説明

追尾装置及びプログラム及び追尾方法

【課題】複数の異なるセンサ装置が目標を観測した結果に基づいて、目標を追尾する。
【解決手段】トラック記憶部181は、複数のセンサ装置それぞれが観測した目標に関する情報を表わす複数のトラックデータを記憶する。トラック記憶部181が記憶したトラックデータが更新された場合、優先度算出部141は、更新されたトラックデータの優先度を算出する。共通データ更新部144は、優先度算出部141が算出した優先度が高い場合に、更新されたトラックデータを、共通データ記憶部182に共通データとして記憶させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複数の異なるセンサ装置が目標を観測した結果に基づいて、目標を追尾する追尾装置に関する。
【背景技術】
【0002】
センサ装置が目標を観測した結果に基づいて、目標を追尾する追尾システムがある。
追尾システムは、追尾可能範囲の拡大や目標追尾の精度向上などのため、複数のセンサ装置を有する場合がある。
【特許文献1】特開平9−257924号公報
【特許文献2】特開2002−156448号公報
【特許文献3】特開2000−147106号公報
【特許文献4】特開2003−149322号公報
【特許文献5】特開2005−91279号公報
【特許文献6】特開2007−24773号公報
【特許文献7】特開2007−147306号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
複数のセンサ装置を有する追尾システムにおいて、複数のセンサ装置が同種のセンサ装置であれば、比較的容易に、複数のセンサ装置からの情報を統合することができる。
しかし、複数のセンサ装置が異種のセンサ装置である場合や、既存の異なるシステム内で稼動しているセンサ装置である場合、それぞれのセンサ装置は、それぞれ異なるタイミングで目標を観測するので、複数のセンサ装置からの情報を統合することが難しい。
この発明は、例えば、上記のような課題を解決するためになされたものであり、複数の異なるセンサ装置が目標を観測した結果に基づいて、目標を追尾することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この発明にかかる追尾装置は、
データを記憶する記憶装置と、データを処理する処理装置と、トラック記憶部と、共通データ記憶部と、トラック入力部と、トラック更新部と、優先度算出部と、共通データ更新部と、同一データ出力部とを有し、
上記トラック記憶部は、上記記憶装置を用いて、複数のセンサ装置それぞれが観測した目標に関する情報を表わす複数のトラックデータを記憶し、
上記共通データ記憶部は、上記記憶装置を用いて、上記トラック記憶部が記憶した複数のトラックデータのうち、少なくともいずれかのトラックデータを、共通データとして記憶し、
上記トラック入力部は、上記処理装置を用いて、上記複数のセンサ装置のうち、いずれかのセンサ装置が観測した目標に関する情報を表わすトラックデータを入力し、
上記トラック更新部は、上記処理装置を用いて、上記トラック入力部が入力したトラックデータを、上記トラック記憶部に記憶させ、
上記優先度算出部は、上記処理装置を用いて、上記トラック更新部が上記トラック記憶部に記憶させたトラックデータに基づいて、上記トラックデータの優先度を算出し、
上記共通データ更新部は、上記処理装置を用いて、上記優先度算出部が算出した優先度のほうが、上記共通データ記憶部が記憶した共通データの優先度よりも高い場合に、上記トラック更新部が上記トラック記憶部に記憶させたトラックデータを、上記共通データ記憶部に上記共通データとして記憶させ、
上記同一データ出力部は、上記処理装置を用いて、上記トラック記憶部が記憶した複数のトラックデータと、上記共通データ記憶部が記憶した共通データとを含むデータを同一データとして出力することを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
この発明にかかる追尾装置によれば、センサ装置ごとに異なるタイミングで出力されるトラックデータを入力し、トラックデータの優先度が共通データの優先度よりも高い場合に共通データを更新するので、異なるセンサ装置からのトラックデータを一つにまとめることができ、共通データが不定期に更新されるのを防ぐことができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
実施の形態1.
実施の形態1について、図1〜図16を用いて説明する。
【0007】
図1は、この実施の形態における航空管制システム800の一例を示す図である。
航空機850の安全を確保するため、航空機850の現在位置を正確に把握する必要がある。航空機850の現在位置を知るためのセンサ装置には、例えば、空港面探知レーダ(ASDE:Airport Surface Detection Equipment)811、空港監視レーダ(ASR:Airport Surveillance Radar)812、航空路監視レーダ(ARSR:Air Route Surveillance Radar)813、自動従属監視(ADS:Automatic Dependent Surveillance)受信装置814などがある。
【0008】
空港面探知レーダ811は、主に、滑走路上や待機場所など空港地表面にいる航空機850や車両などの動きを監視するための高分解能レーダである。空港面探知レーダ811は、例えば、約1秒で1回転する指向性アンテナから24GHz帯の電波を放射し、放射した電波が航空機850などに当たって反射した反射波を受信することにより、アンテナと航空機850などとの距離や方位などを探知する。探知距離は、数km程度である。
【0009】
空港監視レーダ812は、主に、空港周辺の空域を飛行中の航空機850などを探知するためのレーダである。空港監視レーダ812は、例えば、一次監視レーダ(PSR:Primary Surveillance Radar)と二次監視レーダ(SSR:Secondary Surveillance Radar)とを組み合わせたレーダであり、探知距離は、約110〜180km程度である。
一次監視レーダは、約4秒で1回転する指向性アンテナから2.7GHz帯の電波を放射し、放射した電波が航空機850などに当たって反射した反射波を受信することにより、アンテナと航空機850などとの距離や方位を探知する。
二次監視レーダは、一次監視レーダのアンテナとともに回転する指向性アンテナから1030MHzの電波(質問信号)を放射し、放射した電波を航空機850に搭載されたトランスポンダが受信し、受信した質問信号に対する応答として、1090MHzの電波(応答信号)を送信する。二次監視レーダは、応答信号を受信することにより、アンテナと航空機850などとの距離や方位を探知する。また、質問信号のモードにより、トランスポンダが航空機850などの識別コード(モードA)や高度(モードC)などの情報を含む応答信号を送信するので、二次監視レーダは、これらの情報を取得することができる。更に、同じ方向にいる複数の航空機850からの応答信号が輻輳して識別不能になるのを防ぐため、応答すべき航空機850の識別コードを指定して、指定された識別コードを有する航空機850のみが応答信号を返す機能を有するものもある(モードS)。
【0010】
航空路監視レーダ813は、主に、航空路上など空港から離れた空域を飛行中の航空機850などを探知するためのレーダである。航空路監視レーダ813は、空港監視レーダ812と同様、例えば、一次監視レーダと二次監視レーダとを組み合わせたレーダであり、探知距離は、約370km程度である。航空路監視レーダ813の指向性アンテナは、約10秒で1回転する。
【0011】
自動従属監視受信装置814は、航空機850などがGPS(Global Positioning System)受信機や慣性航法装置(INS:Inertial Navigation System)などにより自らの位置や速度などを算出し、算出した情報を送信することにより、航空機850などから送信された電波を受信し、航空機850などの位置などの情報を得るものである。自動従属監視受信装置814は、例えば、航空路上などにいる航空機850などが送信した電波を受信するものや、空港地表面などにいる航空機850などが送信した電波を受信するものなどがある。
【0012】
空港面探知レーダ811がある航空機850を探知してから、同じ航空機850を再び探知するまでの間隔は、指向性アンテナが1回転する周期とほぼ等しく、約1秒である。
空港監視レーダ812がある航空機850を探知してから、同じ航空機850を再び探知するまでの間隔は、指向性アンテナが1回転する周期とほぼ等しく、約4秒である。
航空路監視レーダ813がある航空機850を探知してから、同じ航空機850を再び探知するまでの間隔は、指向性アンテナが1回転する周期とほぼ等しく、約10秒である。
自動従属監視受信装置814がある航空機850からの電波を受信してから、同じ航空機850からの電波を受信するまでの間隔は、航空機850が電波を送信する間隔と等しく、例えば、約1秒である。
【0013】
図2は、この実施の形態における航空管制システム800の全体構成の一例を示すシステム構成図である。
航空管制システム800は、複数のセンサ装置810、追尾装置100、管制表示装置830、中央処理装置840を有する。
センサ装置810は、図1で説明した空港面探知レーダ811、空港監視レーダ812、航空路監視レーダ813、自動従属監視受信装置814などであり、航空機850などの目標を観測し、ターゲットデータを生成する。ターゲットデータとは、観測した目標の位置、高度、速度、識別コードなど、目標に関する情報を表わすデータである。
【0014】
追尾装置100は、複数のセンサ装置810がそれぞれ固有のタイミングで生成したターゲットデータを非同期に入力し、入力したターゲットデータに基づいて、目標を追尾し、同一データを生成する。同一データとは、同じ目標について異なるセンサ装置810が観測したデータが複数ある場合、複数のデータをまとめて一つのデータとしたデータである。
【0015】
管制表示装置830は、追尾装置100が生成した同一データを入力し、入力した同一データに基づいて、目標の位置などの情報を表示する。
中央処理装置840は、管制支援を行うための機能(管制支援機能)を有する。中央処理装置840は、追尾装置100が生成した同一データを入力し、例えば、複数の航空機850が衝突しそうになった場合など危険を予測した場合に警告音声を出すなどして、管制業務を支援する。
【0016】
追尾装置100は、目標追尾部110、最適化処理部120、同一データ記憶部180、同一データ出力部190を有する。
【0017】
目標追尾部110は、センサ装置810が生成したターゲットデータを入力し、入力したターゲットデータが表わす目標を追尾する。目標追尾部110は、追尾した結果に基づいて、トラックデータを生成する。トラックデータとは、センサ装置810が観測した目標に関する情報を表わすデータであり、例えば、目標の現在位置、高度、速度、識別コードなどを含む。目標追尾部110は、目標を追尾した結果に基づいて目標の将来の位置・速度など目標の将来に関する情報を予測する。また、目標追尾部110は、予測の信頼性を見積もる。トラックデータには、目標追尾部110が予測した情報を表わすデータや予測の信頼性を表わすデータも含まれる。更に、センサ装置810が次に同じ目標を観測するはずの時刻にセンサ装置810が目標を観測し損ねて、ターゲットデータを生成しなかった場合、目標追尾部110は、予測した情報に基づいて、目標の現在位置など目標の現在に関する情報を推定する。また、目標追尾部110は、推定の信頼性を見積もる。トラックデータには、目標追尾部110が推定した情報を表わすデータや推定の信頼性を表わすデータも含まれる。これにより、センサ装置810が目標を観測し損ねてターゲットデータを生成しなかった場合も、追尾を継続できる。センサ装置810がターゲットデータを生成せず、推定結果に基づいて、目標追尾部110がトラックデータを生成した場合、目標追尾部110は、推定の信頼性を下げる。センサ装置810がターゲットデータを生成しない状態が続くと、推定の信頼性が更に下がり、所定の閾値以下になると、目標追尾部110は、推定結果に基づいてトラックデータを生成するのを止める。
なお、この例では、一つのセンサ装置810に対して一つの目標追尾部110が割り当てられているが、複数の同種のセンサ装置810が生成したターゲットデータを、一つの目標追尾部110が処理することとしてもよい。あるいは、すべてのセンサ装置810が生成したターゲットデータを、一つの目標追尾部110が処理することとしてもよい。
【0018】
最適化処理部120は、目標追尾部110が生成した複数のトラックデータを入力し、一つの目標についてのトラックデータを一つにまとめてパッケージ化し、同一データを生成する。また、最適化処理部120は、一つの同一データ内にまとめられたトラックデータのうちのいずれか一つを共通データとする。共通データとは、トラックデータのなかで一番信頼性の高いデータであり、同一データを代表するデータである。
【0019】
同一データ記憶部180は、最適化処理部120が生成した同一データを記憶する。
【0020】
同一データ出力部190は、同一データ記憶部180が記憶した同一データを所定のタイミングで出力する。同一データ出力部190は、例えば、一定の周期ごとに同一データを一回出力することとしてもよいし、同一データ記憶部180が記憶した同一データのうち共通データが更新されるたびに、同一データを出力することとしてもよい。
【0021】
図3は、この実施の形態における追尾装置100の外観の一例を示す図である。
追尾装置100は、システムユニット910、CRT(Cathode・Ray・Tube)やLCD(液晶)の表示画面を有する表示装置901、キーボード902(Key・Board:K/B)、マウス903、FDD904(Flexible・Disk・Drive)、コンパクトディスク装置905(CDD)、プリンタ装置906、スキャナ装置907などのハードウェア資源を備え、これらはケーブルや信号線で接続されている。
システムユニット910は、コンピュータであり、ファクシミリ機932、電話器931とケーブルで接続され、また、ローカルエリアネットワーク942(LAN)、ゲートウェイ941を介してインターネット940に接続されている。
【0022】
図4は、この実施の形態における追尾装置100のハードウェア資源の一例を示す図である。
追尾装置100は、プログラムを実行するCPU911(Central・Processing・Unit、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、プロセッサともいう)を備えている。CPU911は、バス912を介してROM913、RAM914、通信装置915、表示装置901、キーボード902、マウス903、FDD904、CDD905、プリンタ装置906、スキャナ装置907、磁気ディスク装置920と接続され、これらのハードウェアデバイスを制御する。磁気ディスク装置920の代わりに、光ディスク装置、メモリカード読み書き装置などの記憶装置でもよい。
RAM914は、揮発性メモリの一例である。ROM913、FDD904、CDD905、磁気ディスク装置920の記憶媒体は、不揮発性メモリの一例である。これらは、記憶装置あるいは記憶部の一例である。
通信装置915、キーボード902、スキャナ装置907、FDD904などは、入力部、入力装置の一例である。
また、通信装置915、表示装置901、プリンタ装置906などは、出力部、出力装置の一例である。
【0023】
通信装置915は、ファクシミリ機932、電話器931、LAN942等に接続されている。通信装置915は、LAN942に限らず、インターネット940、ISDN等のWAN(ワイドエリアネットワーク)などに接続されていても構わない。インターネット940或いはISDN等のWANに接続されている場合、ゲートウェイ941は不用となる。
磁気ディスク装置920には、オペレーティングシステム921(OS)、ウィンドウシステム922、プログラム群923、ファイル群924が記憶されている。プログラム群923のプログラムは、CPU911、オペレーティングシステム921、ウィンドウシステム922により実行される。
【0024】
上記プログラム群923には、以下に述べる実施の形態の説明において「〜部」として説明する機能を実行するプログラムが記憶されている。プログラムは、CPU911により読み出され実行される。
