説明

車載用ナビゲーション装置

【課題】現在地から目的地に至るルートを、常に最適な1本の推奨レーンで案内する。
【解決手段】レーン情報取得部7で取得したレーン情報とレーン計算ルール記憶部8から読み出したルールとを利用して、目標地点抽出部5で設定した目標地点から現在地に向かって逆走レーン計算を行って1つの推奨レーンを決定するレーン判定部9と、決定された推奨レーンをレーン判定部9で逆走した軌跡に沿って案内する出力部10とを備えたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は現在地から目的地までの走行ルートを計算し表示する車載用ナビゲーション装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の車載用ナビゲーション装置の使用においては、走行時「どこで曲がるのか?」の他に、「どのレーンを走ればよいか?」という不安がある。現状の車載用ナビゲーション装置は、現在地から目的地までのルート上にある交差点の右折左折や分岐は「700m先、右折です」というように道路単位で案内を行なっている。
しかしながら、走行ルート上に複数レーン(車線)がある場合、どのレーンを走行するのが最適なレーン案内かは行われていない。
【0003】
車載用ナビゲーション装置によっては、レーン図を画面に表示するものもあるが、それは直近の交差点に限ったものであったり、ただ単に直進レーン・右左折レーンの図を例えば進行方向前方の3つの交差点について表示するだけのものである。
また、従来、走行すべき推奨レーンを提示して道案内する技術としては、特許文献1,2に開示されたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3301386号公報
【特許文献2】特許第3076026号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に開示されたものには、ルート上で右折(左折)したい場合に右折(左折)レーンが複数存在する場合の推奨レーンの決定方法は明示されていない。つまり、推奨レーンを一つに決定することができないという課題があった。
【0006】
また、特許文献2に開示されたものには、ルート上で右左折後の走行レーンが複数ある場合、曲がった後の推奨レーンを案内することができない。つまり運転者は、交差点を曲がった後のレーン選択に迷いを生じるという課題があった。
【0007】
この発明は、上記のような従来の課題を解消するためになされたもので、現在地から目的地に至るルートを、常に最適な1本の推奨レーンで案内することができる車載用ナビゲーション装置を提供することを目的とする。
【0008】
この発明に係る車載用ナビゲーション装置は、地図データベースを利用して現在地から目的地までのルート計算をするルート計算部と、前記ルート計算部から出力されたルート上に目標地点を設定する目標地点抽出部と、ルート計算部で計算されたルート上にある交差点の各レーンの状況が変化する点を取得するレーン情報取得部と、レーン計算ルールを記憶したレーン計算ルール記憶部と、レーン情報取得部で取得したレーン情報と前記レーン計算ルール記憶部から読み出したルールとを利用して、目標地点抽出部で設定した目標地点から現在地に向かって逆走レーン計算を行って1つの推奨レーンを決定するレーン判定部と、決定された推奨レーンをレーン判定部で逆走した軌跡に沿って案内する出力部とを備えたものである。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、通常のルート計算を行った後、この計算されたルートに沿って目的地から現在地に向かって逆走してレーンルートを計算し、このレーンルート計算の結果に沿って道案内を行うように構成したので、現在地から目的地に至るルートについて、常に一つだけの最適な推奨レーンをドライバーに提供することができる効果が得られる。この結果、ドライバーは不安を抱くことなく、常時安心して運転することができる。また、逆走レーン計算で導き出した推奨レーンは、最もレーン変更回数が少ないシンプルな走行ルートを提示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】この発明の実施の形態1に係る車載用ナビゲーション装置の構成図である。
