説明

車両用駆動装置

【課題】加速、減速、旋回時等、前後左右方向に油面が変化しても液状流体供給装置の吸入口が露出するのを抑制することができ、エアレーションの発生を防止することができる車両用駆動装置を提供する。
【解決手段】後輪駆動装置では、オイルの供給に用いられる、ストレーナ71の吸入口は、ストレーナ収容室105に配置され、吸入口は、第1及び第2電動機、の径方向最外縁部の最前端に接する第1仮想鉛直平面V1よりも車両の前後方向で回転軸線X寄りに配置され、且つ、第1電動機の第2電動機側端部を通る第2仮想鉛直平面V2と、第2電動機の第1電動機側端部を通る第3仮想鉛直平面V3との間に配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用駆動装置に関し、より詳細には、電動機の冷却、電動機の潤滑、変速機の潤滑の少なくとも一つを行うための液状媒体供給装置を備えた車両用駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の車両用駆動装置として、特許文献1に記載の電動車両では、左右に一対の電動機を備えるとともに、これら電動機間に機械式オイルポンプを備え、駆動軸内の油路に油を供給してトルク伝達系を潤滑し、また、別途設けられた電動式オイルポンプによって、走行用モータを冷却することが開示されている。また、機械式オイルポンプの下方の油溜め内に機械式オイルポンプ用のストレーナが、電動車両の後方の油溜め内に電動式オイルポンプ用のストレーナがそれぞれ配置されており、これらストレーナは、電動機の径方向最外縁部を通る鉛直平面よりも回転軸線寄りに配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−098417号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載の電動車両では、ストレーナの吸入口の配置について記載されておらず、加速、減速、旋回時等、内部の油面が傾いた際に吸入口が露出し、エアレーションが発生する虞がある。特に、特許文献1には、ストレーナの左右方向の位置に関しても記載されていない。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、加速、減速、旋回時等、前後左右方向に油面が変化しても液状流体供給装置の吸入口が露出するのを抑制することができ、エアレーションの発生を防止することができる車両用駆動装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、
車両の左車輪(例えば、後述の実施形態の左後輪LWr)を駆動する第1電動機(例えば、後述の実施形態の第1電動機2A)と、
前記第1電動機を収容し、前記第1電動機の潤滑及び/又は冷却に供される液状流体を貯留する左貯留部(例えば、後述の実施形態の左貯留部RL)を有する第1ケース(例えば、後述の実施形態の第1ケース11L)と、
前記車両の右車輪(例えば、後述の実施形態の右後輪RWr)を駆動する第2電動機(例えば、後述の実施形態の第2電動機2B)と、
前記第2電動機を収容し、前記第2電動機の潤滑及び/又は冷却に供される液状流体を貯留する右貯留部(例えば、後述の実施形態の右貯留部RR)を有する第2ケース(例えば、後述の実施形態の第2ケース11R)と、
を備え、
前記第1及び第2の電動機は同一径とされ、前記第1及び第2電動機の回転軸線(例えば、後述の実施形態の回転軸線X)が同一線上に配置され、且つ、
前記左貯留部と前記右貯留部との間には、前記左貯留部と前記右貯留部とを連通する左右連通路(例えば、後述の実施形態のストレーナ収容室105)が配置される車両用駆動装置(例えば、後述の実施形態の後輪駆動装置1)であって、
前記液状流体の供給に用いられる、液状流体供給装置(例えば、後述の実施形態の電動オイルポンプ70)の吸入口(例えば、後述の実施形態のストレーナ71の吸入口71b)は、前記左右連通路に配置され、
前記吸入口は、前記第1及び第2電動機の径方向最外縁部(例えば、後述の実施形態の径方向最外縁部D)の最前端(例えば、後述の実施形態の最前端Df)もしくは最後端(例えば、後述の実施形態の最後端Dr)に接する第1仮想鉛直平面(例えば、後述の実施形態の第1仮想鉛直平面V1)よりも前記車両の前後方向で前記回転軸線寄りに配置され、且つ、前記第1電動機の前記第2電動機側端部を通る第2仮想鉛直平面(例えば、後述の実施形態の第2仮想鉛直平面V2)と、前記第2電動機の前記第1電動機側端部を通る第3仮想鉛直平面(例えば、後述の実施形態の第3仮想鉛直平面V3)との間に配置されることを特徴とする。
【0007】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の構成に加えて、
前記吸入口は、前記回転軸線方向と直交し、前記第1及び第2電動機から等距離に位置する仮想中分面(例えば、後述の実施形態の仮想中分面P)と交差する位置に配置されることを特徴とする。
【0008】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の構成に加えて、
前記吸入口が配置される前記左右連通路は、前記回転軸線に対して、前記前後方向で前記吸入口が配置される側のみに形成されることを特徴とする。
【0009】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の構成に加えて、
前記吸入口が配置される前記左右連通路の少なくとも一部は、前記前後方向で前記第1及び第2電動機の径方向最外縁部の最前端と最後端との間に配置されることを特徴とする。
【0010】
また、請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の構成に加えて、
前記吸入口は、上面視において、前記回転軸線と、前記左右連通路の前後方向中間位置(例えば、後述の実施形態の前後方向中間位置105c)との間に配置されることを特徴とする。
【0011】
また、請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか1項に記載の構成に加えて、
前記吸入口は、鉛直方向で前記回転軸線よりも下方側に位置し、前記左右連通路の底部(例えば、後述の実施形態の底壁103)近傍に配置されることを特徴とする。
【0012】
また、請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のいずれか1項に記載の構成に加えて、
前記吸入口は、前記左右連通路の底部に向けて開口していることを特徴とする。
【0013】
また、請求項8に記載の発明は、請求項1〜7のいずれか1項に記載の構成に加えて、
前記左車輪と前記第1電動機との動力伝達経路上には第1変速機(例えば、後述の実施形態の第1遊星歯車式減速機12A)が配置され、
前記右車輪と前記第2電動機との動力伝達経路上には第2変速機(例えば、後述の実施形態の第2遊星歯車式減速機12B)が配置され、
前記第1電動機と前記第1変速機とは車幅方向外側からこの順序で配置され、且つ、前記第2電動機と前記第2変速機とは車幅方向外側からこの順序で配置されることにより、前記第1及び第2変速機は、前記第1及び第2電動機の間に配置され、
前記第1変速機の径方向最外縁と前記第2変速機の径方向最外縁との少なくとも一部は、その周囲に径方向に凹んだオフセットスペース(例えば、後述の実施形態のオフセットスペースOS)が設けられるように、前記第1及び第2電動機の径方向最外縁よりも小さく形成されることを特徴とする。
【0014】
また、請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の構成に加えて、
前記液状流体供給装置と前記吸入口とを連通する液状流体流路の少なくとも一部は、前記オフセットスペース内に配置されることを特徴とする。
【0015】
また、請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の構成に加えて、
前記液状流体流路には、前記液状流体の濾過を行うストレーナ(例えば、後述の実施形態のストレーナ71)が配置され、該ストレーナの少なくとも一部は前記オフセットスペース内に配置されることを特徴とする。
【0016】
また、請求項11に記載の発明は、請求項10に記載の構成に加えて、
前記吸入口は、前記ストレーナの下部の前記回転軸線寄りの先端近傍に形成され、
前記吸入口の直上に位置する前記ストレーナの上部(例えば、後述の実施形態の上部71c)の表面は、前記第1変速機の径方向最外縁と前記第2変速機の径方向最外縁との少なくとも一部と対向するとともに、鉛直方向に対して傾斜して形成されることを特徴とする。
【0017】
また、請求項12に記載の発明は、請求項8に記載の構成に加えて、
前記第1変速機と前記第2変速機との一方には制動手段(例えば、後述の実施形態の油圧ブレーキ60)が接続され、
前記制動手段は該一方の変速機の径方向最外縁の外周に配置されることを特徴とする。
【0018】
また、請求項13に記載の発明は、請求項12に記載の構成に加えて、
前記液状流体供給装置と前記吸入口とを連通する液状流体流路に設けられ、前記液状流体の濾過を行うストレーナの少なくとも一部は、前記オフセットスペース内に配置され、
前記ストレーナの上部の表面は、前後方向視で頂点(例えば、後述の実施形態の頂点71c3)を境に曲折する二つの平面(例えば、後述の実施形態の平面71c1、71c2)を有する形状を有し、
前記頂点は前記ストレーナの左右方向中央(例えば、後述の実施形態のストレーナ71の左右方向中央C)に対し、前記制動手段が配置されない側に偏奇して形成されることを特徴とする。
