車両運行管理システム
【課題】複数の車両のうち、どの車両がどの順番で生コン工場に到着するかを正確に把握できる車両運行管理システムを提供する。
【解決手段】複数の車両に搭載されている車両搭載装置2から車両1の位置情報を、定期的に運行管理サーバ3にネットワーク5を介して自動送信し、運行管理サーバ3は、取得した各車両1の位置情報と、仮想ゲート情報とに基づいて、各車両1が仮想ゲートを通過した時刻を取得し、この時刻と、仮想ゲートから出荷位置までの車両の走行時間を予め設定しておいた設定時間とに基づいて、空の各車両が出荷位置(例えば生コン工場)に到着する到着予測時刻を予測し、現場用管理装置4は、運行管理サーバ3から到着予測時刻を取得して表示することによって、複数の車両のうち、どの車両がどの順番で生コン工場に到着するかを正確に把握できる。
【解決手段】複数の車両に搭載されている車両搭載装置2から車両1の位置情報を、定期的に運行管理サーバ3にネットワーク5を介して自動送信し、運行管理サーバ3は、取得した各車両1の位置情報と、仮想ゲート情報とに基づいて、各車両1が仮想ゲートを通過した時刻を取得し、この時刻と、仮想ゲートから出荷位置までの車両の走行時間を予め設定しておいた設定時間とに基づいて、空の各車両が出荷位置(例えば生コン工場)に到着する到着予測時刻を予測し、現場用管理装置4は、運行管理サーバ3から到着予測時刻を取得して表示することによって、複数の車両のうち、どの車両がどの順番で生コン工場に到着するかを正確に把握できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば生コンクリート等の荷を所定の場所まで運搬する複数の車両の運行管理を行う車両運行管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えばダム施工等の土木工事では、バッチャープラントと称される生コン工場にて生コンクリートを製造し、この製造された生コンクリートをコンクリートミキサ車・ダンプトラック等の車両によってコンクリートの打設場所まで搬送する。生コン工場に隣接して設けられた管理事務所では、複数の車両の運行管理を行っている。
この車両運行管理システムの一例として、特許文献1に記載のものが知られている。この車両運行管理システムでは、ミキサ車に搭載されるGPS機能を備えた通信端末装置から、自車(ミキサ車)の位置情報、時刻情報、特定情報等が管理センタに設置された管理装置に送信され、この管理装置によって、複数のミキサ車の現在の位置を管理装置の表示部に表示された地図上で把握できるようになっている。
【特許文献1】特開2003−346295号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、ミキサ車・ダンプトラック等の車両は、コンクリートの打設位置(場所)ごとに複数台専用に定められている。コンクリートの打設位置によって、コンクリート配合が異なるが、生コン工場で練るコンクリートは、1回で1種類の配合しか練ることができないのが通常である。
そこで、生コン工場では、次に到着する車両がどこの打設位置の車両か判断できれば、打設位置にあった配合のコンクリートを練り始めることができ、到着した車両を待たせることがないので、車両の稼働率を向上させることができる。
しかし、前記特許文献1に記載の車両運行管理システムでは、複数の車両の位置を管理事務所に設けられた管理装置の表示部に表示された地図上で把握できるが、複数ある車両のうちどの車両がどの順番で生コン工場に到着するかを正確に把握することは困難である。つまり、複数の車両の位置を地図上で確認できるが、道路の状況や、複数の車両と生コン工場との距離を正確に把握できない場合などがあり、このような場合、どの車両がどの順番で生コン工場に到着するかを正確に把握することができない。
【0004】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、複数の車両のうち、どの車両がどの順番で生コン工場等の出荷位置に到着するかを正確に把握できる車両運行管理システムを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、例えば図1に示すように、荷(例えば生コンクリート)を所定の場所(例えば打設場所)まで運搬する複数の車両1の運行管理を行う車両運行管理システムであって、
前記各車両1に搭載され、GPS機能を備えた無線通信可能な車両搭載装置2と、運行管理サーバ3と、現場用管理装置4と、これらを接続するネットワーク5とを備え、
前記車両搭載装置2は、GPS機能によって取得した車両の位置情報を、定期的に前記運行管理サーバ3に前記ネットワーク5を介して自動送信可能であり、
前記運行管理サーバ3には、前記各車両1に荷が積荷される出荷位置の情報である出荷位置情報と、前記出荷位置から所定距離離間した仮想ゲートGの位置情報である仮想ゲート情報とが格納されており、
さらに、前記運行管理サーバ3は、前記車両搭載装置2から取得した各車両の位置情報と、前記仮想ゲート情報とに基づいて、前記各車両1が前記仮想ゲートGを通過した時刻を取得し、この時刻と、前記仮想ゲートGから前記出荷位置までの車両の走行時間を予め設定しておいた設定時間とに基づいて、荷を積荷していない空の各車両1が前記出荷位置に到着する到着予測時刻を予測可能であり、
前記現場用管理装置4は、前記運行管理サーバ3から前記到着予測時刻を取得して表示可能であることを特徴とする。
【0006】
ここで、前記仮想ゲートGは、地図上に座標(緯度、経度からなる座標)を定めた仮想の地点であり、その位置、数は車両の運行ルートによって適宜設定される。
また、本車両運行システムは、出荷場所に戻って運搬を繰り返すものであれば、荷や所定の場所、出荷位置はどのようなものでもよいが、特に、生コンクリートを運搬する車両の運行システムに好適に適用できる。
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、複数の車両に搭載されている車両搭載装置2からGPS機能によって取得した車両の位置情報を、定期的に運行管理サーバ3にネットワーク5を介して自動送信し、この運行管理サーバ3は取得した各車両の位置情報と、仮想ゲート情報とに基づいて、各車両が仮想ゲートGを通過した時刻を取得し、この時刻と、仮想ゲートGから出荷位置までの車両の走行時間を予め設定しておいた設定時間とに基づいて、荷を積荷していない空の各車両が出荷位置(例えば生コン工場)に到着する到着予測時刻を予測し、前記現場用管理装置4は、前記運行管理サーバ3から前記到着予測時刻を取得して表示することによって、複数の車両のうち、どの車両がどの順番で出荷位置に到着するかを正確に把握できる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、例えば、図1および図3に示すように、請求項1に記載の車両運行管理システムにおいて、
前記現場用管理装置4は、前記車両搭載装置2から運行管理サーバ3に送信されてきて格納された各車両の位置情報を前記ネットワーク5を介して自動取得して、該各車両1の位置を表示可能であることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明によれば、現場用管理装置4が、各車両の位置を表示することによって、現場管理者は、現在車両がどこにいるのかを容易に把握することができる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の車両運行システムにおいて、前記荷が生コンクリートであり、前記所定の場所がコンクリートを打設する打設場所であり、出荷位置が生コン工場であることを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明によれば、複数の生コンクリートを運搬すべき空の車両のうち、どの車両がどの順番で出荷位置に到着するかを正確に把握できる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、例えば図5に示すように、請求項3に記載の車両運行管理システムにおいて、
前記現場用管理装置4は、それに入力された車両番号、生コンクリートの打設計画情報、ルート情報、生コンクリートの配合情報等を備えた計画情報を前記運行管理サーバ3にネットワーク5を介して送信可能であり、
この運行管理サーバ3は、前記計画情報を前記出荷位置に位置している空の車両に搭載されている車両搭載装置2に送信可能であり、
この車両搭載装置2は、前記計画情報を表示可能であることを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載の発明によれば、運行管理サーバ3が、車両番号、生コンクリートの打設計画情報、ルート情報、生コンクリートの配合情報等を備えた計画情報を出荷位置(生コン工場)に位置している空の車両に搭載されている車両搭載装置2に送信し、この車両搭載装置2が計画情報を表示することによって、車両の運転手は計画情報を容易に確認して、所定の打設場所まで生コンクリートを運搬できる。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の車両運行管理システムにおいて、前記車両搭載装置2は、その車両1の位置情報と、前記ルート情報とに基づいて、前記各車両1が前記ルートから外れたか否かを判断し、該車両1がルートから外れた際に、このことを車両1の運転者に警告可能であることを特徴とする。
【0015】
車両がルートから外れた否かを判断する場合、例えば、ルートを外れた分岐路の先に円形のエリアを設定し、そのエリア内に車両1が進入した際にルート外と判定するようにしている。
また、GPSの地図上に表示されたルートから車両が所定距離以上外れた場合に、ルート外と判定するようにしてもよい。
【0016】
請求項5に記載の発明によれば、車両がルートから外れた際に、このことを車両搭載装置2が車両の運転者に警告することにより、運転手は車両が正しいルートから外れたことを直ぐに認識して、すばやく正しいルートに復帰することができる。
【0017】
請求項6に記載の発明は、請求項4または5に記載の車両運行管理システムにおいて、
前記車両搭載装置2は、車両1が打設場所で生コンクリートを荷卸した際に、その車両1の荷卸通知を前記運行管理サーバ3に送信可能であり、
前記運行管理サーバ3は、それに格納されている計画情報と前記荷卸通知に基づいて、コンクリートの打設進捗状況を求め、
前記現場用管理装置4は、前記コンクリートの打設進捗状況を表示可能であることを特徴とする。
【0018】
請求項6に記載の発明によれば、運行管理サーバ3が、それに格納されている計画情報と車両搭載装置2から取得した荷卸通知とに基づいて、コンクリートの打設進捗状況を求め、現場用管理装置4が、コンクリートの打設進捗状況を表示することによって、管理事務所で打設進捗状況をリアルタイムで確認することができる。
【0019】
請求項7に記載の発明は、請求項3〜6のいずれか一項に記載の車両運行管理システムにおいて、
前記車両搭載装置2は、生コンクリートが積荷された車両1が前記打設場所に到着して、生コンクリートを荷卸す前に、車両1の位置情報を含む荷卸通知を前記運行管理サーバ3に送信可能であり、
