近接ヘッドにより供給される泡の閉じ込め
【解決手段】一実施形態において、リニア・ウエットシステムは、チャンバ内に、キャリアと近接ヘッドとを備える。近接ヘッドは、直線的に配置される3つの部分を含む。第1の部分は、キャリアによって近接ヘッドの下を半導体ウエハが移送される際に、ウエハの上部表面から液体を吸引する。第2の部分は、非ニュートン流体である洗浄泡の膜(すなわち、メニスカス)をウエハの上部表面上に形成する。第3の部分は、近接ヘッドの下をさらにウエハが移動する際に、すすぎ流体の膜をウエハの上部表面上に形成する。第3の部分は、第1の部分に至るまで、部分的に、第2の部分の周囲に伸長するように規定され、第3の部分と第1の部分とで、チャンバに対して洗浄泡の閉じ込め部を形成する。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
半導体のデバイススケーリングの進歩により、アスペクト比の増大と同時に、半導体デバイスのフィーチャが小さくなってきている。したがって、半導体デバイス構造は、湿式洗浄及び乾燥による損傷を受けやすくなっている。半導体製造の処理フローで新しい物質を使うことにより、このような損傷を受ける可能性が増大する。
【0002】
湿式洗浄及び乾燥技術における損傷の受けやすさ及びその他の問題点を解決するために、機械的洗浄及び化学的洗浄を利用して、半導体デバイス構造に損傷を与えることなく、残留物を選択的に除去するシステムが開発されている。このシステムは、約2、3秒の露出時間内に洗浄流体をウエハに供給するように構成された一対の対向する近接ヘッドの間で、1枚の半導体ウエハを直線的に移動させる。
【0003】
ある実施形態において、対向する近接ヘッドによって供給される洗浄流体は、(a)窒素(N2)等の気体と、(b)水及び界面活性剤を含有する流体と、を機械的に混合することによって生成される泡状で高粘度の非ニュートン流体である。たとえば、「洗浄化合物並びに洗浄化合物の使用方法及びシステム(Cleaning Compound and Method and System for Using the Cleaning Compound)」という名称で2006年2月3日に出願された米国公開特許No.2006/0128600、「制御されたメニスカスで液体の分離を維持するシステム、方法及び装置(System, Method and Apparatus for Maintaining Separation of Liquids in a Controlled Meniscus)」という名称で2007年6月19日に出願された米国特許出願No.11/820,590、及び「基板を洗浄するための泡の生成装置(Generator for Foam to Clean Substrate)」という名称で2008年8月4日に出願された米国特許出願No.12/185,780を参照のこと。
【0004】
半導体ウエハ上に泡(フォーム)を付着させる際に、システムのチャンバ内に界面活性剤が流出すると、流出した界面活性剤が乾燥して固体となり、システムでその後に処理される半導体ウエハを汚染する結果となる。したがって、システムにより半導体ウエハ上に洗浄泡(クリーニングフォーム)を付着させる際に洗浄泡を閉じ込めるための安価で効果的な手段が必要とされている。ただし、後述する請求の範囲に記載される本発明は、このような特定の用途に限られるものではなく、以下の詳細な説明及び図面から明らかなように、広範囲な用途に適用可能である。
【発明の概要】
【0005】
一実施形態において、リニア・ウエットシステムは、チャンバ内に、キャリアと近接ヘッドとを備える。キャリアはピンを備え、半導体ウエハがシステム内を移動する際に、半導体ウエハの両面が露出するように半導体ウエハをピン上に載置する。近接ヘッドは、キャリアの上、キャリアの下、又はキャリアの両側のいずれに配置されるものでもよい。この実施形態において、近接ヘッドは、直線的に配置される3つの部分を含むものとしてもよい。第1の部分は、近接ヘッドの下をウエハが移動する際に、ウエハの上部表面から液体を吸引する。第2の部分は、第1の部分に隣接し、近接ヘッドの下をウエハがさらに移動する際に、洗浄泡(クリーニングフォーム)の膜(すなわち、メニスカス)をウエハの上部表面上に形成する。第3の部分は、第2の部分に隣接し、近接ヘッドの下をさらにウエハが移動する際に、すすぎ流体の膜(すなわち、メニスカス)をウエハの上部表面上に形成する。この実施形態では、第3の部分は、第1の部分に至るまで、部分的に第2の部分の周囲に伸長するように規定され、第3の部分と第1の部分とで、第2の部分内に洗浄泡の閉じ込め部を形成する。
【0006】
別の実施形態において、リニア・ウエットシステムは、チャンバ内に、キャリアと近接ヘッドとを備える。キャリアはピンを備え、半導体ウエハがシステム内を移動する際に、半導体ウエハの両面が露出するように半導体ウエハをピン上に載置する。近接ヘッドは、キャリアの上、及び/又は、キャリアの下のいずれに配置されるものでもよい。この実施形態において、近接ヘッドは、直線的に配置される2つの部分を含むものとしてもよい。第1の部分は、近接ヘッドの下をウエハが移動する際に、ウエハの上部表面から液体を吸引する。第2の部分は、第1の部分に隣接し、近接ヘッドの下をウエハがさらに移動する際に、洗浄泡の膜(すなわち、メニスカス)をウエハの上部表面上に形成する。この実施形態では、洗浄泡を取り囲む吸引障壁が、チャンバ内への洗浄泡の流出を防ぐ役割を果たす。
【0007】
さらに別の実施形態において、リニア・ウエットシステムの自動化方法は、3つの処理工程を備える。第1の処理工程では、近接ヘッドの第1の部分が、チャンバ内の近接ヘッドの下を半導体ウエハがキャリアによって移送される際に、ウエハの上部表面から液体を吸引する。第2の処理工程では、第1の部分に隣接する近接ヘッドの第2の部分が、近接ヘッドの下をウエハがさらに移動する際に、洗浄泡の膜(すなわち、メニスカス)をウエハの上部表面上に形成する。第3の処理工程では、第2の部分に隣接する近接ヘッドの第3の部分が、近接ヘッドの下をさらにウエハが移動する際に、すすぎ流体の膜(すなわち、メニスカス)をウエハの上部表面上に形成する。この実施形態では、第3の部分は、第1の部分に至るまで、部分的に第2の部分の周囲に伸長するように規定され、第3の部分と第1の部分とで、第2の部分内に洗浄泡の閉じ込め部を形成する。
【0008】
本発明の効果は、添付の図面を参照して、本発明の原理を例示する以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1A】半導体ウエハ上に流体を付着させる一対の近接ヘッドを備えるリニア・ウエットシステムの一実施例を示す概略図。
【0010】
【図1B】実施例のリニア・ウエットシステムにおけるキャリア及び近接ヘッドを上から見た概略図。
【0011】
【図2】実施例のリニア・ウエットシステムにおける各部を上から見た図。
【0012】
【図3】実施例のリニア・ウエットシステムにおけるキャリア及び近接ヘッドを示す斜視図。
【0013】
【図4】実施例のリニア・ウエットシステムにおける1対の近接ヘッドを示す斜視図。
【0014】
【図5】実施例のAMCヘッドの各部を示す概略図。
【0015】
【図6】実施例のAMCヘッドにおける各部の断面を示す概略図。
【0016】
【図7】実施例のAMCヘッドによって付着される洗浄流体(たとえば、P3)の偏向流の断面を示す概略図。
【0017】
【図8】実施例のAMCヘッドに関係する寸法を示す概略図。
【0018】
【図9】実施例のAMCヘッドによって付着される洗浄流体(たとえば、P3)の流れのせん断速度を示す概略図。
【0019】
【図10】実施例のAMCヘッドの処理面と処理面の裏側の背面とを示す概略図。
【0020】
【図11】実施例のAMCヘッドの断面における2種類のフィーチャを示す概略図。
【0021】
【図12】実施例のAMCヘッドにおける貯留部を示す概略図。
【0022】
【図13】実施例のAMCヘッドの貯留部における流れを示す概略図。
【0023】
【図14】実施例のAMCヘッドにおける孔部からの/孔部へのダウンフィードを示す概略図。
【0024】
【図15】実施例のリニア・ウエットシステムにおいて洗浄流体(たとえば、P3)を閉じ込める方法の各処理工程を示すフローチャート。
【0025】
【図16】実施例のAMCヘッドにおける閉じ込めメニスカスを示す図。
【0026】
【図17】別の実施例のAMCヘッドにおける減圧閉じ込め部を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下の説明において、さまざまな具体的な詳細は、実施例の理解を助けるためのものである。当業者には自明のことであるが、これらの具体的な詳細の一部を省略しても、実施例を実現することが可能である。また、周知の技術に関しては、実施の詳細や処理操作の詳細は説明しない。
【0028】
図1Aは、半導体ウエハ上に洗浄流体を付着させる一対の近接ヘッドを備えるリニア・ウエットシステムの一実施例を示す概略図である。図1Aにおいて、リニア・ウエットシステム100は、上部近接ヘッド104と、下部近接ヘッド103と、を備える。各近接ヘッドは、流体メニスカス105を形成し、半導体ウエハ102がキャリア101により流体メニスカス105内を直線的に移動する。キャリア101はピンを備え、半導体ウエハは、ウエハの両面が露出するように、ピン上に載置される。実施例において、流体メニスカス105を形成する流体は、気体(窒素等)と流体(ミセル形成可能な脂肪酸等の界面活性剤を含有する水溶液)とを米国特許出願No.12/185,780に記載される生成装置内で機械的に混合することにより形成される泡(フォーム)である。上記出願に記載されるように、用語「P2」は、生成装置に供給される流体内に存在する2相の物質、たとえば、液体水と固体界面活性剤、を意味する。また、用語「P3」は、生成装置により生成される泡内に存在する3相の物質、たとえば、液体水と固体界面活性剤と気体窒素(N2)、を意味する。実施例において、P3は、高粘度(200〜2000cP(センチポアズ)の範囲)の非ニュートン流体である。P3の液圧特性は、水等の典型的なニュートン流体の液圧特性と根本的に異なっている。P3は、一般的に言えば、せん断速度の増大と共に流体粘度が減少する(たとえば、「せん断希釈化」される)疑似塑性物質であればよい。
