説明

車載受信装置

【課題】極力コストを抑えつつ、車両制御システムをユーザに安心して使用させることができる車載受信装置を提供する。
【解決手段】
車両のエンジンが停止している間に、AMPから入力されるRSSI信号に基づき信号強度(RSSI)が予め設定された基準レベル以上であると判断(S110;YES)し、且つ、CMPから入力されるシリアルデータに含まれているIDコードの認証に失敗した場合(S120;NO)に、対象車両の駐車場所における通信環境の状態を表す状態フラグFaを、妨害波が存在していることを表す1に設定(S140)すると共に、RAMに記憶されている位置情報を、妨害波が存在している位置を表す妨害波情報として記憶(S150)する。その後、IDコードの認証に成功した場合(S120;YES)に、状態フラグFaが1であれば(S165;YES)、アラーム報知(S170)を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載されてその車両外部から無線信号を受信することにより、車両ドアのロック/アンロック等の車両制御を行う車載受信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、予め設定された周波数(以下、固定周波数という)の電波を用いて、車両に固有のIDコードを含む信号を送信する送信機と、固定周波数の信号を受信してその信号に含まれるIDコードに基づき、送信元(即ち、送信機)が予め登録された正規のものであることを確認すると各種車両制御を行う車載受信装置とからなる車両制御システムが知られている。
【0003】
この種の車両制御システムの一つとして、車両のユーザに携帯される送信機(以下、携帯機という)のボタンをユーザが押下することにより、当該車両に設けられたドア(即ち、車両ドア)のロック/アンロックを実行するキーレスエントリシステムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、このようなキーレスエントリシステムを発展させたものとして、携帯機としての電子キーを所持したユーザが車両周囲の無線通信エリア内に入ると、電子キーと車載受信装置との双方向通信により、車載受信装置が送信元(即ち、電子キー)を確認するスマートエントリシステムがある。
【特許文献1】特開2002−129794号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来のキーレスエントリシステムやスマートエントリシステム等の車両制御システムでは、車両の駐車位置に、携帯機から送信される電波を妨害する電波(以下、妨害波という)が存在する場合に、当該システムがうまく動作しない可能性があった。
【0006】
このような場合に、その原因が容易にわからないために、どのように対応してよいかわからないという不安な気持ちをユーザ側に抱かせてしまったり、車両の販売やメンテナンスを行うディーラ側も、その原因究明に迅速に対処できなかったりする場合があるという問題があった。
【0007】
本発明は、上記問題点を解決するために、極力コストを抑えつつ、車両制御システムをユーザに安心して使用させることができる車載受信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するためになされた請求項1に記載の車載受信装置は、ユーザに使用される車両(以下、対象車両という)に搭載されて、ユーザに所持される携帯機と共に車両制御システムを構成し、この車両制御システムに用いられる信号(以下、キーレス信号という)を携帯機から受信すると、例えば対象車両に設けられたドア(以下、車両ドアという)のロック/アンロック制御に代表される各種車両制御を行う。
【0009】
具体的には、受信手段が、キーレス信号と同じ周波数に予め設定された固定周波数の無線信号を受信し、コード認証手段が、受信手段からの受信信号に含まれているIDコードを認証(即ち、IDコードが対象車両に固有のものであるか否かを判定)する。そして、車両制御手段が、コード判定手段によってIDコードの認証に成功した場合に、受信信号に含まれている制御情報に従って対象車両の車両状態の制御(例えば、車両ドアのロック/アンロック制御)を行う。
【0010】