【0019】
また、請求項14に記載の発明は、
車両の左車輪(例えば、後述の実施形態の左後輪LWr)を駆動する第1駆動源(例えば、後述の実施形態の第1電動機2A)と、
前記左車輪と前記第1駆動源との動力伝達経路上に設けられた第1変速機(例えば、後述の実施形態の第1遊星歯車式減速機12A)と、
前記第1駆動源と前記第1変速機とを収容し、前記第1変速機の潤滑及び/又は冷却に供される液状流体を貯留する左貯留部(例えば、後述の実施形態の左貯留部RL)を有する第1ケース(例えば、後述の実施形態の第1ケース11L)と、
前記車両の右車輪(例えば、後述の実施形態の右後輪RWr)を駆動する第2駆動源(例えば、後述の実施形態の第2電動機2B)と、
前記右車輪と前記第2駆動源との動力伝達経路上に設けられた第2変速機(例えば、後述の実施形態の第2遊星歯車式減速機12B)と、
前記第2駆動源と前記第2変速機とを収容し、前記第2変速機の潤滑及び/又は冷却に供される液状流体を貯留する右貯留部(例えば、後述の実施形態の右貯留部RR)を有する第2ケース(例えば、後述の実施形態の第2ケース11R)と、
を備え、
前記第1及び第2の変速機は同一径とされ、前記第1及び第2変速機の回転軸線及び第1及び第2駆動源の回転軸線(例えば、後述の実施形態の回転軸線X)が同一線上に配置され、
前記第1変速機と前記第1駆動源とは車幅方向外側からこの順序で配置され、且つ、前記第2変速機と前記第2駆動源とは車幅方向外側からこの順序で配置されることにより、前記第1及び第2駆動源は、前記第1及び第2変速機の間に配置され、
前記左貯留部と前記右貯留部との間には、前記左貯留部と前記右貯留部とを連通する左右連通路(例えば、後述の実施形態のストレーナ収容室105)が配置される車両用駆動装置(例えば、後述の実施形態の後輪駆動装置1)であって、
前記液状流体の供給に用いられる、液状流体供給装置の吸入口(例えば、後述の実施形態の吸入口71b)は、前記左右連通路に配置され、
前記吸入口は、前記第1及び第2変速機の径方向最外縁部(例えば、後述の実施形態の径方向最外縁部D´)の最前端(例えば、後述の実施形態の最前端Df´)もしくは最後端(例えば、後述の実施形態の最後端Dr´)に接する第1仮想鉛直平面(例えば、後述の実施形態の第1仮想鉛直平面V1´)よりも前記車両の前後方向で前記回転軸線寄りに配置され、且つ、前記第1変速機の前記第2変速機側端部を通る第2仮想鉛直平面(例えば、後述の実施形態の第2仮想鉛直平面V2´)と、前記第2変速機の前記第1変速機側端部を通る第3仮想鉛直平面(例えば、後述の実施形態の第3仮想鉛直平面V3´)との間に配置されることを特徴とする。
【0020】
また、請求項15に記載の発明は、請求項14に記載の構成に加えて、
前記吸入口は、前記回転軸線方向と直交し、前記第1及び第2駆動源から等距離に位置する仮想中分面(例えば、後述の実施形態の仮想中分面P)と交差する位置に配置されることを特徴とする。
【0021】
また、請求項16に記載の発明は、請求項14又は15に記載の構成に加えて、
前記吸入口が配置される前記左右連通路は、前記前後方向で前記第1及び第2変速機の径方向最外縁部の最前端と最後端との間に配置されることを特徴とする。
【0022】
また、請求項17に記載の発明は、請求項16に記載の構成に加えて、
前記吸入口が配置される前記左右連通路は、前記回転軸線に対して、前記前後方向で前記吸入口が配置される側のみに形成されることを特徴とする。
【0023】
また、請求項18に記載の発明は、請求項14〜17のいずれか1項に記載の構成に加えて、
前記吸入口は、上面視において、前記回転軸線と、前記左右連通路の前後方向中間位置(例えば、後述の実施形態の前後方向中間位置105c)との間に配置されることを特徴とする。
【0024】
また、請求項19に記載の発明は、請求項14〜18のいずれか1項に記載の構成に加えて、
前記吸入口は、鉛直方向で前記回転軸線よりも下方側に位置し、前記左右連通路の底部(例えば、後述の実施形態の底壁103)近傍に配置されることを特徴とする。
【0025】
また、請求項20に記載の発明は、請求項14〜19のいずれか1項に記載の構成に加えて、
前記吸入口は、前記左右連通路の底部に向けて開口していることを特徴とする。
【0026】
また、請求項21に記載の発明は、請求項14〜20のいずれか1項に記載の構成に加えて、
前記第1駆動源の径方向最外縁と前記第2駆動源の径方向最外縁との少なくとも一部は、その周囲に径方向に凹んだオフセットスペース(例えば、後述の実施形態のオフセットスペースOS)が設けられるように、前記第1及び第2変速機の径方向最外縁よりも小さく形成されることを特徴とする。
【0027】
また、請求項22に記載の発明は、請求項21に記載の構成に加えて、
前記液状流体供給装置と前記吸入口とを連通する液状流体流路の少なくとも一部は、前記オフセットスペース内に配置されることを特徴とする。
【0028】
また、請求項23に記載の発明は、請求項22に記載の構成に加えて、
前記液状流体流路には、前記液状流体の濾過を行うストレーナ(例えば、後述の実施形態のストレーナ71)が配置され、該ストレーナの少なくとも一部は前記オフセットスペース内に配置されることを特徴とする。
【0029】
また、請求項24に記載の発明は、請求項23に記載の構成に加えて、
前記吸入口は、前記ストレーナの下部の前記回転軸線寄りの先端近傍に形成され、
前記吸入口の直上に位置する前記ストレーナの上部の表面は、前記第1駆動源の径方向最外縁と前記第2駆動源の径方向最外縁との各外縁の少なくとも一部と対向するとともに、鉛直方向に対して傾斜して形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0030】
請求項1に記載の発明によれば、左右に2つの電動機を有する駆動装置の前後方向中央近傍で、且つ、左右方向中央近傍に液状流体供給装置の吸入口が配置されるので、加速、減速、旋回等で前後左右方向に液面が変化しても、吸入口が液面の上方に露出するのを抑制することができ、エアレーションの発生を防止することができる。
また、吸入口は、第1及び第2電動機の径方向最外縁部の最前端もしくは最後端よりも車両の前後方向で回転軸線寄りに配置されるので、駆動装置を小型化することができる。
【0031】
請求項2に記載の発明によれば、吸入口が、左右方向中央により近づけて配置されるので、旋回によって左右方向に液面が変化しても、吸入口が液面の上方に露出するのをより抑制することができ、エアレーションの発生をより防止することができる。
【0032】
請求項3に記載の発明によれば、左右連通路が回転軸線に対して前後方向の一方側のみに形成されるので、前後方向において左右連通路の底面積が限定され、液状流体の深さを増加することができる。これにより、吸入口が露出することがさらに抑制され、エアレーションの発生をより防止することができる。また、左右連通路が形成されない、回転軸線に対して前後方向の他方側の空間は、他部材を設置することで有効活用することができ、設計の自由度を向上することができる。
【0033】
請求項4に記載の発明によれば、左右連通路の少なくとも一部が、第1及び第2電動機の径方向最外縁部の最前端と最後端との間に形成される空間を効率的に活用することができる。また、左右連通路の存在する領域を回転軸線に近づけることができ、加速、減速、旋回時の液面の変化中心を回転軸線に近づけることができ、エアレーションの発生を防止することができる。
【0034】
請求項5に記載の発明によれば、吸入口は、左右連通路のうち、回転軸線に近い側に配置されるので、吸入口が液面の上方に露出するのをより抑制することができ、エアレーションの発生をより防止することができる。
【0035】
請求項6に記載の発明によれば、吸入口は左右連通路の底部近傍に配置されることで、吸入口が液面の上方に露出するのをより抑制することができ、エアレーションの発生をより防止することができる。
【0036】
請求項7に記載の発明によれば、走行中に変化する液面に対して、吸入口が液面の上方に露出し難くなり、エアレーションの発生を防止することができる。
【0037】
請求項8に記載の発明によれば、第1変速機の径方向最外縁と第2変速機の径方向最外縁との少なくとも一部の周囲に、オフセットスペースが設けられ、該オフセットスペースを有効利用することで、駆動装置を小型化することができる。
【0038】
請求項9に記載の発明によれば、オフセットスペースを活用して液状流体流路を配置することで、吸入口を前後方向で回転軸線により近づけることが可能で、装置全体が径方向に大型化するのを抑えることができる。
【0039】
請求項10に記載の発明によれば、オフセットスペースを活用してストレーナを配置することで、ストレーナによって装置全体が径方向に大型化するのを抑えることができる。
【0040】
請求項11に記載の発明によれば、ストレーナに設けられた吸入口を前後方向において回転軸線により近づけることができ、エアレーションの発生をより防止することができる。
【0041】
請求項12に記載の発明によれば、制動手段を有する場合であっても、第1変速機の径方向最外縁と第2変速機の径方向最外縁の少なくとも一部の周囲に、オフセットスペースが設けられ、該オフセットスペースを有効利用することで、駆動装置を小型化することができる。
【0042】
請求項13に記載の発明によれば、ストレーナは制動手段を避けつつ、制動手段が配置されていないオフセットスペースを活用して配置することができ、ストレーナ全体が回転軸線から離れることなく、装置全体が径方向に大型化するのを抑えることができる。
【0043】
