説明

軽量の空間給電型能動フェーズドアレイアンテナシステム

衛星用システムは、コアシステム、および能動フェーズドアレイを生成するための複数のノードを含んでいる。各ノードはコアシステムからの送信信号を無線受信し、送信信号を目標に無線送信し、目標からの受信信号を無線受信し、かつ受信信号をコアシステムに戻して無線送信するためのトランシーバを含んでいる。このシステムはさらに、送信信号と受信信号間の信号干渉を防止するためのサブシステムを含んでいる。各ノードはさらに局部発電回路を備えていてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
フェーズドアレイアンテナの主な利点は、ビームを電子的に走査する能力があり、機械的な指向および位置合せの必要がないことにある。別の利点はビーム走査を迅速に行うことができ、それによって急速に移動する目標をトラッキングでき、かつ複数の目標をトラッキングできることにある。迅速なビーム走査によってさらに、移動するプラットフォーム(例えば海上の船舶)上のアンテナが通信衛星または放送衛星のような固定された実体との接触を維持する必要がある場合のような用途が促進される。
【背景技術】
【0002】
フェーズドアレイアンテナの一般的な用途は、レーダーシステム、特に合成開口レーダーシステムの実装にある。
【0003】
電波探知標定、すなわちレーダーは、一般に知られているように、第2次世界大戦以来から存在し、多様な用途に利用されてきた。例えば、レーダーは航空機、船舶およびその他の乗り物のような物体の位置のトラッキング、または大気状態の監視用に利用されている。地形または物体の画像を構成するために画像レーダーが開発されている。
【0004】
基本的なレーダーシステムは、通常は目標での短パルスの形態で無線周波数信号を送信することによって動作する。基本レーダーシステムは距離解像度と方位解像度の双方で限界がある。基本レーダーシステムの限界を克服するために様々な技術が開発されてきた。例えば、距離解像度を高めるためにパルス圧縮のような技術を利用できる。
【0005】
容認できないほど大型のアンテナを必要とせずに方位解像度を高めるために、合成開口レーダー技術が開発されている。現在では合成開口レーダーは機上および宇宙(例えば航空機または衛星)をベースにした用途が一般に利用されている。
【0006】
新型の合成開口レーダーシステムには広範囲の解像度および画像観測幅にわたる写像をサポートするために操作上の柔軟性が必要である。この操作上の柔軟性を得るには能動フェーズドアレイアンテナシステムを使用する必要がある。
【0007】
【非特許文献1】Luscombe et al; In orbit Characterisation of the RADARSAT-2 Antenna-Proceeding of the Committee on Earth Observation Standards-Working Group on Calibration and Validation-Synthetic Aperture Radar Workshop 2004
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
衛星搭載用途での現在の能動フェーズドアレイシステムには、それらのより広範な利用を制限するいくつかの制約がある。アンテナは、長さが約10から20メートル、幅が1から2メートルと比較的大型である。ビームの品質を保ち、ビームの安定状態を保持するには、アンテナを必要な許容差内で平坦に保つにはアンテナ自体が剛性であり、しっかりと支持される必要がある。その結果、アンテナは高質量のものとなり、伸張時に必要な強固性を得るには支持トラスまたはその他の機械的手段が必要になる。
【0009】
アンテナのサイズは、一般に大きすぎてロケットの利用可能な有効積載量内に適応させることができないので、アンテナをその動作構成で発射できない。アンテナは発射用に折りたたんで積載され、次いで、軌道に入ってから展開される必要がある。アンテナを展開し、展開時にアンテナの剛性を保つには複雑で高価な機構が特別に設計される必要がある。発射時の積載中にアンテナパネルを安全に保持し、アンテナが発射中に生ずる応力によって損傷しないことを確実にするため、専用の機構が設計され、構成されることもある。アンテナが高質量であることでアンテナの積載と展開の作業がさらに一層困難になる。
【0010】
能動フェーズドアレイの要素には主バス構造とアンテナ要素との間の複雑な相互接続セットが必要である。電力、制御、送信および受信の双方用の無線周波数信号の監視および分散のための接続が必要である。複雑な方位角および仰角ビーム形成デバイスおよび相互接続が必要である。これらの相互接続がアンテナの総質量、複雑さ、およびコストに付加される。加えて、アンテナのパネル間のヒンジをブリッジするために相互接続を行うことがあり、それによって製造上の複雑さやコストが追加され、全体的な信頼性が低下する。
【0011】
RADARSAT−2スペースクラフトは能動フェーズドアレイアンテナを使用した最新の合成開口レーダーシステムの例である。この例でのアンテナは長さが15メートル、幅が1.5メートルである。これは2つのウイングからなっており、各アンテナが長さ約3.75メートル、幅1.5メートル(1パネル)の2枚のパネルを含んでいる。各パネルは4つの列で構成され、各列が32個の送信/受信モジュールを有しており、各モジュールが20個の放射素子を有する関連サブアレイを有している。アンテナには総計で512個の送信/受信モジュールが使用されている。アンテナの総質量は約785kgである。アンテナパネルを展開し、それらを適所に保持するために必要な伸張可能な支持構造の質量は約120kgである。積載中にアンテナを保持し、次いで展開用にアンテナを解放するために使用される機構の約120kgの追加質量が付加される。アンテナに必要な総質量は、約1025kgである。この高質量が結果的にスペースクラフトのバス構造および姿勢制御システムの設計を促し、その結果スペースクラフトはさらに大型になり重量化する。
【0012】
高質量で複雑な設計は、このクラスのスペースクラフトの設計、製造および発射の総コストの高騰を意味する。それによってこのテクノロジーを特殊な用途に利用することが制約され、発射できるスペースクラフトの数が限定され、観測の頻度が低下し、サポートできる作戦ミッションが制限される。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の実施形態は、従来のフェーズドアレイアンテナシステムの動作能力を保持しつつ、より低質量で、製造上の複雑さが低下し、ひいてはミッション上の総コストが低減する衛星搭載能動フェーズドアレイアンテナシステムを構成する方法およびシステムを提供する。空間給電が能動アンテナノードに信号を分配し、能動アンテナノードは、局部発電および蓄電能力を含み、構成方法は、軽量のアンテナパネルを製造し、補償システムがアンテナの形状の機械的歪みを測定し、補償する。
【0014】
図中、密接に関連する図面には同じ番号が付してあるが、異なるアルファベット接尾文字を有している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
ここで本発明の様々な実施形態を説明する。以下の説明はこれらの実施形態を完全に理解し説明を可能にするための特定の詳細を記載する。しかし、本発明は、これらの詳細の多くがなくても実施できることを当業者は理解しよう。さらに、様々な実施形態の適切な記載を不要に曖昧にすることを避けるため、いくつかの公知の構造または機能は、詳細には図示、または記載しない。
【0016】
以下の記載で用いられる用語は、たとえそれらが本発明のある特定の実施形態の詳細な説明に関連して用いられている場合でも、用語の最も広義に合理的な意味で解釈されることが意図されている。以下で、ある用語が強調されることさえあるが、いずれかの限定的な意味で解釈されることを意図するどの用語もこの詳細な説明の項では明白かつ具体的にそのように定義される。
【0017】
図1は、軽量の空間給電型能動フェーズドアレイアンテナシステムを使用したスペースクラフトの構成を示す。フェーズドアレイアンテナ150は、複数のアンテナパネル105から構成されている。各パネルは、信号を目標に向けて送信し、目標から反射した戻り信号を受信する、放射面120と呼ばれる表面を有している。各パネルの裏面125は能動フェーズドアレイを形成する複数の能動アンテナノード300を含んでいる。
【0018】
アンテナパネル105はウイングと呼ばれる2群に配列されている。スペースクラフトの飛行方向に対して前方のウイング110は、前ウイングと呼ばれる。他のウイング115は、後ウイングと呼ばれる。
【0019】
送信される周波数変換信号は、展開可能なブーム130上に取り付けられたブームアンテナアセンブリ140内に含まれているアンテナ250を用いて空間給電機構を経て前ウイングの能動アンテナノードに分配される。後ウイング向けの信号は、同様の展開ブーム135に搭載された別のブームアンテナアセンブリ140を用いて配信される。2つのブームアンテナアセンブリ上の位置するアンテナも能動アンテナノードから送信される周波数変換信号を受信する。受信された周波数変換信号は、フェーズドアレイアンテナの放射面で受信された目標からの戻り信号を含んでいる。
【0020】
各ブームアンテナアセンブリ140は、第2のアンテナ255も含んでいる。この第2のアンテナは、高安定基準周波数を各々の能動アンテナノードに一斉送信するために使用される。
【0021】
図示された実施形態では、アンテナ250および255は、パッチアンテナであるが、他の種類のアンテナも使用できる。
