車載用レーダ装置
【課題】ターゲットの状態が短時間で大きく変化した場合でも、時間応答性を改善し、測定誤差の少ない車載用レーダ装置を提供することにある。
【解決手段】本発明の車載用レーダ装置は、2つの1FFT処理部を有する。第1FFT処理部は、M個のビート信号に対して高速フーリエ変換(FFT)を実行する。第2FFT処理部は、L<MなるL個のビート信号に対して高速フーリエ変換(FFT)を実行する。ピーク信号の時間的変化量が小さい場合には、S/N特性に優れた第1FFT処理部による周波数解析より得たピーク信号を用いて、ターゲットの距離、角度、及び、相対速度を演算する。ピーク信号の時間的変化量が大きい場合には、応答性に優れた第2FFT処理部による周波数解析より得たピーク信号を用いて、ターゲットの距離、角度、及び、相対速度を演算する。
【解決手段】本発明の車載用レーダ装置は、2つの1FFT処理部を有する。第1FFT処理部は、M個のビート信号に対して高速フーリエ変換(FFT)を実行する。第2FFT処理部は、L<MなるL個のビート信号に対して高速フーリエ変換(FFT)を実行する。ピーク信号の時間的変化量が小さい場合には、S/N特性に優れた第1FFT処理部による周波数解析より得たピーク信号を用いて、ターゲットの距離、角度、及び、相対速度を演算する。ピーク信号の時間的変化量が大きい場合には、応答性に優れた第2FFT処理部による周波数解析より得たピーク信号を用いて、ターゲットの距離、角度、及び、相対速度を演算する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等の車両に搭載して好適な車載用レーダ装置に関し、特に、車載用レーダ装置における信号処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車には、自車の周囲に存在するターゲットを検知するセンサとして車載用レーダが搭載される。車載用レーダには、レーザレーダとミリ波レーダが知られている。ミリ波レーダは、雨や霧の状態でも安定してターゲットを検知することができる全天候型のセンサである。ミリ波レーダは、送信アンテナからミリ波周波数帯域の電波を送出し、自車周辺の車両や歩行者などのターゲットからの反射波を受信する。送信波に対する受信波のビート信号を取り出して解析することにより、自車とターゲットの間の距離、ターゲットの相対速度等を検出する。
【0003】
電波を送出する際の変調方式として、FMCW(Frequency Modulated Continuous Wave)方式、FMICW(Frequency Modulated Interrupted Continuous Wave)方式、2周波CW(Continuous Wave)方式等、いくつかの方式が提案されている。
【0004】
2周波CW方式では、比較的近接する2個の周波数を周期的に切り替えて送信し、これらの受信波の変調度合いを利用してターゲットに対する距離、相対速度等を検出する。2周波CW方式は、必要な周波数帯域が狭く、発信周波数が2個で済むことから発振器などの回路構成が簡単で済むなどの利点がある。
【0005】
従来のレーダ装置では、ビート信号からターゲットの距離や相対速度などを計算するために、FFT(Fast Fourier Transform)などの周波数解析が行われている。例えば、特開2002−341019号公報に開示されている例では、ビート信号にターゲットの反射波が含まれる場合は高い周波数計測精度を持ったFFT処理を行い、ビート信号にターゲットの反射波が含まれない場合は処理負荷低減のために低い周波数計測精度を持ったFFT処理を実行する。
【0006】
【特許文献1】特開2002−341019号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ターゲットは、加減速し、又は、右左折することもある。また、マルチパス干渉や電波干渉が発生することもある。即ち、短時間のうちにターゲットの状態、例えば、距離、相対速度、方位角度または受信信号強度が大きく変化することもある。
【0008】
従来のレーダ装置では、高い周波数計測精度を持ったFFT処理を使用すると、長い観測時間を必要とする。そのため、計測値は長い観測時間の平均値となる。従って、時間応答性が良好でない。
【0009】
本発明の目的は、ターゲットの状態が短時間で大きく変化した場合でも、時間応答性を改善し、測定誤差の少ない車載用レーダ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の車載用レーダ装置は、送信波と受信波から生成したビート信号をサンプリングして所定時間毎にM個のサンプリング信号を生成するA/Dコンバータと、2つのFFT処理部を有する。
【0011】
第1FFT処理部は、S/N特性に優れた周波数解析を行い、第2FFT処理部は、応答性に優れた周波数解析を行う。
【0012】
第1FFT処理部は、M個のビート信号に対して高速フーリエ変換(FFT)を実行する。第2FFT処理部は、M個のビート信号の中から連続したL個(L<M)のビート信号を1組以上抽出し、抽出した1組以上のL個のビート信号に対して高速フーリエ変換(FFT)を実行する。
【0013】
ピーク信号の時間的変化量が小さい場合には、S/N特性に優れた第1FFT処理部による周波数解析より得たピーク信号を用いて、ターゲットの距離、角度、及び、相対速度を演算する。ピーク信号の時間的変化量が大きい場合には、応答性に優れた第2FFT処理部による周波数解析より得たピーク信号を用いて、ターゲットの距離、角度、及び、相対速度を演算する。
【0014】
更に本発明によると、自車速値、ヨーレート値、及び、操舵角値の時間的変化量が小さい場合には、S/N特性に優れた第1FFT処理部による周波数解析より得たピーク信号を用いて、ターゲットの距離、角度、及び、相対速度を演算する。自車速値、ヨーレート値、及び、操舵角値の時間的変化量が大きい場合には、応答性に優れた第2FFT処理部による周波数解析より得たピーク信号を用いて、ターゲットの距離、角度、及び、相対速度を演算する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によると、車載用レーダ装置において、ターゲットの状態が短時間で大きく変化した場合でも、時間応答性を改善し、測定誤差の少なくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1を参照して、本発明の車載用レーダ装置の構造の例を説明する。本例の車載用レーダ装置では、変調方式として、2周波CW方式、角度検出方式としてモノパルス方式を用いる。2周波CW方式とは、比較的近接する2個の周波数を周期的に切り替えて送信し、これらの受信波の変調度合いを利用してターゲットに対する距離、相対速度等を検出する方式である。モノパルス方式とは、受信アンテナを左/右2つに分割して、左右アンテナの受信信号の和及び差、電力比、位相差からターゲットの方位角度を検出する方式である。
【0017】
本例のレーダ装置は、レーダアンテナ部11と信号処理12を有する。先ず、レーダアンテナ部11の構成と動作を説明する。レーダアンテナ部11は、発振器13、送信アンテナ14、受信用左アンテナ15、受信用右アンテナ16、ミキサ17及び18を有する。発振器13は送信波を生成し、それを、送信アンテナ14を介して、レーダの前方(例えば車両前方)のターゲットに向けて送信する。受信用左アンテナ15と受信用右アンテナ16は、ターゲットからの反射波を受信する。反射波の周波数は、送信波にドップラー周波数ΔFが加算された値となる。ドップラー周波数ΔFは、自車に対するターゲットの相対速度によって決まる。
【0018】
受信用左アンテナ15及び受信用右アンテナ16は、受信波を、それぞれミキサ部17及び18に供給する。ミキサ部17及び18は、送信波と受信波をミキシングし、ドップラー周波数の信号をビート信号として出力する。このビート信号は、信号処理部12に供給される。
【0019】
次に、信号処理部12の構成と動作を説明する。信号理部12は、A/Dコンバータ19及び20、及び、マイクロコンピュータ(以下、マイコンという)21を有する。マイコン21は、自車が備える車速センサ22、ヨーレートセンサ23及び操舵角センサ24に接続されている。A/Dコンバータ19及び20は、それぞれ、レーダアンテナ部11から供給されるビート信号をサンプリングし、サンプリング信号をマイコン21に供給する。
【0020】
図2を参照して、本発明による車載用レーダ装置の信号処理部12の構成及び処理を詳細に説明する。信号処理部12は、サンプリングデータ取得部1、高S/N用の第1FFT処理部2、高応答性用の第2FFT処理部3、ピーク検出部4、ピーク信号履歴部5、有効ピーク選択部6、距離及び角度及び相対速度計算部7、車両情報取得部8、車両情報履歴部9、及び、ターゲットトラッキング部10を有する。これらの要素は、ハードウェアとして実現してもよいが、マイコン21によって実行されるプログラムによって実現してもよい。
【0021】
図3を参照して、第1FFT処理部2と第2FFT処理部3の処理を説明する。図3は、A/Dコンバータ19及び20によって得られるサンプリングデータ、即ち、ビート信号を示す。レーダアンテナ部11は、所定の時間、例えば、44ms毎に、2048点のサンプリングデータ(ビート信号)を生成する。第1FFT処理部2は、2048点のサンプリングデータ(ビート信号)に対して、FFT(Fast Fourier Transform)処理を1回実行する。それによって、1個の受信信号強度のスペクトルが得られる。第2FFT処理部3は、2048点のサンプリングデータを、4つの時間帯に分割し、4組の512点のサンプリングデータを得る。512点のサンプリングデータに対して、FFT(Fast Fourier Transform)処理を1回実行する。従って、4つの時間帯に対して、合計4回の受信信号強度のスペクトルが得られる。