ファイル群924には、以下に述べる実施の形態の説明において、「〜の判定結果」、「〜の計算結果」、「〜の処理結果」として説明する情報やデータや信号値や変数値やパラメータが、「〜ファイル」や「〜データベース」の各項目として記憶されている。「〜ファイル」や「〜データベース」は、ディスクやメモリなどの記録媒体に記憶される。ディスクやメモリになどの記憶媒体に記憶された情報やデータや信号値や変数値やパラメータは、読み書き回路を介してCPU911によりメインメモリやキャッシュメモリに読み出され、抽出・検索・参照・比較・演算・計算・処理・出力・印刷・表示などのCPUの動作に用いられる。抽出・検索・参照・比較・演算・計算・処理・出力・印刷・表示のCPUの動作の間、情報やデータや信号値や変数値やパラメータは、メインメモリやキャッシュメモリやバッファメモリに一時的に記憶される。
また、以下に述べる実施の形態の説明において説明するフローチャートの矢印の部分は主としてデータや信号の入出力を示し、データや信号値は、RAM914のメモリ、FDD904のフレキシブルディスク、CDD905のコンパクトディスク、磁気ディスク装置920の磁気ディスク、その他光ディスク、ミニディスク、DVD(Digital・Versatile・Disk)等の記録媒体に記録される。また、データや信号は、バス912や信号線やケーブルその他の伝送媒体によりオンライン伝送される。
【0025】
また、以下に述べる実施の形態の説明において「〜部」として説明するものは、「〜回路」、「〜装置」、「〜機器」であってもよく、また、「〜ステップ」、「〜手順」、「〜処理」であってもよい。すなわち、「〜部」として説明するものは、ROM913に記憶されたファームウェアで実現されていても構わない。或いは、ソフトウェアのみ、或いは、素子・デバイス・基板・配線などのハードウェアのみ、或いは、ソフトウェアとハードウェアとの組み合わせ、さらには、ファームウェアとの組み合わせで実施されても構わない。ファームウェアとソフトウェアは、プログラムとして、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、DVD等の記録媒体に記憶される。プログラムはCPU911により読み出され、CPU911により実行される。すなわち、プログラムは、以下に述べる「〜部」としてコンピュータを機能させるものである。あるいは、以下に述べる「〜部」の手順や方法をコンピュータに実行させるものである。
【0026】
図5は、この実施の形態における追尾装置100のうち、目標追尾部110の内部ブロックの構成の一例を示す詳細ブロック図である。
目標追尾部110は、ターゲット相関処理部111、トラックデータ記憶部116、ターゲット予測部115、トラックデータ出力部119を有する。
トラックデータ記憶部116は、捕捉データ記憶部117、予測データ記憶部118を有する。
【0027】
ターゲット相関処理部111は、センサ装置810が生成するターゲットデータを順次入力し、入力したターゲットデータについて相関処理をする。相関処理とは、入力したターゲットデータが、それ以前に入力したターゲットデータが表わす目標のうち、どの目標と同一の目標を表わすものであるかを判定することである。ターゲット相関処理部111は、同一の目標を表わすものであると判定したターゲットデータを一つにまとめて、捕捉データとする。
捕捉データ記憶部117は、磁気ディスク装置920を用いて、ターゲット相関処理部111が一つにまとめた捕捉データを記憶する。
【0028】
ターゲット予測部115は、捕捉データ記憶部117が記憶した捕捉データに基づいて、その時点までの目標の動きなどから、次にセンサ装置810が目標を観測する時点における目標の位置など、目標の将来に関する情報を予測する。
予測データ記憶部118は、磁気ディスク装置920を用いて、ターゲット予測部115が予測した情報を表わすデータ(以下「予測データ」と呼ぶ。)を記憶する。
【0029】
ターゲット相関処理部111は、ターゲット入力部112、ターゲット相関部113、捕捉データ更新部114を有する。
ターゲット入力部112は、CPU911を用いて、センサ装置810が生成し出力したターゲットデータを入力する。ターゲット入力部112が入力するターゲットデータには、例えば、センサ装置810が目標を観測した時刻(以下「観測時刻」と呼ぶ。)や、センサ装置810が観測した目標に関する情報(以下「観測内容」と呼ぶ。観測内容はセンサ装置810の種類によって異なり、例えば、目標の位置、高度、速度、識別コードなどである。)を表わすデータが含まれる。また、ターゲットデータには、それぞれの観測内容について、観測の信頼性(精度)を表わすデータが含まれていてもよい。観測の信頼性は、センサ装置810の分解能、センサ装置810と目標との位置関係、センサ装置810周辺の気象条件などによって定まる。
ターゲット入力部112は、RAM914を用いて、入力したターゲットデータを記憶する。
【0030】
ターゲット相関部113は、CPU911を用いて、ターゲット入力部112が記憶したターゲットデータと、予測データ記憶部118が記憶した予測データとを入力する。予測データ記憶部118が記憶した予測データには、例えば、目標識別子、予測時刻、予測内容などを表わすデータが含まれる。
目標識別子とは、目標を識別するため目標に付した目標ごとに異なるデータである。目標識別子は、モードSアドレスや応答ビーコンコードなどセンサ装置810が観測する識別コードと同一のものを用いてもよいし、目標追尾部110内で独自に生成したものであってもよい。
予測時刻とは、ターゲット予測部115が予測した目標に関する情報が、いつの時点について予測したものであるかを表わす。
予測内容とは、ターゲット入力部112が入力したターゲットデータが表わす観測内容と対応する内容(例えば、目標の位置、高度、速度、識別コードなど)について、ターゲット予測部115が予測した情報を表わす。
また、予測データには、それぞれの予測内容について、予測の信頼性(精度)を表わすデータが含まれていてもよい。予測の信頼性は、予測のもととなったターゲットデータの観測の信頼性、観測内容のバラツキ、観測時刻と予測時刻との差などによって定まる。
【0031】
ターゲット相関部113は、CPU911を用いて、入力したターゲットデータが表わす観測時刻・観測内容と、入力した予測データが表わす予測時刻・予測内容とに基づいて、ターゲットデータが表わす目標について、目標識別子を推定する。ターゲット相関部113は、例えば、CPU911を用いて、予測データが表わす複数の目標についての予測時刻・予測内容のなかから、ターゲットデータが表わす観測時刻・観測内容に近いものを探す。例えば、ターゲット相関部113は、CPU911を用いて、ターゲットデータが表わす観測内容と予測データが表わす予測内容とを比較し、識別コードが同一であるものや、位置、高度、速度などが近いものを探す。ターゲット相関部113は、予測時刻・予測内容が近い予測データが表わす目標識別子を取得し、ターゲットデータの目標識別子とする。予測時刻・予測内容が近い予測データがない場合、ターゲット相関部113は、CPU911を用いて、新しい目標であると判定し、新たに目標識別子を生成し、ターゲットデータの目標識別子とする。
ターゲット相関部113は、RAM914を用いて、推定した目標識別子を一時的に記憶する。
【0032】
捕捉データ更新部114は、CPU911を用いて、ターゲット入力部112が一時的に記憶したターゲットデータと、ターゲット相関部113が記憶した目標識別子とを入力する。
捕捉データ更新部114は、CPU911を用いて、入力したターゲットデータと目標識別子とに基づいて、捕捉データ記憶部117が記憶した捕捉データを更新する。捕捉データ更新部114は、例えば、入力したターゲットデータに、入力した目標識別子を付して、捕捉データ記憶部117に捕捉データとして記憶させる。
【0033】
捕捉データ記憶部117は、磁気ディスク装置920を用いて、捕捉データを記憶する。捕捉データ記憶部117は、同じ目標識別子を付された捕捉データを、過去数回分にわたって複数記憶する。捕捉データ更新部114により捕捉データを更新された際、捕捉データ記憶部117は、CPU911を用いて、例えば、記憶した捕捉データのうち、同じ目標識別子を付された捕捉データの数を数える。捕捉データ記憶部117は、CPU911を用いて、同じ目標識別子を付された捕捉データが所定の数(例えば、11)以上になったか否かを判定する。捕捉データ記憶部117は、同じ目標識別子を付された捕捉データが所定の数以上になったと判定した場合、磁気ディスク装置920を用いて、同じ目標識別子を付された捕捉データのうち、一番古い捕捉データを削除する。
【0034】
ターゲット予測部115は、CPU911を用いて、捕捉データ記憶部117が記憶した捕捉データを入力する。ターゲット予測部115は、CPU911を用いて、入力した捕捉データに基づいて、目標の将来に関する情報を予測する。ターゲット予測部115は、CPU911を用いて、予測した情報を表わす予測データを生成する。
例えば、ターゲット予測部115は、CPU911を用いて、捕捉データ記憶部117が記憶した捕捉データのうちから、捕捉データ更新部114が更新した捕捉データと同一の目標識別子を付された捕捉データ(捕捉データ更新部114が更新した捕捉データも含む)を入力する。ターゲット予測部115は、CPU911を用いて、入力した捕捉データに基づいて、目標の現在の位置、高度、速度などを推定する。ターゲット予測部115は、CPU911を用いて、予測時刻を決定する。ターゲット予測部115は、例えば、センサ装置810が同じ目標を観測すると予想される時刻を予測時刻とする。例えば、センサ装置810が(1秒で1回転する)空港面探知レーダ811であれば、1秒後、2秒後、3秒後…に同じ目標を観測することが予想され、センサ装置810が(4秒で1回転する)空港監視レーダ812であれば、4秒後、8秒後、12秒後…に同じ目標を観測することが予想される。ターゲット予測部115は、推定した目標の現在の位置、高度、速度などに基づいて、決定した予測時刻における目標の位置、高度、速度などを予測する。また、ターゲット予測部115は、CPU911を用いて、予測の信頼度を算出する。ターゲット予測部115は、CPU911を用いて、予測した目標の位置、高度、速度や、算出した予測の信頼度などを含む予測内容を表わす予測データを生成する。
ターゲット予測部115は、RAM914を用いて、生成した予測データを記憶する。
【0035】
また、予測データ記憶部118が記憶した予測データが表わす一番早い予測時刻から所定の時間(例えば、観測周期の10分の1)が経過しても、捕捉データ更新部114が捕捉データを更新しない場合、ターゲット予測部115は、CPU911を用いて、何らかの原因でセンサ装置810が目標を観測し損ねたと判定する。その場合も、ターゲット予測部115は、CPU911を用いて、捕捉データ記憶部117が記憶した捕捉データを入力し、入力した捕捉データに基づいて、予測データを生成する。
この場合において、ターゲット予測部115は、最新の観測時刻と予測時刻との差が大きく、目標が観測されるべき時刻に目標が観測されなかったことから、通常の場合よりも予測の信頼性を低く見積もる。
【0036】
捕捉データ更新部114が捕捉データを更新せず、ターゲット予測部115が予測データを生成した場合、捕捉データ記憶部117は、CPU911を用いて、予測データ記憶部118が記憶した予測データのうちから、一番早い予測時刻についての予測データを取得し、磁気ディスク装置920を用いて、捕捉データとして記憶する。これにより、センサ装置810が目標を観測し損ねた場合であっても、目標の追尾を継続することができる(いわゆるメモリトラック機能)。
【0037】
予測データ記憶部118は、CPU911を用いて、ターゲット予測部115が記憶した予測データを入力する。予測データ記憶部118は、磁気ディスク装置920を用いて、入力した予測データを記憶する。
【0038】
なお、メモリトラック機能により追尾を継続している状態において、更に捕捉データ更新部114が捕捉データを更新しないことが続いた場合、ターゲット予測部115は、CPU911を用いて、その目標を見失ったと判定する。例えば、ターゲット予測部115は、CPU911を用いて、捕捉データ更新部114が捕捉データを更新しないことが、所定の回数(例えば、5回)続いた場合、その目標を見失ったと判定する。あるいは、ターゲット予測部115は、CPU911を用いて、予測の信頼性が所定のレベル以下に下がった場合に、その目標を見失ったと判定してもよい。
その場合、ターゲット予測部115は、その目標についての予測データを生成しない。予測データ記憶部118は、磁気ディスク装置920を用いて、記憶した予測データのうちから、その目標に関する予測データを削除する。また、捕捉データ記憶部117は、磁気ディスク装置920を用いて、記憶した捕捉データのうちから、その目標に関する捕捉データを削除する。
【0039】
捕捉データ更新部114が記憶した捕捉データが更新され、ターゲット予測部115が生成した予測データを予測データ記憶部118が記憶した場合、トラックデータ出力部119は、CPU911を用いて、捕捉データ記憶部117が記憶した捕捉データと、予測データ記憶部118が記憶した予測データとに基づいて、トラックデータを生成する。例えば、捕捉データ記憶部117は、CPU911を用いて、捕捉データ記憶部117が記憶した捕捉データのうち、更新された最新の捕捉データを取得する。捕捉データ記憶部117は、CPU911を用いて、取得した捕捉データに含まれる目標識別子と同じ目標識別子が付された予測データを、予測データ記憶部118が記憶した予測データのうちから取得する。トラックデータ出力部119は、CPU911を用いて、取得した捕捉データと予測データとを一つにまとめ、センサ装置810を識別するセンサ識別子を付して、トラックデータとする。トラックデータ出力部119は、CPU911を用いて、生成したトラックデータを出力する。
【0040】
図6は、この実施の形態における追尾装置100のうち、最適化処理部120の一部及び同一データ記憶部180の内部ブロックの構成の一例を示す詳細ブロック図である。
【0041】
最適化処理部120は、トラック相関処理部130を有する。
トラック相関処理部130は、異なる複数のセンサ装置810が生成したターゲットデータに基づいて目標追尾部110が生成した複数のトラックデータを順次入力し、同じ目標についてのトラックデータを一つにまとめる。
【0042】
同一データ記憶部180は、トラック記憶部181、共通データ記憶部182、平滑予測記憶部183を有する。
トラック記憶部181は、磁気ディスク装置920を用いて、トラック相関処理部130が一つにまとめたトラックデータを記憶する。
共通データ記憶部182については、後述する。
平滑予測記憶部183は、磁気ディスク装置920を用いて、後述する平滑予測部150が生成した平滑予測データを記憶する。
平滑予測データとは、平滑予測部150が予測した目標の将来に関する情報(所定の時刻(以下「平滑予測時刻」と呼ぶ。)における位置、高度、速度、識別コードなど)を表わすデータである。
【0043】
トラック相関処理部130は、トラック入力部131、トラック推定部132、トラック相関部133、トラック更新部134を有する。
【0044】
トラック入力部131は、CPU911を用いて、複数の目標追尾部110がそれぞれのタイミングで出力したトラックデータを入力する。トラック入力部131は、RAM914を用いて、入力したトラックデータを記憶する。
【0045】
トラック推定部132は、CPU911を用いて、トラック入力部131が記憶したトラックデータを入力する。トラック推定部132は、CPU911を用いて、入力したトラックデータに基づいて、センサ装置810が目標を観測した観測時刻を取得する。
トラック推定部132は、CPU911を用いて、平滑予測記憶部183が記憶した平滑予測データに基づいて、取得した観測時刻における目標に関する情報を推定する。例えば、トラック推定部132は、CPU911を用いて、取得した観測時刻に基づいて、平滑予測記憶部183が記憶した平滑予測データのなかから、観測時刻の前後の時刻を平滑予測時刻とする平滑予測データを入力する。トラック推定部132は、入力した平滑予測データに基づいて、取得した観測時刻における目標に関する情報を推定する。
トラック推定部132は、RAM914を用いて、推定した情報を表わすデータ(以下「トラック推定データ」と呼ぶ。)を記憶する。
【0046】
トラック相関部133は、CPU911を用いて、トラック入力部131が記憶したトラックデータと、トラック推定部132が記憶したトラック推定データとを入力する。トラック相関部133は、CPU911を用いて、入力したトラックデータとトラック推定データとに基づいて、トラックデータが表わす目標を同定する。
