説明

車体前部構造

【課題】ラジエータ前方への熱気の回り込み等、フロントバルクヘッドとラジエータとの間の空隙を空気が通過することによるラジエータの冷却能力の低下が機関冷却上、支障にならないことを保障した上で、水路進入時に吸気口に水が侵入することを回避すること。
【解決手段】フロントバルクヘッド14のバルクヘッドサイドステー14とラジエータ40のサイドフレーム44との間に設けられた空隙46を通って車体後方から車体前方へ流れる流体の流れを阻止し、空隙46を通って車体前方から車体後方へ流れる流体の流れを許すフラップ50を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体前部構造に関し、特に、内燃機関を搭載した自動車の車体前部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関を搭載した自動車は、車体前部の骨格構造体として、車幅方向に延在するバルクヘッドアッパメンバと、垂直方向に延在して各々上端部を前記バルクヘッドアッパメンバの左右端部に接合された左右のバルクヘッドサイドステーと、車幅方向に延在して左右端部を前記左右のバルクヘッドサイドステーの下端部に接合されたバルクヘッドロアメンバとにより構成されて矩形開口枠をなすフロントバルクヘッドを有し、フロントバルクヘッドに機関冷却系の矩形のラジエータを固定されている。
【0003】
このような場合、ラジエータより車体後方のエンジンルームからラジエータの前方に熱気が回り込むことにより、ラジエータの冷却能力が低下することを回避するために、前後中間部をバルクヘッドアッパメンバ(ラジエータコアサポートの上側メンバ)に固定されて前後の先端が、各々、フード裏面とラジエータ上面とに当接する弾性体のシール部材を設け、エンジンルームからラジエータの前方に回り込む熱気の流れをシール部材によって遮断することが行われている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実公昭59−36491号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のようなシール構造が、ラジエータの左右両側にバルクヘッドサイドステーとの間にできる空隙や、ラジエータの下側にバルクヘッドサイドステーとの間にできる空隙の閉塞にも適用されると、ラジエータ前方への熱気の回り込みを回避できるが、しかしながら、自動車が水路(水溜まり)に進入した場合、バンパフェイスの吸気開口等からラジエータ前方に侵入した水の逃げ場がないために、ラジエータやシール部材に衝突した水の水位が上昇する現象を招く。
【0006】
この水位上昇は、ラジエータの上方位置に機関吸気系の吸気口が配置されている場合、特に、吸気口が車両前方(車体前方)に向けて開口している場合、水位上昇が吸気口に達して水が吸気口に入り、内燃機関が水を吸入するウォータロック現象を起こす原因になる。
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、ラジエータ前方への熱気の回り込み等、フロントバルクヘッドとラジエータとの間の空隙を空気が通過することによるラジエータの冷却能力の低下が機関冷却上、支障にならないことを保障した上で、水路進入時に吸気口に水が侵入することを回避することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による車体前部構造は、車幅方向に延在するバルクヘッドアッパメンバ(12)と垂直方向に延在して各々上端部を前記バルクヘッドアッパメンバ(12)の左右端部に接合された左右のバルクヘッドサイドステー(14)と車幅方向に延在して左右端部を前記左右のバルクヘッドサイドステー(14)の下端部に接合されたバルクヘッドロアメンバ(16)とにより構成されて矩形開口枠をなすフロントバルクヘッド(10)と、前記フロントバルクヘッド(10)に固定された矩形のラジエータ(40)と、前記ラジエータ(40)の上方位置に吸気口(30)を有する内燃機関(26)の吸気通路部材(32)とを有する車体前部構造であって、前記フロントバルクヘッド(10)と前記ラジエータ(40)との間に設けられた空隙(46)を通って車体後方から車体前方へ流れる流体の流れを阻止し、前記空隙(46)を通って車体前方から車体後方へ流れる流体の流れを許すフラップ(50、60)が前記フロントバルクヘッド(10)と前記ラジエータ(40)との間に設けられている。
