説明

車体前部構造

【課題】フロントサイドフレームを良好に変形させて衝撃を一層好適に吸収することができる車体前部構造を提供する。
【解決手段】車体前部構造10は、右ホイールハウス16およびダッシュボードロア18の結合部46が凹状に形成され、凹状に形成された結合部46の開口部46aを閉塞するように後連結部36が設けられている。後連結部36および結合部46で、右フロントサイドフレーム12および右アッパメンバー14に渡って閉断面状の後骨格部22が形成されている。後連結部36は、後フレーム側部位51と後メンバー側部位52との2部材に分割されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フロントサイドフレームの外側上方にアッパメンバーが設けられ、フロントサイドフレームおよびアッパメンバーがダッシュボードロアに結合された車体前部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車体前部構造として、フロントサイドフレームとアッパメンバーとを連結部材で連結し、連結部材の鉛直部およびフロントサイドフレームの鉛直壁に支持ブラケットをボルト止めし、支持ブラケットでエンジン/トランスミッションユニットを支持するものが知られている。
この車体前部構造によれば、連結部材を設けることで車体前部構造の強度を高めることができる(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2005−112175号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、車体前部構造のフロントサイドフレームは、車体前方から衝撃が作用した際に変形することで衝撃を吸収するように構成されている。
このフロントサイドフレームの後端部はアウトリガーで支持されている。アウトリガーはフロントサイドフレームの後端部から車体後方に向けて下り勾配で延出されている。
【0004】
このため、フロントサイドフレームの前端部に衝撃が作用した際に、アウトリガーの上端部に荷重が作用し、アウトリガーが車体後方に傾く虞がある。
アウトリガーが車体後方に傾くため、フロントサイドフレームの後端部が上方に持ち上がってしまうことが考えられる。
【0005】
この現象は、フロントサイドフレームの後端部とホイールハウスとの間の間隔が大きいと発生する可能性が高い。
このように、フロントサイドフレームの後端部が上方に持ち上がってしまうために、フロントサイドフレームを良好に変形させて衝撃を一層好適に吸収させることが難しい。
【0006】
本発明は、フロントサイドフレームを良好に変形させて衝撃を一層好適に吸収することができる車体前部構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、車体前後方向を向いてフロントサイドフレームが延出されるとともに、前記フロントサイドフレームの外側上方にアッパメンバーが設けられ、前記フロントサイドフレームおよび前記アッパメンバーがダッシュボードロアにそれぞれ結合され、前記フロントサイドフレームおよび前記アッパメンバー間にホイールハウスが設けられ、前記ホイールハウスが前記ダッシュボードロアに結合され、前記ホイールハウスおよび前記ダッシュボードロアの結合部が凹状に形成された車体前部構造において、前記凹状に形成された結合部の開口部を閉塞するように後連結部が設けられ、前記後連結部および前記凹状に形成された結合部で、前記フロントサイドフレームおよび前記アッパメンバーに渡って閉断面状の後骨格部が形成され、前記後連結部が、前記フロントサイドフレーム側の後部位と、前記アッパメンバー側の後部位との2部材に分割されたことを特徴とする。
【0008】
請求項2は、前記ホイールハウスの前部に、前記アッパメンバーおよび前記フロントサイドフレームに渡って凹部が形成され、前記凹部の開口部を閉塞するように前連結部が設けられ、前記前連結部および前記凹部で、前記フロントサイドフレームおよび前記アッパメンバーに渡って閉断面状の前骨格部が形成され、前記前連結部が、前記フロントサイドフレーム側の前部位と、前記アッパメンバー側の前部位との2部材に分割されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に係る発明では、ホイールハウスをダッシュボードロアに結合して凹状の結合部を形成した。そして、凹状に形成された結合部の開口部を後連結部で閉塞して、後連結部および凹状に形成された結合部で閉断面状の後骨格部を形成した。この後骨格部をフロントサイドフレームおよびアッパメンバーに渡って設けた。