ここで、トラック相関部133が同定する目標は、トラック入力部131が入力したトラックデータに含まれる目標識別子が表わす目標と同じであるとは限らない。目標追尾部110が同一の目標であると判定した判定結果が常に正しいとは限らず、トラック相関部133が同定した目標が、目標追尾部110が同定した目標と異なる場合もある。
トラック相関部133は、RAM914を用いて、同定した目標を表わす目標識別子を一時的に記憶する。なお、トラック相関部133が使用する目標識別子は、目標追尾部110が使用する目標識別子と異なる場合がある。例えば、目標追尾部110が独自の目標識別子を使用している場合、他の目標追尾部110における目標識別子と整合しないので、トラック相関処理部130では、便名、モードSアドレス、応答ビーコンコードなどに基づく統一された目標識別子を使用する。
【0047】
トラック更新部134は、CPU911を用いて、トラック入力部131が記憶したトラックデータと、トラック相関部133が一時的に記憶した目標識別子とを入力する。トラック更新部134は、CPU911を用いて、入力したトラックデータと目標識別子とに基づいて、トラック記憶部181が記憶したトラックデータを更新する。トラック更新部134は、例えば、CPU911を用いて、入力したトラックデータに含まれる目標識別子を、トラック相関部133から入力した目標識別子に変更し、トラック記憶部181に記憶させる。
【0048】
トラック記憶部181は、磁気ディスク装置920を用いて、トラックデータを記憶する。トラック記憶部181は、同じ目標識別子を付されたトラックデータを、センサ装置810ごとに1つずつ記憶する。
例えば、トラック更新部134によりトラックデータを更新された際、トラック記憶部181は、CPU911を用いて、記憶したトラックデータのうちから、更新されたトラックデータ以外に、更新されたトラックデータと同じ目標識別子、同じセンサ識別子を含むトラックデータを探す。更新されたトラックデータと同じ目標識別子、同じセンサ識別子を含むトラックデータを見つけた場合、トラック記憶部181は、磁気ディスク装置920を用いて、発見したトラックデータを削除する。
【0049】
図7は、この実施の形態における追尾装置100のうち、最適化処理部120の一部及び同一データ記憶部180の内部ブロックの構成の一例を示す詳細ブロック図である。
最適化処理部120は、更に、優先更新部140、平滑予測部150を有する。
【0050】
優先更新部140は、トラック記憶部181が記憶したトラックデータのうち、一番優先度の高いトラックデータを複製して、共通データ記憶部182に共通データとして記憶させる。
優先更新部140は、優先度算出部141、優先度記憶部142、更新判定部143、共通データ更新部144を有する。
【0051】
優先度算出部141は、CPU911を用いて、トラック更新部134がトラック記憶部181に記憶させたトラックデータを入力する。優先度算出部141は、CPU911を用いて、入力したトラックデータに基づいて、入力したトラックデータの優先度を算出する。トラックデータの優先度とは、同一データを代表する共通データとして、そのトラックデータを使用するか否かを決定するための指標となるものである。優先度算出部141は、CPU911を用いて、例えば、トラックデータが表わす観測の信頼性、センサ装置810の種類、センサ装置810と目標との位置関係などに基づいて、優先度を算出する。優先度算出部141は、RAM914を用いて、算出した優先度を表わすデータ(以下「優先度データ」と呼ぶ。)を一時的に記憶する。なお、優先度データには、優先度算出部141が入力したトラックデータが表わす目標を識別する目標識別子や、センサ装置810を識別するセンサ識別子も含まれる。
【0052】
更新判定部143は、CPU911を用いて、優先度算出部141が一時的に記憶した優先度データに基づいて、共通データを更新するか否かを判定する。判定の詳細については、後述する。
更新判定部143が共通データを更新すると判定した場合、優先度記憶部142は、CPU911を用いて、優先度算出部141が記憶した優先度データを入力する。優先度記憶部142は、磁気ディスク装置920を用いて、入力した優先度データを記憶する。優先度記憶部142は、目標ごとに一つずつ優先度データを記憶する。優先度記憶部142は、CPU911を用いて、記憶した優先度データのうちから、入力した優先度データに含まれる目標識別子と同じ目標識別子を含む優先度データを探す。入力した優先度データに含まれる目標識別子と同じ目標識別子を含む優先度データが見つかった場合、優先度記憶部142は、磁気ディスク装置920を用いて、発見した優先度データを削除する。その後、優先度記憶部142は、磁気ディスク装置920を用いて、入力した優先度データを記憶する。
【0053】
更新判定部143は、CPU911を用いて、優先度算出部141が記憶した優先度データを入力する。更新判定部143は、CPU911を用いて、入力した優先度データに基づいて、優先度データに含まれる目標識別子を取得する。更新判定部143は、CPU911を用いて、優先度記憶部142が記憶した優先度データのうちから、取得した目標識別子と同じ目標識別子を含む優先度データを入力する。優先度記憶部142が記憶した優先度データのなかに、取得した目標識別子と同じ目標識別子を含む優先度データがない場合、更新判定部143は、CPU911を用いて、共通データを更新すると判定する。
優先度記憶部142が記憶した優先度データのなかに、取得した目標識別子と同じ目標識別子を含む優先度データがある場合、更新判定部143は、CPU911を用いて、優先度算出部141から入力した優先度データと、優先度記憶部142から入力した優先度データとにそれぞれ含まれるセンサ識別子を比較する。更新判定部143は、CPU911を用いて、二つのセンサ識別子が同一である場合、共通データを更新すると判定する。二つのセンサ識別子が異なる場合、更新判定部143は、CPU911を用いて、入力した二つの優先度データが表わす優先度を比較する。更新判定部143は、CPU911を用いて、優先度算出部141が算出した優先度のほうが高いと判定した場合、共通データを更新すると判定する。
【0054】
共通データ更新部144は、CPU911を用いて、更新判定部143が共通データを更新すると判定した場合、トラック更新部134がトラック記憶部181に記憶させたトラックデータを入力する。共通データ更新部144は、CPU911を用いて、入力したトラックデータを、共通データ記憶部182に共通データとして記憶させる。
【0055】
共通データ記憶部182は、磁気ディスク装置920を用いて、共通データを記憶する。共通データ記憶部182は、同じ目標識別子を含む共通データを、過去数回分にわたって複数記憶する。共通データ更新部144により共通データを更新された際、共通データ記憶部182は、CPU911を用いて、例えば、記憶した共通データのうち、同じ目標識別子を含む共通データの数を数える。共通データ記憶部182は、CPU911を用いて、同じ目標識別子を含む共通データが所定の数(例えば、11)以上になったか否かを判定する。共通データ記憶部182は、同じ目標識別子を含む共通データが所定の数以上になったと判定した場合、磁気ディスク装置920を用いて、同じ目標識別子を含む共通データのうち、一番古い共通データを削除する。
【0056】
平滑予測部150は、CPU911を用いて、共通データ記憶部182が記憶した共通データを入力する。平滑予測部150は、CPU911を用いて、入力した共通データに基づいて、目標の将来に関する情報を予測する。平滑予測部150は、CPU911を用いて、予測した情報を表わす平滑予測データを生成する。
例えば、平滑予測部150は、CPU911を用いて、共通データ記憶部182が記憶した共通データのうちから、共通データ更新部144が更新した共通データと同一の目標識別子を含む共通データ(共通データ更新部144が更新した共通データも含む)を入力する。平滑予測部150は、CPU911を用いて、入力した共通データに基づいて、目標の現在の位置、高度、速度などを推定する。平滑予測部150は、CPU911を用いて、平滑予測時刻を決定する。例えば、あらかじめ平滑予測時刻を4秒周期とすると定めておき、平滑予測部150は、それに基づいて、4秒後、8秒後、12秒後…を平滑予測時刻とする。平滑予測部150は、CPU911を用いて、推定した目標の現在の位置、高度、速度などに基づいて、決定した平滑予測時刻における目標の位置、高度、速度などを予測する。また、平滑予測部150は、CPU911を用いて、予測の信頼度を算出する。平滑予測部150は、CPU911を用いて、予測した目標の位置、高度、速度や、算出した予測の信頼度などを含む平滑予測内容を表わす平滑予測データを生成する。
平滑予測部150は、RAM914を用いて、生成した平滑予測データを記憶する。
【0057】
平滑予測記憶部183は、CPU911を用いて、平滑予測部150が記憶した平滑予測データを入力する。平滑予測記憶部183は、磁気ディスク装置920を用いて、入力した平滑予測データを記憶する。
【0058】
目標追尾部110における相関処理では、センサ装置810がターゲットデータを生成するタイミングがあらかじめ予想できるので、ターゲット予測部115が予測時刻における目標の位置などを予測しておいて、ターゲット相関部113が、観測内容と予測内容とを比較することにより、目標を同定する。
これに対し、トラック相関処理部130における相関処理では、目標追尾部110がそれぞれ独自のタイミングでトラックデータを生成するので、将来入力するトラックデータが表わす観測時刻に合わせて、平滑予測時刻を決定することができない。そこで、平滑予測部150は、あらかじめ決められた所定の周期をもとに平滑予測時刻を決定し、平滑予測データを生成しておく。
トラック推定部132は、CPU911を用いて、トラックデータの観測時刻が平滑予測時刻と一致しない場合、観測時刻の直前の平滑予測時刻と、観測時刻の直後の平滑予測時刻とにおける平滑予測データを入力する。観測時刻が最先の平滑予測時刻よりも早い場合、トラック推定部132は、CPU911を用いて、共通データ記憶部182が記憶した共通データのうち最新の共通データを、観測時刻の直前の平滑予測データの代わりに入力する。トラック推定部132は、CPU911を用いて、入力した二つの平滑予測データ(あるいは共通データと平滑予測データ)に基づいて、観測時刻における目標に関する情報を推定する。例えば、トラック推定部132は、CPU911を用いて、直前の平滑予測時刻についての平滑予測データが表わす目標の位置と、直後の平滑予測時刻についての平滑予測データが表わす目標の位置とに基づいて、直線補間による内挿により、観測時刻における目標の位置を算出する。トラック推定部132は、RAM914を用いて、推定した情報を表わすトラック推定データを記憶する。
これにより、トラックデータが表わす観測内容とトラック推定データが表わす推定内容とをトラック相関部133が比較して、目標を同定することができる。
【0059】
図8は、この実施の形態における追尾装置100のうち、最適化処理部120の一部及び同一データ記憶部180の内部ブロックの構成の一例を示す詳細ブロック図である。
最適化処理部120は、更に、同一データ削除部160を有する。
【0060】
同一データ削除部160は、同一データ記憶部180が記憶した同一データのうち、不要になった同一データを削除する。
同一データ削除部160は、トラック削除部161、共通データ削除部162、平滑予測削除部163を有する。
【0061】
トラック削除部161は、CPU911を用いて、トラック記憶部181が記憶したトラックデータを入力する。トラック削除部161は、CPU911を用いて、入力したトラックデータに基づいて、トラックデータが表わすセンサ識別子と観測時刻とを取得する。トラック削除部161は、CPU911を用いて、取得したセンサ識別子に基づいて、センサ装置810の観測周期を求める。例えば、トラック削除部161は、CPU911を用いて、センサ装置810の諸元を記憶した記憶装置にアクセスし、センサ装置810の観測周期を取得する。トラック削除部161は、CPU911を用いて、取得した観測時刻と、求めた観測周期とに基づいて、そのトラックデータが最近更新されているか否かを判定する。例えば、トラック削除部161は、CPU911を用いて、現在時刻から観測周期2周期分前の時刻を基準とし、観測時刻が基準時刻よりも前であれば、そのトラックデータが最近更新されていないと判定する。
トラックデータが最近更新されていないと判定した場合、トラック削除部161は、CPU911を用いて、トラックデータが表わす目標識別子を取得する。トラック削除部161は、RAM914を用いて、取得した目標識別子を記憶する。トラック削除部161は、CPU911を用いて、トラック記憶部181が記憶したトラックデータのうち、最近更新されていないと判定したトラックデータを削除する。
【0062】
トラック削除部161がトラックデータを削除した場合、共通データ削除部162は、CPU911を用いて、トラック削除部161が記憶した目標識別子を入力する。共通データ削除部162は、CPU911を用いて、取得した目標識別子に基づいて、トラック記憶部181が記憶したトラックデータのうちから、トラック削除部161が削除したトラックデータと同じ目標識別子を含むトラックデータを探す。トラック削除部161が削除したトラックデータと同じ目標識別子を含むトラックデータが見つからない場合、共通データ削除部162は、CPU911を用いて、共通データ記憶部182が記憶した共通データのうち、トラック削除部161が削除したトラックデータと同じ目標識別子を含む共通データを削除する。共通データ削除部162は、RAM914を用いて、取得した目標識別子を記憶する。
【0063】
共通データ削除部162が共通データを削除した場合、平滑予測削除部163は、CPU911を用いて、共通データ削除部162が記憶した目標識別子を入力する。平滑予測削除部163は、CPU911を用いて、取得した目標識別子に基づいて、平滑予測記憶部183が記憶した平滑予測データのうち、共通データ削除部162が削除した共通データと同じ目標識別子を含む平滑予測データを削除する。
【0064】
同一データ出力部190は、CPU911を用いて、共通データ記憶部182が記憶した共通データを入力する。同一データ出力部190は、CPU911を用いて、入力した共通データに基づいて、共通データに含まれる目標識別子を取得する。同一データ出力部190は、CPU911を用いて、取得した目標識別子に基づいて、その目標についての同一データを出力するタイミングになったか否かを判定する。その目標についての同一データを出力するタイミングになったと判定した場合、同一データ出力部190は、CPU911を用いて、トラック記憶部181が記憶したトラックデータのうち、取得した目標識別子と同じ目標識別子を含むトラックデータを入力する。同様に、同一データ出力部190は、CPU911を用いて、平滑予測記憶部183が記憶した平滑予測データのうち、取得した目標識別子と同じ目標識別子を含む平滑予測データを入力する。同一データ出力部190は、CPU911を用いて、入力した共通データ、トラックデータ、平滑予測データを一つにまとめて、同一データとする。同一データ出力部190は、CPU911を用いて、生成した同一データを出力する。
【0065】
次に、動作について説明する。
【0066】
図9は、この実施の形態におけるターゲット相関処理部111がターゲットデータが表わす目標を同定するターゲット相関処理の流れの一例を示すフローチャート図である。
ターゲット相関処理は、ターゲット入力部112がターゲットデータを入力するたびに、実行される。
【0067】
ターゲット入力工程S611において、ターゲット入力部112は、CPU911を用いて、センサ装置810が生成したターゲットデータを入力する。
【0068】
相関初期化工程S612において、ターゲット相関部113は、RAM914を用いて、所定の最大誤差評価値を、予測誤差評価値として記憶する。予測誤差評価値とは、ターゲットデータが表わす観測内容と、予測データが表わす予測内容との差を評価した評価値であり、予測誤差評価値が小さいほど観測内容と予測内容との差が小さいことを表わす。最大誤差評価値とは、予測誤差評価値が最大誤差評価値より小さい場合に、ターゲットデータが表わす目標と、予測データが表わす目標とが同一である可能性があると判定する閾値である。この例において、ターゲット相関処理部111は、予測誤差評価値が最大誤差評価値より小さい予測データのうち、予測誤差評価値が最も小さい予測データが表わす目標を、ターゲットデータが表わす目標と同定する。
