えて、映像選択手段による1回の切替操作に基づいて所定の映像を表示手段に表示させることができる。したがって、所定の切替順序で複数の映像を切り替えて表示することと、この所定の切替順序とは無関係に複数の映像の内から所定の映像を1回の切替操作で選択して表示することの両立が可能となる。
【0012】
請求項2に記載の発明によれば、所定の映像は、自車両の直前監視用の第1の映像と、自車両が右ハンドル車である場合に自車両の直左監視用の第2の映像の一方であることを特徴とする。
【0013】
したがって、この構成によれば、所定の切替順序で複数の映像を切り替えて表示することと、この所定の切替順序とは無関係に複数の映像の内から、自車両の直前監視用の映像と自車両の直左監視用の映像の一方を1回の切替操作で選択して表示することの両立が可能となる。
【0014】
請求項3に記載の発明によれば、所定の映像は、自車両の直前監視用の第1の映像と、自車両が左ハンドル車である場合に自車両の直右監視用の第2の映像の一方であることを特徴とする。
【0015】
したがって、この構成によれば、所定の切替順序で複数の映像を切り替えて表示することと、この所定の切替順序とは無関係に複数の映像の内から、自車両の直前監視用の映像と自車両の直右監視用の映像の一方を1回の切替操作で選択して表示することの両立が可能となる。
【0016】
請求項4に記載の発明によれば、制御手段は、映像切替手段による1回の切替操作と映像選択手段による2回目の切替操作のいずれか一方の操作に基づいて、第1の映像と第2の映像の一方から切り替えて第1の映像と第2の映像の他方を表示手段に表示させることを特徴とする。
【0017】
この構成によれば、映像切替手段による1回の切替操作と映像選択手段による2回目の切替操作のいずれか一方の操作に基づいて、第1の映像と第2の映像の一方から切り替えて第1の映像と第2の映像の他方を表示手段に表示させる。したがって、所定の切替順序で複数の映像を切り替えて表示することと、この所定の切替順序とは無関係に複数の映像の内から、自車両の直前監視用の映像と自車両の直右監視用の映像の一方を1回の切替操作で選択して表示し、かつ、その他方を次の切替操作で切り替えて表示することの両立が可能となる。
【0018】
請求項5に記載の発明によれば、映像切替手段と映像選択手段を、スイッチ手段として共用し、映像切替手段による切替操作をスイッチ手段による第1押圧操作とし、映像選択手段による1回の切替操作を、第1押圧操作の押圧時間よりも長い時間スイッチ手段を押圧する第2押圧操作とすることを特徴とする。
【0019】
したがって、この構成によれば、映像切替手段に加えて映像選択手段を設けることを、新たにスイッチ手段を追加しないで実現できる。
【0020】
請求項6に記載の発明によれば、映像から切り替えると共に、自車両に関連する情報を示す複数の情報画像を切り替える情報切替手段を備え、制御手段は、情報切替手段による切替操作に基づいて、映像から切り替えると共に、複数の情報画像を順次切り替えて表示手段に表示させることを特徴とする。
【0021】
この構成によれば、映像から切り替えると共に、自車両に関連する情報を示す複数の情報画像を切り替える情報切替手段を設けている。このため、上述の効果に加えて、複数の情報画像を順次切り替えて表示できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態による車両用表示装置の回路構成図である。
【図2】図1に示す液晶パネルの表示例を示す正面図である。
【図3】図1に示す第1スイッチによる情報画像の切替を説明するフロ−チャートである。
【図4】図1に示すカメラの配置を示す模式的平面図である。
【図5】図1に示す第2スイッチと第3スイッチによるカメラ映像の切替を説明するフロ−チャートである。
【図6】図1に示すMPUの作動を説明するフロ−チャートである。
【図7】図6に示す第1サブルーチンのフロ−チャートである。
【図8】図6に示す第2サブルーチンのフロ−チャートである。
【図9】図6に示す第3サブルーチンのフロ−チャートである。
