説明

農薬容器

【課題】 農薬製剤の希釈の際に正確に希釈することができる農薬容器を提供する。
【解決手段】 本発明の農薬容器1は、容器部材10と仕切部材11とを有している。容器部材10は内部空間20を有しており液30の充填が可能である。また、仕切部材11は、内部空間20を農薬製剤充填空間26と液充填空間27とに密閉状態に仕切る。そして、所定の操作によって仕切部材11による仕切りを解除し、農薬製剤充填空間26にあらかじめ計量されて充填されている農薬製剤28と、液充填空間27に充填されている液30とを混合して農薬製剤28の希釈を行うことができる。
さらに、吐出手段12により、この希釈された液体の農薬を吐出することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農薬製剤を水などで希釈することが可能な容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、害虫駆除などの目的のため、農薬が用いられている。そして、一般に農薬は散布する際には、有効成分の濃度が所定の範囲となるように調整して散布される。これは、病害虫防除などの効果を高め、作物などへの農薬の影響を小さくするために必要なことである。
【0003】
一方で、使用前に水などで希釈して使用される農薬製剤がある。希釈して使用する農薬製剤の形態には、水和剤、顆粒状水和剤、乳剤、フロアブル剤などの種類がある。これらの農薬製剤は、使用前に希釈して使用するので、減量や減容できるので搬送が有利であり、使用する前に散布現場などにある水などによって希釈することもできる。
また、希釈される水に対して安定性の悪い成分を有する場合には、使用直前に水で希釈せざるを得ないが、このような成分でも製剤化して用いることも場合により可能である。
そして、水などで希釈する農薬製剤を用いる場合には、有効成分の濃度を所定の範囲にするため、正確な割合での希釈が必要となる。
【0004】
家庭菜園やガーデニング用にも、農薬が用いられることがあるが、このような用途の場合には一般に一回の使用量が少量である。そのため、農薬製剤及び水の量が少量となり、正確な計量が難しい。また、この計量の際には質量や容積を測定できる計量器等が必要である。さらに、また正確に測定するのは熟練を要するが、家庭菜園やガーデニング用に農薬を使用する者は、このような作業に不慣れであり、正確に希釈することができない場合があった。
【0005】
そして、このような目的のため、液状農薬を正確に計量することのできる技術が開発されている。(特許文献1)。
【特許文献1】特開2003−26205号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示された計量キャップを用いた場合、目盛りの読み取りが正確であったとしても、使用者の勘違いなどによって、誤った倍率に希釈してしまうおそれがあった。
【0007】
また、農薬製剤を希釈する際に、農薬製剤や希釈後の農薬を触れないようにできれば、安全に作業ができるので望ましい。さらに、希釈後の農薬の吐出をそのままできれば、さらに安全に作業をすることができる。
【0008】
そこで本発明は、農薬製剤を水などを用いて希釈する場合に、正確に希釈できる農薬容器を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そして、上記した目的を達成するための請求項1に記載の発明は、内部空間を有して液の充填が可能な容器部材と、前記内部空間を農薬製剤充填空間と液充填空間とに密閉状態に仕切る仕切部材とを有し、所定の操作によって仕切部材による仕切りを解除し、農薬製剤充填空間に充填されている農薬製剤と液充填空間に充填されている液とを混合して農薬製剤の希釈を行うことが可能であることを特徴とする農薬容器である。
【0010】
請求項1記載の発明によれば、容器部材の内部空間が仕切部材によって農薬製剤充填空間と液充填空間とに密閉状態に仕切られ、所定の操作によって密閉状態の仕切を解除することができるので、農薬製剤充填空間に充填されている農薬製剤と液充填空間に充填されている液とを、内部空間内で混合して農薬製剤の希釈を行うことができる。そのため、計量された農薬製剤を農薬製剤充填空間に充填しておくことにより、使用者が農薬製剤を改めて計量する必要が無く、また使用者が農薬製剤に触れにくく、安全性が高い。
【0011】
請求項2記載の発明は、液充填空間に充填されている液は水を含む液体であり、農薬製剤充填空間に充填されている農薬製剤は水に溶解又は分散させて使用する固形剤であることを特徴とする請求項1記載の農薬容器である。
