説明

農作業機用リモコン操作システム

【課題】部品の共通化が可能でかつシステムの変更を容易に行うことができるトラクタに装着する農作業機に備える出力機器を無線で操作するための農作業機用リモコン操作システムを提供することを目的とする。
【解決手段】トラクタに装着する農作業機に備える出力機器を無線で操作するための農作業機用リモコン操作システムであって、操作信号を無線送信可能な送信部10と、農作業機側に設置され送信部10からの無線信号を受信する受信部20と、農作業機側に設置され受信部20からの操作信号により出力機器を制御する制御部40と、受信部20と出力機器と制御部40とに接続される制御ハーネス30とを有し、受信部20と制御ハーネス30の間には、受信部20を脱着可能な接続部20aを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農作業機用リモコン操作システムに関し、特に、トラクタに装着する農作業機に備える出力機器を無線で操作するための農作業機用リモコン操作システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トラクタに装着する農作業機に備える出力機器をリモコンで操作する場合、有線による場合と、無線による場合がある。そして、無線による場合は、途中のハーネス等を接続しなくていいので、設置や操作が楽に行えるメリットを有する。
【0003】
一方、特許文献1には、有線によるリモコンシステムの場合において、農作用機が入れ替わっても遠隔操作装置を共通にできるトラクタに装着する農作業機の電動遠隔操作制御装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−151920号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
出力機器は、農作業機の機種や型式ごとで異なるため農作業機の変更する場合にリモコン操作システムをこれに対応する必要がある。農作業機を変更した場合、それに合わせて制御部や配線等を含む無線によるリモコン操作システムをすべて変更することは大変であり、また、コスト高の要因ともなる。さらに、有線接続のリモコン操作システムからの変更が容易であれば、無線化を簡単になし得ることができる。
【0006】
また、無線信号を受信する受信部が、意図する出力機器の操作信号以外の信号を受信してしまうと誤動作の原因となり危険である。
【0007】
一方、特許文献1に記載のトラクタに装着する農作業機の電動遠隔操作制御装置は有線によるものである。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みて、部品の共通化が可能でかつシステムの変更を容易に行うことができるトラクタに装着する農作業機に備える出力機器を無線で操作するための農作業機用リモコン操作システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の農作業機用リモコン操作システムは、トラクタに装着する農作業機に備える出力機器を無線で操作するための農作業機用リモコン操作システムであって、操作信号を無線送信可能な送信部と、農作業機側に設置され前記送信部からの無線信号を受信する受信部と、農作業機側に設置され前記受信部からの操作信号により前記出力機器を制御する制御部と、前記受信部と前記出力機器と前記制御部とに接続される制御ハーネスとを有し、前記受信部と前記制御ハーネスの間には、前記受信部を脱着可能な接続部を具備することを特徴とする。
【0010】
さらに本発明の農作業機用リモコン操作システムは、前記送信部は、識別情報を付加した操作信号を送信し、前記受信部は、あらかじめ設定された識別情報と同じ識別情報が付加された操作信号のみを受信することを特徴とする。
さらに本発明の農作業機用リモコン操作システムは、前記送信部は、操作信号より前に識別情報を付加してシリアル伝送方式により操作信号を送信することを特徴とする。
さらに本発明の農作業機用リモコン操作システムは、前記送信部は切替スイッチを有し、前記送信部は、切替スイッチごとに異なる識別情報を付加して操作信号を送信可能であることを特徴とする。
