説明

車両用表示装置

【課題】 回路基板に実装された発熱部品が発する熱を効率良く放出できる車両用表示装置を提供する。
【解決手段】 液晶表示パネル11と、この液晶表示パネル11の表示領域を臨む開口部12aを形成するとともに液晶表示パネル11を収納するケース12とを設けた表示ユニット1と、表示ユニット1の背後(表示方向の反対側)に配置され、液晶表示パネル11とフレキシブル配線板(配線)13を介して電気的に接続する回路基板2とを備えた車両用表示装置であって、ケース12は、金属材料からなり、回路基板2に実装されるパワートランジスタ(発熱部品)25の近傍箇所に、回路基板2と接する当接部12dを設けてなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶や有機ELなどの表示パネルを用いた車両用表示装置に関し、特に、表示パネルを金属ケースに収納してなる表示器と発熱部品を実装する回路基板と備えてなる車両用表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶や有機ELなどの表示パネルを用いた表示装置があり、例えば、特許文献1に開示されている。特許文献1に示す液晶表示装置は、その保持構造として、液晶パネルの表示領域を臨む開口窓を有し、液晶パネルや透過照明用光源を保持するための金属製のケースを備え、該光源などの発熱を伝達し、放熱できるように構成していた。
【0003】
また、これら表示装置を車両用表示装置に適用する場合、表示パネルやこの表示パネルを収納するケースを設けてなる表示ユニットとは別に、他の表示機器を駆動制御するための回路基板を備えており、例えば、特許文献2,3に開示される。また、該表示ユニットは、回路基板に接続されるとともに、回路基板からの電力供給によって表示パネルが作動できるように構成されている。
【0004】
このような車両用表示装置に搭載される回路基板にあっても、液晶パネル用の光源とは別に高輝度な発光ダイオードやパワートランジスタからなるレギュレータ回路など発熱部品を搭載しており、例えば、特許文献4に示すような、放熱部品を搭載するものが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平2009−282435号公報
【特許文献2】実開平3−52770号公報
【特許文献3】実開平5−29001号公報
【特許文献4】特開2009−73314号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、これら車両用表示装置は、運転者前方のインストルメントパネル上部に設けられることが多く、フロントガラスを介して太陽光の熱射を受けたり、背後に十分な放熱スペースを確保し難い環境であるために、特に発熱量の大きな電子部品にあっては、高熱とならないような工夫が必要であり課題となっていた。
【0007】
また、上述表示ユニットを備えた車両用表示装置にあっては、この表示ユニットを搭載した分だけ車両用表示装置内のスペースが狭くなり、ヒートシンクや放熱フィンなど放熱部材を実装するスペースが限られてしまうため、更に効率の良い熱伝達、放熱の構造が求められていた。
【0008】
そこで本発明の目的は、上述した課題に着目し、回路基板に実装された発熱部品が発する熱を効率良く放出できる車両用表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の車両用表示装置は、表示パネルと、この表示パネルの表示領域を臨む開口部を形成するとともに前記表示パネルを収納するケースとを設けた表示ユニットと、前記表示ユニットの背後に配置され、前記表示パネルと配線を介して電気的に接続する回路基板とを備えた車両用表示装置であって、前記ケースは、金属材料からなり、前記回路基板に実装される発熱部品の近傍箇所に、前記回路基板と接する当接部を設けてなることを特徴とする。
【0010】
また、前記表示パネルは、液晶表示パネルからなり、前記ケースは、前記液晶表示パネルとこの液晶表示パネルを透過照明するバックライトとを収納してなり、前記バックライトの発熱が前記ケースへ伝達されるように形成されてなることを特徴とする。
【0011】
また、前記バックライトは、前記ケース内の一辺側に設けられ、導光部材を介して前記液晶表示パネルを透過照明し、前記当接部は、前記ケースの他辺側から延設されてなることを特徴とする。
【0012】
また、前記ケースは、前記当接部によって、前記回路基板に位置決めされてなることを特徴とする。
【0013】
