説明

農作業機

【課題】 身体的に小柄な作業者でも地上に起立した通常姿勢にて外側開閉操作体を楽に開閉操作できるようにすること。
【解決手段】 機体フレーム上に運転部を囲繞するキャビンを設け、同キャビンの側壁に乗降用開閉扉体を設け、同乗降用開閉扉体の近傍に乗降用ステップ体を配設して、同乗降用ステップ体を介してキャビン内の運転部に乗降可能となした農用作業機において、乗降用開閉扉体の内側面に内側開閉操作体を設ける一方、乗降用開閉扉体の外側面に外側開閉操作体を設けると共に、同外側開閉操作体は、前記乗降用ステップ体の近傍に配置した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインやトラクタ等のキャビンを具備する農作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、農用作業機であるコンバインの一形態として、機体フレーム上に運転部を囲繞するキャビンを設け、同キャビンの側壁に乗降用開閉扉体を設け、同乗降用開閉扉体の近傍に乗降用ステップ体を配設して、同乗降用ステップ体を介してキャビン内の運転部に乗降可能となしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
そして、乗降用開閉扉体の開放側である先端縁部の中途部の内外側面に、それぞれ内・外側開閉操作体を連動連結状態に設けて、キャビンの内外側から各開閉操作体を操作することにより、乗降用開閉扉体を開閉させることができるようにしている。
【特許文献1】特開平10−295152号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記したコンバインでは、乗降用開閉扉体の内側面に設けた内側開閉操作体は、運転部の運転席に着座した状態にて楽に開閉操作することができる位置に配置されているが、乗降用開閉扉体の外側面に設けた外側開閉操作体は、地上高が高い位置に配置されているため、身体的に小柄な作業者にとっては操作し辛い場合があり、そのような場合には、逐一、乗降用ステップ体に載って開閉操作をしなければならないという煩わしさがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで、本発明では、機体フレーム上に運転部を囲繞するキャビンを設け、同キャビンの側壁に乗降用開閉扉体を設け、同乗降用開閉扉体の近傍に乗降用ステップ体を配設して、同乗降用ステップ体を介してキャビン内の運転部に乗降可能となした農用作業機において、乗降用開閉扉体の内側面に内側開閉操作体を設ける一方、乗降用開閉扉体の外側面に外側開閉操作体を設けると共に、同外側開閉操作体は、前記乗降用ステップ体の近傍に配置したことを特徴とする農作業機を提供するものである。
【0006】
また、本発明は、内側開閉操作体は、乗降用開閉扉体の内側面でかつ運転部に設けた運転席の側方に位置する部分に配置し、同内側開閉操作体と外側開閉操作体とを連動機構を介して連動連結すると共に、同連動機構には乗降用開閉扉体を閉塞状態にロックするロック機構を連動連結したことにも特徴を有する。
【発明の効果】
【0007】
(1)請求項1記載の本発明では、機体フレーム上に運転部を囲繞するキャビンを設け、同キャビンの側壁に乗降用開閉扉体を設け、同乗降用開閉扉体の近傍に乗降用ステップ体を配設して、同乗降用ステップ体を介してキャビン内の運転部に乗降可能となした農用作業機において、乗降用開閉扉体の内側面に内側開閉操作体を設ける一方、乗降用開閉扉体の外側面に外側開閉操作体を設けると共に、同外側開閉操作体は、前記乗降用ステップ体の近傍に配置している。
【0008】
このようにして、外側開閉操作体を乗降用ステップ体の近傍に配置しているため、身体的に小柄な作業者でも地上に起立した通常姿勢にて外側開閉操作体を楽に開閉操作することができる。
【0009】
(2)請求項2記載の本発明では、内側開閉操作体は、乗降用開閉扉体の内側面でかつ運転部に設けた運転席の側方に位置する部分に配置し、同内側開閉操作体と外側開閉操作体とを連動機構を介して連動連結すると共に、同連動機構には乗降用開閉扉体を閉塞状態にロックするロック機構を連動連結している。
【0010】
