説明

車載用電子機器

【課題】 装置本体の前面部を照明する必要がある時間帯(夜間時間帯)、または照度センサの検出により車内が暗いと判定された状態に限り、装置本体の前面部が露出した状態で表示部の表示輝度を最も高い状態に調整する。
【解決手段】 表示部14を有し装置本体1の前面に設けられた前面パネル2と、表示部14の表示状態を調整する表示状態調整手段(制御部10)と、前面パネル2を装置本体1の前面を覆う位置から装置本体1の前面を露出させる位置まで移動させるパネル駆動部15と、計時部(制御部10)を備え、計時部により、前面パネル2を前面を覆う位置から前面を露出させる位置まで移動させる要求が操作部13を介してされたときの時刻が検出され、検出された時刻が予め定められた所定の時間帯内であるとき、前記表示状態調整手段は、表示部14の表示輝度を最も高い状態に調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示部を有した前面パネルを装置本体の前面に設けた車載用電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
表示部を有した前面パネルを装置本体の前面に設けたナビゲーション装置において、前面パネルの上縁部が装置本体の前面に沿って下方へ移動し、装置本体の前面部を露出する状態まで傾斜したときに表示部の表示輝度を最も高い状態に調整することで、装置本体の前面部に設けられたCD/DVD等の記録媒体を挿入するための挿入口が表示部の明かりによって照明されるので、別途、記録媒体を挿入するための挿入口を照明する照明部材を設けることなくユーザに挿入口の位置を確実に視認させることができるナビゲーション装置が下記の特許文献(特開2006−99867号公報)に開示されている。
【0003】
この特許文献に開示されたナビゲーション装置には、さらに、前面パネルが装置本体の前面を完全に覆っている状態(本発明における図1の状態に相当)、または前面パネルの上縁部が装置本体の前面に沿って下方へ移動し装置本体の前面部を露出した状態(本発明における図2の状態に相当)、またはユーザにより設定された任意の角度まで前面パネルが傾斜した状態、各々の状態における表示輝度やコントラスト、色の濃さや色合いを予めユーザが任意に設定可能とした記載もされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2006−99867号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
通常、前面パネルの上縁部が装置本体の前面に沿って下方へ移動し装置本体の前面部が露出した状態において、表示部の表示輝度を最も高い状態に調整し装置本体の前面部を照明する必要があるのは、夜間の時間帯、または現在位置が山間部等であり車内の照度が低いときに限られるものであり、昼間等で車内の照度が高いときに装置本体の前面部を照明することはむしろ無駄な電力を消費することにつながる。
【0006】
しかしながら、上記特許文献に開示されたナビゲーション装置では、予め、装置本体の前面部が露出した状態においては表示部の表示輝度を最も高い状態に調整するという設定がユーザによりされていれば、車内の照度に関係なく如何なるときであっても表示部の表示輝度を最も高い状態に調整するので、昼間等で装置本体の前面を照明する必要がないときには無駄に電力を消費してしまうという問題が生じる。
【0007】
本発明は上記問題点に着目してなされたものであり、その目的とするところは、計時部により検出された時間帯、または照度センサにより検出された車内の照度を参照し、本当に装置本体の前面部を照明する必要がある時のみ表示部の表示輝度を最も高い状態に調整するようにした車載用電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本願請求項1に係る発明は、表示部を有し装置本体の前面に設けられた前面パネルと、前記表示部の表示状態を調整する表示状態調整手段と、
前記前面パネルを前記装置本体の前面を覆う位置から前記装置本体の前面を露出させる位置まで移動させるパネル駆動部と、を備えた車載用電子機器において、