この運行管理サーバ3は、それに格納されている計画情報と、前記車両の位置情報とに基づいて、打設場所が正しいか否かを判断し、打設場所が間違っていた場合に、前記車両搭載装置2に荷卸エラー情報を送信可能であり、
前記車両搭載装置2は、前記荷卸エラー情報を車両の運転手に通知可能であることを特徴とする。
【0020】
請求項7に記載の発明によれば、車両搭載装置2が荷卸エラー情報を車両の運転手に通知することによって、運転手は間違った場所に生コンクリートを荷卸すことを未然に防止しできる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、複数の車両に搭載されている車両搭載装置2からGPS機能によって取得した車両の位置情報を、定期的に運行管理サーバ3にネットワーク5を介して自動送信し、運行管理サーバ3は、取得した各車両の位置情報と、仮想ゲート情報とに基づいて、各車両が仮想ゲートGを通過した時刻を取得し、この時刻と、仮想ゲートGから出荷位置までの車両の走行時間を予め設定しておいた設定時間とに基づいて、荷(例えば生コンクリート)を積荷していない空の各車両が出荷位置(例えば生コン工場)に到着する到着予測時刻を予測し、前記現場用管理装置4は、前記運行管理サーバ3から前記到着予測時刻を取得して表示することによって、複数の車両のうち、どの車両がどの順番で出荷位置に到着するかを正確に把握できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
本実施の形態の車両運行管理システムは、図1に示すように、生コンクリートを所定の打設場所まで運搬する複数の車両1の運行管理を行うシステムであり、前記各車両1に搭載され、GPS機能を備えた無線通信可能な車両搭載装置2と、運行管理サーバ3と、現場用管理装置4,4と、これらを接続するネットワーク5とを備えている。
なお、現場用管理装置4,4は基本的に同じものであるが、現場事務所に設置される現場用管理装置4は、現場の管理者が翌日の計画を入力、もしくは現場の現在状況を確認するために利用され、バッチャープラントと称される生コン工場に設置される現場用管理装置4は生コンクリートの出荷情報、車両の稼動情報を入力・編集するために利用されるものである。
【0023】
前記車両1は例えば生コンクリートを運搬できるダンプトラックや、生コンクリートを運搬・混練できるコンクリートミキサ車である。この車両1の運転席の隣に、車両搭載装置2が設置されている。
車両搭載装置2は、PDA(携帯情報端末)7と、このPDA7に接続されたGPS受信機8と、PDA7に接続された無線通信端末9と、PDA7に接続されたスピーカ10とを備えている。
PDA7は、パーソナルコンピュータのもつ機能のうちいくつかを実装したものであり、CPU、内部メモリ、液晶表示部、入力部、接続端子等を備えており、内部メモリには、OS(オペレーティングシステム)の他、地図情報や音声データ、本運行管理システムに必要な各種アプリケーションプログラム等が格納されている。GPS受信機8は、GPS衛星11からの信号を受信するものであり、車両1のダッシュボード上面または運転席の屋根等の所定の位置に設置され、PDA7と接続されている。したがって、PDA7では現在の車両1の時刻情報を含む位置情報をGPS衛星11から取得でき、これによって、液晶表示部に表示された地図上に、車両の位置を表示できるようになっている。
【0024】
無線通信端末9は、無線基地局に無線接続され、この無線基地局を介してネットワーク5に接続されるようになっている。なお、無線通信端末9はネットワーク5への接続をパケット通信によって行っており、これによって接続状態を保ったまま通信費用を抑えることができる。
スピーカ10は、運転手に音声で警告したり、ルートガイドを音声によって行うものである。音声情報はPDA7に予め格納されている。PDA7、無線通信端末9、スピーカ10は図示しない筐体に設けられており、PDA7はその液晶表示部が運転手から見えるようにして筐体の上面に設けられている。
そして、このような構成の車両搭載装置2は、GPS機能によって定期的(例えば1秒毎)に取得した車両1の位置情報(時刻情報を含む)を、定期的(例えば60秒毎)に運行管理サーバ3にネットワーク5を介して自動送信可能となっている。つまり、GPS受信機8によって受信した車両1の位置情報(時刻情報を含む)をPDA7を介して無線通信端末9から自動送信し、この位置情報はネットワーク5を介して運行管理サーバ3に送信するようになっている。
また、車両搭載装置2には、操作ボタンが設けられており、この操作ボタンを打設場所にて運転者が押すと、荷卸通知を運行管理サーバ3に送信するようになっており、出荷位置(BP(バッチャープラント))にて運転者が押すことによって、打設指示要求を運行管理サーバ3に送信するようになっている。
【0025】
運行管理サーバ3は、HTTPサーバ機能を備えたものであり、CPU、内部メモリ、ハードディスク装置、表示部、入力部、通信部等を備えている。
ハードディスク装置には、OS(オペレーティングシステム)の他、本運行システムで使用する各種アプリケーションソフトや、データベースが格納されている。
データベースは、車両番号、生コンクリートの打設計画情報、ルート情報、生コンクリートの出荷情報、車両マスタ、車両搭載装置マスタ、打設場所マスタ、水位情報、警告情報等を格納しており、車両番号、生コンクリートの打設計画情報、ルート情報は車両搭載装置2の装置ナンバーに関連付けられて入力され格納されている。生コンクリートの打設計画情報とは、打設場所、打設量、打設開始予定日予定時刻、打設終了予定日予定時刻、必要な車両台数、打設チーム名、生コンクリートの配合情報等からなるものである。
車両番号、生コンクリートの打設計画情報、ルート情報、生コンクリートの出荷情報、車両マスタ、車両搭載装置マスタ、打設場所マスタ、水位情報、警告情報等を備えた計画情報は、現場用管理装置4に入力され、この現場用管理装置4からネットワーク5を介して運行管理サーバ3に送信され、この運行管理サーバ3に格納されるようになっている。
【0026】
また、運行管理サーバ3は、車両搭載装置2から車両1の位置情報(時刻情報を含む)を取得するとともに、この取得した位置情報をネットワーク5を介して現場用管理装置4に送信可能となっている。
さらに、運行管理サーバ3は、車両搭載装置2に、後述する打設計画、稼動表に基づいて、打設指示を送信するようになっている。
また、運行管理サーバ3は、それに格納されている計画情報(打設場所のエリア情報を含む)と、前記車両1の位置情報とに基づいて、打設場所が正しいか否かを判断し、打設場所が間違っていた場合に、車両搭載装置2に荷卸エラー情報を送信するようになっている。
【0027】
現場用管理装置4は、車両1の位置情報を、運行管理サーバ3、ネットワーク5を介して取得可能なものであり、CPU、内部メモリ、ハードディスク装置、表示部、入力部、通信部、プリンタ等を備えている。
ハードディスク装置には、OS(オペレーティングシステム)の他、本運行システムで使用するソフトウエアが格納されている。
【0028】
図2に示すように、本実施の形態では、打設場所は、「流入」、「シュート」、「減勢」と記載された場所であり、この打設場所に「バッチャープラント」と称される出荷位置BPから生コンクリートを車両1に積荷して、各運行ルートを通って運搬するようになっている。
【0029】
また、運行管理サーバ3のハードディスク装置には、各車両1に生コンクリートが積荷される出荷位置(BP(バッチャープラント))の情報である出荷位置情報と、前記出荷位置(BP)から所定距離離間した仮想ゲートGの位置情報である仮想ゲート情報とが格納されている。このような情報は前記現場用管理装置4に入力され、この現場用管理装置4からネットワーク5を介して運行管理サーバ3のハードディスク装置に格納される。
なお、仮想ゲートGは、図2に示すように、座標を定めた地点であり、車両通過の確認ポイントとされ、その位置や数は車両の運行ルートによって適宜決定されるものである。
さらに、現場用管理装置4は、前記計画情報から所望の情報を表示部に表示可能であるとともに、プリンタにプリントアウト可能であり、さらに前記計画情報を通信部からネットワーク5を介して前記運行管理サーバ3に送信可能である。
また、現場用管理装置4は、車両搭載装置2から運行管理サーバ3に送信されてきて格納された各車両1の位置情報をネットワーク5を介して取得して、該各車両1の位置を表示部に表示可能である。
【0030】
前記現場用管理装置4の機能について具体的に説明する。
1.メニュー機能
メニュー機能としては、図3に示すように、「マスタ編集」、「帳票出力」、「設定」のボタンが表示部に表示され、各ボタンを入力部としてのマウスによってクリックすることによって各オプション機能を実行する。
このような、「マスタ編集」、「帳票出力」、「設定」の各種機能を実行するためのアプリケーションプログラムは、ハードディスク装置に格納され、実行する際にCPUによって、ハードディスク装置から読み出されて、内部メモリに展開されたうえで実行される。
なお、後述する地図表示、BP到着順序、警告表示、稼動表、打設進捗は常に表示されるようになっている。
【0031】
2.地図表示機能
表示部には、図3に示すように、地図が表示され、この地図には稼動中の車両1、背景図面として車両1が移動するルートが表示される。車両1の現在の位置情報は、車両搭載装置2によって取得された位置情報が運行管理サーバ3、ネットワーク5を介して自動的に取得される。
車両(DT)1のアイコンおよびラベルは、図4に示すような、「DTアイコン表示仕様」の通りとする。車両1がトンネル通過時には、「DTトンネル通過中」を表示する。トンネル通過中は、車両1の位置情報を得ることができないので、つまりトンネル通過中はGPSが機能しないため、トンネルの入り口・出口に超音波距離センサを設けるともに、トンネル内をそのトンネル軸方向に四分割した位置5箇所に光電センサを配置し、位置確認ができるようにしている。
超音波センサではトンネル内を通過する車両の種類を確認し、光電センサでは通過方向および通過位置の確認をする。車両の高さでダンプトラックを確認し、トンネル内のダンクトラックの台数をシステム(運行管理サーバ3)に転送する。通過方向確認にて逆送した車両がある場合、警報信号をシステムに転送する。
また、通過位置確認後、設定時間内に次の光電センサまで到達しないとトンネル内異常の信号をシステムに転送する。このトンネル内監視システムにより、GPSを補う。
なお、地図表示の更新間隔は、1分とする。また、図3では、ルートとDTのアイコンを表示した簡易図を記載しているが、実際は図2に示すような、地図とともに表示される。
【0032】
3.BP到着順序確認機能
表示部には、図3に示すように、BP(バッチャープラント)に到着する到着予測時刻を一覧で表示する。到着予測は、前記運行管理サーバ3が以下のようにして行う。BPまでの到達時間を設定した仮想ゲートをDTが通過した際の時刻に、前記到達時間を加えた時刻とする。つまり、仮想ゲートから前記出荷位置(BP(バッチャープラント))までの車両の走行時間を予め設定しておき、この設定時間を、仮想ゲートをDTが通過した際の時刻に加えたものを到着予想時刻とする。そして、この到着予想時刻を現場用管理装置4が運行管理サーバ3から取得する。なお、BP到着順序の更新間隔は1分とする。