このようにして、内側開閉操作体と外側開閉操作体とロック機構とを連動機構を介して連動連結しているため、内側開閉操作体と外側開閉操作体のいずれの開閉操作体を操作しても、連動機構を介してロック機構を操作することができるため、乗降用開閉扉体のロック操作をキャビンの内外側のいずれにおいても楽な姿勢にて簡単にかつ確実に行うことができる。
【0011】
しかも、内側開閉操作体は、運転席に着座した状態にて楽に開閉操作することができる一方、外側開閉操作体は、前記したように地上に起立した通常姿勢にて楽に開閉操作することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1に示すAは、本発明に係るコンバインであり、同コンバインAは、クローラ式の走行部1の上方に車体フレーム2を設け、同車体フレーム2上の右側前部にキャビン3を載設し、同キャビン3の後下方位置に原動機部4を設け、同原動機部4の左側方位置に脱穀部(図示せず)を設け、車体フレーム2の直前方位置には刈取部6を設けている。
【0013】
キャビン3は、車体フレーム2の左右側前端部にそれぞれ設けた支持台17,17上に載設しており、前・後・左・右側柱部10,10,11,11に、前・後・左・右側壁部12,13,14,14、天井壁部15、及び床部16を張設して略矩形箱型に形成している。
【0014】
そして、前壁部12には前面窓体19を張設し、また、右側壁部14には乗降用開閉扉体20を設けており、同乗降用開閉扉体20は、右側壁部14の後端縁部に枢支片21,21を介して後端縁部を枢支して、同枢支片21,21を中心に開閉自在となしている。
【0015】
また、キャビン3内には運転部22を設けており、同運転部22は、床部16の前部にハンドルコラム24を立設し、同ハンドルコラム24の上端にハンドル25を取り付け、同ハンドル25の後方に位置する床部16上に運転席26を載設している。
【0016】
前記した支持台17の右側前部には、乗降用ステップ体27を取り付けており、同乗降用ステップ体27は、上下方向に伸延する前後一対の足載板支持フレーム28,28間に前後方向に伸延する複数(本実施の形態では三個)の足載板29,29,29を上下方向に間隔を開けて横架している。
【0017】
このようにして、作業者は、乗降用ステップ体27の足載板29に足を掛けることにより、運転部22に楽に乗降することができるようにしている。
【0018】
上記のような構成において、本発明の要旨は、図2(b)に示すように、乗降用開閉扉体20の内側面に内側開閉操作体30を設ける一方、図2(a)に示すように、乗降用開閉扉体20の外側面に外側開閉操作体31を設けると共に、同外側開閉操作体31は、前記乗降用ステップ体27の近傍に配置したことにある。
【0019】
すなわち、乗降用開閉扉体20は、図2の乗降用開閉扉体の外側面説明図(a)と内側面説明図(b)に示すように、内壁形成片32と外壁形成片33とを一定の間隔を開けて内外側に対抗状態に配置し、両内・外壁形成片32,33の上部間に上部窓体34を張設すると共に、両内・外壁形成片32,33の下部間に下部窓体35を張設し、両上・下部窓体34,35間に位置する内壁形成片32の中途部に内側開閉操作体30を設ける一方、下部窓体35よりも下方位置する外壁形成片33の下側前部に外側開閉操作体31を設けている。
【0020】
そして、内側開閉操作体30は、内壁形成片32に左右方向に軸線を向けた内側操作軸36をその軸線廻りに回動自在に取り付け、同内側回動軸36の内側部に前後方向に伸延する内側開閉操作レバー37の前端部を取り付けている。
【0021】
ここで、内側開閉操作レバー37は、運転席26に着座した作業者が右手を内側開閉操作レバー37側に伸ばせば、楽に把持できる位置に配置、すなわち、運転席26の側方に位置する部分に配置しており、同内側開閉操作レバー37は、内側操作軸36を中心に下方へ回動操作するようにしている。
【0022】
また、外側開閉操作体31は、外壁形成片33に左右方向に軸線を向けた外側操作軸38をその軸線廻りに回動自在に取り付け、同外側回動軸38の外側部に前後方向に伸延する外側開閉操作レバー39の前端部を取り付けている。
【0023】
ここで、外側開閉操作レバー39は、乗降用開閉扉体20を前にして、地上に起立した作業者が左手を外側開閉操作レバー39側に伸ばせば、楽に把持できる位置に配置しており、同外側開閉操作レバー39は、外側操作軸38を中心に下方へ回動操作するようにしている。
操作できる位置に配置している。
