説明

車両用表示装置

【課題】 発進可能な停車状態時に車両始動スイッチがオン状態となっていることを車両利用者に対し的確に報知し、バッテリから無駄な電力が消費される虞のない車両用表示装置を提供する。
【解決手段】 各種車両状態を視覚情報として表示する液晶表示パネル1と、車両始動スイッチのオン操作によって駆動するバッテリーからの電力供給を受けて動作するとともに液晶表示パネル1を動作させる制御手段3とを備え、制御手段3には、車両利用者のスロットルの操作量を検出するスロットル操作量検出部4からの検出信号が受信可能に設けられてなる車両用表示装置において、制御手段3は、車両始動スイッチがオン操作されてから所定時間経過してもスロットルが全閉状態であることを示す検出信号を受信しているとき、車両利用者に対し車両始動スイッチのオフ操作を促すべく、液晶表示パネル1を表示動作させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両状態を視覚情報として表示する表示手段と、この表示手段を動作させる制御手段とを備えた車両用表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、この種の車両用表示装置にあっては、例えば下記特許文献1に記載されているものが知られている。この特許文献1に記載の車両用表示装置は、例えばバッテリを駆動源として走行する電動車両のハンドル中央付近に配設された車両用表示ユニットからなり、電動車両の走行速度やバッテリ残量等の各種車両状態を視覚情報として表示する表示パネル(表示手段)と、この表示パネルを表示動作させるマイクロコンピュータからなる制御手段とを備えている。
【0003】
制御手段は、車両始動スイッチのオン操作によって駆動するバッテリーからの電力供給を受けて動作し、この制御手段には、車両利用者のスロットルの操作量を検出する既知のスロットル操作量検出部や車両に搭載されたサイドスタンドが起立状態であるか否かを検出する既知のスタンド検出部をはじめとする各種センサからの検出信号やバッテリ残量を監視するバッテリ監視回路等をはじめとする各種回路からの入力信号が受信可能に設けられている。そして、制御手段は、これら検出信号や入力信号の入力に基づいて、表示パネルに電動車両の走行速度やバッテリ残量等を表示させるべく、パネル駆動回路に指令信号を出力してなる。
【0004】
パネル駆動回路は、この指令信号を受けて表示パネルを駆動し、これにより表示パネルには、電動車両の走行速度やバッテリ残量等が表示される。電動車両を運転する運転者(車両利用者)は、表示パネルに表示されている電動車両の走行速度表示を見ながら、前記スロットルの操作量を変化させることで、電動車両の走行速度を加速させたり、あるいは減速させたりすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−245403号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述した特許文献1に記載の車両用表示装置において、車両利用者による車両始動スイッチのオン操作によって電動車両が発進可能となったにも係わらず停車状態にあったとする。例えば車両利用者が、電動車両を直ちに発進させずに自身の左手で携帯電話を把持してメールの受信確認等を行いつつ、自身の右手でスロットルを握り、携帯電話のメール確認時間に相当する数分間の間(ここでは5分間とする)継続して、スロットルを全閉状態のままにしてしまったとする。
【0007】
この場合、制御手段は、車両始動スイッチがオン操作された後、車両利用者による前記数分間のメール確認時間の間、前記スロットルが全閉状態であることを示す前記検出信号を継続して受信していることになる。つまり、車両始動スイッチのオン操作後、前記メール確認時間である前記数分間の間は、電動車両の駆動源であるバッテリが駆動し続けていることになる。
【0008】
従って、上述のように車両始動スイッチのオン操作後、車両利用者がメール確認を前記数分間行っている間は、バッテリが駆動しているにもかかわらず電動車両が発進せずに停車している状態となる。このような電動車両の発進可能な停車状態にあっては、当然のことながらバッテリから余計な(無駄な)電力が消費されることになってしまい、バッテリの寿命が短くなってしまうという問題点がある。特に、バッテリ満充電時の走行距離が数十キロメートル程度の電動バイクのごとき電動車両にあっては、如何にしてバッテリの消費電力を抑えるかが重要課題となっている。