【0029】
流体メニスカス105にP3が閉じ込められていないため、当然のことながら、キャリア101と近接ヘッド103及び104とを収容するチャンバ内にP3が流出することがない。ここで、P3は、乾燥すると、リニア・ウエットシステム内の汚染物質として固体界面活性剤を放出する可能性がある。実施例において、固体界面活性剤として、たとえば、ステアリン酸を用いることができるが、米国公開特許No.2006/0128600に記載されているように、他の脂肪酸を代わりに用いることもできる。代わりに用いられる他の脂肪酸の例としては、ラウリン酸、パルミチン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、ガドレイン酸、エルカ酸、酪酸、カプロン酸、カプリル酸、ミリスチン酸、マルガリン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、ネルボン酸、パリナリン酸、エイコサペンタエン酸(チムノドン酸)、ブラシジン酸及びイワシ酸(クルパノドン酸)が挙げられ、これら他の脂肪酸のいずれかを単独で用いても、また、これら他の脂肪酸同士の組み合わせ、又は、ステアリン酸と他の脂肪酸との組み合わせで用いてもよい。
【0030】
図1Bは、実施例のリニア・ウエットシステムにおけるキャリア及び近接ヘッドを上から見た概略図である。この図に示すように、上述したキャリア101は、リニア・ウエットシステム100内で、上部近接ヘッド104下に配置される一対のトラック103に沿って、半導体ウエハ102を移動させる。この実施例では、上部近接ヘッド104は、5つのヘッド部、すなわち、(a)必要に応じて設けられ、すすぎ及び/又は吸引及び/又は乾燥を実施可能な調整ヘッド105と、(b)P3を付着及び吸引するAMC(Advanced Mechanical Cleaning;高度機械洗浄)ヘッド106と、(c)他の化学洗浄流体を付着及び吸引する2つのC3(Confined Chemical Cleaning:閉じ込め化学洗浄)ヘッド107a及び107bと、(d)すすぎ及び/又は吸引及び/又は乾燥を実施可能な出口ヘッド108と、を含む。
【0031】
図2は、実施例のリニア・ウエットシステムにおける各モジュールを上から見た図である。図2に示すように、リニア・ウエットシステム100は、3つのモジュール、すなわち、(1)導入モジュール110と、(2)化学処理モジュール111と、(3)排出モジュール112と、を含む。化学処理モジュール110は、上述したように、5つのヘッド部105、106、107a、107b及び108を有する上部近接ヘッド104を備える。実施例では、化学処理モジュール111が、さらに、図示しない下部近接ヘッド103を備えるようにしてもよい。図示されている状態では、半導体ウエハ102を載置したキャリア101が、排出モジュール112に位置する。また、導入モジュール110と、化学処理モジュール111と、排出モジュール112と、がチャンバ109内に収容されている様子も図2に示されている。
【0032】
図3は、実施例のリニア・ウエットシステムにおけるキャリア及び近接ヘッドを示す斜視図である。図3に示すように、キャリア101は、導入モジュール110から排出モジュール112に半導体ウエハ102を移送する。ウエハ102は、2つのヘッド部、すなわち、調整ヘッド105及びAMCヘッド106、を含む近接ヘッド104の下を通過する。上述した他のヘッド部は図示されていないが、実施例の近接ヘッド104が他のヘッド部をさらに備える構成でもよい。
【0033】
図4は、実施例のリニア・ウエットシステムにおける1対の近接ヘッドを示す斜視図である。上部近接ヘッド104と下部近接ヘッド103の両方が図示されている。実施例では、上部近接ヘッドは、洗浄しやすいように簡単に取り外し可能なP3生成部113を備える。この詳細に関しては、米国特許出願No.12/185,780に記載されている。実施例において、P3生成部113が、供給部114を介してP2(たとえば、水とステアリン酸)の供給を、また、供給部115を介して気体(たとえば、窒素N2)の供給を受け、図示しない密閉型らせん流路内でP2と気体とを混合することによりP3を生成するような構成でもよい。
【0034】
図5は、実施例のAMCヘッドの各部を示す概略図である。図5に示すように、AMCヘッド106は、以下に詳述するように、P3をヘッド106内で上方に吸引することによりシステムのチャンバ内へのP3の流出を防ぐ先端空気閉じ込め部を形成する構造を有する(一点鎖線で示す)第1の部分116を備える。実施例では、P3が、濡れた表面上よりも乾いた表面上で、洗浄流体としてより効果的に機能する場合もあるため、第1の部分116を備えることにより、半導体ウエハ表面へのP3の塗布が容易になる。図5に示すように、第1の部分116は、半導体ウエハがリニア・ウエットシステム内を移送される際に最初に通過するAMCヘッド106の部分である。AMCヘッド106は、さらに、2つのP3ゾーン117(P3ゾーン2)と118(P3ゾーン1)とを含む(点線で示す)第2の部分を備える。この2つのP3ゾーン117及び118において、ヘッド106は、(部分的減圧を利用して)ウエハ上にP3を付着させ、また、ウエハからP3を吸引する。実施例において、P3ゾーン117に付着されるP3は、P3ゾーン118に付着されるP3と組成が異なるものでもよい。たとえば、気体(たとえば、窒素N2)に対するP2の相対的割合が異なるものでもよい。複数のP3ゾーンを備えることにより、ある主固定的なリニア・ウエットシステムの変動や制御が可能になる。
【0035】
図5に示すAMCヘッド106は、さらに、脱イオン水(DIW:deionized water)を流すことにより形成される閉じ込めメニスカスを形成する構造を含む(実線で示す)第3の部分119を備える。図示されるように、第3の部分119は、第1の部分116に至るまで、第2の部分(すなわち、P3ゾーン117及び118)の周囲に伸長して、第2の部分を流れるP3の閉じ込め部を形成する。実施例では、半導体ウエハを挿入する前に、上部近接ヘッド104と下部近接ヘッド103とが、対応及び隣接する脱イオン水DIW閉じ込めメニスカスと先端空気閉じ込め部とを形成するようにしてもよい。第3の部分119の詳細を、概略拡大図119abcに示す。この拡大図に示すように、第3の部分119が、半導体ウエハの表面上に脱イオン水DIW等のすすぎ流体を付着させる内部導入流路と、(たとえば、部分的減圧を利用して)ウエハ表面からすすぎ流体を吸引除去する内側戻り(IR)流路と外側戻り(OR)流路と、を備える構成でもよい。
【0036】
図6は、実施例のAMCヘッドにおける各部の断面を示す図である。図6は、図5のA−A断面図に対応する。図6に示すように、第1の部分116が減圧されて、AMCヘッド106内にP3が吸引される。前述したように、また、この図に示すように、第1の部分116は、半導体ウエハがリニア・ウエットシステム内を移送される際に最初に通過するAMCヘッドの部分である。ウエハは、第1の部分116を通過した後、第2の部分のP3ゾーン2に送られる。P3ゾーン2では、AMCヘッド106は、導入流路117aから戻り流路117bにP3を流す。次に、ウエハは、P3ゾーン2を通過した後、第2の部分のP3ゾーン1に送られる。P3ゾーン1では、AMCヘッド106は、導入流路118aから戻り流路118bにP3を流す。前述したように、実施例において、P3ゾーン1におけるP3の組成は、P3ゾーン2におけるP3の組成と異なるものでもよい。ウエハは、P3ゾーン1を通過した後、第3の部分に送られる。第3の部分では、AMCヘッド106は、導入流路119bから外側戻り流路OR119a及び内側戻り流路IR119cに脱イオン水DIWを流す。実施例において、第3の部分で(たとえば、導入流路から外側戻り流路OR及び内側戻り流路IRに流れる脱イオン水DIWにより形成される)メニスカスからウエハが排出される際に、ウエハが濡れていてもよい。化学処理モジュール111に関して前述したように、第3の部分を通過後に、ウエハがさらに他のメニスカスや部分的減圧部に送られるようにしてもよい。
【0037】
図6に、さらに、以下に詳述するように、P3の流れが導入流路118aを通ってAMCヘッド106から排出される際に、P3の流れを偏向させる偏向端部120aを示す。導入流路118aを通って付着されたP3の一部は、内側戻り流路119cを通って戻る。すなわち、内側戻り流路119cは、「混合内側戻り流路」として機能する。
【0038】
図7は、実施例のAMCヘッドにより付着される洗浄流体(たとえば、P3)の偏向流の断面を示す概略図である。図6に円で囲んだ領域、すなわち、偏向端部120aを含む領域を図7に示す。図7に示すように、偏向端部120aは、導入流路118aからP3メニスカス121内に流入するP3の流れを偏向させる。P3メニスカス121では、偏向端部120aとこれに対向する偏向端部(図6に示す偏向端部120b)とにより、環状流が形成される。さらに、図7に示すように、所定流量のP3が、偏向端部120aの左側に流れて、AMCヘッドの第3の部分の内側戻り流路119c内に流入する。このように内側戻り流路119c内に流入するP3の流量は、P3メニスカス内で環状流を形成し、最終的に、戻り流路118b内に流入するP3の流量と比べて少ない。
【0039】
偏向端部120aは、半導体ウエハ表面へのP3の直接下降流によるウエハの損傷を防ぐ働きをする。さらに、偏向端部120aとこれに対向する偏向端部120bとにより、環状流が形成され、P3メニスカス121の物理的な閉じ込めを行なう。このような物理的な閉じ込めにより、脱イオン水DIW閉じ込めメニスカス内への脱イオン水DIWの吸引に関与する「混合内側戻り流路」119cへのP3の流れが減少する。
【0040】
