説明

車載遠隔操作装置

【課題】遠隔操作が必要な場面では、遠隔操作の実行を可能とする車載遠隔操作装置を提供する。
【解決手段】車両が使用中と判定されて(ステップS7)、通常では、車載装置の遠隔操作が非許可とされる場合に(ステップS9)、車両が緊急モードにあると判定した場合には(ステップS8;YES)、車載装置の遠隔操作を許可し実行できるようにしたので(ステップS5、S6)、遠隔操作が必要な場面で、車載装置の遠隔操作を実行できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車載遠隔操作装置に関し、より詳細には、外部から移動通信網等を介して遠隔操作可能なドアロック等の車載装置を搭載する車両に適用して好適な車載遠隔操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両より離れた場所から携帯電話等により移動通信網を介して車載装置の操作を行える車両、いわゆる遠隔操作が可能な車載装置を搭載した車両が提案されている(特許文献1)。
【0003】
特許文献1には、遠隔操作可能な車載装置を搭載した車両では、前記車両が運行中ではないと判定された場合、例えば、車両が予め定めた駐車場所にある場合等には、遠隔操作による車載装置の操作が許可され、車両が運行中である場合には、遠隔操作を許可しないと記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−347334号公報([0002]、[0024]、[0043]、[0044])
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来技術では、前記車両が運行中である場合に遠隔操作可能な車載装置の遠隔操作が一律に非許可とされるために、遠隔操作が必要な場面においても、遠隔操作を行うことができないという不都合があり、改良の余地がある。
【0006】
この発明はこのような課題を考慮してなされたものであり、遠隔操作が必要な場面では、遠隔操作の実行を可能とする車載遠隔操作装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係る車載遠隔操作装置は、遠隔操作可能な車載装置を搭載する車両に対して、前記車両の外部から送信される遠隔操作要求信号を受信する受信部と、前記受信部により前記遠隔操作要求信号が受信されると、前記車載装置の遠隔操作を実行する遠隔操作実行部と、前記車両が使用中か否かを判定する使用状態判定部と、前記車両が緊急モードか否かを判定する緊急モード判定部と、前記遠隔操作実行部による前記車載装置の遠隔操作の実行の許可又は非許可を判定する遠隔操作実行可否判定部と、を備え、前記遠隔操作実行可否判定部は、前記使用状態判定部により前記車両が使用中と判定されると、前記遠隔操作実行部による前記車載装置の遠隔操作の実行を非許可とし、前記車両が使用中と判定されても、前記緊急モード判定部により前記緊急モードと判定されると、前記遠隔操作実行部による前記車載装置の遠隔操作の実行を許可することを特徴とする。
【0008】
この発明によれば、車両が使用中と判定されても、緊急モード判定部により緊急モードと判定されると、前記遠隔操作実行部による遠隔操作の実行を許可するようにしたので、緊急時等に、車載装置の遠隔操作を実行することができる。
【0009】
この場合、さらに、前記車両の衝突を検知して衝突検知信号を出力する衝突検知センサと、操作されたときに、緊急検知信号を出力する緊急スイッチと、を備えることで、前記緊急モード判定部は、前記衝突検知信号の入力又は前記緊急検知信号の入力があったときに、前記緊急モードと判定することができる。
【0010】
また、前記使用状態判定部は、アクセサリがオン、又はイグニッションがオンのときに、前記車両が使用中と判定するようにしてもよい。
【0011】
