説明

軽量建築パネルの接続装置

本発明は、第1の軽量板(2)の凹部に設置される第1のハウジング部品(10)と、第2の軽量板(3)とを有する、軽量板、特に、ハニカム板の接続ハードウェアに関する。第1のハウジング部品(10)は、第2のハウジング部品(20)に対して調節可能であり、第1のハウジング部品(10)および第2のハウジング部品(20)を互いに対して所定の位置に固定するために、少なくとも1つのクリップ(30)が設けられる。これにより、簡単な方法で許容誤差の補償を行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1の軽量建築パネルの凹部に設置される第1のハウジング部品と、第2の軽量建築パネルの凹部に設置される第2のハウジング部品とを備え、第1のハウジング部品が第2のハウジング部品に対して調節可能である、軽量建築パネル、特に、ハニカムパネル用の接続継手に関する。
【背景技術】
【0002】
独国実用新案第202006002648号から、中空パネル用の継手が知られており、この継手では、2つの隣接する中空パネルの受け部に、ポット型のハウジング部品がそれぞれ差し込まれる。各ハウジング部品は、いくつかのねじによって中空パネルに固定される。中空パネルを接合するために、締め付けデバイスが設けられ、この締め付けデバイスにより、中空パネルは、所定の位置に締め付けられた状態で互いに固定されうる。この継手の欠点は、中空パネルの固定が所定の位置でしかできないことである。例えば、許容誤差の補償をするために、軽量建築パネルの調節および位置合わせを行うことができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、本発明の目的は、単純な装置と組み合わせて隣接の軽量建築パネルの位置を調節できるようにする軽量建築パネル用の接続継手を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この目的は、請求項1の特徴を備えた接続継手によって達成される。
【0005】
本発明によれば、第1のハウジング部品と第2のハウジング部品とを互いに所定の位置に固定するための少なくとも1つのクリップが提供される。このように、ハウジング部品を互いに対して固定するため、第1のハウジング部品を第2のハウジング部品に対して所望の位置に調節することが可能である。したがって、締め付けデバイスによってハウジング部品を1つの所定位置にしか固定できないという事態が避けられる。その代わりに、例えば、許容誤差を補償するためにハウジング部品の調節が実行可能であるため、クリップを介した固定を引き続き行える。
【0006】
本発明の好ましい展開例によれば、ハウジング部品は、軽量建築パネルの平面に垂直な方向に調節可能であり、少なくとも1つのクリップによって高さ調節が可能である。このように、隣接する軽量建築パネルを互いにわずかにずらして装着できる。さらに、ハウジング部品を正面縁部上に互いに載置し、前記正面縁部に沿って軽量建築パネルの平面にハウジング部品を変位可能にし、少なくとも1つのクリップを使って互いに固定することが可能である。これにより、ハウジング部品の調節に関する変動幅を大きくできることで、正面縁部に沿ってハウジング部品を互いに所望の位置に固定できる。
【0007】
好ましくは、第1のハウジング部品に固定される第1のクリップと、第2のハウジング部品に固定される第2のクリップとを有する2つのクリップが設けられる。これにより、ハウジング部品を固定する際の安定性が高くなる。
【0008】
ハウジング部品を互いに固定するために、ハウジング部品の受け部に差し込まれるクリップに、突出部が設けられうる。好ましくは、フォーク状に配設されたいくつかの突出部がクリップ上に配設され、1つのハウジング部品の受け部に突出部がそれぞれ差し込まれる。これにより、クリップの少なくとも1つの突出部を隣接するハウジング部品の受け部内に差し込むことによって、ハウジング部品が実質的に噛み合って固定される。
【0009】
本発明のさらなる展開例によれば、各クリップは、ねじを介してハウジング部品に固定される。このようにして、迅速で簡単な装着が可能となり、ハウジング部品の正面縁部に隣接してねじを配設することが好ましく、クリップに力がかかった場合、ねじを介して正面縁部に隣接した領域でこのような力を吸収できる。
【0010】