さらに本発明の農作業機用リモコン操作システムは、前記受信部は、1つの識別情報を記憶し、当該識別情報を前記送信部に送信可能であり、前記送信部は、前記識別情報を受信可能であり、前記受信部から受信した識別情報を付加して操作信号を送信することを特徴とする。
【0011】
さらに本発明の農作業機用リモコン操作システムは、前記農作業機は、オフセット機構を有する畦塗り機であり、前記出力機器には、前記オフセット機構を動作させるアクチュエータが含まれることを特徴とする。
さらに本発明の農作業機用リモコン操作システムは、前記農作業機は、折りたたみ機構を有する代掻き機であり、前記出力機器には、前記折りたたみ機構を動作させるアクチュエータが含まれることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、トラクタに装着する農作業機に備える出力機器を無線で操作するための農作業機用リモコン操作システムにおいて、部品の共通化が可能でかつシステムの変更を容易に行うことができる。さらに、誤動作のより少ない無線操作も可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】具体例1の農作業機用リモコン操作システムの配線図を示す。
【図2】具体例1の農作業機の正面図を示す。
【図3】具体例1の農作業機の平面図を示す。
【図4】具体例1の無線送信ユニットの拡大図を示す。
【図5】具体例2の農作業機用リモコン操作システムの配線図を示す。
【図6】具体例2の農作業機の第1の状態を示す平面図である。
【図7】具体例2の農作業機の第2の状態を示す平面図である。
【図8】具体例2の農作業機の第3の状態を示す平面図である。
【図9】具体例2の無線送信ユニットの拡大図を示す。
【図10】識別情報の第1の設定方法を示すフローチャートである。
【図11】識別情報の第2の設定方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明を実施するための形態を説明する。
【0015】
〈具体例1〉
図1は、具体例1の農作業機用リモコン操作システムの配線図を示す。農作業機用リモコン操作システムは、トラクタに装着する農作業機に備える各出力機器を無線で操作するためのシステムである。農作業機側には、基本的に、受信部20と、制御ハーネス30と、制御部40とを有しており、制御ハーネス30と農作業機側の各出力機器が接続されている。また、無線送信ユニット10は、トラクタ側等の作業者が操作し易い場所に配置される。
【0016】
無線送信ユニット10は、スイッチボタン(10a〜10k)等で構成される操作部と、操作信号を無線で送信するための送信部とを有しコンパクトな構成としている。なお、操作部と、送信部は別々の構成とすることも可能である。
【0017】
受信部20は、無線送信ユニット10の送信部からの無線による操作信号を受信する。受信部20の接続部20aは、制御ハーネス30の接続部30aと接続される。接続部20aと接続部30aはコネクタ等により脱着可能な接続部である。そして、制御ハーネス30の接続部30aに、(受信部20の接続部20aの代わりに)、従来の操作部から有線で接続された接続部とも接続可能である。これは、無線送信ユニット10から受信し受信部20の接続部20aを通過する操作信号を従来の有線による信号と同様にすれば可能となる。これにより、有線によるリモコンシステムと共通部分(制御ハーネス30と、制御部40、出力機器)が多くなるため、コストを抑えかつ変更容易となる。
【0018】
制御ハーネス30は、各出力機器である、電動油圧シリンダ56、56’、レーキ開閉装置60、60’、土引きユニット66と接続されている。また、受信部20、制御部40、リレーボックス35、35’、電源ハーネス45とも接続されている。これらを接続することにより、後述する出力機器の制御を可能とする。また、そのためのハーネス構造となっている。なお、各接続部は分岐した端部に設けられている。
【0019】
制御部40は、例えば、必要なデバイス等をボックス内に格納して構成される。制御部40の接続部40aは、制御ハーネス30の接続部30fと接続される。
【0020】