なお、緊急時に遠隔操作可能な前記車載装置としては、ドアロック、又は、灯体(灯火装置や方向指示器等)、又は、音発生装置(警笛、スピーカ等)を挙げることができる。この発明に係る車載装置により、緊急通報時の救援活動等の際に、外部よりドアロックのアンロックや、カーファインダ(Car Finder)機能を実行することができる。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、車両が使用中と判定され、通常では、車載装置の遠隔操作が非許可とされる場合に、車両が緊急モードにあると判定した場合には、車載装置の遠隔操作を許可し実行できるようにしたので、遠隔操作が必要な場面で、車載装置の遠隔操作を実行できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】この発明の一実施形態に係る車載遠隔操作装置が適用された緊急通報システムの模式的構成図である。
【図2】車載遠隔操作装置を搭載した車両の電気回路の構成を示すブロック図である。
【図3】車載遠隔操作装置の動作説明に供されるフローチャートである。
【図4】遠隔ドアロック制御の動作説明図である。
【図5】カーファインダ制御の動作説明図である。
【図6】緊急モードに係る緊急通報の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、この発明の一実施形態に係る車載遠隔操作装置について、添付の図面を参照しながら説明する。
【0015】
図1は、この実施形態に係る車載遠隔操作装置が遠隔操作ECU(Electronic Control Unit)10として実装された車両12を含む緊急時車両遠隔制御システム20の構成例を示している。
【0016】
この実施形態において、上記遠隔操作ECU10を含め、後述する各ECUは、マイクロコンピュータを含む計算機であり、CPU(中央処理装置)、メモリであるROM(EEPROMも含む。)、RAM(ランダムアクセスメモリ)、その他、A/D変換器、D/A変換器等の入出力装置、計時部としてのタイマ等を有しており、CPUがROMに記録されているプログラムを読み出し実行することで、各種機能実現部(機能実現手段)、たとえば制御部、演算部、及び処理部等として機能する。
【0017】
図1に示すように、緊急時車両遠隔制御システム20は、ユーザ22と、サーバ24と、このサーバ24を備えるサービスセンタ23と、コールセンタ装置26と、コールセンタ装置26のオペレータ28と、遠隔操作ECU10を搭載した車両12と、移動通信網30により構成される。サーバ24には、後述する遠隔操作要求信号生成部(遠隔操作要求信号生成手段)25が備えられる。なお、コールセンタ装置26は、サービスセンタ23内に配置してもよい。また、サーバ24は、サービスセンタ23とは異なる地点に配置してもよい。
【0018】
移動通信網30には、基地局と移動局間で無線通信され、基地局相互間では有線通信される携帯電話等の移動通信網の他、衛星を利用した衛星電話等の移動通信網も含まれる。
【0019】
ユーザ22は、例えば車両12の運転者等のユーザであり携帯電話、PDA(Personal Digital Assistant)等の携帯情報端末32を携帯している。
【0020】
情報通信装置でありオペレータ28の端末を兼ねるコールセンタ装置26は、ヘッドセット34を装着したオペレータ28により操作される。
【0021】
移動通信網30は、携帯情報端末32、サービスセンタ23のサーバ24、コールセンタ装置26、ヘッドセット34及び遠隔操作ECU10間でのメール等のデータ又は音声データを送受信する中継を行う。
【0022】
この実施形態において、通信プロトコルとしては、例えば、メールを含むデータを送受信するHTTP(Hypertext Transfer Protocol)と、短い文字メッセージを送受信するSMS(Short Message Service)とが適用されている。
【0023】
オペレータ28は、コールセンタ装置26の表示部の表示を確認しながらヘッドセット34を通じて音声により移動通信網30及び携帯情報端末32を通じてユーザ22と通話することができるとともに、コールセンタ装置26及び移動通信網30を通じてサービスセンタ23のサーバ24と通信ができるように構成されている。
【0024】
サーバ24は、コールセンタ装置26を操作するオペレータ28又は携帯情報端末32を操作するユーザ22からの遠隔操作要求等に従い、該当する車両12の車載装置の遠隔操作要求信号Srrを生成し、サービスセンタ23、移動通信網30を通じて車両12へ送信する。