また、前記発熱部品と前記当接部とは、前記回路基板に形成された銅箔パターンを介して接続してなることを特徴とする。
【0014】
また、前記表示パネルの表示領域を臨むための窓部と、前記表示ユニットと前記回路基板とを収納する収納部とを設けてなる筐体を備えてなり、前記表示パネルの表示側に放熱用空間を設けてなることを特徴とする。
【0015】
また、前記筐体内に収納される前記表示ユニット以外の表示機器と、前記回路基板に前記表示機器を制御するための回路とを備え、前記ケースは、前記表示機器の一部に熱伝達可能に接する接触部を設けてなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、液晶や有機ELなどの表示パネルを金属ケースに収納してなる表示ユニットと発熱部品を実装する回路基板と備えてなる車両用表示装置に関し、回路基板に実装された発熱部品が発する熱を効率良く放出できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施の形態における車両用表示装置を示す平面図。
【図2】同上実施の形態における組み付け前の表示ユニットと回路基板とを示す斜視図。
【図3】同上実施の形態における組み付け前の表示ユニットと回路基板とを示す平面図。
【図4】同上実施の形態における組み付け後の表示ユニットと回路基板とを示す平面図。
【図5】同上実施の形態における車両用表示装置の要部を断面にて示す図。
【図6】同上実施の形態における表示ユニットと回路基板との要部を断面にて示す図。
【図7】同上実施の形態における別例を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の対象とする表示装置として、車両用計器への適用例にして説明する。
【0019】
図1から図6は本発明の実施の形態を示すもので、車両用計器に搭載される指針の指示によるアナログ式計器と液晶表示パネルを用いた表示パネルによる表示装置を例にして説明する。
【0020】
本実施の形態による車両用計器は、例えば自動車のダッシュボードに搭載されるコンビネーションメータからなるもので、図1,5に示すように外装部材である窓部C1を備えた筐体Cの内部には、速度計(スピードメータ)、エンジン回転計(タコメータ)などの情報を表示する表示部材である周知な指針式の計器からなるアナログ式の指示計器(他の表示機器)Mが収納固定されるとともに、この指示計器Mの間にはフラットディスプレイパネルとなる表示ユニット1を備えたデジタル式表示部Dが配置されている。なお、筐体Cは、アクリルなどの透明樹脂からなる窓部C1と、後述する回路基板などを収納するとともに前記回路基板を保持する収納部C2とを備えている。
【0021】
この場合、各指示計器Mを構成する計器本体(図示せず)の前面側には表示板Pが取り付け固定され、指示計器Mに設けられた指針Sの指示と表示板Pに施された目盛や文字などの表示部P1とが窓部C1から臨むようにして対比判読できる。また、表示板Pには、中央箇所に開口孔部P2が設けられ、この開口孔部P2を介して表示ユニット1の表示形態(車両の表示情報)が読み取れるように設けられている。また、表示板Pや表示ユニット1と窓部C1とによって放熱用空間Kが設けられており、この放熱用空間K内で指針Sが回動可能に備えられている。
【0022】
表示ユニット1は、図2に示すように、略矩形板状からなる液晶表示パネル11と、この液晶表示パネル11の表示領域を臨む開口部12aを形成するとともに、液晶表示パネル11を収納するケース12と、回路基板2とコネクタ接続するためのフレキシブルプリント配線板(配線)13と、図5,6に示すように、液晶表示パネル11の一辺側に対向するケース12の周壁内側面における一側面側に設けられる発光ダイオード(バックライト)14と、液晶表示パネル11とケース12との間に配置され発光ダイオード14に対向する受光部15aを有する導光部材15と、導光部材15の前面側に配置された拡散シートやプリズムシートなどの光学フィルム16と、を備えている。
【0023】
液晶表示パネル11は、マトリクス状に設けられた画素(ドット)を有するドットマトリクス型である。詳細な構成については省略するが(図示せず)、ITOからなる透明電極が形成された前側ガラス基板と後側ガラス基板とを重ね合わせて周囲を封止剤で固定した後、各ガラス基板間に液晶分子を封入し、各ガラス基板に偏光膜を貼ったものである。また、後側ガラス基板の表面側の一端部(四角形の一端)にはフレキシブルプリント配線板13の一端部である表示パネル接続部13aが固着されている。そして、フレキシブルプリント配線板13を通して透明電極に信号(電圧)が印加されると、液晶表示パネル11に例えば燃料計、水温計など車両状態を表示したり、表示車両の走行距離(ODO,TRIP)や時刻、外気温などの様々な情報が表示像として表示できるとともに、発光ダイオード14の点灯によって透過照明されるように構成されている。
