説明

車輪位置検出装置およびそれを備えたタイヤ空気圧検出装置

【課題】トリガ信号を受信させたい対象輪ではない非対象輪に取り付けられた送受信機までトリガ信号が受信されないようにする。
【解決手段】第1トリガ機5aから左後輪6dに取り付けられた送受信機2までの距離であって、左後輪6dの回転に伴って第1トリガ機5aから送受信機2までの距離が変化したときに最も短くなるときの距離をL1、第1トリガ機5aから右前輪6aに取り付けられた送受信機2までの距離であって、右前輪6aの回転に伴って第1トリガ機5aから送受信機2までの距離が変化したときに最も長くなるときの距離をL2とする。この場合において、距離L1の距離L2に対する比(L1/L2)を1.2以上とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車輪が車両のどの位置に取り付けられているかを検出する車輪位置検出装置に関するもので、特に、タイヤが取り付けられた車輪に圧力センサが備えられた送受信機を直接取り付け、その圧力センサからの検出信号を送受信機から送信し、車体側に取り付けられた受信機によって受信することで、タイヤ空気圧の検出を行うダイレクト式のタイヤ空気圧検出装置に適用して好適である。
【背景技術】
【0002】
従来より、タイヤ空気圧検出装置の1つとして、ダイレクト式のものがある。このタイプのタイヤ空気圧検出装置では、タイヤが取り付けられた車輪側に、圧力センサ等のセンサが備えられた送受信機が直接取り付けられている。また、車体側には、アンテナおよび受信機が備えられており、センサからの検出信号が送受信機から送信されると、アンテナを介して受信機にその検出信号が受信され、タイヤ空気圧の検出が行われるようになっている。
【0003】
このようなダイレクト式のタイヤ空気圧検出装置では、送信されてきたデータが自車両のものであるかどうか、および送受信機がどの車輪に取り付けられたものかを判別できるように、送受信機が送信するデータ中に、自車両か他車両かを判別するためと送受信機が取り付けられた車輪を判別するためのID情報を付加している。
【0004】
そして、受信機側にそのID情報を予め登録しておき、送受信機から送られたデータを受信したときに、受け取ったID情報からそのデータがどの車輪のものかを判別するようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特許第3212311号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、従来のタイヤ空気圧検出装置では、送受信機から送信されるデータ中に各車輪それぞれに決められたID情報を含ませることにより、送受信機が取り付けられた車輪の判別が行えるようになっている。このため、各車輪ごとに付加されたID情報が無いと、どの車輪に対応する送受信機からのデータか判別することができない。すなわち、ID情報を用いないと、各送受信機が車両のどの位置についているものなのかを検出することができない。
【0006】
また上述の手段によると、ユーザー自らがタイヤローテーションなどのように車輪の位置を変えた場合には、ユーザがローテーションさせた車輪のID情報を読み取り、それまでに登録してあったID情報を再度登録し直さなければ、タイヤ空気圧検出装置側で車輪の位置変更に対応できない。
【0007】
このため、ID情報(車輪位置情報)が無くても各送受信機が取り付けられた車輪、つまり取り付け位置を検出できるようにすることが望まれる。もしくは、車輪の位置変更によってID情報を登録し直す必要がある場合には、それが自動的に検出できるようにすることが望まれる。
【0008】
これに対して、本発明者らは、トリガ機から一定強度のトリガ信号を送信させると共に、各車輪に取り付けた送受信機にてトリガ信号の受信強度を検出させ、トリガ信号の信号強度がトリガ機からの距離が遠くなるに従って減衰することを利用して、各送受信機で受信したトリガ信号の受信強度に基づいて、各送受信機がどの車輪に取り付けられたものであるかという車輪位置検出が行えるようにすることを見出した(例えば、特願2005−197497参照)。
【0009】
そして、このような車輪位置検出をより好適に行えるように、両前輪に取り付けられた各送受信機でのみ受信されるトリガ信号を出力する前輪用のトリガ機と、両後輪に取り付けられた各送受信機でのみ受信されるトリガ信号を出力する後輪用のトリガ機とを備えることを提案している。
【0010】
しかしながら、トリガ信号の強度の減衰は、車両環境の影響によって変わり、例えば路面に鉄筋が入っている高架道路や立体駐車場では減衰が少なくなり、送受信機にてトリガ信号を受信できる距離が長くなることがある。この場合、トリガ機から送受信機までの距離が想定した距離よりも長くても、トリガ信号が受信できることになる。これにより、トリガ信号を受信させたい対象輪ではない非対象輪に取り付けられた送受信機までトリガ信号が受信され、車輪位置検出が精度良く行えなくなるという問題がある。
【0011】
なお、本発明者らは、前輪用のトリガ機と後輪用のトリガ機とを車両の中心線に対して同サイドに偏らせて配置(オフセット配置)することで、アルゴリズム上でトリガ信号を受信した送受信機が前輪に取り付けられたものか、後輪に取り付けられたものかを判別することを提案しているが、その分、アルゴリズムが複雑化するため、非対象輪に取り付けられた送受信機までトリガ信号が受信されないようにすることが求められる。
【0012】
本発明は上記点に鑑みて、各送受信機がどの車輪に取り付けられているかを、ユーザーによるID情報の読み取りなどを行わなくても検出できる車輪位置検出装置とし、かつ、トリガ信号の受信対象とならない非対象輪に取り付けられた送受信機でトリガ信号が受信されないようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するため、本発明では、トリガ機(5)は、後輪2輪よりも前輪2輪側に配置されると共に前輪2輪を構成する右前輪(6a)と左前輪(6b)から異なる距離に配置された第1トリガ機(5a)と、前輪2輪よりも後輪2輪側に配置されると共に後輪2輪を構成する右後輪(6c)と左後輪(6d)から異なる距離に配置された第2トリガ機(5b)とを有して構成され、後輪2輪のうち第1トリガ機から近い側の車輪に取り付けられた送受信機が最も第1トリガ機に近づいたときの距離をL1とし、前輪2輪のうち第1トリガ機から遠い側の車輪に取り付けられた送受信機が最も第1トリガ機から離れたときの距離をL2として、距離L1の距離L2に対する比(L1/L2)が1.2以上であり、前輪2輪のうち第2トリガ機から近い側の車輪に取り付けられた送受信機が最も第2トリガ機に近づいたときの距離をL3とし、後輪2輪のうち第2トリガ機から遠い側の車輪に取り付けられた送受信機が最も第2トリガ機から離れたときの距離をL4として、距離L3の距離L4に対する比(L3/L4)が1.2以上であることを第1の特徴としている。