そこで本発明は、前述の課題に対して対処するため、発進可能な停車状態時に車両始動スイッチがオン状態となっていることを車両利用者に対し的確に報知し、バッテリから無駄な電力が消費される虞のない車両用表示装置の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、各種車両状態を視覚情報として表示する表示手段と、車両始動スイッチのオン操作によって駆動するバッテリーからの電力供給を受けて動作するとともに前記表示手段を動作させる制御手段とを備え、前記制御手段には、車両利用者のスロットルの操作量を検出するスロットル操作量検出部からの検出信号が受信可能に設けられてなる車両用表示装置において、前記制御手段は、前記車両始動スイッチがオン操作されてから所定時間経過しても前記スロットルが全閉状態であることを示す前記検出信号を受信しているとき、前記車両利用者に対し前記車両始動スイッチのオフ操作を促すべく、前記表示手段を表示動作させることを特徴とする。
【0010】
また本発明は、各種車両状態を視覚情報として表示する表示手段と、車両始動スイッチのオン操作によって駆動するバッテリーからの電力供給を受けて動作するとともに前記表示手段を動作させる制御手段とを備え、前記制御手段には、車両の速度を検出する車速検出部からの車速検出信号が受信可能に設けられてなる車両用表示装置において、前記制御手段は、前記車両始動スイッチがオン操作されてから所定時間経過しても前記車両の速度が零であることを示す前記車速検出信号を受信しているとき、前記車両利用者に対し前記車両始動スイッチのオフ操作を促すべく、前記表示手段を表示動作させることを特徴とする。
【0011】
また本発明は、前記制御手段には、前記車両に搭載されたサイドスタンドが起立状態であるか否かを検出するスタンド検出部からのスタンド検出信号が受信可能に設けられ、前記制御手段は、前記車両始動スイッチがオン操作されてから所定時間経過しても、前記スロットルが全閉状態であることを示す前記検出信号と前記サイドスタンドが起立状態であることを示す前記スタンド検出信号とを同時に受信しているか、もしくは前記車両の速度が零であることを示す前記車速検出信号と前記サイドスタンドが起立状態であることを示す前記スタンド検出信号とを同時に受信しているとき、前記車両利用者に対し前記車両始動スイッチのオフ操作を促すべく、前記表示手段を表示動作させることを特徴とする。
【0012】
また本発明は、前記表示手段は、前記車両の速度を表示する車速表示部と、前記車両の走行距離を表示する走行距離表示部とを備え、前記制御手段は、前記車速表示部または前記走行距離表示部に前記車両始動スイッチのオフ操作を促す警告表示を表示もしくは点滅表示させるべく、前記表示手段を表示動作させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、初期の目的を達成でき、発進可能な停車状態時に車両始動スイッチがオン状態となっていることを車両利用者に対し的確に報知し、バッテリから無駄な電力が消費される虞のない車両用表示装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1実施形態による車両用表示装置の電気的構成を示すブロック図。
【図2】同実施形態による車両用表示装置の正面図。
【図3】同実施形態による停車時における車両始動スイッチのオフ操作を促す警告表示の一例を示す図。
【図4】本発明の第2実施形態による停車時における車両始動スイッチのオフ操作を促す警告表示の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第1実施形態)以下、図1〜図3に基づいて本発明の第1実施形態を例えばバッテリを駆動源として走行する電動バイク(以下、電動車両と言う)に搭載された車両用表示ユニットに適用した場合を例に挙げて説明する。なお、以下の説明では、本発明の理解を容易にするために、公知の技術的事項の説明を適宜省略する。
【0016】
図1は、前記車両用表示ユニットである車両用表示装置の電気的構成を示すブロック図であり、前記車両用表示ユニットは、各種車両状態を視覚情報として表示する液晶表示パネル(表示手段)1と、この液晶表示パネル1をバックライト照明するための発光体2と、液晶表示パネル1を表示動作させるとともに発光体2を点灯動作させる制御手段3とから主に構成され、車両(電動車両)を運転する運転者(車両利用者)が運転中に確認し易いように、電動車両のハンドル中央付近に設けられている。
【0017】
なお、液晶表示パネル1や発光体2、制御手段3は、前記車両用表示ユニットの外装ケースである合成樹脂からなる図示しないケース体に収容されているものとする。