ここで、強度判定手段が、受信手段からの受信信号の信号強度を判定する。そして、強度判定手段によって信号強度が予め設定された基準レベル以上であると判定され、且つ、コード判定手段によってIDコードの認証に失敗したことを報知条件として、受信報知手段が、対象車両の現在位置に妨害波が存在していることを報知する処理(以下、報知処理という)を、報知条件を満たす場合に実行する。なお、妨害波とは、携帯機からの送信信号(即ち、キーレス信号)の受信を妨害する電波のことをいう。
【0011】
つまり、本発明の車載受信装置は、受信手段を介して受信した固定周波数の無線信号について、信号強度が基準レベル以上であって対象車両に固有のIDコードの認証に成功できなければ、その無線信号を妨害波とみなして報知処理を実行するように構成されている。
【0012】
したがって、本発明の車載受信装置によれば、妨害波によって、携帯機からの遠隔操作がうまく動作しない状況であっても、その原因となった妨害波の存在を自動的に報知するため、その原因に基づく対応をユーザに適切にとらせることができ、ひいてはユーザに安心して車両制御システムを使用させることができる。
【0013】
なお且つ、本発明の車載受信装置によれば、従来の車載受信装置の装置構成を残存させているため、当該装置にかかる製造コストを抑制することができる。
さらに言えば、請求項2に記載のように、位置取得手段が、対象車両の現在位置を表す位置情報を取得し、第一記憶手段が、対象車両が駐車したことを検出すると、位置取得手段により取得された位置情報を一時的に記憶する。そして、第二記憶手段が、対象車両のエンジンが停止している間、報知条件を満たす場合に、第一記憶手段により記憶された位置情報を、妨害波の存在する位置を表す妨害波情報として記憶することが望ましい。
【0014】
このように構成された車載受信装置によれば、妨害波の存在する位置を表す情報(即ち、妨害波情報)を蓄積していくことができ、ひいては、この蓄積された妨害波情報を、例えば、固定周波数の変更などによる車両制御システムの設計変更にフィードバックさせることができる。
【0015】
また、この場合、第二記憶手段により妨害波情報を記憶するときの対象車両の現在位置が、対象車両の駐車場所、即ち、携帯機から対象車両の遠隔操作を行う場所に限定されるため、妨害波情報の記憶量を不要に増大させることを防止することができる。
【0016】
そして、請求項3に記載のように、対象車両のエンジンが作動している間、位置報知手段が、位置取得手段により取得された位置情報と、第二記憶手段により記憶された妨害波情報とが一致する場合に、報知処理を実行することが望ましい。
【0017】
この場合、対象車両のエンジンが作動している間であれば、既存のナビゲーションシステムを利用して位置情報を順次取得し、この位置情報と過去に蓄積した妨害波情報とに基づいて、過去に妨害波情報を記憶した場所に対象車両が至ると随時、妨害波が存在することをユーザに報知するため、過去に蓄積した妨害波情報を有効に利用することができる。
【0018】
なお、請求項4に記載のように、受信報知手段は、コード認証手段によってIDコードの認証に成功した場合に、報知処理を実行することが好ましい。この場合、対象車両が駐車している状態であって、ユーザが対象車両の付近にいなければ、妨害波の存在を報知することがないため、自装置の制御の無駄を省くことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下に、本発明の実施形態を図面と共に説明する。
<全体構成>
図1は、本発明が適用された車載受信装置が構成するキーレスエントリシステムの概要を示すブロック図である。
【0020】
図1に示すように、キーレスエントリシステム1は、システムの対象となる車両(以下、対象車両という)のユーザに携帯される送信機(以下、携帯機という)2と、この対象車両に搭載される車載受信装置3および複数の車両制御装置(以下、ECUという)4とからなる。なお、複数のECU4には、各種車両状態の制御を行うボデーECU4aと、対象車両の現在位置から目的地までの経路案内のための制御を行うナビECU4bとが少なくとも含まれている。
【0021】
そして、キーレスエントリシステム1は、携帯機2が予め設定された周波数(以下、固定周波数という)の電波を用いて、本システム用の無線信号(以下、キーレス信号という)を送信し、車載受信装置3が、このキーレス信号を受信すると、ボデーECU4aを介して対象車両に設けられたドア(以下、車両ドアという)のロック/アンロックを行うキーレスエントリ機能を実現するように構成されている。
【0022】
