説明

車載用情報端末

【課題】使い心地の悪化やユーザへの負担を軽減しつつ、外部から所望のデータを取得することが可能な車載用情報端末を提供する。
【解決手段】ユーザによって指定されたデータ受信開始時となり、かつ、バッテリ残量が第1の所定値以上である場合に、車載用情報端末としてのナビゲーション装置100において地図更新情報等のコンテンツの受信及び記憶を行なう。従って、ユーザがナビゲーション装置を使用しない時間帯において、受信開始時を指定することにより、使い心地の悪化やユーザの負担を招くことなく、外部から必要なデータを受信し、かつ記憶することが可能になる。同時に、バッテリ残量が第1の所定値以上であるとの条件を設けているので、車両のエンジンが切られた状態でデータの受信及び記憶が行なわれる場合であっても、バッテリ上がりを未然に防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置などの車載用情報端末に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、デジタル放送を利用してナビゲーション装置に対して地図データの配信を行なう地図データ配信システムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1に開示されている地図データ配信システムによれば、ナビゲーション装置において基地局及びネットワークを通じて、放送局に対して地図データの配信要求を行なうと、放送局から送信されているデジタル放送信号において、要求された地図データのスクランブルを解くための鍵情報がナビゲーション装置に与えられる。ナビゲーション装置は、鍵情報に基づいてスクランブルを解除することで、受信したデジタル放送信号より地図データをダウンロードすることができる。
【0003】
上述したデジタル放送を利用した地図データ配信システム以外にも、例えばインターネットを利用して地図データを配信するシステムがすでに実用に供されている。
【特許文献1】特開2002−286458号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、デジタル放送及びインターネットを利用する地図データ配信システムのいずれにおいても、地図データをダウンロードするのは、ユーザが車内にいる走行中か停車中に限られている。
【0005】
走行中は、ナビゲーション装置に現在地を表示させたり、目的地までの経路案内を行なわせたりすることが多いため、地図データのダウンロードを同時に行なおうとすると、処理速度が低下し、ユーザにとって使い心地が悪くなってしまう。車を停車させて地図データをダウンロードする場合には、このような処理速度の低下の問題は生じないが、地図データのダウンロードが完了するまで、ユーザは停車状態で待機しなければならないとの問題がある。
【0006】
本発明は、かかる問題を鑑みてなされたもので、使い心地の悪化やユーザへの負担を軽減しつつ、外部から所望のデータを取得することが可能な車載用情報端末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の車載用情報端末は、
外部からのデータを受信するデータ受信手段と、
データ受信手段によって受信されたデータを記憶する記憶手段と、
少なくともデータ受信手段によるデータの受信開始時を指定する開始時指定手段と、
少なくともデータ受信手段及び記憶手段に動作電源を供給する、車両に搭載されたバッテリの残量を検出する残量検出手段と、
開始時指定手段によって指定されたデータ受信開始時となり、かつ、残量検出手段が検出するバッテリ残量が第1の所定値以上である場合に、データ受信手段及び記憶手段にバッテリから動作電源を供給して、データの受信及び記憶を行なわせる制御手段とを備えることを特徴とする。
【0008】
請求項1に記載の車載用情報端末によれば、データの受信開始時を指定する開始時指定手段を備えているので、任意の時刻にデータの受信を開始させることができる。つまり、ユーザが情報端末を使用しない時間帯において、受信開始時を指定することにより、使い心地の悪化やユーザの負担を招くことなく、外部から必要なデータを受信し、かつ記憶することが可能になる。
【0009】
特に、請求項1記載の車載用情報端末は、データの受信及び記憶に必要な動作電源を供給するバッテリの残量を検出する残量検出手段を備えている。そして、制御手段は、バッテリ残量が第1の所定値以上である場合に、データの受信及び記憶を行なわせる。このため、車両のエンジンが切られた状態でデータの受信及び記憶が行なわれる場合であっても、バッテリ上がりを防止することができる。
【0010】