【0025】
図2は、遠隔操作ECU10を搭載した車両12の電気回路の構成を示している。
【0026】
車両12は、通信線(車載ネットワーク)40を有し、この通信線40に対して車載通信ユニット44、エアバッグECU46、ドア制御ECU48、補機制御ECU50、ナビゲーション装置52、緊急スイッチ54、及びノブ式イグニッションスイッチ56が接続されている。
【0027】
エアバッグECU46には、車両12の衝突を検知する加速度センサ等の衝突検知センサ58が接続されるとともに、衝突検知センサ58からの衝突検知信号Scdに応じて展開されるエアバッグと該エアバッグを展開するインフレータとを備えるエアバッグ装置60が接続される。
【0028】
ドア制御ECU48には、ドアロック62が接続され、ドアロック62のロック及びアンロックが制御される。
【0029】
補機制御ECU50には、ホーン(警笛)64(音発生装置)が接続されるとともに、前照灯、車幅灯、尾灯、室内灯、及び方向指示灯のランプ(灯体)66が接続される。
【0030】
ナビゲーション装置52は、AV(Audio Visual)装置を含み、液晶表示器等の表示部68、スピーカ70(音発生装置)、及びマイクロホン71等に接続される。
【0031】
この実施形態において、ドアロック62、ホーン64、及びランプ66は、緊急時に、車両12の外部より移動通信網30等を通じて遠隔操作可能な車載装置67を構成する。
【0032】
緊急スイッチ54は、バックミラーの取付部近傍のルーフ部分に取り付けられており、緊急時に、乗員が押下することができるようになっている。緊急スイッチ54は、押下されたときに、緊急検知信号(緊急スイッチ押下信号)Sedを出力する。
【0033】
ノブ式イグニッションスイッチ56は、スマートカードシステムにおける携帯機(カード)74を有する運転者等の乗員が、ノブ(つまみ)72を摘んで、LOCK(ロック)位置で押し、押しながらLOCK位置とACC(アクセサリ)位置との間で回転させること、ACC位置とON(イグニッションオン)位置との間で回転させること、ON位置からモーメンタリーな位置であるSTART(エンジンスタート)位置へ回転することが可能になっている。なお、モーメンタリーな位置とは、START位置でノブ72から指を離すとばね力によりノブ72がON位置に戻る位置を意味する。
【0034】
すなわち、このノブ72は、LOCK位置と、ノブ72を押して(PUSH)、図示しない車載装置と携帯機74との間での認証が成功すると図示しないノブロックが解除されて回転可能な位置であるラジオ、オーディオ装置等のアクセサリ機器を使用可能なACC位置(アクセサリがオン)と、運転するときのON位置(イグニッションがオン)と、エンジンを始動するときのSTART位置に、順に回転することが可能である。ノブ押し操作と、LOCK位置、ACC位置、ON位置、及びSTART位置の検出信号は、ノブ式イグニッションスイッチ56から通信線40を介して車載通信ユニット44等に供給される。
【0035】
車載通信ユニット44は、遠隔操作ECU10の他、それぞれ、アンテナ81、82、83を備える通信モジュール76と、GPSモジュール78と、ハンズフリー装置80とを備える。
【0036】
通信モジュール76のアンテナ81は、移動通信網30に対する接続用のアンテナであり、GPSモジュール78のアンテナ82は、GPS衛星からの電波受信用のアンテナであり、ハンズフリー装置80のアンテナ83は、車両12の乗員が所持する携帯電話等の携帯情報端末32と短距離で接続するBluetooth(登録商標)等の接続用のアンテナである。
【0037】
遠隔操作ECU10は、CPUによる機能実現部として、受信部91と、遠隔操作実行部84及び遠隔操作実行可否判定部86を備える車載ECU制御部88と、使用状態判定部90と、緊急モード判定部92と、ナビ電源制御部94と、を備える。
【0038】
受信部91は、車両12の外部から送信され、アンテナ81及び通信モジュール76を通じて受信される遠隔操作要求信号Srr(図1参照)を受信する。
【0039】
遠隔操作実行部84は、受信部91で遠隔操作要求信号Srrが受信されると、対応する車載装置67の所定の遠隔操作を実行する。
