説明

車種判別装置

【課題】車両に搭載された検知手段を用いて他車両の車種を判別する車種判別装置を提供することを課題とする。
【解決手段】車両の車種を判別する車種判別装置1であって、車両を検出する車両検出手段3aと、車両検出手段3aで検出した車両の車体のフレームを検出するフレーム検出手段3bと、フレーム検出手段3bでの検出結果に基づいてフレームの有無又は/及び形状によって車種を判別する車種判別手段3cとを備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の車種を判別する車種判別装置に関する。
【背景技術】
【0002】
運転者の運転負荷を軽減するために、運転支援を行う様々な走行制御装置が開発されている。走行制御装置には、前方車両を追従するために車間制御を行うものがある。車間制御を行う場合、カメラによる撮像画像やレーダによるレーダ情報に基づいて前方車両を検出するとともに前方車両を検出した場合には前方車両との車間距離を算出し、前方車両との車間距離が目標車間距離になるようにブレーキ制御やエンジン制御を行う。さらに、車間制御には、前方車両の車種に応じて目標車間距離を可変とするものもあり、例えば、前方車両がトラックなどの大型車両の場合には乗用車に比べて目標車間距離を長くする。そのためには、車種を判別する必要があり、車種判別装置も開発されている。例えば、特許文献1に記載の車種判別装置では、上下方向に配設された複数のレーダ測距センサによって車体側面までの水平距離をそれぞれ検出し、車体側面の凹凸に基づいて車種を判別する。
【特許文献1】特開平9−62983号公報
【特許文献2】特開2003−44995号公報
【特許文献3】特開2003−30792号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
車間制御などの車両制御中に車種情報を利用する場合、車両走行中の任意の場所で車種判別をする必要があるので、車両に搭載される検出手段を用いることが必須要件となる。しかし、上記の車種判別装置は、判別対象の車両の側面にレーダ測距センサを配置する必要があるので、レーダ測距センサが配設された所定の場所でしか車種判別ができず、車両に搭載される検出手段では車種を判別することはできない。
【0004】
そこで、本発明は、車両に搭載された検出手段を用いて他車両の車種を判別する車種判別装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る車種判別装置は、車両に搭載され、車両の車種を判別する車種判別装置であって、車両を検出する車両検出手段と、車両検出手段で検出した車両の車体のフレームを検出するフレーム検出手段と、フレーム検出手段での検出結果に基づいてフレームの有無又は/及び形状によって車種を判別する車種判別手段とを備えることを特徴とする。
【0006】
この車種判別装置では、車両検出手段により車両を検出し、フレーム検出手段により検出した車両の車体におけるフレームを検出する。一般に、乗用車の場合には他車両から車体のフレームを外部から検知できないが、トラックなどの大型車両の場合には車体のフレームを外部から検知できる。そこで、車種判別装置では、車種判別手段により車体のフレームを検出できたか否かや検出できた車体フレームの形状(例えば、車体背面と平行)によって車種を判別する。このように、この車種判別装置では、車両に搭載された検出手段を用いて他車両の車種を判別することができる。
【0007】
本発明の上記車種判別装置では、フレーム検出手段は、後輪のディファレンシャルギヤ及び/又は後輪のドライブシャフトを支持するフレームを検出すると好適である。トラックなどの大型車両の場合、後輪のディファレンシャルギヤやドライブシャフトを支持するフレームが車両後方から見える位置に配置されているので、このフレームを利用することによって車種を容易に判別できる。
【0008】
本発明の上記車種判別装置では、レーダ検知手段を備え、フレーム検出手段は、レーザ検知手段で検知された反射点を用いて、後輪のディファレンシャルギヤ及び/又は後輪のドライブシャフトを支持するフレームを検出する構成としてもよい。
【0009】
