説明

車体の客室マウント構造

【課題】通常の走行状態で十分な耐久力を得られ、また荷重入力があった場合には目標箇所の締結部の分離が可能な車両の客室マウント構造を提供する。
【解決手段】フレーム100と客室CBとを、客室CBの底部FLの前方、略中央部、後方においてそれぞれ第一の支持体210、第三の支持体230、第二の支持体220で固定支持する。第三の支持体230の車体垂直方向の引張荷重に対する破断強度は第一の支持体210または第二の支持体220よりも低く設定されている。また、フレーム100における第三の支持体230の固定位置近傍に構造変化部100Zが形成されている。車体前方から荷重入力が加わった際に、フレーム100が構造変化部100Zにおいて下方へ屈曲するとともに、第三の支持体230が破断し、フレーム100と客室CBの底部FLの略中央部とが分離する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、フレーム構造を有する車両の車体の客室マウント構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、フレーム構造を有する車両では、車両の前面から荷重入力があった際に、エンジンを収容するエンジンルーム部分のフレームが破壊されることにより、荷重エネルギーを吸収するように設計されている。
【0003】
このような車両においては、より大きな荷重入力が加わった場合、エンジンルーム後方に位置する客室の下部に配設されたフレームを破壊することにより、荷重入力が加わった際の車体の減速度が過大にならないように、荷重エネルギーを吸収する構造が考えられる。
【0004】
ところで、フレーム構造を有する車両では、一般に客室のフロアパネルが、いわゆるキャブマウントと呼ばれる支持体でフレームに固定されている。したがって、客室の下部に配設されたフレ−ムを破壊した場合、フレームに固定された支持体につられて客室のフロアパネルが変形するおそれがあり、乗員保護性能が低下する可能性がある。
【0005】
このような問題を避けるため、荷重入力時に、客室とフレームとを分離することが可能な支持体構造が提案されている(特許文献1参照)。この支持体構造では、支持体の下側に設置されたインシュレータに切り欠きを設けるとともに、支持体を貫通する締結ボルト周囲に配設された挿入体に分離溝を設け、インシュレータの切り欠きと挿入体の分離溝の位置を一致させて弱断面を設定し、さらに締結ボルトの座金に破壊溝を設けて、荷重入力があった際に弱断面と破壊溝により支持体が破壊され、客室とフレームが分離するようになっている。ここで、弱断面と破壊溝は、客室のフロアパネルが変形を開始する荷重以下で破壊するように設計されている。
【特許文献1】特表2005−533719公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の支持体を客室とフレームとの固定に用いる場合、荷重入力があった際に客室の下部に配設されたフレームがどのように変形するかの予測は困難であるため、フレームに客室を固定する支持体すべてをこのような支持体とする必要がある。ここで、各支持体は、客室のフロアパネルが変形を開始する荷重以下で破壊するように設計されているため、通常の使用状態で必要な耐久力を得られない可能性がある、という問題点がある。
【0007】
本発明では以上の問題点に鑑み、通常の走行状態で十分な耐久力を得られ、また車体の前方から荷重入力が加わった場合には固定された目標箇所の分離が可能な車体のマウント構造を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の車体の客室マウント構造においては、車両の客室と、車両の車体の左右前後方向に延設され、車両の客室下方に位置する部分がその前後より下方に位置するフレームと、フレームの上面に固定されるとともに、客室の底部の前方に固定され客室を支持する第一の支持体と、フレームの上面に固定されるとともに、客室の底部の後方に固定され客室を支持する二の支持体と、フレームの上面に固定されるとともに、客室の底部の略中央部に固定され客室を支持する第三の支持体とを備えている。そして、第三の支持体の車体垂直方向の引張荷重に対する破断強度が第一の支持体または第二の支持体の車体垂直方向の引張荷重に対する破断強度よりも低く設定されているとともに、フレームにおける第三の支持体の固定位置近傍に構造変化部が形成されている。そして、車体前方から荷重入力が加わった際は、フレームが構造変化部において下方へ屈曲するとともに、第三の支持体が破断し、フレームと客室の底部の略中央部とが分離する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、フレ−ムに設けた構造変化部の前後において、通常の支持体である第一の支持体および第二の支持体によりフレームと客室とを締結しているので、通常の走行状態で十分な耐久力を得らることができる。また、車体の前方から荷重入力が加わった場合には、フレームに設けた構造変化部が下方に屈曲し、構造変化部近傍に設けた分離可能な第三の支持体が破断して分離することでフレームと客室の底部の略中央部とが分離されるので、荷重入力によって客室の底部に変形を生じることがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の具体的な実施の形態について、図面に基づき説明する。
【0011】
図1は、この発明の一実施形態の構成図である。
【0012】
なお、以下の説明では、車両の左側の構造について説明を行うが、右側についても同等の構造を備えているものとする。
【0013】
本実施形態における車体の客室マウント構造は、フレーム100、第一の支持体210(210F、210CBF)、第二の支持体220(220R、220CBR)、分離可能な構造を有する第三の支持体230、エンジンルームER、客室CB、トランクルームTRで構成されている。
【0014】
フレーム100は、車両の左右前後方向に延設されており、パワートレインやサスペンション(いずれも図示省略)が取り付けられる。フレーム100は、車両前方に位置するフロント部110、車両中央部に配設された客室下部130、車両後方に位置するリア部140、フロント部110と客室下部130との間に位置し、客室下部130から上方に傾斜してフロント部110につながるフロントキックアップ部120F、客室下部130から上方に傾斜してリア部140につながるリアキックアップ部120Rとで構成されている。
【0015】
エンジンルームERは、エンジンルームERを構成する下部部材(詳細は省略)が、フレーム100のフロント部110上面に固定された第一の支持体210Fに締結ボルト201Bおよびナット201N(図2参照)で締結されている。