【0014】
このように、距離L1の距離L2に対する比(L1/L2)を1.2以上にすると共に、距離L3の距離L4に対する比(L3/L4)を1.2以上にしている。これにより、第1トリガ機が出力したトリガ信号は、両前輪に取り付けられた送受信機でしか受信されず、第2トリガ機が出力したトリガ信号は、両後輪に取り付けられた送受信機でしか受信されないようにできる。これにより、各送受信機がどの車輪に取り付けられているかを、ユーザーによるID情報の読み取りなどを行わなくても検出できる車輪位置検出装置とし、かつ、トリガ信号を受信させたい対象輪ではない非対象輪に取り付けられた送受信機までトリガ信号が受信されることを防止でき、車輪位置検出が精度良く行えなくなることを防止できる。
【0015】
この場合において、第1トリガ機を前輪2輪よりも車両前方に配置し、第2トリガ機を後輪2輪よりも車両後方に配置すれば、距離L1の距離L2に対する比(L1/L2)や距離L3の距離L4に対する比(L3/L4)をより大きくすることが可能となる。例えば、第1トリガ機を前輪2輪のうち近い側の車輪のタイヤハウスの前方に配置し、第2トリガ機を後輪2輪のうち遠い側の車輪のタイヤハウスの後方に配置すれば良い。
【0016】
さらに、この場合、後輪2輪のうち第2トリガ機が近づけられる側の車輪と、前輪2輪のうち第1トリガ機が近づけられる側の車輪とが対角の関係に配置されるようにすることができる。このように車両の左右両サイドに1つずつトリガ機を配置した形態とすれば、各トリガ機やそれに繋がるワイヤーハーネスの重量を車両の左右でバランスさせられるため、車両の左右の重量バランスを良くすることが可能になる。
【0017】
また、トリガ機は、右車輪2輪よりも左車輪2輪側に配置されると共に左車輪2輪を構成する左前輪(6b)と左後輪(6d)から異なる距離に配置された第1トリガ機(5a)と、左車輪2輪よりも右車輪2輪側に配置されると共に右車輪2輪を構成する右前輪(6a)と右後輪(6c)から異なる距離に配置された第2トリガ機(5b)とを有して構成され、右車輪2輪のうち第1トリガ機から近い側の車輪に取り付けられた送受信機が最も第1トリガ機に近づいたときの距離をL1とし、左車輪2輪のうち第1トリガ機から遠い側の車輪に取り付けられた送受信機が最も第1トリガ機から離れたときの距離L2として、距離L1の距離L2に対する比(L1/L2)が1.2以上であり、左車輪2輪のうち第2トリガ機から近い側の車輪に取り付けられた送受信機が最も第2トリガ機に近づいたときの距離をL3とし、右車輪2輪のうち第2トリガ機から遠い側の車輪に取り付けられた送受信機が最も第2トリガ機から離れたときの距離をL4として、距離L3の距離L4に対する比(L3/L4)が1.2以上であることを第2の特徴としている。
【0018】
このように、距離L1の距離L2に対する比(L1/L2)を1.2以上にすると共に、距離L3の距離L4に対する比(L3/L4)を1.2以上にしている。これにより、第1トリガ機が出力したトリガ信号は、両左車輪に取り付けられた送受信機でしか受信されず、第2トリガ機が出力したトリガ信号は、両右車輪に取り付けられた送受信機でしか受信されないようにできる。これにより、各送受信機がどの車輪に取り付けられているかを、ユーザーによるID情報の読み取りなどを行わなくても検出できる車輪位置検出装置とし、かつ、トリガ信号を受信させたい対象輪ではない非対象輪に取り付けられた送受信機までトリガ信号が受信されることを防止でき、車輪位置検出が精度良く行えなくなることを防止できる。
【0019】
以上の説明では、本発明を車輪位置検出装置として示したが、この車輪位置検出装置を
タイヤ空気圧検出装置に組み込むことも可能である。
【0020】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。
【0022】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態について図を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態における車輪位置検出装置が適用されたタイヤ空気圧検出装置の全体構成を示すブロック図である。図1の紙面上方向が車両1の前方、紙面下方向が車両1の後方に一致する。この図を参照して、本実施形態におけるタイヤ空気圧検出装置について説明する。
【0023】
図1に示されるように、タイヤ空気圧検出装置は、車両1に取り付けられるもので、送受信機2、受信機3、表示器4およびトリガ機5を備えて構成されている。本実施形態では、送受信機2、受信機3およびトリガ機5が、本発明の車輪位置検出装置に相当する。
【0024】
送受信機2は、車両1における4つの車輪6a〜6d(スペアタイヤを含めると5つ)それぞれに取り付けられるもので、各車輪6a〜6dに取り付けられたタイヤの空気圧を検出すると共に、その検出結果を示す検出信号のデータを送信するフレーム内に格納して送信するものである。また、受信機3は、車両1における車体7側に取り付けられるもので、送受信機2から送信されるフレームを受信すると共に、その中に格納された検出信号に基づいて各種処理や演算等を行うことでタイヤ空気圧を求めるものである。図2(a)、(b)に、これら送受信機2と受信機3のブロック構成を示す。
【0025】
図2(a)に示されるように、送受信機2は、センシング部21、制御部22、RF送信部23、電池24、トリガ信号受信部25、送信アンテナ26および受信アンテナ27を備えて構成されている。
【0026】
センシング部21は、例えばダイアフラム式の圧力センサや温度センサを備えた構成とされ、タイヤ空気圧に応じた検出信号や温度に応じた検出信号を出力するようになっている。