ここで、「水に溶解又は分散させて使用する固形剤」とは、粉体、顆粒状、錠剤などであって液体状ではない形態であり、水又は水溶液など水を含む液体に対して、溶解や分散させることにより、ほぼ均質な状態とすることができるものであり、例えば水和剤、顆粒状水和剤が包含される。
【0012】
請求項2記載の発明によれば、液充填空間に充填されている液は水を含む液体であり、農薬製剤充填空間に充填されている農薬製剤は水に溶解又は分散させて使用する固形剤であるので、水に対して不安定な成分であって希釈した状態で保存できない成分を用いる場合でも、かかる成分を農薬製剤に配合して、使用する直前に農薬製剤の希釈を行い、希釈した状態で保存せずに農薬として使用することができる。
【0013】
請求項3記載の発明は、内部空間に外に向かって凸状の部分が形成されるように容器部材には突出部が設けられ、農薬製剤充填空間は前記突出部に配置していることを特徴とする請求項1又は2記載の農薬容器である。
【0014】
請求項3記載の発明によれば、農薬製剤充填空間は内部空間の突出部に配置しているので、仕切部材の仕切部分の面積を小さくしながら、農薬製剤充填空間の体積を確保することができる。
【0015】
請求項4記載の発明は、仕切部材には農薬製剤充填空間と液充填空間とに仕切る仕切部と、容器部材の外側に位置している操作部とが設けられており、前記操作部を操作することにより仕切部による仕切を解除するものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の農薬容器である。
【0016】
請求項4記載の発明によれば、仕切部材には仕切部と操作部とが設けられており、操作部を操作することによって仕切部による農薬製剤充填空間と液充填空間との仕切を解除することができ、外部から仕切の解除を行うことができる。
【0017】
請求項5記載の発明は、解除部材が設けられ、前記解除部材は内部空間に位置する解除部と、容器部材の外側に位置する操作部とを有するものであり、前記操作部の操作によって解除部が移動して仕切部材による仕切を解除するものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の農薬容器である。
【0018】
請求項5記載の発明によれば、解除部と操作部とを有する解除部材が設けられ、容器部材の外側に位置する操作部を操作することにより、仕切部材による仕切を解除することができ、外部から仕切の解除を行うことができる。
【0019】
請求項6記載の発明は、容器部材には本体部材と移動部材とが設けられ、前記移動部材は本体部材に対して移動可能であって解除部材が取り付けられており、仕切部材は本体部材に取り付けられ、移動部材の移動操作によって仕切部材による仕切を解除するものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の農薬容器である。
【0020】
請求項6記載の発明によれば、解除部材が取り付けられた移動部材を、本体部材に対して移動させることにより、仕切部材による仕切を解除することができ、外部から仕切の解除を行うことができる。
【0021】
請求項7記載の発明は、容器部材には本体部材と移動部材とが設けられ、前記移動部材は本体部材に対して移動可能であり、仕切部材は本体部材及び移動部材に取り付けられており、移動部材の移動によって仕切部材による仕切を解除するものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の農薬容器である。
【0022】
請求項7記載の発明によれば、仕切部材が本体部材及び移動部材に取り付けられて、移動部材の移動によって仕切部材による仕切を解除することができ、外部から仕切の解除を行うことができる。
【0023】
請求項8記載の発明は、本体部材と移動部材とは螺合していることを特徴とする請求項6又は7記載の農薬容器である。
【0024】
請求項8記載の発明によれば、本体部材と移動部材とは螺合しているので、製作を容易に行うことができ、また、移動部材の移動も確実である。
【0025】
また、容器部材の一部を離脱させて取り外すことにより希釈された農薬製剤を排出するようにしてもよい(請求項9)。
【0026】
さらに、吐出装置を設けて、前記吐出装置によって液により希釈された農薬製剤の吐出を行うようにしてもよい(請求項10)。
【発明の効果】
【0027】