【0040】
使用状態判定部90は、車両12が使用中か否かを判定する。なお、使用状態判定部90での車両12が使用中か否かの判定は、ノブ式イグニッションスイッチ56のノブ72がACC位置(アクセサリがオン位置)又は、ON位置(イグニッションがオン位置)のときに、車両12が使用中と判定される。
【0041】
緊急モード判定部92は、車両12が緊急モードか否かを判定する。緊急モード判定部92での車両12が緊急モードか否かの判定は、衝突検知センサ58からエアバッグECU46及び通信線40を通じて衝突検知信号Scdが入力されたとき、又は緊急スイッチ54から通信線40を通じて緊急検知信号Sedが入力されたときに緊急モードである判定する。
【0042】
遠隔操作実行可否判定部86は、遠隔操作実行部84による車載装置67の遠隔操作の実行の許可又は非許可を判定する。
【0043】
遠隔操作実行可否判定部86は、使用状態判定部90により車両12が使用中と判定されると、遠隔操作実行部84による車載装置67の遠隔操作の実行を非許可とし、車両12が使用中と判定されても、緊急モード判定部92により緊急モードと判定されると、遠隔操作実行部84による車載装置67の遠隔操作の実行を許可する。
【0044】
次に、上述の実施形態の動作について、図3に示す遠隔操作ECU10に適用されるフローチャートに基づいて説明する。
【0045】
ステップS1において、車両12に搭載された車載通信ユニット44の遠隔操作ECU10中の受信部91は、アンテナ81及び通信モジュール76を通じて外部、ここではサーバ24の遠隔操作要求信号生成部25から遠隔操作要求信号Srrを受信したかどうかを判定する。
【0046】
遠隔操作要求信号Srrには、例えば、ドアロック62のアンロック要求を内容とするものや、ランプ66を点滅させるとともにホーン64を鳴動させるカーファインダ要求を内容とするもの等がある。
【0047】
受信部91が遠隔操作要求信号Srrを受信してステップS1の判定が肯定的となったとき、ステップS2において、車両12の使用状態判定部90は、ノブ式イグニッションスイッチ56のノブ72が指している位置に基づきノブ式イグニッションスイッチ56がアクセサリのオフ位置にあるかどうかを判定するとともに、ステップS3において、イグニッションのオフ位置にあるかどうかを判定する。
【0048】
ノブ式イグニッションスイッチ56がアクセサリのオフ位置であってかつイグニッションのオフ位置であるとき、すなわち、ノブ式イグニッションスイッチ56がロック位置にあるときには、ステップS4において、使用状態判定部90は、車両12が使用中ではない(走行中ではない)と判定する。
【0049】
車両12が使用中ではないと判定されたとき、ステップS5において、遠隔操作実行可否判定部86は、遠隔操作の実行を許可すると判定する。
【0050】
遠隔操作の実行が許可された場合、遠隔操作実行部84は、ステップS6において、ステップS1で受信した遠隔操作要求信号Srrによる遠隔操作内容(外部から遠隔操作しようとする車載装置の操作内容)に相当する遠隔操作を実行する。
【0051】
ここで、ステップS1での遠隔操作要求信号Srrの遠隔操作内容が、ドアロック要求である場合の全体動作について、図4を参照して説明すると、ユーザ22が携帯情報端末32を通じてドアロックの遠隔操作要求に係るメールをサービスセンタ23に通知すると、サービスセンタ23内のサーバ24の遠隔操作要求信号生成部25は、ドアロック制御の遠隔操作要求信号Srrを制御リクエストとして当該車両12に送信する。
【0052】
当該車両12の車載通信ユニット44の受信部91が、アンテナ81、車載通信ユニット44を通じてドアロック制御の遠隔操作要求信号Srrを受信したとき(ステップS1)、ステップS2;YES、ステップS3;YES、ステップS4で使用中ではないと判定され、ステップS5で遠隔操作の許可がなされているとき、ステップS6において、ドアロック制御の遠隔操作要求信号Srrは、遠隔操作実行部84及び通信線40を通じてドア制御ECU48に送出され、ドア制御ECU48で受領される。このときドアロック62がロック(施錠)される。
【0053】