請求項2に記載したように、開始時指定手段は、車両のイグニッションスイッチがオフされた駐車中の時間帯において、データ受信開始時を指定することが可能であることが好ましい。ユーザが乗車していない駐車中には、ナビゲーション装置等の車載用情報端末は、ユーザによって使用されることはない。従って、このようなユーザによる未使用時間帯を有効に活用するために、駐車中の時間帯において、データ受信開始時を指定できることが好ましいのである。
【0011】
請求項3に記載したように、制御手段は、データの受信及び記憶を行なわせている間のバッテリ残量を監視し、当該バッテリ残量が第2の所定値以下に低下した場合、データの受信及び記憶を終了させることが好ましい。データの受信及び記憶を開始したときには、バッテリ残量が十分と判定された場合であっても、データ受信及び記憶のために電力が消費され、バッテリ残量は徐々に低下する。このため、バッテリ残量の低下状態を監視し、バッテリ上がりの恐れが生じた時点でデータの受信及び記憶を終了させることが好ましい。
【0012】
請求項4に記載したように、データ受信手段によるデータの受信終了時を指定する終了時指定手段と、データの取得量の上限値を設定する上限値設定手段との少なくとも一方を備え、制御手段は、終了時指定手段によって指定されたデータ受信終了時となるか、又は取得したデータ量が、上限値設定手段によって設定された上限値に達したとき、データの受信及び記憶を終了させることが好ましい。これにより、ユーザは、データの受信及び記憶動作を、所望の時間だけ実行させたり、所望のデータ量を取得するまで実行させたりすることができる。
【0013】
請求項5に記載したように、制御手段は、低消費電力動作モードと通常消費電力動作モードとの2種類の動作モードを備え、データ受信開始時となるまでは低消費電力モードにて動作することが好ましい。制御手段は、データ受信開始時となるまでは、単に指定された開始時になったか否か等の簡単な処理を実行するだけである。このため、制御手段の動作モードを低消費電力動作モードとして、極力、バッテリの電力消費を低減することが好ましい。なお、実行すべき制御処理を大幅に削減しつつ、動作周波数を低下させたり、所定時間ごとに間欠的に動作させたりすることで、制御手段の動作モードを低消費電力動作モードにすることができる。
【0014】
請求項6に記載したように、データ受信手段は、放送局から配信される取得すべきデータを含むデジタル放送信号を受信する受信部と、受信部によって受信されたデジタル放送信号に含まれるデータを復号する復号部とから構成できる。データを取得するためにデジタル方法信号を利用した場合、例えばインターネットを利用する場合に比較して少ない通信コストでデータを取得できる。
【0015】
請求項7に記載したように、受信すべき放送局を指定する放送局指定手段を備え、制御手段は、放送局指定手段によって指定された放送局を受信するように、受信部の受信周波数をチュ-ニングすることが好ましい。地域によって受信可能な放送局の受信周波数は異なる。このため、受信すべき放送局を指定する放送局指定手段を設けることにより、確実に、その放送局からのデータを含むデジタル放送信号を受信することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態における車載用情報端末に関して、図面に基づいて説明する。図1は、本実施形態に係わる車載用情報端末としての車両用ナビゲーション装置を備える車両30において、地図更新情報や音楽データ等のコンテンツの受信及び記憶を行なうためのシステムの全体構成を示すブロック図である。
【0017】
図1に示すように、本実施形態においては、放送局20から送信されるデジタル放送信号を利用してコンテンツを各車両30に搭載された情報端末(車両用ナビゲーション装置)に配信する。以下、コンテンツ配信センタ10がコンテンツとして地図更新情報を配信する例について説明する。
【0018】
図1に示すようにコンテンツ配信システムは、コンテンツ配信センタ10、放送局20及び、車載用情報端末としての車両用ナビゲーション装置を搭載した車両30によって構成される。
【0019】
コンテンツ配信センタ10は、車両30に対して、地図データを含む地図更新情報を放送局20を介して配信する。すなわち、放送局20は、コンテンツ配信センタ10から送信される地図更新情報をデジタル放送信号として、所定の放送エリア内に配信する。この地図更新情報は、コンテンツ配信センタ10にて、秘密かぎ暗号方式や公開かぎ暗号方式などの各種暗号方式を用いて暗号化されている。
【0020】
また、コンテンツ配信センタ10は、例えば、インターネット等のネットワークに接続されており、このネットワークを介して車両30との通信接続が可能になっている。コンテンツ配信センタ10は、暗号化された地図更新情報を復号する復号キー11を車両30のユーザに対してネットワークを介して有償にて提供する。この復号キー11の提供を受けた車両30のユーザは、暗号化された地図更新情報を復号化することが可能となり、地図更新情報をダウンロードすることができる。