さらに、P3の流れに関する速度(mm/秒単位)を図7に示す。半導体ウエハは、図の左側に向かって(図6参照)、約20mm/秒の速度で移動する。実施例において、P3は、5〜30mm/秒の範囲の速度で、導入流路118a内を偏向端部120aに達するまで流れる。この地点で、P3の主流の速度は、25〜45mm/秒の範囲まで増大する。P3の主流は、増大した速度のまま、第3の部分における内側戻り流路119cに向かって左向きに流れる。P3メニスカス121に流れ込む際に、P3の主流の速度は15〜30mm/秒の範囲まで低下する。さらに、(図示しない)対向する偏向端部120bによって、P3の流れが偏向されて、P3メニスカスの環状流に戻されるため、P3の速度が、さらに、0〜15mm/秒の範囲まで低下する。
【0041】
図8は、実施例のAMCヘッドに関係する寸法を示す概略図である。この図は、上部近接ヘッド104のAMCヘッドと下部近接ヘッド103のAMCヘッドとの間に半導体ウエハ102が位置する様子を示す。図示するように、(脱イオン水DIW閉じ込め部を形成する)外側戻り流路119aにおけるウエハ102とAMCヘッドとの間の間隔は、約2.25mmである。脱イオン水DIW導入流路119b(及び「混合」内側戻り流路119c)におけるウエハ102とAMCヘッドとの間の間隔は、約0.75mmである。すなわち、実施例において、第3の部分に関する「プロセスギャップ」は、0.75mmである。偏向端部120aにおける(たとえば、P3ゾーン1の導入流路118aにおける)ウエハ102とAMCヘッドとの間の間隔は、約0.5mmである。(P3ゾーン1に関する)P3メニスカス121上のウエハ102とAMCヘッドとの間の間隔は、約2mmである。すなわち、実施例において、P3メニスカスに関する「プロセスギャップ」は2mmである。この図に示すように、下部AMCヘッドの(明示されていない)導入流路及び上部AMCヘッドの(明示されていない)導入流路からP3が流れるようにしてもよい。
【0042】
図9は、実施例のAMCヘッドにより付着される洗浄流体(たとえば、P3)の流れのせん断速度を示す概略図である。図示するように、せん断速度の測定単位は、秒の逆数である1/s(すなわち、1/秒)である。2つの隣接するP3ゾーン117(P3ゾーン2)及び118(P3ゾーン1)のせん断速度を示す。実施例において、2つの隣接するP3ゾーンの各々が、もう一方のせん断速度に影響を与えるものでもよい。実施例では、図示するように、リニア・ウエットシステム内を移動する半導体ウエハが、P3ゾーン118の前にP3ゾーン117に入る構成でもよい。
【0043】
P3ゾーン117では、P3は、導入流路117aから、AMCヘッドの底部を通って、戻り流路117bに流れ込む。同様に、P3ゾーン118では、P3は、導入流路118aから、AMCヘッドの底部を通って、戻り流路118bに流れ込む。図示するように、導入流路近傍におけるP3のせん断速度は、175〜275/秒の範囲である。P3のせん断速度は、P3がAMCヘッドの底部に広がる際に50〜175/秒の範囲まで低下し、その後、戻り流路に近付くと125〜225/秒の範囲まで増大する。
【0044】
P3ゾーン117及び118の導入流路及び戻り流路のジグザグ配置及び大きさの両方の要因により、せん断速度に対して緩やかで方向性のない放射状の流れパターンがウエハ表面上に形成される。このような放射状の流れパターンにより、ウエハ上の構造への損傷を防ぐような優先的な方向を持つことなく、ウエハ表面上にP3が付着される。
【0045】
図10は、実施例のAMCヘッドの処理面と処理面の裏側の背面とを示す概略図である。前述したAMCヘッド106の断面が図示されている。AMCヘッド106は、第1の部分116と、P3を付着させる導入流路118aと、脱イオン水DIWを付着させる導入流路119bと、を備える。さらに、AMCヘッド106の処理面122も図示されている。処理面122は、リニア・ウエットシステムによって処理されている半導体ウエハの表面に最も近いヘッド表面である。説明のために、処理面122全体の中央部及び2つの端部を備える合成処理面124も示す。処理面122及び合成処理面124は、先端空気閉じ込め部を形成する構造と、2つのP3ゾーンと、(a)先端空気閉じ込め部に至るまで2つのP3ゾーンの周囲に伸長する構造であって(b)導入流路から外側戻り(OR)流路及び内側戻り(IR)流路に流れる脱イオン水DIWメニスカスを形成する脱イオン水DIW閉じ込め部を形成する構造と、を備えるという観点において、図5に示すAMCヘッド106と同様のものである。図10に、さらに、前述したように、(a)P3ゾーン内でのP3メニスカスの閉じ込めに役立ち、(b)半導体ウエハの表面上へのP3の直接流を防ぐ働きをする、2つのP3ゾーンの間に設けられた偏向端部120bも図示する。
【0046】
さらに、図10に、AMCヘッド106の処理面122の裏側の背面123を示す。説明のために、背面123全体の中央部及び2つの端部を含む合成背面125も示す。合成背面125は、(a)導入流路118aに流れ込む後述する貯留部126と、(b)戻り流路118bと、を備える。(せん断速度に関する)図9に示すように、P3は、導入流路118aから戻り流路118bに流れる。
【0047】
図11は、実施例のAMCヘッドの断面における2種類のフィーチャを示す概略図である。前述したAMCヘッド106の断面が図示されている。AMCヘッド106は、第1の部分116と、P3を付着させる導入流路117aと、P3を付着させる導入流路118aと、脱イオン水DIWとP3とを吸引する「混合」内側戻り流路119cと、脱イオン水DIWを付着させる導入流路119bと、脱イオン水DIWを吸引する外側戻り流路119aと、を備える。また、AMCヘッド106にP3や脱イオン水DIWを供給したり、AMCヘッド106を吸引したりする孔部も図示する。孔部126は、第1の部分116を吸引する(たとえば、減圧部VAC)。孔部127a及び127bは、それぞれ、P3ゾーン1及びP3ゾーン2にP3を供給する。孔部129は、脱イオン水DIWを供給して、第3の部分に脱イオン水DIW閉じ込め部を形成する。IR(内側戻り流路用)孔部128及びOR(外側戻り流路用)孔部130は、脱イオン水DIW閉じ込め部から脱イオン水DIWを吸引する。他の部分で説明したように、IR孔部128は、さらに、P3ゾーン1に付着されたP3の一部を吸引する。
【0048】
図11に、処理面122と処理面の裏側の背面123との間の結合線(たとえば、熱溶融による)も示す。さらに、2種類のフィーチャA及びBも図11に示す。フィーチャAは、図10に示す貯留部126のように、P3を付着させるのに用いる貯留部を形成する。フィーチャBは、孔部(たとえば、孔部126、128、129又は130)とそれに対応する導入流路及び戻り流路との間のダウンフィードを形成する。
【0049】
図12は、実施例のAMCヘッドにおける貯留部を示す概略図である。この図は、AMCヘッド106における処理面の裏側の背面123の斜視図である。図示するように、背面123は、孔部(たとえば、図11に示す孔部127a及び127b)から流れて、AMCヘッド106の処理面上でP3メニスカスを形成するP3を収容する複数の貯留部(たとえば、貯留部126)を備える。同様の貯留部を図10にも図示した。
【0050】
図13は、実施例のAMCヘッドの貯留部における流れを示す概略図である。図13に示すように、AMCヘッドの貯留部126には、供給路131からP3が供給され、導入流路118a、132a及び132bを通ってP3が流れ、P3メニスカスを形成するまでの間、供給されたP3はAMCヘッドの貯留部126に保持される。供給路131は、P3孔部(たとえば、図11に示す孔部127a及び127b)に連通する。導入流路132a及び132bは図9や図10でも識別可能に図示されているが、実際には、導入流路132a及び132bは、導入流路118aと比べて小さい。
【0051】
また、図13に、P3が供給路131から貯留部を通って導入流路118a、132a及び132bに流れる際のP3の速度の大きさも(m/秒単位で)示す。供給路131近傍では、P3の速度の大きさは、0.02〜0.08の範囲である。P3が供給路131から離れると、P3の速度の大きさは0.08〜1.2の範囲まで増大し、その後、0.02〜0.07の範囲まで減少する。貯留部の中央付近では、P3の速度の大きさは、0〜0.04の範囲であり、その後、P3が導入流路(たとえば、118a、132a及び132b)に近付くにつれて、0.06〜0.11の範囲まで増大する。
【0052】
図14は、実施例のAMCヘッドにおいて、孔部からの/孔部へのダウンフィードを示す概略図である。図示するように、AMCヘッド106の孔部130(たとえば、OR(外側戻り流路用)孔部)は、戻り流路119aを介して、メニスカスから流体(たとえば、脱イオン水DIW閉じ込め部から脱イオン水DIW)を吸引する。この図に示すように、均一な戻り流の形成を容易にするように、戻り流路119aから孔部130に入るダウンフィードの大きさ、数及び位置を選択する。たとえば、孔部130の減圧源(たとえば、図の左側)から離れるにつれて、AMCヘッドの遠位端部(たとえば、図の右側)に向かうダウンフィードがだんだん大きくなる。戻り流路用孔部ではなく、供給流路用孔部におけるダウンフィードの大きさ、数及び位置に関して、同様の選択を行なうようにしてもよい。図14に示すダウンフィードは、図11に示すフィーチャBに対応する。
【0053】