【0022】
次に、サンプリングとFFT処理のタイミングについて説明する。第1FFT処理部2は、2048点のビート信号に対するFFT処理を、少なくとも、2048点のビート信号のサンプリング時間より短い時間で完了し、出力する。本例では、44ms毎に、2048点のビート信号を生成する。従って、第1FFT処理部2は、2048点のビート信号に対するFFT処理とその結果の出力を、44ms以内に実行する。FFT処理の実行を開始するのは、2048点のビート信号を入力した時点である。従って、FFT処理とその結果を出力している間に、次の2048点のビート信号を入力する。こうして、FFT処理とその結果の出力を、2048点のビート信号のサンプリング時間より短い時間以内に実行することにより、リアルタイム処理が可能となる。
【0023】
同様に、第2FFT処理部3は、512点のビート信号に対するFFT処理とその結果の出力を、11ms以内に実行する。それによって、リアルタイム処置が可能となる。
【0024】
以下に、2048点のビート信号について、2048点FFT処理を1回実行することを、単に、2048点FFT処理を実行すると称し、512点のビート信号について、512点FFT処理を4回実行することを、単に、512点FFT処理を実行すると称する。2048点FFT処理は、S/N特性に優れた周波数解析を行い、512点FFT処理は、応答性に優れた周波数解析を行うが、これについては、以下に説明する。
【0025】
ここでは、A/Dコンバータ19及び20は、44ms毎に、2048点のサンプリングデータを送出する場合を説明した。しかしながら、これは単なる1例であり、サンプリングデータ数は2048点に限定されるものではない。そこで、サンプリングデータ数をMとし、それをN個の時間帯に分割するものとする。この場合、第1FFT処理部2はM点FFT処理を1回実行し、第2FFT処理部3はM/N(=L)点FFT処理をN回実行することになる。
【0026】
図4及び図5を参照して、ピーク検出部4によるピーク検出処理を説明する。図5に示すように、ピーク検出処理は、ステップS401のノイズ推定処理と、ステップS402のピーク検出処理を含む。
【0027】
図4は、2048点FFT処理及び512点FFT処理により得られた受信信号のスペクトルを示す。図4の横軸は周波数、縦軸は受信信号強度である。ステップS401のノイズ推定処理では、この受信信号強度信号よりノイズを推定する。図4に示すように、FFT処理の結果を複数の周波数領域に分割し、それぞれの周波数領域における信号強度の平均値を求める。この平均値を、それぞれの周波数領域のノイズレベルとする。ステップS402のピーク検出処理では、このノイズレベルを用いて、ターゲットに対応するピーク信号を取り出す。図4に示すように、ノイズレベルを基準として、ピーク信号の各々について、信号対ノイズ比(S/N)を計算する。次に、信号対ノイズ比(S/N)が所定値(例えば13dB)より大きいピーク信号を取り出す。
【0028】
1つのピーク信号は1つのターゲットを表す。例えば、ターゲットとして2台の車両を検出する場合には、2つのピーク信号が得られる。以下の議論では、FFT処理の結果から、2つのピーク信号、即ち、2つのターゲットを検出するものとして、説明する。
【0029】
こうしてピーク信号の周波数が得られる。ピーク信号の周波数が得られれば、ピーク信号の振幅及び位相が求められる。ピーク信号の周波数は、自車に対するターゲットの相対速度を表し、ピーク信号の位相は、自車からターゲットまでの距離と自車に対するターゲットの角度を表し、ピーク信号の振幅又は強度は、ターゲットからの反射信号の強度を表す。
【0030】
図6及び図7を参照して、有効ピーク選択部6による有効ピーク選択処理を説明する。先ず、この有効ピーク選択処理の目的について説明する。図6は、ピーク信号の周波数が時間的に変化していない例である。これは、自車に対するターゲットの相対速度が変化していない場合である。本例では、図3で示したように、2048点のサンプリングデータに対して、512点FFT処理を4回及び2048点FFT処理を1回実行する。512点FFT処理の結果は、図6(a)〜図6(d)に示し、2048点FFT処理の結果は図6(e)に示す。図6(a)は、サンプル時間0〜T1、図6(b)は、サンプル時間T1〜T2、図3(c)は、サンプル時間T2〜T3、図6(d)は、サンプル時間T3〜T4、におけるビート信号に対する、512点FFT処理の結果を示す。図6(e)は、サンプル時間0〜T4におけるビート信号に対する、2048点FFT処理の結果を示す。
【0031】
図6は、ピーク信号の周波数が時間的に変化していない場合を想定しているので、ピーク信号の周波数は、図6(a)〜図6(d)において、変化していない。そのため、サンプル時間0〜T4におけるビート信号に対して2048点FFT処理を実行すると、図6(e)に示すように、同一の周波数にピーク幅の細いピーク信号が現れる。
【0032】
図7は、ピーク信号の周波数が時間的に変化している例である。これは、自車に対するターゲットの相対速度が変化している場合である。ピーク信号の周波数は、図7(a)〜図7(d)において、変化している。そのため、サンプル時間0〜T4におけるビート信号に対して2048点FFT処理を実行すると、図7(e)に示すように、ピーク幅の細いピーク信号が現れる。
【0033】
すなわち、512点FFT処理の結果を使用すると、図7(a)〜図7(d)に示すように、周波数の時間変化を詳細に求めることができるのに対し、2048点FFT処理の結果を使用すると、図7(e)に示すように、周波数の時間変化を求めることができず、周波数を特定することができない。即ち、512点FFT処理によると、応答性に優れた周波数解析を行うことができる。一方、2048点FFT処理によると、応答性に優れた周波数解析を行うことはできないが、S/N特性に優れた周波数解析を行うことができる利点がある。
【0034】
従来の問題点はここにある。本発明によると、ピーク信号の周波数の変化が大きい場合には、2048点FFT処理の結果でなく、512点FFT処理の結果を用いて周波数解析を行う。それによって、周波数に対する応答性を高めて、測定精度を改善することができる。ここでは、ピーク信号の周波数が変化する場合について述べたが、ピーク信号の位相が変化する場合、ピーク信号の振幅が変化する場合も、同様である。
【0035】
図8を参照して、ターゲットトラッキング部10によるターゲットトラッキング処理を説明する。図8は、距離及び角度及び相対速度計算部7によって計算されたターゲットの距離に基づいて、ターゲットの距離の変遷を描いたものである。縦軸は、距離、横軸は、時間である。曲線801は、2048点FFT処理の結果から得た距離に基づいて求めた、ターゲットの距離の変遷を示す。丸印は、2048点FFT処理によって計算した距離データを示す。曲線802は、512点FFT処理の結果から得た距離に基づいて求めた、ターゲットの距離の変遷を示す。×印は、512点FFT処理によって計算した距離データを示す。図示のように、2048点FFT処理によって得られる曲線801は、ノイズの影響が少ない、即ち、S/N特性に優れた周波数解析を行うことが判る。一方、512点FFT処理によって得られる曲線802は、応答性に優れた周波数解析を行うが、ノイズの影響を受け易いことが判る。
【0036】
図9を参照して、本発明による本発明の車載用レーダ装置によってターゲットを検出する処理の第1の例を説明する。
【0037】
ステップS101にて、ターゲットのビート信号をサンプリングし、サンプリング信号を取得する。この処理は、図2のサンプリングデータ取得部1が実行する。ここでは、図3に示したように、2048点のサンプリングデータ、即ち、ビート信号を取得する。ステップS102にて、2048点FFT処理を実行する。この処理は、図2の第1FFT処理部2を実行する。ステップS103にて、512点FFT処理を実行する。この処理は、図2の第2FFT処理部3が実行する。ここで、サンプリングデータは2048点あるので、図3に示すように、2048点FFT処理を1回実行し、512点FFT処理を4回実行する。
【0038】
ステップS104にて、2048点FFT処理と512点FFT処理のそれぞれの結果に対して、ピーク信号の検出処理を実行する。この処理は、図2のピーク検出部4が実行する。ピーク信号の検出処理では、ピーク信号の周波数、振幅及び位相を検出する。ピーク信号の周波数は、自車に対するターゲットの相対速度を表し、ピーク信号の位相は、自車からターゲットまでの距離と自車に対するターゲットの角度を表し、ピーク信号の振幅又は強度は、ターゲットからの反射信号の強度を表す。
【0039】
ステップS105では、ピーク信号の検出処理の結果を格納する。この処理は、図2のピーク信号履歴部5が実行する。即ち、ステップS104で取り出したピーク信号の周波数、振幅及び位相をメモリに記憶する。上述のように、2048点1FFT処理を1回実行し、512点FFT処理を4回実行しているので、ここでは、合計5回分のFFT処理の結果から得たピーク信号が記録される。
【0040】
ステップS106〜S108にて、本発明による有効ピーク選択処理の第1の例を実行する。この処理は、図2の有効ピーク選択部6が実行する。
【0041】
ステップS106では、512点FFT処理の結果よりピーク信号の周波数の変化量をチェックする。もし、周波数の変化量が所定の閾値α1を超えていれば、ステップS110に進み、そうでなければステップS107に進む。ピーク信号の周波数の変化量は、自車に対するターゲットの相対速度の変化量を表す。ターゲットの相対速度の変化量が大きい場合には、ステップS110に進み、そうでなければステップS107に進む。
【0042】