表示項目は、「順序番号」、「車両番号」、「到着予測時刻」とする。一覧に表示するDT(車両1)は空車車両のみとする。また、到着順序の早い車両1の車両番号および打設配合をBPに備えた電光掲示板に表示し、車両1の運転手に生コンクリート積荷場所への進入を指示する。
【0033】
4.警告表示機能
表示部には、図3に示すように、車両に生じた警告内容および上流/下流水位計の水位(cm)、水位計の警告内容を表示する。
車両の警告の種類は、「ルート外」、「打設場所間違い」、「一定時間経過」とする。「ルート外」は、後述する稼動表で設定されたルート以外を車両が走行した場合に表示する。「打設場所間違い」は、稼動表で設定された打設場所以外で、操作ボタンを押した場合に表示する。
この操作ボタンは前記車両搭載装置2に設けられており、この操作ボタンを運転手が押すと、荷卸通知が運行管理サーバ3に送信され、荷卸場所に間違いがあった場合つまり打設場所が間違っている場合、運行管理サーバ3から荷卸エラー通知を現場用管理装置4に送信し、これによって、「打設場所間違い」を表示する。
なお、運行管理サーバ3からの荷卸エラー通知は車両搭載装置2に送信され、これによって、「打設場所間違い」をPDA7の表示部に表示するとともに、「打設場所が間違っています」と音声でスピーカから出力する。
「一定時間経過」は、BPでの積荷後90分以上経過した場合に表示する。BPで車両に生コンクリートを積荷する場合、運行管理サーバ3から車両搭載装置2に打設指示を送信するので、この打設指示の信号を送信した時刻から90分経過した場合に、これを車両搭載装置2が検出し、この検出信号を運行管理サーバ3、ネットワーク5を介して現場用管理装置4に送信することによって、現場用管理装置4で、「一定時間経過」の警告表示をする。
また、警告内容が複数項目ある場合は、警告件数を表示し、警告内容を切り替えて表示する。水位計の警告表示は、「正常」、「警戒水位」、「危険水位」とする。水位計の水位設定は、上流/下流で別々に設定する。警告表示の更新間隔は、1分とする。なお、図1に示すように、水位計12,12は、バッチャープラントの現場管理装置4に接続されており、その水位計による検出信号は、運行管理サーバ3にネットワーク5を介して送信され、格納される。そして、運行管理サーバ3、ネットワーク5を介して水位計12,12の検出信号を現場事務所に設置されている現場管理装置4が取得し、この現場用管理装置4で「正常」、「警戒水位」、「危険水位」として表示される。
【0034】
5.稼動表機能
表示部には、図5に示すように、車両搭載装置2の装置番号に対する車両番号、生コンクリートの打設計画情報、ルート情報の割り当てを一覧表示する。稼動表の表示項目は、「装置番号」、「車両番号」、「打設計画」、「ルート」とする。各表示項目に表示されるデータは、現場用管理装置4の入力部としてのキーボードから入力され、ネットワーク5を介して前記運行管理サーバ3に送信される。稼動表は、装置番号順に表示され、稼動表の行をマウスによってダブルクリックすると、図6に示すような編集ダイアログを表示する。なお、稼動表の更新間隔は、1分とする。また、車両番号、生コンクリートの打設計画情報、ルート情報等からなる計画情報は、車両搭載装置2の装置ナンバーに関連付けられて運行管理サーバ3に送信される。
【0035】
6.稼動表編集機能
表示部には、図6に示すように、編集ダイアログが表示される。この編集ダイアログでは、車両搭載装置2の装置番号に対する車両番号、打設計画情報、ルート情報の割り当てを変更する。編集項目は、「車両番号」、「打設計画」、「ルート」とする。「車両番号」は、車両一覧より選択する。一覧に登録がない場合は、マスタ編集画面より新規登録する。「打設計画」は、打設計画一覧より選択する。打設計画一覧には、当日および翌日の計画が表示される。「ルート」は、ルート一覧より選択する。ルート一覧は、「打設計画」にて選択された打設場所に該当するルートを絞り込み表示する。
そして、編集された項目の情報は、現場用管理装置4からネットワーク5を介して運行管理サーバ3に送信される。
【0036】
7.打設進捗表示機能
表示部には、図7に示すように、計画、実施されている打設計画を一覧表示する。表示項目は、「打設場所」、「完了/未完了」、「配合Aの実績/計画」、「配合Bの実績/計画」、「配合Cの実績/計画」、「配合Dの実績/計画」、「配合D−2の実績/計画」、「配合Mの実績/計画」、「開始日」、「開始時刻」、「終了時刻」、「台数」とする。
一覧表には当日、翌日の打設計画を表示する。「計画入力」ボタンをクリックすることにより、図8に示すような打設計画入力ダイアログを表示する。また、一覧表の行をダブルクリックすることにより、その行の打設計画入力ダイアログを表示する。また、「完了した計画も表示」チェックボックスにチェックすると、完了した計画も表示する(通常は完了した計画は表示しない。)。なお、打設進捗表示の更新間隔は、1分とする。
このような打設進捗は、生コンクリートを積荷した車両1が打設場所で生コンクリートを荷卸す際に、荷卸通知を運行管理サーバ3に送信するので、この荷卸通知によって、どの車両搭載装置2の荷卸しが終了したかを知ることができ、その荷卸量(打設量)を加算していくことで、打設実績量を求めることができる。そして、現場管理装置4は運行管理サーバ3から定期的に打設実績量/計画量を取得し、進捗表示を自動的に更新する。
【0037】
8.打設計画入力機能
表示部には、図8に示すように、打設計画入力ダイアログが表示される。この打設計画入力ダイアログでは、打設計画を新規登録もしくは変更する。編集項目は「打設場所」、「BL番号」、「リフト番号」、「開始予定日時」、「終了予定日時」、「台数」、「打設チーム」、「備考」、「完了」、「計画量」とする。「完了」にチェックし登録することで、この計画を完了する。「打設チーム」、「備考」は帳票上に表示する。
そして、編集された項目の情報は、現場用管理装置4からネットワーク5を介して運行管理サーバ3に送信される。
【0038】
9.マスタ編集機能
このマスタ編集機能では、図9に示すような、「車両マスタ」や「打設チームマスタ」を編集する。「車両マスタ」の表示項目は、「車両番号」、「車両名」とし、「打設チームマスタ」の表示項目は、「打設チーム番号」、「打設チーム名」とする。「新規登録」ボタンをクリックすることにより、図10に示すようなマスタ編集ダイアログを表示する。このマスタ編集ダイアログでは、車両番号、車両名等を新規登録または変更する。マスタ編集中は、地図表示、BP到着順序、警告、稼動表、打設進捗の画面を更新しない。
そして、編集された項目の情報は、現場用管理装置4からネットワーク5を介して運行管理サーバ3に送信される。
10.帳票出力機能
この帳票出力機能では、図11に示すような、帳票出力ダイアログが表示され、この帳票出力ダイアログの「出力期間」に所望の期間を選択入力することによって、例えば、図12に示すような帳票が出力される。この帳票はプリンタにプリントアウトできる。
【0039】
次に、上記構成の運行管理システムの動作について説明する。
まず、現場用管理装置4には、予め、本車両運行管理システムで使用される車両番号、生コンクリートの打設計画情報、ルート情報、生コンクリートの出荷情報、車両マスタ、車両搭載装置マスタ、打設場所マスタ、水位情報、警告情報等を備えた計画情報が入力され(ステップSA1)、この入力された計画情報は、運行管理サーバ3にネットワーク5を介して送信され、この運行管理サーバ3が取得する(ステップSB1)。
【0040】
一方、空の車両(DT)1がBP(各車両に生コンクリートが積荷される出荷位置)に到着しており、この状態で運転手が車両搭載装置2の操作ボタンを押すと、車両搭載装置2は、運行管理サーバ3に打設指示要求を送信する(ステップSC1)。
すると、運行管理サーバ3は計画情報の稼動表に基づいて、打設指示要求のあった車両搭載装置2に対応する打設指示(計画情報)を送信する(ステップSB2)。そして、車両搭載装置2は打設指示(計画情報)を取得する(ステップSC2)。車両搭載装置2のPDA7の液晶表示部には、図14に示すような、実車状態画面が表示され、運転手はこれを目視することによって、計画情報を確認できる。なお、車両1には、車両搭載装置2が打設指示を取得するにともなって、所定の生コンクリートが積荷される。
【0041】
生コンクリートが積荷された車両1は、打設場所まで所定のルートを通って移動するが、この際車両搭載装置2のGPS受信機8によって車両1の位置情報(時刻情報を含む)を1秒間隔で取得し、この位置情報は無線通信端末9からネットワーク5を介して運行管理サーバ3に送信される。運行管理サーバ3に送信された車両1の位置情報(時刻情報を含む)は、現場用管理装置4によって取得され、その表示部において地図上に表示される(ステップSA2)。したがって、現場の管理者はこの表示部を目視することによって、車両1が現在どこに位置しているのかを容易に確認できる。なお、車両1の位置は車両搭載装置2のPDA7の液晶表示部にも地図上に表示できる。また、車両搭載装置2では、車両1の目的値(打設場所)までの誘導をスピーカ10から音声出力することによって行う。
【0042】
車両1がルートを移動している際に、警告エリアに入っているかどうかをPDA7が判断する(ステップSC3)。警告エリアとは、例えば、所定のルートの道路に対し半径10mを越えた位置にある場合である。車両1が警告エリアに入っていたならば、PDA7はスピーカ10に、例えば、「ルートから外れています」等の警告音声を出力させる(ステップSC4)。したがって、運転手は車両1がルートから外れると直ぐにそれを知ることができる。
一方、車両1が警告エリアに入った場合には、警告信号が車両搭載装置2から運行管理サーバ3に送信され、この運行管理サーバ3で受信される(ステップSB3)。そして、この警告信号は、運行管理サーバ3からさらに現場用管理装置4に送信され、この現場用管理装置4で受信される(ステップSA3)。そして、警告信号を受信したならば、図3に示すように、現場用管理装置4は表示部に警告画面を表示する(ステップSA4)。したがって、現場管理者は車両1がルートから外れると直ぐにそれを知ることができる。なお、運行管理サーバ3は、水位計12,12の水位計の正常、異常を判断し、その結果を現場管理装置4に送信し、現場管理装置4はその表示部に警告画面として表示する。また、車両1が生コンクリートを積荷後一定時間(例えば90分)経過すると、これを車両搭載装置2で検出して、その検出信号をネットワーク5を介して運行管理サーバ5に送信し、現場管理装置4はネットワーク5を介して運行管理サーバ3から警告情報を取得し、その表示部に警告画面として表示する。
【0043】
車両1が所定のルートを移動して打設場所に到着し、運転手が車両搭載装置2の操作ボタンを押すと(ステップSC5)、車両搭載装置2から荷卸通知を運行管理サーバ3に送信し(ステップSC6)、運行管理サーバ3がこの荷卸通知を受信する(ステップSB4)。
運行管理サーバ3は、荷卸場所、つまり打設場所に間違いがないかを判断し、間違いがない場合荷卸確認通知を、間違いがある場合荷卸エラー通知を車両搭載装置2に送信し(ステップSB5)、車両搭載装置2がこの荷卸確認通知もしくは荷卸エラー通知を取得する(ステップSC7)。