図示しないドアスイッチ等によりドアロック62のロックが確認されると、ドアがロックされたことが、ドア制御ECU48、通信線40を通じて車載通信ユニット44に送出される。
【0054】
車載通信ユニット44は、ドアがロックされたことの状態通知をサービスセンタ23のサーバ24に通知する。このとき、サーバ24は、ドアがロックされたことのメールを作成し、サービスセンタ23を通じて、ドアロックの遠隔操作要求に係るメールを発信したユーザ22の携帯情報端末32に送信する。
【0055】
この送信通知によりユーザ22は、車両12のドアがロックされたことを外部(遠隔地)から確認することができる。
【0056】
なお、ユーザ22がメールではなく音声でコールセンタ装置26を通じてオペレータ28にドアロック要求を連絡したときには、オペレータ28がコールセンタ装置26を通じてサービスセンタ23及びサーバ24に制御リクエストを送信する。上述したようにしてドアがロックされると、状態通知がサーバ24を通じてコールセンタ装置26に通知される。
【0057】
通知を受け取ったオペレータ28は、ユーザ22の携帯情報端末32に電話をかけドアがロックされたことをユーザに告げる。
【0058】
他の例として、ステップS1での遠隔操作要求信号Srrの内容が、カーファインダ要求である場合の全体動作について、図5を参照して説明すると、ユーザ22が携帯情報端末32を通じてカーファインダの遠隔操作要求に係るメールをサービスセンタ23に通知すると、サーバ24の遠隔操作要求信号生成部25は、カーファインダの遠隔操作要求信号Srrを位置リクエスト(制御リクエスト)として当該車両12に送信する。
【0059】
当該車両12の車載通信ユニット44の受信部91が、カーファインダの遠隔操作要求信号Srrを受信したとき(ステップS1)、ステップS2;YES、ステップS3;YES、及びステップS4で車両12が使用中ではないと判定され、ステップS5で遠隔操作の許可がなされているとき、ステップS6において、カーファイダの遠隔操作要求信号Srrは、遠隔操作実行部84及び通信線40を通じて補機制御ECU50に送出され、補機制御ECU50で受領される。これによって、補機制御ECU50により、図5に模式的に示す車両12のランプ66の点灯やホーン64の鳴動がなされ、カーファインダ機能が実行される。
【0060】
このとき、車載通信ユニット44のナビ電源制御部94が、ナビゲーション装置52を起動する(電源をオンする)ようにすれば、GPSモジュール78に接続されたナビゲーション装置52から車両12の位置情報を遠隔操作ECU10が取得することができる。そして、ナビゲーション装置52の電源をオフにする。この場合、遠隔操作ECU10は、このようにして取得した車両12の位置情報を、車載通信ユニット44からサービスセンタ23、及びサーバ24を通じてユーザ22の携帯情報端末32の画面33の地図上に車両12の位置を表示させるようにすることもできる。
【0061】
この場合においても、ユーザ22の携帯情報端末32からコールセンタ装置26のオペレータ28を通じて音声によりカーファインダの遠隔操作要求を行い、カーファイダに係る車両12の遠隔操作がなされたとき、オペレータ28から音声(電話)によりユーザ22に車両12の位置情報を電話連絡するようにすることができる。
【0062】
一方、図3のフローチャート中、ステップS1での遠隔操作要求信号Srrの受信時に、ステップS2、S3の判定において、ノブ式イグニッションスイッチ56がアクセサリのオン位置(ステップS2;NO)か、イグニッションのオン位置(ステップS3;NO)であるとき、ステップS7において、使用状態判定部90は、車両12が使用中と判定する。
【0063】
車両12が使用中であると判定されたとき、ステップS8において、緊急モード判定部92は、車両12が緊急モードであるかどうかを判定する。
【0064】
車両12が緊急モードであるか否かは、上述したように、緊急モード判定部92に対して衝突検知信号Scdあるいは緊急検知信号Sedが入力されているかどうかにより判定される。
【0065】
衝突検知信号Scdも緊急検知信号Sedも入力されていないときには、ステップS8の判定は否定的とされ、ステップS9において、遠隔操作要求信号Srrの受信を契機とする遠隔操作実行部84による車載装置67の遠隔操作の実行が非許可とされる。
