説明

車車間通信処理方法および車車間通信処理装置

【課題】車車間通信の相手の車両が認識できなくても、車車間通信の情報のやり取りにより、自車の位置や車車間通信の通信相手の車両の位置を精度よく検出できるようにする。
【解決手段】第1、第2の車両2、3は、それぞれが検出した周囲車両の位置の情報を含む精度の高い車両情報を車車間通信によって相互にやり取りし、このとき、周囲車両として第1、第2の車両2、3が共通に検出する第3の車両42が含まれると、第1、第2の車両2、3は互いに直接に認識できなくても、検出した周囲車両の車両情報と車車間通信により受信した車両情報との比較から第3の車両42の車両情報を判定して特定し、GPSの測位情報を用いた場合より精度の高い第1、第2の車両2、3それぞれが検出した第3の車両42の位置情報により、第3の車両42の位置を基準にして第1、第2の車両2、3の少なくともいずれか一方の位置を精度よく算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車車間通信の情報を用いて自車の位置を算出する車車間通信処理方法および車車間通信処理装置に関し、詳しくは車両位置の精度の高い算出に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、衝突防止等にとって重要な走行中の車両の位置は、車両にGPS (Global Positioning System)の受信機を搭載し、この受信機が受信したGPS測位情報を用いて算出されるが、この場合、GPSの測位状況によっては位置の算出誤差が数m〜10数m以上となる。
【0003】
そのため、GPSの測位情報を用いて算出された自車の位置に基づき自車とその周囲の車両(他車)との位置関係を把握し、両車の相対的な距離に基づいて衝突可能性等の注意喚起を行なう際に、十分な精度では自車の位置を検出できず、衝突防止の信頼性の低下等を招来する。
【0004】
そこで、GPSの測位情報を用いた自車の位置の情報だけでなく、自車の車速センサや測距レーダ等の自律センサの情報に基づいて検出した自車の車速や周囲車両との相対距離の情報を、車車間通信により周囲車両とやり取りし、また、測距レーダが検出している車両の速度変化から通信相手の車両(他車)を同定する。そして、自車と他車のGPSを用いた位置の情報の精度が高い方を判別し、他車の位置の情報の精度が高ければ、車車間通信により受信した他車の位置の情報を用いて自車の位置を検出するようにして自車の位置の検出精度を高めることが提案されている(例えば、特許文献1(請求項3、段落[0008]−[0009]、[0027]−[0028]、[0057]−[0059]、図1、図2、図8等参照))。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−46873号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記特許文献1に記載のようにして自車の位置の検出精度を高める場合、通信相手の他車は自車が測距レーダで検出している車両(換言すれば自車から認識できている車両)でなければならない。そのため、道路の1台または複数台先(前方)の対向車線や同方向車線に通信相手の他車が存在する状況や、十字路に自車が南北方向から接近して通信相手の他車が東西方向から接近するような見通しの悪い状況の場合等には、通信相手の他車を自車の測距レーダで検出することができない(自車から認識できない)ため適用することができず、自車の位置の検出精度を高めることができない問題がある。そして、混雑している道路や見通しの悪い道路が多いというわが国の道路事情に照らせば、前記特許文献1に記載の手法は実用性に欠ける。
【0007】
なお、自車の位置の検出に代えて、または、自車の位置の検出とともに、前記通信相手の車両の位置を検出する場合にも、前記と同様の問題がある。
【0008】