【0009】
この構成によれば、フロントバルクヘッド(10)とラジエータ(40)との間の空隙(46)を車体後方から車体前方へ流れる流体、つまり、エンジンルーム(24)側からの熱気はフラップ閉じ側に作用し、当該熱気のラジエータ前方への回り込みがフラップ(50、60)によって阻止される。水路進入によってラジエータ前面に水が衝突した際には、その水圧がフラップ開き側に作用し、フラップ(50、60)が開いてフロントバルクヘッド(10)とラジエータ(40)との間の空隙(46)を通って車体後方、つまりエンジンルーム(24)側へ水が流れる。これにより、ラジエータ前方での水位上昇が抑えられ、水が吸気口に侵入することが回避される。
【0010】
本発明による車体前部構造は、好ましい一つの実施形態として、前記フラップ(50)は、湾曲形状をした弾性板により構成され、前記空隙(46)を通って車体前方から車体後方へ流れる流体の圧力が閉じ方向に作用するように、一端(50A)を前記フロントバルクヘッド(10)と前記ラジエータ(40)の一方に固定され、他端(50B)が前記フロントバルクヘッド(10)と前記ラジエータ(40)の他方に弾発的に当接し、弾性変形によって前記空隙(46)を開閉する。
【0011】
この構成によれば、空隙(46)を通って車体後方から車体前方へ流れる流体の流れを阻止し、空隙(46)を通って車体前方から車体後方へ流れる流体の流れを許す一方向弁的なフラップ(50)を弾性板だけで簡単に構成することができる。
【0012】
本発明による車体前部構造は、好ましくは、前記フラップ(50)は、前記空隙(46)の長手方向に長い帯状をしており、前記他端(50B)の側を長手方向に沿って延在するビード状の第1の厚肉部(54)と、前記長手方向に所定間隔をおいて前記一端(50A)と前記他端(50B)との間に延在するビード状の複数の第2の厚肉部(56)とを有し、前記第2の厚肉部(56)を貫通する締結具(52)によって前記フロントバルクヘッド(10)あるいは前記ラジエータ(40)に固定されている。
【0013】
この構成によれば、強度的に必要な箇所だけが局部的な厚肉化によって補強され、フラップ全体の薄肉化、軽量化がなされる。
【0014】
本発明による車体前部構造は、好ましい他の一つの実施形態として、前記フラップ(60)は、一端(60A)を前記フロントバルクヘッド(10)と前記ラジエータ(40)の一方にヒンジ部材(62)によって前記空隙を開閉可能に取り付けられ、ばね手段(64)によって前記空隙を閉じる方向に付勢されている。
【0015】
この構成によれば、ばね手段(64)のばね力の設定によってフラップ(60)が開き始める圧力を定量的に確実に設定することができる。
【0016】
本発明による車体前部構造は、好ましくは、前記空隙(46)を通って空気が流れることによる前記ラジエータ(40)の冷却能力の低下が機関冷却上、問題にならない最低車速をV、前記吸気口の地面からの高さをh、空気の密度をρa、水の密度Pをρw、重力加速度をgとした場合、前記フラップの開閉圧力Pが下式を満足する。 (ρa/2)・V<P<ρw・h・g
【0017】
この構成によれば、フラップ(50、60)が開いて空隙(46)を通って空気が流れることによりラジエータ(40)の冷却能力の低下が機関冷却上、問題にならないことと、水位が上がって吸気口(30)に水が侵入しないようにすることとを両立することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明による車体前部構造によれば、フロントバルクヘッドとラジエータとの間の空隙を空気が通過することによってラジエータの冷却能力の低下が機関冷却上、支障にならないことを保障した上で、水路進入時に吸気口に水が侵入することが防止される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明による車体前部構造を適用された自動車の要部の平面図。
【図2】本発明による車体前部構造の一つの実施形態を示す正面図。
【図3】本発明による車体前部構造の一つの実施形態を示す図2のA−A断面に相当する斜視図。
【図4】本発明による車体前部構造の他の実施形態を示す図2のA−A断面に相当する斜視図。
【図5】本発明による車体前部構造の他の実施形態を示す図2のA−A断面に相当する斜視図。
【図6】本発明による車体前部構造の他の実施形態を示す図2のA−A断面に相当する斜視図。