電源ハーネス45は、例えば、トラクタに備えつけられたバッテリ等の電源と接続され、出力機器や受信部20、制御部40等の電力をまかなうものである。電源ハーネス45の接続部45b側が制御ハーネス30の接続部30bと接続され、電源ハーネス45のバッテリ接続部45a側がバッテリ等の電源と接続される。
【0021】
電動油圧シリンダ56、56’は、後述する農作業機の必要な動作をさせるためのアクチュエータである。電動油圧シリンダ56、56’が有する接続部56a、56a’は、制御ハーネス30の接続部30d、30d’にそれぞれ接続される。また、電動油圧シリンダ56、56’のためのリレーボックス35、35’(の接続部35a、35a’)も、制御ハーネス30(の接続部30e、30e’)と接続される。
【0022】
レーキ開閉装置60、60’、土引きユニット66も、後述する農作業機の必要な動作をさせる出力機器であり、レーキ開閉装置60、60’の接続部60a、60a’は、制御ハーネス30の接続部30c、30c’と、接続ハーネス31、31’を介して接続される。また、土引きユニット66の接続部66aは、制御ハーネス30の接続部30gと接続される。
【0023】
図2は、具体例1の農作業機の正面図を示す。図3は、具体例1の農作業機の平面図を示す。図2と図3の農作業機は折りたたみ機構を備えた代掻き機50(ウイングハロー)であり、入力軸51側をトラクタ1に装着し、カバー52や均平板53の内側で代掻き爪が回転することにより代掻き作業を行う。なお、受信部20、制御ハーネス30や制御部40は代掻き機50側の適した場所に設置され図示は省略してある。
【0024】
電動油圧シリンダ56、56’は、シリンダが伸び縮みすることにより、回動機構57、57’を作用させサイド作業部55、55’
をそれぞれ(図2の左側のように)上側に折りたたみ、代掻き機50の全幅を短くすることができる。延長レーキ開閉装置60、60’は、内部のモーターが回転することにより、制御バー62、62’やワイヤ63、63’を介して延長レーキ61、61’を回動軸61a、61a’を中心に上下に回動させ、延長レーキ61、61’を使用するか否かを選択することができる。土引きユニット66は、内部のモーター66bの回転により土引き部67等を介してレーキ65の上下動を制御し、土引きを調整することができる。
【0025】
これらは、無線送信ユニット10の送信部から無線で送られた操作信号を、受信部20が受信し、その信号が、制御ハーネス30を介して制御部40へ送られ、操作信号に基づき制御部40により、制御ハーネス30を介して各出力機器が制御される。それにより、電動油圧シリンダ56、56’や、延長レーキ開閉装置60、60’(の各モーター)、土引きユニット66(のモーター66b)の出力機器を、リモコンにより無線操作でき、効率のよい農作業を行うことができる。
【0026】
図4は、具体例1の無線送信ユニット10の拡大図を示す。無線送信ユニット10によるリモコン操作の手順について述べる。第1ボタン10aは電源スイッチであり、これにより電源を入れる。
【0027】
第2ボタン10bを押すと操作信号は、受信部20、制御ハーネス30を介し、制御部40へ送られ、レーキ開閉装置60が制御され、延長レーキ61が外側へ張り出す。
【0028】
第3ボタン10cを押すと操作信号は、受信部20、制御ハーネス30を介し、制御部40へ送られ、レーキ開閉装置60’
が制御され、延長レーキ61’が外側へ張り出す。
【0029】
第4ボタン10dを押すと操作信号は、受信部20、制御ハーネス30を介し、制御部40へ送られ、レーキ開閉装置60が制御され、延長レーキ61が内側へ折りたたまれる。
【0030】
第5ボタン10eを押すと操作信号は、受信部20、制御ハーネス30を介し、制御部40へ送られ、レーキ開閉装置60’が制御され、延長レーキ61’が内側へ折りたたまれる。
【0031】
第6ボタン10fを押すと操作信号は、受信部20、制御ハーネス30を介し、制御部40へ送られ、土引きユニット66が制御され、レーキ65が下がる。
【0032】
第7ボタン10gを押すと操作信号は、受信部20、制御ハーネス30を介し、制御部40へ送られ、土引きユニット66が制御され、レーキ65が上がる。
【0033】
第8ボタン10hを押すと操作信号は、受信部20、制御ハーネス30を介し、制御部40へ送られ、リレーボックス35を介して電動油圧シリンダ56が制御され、サイド作業部55が下がる。