図15は、実施例のリニア・ウエットシステムにおいて洗浄流体(たとえば、P3)を閉じ込める方法の各処理工程を示すフローチャートである。第一の処理工程1501では、リニア・ウエットシステムは、AMCヘッドの第1の部分の下をキャリアによって基板(たとえば、半導体ウエハ)が移送される際に、基板の上部表面上に残留する液体を吸引する。前述したように、実施例において、この処理を先端空気閉じ込め部を形成する構造により実行するようにしてもよい。次の処理工程1502では、リニア・ウエットシステムは、AMCヘッドの第2の部分の下を基板が移動する際に、基板の上部表面上に洗浄泡(クリーニング・フォーム)の膜(すなわちメニスカス)を形成する。前述したように、実施例において、この洗浄泡は、たとえば、P3であり、リニア・ウエットシステムのチャンバ内に流出すると、乾燥して汚染物質となる。また、実施例において、この処理をP3ゾーンにより実行するようにしてもよい。次の処理工程1503では、リニア・ウエットシステムは、AMCヘッドの第3の部分の下を基板が移動する際に、基板の上部表面上にすすぎ流体の膜を形成する。ここで、第3の部分は、第1の部分に至るまで、部分的に第2の部分の周囲に伸長するように規定され、第3の部分と第1の部分とで、第2の部分内に洗浄泡の閉じ込め部を形成する。前述したように、実施例において、この処理を脱イオン水DIW閉じ込め部により実行するようにしてもよい。さらに前述したように、この処理は、リニア・ウエットシステムのチャンバ内への洗浄泡の流出を防ぐ目的で実施される。
【0054】
図16は、実施例のAMCヘッドにおける閉じ込めメニスカスを示す図である。この図は、図5に示すAMCヘッドの概略図と同様の図である。図示するように、第1の部分116は、リニア・ウエットシステム内を半導体ウエハが移送される際に最初に通過するAMCヘッド106の部分である。実施例では、第1の部分116は、ウエハの表面から流体を吸引して、隣接するP3ゾーン117内でウエハ表面上を流れるP3メニスカスの境界を形成する。図16に示すAMCヘッド106は、ウエハ表面上にP3を付着させ、また、P3を吸引する第2のP3ゾーン118を備える。ウエハは、第2のP3ゾーン118を通過後、脱イオン水DIW閉じ込め部119に送られる。脱イオン水DIW閉じ込め部119において、AMCヘッド106は、第1の部分116に至るまで2つのP3ゾーンの周囲に伸長する脱イオン水DIWメニスカスによって、ウエハのすすぎを行なう。
【0055】
図17は、別の実施例のAMCヘッドにおける減圧閉じ込め部を示す図である。図示するように、この実施例でも、第1の部分116は、リニア・ウエットシステム内を半導体ウエハが移送される際に最初に通過するAMCヘッド106の部分である。実施例では、第1の部分116は、ウエハの表面から流体を吸引して、隣接するP3ゾーン117内でウエハ表面上を流れるP3メニスカスの境界を形成する。図16に示すAMCヘッド106は、ウエハ表面上にP3を付着させ、また、P3を吸引する第2のP3ゾーン118を備える。ウエハは、第2のP3ゾーン118を通過して、第1の部分116に至るまで2つのP3ゾーンの周囲に伸長する内側戻り流(IR)減圧閉じ込め部135を形成する構造に送られる。この実施例では、AMCヘッド106は、脱イオン水DIWメニスカスを形成しない構成でもよいし、又は反対に、脱イオン水DIWでウエハ表面をすすぐような構成でもよい。
【0056】
以上、本発明の理解を助ける目的で、各実施例を詳細に説明したが、以下の特許請求の範囲に記載される本発明の要旨を逸脱しない範囲で、さまざまに変形および変更可能である。たとえば、AMCヘッドが、P3等の高粘度の非ニュートン泡状流体(フォーム)以外の流体を閉じ込めるような構成でもよい。したがって、上記の実施例は、例示に過ぎず、何ら本発明を実施例の詳細に限定するものではない。以下の特許請求の範囲及びその等価の範囲内で、本発明はさまざまに変形可能である。
【背景技術】
【0001】
半導体のデバイススケーリングの進歩により、アスペクト比の増大と同時に、半導体デバイスのフィーチャが小さくなってきている。したがって、半導体デバイス構造は、湿式洗浄及び乾燥による損傷を受けやすくなっている。半導体製造の処理フローで新しい物質を使うことにより、このような損傷を受ける可能性が増大する。
【0002】
湿式洗浄及び乾燥技術における損傷の受けやすさ及びその他の問題点を解決するために、機械的洗浄及び化学的洗浄を利用して、半導体デバイス構造に損傷を与えることなく、残留物を選択的に除去するシステムが開発されている。このシステムは、約2、3秒の露出時間内に洗浄流体をウエハに供給するように構成された一対の対向する近接ヘッドの間で、1枚の半導体ウエハを直線的に移動させる。
【0003】
ある実施形態において、対向する近接ヘッドによって供給される洗浄流体は、(a)窒素(N2)等の気体と、(b)水及び界面活性剤を含有する流体と、を機械的に混合することによって生成される泡状で高粘度の非ニュートン流体である。たとえば、「洗浄化合物並びに洗浄化合物の使用方法及びシステム(Cleaning Compound and Method and System for Using the Cleaning Compound)」という名称で2006年2月3日に出願された米国公開特許No.2006/0128600、「制御されたメニスカスで液体の分離を維持するシステム、方法及び装置(System, Method and Apparatus for Maintaining Separation of Liquids in a Controlled Meniscus)」という名称で2007年6月19日に出願された米国特許出願No.11/820,590、及び「基板を洗浄するための泡の生成装置(Generator for Foam to Clean Substrate)」という名称で2008年8月4日に出願された米国特許出願No.12/185,780を参照のこと。
【0004】
半導体ウエハ上に泡(フォーム)を付着させる際に、システムのチャンバ内に界面活性剤が流出すると、流出した界面活性剤が乾燥して固体となり、システムでその後に処理される半導体ウエハを汚染する結果となる。したがって、システムにより半導体ウエハ上に洗浄泡(クリーニングフォーム)を付着させる際に洗浄泡を閉じ込めるための安価で効果的な手段が必要とされている。ただし、後述する請求の範囲に記載される本発明は、このような特定の用途に限られるものではなく、以下の詳細な説明及び図面から明らかなように、広範囲な用途に適用可能である。
【発明の概要】
【0005】
一実施形態において、リニア・ウエットシステムは、チャンバ内に、キャリアと近接ヘッドとを備える。キャリアはピンを備え、半導体ウエハがシステム内を移動する際に、半導体ウエハの両面が露出するように半導体ウエハをピン上に載置する。近接ヘッドは、キャリアの上、キャリアの下、又はキャリアの両側のいずれに配置されるものでもよい。この実施形態において、近接ヘッドは、直線的に配置される3つの部分を含むものとしてもよい。第1の部分は、近接ヘッドの下をウエハが移動する際に、ウエハの上部表面から液体を吸引する。第2の部分は、第1の部分に隣接し、近接ヘッドの下をウエハがさらに移動する際に、洗浄泡(クリーニングフォーム)の膜(すなわち、メニスカス)をウエハの上部表面上に形成する。第3の部分は、第2の部分に隣接し、近接ヘッドの下をさらにウエハが移動する際に、すすぎ流体の膜(すなわち、メニスカス)をウエハの上部表面上に形成する。この実施形態では、第3の部分は、第1の部分に至るまで、部分的に第2の部分の周囲に伸長するように規定され、第3の部分と第1の部分とで、第2の部分内に洗浄泡の閉じ込め部を形成する。
【0006】
別の実施形態において、リニア・ウエットシステムは、チャンバ内に、キャリアと近接ヘッドとを備える。キャリアはピンを備え、半導体ウエハがシステム内を移動する際に、半導体ウエハの両面が露出するように半導体ウエハをピン上に載置する。近接ヘッドは、キャリアの上、及び/又は、キャリアの下のいずれに配置されるものでもよい。この実施形態において、近接ヘッドは、直線的に配置される2つの部分を含むものとしてもよい。第1の部分は、近接ヘッドの下をウエハが移動する際に、ウエハの上部表面から液体を吸引する。第2の部分は、第1の部分に隣接し、近接ヘッドの下をウエハがさらに移動する際に、洗浄泡の膜(すなわち、メニスカス)をウエハの上部表面上に形成する。この実施形態では、洗浄泡を取り囲む吸引障壁が、チャンバ内への洗浄泡の流出を防ぐ役割を果たす。
【0007】
さらに別の実施形態において、リニア・ウエットシステムの自動化方法は、3つの処理工程を備える。第1の処理工程では、近接ヘッドの第1の部分が、チャンバ内の近接ヘッドの下を半導体ウエハがキャリアによって移送される際に、ウエハの上部表面から液体を吸引する。第2の処理工程では、第1の部分に隣接する近接ヘッドの第2の部分が、近接ヘッドの下をウエハがさらに移動する際に、洗浄泡の膜(すなわち、メニスカス)をウエハの上部表面上に形成する。第3の処理工程では、第2の部分に隣接する近接ヘッドの第3の部分が、近接ヘッドの下をさらにウエハが移動する際に、すすぎ流体の膜(すなわち、メニスカス)をウエハの上部表面上に形成する。この実施形態では、第3の部分は、第1の部分に至るまで、部分的に第2の部分の周囲に伸長するように規定され、第3の部分と第1の部分とで、第2の部分内に洗浄泡の閉じ込め部を形成する。
【0008】
本発明の効果は、添付の図面を参照して、本発明の原理を例示する以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1A】半導体ウエハ上に流体を付着させる一対の近接ヘッドを備えるリニア・ウエットシステムの一実施例を示す概略図。
【0010】
【図1B】実施例のリニア・ウエットシステムにおけるキャリア及び近接ヘッドを上から見た概略図。
【0011】
【図2】実施例のリニア・ウエットシステムにおける各部を上から見た図。
【0012】
【図3】実施例のリニア・ウエットシステムにおけるキャリア及び近接ヘッドを示す斜視図。
【0013】
【図4】実施例のリニア・ウエットシステムにおける1対の近接ヘッドを示す斜視図。
【0014】
【図5】実施例のAMCヘッドの各部を示す概略図。
【0015】
【図6】実施例のAMCヘッドにおける各部の断面を示す概略図。
【0016】
【図7】実施例のAMCヘッドによって付着される洗浄流体(たとえば、P3)の偏向流の断面を示す概略図。
【0017】
【図8】実施例のAMCヘッドに関係する寸法を示す概略図。
【0018】
【図9】実施例のAMCヘッドによって付着される洗浄流体(たとえば、P3)の流れのせん断速度を示す概略図。
【0019】