この車種判別装置では、レーダ検知手段により、車両から電磁波を送信し、その電磁波の反射波を受信し、その送受信データに基づいて反射点を検知する。そして、車種判別装置では、フレーム検出手段によりその反射点に基づいて後輪のディファレンシャルギヤやドライブシャフトを支持するフレームを検出する。なお、レーダ検知手段の場合、電磁波の送受信データに基づいて反射点までの距離も高精度に検知できるので、自車両から反射点までの距離の違いにより、車体背面かあるいは車体背面より前方のフレームかを判別できる。また、フレームの場合、金属で形成されているので、電磁波を反射し易く、レーダ検知手段で検知され易い。
【0010】
本発明の上記車種判別装置では、車種判別手段は、後輪のディファレンシャルギヤ及び/又は後輪のドライブシャフトを支持するフレームを検出した場合にトラックと判別すると好適である。トラックの場合、車体下部の空間部分が他の車種より高い位置まであるので、後輪のディファレンシャルギヤやドライブシャフトを支持するフレームが外部に出ている部分が多く、他車両から検知し易い。
【0011】
本発明の上記車種判別装置では、車種判別手段は、レーザ検知手段で検知された反射点の数が閾値以上の場合にトラックと判別する構成としてもよい。
【0012】
トラックの後輪のディファレンシャルギヤやドライブシャフトを支持するフレームは、左右後輪のタイヤ間に配設されるフレームなので、トラックの車幅に応じて左右方向(車幅方向)にある程度の長さを有している。したがって、レーダ検知手段からの電磁波がトラックのフレームに対して反射している場合には、トラックの他の部分(車体背面は除く)に対して反射している場合よりも、反射点の数が多くなる。そこで、車種判別装置では、閾値以上の反射点を検知できた場合にはトラックと判別する。閾値は、レーザ検知手段の分解能などを考慮して設定される。
【0013】
本発明の上記車種判別装置では、車種判別手段は、レーザ検知手段で検知されたフレームで反射した複数の反射点の並びから求められる直線とレーザ検知手段で検知された車体背面で反射した複数の反射点の並びから求められる直線とが略平行の場合にトラックと判別する構成としてもよい。
【0014】
トラックの場合、車体背面、後輪のディファレンシャルギヤやドライブシャフトを支持するフレームはトラックの車幅に応じて左右方向にある程度の長さを有している。したがって、レーダ検知手段からの電磁波がトラックのフレームや車体背面に対して反射している場合、反射点の数が共に多くなり、その反射点の並びから直線をそれぞれ求めることができる。また、車体背面とフレームとは、構造上、平面視して平行である。そこで、車種判別装置では、求められた2本の直線が略平行の場合にはトラックと判別できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、車両に搭載された検出手段による車体のフレームの検出結果も利用することにより、車両に搭載された検出手段を用いて他車両の車種を判別することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明に係る車種判別装置の実施の形態を説明する。
【0017】
本実施の形態では、本発明に係る車種判別装置を、車両に搭載される車種判別装置に搭載する。本実施の形態に係る車種判別装置は、自車両の前方に存在する車両の車種を判別し、その車種情報を車両制御装置(車間制御装置など)に提供する。
【0018】
図1〜図5を参照して、本実施の形態に係る車種判別装置1について説明する。図1は、本実施の形態に係る車種判別装置の構成図である。図2は、背面から見たトラックの一例である。図3は、前方にトラックが存在する場合のレーザレーダの検知状況を示す模式図である。図4は、図1の車両検出部での処理の説明図である。図5は、図1の車体下部フレーム検出部での処理の説明図である。
【0019】
車種判別装置1は、前方車両の車種として乗用車とトラックとを判別する。そのために、車種判別装置1は、車体の下部のフレームの有無とそのフレームの形状(車体背面との配置関係)に基づいて判別を行う。そのために、車種判別装置1は、レーザレーダ2及びECU[Electronic Control Unit]3を備えている。
