説明

車両用音響装置

【課題】圧力センサなどの電気部品や信号処理を行うための電気回路を設けることなく、快適なスポーツサウンドが得られるようにする。
【解決手段】クールエアインテーク16には、伝導パイプ42の一端が開口されている。この伝導パイプの他端は、インパネR/F26の助手席側の縮径部32に開口されている。また、インパネR/Fは、中間部にテーパ部36が形成され、運転席側の拡径部34が、スペーサ48介して取り付けられることにより開放されている。これにより、クールエアインテーク内で発生する吸気音に応じた脈動がインパネR/Fに伝達され、吸気音に応じた音響が車室20内へ放出される。また、車室内へ放出される音響は、吸気音が変化することにより大きさが変化する快適なスポーツサウンドとして車室内へ発せられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンの駆動状態に応じた音響を車室内へ発する車両用音響構造及び車両用音響装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の運転操作や、乗車時の楽しみとして、車両の走行状態や走行状態の変化に応じて発する音(以下、スポーツサウンドとする)を聞くことが考えられている。また、このときのスポーツサウンドとしては、空気がエアダクトへ吸引されるときに発せられる吸気音がある。この吸気音は、エンジンの回転数に応じて吸入吸気量が変化することから、エンジンの回転数に応じて変化する音となっている。
【0003】
このようなスポーツサウンドを演出するために、エンジンへ供給される空気が通過する空気浄化装置の側面に開口部を形成すると共に、空気浄化装置内が負圧となることにより開口部を開く開閉板を設けた吸気装置の提案がなされている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
この提案では、車両が加速するときに、空気浄化装置内が負圧となることにより、開閉板によって閉塞されている開口部が開かれ、この開口部から吸気音が放出されるようにしている。
【0005】
また、エアクリーナの上流側に共鳴箱等を設けて、所定周波数の吸気音の音圧レベルを相対的に高くなるようにして、所望の音色が得られるようにした吸気音調整構造の提案がなされている(例えば、特許文献2参照。)。
【0006】
ところで、このような吸気音は、車外にも放出されることになるが、車両走行中の車外騒音を抑える必要から、吸気音の低減が要求される。また、吸気音が発生するクールエアダクトは、車室から比較的離された車両前部に設けられており、このために、吸気音の低減が図られることにより、車室内の乗員が、吸気音をそのまま聞くことは困難となっている。
【0007】
ここから、エンジンに供給される吸気流内の圧力変動を検知し、圧力変動に応じた電気信号を生成し、生成した電気信号に基づいた音をスピーカーから車室内へ出すようにした音響装置が提案されている(例えば、特許文献3参照。)。
【特許文献1】特開平10−339225号公報
【特許文献2】特開2003−113748号公報
【特許文献3】特表2002−520680号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献2の構成では、圧力センサなどの検出手段、フィルタ回路、増幅回路、スピーカーなどの電気回路や電気部品が必要となり、また、複雑な信号処理も必要となる。
【0009】
本発明は上記事実に鑑みてなされたものであり、簡単な構成で、車外騒音を発することなく、車室内へ快適なスポーツサウンドを発することができる車両用音響装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために本発明は、アクセルペダルの操作に応じて内燃機関に供給される空気の吸気音に応じた音響を車室内へ放出する車両用音響装置であって、一端が吸気路に開口され、吸気路を通過する空気流によって発生する吸気音に応じた脈動を伝播可能とする伝播管と、一端側に前記伝播管の他端が開口されると共に、他端側が車室内へ開放されて伝播路を介して伝播される脈動に応じた音を車室内へ向けて放出する筒状体と、を含むことを特徴とする。
【0011】