請求項14に記載の発明によれば、左右方向に2つの駆動源と変速機とを有する駆動装置の前後方向中心近傍で、且つ左右方向中心近傍に液状流体供給装置の吸入口が配置されるので、加速、減速、旋回等で前後左右方向に液面が変化しても、吸入口が液面の上方に露出するのを抑制することができ、エアレーションの発生を防止することができる。
また、吸入口は、第1及び第2変速機の径方向最外縁部の最前端もしくは最後端よりも車両の前後方向で回転軸線寄りに配置されるので、駆動装置を小型化することができる。
【0044】
請求項15に記載の発明によれば、吸入口が、左右方向中央により近づけて配置されるので、旋回によって左右方向に液面が変化しても、吸入口が液面の上方に露出するのをより抑制することができ、エアレーションの発生をより防止することができる。
【0045】
請求項16に記載の発明によれば、左右連通路が、第1及び第2変速機の径方向最外縁部の最前端と最後端との間に形成される空間を効率的に活用することができる。また、左右連通路の存在する領域が限られるため、同量の液状流体でも、液面の高さを高く保つことが可能で、吸入口が露出することが抑制され、エアレーションの発生をより防止することができる。
【0046】
請求項17に記載の発明によれば、左右連通路が回転軸線に対して前後方向の一方側のみに形成されるので、前後方向において左右連通路の底面積が限定され、液状流体の深さを増加することができる。これにより、吸入口が露出することがさらに抑制され、エアレーションの発生をより防止することができる。また、左右連通路が形成されない、回転軸線に対して前後方向の他方側の空間は、他部材を設置することで有効活用することができ、設計の自由度を向上することができる。
【0047】
請求項18に記載の発明によれば、吸入口は、左右連通路のうち、回転軸線に近い側に配置されるので、吸入口が液面の上方に露出するのをより抑制することができ、エアレーションの発生をより防止することができる。
【0048】
請求項19に記載の発明によれば、吸入口は左右連通路の底部近傍に配置されることで、吸入口が液面の上方に露出するのをより抑制することができ、エアレーションの発生をより防止することができる。
【0049】
請求項20に記載の発明によれば、走行中に変化する液面に対して、吸入口が液面の上方に露出し難くなり、エアレーションの発生を防止することができる。
【0050】
請求項21に記載の発明によれば、第1駆動源の径方向最外縁と第2駆動源の径方向最外縁との少なくとも一部の周囲に、オフセットスペースが設けられ、該オフセットスペースを有効利用することで、駆動装置を小型化することができる。
【0051】
請求項22に記載の発明によれば、オフセットスペースを活用して液状流体流路を配置することで、吸入口を前後方向で回転軸線により近づけることが可能で、装置全体が径方向に大型化するのを抑えることができる。
【0052】
請求項23に記載の発明によれば、オフセットスペースを活用してストレーナを配置することで、ストレーナによって装置全体が径方向に大型化するのを抑えることができる。
【0053】
請求項24に記載の発明によれば、ストレーナに設けられた吸入口を前後方向において回転軸線により近づけることができ、エアレーションの発生をより防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明に係る車両用駆動装置を搭載可能な車両の一実施形態であるハイブリッド車両の概略構成を示すブロック図である。
【図2】図7に示すII−II線に沿って、一実施形態の後輪駆動装置の縦断面図である。
【図3】図2に示す後輪駆動装置の上部部分拡大断面図である。
【図4】図1の車両用駆動装置がフレームに搭載された状態を示す斜視図である。
【図5】電動オイルポンプが取り外された後輪駆動装置の外観斜視図である。
【図6】電動オイルポンプが取り付けられた蓋部材を内側から見た斜視図である。
【図7】電動オイルポンプが取り付けられた状態を示す後輪駆動装置の側面図である。
【図8】ストレーナ収容室にストレーナが配置された状態を示す後輪駆動装置の正面図である。
【図9】図8のIX−IX線に沿った後輪駆動装置の断面図である。
【図10】図9のX−X線に沿った後輪駆動装置の断面図である。
【図11】(a)は、正規油量での左旋回時のストレーナに対する静止油面を示す図であり、(b)は、正規油量での右旋回時のストレーナに対する静止油面を示す図である。
【図12】(a)は、正規油量での加速時のストレーナに対する静止油面を示す図であり、(b)は、正規油量での減速時のストレーナに対する静止油面を示す図である。
【図13】本実施形態の変形例に係る後輪駆動装置を模式的に示す斜視図である。
【図14】(a)は、図13の後輪駆動装置を模式的に示す上面図であり、(b)は、その正面図であり、(c)は、その側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0055】
本発明に係る車両用駆動装置は、電動機を車輪駆動用の駆動源とするものであり、例えば、図1に示すような駆動システムの車両に用いられる。以下の説明では車両用駆動装置を後輪駆動用として用いる場合を例に説明するが、前輪駆動用に用いてもよい。
図1に示す車両3は、内燃機関4と電動機5とが直列に接続された駆動装置6(以下、前輪駆動装置と呼ぶ。)を車両前部に有するハイブリッド車両であり、この前輪駆動装置6の動力がトランスミッション7を介して前輪Wfに伝達される一方で、この前輪駆動装置6と別に車両後部に設けられた駆動装置1(以下、後輪駆動装置と呼ぶ。)の動力が後輪Wr(RWr、LWr)に伝達されるようになっている。前輪駆動装置6の電動機5と後輪駆動装置1の第1及び第2電動機2A、2Bとは、バッテリ9に接続され、バッテリ9からの電力供給と、バッテリ9へのエネルギー回生とが可能となっている。図1中、符号8は車両全体を制御するための制御装置である。
【0056】
先ず、本発明に係る一実施形態の車両用駆動装置について、図2〜図12に基づいて説明する。
図2は、後輪駆動装置1の全体の縦断面図を示すものであり、図3は、図2の上部部分拡大断面図である。同図において、符号11は、後輪駆動装置1のケースであり、ケース11は、車幅方向略中央部に配置される中央ケース11Mと、中央ケース11Mを挟むように中央ケース11Mの左右に配置される側方ケース11A、11Bと、から構成され、全体が略円筒状に形成される。ケース11の内部には、後輪Wr用の車軸10A、10Bと、車軸駆動用の第1及び第2電動機2A、2Bと、この電動機2A、2Bの駆動回転を減速する第1及び第2変速機としての第1及び第2遊星歯車式減速機12A、12Bとが、同一軸線上にそれぞれ並んで配置されている。この車軸10A、第1電動機2A及び第1遊星歯車式減速機12Aは左後輪LWrを駆動制御し、車軸10B、第2電動機2B及び第2遊星歯車式減速機12Bは右後輪RWrを駆動制御する。車軸10A、第1電動機2A及び第1遊星歯車式減速機12Aと、車軸10B、第2電動機2B及び第2遊星歯車式減速機12Bは、ケース11内で車幅方向に左右対称に配置されている。左後輪LWrは、第1電動機2Aに対して第1遊星歯車式減速機12Aと反対側に位置し、右後輪RWrも、第2電動機2Bに対して第2遊星歯車式減速機12Bと反対側に位置する。また、第1電動機2Aと第1遊星歯車式減速機12Aとは車幅方向外側からこの順序で配置され、且つ、第2電動機2Bと第2遊星歯車式減速機12Bとは車幅方向外側からこの順序で配置されることにより、第1及び第2遊星歯車式減速機12A、12Bは、第1及び第2電動機2A、2Bの間に配置される。
【0057】
側方ケース11A、11Bの中央ケース11M側には、それぞれ径方向内側に延びる隔壁18A、18Bが設けられ、側方ケース11A、11Bと隔壁18A、18Bとの間には、それぞれ第1及び第2電動機2A、2Bが配置される。また、中央ケース11Mと隔壁18A、18Bとに囲まれた空間には、第1及び第2遊星歯車式減速機12A、12Bが配置されている。なお、図2に示すように、本実施形態では、左側方ケース11Aと中央ケース11Mとは、第1電動機2A及び第1遊星歯車式減速機12Aを収容する第1ケース11Lを構成し、また、右側方ケース11Bと中央ケース11Mとは、第2電動機2B及び第2遊星歯車式減速機12Bを収容する第2ケース11Rを構成している。そして、第1ケース11Lは、第1電動機2Aと動力伝達経路の少なくとも一方の潤滑及び/又は冷却に供される液状媒体としてのオイルを貯留する左貯留部RLを有し、第2ケース11Rは、第2電動機2Bと動力伝達経路の少なくとも一方の潤滑及び/又は冷却に供されるオイルを貯留する右貯留部RRを有する。そして、ケース11は、図4に示すように、車両3の骨格となるフレームの一部であるフレーム部材13の支持部13a、13bと、不図示の駆動装置1のフレームとで支持されている。支持部13a、13bは、車幅方向でフレーム部材13の中心に対し左右に設けられている。また、図2〜12中の矢印は、後輪駆動装置1が車両に搭載された状態における位置関係を示している。
【0058】
後輪駆動装置1には、ケース11の内部と外部とを連通するブリーザ装置40が設けられ、内部の空気が過度に高温・高圧とならないように内部の空気をブリーザ室41を介して外部に逃がすように構成される。ブリーザ室41は、ケース11の鉛直方向上部に配置され、中央ケース11Mの外壁と、中央ケース11M内に左側方ケース11A側に略水平に延設された第1円筒壁43と、右側方ケース11B側に略水平に延設された第2円筒壁44と、第1及び第2円筒壁43、44の内側端部同士をつなぐ左右分割壁45と、第1円筒壁43の左側方ケース11A側先端部に当接するように取り付けられたバッフルプレート47Aと、第2円筒壁44の右側方ケース11B側先端部に当接するように取り付けられたバッフルプレート47Bと、により形成された空間により構成される。