【図10】実施例のAMCヘッドの処理面と処理面の裏側の背面とを示す概略図。
【0020】
【図11】実施例のAMCヘッドの断面における2種類のフィーチャを示す概略図。
【0021】
【図12】実施例のAMCヘッドにおける貯留部を示す概略図。
【0022】
【図13】実施例のAMCヘッドの貯留部における流れを示す概略図。
【0023】
【図14】実施例のAMCヘッドにおける孔部からの/孔部へのダウンフィードを示す概略図。
【0024】
【図15】実施例のリニア・ウエットシステムにおいて洗浄流体(たとえば、P3)を閉じ込める方法の各処理工程を示すフローチャート。
【0025】
【図16】実施例のAMCヘッドにおける閉じ込めメニスカスを示す図。
【0026】
【図17】別の実施例のAMCヘッドにおける減圧閉じ込め部を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下の説明において、さまざまな具体的な詳細は、実施例の理解を助けるためのものである。当業者には自明のことであるが、これらの具体的な詳細の一部を省略しても、実施例を実現することが可能である。また、周知の技術に関しては、実施の詳細や処理操作の詳細は説明しない。
【0028】
図1Aは、半導体ウエハ上に洗浄流体を付着させる一対の近接ヘッドを備えるリニア・ウエットシステムの一実施例を示す概略図である。図1Aにおいて、リニア・ウエットシステム100は、上部近接ヘッド104と、下部近接ヘッド103と、を備える。各近接ヘッドは、流体メニスカス105を形成し、半導体ウエハ102がキャリア101により流体メニスカス105内を直線的に移動する。キャリア101はピンを備え、半導体ウエハは、ウエハの両面が露出するように、ピン上に載置される。実施例において、流体メニスカス105を形成する流体は、気体(窒素等)と流体(ミセル形成可能な脂肪酸等の界面活性剤を含有する水溶液)とを米国特許出願No.12/185,780に記載される生成装置内で機械的に混合することにより形成される泡(フォーム)である。上記出願に記載されるように、用語「P2」は、生成装置に供給される流体内に存在する2相の物質、たとえば、液体水と固体界面活性剤、を意味する。また、用語「P3」は、生成装置により生成される泡内に存在する3相の物質、たとえば、液体水と固体界面活性剤と気体窒素(N2)、を意味する。実施例において、P3は、高粘度(200〜2000cP(センチポアズ)の範囲)の非ニュートン流体である。P3の液圧特性は、水等の典型的なニュートン流体の液圧特性と根本的に異なっている。P3は、一般的に言えば、せん断速度の増大と共に流体粘度が減少する(たとえば、「せん断希釈化」される)疑似塑性物質であればよい。
【0029】
流体メニスカス105にP3が閉じ込められていないため、当然のことながら、キャリア101と近接ヘッド103及び104とを収容するチャンバ内にP3が流出することがない。ここで、P3は、乾燥すると、リニア・ウエットシステム内の汚染物質として固体界面活性剤を放出する可能性がある。実施例において、固体界面活性剤として、たとえば、ステアリン酸を用いることができるが、米国公開特許No.2006/0128600に記載されているように、他の脂肪酸を代わりに用いることもできる。代わりに用いられる他の脂肪酸の例としては、ラウリン酸、パルミチン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、ガドレイン酸、エルカ酸、酪酸、カプロン酸、カプリル酸、ミリスチン酸、マルガリン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、ネルボン酸、パリナリン酸、エイコサペンタエン酸(チムノドン酸)、ブラシジン酸及びイワシ酸(クルパノドン酸)が挙げられ、これら他の脂肪酸のいずれかを単独で用いても、また、これら他の脂肪酸同士の組み合わせ、又は、ステアリン酸と他の脂肪酸との組み合わせで用いてもよい。
【0030】
図1Bは、実施例のリニア・ウエットシステムにおけるキャリア及び近接ヘッドを上から見た概略図である。この図に示すように、上述したキャリア101は、リニア・ウエットシステム100内で、上部近接ヘッド104下に配置される一対のトラック103に沿って、半導体ウエハ102を移動させる。この実施例では、上部近接ヘッド104は、5つのヘッド部、すなわち、(a)必要に応じて設けられ、すすぎ及び/又は吸引及び/又は乾燥を実施可能な調整ヘッド105と、(b)P3を付着及び吸引するAMC(Advanced Mechanical Cleaning;高度機械洗浄)ヘッド106と、(c)他の化学洗浄流体を付着及び吸引する2つのC3(Confined Chemical Cleaning:閉じ込め化学洗浄)ヘッド107a及び107bと、(d)すすぎ及び/又は吸引及び/又は乾燥を実施可能な出口ヘッド108と、を含む。
【0031】
図2は、実施例のリニア・ウエットシステムにおける各モジュールを上から見た図である。図2に示すように、リニア・ウエットシステム100は、3つのモジュール、すなわち、(1)導入モジュール110と、(2)化学処理モジュール111と、(3)排出モジュール112と、を含む。化学処理モジュール110は、上述したように、5つのヘッド部105、106、107a、107b及び108を有する上部近接ヘッド104を備える。実施例では、化学処理モジュール111が、さらに、図示しない下部近接ヘッド103を備えるようにしてもよい。図示されている状態では、半導体ウエハ102を載置したキャリア101が、排出モジュール112に位置する。また、導入モジュール110と、化学処理モジュール111と、排出モジュール112と、がチャンバ109内に収容されている様子も図2に示されている。
【0032】
図3は、実施例のリニア・ウエットシステムにおけるキャリア及び近接ヘッドを示す斜視図である。図3に示すように、キャリア101は、導入モジュール110から排出モジュール112に半導体ウエハ102を移送する。ウエハ102は、2つのヘッド部、すなわち、調整ヘッド105及びAMCヘッド106、を含む近接ヘッド104の下を通過する。上述した他のヘッド部は図示されていないが、実施例の近接ヘッド104が他のヘッド部をさらに備える構成でもよい。
【0033】
図4は、実施例のリニア・ウエットシステムにおける1対の近接ヘッドを示す斜視図である。上部近接ヘッド104と下部近接ヘッド103の両方が図示されている。実施例では、上部近接ヘッドは、洗浄しやすいように簡単に取り外し可能なP3生成部113を備える。この詳細に関しては、米国特許出願No.12/185,780に記載されている。実施例において、P3生成部113が、供給部114を介してP2(たとえば、水とステアリン酸)の供給を、また、供給部115を介して気体(たとえば、窒素N2)の供給を受け、図示しない密閉型らせん流路内でP2と気体とを混合することによりP3を生成するような構成でもよい。
【0034】
図5は、実施例のAMCヘッドの各部を示す概略図である。図5に示すように、AMCヘッド106は、以下に詳述するように、P3をヘッド106内で上方に吸引することによりシステムのチャンバ内へのP3の流出を防ぐ先端空気閉じ込め部を形成する構造を有する(一点鎖線で示す)第1の部分116を備える。実施例では、P3が、濡れた表面上よりも乾いた表面上で、洗浄流体としてより効果的に機能する場合もあるため、第1の部分116を備えることにより、半導体ウエハ表面へのP3の塗布が容易になる。図5に示すように、第1の部分116は、半導体ウエハがリニア・ウエットシステム内を移送される際に最初に通過するAMCヘッド106の部分である。AMCヘッド106は、さらに、2つのP3ゾーン117(P3ゾーン2)と118(P3ゾーン1)とを含む(点線で示す)第2の部分を備える。この2つのP3ゾーン117及び118において、ヘッド106は、(部分的減圧を利用して)ウエハ上にP3を付着させ、また、ウエハからP3を吸引する。実施例において、P3ゾーン117に付着されるP3は、P3ゾーン118に付着されるP3と組成が異なるものでもよい。たとえば、気体(たとえば、窒素N2)に対するP2の相対的割合が異なるものでもよい。複数のP3ゾーンを備えることにより、ある主固定的なリニア・ウエットシステムの変動や制御が可能になる。
【0035】
図5に示すAMCヘッド106は、さらに、脱イオン水(DIW:deionized water)を流すことにより形成される閉じ込めメニスカスを形成する構造を含む(実線で示す)第3の部分119を備える。図示されるように、第3の部分119は、第1の部分116に至るまで、第2の部分(すなわち、P3ゾーン117及び118)の周囲に伸長して、第2の部分を流れるP3の閉じ込め部を形成する。実施例では、半導体ウエハを挿入する前に、上部近接ヘッド104と下部近接ヘッド103とが、対応及び隣接する脱イオン水DIW閉じ込めメニスカスと先端空気閉じ込め部とを形成するようにしてもよい。第3の部分119の詳細を、概略拡大図119abcに示す。この拡大図に示すように、第3の部分119が、半導体ウエハの表面上に脱イオン水DIW等のすすぎ流体を付着させる内部導入流路と、(たとえば、部分的減圧を利用して)ウエハ表面からすすぎ流体を吸引除去する内側戻り(IR)流路と外側戻り(OR)流路と、を備える構成でもよい。
【0036】
図6は、実施例のAMCヘッドにおける各部の断面を示す図である。図6は、図5のA−A断面図に対応する。図6に示すように、第1の部分116が減圧されて、AMCヘッド106内にP3が吸引される。前述したように、また、この図に示すように、第1の部分116は、半導体ウエハがリニア・ウエットシステム内を移送される際に最初に通過するAMCヘッドの部分である。ウエハは、第1の部分116を通過した後、第2の部分のP3ゾーン2に送られる。P3ゾーン2では、AMCヘッド106は、導入流路117aから戻り流路117bにP3を流す。次に、ウエハは、P3ゾーン2を通過した後、第2の部分のP3ゾーン1に送られる。P3ゾーン1では、AMCヘッド106は、導入流路118aから戻り流路118bにP3を流す。前述したように、実施例において、P3ゾーン1におけるP3の組成は、P3ゾーン2におけるP3の組成と異なるものでもよい。ウエハは、P3ゾーン1を通過した後、第3の部分に送られる。第3の部分では、AMCヘッド106は、導入流路119bから外側戻り流路OR119a及び内側戻り流路IR119cに脱イオン水DIWを流す。実施例において、第3の部分で(たとえば、導入流路から外側戻り流路OR及び内側戻り流路IRに流れる脱イオン水DIWにより形成される)メニスカスからウエハが排出される際に、ウエハが濡れていてもよい。化学処理モジュール111に関して前述したように、第3の部分を通過後に、ウエハがさらに他のメニスカスや部分的減圧部に送られるようにしてもよい。