【図2】この実施の形態1に係る車載用ナビゲーション装置の動作を示すフローチャートである。
【図3】レーン計算ルールの説明図である。
【図4】現在地から目的地までの推奨レーンの決定過程の説明図である。
【図5】この発明の実施の形態2に係る車載用ナビゲーション装置の構成図である。
【図6】この実施の形態2に係る車載用ナビゲーション装置の動作を示すフローチャートである。
【図7】目標地点の交差点を1つ延長する例の説明図である。
【図8】この実施の形態3に係る車載用ナビゲーション装置の動作を示すフローチャートである。
【図9】目標地点の距離を10km延長する例の説明図である。
【図10】この発明の実施の形態4に係る車載用ナビゲーション装置の構成図である。
【図11】この実施の形態4に係る車載用ナビゲーション装置の動作を示すフローチャートである。
【図12】レーン決定ルールのデータテーブルである。
【図13】目標地点で強制的に走行レーンを決める例の説明図である。
【図14】交差点通過時における走行レーンの表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、この発明の実施の形態を添付の図面について詳細に説明する。
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1における車載用ナビゲーション装置の一例を示す構成図であり、入力部1、現在地検出部2、ルート計算部3、地図データベース(DB)記憶部4、目標地点抽出部5、レーン計算部6、出力部10を備えている。
【0012】
入力部1は、ユーザーが目的地の地点情報を入力する。現在地検出部2は、GPS(Global Positioning System)情報などを利用して現在地の地点情報を検出する。ルート計算部3は、入力部1で入力した目的地の地点情報と現在地検出部2で検出した現在地の地点情報から、地図データベース記憶部4の地図データベースを活用してルート計算を行う。この地図データベース記憶部4は、ハードディスクやメモリなどの記憶媒体に地図データベースを記憶している。
【0013】
目標地点抽出部5は、ルート計算部3で計算され出力されたルート上に目標地点を設定する。目標地点とは、「目的地」「現在地からの交差点数」「現在地からの距離」のいずれかを指すものとする。
レーン計算部6は、レーン情報取得部7、レーン計算ルール記憶部8、レーン判定部9を備え、現在地検出部2により検出した現在地と目標地点抽出部5により抽出した目標地点との間のルート区間のレーン計算を行う。この際、目標地点から現在地に向かってルートを逆走しながらレーン計算を行う。
【0014】
レーン情報取得部7は、地図データベース記憶部4の地図データベースからルート計算部3で計算され出力されたルート上の交差点や分岐点や合流点などのレーン情報を取得する。レーン計算ルール記憶部8は、目標地点から現在地に向かって逆走しながらレーン計算するときのルール、つまり、「逆走できなくなったらレーンを変える」「インコースにいるときは小回りで逆走する。アウトコースにいるときは大回りで逆走する」というルールを記憶している。
【0015】
レーン判定部9は、レーン情報取得部7で取得したレーン情報とレーン計算ルール記憶部8から読み出したレーン計算ルールを利用して、1つの推奨レーンを決定する。出力部10は、ルート計算部3から出力されたルート案内およびレーン判定部9で決定された推奨レーン案内を音声ガイダンスや画面表示で出力する。この画面表示の一例は後述する図14に示す。
【0016】
図2は、図1に示した車載用ナビゲーション装置の動作を示すフローチャートである。
ステップST201において、ルート計算部3がルート計算を行い、現在地から目的地までのルートを出力する。例えば、図4(1)に示すように、現在地Aから目的地Bの区間のルート計算を行い、その計算されたルートを出力する。
車載用ナビゲーション装置によっては、ルート計算の結果、「推奨ルート」「時間優先ルート」「距離優先ルート」「高速道優先ルート」「一般道優先ルート」など複数のルートが画面に表示され、ユーザーが目的のルートを選択することができる。
【0017】
図4(1)で計算したルートは、現在地Aから出発し、交差点(1)、(2)、(3)を直進し、交差点(4)を左折し、交差点(5)を直進し、交差点(6)を左折し、交差点(7)を左折し、交差点(8)を右折し、交差点(9)を右折し、目的地Bに到着するというものである。この際、各道路に存在するレーンについてはすべて無視し、道路経路のみの計算を行う。