【0027】
制御部(第1制御部)22は、CPU、ROM、RAM、I/Oなどを備えた周知のマイクロコンピュータによって構成され、ROMなどに記憶されたプログラムに従って、所定の処理を実行する。
【0028】
具体的には、制御部22は、センシング部21からのタイヤ空気圧に関する検出信号を受け取り、それを信号処理すると共に必要に応じて加工し、検出結果を示すデータ(以下、タイヤ空気圧に関するデータという)として各送受信機2のID情報と共に送信するフレーム内に格納し、その後、フレームをRF送信部23に送るものである。このRF送信部23へ信号を送る処理は、上記プログラムに従って所定の周期毎に実行される。
【0029】
この制御部22は、イグニッションスイッチがオフの際には通常時はSleep状態になっているが、トリガ信号を受け取り、トリガ信号に含まれる起動コマンドが入力されると、Wake−up状態に切り替わる。また、制御部22には、トリガ信号強度測定部22aが備えられており、受信アンテナ27およびトリガ信号受信部25を通じてトリガ機5からのトリガ信号を受け取り、Wake−up状態になると、トリガ信号強度測定部22aにてトリガ信号の受信強度を測定する。そして、制御部22は、必要に応じて受信強度データを加工し、その受信強度データをタイヤ空気圧に関するデータが格納されたフレーム、もしくは、それとは別のフレームに格納した後、フレームをRF送信部23に送る。これらトリガ信号の受信強度の測定や受信強度データをRF送信部23へ送る処理も、上記プログラムに従って行われる。
【0030】
また、制御部22は、フレームをRF送信部23に送るタイミングを制御する。これは、各送受信機2からの送信データ同士でのバッティングを防ぐためである。例えば、トリガ信号を受け取ってから何秒後にフレームを送るかという送信タイミングが、予め各送受信機2毎に異なるもので設定されている。このため、各車輪6a〜6dの送受信機2から、それぞれ異なったタイミングでフレームが送信されるようになっている。
【0031】
ただし、各車輪6a〜6dの送受信機2から異なるタイミングでフレームが送信されるようにするために、単に、各送受信機2の制御部22に異なった送信タイミングを記憶させただけでは、各送受信機2の記憶内容が異なったものとなってしまう。このため、受信強度に応じてフレームの送信タイミングがずらされるように、例えば、受信強度に応じて送信タイミングが選択できるマップ、もしくは、送信強度を変数として送信タイミングを求める関数式を制御部22に記憶させておき、受信強度の相違により必然的に各送受信機2の送信タイミングが異なるようにすれば、すべての送受信機2の制御部22のプログラムを共通にすることが可能となる。
【0032】
また、送信タイミングが毎回ランダムに変更されるように、制御部22に記憶させるプログラムを設定しても良い。このように、毎回ランダムに変更されるようにすれば、高い確率で各送受信機2の送信タイミングがすべて異なったものになるようにすることが可能である。
【0033】
RF送信部23は、送信アンテナ26を通じて、制御部22から送られてきたフレームを受信機3に向けてRF帯、例えば315MHzの電波で送信する出力部としての機能を果たすものである。
【0034】
トリガ信号受信部25は、受信アンテナ27を通じて、トリガ信号を受け取り、制御部22に送る入力部としての機能を果たすものである。
【0035】
電池24は、制御部22などに対して電力供給を行うものであり、この電池24からの電力供給を受けて、センシング部21でのタイヤ空気圧に関するデータの収集や制御部22での各種演算などが実行される。
【0036】
このように構成される送受信機2は、例えば、各車輪6a〜6dのホイールにおけるエア注入バルブに取り付けられ、センシング部21がタイヤの内側に露出するように配置される。これにより、該当するタイヤ空気圧を検出し、各送受信機2に備えられた送信アンテナ26を通じて、所定周期毎(例えば、1分毎)にフレームを送信するようになっている。
【0037】
また、図2(b)に示されるように、受信機3は、アンテナ31とRF受信部32および制御部33を備えた構成となっている。
【0038】
アンテナ31は、各送受信機2から送られてくるフレームを総括的に受け取る1本の共通アンテナとなっており、車体7に固定されている。
【0039】
RF受信部32は、各送受信機2から送信されたフレームがアンテナ31で受信されると、それを入力して制御部33に送る入力部としての機能を果たすものである。
【0040】
制御部33は、CPU、ROM、RAM、I/Oなどを備えた周知のマイクロコンピュータによって構成され、ROMなどに記憶されたプログラムに従って、所定の処理を実行する。
【0041】
具体的には、制御部33は、トリガ機5に対してトリガ信号を出力させることを指令するトリガ指令信号を出力すると共に、RF受信部32が受信したフレームを受け取り、フレームに格納された各送受信機2でのトリガ信号の受信強度データに基づいて、送られてきたフレームが4つの車輪6a〜6dのいずれに取り付けられた送受信機2のものかを特定する車輪位置検出を行う。
【0042】
さらに、制御部33では、受け取ったフレームに格納された検出結果を示すデータに基づいて各種信号処理および演算等を行うことによりタイヤ空気圧を求めると共に、求めたタイヤ空気圧に応じた電気信号を表示器4に出力する。例えば、制御部33は、求めたタイヤ空気圧を所定のしきい値Thと比較し、タイヤ空気圧が低下したことを検知した場合には、その旨の信号を表示器4に出力する。これにより、4つの車輪6a〜6dのいずれかのタイヤ空気圧が低下したことが表示器4に伝えられる。
【0043】
表示器4は、図1に示されるように、ドライバが視認可能な場所に配置され、例えば車両1におけるインストルメントパネル内に設置される警報ランプによって構成される。この表示器4は、例えば受信機3における制御部33からタイヤ空気圧が低下した旨を示す信号が送られてくると、その旨の表示を行うことでドライバにタイヤ空気圧の低下を報知する。
【0044】
トリガ機5は、受信機3の制御部33から送られてくるトリガ指令信号が入力されると、例えば、125〜135kHzのLF帯であって、所定の信号強度を有するトリガ信号を出力するものである。トリガ信号としては、例えば、図3(a)〜(c)に示す形態のものを使用することができる。