位置合わせ後に軽量建築パネルの接続を固定するために、第1のハウジング部品および第2のハウジング部品は、締め付けデバイスを介して互いに対して保持されうる。このため、各ハウジング部品は、好ましくは、締め付けデバイスの端部セクションを差し込むためのポット型の受け部を備える。締め付けデバイスにより、軽量建築パネルおよびハウジング部品の締め付けが確保されるため、軽量建築パネルの位置合わせ後、特に高い安定性が達成される。
【0011】
ハウジング部品を軽量建築パネルにしっかりと固定するために、ハウジング部品は、カバーパネルに接着されることが好ましい。各ハウジング部品には接着チャネルが設けられ、このチャネルにより、カバーパネルとハウジング部品の背面側との間のギャップに接着剤を分配することができるため、背面側の広範囲の領域にわたって接着を行える。
【0012】
以下、添付の図面に示す実施形態を参照しながら、本発明についてより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】装着中の本発明による接続継手の斜視図を示す。
【図2】図3の接続継手の断面図を示す。
【図3】図1の接続継手の平面図を示す。
【図4】接続継手のハウジング部品の斜視図を示す。
【図5】接続継手のハウジング部品の平面図を示す。
【図6】図5の線に沿って切り取った断面図を示す。
【図7】図5のハウジング部品の背面斜視図を示す。
【図8】軽量建築パネルがない接続継手の部品の斜視図を示す。
【図9】装着中の締め付けデバイスがない接続継手の斜視図を示す。
【図10】締め付けデバイスがない接続継手の平面図を示す。
【図11】装着中の接続継手の断面側面図を示す。
【図12】装着位置にある締め付けデバイスがない接続継手の図を示す。
【図13】装着位置にある締め付けデバイスがない接続継手の図を示す。
【図14】装着位置にある締め付けデバイスがない接続継手の図を示す。
【図15】装着位置にある締め付けデバイスがない接続継手の図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
軽量建築パネル2および3を互いに固定するために、接続継手1が使用され、軽量建築パネルの各々は、上側カバーパネル4と、下側カバーパネル6と、空隙(詳細には図示せず)を有する介在する格子構造6、例えば、ハニカム構造とを備える。固体材料からなり、1つのみのカバーパネル4または3つ以上のカバーパネル4、6を備える他の軽量建築パネル4に接続継手1を使用することも可能である。
【0015】
接続継手1は、軽量建築パネル2のU字状の凹部に固定され、ポット型の受け部11を備える第1のハウジング部品10を備える。さらに、第2の軽量建築パネル3に、第2のハウジング部品20が固定され、ハウジング部品20は、第1のハウジング部品10と同一の構造になるように配設され、第2の軽量建築パネル3のそれぞれのU字状の凹部に固定される。第1の軽量建築パネル2および第2の軽量建築パネル3の凹部は、上側カバーパネル4、格子構造5、および下側カバーパネル6の一部を通って延びるため、ハウジング部品2および3の1つの背面側は、下側カバーパネル6の凹部の床に隣接して配設される。接続継手1は、接続ロッド13、湾曲セクション12、および締め付け要素14によって形成された締め付けデバイスを備える。湾曲セクション12は、ポット型の受け部11または21に差し込み可能であり、ねじ筋が切られる。締め付け要素14はまた、ハウジング部品10および20の受け部11または21に差し込み可能であり、接続ロッド13は、軽量建築パネル2および3を互いに締め付けて固定できるように、歯車またはねじ筋により締め付け可能である。
【0016】
軽量建築パネル2および3を互いに調節できるようにするために、正面縁部23を有するハウジング部品10および20は、軽量建築パネル2および3の正面縁部7と同一平面にある。その結果、軽量建築パネル2および3は、軽量建築パネルの平面に垂直な方向、すなわち、高さ方向と、正面縁部7に沿った方向の両方に互いに対して変位可能である。ハウジング部品10および20を固定するためにクリップ30が設けられ、クリップは、ハウジング部品10および20を互いに対して固定する。
【0017】
図4〜図7に示すように、まず軽量建築パネル3の凹部にハウジング部品20が接着される。この目的のために、ハウジング部品20は、ハウジング部品20の上側からハウジング部品20の背面側へ延びるチャネル24を備える。チャネル24は、カバーパネル6上の凹部の床と、ハウジング部品20の背面側との間に形成されたギャップ25内で開口する。その結果、チャネル24に投入された接着剤が、背面側の全表面に分散され、ハウジング部品20とカバーパネル6とが良好に固定される。さらに、適切な接着ノズル40により、チャネル24内に接着剤を効率的に投入することができる。