【図10】図1の変形例を示す回路構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態を、図面に基づいて説明する。なお、図中の互いに同一若しくは均等である部分には、同一符号を付している。
【0024】
(構成)
図1に示す車両用表示装置1は、液晶パネル(パネル)2、第1スイッチ(第1SW)5、第2スイッチ(第2SW)7、MPU(マイクロプロセッサユニット)3、描画IC4、および、映像ECU6を備える。
【0025】
液晶パネル2は、自車両に関連する情報を示す複数の情報画像、および、自車両の周辺監視用の複数の映像を切り替えて表示可能なものである。液晶パネル2は、マトリックス状に配列した複数の画素と、薄膜トランジスタ(TFT)とを備え、TFTによって駆動されるタイプのアクティブマトリックス方式の液晶パネルである。また、各画素は、赤色画素と緑色画素と青色画素を内蔵し、TFTのゲートに電圧を印加することによって各画素において赤色画素と緑色画素と青色画素に印加する電圧を制御し、これにより、各画素において赤色画素と緑色画素と青色画素の各光透過率を制御する。
【0026】
白色光を発する発光ダイオードが、液晶パネル2の背後に配置されて液晶パネル2を透過照明する。赤色画素と緑色画素と青色画素の各光透過率が制御されている各画素を発光ダイオードが透過照明することによって、液晶パネル2にフルカラー表示をさせ、これにより、後述する情報画像や映像を液晶パネル2に表示させる。
【0027】
エンジンECUやナビゲーションECU等の外部ECU13とMPU3と映像ECU6は、車載LAN12を介して多重通信が可能に構成されている。自車両に関連する情報には、航続可能距離や、平均燃費や、ルート案内情報等があり、情報画像を液晶パネル2に表示させる際に、MPU3は、液晶パネル2に表示させる情報画像に必要な情報を、車載LAN12を介して外部ECU13から受け取る。MPU3は、受け取った情報に基づいて液晶パネル2に情報画像を表示させる命令コマンドを、描画IC4に送信する。描画IC4は、このコマンドに従って情報画像の描画信号を生成し、この描画信号に基づいてTFTのゲート電圧を制御して、例えば、図2に示す第1情報画像を液晶パネル2に表示させる。
【0028】
第1スイッチ5は、押圧(プッシュ)式のスイッチであり、1プッシュする毎に、スイッチ信号を発するように構成され、複数の情報画像を切り替えるためのスイッチである。第1スイッチ5は、MPU3に電気的に接続されている。MPU3は、第1スイッチ5からのスイッチ信号を受ける毎に、図3に示すように、第1情報画像から第5情報画像までこの順序で順次切り替えて液晶パネル2に表示させるように構成されている。第1スイッチ5から6回目のスイッチ信号を受けると、第5情報画像から第1情報画像に戻るように構成されている。
【0029】
例えば、図2に示す第1情報画像を表示する際には、MPU3は、第1情報画像に必要な時間、外気温、航続可能距離、平均燃費、及び瞬間燃費の各情報を、車載LAN12を介して外部ECU13から受け取って、第1情報画像を液晶パネル2に表示させる。MPU3は、第1スイッチ5から2回目のスイッチ信号を受けると、第1情報画像から第2情報画像に切り替えるため、第2情報画像に必要な情報を外部ECU13から受け取って、第2情報画像を液晶パネル2に表示させる。
【0030】
一方、自車両20の周辺監視用の複数の映像には、図4において、カメラ21が撮影している左側後方の第1映像、カメラ22が撮影している右側後方の第2映像、カメラ23が撮影している後方側の左端部の第3映像、カメラ24が撮影している後方側の右端部の第4映像、カメラ25が撮影している直前監視領域A1の第5映像、カメラ26が撮影している直左監視領域A2の第6映像、および、カメラ27が撮影している後方の第7映像がある。なお、自車両20は、ステアリング30が右側に設けられている右ハンドル車である。
【0031】
直前監視領域A1の第5映像、つまり、直前監視用の第5映像が、発進時及び駐車時に速やかに表示することが求められる映像であり、直左監視領域A2の第6映像、つまり、直左監視用の第6映像が、右ハンドル車において発進時及び駐車時に速やかに表示することが求められる映像である。
【0032】
