説明

送風装置

【課題】風量低下を防止し、省電力化を図ることのできる送風装置を提供する。
【解決手段】空気通路8と、空気通路8内に配されるとともにPWM制御によって駆動電圧のデューディー比を可変して所定の設定回転数に維持される送風ファン17とを備え、送風ファン17により送風して空気通路8内に気流を流通させる送風装置1において、設定回転数に到達した際に空気通路8の流通抵抗に応じて異なるデューティー比に基づいて設定回転数を変更し、送風ファン17の回転数を変更後の設定回転数に維持した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、PWM制御される送風ファンを備えた送風装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の送風装置は特許文献1に開示されている。この送風装置は空気調和器から成り、吸込口及び吹出口を開口する筐体を備えている。筐体内には吸込口と吹出口とを連通させる空気通路が設けられる。空気通路内には送風ファン及び熱交換器が配される。送風ファンはPWM制御されるファンモータを有し、所定の設定回転数に維持して回転する。また、送風ファンと吸込口との間には塵埃を捕集する集塵フィルターが配される。
【0003】
送風装置の運転が開始されると送風ファンが駆動される。これにより、送風ファンの送風によって室内の空気が吸込口から空気通路内に流入する。この時、送風ファンのファンモータはPWM制御によって設定回転数に維持するように駆動電圧のデューティー比を可変される。空気通路内に流入した空気は集塵フィルターにより塵埃が捕集され、熱交換器と熱交換して温調される。そして、温調された空気が吹出口から送出され、室内の空気調和が行われる。
【0004】
塵埃の蓄積によって集塵フィルターが目詰まり状態になると、空気通路の流通抵抗が大きくなるため吸込口から空気通路内に流入する空気量が減少する。これにより、ファンモータの負荷が小さくなるため送風ファンの回転数が上昇する。このため、ファンモータの駆動電圧のデューティー比を下げて送風ファンが設定回転数に維持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3748964号公報(第4頁−第12頁、第6図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の送風装置によると、集塵フィルターの目詰まり等によって空気通路の流通抵抗が大きくなった場合に、送風ファンがPWM制御によって一定の設定回転数に維持される。このため、所望の風量が得られず、快適性が低下する問題があった。
【0007】
また、空気通路の流通抵抗が小さくなった場合も同様に送風ファンがPWM制御によって一定の設定回転数に維持される。この時、送風ファンの駆動電圧のデューティー比が大きくなり、電力消費が大きくなる問題やファンモータに過電流が流れて定格電流を超える危険があった。
【0008】
本発明は、風量低下を防止できる送風装置を提供することを目的とする。また本発明は、省電力化を図るとともに送風ファンの過電流を防止できる送風装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために本発明は、空気通路と、前記空気通路内に配されるとともにPWM制御によって駆動電圧のデューディー比を可変して所定の設定回転数に維持される送風ファンとを備え、前記送風ファンにより送風して前記空気通路内に気流を流通させる送風装置において、前記設定回転数に到達した際に前記空気通路の流通抵抗に応じて異なる前記デューティー比に基づいて前記設定回転数を変更し、前記送風ファンの回転数を変更後の前記設定回転数に維持したことを特徴としている。
【0010】
この構成によると、送風ファンの駆動によって空気通路内に送風され、空気通路内を気流が流通する。この時、送風ファンはPWM制御によって設定回転数に維持するように駆動電圧のデューティー比を可変される。設定回転数に到達した際に送風ファンの駆動電圧のデューティー比が所定値に対して大きい場合や小さい場合に設定回転数が変更される。そして、送風ファンは変更後の設定回転数に維持するようにPWM制御される。
【0011】
また本発明は、上記構成の送風装置において、前記設定回転数に到達した際の前記デューティー比が所定値よりも小さいときに変更後の前記設定回転数を変更前よりも大きくしたことを特徴としている。この構成によると、空気通路の流通抵抗が大きいと送風ファンが設定回転数に到達した際に送風ファンの駆動電圧のデューディー比が小さくなる。この時、デューティー比が所定値よりも小さいと設定回転数を変更して大きくする。