【0021】
次に、車両30に搭載される車両用ナビゲーション装置100について説明する。図2は、車両用ナビゲーション装置100の概略構成を示すブロック図である。同図に示すように、車両用ナビゲーション装置100は、位置検出器51、地図データ入力器56、操作スイッチ群57、外部メモリ59、表示装置60、音声入出力装置61、リモコンセンサ62、通信機64、データ復号部65、バッテリ残量検出部67、電源回路68及びこれらと接続する制御回路58によって構成される。
【0022】
電源回路68は、リレー回路及び車両30に搭載されたバッテリ70から供給される電圧を所定電圧に変換する定電圧回路等を含み、車両用ナビゲーション装置100の各部に動作電圧を供給するものである。従って、この電源回路68から動作電圧を供給されることによって、車両用ナビゲーション装置100が動作可能となる。この電源回路68は、車両30のイグニッションスイッチが、アクセサリー位置(ACC)もしくはイグニッションオン位置(IGON)となったときにリレー回路がオンし、定電圧回路によって動作電圧が発生される。さらに、このリレー回路は、制御回路58によってもオン,オフ可能に構成されている。
【0023】
制御回路58は、通常のコンピュータとして構成されており、内部には周知のCPU、ROM、RAM、I/O及びこれらの構成を接続するバスラインが備えられている。ROMには、ナビゲーション装置100が実行するためのプログラムが書き込まれており、このプログラムに従ってCPU等が所定の演算処理を実行する。
【0024】
この制御回路58は、イグニッションスイッチの操作位置に係らず、常時、図示しない定電圧回路を介してバッテリ70からの電源供給を受けている。従って、イグニッションスイッチがオフされて車両30が駐車されている間にも、動作可能である。さらに、制御回路58は、通常消費電力動作モードと低消費電力動作モードとの2種類の動作モードを有している。そして、制御回路58は、イグニッションスイッチがオフされたときに、低消費電力動作モードにて動作する。イグニッションスイッチがオフされた場合、通常のナビゲーション動作を実行する必要がなく、制御回路58の処理負荷は大幅に軽減される。このため、制御回路58の動作モードを、動作周波数を低下させたり、所定時間ごとに間欠的に動作させた低消費電力モードとすることで、消費電力の低減を図るのである。
【0025】
位置検出器51は、いずれも周知の地磁気センサ52、ジャイロスコープ53、距離センサ54、及び衛星からの電波に基づいて車両の位置を検出するGPS(Global Positioning System)のためのGPS受信機55を有している。これらは、各々が性質の異なる誤差を持っているため、複数のセンサにより各々補完しながら使用するように構成されている。なお、各センサの精度によっては位置検出器51を上述した内の一部で構成してもよい。
【0026】
地図データ入力器56は、道路データ、背景データ、目印データ等から構成される地図データを入力するための装置であり、制御回路58からの指示により、該当する領域、縮尺の地図データを送信する。この地図データを記憶する記憶媒体としては、CD―ROMやDVD―ROM等の再生専用の記憶媒体の他、メモリカードやHDD等の書き込み可能な記憶媒体が用いられる。
【0027】
操作スイッチ群57は、例えば、表示装置60と一体になったタッチスイッチもしくはメカニカルなスイッチ等が用いられ、表示装置60の画面に表示される地図のスクロール操作、文字入力、キー選択等の各種入力に使用される。
【0028】
外部メモリ59は、例えば、メモリカードやHDD等の大容量の読み書き可能な記憶媒体が用いられ、テキストデータ、画像データ、音声データ等の各種データの保存などのために用いられる。さらに、上述した放送局20から配信される地図更新情報をダウンロードした場合、その地図更新情報を記憶するために用いられる。なお、地図データが書き込み可能な記憶媒体に記憶されている場合には、地図更新情報を地図データ記憶媒体に書き込んでもよい。
【0029】
表示装置60は、例えば、液晶ディスプレイによって構成され、車室内のセンターコンソール付近に設置される。この表示装置60の画面には位置検出器51から入力された車両の現在位置に対応する自車位置マークと、地図データ入力器56より入力された地図データによって生成される車両の現在位置の周辺地図を表示することができる。
【0030】