【0069】
ターゲット相関処理部111は、予測データ記憶部118が記憶した予測データそれぞれについて、予測データ入力工程S613〜繰り返し工程S617の処理を繰り返す。
【0070】
予測データ入力工程S613において、ターゲット相関部113は、CPU911を用いて、予測データ記憶部118が記憶した予測データのなかから、まだ処理していない予測データを一つ入力する。
【0071】
予測時刻比較工程S614において、ターゲット相関部113は、CPU911を用いて、ターゲット入力工程S611でターゲット入力部112が入力したターゲットデータが表わす観測時刻と、予測データ入力工程S613でターゲット相関部113が入力した予測データが表わす予測時刻とに基づいて、観測時刻と予測時刻とがほぼ等しいか否かを判定する。例えば、ターゲット相関部113は、CPU911を用いて、観測時刻と予測時刻との差が、センサ装置810の観測周期の2分の1未満であれば、観測時刻と予測時刻とがほぼ等しいと判定する。
観測時刻と予測時刻とがほぼ等しいと判定した場合、誤差評価工程S615へ進む。
観測時刻と予測時刻とがほぼ等しくないと判定した場合、繰り返し工程S617へ進む。
【0072】
誤差評価工程S615において、ターゲット相関部113は、CPU911を用いて、ターゲット入力工程S611でターゲット入力部112が入力したターゲットデータが表わす観測内容と、予測データ入力工程S613でターゲット相関部113が入力した予測データが表わす予測内容とに基づいて、観測内容と予測内容との差を評価して、評価値を算出する。
ターゲット相関部113は、CPU911を用いて、目標の位置、高度、速度、識別コードなどを総合的に判断して、評価値を算出する。例えば、識別コードが不一致である場合、同じ目標である可能性は低いので、ターゲット相関部113は、評価値を大きくする。しかし、識別コードが一致しても、ゴーストなどである可能性があるため、それだけでは同じ目標であるとは判断できない。そこで、例えば、ターゲット相関部113は、目標の観測位置と予測位置との間の距離に比例する値を評価値に加える。これにより、観測位置と予測位置とが離れている場合、評価値が大きくなる。同様に、ターゲット相関部113は、高度差や速度差に比例する値を評価値に加える。このようにして、ターゲット相関部113は、目標の位置、高度、速度、識別コードなどを総合した評価値を算出する。
ターゲット相関部113は、CPU911を用いて、算出した評価値と、相関初期化処理S612(または後述する評価値更新処理S616)で記憶した予測誤差評価値とを比較する。
算出した評価値のほうが、記憶した予測誤差評価値より小さい場合、評価値更新工程S616へ進む。
算出した評価値のほうが、記憶した予測誤差評価値以上である場合、繰り返し工程S617へ進む。
【0073】
評価値更新工程S616において、ターゲット相関部113は、RAM914を用いて、誤差評価工程S615で算出した評価値を、予測誤差評価値として記憶する。
また、ターゲット相関部113は、CPU911を用いて、予測データ入力工程S613で入力した予測データに含まれる目標識別子を取得する。ターゲット相関部113は、RAM914を用いて、取得した目標識別子を記憶する。
【0074】
繰り返し工程S617において、ターゲット相関部113は、CPU911を用いて、予測データ記憶部118が記憶したすべての予測データについての処理が終わったか判定する。
まだ処理していない予測データがあると判定した場合、予測データ入力工程S613に戻る。
すべての予測データについての処理が終わったと判定した場合、評価結果判定工程S618へ進む。
【0075】
評価結果判定工程S618において、ターゲット相関部113は、CPU911を用いて、相関初期化工程S612または評価値更新工程S616で記憶した予測誤差評価値を取得する。ターゲット相関部113は、CPU911を用いて、取得した予測誤差評価値と、最大誤差評価値とを比較する。
予測誤差評価値が最大誤差評価値より小さい場合(すなわち、評価値更新工程S616で予測誤差評価値が更新された場合)、識別取得工程S619へ進む。
予測誤差評価値が最大誤差評価値と等しい場合(すなわち、評価値更新工程S616で予測誤差評価値が更新されず、相関初期化工程S612で記憶した予測誤差評価値のままである場合)、識別生成工程S629へ進む。
【0076】
識別取得工程S619において、ターゲット相関部113は、CPU911を用いて、評価値更新工程S616で記憶した目標識別子を取得する。その後、捕捉更新工程S621へ進む。
【0077】
識別生成工程S620において、ターゲット相関部113は、CPU911を用いて、新たな目標を表わす目標識別子を生成する。ターゲット相関部113は、例えば、ターゲットデータが表わす識別コードなどに基づいて、目標識別子を生成する。
【0078】
捕捉更新工程S621において、捕捉データ更新部114は、CPU911を用いて、ターゲット相関部113が識別取得工程S619で取得あるいは識別生成工程S620で生成した目標識別子と、ターゲット入力工程S611でターゲット入力部112が入力したターゲットデータとに基づいて、ターゲットデータに目標識別子を付して、捕捉データを生成する。捕捉データ更新部114は、CPU911を用いて、生成した捕捉データを、捕捉データ記憶部117に記憶させる。
【0079】
これにより、ターゲット相関処理部111は、予測誤差評価値が最大誤差評価値よりも小さい予測データのなかで、予測誤差評価値が最も小さい予測データが表わす目標を、ターゲットデータが表わす目標と同定する。また、予測誤差評価値が最大誤差評価値より小さい予測データがない場合、ターゲット相関処理部111は、ターゲットデータが表わす目標が新たな目標であると判定する。
【0080】
図10は、この実施の形態におけるターゲット予測部115が目標の将来に関する情報を予測するターゲット予測処理の流れの一例を示すフローチャート図である。
【0081】
予定時刻算出工程S631において、捕捉データ記憶部117は、CPU911を用いて、記憶した捕捉データのうち最も早く更新されると予測される捕捉データについて、更新予定時刻を算出する。更新予定時刻とは、その捕捉データが、遅くともその時刻までには更新されると予想される時刻である。
例えば、捕捉データ記憶部117は、CPU911を用いて、記憶した捕捉データのなかから、捕捉データが表わす観測時刻が最も早い捕捉データを取得する。捕捉データ記憶部117は、CPU911を用いて、取得した捕捉データに基づいて、捕捉データが表わす観測時刻に、センサ装置810の観測周期の1.5倍を加え、更新予定時刻とする。
捕捉データ記憶部117は、RAM914を用いて、算出した更新予定時刻を記憶する。また、捕捉データ記憶部117は、RAM914を用いて、更新予定時刻までに更新されるべき捕捉データの目標識別子を記憶する。
【0082】
更新判定工程S632において、捕捉データ記憶部117は、CPU911を用いて、記憶した捕捉データのいずれかが捕捉データ更新部114によって更新されたか否かを判定する。
更新されたと判定した場合、予測生成工程S636へ進む。
更新されていないと判定した場合、時刻取得工程S633へ進む。
【0083】
時刻取得工程S633において、捕捉データ記憶部117は、CPU911を用いて、現在の時刻を取得する。捕捉データ記憶部117は、CPU911を用いて、取得した現在時刻と、予定時刻算出工程S631で記憶した更新予定時刻とを比較する。
現在時刻が更新予定時刻よりも前である場合、更新判定工程S632に戻る。
現在時刻が更新予定時刻以降である場合、予測取得工程S634へ進む。
【0084】
予測取得工程S634において、捕捉データ記憶部117は、CPU911を用いて、予定時刻算出工程S631で記憶した目標識別子を取得する。捕捉データ記憶部117は、CPU911を用いて、予測データ記憶部118が記憶した予測データのなかから、取得した目標識別子を含み、予測時刻が現在時刻よりも前である予測データを入力する。捕捉データ記憶部117は、CPU911を用いて、入力した予測データに基づいて、予測データが表わす予測の信頼性を取得する。捕捉データ記憶部117は、CPU911を用いて、取得した予測の信頼性が所定の閾値以上であるか否かを判定する。
予測の信頼性が閾値以上である場合、予測更新工程S635へ進む。
予測の信頼性が閾値未満である場合、捕捉削除工程S639へ進む。
【0085】
予測更新工程S635において、捕捉データ記憶部117は、磁気ディスク装置920を用いて、予測取得工程S634で入力した予測データにより、捕捉データを更新する。例えば、捕捉データ記憶部117は、磁気ディスク装置920を用いて、入力した予測データを捕捉データとして記憶する。
【0086】
予測生成工程S636において、ターゲット予測部115は、CPU911を用いて、捕捉データ記憶部117が記憶した捕捉データのうちから、更新された捕捉データと同じ目標識別子を含む捕捉データを入力する。ターゲット予測部115は、CPU911を用いて、入力した捕捉データに基づいて、その目標についての予測データを生成する。
【0087】
予測記憶工程S637において、予測データ記憶部118は、磁気ディスク装置920を用いて、予測生成工程S636でターゲット予測部115が生成した予測データを記憶する。
【0088】
トラックデータ出力工程S638において、トラックデータ出力部119は、CPU911を用いて、更新された捕捉データと、予測記憶工程S637で予測データ記憶部118が記憶した予測データとに基づいて、トラックデータを生成し、出力する。
その後、予定時刻算出工程S631に戻る。
【0089】
捕捉削除工程S639において、捕捉データ記憶部117は、磁気ディスク装置920を用いて、記憶した捕捉データのうちから、予測取得工程S634で取得した目標識別子と同じ目標識別子を含む捕捉データを削除する。
【0090】
予測削除工程S640において、予測データ記憶部118は、磁気ディスク装置920を用いて、記憶した予測データのうちから、予測取得工程S634で捕捉データ記憶部117が取得した目標識別子と同じ目標識別子を含む予測データを削除する。
【0091】
図11は、この実施の形態におけるトラック相関処理部130がトラックデータが表わす目標を同定するトラック相関処理の流れの一例を示すフローチャート図である。
トラック相関処理は、目標追尾部110がトラックデータを出力するたびに、実行される。
【0092】
トラック入力工程S651において、トラック入力部131は、CPU911を用いて、目標追尾部110が出力したトラックデータを入力する。
【0093】
相関初期化工程S652において、トラック相関部133は、RAM914を用いて、推定誤差評価値として、所定の最大誤差評価値を記憶する。推定誤差評価値とは、トラックデータが表わす観測内容と、平滑予測データが表わす平滑予測内容との差を評価した評価値であり、推定誤差評価値が小さいほど観測内容と平滑予測内容との差が小さいことを表わす。最大誤差評価値とは、推定誤差評価値が最大誤差評価値より小さい場合に、トラックデータが表わす目標と、平滑予測データが表わす目標とが同一である可能性があると判定する閾値であり、ターゲット相関部113における最大誤差評価値と必ずしも同じでなくてもよい。
【0094】
トラック相関処理部130は、平滑予測記憶部183が記憶した平滑予測データを、目標識別子ごとに類別し、目標ごとに類別した平滑予測データそれぞれについて、平滑予測入力工程S653〜繰り返し工程S657の処理を繰り返す。
【0095】
平滑予測入力工程S653において、トラック推定部132は、CPU911を用いて、平滑予測記憶部183が記憶した平滑予測データのうちから、まだ処理していない平滑予測データを一つ入力する。トラック推定部132は、CPU911を用いて、入力した平滑予測データに基づいて、平滑予測データに含まれる目標識別子を取得する。トラック推定部132は、CPU911を用いて、平滑予測記憶部183が記憶した平滑予測データのうちから、取得した目標識別子と同じ目標識別子を含む平滑予測データを入力する。
【0096】
トラック推定工程S654において、トラック推定部132は、CPU911を用いて、トラック入力工程S651でトラック入力部131が入力したトラックデータに基づいて、トラックデータが表わす観測時刻を取得する。トラック推定部132は、CPU911を用いて、平滑予測入力工程S653で入力した平滑予測データに基づいて、取得した観測時刻における目標に関する情報を推定し、トラック推定データを生成する。
【0097】
誤差評価工程S655において、トラック相関部133は、CPU911を用いて、トラック入力工程S651でトラック入力部131が入力したトラックデータが表わす観測内容と、トラック推定工程S654でトラック推定部132が生成したトラック推定データが表わす推定内容とに基づいて、観測内容と推定内容との差を評価して、評価値を算出する。
トラック相関部133は、CPU911を用いて、ターゲット相関部113と同様、目標の位置、高度、速度、識別コードなどを総合的に判断して、評価値を算出する。また、トラック相関部133は、目標追尾部110が同定した目標識別子も考慮する。例えば、トラック相関部133は、トラックデータに含まれる目標識別子が異なる場合、所定の値を評価値に加える。これにより、目標追尾部110が同定した目標識別子が異なる場合、評価値が大きくなる。
トラック相関部133は、CPU911を用いて、算出した評価値と、相関初期化工程S652(または後述する評価値更新工程S656)で記憶した推定誤差評価値とを比較する。
算出した評価値のほうが、記憶した推定誤差評価値より小さい場合、評価値更新工程S656へ進む。
算出した評価値のほうが、記憶した推定誤差評価値以上である場合、繰り返し工程S657へ進む。
【0098】
評価値更新工程S656において、トラック相関部133は、RAM914を用いて、誤差評価工程S655で算出した評価値を、推定誤差評価値として記憶する。
また、トラック相関部133は、RAM914を用いて、平滑予測入力工程S653でトラック推定部132が取得した目標識別子を記憶する。
【0099】
繰り返し工程S657において、トラック推定部132は、CPU911を用いて、平滑予測記憶部183が記憶したすべての平滑予測データについての処理が終わったか判定する。
まだ処理していない平滑予測データがあると判定した場合、平滑予測入力工程S653に戻る。
すべての平滑予測データについての処理が終わったと判定した場合、評価結果判定工程S658へ進む。
【0100】
評価結果判定工程S658において、トラック相関部133は、CPU911を用いて、相関初期化工程S652または評価値更新工程S656で記憶した推定誤差評価値を取得する。トラック相関部133は、CPU911を用いて、取得した推定誤差評価値と、最大誤差評価値とを比較する。
推定誤差評価値が最大誤差評価値より小さい場合、識別取得工程S659へ進む。
推定誤差評価値が最大誤差評価値と等しい場合、識別生成工程S662へ進む。
【0101】
識別取得工程S659において、トラック相関部133は、CPU911を用いて、評価値更新工程S656で記憶した目標識別子を取得する。
【0102】
トラック検索工程S660において、トラック更新部134は、CPU911を用いて、トラック入力工程S651でトラック入力部131が入力したトラックデータに基づいて、トラックデータに含まれるセンサ識別子を取得する。トラック更新部134は、CPU911を用いて、識別取得工程S659で取得した目標識別子と、取得したセンサ識別子とに基づいて、トラック記憶部181が記憶したトラックデータのうちから、目標識別子及びセンサ識別子がともに同一であるトラックデータを検索する。
目標識別子及びセンサ識別子がともに同一であるトラックデータがある場合、トラック上書工程S661へ進む。
目標識別子及びセンサ識別子がともに同一であるトラックデータがない場合、トラック追加工程S663へ進む。
【0103】
トラック上書工程S661において、トラック更新部134は、CPU911を用いて、目標識別子を、識別取得工程S659でトラック相関部133が取得した目標識別子に書き換えたトラックデータを、トラック記憶部181が記憶したトラックデータのうち、トラック検索工程S660で検索したトラックデータに上書きして、更新する。
その後、トラック相関処理を終了する。
【0104】