【0018】
液晶表示パネル1は、例えばマトリクス状に配設された複数の画素を有する周知のドットマトリクス型液晶表示素子からなる。かかる液晶表示パネル1は、電動車両の走行速度(速度)を表示する車速表示部11と、電動車両の走行距離を表示する走行距離表示部12と、バッテリの残量をバーグラフ表示するバッテリ残量表示部13とを備えている(図2参照)。
【0019】
この場合、車速表示部11は、電動車両の走行速度をデジタル的に表示する表示部からなり、車両利用者によるスロットルの操作量によって車速表示部11にデジタル表示されている車速値が増加もしくは減少するようになっている。また走行距離表示部12は、電動車両の走行距離をデジタル的に表示する表示部からなり、本例の場合、走行距離表示部12には電動車両がこれまで走行した総距離を積算して表示する積算走行距離が表示されている。
【0020】
また、図2中、11aは、車速表示部11の単位を示す「km/h」なる第1の単位表示部であり、12aは、走行距離表示部12の単位を示す「km」なる第2の単位表示部である。なお、液晶表示パネル1の表示面に前記視覚情報として表示されることになる車速表示部11、走行距離表示部12並びにバッテリ残量表示部13は、車両利用者側からそれぞれ容易に視認可能となっていることは言うまでもない。
【0021】
なお、本例では、表示手段1として、液晶表示パネルを採用しているが、例えば液晶表示パネルではなく有機ELパネルを表示手段1として採用してもよい。なお、表示手段1として有機ELパネルを採用する場合、発光体2は不要となる。
【0022】
発光体2は、例えば適宜色を発するチップ型発光ダイオード(LED)からなり、液晶表示パネル1の背後側に配置され、液晶表示パネル1に照明光を供給する発光素子である。なお、発光体2は、液晶表示パネル1の背後側に位置する図示しない回路基板上に実装されている。
【0023】
制御手段3は、処理動作のプログラムが記憶されたROMや演算値を一時的に記憶するRAM、前記プログラムを実行するためのCPU等を有するマイクロコンピュータからなり、前記回路基板上に実装され、車両始動スイッチ(図示せず)のオン操作によって駆動するバッテリからの電力供給を受けて動作するようになっている。
【0024】
そして、本例の場合、制御手段3の入力側には、車両利用者によるスロットルの操作量を検出するためのスロットル操作量検出部4と、電動車両の走行速度を検出するための車速検出部5と、電動車両に搭載されたサイドスタンドが起立状態であるか否かを検出するためのスタンド検出部6と、バッテリの残量を監視するためのバッテリ監視回路7とが接続されている。つまり制御手段3には、スロットル操作量検出部4からの検出信号と、車速検出部5からの車速検出信号と、スタンド検出部6からのスタンド検出信号と、バッテリ監視回路7からの入力信号とが受信可能に設けられている。
【0025】
制御手段3は、車両利用者によるスロットルの操作量を検出するスロットル操作量検出部4からの前記検出信号や車両の走行速度を検出する車速検出部5からの前記車速検出信号、サイドスタンドが起立状態であるか否かを検出するスタンド検出部5からの前記スタンド検出信号、バッテリの残量を監視するバッテリ監視回路6からの前記入力信号を専用ケーブルを介して入力し、これら各検出信号や入力信号の入力に基づいて所定の演算処理を行い、液晶表示パネル1を表示動作させるための制御信号を生成し出力する。
【0026】
この制御手段3から出力される制御信号は、液晶表示パネル1を駆動させるパネル駆動回路に入力される。すると、パネル駆動回路は、前記制御信号を受けて液晶表示パネル1を駆動し、これにより液晶表示パネル1に設けられた車速表示部11に電動車両の走行速度がデジタル表示されるとともに液晶表示パネル1に設けられた走行距離表示部12に電動車両の積算走行距離がデジタル表示され、さらに液晶表示パネル1に設けられたバッテリ残量表示部13にバッテリの残量がバーグラフ表示される。
【0027】
次に、車両始動スイッチがオフされた停車状態の電動車両を車両利用者が発進させるようとする際の制御手段3の処理動作について説明する。まず、車両利用者は、前記サイドスタンドを起立状態ではなく格納状態(跳ね上げ状態)とするとともに両足が地面に着くように停車状態の電動車両に搭乗し、車両始動スイッチをオン操作すると、バッテリが駆動する。
【0028】
このように車両利用者によって車両始動スイッチがオン操作されると(つまりバッテリが駆動すると)、制御手段3は、前記スロットルが全閉状態であることを示す前記検出信号と前記入力信号とを受信し、これら前記検出信号及び前記入力信号に基づいて、前記パネル駆動回路に制御信号を出力する。