【0018】
クリップ30を固定するために、ハウジング部品20上にねじチャネル22がさらに配設され、このねじチャネルは、ハウジング部品20の正面縁部23に隣接して設けられる。
【0019】
ハウジング部品20は、受け部21と正面側23との間に、接続ロッド13が遊びをもって差し込み可能な溝26をさらに備える。このようにして溝26内での接続ロッド13の位置は変更可能であり、このような位置の変更は、ハウジング部品10および20を互いに対して調節するのに必要である。
【0020】
ハウジング部品20は、上側カバーパネル4上に相互ロックして載置される上側縁部27をさらに備える。
【0021】
最初に、ハウジング部品10および20は、接続継手を装着するための軽量建築パネル2および3の凹部に接着される。次に、軽量建築パネル2および3は、2つのクリップ30によって後で固定するために、互いに対して所望の位置に位置付けられる。クリップ30は、ねじチャネル22内にねじ31をねじり付けるための受け部を備える。各クリップ30は、ハウジング部品10または20のスリット状の受け部34内に差し込み可能な網状の突出部32をさらに備える。スリット状の受け部34にフォーク状に差し込み可能ないくつかの突出部32が互いに隣接して配設される。ハウジング部品10および20が、正面縁部7に沿って変位されると、受け部34に突出部32が係合することによって、変位方向での固定が起こりうる。ハウジング部品10および20が、正確に対称になるように互いに対向して配置される必要はない。
【0022】
クリップ30は、ハウジング部品上に載置される突出部32とは反対側上に形成されたストッパ33で、高さを調節するためにさまざまな角度位置に固定されうる。
【0023】
図12〜図15は、高さオフセットΔHが軽量建築パネル2および3の間に設けられた、装着位置にある接続継手を示す。高さオフセットΔHにかかわらず、軽量建築パネル2および3は、高さオフセットΔHに従って位置合わせされたクリップ30を、ねじ31をねじり付けた後に所定の傾きに配設して、接続継手を介して互いに接続されうる。
【0024】
例示した実施形態において、1つ目のクリップ30を第1のハウジング部品10に固定し、2つ目のクリップ30をねじ31により第2のハウジング部品20に固定する2つのクリップ30が設けられる。提供するクリップ30は、1つだけでも、または3つ以上でも可能なことは明らかである。
【0025】
ハウジング部品10および20は、プラスチックで一体に作ることもできる。ハウジング部品10および20を互いに対して締め付けるための締め付けデバイスは、例示した接続ロッド13、締め付け要素14、および湾曲セクション12の代わりに異なる締め付け要素を有しうる。
【0026】
ハウジング部品10および20の接着は、さまざまな方法で行うこともできる。接着剤は、底部または上部のカバーパネル(4、6)のいずれかにのみ塗布され、または両方のカバーパネル(4、6)の両方に同時に塗布されうる。必要に応じて、有用な選択をすべきである。
【0027】
さらに、接着剤チャネルを経由させる代わりに、接着表面に直接接着剤を塗布したり、コンポーネントの接合後に接着剤を注入したり(注入)、または後で熱を加えて液化するホットグルーなどの凝固した塊のような接着剤を予め塗布したり(磁気誘導)することにより、接着を行うこともできる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の軽量建築パネル(2)の凹部に設置される第1のハウジング部品(10)と、第2の軽量建築パネル(3)の凹部に設置される第2のハウジング部品(20)とを備え、前記第1のハウジング部品(10)が、前記第2のハウジング部品(20)に対して調節可能である、軽量建築パネル、特に、ハニカムパネルの接続継手において、
前記第1のハウジング部品(10)および前記第2のハウジング部品(20)を互いに対して所定の位置に固定するために、少なくとも1つのクリップ(30)が設けられていることを特徴とする、接続継手。
【請求項2】
前記第1のハウジング部品(10)および前記第2のハウジング部品(20)が、軽量建築パネル(2、3)の平面に対して垂直な方向に調節可能であり、少なくとも1つのクリップ(30)を用いて高さ調節が可能であることを特徴とする、請求項1に記載の接続継手。
【請求項3】
前記第1のハウジング部品(10)および前記第2のハウジング部品(20)が、正面縁部(23)上に互いに載置され、