本発明は、車車間通信の相手の車両が認識できなくても、車車間通信の情報のやり取りにより、自車や車車間通信の通信相手の車両の位置を精度よく検出できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記した目的を達成するために、本発明の車車間通信処理方法は、第1、第2の車両が、それぞれを基準として検出した周囲車両の位置の情報を含む車両情報を車車間通信により相互にやり取りし、前記第1、第2の車両が、前記検出した周囲車両の車両情報と前記車車間通信により受信した車両情報とを比較して前記第1、第2の車両の共通の周囲車両である第3の車両の車両情報を判定し、該判定に基づき、前記第3の車両の位置を基準にして、検出した前記第3の車両の車両情報と受信した前記第3の車両の車両情報とにより前記第1、第2の車両の少なくともいずれか一方の位置を算出することを特徴としている(請求項1)。
【0010】
また、本発明の車車間通信処理装置は、自車を基準として検出した周囲車両の位置の情報を含む車両情報を出力する外界検出手段と、前記外界検出手段の車両情報を車車間通信により送信する車車間通信手段と、自車の前記外界認識手段が検出した車両情報と、自車を第1の車両として前記車車間通信手段が通信相手の第2の車両から受信した車両情報との比較から、前記第1、第2の車両の共通の周囲車両である第3の車両の車両情報を判定する判定手段と、前記判定手段の判定に基づき、前記第3の車両の位置を基準にして、自車が検出した前記第3の車両の車両情報と前記第2の車両から受信した前記第3の車両の車両情報とにより前記第1、第2の車両の少なくともいずれか一方の位置を算出する算出手段とを備えたことを特徴としている(請求項2)。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明の場合、第1、第2の車両は、それぞれが検出した周囲車両の位置の情報を含む精度の高い車両情報を車車間通信によって相互にやり取りする。このとき、第1、第2の車両が検出する周囲車両に、第1、第2の車両の間に存在して第1、第2の車両が共通に検出する第3の車両が含まれると、第1、第2の車両は、互いに直接に認識できなくても、検出した周囲車両の車両情報と車車間通信により受信した車両情報との比較から第3の車両の車両情報を判定して特定する。そして、この特定に基づき、第1、第2の車両は、検出した第3の車両の位置の情報と受信した第3の車両の位置の情報とにより、すなわち、GPSの測位情報を用いた場合より精度の高い第1、第2の車両それぞれが検出した第3の車両の位置情報により、第1の車両から第3の車両までの距離と第2の車両から第3の車両までの距離とに基づき、第3の車両の位置を基準にして第1、第2の車両の少なくともいずれか一方の位置(相対的な距離)を算出することができる。したがって、第1、第2の車両は、互いに認識できなくても、車車間通信の情報のやり取りにより、第1、第2の車両の位置を精度よく検出できる。
【0012】
また、請求項2の発明の場合、車車間通信を行なう第1、第2の車両は、自車の判定手段により、自車の外界認識手段が検出した周囲車両の車両情報と、車車間通信手段が受信した車両情報との比較から、自車と通信相手の車両との共通の周囲車両である第3の車両の車両情報を判定し、自車の算出手段により、判定手段の判定に基づき、自車が検出した第3の車両の車両情報と受信した第3の車両の車両情報とにより、第3の車両の位置を基準にして自車、通信相手の車両の少なくともいずれか一方の位置を算出することができ、請求項1の発明の場合と同様の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態の車両走行状態の模式図である。
【図2】図1の車車間通信処理装置を備えた車両のブロック図である。
【図3】図2の動作説明用のフローチャートである。
【図4】本発明の他の実施形態の車両走行状態の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
つぎに、本発明をより詳細に説明するため、実施形態について、図1〜図4を参照して詳述する。
【0015】
(一実施形態)
本発明の一実施形態について、図1〜図3を参照して説明する。
【0016】
まず、本実施形態においては、本発明の車車間通信処理装置を備える車両をシステム車両と称し、本発明の車車間通信処理装置を備えていない車両を一般車両と称する。そして、これらの車両が例えば十字路の交差点を有する道路を縦横に走行しているものとする。