【0020】
レーザレーダ2は、レーザ光を利用して物体を検出するためのレーダである。レーザレーダ2は、自車両の前側の中央に取り付けられる。レーザレーダ2では、レーザ光を上下方向H(鉛直方向)の所定間隔毎に水平にスキャンしながら自車両から前方に向けて出射し、反射してきたレーダ光を受光する。そして、レーザレーダ2では、そのレーザ光の出射光と反射光のデータから反射点を算出し、反射点の位置(自車両からの相対的な位置)、反射点までの距離などを算出する。そして、レーザレーダ2では、その反射点に関する情報をレーダ信号としてECU3に送信する。反射点の位置や反射点までの距離の算出については、ECU3で行ってもよい。なお、本実施の形態では、レーザレーダ2が特許請求の範囲に記載するレーダ検知手段に相当する。
【0021】
ちなみに、トラックTの場合、図2、図3に示すように、車高が高く、車体下部の空間部分が乗用車Aより高い位置まであり、後輪のディファレンシャルギヤG及びドライブシャフトを支持する車体下部のフレームFが車両下方に出ている。このフレームFは、トラックTの後方の乗用車Aから検知可能であり、金属性なのでレーザ光もよく反射する。そのため、車種判別装置1を搭載した乗用車Aの前方にトラックTが存在する場合、レーザレーダ2による検知によって、トラックTの背面Bに対する検知K1の他にフレームFに対する検知K2が可能である。また、フレームFは、車体構造上、平面視して車体背面Bと平行に配置される。
【0022】
ECU3は、CPU[Central ProcessingUnit]、ROM[Read Only Memory]、RAM[Random Access Memory]などからなる電子制御ユニットであり、車種判別装置1を統括制御する。ECU3は、ROMに格納されているアプリケーションプログラムをRAM上にロードし、CPUで実行することによって車両検出部3a、車体下部フレーム検出部3b、車種判別部3cを構成する。そして、ECU3では、一定時間毎に、レーザレーダ2からレーダ信号を受信し、レーダ信号を用いて各部3a,3b,3cで処理を行い、判別した車種情報を車種信号として車両制御装置に送信する。なお、本実施の形態では、車両検出部3aが特許請求の範囲に記載する車両検出手段に相当し、車体下部フレーム検出部3bが特許請求の範囲に記載するフレーム検出手段に相当し、車種判別部3cが特許請求の範囲に記載する車種判別手段に相当する。
【0023】
車両検出部3aでは、前方車両が存在するかを判断するために、レーダ信号の反射点情報の中から自車両と反射点との距離が車間距離閾値以下の反射点を抽出する。車間距離閾値は、車間距離制御などの車両制御を行う上で制御対象の前方車両として認定できる距離内に存在する車両か否かを判別するための閾値であり、車両制御で用いる目標車間距離などを考慮して予め設定される。つまり、遠くに離れた前方車両は制御対象でないので、車種判別しない。
【0024】
車両検出部3aでは、前方車両の車体背面で反射した反射点だけを選択するために、抽出した反射点群の中から点間隔(車両の前後方向D(奥行き方向))が間隔閾値以下のものをグルーピングする。間隔閾値は、レーザレーダ2による距離の検出精度などを考慮し、実験などによって予め決定される。レーザレーダ2のレーザ光が車体の背面で反射した場合、その反射した全ての反射点は自車両と反射点との距離が略等しくなるので、その反射点群をグルーピングできる。ただし、複数個グルーピングできた場合、自車両と反射点との距離が最も短いグループを選択する。トラックの場合、車体背面とフレームでそれぞれ反射するので、2つのグループが形成される場合があり、車体背面の方が自車両に近い位置にある。
【0025】
車両検出部3aでは、このグルーピングされた反射点の数が車両有無判定閾値以上か否かを判定する。自車両と反射点との距離が車間距離閾値以下かつ点間隔が間隔閾値以下の反射点が多数存在する場合には広い面積を有する車体背面で反射した反射点と推測でき、前方車両が存在すると判定できる。車両有無判定閾値は、レーザレーダ2の分解能などを考慮し、実験などによって予め決定される。車両検出部3aでは、このグルーピングされた反射点の数が車両有無判定閾値以上と判定した場合、前方車両が存在すると判断する。
