説明

車載充電装置およびこれを用いた車両

【課題】車載充電装置を経由させる場合であっても、電力線通信ができるようにすることを目的とする。
【解決手段】車載充電装置12は、給電口に供給される電力を蓄電する蓄電装置と、蓄電装置に蓄電された電力により車輪を回転させる車輪駆動部と、蓄電装置から電力線を介して接続される車載機器とを有する車両に備えられるものであって、給電口から供給される電力を交流から直流に変換し、蓄電装置に出力するAC/DC変換部22と、給電口から入力された電力線通信の信号をAC/DC変換部22を迂回させるコンデンサ20とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載充電装置およびこれを用いた車両に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境にやさしい車両として、蓄電装置と駆動装置としてのモータとを搭載し、蓄電装置の充電電力を用いてモータを駆動する電気自動車が注目されつつある。このような車両では、外部の充電装置により電力が供給されていた。すなわち、車両では、車両本体外の充電装置から電力線を介して電力が供給され、供給された電力を蓄電装置に蓄電していた(例えば、特許文献1参照)。また、従来の車両では、蓄電装置から車内の各種の車載機器に電力を供給していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−252016号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般の住宅では、充電装置は住宅に隣接した場所に設置され、住宅内の電源の電力を利用して車両に電力を供給する。
【0005】
ところで、充電中に住宅内にある情報機器を電力線を介して車両内の車載機器と接続して通信を行えば、新たな配線を行うこともなく宅内から容易に車載機器に新しい情報を登録させることができ便利である。
【0006】
しかしながら、一般住宅では交流電源が使用されているため、蓄電装置と直接接続することができなかった。このため、充電装置と蓄電装置との間に車載充電装置を設け、車載充電装置により電力を交流から直流に変換する必要があった。このような車載充電装置では高周波信号が通過できないので、情報機器と車載機器との間で電力線通信ができないという課題があった。
【0007】
そこで本発明は、車載充電装置を経由する場合であっても、電力線通信ができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的を達成するために、本発明の車載充電装置は、給電口に供給される電力を蓄電する蓄電装置と、蓄電装置に蓄電された電力により車輪を回転させる車輪駆動部と、蓄電装置から電力線を介して接続される車載機器とを有する車両に備えられるものであって、給電口から供給される電力を交流から直流に変換し、蓄電装置に出力する第1の電力変換部と、第1の電力変換部を通過できない電力線通信の信号を迂回させる第1の迂回部とを備えたことを特徴とする。
【0009】
また本発明の車両は、上記した車載充電装置と、給電口に供給される電力を車載充電装置を介して蓄電する蓄電装置と、蓄電装置に蓄電された電力により車輪を回転させる車輪駆動部と、蓄電装置から電力線を介して接続される車載機器とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の車載充電装置は、給電口から供給される電力を交流から直流に変換し、蓄電装置に出力する第1の電力変換部と、第1の電力変換部を通過できない電力線通信の信号を迂回させる第1の迂回部とを備えた構成としたので、電力線通信の信号は第1の迂回部により第1の電力変換部を迂回でき、車載充電装置を経由させても、例えば、車両本体外の情報機器と車載機器とが電力線を介して電力線通信をすることができる。
【0011】
また本発明の車両は、上記した車載充電装置と、給電口に供給される電力を車載充電装置を介して蓄電する蓄電装置と、蓄電装置に蓄電された電力により車輪を回転させる車輪駆動部と、蓄電装置から電力線を介して接続される車載機器とを備えているので、電力線通信の信号は第1の迂回部により第1の電力変換部を迂回でき、車載充電装置を経由させても、電力線通信をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態1における車両充電システムの構成を示す概要図
【図2】同車両充電システムの車両の構成を示す概要図