ステップS107では、512点FFT処理の結果よりピーク信号の位相の変化量をチェックする。もし、位相の変化量が所定の閾値α2を超えていれば、ステップS110に進み、そうでなければステップS108に進む。ピーク信号の位相の変化量は、自車からターゲットまでの距離及び角度の変化量を表す。ターゲットまでの距離及び角度の変化量が大きい場合には、ステップS110に進み、そうでなければステップS108に進む。
【0043】
ステップS108では、512点FFT処理の結果よりピーク信号の信号強度の変化量をチェックする。もし、信号強度の変化量が所定の閾値α3を超えていれば、ステップS110に進み、そうでなければステップS109に進む。ピーク信号の信号強度の変化量は、ターゲットからの信号の反射強度の変化量を表す。ターゲットからの信号の反射強度の変化量が大きい場合には、ステップS110に進み、そうでなければステップS109に進む。
【0044】
ステップS109では、距離、角度、及び、相対速度計算処理を実行する。この処理は、図2の距離、角度、及び、相対速度計算部7が実行する。ここでは、ターゲットの相対速度の変化量、位相の変化量、及び、ターゲットからの信号の反射強度の変化量は、いずれも、所定の閾値未満である。従って、2048点FFT処理の結果より得たピーク信号を用いて、ターゲットの距離、角度、相対速度を算出する。1回の2048点FFT処理の結果より2個のターゲットを検出したと仮定する。ターゲット毎に、ターゲットの距離、角度、相対速度を算出すると、ターゲットの距離、角度、相対速度が、それぞれ2個得られる。ここでは、距離及び相対速度は2周波CW方式、角度についてはモノパルス方式によって算出する。これらの方法は当該技術分野において広く知られているものであるため、さらに詳細は説明しない。
【0045】
一方、ステップS110でも、距離、角度、及び、相対速度計算処理を実行する。この処理は、図2の距離、角度、及び、相対速度計算部7が実行する。ここでは、ターゲットの相対速度の変化量、位相の変化量、及び、ターゲットからの信号の反射強度の変化量の少なくとも1つは、所定の閾値を超えている。従って、512点FFT処理の結果より得たピーク信号を用いて、ターゲットの距離、角度、相対速度を算出する。4回の512点FFT処理の結果の各々にて、2個のターゲットを検出したと仮定する。ターゲット毎に、ターゲットの距離、角度、相対速度を算出すると、ターゲットの距離、角度、相対速度が、それぞれ8個得られる。
【0046】
ステップS111では、ターゲットトラッキング処理を実行する。この処理は、図2のターゲットトラッキング部10が実行する。ステップS109及びステップS110にて求めた距離、角度、相対速度に対してLPF(ローパスフィルタ)などのフィルタリング処理を実行する。フィルタリング処理は、検出したターゲットの数だけ実行する。ステップS109では、2個のターゲットについて1個の距離、角度、相対速度が得られている。この場合にはフィルタリング処理を2回だけ実行する。ステップS110では、2個のターゲットについて4個の距離、角度、相対速度が求められている。この場合には、フィルタリング処理を8回実行する。そして、このフィルタリング処理の計算結果を、ターゲットに対する計測値とする。計測値を用いて、ターゲットの相対速度、距離、角度の変遷を表す経路を作成する。
以上の実施例では、ピーク信号の周波数、位相又は信号強度の時間変化量を有効ピーク選択処理の判定指標に用いた。しかしながら、有効ピーク選択処理の判定指標に、RCS(Radar Cross Section:レーダ反射断面積)を用いてもよい。RCSは、距離と信号強度から算出することができるが、計算式については当該技術分野において広く知られているものであるため、ここでは詳細には説明しない。
【0047】
図10を参照して、本発明による本発明の車載用レーダ装置によってターゲットを検出する処理の第2の例を説明する。本例では、有効ピーク選択処理の判定指標に、ピーク幅を用いる。まず、ステップS201にて、2048点のサンプリングデータを取得し、ステップS202にて、2048点FFT処理を実行する。ステップS203にて、ピーク信号の検出を行う。
【0048】
ステップS204及びS205にて、本発明による有効ピーク選択処理の第2の例を実行する。この処理は、図2の有効ピーク選択部6が実行する。ステップS204にて、ピーク幅算出を実行する。
【0049】
図11を参照して、ピーク幅算出を説明する。図11は、ステップS202のFFT処理の結果より得られた受信信号のスペクトルを示す。このスペクトル図を用いて、ピーク幅算出を説明する。ステップS203にて検出したピーク信号の信号強度を基準として、ピーク幅判定閾値を設定する。ピーク幅判定閾値は、ピーク信号の信号強度より所定値(例えば6dB)だけ小さい。次に、ピーク信号の左右に存在する裾部が、このピーク幅判定閾値を下回る周波数をそれぞれ求め、この2つの周波数の差をピーク幅とする。
【0050】
ステップS205では、このピーク幅が所定値βを超えているかどうかを判断する。ピーク幅が所定値βを超えていれば、図7(e)のような状況が発生していると判断してステップS207に進む。ピーク幅が所定値βを超えていなければ、図6(e)の状況であると判断してステップS206に進む。
【0051】
ステップS206では、2048点FFT処理で検出したピーク信号を用いて、ターゲットの距離、角度、相対速度を1つ算出し、ステップS209に進む。一方、ステップS207では、512点FFT処理を実施し、ステップS208に進む。
【0052】
ステップS208では、512点FFT処理で検出したピーク信号を用いて、ターゲットの距離、角度、相対速度を最大4つ算出し、ステップS209に進む。ステップS209では、距離、角度、相対速度に対してLPFなどのフィルタリングを行い、ターゲットに対する計測値を求める。
【0053】
図12を参照して、本発明による本発明の車載用レーダ装置によってターゲットを検出する処理の第3の例を説明する。本例では、有効ピーク選択処理の代わりにFFT選択処理を行う。FFT選択処理の判定指標に、自車情報を用いる。まず、ステップS301にて、2048点のサンプリングデータを取得し、ステップS302にて、自車速及びヨーレート及び操舵角の情報を取得する。この処理は、図2の車両情報取得部8が実行する。
【0054】
ステップS303では、ステップS302にて取得した自車速及びヨーレート及び操舵角の情報をメモリに記録する。この処理は、図2の車両情報履歴部9が実行する。
【0055】
ステップS304〜S306にて、本発明によるFFT選択処理の例を実行する。この処理は、図2の有効ピーク選択部6が実行する。
【0056】
ステップS304では、前回取得した自車速値と、今回取得した自車速値の差を求め、これを自車速の時間変化量とする。そして、この時間変化量が所定値γ1を超えているかを判断する。自車速の時間変化量が所定値γ1を超えていれば、図7(e)のような状況が発生していると判断してステップS308に進む。自車速の時間変化量が所定値γ1を超えていなければ、図6(e)の状況であると判断してステップS305に進む。
【0057】
ステップS305では、同様にヨーレートの時間変化量を算出し、この時間変化量が所定値γ2を超えているかを判断する。ヨーレートの時間変化量が所定値γ2を超えていれば図7(e)のような状況が発生していると判断してステップS308に進む。ヨーレートの時間変化量が所定値γ2を超えていなければ、図6(e)の状況であると判断してステップS306に進む。
【0058】
ステップS306では、同様に操舵角の時間変化量を算出し、この時間変化量が所定値γ3を超えているかを判断する。操舵角の時間変化量が所定値γ3を超えていれば図7(e)のような状況が発生していると判断してステップS308に進む。操舵角の時間変化量が所定値γ3を超えていなければ、図6(e)の状況であると判断してステップS307に進む。
【0059】
ステップS307では、2048点FFT処理を行い、ステップS308では、512点FFT処理を行い、ステップS309に進む。
【0060】
ステップS309では、2048点FFT処理または512点FFT処理からピーク信号を検出し、ステップS310に進む。ステップS310では、検出したピーク信号を用いて、ターゲットの距離、角度、相対速度を算出し、ステップS311に進む。ステップS311では、距離、角度、相対速度に対してLPFなどのフィルタリングを行い、ターゲットに対する計測値を求める。
【0061】
以上のような処理を実行することにより、ターゲットに対する受信信号状態が短時間で大きく変化した場合でも、時間応答性を改善することができ、測定誤差の少ないレーダ装置が実現する。
【0062】
以上本発明の例を説明したが本発明は上述の例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲にて様々は変更が可能であることは当業者によって容易に理解されよう。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明は、車載用レーダ装置に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の車載用レーダ装置の構造の例を説明する図である。
【図2】本発明による車載用レーダ装置の信号処理部の構成及び処理を説明する図である。
【図3】本発明による車載用レーダ装置のレーダアンテナ部から信号処理部に送られるサンプリングデータ、即ち、ビート信号の例を示す図である。
【図4】図4及び図5を参照して、ピーク検出部4によるピーク検出処理を説明する。図5に示すように、ピーク検出処理は、ステップS401のノイズ推定処理と、ステップS402のピーク検出処理を含む。ピーク検出処理を説明するスペクトル図である。
【図5】本発明による車載用レーダ装置におけるピーク検出処理を説明する処理のフローを示す図である。