【0034】
第9ボタン10iを押すと操作信号は、受信部20、制御ハーネス30を介し、制御部40へ送られ、リレーボックス35’を介して電動油圧シリンダ56’が制御され、サイド作業部55’が下がる。
【0035】
第10ボタン10jを押すと操作信号は、受信部20、制御ハーネス30を介し、制御部40へ送られ、リレーボックス35を介して電動油圧シリンダ56が制御され、サイド作業部55が上側に折りたたまれる。
【0036】
第11ボタン10kを押すと操作信号は、受信部20、制御ハーネス30を介し、制御部40へ送られ、リレーボックス35’を介して電動油圧シリンダ56’が制御され、サイド作業部55’が上側に折りたたまれる。
【0037】
無線送信ユニット10の表面には、どのボタンを押すとどの出力機器が作用するかを特定できるようにウイングハロー用シート銘板11が貼り付けてある。
【0038】
〈具体例2〉
図5は、具体例2の農作業機用リモコン操作システムの配線図を示す。具体例2においても具体例1と同様に農作業機側には、基本的に、受信部20と、制御ハーネス33と、延長ハーネス21と、制御部41とを有しており、制御ハーネス33と農作業機側と各出力機器が接続されている。また、無線送信ユニット10は、トラクタ側等の作業者が操作し易い場所に配置される。
【0039】
無線送信ユニット10は、具体例1と同様であり、スイッチボタン(10a〜10k)等で構成される操作部と、操作信号を無線で送信するための送信部とを有している。
【0040】
受信部20も、具体例1と同様の構成であり、無線送信ユニット10の送信部からの無線による操作信号を受信する。受信部20の接続部20aは、延長ハーネス21の接続部21aと接続される。接続部20aと接続部21aはコネクタ等により脱着可能な接続部である。そして、延長ハーネス21の接続部21a(もしくは、コネクタ形状が同様の制御ハーネス33の接続部33a)に、従来の操作部から有線で接続された接続部と接続も可能である。これにより、有線によるリモコンシステムと共通部分(制御ハーネス33と、制御部41、出力機器)が多くなるため、コストを抑えかつ変更容易となる。
【0041】
制御ハーネス33は、各出力機器である、第1電動油圧シリンダ71、第2電動油圧シリンダ72、散水装置ポンプ77と接続されている。また、制御ハーネス33は、(延長ハーネス21を介して)受信部20、制御部41、リレーボックス75,76、電源ハーネス45とも接続されている。これらを接続することにより、後述する出力機器の制御を可能とする。また、そのためのハーネスが内部で構成されている。なお、リレーボックス74は、散水装置ポンプ77のためのものである。
【0042】
制御部41は、例えば、必要なデバイス等をボックス内に格納して構成される。制御部41の接続部41aは、制御ハーネス33の接続部33fと接続される。
【0043】
電源ハーネス45は、具体例1と同様であり、例えば、トラクタに備えつけられたバッテリ等の電源と接続され、出力機器や受信部20、制御部41等の電力をまかなうものである。電源ハーネス45の接続部45b側が制御ハーネス33の接続部33bと接続され、電源ハーネス45のバッテリ接続部45a側がバッテリ等の電源と接続される。
【0044】
第1電動油圧シリンダ71、第2電動油圧シリンダ72は、後述する農作業機の必要な動作をさせるためのアクチュエータである。第1電動油圧シリンダ71、第2電動油圧シリンダ72が有する接続部71a、72aは、制御ハーネス33の接続部33c、33dにそれぞれ接続される。また、第1電動油圧シリンダ71、第2電動油圧シリンダ72のためのリレーボックス75、76(の接続部75a、76a)も、制御ハーネス33(の接続部33h、33i)と接続される。
【0045】
散水装置ポンプ77は、必要に応じて設置される出力機器であり、散水装置ハーネス78を介して制御ハーネス33の接続部33eと接続される。
【0046】
図6は、具体例2の農作業機の第1の状態を示す平面図である。図7は、具体例2の農作業機の第2の状態を示す平面図である。図8は、具体例2の農作業機の第3の状態を示す平面図である。具体例2の作業機は、オフセット及びリターン機構を備えた畦塗り機80である。なお、受信部20や制御ハーネス33、延長ハーネス21、制御部41は畦塗り機80側の適した場所に設置され図示は省略してある。