【図7】本発明による車体前部構造の他の実施形態を示す図2のA−A断面に相当する斜視図。
【図8】本発明による車体前部構造の他の実施形態を示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、本発明による車体前部構造の一つの実施形態を、図1〜図3を参照して説明する。
【0021】
先ず、図1、図2を参照して自動車の車体前部の骨格構造について説明する。車体の前部正面には、車幅方向に延在するバルクヘッドアッパメンバ12と、垂直方向に延在して各々上端部をバルクヘッドアッパメンバ12の左右端部に接合された左右のバルクヘッドサイドステー14と、車幅方向に延在して左右端部を左右のバルクヘッドサイドステー14の下端部に接合されたバルクヘッドロアメンバ16とにより構成されて正面視で矩形開口枠をなすフロントバルクヘッド10が設けられる。
【0022】
バルクヘッドアッパメンバ12の左右端部には、左右のフロントピラー18に繋がるホイールアッパメンバ20の車体前方端が接合されている。左右のフロントピラー18間には車幅方向に延在するダッシュボードアッパメンバ22が設けられている。これらにより、フロントバルクヘッド10より車体後方に、エンジンルーム24が画定される。
【0023】
エンジンルーム24には内燃機関(エンジン)26や機関吸気系のエアークリーナ28とが配置されている。エアークリーナ28のインレット側には、後述するラジエータ30の直上部(詳しくは、ラジエータ30のアッパタンク上方)に配置されて吸気口30を画定する吸気口部材32と、通気ダクト34とによる吸気通路部材が接続されている。エアークリーナ28のアウトレット側は通気ダクト36によってエンジン26の吸気マニフォールド38に接続されている。吸気口30は、走行風を多く取り入れられるよう、車体の正面前方に向けて開口している。
【0024】
フロントバルクヘッド10には機関冷却系のラジエータ40が取り付けられている。ラジエータ40は、正面視でフロントバルクヘッド10がなす矩形開口枠と同等の大きさの矩形をなす一般的なものであり、冷却水配管34によってエンジン26と接続され、冷却水ポンプ(図示省略)によってエンジン26の本体内部の冷却水通路(図示省略)との間を冷却水が循環するようになっている。
【0025】
左右のバルクヘッドサイドステー14とラジエータ40の左右のサイドフレーム44との間には、各々、これら沿って上下に長い空隙46が設けられている。空隙46は、水路進入時、ラジエータ40の前面に衝突した水を、車体後方、つまり、エンジンルーム24へ逃がす排水路になる。
【0026】
図3に示されているように、バルクヘッドサイドステー14が空隙46を区画する車幅方向内側面には、空隙4
6の長手方向(上下方向)に長いフラップ50の一端50Aが複数個の止めねじ(締結具)52によって固定されている。フラップ50は、ゴム状弾性体製で、空隙46の左右幅より十分に長い左右幅を有する帯状のもので、バルクヘッドサイドステー14に対する固定部(一端50A)より車両前方に向けて略90度の回転角をもって湾曲した湾曲形状をなし、自由端である他端(先端)50Bを、自身の弾性力によって弾発的にサイドフレーム44の車両後方面に押し付けられて空隙46を封鎖(遮蔽)する。
【0027】
この構造により、フラップ50には、空隙46を通って車体前方から車体後方へ流れる流体の圧力が、他端50Bをサイドフレーム44の車両後方面に押し付ける閉じ方向に作用し、これに対し空隙46を通って車体前方から車体後方へ流れる流体の圧力が、フラップ50の他端50Bをサイドフレーム44の車両後方面により離す開き方向に作用する。
【0028】
これにより、フラップ50は、空隙46を通って車体後方から車体前方へ流れる流体の流れが阻止し、空隙46を通って車体前方から車体後方へ流れる流体の流れを弾性変形のもとに許す一方向弁的な作用をする。
【0029】
上述の構成により、バルクヘッドサイドステー14とサイドフレーム44との間の空隙46を、車体後方から車体前方へ流れる流体、つまり、エンジンルーム24側から車体前方へ流れようとする熱気は、フラップ50を閉じる側に作用し、停車時や低速運転時に、エンジンルーム24の熱気がラジエータ40の前方へ回り込もうとすることがフラップ50によって阻止される。これにより、熱気の回り込みによるラジエータ40の冷却性能の低下が回避される。
【0030】