【0045】
図3(a)は、トリガ信号をコマンド部が格納されたフレームを複数個並べる形態を示している。各コマンド部には、起動コマンドと実行コマンドが含まれる。起動コマンドは、送受信機2内の制御部22をSleep状態からWake−up状態に切り替えるためのコマンドとして予め取り決められる。実行コマンドは、起動した制御部22に対して、受け取ったトリガ信号の受信強度を測定させると共に、必要に応じて受信強度データを加工させ、その受信強度データをタイヤ空気圧に関するデータが格納されたフレーム、もしくは、それとは別のフレームに格納させた後、フレームをRF送信部23に送らせるという動作指示を行う。例えば、このようなトリガ信号は、125kHzの電磁波とされ、送受信機2が1番目のコマンド部を格納したフレームを受け取ると、続く2番目のコマンド部を格納したフレームの受信強度を測定することで、トリガ信号の受信強度を測定することができる。なお、ここではコマンド部を格納したフレームを2つ並べたトリガ信号を例に挙げたが、フレームの数は3個以上であっても構わない。また、各フレーム間は図3(a)に示すように断続していても良いが、連続していても良い。
【0046】
図3(b)は、トリガ信号をコマンド部およびダミー部が格納されたフレームとする形態を示している。コマンド部には、上記と同様に、起動コマンドと実行コマンドが含まれる。ダミー部は、受信強度測定に用いられるもので、変調されている信号でも変調されていない単なるキャリア信号でも良い。例えば、このようなトリガ信号は、125kHzの電磁波とされ、送受信機2がコマンド部を受け取ると、続くダミー部の受信強度を測定することで、トリガ信号の受信強度を測定することができる。
【0047】
図3(c)は、トリガ信号をパルス列からなる信号およびダミー部が格納されたフレームとする形態を示している。パルス列は、一定時間ta内に予め取り決めておいた数(例えば4個)のパルス信号CWを含むものである。このパルス列が送受信機2をWake−up状態にさせるための起動コマンドとして働く。各パルス信号CWは、AM変調された信号であっても、無変調の信号であっても良い。ダミー部は、上記と同様、受信強度測定に用いられるものである。例えば、このようなトリガ信号は、125kHzの電磁波とされ、送受信機2が一定時間ta内に予め取り決めておいた数(4個)のパルス信号CWを受け取ると、続くダミー部の受信強度を測定することで、トリガ信号の受信強度を測定することができる。
【0048】
なお、ここで示したトリガ信号は一例であり、トリガ信号が他の形態とされていても良い。例えば、予め送受信機2をWake−up状態にさせるためのトリガ信号と受信強度測定用のトリガ信号とにフレームを分けて行うことも可能である。この場合、Wake−up状態にさせるためのトリガ信号を受信強度測定に使用する必要が無いため、信号強度が受信強度測定用のトリガ信号と異なっていても良い。また、送受信機2が常にWake−up状態とされるものであれば、上述した図3(a)、(b)に示した形態から起動コマンドを取り除いた部分のみをトリガ信号として用いることもできる。
【0049】
トリガ機5は、前輪側に配置された第1トリガ機5aと、後輪側に配置された第2トリガ機5bの2台により構成されている。
【0050】
各トリガ機5a、5bは、対応する各車輪に対して異なる距離となるように、車両1を左右対称に分断する中心線に対してオフセットされて配置される。本実施形態では、第1トリガ機5aは左前輪6bの近傍に配置され、第2トリガ機5bは左後輪6dの近傍に配置されており、両者は共に中心線よりも左側に配置されている。このため、第1トリガ機5aから右前輪6aまでの距離の方が、第1トリガ機5aから左前輪6bまでの距離よりも長く、第2トリガ機5bから右後輪6cまでの距離の方が、第2トリガ機5bから左後輪6dまでの距離よりも長くなっている。
【0051】
さらに、本実施形態では、第1トリガ機5aから送信されたトリガ信号が左右前輪6a、6bに取り付けられた送受信機2に届き、第2トリガ機5bから送信されたトリガ信号が左右後輪6c、6dに取り付けられた送受信機2に届くようにしている。これについて、図4に示す第1トリガ機5aと右前輪6aおよび左後輪6dに取り付けられた各送受信機2までの距離の関係を示した模式図を参照して説明する。
【0052】
図4に示すように、第1トリガ機5aから左後輪6dに取り付けられた送受信機2までの距離であって、左後輪6dの回転に伴って第1トリガ機5aから送受信機2までの距離が変化したときに最も短くなるときの距離をL1とする。また、第1トリガ機5aから右前輪6aに取り付けられた送受信機2までの距離であって、右前輪6aの回転に伴って第1トリガ機5aから送受信機2までの距離が変化したときに最も長くなるときの距離をL2とする。この場合において、本実施形態では、距離L1の距離L2に対する比(L1/L2)が1.2以上となるようにしている。
【0053】
同様に、第2トリガ機5bに関しては、第2トリガ機5bから左前輪6bに取り付けられた送受信機2までの距離であって、左前輪6bの回転に伴って第2トリガ機5bから送受信機2までの距離が変化したときに最も短くなるときの距離をL3とする。また、第2トリガ機5bから右後輪6cに取り付けられた送受信機2までの距離であって、右後輪6cの回転に伴って第2トリガ機5bから送受信機2までの距離が変化したときに最も長くなるときの距離をL4とする。この場合において、本実施形態では、距離L3の距離L4に対する比(L3/L4)が1.2以上となるようにしている。
【0054】
図5は、距離L1の距離L2に対する比(L1/L2)に対するトリガ信号の受信強度差を示した図である。この図は、車両環境等の影響により、第1トリガ機5aからトリガ信号を発生させたときに、右前輪6aに取り付けられた送受信機2で最もトリガ信号が受信し難く、かつ、左後輪6dに取り付けられた送受信機2で最もトリガ信号が受信し易くなるような環境下で、トリガ信号の受信強度差を測定している。
【0055】
第1トリガ機5aから右前輪6aや左後輪6dに取り付けられた各送受信機2までの距離が仮に等しい場合(L1/L2=1)、各送受信機2でのトリガ信号の受信強度は車体の金属等の影響に基づく差のみ生じる。すなわち、トリガ信号の受信強度に距離による差が生じないため、車体の鉄板などの影響で差が生じる。この車体の鉄板などの影響は通常は、車種固有の値となる。