前記第1のハウジング部品(10)および前記第2のハウジング部品(20)が、前記正面縁部に沿って前記軽量建築パネル(2、3)の平面において変位可能であり、前記少なくとも1つのクリップ(30)を用いて互いに固定されることを特徴とする、請求項1または2に記載の接続継手。
【請求項4】
前記第1のハウジング部品(10)に第1のクリップ(30)を固定し、前記第2のハウジング部品(20)に第2のクリップ(30)を固定した、2つのクリップ(30)が設けられていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の接続継手。
【請求項5】
前記クリップ(30)上に、前記第1のハウジング部品(10)および前記第2のハウジング部品(20)の受け部(34)に差し込まれる突出部(32)が設けられていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の接続継手。
【請求項6】
フォーク状に配設された複数の突出部(32)が、前記クリップ(30)上に形成され、前記突出部の各々が、前記第1のハウジング部品(10)および前記第2のハウジング部品(20)の前記受け部(34)に差し込まれることを特徴とする、請求項5に記載の接続継手。
【請求項7】
前記クリップ(30)の各々が、ねじ(31)を介して前記第1のハウジング部品(10)および前記第2のハウジング部品(20)に固定されることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の接続継手。
【請求項8】
前記ねじ(31)が、前記第1のハウジング部品(10)および前記第2のハウジング部品(20)の正面縁部(23)に隣接して配設されることを特徴とする、請求項7に記載の接続継手。
【請求項9】
前記第1のハウジング部品(10)および前記第2のハウジング部品(20)が、締め付けデバイス(12、13、14)を介して互いに対して保持されることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の接続継手。
【請求項10】
前記締め付けデバイスの端部セクション(12、14)を差し込むためのポット型の受け部(11、21)が、前記第1のハウジング部品(10)および前記第2のハウジング部品(20)の各々に配設されていることを特徴とする、請求項9に記載の接続継手。
【請求項11】
前記第1のハウジング部品(10)および前記第2のハウジング部品(20)の各々が、前記軽量建築パネル(2、3)のカバーパネル(6)に接着されることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載の接続継手。
【請求項12】
前記第1のハウジング部品(10)および前記第2のハウジング部品(20)が、該第1のハウジング部品(10)および該第2のハウジング部品(20)の各背面側のギャップ(25)および/または縁部(27)に接着剤を受け入れるための空間を各々が形成するように、前記軽量建築パネル(2、3)の前記カバーパネル(4、6)に装着されることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一項に記載の接続継手。
【請求項13】
前記第1のハウジング部品(10)および前記第2のハウジング部品(20)の各々に接着剤チャネル(24)が設けられており、前記接着剤チャネル(24)により、前記カバーパネル(6)および/または前記ハウジング部品(10、20)の背面側の間のギャップ(25)に接着剤が分配可能となっていることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一項に記載の接続継手。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公表番号】特表2011−503396(P2011−503396A)
【公表日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−532539(P2010−532539)
【出願日】平成20年10月22日(2008.10.22)
【国際出願番号】PCT/EP2008/064287
【国際公開番号】WO2009/059896
【国際公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【出願人】(507335056)ヘティッヒ‐ハインゼ ゲーエムベーハー ウント ツェーオー. カーゲー (11)
【Fターム(参考)】