カメラ21,26は、左サイドミラー28に取り付けられ、カメラ22は、右サイドミラー29に取り付けられている。カメラ23は、自車両20の後方側左端部に取り付けられ、カメラ24は、自車両20の後方側右端部に取り付けられている。カメラ25は、自車両20のフロント部分に取り付けられ、カメラ27は、自車両20の後方側中央部に取り付けられている。
【0033】
第2スイッチ7は、押圧(プッシュ)式のスイッチであり、1プッシュする毎に、スイッチ信号を発するように構成され、映像ECU6に電気的に接続されている。第2スイッチ7は、複数の映像(第1映像乃至第6映像)を切り替えるためのスイッチである。第2スイッチ7は、情報画像(第1情報画像乃至第5情報画像のいずれか)から第1映像に切り替えるスイッチでもある。反対に、第1スイッチ5は、映像(第1映像ないし第6映像のいずれか)から第1情報画像に切り替えるスイッチでもある。
【0034】
カメラ21〜27は、映像ECU6に電気的に接続され、映像ECU6は、第2スイッチ7からのスイッチ信号を受ける毎に、カメラ21〜26までこの順序で順次カメラ21〜26の作動を切り替え、且つ、図5に示す矢印C1に従って、第1映像の第1映像信号から第6映像の第6映像信号までこの順序で順次切り替えて入力するように構成されている。第2スイッチ7から7回目のスイッチ信号を受けると、カメラ26からカメラ21へ作動を切り替えて、カメラ26の作動を停止すると共にカメラ21を作動させる。これにより、映像ECU6は、第2スイッチ7から7回目のスイッチ信号を受けると、第6映像信号から第1映像信号に戻して第1映像信号を入力する。
【0035】
映像ECU6は、映像線11を通して描画IC4に第1映像信号乃至第6映像信号を送信可能に構成され、かつ、第2スイッチ7により複数の映像(第1映像乃至第6映像)のいずれの映像に切り替えられているかを示す映像切替信号(例えば、第2スイッチ7による3回目のスイッチ信号は、第3映像に切り替えられていることを示す)を、車載LAN12を介してMPU3へ送信可能に構成されている。MPU3は、受け取った映像切替信号に基づいて液晶パネル2に映像を表示させる命令コマンドを、描画IC4に送信する。描画IC4は、このコマンドに従って、映像ECU6から受け取った映像信号(第1映像信号乃至第6映像信号のいずれか)に基づいてTFTのゲート電圧を制御して、例えば、第1映像を液晶パネル2に表示させる。
【0036】
なお、自車両2のギアをギアバックにチェンジした場合には、カメラ27の第7映像へ切り替えるように構成されている。具体的には、ギアバックにチェンジすると、ギアバック信号が、車載LAN12を介して外部ECU13から、映像ECU6とMPU3へ送信される。映像ECU6は、ギアバック信号に基づいて、カメラ27を作動させて、カメラ27の第7映像の第7映像信号を入力し、映像線11を通して描画IC4に第7映像信号を送信する。MPU3は、受け取ったギアバック信号に基づいて液晶パネル2に第7映像を表示させる命令コマンドを、描画IC4に送信する。描画IC4は、このコマンドに従って、映像ECU6から受け取った第7映像信号に基づいてTFTのゲート電圧を制御して、第7映像を液晶パネル2に表示させる。
【0037】
以上、車両用表示装置1の基本的構成について説明した。以下、車両用表示装置1の特徴的構成について説明する。
【0038】
(特徴的構成)
車両用表示装置1は、上述の構成に加えて、第3スイッチ(第3SW)71を備えている。
【0039】
第3スイッチ71も、押圧(プッシュ)式のスイッチであり、1プッシュする毎に、スイッチ信号を発するように構成され、映像ECU6に電気的に接続されている。第3スイッチ71は、複数の映像(第1映像乃至第7映像)から第5映像または第6映像を選択するためのスイッチであり、第1情報画像乃至第5情報画像のいずれかが液晶パネル2に表示されている場合に、第1情報画像乃至第5情報画像のいずれかから第5映像に切り替えるスイッチでもある。
【0040】