前記車載用電子機器は計時部を備えており、該計時部により、前記前面パネルを前記前面を覆う位置から前記前面を露出させる位置まで移動させる要求が操作部を介してされたときの時刻が検出され、検出された該時刻が予め定められた所定の時間帯内であるとき、前記表示状態調整手段は、前記表示部の表示輝度を前記前面パネルが前記装置本体の前面を覆っているときの前記表示部の表示輝度よりも高い状態に調整することを特徴とする。
【0009】
また、請求項2に係る発明は、前記前面パネルを前記装置本体の前面を覆う位置から前面を露出させる位置まで移動させる要求が操作部を介してされたときの時刻が予め定められた所定の時間帯外であるとき、前記表示状態調整手段は、前記表示部の表示輝度を前記前面パネルが前記装置本体の前面を覆っているときの前記表示部の表示輝度よりも低い状態または消灯状態に調整することを特徴とする。
【0010】
また、請求項3に係る発明は、前記所定の時間帯とは、夜間の時間帯である。
【0011】
また、請求項4に係る発明は、表示部を有し装置本体の前面に設けられた前面パネルと、
前記表示部の表示状態を調整する表示状態調整手段と、前記前面パネルを前記装置本体の前面を覆う位置から前記装置本体の前面を露出させる位置まで移動させるパネル駆動部と、を備えた車載用電子機器において、
前記車載用電子機器は照度検出手段を備えており、前記照度検出手段は、前記前面パネルを前記装置本体の前面を覆う位置から前面を露出させる位置まで移動させる要求が操作部を介してされたときの照度を検出し、検出した該照度が予め定められた所定の値以下であるとき、前記表示状態調整手段は、前記表示部の表示輝度を前記前面パネルが前記装置本体の前面を覆っているときの前記表示部の表示輝度よりも高い状態に調整することを特徴とする。
【0012】
また、請求項5に係る発明は、前記前面パネルを前記装置本体の前面を覆う位置から前面を露出させる位置まで移動させる要求が操作部を介してされたときの照度が予め定められた所定の値以上であるとき、前記表示状態調整手段は、前記表示部の表示輝度を前記前面パネルが前記装置本体の前面を覆っているときの前記表示部の表示輝度よりも低い状態または消灯状態に調整することを特徴とする。
【0013】
また、請求項6に係る発明は、前記照度検出手段は、当該車載用電子機器が載置された車内の照度を検出することを特徴とする。
【0014】
また、請求項7に係る発明は、前記照度検出手段は、前記前面パネルの外周枠に設置されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明においては、検出された時間帯、または車内の照度を参照し、本当に装置本体の前面部を照明する必要がある時のみ表示部の表示輝度を最も高い状態に調整するので、昼間等で前面部を照明する必要がないときには表示部の表示輝度を最も高い状態には調整せず、これにより消費電力の低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1および第2実施例に係るナビゲーション装置100の外観構成を示す斜視図であり、装置本体1の前面部3が前面パネル2により覆われている状態を示す図である。
【図2】本発明の第1および第2実施例に係るナビゲーション装置100の外観構成を示す斜視図であり、前面パネル2の上縁部が装置本体1の前面に沿って下方へ移動することで装置本体1の前面部3が露出した状態を示す図である。
【図3】本発明の第1実施例に係るナビゲーション装置100の要部構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の第1実施例に係るナビゲーション装置100における制御部10による表示状態調整処理を説明するためのフローチャートである。
【図5】本発明の第2実施例に係るナビゲーション装置100の要部構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の第2実施例に係るナビゲーション装置100における制御部10による表示状態調整処理を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の具体例を第1および第2実施例、さらに図面を用いて詳細に説明する。但し、以下に示す実施例は、本発明の技術的思想を具体化した車載用電子機器の一例としてのナビゲーション装置を例示するものであって、本発明をこのナビゲーション装置に特定することを意図するものではなく、以下の実施例に例示するナビゲーション機能を持たない他の車載用電子機器等、特許請求の範囲に含まれるその他の実施例のものにも等しく適応し得るものである。