【0037】
図6に、さらに、以下に詳述するように、P3の流れが導入流路118aを通ってAMCヘッド106から排出される際に、P3の流れを偏向させる偏向端部120aを示す。導入流路118aを通って付着されたP3の一部は、内側戻り流路119cを通って戻る。すなわち、内側戻り流路119cは、「混合内側戻り流路」として機能する。
【0038】
図7は、実施例のAMCヘッドにより付着される洗浄流体(たとえば、P3)の偏向流の断面を示す概略図である。図6に円で囲んだ領域、すなわち、偏向端部120aを含む領域を図7に示す。図7に示すように、偏向端部120aは、導入流路118aからP3メニスカス121内に流入するP3の流れを偏向させる。P3メニスカス121では、偏向端部120aとこれに対向する偏向端部(図6に示す偏向端部120b)とにより、環状流が形成される。さらに、図7に示すように、所定流量のP3が、偏向端部120aの左側に流れて、AMCヘッドの第3の部分の内側戻り流路119c内に流入する。このように内側戻り流路119c内に流入するP3の流量は、P3メニスカス内で環状流を形成し、最終的に、戻り流路118b内に流入するP3の流量と比べて少ない。
【0039】
偏向端部120aは、半導体ウエハ表面へのP3の直接下降流によるウエハの損傷を防ぐ働きをする。さらに、偏向端部120aとこれに対向する偏向端部120bとにより、環状流が形成され、P3メニスカス121の物理的な閉じ込めを行なう。このような物理的な閉じ込めにより、脱イオン水DIW閉じ込めメニスカス内への脱イオン水DIWの吸引に関与する「混合内側戻り流路」119cへのP3の流れが減少する。
【0040】
さらに、P3の流れに関する速度(mm/秒単位)を図7に示す。半導体ウエハは、図の左側に向かって(図6参照)、約20mm/秒の速度で移動する。実施例において、P3は、5〜30mm/秒の範囲の速度で、導入流路118a内を偏向端部120aに達するまで流れる。この地点で、P3の主流の速度は、25〜45mm/秒の範囲まで増大する。P3の主流は、増大した速度のまま、第3の部分における内側戻り流路119cに向かって左向きに流れる。P3メニスカス121に流れ込む際に、P3の主流の速度は15〜30mm/秒の範囲まで低下する。さらに、(図示しない)対向する偏向端部120bによって、P3の流れが偏向されて、P3メニスカスの環状流に戻されるため、P3の速度が、さらに、0〜15mm/秒の範囲まで低下する。
【0041】
図8は、実施例のAMCヘッドに関係する寸法を示す概略図である。この図は、上部近接ヘッド104のAMCヘッドと下部近接ヘッド103のAMCヘッドとの間に半導体ウエハ102が位置する様子を示す。図示するように、(脱イオン水DIW閉じ込め部を形成する)外側戻り流路119aにおけるウエハ102とAMCヘッドとの間の間隔は、約2.25mmである。脱イオン水DIW導入流路119b(及び「混合」内側戻り流路119c)におけるウエハ102とAMCヘッドとの間の間隔は、約0.75mmである。すなわち、実施例において、第3の部分に関する「プロセスギャップ」は、0.75mmである。偏向端部120aにおける(たとえば、P3ゾーン1の導入流路118aにおける)ウエハ102とAMCヘッドとの間の間隔は、約0.5mmである。(P3ゾーン1に関する)P3メニスカス121上のウエハ102とAMCヘッドとの間の間隔は、約2mmである。すなわち、実施例において、P3メニスカスに関する「プロセスギャップ」は2mmである。この図に示すように、下部AMCヘッドの(明示されていない)導入流路及び上部AMCヘッドの(明示されていない)導入流路からP3が流れるようにしてもよい。
【0042】
図9は、実施例のAMCヘッドにより付着される洗浄流体(たとえば、P3)の流れのせん断速度を示す概略図である。図示するように、せん断速度の測定単位は、秒の逆数である1/s(すなわち、1/秒)である。2つの隣接するP3ゾーン117(P3ゾーン2)及び118(P3ゾーン1)のせん断速度を示す。実施例において、2つの隣接するP3ゾーンの各々が、もう一方のせん断速度に影響を与えるものでもよい。実施例では、図示するように、リニア・ウエットシステム内を移動する半導体ウエハが、P3ゾーン118の前にP3ゾーン117に入る構成でもよい。
【0043】
P3ゾーン117では、P3は、導入流路117aから、AMCヘッドの底部を通って、戻り流路117bに流れ込む。同様に、P3ゾーン118では、P3は、導入流路118aから、AMCヘッドの底部を通って、戻り流路118bに流れ込む。図示するように、導入流路近傍におけるP3のせん断速度は、175〜275/秒の範囲である。P3のせん断速度は、P3がAMCヘッドの底部に広がる際に50〜175/秒の範囲まで低下し、その後、戻り流路に近付くと125〜225/秒の範囲まで増大する。
【0044】
P3ゾーン117及び118の導入流路及び戻り流路のジグザグ配置及び大きさの両方の要因により、せん断速度に対して緩やかで方向性のない放射状の流れパターンがウエハ表面上に形成される。このような放射状の流れパターンにより、ウエハ上の構造への損傷を防ぐような優先的な方向を持つことなく、ウエハ表面上にP3が付着される。
【0045】
図10は、実施例のAMCヘッドの処理面と処理面の裏側の背面とを示す概略図である。前述したAMCヘッド106の断面が図示されている。AMCヘッド106は、第1の部分116と、P3を付着させる導入流路118aと、脱イオン水DIWを付着させる導入流路119bと、を備える。さらに、AMCヘッド106の処理面122も図示されている。処理面122は、リニア・ウエットシステムによって処理されている半導体ウエハの表面に最も近いヘッド表面である。説明のために、処理面122全体の中央部及び2つの端部を備える合成処理面124も示す。処理面122及び合成処理面124は、先端空気閉じ込め部を形成する構造と、2つのP3ゾーンと、(a)先端空気閉じ込め部に至るまで2つのP3ゾーンの周囲に伸長する構造であって(b)導入流路から外側戻り(OR)流路及び内側戻り(IR)流路に流れる脱イオン水DIWメニスカスを形成する脱イオン水DIW閉じ込め部を形成する構造と、を備えるという観点において、図5に示すAMCヘッド106と同様のものである。図10に、さらに、前述したように、(a)P3ゾーン内でのP3メニスカスの閉じ込めに役立ち、(b)半導体ウエハの表面上へのP3の直接流を防ぐ働きをする、2つのP3ゾーンの間に設けられた偏向端部120bも図示する。
【0046】
さらに、図10に、AMCヘッド106の処理面122の裏側の背面123を示す。説明のために、背面123全体の中央部及び2つの端部を含む合成背面125も示す。合成背面125は、(a)導入流路118aに流れ込む後述する貯留部126と、(b)戻り流路118bと、を備える。(せん断速度に関する)図9に示すように、P3は、導入流路118aから戻り流路118bに流れる。
【0047】
図11は、実施例のAMCヘッドの断面における2種類のフィーチャを示す概略図である。前述したAMCヘッド106の断面が図示されている。AMCヘッド106は、第1の部分116と、P3を付着させる導入流路117aと、P3を付着させる導入流路118aと、脱イオン水DIWとP3とを吸引する「混合」内側戻り流路119cと、脱イオン水DIWを付着させる導入流路119bと、脱イオン水DIWを吸引する外側戻り流路119aと、を備える。また、AMCヘッド106にP3や脱イオン水DIWを供給したり、AMCヘッド106を吸引したりする孔部も図示する。孔部126は、第1の部分116を吸引する(たとえば、減圧部VAC)。孔部127a及び127bは、それぞれ、P3ゾーン1及びP3ゾーン2にP3を供給する。孔部129は、脱イオン水DIWを供給して、第3の部分に脱イオン水DIW閉じ込め部を形成する。IR(内側戻り流路用)孔部128及びOR(外側戻り流路用)孔部130は、脱イオン水DIW閉じ込め部から脱イオン水DIWを吸引する。他の部分で説明したように、IR孔部128は、さらに、P3ゾーン1に付着されたP3の一部を吸引する。
【0048】
図11に、処理面122と処理面の裏側の背面123との間の結合線(たとえば、熱溶融による)も示す。さらに、2種類のフィーチャA及びBも図11に示す。フィーチャAは、図10に示す貯留部126のように、P3を付着させるのに用いる貯留部を形成する。フィーチャBは、孔部(たとえば、孔部126、128、129又は130)とそれに対応する導入流路及び戻り流路との間のダウンフィードを形成する。
【0049】
図12は、実施例のAMCヘッドにおける貯留部を示す概略図である。この図は、AMCヘッド106における処理面の裏側の背面123の斜視図である。図示するように、背面123は、孔部(たとえば、図11に示す孔部127a及び127b)から流れて、AMCヘッド106の処理面上でP3メニスカスを形成するP3を収容する複数の貯留部(たとえば、貯留部126)を備える。同様の貯留部を図10にも図示した。
【0050】
図13は、実施例のAMCヘッドの貯留部における流れを示す概略図である。図13に示すように、AMCヘッドの貯留部126には、供給路131からP3が供給され、導入流路118a、132a及び132bを通ってP3が流れ、P3メニスカスを形成するまでの間、供給されたP3はAMCヘッドの貯留部126に保持される。供給路131は、P3孔部(たとえば、図11に示す孔部127a及び127b)に連通する。導入流路132a及び132bは図9や図10でも識別可能に図示されているが、実際には、導入流路132a及び132bは、導入流路118aと比べて小さい。