【0056】
このようなトリガ信号の受信強度の差は、距離L1の距離L2に対する比(L1/L2)が大きくなる程、大きくなる。ここで、送受信機2がLF帯のトリガ信号を受信するに当たり、送受信機2の感度バラツキ等を考慮すると、第1トリガ機5aからトリガ信号を出力したときに、右前輪6aに取り付けられた送受信機2ではトリガ信号を受信でき、かつ、左後輪6dに取り付けられた各送受信機2ではトリガ信号を受信できないようにするには、各送受信機2でのトリガ信号の受信強度差として6dB以上が必要になる。これを考慮すると、本実施形態で示すように、距離L1の距離L2に対する比(L1/L2)が1.2以上となれば良い。
【0057】
この関係は、距離L3および距離L4に関しても言える。このため、距離L3の距離L4に対する比(L3/L4)が1.2以上となるようにすれば、第2トリガ機5bからトリガ信号を出力したときに、右後輪6cに取り付けられた送受信機2ではトリガ信号を受信でき、かつ、左前輪6bに取り付けられた各送受信機2ではトリガ信号を受信できないようにすることができる。
【0058】
なお、トリガ機5は、周囲すべてが金属で覆われていない場所であればどこに搭載されていても構わないが、できるだけ金属で覆われないような場所、かつ、走行中に石等が当らないような例えばライナー内や車室内などに搭載されているのが好ましい。
【0059】
以上のようにして、本実施形態における車輪位置検出装置が適用されたタイヤ空気圧検出装置が構成されている。
【0060】
続いて、本実施形態のタイヤ空気圧検出装置の作動について説明する。タイヤ空気圧検出装置は、まず、図示しないイグニッションスイッチがオフからオンに切り替わってから所定時間後に車輪位置検出を行う。この車輪位置検出は、受信機3の制御部33が車輪位置検出処理を実行することにより行われる。
【0061】
図6は、受信機3の制御部33が実行する車輪位置検出処理のフローチャートである。この車輪位置検出処理は、図示しないイグニッションスイッチがオフからオンに切り替わり、受信機3の制御部33に対して電源投入が行われたときに実行される。
【0062】
ステップ100では、電源投入から所定時間経過後に、第1トリガ機5aに向けてトリガ指令信号を出力する。このトリガ指令信号が第1トリガ機5aに入力されると、第1トリガ機5aから左右前輪6a、6bに取り付けられた送受信機2に向けて、所定の信号強度を有するトリガ信号が出力される。
【0063】
このトリガ信号が左右前輪6a、6bに取り付けられた各送受信機2の受信アンテナ27およびトリガ信号受信部25を通じて、制御部22に入力されると、制御部22がWake−up状態となり、トリガ信号強度測定部22aにて、受け取ったトリガ信号の受信強度を測定する。
【0064】
また、各送受信機2は、トリガ信号の受信強度を求めると、それを各送受信機2の区別のために付けられるID情報と共に送信するフレームに格納し、そのフレームを受信機3に向けて送信する。このとき、各送受信機2の送信タイミングは、それぞれ異なったものとされていることから、受信機3により各送受信機2から送られてくるフレームを混信することなく確実に受信できる。
【0065】
続いて、ステップ110では、第1トリガ機5aから出力されたトリガ信号に対して、2個の送受信機2が応答したか否かを判定する。ここでいう2個の送受信機2とは、両前輪6a、6bに取り付けられたもののことを意味する。すなわち、上述したように、第1トリガ機5aから左後輪6dに取り付けられた送受信機2までの距離L1と右前輪6aに取り付けられた送受信機2までの距離L2との比(L1/L2)が1.2以上とされているため、第1トリガ機5aが出力したトリガ信号は、両前輪6a、6bに取り付けられた送受信機2でしか受信されない。
【0066】
ただし、妨害電波を放射している施設・設備近くに駐車しているなど、車両の周辺環境からトリガ信号が影響を受ける場合には送受信機2でトリガ信号を受信できなくなる可能性がある。そして、両前輪6a、6bに取り付けられた2個の送受信機2のうち少なくとも一方がトリガ信号を受信できなくなると、2個のフレームを受信できなくなり、2個の送受信機2からの応答が有ると判定できなくなる。この場合には、ステップ110で否定判定され、上記各処理をリトライすべく、ステップ120に進むと共に、制御部33に内蔵された図示しないカウンタのカウント値を1つインクリメントしてリトライ回数を記憶しておく。
【0067】
そして、ステップ120において、リトライ回数が5回以下であるか否かを判定し、5回以下であればステップ100に戻ってリトライし、5回を超えていればリトライせずに、処理を止める。なお、この場合には、送受信機2の故障や電池切れなどが発生していると考えられるため、表示器4を通じてその旨を伝えるようにしても良い。
【0068】
一方、ステップ110で肯定判定されると、ステップ130に進み、ステップ130〜150の各処理では、ステップ130において第2トリガ機5bに向けてトリガ指令信号を出力することにより、後輪6c、6d側について上記ステップ100〜120に示した各処理と同様のことを実行する。これら各処理については前輪6a、6b側に対して実行したものと全く同じことであるため、ここでは説明を省略するが、これら各処理を実行することにより、両後輪6c、6dに取り付けられた送受信機2から正常にトリガ信号の受信強度データが送られてきているか否かを確認することができる。
【0069】
続いて、ステップ160では、受信したフレームに格納された受信強度データに基づいて輪位置を割り付ける。具体的には、ステップ110において受信した2個のフレームから受信強度データおよびID情報を読み出し、受信強度の高い順にID情報を並べ、受信強度が高い方のID情報を左前輪6bに取り付けられた送受信機2のもの、受信強度が低い方のID情報を右前輪6aに取り付けられた送受信機2のものであると判別する。そして、各フレームに格納されたID情報を送受信機2が取り付けられた右前輪6a、左前輪6bと対応付けて、制御部33内のメモリに記憶(登録)する。
【0070】