【0018】
ステップST202において、ステップST201で計算されたルートを入力し、目標地点抽出を行う。目標地点抽出部5は目的地Bの位置情報を目標地点として出力する。ステップST203において、ステップST202に基づき目的地Bの位置情報を目標地点として入力しレーン情報取得を行う。レーン情報取得部7は地図データベース記憶部4より目標地点から現在地Aまでのルート上のレーン情報を取得する。
【0019】
図4(2)では、ルート上にある交差点(9)、(8)、(7)、(6)、(5)、(4)、(3)、(2)、(1)の各レーンの進行方向情報を出力する。例えば、交差点(4)では、左から左折専用レーンが2つ、直進専用レーンが一つ、直進+右折レーンが一つといった具合である。また、右左折後の走行レーン数も出力する。例えば、交差点(4)では左折後に4車線あるといった具合である。また、図4(2)では記載されていないが、ルート上にある合流地点、分岐地点、車線の合流または分岐を伴わない車線数の増減などレーンの状況が変化するポイントも出力する。
【0020】
ステップST204において、ステップST203に基づき目標地点から現在地Aまでのルート上のレーン情報を入力しルール判定を行う。図3で示すようにレーン計算ルール記憶部8に記憶された「逆走できなくなったらレーンを変える」「インコースにいるときは小回りで逆走する。アウトコースにいるときは大回りで逆走する」のルールを用いて、目標地点から現在地Aまで逆走しながらレーン計算を行なって出力する。
【0021】
ここで、レーン計算ルールを具体的に説明する。
図3(1)に示すように、交差点のレーンが2車線あり、左折専用レーンが一つ、直進+右折レーンが一つの場合を想定する。目標地点は、交差点を曲がった2車線のうち左側レーンにあるとする。目標地点から現在地Aに向かって左側レーンを逆走すると、交差点で左折専用レーンに突き当たる。よって、これ以上左側レーンを逆走することができない。ここで「逆走できなくなったらレーンを変える」というルールを使用し、レーンを変えて右側レーンを逆走するという結果が導き出される。この逆走レーン計算の結果により、ルート案内時の推奨レーンは、交差点の手前では右側車線を走行し、交差点を通り過ぎたら左側車線に進路変更するということになる。
【0022】
次に図3(2−1)に示すように、交差点のレーンが2車線あり、左折+直進レーンが一つ、右折レーンが一つの場合を想定する。目標地点は、交差点を曲がった2車線のうち右側のレーンにあるとする。目標地点から現在地Aに向かって右側レーンを逆走すると、交差点に到達する。このとき、逆走しているレーンがインコースにあるので、「インコースにいるときは小回りで逆走する」のルールを使用し、小回りで曲がって右側のレーンを逆走するという結果が導き出される。この逆走レーン計算の結果により、ルート案内時の推奨レーンは、交差点の手前では2車線のうち右側のレーンを走行し、交差点を曲がったら右側車線を走行するというものになる。
【0023】
次に図3(2−2)に示すように、交差点のレーンが3車線あり、左折+直進レーンが一つ、右折レーンが二つの場合を想定する。目標地点は、交差点を通過した2車線のうち右側のレーンにあるとする。目標地点から現在地Aに向かって右側レーンを逆走すると、交差点で二つの右折専用レーンに到達する。このとき、どちらの右折専用レーンを通過するかということになるが、逆走しているレーンがインコースにあるので、「インコースにいるときは小回りで逆走する」のルールを使用し、小回りで走行する右側の右折専用レーンを逆走するという結果が導き出される。この逆走レーン計算の結果により、ルート案内時の推奨レーンは、交差点の手前では2車線のうち右側のレーンを走行し、交差点手前では右側の右折専用レーンを走行し、交差点を曲がったら右側車線を走行するというものになる。
【0024】
次に図3(3−1)に示すように、交差点のレーンが2車線あり、左折+直進レーンが一つ、右折レーンが一つの場合を想定する。目標地点は、交差点を曲がった2車線のうち左側のレーンにあるとする。目標地点から現在地Aに向かって左側レーンを逆走すると、交差点に到達する。このとき、逆走しているレーンがアウトコースにあるので、「アウトコースにいるときは大回りで逆走する」のルールを使用し、大回りで曲がって右側のレーンを逆走するという結果が導き出される。この逆走レーン計算の結果により、ルート案内時の推奨レーンは、交差点の手前では2車線のうち右側のレーンを走行し、交差点を曲がったら左側車線を走行するというものになる。