【0017】
図1は上記の走行状況を模式的に示し、1は紙面上下方向の南北路1aと紙面左右方向の東西路1bとが交差点1cで十字路状に交差する道路である。また、図1の黒塗りの三角印はシステム車両を示し、白抜きの三角印は一般車両を示し、いずれの三角印も二等辺三角形状であり、頂角の方向が走行方向である。
【0018】
図1において、2は南北路1aを交差点1cに向かって北進する本発明の第1の車両(自車)であり、3は東西路1bを交差点1cに向かって西進する本発明の通信相手の第2の車両である。41は第1の車両2の前方の一般車両、42、43は第2の車両3の前、後の一般車両であり、一般車両42が本発明の第3の車両である。
【0019】
そして、システム車両である第1、第2の車両2、3は同様の構成の車車間通信処理装置を備える。
【0020】
図2は第1の車両2の車車間通信処理装置の構成を示し、5は自車情報管理部であり、例えばGPS受信部6により受信した自車位置のGPSの測位情報および、CAN(Controller Area Network)通信部7により受信した速度センサ、舵角センサ、ヨーレートセンサ等の自車内の走行に関連する各種自律センサの検出情報を収集し、それらを自車の車両情報として管理する。
【0021】
8は本発明の外界検出手段を形成する車両検知部であり、例えば自車前方を探査する前方認識用測距レーダとしての前方レーザレーダ9の測距データおよび、自車の後方を撮影する後方認識装置としての単眼のバックカメラ10の撮影データを収集し、自律型運転支援システムのセンサを構築する前方レーザレーダ9、バックカメラ10のデータにより、自車を基準にして周囲車両(少なくとも自車と同じ走行車線を走行する先行車や後続車両)までの距離(車間距離)を検出するとともに、走行軌跡等を監視してそれらの速度、加速度、進行方位などを測定して管理する。
【0022】
11は本発明の車車間通信手段の送信機(車車間送信機)であり、自車情報管理部5が管理している時々刻々の自車の車両情報および、車両検知部8が管理している時々刻々の周囲車両の位置情報(車間距離や速度、加速度、進行方位等の情報)を含む車両情報を車外に無線送信する。
【0023】
12はフラッシュメモリ等の書き換え自在の固体情報記憶素子あるいはHDDにより形成された検知車両データ記憶部であり、車両検知部8が管理している最新の一定時間分の周囲車両の位置情報を自車が検出した周囲車両の位置情報として書き換え自在に記憶する。
【0024】
13は本発明の車車間通信手段の受信機(車車間受信機)であり、同様の車車間通信手段を備えた送受信可能距離内の第2の車両3等の他車の送信機11からの車車間通信の情報を受信する。14は検知車両データ記憶部12と同様の構成の受信他車データ記憶部であり、受信機13が受信した情報を書き換え自在に記憶する。
【0025】
15は本発明の判定手段を形成する同一車両判定部であり、外界検出手段を形成する車両検知部8が検出した周囲車両の車両情報と、車車間通信手段の受信機13が通信相手の第2の車両3から受信した周囲車両の車両情報との比較から、第1、第2の車両2,3の共通の周囲車両(前方車両)である第3の車両42の車両情報を判定する。すなわち、車両検知部8が検出した周囲車両の車両情報と、第2の車両3から受信した車両情報との進行方向、加速度、速度等を比較し、第1、第2の車両2、3がそれぞれの自律センサによって共通に検出する第3の車両42を、第1、第2の車両2、3の情報が一致する最も近い共通の前方の車両として検出する。具体的には、例えば第1、第2の車両2、3それぞれを中心とする検索範囲を徐々に絞りつつ、その検索範囲内での車両の進行方、加速度、速度さらには車体の色等の順に情報が一致するものを選択して、情報が一致する最も近い共通の周囲車両としての第3の車両42を特定して検出する。このようにすることで、第1、第2の車両2、3が周囲車両として共通に検出する車両(情報が一致する車両)が複数台存在する場合にも、第1、第2の車両2、3それぞれの最も近い第3の車両42を共通の前方の車両として検出することができる。なお、第1、第2の車両2、3が検出する第3の車両42は共通に検出する複数台の車両のうちの異なる車両になることもある。