なお、キーレスエントリシステム1では、携帯機2が、対象車両に固有のIDコードや、キーレスエントリシステム1での制御内容(例えば、ドアのロック等)を指定する制御情報などを表すシリアルデータSdを生成し、このシリアルデータSdで固定周波数の搬送波に変調してキーレス信号を送信する。
【0023】
また、キーレスエントリシステム1では、車載受信装置3が、携帯機2から送信されたキーレス信号を受信し、このキーレス信号からシリアルデータSdを復元して、このシリアルデータSdに含まれているIDコードの認証に成功した場合に、シリアルデータSdに含まれている制御情報に応じた制御指令をボデーECU4aに送信する。
【0024】
ボデーECU4aには、図示は省略するが、ドアロックアクチュエータやバックドアアクチュエータ、シフトレバー、ハザードランプ等が接続されている。そして、ボデーECU4aは、車載受信装置3からの制御指令に応じて、ドアロックアクチュエータやバックドアアクチュエータを駆動させることにより、車両ドアのロック/アンロック及びバックドアのアンロック制御を行うと共に、ハザードランプを一回点滅させることによってユーザに対するアンサーバックを行う周知のものである。
【0025】
なお、本実施形態のボデーECU4aは、シフトレバーが駐車(パーキング)の位置に入ったことを検出すると、そのことを表す検出情報を車載受信装置3に供給すると共に、車載受信装置3から後述する妨害波が存在していることを報知するための報知指令を受信すると、ハザードランプを介してアラーム報知するように構成されている。
【0026】
ナビECU4bには、図示は省略するが、地図データ等を入力するための地図データ入力器や、対象車両の位置,方位,移動距離などを算出するための各種の検出信号を出力する位置検出器、液晶ディスプレイ等の表示装置、各種のガイド音声などを出力するための音声出力装置などが接続されている。
【0027】
そして、ナビECU4bは、位置検出器からの検出信号に基づき、座標および進行方向の組として対象車両の現在位置を算出し、地図データ入力器を介して読み込んだ現在位置付近の地図画像を表示装置に表示する地図表示処理や、現在位置から目的地までの最適な経路を求める経路計算を行い、表示装置および音声出力装置を介して経路案内を行う経路案内処理を実行する周知のものである。
【0028】
なお、本実施形態のナビECU4bは、対象車両の現在位置を表す位置情報を車載受信装置3に供給すると共に、車載受信装置3から報知指令を受信すると、表示装置や音声出力装置を介してアラーム報知するように構成されている。
【0029】
<車載受信装置の構成>
図2は、本発明が適用された車載受信装置の構成を示すブロック図である。
図2に示すように、車載受信装置3は、無線信号を受信する受信アンテナ11と、受信アンテナ11からの受信信号のうち固定周波数(即ち、キーレス信号と同じ周波数)のものを選択的に通過させるためのバンドパスフィルタ(BPF)12と、BPF12を通過した受信信号を増幅する増幅回路(AMP)13と、周波数変換用の一定周波数の高周波信号を発生する局部発振器14と、AMP13にて増幅された受信信号と局部発振器14からの高周波信号とを混合することにより受信信号を所定の中間周波数に周波数変換する混合回路15と、混合回路15により中間周波数に周波数変換された受信信号を選択的に通過させるバンドパスフィルタ(BPF)16と、BPF16を通過した周波数変換後の受信信号を増幅する増幅回路(AMP)17と、AMP17にて増幅された受信信号を検波する検波回路(DET)18と、DET18にて検波された受信信号の中から不要な高周波信号成分を除去するローパスフィルタ(LPF)19と、LPF19を通過した受信信号と予め設定された基準電圧とを比較することにより、IDコードや制御情報などを表すシリアルデータSdを復元するコンパレータ(CMP)20と、AMP17,CMP20,ボデーECU4a,ナビECU4bからの入力に応じて各種処理を実行し、ボデーECU4a,ナビECU4bを制御する制御部21とを備えている。
【0030】
このうち、AMP17には、受信アンテナ11からの受信信号の信号強度(電圧レベル)を検出するRSSI(Received Signal Strength Indicator)回路17aが接続されている。なお、このRSSI回路17aは、AMP17での消費電力をAMP17に流れ込む電流量から検出し、その電流量に応じた電圧信号を、受信信号の信号強度を表わすRSSI信号Srとして出力する周知のものである。