本発明の農薬容器によれば、農薬製剤を水などを用いて希釈する場合に、正確に希釈することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下さらに本発明の具体的実施例について説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態の農薬容器の突出部付近を切り欠いた正面図である。図2(a)は吐出手段の正面図である。図2(b)は容器部材の突出部付近を切り欠いた正面図である。図3は突出部を拡大した斜視図であり、(a)は仕切部材によって仕切っている状態を示した図であり、(b)は仕切部材による仕切を解除した状態の図である。図4は変形例の突出部を拡大した斜視図であり、(a)は仕切部材によって仕切っている状態を示した図であり、(b)は仕切部材による仕切を解除した状態の図である。図5、図6は変形例の突出部を拡大した断面斜視図である。図7は仕切部材による仕切を解除した状態の容器部材の内部を示した部分断面図である。
【0029】
本発明の第1の実施形態の農薬容器1は、図1に示されるように、容器部材10と、容器部材10の内部に設けられている仕切部材11と、吐出手段12を有している。
【0030】
容器部材10は、図2(b)に示されており、内部に液体を入れることができる容器であって、後述する液30を充填することができる。
また、容器部材10には内部空間20と、内部空間20につながる開口22が設けられている。開口22の周囲には雄ねじ部23が設けられ、後述するように、雄ねじ部23によって吐出手段12を装着することができる。
【0031】
容器部材10には外部に向かって突出している突出部25が設けられている。そして、突出部25により内部空間20には凸状の部分が形成され、この部分に仕切部材11が設けられている。
仕切部材11は、内部空間20を2つの空間に分割するように仕切って、農薬製剤充填空間26と液充填空間27とが形成されるものである。そして、農薬製剤充填空間26と液充填空間27との間は仕切部材11によって密閉されており、後述する農薬製剤充填空間26に充填される農薬製剤28や、液充填空間27に充填される液30が仕切部材11を越えて他方の空間に移動することはない。
【0032】
農薬製剤充填空間26は、容器部材10の突出部25と仕切部材11により囲まれる空間であり、液充填空間27よりも小さい空間である。また、液充填空間27には、液30が充填され、農薬製剤充填空間26には、液30によって希釈(溶解、分媒質)して使用する農薬製剤28が充填される。
【0033】
容器部材10の材質は、農薬製剤28や液30や希釈後の液状の農薬に対して耐性を有する樹脂材料などを用いることができる。また、この樹脂材料の一例としては、ポリプロピレン樹脂やABS樹脂が挙げられる。容器部材10が2以上の部材を合わせることにより形成される場合には、各部材の材質は異なる材質としても良い。
【0034】
仕切部材11の材質についても、農薬製剤28や液30や希釈後の液状の農薬に耐性を有する樹脂材料や金属材料などを用いることができる。また、仕切部材11の破壊が容易な厚みの薄いものが望ましい。このため、仕切部材11として、既製のフィルムを用いることができ、具体的には、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルムなどの樹脂フィルム、アルミニウムフィルムなどの金属フィルムなどを用いることができる。
【0035】
仕切部材11は、農薬製剤充填空間26と液充填空間27との間に位置しているが、後述する仕切りを解除する操作を行うまでは、農薬製剤充填空間26と液充填空間27との間は密閉状態で仕切られている。そのため、農薬製剤充填空間26に充填される農薬製剤28が液充填空間27側に移動したり、液充填空間27に充填される液30が農薬製剤充填空間26側に移動したりすることはない。
【0036】
容器部材10の容積は、通常100ml〜3000ml、好ましくは200ml〜1000mlである。また、農薬製剤充填空間26の容積は、通常0.5ml〜50mlであり、農薬製剤28を0.5g〜50g程度充填することができる。
【0037】
吐出手段12は、図2(a)に示されている。そして吐出手段12は具体的には例えばトリガー式のスプレーであり、トリガー32の引き操作を行うと、内部のシリンダー(図示せず)が作動し、チューブ33の先端部33aから内部空間20内の液体を吸い上げて、吐出ノズル31から吐出することができるものである。
また、吐出手段12には、容器部材10の雄ねじ部23と螺合可能な雌ねじ部35が設けられており、容器部材10と吐出手段12とを螺合して内部空間20をほぼ密閉された空間とすることができる。
【0038】