【0022】
バス構造100は、能動フェーズドアレイアンテナシステムを機械的にサポートする。バスは、その内部に、通信、姿勢制御、スペースクラフトの監視および制御、熱制御、データ処理、推進などを含む機能を実施するためにほとんどのスペースクラフトに一般に見られるシステムを含む。バス構造の太陽に面する表面に取り付けられたソーラーアレイ145は、自己給電できる能動アンテナノード300を除いてスペースクラフトのすべての部品のために電力を供給する。
【0023】
図2Aのブロック図は、能動フェーズドアレイアンテナシステムの主要な構成部品と、それらがどのように互いに相互作用するかを示す。簡略化のためだけに、単一のウイングの単一のアンテナパネルだけが示されている。他のアンテナパネルも構成および動作は同様である。
【0024】
受信器/励振器210は、バス構造100内に含まれている。受信器/励振器は、レーダーの用途向けに使用される基準周波数および変調送信信号を生成する。受信器/励振器は、さらにパネルからの戻り信号を受信し、受信された信号データをデジタル化およびフォーマット化するための信号抽出およびコード化機能を果たす。
【0025】
受信器/励振器は、動作用の電力を受け、受信されたデータを伝送するためにスペースクラフトのバスシステム205とインターフェースする。アンテナシステムの制御と監視を可能にするため、受信器/励振器内のアンテナコントローラ270は、制御バス260を経てスペースクラフトの主バスプロセッサに接続されている。特に制御バスが必要であるわけではなく、MIL STD1553BまたはCANバスのような利用可能ないくつかのテクノロジーのいずれか1つを利用して実施可能である。
【0026】
アンテナコントローラ270は、受信器/励振器および能動アンテナノード300内のすべてのユニットの制御および監視を行う。
【0027】
高安定局部発振器215は、安定した非変調基準周波数を生成する。この基準周波数は、送信パルス発生器220および受信器225に局部的に分配され、ブームアンテナアセンブリ140内のアンテナ255を利用してすべての能動アンテナノード300に一斉送信される。単一の電力分配器を介して双方のブームアンテナアセンブリを励振させるために単一の高安定局部発振器が使用される。
【0028】
送信パルス発生器220は、送信されるパルスの波形を生成する。レーダーシステム向けには、これは通常はチャープとして一般的に知られる線形変調周波数パルスである。この種のパルスを生成する技術は、当技術分野でよく知られている。
【0029】
チャープは、ブームアンテナアセンブリ140から対応するウイング内のすべての能動アンテナノード300へと送信240される。チャープは、各能動アンテナノード内で受信され、アンテナの動作周波数に変換され、位相および振幅が調整され、増幅され、アンテナの放射面から送信される。
【0030】
能動アンテナノード300は、目標からの戻り信号を受信し、ブームアンテナアセンブリ140上のアンテナ250によって受信可能であるようにこの信号を再送信する。
【0031】
他の信号との干渉を避けるため、空間給電を利用して送信されたチャープおよび受信信号は規定の周波数プランに従って別個の搬送波周波数に変換されて、オリジナル信号の周波数変換バージョンが生成される。例として、典型的なSAR用途向けの周波数プランは下記のとおりであろう。すなわちSAR動作周波数が5.400GHz(C−バンド)、高安定局部発振器周波数が2.400GHz、ならびに周波数変換送信チャープ240および受信信号240向けの搬送波周波数が10.200GHz(X−バンド)である。以下の記載は、この周波数プランの例を想定している。
【0032】
図2Bは、異なる信号間のタイミング関係の例を示す。高安定局部発振器基準周波数は、各能動アンテナノードに継続的に一斉送信235される。送信パルス発生器220は、ベースバンドチャープ信号265と、これもすべての能動アンテナノードに一斉送信240されるX−バンドの変調チャープ信号とを生成する。能動アンテナノード内では、X−バンドのチャープ信号がC−バンドに変換され、目標に向けて送信される385前に位相調整される。目標からの戻り信号385は、位相および利得の調整がなされ、C−バンドからX−バンドへと変換され、受信器225に送信240される。利得調整375および380は、空間給電経路の差を補償するために使用される。利得調整380は、アンテナ開口アポダイゼーション(apodization)をも行う。
【0033】
受信器225は、変換済の一斉送信信号240を受信し、これを復調し、ベースバンド信号を信号抽出およびコード化ユニット230に転送する。信号は、デジタル化され、コード化され、フォーマット化され、結果として生じたデジタルデータが処理、記憶、および/または地上受信端末への送信用にスペースクラフトのバスシステム205に伝送される。
【0034】
フェーズドアレイアンテナ150は、複数のアンテナパネル105から構成されている。各アンテナパネルは、パネルの裏面125に取り付けられた複数の能動アンテナノード300を含んでいる。例として、合成開口レーダーの用途向けの能動フェーズドアレイアンテナは、8枚程度のアンテナパネルを含み、各パネルは64枚程度の能動アンテナノードを含み、総計で512の能動アンテナノードを含む。
【0035】
図3は、能動アンテナノード300のブロック図を示す。能動アンテナノードは、そのすべての構成要素に給電するために独自の局部発電および蓄電手段を含んでいる。発電を行うため、アンテナパネル125の裏面には太陽電池アレイ305が取り付けられている。通常動作では、アンテナパネルの放射面120は、天底(nadir)から少なくとも30°の角度で地球に指向される。このスペースクラフトの姿勢では、アンテナパネルの裏面の太陽電池アレイは、スペースクラフトが太陽同期、太陽同期準回帰軌道(sun−synchronous,dawn−dusk orbit)のような適宜の軌道に位置している場合に太陽にさらされる。より効率的な太陽発電およびバッテリ充電のためにソーラーパネルを太陽により良好に向けるように、スペースクラフトを回転させることが可能である。これは、SAR写像が必要ない間隔のようなアンテナシステムの動作が不要な期間に行うことができる。
【0036】
集積回路バッテリ充電調整器310は、太陽電池アレイ305からの電力を調製し、再充電可能なバッテリ315を充電する。スイッチ回路320を有する調整された電源は、能動アンテナノードの他のすべての構成部品に給電し、能動アンテナノードの素子、例えば送信器または受信器に別個に給電し、給電停止することができる。
【0037】
能動アンテナノードのRF部品は、2つのアンテナ325および335と、基本周波数処理回路330と、送信器回路340と、受信器回路345と、サブアレイ350とからなっている。能動アンテナノードのRF部品の動作は以下の図4の検討で説明される。
【0038】
図示した実施形態では、アンテナ325および335はパッチアンテナであるが、他の種類のアンテナを使用することもできる。
【0039】
図示した実施形態では、サブアレイ350は、導波管スロットサブアレイ(slotted waveguide subarray)であるが、他の構成を使用することもできる。代替の構成の一例は、アンテナパネルの表面または裏面に結合された複数のパッチ、共形、または平板な放射体からなるサブアレイである。裏面に結合される場合は、パネルはRF透過性のものとなろう。この代替形態は、放射サブアレイ素子を取り付け、これに給電する際に簡単で低質量であり、しかも構造的な支持体ともなろう。
【0040】
能動アンテナノードの制御は、マイクロコントローラまたはフィールドプログラマブルゲートアレイ(field programmable gate array)のような他のプログラム可能な論理素子を使用して達成可能である。図示した実施形態は、内臓CANバスインターフェースを組み込んだIntel8051のようなマイクロコントローラ360を使用している。アンテナコントローラ270から能動アンテナノードに制御およびタイミング信号を供給し、ノードの状態を監視するため、二線式CANバスインターフェース接続245が使用される。このインターフェース用に無線相互接続を利用した実施形態を使用することもできるが、アンテナパネル上に蓄積することがある静電荷を散逸させるための導電経路を備えるためにある程度の配線がさらに必要なことがある。配線バスは、実装が簡単であるとともに、この静電荷を散逸させるために利用することもできる。マイクロコントローラは送信器の利得、受信器の利得および(送信器と受信器の双方の)位相をそれぞれ制御するために使用されるアナログ制御信号380、375、370を生成するデジタル/アナログコンバータ365を励振する。
【0041】
図4は、能動アンテナノードのRF回路を示している。図面を簡略にするためにフィルタは、図面から省略されていることに留意されたい。フィルタおよびその使用、設計および構成は、当技術分野でよく理解されているので特に必要はない。アンテナ325は、一斉送信された高安定局部発振器信号235を受信する。この信号は、低ノイズ増幅器440によって増幅され、次いで、周波数増倍器445を用いて周波数が増倍される。しかし他の周波数調整を利用してもよい。デジタル/アナログコンバータ365からの位相制御信号370に基づいて信号の位相を調製するために直接変調器450が使用される。電力分配器455(またはスイッチ)を使用して位相調整済み基準信号が分配され、位相調整済みの基準信号460が能動アンテナノードの送信器340と受信器345の双方の区分に送られる。代替実施形態は、直接変調器450の代わりに移相器を、または電力分配器の代わりに2つの変調器を使用することも可能であろう。