【0047】
畦塗り機80は、装着部81がトラクタ(図6〜8の上側に位置)の後部に装着される。装着部81と中間フレーム82は、水平方向に回動可能な支点82aより連結され、中間フレーム82と作業部88は、リンク機構83を介して接続されている。装着部81の支点71bと中間フレーム82の支点71c間には、第1電動油圧シリンダ71が接続されている。リンク機構83の支点72bと作業部88の支点72cの間には、第2電動油圧シリンダ72が接続されている。また、作業部88は、耕耘部86と、ディスク部87を有し、トラクタから伝達された動力により前方の耕耘部86で掻き出した旧畦の土を、ディスク部87の回転により畦形状に形成する。
【0048】
図6の状態から、第1電動油圧シリンダ71を縮ませると、作業部88は、内側へオフセット移動する。このとき、リンク機構83の作用により、作業部88が中間フレーム82に対して、左側に回転しコンパクトに格納し移動等に適した姿勢となる(図7)。図7の状態から、第2電動油圧シリンダ72を伸ばすと、リンク機構83の作用もあり、作業部88が効率よく回転し、耕耘部86とディスク部87が逆の向きになる(図8)。この状態で、バックによるリターン作業が可能となり、圃場の隅を塗ることができる。また、必要に応じ、散水装置タンク91の水を、ホース92を介してノズル93からディスク部87近傍に排出し、乾いた圃場でも畦を形成することを可能とする。散水装置タンク91の下には、散水装置ポンプ77が設置される、散水装置ポンプ77の作用により水が排出される。
【0049】
これらは、無線送信ユニット10の送信部から無線で送られた操作信号を、受信部20が受信し、その信号が、制御ハーネス33を介して制御部41へ送られ、操作信号に基づき制御部41により、制御ハーネス33を介して各出力機器が制御される。それにより、第1電動油圧シリンダ71や第2電動油圧シリンダ72、散水装置ポンプ77の出力機器を、リモコンにより無線操作でき、効率のよい農作業を行うことができる。
【0050】
図9は、具体例2の無線送信ユニットの拡大図を示す。無線送信ユニット10は、具体例1と同様であるが、シート銘板のみ交換し、無線送信ユニット10の表面には、リターン畦塗り機用シート銘板12が貼り付けて、どのボタンを押すとどの出力機器が作用するかを特定できるようになっている。
【0051】
第1ボタン10aは電源スイッチであり、これにより電源を入れる。第2ボタン10b、第3ボタン10c、第5ボタン10e、第7ボタン10g、第11ボタン10kを押すと操作信号は、受信部20、制御ハーネス33を介し、制御部41へ送られるが、制御部41ではこれらの操作信号による出力機器の制御は行わない。また、延長ハーネス21の接続部21a側や制御ハーネス33の接続部33a側で、これらの操作信号を受け付けない接続として、これらの操作信号を制御部41に送らせない構成としてもよい。
【0052】
第4ボタン10dを押すと操作信号は、受信部20、制御ハーネス33を介し、制御部41へ送られ、第1電動油圧シリンダ71が制御され、図6から図7の状態となる。
【0053】
第6ボタン10fを押すと操作信号は、受信部20、制御ハーネス33を介し、制御部41へ送られ、第1電動油圧シリンダ71が制御され、図7から図6の状態となる。
【0054】
第8ボタン10hを押すと操作信号は、受信部20、制御ハーネス33を介し、制御部41へ送られ、第2電動油圧シリンダ72が制御され、図7から図8の状態となる。
【0055】
第9ボタン10iを押すと操作信号は、受信部20、制御ハーネス33を介し、制御部41へ送られ、第2電動油圧シリンダ72が制御され、図8から図7の状態となる。
【0056】
第10ボタン10jを押すと操作信号は、受信部20、制御ハーネス33を介し、制御部41へ送られ、散水装置ポンプ77のスイッチがOFFの場合はONとなり、ONの場合はOFFとなる。
【0057】