【0025】
次に図3(3−2)に示すように、交差点のレーンが3車線あり、左折+直進レーンが一つ、右折レーンが二つの場合を想定する。目標地点は、交差点を曲がった2車線のうち左側のレーンにあるとする。目標地点から現在地Aに向かって左側レーンを逆走すると、交差点で二つの右折専用レーンに到達する。このとき、どちらの右折専用レーンを通過するかということになるが、逆走しているレーンがアウトコースにあるので、「アウトコースにいるときは大回りで逆走する」のルールを使用し、大回りで走行する左側の右折専用レーンを逆走するという結果が導き出される。この逆走レーン計算の結果により、ルート案内時の推奨レーンは、交差点の手前では2車線のうち右側のレーンを走行し、交差点手前では左側の右折専用レーンを走行し、交差点を曲がったら左側車線を走行するというものになる。
【0026】
このように、「インコースにいるときは小回りで逆走する」、「アウトコースにいるときは、大回りに逆走する」というルールにより、複数の右折(左折)レーンがある交差点でも、右折(左折)したい車同士が交差点内で交差するという危険を回避することができる。
【0027】
次に、このレーン計算ルールを用いて、図4(1)のルートから逆走レーン計算を行う手順を説明する。
図4(2)で示すように、目標地点としての目的地Bから現在地Aに向かって、逆走を行う。交差点(9)は小回りで逆走する(一車線道路から複数車線の道路に逆走するときは小回りで逆走する)。交差点(8)はインコースにいるので小回りで逆走する。交差点(7)はアウトコースにいるので大回りで逆走する。交差点(6)はインコースにいるので小回りで逆走する。交差点(5)は逆走できないのでレーンを変えて逆走する。交差点(4)はアウトコースにいるので大回りで逆走する。交差点(3)、(2)、(1)は逆走できないのでレーンを変えて逆走する。そして、現在地Aに到達する。現在地Aにおける推奨レーンは左車線となる。
【0028】
次に、この逆走レーン計算の結果をもとに、図4(3)に示すように現在地Aから目標地点に向かってルート案内とともに最適な1本の推奨レーンの案内を行う。案内誘導のタイミングは、逆走レーン計算の結果、図4(2)の軌跡をもとに行うと、スムーズな案内を行うことができる。
【0029】
図4(3)をもとに説明すると、現在地Aの推奨レーンである左車線から出発する。交差点(1)を通り過ぎたら右レーンへ誘導する。交差点(2)を通り過ぎたら左レーンへ誘導する。交差点(3)を通り過ぎたら左レーンへ誘導する。交差点(4)では左から2番目の左折専用レーンに誘導したのち、交差点を曲がったら左から2番目のレーンに入るように誘導する。交差点(5)を通り過ぎたら左レーンへ誘導する。交差点(6)では一番左の左折専用レーンに誘導したのち、交差点を曲がったら左レーンに入るように誘導する。交差点(7)では交差点を曲がったら右レーンに入るように誘導する。交差点(8)では交差点を曲がったら右レーンに入るように誘導する。交差点(9)で右に曲がって目的地点Bに到着する。
【0030】
以上のように、この実施の形態1によれば、通常のルート計算を行った後、この計算されたルートに沿って目標地点としての目的地から現在地に向かって逆走レーン計算を行い、このレーン計算の結果に沿ってレーン案内を行うように構成したので、常に一つだけの最適な推奨レーンをドライバーに提供することができる効果が得られる。また、逆走レーン計算で導き出した推奨レーンは、最もレーン変更回数が少ないシンプルな走行ルートを提示することができる。
【0031】
また、逆走レーン計算の計算結果の軌跡を案内タイミングに活用することで、レーン変更が可能になった時点で早め早めにレーン変更案内を出すことができる。これにより、複数レーン道路を走行中でも、複数の交差点が近接して連続している場合でも、交差点を曲がった後の進入レーンでも、時間的な余裕を持って推奨レーンを案内することができ、「このレーンを走っていても大丈夫だろうか?」という不安をいだくことなく、安心して運転することができるという効果がある。
【0032】
実施の形態2.