【0029】
そして、パネル駆動回路は、この制御信号を受けて液晶表示パネル1を駆動し、これにより車速表示部11には車速値が「0」であることを示す表示がなされるとともに走行距離表示部12には現時点での積算走行距離の表示がなされ、さらにバッテリ残量表示部13には現時点でのバッテリ残量が表示される。
【0030】
そして、車両利用者によって車両始動スイッチがオン操作され、車速表示部11に「0」なる車速値が表示されてから所定時間(例えば20秒)経過しても、車両利用者が電動車両を直ちに発進させずに前記スロットルを全閉状態のままにしていたとする。この際、制御手段3は、車両始動スイッチがオン操作されてから前記所定時間が経過しても前記スロットルが全閉状態であることを示す前記検出信号を継続して受信していることになる。
【0031】
ところで、本発明の特徴点は、上記のように制御手段3が、車両始動スイッチがオン操作されてから前記所定時間が経過しても前記スロットルが全閉状態であることを示す前記検出信号を継続して受信しているとき、車両利用者に対し車両始動スイッチのオフ操作を促すべく、前記パネル駆動回路に制御信号を出力する(液晶表示パネル1を表示動作させる)制御を行う点にある。
【0032】
このとき、前記パネル駆動回路は、この制御信号を受けて液晶表示パネル1を駆動する。具体的には、これまで車速表示部11に表示されていた「0」なる車速値を、車両始動スイッチのオフ操作を促す「OFF」なる文字表示に切り替え表示させるべく、前記パネル駆動回路が、液晶表示パネル1を駆動し、これにより液晶表示パネル1における車速表示部11には、図3に示すように車両始動スイッチのオフ操作を促す「OFF」なる警告表示14が表示される。
【0033】
なお、詳細図示は省略するが、図3中、「OFF」なる文字表示の上側に「メインスイッチ」なる文字が表示されているものとする。これにより車両利用者に対し、車両始動スイッチである前記メインスイッチのオフ操作を促すようになっている。また、このとき、第1の単位表示部11aの表示は非表示状態となる。
【0034】
すると、前記車両用表示ユニットと対面するように電動車両に搭乗している車両利用者は、この車両始動スイッチのオフ操作を積極的に促す「OFF」なる警告表示14を容易に視認することが可能となる。
【0035】
従って、車両利用者が、車両始動スイッチのオン操作後、携帯電話のメール受信確認等を前記所定時間が経過しても継続して行っていた場合、車両始動スイッチのオフ操作を積極的に促す「OFF」なる警告表示14が液晶表示パネル1に表示されることで、発進可能な停車状態時に車両始動スイッチがオン状態のままであることを車両利用者に対し的確に報知することができる。
【0036】
そして、この警告表示14を見た車両利用者は、車両始動スイッチをオフ操作するのを忘れていたことに気づき、例えば前記所定時間が経過してから10秒後(つまり車両始動スイッチがオン操作されてから30秒後)に車両始動スイッチのオフ操作を実行すれば、その時点でバッテリの駆動が停止すると同時に液晶表示パネル1に表示されていた前記視覚情報の表示が全て非表示状態となる。
【0037】
従って、従来の場合、車両始動スイッチがオン操作されてから前記メール確認時間に相当する前記数分間(5分間)の間、電動車両が発進可能な停車状態となりバッテリが駆動し続けていることに起因して、バッテリから余計な(無駄な)電力が消費されてしまうが、本実施形態の場合、警告表示14の表示に気付いた車両利用者が例えば前述したように車両始動スイッチがオン操作されてから30秒後に車両始動スイッチをオフ操作しバッテリ駆動を停止させることで、バッテリから余計な(無駄な)電力が消費されるのを抑制し、バッテリの寿命を効率よく引き延ばすことが可能となる。特に、バッテリ満充電時の走行距離が数十キロメートル程度の電動バイクのごとき電動車両にあっては、本発明が有効となり得る。
【0038】
なお、電動車両には、それに搭載された前照灯を点灯させるためのライトスイッチが前記ハンドルの所定箇所に設けられ、制御手段3は、車両利用者が前記ライトスイッチをオン操作したことを示す操作入力信号を受信すると、前記前照灯を点灯させるべく、発光体2を駆動する発光体駆動回路に指令信号を出力する。発光体駆動回路は、この指令信号を受けて、発光体2を駆動し、これにより発光体2が点灯し、液晶表示パネル1がバックライト照明されるようになっている。
【0039】
