説明

車輪位置検出装置、それを備えたタイヤ空気圧検出装置および送受信機

【課題】車輪側の送受信機で車輪位置検出の処理が完了できるようにする。
【解決手段】第1トリガ機5aから左右前輪6a、6bに対して第1トリガコマンドを含むトリガ信号を出力させると共に、第2トリガ機5bから左右後輪6c、6dに対して第1トリガコマンドとは異なる第2トリガコマンドを含むトリガ信号を出力させる。そして、送受信機2にて、トリガ信号に含まれる第1トリガコマンドもしくは第2トリガコマンドに基づいて、取付車輪が前輪であるか後輪であるかを決定すると共に、トリガ信号の受信強度に基づいて、取付車輪が左車輪であるか右車輪であるかを決定し、これらの決定結果に基づき、取付車輪が左右前輪と左右後輪のいずれであるかを特定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車輪が車両のどの位置に取り付けられているかを検出する車輪位置検出装置やその送受信機に関するもので、特に、タイヤが取り付けられた車輪に圧力センサが備えられた送受信機を直接取り付け、その圧力センサからの検出信号を送受信機から送信し、車体側に取り付けられた受信機によって受信することで、タイヤ空気圧の検出を行うダイレクト式のタイヤ空気圧検出装置に適用して好適である。
【背景技術】
【0002】
従来より、タイヤ空気圧検出装置の1つとして、ダイレクト式のものがある。このタイプのタイヤ空気圧検出装置では、タイヤが取り付けられた車輪側に、圧力センサ等のセンサが備えられた送受信機が直接取り付けられている。また、車体側には、アンテナおよび受信機が備えられており、センサからの検出信号が送受信機から送信されると、アンテナを介して受信機にその検出信号が受信され、タイヤ空気圧の検出が行われるようになっている。
【0003】
このようなダイレクト式のタイヤ空気圧検出装置では、送信されてきたデータが自車両のものであるかどうか、および送受信機がどの車輪に取り付けられたものかを判別できるように、送受信機が送信するデータ中に、自車両か他車両かを判別するためと送受信機が取り付けられた車輪を判別するためのID情報を付加している。
【0004】
そして、受信機側にそのID情報を予め登録しておき、送受信機から送られたデータを受信したときに、受け取ったID情報からそのデータがどの車輪のものかを判別するようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特許第3212311号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、従来のタイヤ空気圧検出装置では、送受信機から送信されるデータ中に各車輪それぞれに決められたID情報を含ませることにより、送受信機が取り付けられた車輪の判別が行えるようになっている。このため、各車輪ごとに付加されたID情報が無いと、どの車輪に対応する送受信機からのデータか判別することができない。すなわち、ID情報を用いないと、各送受信機が車両のどの位置についているものなのかを検出することができない。
【0006】
また上述の手段によると、ユーザー自らがタイヤローテーションなどのように車輪の位置を変えた場合には、ユーザがローテーションさせた車輪のID情報を読み取り、それまでに登録してあったID情報を再度登録し直さなければ、タイヤ空気圧検出装置側で車輪の位置変更に対応できない。
【0007】
このため、ID情報(車輪位置情報)が無くても各送受信機が取り付けられた車輪、つまり取り付け位置を検出できるようにすることが望まれる。もしくは、車輪の位置変更によってID情報を登録し直す必要がある場合には、それが自動的に検出できるようにすることが望まれる。
【0008】
これに対して、本発明者らは、トリガ機から一定強度のトリガ信号を送信させると共に、各車輪に取り付けた送受信機にてトリガ信号の受信強度を検出させ、トリガ信号の信号強度がトリガ機からの距離が遠くなるに従って減衰することを利用して、各送受信機で受信したトリガ信号の受信強度に基づいて、各送受信機がどの車輪に取り付けられたものであるかという車輪位置検出を自動的に行えるようにすることを見出した(例えば、特願2005−197497参照)。
【0009】
そして、このような自動的な車輪位置検出(オートロケーション)をより好適に行えるように、両前輪に取り付けられた各送受信機でのみ受信されるトリガ信号を出力する前輪用のトリガ機と、両後輪に取り付けられた各送受信機でのみ受信されるトリガ信号を出力する後輪用のトリガ機とを備えることを提案している。
【0010】
しかしながら、上記の自動的な車輪位置検出は、車輪側に備えられた送受信機からのデータを車体側に送ることで、車体側の制御部にて行われるようになっている。近年、車両に搭載される電子制御装置(ECU)では、システム統合化などで様々な処理が要求され、処理規模も年々大きくなっているため、車体側の制御部で車輪位置検出を行うのではなく、その周辺部位、すなわち車輪側の送受信機で車輪位置検出の処理が完了できるように、分散処理を行うようにするのが好ましい。
【0011】
本発明は上記点に鑑みて、各送受信機がどの車輪に取り付けられているかを、ユーザーによるID情報の読み取りなどを行わなくても検出できる車輪位置検出装置において、車輪側の送受信機で車輪位置検出の処理が完了できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、本発明では、送受信機(2)にて、トリガ信号に基づいて取付車輪を特定する車輪位置検出を行い、該取付車輪を示すデータをフレームに格納して受信機(3)に送信し、受信機がそのフレームを受信することで、送受信機が取り付けられたのが左右前輪および左右後輪のいずれであるかを判別する。このような車輪位置検出装置において、第1トリガ機(5a)から左右前輪に対して第1トリガコマンドを含むトリガ信号を出力させると共に、第2トリガ機(5b)から左右後輪に対して第1トリガコマンドとは異なる第2トリガコマンドを含むトリガ信号を出力させるようにし、送受信機に備えられた第1制御部が、トリガ信号を受信して該トリガ信号の受信強度を検出するトリガ信号強度測定部(130)と、トリガ信号に含まれる第1トリガコマンドもしくは第2トリガコマンドに基づいて、取付車輪が前輪であるか後輪であるかを決定する前後位置決定部(105〜120)と、トリガ信号の受信強度に基づいて、取付車輪が左車輪であるか右車輪であるかを決定する左右位置決定部(135〜150)と、前後位置決定部および左右位置決定部の決定結果に基づき、取付車輪が左右前輪と左右後輪のいずれであるかを特定する車輪位置特定部(160)と、を含んだ構成とすることを第1の特徴としている。
【0013】
