説明

車載用表示装置

【課題】給電装置と充電器とが接近した場合においても、給電装置と充電器との位置合わせをする際の案内を行うこと。
【解決手段】車載用表示装置100は、地上の給電装置より非接触方式で車載蓄電池を充電する充電器を有する車輌に搭載される。カメラ101は、車輌の周囲の画像を撮影する。給電装置位置検出部102は、カメラにより撮影した周囲の画像における給電装置の相対位置を検出する。表示部105は、充電器の絶対位置及び給電装置位置検出部102により検出した給電装置の相対位置を、カメラ101により撮影した画像と共に一画面に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地上の給電装置より非接触方式で車載蓄電池を充電する充電器を有する車輌に搭載される車載用表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車輌の後方に設けられているリアカメラにより撮像した車輌後方の画像を、車内の表示装置に表示することにより、運転者の運転を支援するものが知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
また、従来、電気自動車等の車載蓄電池を動力源として走行する車輌では、車輌の外部電源から充電器を介して車載蓄電池を充電する。このような車輌では、駐車スペースに埋設された給電装置に充電器を近接させることにより、駐車時に非接触方式により車載蓄電池を充電する。この際、リアカメラで撮像した給電装置が写っている画像を車内の表示装置に表示して、充電器と給電装置との位置合わせを行う際の案内を行うものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−6129号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の装置においては、給電装置と充電器との位置合わせを行う際に、特許文献1のリアカメラにより撮像した給電装置が写っている画像を、位置合わせの案内用の画像として表示すると、給電装置と充電器との距離が接近した際に、給電装置が車輌の陰に隠れてリアカメラに写らず、位置合わせの案内を行うことができないという問題がある。
【0006】
本発明の目的は、給電装置と充電器とが接近した場合においても、給電装置と充電器との位置合わせをする際の案内を行うことができる車載用表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の車載用表示装置は、地上の給電装置より非接触方式で車載蓄電池を充電する充電器を有する車輌に搭載される車載用表示装置であって、前記車輌の周囲の画像を撮影する撮影手段と、前記撮影手段により撮影した前記周囲の画像に基づいて前記充電器の絶対位置に対する前記給電装置の相対位置を検出する検出手段と、前記充電器の絶対位置及び前記検出手段により検出した前記給電装置の相対位置を、前記撮影手段により撮影した画像と共に一画面に表示する表示手段と、を具備する構成を採る。
【0008】
また、本発明の車載用表示装置は、上記の構成に加えて、前記車輌の移動に関するパラメータを取得する取得手段をさらに具備し、前記表示手段は、前記充電器の絶対位置と、前記給電装置の相対位置及び前記パラメータにより特定される車輌移動後の新たな前記給電装置の相対位置とを、表示する。
【0009】
また、本発明の車載用表示装置では、上記の構成に加えて、前記表示手段は、現在の前記絶対位置と前記相対位置との表示に、取得された前記パラメータを用いて得られる前記充電器の予測される移動軌跡を、重ねて表示する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、給電装置と充電器とが接近した場合においても、給電装置と充電器との位置合わせをする際の案内を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施の形態に係る車載用表示装置の構成を示すブロック図
【図2】本発明の実施の形態における充電器と給電装置とが遠い場合の表示部に表示される画像を示す図
【図3】本発明の実施の形態における充電器と給電装置とが近接した状態を示す図
【図4】本発明の実施の形態における充電器と給電装置とが近い場合の表示部に表示される画像を示す図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
(実施の形態)
<車載用表示装置の構成>
図1は、本発明の実施の形態に係る車載用表示装置100の構成を示すブロック図である。
【0014】
カメラ101は、車輌の周囲の画像を撮影し、撮影した周囲の画像の画像データを給電装置位置検出部102へ出力する。
【0015】
給電装置位置検出部102は、カメラ101から入力した画像データより、予め定められた充電器の絶対位置に対する給電装置の相対位置を検出し、画像データと共に検出結果を画像生成部104へ出力する。給電装置位置検出部102は、例えばエッジ検出や基準画像を用いたパターンマッチングにより給電装置の相対位置を検出する。
【0016】
車輌センサ103は、車輌の速度、ステアリングの操舵角及び車輌の進行方向を検出し、検出値を車輌の移動に関するパラメータとして画像生成部104へ出力する。
【0017】
画像生成部104は、カメラパラメータに基づいて、給電装置位置検出部102から入力した画像データの周囲の画像を俯瞰画像に変換する。ここで、俯瞰画像とは、上方から見下ろした画像である。カメラパラメータは、カメラ101の焦点距離、撮影時のカメラの位置、方向等のデータである。なお、俯瞰画像への変換方法については、後述する。
【0018】