【図6】ピーク信号の周波数が時間的に変化していない場合のFFT処理により得られた受信信号のスペクトルを示す図である。
【図7】ピーク信号の周波数が時間的に変化している場合のFFT処理により得られた受信信号のスペクトルを示す図である。
【図8】ターゲットトラッキング処理を説明する図である。
【図9】本発明の車載用レーダ装置によってターゲットを検出する処理の第1の例を説明する図である。
【図10】本発明の車載用レーダ装置によってターゲットを検出する処理の第2の例を説明する図である。
【図11】本発明の車載用レーダ装置におけるピーク幅算出処理を説明する図である。
【図12】本発明本発明のレーダ装置によってターゲットを検出する処理の第3の例を説明する図である。
【符号の説明】
【0065】
1…サンプリングデータ取得部、2…FFT処理部(高S/N用)、3…FFT処理部(高応答性用)、4…ピーク検出部、5…ピーク信号履歴部、6…有効ピーク選択部、7…距離及び角度及び相対速度計算部、8…車両情報取得部、9…車両情報履歴部、10…ターゲットトラッキング部、11…レーダアンテナ部、12…信号処理部、13…発振器、14…送信アンテナ、15…受信用左アンテナ、16…受信用右アンテナ、17、18…ミキサ、19、20…A/Dコンバータ、21…マイコン、22…車速センサ、23…ヨーレートセンサ、24…操舵角センサ
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等の車両に搭載して好適な車載用レーダ装置に関し、特に、車載用レーダ装置における信号処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車には、自車の周囲に存在するターゲットを検知するセンサとして車載用レーダが搭載される。車載用レーダには、レーザレーダとミリ波レーダが知られている。ミリ波レーダは、雨や霧の状態でも安定してターゲットを検知することができる全天候型のセンサである。ミリ波レーダは、送信アンテナからミリ波周波数帯域の電波を送出し、自車周辺の車両や歩行者などのターゲットからの反射波を受信する。送信波に対する受信波のビート信号を取り出して解析することにより、自車とターゲットの間の距離、ターゲットの相対速度等を検出する。
【0003】
電波を送出する際の変調方式として、FMCW(Frequency Modulated Continuous Wave)方式、FMICW(Frequency Modulated Interrupted Continuous Wave)方式、2周波CW(Continuous Wave)方式等、いくつかの方式が提案されている。
【0004】
2周波CW方式では、比較的近接する2個の周波数を周期的に切り替えて送信し、これらの受信波の変調度合いを利用してターゲットに対する距離、相対速度等を検出する。2周波CW方式は、必要な周波数帯域が狭く、発信周波数が2個で済むことから発振器などの回路構成が簡単で済むなどの利点がある。
【0005】
従来のレーダ装置では、ビート信号からターゲットの距離や相対速度などを計算するために、FFT(Fast Fourier Transform)などの周波数解析が行われている。例えば、特開2002−341019号公報に開示されている例では、ビート信号にターゲットの反射波が含まれる場合は高い周波数計測精度を持ったFFT処理を行い、ビート信号にターゲットの反射波が含まれない場合は処理負荷低減のために低い周波数計測精度を持ったFFT処理を実行する。
【0006】
【特許文献1】特開2002−341019号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ターゲットは、加減速し、又は、右左折することもある。また、マルチパス干渉や電波干渉が発生することもある。即ち、短時間のうちにターゲットの状態、例えば、距離、相対速度、方位角度または受信信号強度が大きく変化することもある。
【0008】
従来のレーダ装置では、高い周波数計測精度を持ったFFT処理を使用すると、長い観測時間を必要とする。そのため、計測値は長い観測時間の平均値となる。従って、時間応答性が良好でない。
【0009】
本発明の目的は、ターゲットの状態が短時間で大きく変化した場合でも、時間応答性を改善し、測定誤差の少ない車載用レーダ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の車載用レーダ装置は、送信波と受信波から生成したビート信号をサンプリングして所定時間毎にM個のサンプリング信号を生成するA/Dコンバータと、2つのFFT処理部を有する。
【0011】
第1FFT処理部は、S/N特性に優れた周波数解析を行い、第2FFT処理部は、応答性に優れた周波数解析を行う。
【0012】
第1FFT処理部は、M個のビート信号に対して高速フーリエ変換(FFT)を実行する。第2FFT処理部は、M個のビート信号の中から連続したL個(L<M)のビート信号を1組以上抽出し、抽出した1組以上のL個のビート信号に対して高速フーリエ変換(FFT)を実行する。
【0013】
ピーク信号の時間的変化量が小さい場合には、S/N特性に優れた第1FFT処理部による周波数解析より得たピーク信号を用いて、ターゲットの距離、角度、及び、相対速度を演算する。ピーク信号の時間的変化量が大きい場合には、応答性に優れた第2FFT処理部による周波数解析より得たピーク信号を用いて、ターゲットの距離、角度、及び、相対速度を演算する。
【0014】
更に本発明によると、自車速値、ヨーレート値、及び、操舵角値の時間的変化量が小さい場合には、S/N特性に優れた第1FFT処理部による周波数解析より得たピーク信号を用いて、ターゲットの距離、角度、及び、相対速度を演算する。自車速値、ヨーレート値、及び、操舵角値の時間的変化量が大きい場合には、応答性に優れた第2FFT処理部による周波数解析より得たピーク信号を用いて、ターゲットの距離、角度、及び、相対速度を演算する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によると、車載用レーダ装置において、ターゲットの状態が短時間で大きく変化した場合でも、時間応答性を改善し、測定誤差の少なくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1を参照して、本発明の車載用レーダ装置の構造の例を説明する。本例の車載用レーダ装置では、変調方式として、2周波CW方式、角度検出方式としてモノパルス方式を用いる。2周波CW方式とは、比較的近接する2個の周波数を周期的に切り替えて送信し、これらの受信波の変調度合いを利用してターゲットに対する距離、相対速度等を検出する方式である。モノパルス方式とは、受信アンテナを左/右2つに分割して、左右アンテナの受信信号の和及び差、電力比、位相差からターゲットの方位角度を検出する方式である。
【0017】
本例のレーダ装置は、レーダアンテナ部11と信号処理12を有する。先ず、レーダアンテナ部11の構成と動作を説明する。レーダアンテナ部11は、発振器13、送信アンテナ14、受信用左アンテナ15、受信用右アンテナ16、ミキサ17及び18を有する。発振器13は送信波を生成し、それを、送信アンテナ14を介して、レーダの前方(例えば車両前方)のターゲットに向けて送信する。受信用左アンテナ15と受信用右アンテナ16は、ターゲットからの反射波を受信する。反射波の周波数は、送信波にドップラー周波数ΔFが加算された値となる。ドップラー周波数ΔFは、自車に対するターゲットの相対速度によって決まる。
【0018】
受信用左アンテナ15及び受信用右アンテナ16は、受信波を、それぞれミキサ部17及び18に供給する。ミキサ部17及び18は、送信波と受信波をミキシングし、ドップラー周波数の信号をビート信号として出力する。このビート信号は、信号処理部12に供給される。
【0019】
次に、信号処理部12の構成と動作を説明する。信号理部12は、A/Dコンバータ19及び20、及び、マイクロコンピュータ(以下、マイコンという)21を有する。マイコン21は、自車が備える車速センサ22、ヨーレートセンサ23及び操舵角センサ24に接続されている。A/Dコンバータ19及び20は、それぞれ、レーダアンテナ部11から供給されるビート信号をサンプリングし、サンプリング信号をマイコン21に供給する。
【0020】
図2を参照して、本発明による車載用レーダ装置の信号処理部12の構成及び処理を詳細に説明する。信号処理部12は、サンプリングデータ取得部1、高S/N用の第1FFT処理部2、高応答性用の第2FFT処理部3、ピーク検出部4、ピーク信号履歴部5、有効ピーク選択部6、距離及び角度及び相対速度計算部7、車両情報取得部8、車両情報履歴部9、及び、ターゲットトラッキング部10を有する。これらの要素は、ハードウェアとして実現してもよいが、マイコン21によって実行されるプログラムによって実現してもよい。
【0021】
図3を参照して、第1FFT処理部2と第2FFT処理部3の処理を説明する。図3は、A/Dコンバータ19及び20によって得られるサンプリングデータ、即ち、ビート信号を示す。レーダアンテナ部11は、所定の時間、例えば、44ms毎に、2048点のサンプリングデータ(ビート信号)を生成する。第1FFT処理部2は、2048点のサンプリングデータ(ビート信号)に対して、FFT(Fast Fourier Transform)処理を1回実行する。それによって、1個の受信信号強度のスペクトルが得られる。第2FFT処理部3は、2048点のサンプリングデータを、4つの時間帯に分割し、4組の512点のサンプリングデータを得る。512点のサンプリングデータに対して、FFT(Fast Fourier Transform)処理を1回実行する。従って、4つの時間帯に対して、合計4回の受信信号強度のスペクトルが得られる。