映像ECU6は、第3スイッチ71からのスイッチ信号を受ける毎に、図5に示す矢印C2に従って、第5映像の第5映像信号と第6映像の第6映像信号の間で切り替えて入力するように構成されている。第3スイッチ71から2回目のスイッチ信号を受けると、カメラ26からカメラ25へ作動を切り替えて、カメラ26の作動を停止すると共にカメラ25を作動させる。これにより、映像ECU6は、第3スイッチ71から2回目のスイッチ信号を受けると、第6映像の第6映像信号から第5映像の第5映像信号に戻して第5映像の第5映像信号を入力する。
【0041】
映像ECU6は第3スイッチ71により第5映像と第6映像のどちらの映像に切り替えられているかを示す映像選択信号(例えば、第3スイッチ71による1回目のスイッチ信号は、第5映像に切り替えられていることを示す)を、車載LAN12を介してMPU3へ送信可能に構成されている。MPU3は、受け取った映像選択信号に基づいて液晶パネル2に映像を表示させる命令コマンドを、描画IC4に送信する。描画IC4は、このコマンドに従って、映像ECU6から受け取った映像信号(第5映像信号と第6映像信号のどちらか)に基づいてTFTのゲート電圧を制御して、例えば、第5映像を液晶パネル2に表示させる。
【0042】
このように、第3スイッチ71は、第5映像以外の第1映像乃至第4映像,第6映像,第7映像および第1情報画像乃至第5情報画像のいずれかが液晶パネル2に表示されている場合でも、第3スイッチ71を1プッシュ(1回押圧)するだけで、液晶パネル2の表示を第5映像に切り替えるためのスイッチであり、第3スイッチ71を2プッシュ(2回押圧)するだけで、液晶パネル2の表示を第6映像に切り替えるためのスイッチである。
【0043】
液晶パネル2は、請求項に記載の表示手段に相当し、MPU3は、請求項に記載の制御手段に相当する。第1スイッチ5は、請求項に記載の情報切替手段に相当し、第2スイッチ7は、請求項に記載の映像切替手段に相当し、第3スイッチ71は、請求項に記載の映像選択手段に相当する。第5映像は、請求項に記載の第1の映像に相当し、第6映像は、請求項に記載の第2の映像に相当する。
【0044】
次に、以上のように構成された車両用表示装置1において、MPU3が実行する制御フローを、図6〜9に基づいて説明する。
【0045】
図示しないイグニッションスイッチがオンされて制御フローがスタートし、図6において、ステップS10で第1スイッチ(第1SW)5が押圧されたか否かを判定する。
【0046】
ステップS10が「YES」の場合、即ち、第1スイッチ5が押圧されたと判定された場合は、第1サブルーチン(ステップS200)へ進む。ステップS10が「NO」の場合、即ち、第1スイッチ5が押圧されなかった場合は、ステップS30で第2スイッチ(第2SW)7が押圧されたか否かを判定する。
【0047】
ステップS30が「YES」の場合、即ち、第2スイッチ7が押圧されたと判定された場合は、第2サブルーチン(ステップS400)へ進む。ステップS30が「NO」の場合、即ち、第2スイッチ7が押圧されなかったと判定された場合は、ステップS50で第3スイッチ(第3SW)71が押圧されたか否かを判定する。
【0048】
ステップS50が「YES」の場合、即ち、第3スイッチ71が押圧されたと判定された場合は、第3サブルーチン(ステップS600)へ進む。ステップS50が「NO」の場合、即ち、第3スイッチ71が押圧されなかったと判定された場合は、ステップS70でギアバックされたか否かを判定する。
【0049】
ステップS70が「YES」の場合、即ち、ギアバックされたと判定された場合は、ステップS80で液晶パネル2の表示を第7映像へ切り替え、ステップS10へ戻って以上のステップを繰り返す。ステップS70が「NO」の場合、即ち、ギアバックされていないと判定された場合も、ステップS10へ戻って以上のステップを繰り返す。
【0050】
第1サブルーチン(ステップS200)では、図7において、ステップS210で第1情報画像乃至第5情報画像のいずれかが液晶パネル2に表示されているか否かを判定する。ステップS210が「NO」の場合、即ち、第1情報画像乃至第5情報画像のいずれもが液晶パネル2に表示されていないと判定された場合は、ステップS230で液晶パネル2の表示を第1情報画像へ切り替える。
【0051】