【0026】
16は本発明の算出手段としての位置算出部であり、同一車両判定部15の一致の判定に基づき、第1、第2の車両2、3が自律センサで検出した第3の車両42についての記憶部12、14の周囲車両の位置情報に基づき、第3の車両42の位置を基準にして、第1の車両(自車)2が自律センサで検出した車間距離等の第3の車両42の車両情報と、第2の車両3から受信した同車両3が自律センサで検出した車間距離等の第3の車両42の車両情報とにより、第1、第2の車両2、3の少なくともいずれか一方の位置を算出する。すなわち、第1の車両2の位置は、第1の車両2から第3の車両42までの車間距離(図中の2点破線矢印線)により第3の車両42の位置を基準にした相対距離で算出し、同様に、第2の車両3の位置は、第2の車両3から第3の車両42までの車間距離(図中の2点破線矢印線)により第3の車両42の位置を基準にした相対距離で算出する。この場合、いずれの位置についても、誤差の大きなGPSの測位情報は用いないで、第1、第2の車両2、3が自律センサで検出した高精度(誤差が数センチ程度)の車間距離の情報を用いるので、極めて高い精度でそれぞれの位置を算出できる。さらに、検知車両データ記憶部12の第1の車両2から第3の車両42までの車間距離と、受信他車データ記憶部14の第2の車両3から第3の車両42までの車間距離とにより、車両2、3の相対的な位置関係を極めて正確に把握して第1、第2の車両2、3の衝突の可能性等を正確に判断することができる。
【0027】
そして、位置算出部16の算出結果の位置情報は、位置情報出力部17から図示省略した衝突防止支援処理部等に出力する。また、この位置情報が共通の周囲車両としての第3の車両42の位置情報である旨の標識情報を付けて位置算出部16の算出結果の位置情報が車車間通信で送信される。
【0028】
なお、第2の車両3についても、第2の車両3から見ると、当該車両3が第1の車両(自車)、第1の車両2が第2の車両となり、同様に、第3の車両42の位置を基準にして、第1、第2の車両2、3の位置を、第2の車両3から第3の車両42までの車間距離、第1の車両2から第3の車両42までの車間距離により、第3の車両42の位置を基準にした相対距離で極めて高い精度で算出することができ、さらに、第1、第2の車両2、3から第3の車両42までの車間距離により、第1、第2の車両2、3の相対的な位置関係をきわめて正確に把握して車両2、3の衝突の可能性等を正確に判断することができる。
【0029】
ところで、第1、第2の車両2、3の共通の周囲車両である第3の車両42が検出されない場合には、第1、第2の車両2、3は、それぞれのGPS受信部6が受信した測位情報に基づいて自車位置を位置情報出力部17から出力する。
【0030】
そして、自車情報管理部5、車両検知部8、同一車両判定部15、位置算出部16、位置情報出力部17は、マイクロコンピュータのソフトウェア処理によって形成される。
【0031】
図3は同一車両判定部15、位置算出部16、位置情報出力部17の概略の処理手順例を示し、まず、周期的に同一車両判定部15が第3の車両42等の周囲車両の車両情報を判定し(ステップS1)、このとき、第1、第2の車両2、3が共に前方車両として自律センサで検出する共通の周囲車両としての第3の車両42については、情報が一致する車両と判定し、ステップS2を肯定(YES)で通過してステップS3に移行する。そして、位置算出部16により、車両2、3がそれぞれの自律センサで検出した第3の車両42の車両情報に基づき、第3の車両42の位置を基準にして、第1、第2の車両2、3の少なくともいずれか一方の位置を算出し(ステップS3)、位置情報出力部17により、算出した位置の情報を衝突防止支援処理部等に出力する(ステップS4)。
【0032】
なお、第1、第2の車両2、3の共通の周囲車両である第3の車両42が存在しなければ、ステップS1の判定において、一般車両41、43は第1、第2の車両2、3が共に自律センサで検出する共通の周囲車両ではないので、ステップS2を否定(NO)で通過してステップS5に移行し、GPS受信部6が受信した測位情報に基づいて自車位置を算出する。さらに、ステップS5からステップS4に移行し、算出した位置の情報を情報出力部17から出力する。