【0024】
ケース12は、主に、後部側フレーム12bと、前部側フレーム12cと、当接部12dを形成してなる外部フレーム12eとから構成される。
【0025】
後部側フレーム12bは、詳しく図示しないが、遮光性である例えば白色の合成樹脂からなり、導光部材15や光学フィルム16を保持するとともに、回路基板2に対してスペーサとビス止め接続用の役割を担うボス12fが形成されてなる合成樹脂部と、アルミニウムなど金属材料からなり、発光ダイオード14を保持するとともに、一部分が前部側フレーム12cと接する金属部を有する。後部側フレーム12bによって、発光ダイオード14の発熱を伝達し拡散することができる。
【0026】
前部側フレーム12cは、遮光性である例えば白色の合成樹脂からなり、光学フィルム16および導光板15の周縁部を押さえる縁部12gと、この縁部12gから後部側フレーム12b側に延びる側壁部12hを有している。液晶表示パネル11は前部側フレーム13の縁部12gに配置されるように構成されている。前部側フレーム12cが、後部側フレーム12bとともに、導光部材15や光学フィルム15、発光ダイオード14などの液晶表示パネルのバックライト構造を収納保持している。
【0027】
外部フレーム12eは、アルミニウムなどの金属材料からなり、液晶表示パネル11の表示領域を開口する開口部12aを形成し、表示板Pと接するように設けられる。また、外部フレーム12eは、前部側フレーム13の縁部12gに配置された液晶表示パネル11の周縁部分を押さえるとともに、発光ダイオード14の設置位置と離れた側の周壁12iから延設され回路基板2と接するための当接部12dを形成してなる。当接部12dは、回路基板2の孔部21に挿通することによって、回路基板2に対して位置決めできる。また、当接部12dは、半田が濡れ易いようにめっき処理などの表面加工がなされるとともに、後述する発熱部品に近い位置で当接部12dの回路基板2挿通部分が折り曲げられ、回路基板2に接する。
【0028】
また、外部フレーム12eの開口部12a近傍には、表示ユニット1以外の表示機器である指示計器Mの表示板Pと熱伝達可能に接する接触部12jを設けており、表示板Pを介して、表示板Pや液晶表示パネル11の表示側の放熱用空間Kへ放熱することができる。
【0029】
ケース12は、組み付け時に当接部12dを回路基板2の孔部21に挿通して位置決めするとともに、後部側フレーム12bのボス12fによって回路基板2にビス止め保持される。また、このビス止め保持された状態で、当接部12dにおける回路基板2の挿通部分を折り曲げて、回路基板2の銅箔パターン22に半田接続される。なお、この半田接続は、熱伝達するための当接部12dと銅箔パターン22との接触面積を確保するためのものであり、省くこともできる。また、ケース12は、フレキシブルプリント配線板13を介して回路基板2に実装されたコネクタ23と接続され、別途設けられる回路基板2に設けられる回路によって、液晶表示パネル11や発光ダイオード14への電源や制御信号が供給される。
【0030】
フレキシブルプリント配線板13は、例えばポリイミド樹脂からなる合成樹脂製のベースフィルムに、液晶表示パネル11の電極部に接続される銅箔からなる導電部を例えばエッチング法で形成した後、絶縁保護となる保護フィルムを貼り合わせたものである。前述したように、一端側が液晶表示パネル11と接続される表示パネル接続部13aは液晶表示パネル11の電極露出面に接続し固着されている。フレキシブルプリント配線板13の他端側はコネクタ3と接続されるコネクタ接続部13bとなっている。
【0031】
また、フレキシブルプリント配線板13のコネクタ接続部13b側には、例えば、コネクタ接続部13bに設けられた銅箔部が露出した電極端子部(図示せず)を施した面と反対側に面した領域にはポリイミド樹脂からなる補強板13cが部分的に重ね合わせて貼り付けられている。この補強板13cによって通常のフレキシブルプリント配線板13の硬さに対してコネクタ接続部13b箇所の剛性が高められているためコネクタ23側への挿入が良好に行われるように設けられている。
【0032】