【0016】
トランクルームTRは、トランクルームTRを構成する下部部材(詳細は省略)が、フレーム100のリア部140上面に固定された第二の支持体220Rに締結ボルト201Bおよびナット201N(図2参照)で締結されている。
【0017】
客室CBの底部FL左右には、フレーム100の客室下部130に略沿って設けられたシルSLが設けられている。フレーム100の客室下部130上面には、車両前方側および車両後方側にそれぞれ第一の支持体210CBFおよび第二の支持体220CBRが固定されている。また、フレーム100の客室下部130の上面の略中央部には、分離可能な構造を有する第三の支持体230が固定されている。そして、シルSLの車両前方側SLFが第一の支持体210CBFに締結ボルト201Bおよびナット201Nで締結され、シルSLの車両後方側SLRが第二の支持体220CBRに締結ボルト201Bおよびナット201Nで締結され、シルSLの略中央部SLCが第三の支持体230に締結ボルト201Bおよびナット201Nで締結されている(図2、図4参照)。
【0018】
ここで、エンジンルームERに締結された第一の支持体210Fは、ブラケット203により、フレーム100のフロント部110上面に固定ボルト202Bおよびナット202Nで固定されている(図3参照)。また、ブラケット203とエンジンルームERとの間には、衝撃吸収用のインシュレータISが取り付けられている(図2参照)。
【0019】
同様に、トランクルームTRに締結された第二の支持体220Rは、ブラケット203により、フレーム100のリア部140上面に固定ボルト202Bおよびナット202Nで固定されている(図3参照)。また、ブラケット203とトランクルームTRとの間には、衝撃吸収用のインシュレータISが取り付けられている(図2参照)。
【0020】
同様に、シルSLの車両前方側SLFに締結された第一の支持体210CBFは、ブラケット203により、フレーム100の客室下部130の車両前方側上面に固定ボルト202Bおよびナット202Nで固定されている(図3参照)。また、ブラケット203とシルSLとの間には、衝撃吸収用のインシュレータISが取り付けられている(図2参照)。
【0021】
同様に、シルSLの車両後方側SLRに締結された第二の支持体220CBRは、ブラケット203により、フレーム100の客室下部130の車両後方側上面に固定ボルト202Bおよびナット202Nで固定されている(図3参照)。また、ブラケット203とシルSLとの間には、衝撃吸収用のインシュレータISが取り付けられている(図2参照)。
【0022】
同様に、シルSLの略中央部SLCに締結された第三の支持体230は、ブラケット203により、フレーム100の客室下部130の略中央部上面に固定ボルト202Bおよびナット202Nで固定されている(図3参照)。また、ブラケット203とシルSLとの間には、衝撃吸収用のインシュレータISが取り付けられている(図4参照)。
【0023】
ここで、第三の支持体230の車体上下方向の引張荷重に対する破断強度は、第一の支持体210CBFと第二の支持体220CBRの車体上下方向の引張荷重に対する破断強度の少なくとも一方よりも低く設定されている。すなわち、第三の支持体230は、第一の支持体210CBFと第二の支持体220CBRの少なくとも一方よりも弱い引張荷重で所定の箇所が破断され、分離する(後述)。
【0024】
また、フレーム100の客室下部130において、第三の支持体230が固定された部分近傍は、その周囲の強度に対して強度が弱い脆弱部である構造変化部100Zが設けられている(図1参照)。
【0025】
図2に、第一の支持体210F、210CBF、および、第二の支持体220R、220CBRの側方断面図を示す。以下、第一の支持体210Fを例として説明を行う。
【0026】
第一の支持体210Fは、ブラケット203、上部座金205U、下部座金205L、スペーサ204、インシュレータIS、締結ボルト201B、ナット201Nを備えている。
【0027】
ブラケット203は、下方に凹んだ形状を有し、凹み部分の中央部に貫通孔を有している。また、ブラケット203をフレーム100に取り付けるための取り付け部203Pを外縁に有している。取り付け部203Pは、略中央部に貫通孔を有している。
【0028】
インシュレータISは、振動エネルギーを吸収するゴム等の素材でできており、中央部に貫通孔を有している。
【0029】
上部座金205Uは、皿状の部材であり、中央部に貫通孔を有している。
【0030】
下部座金205Lは、皿状の部材であり、中央部に貫通孔を有している。
【0031】
スペーサ204は、内部が空洞の円柱状の部材である。
【0032】
ブラケット203の凹み部分に、インシュユレータISが配設されている。また、インシュレータISの貫通孔にはスペーサ204が挿入されている。スペーサ204の上部(インシュレータISの上部)には、上部座金205Uが配置され、スペーサ204の下部には下部座金205Lが配置され、それぞれの貫通孔が同心状に位置している。締結ボルト201Bは下部座金205Lの下方から、下部座金205Lの貫通孔、スペーサ204、上部座金205Uの貫通孔を貫通し、上部座金205Uの上方でナット201Nに締結されている。
【0033】
図3に示すように、第一の支持体210Fは、フレーム100のフロント部110上面に設けられた配置孔110Dにフレーム100の上部から配置される。フレーム100のフロント部110にはブラケット203の取り付け部203Pを固定ボルト202Bで固定する取り付け孔110Hが設けられている。固定ボルト202Bは、ブラケット203の取り付け部203Pの貫通孔とフレーム100のフロント部110の取り付け孔110Hを貫通し、フレーム100のフロント部110上面の裏側でナット202Nに締結されて、第一の支持体210Fがフレーム100のフロント部110上面に固定される。
【0034】
同様にして、第一の支持体210CBF、第二の支持体220R、220CBRも、それぞれフレーム100の客室下部130の車体前方側上面、フレーム100のリア部140上面、フレーム100の客室下部130の車体後方側上面に固定される。
【0035】
図4に、第三の支持体230の側方断面図を示す。第三の支持体230は、前述した第一の支持体210Fに対し、下部座金206Lのみが異なる構造であるため、下部座金206Lについてのみ説明を行う。
【0036】
下部座金206Lは、上方に開口する凹型の形状を有している。開口の縁部は、全周に渡って鋭利な刃部SDが形成されており、この刃部SDがインシュレータIS下面に対向するように配置される。
【0037】