以上にように本実施形態では、各種車両状態を前記視覚情報として表示する液晶表示パネル1と、車両始動スイッチのオン操作によって駆動するバッテリーからの電力供給を受けて動作するとともに液晶表示パネル1を動作させる制御手段3とを備え、制御手段3には、車両利用者のスロットルの操作量を検出するスロットル操作量検出部4からの前記検出信号が受信可能に設けられてなる車両用表示装置において、制御手段3は、車両始動スイッチがオン操作されてから前記所定時間経過しても前記スロットルが全閉状態であることを示す前記検出信号を受信しているとき、車両利用者に対し車両始動スイッチのオフ操作を促すべく、液晶表示パネル1を表示動作させるものである。
【0040】
従って、車両始動スイッチがオン操作された後、車両利用者が電動車両を直ちに発進させずに停車させている場合、前記所定時間(例えば車両始動スイッチがオン操作されてから20秒)が経過すると液晶表示パネル1に車両始動スイッチのオフ操作を促す「OFF」なる警告表示14が表示されるため、発進可能な停車状態時に車両始動スイッチがオン状態となっていることを車両利用者に対し素早く且つ的確に報知することが可能となる。また、警告表示14を見た車両利用者が前記所定時間が経過してから10秒後(つまり車両始動スイッチがオン操作されてから30秒)に車両始動スイッチのオフ操作を実行すれば、その時点でバッテリの駆動が停止することになるため、従来に比べてバッテリから無駄な電力が消費される虞のない車両用表示装置を提供することができる。
【0041】
また本実施形態では、液晶表示パネル1が、車両の走行速度を表示する車速表示部11と、車両の走行距離(積算走行距離)を表示する走行距離表示部12とを備え、制御手段3は車速表示部11に車両始動スイッチのオフ操作を促す「OFF」なる警告表示14を表示させるべく、液晶表示パネル1を表示動作させることにより、既存の車速表示部11には車両始動スイッチのオフ操作を促す警告表示14が表示されるため、車両始動スイッチのオフ操作を促すための専用の警告表示部を別途設けることが不要となるため、車両用表示装置(前記車両用表示ユニット)の構成を簡素化することができる。
【0042】
また本実施形態では、車両始動スイッチのオフ操作を促す「OFF」なる警告表示14が車速表示部11に表示された例について説明したが、例えば車速表示部11に表示されている警告表示14を点滅表示もしくは動画表示させてもよい。このように警告表示14を点滅表示(もしくは動画表示)させることで、車両利用者に対する警告表示14の注意喚起力をより高めることができる。なお、警告表示14は、車速表示部11ではなく走行距離表示部12に表示、点滅表示もしくは動画表示させるようにしてもよいことは言うまでもない。
【0043】
また本実施形態の場合、制御手段3は、車両始動スイッチがオン操作されてから前記所定時間経過しても前記スロットルが全閉状態であることを示す前記検出信号を受信していると、液晶表示パネル1に警告表示14を表示させるべく液晶表示パネル1を表示動作させるものであったが、例えば制御手段3は、車両始動スイッチがオン操作されてから前記所定時間経過しても車両の速度が零であることを示す前記車速検出信号を受信しているとき、液晶表示パネル1に警告表示14を表示させるべく(車両始動スイッチのオフ操作を促すべく)液晶表示パネル1を表示動作させるものであってもよい。
【0044】
(第2実施形態)次に、本発明の第2実施形態を図4に基づいて説明するが、前述の第1実施形態と同一もしくは相当個所には同一の符号を用いてその詳細な説明は省略する。この第2実施形態においては、車両始動スイッチのオン操作に伴い電動車両が発進可能な停車状態であると同時に車両に搭載されたサイドスタンドの先端側が路面に接触して電動車両が自立状態(起立状態)となっている。
【0045】
次に、本第2実施形態における制御手段3の処理動作について説明する。なお、以下の説明では、車両始動スイッチがオフされた停車状態の電動車両を車両利用者が発進させるようとする際の制御手段3の処理動作について説明することにする。まず、車両利用者は、サイドスタンドを起立状態とするとともに両足が地面に着くように停車状態の電動車両に搭乗し、車両始動スイッチをオン操作すると、バッテリが駆動する。
【0046】
このように車両利用者によって車両始動スイッチがオン操作されると(つまりバッテリが駆動すると)、制御手段3は、前記スロットルが全閉状態であることを示す前記検出信号とサイドスタンドが起立状態であることを示す前記スタンド検出信号と前記入力信号とを受信し、これら前記検出信号、前記スタンド検出信号並びに前記入力信号に基づいて、前記パネル駆動回路に制御信号を出力する。
【0047】