ステップS210が「YES」の場合、即ち、第1情報画像乃至第5情報画像のいずれかが液晶パネル2に表示されていると判定された場合は、ステップS220で第5情報画像が液晶パネル2に表示されているか否かを判定する。ステップS220が「YES」の場合、即ち、第5情報画像が液晶パネル2に表示されていると判定された場合は、ステップS230で液晶パネル2の表示を第5情報画像から第1情報画像へ切り替える。
【0052】
ステップS220が「NO」の場合、即ち、第5情報画像が液晶パネル2に表示されていないと判定された場合は、ステップS240で液晶パネル2の表示を第M情報画像から第(M+1)情報画像へ切り替える。例えば、ステップS220で第3情報画像が液晶パネル2に表示されていると判定された場合は、ステップS240で液晶パネル2の表示を第3情報画像から第4情報画像へ切り替える。
【0053】
ステップS230またはS240で第1サブルーチンを終了し、ステップS10へ戻って上述のステップを繰り返す。
【0054】
第2サブルーチン(ステップS400)では、図8において、ステップS410で第1映像乃至第6映像のいずれかが液晶パネル2に表示されているか否かを判定する。ステップS410が「NO」の場合、即ち、第1映像乃至第6映像のいずれもが液晶パネル2に表示されていないと判定された場合は、ステップS430で液晶パネル2の表示を第1映像へ切り替える。
【0055】
ステップS410が「YES」の場合、即ち、第1映像乃至第6映像のいずれかが液晶パネル2に表示されていると判定された場合は、ステップS420で第6映像が液晶パネル2に表示されているか否かを判定する。ステップS420が「YES」の場合、即ち、第6映像が液晶パネル2に表示されていると判定された場合は、ステップS430で液晶パネル2の表示を第6映像から第1映像へ切り替える。
【0056】
ステップS420が「NO」の場合、即ち、第6映像が液晶パネル2に表示されていないと判定された場合は、ステップS440で液晶パネル2の表示を第N映像から第(N+1)映像へ切り替える。例えば、ステップS420で第3映像が液晶パネル2に表示されていると判定された場合は、ステップS440で液晶パネル2の表示を第3映像から第4映像へ切り替える。
【0057】
ステップS430またはS440で第2サブルーチンを終了し、ステップS10へ戻って上述のステップを繰り返す。
【0058】
第3サブルーチン(ステップS600)では、図9において、ステップS610で第1映像乃至第6映像のいずれかが液晶パネル2に表示されているか否かを判定する。ステップS610が「NO」の場合、即ち、第1映像乃至第6映像のいずれもが液晶パネル2に表示されていないと判定された場合は、ステップS640で液晶パネル2の表示を第5映像へ切り替える。
【0059】
ステップS610が「YES」の場合、即ち、第1映像乃至第6映像のいずれかが液晶パネル2に表示されていると判定された場合は、ステップS620で第5映像が液晶パネル2に表示されているか否かを判定する。ステップS620が「YES」の場合、即ち、第5映像が液晶パネル2に表示されていると判定された場合は、ステップS630で液晶パネル2の表示を第5映像から第6映像へ切り替える。
【0060】
ステップS620が「NO」の場合、即ち、第5映像が液晶パネル2に表示されていないと判定された場合は、ステップS640で液晶パネル2の表示を第5映像へ切り替える。ステップS630またはS640で第3サブルーチンを終了し、ステップS10へ戻って上述のステップを繰り返す。
【0061】
(作用効果)
次に、本実施形態の車両用表示装置1の作用および効果を説明する。
【0062】
本実施形態による車両用表示装置1では、特徴的構成として、第2スイッチ7に加えて第3スイッチ71を備えている。このため、第2スイッチ7を繰り返しプッシュすることによる切替操作の繰り返しに基づいて複数の映像(第1映像乃至第6映像)をこの順序にしたがって切り替えて液晶パネル2に表示させることに加えて、第3スイッチ71を1プッシュ(1回押圧)するだけによる1回の切替操作に基づいて第5映像を液晶パネル2に表示させることができる。
【0063】