図5は、この発明の実施の形態2における車載用ナビゲーション装置の一例を示す構成図であり、入力部1、現在地検出部2、ルート計算部3、地図データベース(DB)記憶部4、目標地点抽出部5、レーン計算部6、出力部10を備えており、レーン計算部6の出力を目標地点抽出部5に供給している点が図1に示した実施の形態1と異なっている。他の構成は実施の形態1と同一であるから、同一部分には同一符号を付して重複説明を省略する。
【0033】
図6は、図5に示した車載用ナビゲーション装置の動作を示すフローチャートである。
ステップST601において、ルート計算部3がルート計算を行い、現在地Aから目的地Bまでのルートを出力する。
ステップST602において、ステップST601で計算されたルートを入力し目標地点抽出を行う。目標地点抽出部5がルート上にある現在地Aから例えば3交差点先の位置情報を目標地点として抽出する。目標地点は3交差点先に限らず、5交差点先などにしても良い。
【0034】
ステップST603において、ステップST602に基づきルート上にある現在地Aから3交差点先の位置情報を目標地点として入力しレーン情報取得を行う。レーン情報取得部7が地図データベース記憶部4より目標地点から現在地Aまでのルート上のレーン情報を取得する。
【0035】
ステップST604において、ステップST603に基づき目標地点から現在地Aまでのルート上のレーン情報を入力しルール判定を行う。図3で示すようにレーン計算ルール記憶部8に記憶された「逆走できなくなったらレーンを変える」「インコースにいるときは小回りで逆走する。アウトコースにいるときは大回りで逆走する」のルールを用いて、目標地点から現在地Aまで逆走しながらレーン計算を行なって出力する。
【0036】
ステップST605において、ステップST604に基づき逆走レーン計算の結果を入力し現在地の推奨レーンが1つであるかを判断する。現在地Aにおける推奨レーンが一つの場合はフローを終了する。現在地Aにおける推奨レーンが複数ある場合は、ステップST606に移行する。
【0037】
ステップST606において、目標地点抽出部5は目標地点を更に1交差点先に延長し、ステップST602に戻り、上記ステップST602からステップST605の動作を、推奨レーンが一つになるまで繰り返す。なお、目標地点は1交差点先に限らず、3交差点先などに延長しても良い。
走行後、車が交差点を通り過ぎるたびに、上記図6に示すフローチャートを実行する。または、走行後、現在地Aの推奨レーンが複数になるポイントに近づいたら、上記のフローチャートを実行してもよい。
【0038】
図7は、図6のフローチャートにおいて、ステップST605で推奨レーンが一つに決まらず、ステップST606で目標地点を1交差点先に延長し推奨レーンが一つに決定されるまでの動作を示したものである。
(1)現在地Aから目的地Bまで、ルート計算を行う。(交差点(1)、(2)、(3)を直進し、交差点(4)を左折するコース)
(2)ルート上の目標地点を決定する。(現在地Aから3交差点先の地点)
(3)逆走レーン計算の結果、現在地Aの推奨レーンが複数存在する(図7−1)
(4)目標地点の交差点を1つ延長して、再度逆走レーン計算を行う(図7−2)
(5)現在地Aの推奨レーンが1つに決まる。
【0039】
以上のように、この実施の形態2によれば、実施の形態1と比較して、逆走レーン計算を行う区間が短いため計算負荷を抑えることができるとともに、実施の形態1と同様、常に一つだけの最適な推奨レーンをドライバーに提供することができる。
【0040】
実施の形態3.