刃部SDの先端とインシュレータISとの間には、空隙が設定されている(図4の破線囲みCA部分)。この空隙は、通常走行時の振動による変位で刃部SDの先端がインシュレータISに接触せず、また、シルSLを変形させ得る荷重より小さい荷重によるインシュレータISの変形で刃部SDの先端がインシュレータISに接触し、刃部SDがインシュレータISを切断する間隔が設定されている。
【0038】
第三の支持体230も、第一の支持体210Fと同様に、フレーム100の客室下部130の略中央部上面に固定される。
【0039】
次に、フレーム100の構造変化部100Zについて、説明を行う。
【0040】
図5に、フレーム100の構造変化部100Zの構造例を示す。
【0041】
フレーム100は、目標破断面TSを境に、目標破断面TSの前方と目標破断面TSの後方とでフレーム100の板厚または材質の少なくとも一方が異なるものとなっている。図5では、目標破断面TSの前方の板厚をt1、目標破断面TSの後方の板厚をt2とし、t1≠t2としている。これにより、強度を低減した構造変化部100Zを設定することができる。
【0042】
次に、本実施形態の動作を説明する。
【0043】
図6に、車体の前方から荷重入力が加わった場合の、動作の説明図を示す。
【0044】
車体の前方から荷重入力が加わった場合、荷重はフレーム100のフロント部110に入力され、フレーム100の客室下部130へと伝達される。ここで、客室下部130とフロント部110との間には、客室下部130から上方に傾斜してフロント部110につながるフロントキックアップ部120Fが設定され、また、客室下部130とリア部140との間には、客室下部130から上方に傾斜してリア部140につながるリアキックアップ部120Rが設定されており、客室下部130はフロント部110およびリア部140より低い位置に配置されているため、車両前方から加わった荷重によって客室下部130は下方に屈曲しようとする。ここで、客室下部130の略中央部には構造変化部100Zが設けられているため、客室下部130はこの構造変化部100Zを下方の頂点として屈曲する。
【0045】
この際、客室下部130が下方に屈曲するのに伴って、シルSLと客室下部130が上下方向に離間し、第三の支持体230においてはシルSLに締結された締結ボルト201Bにより下部座金206Lが上方向に引かれて、下部座金206Lに設けられた刃部SDがインシュレータISを切断する。これにより、シルSLの略中央部SLCとフレーム100の客室下部130とが分離するため、客室下部130が下方に屈曲しても、客室CBのシルSLの略中央部SLCは下方に引っ張られることがなくなり、客室CBの変形を抑制することができる。
【0046】
ここで、第一の支持体210CBF、第二の支持体220CBRの下部座金205Lには、第三の支持体230の下部座金206Lに形成された刃部SDが形成されていない。また、車体の前方から加重が加わった場合、フレーム100の客室下部130は構造変化部100Zを下方の頂点として屈曲するため、第一の支持体210CBFが固定された客室下部130の車体前方側の上下方向変位および第二の支持体220CBRが固定された客室下部130の車体後方側の上下方向変位は、第三の支持体230が固定された客室下部130の略中央部の上下方向変位より小さく、第一の支持体210CBF、第二の支持体220CBRに加わる車体垂直方向の引張荷重は、第三の支持体230に加わる車体垂直方向の引張荷重より小さくなる。したがって、車体の前方から荷重が加わった場合、第一の支持体210CBF、第二の支持体220CBRは破断せず、第三の支持体230のみを破断することができる。また、第一の支持体210CBF、第二の支持体220CBRの下部座金205Lには、第三の支持体230の下部座金206Lに形成された刃部SDが形成されておらず、十分な締結力でフレーム100の客室下部130とシルSLとを締結することができる。したがって、通常の走行状態で十分な耐久力を得ることができる。
【0047】
[実施例2]
本実施例は、構造変化部101Zの構造のみが前述した実施形態と異なる実施例であるため、構造変化部101Zについてのみ説明を行う。
【0048】
図7に、本実施例の構造変化部101Zを示す。
【0049】
フレーム100は、目標破断面TSが位置するフレーム100の車幅方向における垂直方向の断面積SZが目標破断面TS前方のフレーム100の断面積SFおよび目標破断面TS後方のフレーム100の断面積SRより小さくなるように、その形状が設定されている。これにより、強度を低減した構造変化部101Zを設定することができる。
【0050】
このような構造変化部101Zを有するフレーム100を、前述した実施形態のフレーム100に置き換えることで、前述した実施形態と同等の効果を得ることができる。
【0051】
[実施例3]
本実施例は、構造変化部102Zの構造のみが前述した実施形態と異なる実施例であるため、構造変化部102Zについてのみ説明を行う。
【0052】
図8に、本実施例の構造変化部102Zを示す。
【0053】
フレーム100は、目標破断面TSが位置するフレーム100側面の上端および下端に、それぞれビードBDが設けられている。これにより、強度を低減した構造変化部102Zを設定することができる。
【0054】
このような構造変化部102Zを有するフレーム100を、前述した実施形態のフレーム100に置き換えることで、前述した実施形態と同等の効果を得ることができる。
【0055】
なお、ビードの位置、深さは、必要に応じて適宜設定することができる。
【0056】
[実施例4]
本実施例は、構造変化部103Zの構造のみが前述した実施形態と異なる実施例であるため、構造変化部103Zについてのみ説明を行う。
【0057】
図9に、本実施例の構造変化部103Zを示す。
【0058】
フレーム100は、目標破断面TSが位置するフレーム100側面の上端および下端付近に、それぞれ孔HLが設けられている。これにより、強度を低減した構造変化部103Zを設定することができる。
【0059】
このような構造変化部103Zを有するフレーム100を、前述した実施形態のフレーム100に置き換えることで、前述した実施形態と同等の効果を得ることができる。
【0060】
なお、孔HLの位置、数、大きさは必要に応じて適宜設定することができる。
【0061】
[実施例5]
本実施例は、構造変化部104Z近傍の構造のみが前述した実施形態と異なる実施例であるため、構造変化部104Zについてのみ説明を行う。
【0062】
図10に、本実施例の構造変化部104Z近傍を示す。
【0063】