そして、車両搭載装置2は、前記荷卸確認通知あるいは荷卸エラー通知を表示する(ステップSC8)。つまり、荷卸確認通知である場合は図14に示すように、PDA7の液晶表示部が実車から空車状態に切り替わるとともに「空車になりました。」とスピーカ10から音声出力する。そして、運転手はこれを確認した後、積荷されている生コンクリートを荷卸す。
【0044】
一方、荷卸エラー通知である場合は、PDA7の液晶表示部に打設場所間違いを表示するとともに、「打設場所が間違っています。」とスピーカ10から音声出力する。したがって、運転手は打設場所間違いであることを直ぐに知ることができ、間違って生コンクリートを荷卸すことがない。なお、打設場所が間違っている場合、運転手は正しい打設場所に向けて車両1を移動させる。その後は、ステップSC3以降の処理へ移行する。
なお、運行管理サーバ3が、荷卸場所(打設場所)に間違いがないかを判断する場合以下のようにして行う。すなわち、車両搭載装置2から荷卸通知を運行管理サーバ3に送信するが、この荷卸通知とともに車両1の位置情報を運行管理サーバ3に送信する。一方、運行管理サーバ3では、どの車両1がどこの打設場所に生コンクリートを荷卸すべきかの情報が所定の範囲のエリアの位置情報(前記計画情報中にある)として予め格納されている。したがって、車両搭載装置2から送信されてきた車両1の位置が、前記エリア内にあれば、運行管理サーバ3は打設場所に間違いがないと判断し、エリア外にあれば打設場所が間違いであると判断する。
【0045】
また、現場用管理装置4では、車両1が打設場所に到着するまで、車両1の位置を表示部に表示するとともに、必要に応じて警告表示も行い、打設場所に到着したら、以降は空の車両1の位置情報(時刻情報を含む)を、現場用管理装置4によって取得し、その表示部において地図上に表示する。
なお、現場用管理装置4では、車両1が打設場所に到着してから前記操作ボタンを運転手が押すと、荷卸通知が運行管理サーバ3に送信され、荷卸場所に間違いがあった場合つまり打設場所が間違っている場合、運行管理サーバ3から荷卸エラー通知を現場用管理装置4に送信し、これによって、現場管理装置4の表示部に「打設場所間違い」として表示する。
【0046】
空になった車両1はBP(各車両に生コンクリートが積荷される出荷位置)に戻るが、この場合も車両搭載装置2のGPS受信機8によって車両位置の位置情報(時刻情報を含む)を1秒間隔で取得し、この位置情報は無線通信端末9からネットワーク5を介して運行管理サーバ3に送信される。運行管理サーバ3に送信された車両1の位置情報(時刻情報を含む)は、現場用管理装置4によって取得され、その表示部において地図上に表示される。したがって、現場の管理者はこの表示部を目視することによって、空の車両1が現在どこに位置しているのかを容易に確認できる。なお、車両1の位置は前記PDA7の液晶表示部にも地図上に表示できる。
【0047】
そして、空の車両1がルート上に設定された仮想ゲートを通過したかどうかを運行管理サーバ3が判断する(ステップSB6)。仮想ゲートを通過した場合、この仮想ゲート通過情報を運行管理サーバ3が取得する(ステップSB7)。
次に、運行管理サーバ3は、車両1の出荷位置BPへの到着予測時刻を算出する。これは、空の車両1が仮想ゲートを通過した時刻を取得し、この時刻に、仮想ゲートから出荷位置BPまでの車両の走行時間を予め設定しておいた設定時間を加えることによって、空の各車両1が出荷位置BPに到着する到着予測時刻を算出する(ステップSB8)。
そして、現場用管理装置4は、運行管理サーバ3から到着予測時刻を取得して表示する(ステップSA5)。
このような処理は、複数の車両1それぞれに対して全て同様に行う。
そして、BPでは、到着した空の車両1からの打設指示要求を待って、次の打設指示を空の車両1の車両搭載装置2に送信する。
【0048】
以上のように、本実施の形態によれば、複数の車両1に搭載されている車両搭載装置2からGPS機能によって取得した車両1の位置情報を、定期的に運行管理サーバ3にネットワーク5を介して自動送信し、運行管理サーバ3は、取得した各車両1の位置情報と、仮想ゲート情報とに基づいて、各車両1が仮想ゲートを通過した時刻を取得し、この時刻と、仮想ゲートから出荷位置までの車両の走行時間を予め設定しておいた設定時間とに基づいて、空の各車両1が出荷位置(例えば生コン工場)BPに到着する到着予測時刻を予測し、この到着予測時刻を現場用管理装置4が取得して表示することによって、複数の車両1のうち、どの車両1がどの順番で生コン工場BPに到着するかを正確に把握できる。
【0049】
また、現場用管理装置4は、車両搭載装置2から運行管理サーバ3に送信されてきて格納された各車両の位置情報をネットワーク5を介して取得して、該各車両1の位置を表示可能であるので、現場管理者は、現在車両がどこにいるのかを容易に把握することができる。
さらに、運行管理サーバ3には、車両番号、生コンクリートの打設計画情報、ルート情報、生コンクリートの配合情報等を備えた計画情報が格納されており、現場用管理装置4は、前記計画情報から所望の情報を表示可能である。運行管理サーバ3は、前記計画情報を前記出荷位置に位置している空の車両1に搭載されている車両搭載装置2に送信し、この車両搭載装置2は、前記計画情報を表示可能であるので、車両の運転手は計画情報を容易に確認して、所定の打設場所まで生コンクリートを運搬できる。
【0050】
また、車両搭載装置2は、その車両の位置情報と、前記ルート情報とに基づいて、各車両1が前記ルートから外れたか否かを判断し、該車両がルートから外れた際に、このことを車両1の運転者に警告するので、運転手は車両が正しいルートから外れたことを直ぐに認識して、すばやく正しいルートに復帰することができる。
また、車両搭載装置2は、車両1が打設場所で生コンクリートを荷卸した際に、その車両による荷卸通知を前記運行管理サーバ3に送信し、この運行管理サーバ3が、それに格納されている計画情報と車両搭載装置2から取得した荷卸通知とに基づいて、コンクリートの打設進捗状況を求め、現場用管理装置4が、コンクリートの打設進捗状況を表示することによって、管理事務所で打設進捗状況をリアルタイムで確認することができる。
【0051】
さらに、車両搭載装置2は、生コンクリートが積荷された車両1が打設場所に到着して、生コンクリートを荷卸す前に、車両の位置情報を含む荷卸通知を運行管理サーバ3に送信し、この運行管理サーバ3は、それに格納されている計画情報と、車両1の位置情報とに基づいて、打設場所が正しいか否かを判断し、打設場所が間違っていた場合に、車両搭載装置2に荷卸エラー情報を送信し、車両搭載装置2は、荷卸エラー情報を車両1の運転手に通知することによって、運転手は間違った場所に生コンクリートを荷卸すことを未然に防止しできる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明に係る車両運行管理システムの一例を示すもので、システム構成を示す概略図である。
【図2】同、現場管理装置に表示される地図の画面である。
【図3】同、現場管理装置に常時表示される画面である。
【図4】同、DTアイコン表示仕様を説明する図である。
【図5】同、現場管理装置に表示される稼動表の画面である。
【図6】同、現場管理装置に表示される稼動表編集画面である。
【図7】同、現場管理装置に表示される打設進捗画面である。
【図8】同、現場管理装置に表示される打設計画入力画面である。
【図9】同、現場管理装置に表示されるマスタ編集画面である。
【図10】同、現場管理装置に表示される項目編集画面である。
【図11】同、帳票出力画面である。
【図12】同、帳票出力サンプルである。
【図13】同、運行管理システムの動作を説明するフローチャートである。
【図14】同、車両搭載装置に表示される画面である。
【符号の説明】
【0053】
1 車両
2 車両搭載装置
3 運行管理サーバ
4 現場管理装置
5 ネットワーク
7 PDA
8 GPS受信機
9 無線通信端末
10 スピーカ
11 GPS衛星
12 水位計
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば生コンクリート等の荷を所定の場所まで運搬する複数の車両の運行管理を行う車両運行管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えばダム施工等の土木工事では、バッチャープラントと称される生コン工場にて生コンクリートを製造し、この製造された生コンクリートをコンクリートミキサ車・ダンプトラック等の車両によってコンクリートの打設場所まで搬送する。生コン工場に隣接して設けられた管理事務所では、複数の車両の運行管理を行っている。
この車両運行管理システムの一例として、特許文献1に記載のものが知られている。この車両運行管理システムでは、ミキサ車に搭載されるGPS機能を備えた通信端末装置から、自車(ミキサ車)の位置情報、時刻情報、特定情報等が管理センタに設置された管理装置に送信され、この管理装置によって、複数のミキサ車の現在の位置を管理装置の表示部に表示された地図上で把握できるようになっている。
【特許文献1】特開2003−346295号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、ミキサ車・ダンプトラック等の車両は、コンクリートの打設位置(場所)ごとに複数台専用に定められている。コンクリートの打設位置によって、コンクリート配合が異なるが、生コン工場で練るコンクリートは、1回で1種類の配合しか練ることができないのが通常である。
そこで、生コン工場では、次に到着する車両がどこの打設位置の車両か判断できれば、打設位置にあった配合のコンクリートを練り始めることができ、到着した車両を待たせることがないので、車両の稼働率を向上させることができる。
しかし、前記特許文献1に記載の車両運行管理システムでは、複数の車両の位置を管理事務所に設けられた管理装置の表示部に表示された地図上で把握できるが、複数ある車両のうちどの車両がどの順番で生コン工場に到着するかを正確に把握することは困難である。つまり、複数の車両の位置を地図上で確認できるが、道路の状況や、複数の車両と生コン工場との距離を正確に把握できない場合などがあり、このような場合、どの車両がどの順番で生コン工場に到着するかを正確に把握することができない。
【0004】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、複数の車両のうち、どの車両がどの順番で生コン工場等の出荷位置に到着するかを正確に把握できる車両運行管理システムを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、例えば図1に示すように、荷(例えば生コンクリート)を所定の場所(例えば打設場所)まで運搬する複数の車両1の運行管理を行う車両運行管理システムであって、
前記各車両1に搭載され、GPS機能を備えた無線通信可能な車両搭載装置2と、運行管理サーバ3と、現場用管理装置4と、これらを接続するネットワーク5とを備え、
前記車両搭載装置2は、GPS機能によって取得した車両の位置情報を、定期的に前記運行管理サーバ3に前記ネットワーク5を介して自動送信可能であり、