【0031】
また、制御部21は、CPU,ROM,RAM,I/O及びこれらの構成要素を接続するバスライン等からなる周知のマイクロコンピュータを中心に構成されており、主電源が供給されない間も記憶情報を保持する不揮発性メモリ(例えば、EEPROM)を備えている。
【0032】
そして、CPUは、ROMに記憶されたプログラムに基づいて、以下で説明する受信制御処理および位置情報制御処理の他、対象車両が駐車してボデーECU4aから検出情報を受信すると、ナビECU4bから位置情報を取得してこの位置情報をRAMに一時的に記憶する駐車位置記憶処理を実行する。
【0033】
<受信制御処理>
ここで、制御部21が実行する受信制御処理を、図3に示すフローチャートに沿って詳しく説明する。なお、本処理は、対象車両のエンジンが停止(即ち、イグニッションスイッチがオフ)している間繰り返し実行される。
【0034】
まず、本処理が開始されると、S110では、AMP17から入力されるRSSI信号Srに基づいて、受信アンテナ11からの受信信号の信号強度(RSSI)が予め設定された基準レベル以上であるか否かを判断し、肯定判断した場合にはS120に進み、否定判断した場合には本処理を終了する。
【0035】
S120では、CMP20からシリアルデータSdを取得し、このシリアルデータSdに含まれているIDコードを認証する。具体的には、シリアルデータSdからIDコードを読み取って、このIDコードが予め登録されたものと一致しているか否かを判定している。ここで、IDコードの認証に成功した場合(S120;YES)にはS160に進み、IDコードの認証に失敗した場合(S120;NO)にはS130に進む。
【0036】
S130では、S120でIDコードの認証に失敗した回数をカウントするための継続カウンタのカウント値Wtをインクリメント(Wt←Wt+1)する。なお、このカウント値Wtは、対象車両のエンジンが作動(即ち、イグニッションスイッチがオン)すると初期設定(Wt=0)されるものとする。
【0037】
続くS135では、継続カウンタのカウント値Wtが予め設定された規定数W以上であるか否かを判断し、肯定判断した場合には、対象車両の駐車位置に妨害波が存在しているものとしてS140に進み、否定判断した場合には、カウント値Wtをそのままにして(初期設定せずに)再びS110に戻る。なお、妨害波とは、携帯機2から送信されるキーレス信号の受信を妨害する電波のことをいう。
【0038】
S140では、対象車両の駐車位置における通信環境の状態を表す状態フラグFaを、妨害波が存在していることを表す1に設定してS150に進む。
S150では、RAMに記憶されている位置情報を、妨害波が存在している位置を表す妨害波情報として不揮発性メモリに記憶させる。
【0039】
続くS155では、継続カウンタのカウント値Wtを初期設定(Wt=0)して本処理を終了する。
一方、先のS120でIDコードの認証に成功した場合に進むS160では、S120で取得したシリアルデータSdに含まれている制御情報に応じた制御指令(例えば、車両ドアのアンロック)をボデーECU4aに送信する。なお、この制御指令を受信したボデーECU4aは、制御内容に応じたアクチュエータ(例えば、ドアロックアクチュエータ)を駆動させることにより、車両状態の制御(例えば、車両ドアのアンロック)を行う。
【0040】
続くS165では、状態フラグFaが1に設定されているか否かを判断し、肯定判断した場合にはS170に進み、否定判断した場合には本処理を終了する。
S170では、対象車両の現在位置に妨害波が存在していることを報知するための制御指令をボデーECU4aに送信する。なお、ボデーECU4aは、この制御指令を受信すると、例えばハザードランプの点滅によるアンサーバックを複数回行うことによって、妨害波が存在していることの報知(アラーム報知)を行う。
【0041】
続くS175では、状態フラグFaを、駐車位置に妨害波が存在していないことを表す0に設定(即ち、初期設定)して本処理を終了する。
つまり、本処理により、固定周波数の無線信号のうち、基準レベル以上の信号強度を有し、なお且つキーレス信号以外のものが、対象車両の駐車位置に存在していれば、ユーザが対象車両に近づきながら繰り返し携帯機2を操作することにより、車載受信装置3がキーレス信号を受信した時点で、車両ドアのロック/アンロックが行われ、その際に妨害波が存在していることが報知されることになる。