フレーム100は、目標破断面TSを境に、目標破断面TSの前方と目標破断面TSの後方で板厚または材質の少なくとも一方が異なるものとなっている。図10では、目標破断面TSの前方の板厚をt1、目標破断面TSの後方の板厚をt2とし、t1≠t2としている。また、目標破断面TS前方のフレーム100上面に突起部131Fが、目標破断面TS後方のフレーム100上面に突起部131Rが設けられており、突起部131Fおよび突起部131Rが連結部材132で強固に連結されている。これにより、目標破断面TS周囲に常に応力が働き、強度を低減した構造変化部104Zを設定することができる。
【0064】
このような構造変化部104Zを有するフレーム100を、前述した実施形態のフレーム100に置き換えることで、前述した実施形態と同等の効果を得ることができる。
【0065】
[実施例6]
本実施例は、構造変化部105Zの構造のみが前述した実施形態と異なる実施例であるため、構造変化部105Zについてのみ説明を行う。
【0066】
図11に、本実施例の構造変化部105Zを示す。
【0067】
フレーム100は、目標破断面TS周囲に急速過熱および冷却による熱処理が行われている。これにより、目標破断面TS周囲のフレーム100内部にいわゆる残留応力が発生し、強度を低減した構造変化部105Zを設定することができる。
【0068】
このような構造変化部105Zを有するフレーム100を、前述した実施形態のフレーム100に置き換えることで、前述した実施形態と同等の効果を得ることができる。
【0069】
なお、熱処理を行う面積や熱処理の程度は必要に応じて適宜設定することができる。
【0070】
[実施例7]
本実施例は、分離可能な構造を有する第三の支持体240のみが前述した実施形態と異なる実施例である。
【0071】
図12に、第三の支持体240の側方断面図を示す。第三の支持体240は、前述した第一の支持体210Fに対し、下部座金207Lのみが異なる構造であるため、下部座金207Lの構造と、車両前方から荷重入力が加わった場合の動作についてのみ説明を行う。
【0072】
下部座金207Lは、中心部の貫通孔の上下左右4箇所に、切り込みCTが設けられている。車両前方から荷重入力が加わった場合、客室下部130が下方に屈曲するのに伴って、構造変化部100Z近傍に設けられた第三の支持体240の下部座金207Lに設けられた切り込みCTにより下部座金207Lの貫通孔が拡大し、下部座金207Lが締結ボルト201Bから外れて第三の支持体240が分離する。これにより、シルSLの略中央部SLCとフレーム100の客室下部130とが分離するため、客室下部130が下方に屈曲しても、客室CBのシルSLの略中央部SLCは下方に引っ張られることがなくなり、客室CBの変形を抑制することができる。
【0073】
なお、切り込みCTの長さや数は、本実施例に示すものに限定されるものではなく、必要に応じて適宜設定することができる。
【0074】
[実施例8]
本実施例は、分離可能な構造を有する第三の支持体250のみが前述した実施形態と異なる実施例である。
【0075】
図13に、第三の支持体250の側方断面図を示す。第三の支持体250は、前述した第一の支持体210Fに対し、下部座金208Lのみが異なる構造であるため、下部座金208Lの構造と、車両前方から荷重入力が加わった場合の動作についてのみ説明を行う。
【0076】
下部座金208Lは、中心部の貫通孔の上下左右4箇所に、小孔SHが設けられている。車両前方から荷重入力が加わった場合、客室下部130が下方に屈曲するのに伴って、構造変化部100Z近傍に設けられた第三の支持体250の下部座金208Lに設けられた小孔SHにより下部座金208Lの貫通孔が拡大し、下部座金208Lが締結ボルト201Bから外れて第三の支持体250が分離する。これにより、シルSLの略中央部SLCとフレーム100の客室下部130とが分離するため、客室下部130が下方に屈曲しても、客室CBのシルSLの略中央部SLCは下方に引っ張られることがなくなり、客室CBの変形を抑制することができる。
【0077】
なお、小孔SHの位置や数は、本実施例に示すものに限定されるものではなく、必要に応じて適宜設定することができる。
【0078】
[実施例9]
本実施例は、第一の支持体310、第二の支持体320、分離可能な構造を有する第三の支持体330のみが前述した実施形態と異なる実施例であるため、第一の支持体310、第二の支持体320、分離可能な構造を有する第三の支持体330の各構造と、車両前方から荷重入力が加わった場合の動作についてのみ説明を行う。
【0079】
図14に、第一の支持体310(310F、310CBF)及び第二の支持体320(320R、320CBR)の側方断面図を示す。以下、第一の支持体310Fを例として説明を行う。
【0080】
第一の支持体310Fは、ブラケット303、上部座金305U、下部座金305L、スペーサ304、上部インシュレータISU、下部インシュレータISL、締結ボルト301B、ナット301Nを備えている。
【0081】
ブラケット303は、下方に凹んだ形状を有し、凹み部分の中央部に貫通孔を有している。
【0082】
上部インシュレータISUおよび下部インシュレータISLは、振動エネルギーを吸収するゴム等の素材でできており、中央部に貫通孔を有している。
【0083】
上部座金305Uは、皿状の部材であり、中央部に貫通孔を有している。
【0084】
下部座金305Lは、皿状の部材であり、中央部に貫通孔を有している。
【0085】
スペーサ304は、内部が空洞の円柱状の部材である。
【0086】
ブラケット303の凹み部分に、上部インシュレータISUが配設されている。また、上部インシュレータISUの貫通孔にはスペーサ304が挿入されている。スペーサ304の上部(上部インシュレータISUの上部)には、上部座金305Uが配置されて、それぞれの貫通孔が同心状に位置している。ブラケット303は、フレーム100のフロント部110上面に設けられた配置孔110Dに配置される。スペーサ304は、配置孔110Dを貫通し、フレーム100のフロント部110上面の裏面に突出する。
【0087】
フレーム100のフロント部110上面の裏面では、フレーム100のフロント部110上面の裏面に突出したスペーサ304が下部インシュレータISLの貫通孔を貫通する。スペーサ304の下部(下部インシュレータISLの下部)には、下部座金305Lが配置されて、それぞれの貫通孔が同心状に位置している。
【0088】
締結ボルト301Bは下部座金305Lの下方から、下部座金305Lの貫通孔、スペーサ304、上部座金305Uの貫通孔を貫通し、上部座金305Uの上方でナット301Nに締結されている。これにより、第一の支持体310Fがフレーム100のフロント部110上面に固定される。
【0089】
同様にして、第一の支持体310CBF、第二の支持体320R、320CBRも、それぞれフレーム100の客室下部130の車体前方側上面、フレーム100のリア部140上面、フレーム100の客室下部130の車体後方側上面に固定される。