【図3】同車両充電システムの車両の構成を示すブロック図
【図4】図2に示した車両に載置した車載充電装置の構成を示すブロック図
【図5】同車両に載置した蓄電装置の構成を示すブロック図
【図6】本発明の実施の形態2における車両の構成を示す概要図
【図7】同車両の車載充電装置の構成を示すブロック図
【図8】図7の変形例を示したブロック図
【図9】図7のさらなる変形例を示したブロック図
【図10】図7のさらなる変形例を示したブロック図
【図11】図10の変形例を示したブロック図
【図12】同車両における電圧変換装置の構成を示したブロック図
【図13】図5の変形例を示したブロック図
【図14】車載充電装置の筐体の構成を示した斜視図
【図15】図7のさらなる変形例を示したブロック図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、各図において同一または相当の部分には同一の符号を付して説明する。
【0014】
(実施の形態1)
まず、図1〜図4を参照しながら、本発明の実施の形態1における車両充電システムについて説明する。ここでは、車両として、蓄電装置と車輪を回転させる車輪駆動部としてのモータとを搭載し、蓄電装置の充電電力を用いてモータを駆動する電気自動車の場合を例として説明する。
【0015】
図1は、本発明の実施の形態1における車両充電システム1の構成を示す概要図である。図1において、車両充電システム1は、充電装置3と、充電装置3と電力線4(第1の電力線)を介して接続された車両2とを備えている。
【0016】
一般の住宅6では、充電装置3は、住宅6に隣接した場所に設置され、住宅6の電源7に接続される。例えば、電源7の電力線7aに接続されている宅外のコンセントに充電装置3の電源プラグを接続する。これにより、充電装置3に必要となる電力が住宅6の電源7から供給される。
【0017】
そして、充電装置3は住宅6の電源7の電力を利用して車両2に電力を供給する。これにより、車両充電システム1では、電力線4を介して車両2に電力が供給され、車両2の蓄電装置10に電力が充電される。
【0018】
図2は、本発明の実施の形態1における車両充電システム1の車両2の構成を示す概要図である。図2に示すように、車両2は、給電口5に電力が供給されると車両本体2aの蓄電装置10に蓄電する。
【0019】
しかし、蓄電装置10は直流の電力を蓄積し、一般の住宅6では交流電源が使用されているため、充電装置3と蓄電装置10とを直接接続することができない。このため、充電装置3と蓄電装置10との間に車載充電装置12を設け、車載充電装置12により電力を交流から直流に変換する。
【0020】
図3は、本発明の実施の形態1における車両充電システム1の車両2の構成を示すブロック図である。図3に示すように、給電口5は電力線12aを介して車載充電装置12に接続される。また、車載充電装置12は、電力線12bを介して蓄電装置10に接続される。
【0021】
充電作業を行う場合、まず車両保有者は、車両2が勝手に発進するなど動き出さないように車両2の車両キーを停止状態にしてから車両2を離れる、すなわち安全のために蓄電装置10からモータ駆動部16への電力供給を停止する。具体的には、車両2を停止状態にした場合には、スイッチ(接続部)15を開状態、すなわち非接続状態にし、蓄電装置10からモータ駆動部16への電力の供給を停止する。
【0022】
その後、車両保有者は、車両2の給電口5に充電装置3からの電力線4を接続する。これにより、充電装置3から車両2に電力を供給できる。
【0023】
充電作業が完了した後、車両2では、蓄電装置10に蓄電された電力をモータ駆動部16に供給し、モータ駆動部16によりモータ(車輪駆動部)17を駆動する。また、車両2では、車両制御部14によりモータ駆動部16を制御し、モータ17により車輪18を回転させ、他の場所に移動することができる。
【0024】
ところで、図1に示すように、車両2の充電作業は数時間かかるので、この充電中に、住宅6内の情報機器8から電力線7a、電力線4を介して車両2の車載機器11と電力線通信ができれば、新たな配線を行うこともなく容易に車載機器11に新しい情報を登録させるなどすることができ便利である。例えば、情報機器8として、例えば、パーソナルコンピュータを利用する。また、車載機器11として、例えば、カーナビゲーションシステムなどを利用できる。この車載機器11に旅行先の情報などを送信して登録すれば、充電時間を有効に利用でき便利である。なお、車載機器11は蓄電装置10の電力線10a(第2の電力線)に接続され、電力が供給されている。また、車載機器11の通信部(図示せず)は、電力線通信部11aを介して蓄電装置10の電力線10aに接続されている。