この発明によれば、吸気路に伝播路の一端を開口すると共に、この伝播路の他端を筒状体の一端側に開口し、吸気路内の吸気音によって生じる脈動(空気振動)を、筒状体へ伝播させる。ここで、本発明では、筒状体として、一端側から脈動が入力されることにより、例えば、空洞共鳴によって所定の音響を発するものを適用する。
【0012】
これにより、吸気音に応じた音響を車室内へ放出することができる。このときに、所望の音響を発する筒状体を用いることにより、吸気音の変化に応じて変化する快適なスポーツサウンドを得ることができる。
【0013】
請求項2に係る発明は、インパネリインフォースメントを前記筒状体としていることを特徴とする。
【0014】
この発明によれば、筒状体としてインパネリインフォースメントを用いる。インパネリインフォースメントは、一般に、閉断面が形成されて、車両幅方向に沿って配置され、フロントピラーロアの間に取り付けられている。
【0015】
ここから、インパネリインフォースメントの一端側に伝播管を開口すると共に、インパネリインフォースメントの他端側を、フロントピラーロアとの間に隙間を持たせて取り付ける。
【0016】
これにより、インパネリインフォースメントから吸気音に応じた音響を放出することができる。
【0017】
請求項3に係る発明は、前記インパネリインフォースメントの助手席側の端部に、前記伝播管の他端を開口していることを特徴とする。
【0018】
運転席側のインパネリインフォースメントは、ステアリングシャフトを支持するために、助手席側よりも閉断面が広い略メガフォン状となっている。ここから、助手席側に伝播管を接続することにより、増幅した音響を発することができる。
【0019】
請求項4に係る発明は、前記インパネリインフォースメントの外周部の所定位置に、貫通孔を形成していることを特徴とする。
【0020】
この発明によれば、インパネリインフォースメントに貫通孔を形成し、所望の音色の音が発せられるようにする。
【0021】
また、請求項5に係る発明は、前記インパネリインフォースメントの長手方向である車幅方向に沿って複数の前記貫通孔を形成すると共に、前記アクセルペダルの操作に応じて前記貫通孔を選択的に閉塞可能とする閉塞手段を設けていることを特徴とする。
【0022】
この発明によれば、複数の貫通孔を形成することにより、異なる音色の音を放出可能となる。このときに、アクセルペダルの操作に応じて選択的に貫通孔を閉塞ないし開放することにより、音色を変化させた快適なスポーツサウンドを得ることができる。
【発明の効果】
【0023】
以上説明したように本発明によれば、一端が吸気路に開口された伝播管の他端を、筒状体に連結して車室内に開口する。これにより、車外に音を発することなく、車室内に快適なスポーツサウンドを発することができるという優れた効果が得られる。
【0024】
また、本発明では、筒状体としてインパネリインフォースメントを用いることにより、伝導管を設ける簡単な構成でスポーツサウンドを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下に、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。
〔第1の実施の形態〕
図2には、本実施の形態に適用した車両10の要部の概略構成を示している。なお、図2では、矢印FRで車両前後方向の前方側、矢印UPで車両上下方向の上方側を示している。
【0026】
この車両10には、前部のエンジンルーム12内に、内燃機関であるエンジン14が設けられている。エンジン14には、クールエアインテーク16、エアクリーナ18等が設けられており、エンジン14とエアクリーナ18の間に、図示しないスロットルバルブが配設され、外気をエンジン14に供給する吸気路が形成されている。また、車両10には、エンジンルーム12と車室20を区画するダッシュパネル22にアクセルペダル24が配設されている。
【0027】
これにより、車両10では、アクセルペダル24の踏み込み操作が行われることにより、スロットルバルブが開閉され、このときのスロットルバルブの開度に応じた車外の冷気(空気)がクールエアインテーク16に吸引され、エアクリーナ18を通過して後、燃料と混合されてエンジン14へ供給される。
【0028】
エンジン14は、供給される空気量に応じて回転駆動し、このエンジン14の回転駆動によって車両10が走行可能となっている。