【0042】
能動アンテナノードは、アンテナ335を利用して周波数変換チャープ信号240を受信する。信号ルーティングデバイス400は、利得が信号375を介してマイクロコントローラによって設定される可変利得増幅器405に信号を送る。ミキサー410は、信号をレーダーの動作周波数に変換し、信号の位相調整を行ってビームを形成する。この信号は、高出力増幅器415を用いて増幅され、信号ルーティングデバイス420を経てサブアレイ350に送られる。
【0043】
目標から反射した信号は、サブアレイ350によって受信され、信号ルーティングデバイス420を経て能動アンテナノードの受信機部分に送られる。低ノイズ増幅器425が信号を増幅する。ミキサー430は、信号をアップコンバート(upconvert)し、信号の位相を調整して受信ビームを形成する。信号は増幅され、利得が信号380を介してマイクロコントローラによって設定される可変利得増幅器435によって前記信号の利得が調整される。信号ルーティングデバイス400は、受信器/励振器210内の受信器225に送信するために信号をアンテナ335に送る。
【0044】
代替実施形態は、ミキサー410および430のいずれかまたは双方の代わりに二重または三重平衡ミキサーを使用することができよう。
【0045】
受信信号の信号対ノイズ比を向上させるため、アンテナのビームパターンは、受信モード時には仰角方向でより狭くされ、その結果、この軸での利得は増大する。目標領域の有効範囲(coverage)を維持するため、ビームパターンは目標領域を近距離から遠距離へと掃引する。この掃引はビームが掃引の開始時に仰角方向で近距離端のターゲット、および掃引の終了時に遠距離端のターゲットから信号を受信するためにビームを指向するようなタイミングで行われる。マイクロコントローラ360は、デジタル/アナログコンバータ手段365を用いてビームの掃引を制御して、受信信号の位相を調製するための制御信号370を生成する。受信中にビームを走査するこの方法は、より低い送信電力で信号対ノイズ比を維持し、より少ない、すなわちより低電力の能動アンテナノードを使用可能にし、さらに低質量化と簡単な構成を可能にする。
【0046】
空間給電を介した能動アンテナノード信号は、アンテナパネルの表面から目標へと送信された/目標から受信された信号から絶縁される必要がある。このような絶縁は、これらの2つの無線周波数リンク間の信号の結合を防止するために必要である。上記の実施形態は、この絶縁を達成するために周波数変換を利用している。(一実施形態では、このような周波数絶縁は、バス構造100ではなくノードで行われるが、代替実施形態は、逆を利用することもできよう。)この絶縁を達成するために、または、信号間の干渉を防止するために別の技術を利用してもよい。可能な技術には、以下の1つ、またはいずれかの組合せが含まれる。すなわち、電磁シールド、異なる信号偏波の利用、デジタル信号処理技術の利用、異なるコード化がなされたスペクトル拡散チャネルの利用、時分割多重の単独利用、または局部信号電荷蓄積と組み合わせた利用である。
【0047】
図5Aは、アンテナパネル105の裏面125上の能動アンテナノードの配列を示す。能動アンテナノードの数と配列は、意図する用途のニーズに適応するように調整可能である。図示した配列は、合成開口レーダーの用途には典型的なものである。この配列の例は、列ごとに32個の能動アンテナノードが2列に配列されていて、アンテナパネルごとに総計64個の能動アンテナノードを有している。例えば総計384個の能動アンテナノードを有する6個のパネルアンテナのような代替の配列も可能であり、パネルの寸法は所望の開口サイズが得られるように調整される。
【0048】
図5Aは、ノードのエレクトロニクスモジュール500、および各能動アンテナノード用の太陽電池アレイ505をも示している。
【0049】
図5Bは、ノードエレクトロニクスモジュール500と太陽電池アレイ505が特定された、パネル125の裏面の一部の詳細図を示す。
【0050】
図5Cは、アンテナパネルの放射面120と、アンテナの裏面125と、ノードエレクトロニクスモジュール500とが特定された、アンテナパネルの一部の端面図を示す。
【0051】
図5Dは、導波管スロットサブアレイ用のスロット510が明示されたアンテナパネルの放射面120を示す。スロットの構成、サイズおよび数は、アンテナの動作周波数および動作要件に左右され、これらの特性を決定する手段は先行技術でよく理解され、記録されている。
【0052】
図6Aは、導波管スロットサブアレイの構造を示すためにアンテナパネルの一部の破断図を示す。アンテナパネルのフレーム605は、アルミニウムのような導電材料から構成されるか、または炭素繊維のような非導電材料に導電性のメッキが施され、ノードエレクトロニクスモジュール500の支持構造を形成し、または導波管スロットサブアレイ用の空洞を形成する。構造支持体を備えるために、導波管スロットサブアレイの空洞にはハニカム水晶(quartz honeycomb)のようなRF透過性材料600を充填してもよい。ハニカム水晶材料は衛星搭載用に設計された(space−qualified)用途向けに市販されている。他のRF透過性材料を使用することもできる。
【0053】
図6Bは、アンテナパネルの断面図を示す。細部「B」は、アンテナパネルのフレーム605とRF透過性材料600とが特定されたパネルの構造を示す。スロット510を設けたアルミニウムシートまたは導電性メッキされた炭素繊維シート610が導電性接着剤を用いてアンテナのフレームおよびRF透過材料に結合され、アンテナの放射面を形成し、構造的強度をもたらす。細部「A」は、ノードエレクトロニクスモジュールと導波管スロットサブアレイとの間でRF信号を結合するために使用されるノードエレクトロニクスモジュール500と導波管ランチャー素子(waveguide launcher element)615の一部を示す。
【0054】
RADARSAT−2のミッション用に使用されるような現在の能動フェーズドアレイアンテナの質量は平方メートル当たり45kg程度である。前述のようなアンテナパネル構成と電力およびRF信号の配分用の配線用ハーネスの省略との組合せによって、平方メートル当たりの質量が5kg程度の能動フェーズドアレイが生ずる。
【0055】
質量の大幅な軽減によって、スペースクラフト用の大型ソーラーアレイを配備するために宇宙産業によって開発されたテクノロジーを利用することが可能になる。このテクノロジーは、能動フェーズドアレイアンテナを支持し、配備するために容易に活用できる。このテクノロジーはコストが最低で大型開口を配備する最も信頼できるやり方である。多くの企業が大型ソーラーアレイを成功裏に製造し、配備しており、利用される技術は十分に適格であり、伝統を確立している。
【0056】
アンテナの設計と動作に際して、空間給電機構によってもたらされる作用の補償がなされる。1つの作用は、ブームおよび能動アンテナノード上のアンテナからの放射パターンが不均一であることによる。別の作用は、空間給電アンテナアセンブリ140と能動アンテナノードとの経路の長さの差による利得および位相の変化である。この作用は、アンテナの形状によって左右される。
【0057】
放射パターンは、地上で測定可能であり、各能動アンテナノードでの補償は計算可能である。アンテナの形状に左右される作用を補償するには、アンテナの動作中の形状が判明している必要がある。理想的な能動フェーズドアレイは、平坦な表面放射面を有し、機械的な、または熱による歪みを受けないことであろう。アンテナの形状が一定であり、発射前に地上で測定可能であり、各能動アンテナノードで必要な補償が計算可能であることであろう。
【0058】
ソーラーアレイのテクノロジーを利用することの欠点は、展開された開口が強固ではなく、機械的、かつ熱による歪みと振動が生ずることがあるので、上記の理想的な特性を達成できないことにある。歪みと振動による理想値からの予測偏差は0.1Hz以下の周波数で数センチ程度である。この固有の制約は、アンテナの形状を補償する手段によって克服される必要がある。
【0059】
形状補償手段を実施するにはいくつかの可能なアプローチがある。例えば、アンテナの歪を動的にリアルタイムで補償するためにスペースクラフトの機中で補償を実施することができる。別のアプローチは収集したレーダーデータの処理中に、地上でなされるリアルタイムではない修正として形状の補償を実施することである。選択されるアプローチはアンテナ開口のサイズ、アンテナの動力学、および用途に依存する。
【0060】
図示した形状補償手段は、スペースクラフトの機上で動的かつリアルタイムの形状補償を実施するために、アンテナパネルの裏面および前後のブームに取り付けられた照射された目標の複数の画像を撮像する光学技術を利用している。
【0061】
図7は、能動フェーズドアレイアンテナの動的な形状補償の概略図である。スペースクラフトのバス構造100内の空洞700は、動的補償システムを備える光学およびエレクトロニクスアセンブリを収容している。光経路705および710が光学アセンブリの空洞から前後のウイング、および前後のブームにそれぞれ備えられている。目標715、720および725がアンテナパネルの後部および前ブームと後ブームのそれぞれの端部に取り付けられている。目標は光経路の方向を向いた目標の表面を照射するための内部光源を含んでいる。光源は動的形状補償システムの制御でオン/オフにスイッチ切り換え可能である。目標の照射面の形状は、目標の画像内で目標位置の中心が正確に判定しやすくなるように選択される。例えば、作成される目標の画像が多重画素の画像になるようなサイズの円形の形状によって、位置の判定を向上させるために目標の画像の図心を位置決めする技術を利用することが可能になる。ブームとアンテナパネルのそれぞれの長さに沿った寸法でのそれらの歪みは小さく、この歪みの影響は無視でき、形状補償手段はこの次元では測定する必要はない。他の2つの次元での歪みは、より顕著であり、その影響は重大である。光経路は、測定される構造の長さに沿って写像することによって、これらの2つの次元で高い精度を達成するように配置されている。