前記運行管理サーバ3には、前記各車両1に荷が積荷される出荷位置の情報である出荷位置情報と、前記出荷位置から所定距離離間した仮想ゲートGの位置情報である仮想ゲート情報とが格納されており、
さらに、前記運行管理サーバ3は、前記車両搭載装置2から取得した各車両の位置情報と、前記仮想ゲート情報とに基づいて、前記各車両1が前記仮想ゲートGを通過した時刻を取得し、この時刻と、前記仮想ゲートGから前記出荷位置までの車両の走行時間を予め設定しておいた設定時間とに基づいて、荷を積荷していない空の各車両1が前記出荷位置に到着する到着予測時刻を予測可能であり、
前記現場用管理装置4は、前記運行管理サーバ3から前記到着予測時刻を取得して表示可能であることを特徴とする。
【0006】
ここで、前記仮想ゲートGは、地図上に座標(緯度、経度からなる座標)を定めた仮想の地点であり、その位置、数は車両の運行ルートによって適宜設定される。
また、本車両運行システムは、出荷場所に戻って運搬を繰り返すものであれば、荷や所定の場所、出荷位置はどのようなものでもよいが、特に、生コンクリートを運搬する車両の運行システムに好適に適用できる。
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、複数の車両に搭載されている車両搭載装置2からGPS機能によって取得した車両の位置情報を、定期的に運行管理サーバ3にネットワーク5を介して自動送信し、この運行管理サーバ3は取得した各車両の位置情報と、仮想ゲート情報とに基づいて、各車両が仮想ゲートGを通過した時刻を取得し、この時刻と、仮想ゲートGから出荷位置までの車両の走行時間を予め設定しておいた設定時間とに基づいて、荷を積荷していない空の各車両が出荷位置(例えば生コン工場)に到着する到着予測時刻を予測し、前記現場用管理装置4は、前記運行管理サーバ3から前記到着予測時刻を取得して表示することによって、複数の車両のうち、どの車両がどの順番で出荷位置に到着するかを正確に把握できる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、例えば、図1および図3に示すように、請求項1に記載の車両運行管理システムにおいて、
前記現場用管理装置4は、前記車両搭載装置2から運行管理サーバ3に送信されてきて格納された各車両の位置情報を前記ネットワーク5を介して自動取得して、該各車両1の位置を表示可能であることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明によれば、現場用管理装置4が、各車両の位置を表示することによって、現場管理者は、現在車両がどこにいるのかを容易に把握することができる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の車両運行システムにおいて、前記荷が生コンクリートであり、前記所定の場所がコンクリートを打設する打設場所であり、出荷位置が生コン工場であることを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明によれば、複数の生コンクリートを運搬すべき空の車両のうち、どの車両がどの順番で出荷位置に到着するかを正確に把握できる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、例えば図5に示すように、請求項3に記載の車両運行管理システムにおいて、
前記現場用管理装置4は、それに入力された車両番号、生コンクリートの打設計画情報、ルート情報、生コンクリートの配合情報等を備えた計画情報を前記運行管理サーバ3にネットワーク5を介して送信可能であり、
この運行管理サーバ3は、前記計画情報を前記出荷位置に位置している空の車両に搭載されている車両搭載装置2に送信可能であり、
この車両搭載装置2は、前記計画情報を表示可能であることを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載の発明によれば、運行管理サーバ3が、車両番号、生コンクリートの打設計画情報、ルート情報、生コンクリートの配合情報等を備えた計画情報を出荷位置(生コン工場)に位置している空の車両に搭載されている車両搭載装置2に送信し、この車両搭載装置2が計画情報を表示することによって、車両の運転手は計画情報を容易に確認して、所定の打設場所まで生コンクリートを運搬できる。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の車両運行管理システムにおいて、前記車両搭載装置2は、その車両1の位置情報と、前記ルート情報とに基づいて、前記各車両1が前記ルートから外れたか否かを判断し、該車両1がルートから外れた際に、このことを車両1の運転者に警告可能であることを特徴とする。
【0015】
車両がルートから外れた否かを判断する場合、例えば、ルートを外れた分岐路の先に円形のエリアを設定し、そのエリア内に車両1が進入した際にルート外と判定するようにしている。
また、GPSの地図上に表示されたルートから車両が所定距離以上外れた場合に、ルート外と判定するようにしてもよい。
【0016】
請求項5に記載の発明によれば、車両がルートから外れた際に、このことを車両搭載装置2が車両の運転者に警告することにより、運転手は車両が正しいルートから外れたことを直ぐに認識して、すばやく正しいルートに復帰することができる。
【0017】
請求項6に記載の発明は、請求項4または5に記載の車両運行管理システムにおいて、
前記車両搭載装置2は、車両1が打設場所で生コンクリートを荷卸した際に、その車両1の荷卸通知を前記運行管理サーバ3に送信可能であり、
前記運行管理サーバ3は、それに格納されている計画情報と前記荷卸通知に基づいて、コンクリートの打設進捗状況を求め、
前記現場用管理装置4は、前記コンクリートの打設進捗状況を表示可能であることを特徴とする。
【0018】
請求項6に記載の発明によれば、運行管理サーバ3が、それに格納されている計画情報と車両搭載装置2から取得した荷卸通知とに基づいて、コンクリートの打設進捗状況を求め、現場用管理装置4が、コンクリートの打設進捗状況を表示することによって、管理事務所で打設進捗状況をリアルタイムで確認することができる。
【0019】
請求項7に記載の発明は、請求項3〜6のいずれか一項に記載の車両運行管理システムにおいて、
前記車両搭載装置2は、生コンクリートが積荷された車両1が前記打設場所に到着して、生コンクリートを荷卸す前に、車両1の位置情報を含む荷卸通知を前記運行管理サーバ3に送信可能であり、
この運行管理サーバ3は、それに格納されている計画情報と、前記車両の位置情報とに基づいて、打設場所が正しいか否かを判断し、打設場所が間違っていた場合に、前記車両搭載装置2に荷卸エラー情報を送信可能であり、
前記車両搭載装置2は、前記荷卸エラー情報を車両の運転手に通知可能であることを特徴とする。
【0020】
請求項7に記載の発明によれば、車両搭載装置2が荷卸エラー情報を車両の運転手に通知することによって、運転手は間違った場所に生コンクリートを荷卸すことを未然に防止しできる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、複数の車両に搭載されている車両搭載装置2からGPS機能によって取得した車両の位置情報を、定期的に運行管理サーバ3にネットワーク5を介して自動送信し、運行管理サーバ3は、取得した各車両の位置情報と、仮想ゲート情報とに基づいて、各車両が仮想ゲートGを通過した時刻を取得し、この時刻と、仮想ゲートGから出荷位置までの車両の走行時間を予め設定しておいた設定時間とに基づいて、荷(例えば生コンクリート)を積荷していない空の各車両が出荷位置(例えば生コン工場)に到着する到着予測時刻を予測し、前記現場用管理装置4は、前記運行管理サーバ3から前記到着予測時刻を取得して表示することによって、複数の車両のうち、どの車両がどの順番で出荷位置に到着するかを正確に把握できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
本実施の形態の車両運行管理システムは、図1に示すように、生コンクリートを所定の打設場所まで運搬する複数の車両1の運行管理を行うシステムであり、前記各車両1に搭載され、GPS機能を備えた無線通信可能な車両搭載装置2と、運行管理サーバ3と、現場用管理装置4,4と、これらを接続するネットワーク5とを備えている。
なお、現場用管理装置4,4は基本的に同じものであるが、現場事務所に設置される現場用管理装置4は、現場の管理者が翌日の計画を入力、もしくは現場の現在状況を確認するために利用され、バッチャープラントと称される生コン工場に設置される現場用管理装置4は生コンクリートの出荷情報、車両の稼動情報を入力・編集するために利用されるものである。
【0023】
前記車両1は例えば生コンクリートを運搬できるダンプトラックや、生コンクリートを運搬・混練できるコンクリートミキサ車である。この車両1の運転席の隣に、車両搭載装置2が設置されている。
車両搭載装置2は、PDA(携帯情報端末)7と、このPDA7に接続されたGPS受信機8と、PDA7に接続された無線通信端末9と、PDA7に接続されたスピーカ10とを備えている。
PDA7は、パーソナルコンピュータのもつ機能のうちいくつかを実装したものであり、CPU、内部メモリ、液晶表示部、入力部、接続端子等を備えており、内部メモリには、OS(オペレーティングシステム)の他、地図情報や音声データ、本運行管理システムに必要な各種アプリケーションプログラム等が格納されている。GPS受信機8は、GPS衛星11からの信号を受信するものであり、車両1のダッシュボード上面または運転席の屋根等の所定の位置に設置され、PDA7と接続されている。したがって、PDA7では現在の車両1の時刻情報を含む位置情報をGPS衛星11から取得でき、これによって、液晶表示部に表示された地図上に、車両の位置を表示できるようになっている。
【0024】
無線通信端末9は、無線基地局に無線接続され、この無線基地局を介してネットワーク5に接続されるようになっている。なお、無線通信端末9はネットワーク5への接続をパケット通信によって行っており、これによって接続状態を保ったまま通信費用を抑えることができる。
スピーカ10は、運転手に音声で警告したり、ルートガイドを音声によって行うものである。音声情報はPDA7に予め格納されている。PDA7、無線通信端末9、スピーカ10は図示しない筐体に設けられており、PDA7はその液晶表示部が運転手から見えるようにして筐体の上面に設けられている。
そして、このような構成の車両搭載装置2は、GPS機能によって定期的(例えば1秒毎)に取得した車両1の位置情報(時刻情報を含む)を、定期的(例えば60秒毎)に運行管理サーバ3にネットワーク5を介して自動送信可能となっている。つまり、GPS受信機8によって受信した車両1の位置情報(時刻情報を含む)をPDA7を介して無線通信端末9から自動送信し、この位置情報はネットワーク5を介して運行管理サーバ3に送信するようになっている。
また、車両搭載装置2には、操作ボタンが設けられており、この操作ボタンを打設場所にて運転者が押すと、荷卸通知を運行管理サーバ3に送信するようになっており、出荷位置(BP(バッチャープラント))にて運転者が押すことによって、打設指示要求を運行管理サーバ3に送信するようになっている。