本実施形態の仕切部材11の詳しい形状の一例は、図3(a)、(b)に示されている。このように、仕切部材11は、所定の長さを有する帯状であり、可とう性を有するシート状の部材であり、仕切部11aと操作部11bとを有している。
【0039】
そして、仕切部11aが内部空間20に配置されており、仕切部11aによって、農薬製剤充填空間26と液充填空間27とを仕切っている。仕切部11aの周囲が本体部材10の突出部25の内壁に密着しており、内部空間20を密閉された状態で仕切っている。
また、容器部材10の突出部25には、内部空間20の内外を貫通する貫通孔38が設けられており、この貫通孔38に仕切部材11が挿通されており、操作部11bが露出している。そして、操作部11bを引っ張ることにより、仕切部11aと突出部25の内壁に密着が外れ、又は、仕切部11aが切断されるなどして、農薬製剤充填空間26と液充填空間27とが密閉状態で仕切られている状態を解除することができる。
【0040】
本実施形態の農薬容器1を使用する場合には、まず、農薬製剤充填空間26に農薬製剤28を充填し、液充填空間27に液30を充填する。農薬製剤28は、水和剤、顆粒状水和剤、乳剤、フロアブル剤など、どのような形態の物でもよい。また、液30は、農薬製剤28を希釈する液体であり、通常水が用いられるが、必要に応じて水に所定の薬剤を添加したもの(農薬製剤28の有効成分と異なる農薬有効成分を希釈した液など)や水以外の液体も用いることができる。
また、農薬製剤28の充填量及び液30の充填量は、農薬製剤28を使用する際に希釈する希釈倍率となるような充填量とする。
【0041】
そして、吐出手段12の雌ねじ部35と、容器部材10の雄ねじ部23と螺合して、内部空間20をほぼ密閉する。
【0042】
さらに、図3(b)に示されるように、仕切部材11の操作部11bを引っ張って、仕切部11aの仕切りを解除する。
そうすると、内部空間20の農薬製剤充填空間26と液充填空間27とが一体となり、図7に示されるように、農薬製剤充填空間26に充填されていた農薬製剤28と、液充填空間27に充填されていた液30との混合を行うことができる。
なお、より確実に分散させる場合には、農薬容器1の振とうを行う。
【0043】
農薬製剤28と液30とが混合された農薬を吐出する場合には、吐出手段12のトリガー32を引くことにより行う。そうすると、吐出ノズル31から希釈された農薬を吐出することができる。
【0044】
また、本発明の農薬容器1の販売の際に、あらかじめ正確な充填量の農薬製剤28及び液30を充填しておくことができる。かかる場合には、使用者は計量の必要が無く、正確な希釈率で混合することができ、また、混合の際に使用者が、農薬製剤28や液30に触れるおそれがほとんどない。
また、安定性等の点から希釈した状態で保存できない有効成分が農薬製剤28に含まれている場合に、液30による希釈の直前に希釈を行うことができる。
【0045】
また、仕切部材11による仕切りを解除して、農薬製剤充填空間26と液充填空間27とを一体化する手段は、上記した方法に限られるものではなく、他のものも用いることができる。
【0046】
例えば、図4(a)、(b)に示される構造を有する農薬容器2を用いることができる。農薬容器2の容器部材10は、本体部材10aと移動部材10bとからなり、移動部材10bは突出部25の先端付近に位置している。
【0047】
移動部材10bは有底の円筒体であり、円筒部48と底面部49を有しており、円筒部48の内側は、雌ねじ部48aが設けられている。そして、本体部材10aの開口部80付近には円筒部50が設けられ、円筒部50の外側には雄ねじ部50aを有している。
そして、本体部材10aと移動部材10bとは雄ねじ部50aと雌ねじ部48aとによって螺合しており、移動部材10bを回転することにより、移動部材10bを前進・後退するように移動させることができる。
なお、図5、図6に示される農薬容器3,4の本体部材10a及び移動部材10bについても同様な構造で螺合している。
【0048】
農薬容器2には、仕切部材41と解除部材42が設けられている。仕切部材41は、本体部材10aに設けられ、解除部材42は移動部材10bの底面部49に取り付けられている。
解除部材42は針状の部材であり、先端には尖った解除部42aを有している。また、解除部材42は移動部材10bの前進・後退の移動方向に長い棒状である。
【0049】
そして、移動部材10bを回転させて前進すると、解除部材42と仕切部材41が接近して、解除部材42の解除部42aが仕切部材41に接触する。さらに移動部材10bを前進させると、解除部材42の解除部42aによって、仕切部材41が破壊され、図4(b)に示すように、仕切部材41に貫通孔44が形成されて、農薬製剤充填空間26と液充填空間27とがつながる。