このような構成の車輪位置検出装置では、各送受信機は、前後位置決定部にて第1、第2トリガコマンドに基づいて取付車輪が前輪であるか後輪であるかを決定でき、左右位置決定部にて受信強度に基づいて取付車輪が左車輪であるか右車輪であるかを決定できるため、これらに基づいて車輪位置特定部にて取付車輪が左右前輪と左右後輪のいずれであるかを特定することが可能となる。このため、受信機の制御部にて車輪位置検出を行う必要が無くなる。したがって、近年、車両に搭載されるECUでは、システム統合化などで様々な処理が要求され、処理規模も年々大きくなっているが、これに対応して、送受信機2で車輪位置検出の処理を完了させられ、分散処理を行うことが可能となる。
【0014】
例えば、左右位置決定部は、トリガ信号の受信強度が第1しきい値(Va)以下であれば、左右輪のうち第1トリガ機もしくは第2トリガ機から遠い側の車輪であると決定し、トリガ信号の受信強度が第1しきい値よりも大きな第2しきい値(Vb)以上であれば、左右輪のうち第1トリガ機もしくは第2トリガ機から近い側の車輪であると決定することができる。
【0015】
また、本発明では、第1トリガ機(5a)から2つの右車輪(6a、6c)に対して第1トリガコマンドを含むトリガ信号を出力させると共に、第2トリガ機(5b)から2つの左車輪に対して第1トリガコマンドとは異なる第2トリガコマンドを含むトリガ信号を出力させるようにし、送受信機に備えられた第1制御部が、トリガ信号を受信して該トリガ信号の受信強度を検出するトリガ信号強度測定部(230)と、トリガ信号に含まれる第1トリガコマンドもしくは第2トリガコマンドに基づいて、取付車輪が右車輪であるか左車輪であるかを決定する左右位置決定部(205〜220)と、トリガ信号の受信強度に基づいて、取付車輪が前輪であるか後輪であるかを決定する前後位置決定部(235〜250)と、左右位置決定部および前後位置決定部の決定結果に基づき、取付車輪が左右前輪と左右後輪のいずれであるかを特定する車輪位置特定部(260)と、を含んでいることを第2の特徴としている。
【0016】
このような構成の車輪位置検出装置では、各送受信機は、左右位置決定部にて第1、第2トリガコマンドに基づいて取付車輪が右車輪であるか左車輪であるかを決定でき、前後位置決定部にて受信強度に基づいて取付車輪が前輪であるか後輪であるかを決定できるため、これらに基づいて車輪位置特定部にて取付車輪が左右前輪と左右後輪のいずれであるかを特定することが可能となる。したがって、受信機の制御部にて車輪位置検出を行う必要が無くなり、上記第1の特徴を有した発明と同様の効果を得ることができる。
【0017】
例えば、前後位置決定部は、トリガ信号の受信強度が第1しきい値(Va)以下であれば、前後輪のうち第1トリガ機もしくは第2トリガ機から遠い側の車輪であると決定し、トリガ信号の受信強度が第1しきい値よりも大きな第2しきい値(Vb)以上であれば、前後輪のうち第1トリガ機もしくは第2トリガ機から近い側の車輪であると決定することができる。
【0018】
以上の説明では、本発明を車輪位置検出装置として示したが、この車輪位置検出装置を
タイヤ空気圧検出装置に組み込むことも可能である。同様に、車輪位置検出装置というシステム構成として発明を把握した例を示したが、送受信機の発明として把握することもできる。
【0019】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。
【0021】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態について図を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態における車輪位置検出装置が適用されたタイヤ空気圧検出装置の全体構成を示すブロック図である。図1の紙面上方向が車両1の前方、紙面下方向が車両1の後方に一致する。この図を参照して、本実施形態におけるタイヤ空気圧検出装置について説明する。
【0022】
図1に示されるように、タイヤ空気圧検出装置は、車両1に取り付けられるもので、送受信機2、受信機3、表示器4およびトリガ機5を備えて構成されている。本実施形態では、送受信機2、受信機3およびトリガ機5が、本発明の車輪位置検出装置に相当する。
【0023】
送受信機2は、車両1における4つの車輪6a〜6dそれぞれに取り付けられるもので、各車輪6a〜6dに取り付けられたタイヤの空気圧を検出すると共に、その検出結果を示す検出信号のデータを送信するフレーム内に格納して送信するものである。また、受信機3は、車両1における車体7側に取り付けられるもので、送受信機2から送信されるフレームを受信すると共に、その中に格納された検出信号に基づいて各種処理や演算等を行うことでタイヤ空気圧を求めるものである。図2(a)、(b)に、これら送受信機2と受信機3のブロック構成を示す。
【0024】
図2(a)に示されるように、送受信機2は、センシング部21、制御部22、RF送信部23、電池24、トリガ信号受信部25、送信アンテナ26および受信アンテナ27を備えて構成されている。
【0025】
センシング部21は、例えばダイアフラム式の圧力センサや温度センサを備えた構成とされ、タイヤ空気圧に応じた検出信号や温度に応じた検出信号を出力するようになっている。
【0026】
制御部(第1制御部)22は、CPU、ROM、RAM、I/Oなどを備えた周知のマイクロコンピュータによって構成され、ROMなどに記憶されたプログラムに従って、所定の処理を実行する。
【0027】
具体的には、制御部22は、センシング部21からのタイヤ空気圧に関する検出信号を受け取り、それを信号処理すると共に必要に応じて加工し、検出結果を示すデータ(以下、タイヤ空気圧に関するデータという)として各送受信機2のID情報と共に送信するフレーム内に格納し、その後、フレームをRF送信部23に送るものである。このRF送信部23へ信号を送る処理は、上記プログラムに従って所定の周期毎に実行される。
【0028】
この制御部22は、例えば、イグニッションスイッチがオフの際にはSleep状態になっているが、トリガ信号を受け取り、トリガ信号に含まれる起動コマンドが入力されると、Wake−up状態に切り替わる。また、制御部22には、トリガ信号強度測定部22aが備えられており、受信アンテナ27およびトリガ信号受信部25を通じてトリガ機5からのトリガ信号を受け取り、Wake−up状態になると、トリガ信号強度測定部22aにてトリガ信号の受信強度を測定すると共にトリガ信号に含まれたトリガコマンドの内容および受信強度に基づいて、自分が取り付けられているのが車輪6a〜6dのいずれであるかを判別する車輪位置検出を行う。そして、制御部22は、車輪位置検出の結果、つまり自分が取り付けられているのが車輪6a〜6dのいずれであるかを示すデータをタイヤ空気圧に関するデータが格納されたフレーム、もしくは、それとは別のフレームに格納した後、フレームをRF送信部23に送る。これらトリガ信号の受信強度の測定や車輪位置検出の処理、さらには車輪位置検出の結果やタイヤ空気圧検出に関するデータをRF送信部23へ送る処理も、上記プログラムに従って行われる。