識別生成工程S662において、トラック相関部133は、CPU911を用いて、新たな目標を表わす目標識別子を生成する。トラック相関部133は、例えば、トラックデータが表わす識別コードや、トラックデータに含まれる目標識別子などに基づいて、目標識別子を生成する。
【0105】
トラック追加工程S663において、トラック更新部134は、CPU911を用いて、目標識別子を、トラック相関部133が識別取得工程S659で取得あるいは識別生成工程S662で生成した目標識別子に書き換えたトラックデータを、トラック記憶部181が記憶したトラックデータに追加して、更新する。
その後、トラック相関処理を終了する。
【0106】
図12は、この実施の形態における優先更新部140が共通データを更新し、平滑予測部150が平滑予測データを生成する優先更新処理の流れの一例を示すフローチャート図である。
優先更新処理は、トラック相関処理部130がトラックデータを更新するたびに、実行される。
【0107】
優先度算出工程S671において、優先度算出部141は、CPU911を用いて、トラック相関処理部130が更新したトラックデータを入力する。優先度算出部141は、CPU911を用いて、入力したトラックデータに基づいて、トラックデータの優先度を算出する。
優先度算出部141は、CPU911を用いて、目標の観測位置とセンサ装置810の位置との間の距離、センサ装置810の観測周期、観測の信頼性などを総合的に評価して、優先度を算出する。例えば、目標の観測位置とセンサ装置810の位置との間の距離が近いほど、観測の精度が高いことが期待できるので、優先度算出部141は、優先度を高くする。また、センサ装置810の観測周期が短いほど、最新のデータを得ることができるので、優先度算出部141は、優先度を高くする。また、観測の信頼性が高いほど、優先度算出部141は、優先度を高くする。
【0108】
既存優先度入力工程S672において、更新判定部143は、CPU911を用いて、優先度算出工程S671で優先度算出部141が入力したトラックデータに基づいて、トラックデータに含まれる目標識別子を取得する。更新判定部143は、CPU911を用いて、取得した目標識別子に基づいて、優先度記憶部142が記憶した優先度データのなかから、同じ目標識別子を含む優先度データを入力する。
優先度記憶部142が記憶した優先度データのなかに、同じ目標識別子を含む優先度データがない場合、優先度更新工程S675へ進む。
優先度記憶部142が記憶した優先度データのなかに、同じ目標識別子を含む優先度データがある場合、センサ比較工程S673へ進む。
【0109】
センサ比較工程S673において、更新判定部143は、CPU911を用いて、優先度算出工程S671で優先度算出部141が入力したトラックデータに含まれるセンサ識別子と、既存優先度入力工程S672で入力した優先度データに含まれるセンサ識別子とを比較する。
二つのセンサ識別子が同一である場合、優先度更新工程S675へ進む。
二つのセンサ識別子が異なる場合、優先度比較工程S674へ進む。
【0110】
優先度比較工程S674において、更新判定部143は、CPU911を用いて、優先度算出工程S671で優先度算出部141が算出した優先度と、既存優先度入力工程S672で入力した優先度データが表わす優先度とを比較する。
優先度算出部141が算出した新しい優先度のほうが、優先度記憶部142が記憶した古い優先度よりも高い場合、優先度更新工程S675へ進む。
優先度記憶部142が記憶した古い優先度のほうが、優先度算出部141が算出した新しい優先度よりも高い場合、優先更新処理を終了する。
【0111】
優先度更新工程S675において、優先度記憶部142は、磁気ディスク装置920を用いて、優先度算出工程S671で優先度算出部141が算出した優先度に基づいて、優先度データを記憶する。
【0112】
共通データ更新工程S676において、共通データ更新部144は、CPU911を用いて、優先度算出工程S671で優先度算出部141が入力したトラックデータを、共通データ記憶部182に共通データとして記憶させる。
【0113】
以上の動作により、共通データ記憶部182が記憶した共通データが更新されるのは、以下の三つの場合である。
第一は、その目標についての共通データを、共通データ記憶部182がまだ記憶していない場合である。
第二は、その目標について同じセンサ装置810が観測した新しいトラックデータが目標追尾部110から来た場合である。この場合、優先度の高低は問わない。
第三は、その目標について異なるセンサ装置810が観測したトラックデータが目標追尾部110から来た場合である。この場合は、新しいトラックデータのほうが優先度が高い場合に限る。
すなわち、あるセンサ装置810からのトラックデータを使って共通データを更新した場合、原則として、同じセンサ装置810からのトラックデータを使って共通データを更新する。ただし、他のセンサ装置810からのトラックデータのほうが優先度が高くなった場合は、他のセンサ装置810からのトラックデータを使って共通データを更新する。
例えば、センサ装置810が目標を見失い、目標追尾部110がメモリトラック機能によりトラックデータを生成した場合、トラックデータの信頼性が下がり、優先度も低くなる。その結果、他のセンサ装置810からのトラックデータのほうが優先度が高くなり、共通データを更新するトラックデータが切り替わる。
【0114】
平滑予測工程S677において、平滑予測部150は、CPU911を用いて、共通データ更新工程S676で共通データ更新部144が更新した共通データを入力する。平滑予測部150は、CPU911を用いて、入力した共通データに基づいて、共通データに含まれる目標識別子を取得する。平滑予測部150は、CPU911を用いて、共通データ記憶部182が記憶した共通データから、同じ目標識別子を含む共通データを入力する。
平滑予測部150は、CPU911を用いて、入力した共通データに基づいて、平滑予測時刻におけるその目標に関する情報を予測し、平滑予測データを生成する。
【0115】
平滑予測更新工程S678において、平滑予測記憶部183は、磁気ディスク装置920を用いて、平滑予測工程S677で平滑予測部150が生成した平滑予測データを記憶する。
【0116】
平滑予測部150が予測する目標に関する情報(位置、高度、速度、識別コードなど)は、基本的には、目標追尾部110が予測する目標に関する情報と同じである。ただし、目標追尾部110が予測する情報は、センサ装置810ごとに固有の観測周期に基づいて定めた予測時刻における情報であるのに対して、平滑予測部150が予測する情報は、センサ装置810の観測周期とは無関係に定めた平滑予測時刻における情報である。
また、トラックデータの優先度が変わり、共通データを更新するトラックデータが切り替わった場合、センサ装置810それぞれに固有の誤差などにより、共通データに不連続が生じる場合がある。そのような場合、平滑予測部150が予測する情報は、共通データの不連続を平滑したものとなる。
【0117】
図13は、この実施の形態における同一データ削除部160が同一データを削除する同一データ削除処理の流れの一例を示すフローチャート図である。
同一データ削除処理は、ターゲットデータの入力やトラックデータ・共通データの更新とは無関係に、定期的に実行される。
【0118】
同一データ削除部160は、トラック記憶部181が記憶したトラックデータそれぞれについて、トラック入力工程S691〜繰り返し工程S698の処理を繰り返す。
【0119】
トラック入力工程S691において、トラック削除部161は、CPU911を用いて、トラック記憶部181が記憶したトラックデータのなかから、まだ処理していないトラックデータを一つ入力する。
【0120】
基準時刻算出工程S692において、トラック削除部161は、CPU911を用いて、トラック入力工程S691で入力したトラックデータに基づいて、トラックデータに含まれるセンサ識別子を取得する。トラック削除部161は、CPU911を用いて、取得したセンサ識別子に基づいて、センサ装置810の観測周期を求める。トラック削除部161は、CPU911を用いて、求めた観測周期に基づいて、基準時刻を算出する。
【0121】
観測時刻比較工程S693において、トラック削除部161は、CPU911を用いて、トラック入力工程S691で入力したトラックデータが表わす観測時刻と、基準時刻算出工程S692で求めた基準時刻とを比較する。
観測時刻のほうが基準時刻よりも前である場合、トラック削除工程S694へ進む。
観測時刻が基準時刻以降である場合、繰り返し工程S698へ進む。
【0122】
トラック削除工程S694において、トラック削除部161は、CPU911を用いて、トラック入力工程S691で入力したトラックデータを、トラック記憶部181が記憶したトラックデータから削除する。
【0123】
トラック検索工程S695において、共通データ削除部162は、CPU911を用いて、トラック記憶部181が記憶したトラックデータのなかから、トラック入力工程S691でトラック削除部161が入力したトラックデータと同じ目標識別子を含むトラックデータを検索する。
同じ目標識別子を含むトラックデータが他にある場合、繰り返し工程S698へ進む。
同じ目標識別子を含むトラックデータが他にない場合、共通削除工程S696へ進む。
【0124】
共通削除工程S696において、共通データ削除部162は、CPU911を用いて、共通データ記憶部182が記憶した共通データのなかから、トラック入力工程S691でトラック削除部161が入力したトラックデータと同じ目標識別子を含む共通データを削除する。
【0125】
平滑予測削除工程S697において、平滑予測削除部163は、CPU911を用いて、平滑予測記憶部183が記憶した平滑予測データのなかから、トラック入力工程S691でトラック削除部161が入力したトラックデータと同じ目標識別子を含む平滑予測データを削除する。
【0126】
センサ装置810が目標を見失い、目標追尾部110によるメモリトラックが切れて、トラック相関処理部130がトラックデータを更新しなくなると、トラック削除部161がトラックデータを削除する。
その目標をすべてのセンサ装置810が見失うと、その目標についてのトラックデータがすべて削除されるので、共通データ削除部162が共通データを削除し、平滑予測削除部163が平滑予測データを削除して、その目標についてのデータがすべて削除される。
【0127】
目標は、通常、いずれかのセンサ装置810の観測範囲内にあるので、すべてのセンサ装置810が目標を見失うことはない。したがって、一つの目標について、観測するセンサ装置810が変わりながらも、連続した観測をすることができる。
すべてのセンサ装置810が目標を見失うのは、例えば、クラッタなどの影響で誤って検出した目標の場合である。そのような場合に、同一データ削除部160が、誤って検出した目標に関するトラックデータ、共通データ、平滑予測データを削除する。
【0128】
図14は、この実施の形態における同一データ出力部190が同一データを出力する同一データ出力処理の流れの一例を示すフローチャート図である。
【0129】
出力時刻取得工程S711において、同一データ出力部190は、CPU911を用いて、目標ごとの出力時刻を取得する。例えば、同一データ出力部190は、CPU911を用いて、その目標について同一データを前回出力した時刻から出力時刻を算出して記憶しておき、記憶しておいた出力時刻を取得する。
同一データ出力部190は、CPU911を用いて、取得した目標ごとの出力時刻のなかから、最も早く到来する出力時刻を求める。同一データ出力部190は、RAM914を用いて、最も早く出力時刻が到来する目標についての目標識別子を出力対象識別子として記憶する。
【0130】
時刻取得工程S712において、同一データ出力部190は、CPU911を用いて、現在時刻を取得する。
同一データ出力部190は、取得した現在時刻と、出力時刻取得工程S711で求めた最先の出力時刻とを比較する。
現在時刻が最先の出力時刻以降である場合、同一出力工程S714へ進む。
現在時刻が最先の出力時刻より前である場合、新規判定工程S713へ進む。
【0131】
新規判定工程S713において、同一データ出力部190は、CPU911を用いて、共通データ記憶部182が記憶した共通データのなかに、新たな目標についての共通データがあるか否かを判定する。
新たな目標についての共通データがあると判定した場合、同一データ出力部190は、RAM914を用いて、新たな目標についての目標識別子を、出力対象識別子として記憶し、同一出力工程S714へ進む。
新たな目標についての共通データがないと判定した場合、時刻取得工程S712に戻る。
【0132】
同一出力工程S714において、同一データ出力部190は、CPU911を用いて、出力時刻取得工程S711または新規判定工程S713で記憶した出力対象識別子に基づいて、トラック記憶部181が記憶したトラックデータのなかから、目標識別子が出力対象識別子と同一であるトラックデータを入力する。同様に、同一データ出力部190は、CPU911を用いて、共通データ記憶部182が記憶した共通データのなかから、目標識別子が出力対象識別子と同一である共通データを入力する。また、同一データ出力部190は、CPU911を用いて、平滑予測記憶部183が記憶した平滑予測データのなかから、目標識別子が出力対象識別子と同一である平滑予測データを入力する。
同一データ出力部190は、CPU911を用いて、入力したトラックデータ、共通データ、平滑予測データに基づいて、同一データを生成し、出力する。
【0133】
図15は、この実施の形態における目標追尾部110の動作の一例を示すシーケンス図である。
【0134】
この例において、センサ装置810の観測範囲内に目標が二つ存在している。このため、センサ装置810は、観測周期Tの間に2回目標を観測する。
【0135】
時刻tにおいて、センサ装置810が目標を観測し、ターゲットデータ511を出力する。目標追尾部110では、ターゲット相関処理部111が、ターゲットデータ511を入力し、ターゲットデータ511が「目標A」に関するデータであると判定して、捕捉データ521を生成する。また、ターゲット予測部115が、捕捉データ521に基づいて、予測データを生成する。
時刻tにおいて、センサ装置810が目標を観測し、ターゲットデータ512を出力する。目標追尾部110では、ターゲット相関処理部111が、ターゲットデータ512を入力し、ターゲットデータ512が「目標B」に関するデータであると判定して、捕捉データ522を生成する。また、ターゲット予測部115が、捕捉データ522に基づいて、予測データを生成する。
時刻tにおいて、センサ装置810が目標を観測し、ターゲットデータ513を出力する。目標追尾部110では、ターゲット相関処理部111が、ターゲットデータ513を入力し、ターゲットデータ513が「目標A」に関するデータであると判定して、捕捉データ523を生成する。また、ターゲット予測部115が、捕捉データ521,523に基づいて、予測データ531,533を生成する。
時刻tにおいて、センサ装置810が目標を観測し、ターゲットデータ514を出力する。目標追尾部110では、ターゲット相関処理部111が、ターゲットデータ514を入力し、ターゲットデータ514が「目標B」に関するデータであると判定して、捕捉データ524を生成する。また、ターゲット予測部115が、捕捉データ522,524に基づいて、予測データ532,534を生成する。
【0136】
この時点で、捕捉データ記憶部117は、捕捉データ521〜524を記憶している。また、予測データ記憶部118は、予測データ531〜534を記憶している。
【0137】
時刻tにおいて、センサ装置810が目標を観測し、ターゲットデータ515を出力する。
ターゲット相関処理部111では、ターゲット入力部112がターゲットデータ515を入力する。ターゲット相関部113は、予測データ記憶部118が記憶した予測データ531〜534を入力し、ターゲットデータ515の観測時刻に予測時刻が近く、かつ、目標の位置などが最も近い予測データを判別する。この例では、予測データ531が最も近いので、ターゲット相関部113は、ターゲットデータ515が「目標A」に関するデータであると判定する。捕捉データ更新部114は、捕捉データ記憶部117に捕捉データ525を記憶させる。また、ターゲット予測部115は、捕捉データ521〜525に基づいて、予測データを生成する。
【0138】
時刻tにおいて、センサ装置810は、目標を観測するはずであるが、何らかの理由により、目標を観測し損ね、ターゲットデータを出力しなかったとする。