【0018】
以下、図面を参照して本発明の第1および第2実施例について詳細に説明を行う。
【0019】
図1は、本発明の第1および第2実施例に係るナビゲーション装置100の外観構成を示す斜視図であり、装置本体1の前面部3が前面パネル2により覆われている状態を示す図である。また、図2は、本発明の第1および第2実施例に係るナビゲーション装置100の外観構成を示す斜視図であり、前面パネル2の上縁部が装置本体1の前面に沿って下方へ移動し装置本体1の前面部3が露出した状態を示す図である。
【0020】
図1および図2に示すように、本発明のナビゲーション装置100は、車両のダッシュボードに設けられた所定の収納スペース(図示せず)に嵌め込まれる装置本体1と、この装置本体1の前面に設けられた前面パネル2とを備えた構成であり、前面パネル2は、ユーザがナビゲーション装置100に関する各種操作入力を実行するための操作スイッチ郡13aと、地図画像やTV画像等を表示するための表示部14とを有しており、表示部14は、例えば液晶ディスプレイや有機EL等から構成されている。また、表示部14は、モニターにタッチセンサを具備することで操作部の一部としても機能させることが可能となる。この場合、例えば、画面上に表示されるアイコンをユーザが直接タッチすることで各種操作入力を実行可能となる。
【0021】
前面パネル2は、前面パネル2の上縁部が装置本体1の前面に沿って下方へ移動することで装置本体1の前面部3を露出させる。具体的には、装置本体1に設けられた前面パネル2を収納する収納部(図示せず)内のガイド溝に対し、前面パネル2の上方両端側に設けられた突起(図示せず)が下方向に移動することにより前面パネル2が傾斜し装置本体1の前面部3が露出した状態となる(図2で示す状態)。このように前面部3が完全に露出した状態を本実施例では「前面パネル2が開いた状態」として説明を行う。逆に、前面パネル2の上方両端側に設けられた突起がガイド溝の最上部に位置した状態(前面部3が前面パネル2により完全に覆われた状態。図1で示す状態)を、本実施例では「前面パネル2が閉じた状態」として説明を行う。
【0022】
なお、前面パネル2の上方両端側に設けられた突起の下方向への移動および前面パネル2の上方両端側に設けられた突起の上方向への移動は、後述する制御部10の指示に従い後述するパネル駆動部15の制御により実現されるものである。
【0023】
前面部3には、CDまたはDVD等の記録媒体を挿入するための挿入口20や、CDまたはDVD等の記録媒体を挿入口から取り出すためのイジェクトボタン13bが設けられている。なお、前面部3には、この他にも、例えばSDカードを挿入するための挿入口(図示せず)やSDカードを取り出すためのイジェクトボタン(図示せず)。さらにはETCカードを挿入するための挿入口(図示せず)やETCカードを取り出すためのイジェクトボタン(図示せず)等を設けた構成とすることもできる。
【0024】
また、後述する図3および図5のブロック図で示す操作部13は、図1および図2で示す各種操作スイッチ群13a、CDおよびDVD等の記録媒体を取り出すためのイジェクトボタン13b、表示部14にタッチセンサを具備させて操作部の一部として機能させた場合のタッチセンサに該当し、図3および図5のブロック図で示す表示部14は、図1および図2で示す表示部14に該当する。
【実施例1】
【0025】
次に、図3のブロック図を用いて本発明の第1実施例に係るナビゲーション装置100の要部構成について詳細に説明を行う。
【0026】
制御部10は、CPU(図示せず)、RAM(図示せず)、ROM(図示せず)からなるプロセッサで構成され、RAM、ROMに記録された制御プログラムに基づきナビゲーション装置100を構成する各部の動作を制御するものである。RAMは、CPUがROMに記憶された制御プログラムを実行する際に作業領域としても用いられるメモリである他、制御部10が画像描画処理を実行する際にはVRAM(画像メモリ)としても用いられる。
【0027】
CPUは、ROMに記憶された制御プログラムに基づき以下に説明する制御処理を実行する。
【0028】