この発明の実施の形態3における車載用ナビゲーション装置の構成は、実施の形態2と同じであるから図示を省略する。この実施の形態3は実施の形態2において、現在地Aから目標地点までを交差点の数によって決めていた点を一定の距離により決めるようにしたものである。
【0041】
図8は、この発明の実施の形態3における車載用ナビゲーション装置の動作を示すフローチャートである。
ステップST801において、ルート計算部3がルート計算を行い、現在地Aから目的地Bまでのルートを出力する。ステップST802において、ステップST801で計算されたルートを入力し目標地点抽出を行う。目標地点抽出部5がルート上にある現在地からnKm先、例えば10km先の位置情報を目標地点として出力する。この目標地点は10km先に限らず20km先などにしても良い。
【0042】
ステップST803において、ステップST802に基づきルート上にある現在地から10km先の位置情報を目標地点として入力しレーン情報取得を行う。レーン情報取得部7が地図データベース記憶部4より目標地点から現在地Aまでのルート上のレーン情報を取得する。
【0043】
ステップST804において、ステップST803に基づき、目標地点から現在地Aまでのルート上のレーン情報を入力しルール判定を行う。図3で示すようにレーン計算ルール記憶部8に記憶された「逆走できなくなったらレーンを変える」「インコースにいるときは小回りに逆走する。アウトコースにいるときは大回りに逆走する」のルールを用いて、目標地点から現在地Aまで逆走しながらレーン計算を行なって出力する。
【0044】
ステップST805において、ステップST804に基づき逆走レーン計算の結果を入力し現在地の推奨レーンが1つかを判断する。現在地における推奨レーンが一つの場合は、フローを終了する。現在地Aにおける推奨レーンが複数ある場合は、ステップST806に移行する。ステップST806において、目標地点抽出部5は目標地点を更に10km先に延長し、ステップST802に戻り、上記ステップST802からステップST806の動作を、推奨レーンが一つになるまで繰り返す。なお、目標地点は10km先に限らず、20km先などに延長しても良い。
走行後、車が交差点を通り過ぎるたびに、上記のフローチャートを実行する。または、走行後、現在地Aの推奨レーンが複数になるポイントに近づいたら、上記のフローチャートを実行してもよい。
【0045】
図9は図8のフローチャートにおいて、ステップST805で推奨レーンが一つに決まらず、ステップST806で目標地点を10km先に延長し推奨レーンが一つに決定されるまでの動作を示したものである。
(1)現在地から目的地まで、ルート計算を行う。(交差点(1)、(2)、(3)と直進し、交差点(4)を左折するルート)
(2)ルート上の目標地点を決定する。(現在地から10km先の地点)
(3)逆走レーン計算の結果、現在地の推奨レーンが複数存在する(図9−1)
(4)目標地点の位置を10km延長して、再度逆走レーン計算を行う(図9−2)
(5)現在地の推奨レーンが1つに決まる。
【0046】
以上のように、この実施の形態3によれば、実施の形態1と比較して、逆走レーン計算を行う区間が短いため計算負荷を抑えることができるとともに、実施の形態1と同様、常に一つだけの最適な推奨レーンをドライバーに提供することができる。
【0047】
実施の形態4.