画像生成部104は、給電装置位置検出部102から入力した検出結果より、給電装置の相対位置を俯瞰画像において特定する。すなわち、画像生成部104は、充電器の位置情報を取得し、充電器の絶対位置に対する給電装置の相対位置を俯瞰画像において特定する。この際、充電器の位置は車輌においてあらかじめ決まっているので、俯瞰画像における給電装置の相対位置を特定することができる。画像生成部104は、車輌センサ103から車輌の移動に関するパラメータを入力する。このパラメータは、車速とステアリング角などである。画像生成部104は、これらのパラメータと、充電器の絶対位置と現在の給電装置の相対位置とから、充電器が給電装置に至る移動軌跡を計算・推定する。そして、画像生成部104は、充電器の絶対位置と現在の給電装置の相対位置との表示上に、推定した移動軌跡を重ねて表示する表示用画像を生成し、生成した表示用画像の画像データを表示部105へ出力する。
【0019】
画像生成部104は、表示画像を生成した後、生成した表示画像と、車輌センサ103から入力する車輌の移動に関するパラメータとにより、充電器の絶対位置に対する給電装置の相対位置を新たに特定する。画像生成部104は、充電器の絶対位置と、新たに特定した給電装置の相対位置との関係を示す表示用画像を生成し、生成した表示用画像の画像データを表示部105へ出力する。
【0020】
表示部105は、画像生成部104から入力した画像データの表示用画像を表示する。
【0021】
<画像の表示方法>
図2は、充電器と給電装置210とが遠い場合の表示部105に表示される画像を示す図である。図2では、車輌が給電装置210に向かって後退している状況が想定されている。この場合、表示部105上には給電装置210を含む後方撮像画像が表示されている。また、表示部105上には、ステアリング角に応じて定められる充電器の予想軌跡211が重畳されている。
【0022】
表示部105に表示される画像には小窓201が表示され、小窓201において、充電器の絶対位置202と現在の給電装置210の相対位置203との表示に、車輌の現在の車速とステアリング角から推定される移動軌跡204を重ねた表示用画像を表示する。図2に示すように、予想軌跡211が給電装置210に重なっている場合には、小窓201においても同様に、車輌の現在の車速とステアリング角から推定される移動軌跡204が現在の給電装置の相対位置203に重なる。運転者のステアリング操作によって予想軌跡211が給電装置210からずれた場合、小窓201においても同様にそのずれた状態が表示される。
【0023】
車輌の運転者は、カメラ101で撮影した画像における予想軌跡211と小窓201に表示される充電器の予想軌跡204との双方を見ながら、ステアリング操作することにより、給電装置210と充電器との位置合わせを容易に行うことができる。すなわち、車輌の運転者は、まずカメラ101で撮影した画像上の給電装置210上を予想軌跡211が通るようにステアリング操作する。ここで、予想軌跡211の線幅の大きさや給電装置210の表示画像上の大きさによっては予想軌跡211によって給電装置210が隠れてしまう。この場合、運転者はステアリング操作量を判断しづらい。また、ステアリング操作量に誤差が生じやすい。そこで、運転者はさらに表示部105の小窓201に表示される移動軌跡204が給電装置210の相対位置203を通るようにステアリング操作する。これによって、給電装置210と充電器との位置合わせを容易に行うことができる。
【0024】
<小窓201を表示するタイミング>
図3は、充電器と給電装置210とが近接した状態を示す図である。図4は、充電器と給電装置210とが近い場合の表示部105に表示される画像を示す図である。なお、図3及び図4において、図2と同一部分には同一符号を付している。
【0025】
(第1の例)
第1の例では、カメラ101により撮影した周囲の画像に写っていた給電装置210が、車輌が給電装置210に接近することにより写らなくなったタイミングで小窓201を表示する。
【0026】
具体的には、車輌が徐々に充電位置に移動し、車輌下方に設けられた充電器301が給電装置210に接近した場合には、カメラ101により撮影した周囲の画像には給電装置210が写らなくなるので、給電装置位置検出部102は、給電装置210の相対位置を検出できなくなる。
【0027】
この場合には、画像生成部104は、充電器の絶対位置202、給電装置210の相対位置203及び車輌センサ103で検出した車輌の移動に関するパラメータにより特定される給電装置210の新たな相対位置との関係を示す表示用画像を生成する。この際、画像生成部104は、車輌の移動に関するパラメータにより車輌の移動方向及び距離を特定することができる。画像生成部104が、この特定した移動方向及び距離を、小窓201の表示画面における給電装置の相対位置203の移動方向及び移動距離に変換することにより、小窓201における新たな給電装置210の相対位置を特定することができる。
【0028】
充電器の絶対位置202と給電装置210の新たな相対位置との関係を示す表示用画像を表示部105において表示することにより、充電器301と給電装置210とが接近した後も充電器301と給電装置210との位置合わせの案内をすることができる。
【0029】
車輌の運転者が小窓201に表示される充電器の絶対位置202と給電装置210の相対位置203とが重なり合うようにステアリング操作を行うことにより、充電器301が給電装置210に接近する。
【0030】
そして、充電器301と給電装置210とが近接して車載蓄電池を充電することが可能になった状態では、小窓201に表示される充電器の絶対位置202と給電装置210の相対位置203とが重なり合って表示される。
【0031】