【0062】
目標を画像から抽出する能力をさらに高めるため、目標はスペクトル帯域幅が狭いソリッドステート光源を使用してもよい。フィルタの帯域幅の外側に入射する光を除去するために、対応する帯域幅の光学フィルタが光学アセンブリ内に設置される。
【0063】
図8Aは、前ブーム130上の目標720の取り付け位置の詳細を示す。図8Bは、2枚のアンテナパネル105を示す。各アンテナパネルには、スペースクラフトのバス構造に最も近いパネル以外は、図示した位置に4つの目標が取り付けられている。スペースクラフト(図示せず)のバス構造に最も近い2枚のパネルには2つの目標だけが取り付けられている。比較的近いパネルの目標の取り付け位置は、光学アセンブリから見た場合に、より近い目標がより遠い目標への視界を妨げることがないように配置されている。これは図9に示されており、光経路が点線で示されている。目標は、アンテナのウイングまたはブームが歪み、または振動した際にも見えるように、アンテナパネルまたはブームの表面の十分上方に取り付けられる。図8Cは、目標の例800を示す。パネルが発射前に積載される前に目標をパネルに対して折りたたみ、パネルが展開された後に簡単なバネまたはその他の手段を用いて展開してもよい。
【0064】
図10は、形状補償システムの光学および電子部品を示す。光学アセンブリ1000は、前後のブームおよび前後のウイングからの光1010を受光する。光学アセンブリは、ソリッドステートの2次元写像アレイ1020の像面に投影される単一の複合画像1015を形成するように4つの開口からの光を複合する。写像アレイの出力は、コンピュータを使用した画像処理ユニット1025によって受信され、処理され、分析される。ブーム目標コントローラ1040および1045が前後のそれぞれのブーム上の目標の照明を制御する。前ウイングおよび後ウイングのそれぞれの各アンテナパネル上に位置するパネル目標コントローラ1030および1035がパネル目標の照明を制御する。
【0065】
ブーム目標コントローラ用の制御信号1055は、画像処理ユニット1025からの配線接続によって供給される。パネル目標コントローラ用の制御信号1050は、画像処理ユニット1025によって生成される制御信号によって供給され、CANバス信号を利用して各パネル目標コントローラに送信される。あるいは、この制御機能を実行するために、画像処理ユニット1025によって生成され、パネル目標コントローラに向けられ、これによって受信されるコード化された赤外線信号を利用することもできよう。
【0066】
形状補償システムの動作を以下に説明する。
【0067】
動作
上記の説明は、能動フェーズドアレイアンテナシステムの個々の素子の動作を記載している。ここでは、地球表面を観測するためのマーキング画像用に使用される合成開口レーダーのような、典型的な衛星搭載レーダー用途を例として用いて、システムの全体的動作を説明する。
【0068】
スペースクラフトは、発射前に発射台に設置される。図11Aは、ロケットの積載物フェアリング(payload fairing)1100内に積載位置で前後のブーム130および135と、前後のウイング110、115のアンテナパネルとを有するスペースクラフトを示している。
【0069】
発射および初期チェックアウトの後、ウイングおよびブームは動作構成に展開される。図11Bは、前ブーム130と前ウイング110とが部分的に展開された軌道上のスペースクラフトを示している。図11Cは、完全に展開された動作構成にあるスペースクラフトを示している。
【0070】
この用途例では、また典型的な他の用途でも同様に、レーダーは、断続的に動作され、関心対象の領域の上空では活動状態になり(この例では画像データの収集)、その他の時間には非活動状態になる。
【0071】
電力を節約するため、能動フェーズドアレイアンテナシステムは、内部バスが完全にスイッチオフされて待機状態にされるか、または指令に応答できる節電状態にされる。この状態では、スペースクラフトは、一般にソーラー発電の効率を高める姿勢に回転される。
【0072】
受信器/励振器210を備えるユニットの回路は、ユニットに対して電源を入れ、活動状態になるように指令する制御バス260上の信号に応答する素子を除いて電源はオフ状態にある。
【0073】
フェーズドアレイアンテナにも同様のアプローチが利用される。アンテナには多数の能動アンテナノードがあるので、各ノードは使用しない場合は最小限の電力しか消費しないように設計されている。この待機状態は、バッテリ充電および電源回路とマイクロコントローラを除いては、ノード内のすべての回路の電源をオフにすることによって達成される。マイクロコントローラは、CANバスインターフェースを介して送られる覚醒信号に応答できるような超低電力の待機状態に置かれる。
【0074】
動作全体をさらに理解しやすくするため、最初に能動アンテナノードの動作を説明する。
【0075】
図13は、能動アンテナノードを非活動状態から動作状態にする事象のシーケンスを示している。図面は一実施形態を示しているが、同様の目的を達成するために代替のアプローチおよびシーケンスを用いることも可能である。シーケンスの開始で、ノードは上記の待機状態にあるものと想定されている。
【0076】
マイクロコントローラ回路は、CANバスの覚醒信号を監視する(ステップ1)。覚醒信号が受信されると、マイクロコントローラのクロックが有効にされ、待機モードから出てマイクロコントローラのソフトウエアプログラムの実行を再開する(ステップ2)。次いでマイクロコントローラは、マイクロコントローラ自体の動作が適正であるかを検証する自己テストシーケンスの実行を開始し、ノード内の他の回路の電源をオンにし、それらの動作状態を判定する。温度および電圧も測定され、それらが許容範囲内にあるか否かが判定される。
【0077】
重大な欠陥が検知されると、その欠陥はアンテナコントローラ270に報告され(ステップ5)、ノードは保守モードに入る(ステップ6)。保守モードは、ノードを安全状態にし、さらなる診断テスト、および欠陥を修正するための命令またはソフトウエアパッチをアップロードすることを許可する。アンテナコントローラからのCANバスインターフェースでのコマンドによって、マイクロコントローラは、保守モードから出る(ステップ7)。次いで、マイクロコントローラは、ノードを低電力の待機状態に戻す(ステップ8)。
【0078】
欠陥が検知されない場合は、ノードはこれを動作モードにするコマンドを待つ(ステップ9)。このコマンドが特定期間内に受信されない場合は、ノードは、保守モードに入る。コマンドが受信されると、ノードは動作モードに入る(ステップ10)。動作モードでは、ノードはアンテナコントローラからの制御およびタイミングメッセージに応答し、送信および受信されたレーダー信号を処理する。さらなる詳細は、下記の図14の説明で記載される。
【0079】
動作モード中、マイクロコントローラは、いずれかの欠陥、または温度が高すぎるような非定常状態を検知するため、ノードの動作を監視する(ステップ10)。欠陥が検知されると、ノードは動作モードを出て(ステップ11)、欠陥状態を報告し(ステップ5)、保守モードに入る(ステップ6)。保守モードでの動作は前述のとおりである。
【0080】
動作モード中に欠陥が検知されない場合は、マイクロコントローラは、アンテナコントローラから遮断信号が受信されているか否かを判定する(ステップ12)。遮断信号が受信されていない場合は、動作モードが継続する。遮断信号が受信されている場合は、マイクロコントローラは、ノードを低電力待機状態に戻し(ステップ8)、レーダー動作のセッションは、ノードで完了する。
【0081】
図14は、フェーズドアレイアンテナシステムの全体的な動作を示す。シーケンスの開始時に、システムは、待機状態にあるものと想定されている。
【0082】
レーダーの動作は、所望の写像動作のためにスペースクラフトが軌道上の適正位置にある特定の時間に行われるようにスケジュールされている。このスケジューリングは、地上のスペースクラフト管制センターから発されるタイムタグコマンド(time−tagged command)によって遂行される。スケジュールされている撮像の開始直前に、スペースクラフトのバス内に設置されている受信器/励振器210のハードウェアの電源がオンにされる(ステップ1)。アンテナコントローラ270は、覚醒信号を能動アンテナノードに送る(ステップ2)。能動アンテナノードは、前述のように始動シーケンスおよび自己テスト活動の実行を開始する。
【0083】
アンテナコントローラは、フェーズドアレイアンテナシステム全体の自己テストシーケンスを開始し、バス構造内に取り付けられているすべてのユニットの適正な動作と、能動アンテナノードからの受信状態とを検証する(ステップ3)。重大な欠陥が検知されると(ステップ4)、アンテナコントローラはアンテナテレメトリ(antenna telemetry)内に欠陥を報告し(ステップ5)、アンテナは、保守モードに入る(ステップ6)。保守モードは、アンテナシステムを安全状態にし、さらなる診断テスト、および欠陥を修正するための命令またはソフトウエアパッチをアップロードすることを許可する。保守活動は、完了すると、アンテナコントローラは保守モードから出る(ステップ7)。遮断信号が能動アンテナノードに送られ(ステップ8)、受信器/励振器の電源が切られ、その待機状態に戻る(ステップ9)。
