説明

車両用表示装置

【課題】車両走行中における安全性が認証されていない非認証アプリケーションプログラムであっても、車両走行中における安全性を確保した上で画面を表示する。
【解決手段】制御部11は、実行するアプリケーションプログラムが所定の認証情報が付与された認証済みアプリケーションプログラムでないと判断した場合、つまり、所定の認証情報が付与されていない非認証アプリケーションプログラムであると判断した場合には、表示器12が当該非認証アプリケーションプログラムに基づく画面表示指令に従って表示する画面の表示方法を、画面の更新間隔を延長する方式または画面の表示領域を縮小する方式のうち少なくとも何れか一方の方式に変更する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種のアプリケーションプログラムに基づいて様々な画面を表示する車両用表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば自動車に搭載されるカーナビゲーションシステムの表示装置においては、各種のアプリケーションプログラムに基づいて様々な画面が表示される。特に近年においては、動きのあるアニメーション画面も表示されるようになっている。しかし、このような動きのある画面が車両の走行中に表示されると、運転手の気がそれて危険である。そこで、例えば特許文献1には、車両の走行中においては画面表示の更新間隔を長くすることで、運転手の注意を引き難くして安全性を確保する技術が記載されている。
しかしながら、例えば、地図表示用のアプリケーションなど情報を逐次更新し続ける必要があるアプリケーションにおいては、画面表示の更新間隔を長くしてしまうと、そのアプリケーションの本来の機能を果たすことができなくなってしまう。そのため、このようなアプリケーションに対しては、特許文献1の技術を適用し難い。
【0003】
一方で、車両の走行中であっても危険とならない内容の画面表示を行うアプリケーションプログラムを安全性が認証された認証済みのアプリケーションプログラムとして設定し、このような認証済みのアプリケーションプログラムに基づいて画面を表示することで、車両走行中における安全性を確保することも行われている。ところが、近年では、様々なアプリケーションプログラムが開発されており、しかも、それらアプリケーションプログラムをユーザが自由に購入して利用することができる装置やシステムも提供されている。そのため、車両走行中における安全性が認証された認証済みのアプリケーションプログラム以外のアプリケーションプログラム、つまり、車両走行中における安全性が認証されていない非認証アプリケーションプログラムによる画面が、車両走行中において表示される機会が多くなってきている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−336211号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明の目的は、車両走行中における安全性が認証されていない非認証アプリケーションプログラムであっても、車両走行中における安全性を確保した上で画面を表示することができる車両用表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明によれば、表示手段は、アプリケーション実行手段がアプリケーションプログラムの実行によって出力する画面表示指令に従って、各種の画面を表示する。判断手段は、アプリケーション実行手段が実行するアプリケーションプログラムに所定の認証情報が付与されているか否かを判断する。そして、変更指令出力手段は、判断手段が、アプリケーションプログラムに認証情報が付与されていないと判断した場合には、表示手段が画面表示指令に従って表示する画面の更新間隔を延長する延長指令、または表示手段が画面表示指令に従って表示する画面の表示領域を縮小する縮小指令のうち少なくとも何れか一方を変更指令として表示手段に出力する。
これにより、アプリケーション実行手段が実行するアプリケーションプログラムが、所定の認証情報が付与されていないアプリケーションプログラム、即ち、車両走行中における安全性が認証されていない非認証アプリケーションプログラムであっても、その非認証アプリケーションプログラムに基づいて表示される各種の画面を、画面の更新間隔を延長する方法または画面の表示領域を縮小する方法のうち少なくとも何れか一方の表示方法で表示することができ、車両走行中における安全性を確保した上で画面を表示することができる。
【0007】