【0026】
車両検出部3aでは、自車両と反射点との距離が車間距離閾値以下の反射点を少数抽出かあるいは全く抽出できなかった場合又はグルーピングされた反射点の数が車両有無判定閾値未満と判定した場合、前方車両が存在しないと判断し、車種判別を行わない。
【0027】
車体下部フレーム検出部3bでは、グルーピングされた反射点群の並びから直線を算出する。この直線を求める方法は、どのような方法を用いてもよく、例えば、ハフ変換を用いる。この直線は、前方車両の車体背面での反射点の並びから形成された直線であり、左右方向W(車幅方向)に延びる。さらに、車体下部フレーム検出部3bでは、グルーピングされた反射点群の中から左右方向Wにおける両側の端点を抽出する。そして、車体下部フレーム検出部3bでは、求めた直線に両側の各端点から垂線を下ろし、その下ろした各点を両端とする線分を設定する。この線分は、車体背面に沿った線分である。
【0028】
図4に示す例の場合、反射点BP11,・・・,BP19がグルーピングされ、この反射点BP11,・・・,BP19により直線L1が求められる。さらに、反射点BP11,・・・,BP19のうち左右方向Wの両側の端点BP11,BP19に基づいて直線L1から線分S1(太線)が求められる。
【0029】
車体下部フレーム検出部3bでは、求めた線分S1を一辺として、この一辺に直交する所定長さの辺を自車両の前後方向D(奥行き方向)に延ばして長方形を形成し、車体下部フレームに対する反射点の検出領域とする。所定長さは、様々なトラックの車体背面と後輪のフレームとの間の距離を考慮し、車体背面から後輪のフレームを十分に含む長さ(例えば、5m)が予め設定される。
【0030】
図5に示す例の場合、車体背面に相当する線分S1から所定長さMの辺N1,N2を自車両から前方側に延ばし、長方形の検出領域Rが形成される。
【0031】
車体下部フレーム検出部3bでは、レーダ信号の反射点情報に基づいて検出領域内に含まれる反射点の数をカウントし、カウント数が数閾値以上か否かを判定する。乗用車の場合、車体背面以外にレーザ光を反射する部分が殆ど無いので、この検出領域内に含まれる反射点は数が0かあるいは少数と推測できる。一方、トラックの場合、車体背面以外にレーザ光に反射する部分として上記したように後輪の車体下部フレームがある。この車体下部フレームは車幅方向Wに延び、左右後輪間に配設される長尺物でありので、レーザ光が反射可能な面積が大きく、反射点の数も多くなる。したがって、前方車両がトラックの場合、検出領域内に含まれる反射点は多数と推測できる。数閾値は、レーザレーダ2の分解能などを考慮し、実験などによって予め設定される。検出領域内に含まれる反射点の数が数閾値以上の場合、車体下部フレーム検出部3bは、車体下部フレームが存在する可能性があると判定する。
【0032】
車種判別部3cでは、車体下部フレーム検出部3bで検出領域内に含まれる反射点の数が数閾値以上と判定した場合、その検出領域内に含まれる反射点の並びから直線を算出する。ここでも、上記と同様に、点間隔が間隔閾値以下のものをグルーピングし、グルーピングした反射点から直線を求めてもよい。直線の求める方法は、上記と同様である。さらに、車種判別部3cでは、その直線を求めた反射点の中から左右方向Wにおける両側の端点を抽出する。そして、車種判別部3cでは、求めた直線に両側の各端点に垂線を下ろし、その下ろした各点を両端とする線分を設定する。この線分は、車体下部フレームに沿った線分である可能性が高い。
【0033】
車種判別部3cでは、車体背面に対応する線分と検出領域内で求めた線分との傾きの差(なす角度)を算出する。そして、車種判別部3cでは、その傾きの差が角度閾値未満か否かを判定する。トラックの場合、上記したように、車体背面と車体下部フレームとが平行に配置されている。したがって、車体背面に対応する線分と検出領域内で求めた線分とが略平行(平行も含む)の場合、その検出領域内で求めた線分は、車体下部フレームで反射した反射点の並びから形成された線分と推定できる。角度閾値は、略平行であるか否かを判定するための閾値である。車種判別部3cでは、傾きの差が角度閾値未満と判定した場合、車体下部フレームが存在すると判断し、車種をトラックと判別する。