【0090】
図15に、第三の支持体330の側方断面図を示す。第三の支持体330は、前述した第一の支持体310Fに対し、下部座金306Lのみが異なる構造であるため、下部座金306Lの構造と、車両前方から荷重入力が加わった場合の動作についてのみ説明を行う。
【0091】
下部座金306Lは、中心部の貫通孔の上下左右4箇所に、切り込みCTが設けられている。車両前方から荷重入力が加わった場合、客室下部130が下方に屈曲するのに伴って、構造変化部100Z近傍に設けられた第三の支持体330の下部座金306Lに設けられた切り込みCTにより下部座金306Lの貫通孔が拡大し、下部座金306Lが締結ボルト301Bから外れて第三の支持体330が分離する。これにより、シルSLの略中央部SLCとフレーム100の客室下部130とが分離するため、客室下部130が下方に屈曲しても、客室CBのシルSLの略中央部SLCは下方に引っ張られることがなくなり、客室CBの変形を抑制することができる。
【0092】
なお、切り込みCTの長さや数は、本実施例に示すものに限定されるものではなく、必要に応じて適宜設定することができる。
【0093】
[実施例10]
本実施例は、分離可能な構造を有する第三の支持体340のみが前述した実施例9と異なる実施例である。
【0094】
図16に、第三の支持体340の側方断面図を示す。第三の支持体340は、前述した第一の支持体310Fに対し、下部座金307Lのみが異なる構造であるため、下部座金307Lの構造と、車両前方から荷重入力が加わった場合の動作についてのみ説明を行う。
【0095】
下部座金307Lは、中心部の貫通孔の上下左右4箇所に、小孔SHが設けられている。車両前方から荷重入力が加わった場合、客室下部130が下方に屈曲するのに伴って、構造変化部100Z近傍に設けられた第三の支持体340の下部座金307Lに設けられた小孔SHにより下部座金307Lの貫通孔が拡大し、下部座金307Lが締結ボルト301Bから外れて第三の支持体340が分離する。これにより、シルSLの略中央部SLCとフレーム100の客室下部130とが分離するため、客室下部130が下方に屈曲しても、客室CBのシルSLの略中央部SLCは下方に引っ張られることがなくなり、客室CBの変形を抑制することができる。
【0096】
なお、小孔SHの位置や数は、本実施例に示すものに限定されるものではなく、必要に応じて設定することができる。
【0097】
以上のように、本発明の実施の形態の車両の客室マウント構造においては、車両の左右前後方向に延設されるフレーム100と、フレーム100の上面に配置される客室CBと、客室CBの底部FL前方でフレーム100と客室CBを固定支持する第一の支持体210と、客室CBの底部FL後方でフレーム100と客室CBを固定支持する第二の支持体220と、第一の支持体210と第二の支持体220との間に配置されフレーム100と客室CBを固定支持する第三の支持体230とを備え、第三の支持体230の破断強度が前記第一の支持体210または第二の支持体220よりも低く設定されているとともに、フレーム100における第三の支持体230の固定位置近傍に、車両前方から荷重入力が加わった際にフレーム100が下方へ屈曲する構造変化部100Zが形成されている。
【0098】
この構成によれば、フレ−ム100に設けた構造変化部100Zの前方および後方において、第一の支持体210および第二の支持体220によりフレーム100と客室CBとを締結しているので、通常の走行状態で十分な耐久力を得らることができる。また、前方から荷重入力が加わった場合には、フレーム100に設けた構造変化部100Zが下方に屈曲し、構造変化部100Z近傍に設けた第三の支持体230が破断されて分離してフレーム100と客室CBの底部FLの略中央部とが分離されるので、荷重入力によって客室CBの底部FLが変形を生じることがない。
【0099】
また、本発明の実施の形態の車両の客室マウント構造においては、第三の支持体230は、フレーム100の上面に設けられた配置孔に配置固定され、中心部に貫通孔が設けられたブラケット203と、ブラケット203の上面に配置され、中心部に貫通孔が設けられた衝撃吸収用のインシュレータISと、インシュレータISの上部に配置され、中心部に貫通孔が設けられた上部座金205Uと、インシュレータISの下部にインシュレータISと所定の空隙をもって配置され、中心部に貫通孔が設けられるとともに、インシュレータISに対向する部分に刃部SDが形成された下部座金206Lと、下部座金206Lの貫通孔とブラケット203の貫通孔とインシュレータISの貫通孔と上部座金205Uの貫通孔とを貫通し、客室CBの底部FLに締結される締結ボルト201Bと、を備え、車体前方から荷重入力が加わって車体垂直方向に引張荷重が発生した際に、下部座金206Lの刃部SDがインシュレータISを切断し、第三の支持体230が破断する構造を備えている。
【0100】
この構成によれば、車体前方から荷重入力が加わって車体垂直方向に引張荷重が発生した際に、下部座金206Lの刃部SDがインシュレータISを切断して第三の支持体230が破断して分離し、フレーム100と客室CBの底部FLの略中央部とが分離されるので、荷重入力によって客室CBの底部が変形を生じることがない。
【0101】
また、本発明の実施の形態の車両の客室マウント構造においては、第三の支持体230は、フレーム100の上面に設けられた配置孔に配置固定され、中心部に貫通孔が設けられたブラケット203と、ブラケット203の上面に配置され、中心部に貫通孔が設けられた衝撃吸収用のインシュレータISと、インシュレータISの上部に配置され、中心部に貫通孔が設けられた上部座金205Uと、インシュレータISの下部に配置され、中心部に貫通孔が設けられるとともに、貫通孔の周囲に放射状に切り込みCTが設けられた下部座金207Lと、下部座金207Lの貫通孔とブラケット203の貫通孔とインシュレータISの貫通孔と上部座金205Uの貫通孔とを貫通し、客室CBの底部FLに締結される締結ボルト201Bと、を備え、車体前方から荷重入力が加わって車体垂直方向に引張荷重が発生した際に、下部座金207Lの切り込みCTにより下部座金207Lが変形し、第三の支持体230が破断する構造を備えている。
【0102】
この構成によれば、車体前方から荷重入力が加わって車体垂直方向に引張荷重が発生した際に、下部座金207Lの切り込みCTにより下部座金207Lが変形して第三の支持体230が破断して分離し、フレーム100と客室CBの底部FLの略中央部とが分離されるので、荷重入力によって客室CBの底部が変形を生じることがない。
【0103】