なお、以下の制御処理は、制御部10が実行する制御処理の一部を示したに過ぎず、この他にも種々の制御処理を実行するものである。
【0029】
制御部10は、ROMに記憶された現在位置特定プログラムに基づき、後述する現在位置検出部11により検出された現在位置情報を参照して現在位置を特定する処理を実行する。
【0030】
また、ROMに記憶された経路探索プログラムに基づき、現在位置またはユーザが後述する操作部13を介して入力した出発地からユーザが操作部13を介して入力した目的地までの案内経路を探索する処理を実行する。
【0031】
また、ROMに記憶された表示状態調整プログラムに基づき、表示部14に対する表示状態調整処理を実行する。表示部14に対する表示状態調整処理とは、制御部10が有する計時部により検出した時間帯が、例えば19時から4時迄の時間帯(車内の照度が低いと推測される夜間から深夜にかけての時間帯、以下の説明では単に夜間時間帯として説明を行う)であり、且つこの夜間時間帯において、ユーザの操作に基づき前面パネル2が装置本体1の前面に沿って下方へ移動し装置本体1の前面部3が露出する状態まで傾斜したとき、表示部14の表示輝度を最も高い状態に調整する処理である。つまり、本発明のナビゲーション装置100では、計時部により検出された時間帯が夜間時間帯以外の時間帯であるときは、前面部3が露出した状態であっても表示部14の表示輝度を最も高い状態に調整する処理は実行しないので、無駄な電力を消費するという問題を解消できる。
【0032】
なお、本実施例では、夜間時間帯において、装置本体1の前面部3が露出した状態では表示部14の表示輝度を最も高い状態に調整し、夜間時間帯以外の時間帯であれば表示部14の表示輝度を最も低い状態または消灯状態に調整すると説明しているが、これに限定するものではなく、夜間時間帯において、装置本体1の前面部3が露出した状態での表示部14の表示輝度は、前面パネル2が装置本体1を覆っている状態での表示部14の表示輝度より高ければ如何なる輝度であってもよく、また、夜間時間帯以外の時間帯の表示部14の表示輝度は、前面パネル2が装置本体1を覆っている状態での表示部14の表示輝度より低ければ如何なる輝度であってもよい。
【0033】
また、表示状態調整処理を実行する夜間時間帯として、19時から4時迄の時間帯として説明したが、この時間帯は、季節の違い(夏と冬)や地域性の違い(沖縄と北海道)、さらには現在位置の違い(街中と山間部)等に応じ、各々の状況毎に細かく設定分けを行った上でROM等に記憶しておくものとする。
【0034】
また、表示状態調整処理を実行する夜間時間帯をユーザが任意に設定可能な構成としても構わない。この場合、ユーザは後述する操作部13を介して夜間時間帯の設定を行うことができるものとする。
【0035】
また、表示状態調整処理としては、表示輝度の調整以外にもコントラストの調整や色調の調整、色合いの調整等、複数の調整を組み合わせることが理想的であるが、本実施例では説明を簡素化するために表示状態調整処理を表示輝度の調整に限定して説明を行うものとする。
【0036】
現在位置検出部11は、地球上空を周回している複数のGPS衛星から時刻情報を含む電波を受信するGPS受信機等で構成される。また、現在位置検出部11は、距離センサ、方位センサ、舵角センサ等からなる自立航法装置を用いることもできる。現在位置検出部11は、取得した現在位置情報を制御部10へ入力する。
【0037】
地図記憶部12は、道路の分岐地点等の結節点をノードとする道路ノードデータと、それぞれのノード間を結ぶ経路をリンクとした道路リンクデータとを含む道路情報を記憶している。道路ノードデータには、道路ノード番号、位置座標、接続リンク本数、分岐地点名称等が含まれ、また、制御部10がこれらの道路を表示部14に描画する際に用いられる地図画像や現在位置を表示するための現在位置マークの画像も記憶されている。また、地図記憶部12には、制御部10が探索した案内経路の情報と案内経路画像が一時記憶される。なお、案内経路画像は、探索した案内経路に基づき、制御部10が地図画像を用いて生成するものであり、案内経路の情報は、分岐地点に関する情報や分岐地点に対応した案内地点の情報(緯度・経度)、更には案内地点において音声出力する音声案内データなどから構成される。
【0038】