【0022】
次に、サンプリングとFFT処理のタイミングについて説明する。第1FFT処理部2は、2048点のビート信号に対するFFT処理を、少なくとも、2048点のビート信号のサンプリング時間より短い時間で完了し、出力する。本例では、44ms毎に、2048点のビート信号を生成する。従って、第1FFT処理部2は、2048点のビート信号に対するFFT処理とその結果の出力を、44ms以内に実行する。FFT処理の実行を開始するのは、2048点のビート信号を入力した時点である。従って、FFT処理とその結果を出力している間に、次の2048点のビート信号を入力する。こうして、FFT処理とその結果の出力を、2048点のビート信号のサンプリング時間より短い時間以内に実行することにより、リアルタイム処理が可能となる。
【0023】
同様に、第2FFT処理部3は、512点のビート信号に対するFFT処理とその結果の出力を、11ms以内に実行する。それによって、リアルタイム処置が可能となる。
【0024】
以下に、2048点のビート信号について、2048点FFT処理を1回実行することを、単に、2048点FFT処理を実行すると称し、512点のビート信号について、512点FFT処理を4回実行することを、単に、512点FFT処理を実行すると称する。2048点FFT処理は、S/N特性に優れた周波数解析を行い、512点FFT処理は、応答性に優れた周波数解析を行うが、これについては、以下に説明する。
【0025】
ここでは、A/Dコンバータ19及び20は、44ms毎に、2048点のサンプリングデータを送出する場合を説明した。しかしながら、これは単なる1例であり、サンプリングデータ数は2048点に限定されるものではない。そこで、サンプリングデータ数をMとし、それをN個の時間帯に分割するものとする。この場合、第1FFT処理部2はM点FFT処理を1回実行し、第2FFT処理部3はM/N(=L)点FFT処理をN回実行することになる。
【0026】
図4及び図5を参照して、ピーク検出部4によるピーク検出処理を説明する。図5に示すように、ピーク検出処理は、ステップS401のノイズ推定処理と、ステップS402のピーク検出処理を含む。
【0027】
図4は、2048点FFT処理及び512点FFT処理により得られた受信信号のスペクトルを示す。図4の横軸は周波数、縦軸は受信信号強度である。ステップS401のノイズ推定処理では、この受信信号強度信号よりノイズを推定する。図4に示すように、FFT処理の結果を複数の周波数領域に分割し、それぞれの周波数領域における信号強度の平均値を求める。この平均値を、それぞれの周波数領域のノイズレベルとする。ステップS402のピーク検出処理では、このノイズレベルを用いて、ターゲットに対応するピーク信号を取り出す。図4に示すように、ノイズレベルを基準として、ピーク信号の各々について、信号対ノイズ比(S/N)を計算する。次に、信号対ノイズ比(S/N)が所定値(例えば13dB)より大きいピーク信号を取り出す。
【0028】
1つのピーク信号は1つのターゲットを表す。例えば、ターゲットとして2台の車両を検出する場合には、2つのピーク信号が得られる。以下の議論では、FFT処理の結果から、2つのピーク信号、即ち、2つのターゲットを検出するものとして、説明する。
【0029】
こうしてピーク信号の周波数が得られる。ピーク信号の周波数が得られれば、ピーク信号の振幅及び位相が求められる。ピーク信号の周波数は、自車に対するターゲットの相対速度を表し、ピーク信号の位相は、自車からターゲットまでの距離と自車に対するターゲットの角度を表し、ピーク信号の振幅又は強度は、ターゲットからの反射信号の強度を表す。
【0030】
図6及び図7を参照して、有効ピーク選択部6による有効ピーク選択処理を説明する。先ず、この有効ピーク選択処理の目的について説明する。図6は、ピーク信号の周波数が時間的に変化していない例である。これは、自車に対するターゲットの相対速度が変化していない場合である。本例では、図3で示したように、2048点のサンプリングデータに対して、512点FFT処理を4回及び2048点FFT処理を1回実行する。512点FFT処理の結果は、図6(a)〜図6(d)に示し、2048点FFT処理の結果は図6(e)に示す。図6(a)は、サンプル時間0〜T1、図6(b)は、サンプル時間T1〜T2、図3(c)は、サンプル時間T2〜T3、図6(d)は、サンプル時間T3〜T4、におけるビート信号に対する、512点FFT処理の結果を示す。図6(e)は、サンプル時間0〜T4におけるビート信号に対する、2048点FFT処理の結果を示す。
【0031】
図6は、ピーク信号の周波数が時間的に変化していない場合を想定しているので、ピーク信号の周波数は、図6(a)〜図6(d)において、変化していない。そのため、サンプル時間0〜T4におけるビート信号に対して2048点FFT処理を実行すると、図6(e)に示すように、同一の周波数にピーク幅の細いピーク信号が現れる。
【0032】
図7は、ピーク信号の周波数が時間的に変化している例である。これは、自車に対するターゲットの相対速度が変化している場合である。ピーク信号の周波数は、図7(a)〜図7(d)において、変化している。そのため、サンプル時間0〜T4におけるビート信号に対して2048点FFT処理を実行すると、図7(e)に示すように、ピーク幅の細いピーク信号が現れる。
【0033】
すなわち、512点FFT処理の結果を使用すると、図7(a)〜図7(d)に示すように、周波数の時間変化を詳細に求めることができるのに対し、2048点FFT処理の結果を使用すると、図7(e)に示すように、周波数の時間変化を求めることができず、周波数を特定することができない。即ち、512点FFT処理によると、応答性に優れた周波数解析を行うことができる。一方、2048点FFT処理によると、応答性に優れた周波数解析を行うことはできないが、S/N特性に優れた周波数解析を行うことができる利点がある。
【0034】
従来の問題点はここにある。本発明によると、ピーク信号の周波数の変化が大きい場合には、2048点FFT処理の結果でなく、512点FFT処理の結果を用いて周波数解析を行う。それによって、周波数に対する応答性を高めて、測定精度を改善することができる。ここでは、ピーク信号の周波数が変化する場合について述べたが、ピーク信号の位相が変化する場合、ピーク信号の振幅が変化する場合も、同様である。
【0035】
図8を参照して、ターゲットトラッキング部10によるターゲットトラッキング処理を説明する。図8は、距離及び角度及び相対速度計算部7によって計算されたターゲットの距離に基づいて、ターゲットの距離の変遷を描いたものである。縦軸は、距離、横軸は、時間である。曲線801は、2048点FFT処理の結果から得た距離に基づいて求めた、ターゲットの距離の変遷を示す。丸印は、2048点FFT処理によって計算した距離データを示す。曲線802は、512点FFT処理の結果から得た距離に基づいて求めた、ターゲットの距離の変遷を示す。×印は、512点FFT処理によって計算した距離データを示す。図示のように、2048点FFT処理によって得られる曲線801は、ノイズの影響が少ない、即ち、S/N特性に優れた周波数解析を行うことが判る。一方、512点FFT処理によって得られる曲線802は、応答性に優れた周波数解析を行うが、ノイズの影響を受け易いことが判る。
【0036】
図9を参照して、本発明による本発明の車載用レーダ装置によってターゲットを検出する処理の第1の例を説明する。
【0037】
ステップS101にて、ターゲットのビート信号をサンプリングし、サンプリング信号を取得する。この処理は、図2のサンプリングデータ取得部1が実行する。ここでは、図3に示したように、2048点のサンプリングデータ、即ち、ビート信号を取得する。ステップS102にて、2048点FFT処理を実行する。この処理は、図2の第1FFT処理部2を実行する。ステップS103にて、512点FFT処理を実行する。この処理は、図2の第2FFT処理部3が実行する。ここで、サンプリングデータは2048点あるので、図3に示すように、2048点FFT処理を1回実行し、512点FFT処理を4回実行する。
【0038】
ステップS104にて、2048点FFT処理と512点FFT処理のそれぞれの結果に対して、ピーク信号の検出処理を実行する。この処理は、図2のピーク検出部4が実行する。ピーク信号の検出処理では、ピーク信号の周波数、振幅及び位相を検出する。ピーク信号の周波数は、自車に対するターゲットの相対速度を表し、ピーク信号の位相は、自車からターゲットまでの距離と自車に対するターゲットの角度を表し、ピーク信号の振幅又は強度は、ターゲットからの反射信号の強度を表す。
【0039】
ステップS105では、ピーク信号の検出処理の結果を格納する。この処理は、図2のピーク信号履歴部5が実行する。即ち、ステップS104で取り出したピーク信号の周波数、振幅及び位相をメモリに記憶する。上述のように、2048点1FFT処理を1回実行し、512点FFT処理を4回実行しているので、ここでは、合計5回分のFFT処理の結果から得たピーク信号が記録される。
【0040】
ステップS106〜S108にて、本発明による有効ピーク選択処理の第1の例を実行する。この処理は、図2の有効ピーク選択部6が実行する。
【0041】
ステップS106では、512点FFT処理の結果よりピーク信号の周波数の変化量をチェックする。もし、周波数の変化量が所定の閾値α1を超えていれば、ステップS110に進み、そうでなければステップS107に進む。ピーク信号の周波数の変化量は、自車に対するターゲットの相対速度の変化量を表す。ターゲットの相対速度の変化量が大きい場合には、ステップS110に進み、そうでなければステップS107に進む。
【0042】