また、本発明の実施の形態の車両の客室マウント構造においては、第三の支持体230は、フレーム100の上面に設けられた配置孔に配置固定され、中心部に貫通孔が設けられたブラケット203と、ブラケット203の上面に配置され、中心部に貫通孔が設けられた衝撃吸収用のインシュレータISと、インシュレータISの上部に配置され、中心部に貫通孔が設けられた上部座金205Uと、インシュレータISの下部に配置され、中心部に貫通孔が設けられるとともに、貫通孔の周囲に小孔SHが設けられた下部座金208Lと、下部座金208Lの貫通孔とブラケット203の貫通孔とインシュレータISの貫通孔と上部座金205Uの貫通孔とを貫通し、客室CBの底部FLに締結される締結ボルト201Bと、を備え、車体前方から荷重入力が加わって車体垂直方向に引張荷重が発生した際に、下部座金208Lの小孔SHにより下部座金208Lが変形し、第三の支持体230が破断する構造を備えている。
【0104】
この構成によれば、車体前方から荷重入力が加わって車体垂直方向に引張荷重が発生した際に、下部座金208Lの小孔SHにより下部座金208Lが変形して第三の支持体230が破断して分離し、フレーム100と客室CBの底部FLの略中央部とが分離されるので、荷重入力によって客室CBの底部が変形を生じることがない。
【0105】
また、本発明の実施の形態の車両の客室マウント構造においては、第三の支持体330は、フレーム100の上面に設けられた配置孔に配置され、中心部に貫通孔が設けられたブラケット303と、ブラケット303の上面に配置され、中心部に貫通孔が設けられた衝撃吸収用の上部インシュレータISUと、上部インシュレータISUの上部に配置され、中心部に貫通孔が設けられた上部座金305Uと、フレーム100の上面の裏面に配置され、中心部に貫通孔が設けられた衝撃吸収用の下部インシュレータISLと、下部インシュレータISLの下部に配置され、中心部に貫通孔が設けられるとともに、貫通孔の周囲に放射状に切り込みCTが設けられた下部座金306Lと、下部座金306Lの貫通孔と下部インシュレータISLの貫通孔とブラケット303の貫通孔と上部インシュレータISUの貫通孔と上部座金305Uの貫通孔とを貫通し、客室CBの底部FLに締結される締結ボルト301Bと、を備え、車体前方から荷重入力が加わって車体垂直方向に引張荷重が発生した際に、下部座金306Lの切り込みCTにより下部座金306Lが変形し、第三の支持体330が破断する構造を備えている。
【0106】
この構成によれば、車体前方から荷重入力が加わって車体垂直方向に引張荷重が発生した際に、下部座金306Lの切り込みCTにより下部座金306Lが変形して第三の支持体330が破断して分離し、フレーム100と客室CBの底部FLの略中央部とが分離されるので、荷重入力によって客室CBの底部が変形を生じることがない。
【0107】
また、本発明の実施の形態の車両の客室マウント構造においては、第三の支持体340は、フレーム100の上面に設けられた配置孔に配置され、中心部に貫通孔が設けられたブラケット303と、ブラケット303の上面に配置され、中心部に貫通孔が設けられた衝撃吸収用の上部インシュレータISUと、上部インシュレータISUの上部に配置され、中心部に貫通孔が設けられた上部座金305Uと、フレーム100の上面の裏面に配置され、中心部に貫通孔が設けられた衝撃吸収用の下部インシュレータISLと、下部インシュレータISLの下部に配置され、中心部に貫通孔が設けられるとともに、貫通孔の周囲に小孔SHが設けられた下部座金307Lと、下部座金307Lの貫通孔と下部インシュレータISLの貫通孔とブラケット303の貫通孔と上部インシュレータISUの貫通孔と上部座金305Uの貫通孔とを貫通し、客室CBの底部FLに締結される締結ボルト301Bと、を備え、車体前方から荷重入力が加わって車体垂直方向に引張荷重が発生した際に、下部座金307Lの小孔SHにより下部座金307Lが変形し、第三の支持体340が破断する構造を備えている。
【0108】
この構成によれば、車体前方から荷重入力が加わって車体垂直方向に引張荷重が発生した際に、下部座金307Lの小孔SHにより下部座金307Lが変形して第三の支持体340が破断して分離し、フレーム100と客室CBの底部FLの略中央部とが分離されるので、荷重入力によって客室CBの底部が変形を生じることがない。
【0109】
また、本発明の実施の形態の車両の客室マウント構造においては、構造変化部100Zでは、第三の支持体230の固定位置前方と後方とでフレーム100の板厚と材料の少なくとも一方が異なる構造を備えている。
【0110】
この構成によれば、構造変化部100Zの強度が周囲の強度より低下して、車体前方から荷重入力が加わった際に、構造変化部100Zは確実に屈曲する。
【0111】
また、本発明の実施の形態の車両の客室マウント構造においては、構造変化部101Zでは、フレーム100の車幅方向における垂直方向の断面積SZが、構造変化部101Z前方および構造変化部101Z後方におけるフレーム100の車幅方向における垂直方向の断面積SF、SRより小さい構造を備えている。
【0112】
この構成によれば、構造変化部101Zの強度が周囲の強度より低下して、車体前方から荷重入力が加わった際に、構造変化部101Zは確実に屈曲する。
【0113】
また、本発明の実施の形態の車両の客室マウント構造においては、構造変化部102Zでは、フレーム100周囲にビードBDが設けられた構造を備えている。
【0114】
この構成によれば、構造変化部102Zの強度が周囲の強度より低下して、車体前方から荷重入力が加わった際に、構造変化部102Zは確実に屈曲する。
【0115】
また、本発明の実施の形態の車両の客室マウント構造においては、構造変化部103Zでは、フレーム100周囲に孔HLが設けられた構造を備えている。
【0116】
この構成によれば、構造変化部103Zの強度が周囲の強度より低下して、車体前方から荷重入力が加わった際に、構造変化部103Zは確実に屈曲する。
【0117】
また、本発明の実施の形態の車両の客室マウント構造においては、構造変化部104Zでは、第三の支持体230の固定位置前方と後方とでフレーム100の板厚と材料の少なくとも一方が異なるとともに、連結部材132によりフレーム100の上面においてフレーム100の前後方向に外力が加えられている構造を備えている。
【0118】
この構成によれば、構造変化部104Zの強度が周囲の強度より低下して、車体前方から荷重入力が加わった際に、構造変化部104Zは確実に屈曲する。
【0119】
また、本発明の実施の形態の車両の客室マウント構造においては、構造変化部105Zでは、熱処理がおこなわれた構造を備えている。
【0120】
この構成によれば、構造変化部105Zの強度が周囲の強度より低下して、車体前方から荷重入力が加わった際に、構造変化部105Zは確実に屈曲する。
【0121】