また、フレキシブルプリント配線板13は、表示パネル接続部13aとコネクタ接続部13cとの間において、導電性両面テープ13dを用いて導電性の金属ケース12に接着される。この際、導電性両面テープ13dは、フレキシブルプリント配線板13の接地端子とケース12とが通電されるように、それぞれ電気的に接続して接着する。
【0033】
なお、フレキシブルプリント配線板13は、液晶表示パネル11を駆動するための信号線を設けるとともに、少なくとも片面側にケース12に接続された導電層を設けている。また、前記導電層は、コネクタ23を介して回路基板2の接地用配線に接続される。
【0034】
また、フレキシブルプリント配線板13は、固定部13eを設けており、表示ユニット1の裏面側、本実施の形態においてはケース12の裏面側(後部側フレーム12b)に固着される箇所である。また、本実施の形態においては、例えば、両面接着テープなどを用いてケース12の裏面側に固定保持される。
【0035】
発光ダイオード14は、チップLEDを適用でき、ケース12の後部側フレーム12bの一辺側に導光部材15の受光部に対向して複数個が列状に設けられ、図示しない配線によって、フレキシブルプリント配線板13に電気的に接続している。
【0036】
導光部材15は、無色透明なアクリルあるいはポリカーボネートなどの合成樹脂からなり、発光ダイオード14に対向する側面にはレンズ形状の受光部15aが設けられている。また、裏面(回路基板2側の面)には微細な凹凸(シボ)が形成されており、受光部15aから導光部材15内に入射した発光ダイオード14からの光が前記凹凸で反射して、導光部材15の表面側に向かうようになっている。この導光部材15は後部側フレーム12b内に収納されるように配置されている。
【0037】
光学フィルム16は、前述したように拡散シートやプリズムシートなどを用いることができ、液晶表示パネル11への透過光に斑がでないようにするためのものである。導光部材15や光学フィルム16は、後部側フレーム12内に収納され、図示しないが、前部側フレーム13の側壁部12hを後部側フレーム12bに係合することによって光学フィルム16の周縁部分が前部側フレーム12cの縁部12gによって押さえられるとともに、導光部材15や光学フィルム16が後部側フレーム12bと前部側フレーム12cとによって挟み込まれるようにして保持された状態で組み付けられるようになっている。
【0038】
回路基板2は、例えば、エポキシ系の樹脂材料からなる基板に銅箔の配線パターンを施した硬質のプリント基板を適用でき、コネクタ23の他に図示はしないが液晶表示パネル11や発光ダイオード14、または指示計器Mを駆動させるためのマイクロコンピュータなどからなる制御回路やパワートランジスタ(発熱部品)25などのレギュレータ回路を含む電源回路などの電子部品が実装されている。また、回路基板2には切り欠き部24が設けられている。なお、このパワートランジスタは、駆動に大きな発熱をともなう部品であり、また、耐熱温度が仕様設定されているため、熱を取り除く必要がある。
【0039】
パワートランジスタ25は、銅箔パターン22に半田接続されるととも、その近傍に、同じ銅箔パターン22と半田接続されるケース12の当接部12dが設けられており、パワートランジスタ25の発熱は、半田と、銅箔パターン22と、当接部12dを有するケース2と、ケース2の開口部12aによって、計器表示面側の放熱用空間Kへ伝達されて放熱することができる。また、ケース12に接する文字板Pへ熱伝達されることによって、その放熱面積を広く確保できるため、より大きな放熱効果を得ることができる。
【0040】
なお、パワートランジスタ25と当接部12dは、その距離が近いほど熱伝達効率が高くなるが、少なくとも、回路基板2上において10mm以内の距離にて設けられることで熱の伝達が効果的である。また、上述のように銅箔パターン22を介在して接することによって、熱伝達の効率を高めることができる。また、銅箔パターン22を接地接続することによって、計器表示面側からの静電気をケース12を介して回路基板2から積極的に出力するようにでき、液晶表示パネル11や他の電子機器への影響を防止する構造となる。
【0041】
また、回路基板2は、切り欠き部24によって、フレキシブル配線板13を短く設計することができ、フレキシブルプリント配線板13に関係するノイズや抵抗の影響を小さくすることができる。また、前述した表示ユニット1に対するビス止め前であってもビス止め後であってもフレキシブルプリント配線板13をコネクタ23に接続できるため、表示ユニット1を回路基板2に組み付けやすくできる。
【0042】