【0029】
また、制御部22は、フレームをRF送信部23に送るタイミングを制御する。これは、各送受信機2からの送信データ同士でのバッティングを防ぐためである。例えば、トリガ信号を受け取ってから何秒後にフレームを送るかという送信タイミングが、予め各送受信機2毎に異なるもので設定されている。このため、各車輪6a〜6dの送受信機2から、それぞれ異なったタイミングでフレームが送信されるようになっている。
【0030】
ただし、各車輪6a〜6dの送受信機2から異なるタイミングでフレームが送信されるようにするために、単に、各送受信機2の制御部22に異なった送信タイミングを記憶させただけでは、各送受信機2の記憶内容が異なったものとなってしまう。このため、受信強度に応じてフレームの送信タイミングがずらされるように、例えば、受信強度に応じて送信タイミングが選択できるマップ、もしくは、送信強度を変数として送信タイミングを求める関数式を制御部22に記憶させておき、受信強度の相違により必然的に各送受信機2の送信タイミングが異なるようにすれば、すべての送受信機2の制御部22のプログラムを共通にすることが可能となる。
【0031】
また、送信タイミングが毎回ランダムに変更されるように、制御部22に記憶させるプログラムを設定しても良い。このように、毎回ランダムに変更されるようにすれば、高い確率で各送受信機2の送信タイミングがすべて異なったものになるようにすることが可能である。
【0032】
RF送信部23は、送信アンテナ26を通じて、制御部22から送られてきたフレームを受信機3に向けてRF帯、例えば315MHzの電波で送信する出力部としての機能を果たすものである。
【0033】
トリガ信号受信部25は、受信アンテナ27を通じて、トリガ信号を受け取り、制御部22に送る入力部としての機能を果たすものである。
【0034】
電池24は、制御部22などに対して電力供給を行うものであり、この電池24からの電力供給を受けて、センシング部21でのタイヤ空気圧に関するデータの収集や制御部22での各種演算などが実行される。
【0035】
このように構成される送受信機2は、例えば、各車輪6a〜6dのホイールにおけるエア注入バルブに取り付けられ、センシング部21がタイヤの内側に露出するように配置される。これにより、該当するタイヤ空気圧を検出し、各送受信機2に備えられた送信アンテナ26を通じて、所定周期毎(例えば、1分毎)にフレームを送信するようになっている。
【0036】
また、図2(b)に示されるように、受信機3は、アンテナ31とRF受信部32および制御部33を備えた構成となっている。
【0037】
アンテナ31は、各送受信機2から送られてくるフレームを総括的に受け取る1本の共通アンテナとなっており、車体7に固定されている。
【0038】
RF受信部32は、各送受信機2から送信されたフレームがアンテナ31で受信されると、それを入力して制御部33に送る入力部としての機能を果たすものである。
【0039】
制御部33は、CPU、ROM、RAM、I/Oなどを備えた周知のマイクロコンピュータによって構成され、ROMなどに記憶されたプログラムに従って、所定の処理を実行する。
【0040】
具体的には、制御部33は、トリガ機5に対してトリガ信号を出力させることを指令するトリガ指令信号を出力すると共に、RF受信部32が受信したフレームを受け取り、フレームに格納された各送受信機2での車輪位置検出の結果を示すデータに基づいて、各送受信機2が取り付けられた車輪位置を記憶する。これにより、各送受信機2がタイヤ空気圧に関するデータを送ってきたときに、そのデータを送ってきた送受信機2が4つの車輪6a〜6dのいずれに取り付けられたものであるかを特定できるようにしている。
【0041】
さらに、制御部33では、受け取ったフレームに格納されたタイヤ空気圧に関するデータに基づいて各種信号処理および演算等を行うことによりタイヤ空気圧を求めると共に、求めたタイヤ空気圧に応じた電気信号を表示器4に出力する。例えば、制御部33は、求めたタイヤ空気圧を所定のしきい値Thと比較し、タイヤ空気圧が低下したことを検知した場合には、その旨の信号を表示器4に出力する。これにより、4つの車輪6a〜6dのいずれかのタイヤ空気圧が低下したことが表示器4に伝えられる。
【0042】
表示器4は、図1に示されるように、ドライバが視認可能な場所に配置され、例えば車両1におけるインストルメントパネル内に設置される警報ランプによって構成される。この表示器4は、例えば受信機3における制御部33からタイヤ空気圧が低下した旨を示す信号が送られてくると、その旨の表示を行うことでドライバにタイヤ空気圧の低下を報知する。
【0043】
トリガ機5は、受信機3の制御部33から送られてくるトリガ指令信号が入力されると、例えば、125〜135kHzのLF帯であって、所定の信号強度を有するトリガ信号を出力するものである。トリガ信号としては、例えば、図3(a)〜(c)に示す形態のものを使用することができる。
【0044】
図3(a)は、トリガ信号をコマンド部が格納されたフレームを複数個並べる形態を示している。各コマンド部には、起動コマンドと実行コマンドが含まれる。起動コマンドは、送受信機2内の制御部22をSleep状態からWake−up状態に切り替えるためのコマンドとして予め取り決められる。実行コマンドは、起動した制御部22に対して、受け取ったトリガ信号の受信強度を測定させると共に、必要に応じて受信強度データを加工させ、その受信強度データをタイヤ空気圧に関するデータが格納されたフレーム、もしくは、それとは別のフレームに格納させた後、フレームをRF送信部23に送らせるという動作指示を行う。例えば、このようなトリガ信号は、125kHzの電磁波とされ、送受信機2が1番目のコマンド部を格納したフレームを受け取ると、続く2番目のコマンド部を格納したフレームの受信強度を測定することで、トリガ信号の受信強度を測定することができる。なお、ここではコマンド部を格納したフレームを2つ並べたトリガ信号を例に挙げたが、フレームの数は3個以上であっても構わない。また、各フレーム間は図3(a)に示すように断続していても良いが、連続していても良い。
【0045】
図3(b)は、トリガ信号をコマンド部およびダミー部が格納されたフレームとする形態を示している。コマンド部には、上記と同様に、起動コマンドと実行コマンドが含まれる。ダミー部は、受信強度測定に用いられるもので、変調されている信号でも変調されていない単なるキャリア信号でも良い。例えば、このようなトリガ信号は、125kHzの電磁波とされ、送受信機2がコマンド部を受け取ると、続くダミー部の受信強度を測定することで、トリガ信号の受信強度を測定することができる。