請求項2の発明によれば、表示可能レベル判定手段は、表示手段が画面表示指令に従って表示する画面を表示可能であるか否かを示す表示可能レベルを、走行状態判断手段によって判断された車両の走行状態に基づいて判定する。また、データサイズ演算手段は、表示手段が画面表示指令に従って表示する画面に描画される画像データのサイズを演算し、表示変化レベル判定手段は、表示手段が画面表示指令に従って表示する画面の変化量を示す表示変化レベルを、データサイズ演算手段によって演算された画像データのサイズの演算値に基づいて判定する。そして、変更指令出力手段は、表示可能レベル判定手段によって判定された表示可能レベルおよび表示変化レベル判定手段によって判定された表示変化レベルに基づいて、表示手段に出力する変更指令として延長指令または縮小指令のうち少なくとも何れか一方を設定する。
これにより、アプリケーション実行手段が実行するアプリケーションプログラムが車両走行中における安全性が認証されていない非認証アプリケーションプログラムであっても、その非認証アプリケーションプログラムに基づいて表示される各種の画面を、画面を表示可能であるか否かを示す表示可能レベル、および、画面の変化量を示す表示変化レベルを加味した表示方法で表示することができ、車両走行中における安全性を一層確保した上で画面を表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施形態に係るものであり、車両用表示装置の構成を示すブロック図
【図2】制御内容を示すフローチャート
【図3】非認証アプリ表示処置の内容を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、例えばカーナビゲーションシステムに搭載される車両用表示装置10の構成を概略的に示す機能ブロック図である。車両用表示装置10は、マイコンを主体として構成された制御部11と、例えば液晶ディスプレイで構成される表示器12と、ユーザによって操作される操作スイッチ群13と、例えばハードディスク装置で構成される記憶装置14とを備えている。なお、制御部11は、特許請求の範囲に記載のアプリケーション実行手段、判断手段、変更指令出力手段、走行状態判断手段、表示可能レベル判定手段、データサイズ演算手段、表示変化レベル判定手段に相当し、表示器12は、表示手段に相当する。
【0010】
制御部11は、CPU15を主体として、RAM、ROM、EEPROM、フラッシュメモリなどからなる各種のメモリ16、I/Oインターフェース(図示せず)などを備えている。制御部11は、メモリ16に記憶された制御プログラムをCPU15に実行させることにより、車両用表示装置10の動作全般を制御する。また、制御部11は、メモリ16に記憶された画面表示用の各種のアプリケーションプログラムをCPU15に実行させることにより、表示器12に画面表示指令信号を出力し、当該表示器12における様々な画面の表示を制御する。
【0011】
なお、画面表示用のアプリケーションプログラムを含む各種のプログラムは、車両用表示装置10の製造時に予めメモリ16に記憶したもののほか、データ受信機(図示せず)によって受信(ダウンロード)してメモリ16に記憶したもの、車両用表示装置10の購入後にインストールしたものなどを含む。また、制御部11は、メモリ16内におけるアプリケーションプログラムを、認証済みアプリケーションプログラムと、非認証アプリケーションプログラムとに区別して実行する。
【0012】
認証済みアプリケーションプログラムと非認証アプリケーションプログラムとを区別する方法としては、例えば、認証済みアプリケーションプログラムには「認証済み」であることを示す識別子を付与し、この識別子の有無によって区別する方法、「認証済み」であることを示す情報を組み込んだ認証済みアプリケーションプログラムを提供するものとして信頼されたアプリケーションサーバから例えばセキュリティプロトコルによってダウンロードしたアプリケーションプログラムであるか否かに基づいて区別する方法、「認証済み」であることを示す認証キーを認証済みアプリケーションプログラムとともに配布し、当該認証キーを定期的に、或いは、所定の認証期間ごとに認証サーバに照合することで区別する方法など、種々の方法を採用することができる。要は、所定の認証情報が付与された認証済みアプリケーションプログラムと、それ以外のアプリケーションプログラム、つまり、所定の認証情報が付与されていない非認証アプリケーションプログラムとを明確に区別する方法であればよい。
【0013】
また、制御部11には、センサー群17および他の車載装置が備える制御部群18が接続されている。制御部11は、これらセンサー群17および制御部群18から入力される各種信号に基づいて、車両の走行スピード、シフトポジション、ステアリングの回転角度、ブレーキの開度、アクセルスロットの開度、ナビゲーション機能による案内経路などの各種の車両情報を得る。