【0084】
欠陥が検知されない場合は、アンテナコントローラは、スケジュールされているアンテナの活動が保守活動であるのか動作活動であるのかを判定する(ステップ10)。保守活動である場合は、保守モードに入る(ステップ6)。保守活動ではない場合は、アンテナは、定常動作を開始する。
【0085】
定常動作の第1のステップは、この画像に必要なビームパラメータ、ならびに例えば送信および受信ウインドウのタイミングおよび継続時間のようなその他の動作パラメータで能動アンテナノードを初期設定することである(ステップ11)。アンテナの形状を計測し、各々の能動アンテナノードの位相と振幅の補償を決定するために形状補償工程が開始される(ステップ12)。形状補償工程の動作は、後述する。
【0086】
スケジュールされた写像時間で、能動フェーズドアレイアンテナは、動作を開始する(ステップ13)。動作は、CANバスでアンテナコントローラ270によってすべての能動アンテナノードに一斉送信されるタイミングおよび制御メッセージ1400によって制御される。メッセージは、送信パルス繰り返し周波数で送出される。
【0087】
図15は、タイミング関係の例を示している。CANバスのタイミングおよび制御メッセージが次の送信パルスの直前に送られる。メッセージは、次のパルス周期のタイミング基準点を規定する。能動アンテナノードコントローラは、受信したタイミングおよび制御メッセージを利用して2つのタイミングウインドウ、すなわち送信モード有効1405によって示される送信タイミングウインドウと、受信モード有効1410によって示される受信タイミングウインドウとを確立する。これらのウインドウは、CANバスメッセージ内のタイミングジッタを見込むのに必要であるよりもやや大きくされる。送信されたパルスの精密なタイミングは、送信パス発生器220によって確立される。
【0088】
動作は、スケジュールされている終了時間に達する(ステップ14)まで、または重大な欠陥が検知される(ステップ17)まで継続する(ステップ15および16)。
【0089】
スケジュールされている終了時間に達した場合は、レーダー動作および形状補償工程が終了する(ステップ19)。遮断信号が能動アンテナノードに送られ、これらのノードを待機状態に戻す。受信器/励振器内の構成部品もバッテリの電力を節電するために電源が切られる(ステップ9)。
【0090】
欠陥が検知された場合、欠陥は、アンテナテレメトリ内に報告され(ステップ18)、レーダー動作および形状補償工程が終了し(ステップ19)、アンテナシステムの電源が切られ、待機状態に戻される(ステップ8および9)。
【0091】
図16は、形状補償を実施する動作のシーケンスを示し、形状補償システムがどのように動作するかを説明する。基準画像を収集する頻度がそれ以上、またはそれ以下であったり、あるいは目標の画像を異なる順序で収集する別のシーケンスも可能であるが、全体的なコンセプトは同様である。
【0092】
形状補償動作は、能動フェーズドアレイアンテナが活動状態になるごとに開始される。すべての目標715、720および725のライトがスイッチオフされ(ステップ1)、基準画像が取り込まれ、保存される(ステップ2)。基準画像は、前後のブームおよび前後のウイングの重複画像からなっている。ブームおよびウイングの照明状態は、重要ではない。前ウイングパネル1のライトがスイッチオンされ(ステップ3)、画像が収集される(ステップ4)。この画像も前後のブームおよび前後のウイングの重複画像からなっているが、この場合は1枚のパネル上の目標が照射される。すべてのパネルが各周期中に写像されるので、パネル1で示した特定のパネルは重要ではないことに留意されたい。
【0093】
ステップ2の基準画像がステップ4の画像から取り除かれる(ステップ5)。目標の定常位置は、判明しているので、目標の定常位置の周囲の画像領域だけを処理すればよい。画像は、何分の一秒しか離れていないので、2つの画像の差が生ずる理由は、前ウイングパネル1上の目標が照射されていることだけである。結果として生ずる画像には照射された目標しか含まれず、画像から目標が効果的に取り除かれる。目標は、それらの相対位置に基づいて特定され、画像内の各目標の位置は各目標の図心を位置決めするアルゴリズムを適用し(ステップ6)、2次元の位置を計算することによって判定される。第3の次元は、固定されており、発射前の地上計測によって得られる。結果として得られる目標の3次元位置が保存される(ステップ7)。
【0094】
パネル1上のライトは、消灯され(ステップ8)、パネル2について目標位置の判定工程が繰り返される(ステップ9)。同様に、パネル3(ステップ10)、およびパネル4(ステップ11)の計測が行われる。基準画像の収集、各パネルごとにランプを順次点灯し、目標位置を判定する工程が後ウイングの4枚のパネルについて繰り返される(ステップ12)。
【0095】
新たな基準画像が収集され、保存される(ステップ13)。前ブーム上の目標が照射され(ステップ14)、前ブームの目標の位置が判定される(ステップ15)。同様に、後ろブームの目標の位置が判定される(ステップ16)。計測時のノイズを低減し、精度全体を高めるため、いくつかの計測がなされ(ステップ17)、平均されて(ステップ18)、各目標についての最終的な位置判定がなされる(ステップ19)。
【0096】
これらの位置計測を利用して、アンテナの形状モデルが構成される(ステップ20)。このモデルは、各能動アンテナノードの位置でのアンテナの機械的歪みおよび振動によって誘発される位相誤差、ならびにこれらの誤差を補償するために必要な位相修正を計算するために利用される(ステップ21)。各能動アンテナノードについて、最後に計算された位相補償値がそのノードについて以前計算された数値と比較され、どのノードに更新された修正情報が必要であるかが判定される。更新された修正情報は、CANバスインターフェースを利用してそれを必要とするノードに送信される(ステップ22)。
【0097】
アンテナノードの計測および位相補償の更新のこのような工程は、アンテナが能動状態にある限り継続的に動作する(ステップ23)。
【0098】
その他の実施形態の説明および動作
図示した実施形態は、スペースクラフトのバス構造100の正方形断面を用いている。異なる断面を用いることもでき、ある用途では有利になることもある。異なる構成の3つの例が示されている。図12Aは、表面1205上に取り付けられるバスに電力を供給するために使用されるソーラーアレイを有する三角形のバス構造1200を示している。図12Bは、バス構造1210内により大きい内部容積を付与する三角形のバリエーションを示している。バスに電力を供給するための太陽電池を表面1215上に取り付けてもよい。図12Cは、フェーズドアレイアンテナがバス構造1220の外側に取り付けられた代替の配置を示している。この配置では、単一のブームアセンブリ1230しか必要ない。バスの電力を供給するための太陽電池が表面1225上に取り付けられている。
【0099】
本発明の一実施形態は、送信と受信で同じ偏波で、例えば送信で垂直偏波を、受信で垂直偏波で動作するレーダーを生成する。本システムは、送信される信号用には選択的な偏波で、また受信される信号用には二重偏波で動作することができるレーダーを提供するように実装可能である。例えば、送信信号は水平偏波または垂直偏波のいずれかに選択可能であり、受信信号は水平偏波、垂直偏波、または双方の偏波を同時に行うように選択可能である。このように、水平偏波と垂直偏波を交互の送信パルスで送信し、すべてのパルスについて水平偏波と垂直偏波の双方を同時に受信することによって、4偏波(quad−polarization)レーダーを達成可能である。
【0100】
上記の実施形態で記載の基本コンセプトおよび特性は保たれるが、能動アンテナノード内のサブアレイの異なる配置のような付加的な偏波をサポートするためにいくつかの修正形態を使用してもよい。二重偏波用に導波管スロット配列を構成することができるが、アンテナパネルが厚くなり、質量が増し、積載と展開がさらに困難になるという欠点がある場合がある。導波管スロットサブアレイの代わりに、複数のパッチ放射器からなる薄いサブアレイアセンブリ1720がアンテナパネルの表面に結合される。各々のパッチ放射器素子は2つの給電アセンブリ、すなわち1つは水平偏波1716用の、もう1つは垂直偏波1718用のアセンブリによって励振される。アンテナパネルの機械的構成はスロット付きの導波管の下の導電性の空洞を省くことによって簡略化される。
【0101】
送信側には、能動アンテナノード内のマイクロコントローラによって生成される制御信号によって、2つの給電のどれがパルスバイパルスベース(pulse by pulse base)で励振されるかを選択する手段が備えられる。受信側には、2つの受信チャネルが備えられ、双方とも能動アンテナノード内、および受信器/励振器内に備えられる。
【0102】
図17は、多重偏波能力を有する能動フェーズドアレイアンテナ用の能動アンテナノード内に含まれる無線周波数回路機能のブロック図を示す。周波数変換送信パルスがアンテナ1700によって受信され、信号ルーティングデバイス1702によって送信器回路に送られる。受信された信号はまず可変利得増幅器1704によって増幅され、次いで、ミキサー1706によってレーダーの動作周波数に変換される。利得制御信号1764および位相制御信号1752によって振幅と位相とが調整される。偏波選択信号1762によって、サブアレイの水平または垂直の給電のいずれかを励振するために高出力増幅器1710および1712がそれぞれ選択的に有効にされる。信号ルーティングデバイス1714および1728が送信信号を水平および垂直給電アセンブリ1716および1718にそれぞれ接続する。