【0046】
図3(c)は、トリガ信号をパルス列からなる信号およびダミー部が格納されたフレームとする形態を示している。パルス列は、一定時間ta内に予め取り決めておいた数(例えば4個)のパルス信号CWを含むものである。このパルス列が送受信機2をWake−up状態にさせるための起動コマンドとして働く。各パルス信号CWは、AM変調された信号であっても、無変調の信号であっても良い。ダミー部は、上記と同様、受信強度測定に用いられるものである。例えば、このようなトリガ信号は、125kHzの電磁波とされ、送受信機2が一定時間ta内に予め取り決めておいた数(4個)のパルス信号CWを受け取ると、続くダミー部の受信強度を測定することで、トリガ信号の受信強度を測定することができる。
【0047】
なお、ここで示したトリガ信号は一例であり、トリガ信号が他の形態とされていても良い。例えば、予め送受信機2をWake−up状態にさせるためのトリガ信号と受信強度測定用のトリガ信号とにフレームを分けて行うことも可能である。この場合、Wake−up状態にさせるためのトリガ信号を受信強度測定に使用する必要が無いため、信号強度が受信強度測定用のトリガ信号と異なっていても良い。また、送受信機2が常にWake−up状態とされるものであれば、上述した図3(a)、(b)に示した形態から起動コマンドを取り除いた部分のみをトリガ信号として用いることもできる。
【0048】
トリガ機5は、前輪側に配置された第1トリガ機5aと、後輪側に配置された第2トリガ機5bの2台により構成されている。
【0049】
各トリガ機5a、5bは、対応する各車輪に対して異なる距離となるように、車両1を左右対称に分断する中心線に対してオフセットされて配置される。本実施形態では、第1トリガ機5aは左前輪6bの近傍に配置され、第2トリガ機5bは左後輪6dの近傍に配置されており、両者は共に中心線よりも左側に配置されている。このため、第1トリガ機5aから右前輪6aまでの距離の方が、第1トリガ機5aから左前輪6bまでの距離よりも長く、第2トリガ機5bから右後輪6cまでの距離の方が、第2トリガ機5bから左後輪6dまでの距離よりも長くなっている。そして、第1トリガ機5aから左前輪6bまでの距離と第2トリガ機5bから左後輪6dまでの距離とが等しく、かつ、第1トリガ機5aから右前輪6aまでの距離と第2トリガ機5bから右後輪6cまでの距離とが等しくなるようにしてある。
【0050】
このような構成により、第1トリガ機5aから送信されたトリガ信号が左右前輪6a、6bに取り付けられた送受信機2に届き、第2トリガ機5bから送信されたトリガ信号が左右後輪6c、6dに取り付けられた送受信機2に届くようにしている。
【0051】
なお、トリガ機5は、周囲すべてが金属で覆われていない場所であればどこに搭載されていても構わないが、できるだけ金属で覆われないような場所、かつ、走行中に石等が当らないような例えばライナー内や車室内などに搭載されているのが好ましい。
【0052】
以上のようにして、本実施形態における車輪位置検出装置が適用されたタイヤ空気圧検出装置が構成されている。
【0053】
続いて、本実施形態のタイヤ空気圧検出装置の作動について説明する。タイヤ空気圧検出装置は、まず、図示しないイグニッションスイッチがオフからオンに切り替わってから所定時間後に車輪位置検出を行う。この車輪位置検出は、イグニッションスイッチがオフからオンに切り替わって所定時間後に受信機3の制御部33からの指令に基づき、前輪側に対する車輪位置検出を行うことを示す第1トリガコマンドを含むトリガ信号が第1トリガ機5aから出力されたのち、後輪側に対する車輪位置検出を行うことを示す第2トリガコマンドを含むトリガ信号が第2トリガ機5bから出力されたときに、各送受信機2でそれぞれ独立して行われる。図4に、各送受信機2の制御部22が実行する車輪位置検出処理のフローチャートを示し、この図を参照して車輪位置検出の詳細について説明する。
【0054】
ステップ100では、トリガ信号受信が有ったか否かを判定する。ここでいうトリガ信号には、上述した車輪位置検出を行う第1、第2トリガコマンドが含まれたトリガ信号だけでなく、受信機3側から各送受信機2側に対して送られる何らかのコマンドを含んだトリガ信号も含まれる。ここで否定判定された場合には、車輪位置検出および他のコマンドを実行する必要が無いため、そのまま処理を終了する。そして、肯定判定された場合には、Sleep状態からWake−up状態に切り替わり、ステップ105以降の処理に進む。
【0055】
ステップ105では、トリガ信号に含まれるトリガコマンドを読み出し、トリガコマンドが第1トリガコマンドであるか否かを判定する。すなわち、前輪側に対する車輪位置検出であるか否かを判定する。ここで、前輪6a、6bに取り付けられた送受信機2を想定すると、これらの送受信機2では、第1トリガコマンドが含まれたトリガ信号が受信されるため、ステップ105で肯定判定される。したがって、この場合には、ステップ110に進み、自分が取り付けられたのが前輪側であると決定し、それをデータとして記憶しておく。
【0056】
また、後輪6c、6dに取り付けられた送受信機2を想定すると、これらの送受信機2では、第1トリガコマンドが含まれたトリガ信号が受信されないため、ステップ105で否定判定される。したがって、この場合には、ステップ115に進み、今度は、トリガ信号に含まれるトリガコマンドが第2トリガコマンドであるか否かを判定する。すなわち、後輪側に対する車輪位置検出であるか否かを判定する。ここで肯定判定された場合には、ステップ120に進み、自分が取り付けられたのが後輪側であると決定し、それをデータとして記憶しておく。このように、ステップ105、115により、送受信機2が取り付けられたのが前輪側であるか後輪側であるかという前後位置判定が行われ、その判定結果に基づき、各送受信機2に前後位置のいずれであるかというデータがステップ110、120で記憶される。
【0057】
一方、ステップ115で否定判定された場合には、受信したトリガ信号が車輪位置検出を指示するものでは無い。このため、ステップ125に進み、トリガ信号に含まれたトリガコマンドに対応した処理を実行する。
【0058】