【0059】
ブリーザ室41の下面を形成する第1及び第2円筒壁43、44と左右分割壁45とは、第1円筒壁43が第2円筒壁44より径方向内側に位置し、左右分割壁45が、第2円筒壁44の内側端部から縮径しつつ屈曲しながら第1円筒壁43の内側端部まで延設され、さらに径方向内側に延設されて略水平に延設された第3円筒壁46に達する。第3円筒壁46は、第1円筒壁43と第2円筒壁44との両外側端部より内側に且つその略中央に位置している。
【0060】
中央ケース11Mには、バッフルプレート47A、47Bが、第1円筒壁43と中央ケース11Mの外壁との間の空間又は第2円筒壁44と中央ケース11Mの外壁との間の空間を遊星歯車式減速機12A又は遊星歯車式減速機12Bからそれぞれ区画するように固定されている。
【0061】
また、中央ケース11Mには、ブリーザ室41と外部とを連通する外部連通路49がブリーザ室41の鉛直方向上面に接続される。外部連通路49のブリーザ室側端部49aは、鉛直方向下方を指向して配置されている。従って、オイルが外部連通路49を通って外部に排出されるのが抑制される。
【0062】
第1及び第2電動機2A、2Bは、ステータ14A、14Bがそれぞれ側方ケース11A、11Bに固定され、このステータ14A、14Bの内周側に環状のロータ15A、15Bが回転可能に配置されている。ロータ15A、15Bの内周部には車軸10A、10Bの外周を囲繞する円筒軸16A、16Bが結合され、この円筒軸16A、16Bが車軸10A、10Bと同軸上に相対回転可能となるように側方ケース11A、11Bの端部壁17A、17Bと隔壁18A、18Bとに軸受19A、19Bを介して支持されている。また、円筒軸16A、16Bの一端側の外周であって端部壁17A、17Bには、ロータ15A、15Bの回転位置情報を電動機2A、2Bの制御コントローラ(図示せず)にフィードバックするためのレゾルバ20A、20Bが設けられている。ステータ14A、14B、及びロータ15A、15Bを含む第1及び第2電動機2A、2Bは、同一径とされ、第1及び第2電動機2A、2Bの回転軸線は同一線X上に配置され(以下、符号Xを回転軸線Xとして付す。)、また、第1及び第2電動機2A、2Bは互いに鏡面対称に配置される。また、車軸10A及び円筒軸16Aは、第1電動機2A内を貫通して、第1電動機2Aの両端部から延出しており、車軸10B及び円筒軸16Bも、第2電動機2B内を貫通して、第2電動機2Bの両端部から延出している。
【0063】
また、左後輪LWrと第1電動機2Aとの動力伝達経路上に配置された第1遊星歯車式減速機12A、及び右後輪RWrと第2電動機2Bとの動力伝達経路上に配置された第2遊星歯車式減速機12Bは、サンギヤ21A、21Bと、このサンギヤ21A、21Bに噛合される複数のプラネタリギヤ22A、22Bと、これらのプラネタリギヤ22A、22Bを支持するプラネタリキャリア23A、23Bと、プラネタリギヤ22A、22Bの外周側に噛合されるリングギヤ24A、24Bと、を備え、サンギヤ21A、21Bから電動機2A、2Bの駆動力が入力され、減速された駆動力がプラネタリキャリア23A、23Bを通して車軸10A、10Bに出力されるようになっている。
【0064】
サンギヤ21A、21Bは円筒軸16A、16Bに一体に形成されている。また、プラネタリギヤ22A、22Bは、サンギヤ21A、21Bに直接噛合される大径の第1ピニオン26A、26Bと、この第1ピニオン26A、26Bよりも小径の第2ピニオン27A、27Bを有する2連ピニオンであり、これらの第1ピニオン26A、26Bと第2ピニオン27A、27Bが同軸にかつ軸方向にオフセットした状態で一体に形成されている。このプラネタリギヤ22A、22Bはニードルベアリング31A、31Bを介してプラネタリキャリア23A、23Bのピニオンシャフト32A、32Bに支持され、プラネタリキャリア23A、23Bは、軸方向内側端部が径方向内側に伸びて車軸10A、10Bにスプライン嵌合され一体回転可能に支持されるとともに、軸受33A、33Bを介して隔壁18A、18Bに支持されている。
【0065】
リングギヤ24A、24Bは、その内周面が小径の第2ピニオン27A、27Bに噛合されるギヤ部28A、28Bと、ギヤ部28A、28Bより小径でケース11の中間位置で互いに対向配置される小径部29A、29Bと、ギヤ部28A、28Bの軸方向内側端部と小径部29A、29Bの軸方向外側端部を径方向に連結する連結部30A、30Bとを備えて構成されている。
【0066】
ギヤ部28A、28Bは、中央ケース11Mの左右分割壁45の内径側端部に形成された第3円筒壁46を挟んで軸方向に対向している。小径部29A、29Bは、その外周面がそれぞれ後述する一方向クラッチ50のインナーレース51とスプライン嵌合し、リングギヤ24A、24Bは一方向クラッチ50のインナーレース51と一体回転するように互いに連結されて構成されている。
【0067】
遊星歯車式減速機12B側であって、ケース11を構成する中央ケース11Mの第2円筒壁44とリングギヤ24Bのギヤ部28Bとの間には、リングギヤ24Bに接続されて制動手段を構成する油圧ブレーキ60が第1ピニオン26Bと径方向でオーバーラップし、第2ピニオン27Bと軸方向でオーバーラップするように配置されている。油圧ブレーキ60は、第2円筒壁44の内周面にスプライン嵌合された複数の固定プレート35と、リングギヤ24Bのギヤ部28Bの外周面にスプライン嵌合された複数の回転プレート36とが軸方向に交互に配置され、これらのプレート35,36が環状のピストン37によって締結及び解放操作されるようになっている。ピストン37は、中央ケース11Mの左右分割壁45と第3円筒壁46との間に形成された環状のシリンダ室に進退自在に収容されており、さらに第3円筒壁46の外周面に設けられた受け座38に支持される弾性部材39によって、常時、固定プレート35と回転プレート36とを解放する方向に付勢される。
【0068】
また、さらに詳細には、左右分割壁45とピストン37の間はオイルが直接導入される作動室Sとされ、作動室Sに導入されるオイルの圧力が弾性部材39の付勢力に勝ると、ピストン37が前進(右動)し、固定プレート35と回転プレート36とが相互に押し付けられて締結することとなる。また、弾性部材39の付勢力が作動室Sに導入されるオイルの圧力に勝ると、ピストン37が後進(左動)し、固定プレート35と回転プレート36とが離間して解放することとなる。なお、油圧ブレーキ60は液状媒体供給装置としての電動オイルポンプ70(図4参照)に接続されている。
【0069】
この油圧ブレーキ60の場合、固定プレート35がケース11を構成する中央ケース11Mの左右分割壁45から伸びる第2円筒壁44に支持される一方で、回転プレート36がリングギヤ24Bのギヤ部28Bに支持されているため、両プレート35、36がピストン37によって押し付けられると、両プレート35、36間の摩擦締結によってリングギヤ24Bに制動力が作用し固定される。その状態からピストン37による締結が解放されると、リングギヤ24Bの自由な回転が許容される。なお、上述したように、リングギヤ24A、24Bは互いに連結されているため、油圧ブレーキ60が締結することによりリングギヤ24Aにも制動力が作用し固定され、油圧ブレーキ60が解放することによりリングギヤ24Aも自由な回転が許容される。
【0070】
また、軸方向で対向するリングギヤ24A、24Bの連結部30A、30B間にも空間部が確保され、その空間部内に、リングギヤ24A、24Bに対し一方向の動力のみを伝達し他方向の動力を遮断する一方向クラッチ50が配置されている。一方向クラッチ50は、インナーレース51とアウターレース52との間に多数のスプラグ53を介在させたものであって、そのインナーレース51がスプライン嵌合によりリングギヤ24A、24Bの小径部29A、29Bと一体回転するように構成されている。またアウターレース52は、第3円筒壁46により位置決めされるとともに、回り止めされている。
【0071】
一方向クラッチ50は、車両3が電動機2A、2Bの動力で前進する際に係合してリングギヤ24A、24Bの回転をロックするように構成されている。より具体的に説明すると、一方向クラッチ50は、電動機2A、2B側の順方向(車両3を前進させる際の回転方向)の回転動力が車輪Wr側に入力されるときに係合状態となるとともに電動機2A、2B側の逆方向の回転動力が車輪Wr側に入力されるときに非係合状態となり、車輪Wr側の順方向の回転動力が電動機2A、2B側に入力されるときに非係合状態となるとともに車輪Wr側の逆方向の回転動力が電動機2A、2B側に入力されるときに係合状態となる。
【0072】
このように本実施形態の後輪駆動装置1では、電動機2A、2Bと車輪Wrとの動力伝達経路上に一方向クラッチ50と油圧ブレーキ60とが並列に設けられている。なお、油圧ブレーキ60は、車両の走行状態や一方向クラッチ50の係合・非係合状態に応じて、オイルポンプ70から供給されるオイルの圧力により、解放状態、弱締結状態、締結状態に制御される。例えば、車両3が電動機2A、2Bの力行駆動により前進する時(低車速時、中車速時)は、一方向クラッチ50が締結するため動力伝達可能な状態となるが油圧ブレーキ60が弱締結状態に制御されることで、電動機2A、2B側からの順方向の回転動力の入力が一時的に低下して一方向クラッチ50が非係合状態となった場合にも、電動機2A、2B側と車輪Wr側とで動力伝達不能になることが抑制される。また、車両3が内燃機関4及び/又は電動機5の力行駆動により前進する時(高車速時)は、一方向クラ