また、同様に、ステップ140において、受信した2個のフレームから受信強度データおよびID情報を読み出し、受信強度の高い順にID情報を並べ、受信強度が高い方のID情報を左後輪6dに取り付けられた送受信機2のもの、受信強度が低い方のID情報を右後輪6cに取り付けられた送受信機2のものであると判別する。そして、各フレームに格納されたID情報を送受信機2が取り付けられた右後輪6c、左後輪6dと対応付けて、制御部33内のメモリに記憶(登録)する。このようにして、車輪位置検出処理が終了する。
【0071】
これにより、受信機3は、後述するタイヤ空気圧検出を行う場合に、タイヤ空気圧に関するデータが格納されたフレームが送信されてくると、そのフレーム内に格納されたID情報からフレームを送った送受信機2が4つの車輪6a〜6dのいずれに取り付けられたものであるかを判別し、各車輪6a〜6dのタイヤ空気圧を求めることが可能となる。したがって、各送受信機2が車輪6a〜6dのいずれに取り付けられているかについて、ユーザによるID情報の読み取りなどを行わなくても検出できる。
【0072】
そして、タイヤ空気圧検出装置は、このようにして車輪位置検出を行った後、タイヤ空気圧検出を行う。
【0073】
具体的には、タイヤ空気圧検出装置は定期送信モードとなり、上述したように、各送受信機2では、制御部22に、センシング部21からのタイヤ空気圧やタイヤ内の温度を示す検出信号が入力される。そして、この検出信号が必要に応じて信号処理されることでタイヤ空気圧に関するデータとされ、各送受信機2のID情報と共に送信するフレームに格納されたのち、所定周期毎にRF送信部23を通じて受信機3側に送信される。
【0074】
一方、送受信機2からフレームが送信されると、それが受信機3のアンテナ31にて受信され、受信部32を通じて制御部33に入力される。そして、制御部33において、受信したフレームからタイヤ空気圧を示すデータおよびタイヤ内の温度を示すデータが抽出され、温度を示すデータに基づいて必要に応じて温度補正がなされ、タイヤ空気圧が求められる。このとき、フレーム内にID情報が格納されているため、車輪位置検出の際に記憶されたID情報と照合され、そのフレームが4つの車輪6a〜6dのいずれに取り付けられた送受信機2から送られてきたものかが判別される。
【0075】
そして、求められたタイヤ空気圧と前回求められたタイヤ空気圧との差が所定のしきい値を超えていないようなタイヤ空気圧の変化が少ない場合には、タイヤ空気圧を検出する周期がそのまま(例えば1分間毎)とされ、所定のしきい値を超えてタイヤ空気圧の変化が大きい場合には、その周期が早められる(例えば5秒間毎)。
【0076】
この後、求められたタイヤ空気圧が所定のしきい値を下回っていると判定されれば、制御部33から表示器4にその旨を示す信号が出力され、タイヤ空気圧が低下したのが4つの車輪6a〜6dのいずれであるかが特定できる形態で、表示器4に表示される。これにより、ドライバに車輪6a〜6dのいずれのタイヤ空気圧が低下したかを知らせることが可能となる。
【0077】
最後に、イグニッションスイッチがオンからオフに切り替わると、再び受信機3の制御部33からトリガ機5にトリガ指令信号が出力され、トリガ機5からトリガ信号が出力される。このトリガ信号が受信アンテナ27およびトリガ信号受信部25を通じて制御部22に入力されると、送受信機2がSleep状態に切り替わる。これにより、タイヤ空気圧検出装置のタイヤ空気圧検出が終了になる。
【0078】
以上説明した本実施形態の車輪位置検出装置を備えたタイヤ空気圧検出装置によれば、距離L1の距離L2に対する比(L1/L2)を1.2以上にすると共に、距離L3の距離L4に対する比(L3/L4)を1.2以上にしている。これにより、第1トリガ機5aが出力したトリガ信号は、両前輪6a、6bに取り付けられた送受信機2でしか受信されず、第2トリガ機5bが出力したトリガ信号は、両後輪6c、6dに取り付けられた送受信機2でしか受信されないようにできる。
【0079】
これにより、各送受信機2が車輪6a〜6dのいずれに取り付けられているかを、ユーザーによるID情報の読み取りなどを行わなくても検出できる車輪位置検出装置とし、かつ、トリガ信号を受信させたい対象輪ではない非対象輪に取り付けられた送受信機2までトリガ信号が受信されることを防止でき、車輪位置検出が精度良く行えなくなることを防止できる。
【0080】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態について説明する。上記実施形態では、第1トリガ機5aから左後輪6dに取り付けられた送受信機2までの距離L1や右前輪6aに取り付けられた送受信機2までの距離L2、および、第2トリガ機5bから左前輪6bに取り付けられた送受信機2までの距離L3や左後輪6dに取り付けられた送受信機2までの距離L2について規定した。これに対し、本実施形態では、さらに、第1、第2トリガ機5a、5bを最適位置に配置する場合について説明する。
【0081】
図7は、第1、第2トリガ機5a、5bの配置位置を示した模式図である。この図に示されるように、第1トリガ機5aを両前輪6a、6bよりも車両1の前方に配置し、第2トリガ機5bを両後輪6c、6dよりも車両2の後方に配置している。具体的には、第1トリガ機5aを左前輪6bのホイールハウスの前方に配置し、第2トリガ機5bを左後輪6dのホイールハウスの後方に配置している。
【0082】
このように第1、第2トリガ機5a、5bの配置位置を設定すれば、距離L1の距離L2に対する比(L1/L2)を大きくし易く、また、距離L3の距離L4に対する比(L3/L4)を大きくし易くすることが可能となる。これにより、より確実に第1トリガ機5aが出力したトリガ信号は、両前輪6a、6bに取り付けられた送受信機2でしか受信されず、第2トリガ機5bが出力したトリガ信号は、両後輪6c、6dに取り付けられた送受信機2でしか受信されないようにできる。
【0083】
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態について説明する。本実施形態も、さらに、第1、第2トリガ機5a、5bの配置場所を第1実施形態と変更するものである。
【0084】
図8は、第1、第2トリガ機5a、5bの配置位置を示した模式図である。この図に示されるように、第1トリガ機5aに関しては、第1実施形態と同様に、右前輪6aよりも左前輪6bに近づけるよう車両1の中心線に対してオフセットさせ、第2トリガ機5bに関しては、第1実施形態と異なり、左後輪6dよりも右後輪6cに近づけるよう車両1の中心線に対してオフセットさせている。つまり、両前輪6a、6bのうち第1トリガ機5aが近づけられる側の車輪と、両後輪6c、6dのうち第2トリガ機5bが近づけられる側の車輪とが対角の関係に配置された左前輪6bと右後輪6cとなるようにしている。