したがって、所定の切替順序で複数の映像を切り替えて表示することと、この所定の切替順序とは無関係に複数の映像の内から所定の第5映像を1回の切替操作で選択して表示することの両立が可能となる。このため、発進時及び駐車時では、第3スイッチ71を1プッシュするだけで、直前監視領域A1の(直前監視用の)第5映像を速やかに表示することが可能となり、かつ、発進時及び駐車時以外の場合では、第2スイッチ7を繰り返しプッシュすることにより複数の映像をこの順序にしたがって切り替えて液晶パネル2に表示させることが可能となる。
【0064】
また、第3スイッチ71を2プッシュ(2回押圧)するだけによる2回の切替操作に基づいて第6映像を液晶パネル2に表示させることができる。したがって、第3スイッチ71による1回目のプッシュに基づいて第5映像を液晶パネル2に表示させることができ、第3スイッチ71による2回目のプッシュに基づいて第6映像を液晶パネル2に表示させることができる。即ち、所定の切替順序で複数の映像を切り替えて表示することと、この切替順序とは無関係に複数の映像の内から、自車両20の直前監視領域A1の第5映像を1回の切替操作で選択して表示し、かつ、自車両20の直左監視領域A2の(直左監視用の)第6映像を次の切替操作(第3スイッチ71による2回目のプッシュ)で切り替えて表示することの両立が可能となる。
【0065】
また、第3スイッチ71の1プッシュと第2スイッチ7の1プッシュによる合計2回の切替操作に基づいて第6映像を液晶パネル2に表示させることができる。したがって、第3スイッチ71による1回目のプッシュに基づいて第5映像を液晶パネル2に表示させることができ、この表示状態において第2スイッチ7による1回目のプッシュに基づいて第6映像を液晶パネル2に表示させることができる。即ち、所定の切替順序で複数の映像を切り替えて表示することと、この切替順序とは無関係に複数の映像の内から、自車両20の直前監視領域A1の第5映像を1回の切替操作で選択して表示し、かつ、自車両20の直左監視領域A2の第6映像を次の切替操作(第2スイッチ7による1回目のプッシュ)で切り替えて表示することの両立が可能となる。
【0066】
(変形例)
上述の例では、第3スイッチ71による1回目のプッシュに基づいて第5映像を液晶パネル2に表示させたが、第3スイッチ71による1回目のプッシュに基づいて第6映像を液晶パネル2に表示させ、次の切替操作で第5映像を液晶パネル2に表示させることも可能である。
【0067】
上述の例では、自車両20が右ハンドル車であったため、発進時及び駐車時に速やかに表示することが求められる映像が、直左監視領域A2の(直左監視用の)第6映像であった。これに対して、自車両がステアリングが左側に設けられている左ハンドル車である場合には、発進時及び駐車時に速やかに表示することが求められる映像は、第6映像の代わりに、図4に示す自車両20の直右監視領域A3の映像、つまり、直右監視用の映像となる。
【0068】
上述の例では、第5映像および第6映像を発進時及び駐車時に速やかに表示することが求められる映像としたが、駐車時に速やかに表示することが求められる映像として、例えば、図4に示す自車両20の直後監視領域A4の映像、つまり、直後監視用の映像とすることも可能である。また、第5映像および第6映像に直後監視用の映像を追加して、これらを、発進時及び駐車時に速やかに表示することが求められる映像とすることも可能である。この場合では、第3スイッチ71による1回目のプッシュに基づいて第5映像を液晶パネル2に表示させ、次の切替操作で第6映像を液晶パネル2に表示させ、さらに、その次の切替操作で直後監視用の映像を液晶パネル2に表示させる。
【0069】
上述の例では、第3スイッチ71を、第2スイッチ7に対して新設したが、スイッチ7,71を、図10に示すように、第4スイッチ(第4SW)72として共用するように構成することも可能である。図10で示す車両用表示装置10では、第2スイッチ7によるプッシュ操作を、第4スイッチ72による短押し操作とし、第3スイッチ71によるプッシュ操作を、第4スイッチ72による長押し操作として、これらの操作を区別することによって、第4スイッチ72として共用できる。
【0070】