また、停車時や低速運転時に、ラジエータ40の前方へ回り込んだ熱気が吸気口30より吸入されることも防止され、吸気温度上昇によるエンジン26の点火時期リタード補正を行わなくて済むようになり、トルクダウンに伴う燃料経済性の低下も回避される。
【0031】
水路進入によってラジエータ40の前面に水が衝突した際には、その水圧がフラップ50を開く側に作用し、当該水圧によってフラップ50が開き、空隙46を通って車体後方、つまりエンジンルーム54へ水が流れる。これにより、ラジエータ前方での水位上昇が抑えられ、水が吸気口30に侵入することが回避され、エンジン26が水を吸い込むことにより生じるウォータロック現象が未然に防止される。
【0032】
多くの走行風が得られ、ラジエータ40を通過する空気流量が多くなる中〜高速走行時には、空隙46を通って空気が流れても、ラジエータ40の冷却能力の低下が機関冷却上、問題にならない。従って、フラップ50は、吸気口30に水が侵入する手前まで上昇した水位による水圧によって開き、ある車速になるまでは走行風圧によって開かない開閉圧を設定されていればよい。
【0033】
このことに鑑み、空隙46を通って空気が流れることによりラジエータ40の冷却能力の低下が機関冷却上、問題にならない最低車速をV、吸気口30の地面からの高さをh、空気の密度をρa、水の密度Pをρw、重力加速度をgとした場合、フラップ50の開閉圧力Pが下式を満足すればよい。 (ρa/2)・V<P<ρw・h・g
【0034】
これにより、フラップ50が開いて空隙46を通って空気が流れることによりラジエータ40の冷却能力の低下が機関冷却上、問題にならないことと、水位が上がって吸気口30に水が侵入しないようすることとが両立する。フラップ50が弾性板製の場合、開閉圧力Pは、弾性板の弾性度(ゴム硬度)、厚さ、初期押し付け閉じ荷重等によって適正値に設定することができる。
【0035】
上述の実施形態では、フラップ50は一枚の弾性板だけで構成されているので、構造が簡単で、大きいコストアップを伴うことなく実施することができる。
【0036】
他の実施形態として、図4に示されているように、フラップ50に、他端50Bの側を長手方向に沿って延在するビード状の第1の厚肉部54と、長手方向に所定間隔をおいて一端50Aと他端50Bとの間を幅方向に延在するビード状の複数の第2の厚肉部56ととが一体形成されていてよい。そして、フラップ50は、第2の厚肉部56を貫通する止めねじ52によって一端50Aをバルクヘッドサイドステー14に固定されている。
【0037】
これにより、フラップ50は、第1の厚肉部54による厚肉化によって補強された一端50Aをもってサイドフレーム44に押し付けられ、第2の厚肉部56による厚肉化によって補強された他端50Bを止めねじ52によって一端50Aをバルクヘッドサイドステー14に固定される。このようにして、フラップ50は、強度的に必要な箇所だけが局部的な厚肉化によって補強され、フラップ50全体の薄肉化、軽量化を図ることができる。
【0038】
なお、フラップ50は、図5に示されているように、一端50Aを止めねじ52によってサイドフレーム44の車体後方面に固定され、他端50Bがバルクヘッドサイドステー14の車幅方向内側面に当接する取り付け構造であってもよい。
【0039】
また、図6に示されているように、バルクヘッドサイドステー14とサイドフレーム44とが車体前後方向にオーバラップしている場合には、フラップ50は、U字形に湾曲して他端50Bがサイドフレーム44の車幅方向内側面に当接する構造にすることもできる。
【0040】
つぎに、本発明による車体前部構造の他の実施形態を図7を参照して説明する。なお、図7において、図3に対応する部分は、図3に付した符号と同一の符号を付けて、その説明を省略する。
【0041】
この実施形態では、フラップ60が、金属板或いは樹脂板等、硬質の板材により構成され、一端60Aをヒンジ部材62によってバルクヘッドサイドステー14の車幅方向内側面に回動可能に取り付けられ、他端60Bがサイドフレーム44の車体後方面に当接可能になっていて、回動によって空隙46を開閉する構造になっている。
【0042】
ヒンジ部材62には捩りばね64が取り付けられている。捩りばね64は、他端60Bがサイドフレーム44の車体後方面に当接する方向、つまり、空隙46を閉じる方向にフラップ60を付勢している。
【0043】