具体例1と具体例2で示したように、無線送信ユニット10と、受信部20は、農作業機の種類によらず共通化ができる。そして、同様の操作信号は受信部20もしくは制御部(40、41)まで送られ、制御部で異なる制御をおこなえば各種農作業機の出力機器のリモコン操作が可能となる。また、受信部20の接続部20aの脱着により容易にシステム変更が可能となる。
【0058】
上述した、農作業機用リモコン操作システムは、無線送信ユニット10と受信部20の構成が農作業機の型式や機種が異なっても共通化ができるが無線信号の信号内容がまったく同じであると、意図する農作業機以外の農作業機の受信部20が信号を受信してしまい誤動作の原因となる。この場合、例えば、機種毎に周波数を変えて無線送信をすることで誤動作を防止することが可能であるが、異なる周波数を設定できる数が(例えば、80チャンネル程度と)限られてしまう。また、同じ周波数の電波を外部から受信部20が受けた場合も誤動作の原因となってしまう。
【0059】
そこで、ID番号等の識別情報を操作信号に付加して、あらかじめ設定した識別情報と同じ識別情報を有する操作信号のみを受けるようにすれば、上述したような誤動作の可能性はなくなる。識別番号の付加は、例えば、シリアル伝送方式により、操作信号の前に識別情報を付加して、受信部20で、この識別情報を判断して、受信部20側であらかじめ設定しておいた識別情報と同一の識別情報を有する操作信号のみを受信するようにすればよい。
【0060】
〈識別情報の第1の設定方法〉
図10は、識別情報の第1の設定方法を示すフローチャートである。識別情報の第1の設定方法は、送信機(無線送信ユニット10)に複数のID番号を持たせるもので、送信機側に切替スイッチを有し、切替スイッチごとに異なる識別情報を記憶しておき、この切替スイッチを切り替えることにより、送信する操作信号に付加するID番号を変更するものである。
【0061】
まず、送信機に複数のID番号を持たせる(S101)。次に、送信機のIDの番号を、切替スイッチの選択等により選ぶ(S102)。切替スイッチは、例えば、農作業機の型式であるハロー(代掻き機)や畦塗り機と記載されたスイッチを有していると作業機毎を意識して切り替えできるので作業者がわかりやすい。
【0062】
次に、それぞれの受信機(受信部20)で、受信機側のIDを書き換え可能か否かを判定する(S103、S105)。書き換え可能でなければS101に戻る。これは、送信機側からの操作で、受信機側が書き換え可能モードにすることで行えるようにし、判定は送信機側で行う構成としてもよい。
【0063】
次に、送信機IDの変更指令がなされたか否か判定する(S104、S106)。変更指令がない場合はS101に戻る。この変更指令は、送信機側から、変更指令モードにすることで行えるようにし、判定は送信機側で行う構成としてもよい。
【0064】
次に、受信機のID番号が送信機から送信さされ、受信機では送信されたID番号に変更される(S107)。
【0065】
以後は、受信機では、送信機側の切替スイッチにより選択されたこのID番号を付加した操作信号のみを受け付ける。
【0066】
以上のように設定することで、一台の送信機で異なる識別番号を付加した操作信号を送信し、受信機側でも送信機側が有する識別番号に合わせて変更することができる。
【0067】
〈識別情報の第2の設定方法〉
図11は、識別情報の第2の設定方法を示すフローチャートである。識別情報の第2の設定方法は、送信機(無線送信ユニット10)に識別情報受信機能を持たせ、受信機(受信部20)に識別情報送信機能を持たせることで、送信機の送信するID番号(識別情報)を受信機があらかじめ有するID番号に合わせて変更するものである。
【0068】
まず、各受信機はそれぞれ別々のID番号を1つずつもっている(S201)。
【0069】
次に、受信機がID送信可能状態かを判定する(S202)。送信可能でなければS201に戻る。このID送信可能状態は、送信機からの操作で、送信可能モードに変更してできるようにし、判定は送信機側で行ってもよい。
【0070】
次に、送信機がIDを受け取り可能状態かを判定する(S203)。受け取り可能状態でなければS201へもどる。この受け取り可能状態は、送信機の操作で、受け取り可能モードに変更してできるようにし、判定は送信機側で行える。
【0071】
次に、受信機が保有しているIDを送信機に送信し、送信機は、送信機のIDを受信したIDに合わせる(S204)。