捕捉データ記憶部117は、更新予定時刻tになっても、「目標B」に関する捕捉データが更新されないので、予測データ532を、捕捉データとして記憶する。ターゲット予測部115は、捕捉データ522,524及び予測データ532に基づいて、予測データを生成する。
【0139】
図16は、この実施の形態における最適化処理部120の動作の一例を示すシーケンス図である。
【0140】
この例において、目標追尾部110が二つあり、それぞれ異なるセンサ装置810からのターゲットデータを処理して、トラックデータを生成する。以下では、二つの目標追尾部110を区別するため、目標追尾部110a、目標追尾部110bと呼ぶ。また、目標追尾部110aがターゲットデータを処理するセンサ装置810を「センサa」、目標追尾部110bがターゲットデータを処理するセンサ装置810を「センサb」と呼ぶ。
センサaの観測周期Tは、センサbの観測周期Tより短い。このため、目標追尾部110aは、目標追尾部110bよりも短い周期でトラックデータを出力する。
【0141】
時刻t11において、目標追尾部110aがトラックデータ541を生成し、出力する。最適化処理部120では、トラック相関処理部130が、トラックデータ541を入力し、トラックデータ541が「目標A」に関するデータであると判定して、「目標A」についてのトラックデータ561としてトラック記憶部181に記憶させる。また、優先更新部140は、共通データ記憶部182が「目標A」に関する共通データを記憶していないので、共通データ更新と判定し、トラックデータ561を共通データ581として共通データ記憶部182に記憶させる。共通データが更新されたので、平滑予測部150が平滑予測データを生成する。
【0142】
時刻t12において、目標追尾部110aとは非同期に、目標追尾部110bがトラックデータ551を生成し、出力する。最適化処理部120では、トラック相関処理部130が、トラックデータ551を入力し、トラックデータ551が「目標A」に関するデータであると判定して、トラックデータ571としてトラック記憶部181に記憶させる。このとき、トラック記憶部181は、目標Aについてのトラックデータ561を既に記憶しているが、トラックデータ561はセンサaからのトラックデータであり、センサbからのトラックデータではないので、トラック記憶部181は、トラックデータ561を上書きせず、トラックデータ571を追加して記憶する。優先更新部140は、トラックデータ571の優先度を算出し、トラックデータ561の優先度より低いので、共通データを更新しないと判定する。
【0143】
時刻t13において、目標追尾部110aがトラックデータ542を生成し、出力する。最適化処理部120では、トラック相関処理部130が、トラックデータ542を入力し、トラックデータ542が「目標B」に関するデータであると判定して、「目標B」についてのトラックデータとしてトラック記憶部181に記憶させる(図示せず。以下、同様に「目標B」についてのデータは図示しない)。
【0144】
時刻t14において、目標追尾部110bがトラックデータ552を生成し、出力する。最適化処理部120では、トラック相関処理部130が、トラックデータ552を入力し、トラックデータ552が「目標B」に関するデータであると判定して、「目標B」についてのトラックデータとしてトラック記憶部181に記憶させる。
【0145】
時刻t15において、目標追尾部110aがトラックデータ543を生成し、出力する。最適化処理部120では、トラック相関処理部130が、トラックデータ543を入力し、トラックデータ543が「目標A」に関するデータであると判定して、「目標A」についてのトラックデータとしてトラック記憶部181に記憶させる。このとき、トラック記憶部181は、目標Aについてのセンサaからのトラックデータ561を既に記憶しているので、トラック記憶部181は、トラックデータ563をトラックデータ561に上書きして記憶する。優先更新部140は、トラックデータ563が、共通データ581と同じ目標についての同じセンサ装置810からのトラックデータなので、共通データ更新と判定し、トラックデータ563を共通データ582として共通データ記憶部182に記憶させる。共通データが更新されたので、平滑予測部150は、平滑予測データを生成する。
【0146】
以上のように処理が進み、時刻t20を過ぎた時点において、トラック記憶部181は、トラックデータ567とトラックデータ573とを記憶している。共通データ記憶部182は、共通データ581〜584を記憶している。また、平滑予測記憶部183は、平滑予測データ591,592を記憶している。
【0147】
時刻t21において、目標追尾部110bがトラックデータ554を生成し、出力する。トラック相関処理部130では、トラック入力部131が、トラックデータ554を入力する。トラック推定部132は、「目標A」について、トラックデータ554の観測時刻の前後にあたる共通データ584と平滑予測データ591とに基づいて、トラックデータ554の観測時刻におけるトラック推定データ596を生成する。トラック推定部132は、「目標B」についても同様に、トラックデータ554の観測時刻におけるトラック推定データを生成する。
トラック相関部133は、トラックデータ554とトラック推定データとを比較し、目標の位置などが最も近いトラック推定データを判別する。この例では、「目標B」についてのトラック推定データが最も近いので、ターゲット相関部113は、トラックデータ554が「目標B」に関するデータであると判定する。トラック更新部134は、トラックデータ554を「目標B」についてのトラックデータとしてトラック記憶部181に記憶させる。
【0148】
以上のような処理により、トラックデータが表わす目標を同定するので、トラックデータの入力が不定期であっても、正しく目標を同定することができる。
【0149】
この実施の形態における追尾装置100は、データを記憶する記憶装置(RAM914、磁気ディスク装置920など)と、データを処理する処理装置(CPU911)と、トラック記憶部181と、共通データ記憶部182と、トラック入力部131と、トラック更新部134と、優先度算出部141と、共通データ更新部144と、同一データ出力部190とを有する。
上記トラック記憶部181は、上記記憶装置(磁気ディスク装置920)を用いて、複数のセンサ装置810それぞれが観測した目標に関する情報(位置、速度、高度、識別コードなど)を表わす複数のトラックデータを記憶する。
上記共通データ記憶部182は、上記記憶装置(磁気ディスク装置920)を用いて、上記トラック記憶部181が記憶した複数のトラックデータのうち、少なくともいずれかのトラックデータを、共通データとして記憶する。
上記トラック入力部131は、上記処理装置(CPU911)を用いて、上記複数のセンサ装置810のうち、いずれかのセンサ装置810が観測した目標に関する情報(位置、高度、速度、識別コードなど)を表わすトラックデータを入力する。
上記トラック更新部134は、上記処理装置(CPU911)を用いて、上記トラック入力部131が入力したトラックデータを、上記トラック記憶部181に記憶させる。
上記優先度算出部141は、上記処理装置(CPU911)を用いて、上記トラック更新部134が上記トラック記憶部181に記憶させたトラックデータに基づいて、上記トラックデータの優先度を算出する。
上記共通データ更新部144は、上記処理装置(CPU911)を用いて、上記優先度算出部が算出した優先度のほうが、上記共通データ記憶部182が記憶した共通データの優先度よりも高い場合に、上記トラック更新部134が上記トラック記憶部181に記憶させたトラックデータを、上記共通データ記憶部182に上記共通データとして記憶させる。
上記同一データ出力部190は、上記処理装置(CPU911)を用いて、上記トラック記憶部181が記憶した複数のトラックデータと、上記共通データ記憶部182が記憶した共通データとを含むデータを同一データとして出力する。
【0150】
この実施の形態における追尾装置100によれば、センサ装置810ごとに異なるタイミングで出力されるトラックデータを入力し、トラックデータの優先度が共通データの優先度よりも高い場合に共通データを更新するので、異なるセンサ装置810からのトラックデータを一つにまとめることができ、共通データが不定期に更新されるのを防ぐことができるという効果を奏する。
また、同一データ出力部190が出力する同一データには、トラックデータと共通データとが含まれるので、管制表示装置830などが行う後処理の内容にしたがって、処理に必要な各種の情報を得ることができるという効果を奏する。
【0151】
この実施の形態における追尾装置100は、更に、平滑予測部150と、平滑予測記憶部183とを有する。
上記平滑予測部150は、上記処理装置(CPU911)を用いて、上記共通データ記憶部182が記憶した共通データに基づいて、上記目標の将来に関する情報(位置、高度、速度、識別コードなど)を予測する。
上記平滑予測記憶部183は、上記記憶装置(磁気ディスク装置920)を用いて、上記平滑予測部150が予測した情報を表わすデータを含む平滑予測データを記憶する。
上記同一データ出力部190は、上記処理装置(CPU911)を用いて、上記平滑予測記憶部183が記憶した平滑予測データを更に含む同一データを出力する。
【0152】
この実施の形態における追尾装置100によれば、平滑予測部150が目標の将来に関する情報を予測した平滑予測データが、同一データに含まれるので、後処理の内容にしたがって、処理に必要な各種の情報を得ることができるという効果を奏する。
【0153】
この実施の形態における追尾装置100は、更に、トラック推定部132と、トラック相関部133とを有する。
上記トラック推定部132は、上記処理装置(CPU911)を用いて、上記平滑予測記憶部183が記憶した平滑予測データに基づいて、上記トラック入力部131が入力したトラックデータが表わす目標を上記センサ装置810が観測した時刻(観測時刻)における上記目標に関する情報(位置、高度、速度、識別コードなど)を推定する。
上記トラック相関部133は、上記処理装置(CPU911)を用いて、上記トラック入力部131が入力したトラックデータと、上記トラック推定部132が推定した情報(位置、高度、速度、識別コードなど)とに基づいて、上記トラック入力部131が入力したトラックデータが表わす目標を同定する。
上記トラック更新部134は、上記処理装置(CPU911)を用いて、上記トラック相関部133が同定した目標に基づいて、上記トラック入力部131が入力したトラックデータを、上記トラック相関部133が同定した目標についてのトラックデータとして上記トラック記憶部181に記憶させる。
【0154】
この実施の形態における追尾装置100によれば、平滑予測記憶部183が記憶した平滑予測データの平滑予測時刻が、トラック入力部131が入力したトラックデータの観測時刻と異なっていても、トラック推定部132が平滑予測データに基づいて、観測時刻における目標に関する情報を推定するので、トラック相関部133が目標を同定できるという効果を奏する。
【0155】
この実施の形態におけるトラック入力部131は、上記処理装置(CPU911)を用いて、上記センサ装置810が目標を観測した観測時刻を表わすデータを含むトラックデータを入力する。
上記平滑予測部150は、上記処理装置(CPU911)を用いて、上記目標に関して、所定の平滑予測時刻における情報を予測する。
上記平滑予測記憶部183は、上記記憶装置(磁気ディスク装置920)を用いて、上記平滑予測時刻を表わすデータを更に含む平滑予測データを記憶する。
上記トラック推定部132は、上記処理装置(CPU911)を用いて、上記トラック入力部131が入力したトラックデータと、上記平滑予測記憶部183が記憶した平滑予測データとに基づいて、上記平滑予測部150が予測した上記平滑予測時刻における情報から上記観測時刻における情報を推定する。
【0156】
この実施の形態における追尾装置100によれば、トラック入力部131が入力するトラックデータに観測時刻を表わすデータが含まれ、平滑予測記憶部183が記憶する平滑予測データに平滑予測時刻を表わすデータが含まれているので、トラック推定部132が、平滑予測データに基づいて、観測時刻における目標に関する情報を推定できるという効果を奏する。
【0157】
この実施の形態におけるトラック入力部131は、上記処理装置(CPU911)を用いて、上記センサ装置810が観測した目標を識別する目標識別子を含むトラックデータを入力する。
上記平滑予測記憶部183は、上記記憶装置(磁気ディスク装置920)を用いて、上記平滑予測部150が予測した目標を識別する目標識別子を含む平滑予測データを記憶する。
上記トラック相関部133は、上記処理装置(CPU911)を用いて、上記トラック入力部131が入力したトラックデータに含まれる目標識別子と、上記平滑予測記憶部183が記憶した平滑予測データに含まれる目標識別子とに基づいて、上記トラック入力部131が入力したトラックデータが表わす目標を同定する。
【0158】
この実施の形態における追尾装置100によれば、目標のビーコンコードやモードSアドレスなどの識別コードに基づく目標識別子に基づいて目標を同定するので、位置、高度、速度などが近い目標を誤って同定するのを防ぐことができるという効果を奏する。
【0159】
この実施の形態におけるトラック入力部131は、上記処理装置(CPU911)を用いて、上記センサ装置810が観測した目標の位置及び高度及び速度の少なくともいずれかを表わすデータを含むトラックデータを入力する。
上記トラック推定部132は、上記処理装置(CPU911)を用いて、上記トラック入力部131が入力したトラックデータが表わす目標を上記センサ装置810が観測した時刻における上記目標の位置及び高度及び速度の少なくともいずれかを推定する。
上記トラック相関部133は、上記処理装置(CPU911)を用いて、上記トラック入力部131が入力したトラックデータが表わす目標の位置及び高度及び速度の少なくともいずれかと、上記トラック推定部132が推定した目標の位置及び高度及び速度の少なくともいずれかとに基づいて、上記トラック入力部131が入力したトラックデータが表わす目標を同定する。
【0160】
この実施の形態における追尾装置100によれば、目標の位置及び高度及び速度の少なくともいずれかに基づいて目標を同定するので、ゴーストなどにより、実際と異なる位置に観測された目標を誤って同定するのを防ぐことができるという効果を奏する。
【0161】
この実施の形態におけるトラック入力部131は、上記処理装置(CPU911)を用いて、上記目標を観測したセンサ装置810を識別するセンサ識別子を含むトラックデータを入力する。
上記共通データ更新部144は、更に、上記処理装置(CPU911)を用いて、上記トラック更新部134が上記トラック記憶部181に記憶させたトラックデータに含まれるセンサ識別子と、上記トラック更新部134が上記トラック記憶部181に記憶させたトラックデータが表わす目標と同一の目標について上記共通データ記憶部182が記憶した共通データに含まれるセンサ識別子とが一致した場合に、上記トラック更新部134が上記トラック記憶部181に記憶させたトラックデータを、上記共通データ記憶部182に上記共通データとして記憶させる。
【0162】
この実施の形態における追尾装置100によれば、あるセンサ装置810からのトラックデータを使用して共通データを更新した場合、トラック記憶部181が記憶したトラックデータが、同じセンサ装置810からの新しいトラックデータによって更新されたとき、優先度の高低にかかわらず、共通データ更新部144が共通データを更新するので、共通データを最新の状態に保つことができるという効果を奏する。
【0163】
この実施の形態における追尾装置100は、更に、優先度記憶部142と、更新判定部143とを有する。
上記優先度記憶部142は、上記記憶装置(磁気ディスク装置920)を用いて、上記共通データ更新部144が上記共通データ記憶部182に記憶させた共通データについて上記優先度算出部141が算出した優先度を表わすデータ(優先度データ)を記憶する。
上記更新判定部143は、上記処理装置(CPU911)を用いて、上記優先度算出部141が算出した優先度と、上記優先度記憶部142が記憶した優先度とを比較し、上記優先度算出部141が算出した優先度のほうが上記優先度記憶部142が記憶した優先度よりも高い場合に、共通データ更新と判定する。
上記共通データ更新部144は、上記処理装置(CPU911)を用いて、上記更新判定部143が共通データ更新と判定した場合に、上記トラック更新部134が上記トラック記憶部181に記憶させたトラックデータを、上記共通データ記憶部182に上記共通データとして記憶させる。