音声入出力装置61は、図示しない入力装置及び出力装置から構成される。入力装置は、ユーザの発話内容を認識して、ナビゲーション装置100の各種入力に用いられるものである。一方、出力装置は、スピーカやオーディオアンプ等から構成されるもので、音声案内等を行なう際に用いられる。
【0031】
通信機64は、インターネット等のネットワークとの通信接続を可能とする送受信機によって構成されるものである。これにより、車両30に搭載されるナビゲーション装置100は、コンテンツ配信センタ10との通信が可能となり、インターネットを介して復号キー11の購入要求を行なったり、復号キー11を取得することができる。
【0032】
データ復号部65は、取得した復号キー11を用いて、暗号化された地図更新情報を復号化するものである。このデータ復号部65には、放送局20からのデジタル放送信号を受信する放送波受信回路部66から受信信号が入力されている。この受信信号においては、まだ地図更新情報が暗号化されているため、そのままでは、意味のある情報とはならない。データ復号部65において復号化処理が行なわれることにより、地図更新情報のダウンロードが可能になる。
【0033】
バッテリ残量検出部67は、車両30のバッテリ70の残量を検出し、その検出結果を制御回路58に入力するものである。本実施形態による車両用ナビゲーション装置100は、イグニッションスイッチがオフされて車両が駐車されている間に動作することがあるため、バッテリ上がりを防止すべく、バッテリ残量を検出するバッテリ残量検出部67を設けている。なお、バッテリ残量検出部としては、例えば、バッテリ70の電圧を検出する電圧検出回路によって構成できる。
【0034】
次に、制御回路58において実行される制御処理について、図3のフローチャートに基づいて説明する。なお、このフローチャートに示す制御処理は、イグニッションスイッチの操作位置が、ACCもしくはIGONとなったときに開始される。
【0035】
まず、ステップS100では、地図更新情報のダウンロードに関する設定情報の入力を受け付けるとともに、入力があった場合には、その設定情報を保存する。この設定情報には、地図更新情報を受信すべき放送局、受信開始日時、受信終了日時、受信データ量の上限などが含まれる。本実施形態における車両用ナビゲーション装置100では、基本的に、車両30が駐車され、ユーザが車両用ナビゲーション装置100を使用することがない間に、地図更新情報のダウンロードを行なうことを想定している。このため、ユーザによって受信開始日時、受信終了日時等を設定可能にしている。これにより、ユーザが車両用ナビゲーション装置を使用しない駐車中等の時間帯を有効に活用して、地図更新情報等のコンテンツをダウンロードすることができる。
【0036】
なお、受信開始日時や受信終了日時の設定に関して、日時そのものを設定する以外に、例えば、受信開始日時については、「今から」、「X時間後」等の設定が可能なように、また受信終了日時については、「Y時間後」等の設定の他、受信時間として「Z時間」等の設定が可能なように、入力メニュー画面等を用意すると、ユーザの利便性を向上できる。
【0037】
また、地域によって受信可能な放送局の受信周波数は異なるので、設定情報に受信放送局に関する情報を含めることにより、確実に、その放送局からデジタル放送信号を受信することができる。
【0038】
さらに、受信したデータ量に応じて料金が課される場合などには、データ取得量に上限が設定できるようにすると、予想外に高額な請求がなされることを防止できる。
【0039】
次にステップS110では、車両用ナビゲーション装置100におけるナビゲーション処理が実行される。すなわち、車両30の現在位置を検出して、その周辺地図とともに表示する現在地表示処理や、操作スイッチ群57やリモコン63等から目的地が設定されると、目的地までの最適な経路を自動的に探索し、この探索した経路を画面に表示して目的地まで誘導する、いわゆる経路誘導処理等が行なわれる。
【0040】
なお、ナビゲーション装置100は、イグニッションスイッチがオンされている間の任意のタイミングで、通信機64を介して復号キー11を取得し、外部メモリ59に記憶しておく。そして、この記憶した復号キー11を用いて放送局20から配信される地図更新情報をデータ復号部65において復号する。
【0041】
ステップS120では、イグニッションスイッチの操作位置がACCからオフとなったか否かを判定する。オフとなるまでは、上述したステップS110のナビゲーション処理が継続される。イグニッションスイッチがオフされたと判定されると、ステップS130に進み、車両の現在位置を外部メモリ59に記憶する。このように車両の現在位置を記憶するのは、次回、イグニッションスイッチがオンされたときに、車両の現在位置の基準として使用するためである。
【0042】