そして、パネル駆動回路は、この制御信号を受けて液晶表示パネル1を駆動し、これにより車速表示部11には車速値が「0」であることを示す表示がなされるとともに走行距離表示部12には現時点での積算走行距離の表示がなされ、さらにバッテリ残量表示部13には現時点でのバッテリ残量が表示される。
【0048】
そして、車両利用者によって車両始動スイッチがオン操作され、車速表示部11に「0」なる車速値が表示されてから前記所定時間経過しても、車両利用者が電動車両を直ちに発進させずに前記スロットルを全閉状態のままにしているとする。このとき、制御手段3は、前記スロットルが全閉状態であることを示す前記検出信号とサイドスタンドが起立状態であることを示す前記スタンド検出信号とを同時に受信していることになる。
【0049】
このように制御手段3は、車両始動スイッチがオン操作されてから前記所定時間が経過しても、前記スロットルが全閉状態であることを示す前記検出信号とサイドスタンドが起立状態であることを示す前記スタンド検出信号とを同時に受信しているとき、車両利用者に対し車両始動スイッチのオフ操作を促すべく、前記パネル駆動回路に制御信号を出力する(液晶表示パネル1を表示動作させる)制御を行うようになっている。
【0050】
このとき、前記パネル駆動回路は、この制御信号を受けて液晶表示パネル1を駆動する。具体的には、これまで走行距離表示部12に表示されていた「12345」なる積算走行距離値を、サイドスタンドが起立状態となってからの経過時間に切り替え表示させるべく、前記パネル駆動回路が、液晶表示パネル1を駆動し、これにより液晶表示パネル1における走行距離表示部12には、図4に示すように車両始動スイッチがオン操作されてからサイドスタンドが起立状態となっている時間がカウントアップ表示(警告表示)15として表示される。なお、このとき、第2の単位表示部12aの表示は非表示状態となる。
【0051】
すると、前記車両用表示ユニットと対面するように電動車両に搭乗している車両利用者は、前述の警告表示であるカウントアップ表示15(つまり車両始動スイッチがオン操作されてからサイドスタンドが起立状態となっている時間)を容易に視認することが可能となる。
【0052】
従って、車両利用者が、車両始動スイッチのオン操作後、携帯電話のメール受信確認等を前記所定時間が経過しても継続して行っていた場合、車両始動スイッチのオフ操作を積極的に促すカウントアップ表示15が液晶表示パネル1に表示されることで、発進可能な停車状態時に車両始動スイッチがオン状態のままであることを車両利用者に対し的確に報知することができる。
【0053】
そして、このカウントアップ表示15を見た車両利用者は、車両始動スイッチをオフ操作するのを忘れていたことに気づき、例えば前記所定時間が経過してから10秒後(つまり車両始動スイッチがオン操作されてから30秒後)に車両始動スイッチのオフ操作を実行すれば、その時点でバッテリの駆動が停止すると同時に液晶表示パネル1に表示されていた前記視覚情報の表示が全て非表示状態となる。
【0054】
従って、本第2実施形態の場合においても、カウントアップ表示15の表示に気付いた車両利用者が例えば前述したように車両始動スイッチがオン操作されてから30秒後に車両始動スイッチをオフ操作しバッテリ駆動を停止させることで、バッテリから余計な(無駄な)電力が消費されなくなり、前記第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0055】
また本第2実施形態では、制御手段3は走行距離表示部12に車両始動スイッチのオフ操作を促す警告表示であるカウントアップ表示15を表示させるべく、液晶表示パネル1を表示動作させることにより、既存の走行距離表示部12には車両始動スイッチのオフ操作を促すカウントアップ表示15が表示されるため、車両始動スイッチのオフ操作を促すための専用の警告表示部を別途設けることが不要となるため、車両用表示装置(前記車両用表示ユニット)の構成を簡素化することができる。
【0056】
また本第2実施形態の場合、制御手段3は、前記所定時間が経過しても前記スロットルが全閉状態であることを示す前記検出信号とサイドスタンドが起立状態であることを示す前記スタンド検出信号とを同時に受信しているとき、液晶表示パネル1に警告表示であるカウントアップ表示15を表示させるべく、液晶表示パネル1を表示動作させるものであったが、例えば制御手段3は、前記所定時間が経過しても車両の速度が零であることを示す前記車速検出信号とサイドスタンドが起立状態であることを示す前記スタンド検出信号とを同時に受信しているとき、液晶表示パネル1に警告表示であるカウントアップ表示15を表示させるべく(車両始動スイッチのオフ操作を促すべく)、液晶表示パネル1を表示動作させるものであってもよい。