また、本発明の実施の形態の車両の客室マウント構造においては、第三の支持体230、240、250、330、340の破断強度は、客室CBの底部FLを変形させる強度よりも十分小さく設定された構造を備えている。
【0122】
この構成によれば、車体前方から荷重入力が加わった際に、第三の支持体230、240、250、330、340は確実に破断し、客室CBの底部FLの変形が抑制される。
【0123】
さらに、本発明の実施の形態の車両の客室マウント構造においては、第一の支持体210、310、第二の支持体220、320、第三の支持体230、240、250、330、340は、客室CBの底部FLにフレーム100の延設方向に設けられたシルSLに固定された構造を備えている。
【0124】
この構成によれば、フレーム100と客室CBの底部FLとが、第一の支持体210、310、第二の支持体220、320、第三の支持体230、240、250、330、340により、簡単且つ確実に固定される。
【0125】
なお、本発明の実施の形態の車両の客室マウント構造においては、第三の支持体230、240、250、330、340は、特許文献1に記載の支持体で必要となる挿入体という新たな部品を必要としないため、部品点数が増加してコストや重量の増加につながる、という問題がない。
【0126】
以上、本発明の実施例を図面により詳述したが、実施例は本発明の例示にしか過ぎず、本発明は実施例の構成にのみ限定されるものではない。したがって本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれることはもちろんである。
【0127】
例えば、第一の支持体210、310、第二の支持体220、320、第三の支持体230、240、250、330、340のフレーム100への取り付け方法は一例であり、本実施形態および実施例に示すものに限定されるものではない。
【0128】
また、第一の支持体210、310、第二の支持体220、320、第三の支持体230、240、250、330、340のフレーム100における取り付け位置は一例であり、本発明の効果が得られる場所に適宜設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0129】
【図1】本発明の実施形態の構成図である。
【図2】本発明の実施形態における第一の支持体および第二の支持体の側方の断面図である。
【図3】本発明の実施形態における第一の支持体、第二の支持体、第三の支持体のフレームへの固定方法の説明図である。
【図4】本発明の実施形態における分離可能な構造を有する第三の支持体の側方の断面図である。
【図5】本発明の実施形態における構造変化部の構成図である。
【図6】本発明の実施形態における動作説明図である。
【図7】本発明の実施例2における構造変化部の他の構成図である。
【図8】本発明の実施例3における構造変化部の他の構成図である。
【図9】本発明の実施例4における構造変化部の他の構成図である。
【図10】本発明の実施例5における構造変化部の他の構成図である。
【図11】本発明の実施例6における構造変化部の他の構成図である。
【図12】本発明の実施例7における分離可能な構造を有する第三の支持体の側方の断面図である。
【図13】本発明の実施例8における分離可能な構造を有する第三の支持体の側方の断面図である。
【図14】本発明の実施例9における第一の支持体および第二の支持体の側方の断面図である。
【図15】本発明の実施例9における分離可能な構造を有する第三の支持体の側方の断面図である。
【図16】本発明の実施例10における分離可能な構造を有する第三の支持体の側方の断面図である。
【符号の説明】
【0130】
100 フレーム
110 フロント部
110D 配置孔
110H 取り付け孔
120F フロントキックアップ部
120R リアキックアップ部
130 客室下部
140 リア部
210、210F、210CBF 第一の支持体
220、220R、220CBR 第二の支持体
230、240、250 第三の支持体
201B 締結ボルト
201N ナット
202B 固定ボルト
202N ナット
203 ブラケット
204 スペーサ
205U 上部座金
205L、206L、207L、208L 下部座金
310、310F、310CBF 第一の支持体
320、320R、320CBR 第二の支持体
330、340 第三の支持体
301B 締結ボルト
301N ナット
302B 固定ボルト
302N ナット
303 ブラケット
304 スペーサ
305U 上部座金
305L、306L、307L 下部座金
IS インシュレータ
ISU 上部インシュレータ
ISL 下部インシュレータ
ER エンジンルーム
CB 客室
FL 底部
TR トランクルーム
SL シル
CT 切り込み
SH 小孔
HL 孔
BD ビード


【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の左右前後方向に延設されるフレームと、
前記フレームの上面に配置される客室と、
前記客室の底部前方で前記フレームと前記客室を固定支持する第一の支持体と、
前記客室の底部後方で前記フレームと前記客室を固定支持する第二の支持体と、
前記第一の支持体と前記第二の支持体との間に配置され前記フレームと前記客室を固定支持する第三の支持体と、
を備えた車両の客室マウント構造であって、
前記第三の支持体の破断強度が前記第一の支持体または第二の支持体よりも低く設定されているとともに、
前記フレームにおける前記第三の支持体の固定位置近傍に、車両前方から荷重入力が加わった際にフレームが下方へ屈曲する構造変化部が形成されていることを特徴とする車両の客室マウント構造。
【請求項2】
前記第三の支持体は、
前記フレームの上面に設けられた配置孔に配置固定され、中心部に貫通孔が設けられたブラケットと、
前記ブラケットの上面に配置され、中心部に貫通孔が設けられた衝撃吸収用のインシュレータと、
前記インシュレータの上部に配置され、中心部に貫通孔が設けられた上部座金と、
前記インシュレータの下部に前記インシュレータと所定の空隙をもって配置され、中心部に貫通孔が設けられるとともに、前記インシュレータに対向する部分に刃部が形成された下部座金と、
前記下部座金の前記貫通孔と前記ブラケットの前記貫通孔と前記インシュレータの前記貫通孔と前記上部座金の前記貫通孔とを貫通し、前記客室の前記底部に締結されるボルトと、を備え、
前記車体前方から荷重入力が加わって車体垂直方向に引張荷重が発生した際に、前記下部座金の前記刃部が前記インシュレータを切断し、前記第三の支持体が破断すること、を特徴とする請求項1に記載の車体の客室マウント構造。
【請求項3】
前記第三の支持体は、
前記フレームの上面に設けられた配置孔に配置固定され、中心部に貫通孔が設けられたブラケットと、