【0025】
しかしながら、車載充電装置12(図2)は、回路で使用されるスイッチングトランスなどの素子が低周波の商用周波数で損失が小さくなるように設計されるので、電力線通信の高周波信号では損失が大きくなり、高周波信号を通過させることができない。このため、情報機器8と車載機器11との間で電力線通信ができない。
【0026】
そこで実施の形態1では、車載充電装置12を図4に示す構成とした。図4は図2に示した車両2に載置した車載充電装置12の構成を示すブロック図である。
【0027】
すなわち、車載充電装置12は、供給される電力を交流から直流に変換するAC/DC変換部22(第1の電力変換部)を有し、端子Aと端子Bとをコンデンサ20(第1の迂回部)を介して接続した。ここで、端子Aは給電口5と接続されている。また、端子Bは蓄電装置10と接続されている。
【0028】
AC/DC変換部22は、電力を交流から直流に変換するものである。交流(例えば、電圧100ボルト〜200ボルト)を直流(例えば、後述するように、図5のモータ用蓄電部10b用として電圧約300ボルトまたは車載機器用蓄電部10c用として電圧12ボルト〜14ボルト)に変換する。
【0029】
この構成により、車載充電装置12は、給電口5から供給される電力を交流から直流に変換し、変換された電力(直流)を蓄電装置10に供給することができる。また、電力線通信の信号は2MHz〜30MHzの範囲の周波数であり、高周波信号が使用される。このため、電力線通信の信号はコンデンサ20を通過することができる。これにより、電力線通信の信号を、コンデンサ20によりAC/DC変換部22を迂回させ、車載充電装置12を通過させる。
【0030】
なお、端子AとAC/DC変換部22との間にはコイル21を設けた。コイル21は、インダクタンスを利用する電線を巻いた受動素子である。これにより、電力線通信の信号がAC/DC変換部22に回り込んで吸収され、信号の損失が発生するのを防ぐ。給電口5から供給される交流の周波数は50Hz〜60Hzと電力線通信の高周波信号に比べて低いため、コイル21のインダクタンスを小さくでき、これにより電力損失を小さくできる。
【0031】
図5は、図2に示した車両2に載置した蓄電装置10の構成を示すブロック図である。図5において、蓄電装置10は、モータ用蓄電部10bと、車載機器用蓄電部10cと、コイル10d〜10fと、コンデンサ10gとを備えている。
【0032】
モータ用蓄電部10bは、入力端子からコイル10dを介して蓄電された約300ボルトの電力を、例えば500ボルト〜700ボルトに内部昇圧し、出力端子Aに出力する。昇圧された電力は出力端子Aからスイッチ15(図3)を介してモータ駆動部16(図3)に供給される。電力線通信の信号がモータ用蓄電部10bに吸収されるのをコイル10dにより防止している。またコイル10dは、モータ用蓄電部10bから発生するノイズを抑制する。
【0033】
車載機器用蓄電部10cは、入力端子からコイル10eを介して入力し、蓄電された電力(例えば、12ボルト〜14ボルト)を、コイル10f、電力線10aを介して車載機器11に供給する。電力線通信の信号が車載機器用蓄電部10cに吸収されるのをコイル10eおよびコイル10fにより防止している。またコイル10e、コイル10fは、車載機器用蓄電部10cから発生するノイズを抑制する。
【0034】
また、入力端子と出力端子Bとがコンデンサ10g(第3の迂回部)を介して接続されている。電力線通信の信号は、入力端子からコンデンサ10gを経由して出力端子Bに迂回できる。これにより、車載充電装置12(図4)の端子Bと車載機器11との間で、電力線12b、コンデンサ10g、電力線10aを介して電力線通信ができる。
【0035】
なお、図5において、車載機器用蓄電部10cの入力と出力が共通である場合には、入力端子と出力端子Bとを短絡すればよく、コンデンサ10gはなくてもよい。さらに、コイル10eとコイル10fは1つのコイルで代用できる。この場合は、車載充電装置12(図4)の端子Bと車載機器11とが、電力線12b、電力線10aを介して直接接続される。この場合でも、電力線通信の信号が車載機器用蓄電部10cに吸収されるのを防ぐと共に、車載機器用蓄電部10cから発生するノイズをコイルで抑制することができる。
【0036】