【0057】
なお本第2実施形態では、車両始動スイッチのオフ操作を促すカウントアップ表示15が走行距離表示部12に表示された例について説明したが、例えば走行距離表示部12に表示されているカウントアップ表示15を点滅表示もしくは動画表示させてもよい。このように警告表示であるカウントアップ表示15を点滅表示(もしくは動画表示)させることで、車両利用者に対する警告表示15の注意喚起力をより高めることができる。なお、カウントアップ表示15は、走行距離表示部12ではなく車速表示部11に表示、点滅表示もしくは動画表示させるようにしてもよいことは言うまでもない。さらには、走行距離表示部12にカウントアップ表示15を表示(点滅表示)させると同時に車速表示部11に「OFF」なる警告表示14を表示(点滅表示)させるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0058】
1 液晶表示パネル(表示手段)
2 発光体
3 制御手段
4 スロットル操作量検出部
5 車速検出部
6 スタンド検出部
7 バッテリ監視回路
11 車速表示部
11a 第1の単位表示部
12 走行距離表示部
12a 第2の単位表示部
13 バッテリ残量表示部
14 警告表示
15 カウントアップ表示(警告表示)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各種車両状態を視覚情報として表示する表示手段と、
車両始動スイッチのオン操作によって駆動するバッテリーからの電力供給を受けて動作するとともに前記表示手段を動作させる制御手段とを備え、
前記制御手段には、車両利用者のスロットルの操作量を検出するスロットル操作量検出部からの検出信号が受信可能に設けられてなる車両用表示装置において、
前記制御手段は、前記車両始動スイッチがオン操作されてから所定時間経過しても前記スロットルが全閉状態であることを示す前記検出信号を受信しているとき、前記車両利用者に対し前記車両始動スイッチのオフ操作を促すべく、前記表示手段を表示動作させることを特徴とする車両用表示装置。
【請求項2】
各種車両状態を視覚情報として表示する表示手段と、
車両始動スイッチのオン操作によって駆動するバッテリーからの電力供給を受けて動作するとともに前記表示手段を動作させる制御手段とを備え、
前記制御手段には、車両の速度を検出する車速検出部からの車速検出信号が受信可能に設けられてなる車両用表示装置において、
前記制御手段は、前記車両始動スイッチがオン操作されてから所定時間経過しても前記車両の速度が零であることを示す前記車速検出信号を受信しているとき、前記車両利用者に対し前記車両始動スイッチのオフ操作を促すべく、前記表示手段を表示動作させることを特徴とする車両用表示装置。
【請求項3】
前記制御手段には、前記車両に搭載されたサイドスタンドが起立状態であるか否かを検出するスタンド検出部からのスタンド検出信号が受信可能に設けられ、
前記制御手段は、前記車両始動スイッチがオン操作されてから所定時間経過しても、前記スロットルが全閉状態であることを示す前記検出信号と前記サイドスタンドが起立状態であることを示す前記スタンド検出信号とを同時に受信しているか、もしくは前記車両の速度が零であることを示す前記車速検出信号と前記サイドスタンドが起立状態であることを示す前記スタンド検出信号とを同時に受信しているとき、
前記車両利用者に対し前記車両始動スイッチのオフ操作を促すべく、前記表示手段を表示動作させることを特徴とする請求項1または請求項2記載の車両用表示装置。
【請求項4】
前記表示手段は、前記車両の速度を表示する車速表示部と、前記車両の走行距離を表示する走行距離表示部とを備え、
前記制御手段は、前記車速表示部または前記走行距離表示部に前記車両始動スイッチのオフ操作を促す警告表示を表示もしくは点滅表示させるべく、前記表示手段を表示動作させることを特徴とする請求項1から請求項3のうち何れか1つに記載の車両用表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−11842(P2012−11842A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−148611(P2010−148611)
【出願日】平成22年6月30日(2010.6.30)
【出願人】(000231512)日本精機株式会社 (1,561)
【Fターム(参考)】