【0085】
上述したように、距離L1の距離L2に対する比(L1/L2)、および、距離L3の距離L4に対する比(L3/L4)をそれぞれ1.2以上とすることにより、第1トリガ機5aが出力したトリガ信号は、両前輪6a、6bに取り付けられた送受信機2でしか受信されず、第2トリガ機5bが出力したトリガ信号は、両後輪6c、6dに取り付けられた送受信機2でしか受信されないようにできる。
【0086】
このため、第1、第2トリガ機5a、5bの位置関係は、お互いの配置位置に関わらず、独自に設定して構わない。したがって、本実施形態のような配置としても、上記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0087】
また、このように車両1の左右両サイドに1つずつトリガ機5を配置した形態とすれば、各トリガ機5やそれに繋がるワイヤーハーネスの重量を車両1の左右でバランスさせられるため、車両1の左右の重量バランスを良くすることが可能になる。また、スマートエントリシステムにおけるドア開閉は、車両1に備えられたトリガ機からトリガ信号を出力し、ユーザが所持しているスマートキーがそのトリガ信号を受け取ったときにスマートキーから照合用の信号を出力することにより行われる。この場合に使用されるトリガ機は車両1の左右にそれぞれ配置される必要があるが、本実施形態では、第1、第2トリガ機5a、5bを車両1の左右に配置しているため、第1、第2トリガ機5a、5bにてスマートエントリシステムにおけるトリガ信号出力用のトリガ機と兼用させることが可能となる。さらに、受信部3からトリガ機5までのワイヤーハーネスの取り回しは、車両1の都合(他の部品の搭載位置等)によって制約される場合があるが、その車両1の都合に合せて第1、第2トリガ5a、5bの位置を決めることが可能となる。
【0088】
(他の実施形態)
上記実施形態では、アンテナ31が1本の共通アンテナとされる形態について説明したが、各車輪6a〜6dそれぞれに対応して4本設けられるような形態であっても構わない。ただし、アンテナ31が共通アンテナとされた場合に、特に、送受信機2が取り付けられた車輪6a〜6dの特定が困難となることから、共有アンテナとされる場合に本発明を適用すると有効である。
【0089】
また、上記実施形態では、イグニッションスイッチがオフからオンに切り替わってから所定時間後に車輪位置検出を行うようにしている。このため、運転者が車両1の走行を行う前に、仮に見た目は何もタイヤに変化が無かったとしても、前以てタイヤがパンクしていること、もしくは、タイヤ空気圧が以上に減少していることを検出することが可能となる。しかしながら、これ以外のときに車輪位置検出を行っても良い。例えば、タイヤローテーション後やタイヤ交換後などに行っても良い。タイヤローテーションやタイヤ交換したことは、例えば車両に設置された図示しない車輪位置検出用のスイッチが押されたり、車体に傾斜センサを設置して、車体7の傾斜を検出したことに基づいて判別できる。
【0090】
また、上記第1実施形態では、第1、第2トリガ機5bを両方とも車両1の左側に配置した場合を示したが、右側に配置しても良い。同様に、上記第2実施形態では、第1トリガ機5aを左前輪6b側、第2トリガ機5bを右車輪6c側に配置したが、第1トリガ機5aを右前輪6a側、第2トリガ機5bを左車輪6d側に配置しても良い。
【0091】
上記実施形態では、第1トリガ機5aを両前輪6a、6b側に配置し、第2トリガ機5bを両後輪6c、6d側に配置している。そして、左右前輪6a、6bを一対としてそれらに対して第1トリガ機5aからトリガ信号を出力し、左右後輪6c、6dを一対としてそれらに対して第2トリガ機5bからトリガ信号を出力させるようにした。これに対して、第1トリガ機5aを両左車輪6b、6d側に配置すると共に、第2トリガ機5bを両右車輪6a、6c側に配置し、両左車輪6b、6dを一対としてそれらに対して第1トリガ機5aからトリガ信号を出力し、両右車輪6a、6cを一対としてそれらに対して第2トリガ機5bからトリガ信号を出力させるようにしても構わない。この場合、第1トリガ機5aを両左車輪6b、6dのいずれか一方に対して他方よりも近づけて配置し、第2トリガ機5bが両右車輪6a、6cのいずれか一方に対して他方よりも近づけて配置するようにすれば、第1、第2トリガ機5a、5bからトリガ信号を出力したときに、その受信強度が異なった値となるため、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0092】
また、上記実施形態では、4輪車両に対して本発明の一実施形態を適用したものについて説明したが、4輪車両に限るものではなく、大型車両のようにそれ以上の車輪が備えられた車両の車輪位置検出装置やタイヤ空気圧検出装置に対して本発明を適用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】本発明の第1実施形態における車輪位置検出装置が適用されたタイヤ空気圧検出装置の全体構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示すタイヤ空気圧検出装置の送受信機と受信機のブロック構成を示した図である。
【図3】トリガ信号の形態を示した模式図である。
【図4】第1トリガ機と右前輪および左後輪に取り付けられた各送受信機までの距離の関係を示した模式図である。
【図5】距離L1の距離L2に対する比(L1/L2)に対するトリガ信号の受信強度差を示した図である。
【図6】受信機の制御部が実行する車輪位置検出処理のフローチャートである。
【図7】第1、第2トリガ機の配置位置を示した模式図である。
【図8】第1、第2トリガ機の配置位置を示した模式図である。
【符号の説明】
【0094】