【0164】
この実施の形態における追尾装置100によれば、優先度算出部141が算出した優先度と、優先度記憶部142が記憶した優先度とを比較して、優先度算出部141が算出した優先度のほうが高い場合に、更新判定部143が共通データ更新と判定し、共通データ更新部144が共通データを更新するので、異なるセンサ装置810からのトラックデータのほうが優先度が高くなった場合に、優先度の高いトラックデータを使用して共通データを更新することができるという効果を奏する。
【0165】
この実施の形態におけるトラック入力部131は、上記処理装置(CPU911)を用いて、上記センサ装置810が目標を観測した観測の信頼性を表わすデータを含むトラックデータを入力する。
上記優先度算出部141は、上記処理装置(CPU911)を用いて、上記トラック更新部134がトラック記憶部181に記憶させたトラックデータが表わす観測の信頼性に基づいて、上記トラックデータの優先度を算出する。
【0166】
この実施の形態における追尾装置100によれば、トラックデータが観測の信頼性を表わすデータを含み、優先度算出部141が観測の信頼性に基づいて優先度を算出するので、信頼性の高いトラックデータは優先度が高く、信頼性の低いトラックデータは優先度を低くすることができる。これにより、信頼性の高いトラックデータを使用して、共通データを更新することができるという効果を奏する。
【0167】
この実施の形態におけるトラック入力部131は、上記処理装置(CPU911)を用いて、上記センサ装置810が観測した目標の位置を表わすデータを含むトラックデータを入力する。
上記優先度算出部141は、上記処理装置(CPU911)を用いて、上記トラック更新部134がトラック記憶部181に記憶させたトラックデータが表わす目標の位置と、上記センサ装置810の位置とに基づいて、上記トラックデータの優先度を算出する。
【0168】
この実施の形態における追尾装置100によれば、トラックデータが目標の位置を表わすデータを含み、優先度算出部141が目標の位置とセンサ装置810の位置とに基づいて優先度を算出するので、センサ装置810と目標との間の距離が近いときは優先度を高く、センサ装置810と目標との間の距離が遠いときは優先度を低くすることができる。これにより、目標に近いセンサ装置810からのトラックデータを使用して、共通データを更新することができるという効果を奏する。
【0169】
この実施の形態における優先度算出部141は、上記処理装置(CPU911)を用いて、上記センサ装置810の観測周期に基づいて、上記トラックデータの優先度を算出する。
【0170】
この実施の形態における追尾装置100によれば、優先度算出部141がセンサ装置810の観測周期に基づいて優先度を算出するので、観測周期の短いセンサ装置810からのトラックデータの優先度を高く、観測周期の長いセンサ装置810からのトラックデータの優先度を低くすることができる。これにより、観測周期の短いセンサ装置810からのトラックデータを使用して、共通データを更新することができる。
【0171】
この実施の形態におけるトラック入力部131は、上記処理装置(CPU911)を用いて、上記目標を観測したセンサ装置810を識別するセンサ識別子を含むトラックデータを入力する。
上記トラック更新部134は、上記処理装置(CPU911)を用いて、上記トラック入力部131が入力したトラックデータが表わす目標と同一の目標について上記トラック記憶部181が記憶した複数のトラックデータのなかに、上記トラック入力部131が入力したトラックデータに含まれるセンサ識別子と同一のセンサ識別子を含むトラックデータがあるか否かを判定し、同一のセンサ識別子を含むトラックデータがあると判定した場合、上記同一のセンサ識別子を含むトラックデータに、上記トラック入力部131が入力したトラックデータを上書きして、上記トラック記憶部181に記憶させ、同一のセンサ識別子を含むトラックデータがないと判定した場合、上記トラック入力部131が入力したトラックデータを追加して、上記トラック記憶部181に記憶させる。
【0172】
この実施の形態における追尾装置100によれば、トラック入力部131が入力するトラックデータがセンサ識別子を含み、センサ識別子が一致する場合に、トラック更新部134がトラックデータを上書きし、センサ識別子が一致しない場合に、トラック更新部134がトラックデータを追加するので、トラック記憶部181が、一つの目標について、複数のセンサ装置810それぞれからのトラックデータを一つずつ記憶する。これにより、同一データ出力部190が出力する同一データにも、複数のセンサ装置810それぞれからのトラックデータが一つずつ含まれることとなり、管制表示装置830などが行う後処理において、任意のセンサ装置810からのトラックデータを利用することができるという効果を奏する。
【0173】
この実施の形態における追尾装置100は、更に、トラック削除部161と、共通データ削除部162とを有する。
上記トラック入力部131は、上記処理装置(CPU911)を用いて、上記センサ装置810が目標を観測した観測時刻を表わすデータを含むトラックデータを入力する。
上記トラック削除部161は、上記処理装置(CPU911)を用いて、上記トラック記憶部181が記憶した複数のトラックデータそれぞれが表わす観測時刻に基づいて、上記観測時刻が所定の時刻よりも古いトラックデータを上記トラック記憶部181から削除する。
上記共通データ削除部162は、上記処理装置(CPU911)を用いて、上記共通データ記憶部182が記憶した共通データが表わす目標と同一の目標についてのトラックデータを上記トラック削除部161が上記トラック記憶部181から削除して、上記共通データ記憶部182が記憶した共通データが表わす目標と同一の目標についてのトラックデータを上記トラック記憶部181が記憶しなくなった場合に、上記共通データを上記共通データ記憶部182から削除する。
【0174】
この実施の形態における追尾装置100によれば、トラック入力部131が入力するトラックデータが観測時刻を表わすデータを含み、トラック記憶部181が記憶したトラックデータが表わす観測時刻が所定の時刻より古い場合に、トラック削除部161がトラックデータを削除するので、更新されなくなったトラックデータをトラック記憶部181から削除することができる。また、トラック記憶部181からトラックデータを削除した結果、その目標についてのトラックデータがなくなった場合、共通データ削除部162が共通データを削除するので、クラッタなどにより誤って検出した目標についての共通データを共通データ記憶部182から削除することができるという効果を奏する。
【0175】
この実施の形態における同一データ出力部190は、上記処理装置(CPU911)を用いて、所定の周期が経過するたびに、上記同一データを出力する。
【0176】
この実施の形態における追尾装置100によれば、所定の周期が経過するたびに同一データ出力部190が同一データを出力するので、管制表示装置830などに対して、定期的に同一データを提供することができるという効果を奏する。
【0177】
この実施の形態における同一データ出力部190は、上記処理装置(CPU911)を用いて、上記共通データ更新部144が上記共通データ記憶部182に上記共通データを記憶させた場合に、上記同一データを出力する。
【0178】
この実施の形態における追尾装置100によれば、共通データ更新部144が共通データを更新した場合に、同一データ出力部190が同一データを出力するので、管制表示装置830などに対して、最新の同一データを提供することができるという効果を奏する。
【0179】
この実施の形態における追尾装置100は、データを記憶する記憶装置(RAM914、磁気ディスク装置920など)と、データを処理する処理装置(CPU911)とを有するコンピュータを追尾装置100として機能させるプログラムを、コンピュータが実行することにより実現することができる。
【0180】
この実施の形態におけるコンピュータプログラムによれば、上記のような効果を有する追尾装置100を実現することができるという効果を奏する。
【0181】
この実施の形態における追尾装置100が目標を追尾する追尾方法は、以下の工程を有する。
上記記憶装置(磁気ディスク装置920)が、複数のセンサ装置810それぞれが観測した目標に関する情報(位置、高度、速度、識別コードなど)を表わす複数のトラックデータを記憶する。
上記記憶装置(磁気ディスク装置920)が、記憶した複数のトラックデータのうち、少なくともいずれかのトラックデータを、共通データとして記憶する。
上記処理装置(CPU911)が、上記複数のセンサ装置810のうち、いずれかのセンサ装置810が観測した目標に関する情報を表わすトラックデータを入力する。
上記処理装置(CPU911)が、入力したトラックデータを、上記記憶装置(磁気ディスク装置920)に記憶させる。
上記処理装置(CPU911)が、上記記憶装置(磁気ディスク装置920)に記憶させたトラックデータに基づいて、上記トラックデータの優先度を算出する。
上記処理装置(CPU911)が、算出した優先度のほうが、上記記憶装置(磁気ディスク装置920)が記憶した共通データの優先度よりも高い場合に、上記記憶装置(磁気ディスク装置920)に記憶させたトラックデータを、上記記憶装置(磁気ディスク装置920)に上記共通データとして記憶させる。
上記処理装置(CPU911)が、上記記憶装置(磁気ディスク装置920)が記憶した複数のトラックデータと、上記記憶装置(磁気ディスク装置920)が記憶した共通データとを含む同一データを出力する。
【0182】
この実施の形態における追尾装置100が目標を追尾する追尾方法によれば、センサ装置810ごとに異なるタイミングで出力されるトラックデータを入力し、トラックデータの優先度が共通データの優先度よりも高い場合に共通データを更新するので、異なるセンサ装置810からのトラックデータを一つにまとめることができ、共通データが不定期に更新されるのを防ぐことができるという効果を奏する。
また、出力する同一データには、トラックデータと共通データとが含まれるので、管制表示装置830などが行う後処理の内容にしたがって、処理に必要な各種の情報を得ることができるという効果を奏する。
【0183】
以上説明した追尾装置100は、複数の移動体(航空機850などの目標)をセンサ装置810(空港面探知レーダ811、空港監視レーダ812、航空路監視レーダ813、自動従属監視受信装置814などのレーダ)捕捉によって追尾するシステム(航空管制システム800)において、複数のセンサ装置810の捕捉結果を取り込み、複数の捕捉結果を1パッケージ(同一データ)にして、管制表示装置830、中央処理装置840などの後処理に提供する。
これにより、一つの移動体(目標)を、一つのセンサ装置810の観測範囲を超えて広範囲に渡って追尾し続けることができる。
管制表示装置830、中央処理装置840などの後処理においては、1パッケージ(同一データ)から必要な情報を抽出して、(航空管制官に)航空機850の各種情報を表示したり、若しくは、表示情報に付加する計算結果情報を算出する処理をしたりするなど、処理に必要な情報の選択が可能となる。
【0184】
また、取り込み元となるセンサ装置810について、センサ更新周期(観測周期)が異なり、目標追尾部110が出力するトラックデータについて、同期が取られず、1つの移動体(目標)について複数のトラックデータが非同期に存在する場合であっても、非同期のトラックデータをそのまま管制表示装置830などの後処理に提供するのではなく、同一データとして一つにまとめて提供するので、管制表示装置830などの後処理において、各種情報の表示時に複数の更新が行われることがない。
【0185】
共通データ記憶部182が、追尾処理に複数のセンサ装置810からのトラックデータを比較するための基準となる共通データを記憶し、共通データとトラックデータとを比較することで、1つの移動体に対し複数のセンサ装置810からのトラックデータが存在しても、同じ移動体によるデータと判定することができる。
また、共通データについて、平滑予測部150が平滑予測を行い、平滑予測記憶部183が平滑予測データを記憶し、トラック推定部132が平滑予測データから推定したトラック推定データを、トラックデータの比較対象とすることで、任意の時刻(観測時刻)に捕捉したトラックデータについても同じ移動体(目標)のトラックデータかを判定することが可能となり、追尾の精度を保つことができる。
【0186】
このように、複数のセンサ装置810からのターゲットデータを1つのシステム(追尾装置100)の処理で取り込み、後処理に提供するので、取り込む対象となるセンサ装置810それぞれの捕捉範囲を超えて移動する移動体(目標)を処理の対象とすることができ、センサ装置810それぞれの捕捉可能範囲外へ移動する移動体を捕捉し続けることができる。そのため、センサ装置810それぞれの捕捉可能範囲の境界付近であっても、追尾を継続することができる。
【0187】
以上説明した追尾装置100は、複数のセンサ装置810からデータ(ターゲットデータ)を入力し、それぞれのセンサ入力データ(ターゲットデータ)に基づいて、目標追尾部110が目標追尾処理を行う。目標追尾部110は、センサ装置810ごとに、捕捉データ及び予測データを生成し、捕捉データと予測データを合せたデータ(トラックデータ)を、最適化処理部120に対して出力する。最適化処理部120への出力は、センサ装置810からの入力周期に合わせて出力する。
【0188】
最適化処理部120は、入力するトラックデータ以外に、処理内部で、共通データを生成する。最適化処理部120は、任意のトラックデータを入力した時点で、当該トラックデータの内容に基づいて、共通データを生成する。最適化処理部120は、トラックデータが入力されるたびに共通データの内容を更新する。ただし、最適化処理部120は、全てのトラックデータを入力するごとに共通データを更新するのではなく、所定の条件に合致するトラックデータを入力したときに、共通データの更新を行う。共通データを更新する条件には、例えば、当該移動体(目標)の位置から最も近いセンサ装置810によって捕捉されたトラックデータであること、センサ更新周期(観測周期)が最も短いセンサ装置810によって捕捉されたトラックデータであること、トラックデータの信頼性の高いことなどがある。
最適化処理部120は、条件に合致するトラックデータを入力したときに、共通データの内容を更新するとともに、最新の共通データ及び過去の共通データの内容に基づいて、平滑予測を行い、平滑予測した結果(平滑予測データ)も合わせて記憶する。
【0189】
最適化処理部120は、任意のトラックデータが入力された場合、当該トラックデータの入力時刻に最も近い時刻に存在すると予測した平滑予測データの内容とトラックデータの内容とを比較して目標を同定する。目標同定の条件としては、トラックデータごとに保持するユニークなコード(モードSアドレスや応答ビーコンコードなど)の合致、位置・高度・速度などの合致などがある。
目標同定の結果、当該トラックデータと比較対象である平滑予測データとが、同一の移動体(目標)のデータであると判定した場合、最適化処理部120は、トラックデータと共通データとを、同一データとして1パッケージ化する。
【0190】
最適化処理部120は、以上の処理を、トラックデータを入力するごとに行うことを繰り返す。その結果、同一データとして1パッケージ化されたデータのなかには、ある1つの移動体(目標)について、複数のセンサ装置810で捕捉したトラックデータとともに、共通データ、平滑予測データを含めたデータが追加・更新されていく。ただし、データが大きくなり過ぎないようにするため、最適化処理部120は、無制限に追加していくことはせず、一定時間内の予測までのデータを追加する。
【0191】
同一データ出力部190は、管制表示装置830、中央処理装置840などの後処理に対して、同一データとして1パッケージ化したデータ(もしくはそのなかから抽出したデータ)を定期的(例えば、所定の周期)にあるいは不定期(例えば、共通データが更新されたタイミングなど)に出力する。
【0192】
以上のように、コモントラック(共通データ)を用いることにより、複数のトラックデータから管制官などに提供する最適なデータを算出することできる。
また、全国のセンサ装置810からのデータを取り込むことができるので、特定のセンサの精度が劣化した場合であっても、他のセンサのデータで補完することができる。
【図面の簡単な説明】
【0193】
【図1】実施の形態1における航空管制システム800の一例を示す図。