【0034】
図5に示す例の場合、検出領域R内の反射点BP21,・・・,BP28により直線L2が求められる。さらに、反射点BP21,・・・,BP28のうち車幅方向Wの両端点BP21,BP28に基づいて直線L2から線分S2(太線)が求められる。そして、車体背面に対応する線分S1と検出領域R内の線分S2とが略平行であるので、検出領域R内の線分S2は車体下部フレームに対応する線分である。
【0035】
車種判別部3cでは、車体下部フレーム検出部3bで検出領域内に含まれる反射点の数が数閾値未満と判定した場合又は傾きの差が角度閾値以上と判定した場合、車体下部フレームが存在しないので、車体下部フレームが存在しないと判断し、乗用車と判別する。
【0036】
図1〜図5を参照して、車種判別装置1における動作について説明する。特に、ECU3における動作について図6のフローチャートに沿って説明する。図6は、図1のECUにおける処理の流れを示すフローチャートである。
【0037】
レーザレーダ2では、レーザ光を水平にスキャンしながら前方に向けて出射し、反射してきたレーダ光を受光し、そのレーザ光の出射光と反射光のデータから反射点を求め、反射点の位置や反射点までの距離などを算出する。そして、レーザレーダ2では、一定時間毎に、その反射点の各情報からなるレーダ情報をレーダ信号としてECU3に送信する。
【0038】
ECU3では、一定時間毎に、レーダ信号を受信し、レーダ情報(反射点情報)を取得する(S1)。そして、ECU3では、レーダ情報の反射点に基づいて前方車両を検出する(S2)。ここでは、自車両から距離が最も近くかつ点間隔が間隔閾値以下の反射点群のグループ(前方車両の車体背面での反射点群のグループ)によって前方車両が検出される。前方車両を検出できなかった場合、車種判別を行わずに、今回の処理を終了する。
【0039】
ECU3では、前方車両を検出したグループの反射点の並びから、車体背面に対応する線分を算出する(S3)。さらに、ECU3では、この車体背面に対応する線分を一辺として、この一辺に直交する所定長さの辺とからなる長方形を形成し、その長方形を自車両の奥行き方向Dにおいて検出した車両の車体下部フレームの反射点の検出領域として設定する(S4)。
【0040】
ECU3では、レーダ情報の中から検出領域内に含まれる反射点を抽出し、その抽出した反射点の数が数閾値以上か否かを判定する(S5)。S5にて反射点の数が数閾値未満と判定した場合、ECU3では、検出した車両から車体下部フレームを検出できないので、前方車両を乗用車と判別し(S9)、その車種情報を車種信号として車両制御装置に送信する。
【0041】
S5にて反射点の数が数閾値以上と判定した場合、ECU3では、検出領域内の反射点の並びから線分を算出する(S6)。そして、ECU3では、車体背面に対応する線分と検出領域内で求めた線分との傾きの差(角度)を算出し、その角度が角度閾値未満か否かを判定する(S7)。S7にて角度が角度閾値以上と判定した場合、ECU3では、検出領域内で求めた線分は車体下部フレームに対応する線分ではないので、前方車両を乗用車と判別し(S9)、その車種情報を車種信号として車両制御装置に送信する。
【0042】
S7にて角度が角度閾値未満と判定した場合、ECU3では、検出した車両に車体背面に平行に位置する車体下部フレームが存在すると判断し、前方車両をトラックと判別し(S8)、その車種情報を車種信号として車両制御装置に送信する。
【0043】
この車種判別装置1によれば、車両に搭載されたレーザレーダ2を用いて前方車両の車種を判別することができる。特に、車種判別装置1では、トラックの後輪のディファレンシャルギヤ及びドライブシャフトを支持する車体下部フレームの有無とそのフレームの車体背面との配置関係に基づいて車種を判別するので、判別精度が高く、車種を容易に判別できる。
【0044】
この車種判別装置1では、検出手段としてレーザレーダ2を用いているので、金属性のフレームや車体背面を検出し易く、反射点までの距離精度も高い。また、車種判別装置1では、反射点の並びから各線分を算出し、2本の線分のなす角度を利用することにより、車体下部フレームの有無及びそのフレームと車体背面との配置関係を容易かつ高精度に判断することができる。