【0010】
よって、フロントサイドフレームの前端部に、車体前方から衝撃が作用した際に、フロントサイドフレームの後端部が上方に持ち上がることを後骨格部で防ぐことができる。
このように、フロントサイドフレームの後端部が上方に持ち上がることを防ぐことで、フロントサイドフレームを良好に変形させて衝撃を一層好適に吸収させることができる。
【0011】
さらに、後連結部を、フロントサイドフレーム側の後部位と、アッパメンバー側の後部位との2部材に分割した。
よって、フロントサイドフレームにフロントサイドフレーム側の後部位を予め組み付けておき、アッパメンバーにアッパメンバー側の後部位を予め組み付けておくことが可能になる。
これにより、後連結部の各部材をそれぞれ個別に搬送する必要がないので、組立ラインにおける部品の取り扱いが容易になり、組立工程の簡素化を図ることができる。
【0012】
請求項2に係る発明では、ホイールハウスの前部に凹部を形成し、凹部の開口部を前連結部で閉塞することで閉断面状の前骨格部を形成した。そして、前骨格部をフロントサイドフレームおよびアッパメンバーに渡って設けた。
これにより、凹部の変形を防止でき、車体前部構造の剛性を高めることができる。
【0013】
さらに、前連結部を、フロントサイドフレーム側の前部位と、アッパメンバー側の前部位との2部材に分割した。
よって、フロントサイドフレームにフロントサイドフレーム側の前部位を予め組み付けておき、アッパメンバーにアッパメンバー側の前部位を予め組み付けておくことが可能になる。
これにより、前連結部の各部材をそれぞれ個別に搬送する必要がないので、組立ラインにおける部品の取り扱いが容易になり、組立工程の簡素化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明を実施するための最良の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、「前」、「後」、「左」、「右」は作業者から見た方向にしたがい、前側をFr、後側をRr、左側をL、右側をRとして示す。
【0015】
図1は本発明に係る車体前部構造を示す斜視図である。
車体前部構造10は、車体前部の右側に車体前後方向を向いて設けられた右フロントサイドフレーム(フロントサイドフレーム)12と、右フロントサイドフレーム12の外側上方に設けられた右アッパメンバー(アッパメンバー)14と、右フロントサイドフレーム12および右アッパメンバー14間に設けられた右ホイールハウス(ホイールハウス)16と、右フロントサイドフレーム12、右アッパメンバー14および右ホイールハウス16の各後端部12a,14a,28a(後端部28aは図3参照)が結合されたダッシュボードロア18と、右フロントサイドフレーム12および右アッパメンバー14に架け渡された前骨格部20および後骨格部22とを備える。
【0016】
右フロントサイドフレーム12は、車体前部の右側に配置され、車体前後方向に延びるフレーム部材である。
右フロントサイドフレーム12の後端部12aは右アウトリガー24(詳しくは、上端部24a)で支持されている。右アウトリガー24は右フロントサイドフレーム12の後端部12aから車体後方に向けて下り勾配で延出されている。
【0017】
右アッパメンバー14は、右フロントサイドフレーム12の上方で、かつ、右フロントサイドフレーム12の外側に設けられた部材である。
右フロントサイドフレーム12および右アッパメンバー14でエンジンルーム25の骨格が形成されている。
【0018】
右ホイールハウス16は、右サスペンション(図示せず)を支持する頂部26と、頂部26の前辺に設けられた前壁27と、頂部26の後辺に設けられた後壁28(図4参照)と、頂部26の側辺に設けられた側壁29とを有する。
前記右サスペンションは右前輪(図示せず)を支持するものである。
この右ホイールハウス16は、右フロントサイドフレーム12および右アッパメンバー14に渡って設けられている。
【0019】
ダッシュボードロア18は、左右のピラー31(左ピラーは図示せず)に渡って設けられ、エンジンルーム25と車室33とを仕切る部材である。