【0103】
目標から戻った反射信号は、サブアレイ内のパッチ放射器によって受けられ、水平および垂直偏波が信号ルーティングデバイス1714および1728によって2つの別個の受信チャネルに送られる。水平偏波は、低ノイズ増幅器1722によって増幅され、ミキサー1724によって周波数変換および位相調整される。信号は、可変利得増幅器1726によって増幅され、ブームアンテナアセンブリ140に送信されるために信号ルーティングデバイス1702によってアンテナ1700に送られる。振幅および位相は利得制御信号1766および位相制御信号1752を用いて調整される。垂直偏波も同様に信号ルーティングデバイス1728、低ノイズ増幅器1730、ミキサー1732、および利得可変増幅器1734を使用して処理される。アンテナ1736は、信号をブームアンテナアセンブリに送信するために使用される。振幅および位相は、利得制御信号1768および位相制御信号1754を用いて調整される。
【0104】
第2の受信周波数は、ブームアンテナアセンブリに同時に送信される必要があるので、空間給電用の周波数プランは、拡張される必要がある。すでに提示された例を拡張すると、典型的な多重偏波SAR向けの周波数プランは下記のようになろう。すなわち、SAR動作周波数は、5.400GHz(C−バンド)、高安定局部発振器周波数は、2.400GHz、周波数変換送信チャープおよび水平受信偏波信号1770の搬送波周波数は、10.200GHz、ならびに周波数変換垂直受信偏波信号1772の搬送波周波数は、7.8GHzである。
【0105】
一斉送信高安定局部発振器信号は、アンテナ1738によって受信され、低ノイズ増幅器1740によって増幅され、電力分配器1742によって2つの信号に分配される。分配器の1つの出力は、受信された垂直偏波用に使用される基準周波数をそのまま供給する。分配器の別の出力は、周波数増倍器1744によって周波数増倍されて、周波数変換されたチャープをダウンコンバートし、受信された水平偏波をアップコンバートするために利用される基準周波数を供給する。基準周波数の位相は、基準信号1754および1752のそれぞれに基づいて直接変調器1748および1746によって調整される。送信と受信は同時には行われないので、位相調整された基準周波数を電力配分器1750を介して送信器と水平偏波受信回路の双方に供給するために直接変調器1746を使用することができる。まず送信パルス用に必要な位相を生成し、次いで受信信号用に必要な位相を生成するために、位相制御信号1752がパルス周期中に調整される。
【0106】
多重偏波アンテナの別の実施形態も可能であるが、基本原理は同じである。
【0107】
代替実施形態として、形状補償システムを指向性が高い反射性材料で表面が覆われた受動目標を利用して実装可能である。目標は光学アセンブリの近傍に位置する光源から投射される狭い光ビームによって選択的に照射される。スペクトル帯域幅が狭い光源、および光経路内の対応するフィルタが使用される。バス構造内の光源が目標内の光源の代わりに順次照射されることを除いては、動作は、組み込み式光源を有する目標について記載したものと同様である。このアプローチによって目標の設計が簡略化され、アンテナパネル上の目標のための制御回路および電源が必要なくなる。欠点は、光軸に近接して光源を組み込む必要があるので、光学アセンブリがより複雑になることである。
【0108】
アンテナの歪みは2つの成分、すなわち固定歪みと可変歪みとに分解可能である。固定歪みは計測可能であり、このようなシステムで従来から利用されてきた古典的な較正方法を利用して補償可能である。例えば、SARシステムでは、適正に選択された目標領域にわたってビームパターンを計測可能であり、歪みを判定し、ビームを成形するために使用されるものと同じ移相器を用いて位相補償を施すことによって歪みを除去することができる。可変成分の補償には、アンテナ使用中の期間だけ軌道上計測を行い、動的補償を施すことが含まれる。光学を利用した補償アプローチの代わりに、この特性の利点を生かした形状補償も利用可能である。
【0109】
1つの代替実施形態は、軌道上計測の地上処理の使用である。これを遂行する方法は、非特許文献1に記載されている。この技術は、計測されるアンテナの異なる部分(例えば行または列)の相対的な形状の変移に関するデータを得るための基準として、アンテナの一部を利用する。次いで、基準として以前に計測されたアンテナ部分を利用して最初に利用される基準部分が計測される。完全なあるセットの計測を比較的短期間で(典型的には2秒未満)で行うことができる。動作時にはあるセットの計測は画像用データの収集の直前およびその後で行われる。計測結果は地上に送信され、事後処理されて写像動作中のアンテナの形状が判定される。次に形状情報を用いて画像データの処理中にアンテナの歪みが補償される。形状補償の別の代替手段は、変化する歪みを判定する手段としてアンテナにわたる多くのポイントで温度を測定することである。前述のように、固定歪みを判定し、補償するには古典的な技術を利用できよう。次いで較正活動が行われて、温度の関数としてのアンテナの歪みの特徴付けがなされよう。この較正活動には適正に選択された目標領域にわたるアンテナパターンの反復的な計測が含まれよう。これらの計測前のアンテナの温度は、例えばスペースクラフトの向きを変えることによって、または測定を行う以前に写像の長さを変えるためにアンテナを利用することによって(ひいては送信/受信モジュールからのある程度の電力をアンテナ構造内に散逸させることによって)、アンテナを加熱することで変更されよう。結果として生ずるアンテナパターンの地上での分析により歪み補償の較正データが作成されよう。次いで、アンテナの歪み補償がスペースクラフト上でのリアルタイム修正として(アンテナ内の各ポイントでの温度測定および対応する位相修正の適用)、またはSARデータの地上処理の一部として適用できよう。
【0110】
アンテナシステムの一実施形態では、能動レンズ構成が利用される。レンズ構成は直接給電アレイまたはリフレクタよりも物理的なアンテナ歪みに対して本質的に影響されにくいので、上記の形状補償の代替アプローチのいずれにも特に適している。
【0111】
レーダーの用途向けの能動フェーズドアレイアンテナの構成は、同時的な送信および受信機能をサポートする必要がないことを活用している。しかし、アンテナはレーダーシステム以外の用途、例えば同時的かつ継続的な送信と受信が必要である通信システムの用途で使用するようにもできる。そのアプローチは、空間給電および能動フェーズドアレイアンテナ面の各々で2つの搬送波周波数、すなわち1つは送信される信号用の周波数、もう1つは受信される信号用の周波数を利用することである。能動アンテナノードの基本構造は変わらない。周波数プランの例は、下記のとおりである。すなわち、通信リンク送信動作周波数が5.700GHz、受信周波数が5.100GHz、高安定局部発振器周波数が2.400GHz、周波数変換送信信号向けの搬送波周波数が10.5GHz、および周波数変換受信信号向けの搬送波周波数が9.900GHzである。
【0112】
文脈上、明らかに別個の解釈が必要ではない限り、説明と特許請求の範囲を通して「備える」、「備えている」などの語句は排他的なまたは網羅的な意味ではなく、包括的な意味に解釈されるべきものである。すなわち、「含まれるが、限定されない」という意味である。本明細書で用いられる用語、「接続される」、「結合される」またはそのバリエーションは、2つ以上の素子間での直接であれ間接的であれ、いずれかの接続または結合を意味する。素子間の結合または接続は、物理的、論理的またはそれらの組合せであってよい。加えて、「本明細書」、「上記の」、「下記の」という語句、および同様の意味の語句は本出願で用いられる場合、本出願全体を指すものであり、本出願のいずれかの特定の部分を指すものではない。文脈上で許容されれば、単数または複数を用いた上記の詳細な説明中の語は、複数または単数をもそれぞれ含むものである。2つ以上の要素のリストに関連する「または」という語句はその語句の以下の解釈、すなわちリスト内のいずれかの要素、リスト内のすべての要素、およびリスト内の要素のいずれかの組合せのすべてを網羅するものである。
【0113】
本発明の実施形態の上記の詳細な説明は、包括的であること、または本発明を上記に開示した正確な形態に網羅するまたは限定することを意図するものではない。本発明の特定の実施形態、およびその実施例は説明目的で上に記載したものであり、当業者は理解するように、本発明の範囲内で様々な同等の修正形態が可能である。例えば、工程またはブロックは所与の順序で提示されているが、代替実施形態は、ステップを有するルーチンを別の順序で実行し、またはブロックを有するシステムを利用してもよく、またはある工程またはブロックを削除、移動、追加、細分化、組合せ、および/または修正して、代替実施形態または、副組合せ形態を提供してもよい。これらの各工程またはブロックを多様な異なるやり方で実施してもよい。さらに、工程またはブロックは、場合により連続して実行されるものとして示されているが、その代わりにこれらの工程またはブロックを並行して実行してもよく、または別の時間に実行してもよい。
【0114】
本明細書に提示した本発明の教示内容は、必ずしも上記のシステムではなくても他のシステムにも応用可能である。上記の様々な実施形態の要素および動作は、さらに別の実施形態を提供するために組み合わせることができる。