解除部材42の位置は、移動部材10bの回転中心とずれており、解除部42aの軌跡が円状となって、仕切部材41を破壊するものであるが、解除部材42の位置はこれに限られるものでない。
【0050】
また、図5に示される構造を有する農薬容器3を用いることができる。農薬容器3の容器部材10は、本体部材10aと移動部材10bとからなり、移動部材10bは突出部25の先端付近に位置している。本体部材10aと移動部材10bとは螺合しており、移動部材10bを回転することにより、移動部材10bを前進・後退するように移動させることができる。
【0051】
農薬容器3には、仕切部材51と解除部材52が設けられている。仕切部材51は、本体部材10aに設けられ、解除部材52は移動部材10bに設けられた貫通孔53に挿通されるように配置している。
解除部材52には針状の部分であって先端が尖っている解除部52aと、容器部材10の外側に位置している操作部52bを有している。解除部52aは内部空間20側に位置し、また、操作部52bは内部空間20の外側に位置している。
また、移動部材10bの貫通孔53の外側と内側に、抜け止め部材55、56が設けられている。そして、解除部材52は抜け止め部材55、56の間で前進・後退するように移動させることができる。
【0052】
そして、解除部材52を矢印の方向に前進させると、解除部材52と仕切部材51が接近して、解除部材52の解除部52aが仕切部材51に接触する。さらに解除部材52を前進させると、解除部材52の解除部52aによって、仕切部材51が破壊され、農薬製剤充填空間26と液充填空間27とがつながる。
【0053】
さらに、図6に示される構造を有する農薬容器4を用いることができる。農薬容器4の容器部材10は、本体部材10aと移動部材10bとからなり、移動部材10bは突出部25の先端付近に位置している。本体部材10aと移動部材10bとは螺合しており、移動部材10bを回転することにより、移動部材10bを前進・後退するように移動させることができる。
【0054】
農薬容器4には、仕切部材59が設けられている。仕切部材59は、本体部材10aと移動部材10bのいずれもに固定されている。
【0055】
そして、移動部材10bを回転させて前進すると、仕切部材59の本体部材10a側の固定位置57と移動部材10b側の固定位置58の位置関係が変化するので、仕切部材59が変形して破壊する。そうして、農薬製剤充填空間26と液充填空間27とがつながる。
【0056】
また、農薬容器2、3、4においても、吐出手段12を用いて、農薬製剤28が液30によって希釈された液状の農薬を吐出することができるが、移動部材10bを取り外すことによっても、内部空間20の当該液状の農薬を排出することができる。
さらに、農薬容器2、3、4の容器部材10に、密閉状態で仕切っている仕切部材41、51、59を解除するための移動部材10bとは別に、本体部材10aから取り外すことの出来る部分を設けても良い。
そして、この本体部材10aに対して取り外すことが部分を取り外すことより内部空間20の当該液状の農薬を排出するようにしてもよい。また、農薬容器1の容器部材10にも、このような、取り外し可能であって取り外すことにより内部空間20の農薬の排出が可能な部材を設けることができる。
【0057】
上記した実施形態では、仕切部材11、41、51、59自体を破壊して貫通孔や切り欠き部を形成するものであったが、農薬製剤充填空間26と液充填空間27との間の密閉状態を解除して、農薬製剤28や液30の移動が可能となれば他の方法でも良い。例えば、仕切部材11、41、51、59と容器部材10との間との密着部分を引き離す方法でもよい。
【0058】
移動部材10bを本体部材10aから離脱することができるようにして、移動部材10bを取り外し可能とし、農薬製剤28を液30で希釈した液状の農薬を取り出すためのふたとして用いることができる。
また、容器部材10や、容器部材10を構成する本体部材10aや移動部材10bは複数の部材を合わせて形成することができる。この場合、一方の部材を希釈した液状の農薬の保持に用い、他方を着脱可能として、この農薬の取り出しに用いるようにしても良い。
【0059】
上記した実施形態には吐出手段12が設けられていたが、吐出手段12は設けられていないものであってもよい。なお、この場合、他の吐出器や噴霧器に移し替えて吐出や噴霧をすることができる。
【0060】