ステップS140では、制御回路58の動作モードを低消費電力動作モードに設定する。この低消費電力動作モードの設定処理では、まず、電源回路68のリレー回路をオフして、車両用ナビゲーション装置100の各部への動作電圧の供給を停止する。さらに、制御回路58における動作周波数を低下させたり、間欠的に動作するようにタイマ等の設定を行なう。これにより、車両用ナビゲーション装置100における消費電力を大幅に低減できる。ただし、ステップS100において、地図更新情報のダウンロードに関する設定情報が入力されなかった場合には、イグニッションスイッチのオフ時に実行すべき処理は発生しないので、図3に示す処理は終了される。
【0043】
ステップS150では、制御回路58に内蔵しているタイマ等を用いて、ステップS100にて設定された受信開始日時となったか否かが判定される。未だ、設定受信開始日時となっていない場合には、設定受信開始日時となるまで、この判定が繰り返される。設定受信開始日時になると、ステップS160に進んで、バッテリ残量検出部67の検出信号に基づいて、バッテリ残量が、地図更新情報のダウンロードを実行してもバッテリ上がりが発生しないと予測される第1の所定値以上であるか否かを判定する。このとき、バッテリ残量が第1の所定値未満と判定されると、地図更新情報のダウンロードを行なうことなく処理を終了する。このようにして、バッテリ上がりを未然に防止している。
【0044】
ステップS160において、バッテリ残量が第1の所定値以上であると判定された場合には、ステップS170に進んで、制御回路58の動作モードを通常消費電力動作モードに設定する。この通常消費電力動作モードの設定処理では、まず、電源回路68のリレー回路をオンして、車両用ナビゲーション装置100の各部への動作電圧の供給を開始する。さらに、制御回路58における動作周波数を上昇させたり、常時、動作するように設定する。これにより、地図更新情報の受信及び外部メモリ59への保存等のダウンロード処理が円滑に実行可能となる。
【0045】
続くステップS180では、設定情報を参照して、放送波受信回路部66の受信周波数を設定した放送局20の送信周波数にチュ−ニングする。ステップS190では、放送波受信回路部66にて放送局20からのデジタル放送信号が受信され、データ復号部65にて受信信号が復号化される。これにより、データ復号部65から地図更新情報が制御回路58に入力されるので、制御回路58は、その地図更新情報を外部メモリ59もしくは地図データ記憶媒体に記憶させる。
【0046】
ステップS200では、バッテリ残量が、バッテリ上がりの恐れがある第2の所定値以下に低下したか否かを判定する。すなわち、制御回路58は、地図更新情報の受信及び記憶を行なわせている間のバッテリ残量を監視する。地図更新情報の受信及び記憶を開始したときには、バッテリ残量が十分と判定された場合であっても、地図更新情報の受信及び記憶のために電力が消費され、バッテリ残量は徐々に低下する。このため、バッテリ残量の低下状態を監視し、バッテリ上がりの恐れが生じていないか否かを判定するのである。このステップS200において、バッテリ残量が第2の所定値以下と判定された場合には、その時点で、地図更新情報の受信及び記憶を終了する。
【0047】
一方、ステップS200において、バッテリ残量が第2の所定値より大きいと判定されると、ステップS210に進んで、設定された終了時刻又はデータ取得量上限値に達していないか否かが判定される。この判定処理において「Yes」と判定された場合にも、その時点で地図更新情報の受信及び記憶を終了する。また、地図更新情報の受信及び記憶中にイグニッションスイッチがオンされた場合にも、その時点で地図更新情報の受信及び記憶を終了することが好ましい。イグニッションスイッチがオンされた場合、ユーザによって車両用ナビゲーション装置100が使用される可能性が高いためである。
【0048】
なお、地図更新情報の受信及び記憶を終了する際には、電源回路68による動作電圧の供給が停止されるとともに、制御回路58が自身の動作を停止させる。これにより、車両用ナビゲーション装置100は、その動作を完全に停止することになる。
【0049】
また、上述した終了処理によって地図更新情報の受信及び記憶が終了したときに、全ての地図更新情報の受信及び記憶が完了していない場合には、次回のダウンロード時に、既にダウンロード済みの地図更新情報を参照して、未完了部分の地図更新情報の受信及び記憶が実行される。
【0050】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々変形して実施することができる。
【0051】
例えば、上述した実施形態においては、デジタル放送信号を利用して地図更新情報をダウンロードする例について説明したが、例えばインターネット等のネットワーク網を介して所望のデータをダウンロードするものであっても良い。