【0042】
<位置情報制御処理>
ここで、制御部21が実行する位置情報制御処理を、図4に示すフローチャートに沿って詳しく説明する。なお、本処理は、対象車両のエンジンが作動(即ち、イグニッションスイッチがオン)している間、予め設定された制御タイミングで繰り返し実行される。
【0043】
まず、本処理が開始されると、S210では、ナビECU4bから位置情報を取得する。
続くS220では、S210で取得した位置情報が、不揮発性メモリに記憶されている妨害波情報と一致しているか否かを判断し、肯定判断した場合には、対象車両の現在位置が過去に妨害波が存在した位置であるとしてS230に進み、否定判断した場合にはS250に進む。
【0044】
S230では、対象車両の現在位置に妨害波が存在していることを報知(アラーム報知)するための制御指令をナビECU4bに送信する。なお、ナビECU4bは、この制御指令を受信すると、音声出力装置を介して妨害波の存在を報知すると共に、妨害波の存在を表すアラーム(メッセージやマーク等)の表示を表示装置に開始させる。
【0045】
続くS240では、表示装置が表示している状態を表す表示フラグFdを、表示装置がアラームを表示していることを表す1に設定する。
一方、先のS220で否定判断した場合に進むS250では、表示フラグFdに基づいて、表示装置がアラームを表示している状態(即ち、Fd=1)であるか否かを判断し、肯定判断した場合にはS260に進み、否定判断した場合には本処理を終了する。
【0046】
S260では、妨害波の存在を表すアラーム(メッセージやマーク等)の表示を表示装置に終了させる制御指令をナビECU4bに送信する。
続くS270では、表示フラグFdを、表示装置がアラームを表示していないことを表す0に設定し、本処理を終了する。
【0047】
つまり、本処理により、対象車両が走行しているか否かに拘らず対象車両のエンジンが作動している間、ナビECU4bから位置情報が順次取得され、対象車両の現在位置が過去に妨害波情報を記憶した場所であれば、アラームが継続的に表示されることになる。
【0048】
<本実施形態の効果>
以上説明したように、本実施形態の車載受信装置3では、制御部21が行う受信制御処理により、受信アンテナ11からの受信信号について、信号強度が基準レベル以上であって対象車両に固有のIDコードの認証に成功できなければ、対象車両の現在位置(即ち、駐車位置)に妨害波が存在しているとみなしてアラーム報知を行う。
【0049】
したがって、本実施形態の車載受信装置3によれば、妨害波によって、携帯機2からの遠隔操作がうまく動作しない状況であっても、その原因となった妨害波の存在を自動的に報知するため、その原因に基づく対応をユーザに適切にとらせることができ、ひいてはユーザに安心してキーレスエントリシステム1を使用させることができる。
【0050】
また、車載受信装置3では、制御部21が行う位置情報制御処理により、位置情報が妨害波情報と一致すれば、対象車両の現在位置が過去に妨害波が存在した位置であるとみなして、表示装置および音声出力装置を介してアラーム報知を行う。
【0051】
したがって、車載受信装置3によれば、過去に妨害波情報を記憶した場所に対象車両が至ると随時、妨害波が存在していることをユーザに報知するため、過去に蓄積した妨害波情報を有効に利用することができる。
【0052】
さらに言えば、車載受信装置3では、アラーム報知を、対象車両のエンジンが停止している間はボデーECU4aを介して行い、対象車両のエンジンが作動している間はナビECU4bを介して行うため、対象車両の現在位置に妨害波が存在していれば、その旨を対象車両のエンジンの作動状態に拘らずユーザに報知することができる。
【0053】
[他の実施形態]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、様々な態様にて実施することが可能である。
【0054】
例えば、上記実施形態の受信制御処理では、車両ドアのロック/アンロックと共にアラーム報知を行っているが、これに限らず、受信アンテナ11からの受信信号を、信号強度およびIDコードに基づいて妨害波であるか否かを判定し、妨害波であると判定した場合には、直ちにアラーム報知を行うようにしてもよい。
【0055】
さらに言えば、上記実施形態の受信制御処理は、対象車両のエンジンが作動している間は行われないが、これに限定されるものではなく、対象車両のエンジンが作動している間であっても行うようにして構わない。