【0051】
また、図13に、P3が供給路131から貯留部を通って導入流路118a、132a及び132bに流れる際のP3の速度の大きさも(m/秒単位で)示す。供給路131近傍では、P3の速度の大きさは、0.02〜0.08の範囲である。P3が供給路131から離れると、P3の速度の大きさは0.08〜1.2の範囲まで増大し、その後、0.02〜0.07の範囲まで減少する。貯留部の中央付近では、P3の速度の大きさは、0〜0.04の範囲であり、その後、P3が導入流路(たとえば、118a、132a及び132b)に近付くにつれて、0.06〜0.11の範囲まで増大する。
【0052】
図14は、実施例のAMCヘッドにおいて、孔部からの/孔部へのダウンフィードを示す概略図である。図示するように、AMCヘッド106の孔部130(たとえば、OR(外側戻り流路用)孔部)は、戻り流路119aを介して、メニスカスから流体(たとえば、脱イオン水DIW閉じ込め部から脱イオン水DIW)を吸引する。この図に示すように、均一な戻り流の形成を容易にするように、戻り流路119aから孔部130に入るダウンフィードの大きさ、数及び位置を選択する。たとえば、孔部130の減圧源(たとえば、図の左側)から離れるにつれて、AMCヘッドの遠位端部(たとえば、図の右側)に向かうダウンフィードがだんだん大きくなる。戻り流路用孔部ではなく、供給流路用孔部におけるダウンフィードの大きさ、数及び位置に関して、同様の選択を行なうようにしてもよい。図14に示すダウンフィードは、図11に示すフィーチャBに対応する。
【0053】
図15は、実施例のリニア・ウエットシステムにおいて洗浄流体(たとえば、P3)を閉じ込める方法の各処理工程を示すフローチャートである。第一の処理工程1501では、リニア・ウエットシステムは、AMCヘッドの第1の部分の下をキャリアによって基板(たとえば、半導体ウエハ)が移送される際に、基板の上部表面上に残留する液体を吸引する。前述したように、実施例において、この処理を先端空気閉じ込め部を形成する構造により実行するようにしてもよい。次の処理工程1502では、リニア・ウエットシステムは、AMCヘッドの第2の部分の下を基板が移動する際に、基板の上部表面上に洗浄泡(クリーニング・フォーム)の膜(すなわちメニスカス)を形成する。前述したように、実施例において、この洗浄泡は、たとえば、P3であり、リニア・ウエットシステムのチャンバ内に流出すると、乾燥して汚染物質となる。また、実施例において、この処理をP3ゾーンにより実行するようにしてもよい。次の処理工程1503では、リニア・ウエットシステムは、AMCヘッドの第3の部分の下を基板が移動する際に、基板の上部表面上にすすぎ流体の膜を形成する。ここで、第3の部分は、第1の部分に至るまで、部分的に第2の部分の周囲に伸長するように規定され、第3の部分と第1の部分とで、第2の部分内に洗浄泡の閉じ込め部を形成する。前述したように、実施例において、この処理を脱イオン水DIW閉じ込め部により実行するようにしてもよい。さらに前述したように、この処理は、リニア・ウエットシステムのチャンバ内への洗浄泡の流出を防ぐ目的で実施される。
【0054】
図16は、実施例のAMCヘッドにおける閉じ込めメニスカスを示す図である。この図は、図5に示すAMCヘッドの概略図と同様の図である。図示するように、第1の部分116は、リニア・ウエットシステム内を半導体ウエハが移送される際に最初に通過するAMCヘッド106の部分である。実施例では、第1の部分116は、ウエハの表面から流体を吸引して、隣接するP3ゾーン117内でウエハ表面上を流れるP3メニスカスの境界を形成する。図16に示すAMCヘッド106は、ウエハ表面上にP3を付着させ、また、P3を吸引する第2のP3ゾーン118を備える。ウエハは、第2のP3ゾーン118を通過後、脱イオン水DIW閉じ込め部119に送られる。脱イオン水DIW閉じ込め部119において、AMCヘッド106は、第1の部分116に至るまで2つのP3ゾーンの周囲に伸長する脱イオン水DIWメニスカスによって、ウエハのすすぎを行なう。
【0055】
図17は、別の実施例のAMCヘッドにおける減圧閉じ込め部を示す図である。図示するように、この実施例でも、第1の部分116は、リニア・ウエットシステム内を半導体ウエハが移送される際に最初に通過するAMCヘッド106の部分である。実施例では、第1の部分116は、ウエハの表面から流体を吸引して、隣接するP3ゾーン117内でウエハ表面上を流れるP3メニスカスの境界を形成する。図16に示すAMCヘッド106は、ウエハ表面上にP3を付着させ、また、P3を吸引する第2のP3ゾーン118を備える。ウエハは、第2のP3ゾーン118を通過して、第1の部分116に至るまで2つのP3ゾーンの周囲に伸長する内側戻り流(IR)減圧閉じ込め部135を形成する構造に送られる。この実施例では、AMCヘッド106は、脱イオン水DIWメニスカスを形成しない構成でもよいし、又は反対に、脱イオン水DIWでウエハ表面をすすぐような構成でもよい。
【0056】
以上、本発明の理解を助ける目的で、各実施例を詳細に説明したが、以下の特許請求の範囲に記載される本発明の要旨を逸脱しない範囲で、さまざまに変形および変更可能である。たとえば、AMCヘッドが、P3等の高粘度の非ニュートン泡状流体(フォーム)以外の流体を閉じ込めるような構成でもよい。したがって、上記の実施例は、例示に過ぎず、何ら本発明を実施例の詳細に限定するものではない。以下の特許請求の範囲及びその等価の範囲内で、本発明はさまざまに変形可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を処理する装置であって、
前記基板の両面が露出するように前記基板を載置するピンを備え、チャンバ内で前記基板を移送するキャリアと、
ヘッドと、を備え、
前記ヘッドが、
前記ヘッドの下を前記基板が移動する際に、前記基板の上部表面から液体を吸引する第1の部分と、
前記第1の部分に隣接する第2の部分であって、前記ヘッドの下を前記基板がさらに移動する際に、前記基板の前記上部表面上に洗浄泡の膜を形成するように構成される第2の部分と、
前記第2の部分に隣接する第3の部分であって、前記ヘッドの下を前記基板がさらに移動する際に、前記基板の前記上部表面上にすすぎ流体の膜を形成するように構成される第3の部分と、を備え、
前記第3の部分が、前記第1の部分に至るまで、部分的に前記第2の部分の周囲に伸長するように規定されており、
前記第3の部分と前記第1の部分とで、前記チャンバに対して前記洗浄泡の閉じ込め部を形成する、
装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置であって、
前記第2の部分が、前記洗浄泡の膜を供給する1つ以上の導入流路と、前記洗浄泡の膜を除去する1つ以上の排出流路と、を備える、
装置。
【請求項3】
請求項2に記載の装置であって、
前記導入流路及び前記排出流路が、前記基板の前記上部表面にわたり放射状のパターンで前記洗浄泡の膜を形成するように構成される、
装置。
【請求項4】
請求項2に記載の装置であって、
前記第2の部分における前記各導入流路が、前記導入流路の入口上に突出する端部を備える、
装置。
【請求項5】
請求項2に記載の装置であって、
一群の前記導入流路が、主通路によって供給される三角形の貯留部の一辺の底部に位置し、前記主通路が、前記三角形の他の二辺の交点上に配置される、
装置。
【請求項6】
請求項1に記載の装置であって、
前記洗浄泡が、液体、気体及び界面活性剤を含有する、
装置。
【請求項7】
請求項1に記載の装置であって、
前記基板が半導体ウエハである、
装置。
【請求項8】
請求項2に記載の装置であって、さらに、
前記ヘッド内で前記第2の部分に隣接する追加の部分であって、前記ヘッドの下を前記基板が移動する際に前記基板の前記上部表面上に洗浄泡の膜を形成するように構成される追加の部分を備え、前記追加の部分によって供給される前記洗浄泡は、前記第2の部分によって供給される前記洗浄泡の組成と異なる組成を有する、
装置。
【請求項9】
請求項8に記載の装置であって、
前記第2の部分及び前記追加の部分の両方における前記導入流路と前記排出流路とが、前記基板の前記上部表面にわたり一連の放射状のパターンで前記洗浄泡の膜を形成するように、構成される、
装置。
【請求項10】
請求項1に記載の装置であって、
前記複数の部分の少なくとも一つの部分が、前記少なくとも一つの部分における孔部に対して均一な流れを与えるような大きさ、数及び位置に制御された複数のダウンフィードを備える、
装置。
【請求項11】
基板を処理する方法であって、
前記基板の両面が露出するように前記基板を載置するピンを備えるキャリアによってチャンバ内のヘッドの下を基板が移送される際に、前記基板の上部表面から流体を吸引するように、前記ヘッドの第1の部分によって実施される工程と、
前記ヘッドの下を前記基板がさらに移動する際に、前記基板の前記上部表面上に洗浄泡の膜を形成するように、前記ヘッド内で前記第1の部分に隣接する第2の部分によって実施される工程と、
前記ヘッドの下を前記基板がさらに移動する際に、前記基板の前記上部表面上にすすぎ流体の膜を形成するように、前記ヘッド内で前記第2の部分に隣接する第3の部分によって実施される工程と、
を備え、
前記第3の部分は、前記第1の部分に至るまで、部分的に前記第2の部分の周囲に伸長するように規定されており、
前記第3の部分と前記第1の部分とで、前記チャンバに対して前記洗浄泡の閉じ込め部を形成する、
方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法であって、
前記第2の部分が、前記洗浄泡の膜を供給する1つ以上の導入流路と、前記洗浄泡の膜を除去する1つ以上の排出流路と、を備える、
方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法であって、