以上のように実施の形態1によれば、図1および図2に示すように、車載充電装置12内では、電力線通信の信号はコンデンサ20によりAC/DC変換部22を迂回できるので、車載充電装置12を経由させても、情報機器8と車載機器11とが電力線通信できる。これにより、例えば、情報機器8を電力線通信装置9を介して住宅6の電力線7aに接続すれば、住宅6内から情報機器8により、車両2の車載機器11に旅行先の情報などを送信して登録させることができ、充電中の時間を有効に活用でき、利便性が向上する。
【0037】
(実施の形態2)
次に、図6および図7を参照しながら、本発明の実施の形態2における車両2について説明する。実施の形態2では、車両2の他の構成例として、複数の機器を電力線を介して通信させている。
【0038】
図6は、本発明の実施の形態2における車両2の構成を示す概要図である。図6において、車両2の中で、例えば、車載機器11と車載機器40とを通信させ、座席2bの前に取り付けられている車載機器11の画面に出力される映像を、座席2bの後ろにある車載機器40でも見られるようにする。また、車載機器40は交流電源、すなわち図1の住宅6の電源7でも動作できるものを使用する。
【0039】
この場合、車載充電装置30は、蓄電装置10の電力を直流から交流に電力変換し、電力線12cに出力する必要がある。電力線12cにはコンセント13が設けられ、このコンセント13に車載機器40の電源プラグが接続される。電力線12cの出力電圧を100ボルト〜120ボルトにすれば、一般の家庭に使用される電気製品をそのまま使用することができ、便利である。また、車載機器40は電力線通信部40aを備え、電力線通信部40aを電力線12cに接続して電力線通信を行う。
【0040】
図7は、本発明の実施の形態2における車両2の車載充電装置30の構成を示すブロック図である。図7に示すように、車載充電装置30は、コンデンサ20と、コイル21と、AC/DC変換部22と、DC/AC変換部23(第2の電力変換部)と、コンデンサ24(第2の迂回部)とを備えている。
【0041】
コンデンサ20、コイル21およびAC/DC変換部22は、車載充電装置12のものと同様なものである。
【0042】
DC/AC変換部23は、電力を直流から交流に電力変換するものであり、例えば、蓄電装置10の直流電圧(例えば、12ボルト〜14ボルト)を交流電圧(例えば100ボルト〜120ボルト)に変換する。
【0043】
しかしながら、DC/AC変換部23は、AC/DC変換部22と同様に、回路に使用されるスイッチングトランスなどの素子が低周波の商用周波数で損失が小さくなるように設計されるので、電力線通信の高周波信号では損失が大きくなり、高周波信号を通過させることができない。このため、端子Bから端子Cまたは端子Cから端子Bへ電力線通信の信号が通過できず、車載機器11と車載機器40との間で車載充電装置30を経由して電力線通信を行うことができない。
【0044】
そこで実施の形態2では、端子Bと端子Cとをコンデンサ24を介して接続した。ここで、端子Bは電力線12bを介して蓄電装置10と、端子Cは電力線12cを介してコンセント13と、端子Aは電力線12aを介して給電口5とそれぞれ接続されている。
【0045】
これにより、電力線通信の信号を、端子Bからコンデンサ24を介してDC/AC変換部23を迂回させ、端子Cに通過させ、これにより車載充電装置30を通過させる。同様に、電力線通信の信号を、端子Cからコンデンサ24を介してDC/AC変換部23を迂回させ、端子Bに通過させ、これにより車載充電装置30を通過させる。
【0046】
また、コンデンサ24を設けたことで、電力線通信の信号を、端子Aからコンデンサ20およびコンデンサ24を介してAC/DC変換部22およびDC/AC変換部23を迂回させ、端子Cに通過させる。同様に、電力線通信の信号を、端子Cからコンデンサ20およびコンデンサ24を介してAC/DC変換部22およびDC/AC変換部23を迂回させて端子Aに通過させる。これにより、情報機器8は、車載機器11または車載機器40と車載充電装置30を介して電力線通信を行うことができる。
【0047】
また、本発明の実施の形態1の図4と同様に、電力線通信のノイズがAC/DC変換部22およびDC/AC変換部23に回り込むのを防ぐため、端子AとAC/DC変換部22との間、端子BとAC/DC変換部22との間、端子BとDC/AC変換部23との間、端子CとDC/AC変換部23との間にコイル21を設けている。
【0048】