また、回路基板2は、車両用計器外の機器(例えば、ECUや各種センサ)との情報通信や電源取り込み用の配線ケーブルHと接続されている。また、コネクタ23は、回路基板2の切り欠き部24の端部箇所近傍に配置されて実装されるとともに、コネクタ接続部13bが挿入されるコネクタ23への挿入方向を回路基板2の実装面とほぼ平行になるように設けている。この場合、回路基板2は、後部側フレーム12bのボス12fに、ビスによって4箇所固定されるように設けられている。また、回路基板2は、筐体Cの収納部C1に設けられるフックやビス止めによって、筐体C内に固定保持されている。
【0043】
斯かる車両用表示装置は、液晶表示パネル11と、この液晶表示パネル11の表示領域を臨む開口部12aを形成するとともに液晶表示パネル11を収納するケース12とを設けた表示ユニット1と、表示ユニット1の背後(表示方向の反対側)に配置され、液晶表示パネル11とフレキシブル配線板(配線)13を介して電気的に接続する硬質の回路基板2とを備えた車両用表示装置であって、ケース12は、金属材料からなり、回路基板2に実装されるパワートランジスタ(発熱部品)25の近傍箇所に、回路基板2と接する当接部12dを設けてなる。
【0044】
従って、パワートランジスタ25の発熱をケース12へ伝達することができるため、パワートランジスタ25やその周辺の電子部品の温度上昇を抑制することができ、かつ、金属材料のケース12を用いることによって、パワートランジスタ25から効率良く熱を放出できる車両用表示装置となる。
【0045】
また、表示パネルは、液晶表示パネル11を用いてなり、ケース12は、液晶表示パネル11とこの液晶表示パネル11を透過照明する発光ダイオード(バックライト)14とを収納してなり、発光ダイオード14の発熱がケース12へ伝達されるように設けられてなることによって、回路基板2の発熱部品だけでなく表示ユニット1の発光ダイオード14の発熱も拡散することができる。なお、発光ダイオード14の発熱は、前述したパワートランジスタ25の発熱と同様に、ケース12や表示板Pを介して放熱用空間Kに放熱することができる。
【0046】
また、発光ダイオード14は、ケース12内の一辺側に設けられ、導光部材15を介して液晶表示パネル11を透過照明し、当接部12dは、ケース12の他辺側から延設されてなることによって、発光ダイオード14によって温まりやすいケース12の一部分から離れた箇所にて回路基板2の発熱部品の発熱を伝達させることができるため、パワートランジスタ25が発する熱の主要伝達経路と、発光ダイオード14が発する熱の主要伝達経路とをわけることができ、効率よく熱伝達することが可能となる。
【0047】
また、ケース12は、当接部12dによって、回路基板2に位置決めされてなることによって、熱伝達以外の用途を兼用して設けることができる。
【0048】
また、パワートランジスタ25と当接部12dとは、回路基板2に形成された銅箔パターン22を介して接続してなることによって、熱伝導効率の良い材質にて効率よく熱伝達することができる。
【0049】
また、液晶表示パネル11の表示領域を臨むための窓部C1と、表示ユニット1と回路基板2とを収納する収納部C2とを設けてなる筐体Cを備えてなり、液晶表示パネル11の表示側に放熱用空間Kを設けてなることによって、回路基板2の背後(車体側)に放熱スペースの余裕がない場合であっても、ケース12を用いた熱伝達を利用し、放熱スペースを確保できる。
【0050】
また、筐体C内に収納される表示ユニット1以外の表示機器となる指示計器Mと、回路基板2に指示計器Mを制御するための電源回路や制御回路(回路)とを備え、ケース12は、指示計器Mの一部である表示板Pに熱伝達可能に接する接触部12jを設けてなることによって、放熱用空間Kに放熱するための表面積を広くすることができる。なお、表示板Pは、金属材料など熱伝導率の高いものを適用することによって更に熱伝達の効率を高めることができる。また、表示板Pに微細な凹凸を設けるなどして表面積を広くすることによって更に効率の良い放熱構造とすることができる。
【0051】
なお、本発明の車両用表示装置を上述した実施の形態の構成にて例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、他の構成においても、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の改良、並びに設計の変更が可能なことは勿論である。
【0052】