【0029】
また、この車両10では、車室24の前部にインパネリインフォースメント(以下、インパネR/F26とする)が設けられている。図1に示されるように、インパネR/F26は、長尺で、かつ閉断面が形成された略筒体状となっており、長手方向が車両幅方向(矢印W方向、図2では紙面表裏方向)に沿って配設されている。また、インパネR/F26は、長手方向の一端側が、車両10の運転席側のフロントピラーロアインナ28に連結され、他端側が車両10の助手席側のフロントピラーロアインナ30に連結されている。
【0030】
フロントピラーロアインナ28、30のそれぞれには、図示しないフロントピラーロアアウタと連結され、これにより、閉断面のフロントピラーロアが形成されている。
【0031】
インパネR/F26は、助手席側となるフロントピラーロアインナ30側が、縮径部32となっており、運転席側となるフロントピラーロアインナ28側が縮径部32よりも太い拡径部34となっており、さらに、縮径部32と拡径部34の間が、外径が徐々に変化されたテーパ部36となっている。
【0032】
図2に示されるように、このインパネR/F26には、インストルメントパネル(インパネ)28が支持されている。また、インパネR/F26には、ステアリングホイール30に連結されている図示しないステアリングシャフトが支持されている。このとき、インパネR/F26の運転席側が拡径部34となっていることにより、ステアリングシャフトを支持するための所望の強度が得られるようになっている。
【0033】
このような車両10は、公知の一般的構成を適用することができる。
【0034】
ところで、この車両10には、本発明を適用した音響装置40が形成されている。図1に示されるように、この音響装置40は、クールエアインテーク16、インパネR/F26及び、伝播管として一端がクールエアインテーク16に連結され、他端がインパネR/F26に連結された伝導パイプ42を含んで形成されている。
【0035】
クールエアインテーク16は、エンジン14へ供給される空気を吸引すると共に、吸引された空気をエアクリーナ18へ案内する空気の供給路となっており、これにより、エンジン14の吸気量に応じた吸気音が発生すされる。
【0036】
伝導パイプ42は、内部が中空の管状となっており、この伝導パイプ42のクールエアインテーク16側は、クールエアインテーク16の内面に開口しており、これにより、クールエアインテーク16で発生した吸気音が、伝導パイプ42内を伝播するようになっている。
【0037】
また、伝導パイプ42の他端側は、助手席側のフロントピラーインナ内に引き込まれ、フロントピラーインナロア30からインパネR/F26内に突き出されて開口されている。
【0038】
これにより、吸気音に応じた脈動(空気振動)が、伝導パイプ42内を伝播されるてインパネR/F26内に伝達されるようになっている。
【0039】
一方、音響装置40を形成するときのインパネR/F26は、フロントピラーロアインナ30側の端部には、例えば、フランジ部44が形成されており、このフランジ44が、フロントピラーロアアウタ30に当接されて固定されている。
【0040】
これにより、図1及び図3に示されるように、インパネR/F26は、縮径部32側の開口が閉塞され、この閉塞面から伝導パイプ42が突出されて開口している。
【0041】
また、インパネR/F26の拡径部34側の端部には、フランジ部46が形成されている。図1に示されるように、インパネR/F26は、このフランジ部46がフロントピラーロアインナ28に対向され、かつ、ブロック状のスペーサ48が介在されて固定されるようになっている。このとき、フランジ部46の周方向に沿って所定間隔でスペーサ48が配置されることにより、インパネR/F26の拡径部34側の開口が実質的に開放された状態となるようにしている。
【0042】
一方、図3に示されるように、インパネR/F26では、拡径部34側の端部が開放されていると共に、縮径部32と拡径部34の間に、内径が、縮径部32側から拡径部34側へ向けて徐々に広げられたテーパ部36が形成されていることにより、所謂メガフォン状(ラッパ状)となっている。
【0043】
これにより、インパネR/F26では、縮径部32側から入力された脈動に応じて発する音響(音)を拡大(増幅)して放出可能となっている。