ッチ50が非係合となりさらに油圧ブレーキが解放状態に制御されることで、電動機2A、2Bの過回転が防止される。一方、車両3の後進時や回生時には、一方向クラッチ50が非係合となるため油圧ブレーキ60が締結状態に制御されることで、電動機2A、2B側からの逆方向の回転動力が車輪Wr側に出力され、又は車輪Wr側の順方向の回転動力が電動機2A、2B側に入力される。
【0073】
また、図5及び図8に示すように、中央ケース11Mの第1及び第2円筒壁43、44と左右分割壁45との外周面は、ブリーザ室41を形成する以外の部分において外部に露出しており、第1及び第2円筒壁43、44と左右分割壁45との外周面には、その軸方向両端部から半径方向に張り出した一対の張り出し部101,102が形成されている。
【0074】
そして、第1及び第2円筒壁43、44と左右分割壁45との周囲で、斜め前方且つ下方には、一対の張り出し部101,102と、底壁103と、上壁104とによって略四角筒状に画成され、後述のストレーナ71を収容する左右連通路としてのストレーナ収容室105が形成されている。
【0075】
即ち、図9にも示すように、第1遊星歯車式減速機12Aの径方向最外縁と第2遊星歯車式減速機12Bの径方向最外縁とは、第1及び第2電動機2A、2Bの径方向最外縁Dよりも小さく形成されており、第1遊星歯車式減速機12Aの径方向最外縁と第2遊星歯車式減速機12Bの径方向最外縁とを覆う第1及び第2円筒壁43、44と左右分割壁45との外周面は、その周囲に径方向に凹んだオフセットスペースOSが設けられ、ストレーナ収容室105は、このオフセットスペースOSを利用して配置される。
【0076】
従って、ストレーナ収容室105の少なくとも一部は、前後方向で第1及び第2電動機2A、2Bの径方向最外縁部Dの最前端Dfと最後端Drとの間に配置される。また、ストレーナ収容室105は、第1及び第2円筒壁43、44と左右分割壁45との外周面と、これらの外周面の下方に形成される起立壁99とによって前後方向に区画され、前後方向において回転軸線Xに対して第1及び第2電動機2A、2Bの径方向最外縁部Dの最前端Df側に形成される。
【0077】
このストレーナ収容室105の前方開口部105aは、電動オイルポンプ70が取り付けられる蓋部材72を複数のボルト106により締結固定することで塞がれており、蓋部材72の内壁面は、ストレーナ収容室105の壁面を構成する。電動オイルポンプ70にはストレーナ71の排出口71aが接続されており、従って、ストレーナ71は、電動オイルポンプ70が取り付けられる蓋部材72をストレーナ収容室105の前方開口部105aに締結固定することで、ストレーナ収容室105内に配置される。
【0078】
ストレーナ収容室105を形成する一対の張り出し部101,102には、左貯留部RLとストレーナ収容室105とを連通する左中連通路としての貫通孔107a,107b(図5参照)と、右貯留部RRとストレーナ収容室105とを連通する右中連通路としての貫通孔107c(図9参照)とがそれぞれ形成されている。これにより、左貯留部RLと右貯留部RRとの間に配置された左右連通路であるストレーナ収容室105は、左貯留部RLと右貯留部RRとを連通する。
【0079】
さらに、図10に示すように、下方の起立壁99には、ストレーナ収容室105に臨んで前後方向に貫通するドレン通路121が形成されており、ドレン通路121の後端は、ドレンボルト122によって閉塞され、ドレンボルト122を取り外すことでオイルを外部に排出する。また、下方の起立壁99には、回転軸線Xに対して、吸入口71bが配置されていない、前後方向で第1及び第2電動機2A、2Bの径方向最外縁部Dの最後端Dr側に、ドレン通路121と交差して車幅方向に貫通し、左貯留部RLと右貯留部RRとを連通する他の左右連通路120が形成されている。他の左右連通路120は、左貯留部RLと右貯留部RRとの流動性をより向上させるために設けられている。
【0080】
ストレーナ収容室105に配置されるストレーナ71の吸入口71bは、図9及び図10に示すように、ストレーナ71の下部の回転軸線X寄りの先端近傍に形成されている。このため、図5、図8及び図9に示すように、吸入口71bは、第1及び第2電動機2A、2Bの径方向最外縁部Dの最前端Dfに接する第1仮想鉛直平面V1よりも前後方向で回転軸線X寄りに配置され、且つ、第1電動機2Aの第2電動機側端部を通る第2仮想鉛直平面V2と、第2電動機2Bの第1電動機側端部を通る第3仮想鉛直平面V3との間に配置される。
【0081】
また、吸入口71bは、回転軸線X方向と直交し、第1及び第2電動機2A、2Bから等距離に位置する仮想中分面Pと交差する位置に配置される。
【0082】
より具体的には、図9に示すように、吸入口71bは、側面視において、回転軸線Xと、ストレーナ収容室105の前後方向中間位置105cとの間に配置され、また、吸入口71bは、鉛直方向で回転軸線Xよりも下方側に位置し、ストレーナ収容室105の底壁103近傍に、該底壁103に向けて開口するように配置される。また、吸入口71bは、ストレーナ71の下面において、この下面の前後方向中間位置よりも回転軸線X寄りで、且つ、ストレーナ71の左右方向中央Cを含む位置に形成されている。
【0083】
図8及び図9に示すように、吸入口71bの直上に位置するストレーナ71の上部71cの表面は、第1遊星歯車式減速機12Aと第2遊星歯車式減速機12Bと対向するとともに、鉛直方向に対して傾斜して形成される。具体的には、このストレーナ71の上部71cの傾斜した表面は、第1遊星歯車式減速機12Aを覆う第1円筒壁43と、第2遊星歯車式減速機12B及びその径方向最外縁の外周に配置される油圧ブレーキ60を覆う第2円筒壁44とに対向している。
【0084】
また、上述のように、油圧ブレーキ60は第2遊星歯車式減速機12Bの径方向最外縁の外周に配置されるので、第2円筒壁44が第1円筒壁43に比べ径方向外側に張り出している。このため、図11に示すように、ストレーナ71の上部71cの表面は、前後方向視で頂点71c3を境に曲折する二つの平面71c1、71c2を有する形状を有し、頂点71c3はストレーナ71の左右方向中央Cに対し、油圧ブレーキ60が配置されない第1円筒壁43側に偏奇して形成される。
【0085】
従って、ストレーナ71の吸入口71bは、ストレーナ収容室105内において、車両用駆動装置1の前後方向中央近傍で、且つ、左右方向中央近傍に配置されるので、例えば、図11(a)に示すような左旋回時や、図11(b)に示すような右旋回時において、吸入口71bが液面Sの上方に露出することがなく、また、図12(a)に示すような加速時や、図12(b)に示すような減速時においても、吸入口71bが液面Sの上方に露出することがない。
【0086】
このように構成されたストレーナ71は、その下面に設けられた吸入口71bから吸入されたオイルの異物を除去し、異物が除去されたオイルが、電動オイルポンプ70へと送られる。
【0087】
図6及び図7に示すように、電動オイルポンプ70は、いわゆる、トロコイドポンプであり、位置センサレス・ブラシレス直流モータからなる他の電動機90によって駆動され、高圧モードと低圧モードとの少なくとも2つのモードで運転可能となっており、PID制御で制御されている。そして、吸引部93に設けられた図示しないインナーロータまたはアウターロータを回転することで吐出量を調整しながら、ストレーナ71から電動オイルポンプ70内に設けられた液状流体流路である流体吸入経路94に流入した流体を流体吐出経路(図示せず)に吐出する。
【0088】
また、図6に示すように、蓋部材72の内側には、蓋部材72とともに、油圧回路の油路の一部を画成する油路形成カバー96がボルト69によって固定されている。蓋部材72と油路形成カバー96との間には、下から順に、低圧油路切替弁73、ブレーキ油路切替弁74、リリーフ弁84がそれぞれ油圧回路内に配置されており、また、図7に示すように、蓋部材72の油路形成カバー96と反対側には、油圧回路内に配置されるソレノイド弁83が取り付けられている。
【0089】
従って、電動オイルポンプ70と吸入口71bとを連通する液体吸入経路94の少なくとも一部(本実施形態では、ストレーナ71に形成された液体吸入経路)も、オフセットスペースOS内に配置されている。
【0090】
また、油路形成カバー96には、ストレーナ収容室105内で、中央ケース11Mの外周面に形成された、ブレーキ油路の作動室用ポート108aと、後述する前方鉛直油路109の冷却/潤滑用ポート108bとにそれぞれ接続される、2つの出口パイプ97a、97bが取り付けられている。
【0091】
これら出口パイプ97a、97bは、上述したように、電動オイルポンプ70が取り付けられた蓋部材72がストレーナ収容室105の前方開口部105aに取り付けられた状態において、作動室用ポート108aと、冷却/潤滑用ポート108bとにそれぞれ接続される。
【0092】
ケース11には、作動室用ポート108aから油圧ブレーキ60の作動室Sまで連通するブレーキ油路(図示せず)が形成されおり、電動オイルポンプ70から吐出されたオイルが供給される。また、ケース11には、冷却/潤滑用ポート108bから中央ケース11Mの前部で鉛直方向に延びる前方鉛直油路109と、前方鉛直油路109から分岐する左側ケース油路110A及び右側ケース油路110Bとが形成されている。左側ケース油路110Aは、該油路110Aを通過するオイルが、第1電動機2Aのステータ14Aのコイルを冷却し、また、第1電動機2Aの軸受19Aを潤滑するように形成されるとともに、車軸10Aに設けられた左側車軸油路111Aと連通するように形成される。そして、左側車軸油路111Aを通過するオイルは、第1遊星歯車式減速機12Aのニードルベアリング31Aや各ギヤ21A、22A、23A、24Aの噛合部分などを潤滑する。