表示部105に表示される小窓201において充電器の絶対位置202と給電装置210の相対位置203とが重なり合う状態の場合には、図3に示すように充電器301と給電装置210とが対向して近接した状態になる。これにより、給電装置210により充電器301を介して車載蓄電池を充電することができる。
【0032】
なお、充電器301と給電装置210とが十分に接近した場合、画像生成部104は、小窓201を消去して、より詳細な位置合わせの表示画像を重畳してもよい。例えば、充電器301が有する図示しない電界強度検出手段が、給電装置210から送信された通信用や充電用の電波の電界強度を測定する。この電界強度が所定の閾値以上になったとき、画像生成部104は、小窓201を消去して、この電界強度の値に基づいた位置合わせ用の表示画像を重畳する。これによって、運転者は、充電器301と給電装置210とが互いに通信用や充電用の電波を送受信できるまでは、小窓201によって、充電器301と給電装置210とを精度よく位置合わせすることができる。そして、充電器301と給電装置210とが互いに通信用や充電用の電波を送受信できるようになった後、運転者は、電界強度の値に基づいた表示画像によって位置合わせすることで、さらに精度よく位置合わせをすることができる。
【0033】
(第2の例)
第2の例では、車輌から給電装置210までの距離に基づいて、小窓201を表示するタイミングを制御する。
【0034】
具体的には、給電装置位置検出部102は、画像データに基づいて、車輌から給電装置210までの距離を算出する。画像生成部104は、給電装置位置検出部102において給電装置210の相対位置を検出できているものの、算出した距離が所定の閾値以下になった場合に、小窓201を表示部105に表示させる。
【0035】
これによって、運転者は、図4に示すように給電装置210が見えなくなる直前に、給電装置210と表示用画像との対応関係を確認することができる。したがって、給電装置210が見えなくなった際に、運転者は、表示部105に表示された表示用画像が充電器の絶対位置と給電装置210の相対位置との関係を示すものであることを直感的に認識することができる。
【0036】
<俯瞰画像への変換方法>
画像生成部104は、給電装置位置検出部102から入力した画像データの画像を路面へ投影した路面投影画像を作成し、作成した路面投影画像から、路面以外の物体の領域を抽出する。さらに、画像生成部104は、抽出した路面外領域から路面以外の物体を区別する指標を作成し、作成した指標を路面投影画像に合成する。
【0037】
なお、上記の俯瞰画像への変換方法は、例えば、特開2001−114047号公報に記載されているように公知である。
【0038】
<本実施の形態の効果>
本実施の形態によれば、給電装置と充電器との位置関係を、車輌の後方の画像と共に一画面で表示することにより、給電装置と充電器とが接近した場合において、給電装置と充電器とを位置合わせする際の案内を行うことができる。
【0039】
また、本実施の形態によれば、車輌の移動に関するパラメータと給電装置の相対位置により特定される新たな給電装置の相対位置を表示するので、給電装置と充電器との位置合わせの操作を容易にすることができる。
【0040】
また、本実施の形態によれば、充電器の絶対位置と現在の給電装置の相対位置との表示に推定される移動軌跡を重ねて表示することにより、車輌の運転者は移動軌跡に従って給電装置と充電器との位置を合わせることができ、給電装置と充電器との位置合わせの操作をさらに容易にすることができる。
【0041】
<本実施の形態の変形例>
本実施の形態において、カメラ101により撮影した画像に給電装置が写らなくなった後、または車輌と給電装置との距離が閾値以下になった場合に小窓201を表示したが、本発明はこれに限らず、カメラ101により撮影した画像と共に常に小窓201が表示されていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明にかかる車載用表示装置は、地上の給電装置より非接触方式で車載蓄電池を充電する充電器を有する車輌に搭載するのに好適である。
【符号の説明】
【0043】
100 車載用表示装置
101 カメラ
102 給電装置位置検出部
103 車輌センサ
104 画像生成部
105 表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地上の給電装置より非接触方式で車載蓄電池を充電する充電器を有する車輌に搭載される車載用表示装置であって、
前記車輌の周囲の画像を撮影する撮影手段と、
前記撮影手段により撮影した前記周囲の画像に基づいて前記充電器の絶対位置に対する前記給電装置の相対位置を検出する検出手段と、
前記充電器の絶対位置及び前記検出手段により検出した前記給電装置の相対位置を、前記撮影手段により撮影した画像と共に一画面に表示する表示手段と、
を具備する車載用表示装置。
【請求項2】
前記車輌の移動に関するパラメータを取得する取得手段をさらに具備し、
前記表示手段は、前記充電器の絶対位置と、前記給電装置の相対位置及び前記パラメータにより特定される車輌移動後の新たな前記給電装置の相対位置とを、表示する請求項1記載の車載用表示装置。
【請求項3】
前記表示手段は、現在の前記絶対位置と前記相対位置との表示に、取得された前記パラメータを用いて得られる前記充電器の予測される移動軌跡を、重ねて表示する請求項2記載の車載用表示装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2012−209882(P2012−209882A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−75771(P2011−75771)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】