液30を使用者が充填するようにしても良い。この場合、容器部材10の目盛りを設けることにより、使用者が正確な量の液30を充填するようにすることが容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の第1の実施形態の農薬容器の突出部付近を切り欠いた正面図である。
【図2】(a)は吐出手段の正面図であり、(b)は容器部材の突出部付近を切り欠いた正面図である。
【図3】突出部を拡大した斜視図であり、(a)は仕切部材によって仕切っている状態を示した図であり、(b)は仕切部材による仕切を解除した状態の図である。
【図4】変形例の突出部を拡大した斜視図であり、(a)は仕切部材によって仕切っている状態を示した図であり、(b)は仕切部材による仕切を解除した状態の図である。
【図5】変形例の突出部を拡大した断面斜視図である。
【図6】変形例の突出部を拡大した断面斜視図である。
【図7】仕切部材による仕切を解除した状態の容器部材の内部を示した部分断面図である。
【符号の説明】
【0062】
1、2、3、4 農薬容器
10 容器部材
10a 本体部材
10b 移動部材
11、41、51、59 仕切部材
11a 仕切部
11b 操作部
12 吐出手段
20 内部空間
25 突出部
26 農薬製剤充填空間
27 液充填空間
28 農薬製剤
30 液
42、52 解除部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部空間を有して液の充填が可能な容器部材と、前記内部空間を農薬製剤充填空間と液充填空間とに密閉状態に仕切る仕切部材とを有し、所定の操作によって仕切部材による仕切りを解除し、農薬製剤充填空間に充填されている農薬製剤と液充填空間に充填されている液とを混合して農薬製剤の希釈を行うことが可能であることを特徴とする農薬容器。
【請求項2】
液充填空間に充填されている液は水を含む液体であり、農薬製剤充填空間に充填されている農薬製剤は水に溶解又は分散させて使用する固形剤であることを特徴とする請求項1記載の農薬容器。
【請求項3】
内部空間に外に向かって凸状の部分が形成されるように容器部材には突出部が設けられ、農薬製剤充填空間は前記突出部に配置していることを特徴とする請求項1又は2記載の農薬容器。
【請求項4】
仕切部材には農薬製剤充填空間と液充填空間とに仕切る仕切部と、容器部材の外側に位置している操作部とが設けられており、前記操作部を操作することにより仕切部による仕切を解除するものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の農薬容器。
【請求項5】
解除部材が設けられ、前記解除部材は内部空間に位置する解除部と、容器部材の外側に位置する操作部とを有するものであり、前記操作部の操作によって解除部が移動して仕切部材による仕切を解除するものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の農薬容器。
【請求項6】
容器部材には本体部材と移動部材とが設けられ、前記移動部材は本体部材に対して移動可能であって解除部材が取り付けられており、仕切部材は本体部材に取り付けられ、移動部材の移動操作によって仕切部材による仕切を解除するものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の農薬容器。
【請求項7】
容器部材には本体部材と移動部材とが設けられ、前記移動部材は本体部材に対して移動可能であり、仕切部材は本体部材及び移動部材に取り付けられており、移動部材の移動によって仕切部材による仕切を解除するものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の農薬容器。
【請求項8】
本体部材と移動部材とは螺合していることを特徴とする請求項6又は7記載の農薬容器。
【請求項9】
容器部材の一部を離脱させて取り外す部分を有し、当該部分を取り外すことにより希釈された農薬製剤を排出することができることを特徴とする請求項1〜8のいずれか記載の農薬容器。
【請求項10】
吐出装置が設けられ、前記吐出装置によって液により希釈された農薬製剤の吐出を行うことができることを特徴とする請求項1〜9のいずれか記載の農薬容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−1610(P2006−1610A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−181576(P2004−181576)
【出願日】平成16年6月18日(2004.6.18)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】