【図2】実施の形態1における航空管制システム800の全体構成の一例を示すシステム構成図。
【図3】実施の形態1における追尾装置100の外観の一例を示す図。
【図4】実施の形態1における追尾装置100のハードウェア資源の一例を示す図。
【図5】実施の形態1における追尾装置100のうち、目標追尾部110の内部ブロックの構成の一例を示す詳細ブロック図。
【図6】実施の形態1における追尾装置100のうち、最適化処理部120の一部及び同一データ記憶部180の内部ブロックの構成の一例を示す詳細ブロック図。
【図7】実施の形態1における追尾装置100のうち、最適化処理部120の一部及び同一データ記憶部180の内部ブロックの構成の一例を示す詳細ブロック図。
【図8】実施の形態1における追尾装置100のうち、最適化処理部120の一部及び同一データ記憶部180の内部ブロックの構成の一例を示す詳細ブロック図。
【図9】実施の形態1におけるターゲット相関処理部111がターゲットデータが表わす目標を同定するターゲット相関処理の流れの一例を示すフローチャート図。
【図10】実施の形態1におけるターゲット予測部115が目標の将来に関する情報を予測するターゲット予測処理の流れの一例を示すフローチャート図。
【図11】実施の形態1におけるトラック相関処理部130がトラックデータが表わす目標を同定するトラック相関処理の流れの一例を示すフローチャート図。
【図12】実施の形態1における優先更新部140が共通データを更新し、平滑予測部150が平滑予測データを生成する優先更新処理の流れの一例を示すフローチャート図。
【図13】実施の形態1における同一データ削除部160が同一データを削除する同一データ削除処理の流れの一例を示すフローチャート図。
【図14】実施の形態1における同一データ出力部190が同一データを出力する同一データ出力処理の流れの一例を示すフローチャート図。
【図15】実施の形態1における目標追尾部110の動作の一例を示すシーケンス図。
【図16】実施の形態1における最適化処理部120の動作の一例を示すシーケンス図。
【符号の説明】
【0194】
100 追尾装置、110 目標追尾部、111 ターゲット相関処理部、112 ターゲット入力部、113 ターゲット相関部、114 捕捉データ更新部、115 ターゲット予測部、116 トラックデータ記憶部、117 捕捉データ記憶部、118 予測データ記憶部、119 トラックデータ出力部、120 最適化処理部、130 トラック相関処理部、131 トラック入力部、132 トラック推定部、133 トラック相関部、134 トラック更新部、180 同一データ記憶部、181 トラック記憶部、182 共通データ記憶部、183 平滑予測記憶部、140 優先更新部、141 優先度算出部、142 優先度記憶部、143 更新判定部、144 共通データ更新部、150 平滑予測部、160 同一データ削除部、161 トラック削除部、162 共通データ削除部、163 平滑予測削除部、190 同一データ出力部、511〜517 ターゲットデータ、521〜525 捕捉データ、531〜534 予測データ、541〜573 トラックデータ、581〜584 共通データ、591,592 平滑予測データ、596 トラック推定データ、800 航空管制システム、810 センサ装置、811 空港面探知レーダ、812 空港監視レーダ、813 航空路監視レーダ、814 自動従属監視受信装置、820 空港、830 管制表示装置、840 中央処理装置、850 航空機、901 表示装置、902 キーボード、903 マウス、904 FDD、905 CDD、906 プリンタ装置、907 スキャナ装置、910 システムユニット、911 CPU、912 バス、913 ROM、914 RAM、915 通信装置、920 磁気ディスク装置、921 OS、922 ウィンドウシステム、923 プログラム群、924 ファイル群、931 電話器、932 ファクシミリ機、940 インターネット、941 ゲートウェイ、942 LAN。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
データを記憶する記憶装置と、データを処理する処理装置と、トラック記憶部と、共通データ記憶部と、トラック入力部と、トラック更新部と、優先度算出部と、共通データ更新部と、同一データ出力部とを有し、
上記トラック記憶部は、上記記憶装置を用いて、複数のセンサ装置それぞれが観測した目標に関する情報を表わす複数のトラックデータを記憶し、
上記共通データ記憶部は、上記記憶装置を用いて、上記トラック記憶部が記憶した複数のトラックデータのうち、少なくともいずれかのトラックデータを、共通データとして記憶し、
上記トラック入力部は、上記処理装置を用いて、上記複数のセンサ装置のうち、いずれかのセンサ装置が観測した目標に関する情報を表わすトラックデータを入力し、
上記トラック更新部は、上記処理装置を用いて、上記トラック入力部が入力したトラックデータを、上記トラック記憶部に記憶させ、
上記優先度算出部は、上記処理装置を用いて、上記トラック更新部が上記トラック記憶部に記憶させたトラックデータに基づいて、上記トラックデータの優先度を算出し、
上記共通データ更新部は、上記処理装置を用いて、上記優先度算出部が算出した優先度のほうが、上記共通データ記憶部が記憶した共通データの優先度よりも高い場合に、上記トラック更新部が上記トラック記憶部に記憶させたトラックデータを、上記共通データ記憶部に上記共通データとして記憶させ、
上記同一データ出力部は、上記処理装置を用いて、上記トラック記憶部が記憶した複数のトラックデータと、上記共通データ記憶部が記憶した共通データとを含むデータを同一データとして出力する
ことを特徴とする追尾装置。
【請求項2】
上記追尾装置は、更に、平滑予測部と、平滑予測記憶部とを有し、
上記平滑予測部は、上記処理装置を用いて、上記共通データ記憶部が記憶した共通データに基づいて、上記目標の将来に関する情報を予測し、
上記平滑予測記憶部は、上記記憶装置を用いて、上記平滑予測部が予測した情報を表わすデータを含む平滑予測データを記憶し、
上記同一データ出力部は、上記処理装置を用いて、上記平滑予測記憶部が記憶した平滑予測データを更に含む同一データを出力することを特徴とする請求項1に記載の追尾装置。
【請求項3】
上記追尾装置は、更に、トラック推定部と、トラック相関部とを有し、
上記トラック推定部は、上記処理装置を用いて、上記平滑予測記憶部が記憶した平滑予測データに基づいて、上記トラック入力部が入力したトラックデータが表わす目標を上記センサ装置が観測した時刻における上記目標に関する情報を推定し、
上記トラック相関部は、上記処理装置を用いて、上記トラック入力部が入力したトラックデータと、上記トラック推定部が推定した情報とに基づいて、上記トラック入力部が入力したトラックデータが表わす目標を同定し、
上記トラック更新部は、上記処理装置を用いて、上記トラック相関部が同定した目標に基づいて、上記トラック入力部が入力したトラックデータを、上記トラック相関部が同定した目標についてのトラックデータとして上記トラック記憶部に記憶させることを特徴とする請求項2に記載の追尾装置。
【請求項4】
上記トラック入力部は、上記処理装置を用いて、上記センサ装置が目標を観測した観測時刻を表わすデータを含むトラックデータを入力し、
上記平滑予測部は、上記処理装置を用いて、上記目標に関して、所定の平滑予測時刻における情報を予測し、
上記平滑予測記憶部は、上記記憶装置を用いて、上記平滑予測時刻を表わすデータを更に含む平滑予測データを記憶し、
上記トラック推定部は、上記処理装置を用いて、上記トラック入力部が入力したトラックデータと、上記平滑予測記憶部が記憶した平滑予測データとに基づいて、上記平滑予測部が予測した上記平滑予測時刻における情報から上記観測時刻における情報を推定することを特徴とする請求項3に記載の追尾装置。
【請求項5】
上記トラック入力部は、上記処理装置を用いて、上記センサ装置が観測した目標を識別する目標識別子を含むトラックデータを入力し、
上記平滑予測記憶部は、上記記憶装置を用いて、上記平滑予測部が予測した目標を識別する目標識別子を含む平滑予測データを記憶し、
上記トラック相関部は、上記処理装置を用いて、上記トラック入力部が入力したトラックデータに含まれる目標識別子と、上記平滑予測記憶部が記憶した平滑予測データに含まれる目標識別子とに基づいて、上記トラック入力部が入力したトラックデータが表わす目標を同定することを特徴とする請求項3または請求項4に記載の追尾装置。
【請求項6】
上記トラック入力部は、上記処理装置を用いて、上記センサ装置が観測した目標の位置及び高度及び速度の少なくともいずれかを表わすデータを含むトラックデータを入力し、
上記トラック推定部は、上記処理装置を用いて、上記トラック入力部が入力したトラックデータが表わす目標を上記センサ装置が観測した時刻における上記目標の位置及び高度及び速度の少なくともいずれかを推定し、
上記トラック相関部は、上記処理装置を用いて、上記トラック入力部が入力したトラックデータが表わす目標の位置及び高度及び速度の少なくともいずれかと、上記トラック推定部が推定した目標の位置及び高度及び速度の少なくともいずれかとに基づいて、上記トラック入力部が入力したトラックデータが表わす目標を同定することを特徴とする請求項3乃至請求項5のいずれかに記載の追尾装置。
【請求項7】
上記トラック入力部は、上記処理装置を用いて、上記目標を観測したセンサ装置を識別するセンサ識別子を含むトラックデータを入力し、
上記共通データ更新部は、更に、上記処理装置を用いて、上記トラック更新部が上記トラック記憶部に記憶させたトラックデータに含まれるセンサ識別子と、上記トラック更新部が上記トラック記憶部に記憶させたトラックデータが表わす目標と同一の目標について上記共通データ記憶部が記憶した共通データに含まれるセンサ識別子とが一致した場合に、上記トラック更新部が上記トラック記憶部に記憶させたトラックデータを、上記共通データ記憶部に上記共通データとして記憶させることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の追尾装置。
【請求項8】
上記追尾装置は、更に、優先度記憶部と、更新判定部とを有し、
上記優先度記憶部は、上記記憶装置を用いて、上記共通データ更新部が上記共通データ記憶部に記憶させた共通データについて上記優先度算出部が算出した優先度を表わすデータを記憶し、
上記更新判定部は、上記処理装置を用いて、上記優先度算出部が算出した優先度と、上記優先度記憶部が記憶した優先度とを比較し、上記優先度算出部が算出した優先度のほうが上記優先度記憶部が記憶した優先度よりも高い場合に、共通データ更新と判定し、
上記共通データ更新部は、上記処理装置を用いて、上記更新判定部が共通データ更新と判定した場合に、上記トラック更新部が上記トラック記憶部に記憶させたトラックデータを、上記共通データ記憶部に上記共通データとして記憶させることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の追尾装置。
【請求項9】
上記トラック入力部は、上記処理装置を用いて、上記センサ装置が目標を観測した観測の信頼性を表わすデータを含むトラックデータを入力し、
上記優先度算出部は、上記処理装置を用いて、上記トラック更新部がトラック記憶部に記憶させたトラックデータが表わす観測の信頼性に基づいて、上記トラックデータの優先度を算出することを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の追尾装置。
【請求項10】
上記トラック入力部は、上記処理装置を用いて、上記センサ装置が観測した目標の位置を表わすデータを含むトラックデータを入力し、
上記優先度算出部は、上記処理装置を用いて、上記トラック更新部がトラック記憶部に記憶させたトラックデータが表わす目標の位置と、上記センサ装置の位置とに基づいて、上記トラックデータの優先度を算出することを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれかに記載の追尾装置。
【請求項11】
上記優先度算出部は、上記処理装置を用いて、上記センサ装置の観測周期に基づいて、上記トラックデータの優先度を算出することを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれかに記載の追尾装置。
【請求項12】
上記トラック入力部は、上記処理装置を用いて、上記目標を観測したセンサ装置を識別するセンサ識別子を含むトラックデータを入力し、
上記トラック更新部は、上記処理装置を用いて、上記トラック入力部が入力したトラックデータが表わす目標と同一の目標について上記トラック記憶部が記憶した複数のトラックデータのなかに、上記トラック入力部が入力したトラックデータに含まれるセンサ識別子と同一のセンサ識別子を含むトラックデータがあるか否かを判定し、同一のセンサ識別子を含むトラックデータがあると判定した場合、上記同一のセンサ識別子を含むトラックデータに、上記トラック入力部が入力したトラックデータを上書きして、上記トラック記憶部に記憶させ、同一のセンサ識別子を含むトラックデータがないと判定した場合、上記トラック入力部が入力したトラックデータを追加して、上記トラック記憶部に記憶させることを特徴とする請求項1乃至請求項11のいずれかに記載の追尾装置。
【請求項13】
上記追尾装置は、更に、トラック削除部と、共通データ削除部とを有し、
上記トラック入力部は、上記処理装置を用いて、上記センサ装置が目標を観測した観測時刻を表わすデータを含むトラックデータを入力し、
上記トラック削除部は、上記処理装置を用いて、上記トラック記憶部が記憶した複数のトラックデータそれぞれが表わす観測時刻に基づいて、上記観測時刻が所定の時刻よりも古いトラックデータを上記トラック記憶部から削除し、
上記共通データ削除部は、上記処理装置を用いて、上記共通データ記憶部が記憶した共通データが表わす目標と同一の目標についてのトラックデータを上記トラック削除部が上記トラック記憶部から削除して、上記共通データ記憶部が記憶した共通データが表わす目標と同一の目標についてのトラックデータを上記トラック記憶部が記憶しなくなった場合に、上記共通データを上記共通データ記憶部から削除することを特徴とする請求項1乃至請求項12のいずれかに記載の追尾装置。
【請求項14】
上記同一データ出力部は、上記処理装置を用いて、所定の周期が経過するたびに、上記同一データを出力することを特徴とする請求項1乃至請求項13のいずれかに記載の追尾装置。
【請求項15】
上記同一データ出力部は、上記処理装置を用いて、上記共通データ更新部が上記共通データ記憶部に上記共通データを記憶させた場合に、上記同一データを出力することを特徴とする請求項1乃至請求項14のいずれかに記載の追尾装置。
【請求項16】
データを記憶する記憶装置と、データを処理する処理装置とを有するコンピュータを、請求項1乃至請求項15のいずれかに記載の追尾装置として機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項17】
データを記憶する記憶装置と、データを処理する処理装置とを有する追尾装置が、目標を追尾する追尾方法において、
上記記憶装置が、複数のセンサ装置それぞれが観測した目標に関する情報を表わす複数のトラックデータを記憶し、
上記記憶装置が、記憶した複数のトラックデータのうち、少なくともいずれかのトラックデータを、共通データとして記憶し、
上記処理装置が、上記複数のセンサ装置のうち、いずれかのセンサ装置が観測した目標に関する情報を表わすトラックデータを入力し、
上記処理装置が、入力したトラックデータを、上記記憶装置に記憶させ、
上記処理装置が、上記記憶装置に記憶させたトラックデータに基づいて、上記トラックデータの優先度を算出し、
上記処理装置が、算出した優先度のほうが、上記記憶装置が記憶した共通データの優先度よりも高い場合に、上記記憶装置に記憶させたトラックデータを、上記記憶装置に上記共通データとして記憶させ、
上記処理装置が、上記記憶装置が記憶した複数のトラックデータと、上記記憶装置が記憶した共通データとを含む同一データを出力することを特徴とする追尾方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2009−204307(P2009−204307A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−43753(P2008−43753)
【出願日】平成20年2月26日(2008.2.26)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】