続いて、トリガ信号に第1トリガコマンドもしくは第2トリガコマンドが含まれていれば、ステップ130に進み、受信したトリガ信号の受信強度を検出する。そして、ステップ135において、その受信強度が第1しきい値Va以下であるか否かを判定する。第1しきい値Vaは、トリガ信号を受信したのが、前輪6a、6bのうち第1トリガ機5aから遠い側に取り付けられた送受信機2であること、もしくは、後輪6c、6dのうち第2トリガ機5bから遠い側に取り付けられた送受信機2であることを判定するための値である。例えば、第1しきい値Vaは、第1トリガ機5aから右前輪6aに取り付けられた送受信機2までの距離を想定したときのトリガ信号の受信強度、もしくは、第2トリガ機5bから右後輪6cに取り付けられた送受信機2までの距離を想定したときのトリガ信号の受信強度よりも若干大きな値に設定されている。
【0059】
上述したように、トリガ信号の信号強度は、トリガ機5からの距離が遠くなるに従って減衰するという距離依存性がある。すなわち、各送受信機2で受信したトリガ信号の受信強度は、トリガ機5からの距離に応じた値となる。このため、トリガ信号の受信強度が第1しきい値Va以下であれば、トリガ信号を受信したのがトリガ機5から遠い側の車輪に取り付けられた送受信機2であることが分かる。したがって、ステップ135で肯定判定された場合には、ステップ140に進み、自分が取り付けられたのが右車輪側であると決定し、それをデータとして記憶しておく。
【0060】
また、ステップ135で否定判定された場合には、ステップ145に進む。ステップ145では、ステップ130で検出した受信強度が第2しきい値Vb以上であるか否かを判定する。第2しきい値Vbは、トリガ信号を受信したのが、前輪6a、6bのうち第1トリガ機5aから近い側に取り付けられた送受信機2であること、もしくは、後輪6c、6dのうち第2トリガ機5bから近い側に取り付けられた送受信機2であることを判定するための値である。例えば、第2しきい値Vbは、第1トリガ機5aから左前輪6bに取り付けられた送受信機2までの距離を想定したときのトリガ信号の受信強度、もしくは、第2トリガ機5bから左後輪6dに取り付けられた送受信機2までの距離を想定したときのトリガ信号の受信強度よりも若干小さな値、かつ、上述した第1しきい値Vaよりも大きな値に設定されている。
【0061】
上述したトリガ信号の信号強度の距離依存性から、トリガ信号の受信強度が第2しきい値Vb以上であれば、トリガ信号を受信したのがトリガ機5から近い側の車輪に取り付けられた送受信機2であることが分かる。したがって、ステップ145で肯定判定された場合には、ステップ150に進み、自分が取り付けられたのが左車輪側であると決定し、それをデータとして記憶しておく。このように、ステップ135、145により、送受信機2が取り付けられたのが右車輪側であるか左車輪側であるかという左右位置判定が行われ、その判定結果に基づき、各送受信機2に左右位置のいずれであるかというデータがステップ140、150で記憶される。
【0062】
また、第1トリガコマンドまたは第2トリガコマンドを含むトリガ信号を受信したものの、その受信強度が第1しきい値Va〜第2しきい値Vbの間の電圧、つまり左右のいずれのものかの判別を行うのが困難な値の場合、ステップ145で否定判定される。例えば、図示しないスペアタイアが両後輪6c、6dの間に配置されていた場合に、スペアタイアにも送受信機2が備えられていると、その送受信機2ではこのような現象が発生し得る。このような場合には、ステップ155に進み、判定失敗というデータを記憶させて処理を終了する。
【0063】
そして、ステップ160では、ステップ110、120、140、150において記憶しておいた前後位置に関するデータおよび左右位置に関するデータに基づき、送受信機2は自分が4つの車輪6a〜6dのいずれに取り付けられたものであるかを特定する。例えば、前後位置に関して前輪というデータが記憶されており、左右位置に関して右車輪というデータが記憶されていれば、自分が右前輪6aに取り付けられたものであると特定する。このようにして、車輪位置検出処理が終了する。
【0064】
このようにして、車輪位置検出処理が終了し、各送受信機2が自分の取り付けられた車輪(以下、取付車輪という)の特定が完了すると、取付車輪のデータを各送受信機2の区別のために付けられるID情報と共に送信するフレームに格納し、そのフレームを受信機3に向けて送信する。このとき、各送受信機2の送信タイミングは、それぞれ異なったものとされていることから、受信機3により各送受信機2から送られてくるフレームを混信することなく確実に受信できる。
【0065】
このため、受信機3では、各送受信機2から取付車輪のデータを含むフレームを受信すると、そのフレームが制御部33に送られ、制御部33は、送られたフレームから取付車輪のデータとID情報を読み出し、取付車輪とID情報とを対応付けて記憶させておく。これにより、制御部33は、各送受信機2からID情報と共にタイヤ空気圧に関するデータを格納したフレームが送られてきたときに、ID情報に基づいて取付車輪を特定できるため、そのフレームが4つの車輪6a〜6dのいずれに取り付けられた送受信機2から送られてきたものであるかを特定することが可能となる。このため、制御部33は、この後、後述するタイヤ空気圧検出を行うに際し、各送受信機2の取付車輪を特定した状態で行えるため、各送受信機2が車輪6a〜6dのいずれに取り付けられているかについて、ユーザによるID情報の読み取りなどを行わなくてもタイヤ空気圧検出を行うことが可能となる。
【0066】
次に、このようにして車輪位置検出を行った後に行われるタイヤ空気圧検出について説明する。
【0067】
まず、車輪位置検出が行われると、タイヤ空気圧検出装置は定期送信モードとなり、上述したように、各送受信機2では、制御部22に、センシング部21からのタイヤ空気圧やタイヤ内の温度を示す検出信号が入力される。そして、この検出信号が必要に応じて信号処理されることでタイヤ空気圧に関するデータとされ、各送受信機2のID情報と共に送信するフレームに格納されたのち、所定周期毎にRF送信部23を通じて受信機3側に送信される。
【0068】
一方、送受信機2からフレームが送信されると、それが受信機3のアンテナ31にて受信され、受信部32を通じて制御部33に入力される。そして、制御部33において、受信したフレームからタイヤ空気圧を示すデータおよびタイヤ内の温度を示すデータが抽出され、温度を示すデータに基づいて必要に応じて温度補正がなされ、タイヤ空気圧が求められる。このとき、フレーム内にID情報が格納されているため、車輪位置検出の際に記憶されたID情報と照合され、そのフレームが4つの車輪6a〜6dのいずれに取り付けられた送受信機2から送られてきたものかが判別される。
【0069】
そして、求められたタイヤ空気圧と前回求められたタイヤ空気圧との差が所定のしきい値を超えていないようなタイヤ空気圧の変化が少ない場合には、タイヤ空気圧を検出する周期がそのまま(例えば1分間毎)とされ、所定のしきい値を超えてタイヤ空気圧の変化が大きい場合には、その周期が早められる(例えば5秒間毎)。