【0052】
また、上述した実施形態では、ダウンロードするデータとして地図更新情報を例示したが、音楽情報、各種施設に関する情報、最新ニュース等、車載用情報端末として利用可能な全てのデータが対象となりえる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の実施形態に係わる車載用情報端末としての車両用ナビゲーション装置を備える車両30において、地図更新情報や音楽データ等のコンテンツの受信及び記憶を行なうためのシステムの全体構成を示すブロック図である。
【図2】車両30に搭載された、車両用ナビゲーション装置100の概略構成を示すブロック図である。
【図3】車両用ナビゲーション装置100において実行される制御処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0054】
10 コンテンツ配信センタ
20 放送局
30 車両
51 位置検出器
56 地図データ入力器
58 制御回路
59 外部メモリ
60 表示装置
64 通信機
65 データ復号部
66 放送波受信回路部
67 バッテリ残量検出部
68 電源回路
70 バッテリ
100 車両用ナビゲーション装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部からのデータを受信するデータ受信手段と、
前記データ受信手段によって受信されたデータを記憶する記憶手段と、
少なくとも前記データ受信手段によるデータの受信開始時を指定する開始時指定手段と、
少なくとも前記データ受信手段及び記憶手段に動作電源を供給する、車両に搭載されたバッテリの残量を検出する残量検出手段と、
前記開始時指定手段によって指定されたデータ受信開始時となり、かつ、前記残量検出手段が検出するバッテリ残量が第1の所定値以上である場合に、前記データ受信手段及び前記記憶手段に前記バッテリから動作電源を供給して、前記データの受信及び記憶を行なわせる制御手段とを備えることを特徴とする車載用情報端末。
【請求項2】
前記開始時指定手段は、車両のイグニッションスイッチがオフされた駐車中の時間帯において、データ受信開始時を指定することが可能であることを特徴とする請求項1に記載の車載用情報端末。
【請求項3】
前記制御手段は、前記データの受信及び記憶を行なわせている間の前記バッテリ残量を監視し、当該バッテリ残量が第2の所定値以下に低下した場合、前記データの受信及び記憶を終了させることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車載用情報端末。
【請求項4】
前記データ受信手段によるデータの受信終了時を指定する終了時指定手段と、前記データの取得量の上限値を設定する上限値設定手段との少なくとも一方を備え、
前記制御手段は、前記終了時指定手段によって指定されたデータ受信終了時となるか、又は取得したデータ量が、前記上限値設定手段によって設定された上限値に達したとき、前記データの受信及び記憶を終了させることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の車載用情報端末。
【請求項5】
前記制御手段は、低消費電力動作モードと通常消費電力動作モードとの2種類の動作モードを備え、前記データ受信開始時となるまでは低消費電力モードにて動作することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の車載用情報端末。
【請求項6】
前記データ受信手段は、
放送局から配信される取得すべきデータを含むデジタル放送信号を受信する受信部と、
前記受信部によって受信されたデジタル放送信号に含まれるデータを復号する復号部とを備えることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の車載用情報端末。
【請求項7】
受信すべき放送局を指定する放送局指定手段を備え、
前記制御手段は、前記放送局指定手段によって指定された放送局を受信するように、前記受信部の受信周波数をチュ-ニングすることを特徴とする請求項6に記載の車載用情報端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−47112(P2006−47112A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−228406(P2004−228406)
【出願日】平成16年8月4日(2004.8.4)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】