【0093】
また、右側ケース油路110Bも、該油路110Bを通過したオイルが、第2電動機2Bのステータ14Bのコイルを冷却し、また、第2電動機2Bの軸受19Bを潤滑するように形成されるとともに、車軸10Bに設けられた右側車軸油路111Bと連通するように形成される。そして、右側車軸油路111Bを通過するオイルは、第2遊星歯車式減速機12Bのニードルベアリング31Bや各ギヤ21B、22B、24Bの噛合部分などを潤滑する。
【0094】
以上説明したように、本実施形態の後輪駆動装置1によれば、オイルの供給に用いられる、ストレーナ71の吸入口71bは、ストレーナ収容室105に配置され、吸入口71bは、第1及び第2電動機2A、2Bの径方向最外縁部Dの最前端Dfに接する第1仮想鉛直平面V1よりも車両の前後方向で回転軸線X寄りに配置され、且つ、第1電動機2Aの第2電動機側端部を通る第2仮想鉛直平面V2と、第2電動機2Bの第1電動機側端部を通る第3仮想鉛直平面V3との間に配置される。これにより、左右に2つの電動機2A、2Bを有する車両用駆動装置1の前後方向中央近傍で、且つ、左右方向中央近傍にストレーナ71の吸入口71bが配置されるので、加速、減速、旋回等で前後左右方向に液面が変化しても、吸入口71bが液面の上方に露出するのを抑制することができ、エアレーションの発生を防止することができる。
また、吸入口71bは、第1及び第2電動機2A、2Bの径方向最外縁部Dの最前端Dfよりも車両の前後方向で回転軸線X寄りに配置されるので、駆動装置1を小型化することができる。
【0095】
また、吸入口71bは、回転軸線X方向と直交し、第1及び第2電動機2A、2Bから等距離に位置する仮想中分面Pと交差する位置に配置される。これにより、吸入口71bが、左右方向中央により近づけて配置されるので、旋回によって左右方向に液面が変化しても、吸入口71bが液面の上方に露出するのをより抑制することができ、エアレーションの発生をより防止することができる。
【0096】
また、ストレーナ収容室105は、回転軸線Xに対して、吸入口71bが配置される、前後方向で第1及び第2電動機2A、2Bの径方向最外縁部Dの最前端Df側のみに形成される。これにより、前後方向においてストレーナ収容室105の底面積が限定され、液状流体の深さを増加することができる。従って、吸入口71bが露出することがさらに抑制され、エアレーションの発生をより防止することができる。また、ストレーナ収容室105が形成されない、回転軸線Xに対して前後方向の他方側の空間は、他部材を設置することで有効活用することができ、設計の自由度を向上することができる。
【0097】
また、ストレーナ収容室105の少なくとも一部は、前後方向で第1及び第2電動機2A、2Bの径方向最外縁部Dの最前端Dfと最後端Drとの間に配置される。これにより、ストレーナ収容室105の少なくとも一部が、第1及び第2電動機2A、2Bの径方向最外縁部Dの最前端Dfと最後端Drとの間に形成される空間を効率的に活用することができる。また、ストレーナ収容室105の存在する領域を回転軸線Xに近づけることができ、加速、減速、旋回時の液面の変化中心を回転軸線Xに近づけることができ、エアレーションの発生を防止することができる。
【0098】
また、吸入口71bは、上面視において、回転軸線Xと、ストレーナ収容室105の前後方向中間位置105cとの間に配置される。これにより、吸入口71bは、ストレーナ収容室105のうち、回転軸線Xに近い側に配置されるので、吸入口71bが液面の上方に露出するのをより抑制することができ、エアレーションの発生をより防止することができる。
【0099】
また、吸入口71bは、鉛直方向で回転軸線Xよりも下方側に位置し、ストレーナ収容室105の底壁103近傍に配置される。これにより、吸入口71bが液面の上方に露出するのをより抑制することができ、エアレーションの発生をより防止することができる。
【0100】
また、吸入口71bは、ストレーナ収容室105の底壁103に向けて開口している。これにより、走行中に変化する液面に対して、吸入口71bが液面の上方に露出し難くなり、エアレーションの発生を防止することができる。
【0101】
また、第1電動機2Aと第1遊星歯車式減速機12Aとは車幅方向外側からこの順序で配置され、且つ、第2電動機2Bと第2遊星歯車式減速機12Bとは車幅方向外側からこの順序で配置されることにより、第1及び第2遊星歯車式減速機12A、12Bは、第1及び第2電動機2A、2Bの間に配置され、第1遊星歯車式減速機12Aの径方向最外縁と前記第2遊星歯車式減速機12Bの径方向最外縁との少なくとも一部は、その周囲に径方向に凹んだオフセットスペースOSが設けられるように、第1及び第2電動機2A、2Bの径方向最外縁Dよりも小さく形成される。従って、オフセットスペースOSを有効利用することで、車両用駆動装置1を小型化することができる。
【0102】
また、電動オイルポンプ70と吸入口71bとを連通する液体吸入流路94の少なくとも一部は、オフセットスペースOS内に配置されるので、吸入口71bを前後方向で回転軸線Xにより近づけることが可能で、装置全体が径方向に大型化するのを抑えることができる。
【0103】
また、液体吸入経路94には、オイルの濾過を行うストレーナ71が配置され、ストレーナ71の少なくとも一部はオフセットスペースOS内に配置されるので、ストレーナ71によって装置全体が径方向に大型化するのを抑えることができる。
【0104】
また、吸入口71bは、ストレーナ71の下部の回転軸線X寄りの先端近傍に形成され、吸入口71bの直上に位置するストレーナ71の上部71cの表面は、第1遊星歯車式減速機12Aの径方向最外縁と第2遊星歯車式減速機12Bの径方向最外縁との少なくとも一部と対向するとともに、鉛直方向に対して傾斜して形成される。これにより、ストレーナ71の上部71cが第1及び第2遊星歯車式減速機12A、12Bの径方向最外縁と干渉することなく、ストレーナ71に設けられた吸入口71bを前後方向において回転軸線Xにより近づけることができ、エアレーションの発生をより防止することができる。
【0105】
また、第2遊星歯車式減速機12Bには油圧ブレーキ60が接続され、油圧ブレーキ60は第2遊星歯車式減速機12Bの径方向最外縁の外周に配置される。これにより、油圧ブレーキ60を有する場合であっても、第1遊星歯車式減速機12Aの径方向最外縁と第2遊星歯車式減速機12Bの径方向最外縁との少なくとも一部の周囲に設けられたオフセットスペースOSを有効利用することで、車両用駆動装置1を小型化することができる。
【0106】
また、電動オイルポンプ70と吸入口71bとを連通する液体供給経路94に設けられ、オイルの濾過を行うストレーナ71の少なくとも一部は、オフセットスペースOS内に配置され、ストレーナ71の上部71cの表面は、前後方向視で頂点71c3を境に曲折する二つの平面71c1、71c2を有する形状を有し、頂点71c3はストレーナ71の左右方向中央Cに対し、油圧ブレーキ60が配置されない側に偏奇して形成される。これにより、ストレーナ71は油圧ブレーキ60を避けつつ、油圧ブレーキ60が配置されていないオフセットスペースOSを活用して配置することができ、ストレーナ71全体が回転軸線Xから離れることなく、装置全体が径方向に大型化するのを抑えることができる。
【0107】
また、上記実施形態の車両用駆動装置では、第1及び第2遊星歯車式変速機12A、12Bが、第1及び第2電動機2A、2Bの間に配置される構成としたが、第1及び第2電動機2A、2Bが、第1及び第2遊星歯車式変速機12A、12Bとの間に配置される構成であってもよい。以下、車両用駆動装置の変形例に係る構成について、図13及び図14の模式図を参照して説明する。
【0108】
該変形例の車両用駆動装置1は、車両の左後輪LWrを駆動する第1駆動源としての第1電動機2Aと、左後輪LWrと第1電動機2Aとの動力伝達経路上に設けられた第1変速機としての第1遊星歯車式減速機12Aと、第1電動機2Aと第1遊星歯車式減速機12Aとを収容し、第1遊星歯車式減速機12Aの潤滑及び/又は冷却に供される液状流体を貯留する左貯留部RLを有する第1ケース11Lと、車両の右後輪RWrを駆動する第2駆動源としての第2電動機2Bと、右後輪RWrと第2電動機2Bとの動力伝達経路上に設けられた第2遊星歯車式減速機12Bと、第2電動機2Bと第2遊星歯車式減速機12Bとを収容し、第2遊星歯車式減速機12Bの潤滑及び/又は冷却に供される液状流体を貯留する右貯留部RRを有する第2ケース11Rと、を備える。また、第1及び第2の遊星歯車式減速機12A、12Bは同一径とされ、第1及び第2遊星歯車式減速機12A、12Bの回転軸線及び第1及び第2電動機2A、2Bの回転軸線が同一線上に配置され、第1遊星歯車式減速機12Aと第1電動機2Aとは車幅方向外側からこの順序で配置され、且つ、第2遊星歯車式減速機12Bと第2電動機2Bとは車幅方向外側からこの順序で配置されることにより、第1及び第2電動機2A、2Bは、第1及び第2遊星歯車式減速機12A、12Bの間に配置される。さらに、左貯留部RLと右貯留部RRとの間には、左貯留部RLと右貯留部RRとを連通する左右連通路としてのストレーナ収容室105が配置される。
【0109】
そして、本実施形態では、液状流体の供給に用いられる、ストレーナ71の吸入口71bは、ストレーナ収容室105に配置され、吸入口71bは、第1及び第2遊星歯車式減速機12A、12Bの径方向最外縁部の最前端に接する第1仮想鉛直平面V1´よりも車両の前後方向で回転軸線X寄りに配置され、且つ、第1遊星歯車式減速機12Aの第2遊星歯車式減速機側端部を通る第2仮想鉛直平面V2´と、第2遊星歯車式減速機12Bの第1変速機側端部を通る第3仮想鉛直平面V3´との間に配置される。