図10は、この発明の実施の形態4における車載用ナビゲーション装置の一例を示す構成図であり、入力部1、現在地検出部2、ルート計算部3、地図データベース(DB)記憶部4、目標地点抽出部5、レーン計算部6、出力部10、レーン決定ルール記憶部11を備えており、このレーン決定ルール記憶部11を備えている点が図1に示した実施の形態1と異なっている。他の構成は実施の形態1と同一であるから、同一部分には同一符号を付して重複説明を省略する。なお、レーン決定ルール記憶部11には、図12に示すように、目標地点のレーン数が複数あった場合、その目標地点の走行レーンを強制的に1レーンに決定するルールが記憶されている。
【0048】
図11は、この発明の実施の形態4における車載用ナビゲーション装置の動作を示すフローチャートである。
ステップST1101において、ルート計算部3がルート計算を行い、現在地Aから目的地Bまでのルートを出力する。
ステップST1102において、ステップST1101で計算されたルートを入力し目標地点抽出を行う。目標地点抽出部5がルート上にある現在地Aから例えば10km先の位置情報を目標地点として出力する。目標地点は10km先に限らず、20km先などにしても良い。
【0049】
ステップST1103において、ステップST1102に基づきルート上にある現在地Aから10km先の位置情報を目標地点として入力し目標地点の推奨レーンが1つであるかを判断する。目標地点のレーンが1つの場合は、ステップST1105に移行し、目標地点の走行レーンが複数の場合は、ステップST1104に移行する。
【0050】
ステップST1104において、目標地点抽出部5はレーン決定ルール記憶部11に記憶されたルールを利用して、目標地点の走行レーンを強制的に一つに決める。
ステップST1105において、レーン情報取得部7が地図データベース記憶部4より目標地点から現在地Aまでのルート上のレーン情報を出力する。
【0051】
ステップST1106において、ステップST1105でレーン情報取得部7がレーン情報に基づき、目標地点から現在地Aまでのルート上のレーン情報を入力しルール判定を行う。レーン判定部9は図3で示すように、レーン計算ルール記憶部8に記憶された「逆走できなくなったらレーンを変える」「インコースにいるときは小回りで逆走する。アウトコースにいるときは大回りで逆走する」のレーン計算ルールを用いて、目標地点から現在地Aまで逆走しながらレーン計算を行い、その計算結果を出力する。
走行後、車が交差点を通り過ぎるたびに、上記の図11に示すフローチャートを実行する。または、走行後、最初の目標地点(10km先)に近づいたら上記のフローチャートを実行してもよい。
【0052】
図13は、図11のフローチャートを利用して、現在地Aから目標地点までの推奨レーンが決定されるまでの動作を示したものである。
(1)現在地Aから目的地まで、ルート計算を行う。(交差点(1)、(2)、(3)を直進し、交差点(4)を左折するコース)
(2)ルート上の目標地点を決定する。(現在地から10km先の地点)
(3)10km先の道路の走行レーンが3車線あるので、図12のレーン決定ルールに基づいて中央の車線を強制的に走行レーンとして決定する。
(4)逆走レーン計算の結果、現在地の推奨レーンが1つに決まる。
【0053】
以上のように、実施の形態4によれば、実施の形態1と比較して、逆走レーン計算を行う区間が短いため計算負荷を抑えることができるとともに、実施の形態1と同様、常に一つだけの最適な推奨レーンをドライバーに提供することができる。
【0054】
実施の形態2と実施の形態3は、目標地点の走行レーンが複数レーンある場合は、レーン数の数だけ逆走レーン計算が必要であった。例えば実施の形態2の図7(7−2)の場合は2回の計算が必要であり、実施の形態3の図9(9−2)の場合は3回の計算が必要である。それに対して実施の形態4では、目標地点の走行レーンを強制的に一つに決定してから逆走レーン計算を行うため、逆走レーン計算を1回行うだけで現在地Aの推奨レーンが1つに決まる。これにより、計算負荷を大幅に低く抑えることができるという効果が得られる。
【0055】
実施の形態5.