【0070】
この後、求められたタイヤ空気圧が所定のしきい値を下回っていると判定されれば、制御部33から表示器4にその旨を示す信号が出力され、タイヤ空気圧が低下したのが4つの車輪6a〜6dのいずれであるかが特定できる形態で、表示器4に表示される。これにより、ドライバに車輪6a〜6dのいずれのタイヤ空気圧が低下したかを知らせることが可能となる。
【0071】
最後に、イグニッションスイッチがオンからオフに切り替わると、再び受信機3の制御部33からトリガ機5に対してトリガ指令信号が出力され、トリガ機5からSleep状態に切り替わることを示すコマンドが含まれたトリガ信号が出力される。このトリガ信号が受信アンテナ27およびトリガ信号受信部25を通じて制御部22に入力されると、送受信機2がSleep状態に切り替わる。これにより、タイヤ空気圧検出装置のタイヤ空気圧検出が終了になる。
【0072】
以上説明した本実施形態の車輪位置検出装置を備えたタイヤ空気圧検出装置によれば、各送受信機2にて、トリガ機5から出力されるトリガ信号のトリガコマンドおよび受信強度に基づいて、自分が4つの車輪6a〜6dのいずれに取り付けられているかを特定することが可能となる。つまり、受信機3の制御部33にて車輪位置検出を行う必要が無くなる。したがって、近年、車両に搭載されるECUでは、システム統合化などで様々な処理が要求され、処理規模も年々大きくなっているが、これに対応して、送受信機2で車輪位置検出の処理を完了させられ、分散処理を行うことが可能となる。
【0073】
なお、上記実施形態では、車輪位置検出後には、タイヤ空気圧に関するデータと共に格納されるID情報に基づいて、受信機3の制御部33が送られてきたフレームが4つの車輪6a〜6dのいずれに取り付けられ送受信機2からのものであるかを判別するようにしている。これに対して、車輪位置検出後にも、タイヤ空気圧に関するデータと共に取付車輪に関するデータをフレーム内に格納し、送受信機2から受信機に対してタイヤ空気圧に関するデータを送る毎に、取付車輪に関するデータも送られるようにしても構わない。このようにすれば、フレームが送られてくる毎に、そのフレーム内に格納された取付車輪に関するデータに基づき、受信機3の制御部33が送られてきたフレームが4つの車輪6a〜6dのいずれに取り付けられ送受信機2からのものであるかを判別することができる。
【0074】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態は、第1、第2トリガ機5a、5bの配置場所を第1実施形態と変更するものである。
【0075】
図5は、第1、第2トリガ機5a、5bの配置位置を示した模式図である。この図に示されるように、第1トリガ機5aに関しては、第1実施形態と同様に、右前輪6aよりも左前輪6bに近づけるよう車両1の中心線に対してオフセットさせ、第2トリガ機5bに関しては、第1実施形態と異なり、左後輪6dよりも右後輪6cに近づけるよう車両1の中心線に対してオフセットさせている。つまり、両前輪6a、6bのうち第1トリガ機5aが近づけられる側の車輪と、両後輪6c、6dのうち第2トリガ機5bが近づけられる側の車輪とが対角の関係に配置された左前輪6bと右後輪6cとなるようにしている。
【0076】
上述したように、第1トリガ機5aにて出力したトリガ信号にて両前輪6a、6bに取り付けられた送受信機2を判別し、第2トリガ機5bにて出力したトリガ信号にて両前輪6a、6bに取り付けられた送受信機2を判別している。このため、第1、第2トリガ機5a、5bの位置関係は、お互いの配置位置に関わらず、独自に設定して構わない。したがって、本実施形態のような配置としても、上記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0077】
また、このように車両1の左右両サイドに1つずつトリガ機5を配置した形態とすれば、各トリガ機5やそれに繋がるワイヤーハーネスの重量を車両1の左右でバランスさせられるため、車両1の左右の重量バランスを良くすることが可能になる。また、スマートエントリシステムにおけるドア開閉は、車両1に備えられたトリガ機からトリガ信号を出力し、ユーザが所持しているスマートキーがそのトリガ信号を受け取ったときにスマートキーから照合用の信号を出力することにより行われる。この場合に使用されるトリガ機は車両1の左右にそれぞれ配置される必要があるが、本実施形態では、第1、第2トリガ機5a、5bを車両1の左右に配置しているため、第1、第2トリガ機5a、5bにてスマートエントリシステムにおけるトリガ信号出力用のトリガ機と兼用させることが可能となる。さらに、受信部3からトリガ機5までのワイヤーハーネスの取り回しは、車両1の都合(他の部品の搭載位置等)によって制約される場合があるが、その車両1の都合に合せて第1、第2トリガ5a、5bの位置を決めることが可能となる。
【0078】
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態について説明する。本実施形態も、第1、第2トリガ機5a、5bの配置場所を第1実施形態と変更するものである。
【0079】
図6は、本実施形態の第1、第2トリガ機5a、5bの配置位置を示した模式図である。上記実施形態では、第1トリガ機5bを両前輪6a、6b側に配置し、第2トリガ機5bを両後輪6c、6d側に配置している。そして、左右前輪6a、6bを一対としてそれらに対して第1トリガ機5aからトリガ信号を出力し、左右後輪6c、6dを一対としてそれらに対して第2トリガ機5bからトリガ信号を出力させるようにした。
【0080】
これに対して、図6に示すように、第1トリガ機5aを両右車輪6a、6c側に配置すると共に、第2トリガ機5bを両左車輪6b、6d側に配置し、両右車輪6a、6cを一対としてそれらに対して第1トリガ機5aからトリガ信号を出力し、両左車輪6b、6dを一対としてそれらに対して第2トリガ機5bからトリガ信号を出力させるようにしても構わない。この場合、第1トリガ機5aを両右車輪6a、6cのいずれか一方に対して他方よりも近づけて配置し、第2トリガ機5bが両左車輪6b、6dのいずれか一方に対して他方よりも近づけて配置するようにすれば、第1、第2トリガ機5a、5bからトリガ信号を出力したときに、その受信強度が異なった値となるため、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0081】
図7は、このような構成とした場合において、各送受信機2の制御部22が実行する車輪位置検出処理のフローチャートである。この図に示す各ステップの処理は、ほぼ上述した第1実施形態で説明した図4に示す各ステップの処理に対して、ステップ210において左右位置を右車輪と決定すること、ステップ220において左右位置を左車輪と決定すること、ステップ240において前後位置を後輪と決定すること、および、ステップ250において前後位置を前輪と決定することが相違しているが、その他のステップの処理は同様である。