また、道路リンクデータには、始点および終点となる道路ノード番号、道路種別、リンク長(リンクコスト)、所要時間、車線数、車道幅などが含まれる。道路リンクデータには、さらに、リンク属性として橋、トンネル、踏切、料金所などのデータが付与される。道路種別とは、高速道路や有料道路の別、国道や都道府県道等の別を含む情報である。
【0039】
さらに、地図記憶部12には、海岸線、湖沼、河川形状などの水系データ、行政境界データ、駐車場をはじめとする施設位置、施設形状、施設名称を含む施設データからなる背景データが記憶されている。
【0040】
なお、上記説明では、制御部10が探索した案内経路のデータは、地図記憶部12に記憶すると記載したが、これに限るものではなく、地図記憶部12以外の記憶場所(例えば、RAM)に一時記憶する構成としてもよい。
【0041】
操作部13は、ナビゲーション装置100に関する各種操作入力や、出発地、目的地の入力等を行う各種操作スイッチ(図1、図2で示す13a、13b)などで構成される。
【0042】
各種操作スイッチの中には、ユーザが前面パネル2の開閉指示を入力するための開閉スイッチ(図示せず)も含まれており、ユーザが開閉スイッチを操作して開閉指示を入力すると、制御部10がパネル駆動部15に対し前面パネル2の開閉動作を指示し、指示を受けたパネル駆動部15は前面パネル2の開閉動作を実行する。
【0043】
通常、前面パネル2が閉じた状態でユーザにより開閉スイッチが操作されると、パネル駆動部15が制御部10からの指示に従い前面パネル2を装置本体1の前面に沿って下方へ移動させ、前面パネル2が開いた状態からユーザにより開閉スイッチが操作されると、パネル駆動部15が制御部10の指示に従い前面パネル2を装置本体1の前面に沿って上方へ移動させる。
【0044】
なお、前面パネル2の開閉角度は複数段階に調整可能であり、前面パネル2が閉じた状態(図1の状態)からユーザにより開閉スイッチが操作されると、操作された時間に応じて前面パネル2の角度を所定の角度に調節できる。つまり、ユーザは開閉スイッチを操作する時間に応じて前面パネル2の角度を任意の角度に調整することができる。
【0045】
例えば、前面パネル2が閉じた状態からユーザが開閉スイッチを第1の所定時間(例えば、0.2秒)以上であり且つ第2の所定時間(例えば、1秒)未満継続して操作したとき、パネル駆動部15は、制御部10の指示に従い前面パネル2を第1の角度まで傾斜させ、ユーザが開閉スイッチを第2の所定時間以上であり且つ第3の所定時間(例えば、2秒)未満継続して操作したとき、パネル駆動部15は、制御部10の指示に従い前面パネル2を第2の角度まで傾斜させ、ユーザが開閉スイッチを第3の所定時間以上継続して操作したとき、パネル駆動部15は、制御部10の指示に従い前面パネル2を第3の角度まで傾斜させる。
【0046】
なお、「継続して操作」とは、操作スイッチを所定時間押下したままの状態を意味するものであり、所定時間内に複数回押下することを意味するものではない。
【0047】
また、本発明の第1実施例では、前面パネル2の傾斜角度を前面パネル2が閉じた状態(図1の状態)と、前面パネル2が開いた状態(図2の状態)の2つの状態に限定して説明を行う。
【0048】
表示部14は、地図画像や案内経路画像、さらには所定の案内地点において、分岐地点にかかる経路案内のための情報を表示してユーザが視認できるようにするためのものであり、バックライトやバックライト駆動装置、液晶ディスプレイなどで構成される。
【0049】
制御部10は、前面パネル2が装置本体1の前面部3を覆っている状態からユーザにより開閉スイッチが操作され開閉指示が入力されると、パネル駆動部15に対し前面パネル2を前面部3が露出する状態まで傾斜させるよう指示を送り、指示を受けたパネル駆動部15は、前面パネル2の上縁部を装置本体1の前面に沿って下方に移動させ前面部3を露出させる。そして、前面部3が露出した状態において制御部10は、開閉指示が入力された時間帯を計時部により検出し、検出した時間が予め記憶されている夜間時間帯の範囲内にあれば、表示部14の表示輝度を最も高い状態に調整を行う。この表示輝度の調整は、液晶ディスプレイに対し光の供給を行うバックライトおよびバックライトの制御を行うバックライト駆動装置とを制御することで実現する。
【0050】