なお、図7の車載充電装置30では、端子Bと端子Cとにコンデンサ24を接続したが、これに限定されるものではない。例えば、図8に示すように、端子Aと端子Cとをコンデンサ24を介して接続するようにしてもよい。これによっても、電力線通信の信号を端子Aからコンデンサ24を介して端子Cに通過させることができる。同様に、電力線通信の信号を端子Cからコンデンサ24を介して端子Aに通過させることができる。
【0049】
さらに、電力線通信の信号を端子Bからコンデンサ20およびコンデンサ24を介してAC/DC変換部22およびDC/AC変換部23を迂回させて端子Cに通過させることができる。同様に、電力線通信の信号を端子Cからコンデンサ20およびコンデンサ24を介してAC/DC変換部22およびDC/AC変換部23を迂回させて端子Bに通過させることができる。
【0050】
また、図8において、端子Aと端子Bとの間にあるコンデンサ20を取り外し、端子Bと端子Cとをコンデンサ20を介して接続するようにしてもよい。これによっても、同様に、端子Aと端子Bの間、端子Bと端子Cの間、端子Aと端子Cの間で電力線通信の信号を通過させることができる。
【0051】
また、図9に示すように、端子Aの線路インピーダンスが高く、端子Bの線路インピーダンスが低い場合、インピーダンスが不整合な状態となる。
【0052】
そこで、図7のコンデンサ20に代えて、迂回部25を設けてもよい。迂回部25は、N:1の巻き線数の比を有する通信トランス25aと、この通信トランス25aの両端にそれぞれ直列に接続したコンデンサ25bとを備えている。通信トランス25aは、路線インピーダンスの高い端子側の巻き線数の比を路線インピーダンスに応じて高くする。図9では端子A側の路線インピーダンスが高いため、端子A側の巻き線数の比を高くしている。これにより、端子Aと端子Bとのインピーダンスを整合させながら電力線通信の信号を端子Aから端子Bまたは端子Bから端子Aに通過させることができる。
【0053】
同様に、端子Cの線路インピーダンスが高く、端子Bの線路インピーダンスが低い場合、図7のコンデンサ24に代えて、迂回部25を設けてもよい。この場合、通信トランス25aは、路線インピーダンスの高い端子C側の巻き線数の比を高くする。これにより、端子Cと端子Bとのインピーダンスを整合させながら電力線通信の信号を端子Bから端子Cまたは端子Cから端子Bに通過させることができる。
【0054】
以上のように実施の形態2によれば、図6および図7に示すように、車載充電装置30内では、電力線通信の信号は、コンデンサ20またはコンデンサ24により、AC/DC変換部22およびDC/AC変換部23を迂回でき、車載充電装置30を経由させる場合であっても、電力線通信ができる。
【0055】
これにより、車両2の中で、車載充電装置30を経由させ、複数の機器の間で電力線通信が行え、例えば、車載機器11と車載機器40とを通信させ、座席2bの前に取り付けられている車載機器11の画面に出力される映像を、座席2bの後ろにある車載機器40で見せることもできる。車両2の中で複数の機器を連携して動作させることができ、利便性が向上する。また、車載充電装置30は、交流電源、直流電源を各車載機器に提供できるので、車両2内で様々な電源仕様の機器で活用でき、さらに利便性が向上する。
【0056】
なお、図7の車載充電装置30は、端子A、端子Bおよび端子Cから、電力線通信の信号を取り出せるようにしたが、これに限定されない。例えば、図10に示すように、車載充電装置31は、新たに端子Dを設け、端子Aと端子Dとをコンデンサ26を介して接続するようにしてもよい。これにより、端子Aから入力される電力線通信の信号を端子Dに出力することができる。この構成によれば、端子Dから電力線31aを介して電力線通信の信号を注入、抽出することができ、各車載機器を接続して通信手段として利用することができる。
【0057】
また、図11に示すように、図10のコンデンサ26をインターフェイス27および通信部28に代えてもよい。端子Aはインターフェイス27を介して通信部28と接続されている。これにより、電力線通信を他の異なる通信手段に変換して端子Dに出力でき、各車載機器の通信方式に適合させやすくなるので、利便性が向上する。
【0058】