これにより、フラップ60には、空隙46を通って車体前方から車体後方へ流れる流体の圧力が、他端50Bをサイドフレーム44の車両後方面に押し付ける閉じ方向に作用し、これに対し空隙46を通って車体前方から車体後方へ流れる流体の圧力が、フラップ50の他端50Bをサイドフレーム44の車両後方面により離す開き方向に作用する。この場合のフラップ50の開閉圧力Pは、捩りばね64のばね力により決まり、捩りばね64のばね力の設定によって開閉圧力Pを簡単且つ確実に適正値に設定することができる。
【0044】
なお、フラップ50、60は、必ずしも、バルクヘッドサイドステー14とサイドフレーム44との間の空隙46の高さ方向の全域に亘って設けられる必要なく、図8に示されているように、空隙46の下側にだけ排水路構成のために設けられ、上側は固定のシール部材70によって閉鎖されていてもよい。
【0045】
なお、フラップ50、60は、バルクヘッドサイドステー14とサイドフレーム44との間の空隙46以外に、ラジエータ40の底部(ロアタンク)とバルクヘッドロアメンバ16との間に設けられる空隙や、ラジエータ40の上部(アッパタンク)とバルクヘッドアッパメンバ12に設けられる空隙の開閉に用いられてもよい。
【符号の説明】
【0046】
10 フロントバルクヘッド 12 バルクヘッドアッパメンバ 14 バルクヘッドサイドステー 16 バルクヘッドロアメンバ 24 エンジンルーム 26 内燃機関(エンジン) 28 エアークリーナ 30 吸気口 40 ラジエータ 44 サイドフレーム 46 空隙 50 フラップ 54 第1の厚肉部 56 第2の厚肉部 60 フラップ 62 ヒンジ部材 64 捩りばね

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車幅方向に延在するバルクヘッドアッパメンバと垂直方向に延在して各々上端部を前記バルクヘッドアッパメンバの左右端部に接合された左右のバルクヘッドサイドステーと車幅方向に延在して左右端部を前記左右のバルクヘッドサイドステーの下端部に接合されたバルクヘッドロアメンバとにより構成されて矩形開口枠をなすフロントバルクヘッドと、 前記フロントバルクヘッドに固定された矩形のラジエータと、 前記ラジエータの上方位置に吸気口を有する内燃機関の吸気通路部材と、 を有する車体前部構造であって、 前記フロントバルクヘッドと前記ラジエータとの間に設けられた空隙を通って車体後方から車体前方へ流れる流体の流れを阻止し、前記空隙を通って車体前方から車体後方へ流れる流体の流れを許すフラップが前記フロントバルクヘッドと前記ラジエータとの間に設けられている車体前部構造。
【請求項2】
前記フラップは、湾曲形状をした弾性板により構成され、前記空隙を通って車体前方から車体後方へ流れる流体の圧力が閉じ方向に作用するように、一端を前記フロントバルクヘッドと前記ラジエータの一方に固定され、他端が前記フロントバルクヘッドと前記ラジエータの他方に弾発的に当接し、弾性変形によって前記空隙を開閉する請求項1に記載の車体前部構造。
【請求項3】
前記フラップは、前記空隙の長手方向に長い帯状をしており、前記他端の側を長手方向に沿って延在するビード状の第1の厚肉部と、前記長手方向に所定間隔をおいて前記一端と前記他端との間に延在するビード状の複数の第2の厚肉部とを有し、前記第2の厚肉部を貫通する締結具によって前記フロントバルクヘッドあるいは前記ラジエータに固定されている請求項2に記載の車体前部構造。
【請求項4】
前記フラップは、一端を前記フロントバルクヘッドと前記ラジエータの一方にヒンジ部材によって前記空隙を開閉可能に取り付けられ、ばね手段によって前記空隙を閉じる方向に付勢されている請求項1に記載の車体前部構造。
【請求項5】
前記空隙を通って空気が流れることによる前記ラジエータの冷却能力の低下が機関冷却上、問題にならない最低車速をV、前記吸気口の地面からの高さをh、空気の密度をρa、水の密度Pをρw、重力加速度をgとした場合、前記フラップの開閉圧力Pが下式を満足する請求項1から4の何れかに記載の車体前部構造。 (ρa/2)・V<P<ρw・h・g

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−153233(P2012−153233A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−13328(P2011−13328)
【出願日】平成23年1月25日(2011.1.25)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】