【0025】
運行管理サーバ3は、HTTPサーバ機能を備えたものであり、CPU、内部メモリ、ハードディスク装置、表示部、入力部、通信部等を備えている。
ハードディスク装置には、OS(オペレーティングシステム)の他、本運行システムで使用する各種アプリケーションソフトや、データベースが格納されている。
データベースは、車両番号、生コンクリートの打設計画情報、ルート情報、生コンクリートの出荷情報、車両マスタ、車両搭載装置マスタ、打設場所マスタ、水位情報、警告情報等を格納しており、車両番号、生コンクリートの打設計画情報、ルート情報は車両搭載装置2の装置ナンバーに関連付けられて入力され格納されている。生コンクリートの打設計画情報とは、打設場所、打設量、打設開始予定日予定時刻、打設終了予定日予定時刻、必要な車両台数、打設チーム名、生コンクリートの配合情報等からなるものである。
車両番号、生コンクリートの打設計画情報、ルート情報、生コンクリートの出荷情報、車両マスタ、車両搭載装置マスタ、打設場所マスタ、水位情報、警告情報等を備えた計画情報は、現場用管理装置4に入力され、この現場用管理装置4からネットワーク5を介して運行管理サーバ3に送信され、この運行管理サーバ3に格納されるようになっている。
【0026】
また、運行管理サーバ3は、車両搭載装置2から車両1の位置情報(時刻情報を含む)を取得するとともに、この取得した位置情報をネットワーク5を介して現場用管理装置4に送信可能となっている。
さらに、運行管理サーバ3は、車両搭載装置2に、後述する打設計画、稼動表に基づいて、打設指示を送信するようになっている。
また、運行管理サーバ3は、それに格納されている計画情報(打設場所のエリア情報を含む)と、前記車両1の位置情報とに基づいて、打設場所が正しいか否かを判断し、打設場所が間違っていた場合に、車両搭載装置2に荷卸エラー情報を送信するようになっている。
【0027】
現場用管理装置4は、車両1の位置情報を、運行管理サーバ3、ネットワーク5を介して取得可能なものであり、CPU、内部メモリ、ハードディスク装置、表示部、入力部、通信部、プリンタ等を備えている。
ハードディスク装置には、OS(オペレーティングシステム)の他、本運行システムで使用するソフトウエアが格納されている。
【0028】
図2に示すように、本実施の形態では、打設場所は、「流入」、「シュート」、「減勢」と記載された場所であり、この打設場所に「バッチャープラント」と称される出荷位置BPから生コンクリートを車両1に積荷して、各運行ルートを通って運搬するようになっている。
【0029】
また、運行管理サーバ3のハードディスク装置には、各車両1に生コンクリートが積荷される出荷位置(BP(バッチャープラント))の情報である出荷位置情報と、前記出荷位置(BP)から所定距離離間した仮想ゲートGの位置情報である仮想ゲート情報とが格納されている。このような情報は前記現場用管理装置4に入力され、この現場用管理装置4からネットワーク5を介して運行管理サーバ3のハードディスク装置に格納される。
なお、仮想ゲートGは、図2に示すように、座標を定めた地点であり、車両通過の確認ポイントとされ、その位置や数は車両の運行ルートによって適宜決定されるものである。
さらに、現場用管理装置4は、前記計画情報から所望の情報を表示部に表示可能であるとともに、プリンタにプリントアウト可能であり、さらに前記計画情報を通信部からネットワーク5を介して前記運行管理サーバ3に送信可能である。
また、現場用管理装置4は、車両搭載装置2から運行管理サーバ3に送信されてきて格納された各車両1の位置情報をネットワーク5を介して取得して、該各車両1の位置を表示部に表示可能である。
【0030】
前記現場用管理装置4の機能について具体的に説明する。
1.メニュー機能
メニュー機能としては、図3に示すように、「マスタ編集」、「帳票出力」、「設定」のボタンが表示部に表示され、各ボタンを入力部としてのマウスによってクリックすることによって各オプション機能を実行する。
このような、「マスタ編集」、「帳票出力」、「設定」の各種機能を実行するためのアプリケーションプログラムは、ハードディスク装置に格納され、実行する際にCPUによって、ハードディスク装置から読み出されて、内部メモリに展開されたうえで実行される。
なお、後述する地図表示、BP到着順序、警告表示、稼動表、打設進捗は常に表示されるようになっている。
【0031】
2.地図表示機能
表示部には、図3に示すように、地図が表示され、この地図には稼動中の車両1、背景図面として車両1が移動するルートが表示される。車両1の現在の位置情報は、車両搭載装置2によって取得された位置情報が運行管理サーバ3、ネットワーク5を介して自動的に取得される。
車両(DT)1のアイコンおよびラベルは、図4に示すような、「DTアイコン表示仕様」の通りとする。車両1がトンネル通過時には、「DTトンネル通過中」を表示する。トンネル通過中は、車両1の位置情報を得ることができないので、つまりトンネル通過中はGPSが機能しないため、トンネルの入り口・出口に超音波距離センサを設けるともに、トンネル内をそのトンネル軸方向に四分割した位置5箇所に光電センサを配置し、位置確認ができるようにしている。
超音波センサではトンネル内を通過する車両の種類を確認し、光電センサでは通過方向および通過位置の確認をする。車両の高さでダンプトラックを確認し、トンネル内のダンクトラックの台数をシステム(運行管理サーバ3)に転送する。通過方向確認にて逆送した車両がある場合、警報信号をシステムに転送する。
また、通過位置確認後、設定時間内に次の光電センサまで到達しないとトンネル内異常の信号をシステムに転送する。このトンネル内監視システムにより、GPSを補う。
なお、地図表示の更新間隔は、1分とする。また、図3では、ルートとDTのアイコンを表示した簡易図を記載しているが、実際は図2に示すような、地図とともに表示される。
【0032】
3.BP到着順序確認機能
表示部には、図3に示すように、BP(バッチャープラント)に到着する到着予測時刻を一覧で表示する。到着予測は、前記運行管理サーバ3が以下のようにして行う。BPまでの到達時間を設定した仮想ゲートをDTが通過した際の時刻に、前記到達時間を加えた時刻とする。つまり、仮想ゲートから前記出荷位置(BP(バッチャープラント))までの車両の走行時間を予め設定しておき、この設定時間を、仮想ゲートをDTが通過した際の時刻に加えたものを到着予想時刻とする。そして、この到着予想時刻を現場用管理装置4が運行管理サーバ3から取得する。なお、BP到着順序の更新間隔は1分とする。
表示項目は、「順序番号」、「車両番号」、「到着予測時刻」とする。一覧に表示するDT(車両1)は空車車両のみとする。また、到着順序の早い車両1の車両番号および打設配合をBPに備えた電光掲示板に表示し、車両1の運転手に生コンクリート積荷場所への進入を指示する。
【0033】
4.警告表示機能
表示部には、図3に示すように、車両に生じた警告内容および上流/下流水位計の水位(cm)、水位計の警告内容を表示する。
車両の警告の種類は、「ルート外」、「打設場所間違い」、「一定時間経過」とする。「ルート外」は、後述する稼動表で設定されたルート以外を車両が走行した場合に表示する。「打設場所間違い」は、稼動表で設定された打設場所以外で、操作ボタンを押した場合に表示する。
この操作ボタンは前記車両搭載装置2に設けられており、この操作ボタンを運転手が押すと、荷卸通知が運行管理サーバ3に送信され、荷卸場所に間違いがあった場合つまり打設場所が間違っている場合、運行管理サーバ3から荷卸エラー通知を現場用管理装置4に送信し、これによって、「打設場所間違い」を表示する。
なお、運行管理サーバ3からの荷卸エラー通知は車両搭載装置2に送信され、これによって、「打設場所間違い」をPDA7の表示部に表示するとともに、「打設場所が間違っています」と音声でスピーカから出力する。
「一定時間経過」は、BPでの積荷後90分以上経過した場合に表示する。BPで車両に生コンクリートを積荷する場合、運行管理サーバ3から車両搭載装置2に打設指示を送信するので、この打設指示の信号を送信した時刻から90分経過した場合に、これを車両搭載装置2が検出し、この検出信号を運行管理サーバ3、ネットワーク5を介して現場用管理装置4に送信することによって、現場用管理装置4で、「一定時間経過」の警告表示をする。
また、警告内容が複数項目ある場合は、警告件数を表示し、警告内容を切り替えて表示する。水位計の警告表示は、「正常」、「警戒水位」、「危険水位」とする。水位計の水位設定は、上流/下流で別々に設定する。警告表示の更新間隔は、1分とする。なお、図1に示すように、水位計12,12は、バッチャープラントの現場管理装置4に接続されており、その水位計による検出信号は、運行管理サーバ3にネットワーク5を介して送信され、格納される。そして、運行管理サーバ3、ネットワーク5を介して水位計12,12の検出信号を現場事務所に設置されている現場管理装置4が取得し、この現場用管理装置4で「正常」、「警戒水位」、「危険水位」として表示される。
【0034】
5.稼動表機能
表示部には、図5に示すように、車両搭載装置2の装置番号に対する車両番号、生コンクリートの打設計画情報、ルート情報の割り当てを一覧表示する。稼動表の表示項目は、「装置番号」、「車両番号」、「打設計画」、「ルート」とする。各表示項目に表示されるデータは、現場用管理装置4の入力部としてのキーボードから入力され、ネットワーク5を介して前記運行管理サーバ3に送信される。稼動表は、装置番号順に表示され、稼動表の行をマウスによってダブルクリックすると、図6に示すような編集ダイアログを表示する。なお、稼動表の更新間隔は、1分とする。また、車両番号、生コンクリートの打設計画情報、ルート情報等からなる計画情報は、車両搭載装置2の装置ナンバーに関連付けられて運行管理サーバ3に送信される。
【0035】
6.稼動表編集機能
表示部には、図6に示すように、編集ダイアログが表示される。この編集ダイアログでは、車両搭載装置2の装置番号に対する車両番号、打設計画情報、ルート情報の割り当てを変更する。編集項目は、「車両番号」、「打設計画」、「ルート」とする。「車両番号」は、車両一覧より選択する。一覧に登録がない場合は、マスタ編集画面より新規登録する。「打設計画」は、打設計画一覧より選択する。打設計画一覧には、当日および翌日の計画が表示される。「ルート」は、ルート一覧より選択する。ルート一覧は、「打設計画」にて選択された打設場所に該当するルートを絞り込み表示する。
そして、編集された項目の情報は、現場用管理装置4からネットワーク5を介して運行管理サーバ3に送信される。
【0036】
7.打設進捗表示機能
表示部には、図7に示すように、計画、実施されている打設計画を一覧表示する。表示項目は、「打設場所」、「完了/未完了」、「配合Aの実績/計画」、「配合Bの実績/計画」、「配合Cの実績/計画」、「配合Dの実績/計画」、「配合D−2の実績/計画」、「配合Mの実績/計画」、「開始日」、「開始時刻」、「終了時刻」、「台数」とする。