1…車両、2…送受信機、3…受信機、4…表示器、5…トリガ機、5a…第1トリガ機、5b…第2トリガ機、6a…右前輪、6b…左前輪、6c…右後輪、6d…左後輪、7…車体、21…センシング部、22…制御部、23…RF送信部、24…電池、25…トリガ信号受信部、26…送信アンテナ、27…受信アンテナ、31…アンテナ、32…RF受信部、33…制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤを備えた複数個の車輪(6a〜6d)それぞれに備えられ、トリガ信号を受信する受信部(25)と、前記受信部で受信された前記トリガ信号の受信強度を求めると共に、求めた受信強度を表す受信強度データをフレームに格納する第1制御部(22)と、前記第1制御部にて処理された前記フレームを送信する送信部(23)とを有してなる送受信機(2)と、
車体(7)側に備えられ、前記トリガ信号を出力するトリガ機(5)と、
前記車体側に備えられ、前記フレームを受信する受信部(32)と、該フレームに格納された前記受信強度データが表す前記受信強度に基づいて、前記送受信機が前記複数個の車輪のいずれに取り付けられたものかを判別する第2制御部(33)を備えた受信機(3)と、を有し、
前記複数個の車輪は前輪2輪(6a、6b)と後輪2輪(6c、6d)を含み、
前記トリガ機は、前記後輪2輪よりも前記前輪2輪側に配置されると共に前記前輪2輪を構成する右前輪(6a)と左前輪(6b)から異なる距離に配置された第1トリガ機(5a)と、前記前輪2輪よりも前記後輪2輪側に配置されると共に前記後輪2輪を構成する右後輪(6c)と左後輪(6d)から異なる距離に配置された第2トリガ機(5b)とを有して構成され、
前記後輪2輪のうち前記第1トリガ機から近い側の車輪に取り付けられた前記送受信機が最も前記第1トリガ機に近づいたときの距離をL1とし、前記前輪2輪のうち前記第1トリガ機から遠い側の車輪に取り付けられた前記送受信機が最も前記第1トリガ機から離れたときの距離をL2として、前記距離L1の前記距離L2に対する比(L1/L2)が1.2以上であり、
前記前輪2輪のうち前記第2トリガ機から近い側の車輪に取り付けられた前記送受信機が最も前記第2トリガ機に近づいたときの距離をL3とし、前記後輪2輪のうち前記第2トリガ機から遠い側の車輪に取り付けられた前記送受信機が最も前記第2トリガ機から離れたときの距離をL4として、前記距離L3の前記距離L4に対する比(L3/L4)が1.2以上であることを特徴とする車輪位置検出装置。
【請求項2】
前記第1トリガ機は、前記前輪2輪よりも車両前方に配置され、
前記第2トリガ機は、前記後輪2輪よりも車両後方に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の車輪位置検出装置。
【請求項3】
前記第1トリガ機は、前記前輪2輪のうち近い側の車輪のタイヤハウスの前方に配置され、
前記第2トリガ機は、前記後輪2輪のうち遠い側の車輪のタイヤハウスの後方に配置されていることを特徴とする請求項2に記載の車輪位置検出装置。
【請求項4】
前記後輪2輪のうち前記第2トリガ機が近づけられる側の車輪と、前記前輪2輪のうち前記第1トリガ機が近づけられる側の車輪とが対角の関係に配置されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の車輪位置検出装置。
【請求項5】
タイヤを備えた複数個の車輪(6a〜6d)それぞれに備えられ、トリガ信号を受信する受信部(25)と、前記受信部で受信された前記トリガ信号の受信強度を求めると共に、求めた受信強度を表す受信強度データをフレームに格納する第1制御部(22)と、前記第1制御部にて処理された前記フレームを送信する送信部(23)とを有してなる送受信機(2)と、
車体(7)側に備えられ、前記トリガ信号を出力するトリガ機(5)と、
前記車体側に備えられ、前記フレームを受信する受信部(32)と、該フレームに格納された前記受信強度データが表す前記受信強度に基づいて、前記送受信機が前記複数個の車輪のいずれに取り付けられたものかを判別する第2制御部(33)を備えた受信機(3)と、を有し、
前記複数個の車輪は右車輪2輪(6a、6c)と左車輪2輪(6b、6d)を含み、
前記トリガ機は、前記右車輪2輪よりも前記左車輪2輪側に配置されると共に前記左車輪2輪を構成する左前輪(6b)と左後輪(6d)から異なる距離に配置された第1トリガ機(5a)と、前記左車輪2輪よりも前記右車輪2輪側に配置されると共に前記右車輪2輪を構成する右前輪(6a)と右後輪(6c)から異なる距離に配置された第2トリガ機(5b)とを有して構成され、
前記右車輪2輪のうち前記第1トリガ機から近い側の車輪に取り付けられた前記送受信機が最も前記第1トリガ機に近づいたときの距離をL1とし、前記左車輪2輪のうち前記第1トリガ機から遠い側の車輪に取り付けられた前記送受信機が最も前記第1トリガ機から離れたときの距離L2として、前記距離L1の前記距離L2に対する比(L1/L2)が1.2以上であり、
前記左車輪2輪のうち前記第2トリガ機から近い側の車輪に取り付けられた前記送受信機が最も前記第2トリガ機に近づいたときの距離をL3とし、前記右車輪2輪のうち前記第2トリガ機から遠い側の車輪に取り付けられた前記送受信機が最も前記第2トリガ機から離れたときの距離をL4として、前記距離L3の前記距離L4に対する比(L3/L4)が1.2以上であることを特徴とする車輪位置検出装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1つに記載の車輪位置検出装置を含むタイヤ空気圧検出装置であって、
前記送受信機は、前記複数個の車輪それぞれに備えられた前記タイヤの空気圧に関する検出信号を出力するセンシング部(21)を備え、前記第1制御部によって前記センシング部の検出信号が信号処理されたのち、前記送信部を介して送信されるようになっており、
前記受信機は、前記第2制御部にて、該検出信号に基づいて前記複数個の車輪それぞれに備えられた前記タイヤの空気圧を求めるようになっていることを特徴とするタイヤ空気圧検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−149831(P2008−149831A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−338545(P2006−338545)
【出願日】平成18年12月15日(2006.12.15)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】