【0044】
次に第1の実施の形態の作用を説明する。本実施の形態に適用した車両10では、アクセルペダル24の操作に応じて、図示しないスロットルバルブが開閉され、スロットルバルブの開度に応じた空気に燃料が混合されてエンジン14へ供給される。エンジン14は、供給される空気量が増加することにより回転数を上昇し、供給される空気量が減少されることにより回転数が低下される。
【0045】
ところで、エンジン14へ供給する空気の流路となるクールエアインテーク16では、吸気音が発生する。このときの吸気音は、エンジン14への空気の供給量に応じて変化する。すなわち、クールエアインテーク16では、アクセルペダル24の操作に応じた吸気音が発生する。
【0046】
一方、音響装置40では、このクールエアインテーク16とインパネR/F26の間に伝導パイプ42を設けて、クールエアインテーク16とインパネR/F26とを連通している。
【0047】
これにより、クールエアインテーク16内で発するする吸気音に応じた脈動が、伝導パイプ42内を伝播される。伝導パイプ42は、インパネR/F26の縮径部32側に開口しており、伝導パイプ42内を伝播された脈動が、縮径部32側から、インパネR/F26内を伝播される。
【0048】
これにより、インパネR/F26内で空洞共鳴による音が発生して、拡径部34側の開口から車室20内へ放出される。また、このときの音は、クールエアインテーク16内の吸気音に応じた音となるので、車室20内には、吸気音に応じた音が放出される。
【0049】
また、インパネR/F26は、開口断面が、縮径部32側より拡径部34側が広い略メガフォン状となっており、これにより、吸気音に応じて変化する音響(音)が増幅されて、拡径部34側から車室20内に放出される。
【0050】
音響装置40では、例えばアクセルペダル24を踏み込みことにより、クールエアインテーク16で発生する吸気音が大きくなると、インパネR/F26から車室20内へ放出される音も大きくなる。すなわち、アクセルペダル24の操作に応じて音量が変化する音が車室20内へ放出される。
【0051】
ここで、インパネR/F26から車室20内に放出される音の音色などは、インパネR/F26の長さ、開口断面積、材質や形状などの各種のパラメータによって変化する。ここから、所望の音に合わせて各種のパラメータを設定したインパネR/F26を設けることにより、快適なスポーツサウンドを得ることができる。
【0052】
なお、第1の実施の形態では、車両10のボディを形成するインパネR/F26を用いて、車室20内に吸気音に応じた音を発するようにしたが、これに限らず、伝導パイプ42を車室20内へ向けて開口しても良く、また、このときに、伝導パイプ42の先端部に、メガフォンなどの増幅手段、所望の音を発する笛状の発音手段等を設けるものであっても良い。
〔第2の実施の形態〕
次に本発明の第2の実施の形態を説明する。なお、第2の実施の形態の基本的構成は、前記した第1の実施の形態を同じであり、第2の実施の形態において、第1の実施の形態と同一の部品には、同一の符号を付与してその説明を省略する。
【0053】
図4には、第2の実施の形態に適用した音響装置50の概略構成を示している。この音響装置50には、インパネR/F26に換えて、インパネR/F52が設けられている。このインパネR/F52には、複数の貫通孔(以下、チューニング孔54とする)が形成された拡径部56が設けられている。
【0054】
チューニング孔54は、インパネR/F52の長手方向に沿って配列されて形成されている。なお、本実施の形態では、一例として、テーパ部36側からチューニング孔54A、54B、54C、54D、54Eの5個のチューニング孔54が形成されている。
【0055】
これにより、インパネR/F52では、何れのチューニング孔54が開放されているかによって音色が変化するようになっている。すなわち、テーパ部36側のチューニング孔54Aが開放されたときに最も高い音色の音の放出が可能となり、開口部側(フロントピラーロアインナ28側)のチューニング孔54Eのみが開放されているときには、最も低い音色の音の放出が可能となるようにしている。
【0056】
一方、インパネR/F52の拡径部56には、閉塞手段としてチューニングカバー58が配設されている。このチューニングカバー58は、略円筒状に形成されて、拡径部56の外周部を覆い、かつ、拡径部56と相対回転可能となっている。