【0033】
したがって、前記実施形態の場合、第1、第2の車両2、3が、例えば図1の十字路の交差点1cに向かって南から北、東から西それぞれに走行し、互いの車両2、3がそれぞれの自律センサで認識できなくても、第1、第2の車両2、3は車車間通信の情報のやり取りにより、それぞれの自律センサで検出した共通の周囲車両である第3の車両42の位置の情報を含む車両情報を第1、第2の車両2、3間で共有し、第3の車両42の位置を基準にして、第1、第2の車両2、3の少なくともいずれか一方の位置(相対的な距離)を精度よく算出することができ、さらには、第1、第2の車両2、3の相対的な位置関係を正確に把握して車両2、3の衝突の可能性等を正確に判断することができる。
【0034】
(他の実施形態)
他の実施形態について、図4を参照して説明する。
【0035】
前記一実施形態の場合は、交差点1cに向かうシステム車両が第1、第2の車両2、3である場合について説明したが、本実施形態の場合、交差点1cに向かうシステム車両がさらに1台車増え、その走行状況が例えば図4に示すようになっているとする。
【0036】
図4は道路1の走行状況を模式的に示し、図4の場合、図1の走行状況に加え、さらに、道路1の東西路1bを西から交差点1cに向かってシステム車両である第4の車両18が走行し、その前を一般車両である第5の車両44が走行している状況である。
【0037】
この場合、第1、第2の車両2、3は、前記一実施例の場合と同様に動作し、第3の車両42を最も近い共通の周囲車両とし、自律センサで検出したその車両情報から第3の車両42の位置を基準にして、第1、第2の車両2、3の位置(相対距離)を精度よく算出し、算出結果の情報を第3の車両42の位置情報である旨の標識情報を付けて車車間通信で送信して周辺の各システム車両とやり取りする。
【0038】
一方、第4の車両18は、周囲車両として例えば第5の車両44の車両情報および第3の車両42の車両情報を自律センサで検出する。また、第1、第2の車両2、3がやり取りする車車間通信の情報を図2の受信機13で受信し、前記標識情報に基づき、第1、第2の車両2、3が自律センサで検出した第3の車両42の位置情報を取得する。
【0039】
そして、第4の車両18は、自律センサで検出した第3、第5の車両42、44の車間距離等の車両情報と、車車間通信により例えば第1の車両2から受信して取得した第1、第2の車両2、3の位置情報(相対的距離の情報)等とを組み合わせ、衝突の可能性がある前方の各車両2、3、42、44の自律センサによって検出された精度の高い位置情報(相対的距離)を取得する。具体的には、まず、第4の車両18が自律センサによって検出した周囲車両の車両情報(車間距離や方向等の情報)と、第4の車両18が第1の車両2から受信した第3の車両42の車両情報(車間距離や方向等の情報)との比較から、第4の車両18は第1、第2の車両2、3との共通の周囲車両としての第3の車両42を判別する。そして、第1の車両2については、第1の車両2が自律センサで検出した第3の車両42の車間距離や方向等の車両情報と、第4の車両18が自律センサで検出した第3の車両42の車間距離や方向等の車両情報との組み合わせから(共通の周囲車両を第3の車両42とする)、第1の車両2の位置情報を取得する。また、第2の車両3については、第2の車両3が自律センサで検出した第3の車両42の車間距離や方向等の車両情報と、第4の車両18が自律センサで検出した第3の車両42の車間距離や方向等の車両情報との組み合わせから(共通の周囲車両を第3の車両42とする)、第2の車両3の位置情報を取得する。車両42、44については、第4の車両18が自律センサで検出した車両42、44の車間距離から、それぞれの位置情報を取得する。なお、車両41については、同車両41が交差点1cに進入すると、第4の車両18が自律センサで車間距離を検出して位置情報を取得する。
【0040】
ところで、第4の車両18は、第3の車両42を共通の周囲車両(基準)として、前述と同様に基準から逆算して第4の車両18自身の位置情報を取得する。そして、第4の車両18の位置情報を車車間通信で第4の車両18から第1、第2の車両2、3に送ることにより、第1、第2の車両2、3は第4の車両18の位置情報を取得できる。