【0066】
その一方、ステップS8において、緊急モード判定部92に、衝突検知信号Scd又は緊急検知信号Sedが入力されている場合、緊急モード判定部92は、緊急モードであると判定し、ステップS8の判定が肯定的とされる。
【0067】
この場合、ステップS5において、遠隔操作実行可否判定部86は、遠隔操作実行部84による車載装置67の遠隔操作の実行を許可する。
【0068】
実際上、図6に示すように、緊急スイッチ54が押下されて緊急モード判定部92が緊急モードであると判定したとき、ナビ電源制御部94(図2参照)を通じてナビゲーション装置52をオン状態としてスピーカ70及びマイクロホン71を能動状態とするとともに、ハンズフリー装置80を起動してコールセンタ装置26のオペレータ28が車両12の乗員と通話可能な状態とする。
【0069】
この場合、車両12内の乗員は、ハンズフリー装置80を通じてオペレータ28に対して状況を説明し、オペレータ28に、例えば救急車両98の手配を依頼する。救急車両98の手配を依頼されたオペレータ28は、救急センタ96を通じて救急車両98の出動を依頼する。このとき、オペレータ28と車両12内の乗員及び救急車両98の乗員との間で、いわゆる3者通話も可能とすることができる。
【0070】
なお、車両12内の乗員がオペレータ28の問いかけに対して応答しない場合であっても、起動されたナビゲーション装置52から車載通信ユニット44及びサーバ24を通じてコールセンタ装置26に、車両12の位置情報が送信されるとともに、例えば、衝突検知信号Scdを緊急モード判定部92が受信したことがサーバ24を通じてコールセンタ装置26に送信されると、オペレータ28は、当該車両12のエアバッグ装置60が既に展開していて、車両12内の乗員から応答がないことを救急センタ96に連絡することで、救急車両98の手配を行うことができる。この場合、車両12の位置(現場)に到着した救急車両98の乗員からの電話等によるオペレータ28への連絡によりオペレータ28を介しサーバ24を通じて車両12のドアロック62を遠隔操作によりアンロックすることもできる。
【0071】
[実施形態の概括的な説明]
以上説明したように上述した実施形態によれば、車載通信ユニット44の遠隔操作ECU10中の受信部91は、遠隔操作可能な車載装置67を搭載する車両12に対して、車両12の外部から送信される遠隔操作要求信号Srrを受信する。
【0072】
遠隔操作実行部84は、受信部91により遠隔操作要求信号Srrが受信されると、遠隔操作要求信号Srrの要求内容に応じた車載装置67の遠隔操作を実行する。
【0073】
使用状態判定部90は、車両12が使用中か否かを判定する。
【0074】
遠隔操作実行可否判定部86は、遠隔操作実行部84による車載装置67の遠隔操作の実行の許可又は非許可を判定する。
【0075】
遠隔操作実行可否判定部86は、使用状態判定部90により車両12が使用中と判定されると、遠隔操作実行部84による車載装置67の遠隔操作の実行を非許可とし、車両12が使用中と判定されても、緊急モード判定部92により緊急モードと判定されると、遠隔操作実行部84による車載装置67の遠隔操作の実行を許可する。
【0076】
このように、車両12が使用中、例えば走行中と判定されても、緊急モード判定部92により緊急モードと判定されると、遠隔操作実行部84による遠隔操作の実行を許可するようにしたので、緊急時等に、車載装置67の遠隔操作を実行することができる。
【0077】
この場合、車両12には、さらに、車両12の衝突を検知して衝突検知信号Scdを出力する衝突検知センサ58と、操作されたときに緊急検知信号Sedを出力する緊急スイッチ54と、を備えているので、緊急モード判定部92は、衝突検知信号Scd又は緊急検知信号Sedの入力があったときに、緊急モードと判定することができる。
【0078】
なお、使用状態判定部90は、車両12のアクセサリがオン(ノブ式イグニッションスイッチ56のノブ72がACC位置にある。)、又は車両12のイグニッションがオン(ノブ式イグニッション56のノブ72がON位置にある。)のときに、車両12が使用中と判定するようにしてもよい。