【0057】
ここで、第2の実施の形態に適用した音響装置50では、図5(A)に示されるように、チューニングカバー58によって、チューニング孔54Eを除くチューニング孔54A〜54Dの閉塞が可能となるようにしている。
【0058】
図4に示されるように、このチューニングカバー58には、軸方向に対して傾斜して切りかかれた切欠き部60が形成されている。これにより、図5(C)に示されるように、チューニングカバー58は、拡径部56に形成されたチューニング孔54A〜54Eの全てを開放可能となっている。
【0059】
また、図5(B)に示されるように、音響装置50では、例えば、チューニングカバー58によって、チューニング孔54A、54Bを閉じて、チューニング孔54C〜54Dを開放するなどが可能となっている。
【0060】
すなわち、音響装置50では、チューニング孔54A〜54Dを閉塞した状態で、拡径部56に対してチューニングカバー58を矢印A方向へ相対回転することにより、チューニング孔54D、54C、54B、54Aの順で開放可能となり、また、チューニング孔54A〜54Eが開放されている状態で矢印A方向と反対方向へ相対回転することにより、チューニング孔54A、54B、54C、54Dを順に覆うことができる。
【0061】
一方、図6に示されるように、アクセルペダル24は、例えば、ダッシュパネル22に取り付けられたブラケット62にピン64を介して揺動可能に支持されており、アクセルペダル24を初期位置(図6で実線で示す位置)から踏み込む(例えば、図6に破線で示す状態)ことにより、図示しないスロットルバルブが開かれる。なお、アクセルペダル24は、図示しないリターンスプリング等によって付勢されており、アクセルペダル24の踏み込みを解除することにより、初期位置に復帰する一般的構成となっている。
【0062】
このアクセルペダル24の上端部には、レバー66が突設されており、アクセルペダル24の踏み込み操作に応じてレバー66が、ピン64を軸に揺動されるようになっている。
【0063】
このレバー66の先端部には、ワイヤ68の一端が係止されている。このワイヤ68は、ダッシュパネル22に軸支されたローラ70A、70Bに巻き掛けられ、中間部が、インパネR/F52の外周に配置されているチューニングカバー58に巻付けられている。また、チューニングカバー58から引き出されているワイヤ68の他端は、リターンスプリング72を介してダッシュパネル22に係止されている。
【0064】
これにより、チューニングカバー58は、このアクセルペダル24が踏み込まれることによりワイヤ68によって引っ張られ、インパネR/F52に対して矢印A方向へ相対回転され、アクセルペダル24が戻されると、リターンスプリング72の付勢力によって矢印A方向と反対方向へ回転される。
【0065】
第2の実施の形態に適用した、音響装置50では、アクセルペダル24の初期位置で、チューニングカバー58が、チューニング孔54A〜54Dを閉塞し(図5(A)参照)、アクセルペダル24を最大位置まで踏み込んだときに、チューニング孔54A〜54Dが開放されるようになっている(図5(C)参照。)。
【0066】
このように構成されている音響装置50では、クールエアインテーク16の吸気音が、伝導パイプ42を解して、インパネR/F52に伝達されることにより、吸気音に応じた音を増幅して、インパネR/F52から車室20内へ放出する。
【0067】
このとき、エンジン14へ供給する空気量が増加して、クールエアインテーク16で発生する吸気音が大きくなることにより、インパネR/F52から放出される音も大きくなる。
【0068】
また、音響装置50では、インパネR/F52の拡径部56にチューニング孔54を形成しており、これにより、所望の音を車室20内へ放出可能となっている。
【0069】
一方、インパネR/F52の拡径部56には、複数のチューニング孔54(54A〜54E)が形成されていると共に、チューニングカバー58が設けられている。チューニングカバー58は、アクセルペダル24の操作に応じて、拡径部56に対して相対回転する。
【0070】