表示器12は、制御部11が画面表示用のアプリケーションプログラムを実行することに基づいて出力する画面表示指令信号に従って、各種の画面を表示する。この画面表示に係る制御内容については後述する。表示器12の各種表示画面を生成する処理は、画像生成プログラムをマイコン(CPU15)および画像生成用回路により実行することで行われる。表示器12の画像生成処理は、制御部11のメモリ16に格納された画像生成プログラムを制御部11のマイコン(CPU15)で実行する構成である。
操作スイッチ群13は、例えば表示器12の画面の近傍に設けられたメカニカルスイッチ、表示器12の画面上に設けられるタッチパネルスイッチなどからなる。操作スイッチ群13には、後述する画面の表示方法を選択するための表示方法選択スイッチなどが含まれている。操作スイッチ群13は、ユーザによる操作に応じた各種の信号を制御部11に与える。
【0014】
上記構成の車両用表示装置10は、制御部11が実行するアプリケーションプログラムが認証済みアプリケーションプログラムでない場合、つまり、非認証アプリケーションプログラムである場合には、その非認証アプリケーションプログラムに基づいて表示器12に表示する画面の表示方法を変更する制御を行うようになっている。次に、この制御内容について図2および図3を参照しながら説明する。
図2は、制御部11が実行する制御内容を示すフローチャートである。制御部11は、まず、実行する画面表示用のアプリケーションプログラムが、認証済みアプリケーションプログラムであるか否かを判断する(ステップA1:判断手段)。この判断処理では、上記した各種の区別方法、つまり、実行するアプリケーションプログラムに所定の認証情報が付与されているか否かに基づく区別方法を採用することができる。
【0015】
制御部11は、実行する画面表示用のアプリケーションプログラムが、認証済みアプリケーションプログラムであると判断すると、つまり、実行するアプリケーションプログラムに所定の認証情報が付与されていると判断すると(ステップA1:YES)、認証アプリ表示処理を実行する(ステップA2)。この認証アプリ表示処置では、制御部11は、その認証済みアプリケーションプログラムを実行することに基づいて出力する画面表示指令信号に従って、表示方法を変更することなく各種の画面を表示器12に表示する。
【0016】
一方、制御部11は、実行する画面表示用のアプリケーションプログラムが、認証済みアプリケーションプログラムでないと判断すると、即ち、所定の認証情報が付与されていない非認証アプリケーションであると判断すると(ステップA1:NO)、非認証アプリ表示処置を実行する(ステップA3)。図3は、この非認証アプリ表示処理の内容を示すフローチャートである。
まず、制御部11は、表示可能レベルの判定処理を実行する(ステップB1:表示可能レベル判定手段)。なお、表示可能レベルとは、表示器12が画面表示指令信号に従って表示する画面を例えば車両の走行中においても表示可能であるか否かを示すパラメータであり、表示器12が画面表示指令信号に従って画面を表示した場合に、運転手がどれだけ運転に集中する必要があるか、或いは、表示される画面を見ることが許容されるかを示す。
【0017】
この判定処理では、制御部11は、車両の走行状態に基づいて表示可能レベルを判定する。具体的には、制御部11は、センサー群17および制御部群18から入力された各種信号によって得た各種の車両情報に基づいて、車両の走行状態が、この場合、操作状態であるか、安定走行状態であるか、停車状態であるかを判断する(走行状態判断手段)。なお、操作状態とは、運転手がブレーキ、アクセル、ステアリングなどを操作している状態である。安定走行状態とは、例えば高速道路において、車両の走行中であるが、ブレーキ、アクセル、ステアリングなどの変動操作が殆ど無い状態である。停車状態とは、車両が完全に停車した状態、つまり、車両が走行していない状態である。
この場合、判断した車両の走行状態が操作状態である場合には、制御部11は、表示可能レベルとして「危険」を設定する。判断した車両の走行状態が安定走行状態である場合には、制御部11は、表示可能レベルとして「注意」を設定する。判断した車両の走行状態が停車状態である場合には、制御部11は、表示可能レベルとして「安全」を設定する。
【0018】
次に、制御部11は、表示変化レベルの判定処理を実行する(ステップB2:表示変化レベル判定手段)。なお、表示変化レベルとは、表示器12が画面表示指令信号に従って表示する画面の変化量を示すパラメータである。