前記ブラケットの上面に配置され、中心部に貫通孔が設けられた衝撃吸収用のインシュレータと、
前記インシュレータの上部に配置され、中心部に貫通孔が設けられた上部座金と、
前記インシュレータの下部に配置され、中心部に貫通孔が設けられるとともに、該貫通孔の周囲に放射状に切り込みが設けられた下部座金と、
前記下部座金の前記貫通孔と前記ブラケットの前記貫通孔と前記インシュレータの前記貫通孔と前記上部座金の前記貫通孔とを貫通し、前記客室の前記底部に締結されるボルトと、
を備え、
前記車体前方から荷重入力が加わって車体垂直方向に引張荷重が発生した際に、前記下部座金の前記切り込みにより前記下部座金が変形し、前記第三の支持体が破断すること、を特徴とする請求項1に記載の車体の客室マウント構造。
【請求項4】
前記第三の支持体は、
前記フレームの上面に設けられた配置孔に配置固定され、中心部に貫通孔が設けられたブラケットと、
前記ブラケットの上面に配置され、中心部に貫通孔が設けられた衝撃吸収用のインシュレータと、
前記インシュレータの上部に配置され、中心部に貫通孔が設けられた上部座金と、
前記インシュレータの下部に配置され、中心部に貫通孔が設けられるとともに、該貫通孔の周囲に小孔が設けられた下部座金と、
前記下部座金の前記貫通孔と前記ブラケットの前記貫通孔と前記インシュレータの前記貫通孔と前記上部座金の前記貫通孔とを貫通し、前記客室の前記底部に締結されるボルトと、
を備え、
前記車体前方から荷重入力が加わって車体垂直方向に引張荷重が発生した際に、前記下部座金の前記小孔により前記下部座金が変形し、前記第三の支持体が破断すること、を特徴とする請求項1に記載の車体の客室マウント構造。
【請求項5】
前記第三の支持体は、
前記フレームの上面に設けられた配置孔に配置され、中心部に貫通孔が設けられたブラケットと、
前記ブラケットの上面に配置され、中心部に貫通孔が設けられた衝撃吸収用の上部インシュレータと、
前記上部インシュレータの上部に配置され、中心部に貫通孔が設けられた上部座金と、
前記フレームの上面の裏面に配置され、中心部に貫通孔が設けられた衝撃吸収用の下部インシュレータと、
前記下部インシュレータの下部に配置され、中心部に貫通孔が設けられるとともに、該貫通孔の周囲に放射状に切り込みが設けられた下部座金と、
前記下部座金の前記貫通孔と前記下部インシュレータの前記貫通孔と前記ブラケットの前記貫通孔と前記上部インシュレータの前記貫通孔と前記上部座金の前記貫通孔とを貫通し、前記客室の前記底部に締結されるボルトと、
を備え、
前記車体前方から荷重入力が加わって車体垂直方向に引張荷重が発生した際に、前記下部座金の前記切り込みにより前記下部座金が変形し、前記第三の支持体が破断すること、を特徴とする請求項1に記載の車体の客室マウント構造。
【請求項6】
前記第三の支持体は、
前記フレームの上面に設けられた配置孔に配置され、中心部に貫通孔が設けられたブラケットと、
前記ブラケットの上面に配置され、中心部に貫通孔が設けられた衝撃吸収用の上部インシュレータと、
前記上部インシュレータの上部に配置され、中心部に貫通孔が設けられた上部座金と、
前記フレームの上面の裏面に配置され、中心部に貫通孔が設けられた衝撃吸収用の下部インシュレータと、
前記下部インシュレータの下部に配置され、中心部に貫通孔が設けられるとともに、該貫通孔の周囲に小孔が設けられた下部座金と、
前記下部座金の前記貫通孔と前記下部インシュレータの前記貫通孔と前記ブラケットの前記貫通孔と前記上部インシュレータの前記貫通孔と前記上部座金の前記貫通孔とを貫通し、前記客室の前記底部に締結されるボルトと、
を備え、
前記車体前方から荷重入力が加わって車体垂直方向に引張荷重が発生した際に、前記下部座金の前記小孔により前記下部座金が変形し、前記第三の支持体が破断すること、を特徴とする請求項1に記載の車体の客室マウント構造。
【請求項7】
前記構造変化部では、前記第三の支持体の固定位置前方と後方とで前記フレームの板厚と材料の少なくとも一方が異なることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の車体の客室マウント構造。
【請求項8】
前記構造変化部では、前記フレームの車幅方向における垂直方向の断面積が、前記構造変化部前方および前記構造変化部後方における前記フレームの車幅方向における垂直方向の断面積より小さいことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の車体の客室マウント構造。
【請求項9】
前記構造変化部では、前記フレーム周囲にビードが設けられていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の車体の客室マウント構造。
【請求項10】
前記構造変化部では、前記フレーム周囲に孔が設けられていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の車体の客室マウント構造。
【請求項11】
前記構造変化部では、前記第三の支持体の固定位置前方と後方とで前記フレームの板厚と材料の少なくとも一方が異なるとともに、連結部材により前記フレームの上面において前記フレームの前後方向に外力が加えられていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の車体の客室マウント構造。
【請求項12】
前記構造変化部では、熱処理がおこなわれていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の車体の客室マウント構造。
【請求項13】
前記第三の支持体の前記破断強度は、前記客室の前記底部を変形させる強度よりも十分小さく設定されていることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の車体の客室マウント構造。
【請求項14】
前記第一の支持体、前記第二の支持体、前記第三の支持体は、前記客室の前記底部に前記フレームの延設方向に設けられたシルに固定されていることを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載の車体の客室マウント構造。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2009−35231(P2009−35231A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−203482(P2007−203482)
【出願日】平成19年8月3日(2007.8.3)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】