【0041】
つぎに、第4の車両18と第1、第2の車両2、3との共通の周囲車両は第3の車両42に限られるものではない。例えば、第4の車両18と第2の車両3とが第5の車両44を共通の周囲車両としてもよい。
【0042】
以上のように、本実施形態の場合、第2、第3の車両2、3の車車間通信による位置情報を、車車間通信を行なう第4の車両18により利用し、第4の車両18により、その前方の衝突可能性がある車両2、3、42、44等の位置情報(相対距離)を精度よく認識して衝突可能性等を予測できる。
【0043】
そして、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行なうことが可能であり、例えば、前記両実施形態においては、第1、第2の車両2、3が十字路の交差点1cに向かって南から北、東から西に交差するように走行する場合に適用して説明したが、第1、第2の車両2、3が道路1の同方向に一般車両(第3の車両42)を挟んで走行する場合や、第1、第2の車両2、3が互いに対向車であって、第1、第2の車両2、3のいずれかの前方を一般車両(第3の車両42)が走行する場合や、例えば第1の車両2が駐車場から第3の車両42、第2の車両3が縦走する道路1に飛び出すような場合等にも、同様に適用できるのは勿論である。
【0044】
また、前記両実施形態の前方レーザレーダ9、バックカメラ10に代えて、または、前方レーザレーダ9、バックカメラ10とともに、単眼のフロントカメラ、後方レーザレーダをそれぞれを設け、システム車の前方や後方の車両を、撮影画像の画像処理や、撮影画像の画像処理と測距データとを組み合わせたセンサフュージョンの処理で検出(認識)するようにしてもよい。
【0045】
つぎに、車車間通信処理装置は図2の構成に限るものではないのは勿論である。
【0046】
そして、本発明は、車車間通信を行なう種々の車両の衝突防止支援等に適用すことができる。
【符号の説明】
【0047】
2 第1の車両
3 第2の車両
5 自車情報管理部
8 車両検知部
11 車車間送信機
13 車車間受信機
15 同一車両判定部
16 位置算出部
18 第4の車両
42 第3の車両

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1、第2の車両が、それぞれを基準として検出した周囲車両の位置の情報を含む車両情報を車車間通信により相互にやり取りし、
前記第1、第2の車両が、
前記検出した周囲車両の車両情報と前記車車間通信により受信した車両情報とを比較して前記第1、第2の車両の共通の周囲車両である第3の車両の車両情報を判定し、
該判定に基づき、前記第3の車両の位置を基準にして、検出した前記第3の車両の車両情報と受信した前記第3の車両の車両情報とにより前記第1、第2の車両の少なくともいずれか一方の位置を算出することを特徴とする車車間通信処理方法。
【請求項2】
自車を基準として検出した周囲車両の位置の情報を含む車両情報を出力する外界検出手段と、
前記外界検出手段の車両情報を車車間通信により送信する車車間通信手段と、
自車の前記外界認識手段が検出した車両情報と、自車を第1の車両として前記車車間通信手段が通信相手の第2の車両から受信した車両情報との比較から、前記第1、第2の車両の共通の周囲車両である第3の車両の車両情報を判定する判定手段と、
前記判定手段の判定に基づき、前記第3の車両の位置を基準にして、自車が検出した前記第3の車両の車両情報と前記第2の車両から受信した前記第3の車両の車両情報とにより前記第1、第2の車両の少なくともいずれか一方の位置を算出する算出手段とを備えたことを特徴とする車車間通信処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−34132(P2011−34132A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−176792(P2009−176792)
【出願日】平成21年7月29日(2009.7.29)
【出願人】(000002967)ダイハツ工業株式会社 (2,560)
【Fターム(参考)】