【0110】
このため、該変形例では、第1電動機2Aの径方向最外縁と第2電動機2Bの径方向最外縁との少なくとも一部は、第1及び第2遊星歯車式減速機12A、12Bの径方向最外縁よりも小さく形成され、周囲に径方向に凹んだオフセットスペースOSが設けられる。
【0111】
また、ストレーナ収容室105は、前後方向で第1及び第2遊星歯車式減速機12A、12Bの径方向最外縁部D´の最前端Df´と最後端Dr´との間に配置されており、ストレーナ収容室105は、回転軸線Xに対して、吸入口71bが配置される、前後方向で第1及び第2遊星歯車式減速機12A、12Bの径方向最外縁部D´の最前端側のみに形成される。
なお、ストレーナ収容室105内に配置されるストレーナ71の構成は、上記実施形態のものと実質的に同様である。
【0112】
従って、この変形例による後輪駆動装置1によれば、ストレーナ71の吸入口71bは、ストレーナ収容室105に配置され、吸入口71bは、第1及び第2遊星歯車式減速機12A、12Bの径方向最外縁部D´の最前端Df´に接する第1仮想鉛直平面V1´よりも車両の前後方向で回転軸線X寄りに配置され、且つ、第1遊星歯車式減速機12Aの第2遊星歯車式減速機側端部を通る第2仮想鉛直平面V2´と、第2遊星歯車式減速機12Bの第1変速機側端部を通る第3仮想鉛直平面V3´との間に配置される。これにより、左右方向に2つの電動機2A、2Bと第1及び第2遊星歯車式減速機12A、12Bとを有する後輪駆動装置1の前後方向中心近傍で、且つ左右方向中心近傍にストレーナ71の吸入口71bが配置されるので、加速、減速、旋回等で前後左右方向に液面が変化しても、吸入口71bが液面の上方に露出するのを抑制することができ、エアレーションの発生を防止することができる。
また、吸入口71bは、第1及び第2遊星歯車式減速機12A、12Bの径方向最外縁部D´の最前端Df´よりも車両の前後方向で回転軸線X寄りに配置されるので、駆動装置を小型化することができる。
【0113】
また、吸入口71bは、回転軸線X方向と直交し、第1及び第2電動機2A、2Bから等距離に位置する仮想中分面Pと交差する位置に配置される。これにより、吸入口71bが、左右方向中央により近づけて配置されるので、旋回によって左右方向に液面が変化しても、吸入口71bが液面の上方に露出するのをより抑制することができ、エアレーションの発生をより防止することができる。
【0114】
また、ストレーナ収容室105は、前後方向で第1及び第2遊星歯車式減速機12A、12Bの径方向最外縁部D´の最前端Df´と最後端Dr´との間に配置される。これにより、ストレーナ収容室105が、第1及び第2遊星歯車式減速機12A、12Bの径方向最外縁部D´の最前端Df´と最後端Dr´との間に形成される空間を効率的に活用することができる。また、ストレーナ収容室105の存在する領域が限られるため、同量の液状流体でも、液面の高さを高く保つことが可能で、吸入口71bが露出することが抑制され、エアレーションの発生をより防止することができる。
【0115】
また、ストレーナ収容室105は、回転軸線Xに対して、吸入口71bが配置される、前後方向で第1及び第2遊星歯車式減速機12A、12Bの径方向最外縁部D´の最前端Df´側のみに形成されるので、前後方向においてストレーナ収容室105の底面積が限定され、オイルの深さを増加することができ、吸入口71bが露出することがさらに抑制され、エアレーションの発生をより防止することができる。また、ストレーナ収容室105が形成されない、回転軸線Xに対して前後方向の他方側の空間は、他部材を設置することで有効活用することができ、設計の自由度を向上することができる。
【0116】
また、吸入口71bは、上面視において、回転軸線Xと、ストレーナ収容室105の前後方向中間位置105cとの間に配置される。これにより、吸入口71bは、ストレーナ収容室105のうち、回転軸線Xに近い側に配置されるので、吸入口71bが液面の上方に露出するのをより抑制することができ、エアレーションの発生をより防止することができる。
【0117】
また、吸入口71bは、鉛直方向で回転軸線Xよりも下方側に位置し、ストレーナ収容室の底壁103近傍に配置される。これにより、吸入口71bはストレーナ収容室105の底部近傍に配置されることで、吸入口71bが液面の上方に露出するのをより抑制することができ、エアレーションの発生をより防止することができる。
【0118】
また、吸入口71bは、前記左右連通路の底部に向けて開口している。これにより、走行中に変化する液面に対して、吸入口71bが液面の上方に露出し難くなり、エアレーションの発生を防止することができる。
【0119】
また、第1電動機2Aの径方向最外縁と第2電動機2Bの径方向最外縁との少なくとも一部は、第1及び第2遊星歯車式減速機12A、12Bの径方向最外縁よりも小さく形成され、周囲に径方向に凹んだオフセットスペースOS´が設けられる。これにより、該オフセットスペースOS´を有効利用することで、駆動装置を小型化することができる。
【0120】
また、電動オイルポンプ70と吸入口71bとを連通する液体供給経路94の少なくとも一部は、オフセットスペースOS´内に配置されるので、吸入口71bを前後方向で回転軸線Xにより近づけることが可能で、装置全体が径方向に大型化するのを抑えることができる。
【0121】
また、液体供給経路94には、オイルの濾過を行うストレーナ71が配置され、該ストレーナ71の少なくとも一部はオフセットスペースOS´内に配置されるので、ストレーナ71によって装置全体が径方向に大型化するのを抑えることができる。
【0122】
また、吸入口71bは、ストレーナ71の下部の回転軸線X寄りの先端近傍に形成され、吸入口71bの直上に位置するストレーナ71の上部71cの表面は、第1電動機2Aの径方向最外縁と第2電動機2Bの径方向最外縁との各外縁の少なくとも一部と対向するとともに、鉛直方向に対して傾斜して形成される。これにより、ストレーナ71に設けられた吸入口71bを前後方向において回転軸線Xにより近づけることができ、エアレーションの発生をより防止することができる。
【0123】
尚、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。
また、前輪駆動装置6を内燃機関4を用いずに電動機5を唯一の駆動源とするものでもよい。
【0124】
本実施形態では、左側方ケース11Aと中央ケース11Mとで第1ケース11Lを、また、右側方ケース11Bと中央ケース11Mとで第2ケース11Rをそれぞれ構成している。しかしながら、本発明の第1ケース11Lは、第1電動機2A及び第1遊星歯車式減速機12Aを収容し、左貯留部RLを有するものであれば、また、第2ケース11Rは、第2電動機2B及び第2遊星歯車式減速機12Bを収容し、右貯留部RRを有するものであれば、この構成に限定されるものでない。
【0125】
さらに、図2〜図12に示すような実施形態では、左車輪と第1電動機2Aとの動力伝達経路上に第1変速機が、右車輪と第2電動機2Bとの動力伝達経路上には第2変速機が、それぞれ配置される構成としたが、本発明は、第1及び第2変速機を有さずに、第1及び第2電動機2A、2Bを有する構成であってもよい。
【0126】
また、本発明は、冷却、潤滑に供される液状媒体としてオイルを用いたが、他の液体を用いてもよい。
【0127】
さらに、吸入口71bやストレーナ収容室105は、図2〜図12に示すような実施形態では、第1及び第2電動機の径方向最外縁部Dの最前端Df側に配置したが、第1及び第2電動機の径方向最外縁部Dの最後端Dr側に配置されてもよい。この場合、吸入口71bは、第1及び第2電動機2A、2Bの径方向最外縁部Dの最後端Drに接する第1仮想鉛直平面V1よりも車両の前後方向で回転軸線X寄りに配置される。
【0128】
同様に、図13及び14に示すような変形例においても、吸入口71bやストレーナ収容室105は、第1及び第2変速機の径方向最外縁部D´の最前端Df´側に配置したが、第1及び第2変速機の径方向最外縁部D´の最後端Dr´側に配置されてもよい。この場合、吸入口71bは、第1及び第2変速機12A、12Bの径方向最外縁部D´の最後端Drに接する第1仮想鉛直平面V1´よりも車両の前後方向で回転軸線X寄りに配置される。
【0129】
また、本発明の液状流体供給装置の吸入口は、本実施形態では、液状流体供給装置である電動オイルポンプ70に接続されたストレーナ71の吸入口71bとしたが、電動オイルポンプ70に液状流体を供給するための吸入口であればこれに限定されず、例えば、電動オイルポンプ70から延びる液状流体流路の吸入口であってもよい。
【符号の説明】
【0130】
1 後輪駆動装置(車両用駆動装置)
2A 第1電動機(第1駆動源)
2B 第2電動機(第2駆動源)
11 ケース
11L 第1ケース
11R 第2ケース
12A 第1遊星歯車式減速機(第1変速機)
12B 第2遊星歯車式減速機(第2変速機)
70 電動オイルポンプ(液状媒体供給装置)
71 ストレーナ
71b 吸入口
71c 上部
71c1、71c2 平面
71c3 頂面
105 ストレーナ収容室(左右連通路)
105c ストレーナ収容室の前後方向中間位置(左右連通路の前後方向中間位置)
C ストレーナの左右方向中央
D、D´ 径方向最外縁部
Df、Df´ 最前端
Dr、Dr´ 最後端
LWr 左後輪(左車輪)
RWr 右後輪(右車輪)
P 仮想中分面
RL 左貯留部