一覧表には当日、翌日の打設計画を表示する。「計画入力」ボタンをクリックすることにより、図8に示すような打設計画入力ダイアログを表示する。また、一覧表の行をダブルクリックすることにより、その行の打設計画入力ダイアログを表示する。また、「完了した計画も表示」チェックボックスにチェックすると、完了した計画も表示する(通常は完了した計画は表示しない。)。なお、打設進捗表示の更新間隔は、1分とする。
このような打設進捗は、生コンクリートを積荷した車両1が打設場所で生コンクリートを荷卸す際に、荷卸通知を運行管理サーバ3に送信するので、この荷卸通知によって、どの車両搭載装置2の荷卸しが終了したかを知ることができ、その荷卸量(打設量)を加算していくことで、打設実績量を求めることができる。そして、現場管理装置4は運行管理サーバ3から定期的に打設実績量/計画量を取得し、進捗表示を自動的に更新する。
【0037】
8.打設計画入力機能
表示部には、図8に示すように、打設計画入力ダイアログが表示される。この打設計画入力ダイアログでは、打設計画を新規登録もしくは変更する。編集項目は「打設場所」、「BL番号」、「リフト番号」、「開始予定日時」、「終了予定日時」、「台数」、「打設チーム」、「備考」、「完了」、「計画量」とする。「完了」にチェックし登録することで、この計画を完了する。「打設チーム」、「備考」は帳票上に表示する。
そして、編集された項目の情報は、現場用管理装置4からネットワーク5を介して運行管理サーバ3に送信される。
【0038】
9.マスタ編集機能
このマスタ編集機能では、図9に示すような、「車両マスタ」や「打設チームマスタ」を編集する。「車両マスタ」の表示項目は、「車両番号」、「車両名」とし、「打設チームマスタ」の表示項目は、「打設チーム番号」、「打設チーム名」とする。「新規登録」ボタンをクリックすることにより、図10に示すようなマスタ編集ダイアログを表示する。このマスタ編集ダイアログでは、車両番号、車両名等を新規登録または変更する。マスタ編集中は、地図表示、BP到着順序、警告、稼動表、打設進捗の画面を更新しない。
そして、編集された項目の情報は、現場用管理装置4からネットワーク5を介して運行管理サーバ3に送信される。
10.帳票出力機能
この帳票出力機能では、図11に示すような、帳票出力ダイアログが表示され、この帳票出力ダイアログの「出力期間」に所望の期間を選択入力することによって、例えば、図12に示すような帳票が出力される。この帳票はプリンタにプリントアウトできる。
【0039】
次に、上記構成の運行管理システムの動作について説明する。
まず、現場用管理装置4には、予め、本車両運行管理システムで使用される車両番号、生コンクリートの打設計画情報、ルート情報、生コンクリートの出荷情報、車両マスタ、車両搭載装置マスタ、打設場所マスタ、水位情報、警告情報等を備えた計画情報が入力され(ステップSA1)、この入力された計画情報は、運行管理サーバ3にネットワーク5を介して送信され、この運行管理サーバ3が取得する(ステップSB1)。
【0040】
一方、空の車両(DT)1がBP(各車両に生コンクリートが積荷される出荷位置)に到着しており、この状態で運転手が車両搭載装置2の操作ボタンを押すと、車両搭載装置2は、運行管理サーバ3に打設指示要求を送信する(ステップSC1)。
すると、運行管理サーバ3は計画情報の稼動表に基づいて、打設指示要求のあった車両搭載装置2に対応する打設指示(計画情報)を送信する(ステップSB2)。そして、車両搭載装置2は打設指示(計画情報)を取得する(ステップSC2)。車両搭載装置2のPDA7の液晶表示部には、図14に示すような、実車状態画面が表示され、運転手はこれを目視することによって、計画情報を確認できる。なお、車両1には、車両搭載装置2が打設指示を取得するにともなって、所定の生コンクリートが積荷される。
【0041】
生コンクリートが積荷された車両1は、打設場所まで所定のルートを通って移動するが、この際車両搭載装置2のGPS受信機8によって車両1の位置情報(時刻情報を含む)を1秒間隔で取得し、この位置情報は無線通信端末9からネットワーク5を介して運行管理サーバ3に送信される。運行管理サーバ3に送信された車両1の位置情報(時刻情報を含む)は、現場用管理装置4によって取得され、その表示部において地図上に表示される(ステップSA2)。したがって、現場の管理者はこの表示部を目視することによって、車両1が現在どこに位置しているのかを容易に確認できる。なお、車両1の位置は車両搭載装置2のPDA7の液晶表示部にも地図上に表示できる。また、車両搭載装置2では、車両1の目的値(打設場所)までの誘導をスピーカ10から音声出力することによって行う。
【0042】
車両1がルートを移動している際に、警告エリアに入っているかどうかをPDA7が判断する(ステップSC3)。警告エリアとは、例えば、所定のルートの道路に対し半径10mを越えた位置にある場合である。車両1が警告エリアに入っていたならば、PDA7はスピーカ10に、例えば、「ルートから外れています」等の警告音声を出力させる(ステップSC4)。したがって、運転手は車両1がルートから外れると直ぐにそれを知ることができる。
一方、車両1が警告エリアに入った場合には、警告信号が車両搭載装置2から運行管理サーバ3に送信され、この運行管理サーバ3で受信される(ステップSB3)。そして、この警告信号は、運行管理サーバ3からさらに現場用管理装置4に送信され、この現場用管理装置4で受信される(ステップSA3)。そして、警告信号を受信したならば、図3に示すように、現場用管理装置4は表示部に警告画面を表示する(ステップSA4)。したがって、現場管理者は車両1がルートから外れると直ぐにそれを知ることができる。なお、運行管理サーバ3は、水位計12,12の水位計の正常、異常を判断し、その結果を現場管理装置4に送信し、現場管理装置4はその表示部に警告画面として表示する。また、車両1が生コンクリートを積荷後一定時間(例えば90分)経過すると、これを車両搭載装置2で検出して、その検出信号をネットワーク5を介して運行管理サーバ5に送信し、現場管理装置4はネットワーク5を介して運行管理サーバ3から警告情報を取得し、その表示部に警告画面として表示する。
【0043】
車両1が所定のルートを移動して打設場所に到着し、運転手が車両搭載装置2の操作ボタンを押すと(ステップSC5)、車両搭載装置2から荷卸通知を運行管理サーバ3に送信し(ステップSC6)、運行管理サーバ3がこの荷卸通知を受信する(ステップSB4)。
運行管理サーバ3は、荷卸場所、つまり打設場所に間違いがないかを判断し、間違いがない場合荷卸確認通知を、間違いがある場合荷卸エラー通知を車両搭載装置2に送信し(ステップSB5)、車両搭載装置2がこの荷卸確認通知もしくは荷卸エラー通知を取得する(ステップSC7)。
そして、車両搭載装置2は、前記荷卸確認通知あるいは荷卸エラー通知を表示する(ステップSC8)。つまり、荷卸確認通知である場合は図14に示すように、PDA7の液晶表示部が実車から空車状態に切り替わるとともに「空車になりました。」とスピーカ10から音声出力する。そして、運転手はこれを確認した後、積荷されている生コンクリートを荷卸す。
【0044】
一方、荷卸エラー通知である場合は、PDA7の液晶表示部に打設場所間違いを表示するとともに、「打設場所が間違っています。」とスピーカ10から音声出力する。したがって、運転手は打設場所間違いであることを直ぐに知ることができ、間違って生コンクリートを荷卸すことがない。なお、打設場所が間違っている場合、運転手は正しい打設場所に向けて車両1を移動させる。その後は、ステップSC3以降の処理へ移行する。
なお、運行管理サーバ3が、荷卸場所(打設場所)に間違いがないかを判断する場合以下のようにして行う。すなわち、車両搭載装置2から荷卸通知を運行管理サーバ3に送信するが、この荷卸通知とともに車両1の位置情報を運行管理サーバ3に送信する。一方、運行管理サーバ3では、どの車両1がどこの打設場所に生コンクリートを荷卸すべきかの情報が所定の範囲のエリアの位置情報(前記計画情報中にある)として予め格納されている。したがって、車両搭載装置2から送信されてきた車両1の位置が、前記エリア内にあれば、運行管理サーバ3は打設場所に間違いがないと判断し、エリア外にあれば打設場所が間違いであると判断する。
【0045】
また、現場用管理装置4では、車両1が打設場所に到着するまで、車両1の位置を表示部に表示するとともに、必要に応じて警告表示も行い、打設場所に到着したら、以降は空の車両1の位置情報(時刻情報を含む)を、現場用管理装置4によって取得し、その表示部において地図上に表示する。
なお、現場用管理装置4では、車両1が打設場所に到着してから前記操作ボタンを運転手が押すと、荷卸通知が運行管理サーバ3に送信され、荷卸場所に間違いがあった場合つまり打設場所が間違っている場合、運行管理サーバ3から荷卸エラー通知を現場用管理装置4に送信し、これによって、現場管理装置4の表示部に「打設場所間違い」として表示する。
【0046】
空になった車両1はBP(各車両に生コンクリートが積荷される出荷位置)に戻るが、この場合も車両搭載装置2のGPS受信機8によって車両位置の位置情報(時刻情報を含む)を1秒間隔で取得し、この位置情報は無線通信端末9からネットワーク5を介して運行管理サーバ3に送信される。運行管理サーバ3に送信された車両1の位置情報(時刻情報を含む)は、現場用管理装置4によって取得され、その表示部において地図上に表示される。したがって、現場の管理者はこの表示部を目視することによって、空の車両1が現在どこに位置しているのかを容易に確認できる。なお、車両1の位置は前記PDA7の液晶表示部にも地図上に表示できる。
【0047】
そして、空の車両1がルート上に設定された仮想ゲートを通過したかどうかを運行管理サーバ3が判断する(ステップSB6)。仮想ゲートを通過した場合、この仮想ゲート通過情報を運行管理サーバ3が取得する(ステップSB7)。
次に、運行管理サーバ3は、車両1の出荷位置BPへの到着予測時刻を算出する。これは、空の車両1が仮想ゲートを通過した時刻を取得し、この時刻に、仮想ゲートから出荷位置BPまでの車両の走行時間を予め設定しておいた設定時間を加えることによって、空の各車両1が出荷位置BPに到着する到着予測時刻を算出する(ステップSB8)。
そして、現場用管理装置4は、運行管理サーバ3から到着予測時刻を取得して表示する(ステップSA5)。
このような処理は、複数の車両1それぞれに対して全て同様に行う。
そして、BPでは、到着した空の車両1からの打設指示要求を待って、次の打設指示を空の車両1の車両搭載装置2に送信する。
【0048】
以上のように、本実施の形態によれば、複数の車両1に搭載されている車両搭載装置2からGPS機能によって取得した車両1の位置情報を、定期的に運行管理サーバ3にネットワーク5を介して自動送信し、運行管理サーバ3は、取得した各車両1の位置情報と、仮想ゲート情報とに基づいて、各車両1が仮想ゲートを通過した時刻を取得し、この時刻と、仮想ゲートから出荷位置までの車両の走行時間を予め設定しておいた設定時間とに基づいて、空の各車両1が出荷位置(例えば生コン工場)BPに到着する到着予測時刻を予測し、この到着予測時刻を現場用管理装置4が取得して表示することによって、複数の車両1のうち、どの車両1がどの順番で生コン工場BPに到着するかを正確に把握できる。
【0049】