ダッシュボードロア18の右端部18aに、右フロントサイドフレーム12の後端部12aや、右アッパメンバー14の後端部14aがスポット溶接されている。
さらに、ダッシュボードロア18の右端部18aに、右ホイールハウス16の後端部、すなわち右ホイールハウス16の後壁28の後端部28a(図3、図4参照)がスポット溶接されている。
【0020】
なお、車体前部構造10は略左右対称な構造なので、以下、車体前部構造10の右側部材のみについて説明して左側部材の説明を省略する。
【0021】
つぎに、前骨格部20を図2〜図4に基づいて説明する。
図2は本発明に係る車体前部構造の前骨格部および後骨格部を示す斜視図、図3は図2の3−3線断面図である。
前骨格部20は、右ホイールハウス16の前壁(ホイールハウスの前部)27と、前連結部35とで閉断面状に形成されている。
図3に示すように、右ホイールハウス16の前壁27は、鉛直壁38および傾斜壁39で断面略く字状に折り曲げられている。
これにより、右ホイールハウス16の前壁27に凹部41が形成されている。この凹部41は、右アッパメンバー14および右フロントサイドフレーム12に渡って形成されている。
【0022】
凹部41の開口部41aを閉塞するように、前連結部35が右アッパメンバー14および右フロントサイドフレーム12に渡って設けられている。
これにより、前連結部35および凹部41で閉断面状の前骨格部20が形成されている。すなわち、閉断面状の前骨格部20は、右フロントサイドフレーム12および右アッパメンバー14に渡って形成されている。
【0023】
前連結部35は、前フレーム側部位(右フロントサイドフレーム12側の前部位)43と、前メンバー側部位(右アッパメンバー14側の前部位)44との2部材に分割されている。
前連結部35を前フレーム側部位43および前メンバー側部位44に2分割した理由については後述する。
【0024】
図4は本発明に係る車体前部構造の前骨格部および後骨格部を示す分解斜視図である。
前フレーム側部位43は、右フロントサイドフレーム12から前壁27の略中央27aまで上り勾配で延出された部材である。
この前フレーム側部位43は、下端部43aが右フロントサイドフレーム12の上壁12bおよび内壁12cにスポット溶接されている。
具体的には、前フレーム側部位43の下端部43aは、右フロントサイドフレーム12のうち、略中央の上壁12bおよび内壁12cにスポット溶接されている。
【0025】
さらに、前フレーム側部位43は、前側辺43bが傾斜壁39にスポット溶接され、後側辺43cが鉛直壁38にスポット溶接されている。
前フレーム側部位43、傾斜壁39および鉛直壁38で断面略三角形の閉断面が形成されている。
【0026】
前メンバー側部位44は、右アッパメンバー14から前壁27の略中央27aまで下り勾配で延出された部材である。
この前メンバー側部位44は、上端部44aが右アッパメンバー14の内壁14bにスポット溶接されている。
具体的には、前メンバー側部位44の上端部44aは、右アッパメンバー14のうち、略中央の内壁14bにスポット溶接されている。
【0027】
さらに、前メンバー側部位44は、前側辺44bが傾斜壁39にスポット溶接され、後側辺44cが鉛直壁38にスポット溶接され、下端部44dが前フレーム側部位43の上端部43dにスポット溶接されている。
前メンバー側部位44、傾斜壁39および鉛直壁38で断面略三角形の閉断面が形成されている。
【0028】
このように、前フレーム側部位43、傾斜壁39および鉛直壁38で断面略三角形の閉断面が形成され、前メンバー側部位44、傾斜壁39および鉛直壁38で断面略三角形の閉断面が形成されることで、右フロントサイドフレーム12および右アッパメンバー14に渡って前骨格部20が設けられている。
これにより、鉛直壁38および傾斜壁39で形成された凹部41(図3参照)の変形を防止でき、図1に示す車体前部構造10の剛性を高めることができる。
【0029】
ついで、後骨格部22を図2〜図4に基づいて説明する。
図2、図3に戻って、右ホイールハウス16の後壁28の後端部28a(図3参照)がダッシュボードロア18の右端部18aに結合されることで、後壁28の後端部28aおよびダッシュボードロア18の右端部18aによる結合部46が断面略V字形の凹状に形成されている(図3参照)。
凹状に形成された結合部46は、右アッパメンバー14および右フロントサイドフレーム12に渡って形成されている。