ステップS107では、512点FFT処理の結果よりピーク信号の位相の変化量をチェックする。もし、位相の変化量が所定の閾値α2を超えていれば、ステップS110に進み、そうでなければステップS108に進む。ピーク信号の位相の変化量は、自車からターゲットまでの距離及び角度の変化量を表す。ターゲットまでの距離及び角度の変化量が大きい場合には、ステップS110に進み、そうでなければステップS108に進む。
【0043】
ステップS108では、512点FFT処理の結果よりピーク信号の信号強度の変化量をチェックする。もし、信号強度の変化量が所定の閾値α3を超えていれば、ステップS110に進み、そうでなければステップS109に進む。ピーク信号の信号強度の変化量は、ターゲットからの信号の反射強度の変化量を表す。ターゲットからの信号の反射強度の変化量が大きい場合には、ステップS110に進み、そうでなければステップS109に進む。
【0044】
ステップS109では、距離、角度、及び、相対速度計算処理を実行する。この処理は、図2の距離、角度、及び、相対速度計算部7が実行する。ここでは、ターゲットの相対速度の変化量、位相の変化量、及び、ターゲットからの信号の反射強度の変化量は、いずれも、所定の閾値未満である。従って、2048点FFT処理の結果より得たピーク信号を用いて、ターゲットの距離、角度、相対速度を算出する。1回の2048点FFT処理の結果より2個のターゲットを検出したと仮定する。ターゲット毎に、ターゲットの距離、角度、相対速度を算出すると、ターゲットの距離、角度、相対速度が、それぞれ2個得られる。ここでは、距離及び相対速度は2周波CW方式、角度についてはモノパルス方式によって算出する。これらの方法は当該技術分野において広く知られているものであるため、さらに詳細は説明しない。
【0045】
一方、ステップS110でも、距離、角度、及び、相対速度計算処理を実行する。この処理は、図2の距離、角度、及び、相対速度計算部7が実行する。ここでは、ターゲットの相対速度の変化量、位相の変化量、及び、ターゲットからの信号の反射強度の変化量の少なくとも1つは、所定の閾値を超えている。従って、512点FFT処理の結果より得たピーク信号を用いて、ターゲットの距離、角度、相対速度を算出する。4回の512点FFT処理の結果の各々にて、2個のターゲットを検出したと仮定する。ターゲット毎に、ターゲットの距離、角度、相対速度を算出すると、ターゲットの距離、角度、相対速度が、それぞれ8個得られる。
【0046】
ステップS111では、ターゲットトラッキング処理を実行する。この処理は、図2のターゲットトラッキング部10が実行する。ステップS109及びステップS110にて求めた距離、角度、相対速度に対してLPF(ローパスフィルタ)などのフィルタリング処理を実行する。フィルタリング処理は、検出したターゲットの数だけ実行する。ステップS109では、2個のターゲットについて1個の距離、角度、相対速度が得られている。この場合にはフィルタリング処理を2回だけ実行する。ステップS110では、2個のターゲットについて4個の距離、角度、相対速度が求められている。この場合には、フィルタリング処理を8回実行する。そして、このフィルタリング処理の計算結果を、ターゲットに対する計測値とする。計測値を用いて、ターゲットの相対速度、距離、角度の変遷を表す経路を作成する。
以上の実施例では、ピーク信号の周波数、位相又は信号強度の時間変化量を有効ピーク選択処理の判定指標に用いた。しかしながら、有効ピーク選択処理の判定指標に、RCS(Radar Cross Section:レーダ反射断面積)を用いてもよい。RCSは、距離と信号強度から算出することができるが、計算式については当該技術分野において広く知られているものであるため、ここでは詳細には説明しない。
【0047】
図10を参照して、本発明による本発明の車載用レーダ装置によってターゲットを検出する処理の第2の例を説明する。本例では、有効ピーク選択処理の判定指標に、ピーク幅を用いる。まず、ステップS201にて、2048点のサンプリングデータを取得し、ステップS202にて、2048点FFT処理を実行する。ステップS203にて、ピーク信号の検出を行う。
【0048】
ステップS204及びS205にて、本発明による有効ピーク選択処理の第2の例を実行する。この処理は、図2の有効ピーク選択部6が実行する。ステップS204にて、ピーク幅算出を実行する。
【0049】
図11を参照して、ピーク幅算出を説明する。図11は、ステップS202のFFT処理の結果より得られた受信信号のスペクトルを示す。このスペクトル図を用いて、ピーク幅算出を説明する。ステップS203にて検出したピーク信号の信号強度を基準として、ピーク幅判定閾値を設定する。ピーク幅判定閾値は、ピーク信号の信号強度より所定値(例えば6dB)だけ小さい。次に、ピーク信号の左右に存在する裾部が、このピーク幅判定閾値を下回る周波数をそれぞれ求め、この2つの周波数の差をピーク幅とする。
【0050】
ステップS205では、このピーク幅が所定値βを超えているかどうかを判断する。ピーク幅が所定値βを超えていれば、図7(e)のような状況が発生していると判断してステップS207に進む。ピーク幅が所定値βを超えていなければ、図6(e)の状況であると判断してステップS206に進む。
【0051】
ステップS206では、2048点FFT処理で検出したピーク信号を用いて、ターゲットの距離、角度、相対速度を1つ算出し、ステップS209に進む。一方、ステップS207では、512点FFT処理を実施し、ステップS208に進む。
【0052】
ステップS208では、512点FFT処理で検出したピーク信号を用いて、ターゲットの距離、角度、相対速度を最大4つ算出し、ステップS209に進む。ステップS209では、距離、角度、相対速度に対してLPFなどのフィルタリングを行い、ターゲットに対する計測値を求める。
【0053】
図12を参照して、本発明による本発明の車載用レーダ装置によってターゲットを検出する処理の第3の例を説明する。本例では、有効ピーク選択処理の代わりにFFT選択処理を行う。FFT選択処理の判定指標に、自車情報を用いる。まず、ステップS301にて、2048点のサンプリングデータを取得し、ステップS302にて、自車速及びヨーレート及び操舵角の情報を取得する。この処理は、図2の車両情報取得部8が実行する。
【0054】
ステップS303では、ステップS302にて取得した自車速及びヨーレート及び操舵角の情報をメモリに記録する。この処理は、図2の車両情報履歴部9が実行する。
【0055】
ステップS304〜S306にて、本発明によるFFT選択処理の例を実行する。この処理は、図2の有効ピーク選択部6が実行する。
【0056】
ステップS304では、前回取得した自車速値と、今回取得した自車速値の差を求め、これを自車速の時間変化量とする。そして、この時間変化量が所定値γ1を超えているかを判断する。自車速の時間変化量が所定値γ1を超えていれば、図7(e)のような状況が発生していると判断してステップS308に進む。自車速の時間変化量が所定値γ1を超えていなければ、図6(e)の状況であると判断してステップS305に進む。
【0057】
ステップS305では、同様にヨーレートの時間変化量を算出し、この時間変化量が所定値γ2を超えているかを判断する。ヨーレートの時間変化量が所定値γ2を超えていれば図7(e)のような状況が発生していると判断してステップS308に進む。ヨーレートの時間変化量が所定値γ2を超えていなければ、図6(e)の状況であると判断してステップS306に進む。
【0058】
ステップS306では、同様に操舵角の時間変化量を算出し、この時間変化量が所定値γ3を超えているかを判断する。操舵角の時間変化量が所定値γ3を超えていれば図7(e)のような状況が発生していると判断してステップS308に進む。操舵角の時間変化量が所定値γ3を超えていなければ、図6(e)の状況であると判断してステップS307に進む。
【0059】
ステップS307では、2048点FFT処理を行い、ステップS308では、512点FFT処理を行い、ステップS309に進む。
【0060】
ステップS309では、2048点FFT処理または512点FFT処理からピーク信号を検出し、ステップS310に進む。ステップS310では、検出したピーク信号を用いて、ターゲットの距離、角度、相対速度を算出し、ステップS311に進む。ステップS311では、距離、角度、相対速度に対してLPFなどのフィルタリングを行い、ターゲットに対する計測値を求める。
【0061】
以上のような処理を実行することにより、ターゲットに対する受信信号状態が短時間で大きく変化した場合でも、時間応答性を改善することができ、測定誤差の少ないレーダ装置が実現する。
【0062】
以上本発明の例を説明したが本発明は上述の例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲にて様々は変更が可能であることは当業者によって容易に理解されよう。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明は、車載用レーダ装置に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の車載用レーダ装置の構造の例を説明する図である。
【図2】本発明による車載用レーダ装置の信号処理部の構成及び処理を説明する図である。
【図3】本発明による車載用レーダ装置のレーダアンテナ部から信号処理部に送られるサンプリングデータ、即ち、ビート信号の例を示す図である。
【図4】図4及び図5を参照して、ピーク検出部4によるピーク検出処理を説明する。図5に示すように、ピーク検出処理は、ステップS401のノイズ推定処理と、ステップS402のピーク検出処理を含む。ピーク検出処理を説明するスペクトル図である。
【図5】本発明による車載用レーダ装置におけるピーク検出処理を説明する処理のフローを示す図である。