また、現場用管理装置4は、車両搭載装置2から運行管理サーバ3に送信されてきて格納された各車両の位置情報をネットワーク5を介して取得して、該各車両1の位置を表示可能であるので、現場管理者は、現在車両がどこにいるのかを容易に把握することができる。
さらに、運行管理サーバ3には、車両番号、生コンクリートの打設計画情報、ルート情報、生コンクリートの配合情報等を備えた計画情報が格納されており、現場用管理装置4は、前記計画情報から所望の情報を表示可能である。運行管理サーバ3は、前記計画情報を前記出荷位置に位置している空の車両1に搭載されている車両搭載装置2に送信し、この車両搭載装置2は、前記計画情報を表示可能であるので、車両の運転手は計画情報を容易に確認して、所定の打設場所まで生コンクリートを運搬できる。
【0050】
また、車両搭載装置2は、その車両の位置情報と、前記ルート情報とに基づいて、各車両1が前記ルートから外れたか否かを判断し、該車両がルートから外れた際に、このことを車両1の運転者に警告するので、運転手は車両が正しいルートから外れたことを直ぐに認識して、すばやく正しいルートに復帰することができる。
また、車両搭載装置2は、車両1が打設場所で生コンクリートを荷卸した際に、その車両による荷卸通知を前記運行管理サーバ3に送信し、この運行管理サーバ3が、それに格納されている計画情報と車両搭載装置2から取得した荷卸通知とに基づいて、コンクリートの打設進捗状況を求め、現場用管理装置4が、コンクリートの打設進捗状況を表示することによって、管理事務所で打設進捗状況をリアルタイムで確認することができる。
【0051】
さらに、車両搭載装置2は、生コンクリートが積荷された車両1が打設場所に到着して、生コンクリートを荷卸す前に、車両の位置情報を含む荷卸通知を運行管理サーバ3に送信し、この運行管理サーバ3は、それに格納されている計画情報と、車両1の位置情報とに基づいて、打設場所が正しいか否かを判断し、打設場所が間違っていた場合に、車両搭載装置2に荷卸エラー情報を送信し、車両搭載装置2は、荷卸エラー情報を車両1の運転手に通知することによって、運転手は間違った場所に生コンクリートを荷卸すことを未然に防止しできる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明に係る車両運行管理システムの一例を示すもので、システム構成を示す概略図である。
【図2】同、現場管理装置に表示される地図の画面である。
【図3】同、現場管理装置に常時表示される画面である。
【図4】同、DTアイコン表示仕様を説明する図である。
【図5】同、現場管理装置に表示される稼動表の画面である。
【図6】同、現場管理装置に表示される稼動表編集画面である。
【図7】同、現場管理装置に表示される打設進捗画面である。
【図8】同、現場管理装置に表示される打設計画入力画面である。
【図9】同、現場管理装置に表示されるマスタ編集画面である。
【図10】同、現場管理装置に表示される項目編集画面である。
【図11】同、帳票出力画面である。
【図12】同、帳票出力サンプルである。
【図13】同、運行管理システムの動作を説明するフローチャートである。
【図14】同、車両搭載装置に表示される画面である。
【符号の説明】
【0053】
1 車両
2 車両搭載装置
3 運行管理サーバ
4 現場管理装置
5 ネットワーク
7 PDA
8 GPS受信機
9 無線通信端末
10 スピーカ
11 GPS衛星
12 水位計
【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷を所定の場所まで運搬する複数の車両の運行管理を行う車両運行管理システムであって、
前記各車両に搭載され、GPS機能を備えた無線通信可能な車両搭載装置と、運行管理サーバと、現場用管理装置と、これらを接続するネットワークとを備え、
前記車両搭載装置は、GPS機能によって取得した車両の位置情報を、定期的に前記運行管理サーバに前記ネットワークを介して自動送信可能であり、
前記運行管理サーバには、前記各車両に荷が積荷される出荷位置の情報である出荷位置情報と、前記出荷位置から所定距離離間した仮想ゲートの位置情報である仮想ゲート情報とが格納されており、
さらに、前記運行管理サーバは、前記車両搭載装置から取得した各車両の位置情報と、前記仮想ゲート情報とに基づいて、前記各車両が前記仮想ゲートを通過した時刻を取得し、この時刻と、前記仮想ゲートから前記出荷位置までの車両の走行時間を予め設定しておいた設定時間とに基づいて、荷を積荷していない空の各車両が前記出荷位置に到着する到着予測時刻を予測可能であり、
前記現場用管理装置は、前記運行管理サーバから前記到着予測時刻を取得して表示可能であることを特徴とする車両運行管理システム。
【請求項2】
前記現場用管理装置は、前記車両搭載装置から運行管理サーバに送信されてきて格納された各車両の位置情報を前記ネットワークを介して自動取得して、該各車両の位置を表示可能であることを特徴とする請求項1に記載の車両運行管理システム。
【請求項3】
前記荷が生コンクリートであり、前記所定の場所がコンクリートを打設する打設場所であり、出荷位置が生コン工場であることを特徴とする請求項1または2に記載の車両運行管理システム。
【請求項4】
前記現場用管理装置は、それに入力された車両番号、生コンクリートの打設計画情報、ルート情報、生コンクリートの配合情報等を備えた計画情報を前記運行管理サーバにネットワークを介して送信可能であり、
この運行管理サーバは、前記計画情報を前記出荷位置に位置している空の車両に搭載されている車両搭載装置に送信可能であり、
この車両搭載装置は、前記計画情報を表示可能であることを特徴とする請求項3に記載の車両運行管理システム。
【請求項5】
前記車両搭載装置は、その車両の位置情報と、前記ルート情報とに基づいて、前記車両が前記ルートから外れたか否かを判断し、該車両がルートから外れた際に、このことを車両の運転者に警告可能であることを特徴とする請求項4に記載の車両運行管理システム。
【請求項6】
前記車両搭載装置は、車両が打設場所で生コンクリートを荷卸した際に、その車両の荷卸通知を前記運行管理サーバに送信可能であり、
前記運行管理サーバは、それに格納されている計画情報と前記荷卸通知に基づいて、コンクリートの打設進捗状況を求め、
前記現場用管理装置は、前記コンクリートの打設進捗状況を表示可能であることを特徴とする請求項4または5に記載の車両運行管理システム。
【請求項7】
前記車両搭載装置は、生コンクリートが積荷された車両が前記打設場所に到着して、生コンクリートを荷卸す前に、車両の位置情報を含む荷卸通知を前記運行管理サーバに送信可能であり、
この運行管理サーバは、それに格納されている計画情報と、前記車両の位置情報とに基づいて、打設場所が正しいか否かを判断し、打設場所が間違っていた場合に、前記車両搭載装置に荷卸エラー情報を送信可能であり、
前記車両搭載装置は、前記荷卸エラー情報を車両の運転手に通知可能であることを特徴とする請求項3〜6のいずれか一項に記載の車両運行管理システム。
【請求項1】
荷を所定の場所まで運搬する複数の車両の運行管理を行う車両運行管理システムであって、
前記各車両に搭載され、GPS機能を備えた無線通信可能な車両搭載装置と、運行管理サーバと、現場用管理装置と、これらを接続するネットワークとを備え、
前記車両搭載装置は、GPS機能によって取得した車両の位置情報を、定期的に前記運行管理サーバに前記ネットワークを介して自動送信可能であり、
前記運行管理サーバには、前記各車両に荷が積荷される出荷位置の情報である出荷位置情報と、前記出荷位置から所定距離離間した仮想ゲートの位置情報である仮想ゲート情報とが格納されており、
さらに、前記運行管理サーバは、前記車両搭載装置から取得した各車両の位置情報と、前記仮想ゲート情報とに基づいて、前記各車両が前記仮想ゲートを通過した時刻を取得し、この時刻と、前記仮想ゲートから前記出荷位置までの車両の走行時間を予め設定しておいた設定時間とに基づいて、荷を積荷していない空の各車両が前記出荷位置に到着する到着予測時刻を予測可能であり、
前記現場用管理装置は、前記運行管理サーバから前記到着予測時刻を取得して表示可能であることを特徴とする車両運行管理システム。
【請求項2】
前記現場用管理装置は、前記車両搭載装置から運行管理サーバに送信されてきて格納された各車両の位置情報を前記ネットワークを介して自動取得して、該各車両の位置を表示可能であることを特徴とする請求項1に記載の車両運行管理システム。
【請求項3】
前記荷が生コンクリートであり、前記所定の場所がコンクリートを打設する打設場所であり、出荷位置が生コン工場であることを特徴とする請求項1または2に記載の車両運行管理システム。
【請求項4】
前記現場用管理装置は、それに入力された車両番号、生コンクリートの打設計画情報、ルート情報、生コンクリートの配合情報等を備えた計画情報を前記運行管理サーバにネットワークを介して送信可能であり、
この運行管理サーバは、前記計画情報を前記出荷位置に位置している空の車両に搭載されている車両搭載装置に送信可能であり、
この車両搭載装置は、前記計画情報を表示可能であることを特徴とする請求項3に記載の車両運行管理システム。
【請求項5】
前記車両搭載装置は、その車両の位置情報と、前記ルート情報とに基づいて、前記車両が前記ルートから外れたか否かを判断し、該車両がルートから外れた際に、このことを車両の運転者に警告可能であることを特徴とする請求項4に記載の車両運行管理システム。
【請求項6】
前記車両搭載装置は、車両が打設場所で生コンクリートを荷卸した際に、その車両の荷卸通知を前記運行管理サーバに送信可能であり、
前記運行管理サーバは、それに格納されている計画情報と前記荷卸通知に基づいて、コンクリートの打設進捗状況を求め、
前記現場用管理装置は、前記コンクリートの打設進捗状況を表示可能であることを特徴とする請求項4または5に記載の車両運行管理システム。
【請求項7】
前記車両搭載装置は、生コンクリートが積荷された車両が前記打設場所に到着して、生コンクリートを荷卸す前に、車両の位置情報を含む荷卸通知を前記運行管理サーバに送信可能であり、
この運行管理サーバは、それに格納されている計画情報と、前記車両の位置情報とに基づいて、打設場所が正しいか否かを判断し、打設場所が間違っていた場合に、前記車両搭載装置に荷卸エラー情報を送信可能であり、
前記車両搭載装置は、前記荷卸エラー情報を車両の運転手に通知可能であることを特徴とする請求項3〜6のいずれか一項に記載の車両運行管理システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2008−210087(P2008−210087A)
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−45228(P2007−45228)
【出願日】平成19年2月26日(2007.2.26)
【出願人】(000195971)西松建設株式会社 (329)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年2月26日(2007.2.26)
【出願人】(000195971)西松建設株式会社 (329)
【Fターム(参考)】
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