RR 右貯留部
V1、V1´ 第1仮想鉛直平面
V2、V2´ 第2仮想鉛直平面
V3、V3´ 第3仮想鉛直平面
X 回転軸線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の左車輪を駆動する第1電動機と、
前記第1電動機を収容し、前記第1電動機の潤滑及び/又は冷却に供される液状流体を貯留する左貯留部を有する第1ケースと、
前記車両の右車輪を駆動する第2電動機と、
前記第2電動機を収容し、前記第2電動機の潤滑及び/又は冷却に供される液状流体を貯留する右貯留部を有する第2ケースと、
を備え、
前記第1及び第2の電動機は同一径とされ、前記第1及び第2電動機の回転軸線が同一線上に配置され、且つ、
前記左貯留部と前記右貯留部との間には、前記左貯留部と前記右貯留部とを連通する左右連通路が配置される車両用駆動装置であって、
前記液状流体の供給に用いられる、液状流体供給装置の吸入口は、前記左右連通路に配置され、
前記吸入口は、前記第1及び第2電動機の径方向最外縁部の最前端もしくは最後端に接する第1仮想鉛直平面よりも前記車両の前後方向で前記回転軸線寄りに配置され、且つ、前記第1電動機の前記第2電動機側端部を通る第2仮想鉛直平面と、前記第2電動機の前記第1電動機側端部を通る第3仮想鉛直平面との間に配置されることを特徴とする車両用駆動装置。
【請求項2】
前記吸入口は、前記回転軸線方向と直交し、前記第1及び第2電動機から等距離に位置する仮想中分面と交差する位置に配置されることを特徴とする請求項1に記載の車両用駆動装置。
【請求項3】
前記吸入口が配置される前記左右連通路は、前記回転軸線に対して、前記前後方向で前記吸入口が配置される側のみに形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用駆動装置。
【請求項4】
前記吸入口が配置される前記左右連通路の少なくとも一部は、前記前後方向で前記第1及び第2電動機の径方向最外縁部の最前端と最後端との間に配置されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の車両用駆動装置。
【請求項5】
前記吸入口は、上面視において、前記回転軸線と、前記左右連通路の前後方向中間位置との間に配置されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の車両用駆動装置。
【請求項6】
前記吸入口は、鉛直方向で前記回転軸線よりも下方側に位置し、前記左右連通路の底部近傍に配置されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の車両用駆動装置。
【請求項7】
前記吸入口は、前記左右連通路の底部に向けて開口していることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の車両用駆動装置。
【請求項8】
前記左車輪と前記第1電動機との動力伝達経路上には第1変速機が配置され、
前記右車輪と前記第2電動機との動力伝達経路上には第2変速機が配置され、
前記第1電動機と前記第1変速機とは車幅方向外側からこの順序で配置され、且つ、前記第2電動機と前記第2変速機とは車幅方向外側からこの順序で配置されることにより、前記第1及び第2変速機は、前記第1及び第2電動機の間に配置され、
前記第1変速機の径方向最外縁と前記第2変速機の径方向最外縁との少なくとも一部は、その周囲に径方向に凹んだオフセットスペースが設けられるように、前記第1及び第2電動機の径方向最外縁よりも小さく形成されることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の車両用駆動装置。
【請求項9】
前記液状流体供給装置と前記吸入口とを連通する液状流体流路の少なくとも一部は、前記オフセットスペース内に配置されることを特徴とする請求項8に記載の車両用駆動装置。
【請求項10】
前記液状流体流路には、前記液状流体の濾過を行うストレーナが配置され、該ストレーナの少なくとも一部は前記オフセットスペース内に配置されることを特徴とする請求項9に記載の車両用駆動装置。
【請求項11】
前記吸入口は、前記ストレーナの下部の前記回転軸線寄りの先端近傍に形成され、
前記吸入口の直上に位置する前記ストレーナの上部の表面は、前記第1変速機と前記第2変速機の少なくとも一部と対向するとともに、鉛直方向に対して傾斜して形成されることを特徴とする請求項10に記載の車両用駆動装置。
【請求項12】
前記第1変速機と前記第2変速機との一方には制動手段が接続され、
前記制動手段は該一方の変速機の径方向最外縁の外周に配置されることを特徴とする請求項8に記載の車両用駆動装置。
【請求項13】
前記液状流体供給装置と前記吸入口とを連通する液状流体流路に設けられ、前記液状流体の濾過を行うストレーナの少なくとも一部は、前記オフセットスペース内に配置され、
前記ストレーナの上部の表面は、前後方向視で頂点を境に曲折する二つの平面を有する形状を有し、
前記頂点は前記ストレーナの左右方向中央に対し、前記制動手段が配置されない側に偏奇して形成されることを特徴とする請求項12に記載の車両用駆動装置。
【請求項14】
車両の左車輪を駆動する第1駆動源と、
前記左車輪と前記第1駆動源との動力伝達経路上に設けられた第1変速機と、
前記第1駆動源と前記第1変速機とを収容し、前記第1変速機の潤滑及び/又は冷却に供される液状流体を貯留する左貯留部を有する第1ケースと、
前記車両の右車輪を駆動する第2駆動源と、
前記右車輪と前記第2駆動源との動力伝達経路上に設けられた第2変速機と、
前記第2駆動源と前記第2変速機とを収容し、前記第2変速機の潤滑及び/又は冷却に供される液状流体を貯留する右貯留部を有する第2ケースと、
を備え、
前記第1及び第2の変速機は同一径とされ、前記第1及び第2変速機の回転軸線及び第1及び第2駆動源の回転軸線が同一線上に配置され、
前記第1変速機と前記第1駆動源とは車幅方向外側からこの順序で配置され、且つ、前記第2変速機と前記第2駆動源とは車幅方向外側からこの順序で配置されることにより、前記第1及び第2駆動源は、前記第1及び第2変速機の間に配置され、
前記左貯留部と前記右貯留部との間には、前記左貯留部と前記右貯留部とを連通する左右連通路が配置される車両用駆動装置であって、
前記液状流体の供給に用いられる、液状流体供給装置の吸入口は、前記左右連通路に配置され、
前記吸入口は、前記第1及び第2変速機の径方向最外縁部の最前端もしくは最後端に接する第1仮想鉛直平面よりも前記車両の前後方向で前記回転軸線寄りに配置され、且つ、前記第1変速機の前記第2変速機側端部を通る第2仮想鉛直平面と、前記第2変速機の前記第1変速機側端部を通る第3仮想鉛直平面との間に配置されることを特徴とする車両用駆動装置。
【請求項15】
前記吸入口は、前記回転軸線方向と直交し、前記第1及び第2駆動源から等距離に位置する仮想中分面と交差する位置に配置されることを特徴とする請求項14に記載の車両用駆動装置。
【請求項16】
前記吸入口が配置される前記左右連通路は、前記前後方向で前記第1及び第2変速機の径方向最外縁部の最前端と最後端との間に配置されることを特徴とする請求項14又は15に記載の車両用駆動装置。
【請求項17】
前記吸入口が配置される前記左右連通路は、前記回転軸線に対して、前記前後方向で前記吸入口が配置される側のみに形成されることを特徴とする請求項16に記載の車両用駆動装置。
【請求項18】
前記吸入口は、上面視において、前記回転軸線と、前記左右連通路の前後方向中間位置との間に配置されることを特徴とする請求項14〜17のいずれか1項に記載の車両用駆動装置。
【請求項19】
前記吸入口は、鉛直方向で前記回転軸線よりも下方側に位置し、前記左右連通路の底部近傍に配置されることを特徴とする請求項14〜18のいずれか1項に記載の車両用駆動装置。
【請求項20】
前記吸入口は、前記左右連通路の底部に向けて開口していることを特徴とする請求項14〜19のいずれか1項に記載の車両用駆動装置。
【請求項21】
前記第1駆動源の径方向最外縁と前記第2駆動源の径方向最外縁との少なくとも一部は、その周囲に径方向に凹んだオフセットスペースが設けられるように、前記第1及び第2変速機の径方向最外縁よりも小さく形成されることを特徴とする請求項14〜20のいずれか1項に記載の車両用駆動装置。
【請求項22】
前記液状流体供給装置と前記吸入口とを連通する液状流体流路の少なくとも一部は、前記オフセットスペース内に配置されることを特徴とする請求項21に記載の車両用駆動装置。
【請求項23】
前記液状流体流路には、前記液状流体の濾過を行うストレーナが配置され、該ストレーナの少なくとも一部は前記オフセットスペース内に配置されることを特徴とする請求項22に記載の車両用駆動装置。
【請求項24】
前記吸入口は、前記ストレーナの下部の前記回転軸寄りの先端近傍に形成され、
前記吸入口の直上に位置する前記ストレーナの上部の表面は、前記第1駆動源の径方向最外縁と前記第2駆動源の径方向最外縁との各外縁の少なくとも一部と対向するとともに、鉛直方向に対して傾斜して形成されることを特徴とする請求項23に記載の車両用駆動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−52849(P2013−52849A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−194288(P2011−194288)
【出願日】平成23年9月6日(2011.9.6)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】