パネル駆動部15は、図示しないモータを備えており、このモータを駆動させることで前面パネル2の上縁部を装置本体1の前面に沿って上下方向に移動させ、前面パネル2を開いた状態または閉じた状態とする。
【0051】
次に、図4のフローチャートを用いて、本発明の第1実施例に係るナビゲーション装置100における制御部10による表示状態調整処理について説明を行う。
【0052】
前面パネル2が閉じた状態(図1の状態)から、ユーザにより開閉スイッチが操作されると(ステップS101)、パネル駆動部15に対し前面部3が露出する状態まで前面パネル2を傾斜させるよう指示を送り(ステップS102)、指示を受けたパネル駆動部15は、前面パネル2の上縁部を装置本体1の前面に沿って下方に移動させることで装置本体1の前面部3が露出するまで前面パネルを傾斜させる(ステップS103)。前面部3が露出した状態において、計時部により現在の時刻を検出し(ステップS104)、検出した時刻が夜間時間帯であれば(ステップS104のY)表示部14の表示輝度を最も高い状態に調整し(ステップS105)、その後、ステップS107の処理でナビゲーション装置1の電源がOFFされると処理を終了する。ステップS104の処理において検出した時刻が夜間時間帯でなければ(ステップS104のN)表示部14の表示輝度を現状のままで維持または最も暗い状態に調整を行い(ステップS106)、その後、ステップS107の処理でナビゲーション装置1の電源がOFFされると処理を終了する。
【実施例2】
【0053】
第1実施例では、制御部10が、ユーザが開閉スイッチを操作して前面パネル2が装置本体1の前面に沿って下方へ移動し前面部3が露出した状態での現在時刻を検出し、検出した時刻が夜間時間帯であれば、表示部14の表示輝度を最も高い状態に調整することで前面部3を表示部14の明かりにより照明させると説明したが、時間帯は関係なく車内の照度を検出し、検出した照度に基づき表示部14の表示輝度を調整する実施例を第2実施例として説明を行う。
【0054】
第2実施例では、第1実施例で説明したナビゲーション装置100の構成に新たに照度センサ16を設けた以外は第1実施例で説明したナビゲーション装置100と同様の構成であるため、重複した構成については説明を省略する。
【0055】
照度センサ16は、ナビゲーション装置100が取り付けられている車内の照度を検出するためのセンサであり、車内の照度を検出する照度検出処理と、検出した照度の値を算出する照度値算出処理とを実行可能なワンチップICである。照度センサ16は、車内の照度を検出し照度値を算出したのち、求めた値を制御部10へと入力する。
【0056】
なお、照度センサ16は、照度の検出のみを行うものとし、検出された照度値については制御部10で算出する構成としても構わない。
【0057】
また、照度センサ16を配置する位置については、例えば前面パネル2の外周枠等、車内の照度を検知するに適した場所に設けるようにする。
【0058】
次に、図6のフローチャートを用いて、本発明の第2実施例に係るナビゲーション装置100における制御部10による表示状態調整処理について説明を行う。
【0059】
前面パネル2が閉じた状態(図1の状態)から、ユーザにより開閉スイッチが操作されると(ステップS201)、パネル駆動部15に対し前面部3が露出する状態まで前面パネル2を傾斜させるよう指示を送り(ステップS202)、指示を受けたパネル駆動部15は、前面パネル2の上縁部を装置本体1の前面に沿って下方向に移動させることで前面部3が露出するまで前面パネル2を傾斜させる(ステップS203)。前面部3が露出すると、次に、照度センサ16に対し車内の照度検出を行うよう指示を送り(ステップS204)、指示を受けた照度センサ16は、車内の照度を検出し、検出した照度値を算出したのち算出した値を制御部10に入力する(ステップS205)。照度センサ16より車内の照度値が入力されると、入力された照度値が所定の値以上か否かの判定を行い(ステップS206)、照度値が所定の値以下であれば(ステップS206のY)、表示部14の表示輝度を最も高い状態に調整し(ステップS207)、その後、ステップS209の処理でナビゲーション装置1の電源がOFFされると処理を終了する。ステップS206の処理において照度値が所定の値以上であると判定すると(ステップS206のN)、表示部14の表示輝度を現状のまま維持または最も暗い状態に調整を行い(ステップS208)、その後、ステップS209の処理でナビゲーション装置1の電源がOFFされると処理を終了する。