【0045】
以上、本発明に係る実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されることなく様々な形態で実施される。
【0046】
例えば、本実施の形態では乗用車とトラックとを判別する車種判別装置に適用したが、車体外部にフレームが見える他の車種(例えば、バス、RV車)の判別にも適用可能であり、また、車種情報が必要な他の装置(例えば、車間制御装置)に組み込まれる構成としてもよい。
【0047】
また、本実施の形態ではレーダ検知手段としてレーザレーダを適用したが、ミリ波レーダなどの他の検知手段でもよいし、あるいは、フレームや車体背面を検出できる手段であれば、レーダ検知手段以外の検知手段でもよい。
【0048】
また、本実施の形態では後輪のディファレンシャルギヤ及びドライブシャフトを支持する車体下部フレームを検出対象としたが、車体外部に見える他のフレームを検出対象としてもよい。
【0049】
また、本実施の形態では車体背面で反射した反射点による直線と車体下部フレームで反射した反射点による直線が略平行であることを条件としたが、車体背面の他に車体下部フレームを検出できることだけを条件としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本実施の形態に係る車種判別装置の構成図である。
【図2】背面から見たトラックの一例である。
【図3】前方にトラックが存在する場合のレーザレーダの検知状況を示す模式図である。
【図4】図1の車両検出部での処理の説明図である。
【図5】図1の車体下部フレーム検出部での処理の説明図である。
【図6】図1のECUにおける処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0051】
1…車種判別装置、2…レーザレーダ、3…ECU、3a…車両検出部、3b…車体下部フレーム検出部、3c…車種判別部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載され、車両の車種を判別する車種判別装置であって、
車両を検出する車両検出手段と、
前記車両検出手段で検出した車両の車体のフレームを検出するフレーム検出手段と、
前記フレーム検出手段での検出結果に基づいてフレームの有無又は/及び形状によって車種を判別する車種判別手段と
を備えることを特徴とする車種判別装置。
【請求項2】
前記フレーム検出手段は、後輪のディファレンシャルギヤ及び/又は後輪のドライブシャフトを支持するフレームを検出することを特徴とする請求項1に記載する車種判別装置。
【請求項3】
レーダ検知手段を備え、
前記フレーム検出手段は、前記レーザ検知手段で検知された反射点を用いて、後輪のディファレンシャルギヤ及び/又は後輪のドライブシャフトを支持するフレームを検出することを特徴とする請求項2に記載する車種判別装置。
【請求項4】
前記車種判別手段は、後輪のディファレンシャルギヤ及び/又は後輪のドライブシャフトを支持するフレームを検出した場合にトラックと判別することを特徴とする請求項2又は請求項3に記載する車種判別装置。
【請求項5】
前記車種判別手段は、前記レーザ検知手段で検知された反射点の数が閾値以上の場合にトラックと判別することを特徴とする請求項4に記載する車種判別装置。
【請求項6】
前記車種判別手段は、前記レーザ検知手段で検知されたフレームで反射した複数の反射点の並びから求められる直線と前記レーザ検知手段で検知された車体背面で反射した複数の反射点の並びから求められる直線とが略平行の場合にトラックと判別することを特徴とする請求項5に記載する車種判別装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2009−75638(P2009−75638A)
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−241261(P2007−241261)
【出願日】平成19年9月18日(2007.9.18)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】