【0115】
上記の特許および出願および添付のファイル用紙にリストされたその他の参考文献は参照として本明細書に組み込まれている。本発明のさらに別の実施形態を提供するために、必要ならば本発明の態様を上記の様々な参考文献のシステム、機能およびコンセプトを利用するように修正可能である。
【0116】
上記の詳細な説明に鑑み、本発明にこれらの、およびその他の変更を加えることができる。上記の説明は、本発明のある特定の実施形態を記載し、意図する最良の形態を記載しているが、上記の本文でどのような詳細が記載されているとしても、本発明は、多くのやり方で実施可能である。システムの詳細はその実装の細部で大幅に変更されることがあるが、依然として本明細書に開示された発明に包含される。前述のように、本発明のある特定の特徴または態様を記載する際に用いられる特定の用語は、その用語が関連する本発明の特定の特性、特徴、または態様を限定するものとして本明細書で再定義されることを意味するものではない。一般に、以下の特許請求の範囲で用いられる用語は、上記の詳細な説明部分がそのような用語を明確に定義していない限りは、本発明を本明細書で開示された特定の実施形態に限定することを意味するものではない。したがって、本発明の実際の範囲は開示された実施形態だけではなく、本発明を実施、または実装するすべての同等のやり方を包含するものである。
【図面の簡単な説明】
【0117】
【図1】1つのスペースクラフトの構成の概観図である。
【図2A】アンテナシステムのブロック図である。
【図2B】アンテナシステムのタイミング図である。
【図3】能動アンテナノードのブロック図である。
【図4】能動アンテナノード内に含まれる無線周波数回路機能のブロック図である。
【図5A】1枚のアンテナパネルの裏面を示す図である。
【図5B】アンテナパネルの裏面の一部の詳細図である。
【図5C】アンテナパネルの裏面の一部の端部から見た詳細図である。
【図5D】アンテナパネルの表面(放射面)の一部の詳細図である。
【図6A】アンテナパネルの表面の一部の破断図である。
【図6B】アンテナパネルの一部の断面図である。
【図7】形状補償システム用に用いられる目標、および画像収集のための衛星バス内の光経路を示す図である。
【図8A】前ブームに取り付けられた照射された目標の詳細図である。
【図8B】2枚のアンテナパネル上の照射された目標の配置図である。
【図8C】目標の1つの詳細図である。
【図9】アンテナパネル上の目標の位置を示す1枚のウイングを示す図であり、写像システム(図面の底部)によって観察され、より近接した目標がそれ以上離れた目標を妨害しないような目標の配置を示す図である。
【図10】形状補償システムの構成部品を示す図であり、形状補償はアンテナ内の機械的歪みを補償するためにアンテナ素子の位相設定を調整するために利用される。
【図11A】アンテナパネルおよび発射のために積載されるブームを有するスペースクラフトを示す図である。
【図11B】1つのアンテナウイングおよびブームの展開中のスペースクラフトを示す図である。
【図11C】双方のウイングおよびブームが展開されている動作構成のスペースクラフトを示す図である。
【図12A】代替のバス構造の構成を示す図である。
【図12B】別の代替バス構造の構成を示す図である。
【図12C】別の代替バス構造の構成を示す図である。
【図13】能動アンテナノードの動作シーケンスを示す図である。
【図14】能動フェーズドアレイアンテナ全体的な動作シーケンスを示す図である。
【図15】能動アンテナノード制御信号と、能動フェーズドアレイアンテナから送信および受信された信号とのタイミング関係を示す図である。
【図16】形状補償を実行するための動作シーケンスを示す図である。
【図17】多重偏波能力を有する能動フェーズドアレイアンテナ用の能動アンテナノード内に収容された無線周波数回路機能のブロック図である。
【符号の説明】
【0118】
100 スペースクラフトのバス構造
105 アンテナパネル
110 1枚または複数のアンテナパネルからなるアンテナの前ウイング(この例では4枚のパネルが示されている)
115 1枚または複数のアンテナパネルからなるアンテナの後ウイング(この例では4枚のパネルが示されている)
120 アンテナパネルの放射面
125 アンテナパネルの裏面
130 前ブーム
135 後ブーム
140 ブームアンテナアセンブリ
145 ソーラーアレイ(バスに給電するため)
150 フェーズドアレイアンテナ(前ウイングと後ウイングとから構成されている)
200 スペースクラフトのバス構造内に収容されている機器
205 スペースクラフトのバスシステム(電力、制御、データ処理など)
210 受信器/励振器
215 高安定局部発振器
220 送信パルス発生器
225 受信器
230 信号抽出およびコード化ユニット
235 一斉送信される高安定局部発振器信号
240 周波数変換された送信信号と受信信号との2路リンク
245 2線式CAN Bus制御バス
250 送信および受信信号分配用のブーム搭載アンテナ
255 高安定局部発振器の基準周波数配分用のブーム搭載アンテナ
260 制御バス
265 ベースバンドチャープ信号
270 アンテナコントローラ
300 能動アンテナノード
305 アンテナノードのソーラーパネルアセンブリ
310 バッテリ充電調整器
315 再充電可能バッテリ
320 電源および電源切り替えアセンブリ
325 高安定局部発振器基準周波数を受信するためのアンテナ
330 基準周波数処理アセンブリ
335 送信/受信信号用アンテナ
340 送信器アセンブリ
345 受信機アセンブリ
350 サブアレイ
355 アンテナノードコントローラ
360 マイクロコントローラ
365 デジタル/アナログコンバータ手段
370 位相制御信号
375 送信利得制御信号
380 受信利得制御信号
385 アンテナからの送信および受信信号
400 信号ルーティングデバイス(例えば循環器、スイッチ、カップラなど)
405 可変利得増幅器
410 ミキサー
415 高出力増幅器
420 信号ルーティングデバイス(例えば循環器、スイッチ、カップラなど)
425 低ノイズ増幅器
430 ミキサー
435 可変利得増幅器
440 低ノイズ増幅器
445 周波数増倍器
450 直接変調器
455 電力分配器
460 移相基準周波数
500 ノードエレクトロニクスモジュール
505 太陽電池アレイ
510 スロット導波管
600 RF透過材料(例えばハニカム水晶)
605 パネル構造
610 結合されたアルミニウムシート(アンテナパネルの表面)
615 信号を導波管に導入するための導波管ランチャー
700 光学アセンブリおよび画像処理ユニットの位置
705 アンテナウイング画像用の光経路
710 ブーム画像用の光経路
715 アンテナパネル上の照射された目標(すべての目標は特定せず)
720 前ブーム上の照射された目標
725 後ブーム上の照射された目標
800 アンテナパネル上の照射された目標の例
1000 光学アセンブリ
1005 前後のウイングおよび前後のブーム用開口
1010 前後のウイングおよび前後のブームの画像
1015 複合画像
1020 ソリッドステート写像アレイ
1025 画像処理ユニット
1030 前ウイングの目標照明コントローラ
1035 後ウイングの目標照明コントローラ
1040 前ブームの目標照明コントローラ
1045 後ブームの目標照明コントローラ
1050 ウイング照明制御信号
1055 ブーム照明制御信号
1060 アンテナコントローラへのインターフェース
1100 ロケット積載物フェアリング
1200 スペースクラフトのバス構造(代替実施形態1)
1205 バス電力用太陽電池アレイ(代替実施形態1)
1210 スペースクラフトのバス構造(代替実施形態2)
1215 バス電力用太陽電池アレイ(代替実施形態2)
1220 スペースクラフトのバス構造(代替実施形態3)
1225 バス電力用太陽電池アレイ(代替実施形態3)
1230 展開可能なブームアセンブリ
1400 CAN Busタイミングおよび制御メッセージ
1405 能動アンテナノード送信モード有効
1410 能動アンテナノード受信モード有効
1700 アンテナ
1702 信号ルーティングデバイス(例えば循環器、スイッチ、カップラなど)
1704 可変利得増幅器
1706 ミキサー
1708 電力配分器
1710 高出力増幅器(水平偏波)
1712 高出力増幅器(垂直偏波)
1714 信号ルーティングデバイス(例えば循環器、スイッチ、カップラなど)
1716 水平偏波給電アセンブリ
1718 垂直偏波給電アセンブリ
1720 サブアレイ
1722 低ノイズ増幅器
1724 ミキサー
1726 可変利得増幅器
1728 信号ルーティングデバイス(例えば循環器、スイッチ、カップラなど)
1730 低ノイズ増幅器
1732 ミキサー
1734 可変利得増幅器
1736 アンテナ
1738 アンテナ
1740 低ノイズ増幅器
1742 電力配分器
1744 周波数増倍器
1746 直接変調器
1748 直接変調器
1750 電力配分器
1752 位相制御信号
1754 位相制御信号
1756 移相基準周波数(送信器)
1758 移相基準周波数(水平受信偏波)
1760 移相基準周波数(垂直受信偏波)
1762 送信偏波選択信号
1764 送信利得補償信号
1766 受信利得制御信号(水平偏波)
1768 受信利得制御信号(垂直偏波)
1770 周波数変換送信信号と受信信号との2路リンク
1772 周波数変換受信信号との1路リンク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