【0060】
このように、本発明のナビゲーション装置100では、装置本体1の前面部3を照明する必要がある時間帯(夜間時間帯)、または照度センサ16の検出により車内の照度が低いと判定されたときに限り、装置本体1の前面部3が露出した状態で表示部14の表示輝度を最も高い状態に調整するので、昼間等で前面部3を照明する必要がないときには表示部14の表示輝度を最も高い状態には調整しないので、無駄に電力を消費するという問題を解消することできるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部を有し装置本体の前面に設けられた前面パネルと、
前記表示部の表示状態を調整する表示状態調整手段と、
前記前面パネルを前記装置本体の前面を覆う位置から前記装置本体の前面を露出させる位置まで移動させるパネル駆動部と、
を備えた車載用電子機器において、
前記車載用電子機器は計時部を備えており、該計時部により、前記前面パネルを前記前面を覆う位置から前記前面を露出させる位置まで移動させる要求が操作部を介してされたときの時刻が検出され、検出された該時刻が予め定められた所定の時間帯内であるとき、前記表示状態調整手段は、前記表示部の表示輝度を前記前面パネルが前記装置本体の前面を覆っているときの前記表示部の表示輝度よりも高い状態に調整することを特徴とする車載用電子機器。
【請求項2】
前記前面パネルを前記装置本体の前面を覆う位置から前面を露出させる位置まで移動させる要求が操作部を介してされたときの時刻が予め定められた所定の時間帯外であるとき、前記表示状態調整手段は、前記表示部の表示輝度を前記前面パネルが前記装置本体の前面を覆っているときの前記表示部の表示輝度よりも低い状態または消灯状態に調整することを特徴とする請求項1に記載の車載用電子機器。
【請求項3】
前記所定の時間帯とは、夜間の時間帯である請求項1または請求項2に記載の車載用電子機器。
【請求項4】
表示部を有し装置本体の前面に設けられた前面パネルと、
前記表示部の表示状態を調整する表示状態調整手段と、
前記前面パネルを前記装置本体の前面を覆う位置から前記装置本体の前面を露出させる位置まで移動させるパネル駆動部と、
を備えた車載用電子機器において、
前記車載用電子機器は照度検出手段を備えており、前記照度検出手段は、前記前面パネルを前記装置本体の前面を覆う位置から前面を露出させる位置まで移動させる要求が操作部を介してされたときの照度を検出し、検出した該照度が予め定められた所定の値以下であるとき、前記表示状態調整手段は、前記表示部の表示輝度を前記前面パネルが前記装置本体の前面を覆っているときの前記表示部の表示輝度よりも高い状態に調整することを特徴とする車載用電子機器。
【請求項5】
前記前面パネルを前記装置本体の前面を覆う位置から前面を露出させる位置まで移動させる要求が操作部を介してされたときの照度が予め定められた所定の値以上であるとき、前記表示状態調整手段は、前記表示部の表示輝度を前記前面パネルが前記装置本体の前面を覆っているときの前記表示部の表示輝度よりも低い状態または消灯状態に調整することを特徴とする請求項5に記載の車載用電子機器。
【請求項6】
前記照度検出手段は、当該車載用電子機器が載置された車内の照度を検出することを特徴とする請求項4に記載の車載用電子機器。
【請求項7】
前記照度検出手段は、前記前面パネルの外周枠に設置されることを特徴とする請求項4に記載の車載用電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−113579(P2011−113579A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−266383(P2009−266383)
【出願日】平成21年11月24日(2009.11.24)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)三洋電機コンシューマエレクトロニクス株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】