第4スイッチ72は、請求項に記載のスイッチ手段に相当し、第4スイッチ72による短押し操作は、請求項に記載の第1押圧操作に相当し、第4スイッチ72による長押し操作は、請求項に記載の第2押圧操作に相当する。
【0071】
なお、短押し操作とは、第4スイッチ72を短い押圧時間(例えば、1秒以下)押す操作をいい、長押し操作とは、短押し操作の押圧時間よりも長い押圧時間第4スイッチ72を押す操作をいう。このため、所定の切替順序で複数の映像(第1映像乃至第6映像)を切り替えて表示することと、この所定の切替順序とは無関係に複数の映像(第1映像乃至第6映像)の内から所定の第5映像を1回の切替操作で選択して表示することの両立を、新たにスイッチ手段を追加しないで実現できる。
【符号の説明】
【0072】
1,10 車両用表示装置、2 液晶パネル(表示手段、パネル)
3 MPU(制御手段)、4 描画IC、5 第1スイッチ(情報切替手段、第1SW)
6 映像ECU、7 第2スイッチ(映像切替手段、第2SW)
71 第3スイッチ(映像選択手段、第3SW)
72 第4スイッチ(スイッチ手段、第4SW)
11 映像線、12 車載LAN、13 外部ECU、20 自車両
21〜27 カメラ、28,29 サイドミラー、30 ステアリング
A1 直前監視領域、A2 直左監視領域、A3 直右監視領域、A4 直後監視領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両の周辺監視用の複数の映像を切り替えて表示可能な表示手段と、
前記複数の映像を所定の順序で切り替えるための映像切替手段と、
前記複数の映像から所定の映像を選択するための映像選択手段と、
前記映像切替手段による切替操作の繰り返しに基づいて前記複数の映像を前記所定の順序で切り替えて前記表示手段に表示させると共に、前記映像選択手段による1回の切替操作に基づいて前記所定の映像を前記表示手段に表示させる制御手段と、を備えることを特徴とする車両用表示装置。
【請求項2】
前記所定の映像は、前記自車両の直前監視用の第1の映像と、前記自車両が右ハンドル車である場合に前記自車両の直左監視用の第2の映像の一方であることを特徴とする請求項1に記載の車両用表示装置。
【請求項3】
前記所定の映像は、前記自車両の直前監視用の第1の映像と、前記自車両が左ハンドル車である場合に前記自車両の直右監視用の第2の映像の一方であることを特徴とする請求項1に記載の車両用表示装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記映像切替手段による1回の前記切替操作と前記映像選択手段による2回目の切替操作のいずれか一方の操作に基づいて、前記第1の映像と前記第2の映像の前記一方から切り替えて前記第1の映像と前記第2の映像の他方を前記表示手段に表示させることを特徴とする請求項2または3に記載の車両用表示装置。
【請求項5】
前記映像切替手段と前記映像選択手段を、スイッチ手段として共用し、
前記映像切替手段による前記切替操作を前記スイッチ手段による第1押圧操作とし、
前記映像選択手段による前記1回の切替操作を、前記第1押圧操作の押圧時間よりも長い時間前記スイッチ手段を押圧する第2押圧操作とすることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の車両用表示装置。
【請求項6】
前記映像から切り替えると共に、前記自車両に関連する情報を示す複数の情報画像を切り替える情報切替手段を備え、
前記制御手段は、前記情報切替手段による切替操作に基づいて、前記映像から切り替えると共に、前記複数の情報画像を順次切り替えて前記表示手段に表示させることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の車両用表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−214971(P2010−214971A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−60283(P2009−60283)
【出願日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】