【0030】
後骨格部22は、凹状に形成された結合部46と、後連結部36とで閉断面状に形成されている。
具体的には、後骨格部22は、凹状に形成された結合部46の開口部46aを閉塞するように、後連結部36が右アッパメンバー14の後端部14a(図1参照)および右フロントサイドフレーム12の後端部12aに渡って設けられている。
これにより、後連結部36および凹状に形成された結合部46で閉断面状の後骨格部22が形成されている。閉断面状の後骨格部22は、右フロントサイドフレーム12および右アッパメンバー14に渡って形成されている。
【0031】
後連結部36は、後フレーム側部位(右フロントサイドフレーム12側の後部位)51と、後メンバー側部位(右アッパメンバー14側の後部位)52との2部材に分割されている。
後連結部36を後フレーム側部位51および後メンバー側部位52に2分割した理由については後述する。
【0032】
図4に戻って、後フレーム側部位51は、右フロントサイドフレーム12から後壁28の略中央28bまで上り勾配で延出された部材である。
この後フレーム側部位51は、下端部51aが右フロントサイドフレーム12の上壁12bにスポット溶接されている。
具体的には、後フレーム側部位51の下端部51aは、右フロントサイドフレーム12のうち、後端部12aの上壁12bにスポット溶接されている。
【0033】
さらに、後フレーム側部位51は、前側辺51bが後壁28にスポット溶接され、後側辺51cがダッシュボードロア18の右端部18aにスポット溶接されている。
後壁28は、車体後方に向けて下り勾配になるように傾斜状に形成されている(図3も参照)。
後フレーム側部位51および凹状に形成された結合部46で断面略三角形の閉断面が形成されている。
【0034】
後メンバー側部位52は、右アッパメンバー14から後壁28の略中央28bまで下り勾配で延出された部材である。
この後メンバー側部位52は、上端部52aが右アッパメンバー14の上辺(図示せず)にスポット溶接されている。
具体的には、後メンバー側部位52の上端部52aは、右アッパメンバー14のうち、後端部14aの上辺にスポット溶接されている。
【0035】
さらに、後メンバー側部位52は、前側辺52bが後壁28にスポット溶接され、後側辺52cがダッシュボードロア18の右端部18aにスポット溶接され、下端部52dが後フレーム側部位51の上端部51dにスポット溶接されている。
後メンバー側部位52および凹状に形成された結合部46で断面略三角形の閉断面が形成されている。
【0036】
このように、後フレーム側部位51および結合部46で断面略三角形の閉断面が形成され、後メンバー側部位52および結合部46で断面略三角形の閉断面が形成されることで、右フロントサイドフレーム12および右アッパメンバー14に渡って後骨格部22が設けられている。
【0037】
この後骨格部22は、右フロントサイドフレーム12の後端部12aに設けられている。よって、右フロントサイドフレーム12の前端部に、車体前方から衝撃が作用した際に、右フロントサイドフレーム12の後端部12aが上方に持ち上がることを後骨格部22で防ぐことができる。
【0038】
ここで、右フロントサイドフレーム12の後端部12aは右アウトリガー24(詳しくは、上端部24a)で支持されている。右アウトリガー24は右フロントサイドフレーム12の後端部12aから車体後方に向けて下り勾配で延出されている。
このため、右フロントサイドフレーム12の前端部に、車体前方から衝撃が作用した際に、右フロントサイドフレーム12の後端部12aが上方に持ち上がろうとする。
よって、後骨格部22を右フロントサイドフレーム12の後端部12bに設けることで、右フロントサイドフレーム12の後端部12aが上方に持ち上がろうとすることを効率よく抑えることができる。
【0039】
つぎに、車体前部構造10を組み付ける工程を図5〜図6に基づいて説明する。
図5(a),(b)は本発明に係る右フロントサイドフレームおよび右アッパーメンバーを組み付ける例を説明する図である。
(a)において、まず、右フロントサイドフレーム12に前フレーム側部位43および後フレーム側部位51をスポット溶接する。
一方、右アッパメンバー14に右ホイールハウス16をスポット溶接する。そして、右アッパメンバー14および右ホイールハウス16に前メンバー側部位44をスポット溶接するとともに、後メンバー側部位52をスポット溶接する。