前記導入流路及び前記排出流路が、前記基板の前記上部表面にわたり放射状のパターンで前記洗浄泡の膜を形成するように構成される、
方法。
【請求項14】
請求項12に記載の方法であって、
前記第2の部分における前記各導入流路が、前記導入流路の入口上に突出する端部を備える、
方法。
【請求項15】
請求項12に記載の方法であって、
一群の前記導入流路が、主通路によって供給される三角形の貯留部の一辺の底部に位置し、前記主通路が、前記三角形の他の二辺の交点上に配置される、
方法。
【請求項16】
請求項11に記載の方法であって、
前記洗浄泡が、液体、気体及び界面活性剤を含有する、
方法。
【請求項17】
請求項11に記載の方法であって、
前記基板が半導体ウエハである、
方法。
【請求項18】
請求項12に記載の方法であって、さらに、
前記ヘッドの下を前記基板が移動する際に前記基板の前記上部表面上に洗浄泡の膜を形成するように、前記ヘッド内で前記第2の部分に隣接する追加の部分によって実施される工程を備え、
前記追加の部分によって供給される前記洗浄泡は、前記第2の部分によって供給される前記洗浄泡の組成と異なる組成を有する、
方法。
【請求項19】
請求項18に記載の方法であって、
前記第2の部分及び前記追加の部分の両方における前記導入流路と前記排出流路とが、前記基板の前記上部表面にわたり一連の放射状のパターンで前記洗浄泡の膜を形成するように、構成される、
方法。
【請求項20】
装置であって、
チャンバ内で基板を移送する基板用キャリアであって、前記基板の両面が露出するように前記基板を載置するピンを備えるキャリアと、
ヘッドと、を備え、
前記ヘッドが、
前記ヘッドの下を前記基板が移動する際に、前記基板の上部表面から液体を吸引する第1の部分と、
前記第1の部分に隣接する第2の部分であって、前記ヘッドの下をさらに前記基板が移動する際に、前記基板の前記上部表面上に洗浄泡の膜を形成するように構成され、また、前記洗浄泡を囲む吸引障壁を介して、前記チャンバ内への前記洗浄泡の流出を防ぐように構成される第2の部分と、を備える、
装置。
【請求項1】
基板を処理する装置であって、
前記基板の両面が露出するように前記基板を載置するピンを備え、チャンバ内で前記基板を移送するキャリアと、
ヘッドと、を備え、
前記ヘッドが、
前記ヘッドの下を前記基板が移動する際に、前記基板の上部表面から液体を吸引する第1の部分と、
前記第1の部分に隣接する第2の部分であって、前記ヘッドの下を前記基板がさらに移動する際に、前記基板の前記上部表面上に洗浄泡の膜を形成するように構成される第2の部分と、
前記第2の部分に隣接する第3の部分であって、前記ヘッドの下を前記基板がさらに移動する際に、前記基板の前記上部表面上にすすぎ流体の膜を形成するように構成される第3の部分と、を備え、
前記第3の部分が、前記第1の部分に至るまで、部分的に前記第2の部分の周囲に伸長するように規定されており、
前記第3の部分と前記第1の部分とで、前記チャンバに対して前記洗浄泡の閉じ込め部を形成する、
装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置であって、
前記第2の部分が、前記洗浄泡の膜を供給する1つ以上の導入流路と、前記洗浄泡の膜を除去する1つ以上の排出流路と、を備える、
装置。
【請求項3】
請求項2に記載の装置であって、
前記導入流路及び前記排出流路が、前記基板の前記上部表面にわたり放射状のパターンで前記洗浄泡の膜を形成するように構成される、
装置。
【請求項4】
請求項2に記載の装置であって、
前記第2の部分における前記各導入流路が、前記導入流路の入口上に突出する端部を備える、
装置。
【請求項5】
請求項2に記載の装置であって、
一群の前記導入流路が、主通路によって供給される三角形の貯留部の一辺の底部に位置し、前記主通路が、前記三角形の他の二辺の交点上に配置される、
装置。
【請求項6】
請求項1に記載の装置であって、
前記洗浄泡が、液体、気体及び界面活性剤を含有する、
装置。
【請求項7】
請求項1に記載の装置であって、
前記基板が半導体ウエハである、
装置。
【請求項8】
請求項2に記載の装置であって、さらに、
前記ヘッド内で前記第2の部分に隣接する追加の部分であって、前記ヘッドの下を前記基板が移動する際に前記基板の前記上部表面上に洗浄泡の膜を形成するように構成される追加の部分を備え、前記追加の部分によって供給される前記洗浄泡は、前記第2の部分によって供給される前記洗浄泡の組成と異なる組成を有する、
装置。
【請求項9】
請求項8に記載の装置であって、
前記第2の部分及び前記追加の部分の両方における前記導入流路と前記排出流路とが、前記基板の前記上部表面にわたり一連の放射状のパターンで前記洗浄泡の膜を形成するように、構成される、
装置。
【請求項10】
請求項1に記載の装置であって、
前記複数の部分の少なくとも一つの部分が、前記少なくとも一つの部分における孔部に対して均一な流れを与えるような大きさ、数及び位置に制御された複数のダウンフィードを備える、
装置。
【請求項11】
基板を処理する方法であって、
前記基板の両面が露出するように前記基板を載置するピンを備えるキャリアによってチャンバ内のヘッドの下を基板が移送される際に、前記基板の上部表面から流体を吸引するように、前記ヘッドの第1の部分によって実施される工程と、
前記ヘッドの下を前記基板がさらに移動する際に、前記基板の前記上部表面上に洗浄泡の膜を形成するように、前記ヘッド内で前記第1の部分に隣接する第2の部分によって実施される工程と、
前記ヘッドの下を前記基板がさらに移動する際に、前記基板の前記上部表面上にすすぎ流体の膜を形成するように、前記ヘッド内で前記第2の部分に隣接する第3の部分によって実施される工程と、
を備え、
前記第3の部分は、前記第1の部分に至るまで、部分的に前記第2の部分の周囲に伸長するように規定されており、
前記第3の部分と前記第1の部分とで、前記チャンバに対して前記洗浄泡の閉じ込め部を形成する、
方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法であって、
前記第2の部分が、前記洗浄泡の膜を供給する1つ以上の導入流路と、前記洗浄泡の膜を除去する1つ以上の排出流路と、を備える、
方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法であって、
前記導入流路及び前記排出流路が、前記基板の前記上部表面にわたり放射状のパターンで前記洗浄泡の膜を形成するように構成される、
方法。
【請求項14】
請求項12に記載の方法であって、
前記第2の部分における前記各導入流路が、前記導入流路の入口上に突出する端部を備える、
方法。
【請求項15】
請求項12に記載の方法であって、
一群の前記導入流路が、主通路によって供給される三角形の貯留部の一辺の底部に位置し、前記主通路が、前記三角形の他の二辺の交点上に配置される、
方法。
【請求項16】
請求項11に記載の方法であって、
前記洗浄泡が、液体、気体及び界面活性剤を含有する、
方法。
【請求項17】
請求項11に記載の方法であって、
前記基板が半導体ウエハである、
方法。
【請求項18】
請求項12に記載の方法であって、さらに、
前記ヘッドの下を前記基板が移動する際に前記基板の前記上部表面上に洗浄泡の膜を形成するように、前記ヘッド内で前記第2の部分に隣接する追加の部分によって実施される工程を備え、
前記追加の部分によって供給される前記洗浄泡は、前記第2の部分によって供給される前記洗浄泡の組成と異なる組成を有する、
方法。
【請求項19】
請求項18に記載の方法であって、
前記第2の部分及び前記追加の部分の両方における前記導入流路と前記排出流路とが、前記基板の前記上部表面にわたり一連の放射状のパターンで前記洗浄泡の膜を形成するように、構成される、
方法。
【請求項20】
装置であって、
チャンバ内で基板を移送する基板用キャリアであって、前記基板の両面が露出するように前記基板を載置するピンを備えるキャリアと、
ヘッドと、を備え、
前記ヘッドが、
前記ヘッドの下を前記基板が移動する際に、前記基板の上部表面から液体を吸引する第1の部分と、
前記第1の部分に隣接する第2の部分であって、前記ヘッドの下をさらに前記基板が移動する際に、前記基板の前記上部表面上に洗浄泡の膜を形成するように構成され、また、前記洗浄泡を囲む吸引障壁を介して、前記チャンバ内への前記洗浄泡の流出を防ぐように構成される第2の部分と、を備える、
装置。
【図1A】
【図1B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図1B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公表番号】特表2012−510181(P2012−510181A)
【公表日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−538679(P2011−538679)
【出願日】平成21年11月24日(2009.11.24)
【国際出願番号】PCT/US2009/065812
【国際公開番号】WO2010/062918
【国際公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【出願人】(592010081)ラム リサーチ コーポレーション (467)
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月24日(2009.11.24)
【国際出願番号】PCT/US2009/065812
【国際公開番号】WO2010/062918
【国際公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【出願人】(592010081)ラム リサーチ コーポレーション (467)
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
【Fターム(参考)】
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