ここで、特に、動きのあるアニメーション画面を表示するアプリケーションプログラムにおいては、アニメーション画面は、フレームと呼ばれるコマに分けて表示される。そして、表示処理に要する処理負荷やメモリの使用量を節約するために、表示内容に差が生じた領域(再描画領域)だけに絞って画像を再描画することが行われている。そこで、制御部11は、この再描画領域に描画する画像データのサイズに基づいて表示変化レベルを判定する。具体的には、制御部11は、表示器12が画面表示指令信号に従って再描画領域に描画する全画像データのうち所定の期間に描画する画像データのサイズを積算する(データサイズ演算手段)。なお、所定の期間としては、表示器12が画面表示指令信号に従って画面を表示する全行程において、任意の期間を指定することができ、その期間の長さは例えば数秒間である。
【0019】
制御部11は、所定の期間内に積算した画像データのサイズの積算値が所定の閾値を超えたか否かを判断する。そして、積算値が所定の閾値を超えた場合には、制御部11は、表示器12に表示される画面の変化量が多いと判断し、表示変化レベルとして「危険」を設定する。積算値が所定の閾値を超えていない場合には、制御部11は、表示器12に表示される画面の変化量が少ないと判断し、表示変化レベルとして「安全」を設定する。
なお、再描画領域に描画する画像データのサイズの積算処理については、表示器12の画面上における当該再描画領域の位置に応じて、重み付け値を付与することができる。つまり、同じサイズの再描画領域であっても、例えば、ユーザである運転手の視界に入り易い運転席側に位置する再描画領域については、大きい重み付け値を付与し、ステップB2において算出する積算値を大きくする。一方、運転手の視界に入り難い助手席側に位置する再描画領域については、小さい重み付け値を付与し、ステップB2において算出する積算値を小さくする。
【0020】
次に、制御部11は、表示方法の決定処理を実行する(ステップB3:変更指令出力手段)。この決定処理では、制御部11は、非認証アプリケーションプログラムを実行することに基づいて出力する画面表示指令信号に従って表示器12に表示する画面の表示方法を、表示可能レベルの判定処理(ステップB1参照)によって判定された表示可能レベル、および、表示変化レベルの判定処理(ステップB2参照)によって判定された表示変化レベルに基づいて変更する。具体的には、制御部11は、例えば表示可能レベルが「危険」であって、且つ、表示変化レベルが「危険」である場合には、この場合、フレームレート変更方式、表示サイズ変更方式、或いは、混合方式の何れか1つの方式を自動的に選択して、画面の表示方法を、選択した方式に変更する。なお、フレームレート変更方式は、制御部11が表示器12に表示方法変更指令信号として延長指令信号を出力することにより、表示器12が画面表示指令信号に従って表示する画面表示の更新間隔、つまり、フレームレートを、アプリケーションプログラムで定められたフレームレートよりも延長する方式である。表示サイズ変更方式は、制御部11が表示器12に表示方法変更指令信号として縮小指令信号を出力することにより、表示器12が画面表示指令信号に従って表示する画面の表示領域を、アプリケーションプログラムで定められた表示領域よりも縮小する方式である。混合方式は、フレームレート変更方式および表示サイズ変更方式を組み合わせた方式、つまり、フレームレートを長くし、且つ、画像の表示領域を小さくする方式である。
【0021】
次に、制御部11は、画面の表示処理を実行する(ステップB4)。この表示処理では、制御部11は、表示方法の決定処理(ステップB3参照)によって決定(変更)した表示方法に基づいて、各種の画面を表示器12に表示する。即ち、制御部11は、表示器12が画面表示指令に従って表示する画面の表示方法を、車両走行中における安全性を確保する表示方法に変更して表示処理を行う。
なお、制御部11は、例えば、表示可能レベルが「安全」であって、且つ、表示変化レベルが「安全」である場合には、ステップB3において表示方法を変更することなく、ステップB4において各種の画面を表示器12に表示する。
【0022】
以上に説明したように本実施形態によれば、制御部11が実行するアプリケーションプログラムが所定の認証情報が付与された認証済みアプリケーションプログラムでない場合、つまり、所定の認証情報が付与されていない非認証アプリケーションプログラムである場合には、当該非認証アプリケーションプログラムに基づいて表示器12に表示される画面の表示方法が、画面の更新間隔を延長するフレームレート変更方式または画面の表示領域を縮小する表示サイズ変更方式のうち少なくとも何れか一方の方式に変更される。これにより、車両走行中における安全性が認証されていない非認証アプリケーションプログラムであっても、車両走行中における安全性を確保した上で画面を表示することができる。