例えば、上述した実施の形態において、当接部12dが、銅箔パターン22に半田接続するものを示したが、ボス12fを用いて表示ユニット1をビス止めする際に、図7に示すように、パワートランジスタ(発熱部品)25の近傍に銅箔パターン22や当接部12dを挟んでビスBにて固定保持することもでき、上述した実施の形態よりも組み付け効率を高めることができる。
【0053】
更に、同様の符号を付して詳しく図示しないが、パワードトランジスタ25がビス止めタイプのものであれば、回路基板2とその銅箔パターン22、パワートランジスタ25、当接部12dをすべて貫いてボス12fにビス止めすることもできる。この場合、対象となる発熱部品と熱伝達媒体となる当接部12dを有するケース12とが、回路基板2を介するだけでなく直接に接するため、さらに熱伝達の効率を高めることができる。
【0054】
また、前述した実施の形態においては、パワートランジスタ22を発熱部品として例に挙げて説明したが、回路基板2に実装される発熱し易い電子部品であればよく、例えば、指示計器Mの照明用発光ダイオードやマイクロコンピュータなどの半導体を適用し、近傍に上述した当接部12dを設けることによって、同様の効果を得ることができる。また、表示パネルとしてバックライトを有する液晶表示パネル11を例に挙げたが、蛍光表示管(VFD)や有機ELなどの表示デバイスを適用することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、例えば、自動車やオートバイ、あるいは農業機械や建設機械を備えた移動体に搭載される車両用表示装置に適用できる。
【符号の説明】
【0056】
1 表示ユニット
11 液晶表示パネル(表示パネル)
12 ケース
12a 開口部
12b 後部側フレーム
12c 前部側フレーム
12d 当接部
12e 外部フレーム
12f ボス
12i 周壁
13 フレキシブルプリント配線板(配線)
14 発光ダイオード(バックライト)
15 導光部材
15a 受光部
16 光学フィルム
2 回路基板
21 孔部
22 銅箔パターン
25 パワートランジスタ(発熱部品)
C 筐体
C1 窓部
C2 収納部
M 指示計器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示パネルと、この表示パネルの表示領域を臨む開口部を形成するとともに前記表示パネルを収納するケースとを設けた表示ユニットと、
前記表示ユニットの背後に配置され、前記表示パネルと配線を介して電気的に接続する回路基板とを備えた車両用表示装置であって、
前記ケースは、金属材料からなり、前記回路基板に実装される発熱部品の近傍箇所に、前記回路基板と接する当接部を設けてなることを特徴とする車両用表示装置。
【請求項2】
前記表示パネルは、液晶表示パネルからなり、
前記ケースは、前記液晶表示パネルとこの液晶表示パネルを透過照明するバックライトとを収納してなり、前記バックライトの発熱が前記ケースへ伝達されるように形成されてなることを特徴とする請求項1に記載の車両用表示装置。
【請求項3】
前記バックライトは、前記ケース内の一辺側に設けられ、導光部材を介して前記液晶表示パネルを透過照明し、
前記当接部は、前記ケースの他辺側から延設されてなることを特徴とする請求項2に記載の車両用表示装置。
【請求項4】
前記ケースは、前記当接部によって、前記回路基板に位置決めされてなることを特徴とする請求項1に記載の車両用表示装置。
【請求項5】
前記発熱部品と前記当接部とは、前記回路基板に形成された銅箔パターンを介して接続してなることを特徴とする請求項1に記載の車両用表示装置。
【請求項6】
前記表示パネルの表示領域を臨むための窓部と、前記表示ユニットと前記回路基板とを収納する収納部とを設けてなる筐体を備えてなり、
前記表示パネルの表示側に放熱用空間を設けてなることを特徴とする請求項1に記載の車両用表示装置。
【請求項7】
前記筐体内に収納される前記表示ユニット以外の表示機器と、
前記回路基板に前記表示機器を制御するための回路とを備え、
前記ケースは、前記表示機器の一部に熱伝達可能に接する接触部を設けてなることを特徴とする請求項6に記載の車両用表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−253031(P2011−253031A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−126550(P2010−126550)
【出願日】平成22年6月2日(2010.6.2)
【出願人】(000231512)日本精機株式会社 (1,561)
【Fターム(参考)】