また、図12に示すように、電力線10aの途中で、電圧変換装置50を挿入してもよい。電圧変換装置50は、車載充電装置30から出力される直流電圧と車載機器11の動作電圧を整合させるために設けられる。この場合、電圧変換装置50は、入力端子からコイル50bを介して入力した直流電圧を異なる直流電圧に変換するDC/DC変換部50aを有し、DC/DC変換部50aはコイル50cを介して出力端子に出力する。さらに、電圧変換装置50は、入力端子と出力端子とがコンデンサ50dを介して接続されている。コイル50bおよびコイル50cにより、電力線通信の信号がDC/DC変換部50aに吸収されるのを防止すると共に、コイル50bおよびコイル50cは、DC/DC変換部50aから発生するノイズが電力線通信に混入するのを抑えている。また、コンデンサ50dにより、電力線通信の信号は、DC/DC変換部50aを迂回できる。これにより、電力線10aの途中に電圧変換装置50を挿入しても電力線10bを用いて電力線通信ができ、機器の様々な電源仕様に対応できる。
【0059】
また、図13に示すように、蓄電装置10の内部に電力線通信部10hと、この電力線通信部10hに電力を供給するバッテリ10iとを備えた場合、電力線12bからコンデンサ10jを介して電力線通信部10hに接続する。これにより、蓄電装置10の残量、寿命などの情報を電力線12bを介して転送することができる。寿命を示す情報としては、例えば、充電回数、使用期間などが考えられる。
【0060】
また、図14に示すように、車載充電装置12は、内面32aの全ての面が電磁シールド材で覆われている筐体32に回路を収納するようにしてもよい。これにより、AC/DC変換部22またはDC/AC変換部23から発生する不要な輻射を筐体32の外部に漏らすのを抑える。これにより、不要輻射による他の電子機器への影響を抑える。例えば、車両2に搭載されているラジオ受信機などへの不要輻射によるノイズを抑える。同様に、車載充電装置30および車載充電装置31を筐体32に収納するようにしてもよい。
【0061】
また、AC/DC変換部22の出力電圧とDC/AC変換部23の入力電圧が異なる場合は、AC/DC変換部22とDC/AC変換部23で端子Bを共用できない(図7を参照)。このような場合、図15に示すように、車載充電装置30の構成に代えて、例えば車載充電装置33の構成とする。すなわち、AC/DC変換部22とDC/AC変換部23のそれぞれについて独立した専用の端子を設ける。図15の例では、AC/DC変換部22用の端子として端子BをDC/AC変換部23用の端子として端子Eを設けている。この端子Eに蓄電装置10からの電力が供給される。
【0062】
また、コンデンサ29(第3の迂回部)は、端子B−端子C間および端子A−端子C間で電力線通信の信号を往来させるための迂回部として、電力線12aと電力線12cとを接続するように設けられている。コンデンサ29は、商用電源の周波数に対しては高いインピーダンスを有し、電力線通信の信号の周波数(2MHz〜28MHz)に対しては低いインピーダンスを有する。なお、コンデンサ29は、電力線12bと電力線12dとを接続するように設けてもよいし、電力線12aと電力線12c、電力線12bと電力線12dとをそれぞれコンデンサ29により接続する構成としてもよい。これにより、AC/DC変換部22の出力電圧とDC/AC変換部23の入力電圧が異なる場合であっても、端子B−端子C間および端子A−端子C間で電力線通信の信号を往来させることができる。
【0063】
また、端子Aと端子Cとの間にスイッチ33aを設けてもよい。スイッチ33aの動作は、スイッチ15と連動するように設定する。具体的には、車両2が停止している間(スイッチ15が非接続状態のとき)は当該スイッチが接続状態となるように設定し、スイッチ15が接続状態のときは当該スイッチが非接続状態となるように設定する。これにより、スイッチ15を非接続にして蓄電装置10を充電する状態では、車載機器40は、電力線12aおよび電力線12cを介して住宅6内の電源7から電力の供給を受けることが可能になる。また、スイッチ15を接続している状態では、車載機器40は、蓄電装置10から電力の供給を受けることが可能になる。
【0064】
なお、本発明の具体的な構成は、上述した実施の形態1、2に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更および修正が可能である。
【0065】
また、電気自動車を例に説明したが、本発明はこれに限定されず、例えば、モータとエンジンとを併用するハイブリッド自動車にも適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明の車載充電装置は、給電口に供給される電力を蓄電する蓄電装置と、蓄電装置に蓄電された電力により車輪を回転させる車輪駆動部と、蓄電装置から電力線を介して接続される車載機器とを有する車両に備えられるものであって、給電口から供給される電力を交流から直流に変換し、蓄電装置に出力する第1の電力変換部と、給電口から入力された電力線通信の信号を第1の電力変換部を迂回させる第1の迂回部とを備えた構成としたので、電力線通信の信号は第1の迂回部により第1の電力変換部を迂回でき、車載充電装置を経由させても、例えば、車両本体外の情報機器と車載機器とが電力線を介して電力線通信ができる。