【0056】
また、上記実施形態の受信制御処理では、受信信号が妨害波であるか否かの判定を、継続カウンタを用いて繰り返し行っているが、これに限らず、受信信号が妨害波であると一回判定すると直ちにアラーム報知を行うようにしてもよい。
【0057】
なお、上記実施形態の受信制御処理では、対象車両の駐車時に取得する位置情報と妨害波情報とをそれぞれ異なるメモリ(RAMおよび不揮発性メモリ)に記憶させているが、これに限らず、同じメモリに記憶させても構わない。
【0058】
さらに言えば、車載受信装置3の制御部21が行う受信制御処理および位置情報制御処理を、ボデーECU4aやナビECU4bなどの車両制御装置(ECU)4の制御部に行わせるようにしても構わない。
【0059】
また、車載受信装置3は、キーレスエントリシステムに限らず、他の車両制御システム(例えば、スマートエントリシステム)の構成要素として用いられてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明が適用された車載受信装置が構成するキーレスエントリシステムの概要を示すブロック図。
【図2】本発明が適用された車載受信装置の構成を示すブロック図。
【図3】制御部21が実行する受信制御処理の詳細を示すフローチャート。
【図4】制御部21が実行する位置情報制御処理の詳細を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0061】
1…キーレスエントリシステム、2…携帯機、3…車載受信装置、4a…ボデーECU、4b…ナビECU、11…受信アンテナ、12…BPF、13…AMP、14…局部発振器、15…混合回路、16…BPF、17…AMP、18…DET、19…LPF、20…CMP、21…制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載されて、
予め設定された固定周波数の無線信号を受信する受信手段と、
前記受信手段からの受信信号に含まれているIDコードを認証するコード認証手段と、
前記コード認証手段によって前記IDコードの認証に成功した場合に、前記受信信号に含まれている制御情報に従って車両状態を制御する車両制御手段と、
を備えた車載受信装置において、
前記受信信号の信号強度を判定する強度判定手段と、
前記強度判定手段によって前記信号強度が予め設定された基準レベル以上であると判定され、且つ、前記コード認証手段によって前記IDコードの認証に失敗したことを報知条件として、前記車両の現在位置に妨害波が存在していることを報知する報知処理を、前記報知条件を満たす場合に実行する受信報知手段と、
を備えることを特徴とする車載受信装置。
【請求項2】
前記車両の現在位置を表す位置情報を取得する位置取得手段と、
前記車両が駐車したことを検出すると、前記位置取得手段が取得した前記位置情報を一時的に記憶する第一記憶手段と、
前記車両のエンジンが停止している間、前記報知条件を満たす場合に、前記第一記憶手段により記憶された前記位置情報を、前記妨害波の存在する位置を表す妨害波情報として記憶する第二記憶手段と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の車載受信装置。
【請求項3】
前記車両のエンジンが作動している間、前記位置取得手段が取得した前記位置情報が、前記第二記憶手段により記憶された前記妨害波情報と一致する場合に、前記報知処理を実行する位置報知手段を備えることを特徴とする請求項2に記載の車載受信装置。
【請求項4】
前記受信報知手段は、前記コード認証手段によって前記IDコードの認証に成功した場合に、前記報知処理を実行することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の車載受信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−141566(P2009−141566A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−314599(P2007−314599)
【出願日】平成19年12月5日(2007.12.5)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】