【0040】
右フロントサイドフレーム12に右アッパメンバー14および右ホイールハウス16を矢印Aの如くスポット溶接する。
同時に、前フレーム側部位43の上端部43dおよび前メンバー側部位44の下端部44dを矢印Bの如く重ね合わせる。
さらに、後フレーム側部位51の上端部51dおよび後メンバー側部位52の下端部52dを矢印Cの如く重ね合わせる。
【0041】
(b)において、前フレーム側部位43の上端部43dおよび前メンバー側部位44の下端部44dをスポット溶接する。
よって、右フロントサイドフレーム12および右アッパメンバー14に閉断面状の前骨格部20を架け渡すことができる。
また、後フレーム側部位51の上端部51dおよび後メンバー側部位52の下端部52dをスポット溶接する。
【0042】
図6(a),(b)は本発明に係る右フロントサイドフレーム、右アッパーメンバーおよび右ホイールハウスにダッシュボードロアを組み付ける例を説明する図である。
(a)において、右フロントサイドフレーム12の後端部12aにダッシュボードロア18の右端部18aを矢印Dの如くスポット溶接する。同様に、右アッパメンバー14の後端部14a(図1参照)にダッシュボードロア18の右端部18aを矢印Dの如くスポット溶接する。
【0043】
また、右ホイールハウス16の後壁28の後端部28a(図3、図4参照)にダッシュボードロア18の右端部18aを矢印Dの如くスポット溶接する。
この状態において、後フレーム側部位51の後側辺51cおよび後メンバー側部位52の後側辺52cにダッシュボードロア18の右端部18aが重ね合わされる。
【0044】
(b)において、重ね合わされた後フレーム側部位51の後側辺51cおよびダッシュボードロア18の右端部18aをスポット溶接する。
同様に、重ね合わされた後メンバー側部位52の後側辺52cおよびダッシュボードロア18の右端部18aをスポット溶接する。
よって、右フロントサイドフレーム12および右アッパメンバー14に閉断面状の後骨格部22を架け渡すことができる。
これにより、車体前部構造の組み付ける工程が完了する。
【0045】
図5、図6で説明したように、前連結部35を前フレーム側部位43と前メンバー側部位44との2部材に分割した。
よって、右フロントサイドフレーム12に前フレーム側部位43を予め組み付けるとともに、右アッパメンバー14に前メンバー側部位44を予め組み付けておくことができる。
【0046】
また、後連結部36を後フレーム側部位51と後メンバー側部位52との2部材に分割した。
よって、右フロントサイドフレーム12に後フレーム側部位51を予め組み付けるとともに、右アッパメンバー14に後メンバー側部位52を予め組み付けておくことができる。
【0047】
これにより、前連結部35の前フレーム側部位43や前メンバー側部位44、および後連結部36の後フレーム側部位51や後メンバー側部位52をそれぞれ個別に搬送する必要がない。
したがって、組立ラインにおける部品の取り扱いが容易になり、組立工程の簡素化を図ることができる。
【0048】
つぎに、車体前部構造10の右フロントサイドフレームに衝撃が作用した例を図7に基づいて説明する。
図7は本発明に係る車体前部構造の右フロントサイドフレームに衝撃が作用した例を説明する図である。
右フロントサイドフレーム12の前端部12dに、車体前方から衝撃Fが作用する。衝撃Fは右フロントサイドフレーム12の後端部12aを経て右アウトリガー24の上端部24aに伝わる。
伝わった荷重Fは右アウトリガー24を車体後方に傾かせるように働く。すなわち、荷重Fは右フロントサイドフレーム12を上方に持ち上げるように働く。
【0049】
ここで、右フロントサイドフレーム12および右アッパメンバー14には、閉断面状の前骨格部20および閉断面状の後骨格部22が架け渡されている。
よって、右フロントサイドフレーム12が上方に持ち上がることを後骨格部22で抑えることができる。
特に、後骨格部22は右フロントサイドフレーム12の後端部12aが上方に持ち上がることを効率よく抑えることができる。
【0050】
これにより、右フロントサイドフレーム12の前端部12dに衝撃Fが作用した場合に、右フロントサイドフレーム12を良好に変形させることができる。
右フロントサイドフレーム12を良好に変形させることで、右フロントサイドフレーム12で衝撃Fを好適に吸収することができる。