【0024】
また、内側開閉操作体30と外側開閉操作体31は、連動機構40を介して連動連結すると共に、同連動機構40には乗降用開閉扉体20を閉塞状態にロックするロック機構41を連動連結している。
【0025】
すなわち、連動機構40は、図3にも示すように、内壁形成片32と外壁形成片33との間に形成される空間内に配置しており、内・外壁形成片32,33の中途部間に、左右方向に軸線を向けたレバー支軸42を介して略L字状に形成したレバー体43の中途部を枢支し、同レバー体43の上下伸延片43aの上端部と、内側操作軸36の外側部に下端部を取り付けた上方伸延片44の上端部とを前後伸延ロッド45を介して連動連結する一方、レバー体43の前後伸延片43bの前端部と、外側操作軸38の内側部に後端部を取り付けた前方伸延片46の前端部とを上下伸延ロッド47を介して連動連結している。
【0026】
このようにして、内側開閉操作レバー37を下方向へ回動操作すると、その回動操作力が内側操作軸36→上方伸延片44→前後伸延ロッド45→上下伸延片43a及び前後伸延片43b→上下伸延ロッド47→前方伸延片46→外側操作軸38→外側開閉操作レバー39に伝達されて、同外側開閉操作レバー39が下方向へ回動されるようにしている。
【0027】
また、反対に、外側開閉操作レバー39を下方向へ回動操作すると、内側開閉操作レバー37が下方向へ回動されるようにしている。
【0028】
ロック機構41は、乗降用開閉扉体20の前端縁部の中途部に設けており、前右側柱部10に向けてロック片41aを進退自在に設ける一方、前右側柱部10にロック受片(図示せず)を設けて、同ロック受片にロック片41aを進出・係合させることにより、乗降用開閉扉体20を閉塞状態にロック可能となす一方、ロック受片からロック片41aを後退させて非係合状態となすことにより、乗降用開閉扉体20を開閉動作可能となしている。
【0029】
しかも、ロック片41aは、前記レバー体43の一部を形成する上下伸延片43aの上端部と前後方向に伸延する連動片48を介して連動連結している。
【0030】
このようにして、内側開閉操作レバー37ないしは外側開閉操作レバー39を下方向へ回動操作した際には、その回動操作力が上下伸延片43a→連動片48→ロック片41aに伝達されて、同ロック片41aが後退動作し、ロック受片と非係合状態となり、乗降用開閉扉体20を開閉動作させることができるようにしている。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明に係るコンバインの前部側面図。
【図2】乗降用開閉扉体の外側面説明図(a)と内側面説明図(b)。
【図3】連動機構の説明図。
【符号の説明】
【0032】
A コンバイン
1 走行部
2 車体フレーム
3 キャビン
4 原動機部
5 脱穀部
6 刈取部
30 内側開閉操作体
31 外側開閉操作体
40 連動機構
41 ロック機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体フレーム上に運転部を囲繞するキャビンを設け、同キャビンの側壁に乗降用開閉扉体を設け、同乗降用開閉扉体の近傍に乗降用ステップ体を配設して、同乗降用ステップ体を介してキャビン内の運転部に乗降可能となした農用作業機において、
乗降用開閉扉体の内側面に内側開閉操作体を設ける一方、乗降用開閉扉体の外側面に外側開閉操作体を設けると共に、同外側開閉操作体は、前記乗降用ステップ体の近傍に配置したことを特徴とする農作業機。
【請求項2】
内側開閉操作体は、乗降用開閉扉体の内側面でかつ運転部に設けた運転席の側方に位置する部分に配置し、同内側開閉操作体と外側開閉操作体とを連動機構を介して連動連結すると共に、同連動機構には乗降用開閉扉体を閉塞状態にロックするロック機構を連動連結したことを特徴とする請求項1記載の農作業機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−256421(P2006−256421A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−74835(P2005−74835)
【出願日】平成17年3月16日(2005.3.16)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】