【0082】
このように、第1、第2トリガ機5a、5bの配置を変更しても、各送受信機2にて、トリガ機5から出力されるトリガ信号のトリガコマンドおよび受信強度に基づいて、自分が4つの車輪6a〜6dのいずれに取り付けられているかを特定することが可能となる。したがって、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0083】
(他の実施形態)
上記実施形態では、アンテナ31が1本の共通アンテナとされる形態について説明したが、各車輪6a〜6dそれぞれに対応して4本設けられるような形態であっても構わない。ただし、アンテナ31が共通アンテナとされた場合に、特に、送受信機2が取り付けられた車輪6a〜6dの特定が困難となることから、共有アンテナとされる場合に本発明を適用すると有効である。
【0084】
また、上記実施形態では、イグニッションスイッチがオフからオンに切り替わってから所定時間後に車輪位置検出を行うようにしている。このため、運転者が車両1の走行を行う前に、仮に見た目は何もタイヤに変化が無かったとしても、前以てタイヤがパンクしていること、もしくは、タイヤ空気圧が以上に減少していることを検出することが可能となる。しかしながら、これ以外のときに車輪位置検出を行っても良い。例えば、タイヤローテーション後やタイヤ交換後などに行っても良い。タイヤローテーションやタイヤ交換したことは、例えば車両に設置された図示しない車輪位置検出用のスイッチが押されたり、車体に傾斜センサを設置して、車体7の傾斜を検出したことに基づいて判別できる。
【0085】
また、上記第1実施形態では、第1、第2トリガ機5bを両方とも車両1の左側に配置した場合を示したが、右側に配置しても良い。同様に、上記第2実施形態では、第1トリガ機5aを左前輪6b側、第2トリガ機5bを右車輪6c側に配置したが、第1トリガ機5aを右前輪6a側、第2トリガ機5bを左車輪6d側に配置しても良い。
【0086】
また、上記実施形態では、4輪車両に対して本発明の一実施形態を適用したものについて説明したが、4輪車両に限るものではなく、大型車両のようにそれ以上の車輪が備えられた車両の車輪位置検出装置やタイヤ空気圧検出装置に対して本発明を適用することもできる。
【0087】
なお、各図中に示したステップは、各種処理を実行する手段に対応するものである。すなわち、制御部22のうち、図4、図7におけるステップ105〜120もしくはステップ235〜250の処理を実行する部分が前後位置決定部、ステップ135〜150もしくは205〜220の処理を実行する部分が左右位置決定部に相当する。また、ステップ160、260の処理を実行する部分が車輪位置特定部に相当する。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本発明の第1実施形態における車輪位置検出装置が適用されたタイヤ空気圧検出装置の全体構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示すタイヤ空気圧検出装置の送受信機と受信機のブロック構成を示した図である。
【図3】トリガ信号の形態を示した模式図である。
【図4】各送受信機の制御部が実行する車輪位置検出処理のフローチャートである。
【図5】本発明の第2実施形態における車輪位置検出装置が適用されたタイヤ空気圧検出装置の全体構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の第3実施形態における車輪位置検出装置が適用されたタイヤ空気圧検出装置の第1、第2トリガ機の配置位置を示した模式図である。
【図7】各送受信機の制御部が実行する車輪位置検出処理のフローチャートである。
【符号の説明】
【0089】
1…車両、2…送受信機、3…受信機、4…表示器、5…トリガ機、5a…第1トリガ機、5b…第2トリガ機、6a…右前輪、6b…左前輪、6c…右後輪、6d…左後輪、7…車体、21…センシング部、22…制御部、23…RF送信部、24…電池、25…トリガ信号受信部、26…送信アンテナ、27…受信アンテナ、31…アンテナ、32…RF受信部、33…制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右前輪(6a、6b)それぞれと左右後輪(6c、6d)それぞれに取り付けられ、トリガ信号を受信する受信部(25)と、前記受信部で受信された前記トリガ信号に基づいて取付車輪を特定する車輪位置検出を行い、該取付車輪を示すデータをフレームに格納する制御部(22)と、前記制御部にて処理された前記フレームを送信する送信部(23)とを有した送受信機(2)と、
車体(7)側に備えられ、前記左右前輪に対して第1トリガコマンドを含む前記トリガ信号を出力する第1トリガ機(5a)、および、前記左右後輪に対して前記第1トリガコマンドとは異なる第2トリガコマンドを含む前記トリガ信号を出力する第2トリガ機(5b)と、
前記車体側に備えられ、前記フレームを受信する受信部(32)と、該フレームに格納された前記取付車輪のデータに基づいて、前記送受信機が取り付けられたのが前記左右前輪および前記左右後輪のいずれであるかを判別する第2制御部(33)とを有した受信機(3)と、を有し、
前記送受信機に備えられた前記第1制御部は、
前記トリガ信号を受信して該トリガ信号の受信強度を検出するトリガ信号強度測定部(130)と、
前記トリガ信号に含まれる前記第1トリガコマンドもしくは前記第2トリガコマンドに基づいて、取付車輪が前輪であるか後輪であるかを決定する前後位置決定部(105〜120)と、
前記トリガ信号の受信強度に基づいて、前記取付車輪が左車輪であるか右車輪であるかを決定する左右位置決定部(135〜150)と、
前記前後位置決定部および前記左右位置決定部の決定結果に基づき、前記取付車輪が左右前輪と左右後輪のいずれであるかを特定する車輪位置特定部(160)と、を含んでいることを特徴とする車輪位置検出装置。
【請求項2】
前記左右位置決定部は、前記トリガ信号の受信強度が第1しきい値(Va)以下であれば、前記左右輪のうち前記第1トリガ機もしくは前記第2トリガ機から遠い側の車輪であると決定し、前記トリガ信号の受信強度が第1しきい値よりも大きな第2しきい値(Vb)以上であれば、前記左右輪のうち前記第1トリガ機もしくは前記第2トリガ機から近い側の車輪であると決定することを特徴とする請求項1に記載の車輪位置検出装置。
【請求項3】