図14は実施の形態1,2,4における出力部10の画面表示例を示す図であり、表示面を2画面としたものである。図14(14−1)は、表示画面の半分には計算されたルートが表示され、他の半面には交差点進入時の直進の推奨レーン(斜線部)が表示されている。図14(14−2)は、表示画面の半分には計算されたルートが表示され、他の半面には交差点進入時の直進の推奨レーン(斜線部)が2本ある直進レーンの右側レーンであることが表示されている。図14(14−3)は、表示画面の半分には計算されたルートが表示され、他の半面には交差点進入時の2本ある左折レーンの右側レーンを進行し、交差点通過後は右側レーンに侵入することが表示されている。図14(14−4)は、表示画面の半分には計算されたルートが表示され、他の半面には交差点通過後直ちに左側レーンにレーン変更するように推奨レーン(斜線部)が表示されている。
【0056】
また、上記の画面表示と共に、または単独に、図14(14−1)の場合は、「直進レーンをお進みください。」、図14(14−2)の場合は、「右から2つ目のレーンをお進みください。」、図14(14−3)の場合は、「左から2つ目の左折専用レーンをお進みください。左折後、右側のレーンをお進みください。」、図14(14−4)の場合は、「交差点通過後は左側レーンにレーン変更してください。」の音声ガイダンスを行うこともできる。
【符号の説明】
【0057】
1 入力部、2 現在地検出部、3 ルート計算部、4 地図データベース(DB)記憶部、5 目標地点抽出部、6 レーン計算部、7 レーン情報取得部、8 レーン計算ルール記憶部、9 レーン判定部、10 出力部、11 レーン決定ルール記憶部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図データベースを利用して現在地から目的地までのルート計算を行うルート計算部と、
前記ルート計算部から出力されたルート上に目標地点を設定する目標地点抽出部と、
前記ルート計算部で計算されたルート上にある交差点の各レーンの状況が変化する点を取得するレーン情報取得部と、
レーン計算ルールを記憶したレーン計算ルール記憶部と、
前記レーン情報取得部で取得したレーン情報と前記レーン計算ルール記憶部から読み出したルールとを利用して、前記目標地点抽出部で設定した目標地点から現在地に向かって逆走レーン計算を行って1つの推奨レーンを決定するレーン判定部と、
前記決定された推奨レーンを前記レーン判定部で逆走した軌跡に沿って案内する出力部とを備えた車載用ナビゲーション装置。
【請求項2】
目標地点抽出部は、ルート上にある現在地からn個先の交差点を目標地点として設定し、レーン判定部は前記目標地点から現在地に向かって逆走レーン計算を行って該現在地の推奨レーンが1つに決まらない場合は、前記n個先の交差点より少なくとも1つ先の交差点を目標地点として該目標地点から現在地に向かって再度逆走レーン計算を行い、現在地の推奨レーンが1つに決まるまで、前記逆走レーン計算を繰り返すことを特徴とする請求項1記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項3】
目標地点抽出部は、ルート上にある現在地からnKm先を目標地点として設定し、レーン判定部は現在地の推奨レーンが1つに決まらない場合は、前記nKm先の目標地点より更にnKm先を目標地点として該目標地点から現在地に向かって再度逆走レーン計算を行い、現在地の推奨レーンが1つに決まるまで、前記逆走レーン計算を繰り返すことを特徴とする請求項1記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項4】
目標地点の走行レーンを強制的に1レーンに決定するルールが記憶されたレーン決定ルール記憶部を備え、目標地点抽出部は、ルート上にある現在地からnKm先を目標地点として設定し、この目標地点の走行レーンが複数存在する場合、前記レーン決定ルール記憶部から読み出したレーン決定ルールを利用して強制的に走行レーンを1つに決定することを特徴とする請求項1記載の車載用ナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−226962(P2011−226962A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−97997(P2010−97997)
【出願日】平成22年4月21日(2010.4.21)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】