これにより、アクセルペダル24の操作に応じて、インパネR/F52から車室20内に発せられる音の音色を変化させることができる。また、アクセルペダル24を踏み込んだときには音程が高くなり、アクセルペダル24を戻したときには、音程が低くなるように変化する。
【0071】
したがって、アクセルペダル24を踏み込んで車両10を加速するときには、アクセルペダル24の踏み込みに応じて高い音色が発せられ、車両10の加速に応じて音量が大きくなると共に、車両10を減速するためにアクセルペダル24を戻すことにより、音色が低くなり、車両10が減速するのに応じて音量が小さくなる。
【0072】
このように、音響装置50は、車外に騒音と感じられる音を発することなく、車室20内へ車両10の運転操作に応じた快適なスポーツサウンドを発することができる。
【0073】
なお、以上説明した本実施の形態は、本発明の構成を限定するものではない。例えば、本実施の形態では、筒状体とするインパネリインフォースメント26、52を略円筒状としたが、本発明は、これにより限るものではなく、矩形状の筒体など、任意の形状の筒体状に形成したものであれば良い。
【0074】
また、本発明は、車両10に限らず、内燃機関の駆動力によって走行する任意の構成の車両に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】第1の実施の形態に係る音響装置の概略構成図である。
【図2】本実施の形態に係る車両の要部の概略図である。
【図3】第1の実施の形態に係るインパネR/Fを示す概略斜視図である。
【図4】第2の実施の形態に係る音響装置の概略構成図である。
【図5】(A)から(B)はインパネR/Fに対するチューニングカバーの相対位置を示す概略図であり、(A)はアクセルペダルの初期状態、(B)はアクセルペダルを踏み込んだときの一例、(C)はアクセルペダルを最大位置まで踏み込んだときを示している。
【図6】アクセルペダルとチューニングカバーの連結の一例を示す概略図である。
【符号の説明】
【0076】
10 車両
14 エンジン(内燃機関)
16 クールエアインテーク(吸気路)
18 エアクリーナ(吸気路)
24 アクセルペダル
26、52 インパネR/F(筒状体)
32 縮径部
34、56 拡径部
36 テーパ部
40、50 音響装置(車両用音響装置)
42 伝導パイプ(伝播管)
54(54A〜54E) チューニング孔(貫通孔)
58 チューニングカバー(閉塞手段)
68 ワイヤ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクセルペダルの操作に応じて内燃機関に供給される空気の吸気音に応じた音響を車室内へ放出する車両用音響装置であって、
一端が吸気路に開口され、吸気路を通過する空気流によって発生する吸気音に応じた脈動を伝播可能とする伝播管と、
一端側に前記伝播管の他端が開口されると共に、他端側が車室内へ開放されて伝播路を介して伝播される脈動に応じた音を車室内へ向けて放出する筒状体と、
を含むことを特徴とする車両用音響装置。
【請求項2】
インパネリインフォースメントを前記筒状体としていることを特徴とする請求項1に記載の車両用音響装置。
【請求項3】
前記インパネリインフォースメントの助手席側の端部に、前記伝播管の他端を開口していることを特徴とする請求項2に記載の車両用音響装置。
【請求項4】
前記インパネリインフォースメントの外周部の所定位置に、貫通孔を形成していることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の車両用音響装置。
【請求項5】
前記インパネリインフォースメントの長手方向である車幅方向に沿って複数の前記貫通孔を形成すると共に、
前記アクセルペダルの操作に応じて前記貫通孔を選択的に閉塞可能とする閉塞手段を設けていることを特徴とする請求項4に記載の車両用音響装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−290427(P2007−290427A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−117661(P2006−117661)
【出願日】平成18年4月21日(2006.4.21)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】