2つの右車輪(6a、6c)それぞれと2つの左車輪(6b、6d)それぞれに取り付けられ、トリガ信号を受信する受信部(25)と、前記受信部で受信された前記トリガ信号に基づいて取付車輪を特定する車輪位置検出を行い、該取付車輪を示すデータをフレームに格納する制御部(22)と、前記制御部にて処理された前記フレームを送信する送信部(23)とを有した送受信機(2)と、
車体(7)側に備えられ、前記2つの右車輪に対して第1トリガコマンドを含む前記トリガ信号を出力する第1トリガ機(5a)、および、前記2つの左車輪に対して前記第1トリガコマンドとは異なる第2トリガコマンドを含む前記トリガ信号を出力する第2トリガ機(5b)と、
前記車体側に備えられ、前記フレームを受信する受信部(32)と、該フレームに格納された前記取付車輪のデータに基づいて、前記送受信機が取り付けられたのが前記2つの右車輪および前記2つの左車輪のいずれであるかを判別する第2制御部(33)とを有した受信機(3)と、を有し、
前記送受信機に備えられた前記第1制御部は、
前記トリガ信号を受信して該トリガ信号の受信強度を検出するトリガ信号強度測定部(230)と、
前記トリガ信号に含まれる前記第1トリガコマンドもしくは前記第2トリガコマンドに基づいて、取付車輪が右車輪であるか左車輪であるかを決定する左右位置決定部(205〜220)と、
前記トリガ信号の受信強度に基づいて、前記取付車輪が前輪であるか後輪であるかを決定する前後位置決定部(235〜250)と、
前記左右位置決定部および前記前後位置決定部の決定結果に基づき、前記取付車輪が左右前輪と左右後輪のいずれであるかを特定する車輪位置特定部(260)と、を含んでいることを特徴とする車輪位置検出装置。
【請求項4】
前記前後位置決定部は、前記トリガ信号の受信強度が第1しきい値(Va)以下であれば、前記前後輪のうち前記第1トリガ機もしくは前記第2トリガ機から遠い側の車輪であると決定し、前記トリガ信号の受信強度が第1しきい値よりも大きな第2しきい値(Vb)以上であれば、前記前後輪のうち前記第1トリガ機もしくは前記第2トリガ機から近い側の車輪であると決定することを特徴とする請求項3に記載の車輪位置検出装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1つに記載の車輪位置検出装置を含むタイヤ空気圧検出装置であって、
前記送受信機は、前記複数個の車輪それぞれに備えられた前記タイヤの空気圧に関する検出信号を出力するセンシング部(21)を備え、前記第1制御部によって前記センシング部の検出信号が信号処理されたのち、前記送信部を介して送信されるようになっており、
前記受信機は、前記第2制御部にて、該検出信号に基づいて前記複数個の車輪それぞれに備えられた前記タイヤの空気圧を求めるようになっていることを特徴とするタイヤ空気圧検出装置。
【請求項6】
左右前輪(6a、6b)それぞれと左右後輪(6c、6d)それぞれに取り付けられ、車体(7)側に備えられたトリガ機(5)から前記左右前輪に対するコマンドと前記左右後輪に対するコマンドとが異なっている前後位置を示すコマンドを含めた前記トリガ信号が出力されると、該トリガ信号を受信する受信部(25)と、前記受信部で受信された前記トリガ信号に基づいて取付車輪を特定する車輪位置検出を行い、該取付車輪を示すデータをフレームに格納する制御部(22)と、前記制御部にて処理された前記フレームを送信する送信部(23)とを有して構成された車輪位置検出機能を有する送受信機であって、
前記制御部は、
前記トリガ信号を受信して該トリガ信号の受信強度を検出するトリガ信号強度測定部(130)と、
前記トリガ信号に含まれる前記コマンドに基づいて、取付車輪が前輪であるか後輪であるかを決定する前後位置決定部(105〜120)と、
前記トリガ信号の受信強度に基づいて、前記取付車輪が左車輪であるか右車輪であるかを決定する左右位置決定部(135〜150)と、
前記前後位置決定部および前記左右位置決定部の決定結果に基づき、前記取付車輪が左右前輪と左右後輪のいずれであるかを特定する車輪位置特定部(160)と、を含んでいることを特徴とする送受信機。
【請求項7】
前記左右位置決定部は、前記トリガ信号の受信強度が第1しきい値(Va)以下であれば、前記左右輪のうち前記第1トリガ機もしくは前記第2トリガ機から遠い側の車輪であると決定し、前記トリガ信号の受信強度が第1しきい値よりも大きな第2しきい値(Vb)以上であれば、前記左右輪のうち前記第1トリガ機もしくは前記第2トリガ機から近い側の車輪であると決定することを特徴とする請求項6に記載の送受信機。
【請求項8】
2つの右車輪(6a、6c)それぞれと2つの左車輪(6b、6d)それぞれに取り付けられ、車体(7)側に備えられたトリガ機(5)から前記2つの右車輪に対するコマンドと前記2つの左車輪に対するコマンドとが異なっている前後位置を示すコマンドを含めた前記トリガ信号が出力されると、該トリガ信号を受信する受信部(25)と、前記受信部で受信された前記トリガ信号に基づいて取付車輪を特定する車輪位置検出を行い、該取付車輪を示すデータをフレームに格納する制御部(22)と、前記制御部にて処理された前記フレームを送信する送信部(23)とを有して構成された車輪位置検出機能を有する送受信機であって、
前記制御部は、
前記トリガ信号を受信して該トリガ信号の受信強度を検出するトリガ信号強度測定部(230)と、
前記トリガ信号に含まれる前記コマンドに基づいて、取付車輪が右車輪であるか左車輪であるかを決定する左右位置決定部(205〜220)と、
前記トリガ信号の受信強度に基づいて、前記取付車輪が前輪であるか後輪であるかを決定する前後位置決定部(235〜250)と、
前記左右位置決定部および前記前後位置決定部の決定結果に基づき、前記取付車輪が左右前輪と左右後輪のいずれであるかを特定する車輪位置特定部(260)と、を含んでいることを特徴とする送受信機。
【請求項9】
前記前後位置決定部は、前記トリガ信号の受信強度が第1しきい値(Va)以下であれば、前記前後輪のうち前記第1トリガ機もしくは前記第2トリガ機から遠い側の車輪であると決定し、前記トリガ信号の受信強度が第1しきい値よりも大きな第2しきい値(Vb)以上であれば、前記前後輪のうち前記第1トリガ機もしくは前記第2トリガ機から近い側の車輪であると決定することを特徴とする請求項8に記載の送受信機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−149832(P2008−149832A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−338546(P2006−338546)
【出願日】平成18年12月15日(2006.12.15)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】