また、非認証アプリケーションプログラムに基づいて表示される各種の画面を、画面を表示可能であるか否かを示す表示可能レベル、および、画面の変化量を示す表示変化レベルを加味した表示方法で表示することができ、車両走行中における安全性を一層確保した上で画面を表示することができる。
【0023】
なお、本発明は、上述した一実施形態にのみ限定されるものではなく、例えば次のように変形または拡張することができる。
ユーザが操作スイッチ群13に含まれる表示方法選択スイッチを操作することにより、制御部11に出力させる表示方法変更指令信号として延長指令信号または縮小指令信号のうち少なくとも何れか一方を選択できる構成とするとよい。このような構成によれば、車両の走行中であっても、ユーザは表示方法選択スイッチの操作により表示方式を容易に選択することができる。
【0024】
また、この場合、制御部11は、表示方法選択スイッチを介して選択された表示方法変更指令信号を特定するデータ、或いは、当該表示方法変更指令信号に対応する表示方式を特定するデータを、当該表示方式が選択されたときにおける表示可能レベルおよび表示変化レベルとともに記憶装置14に記憶するようにするとよい。そして、制御部11は、記憶装置14に記憶された表示方法変更指令信号を特定するデータの履歴、或いは、当該表示方法変更指令信号に対応する表示方式を特定するデータの履歴に基づいて、表示器12に出力する表示方法変更指令信号として延長指令信号または縮小指令信号のうち少なくとも何れか一方を設定し、画面の表示方法を変更するようにするとよい。このような構成によれば、非認証アプリケーションプログラムに基づいて表示器12に表示される各種の画面を、過去に選択された表示方法、つまり、ユーザの嗜好などに応じた表示方法で表示することができる。
【0025】
また、フレームレート変更方式における画面表示の更新間隔の延長量を設定するための設定スイッチや、表示サイズ変更方式における画像の表示領域の縮小量を設定するための設定スイッチを操作スイッチ群13に設け、制御部11は、これら設定スイッチによって設定された画面表示の更新間隔の延長量、および、画像の表示領域の縮小量も記憶装置14に記憶するようにするとよい。
これにより、記憶装置14には、ユーザが選択した表示方法の履歴が詳細に蓄積される。そして、この履歴に基づいて、ユーザが、どの表示可能レベルの状態において、どのような表示変化レベルのアプリケーションプログラムに対して、どのような表示方式を選択したのかという情報、さらには、画面表示の更新間隔の延長量や画像の表示領域の縮小量に関して、ユーザが画面の変化を抑えるように設定したのか、或いは、画面の変化を許容するように設定したのかという情報を得ることができる。
【0026】
ここで、画面の変化を許容する操作を行うユーザは、アプリケーションによる表示内容に利用価値を認めていると推測され、アプリケーションによる表示内容を殆ど利用しないユーザに比べ、画面の変化に対して寛容な傾向がある。即ち、画面の変化に対する感じ方はユーザによって異なる。そのため、制御部11は、記憶装置14に蓄積した履歴情報に基づいて、表示可能レベルを判定するための閾値や、再描画領域の画面上における重み付け値を変化させるようにするとよい。具体的には、制御部11は、ユーザによる操作が画面の変化を抑える操作であった場合には、表示可能レベルを判定するための閾値を低く設定する。一方、制御部11は、ユーザによる操作が画面の変化を許容する操作であった場合には、表示可能レベルを判定するための閾値を高く設定する。
これにより、アプリケーションプログラムに基づいて表示器12に表示される各種の画面を、ユーザの嗜好などを一層反映させた表示方法で表示することができる。
【0027】
また、フレームレート変更方式を選択した場合においては、画面表示の更新間隔、つまり、フレームレートを長くすることから、画面表示が更新される周期は長くなる。一方で、アプリケーションプログラムに含まれる指令には、画面表示に関する指令以外の指令も含まれており、本発明においては、このような画面表示に関する指令以外の指令についての更新間隔は変更しない。
そのため、制御部11は、フレームレート変更方式を選択した場合において、変更後の画面表示の更新間隔に基づいて出力する延長指令信号の周期が、画面表示に関する指令以外の指令を出力する周期よりも短い場合には、画面表示に関する指令以外の指令を出力する周期を経過するまでは、アプリケーションプログラムに基づく画面作成指令を無視(スキップ)し、画像データを作成しないようにしてもよい。そして、画面表示に関する指令以外の指令を出力する周期を経過した時点で、制御部11は、画像データを作成し、表示器12に出力するようにしてもよい。
【0028】