【図6】ピーク信号の周波数が時間的に変化していない場合のFFT処理により得られた受信信号のスペクトルを示す図である。
【図7】ピーク信号の周波数が時間的に変化している場合のFFT処理により得られた受信信号のスペクトルを示す図である。
【図8】ターゲットトラッキング処理を説明する図である。
【図9】本発明の車載用レーダ装置によってターゲットを検出する処理の第1の例を説明する図である。
【図10】本発明の車載用レーダ装置によってターゲットを検出する処理の第2の例を説明する図である。
【図11】本発明の車載用レーダ装置におけるピーク幅算出処理を説明する図である。
【図12】本発明本発明のレーダ装置によってターゲットを検出する処理の第3の例を説明する図である。
【符号の説明】
【0065】
1…サンプリングデータ取得部、2…FFT処理部(高S/N用)、3…FFT処理部(高応答性用)、4…ピーク検出部、5…ピーク信号履歴部、6…有効ピーク選択部、7…距離及び角度及び相対速度計算部、8…車両情報取得部、9…車両情報履歴部、10…ターゲットトラッキング部、11…レーダアンテナ部、12…信号処理部、13…発振器、14…送信アンテナ、15…受信用左アンテナ、16…受信用右アンテナ、17、18…ミキサ、19、20…A/Dコンバータ、21…マイコン、22…車速センサ、23…ヨーレートセンサ、24…操舵角センサ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電波を送信する送信アンテナと、ターゲットからの反射波を受信する受信アンテナと、前記送信波と受信波からビート信号を生成するビート生成部と、該ビート信号をサンプリングして所定時間毎にM個のサンプリング信号を生成するA/Dコンバータと、前記M個のビート信号を周波数解析する第1FFT処理部と、前記M個のビート信号の中から連続したL個(L<M)のビート信号を1組以上抽出し、抽出した1組以上のL個のビート信号に対して周波数解析する第2FFT処理部と、前記第1FFT処理部と前記第2FFT処理部による周波数解析の結果からピーク信号を検出するピーク検出部と、前記ピーク信号からターゲットの距離、角度、及び、相対速度を算出する距離、角度及び相対速度算出部を備えた車載用レーダ装置において、
ピーク信号の時間的変化量が所定の閾値未満である場合には、前記第1FFT処理部による周波数解析より得たピーク信号より演算した、ターゲットの距離、角度、及び、相対速度を出力し、ピーク信号の時間的変化量が所定の閾値より大きい場合には、前記第2FFT処理部による周波数解析より得たピーク信号より演算した、ターゲットの距離、角度、及び、相対速度を出力することを特徴とする車載用レーダ装置。
【請求項2】
請求項1記載の車載用レーダ装置において、ピーク信号の周波数、位相、又は、信号強度の時間的変化量を、所定の閾値と比較し、前記周波数、位相、又は、信号強度の時間的変化量が閾値未満である場合には、前記第1FFT処理部による周波数解析より得たピーク信号より演算した、ターゲットの距離、角度、及び、相対速度を出力し、前記周波数、位相、又は、信号強度の時間的変化量が所定の閾値より大きい場合には、前記第2FFT処理部による周波数解析より得たピーク信号より演算した、ターゲットの距離、角度、及び、相対速度を出力することを特徴とする車載用レーダ装置。
【請求項3】
請求項1記載の車載用レーダ装置において、ピーク信号のRCS(Radar Cross Section:レーダ反射断面積)の時間的変化量を、所定の閾値と比較し、前記RCSが前記所定の閾値未満である場合には、前記第1FFT処理部による周波数解析より得たピーク信号より演算した、ターゲットの距離、角度、及び、相対速度を出力し、前記RCSが前記所定の閾値より大きい場合には、前記第2FFT処理部による周波数解析より得たピーク信号より演算した、ターゲットの距離、角度、及び、相対速度を出力することを特徴とする車載用レーダ装置。
【請求項4】
請求項1記載の車載用レーダ装置において、前記第1FFT処理部による周波数解析の結果から得たピーク信号のピーク幅が所定の閾値以下である場合には、前記第1FFT処理部による周波数解析より得たピーク信号より演算した、ターゲットの距離、角度、及び、相対速度を出力し、前記第1FFT処理部による周波数解析の結果から得たピーク信号のピーク幅が所定の閾値より大きい場合には、前記第2FFT処理部による周波数解析より得たピーク信号より演算した、ターゲットの距離、角度、及び、相対速度を出力することを特徴とする車載用レーダ装置。
【請求項5】
請求項1記載の車載用レーダ装置において、前記ピーク検出部は、前記第1FFT処理部及び前記第2FFT処理部による周波数解析により得た受信信号の周波数スペクトルからノイズレベルを推定し、該ノイズレベルを用いて、ターゲットに対応するピーク信号を取り出すことを特徴とする車載用レーダ装置。
【請求項6】
請求項5記載の車載用レーダ装置において、前記ピーク検出部は、前記受信信号の周波数スペクトル複数の周波数領域に分割し、それぞれの周波数領域における信号強度の平均値を、それぞれの周波数領域のノイズレベルとすることを特徴とする車載用レーダ装置。
【請求項7】
請求項5記載の車載用レーダ装置において、前記ピーク検出部は、前記ノイズレベルを基準として、ピーク信号の各々について、信号対ノイズ比(S/N)を計算し、該信号対ノイズ比(S/N)が所定値より大きいピーク信号を取り出すことを特徴とする車載用レーダ装置。
【請求項8】
請求項1記載の車載用レーダ装置において、前記第1FFT処理部は、前記M個のビート信号をサンプリングする時間より短い時間内に、M個のビート信号に対する高速フーリエ変換(FFT)を実行し、且つ、周波数解析の結果を出力し、前記第2FFT処理部は、前記L個のビート信号をサンプリングする時間より短い時間内に、L個のビート信号に対する高速フーリエ変換(FFT)を実行し、且つ、周波数解析の結果を出力することを特徴とする車載用レーダ装置。
【請求項9】
電波を送信する送信アンテナと、ターゲットからの反射波を受信する受信アンテナと、前記送信波と受信波からビート波形を生成するビート生成部と、該ビート信号をサンプリングして所定時間毎にM個のサンプリング信号を生成するA/Dコンバータと、前記M個のビート信号を周波数解析する第1FFT処理部と、前記M個のビート信号の中から連続したL個(L<M)のビート信号を1組以上抽出し、抽出した1組以上のL個のビート信号に対して周波数解析する第2FFT処理部と、前記第1FFT処理部と前記第2FFT処理部による周波数解析の結果からピーク信号を検出するピーク検出部と、前記ピーク信号からターゲットの距離、角度、及び、相対速度を算出する距離、角度及び相対速度算出部を備えた車載用レーダ装置において、
自車の自車速値、ヨーレート値及び操舵角値を取得する車両情報取得部を備え、
前記自車速値、ヨーレート値又は操舵角値の時間的変化量を、所定の閾値と比較し、前記自車速値、ヨーレート値又は操舵角値の時間的変化量が閾値未満である場合には、前記第1FFT処理部による周波数解析より得たピーク信号より演算した、ターゲットの距離、角度、及び、相対速度を出力し、前記自車速値、ヨーレート値又は操舵角値の時間的変化量が所定の閾値より大きい場合には、前記第2FFT処理部による周波数解析より得たピーク信号より演算した、ターゲットの距離、角度、及び、相対速度を出力することを特徴とする車載用レーダ装置。
【請求項10】
ターゲットに電波を送信する送信工程と、
ターゲットからの反射波を受信する受信工程と、
前記送信波と受信波からビート信号を生成するビート生成工程と、
該ビート信号をサンプリングして所定時間毎にM個のサンプリング信号を生成するA/Dコンバータ工程と、
前記M個のビート信号を高速フーリエ変換(FFT)によって周波数解析する第1FFT処理工程と、
前記M個のビート信号の中から連続したL個(L<M)のビート信号を1組以上抽出し、抽出した1組以上のL個のビート信号に対して周波数解析する第2FFT処理工程と、
前記第1FFT処理部と前記第2FFT処理部による周波数解析の結果からピーク信号を検出するピーク検出工程と、
前記ピーク信号からターゲットの距離、角度、及び、相対速度を算出する算出工程と、を有するターゲットの検出方法において、
ピーク信号の時間的変化量が所定の閾値未満である場合には、前記第1FFT処理部による周波数解析より得たピーク信号より演算した、ターゲットの距離、角度、及び、相対速度を出力し、ピーク信号の時間的変化量が所定の閾値より大きい場合には、前記第2FFT処理部による周波数解析より得たピーク信号より演算した、ターゲットの距離、角度、及び、相対速度を出力することを特徴とする車載用レーダ装置によるターゲットの検出方法。
【請求項11】
ターゲットに電波を送信する送信工程と、
ターゲットからの反射波を受信する受信工程と、
前記送信波と受信波からビート信号を生成するビート生成工程と、
該ビート信号をサンプリングして所定時間毎にM個のサンプリング信号を生成するA/Dコンバータ工程と、
前記M個のビート信号を高速フーリエ変換(FFT)によって周波数解析する第1FFT処理工程と、
前記M個のビート信号の中から連続したL個(L<M)のビート信号を1組以上抽出し、抽出した1組以上のL個のビート信号に対して周波数解析する第2FFT処理工程と、
前記第1FFT処理部と前記第2FFT処理部による周波数解析の結果からピーク信号を検出するピーク検出工程と、
前記ピーク信号からターゲットの距離、角度、及び、相対速度を算出する算出工程と、を有するターゲットの検出方法において、
自車の自車速値、ヨーレート値又は操舵角値を取得する車両情報取得工程とを有し、