【0079】
緊急モード時に遠隔操作可能な車載装置67としては、ドアロック62のロックもしくはアンロック、又は、灯体(灯火装置や方向指示器等)であるランプ66の点滅、又は、ホーン64やスピーカ70による合図・お知らせを挙げることができる。図示しないパワーウインド機能によるウインドの開閉を行うこともこの発明に含まれる。
【0080】
よって、緊急通報時の救援活動等の際に、外部よりドアロック62のアンロックや、カーファインダ(Car Finder)機能を実行することができる。
【0081】
この実施形態によれば、車両12が使用中と判定され、通常では、車載装置67の遠隔操作が非許可とされる場合に、車両12が緊急モードにあると判定したときには、車載装置67の遠隔操作を許可し実行できるようにしたので、遠隔操作が必要な場面で、車載装置67の遠隔操作を実行できる。
【0082】
なお、この発明は、上述の実施形態に限らず、この明細書の記載内容に基づき、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【符号の説明】
【0083】
10…遠隔操作ECU 12…車両
20…緊急時車両遠隔制御システム 23…サービスセンタ
24…サーバ 25…遠隔操作要求信号生成部
26…コールセンタ装置 30…移動通信網
44…車載通信ユニット 54…緊急スイッチ
56…ノブ式イグニッションスイッチ 58…衝突検知センサ
62…ドアロック 66…ランプ
67…車載装置 72…ノブ(つまみ)
80…ハンズフリー装置 84…遠隔操作実行部
86…遠隔操作実行可否判定部 90…使用状態判定部
91…受信部 92…緊急モード判定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠隔操作可能な車載装置を搭載する車両に対して、前記車両の外部から送信される遠隔操作要求信号を受信する受信部と、
前記受信部により前記遠隔操作要求信号が受信されると、前記車載装置の遠隔操作を実行する遠隔操作実行部と、
前記車両が使用中か否かを判定する使用状態判定部と、
前記車両が緊急モードか否かを判定する緊急モード判定部と、
前記遠隔操作実行部による前記車載装置の遠隔操作の実行の許可又は非許可を判定する遠隔操作実行可否判定部と、を備え、
前記遠隔操作実行可否判定部は、
前記使用状態判定部により前記車両が使用中と判定されると、前記遠隔操作実行部による前記車載装置の遠隔操作の実行を非許可とし、
前記車両が使用中と判定されても、前記緊急モード判定部により前記緊急モードと判定されると、前記遠隔操作実行部による前記車載装置の遠隔操作の実行を許可する
ことを特徴とする車載遠隔操作装置。
【請求項2】
請求項1記載の車載遠隔操作装置において、
さらに、
前記車両の衝突を検知して衝突検知信号を出力する衝突検知センサと、
操作されたときに、緊急検知信号を出力する緊急スイッチと、を備え、
前記緊急モード判定部は、
前記衝突検知信号の入力又は前記緊急検知信号の入力があったときに、前記緊急モードと判定する
ことを特徴とする車載遠隔操作装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の車載遠隔操作装置において、
前記使用状態判定部は、
アクセサリがオン、又はイグニッションがオンのときに、前記車両が使用中と判定する
ことを特徴とする車載遠隔操作装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の車載遠隔操作装置において、
前記車載装置が、
ドアロック、灯体、又は音発生装置である
ことを特徴とする車載遠隔操作装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−5024(P2012−5024A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−140491(P2010−140491)
【出願日】平成22年6月21日(2010.6.21)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】