【0067】
これにより、車両本体外の充電装置から電力線を介して蓄電装置に電力を蓄電し、この蓄電した電力を利用して車輪を車輪駆動部で回転させて走行する電気自動車やハイブリッド自動車などの車両に搭載する車載充電装置およびこれを用いた車両に有用なものである。
【符号の説明】
【0068】
1 車両充電システム
2 車両
2a 車両本体
2b 座席
3 充電装置
4 電力線(第1の電力線)
5 給電口
6 住宅
7 電源
7a,12a,12b,12c,12d,31a 電力線
8 情報機器
9 電力線通信装置
10 蓄電装置
10a 電力線(第2の電力線)
10b モータ用蓄電部
10c 車載機器用蓄電部
10d,10e,10f,21,50b,50c コイル
10g コンデンサ(第3の迂回部)
10h,11a,40a 電力線通信部
10i バッテリ
10j,25b,26,50d コンデンサ
11,40 車載機器
12,30,31,33 車載充電装置
13 コンセント
14 車両制御部
15 スイッチ(接続部)
16 モータ駆動部
17 モータ(車輪駆動部)
18 車輪
20 コンデンサ(第1の迂回部)
22 AC/DC変換部(第1の電力変換部)
23 DC/AC変換部(第2の電力変換部)
24 コンデンサ(第2の迂回部)
25 迂回部
25a 通信トランス
27 インターフェイス
28 通信部
29 コンデンサ(第3の迂回部)
32 筐体
32a 内面
33a スイッチ
50 電圧変換装置
50a DC/DC変換部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
給電口に供給される電力を蓄電する蓄電装置と、前記蓄電装置に蓄電された電力により車輪を回転させる車輪駆動部と、前記蓄電装置から電力線を介して接続される車載機器とを有する車両に備えられるものであって、
前記給電口から供給される電力を交流から直流に変換し、前記蓄電装置に出力する第1の電力変換部と、
前記第1の電力変換部を通過できない電力線通信の信号を迂回させる第1の迂回部とを備えたことを特徴とする車載充電装置。
【請求項2】
前記蓄電装置の電力を直流から交流に変換し、前記車載機器に出力する第2の電力変換部と、
前記第2の電力変換部を通過できない電力線通信の信号を迂回させる第2の迂回部とを設けたことを特徴とする請求項1に記載の車載充電装置。
【請求項3】
前記第1の電力変換部の入力端子と前記第2の電力変換部の出力端子、または、前記第1の電力変換部の出力端子と前記第2の電力変換部の入力端子との間に設けられると共に、前記電力線通信の信号を迂回させる第3の迂回部を設けたことを特徴とする請求項2に記載の車載充電装置。
【請求項4】
前記第1の迂回部、前記第2の迂回部または前記第3の迂回部は、コンデンサで構成されていることを特徴とする請求項3に記載の車載充電装置。
【請求項5】
前記第1の迂回部または前記第2の迂回部は、
N:1の巻き線数の比を有する通信トランスと、
この通信トランスの両端にそれぞれ接続されたコンデンサとを備え、
前記通信トランスは、路線インピーダンスの高い端子側の巻き線数の比を高くしたことを特徴とする請求項2に記載の車載充電装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の車載充電装置と、
給電口に供給される電力を前記車載充電装置を介して蓄電する蓄電装置と、
前記蓄電装置に蓄電された電力により車輪を回転させる車輪駆動部と、
前記蓄電装置から電力線を介して接続される車載機器とを備えたことを特徴とする車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−151519(P2012−151519A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−178600(P2009−178600)
【出願日】平成21年7月31日(2009.7.31)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】