前記自車速値、ヨーレート値又は操舵角値の時間的変化量を、所定の閾値と比較し、前記自車速値、ヨーレート値又は操舵角値の時間的変化量が閾値未満である場合には、前記第1FFT処理部による周波数解析より得たピーク信号より演算した、ターゲットの距離、角度、及び、相対速度を出力し、前記自車速値、ヨーレート値又は操舵角値の時間的変化量が所定の閾値より大きい場合には、前記第2FFT処理部による周波数解析より得たピーク信号より演算した、ターゲットの距離、角度、及び、相対速度を出力することを特徴とする車載用レーダ装置によるターゲットの検出方法。
【請求項1】
電波を送信する送信アンテナと、ターゲットからの反射波を受信する受信アンテナと、前記送信波と受信波からビート信号を生成するビート生成部と、該ビート信号をサンプリングして所定時間毎にM個のサンプリング信号を生成するA/Dコンバータと、前記M個のビート信号を周波数解析する第1FFT処理部と、前記M個のビート信号の中から連続したL個(L<M)のビート信号を1組以上抽出し、抽出した1組以上のL個のビート信号に対して周波数解析する第2FFT処理部と、前記第1FFT処理部と前記第2FFT処理部による周波数解析の結果からピーク信号を検出するピーク検出部と、前記ピーク信号からターゲットの距離、角度、及び、相対速度を算出する距離、角度及び相対速度算出部を備えた車載用レーダ装置において、
ピーク信号の時間的変化量が所定の閾値未満である場合には、前記第1FFT処理部による周波数解析より得たピーク信号より演算した、ターゲットの距離、角度、及び、相対速度を出力し、ピーク信号の時間的変化量が所定の閾値より大きい場合には、前記第2FFT処理部による周波数解析より得たピーク信号より演算した、ターゲットの距離、角度、及び、相対速度を出力することを特徴とする車載用レーダ装置。
【請求項2】
請求項1記載の車載用レーダ装置において、ピーク信号の周波数、位相、又は、信号強度の時間的変化量を、所定の閾値と比較し、前記周波数、位相、又は、信号強度の時間的変化量が閾値未満である場合には、前記第1FFT処理部による周波数解析より得たピーク信号より演算した、ターゲットの距離、角度、及び、相対速度を出力し、前記周波数、位相、又は、信号強度の時間的変化量が所定の閾値より大きい場合には、前記第2FFT処理部による周波数解析より得たピーク信号より演算した、ターゲットの距離、角度、及び、相対速度を出力することを特徴とする車載用レーダ装置。
【請求項3】
請求項1記載の車載用レーダ装置において、ピーク信号のRCS(Radar Cross Section:レーダ反射断面積)の時間的変化量を、所定の閾値と比較し、前記RCSが前記所定の閾値未満である場合には、前記第1FFT処理部による周波数解析より得たピーク信号より演算した、ターゲットの距離、角度、及び、相対速度を出力し、前記RCSが前記所定の閾値より大きい場合には、前記第2FFT処理部による周波数解析より得たピーク信号より演算した、ターゲットの距離、角度、及び、相対速度を出力することを特徴とする車載用レーダ装置。
【請求項4】
請求項1記載の車載用レーダ装置において、前記第1FFT処理部による周波数解析の結果から得たピーク信号のピーク幅が所定の閾値以下である場合には、前記第1FFT処理部による周波数解析より得たピーク信号より演算した、ターゲットの距離、角度、及び、相対速度を出力し、前記第1FFT処理部による周波数解析の結果から得たピーク信号のピーク幅が所定の閾値より大きい場合には、前記第2FFT処理部による周波数解析より得たピーク信号より演算した、ターゲットの距離、角度、及び、相対速度を出力することを特徴とする車載用レーダ装置。
【請求項5】
請求項1記載の車載用レーダ装置において、前記ピーク検出部は、前記第1FFT処理部及び前記第2FFT処理部による周波数解析により得た受信信号の周波数スペクトルからノイズレベルを推定し、該ノイズレベルを用いて、ターゲットに対応するピーク信号を取り出すことを特徴とする車載用レーダ装置。
【請求項6】
請求項5記載の車載用レーダ装置において、前記ピーク検出部は、前記受信信号の周波数スペクトル複数の周波数領域に分割し、それぞれの周波数領域における信号強度の平均値を、それぞれの周波数領域のノイズレベルとすることを特徴とする車載用レーダ装置。
【請求項7】
請求項5記載の車載用レーダ装置において、前記ピーク検出部は、前記ノイズレベルを基準として、ピーク信号の各々について、信号対ノイズ比(S/N)を計算し、該信号対ノイズ比(S/N)が所定値より大きいピーク信号を取り出すことを特徴とする車載用レーダ装置。
【請求項8】
請求項1記載の車載用レーダ装置において、前記第1FFT処理部は、前記M個のビート信号をサンプリングする時間より短い時間内に、M個のビート信号に対する高速フーリエ変換(FFT)を実行し、且つ、周波数解析の結果を出力し、前記第2FFT処理部は、前記L個のビート信号をサンプリングする時間より短い時間内に、L個のビート信号に対する高速フーリエ変換(FFT)を実行し、且つ、周波数解析の結果を出力することを特徴とする車載用レーダ装置。
【請求項9】
電波を送信する送信アンテナと、ターゲットからの反射波を受信する受信アンテナと、前記送信波と受信波からビート波形を生成するビート生成部と、該ビート信号をサンプリングして所定時間毎にM個のサンプリング信号を生成するA/Dコンバータと、前記M個のビート信号を周波数解析する第1FFT処理部と、前記M個のビート信号の中から連続したL個(L<M)のビート信号を1組以上抽出し、抽出した1組以上のL個のビート信号に対して周波数解析する第2FFT処理部と、前記第1FFT処理部と前記第2FFT処理部による周波数解析の結果からピーク信号を検出するピーク検出部と、前記ピーク信号からターゲットの距離、角度、及び、相対速度を算出する距離、角度及び相対速度算出部を備えた車載用レーダ装置において、
自車の自車速値、ヨーレート値及び操舵角値を取得する車両情報取得部を備え、
前記自車速値、ヨーレート値又は操舵角値の時間的変化量を、所定の閾値と比較し、前記自車速値、ヨーレート値又は操舵角値の時間的変化量が閾値未満である場合には、前記第1FFT処理部による周波数解析より得たピーク信号より演算した、ターゲットの距離、角度、及び、相対速度を出力し、前記自車速値、ヨーレート値又は操舵角値の時間的変化量が所定の閾値より大きい場合には、前記第2FFT処理部による周波数解析より得たピーク信号より演算した、ターゲットの距離、角度、及び、相対速度を出力することを特徴とする車載用レーダ装置。
【請求項10】
ターゲットに電波を送信する送信工程と、
ターゲットからの反射波を受信する受信工程と、
前記送信波と受信波からビート信号を生成するビート生成工程と、
該ビート信号をサンプリングして所定時間毎にM個のサンプリング信号を生成するA/Dコンバータ工程と、
前記M個のビート信号を高速フーリエ変換(FFT)によって周波数解析する第1FFT処理工程と、
前記M個のビート信号の中から連続したL個(L<M)のビート信号を1組以上抽出し、抽出した1組以上のL個のビート信号に対して周波数解析する第2FFT処理工程と、
前記第1FFT処理部と前記第2FFT処理部による周波数解析の結果からピーク信号を検出するピーク検出工程と、
前記ピーク信号からターゲットの距離、角度、及び、相対速度を算出する算出工程と、を有するターゲットの検出方法において、
ピーク信号の時間的変化量が所定の閾値未満である場合には、前記第1FFT処理部による周波数解析より得たピーク信号より演算した、ターゲットの距離、角度、及び、相対速度を出力し、ピーク信号の時間的変化量が所定の閾値より大きい場合には、前記第2FFT処理部による周波数解析より得たピーク信号より演算した、ターゲットの距離、角度、及び、相対速度を出力することを特徴とする車載用レーダ装置によるターゲットの検出方法。
【請求項11】
ターゲットに電波を送信する送信工程と、
ターゲットからの反射波を受信する受信工程と、
前記送信波と受信波からビート信号を生成するビート生成工程と、
該ビート信号をサンプリングして所定時間毎にM個のサンプリング信号を生成するA/Dコンバータ工程と、
前記M個のビート信号を高速フーリエ変換(FFT)によって周波数解析する第1FFT処理工程と、
前記M個のビート信号の中から連続したL個(L<M)のビート信号を1組以上抽出し、抽出した1組以上のL個のビート信号に対して周波数解析する第2FFT処理工程と、
前記第1FFT処理部と前記第2FFT処理部による周波数解析の結果からピーク信号を検出するピーク検出工程と、
前記ピーク信号からターゲットの距離、角度、及び、相対速度を算出する算出工程と、を有するターゲットの検出方法において、
自車の自車速値、ヨーレート値又は操舵角値を取得する車両情報取得工程とを有し、
前記自車速値、ヨーレート値又は操舵角値の時間的変化量を、所定の閾値と比較し、前記自車速値、ヨーレート値又は操舵角値の時間的変化量が閾値未満である場合には、前記第1FFT処理部による周波数解析より得たピーク信号より演算した、ターゲットの距離、角度、及び、相対速度を出力し、前記自車速値、ヨーレート値又は操舵角値の時間的変化量が所定の閾値より大きい場合には、前記第2FFT処理部による周波数解析より得たピーク信号より演算した、ターゲットの距離、角度、及び、相対速度を出力することを特徴とする車載用レーダ装置によるターゲットの検出方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−14405(P2009−14405A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−174410(P2007−174410)
【出願日】平成19年7月2日(2007.7.2)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年7月2日(2007.7.2)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
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