【0051】
なお、前記実施の形態では、前骨格部20および後骨格部22の両方を備えた例について説明したが、これに限らないで、後骨格部22のみを備えるだけでも同様の効果を得ることができる。
【0052】
また、前記実施の形態では、後骨格部22を右フロントサイドフレーム12の後端部12aに設けた例について説明したが、後骨格部22を設ける部位は任意に変更が可能である。
例えば、右ホイールハウス16およびダッシュボードロア18間の距離が本実施の形態と比較して大きな場合には、後骨格部22を右フロントサイドフレーム12の後端部12aより車体前方側に設けることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明の車体前部構造は、フロントサイドフレームおよびアッパメンバーがダッシュボードロアに結合された自動車への適用に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明に係る車体前部構造を示す斜視図である。
【図2】本発明に係る車体前部構造の前骨格部および後骨格部を示す斜視図である。
【図3】図2の3−3線断面図である。
【図4】本発明に係る車体前部構造の前骨格部および後骨格部を示す分解斜視図である。
【図5】本発明に係る右フロントサイドフレームおよび右アッパーメンバーを組み付ける例を説明する図である。
【図6】本発明に係る右フロントサイドフレーム、右アッパーメンバーおよび右ホイールハウスにダッシュボードロアを組み付ける例を説明する図である。
【図7】本発明に係る車体前部構造の右フロントサイドフレームに衝撃が作用した例を説明する図である。
【符号の説明】
【0055】
10…車体前部構造、12…右フロントサイドフレーム(フロントサイドフレーム)、14…右アッパメンバー(アッパメンバー)、16…右ホイールハウス(ホイールハウス)、18…ダッシュボードロア、20…前骨格部、22…後骨格部、27…前壁(ホイールハウスの前部)、35…前連結部、36…後連結部、41…凹部、41a…凹部の開口部、43…前フレーム側部位(右フロントサイドフレーム側の前部位)、44…前メンバー側部位(右アッパメンバー側の前部位)、46…結合部、46a…結合部の開口部、51…後フレーム側部位(右フロントサイドフレーム側の後部位)、52…後メンバー側部位(右アッパメンバー側の後部位)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体前後方向を向いてフロントサイドフレームが延出されるとともに、前記フロントサイドフレームの外側上方にアッパメンバーが設けられ、前記フロントサイドフレームおよび前記アッパメンバーがダッシュボードロアにそれぞれ結合され、前記フロントサイドフレームおよび前記アッパメンバー間にホイールハウスが設けられ、前記ホイールハウスが前記ダッシュボードロアに結合され、前記ホイールハウスおよび前記ダッシュボードロアの結合部が凹状に形成された車体前部構造において、
前記凹状に形成された結合部の開口部を閉塞するように後連結部が設けられ、
前記後連結部および前記凹状に形成された結合部で、前記フロントサイドフレームおよび前記アッパメンバーに渡って閉断面状の後骨格部が形成され、
前記後連結部が、前記フロントサイドフレーム側の後部位と、前記アッパメンバー側の後部位との2部材に分割されたことを特徴とする車体前部構造。
【請求項2】
前記ホイールハウスの前部に、前記アッパメンバーおよび前記フロントサイドフレームに渡って凹部が形成され、
前記凹部の開口部を閉塞するように前連結部が設けられ、
前記前連結部および前記凹部で、前記フロントサイドフレームおよび前記アッパメンバーに渡って閉断面状の前骨格部が形成され、
前記前連結部が、前記フロントサイドフレーム側の前部位と、前記アッパメンバー側の前部位との2部材に分割されたことを特徴とする請求項1記載の車体前部構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−1037(P2009−1037A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−161026(P2007−161026)
【出願日】平成19年6月19日(2007.6.19)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】