また、制御部11は、フレームレート変更方式を選択した場合において、変更後の画面表示の更新間隔に基づいて出力する延長指令信号の周期が、画面表示に関する指令以外の指令を出力する周期よりも短い場合には、アプリケーションプログラムに基づく画面作成指令に応じて画像データを作成するが、画面表示に関する指令以外の指令を出力する周期を経過するまでは、アプリケーションプログラムに基づく画面転送指令を無視(スキップ)するようにしてもよい。そして、画面表示に関する指令以外の指令を出力する周期を経過した時点で、画像データを表示器12に出力するようにしてもよい。
また、制御部11は、表示サイズ変更方式を選択した場合においては、変更後の画像の表示領域に応じて、アプリケーションプログラムで定められた画像サイズよりも小さいサイズで画像データを作成するようにしてもよい。また、制御部11は、アプリケーションプログラムに基づいて作成した本来の大きさの画像データに圧縮処理を施すことで、変更後の画像の表示領域に応じたサイズの画像データを作成するようにしてもよい。
【0029】
また、車両の走行中に表示しても運転手の注意を引かないように簡略化したアイコンなど、安全性のある安全画像を表示するための画像データを予め作成しておき、制御部11は、当該安全画像の画像データを、再描画領域に表示する画像の画像データとともに表示器12に転送するようにしてもよい。
表示可能レベルとして判定する車両の走行状態は、操作状態、安定走行状態、停車状態の3つの状態に限られるものではなく、例えば低速走行状態などの種々の状態を設定することができる。
制御部11が何れの方式を選択するかは、例えば、アプリケーションプログラムごとにユーザが予め設定しておくことができる。即ち、例えば、表示可能レベルが「危険」であって、且つ、表示変化レベルが「危険」である場合にはフレームレート変更方式を選択するように設定したり、表示可能レベルが「注意」であって、且つ、表示変化レベルが「危険」である場合には表示サイズ変更方式を選択するように設定しておくことが可能である。
【符号の説明】
【0030】
図面中、10は車両用表示装置、11は制御部(アプリケーション実行手段、判断手段、変更指令出力手段、走行状態判断手段、表示可能レベル判定手段、データサイズ演算手段、表示変化レベル判定手段)、12は表示器(表示手段)を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アプリケーションプログラムを実行するアプリケーション実行手段と、
前記アプリケーション実行手段が前記アプリケーションプログラムの実行によって出力する画面表示指令に従って、各種の画面を表示する表示手段と、
前記アプリケーション実行手段が実行する前記アプリケーションプログラムに所定の認証情報が付与されているか否かを判断する判断手段と、
前記判断手段が、前記アプリケーションプログラムに前記認証情報が付与されていないと判断した場合、前記表示手段が前記画面表示指令に従って表示する前記画面の更新間隔を延長する延長指令、または前記表示手段が前記画面表示指令に従って表示する前記画面の表示領域を縮小する縮小指令のうち少なくとも何れか一方を変更指令として前記表示手段に出力する変更指令出力手段と、
を備えたことを特徴とする車両用表示装置。
【請求項2】
車両の走行状態を判断する走行状態判断手段と、
前記表示手段が前記画面表示指令に従って表示する前記画面を表示可能であるか否かを示す表示可能レベルを、前記走行状態判断手段によって判断された前記車両の走行状態に基づいて判定する表示可能レベル判定手段と、
前記表示手段が前記画面表示指令に従って表示する前記画面に描画される画像データのサイズを演算するデータサイズ演算手段と、
前記表示手段が前記画面表示指令に従って表示する前記画面の変化量を示す表示変化レベルを、前記データサイズ演算手段によって演算された前記画像データのサイズの演算値に基づいて判定する表示変化レベル判定手段と、をさらに備え、
前記変更指令出力手段は、前記表示可能レベル判定手段によって判定された前記表示可能レベルおよび前記表示変化レベル判定手段によって判定された前記表示変化レベルに基づいて、前記表示手段に出力する前記変更指令として前記延長指令または前記縮小指令のうち少なくとも何れか一方を設定することを特徴とする請求項1記載の車両用表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−219058(P2011−219058A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−93200(P2010−93200)
【出願日】平成22年4月14日(2010.4.14)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】