【0072】
以後は、受信機では、送信機側から受信機があらかじめ有していたこのID番号を付加した操作信号のみを受け付ける。
【0073】
このように設定することで、各受信機があらかじめ有していたIDを使用するので、ID番号の設定で混同することがなく、確実な設定とすることがきる。また、送信機側に保有するIDが1つでいいので第1の設定方法のように切替スイッチを設けなくてもよいメリットがある。
【符号の説明】
【0074】
10 無線送信ユニット
20 受信部
21 延長ハーネス
30、33 制御ハーネス
35 リレーボックス
40 制御部
45 電源ハーネス
50 代掻き機
55、55’ サイド作業部
56、56’ 電動油圧シリンダ
57 回動機構
60 レーキ開閉装置
61 延長レーキ
65 レーキ
66 土引きユニット
71 第1電動油圧シリンダ
72 第2電動油圧シリンダ
75、76 リレーボックス
77 散水装置ポンプ
80 畦塗り機
81 装着部
82 中間フレーム
83 リンク機構
86 耕耘部
87 ディスク部
88 作業部
93 ノズル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トラクタに装着する農作業機に備える出力機器を無線で操作するための農作業機用リモコン操作システムであって、
操作信号を無線送信可能な送信部と、農作業機側に設置され前記送信部からの無線信号を受信する受信部と、農作業機側に設置され前記受信部からの操作信号により前記出力機器を制御する制御部と、前記受信部と前記出力機器と前記制御部とに接続される制御ハーネスとを有し、
前記受信部と前記制御ハーネスの間には、前記受信部を脱着可能な接続部を具備することを特徴とする農作業機用リモコン操作システム。
【請求項2】
請求項1に記載の農作業機用リモコン操作システムにおいて、
前記送信部は、識別情報を付加した操作信号を送信し、
前記受信部は、あらかじめ設定された識別情報と同じ識別情報が付加された操作信号のみを受信することを特徴とする農作業機用リモコン操作システム。
【請求項3】
請求項2に記載の農作業機用リモコン操作システムにおいて、
前記送信部は、操作信号より前に識別情報を付加してシリアル伝送方式により操作信号を送信することを特徴とする農作業機用リモコン操作システム。
【請求項4】
請求項2又は請求項3に記載の農作業機用リモコン操作システムにおいて、
前記送信部は切替スイッチを有し、前記送信部は、切替スイッチごとに異なる識別情報を付加して操作信号を送信可能であることを特徴とする農作業機用リモコン操作システム。
【請求項5】
請求項2又は請求項3に記載の農作業機用リモコン操作システムにおいて、
前記受信部は、1つの識別情報を記憶し、当該識別情報を前記送信部に送信可能であり、
前記送信部は、前記識別情報を受信可能であり、前記受信部から受信した識別情報を付加して操作信号を送信することを特徴とする農作業機用リモコン操作システム。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の農作業機用リモコン操作システムにおいて、
前記農作業機は、オフセット機構を有する畦塗り機であり、
前記出力機器には、前記オフセット機構を動作させるアクチュエータが含まれることを特徴とする農作業機用リモコン操作システム。
【請求項7】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の農作業機用リモコン操作システムにおいて、
前記農作業機は、折りたたみ機構を有する代掻き機であり、
前記出力機器には、前記折りたたみ機構を動作させるアクチュエータが含まれることを特徴とする農作業機用リモコン操作システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−72206(P2011−72206A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−224464(P2009−224464)
【出願日】平成21年9月29日(2009.9.29)
【出願人】(000188009)松山株式会社 (285)
【Fターム(参考)】