衛星用宇宙ベースのアンテナシステムであって、
前記衛星用宇宙ベースのアンテナシステムの中央システムであり、
基準周波数信号を生成するように構成された高安定局部発振器、
少なくとも部分的に前記基準周波数信号に基づいて送信信号を生成するように構成された回路、ならびに、
前記基準周波数信号および送信信号を送信し、受信信号を受信するための少なくとも1つのシステムトランシーバを含む中央システムと、
能動フェーズドアレイアンテナシステムの一部を形成する複数の能動アンテナノードであり、各々の能動アンテナノードが、
前記システムトランシーバから前記基準周波数信号および送信信号を受信し、前記受信信号を前記システムトランシーバに送信するように構成された少なくとも1つのノードトランシーバ、
前記基準周波数信号を受信し、前記送信信号と受信信号との信号変換を行って前記送信信号と受信信号間の干渉を防止するように結合された周波数変換回路、電力発生部、ならびに、
前記ノードトランシーバと前記電力発生部とに結合され、前記送信信号および受信信号を処理または制御するように構成され、かつ、少なくとも部分的に前記基準周波数信号、および前記送信信号と受信信号の一方または双方を利用して前記宇宙ベースのアンテナシステムのビーム形成およびビーム走査の制御を少なくとも容易にするように構成される制御回路
を含む能動アンテナノードとを備えることを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記制御回路は、前記ノードに対して局部的なタイミング信号を利用し、前記宇宙ベースのアンテナシステムは分散基準周波数を用いた位相制御を利用することを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記能動アンテナノードの少なくともいくつかを保持する少なくとも1つのアンテナウイングと、アンテナ歪み補償システムであり、
前記アンテナウイング上に位置する複数の光学目標、
前記アンテナウイング上の前記複数の目標の少なくともいくつかを位置決めし、画像信号を出力するための少なくとも1つの画像センサ、および、
前記出力された画像信号を処理し、歪み補償信号を生成するための形状補償サブシステムを含むアンテナ歪み補償システムとをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記能動アンテナノードの少なくともいくつかを保持する少なくとも1つのアンテナウイングをさらに備え、前記アンテナウイングは一方の側に放射パネル部を、かつ反対側に太陽電池を含み、双方の構造支持体をなし、アンテナとして機能することを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記宇宙ベースのアンテナシステムの掃引受信モードを実行するために前記高安定局部発振器に結合された高安定局部発振器位相制御回路をさらに備え、前記位相制御回路は受信された信号掃引位相を調整して、前記ビームが掃引の開始時に仰角方向で近距離端、および掃引の終了時に遠距離端でビームを指向するように構成されることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
衛星用能動フェーズドアレイアンテナシステムであって、
コアシステムであり、
送信信号を生成するための制御手段、ならびに
前記コアシステムからノード手段へと基準信号および送信信号を無線送信し、受信信号を前記ノード手段から無線受信するためのトランシーバ手段を備えるコアシステムと、
能動フェーズドアレイを生成するための複数のノード手段であり、各ノード手段が、
前記コアシステムから基準信号および送信信号を無線受信し、前記送信信号を目標に送信し、前記目標から受信信号を受信し、かつ前記受信信号を前記コアシステムに無線送信するためのノードトランシーバ手段、
前記送信信号と受信信号間の、前記コアシステムとノード間の、および前記ノードと目標間の信号干渉を防止する手段、ならびに
トランシーバ手段および信号干渉を防止する手段に結合され、該送信および受信信号を制御または処理するためのノード制御手段
を備える複数のノード手段を備えることを特徴とする能動フェーズドアレイアンテナシステム。
【請求項7】
各ノード手段に電力を発生するための発電手段をさらに備え、
前記ノード制御手段は少なくとも部分的に前記送信信号に基づいてビーム形成およびビーム走査を容易にするための手段を含むことを特徴とする請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記制御手段に結合され、高安定基準周波数信号を生成するための発振器手段をさらに備え、
前記トランシーバ手段は前記基準周波数信号を前記ノード手段に送信するための手段を含むことを特徴とする請求項6に記載のシステム。
【請求項9】
前記複数のノードのいくつかを担持するためのウイング手段と、前記制御手段に結合され、前記ウイング手段の歪みを判定し、かつ前記判定された歪みに基づいて少なくとも1つの補償信号を生成するための補償手段とをさらに備えることを特徴とする請求項6に記載のシステム。
【請求項10】
少なくとも1つのウイングを有する宇宙ベースの能動レンズレーダーシステムにおいて、装置が、
前記ウイングによって担持され、前記宇宙ベースの能動レンズレーダーシステムの少なくとも一部を形成する複数のノードを備え、各ノードは、
前記レーダーシステムからの空間給電信号を無線受信し、送信ビームの一部として目標に向けられる送信信号を生成するように構成された送信部と、
前記目標からのエコー信号を受信し、前記レーダーシステムに無線送信される受信信号を生成するように構成された受信部と、
前記送信部と受信部の少なくとも一方に結合され、前記送信信号と前記受信信号間の信号干渉を防止するように構成された信号絶縁部と、
前記送信部、受信部および信号絶縁部の相互間に結合されたコントローラとを備えることを特徴とする装置。
【請求項11】
前記ノード内の前記コントローラ、前記送信部、受信部および信号絶縁部に電力を供給するために各ノードに局部発電機をさらに備えることを特徴とする請求項10に記載の装置。
【請求項12】
受信された基準信号を調整し、周波数調整信号を生成するための周波数調整器と、
前記周波数調整された信号に基づいて変調信号を生成するための変調器と、
各々が前記変調された信号のミキシングをするためのミキサーを有する送信および受信経路と、
前記変調された信号を前記送信および受信経路に選択的に供給するための信号セレクタとをさらに備えることを特徴とする請求項10に記載の装置。
【請求項13】
前記ウイングの後部は、前記複数のノードを担持し、前記ウイングの前部は、前記送信ビームの少なくとも一部を送信し、前記エコー信号の少なくとも一部を受信するように構成されることを特徴とする請求項10に記載の装置。
【請求項14】
前記信号絶縁部は、周波数変換、電磁シールド、異なる信号偏波の利用、デジタル信号処理技術の利用、異なるコード化がなされたスペクトル拡散チャネルの利用、または時分割多重の利用を介して前記送信信号と前記受信信号の同時送信間の信号干渉を防止するように構成されたことを特徴とする請求項10に記載の装置。
【請求項15】
少なくとも1つのウイングを有する宇宙ベースの能動レンズレーダーシステムにおいて、装置が、
前記ウイングによって担持され、前記宇宙ベースの能動レンズレーダーシステムの少なくとも一部を形成する複数のノードを備え、各ノードは、
送信ビームの一部として送信信号を目標に向けることを少なくとも補助し、前記目標からのエコー信号を受信するように構成された信号処理部と、
前記信号処理部に結合されたノードコントローラと、
外部電源または前記レーダーシステムから前記複数のノードへの外部配電用配線を利用せずに、前記ノードコントローラおよび前記信号処理部の局部的に給電するように構成された局部発電回路とを備えることを特徴とする装置。
【請求項16】
前記局部発電回路は、太陽電池アレイ、エネルギー貯蔵デバイス、および前記太陽電池アレイと前記エネルギー貯蔵デバイスとの間に結合された調整器を含むことを特徴とする請求項15に記載の装置。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図9】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【図11C】
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【図12A】
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【図12B】
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【図12C】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公表番号】特表2008−542768(P2008−542768A)
【公表日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−515016(P2008−515016)
【出願日】平成18年6月9日(2006.6.9)
【国際出願番号】PCT/CA2006/000960
【国際公開番号】WO2006/130993
【国際公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【出願人】(507401074)マクドナルド,デットワイラー アンド アソシエイツ リミテッド (1)
【Fターム(参考)】