【0012】
また本発明は、上記構成の送風装置において、前記設定回転数に到達した際の前記デューティー比が所定値よりも大きいときに変更後の前記設定回転数を変更前よりも小さくしたことを特徴としている。この構成によると、空気通路の流通抵抗が小さいと送風ファンが設定回転数に到達した際に送風ファンの駆動電圧のデューディー比が大きくなる。この時、デューティー比が所定値よりも大きいと設定回転数を変更して小さくする。
【0013】
また本発明は、上記構成の送風装置において、前記空気通路により連通する吸込口及び吹出口を開口した筐体と、前記筐体に取り付けられて前記吸込口を開閉する蓋部とを備え、前記送風ファンの駆動によって前記吸込口から吸い込まれた空気を前記吹出口から送出し、前記蓋部を開いた際に前記筐体が前記蓋部の支持により卓上に立設されるとともに、前記蓋部を閉じた際に前記蓋部と前記筐体との隙間を介して前記吸込口から吸気され、前記蓋部の開閉による前記空気通路の流通抵抗の変化を前記デューティー比により検知して前記設定回転数を変更したことを特徴としている。
【0014】
この構成によると、蓋部を開いて卓上に置くと、筐体が蓋部の支持によって卓上に立設される。送風ファンが駆動されると周囲の空気が吸込口から空気通路に流入し、吹出口から使用者の頭部等に向けて送出される。また、送風装置の携行時等に蓋部により吸込口が閉じられる。この時、空気通路の流通抵抗が蓋部を開いた場合よりも大きくなる。送風ファンが駆動されると蓋部と筐体との隙間を介して吸込口に周囲の空気が導かれ、空気通路を流通する空気が吹出口から使用者の頭部等に向けて送出される。
【0015】
また本発明は、上記構成の携帯型送風装置において、前記空気通路により連通する吸込口及び吹出口を開口した筐体と、前記空気通路内に配されるとともに通気性及び吸水性を有して前記空気通路を流通する空気を加湿する着脱自在の加湿フィルターと、前記加湿フィルターが浸漬される水受け皿と、前記空気通路内に配される集塵フィルターとを備え、前記送風ファンの駆動によって前記吸込口から吸い込まれた空気を前記集塵フィルターにより除塵するとともに前記加湿フィルターにより加湿して前記吹出口から送出し、前記加湿フィルターの着脱による前記空気通路の流通抵抗の変化を前記デューティー比により検知して前記設定回転数を変更したことを特徴としている。
【0016】
この構成によると、加湿フィルターは装着時に水受け皿に浸漬されて吸水する。送風ファンが駆動されると周囲の空気が吸込口から空気通路に流入する。空気通路に流入する空気は集塵フィルターによって除塵され、加湿フィルターを通過する際に加湿される。加湿された空気は吹出口から送出される。加湿フィルターを脱着して送風ファンが駆動されると周囲の空気が吸込口から空気通路に流入し、集塵フィルターにより除塵して吹出口から送出される。この時、空気通路の流通抵抗が加湿フィルターの装着時よりも小さくなる。
【0017】
また本発明は、上記構成の送風装置において、前記空気通路内にイオンを放出するイオン発生装置を設けたことを特徴としている。この構成によると、送風ファン及びイオン発生装置の駆動によってイオンを含む空気が送出される。これにより、使用者の周囲や室内の除菌等を行うことができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によると、PWM制御される送風ファンが設定回転数に到達した際に駆動電圧のデューティー比に基づいて設定回転数を変更し、送風ファンの回転数を変更後の設定回転数に維持している。これにより、空気通路の流通抵抗が初期の設定回転数に対応した流通抵抗に対して大きくなると、設定回転数を大きくして風量低下を防止することができる。また、空気通路の流通抵抗が初期の設定回転数に対応した流通抵抗に対して小さくなると、設定回転数を小さくして送風ファンの省電力化を図るとともに過電流を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1実施形態の送風装置を正面から見た斜視図
【図2】本発明の第1実施形態の送風装置を背面から見た斜視図
【図3】本発明の第1実施形態の送風装置の右側面断面図
【図4】本発明の第1実施形態の送風装置の左側面断面図
【図5】図3のB−B断面図
【図6】図3のC−C断面図
【図7】本発明の第2実施形態の送風装置を示す斜視図
【図8】本発明の第2実施形態の送風装置を示す右側面断面図
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に本発明の実施形態を図面を参照して説明する。図1は第1実施形態の送風装置を正面から見た斜視図である。送風装置1は携帯型に構成され、携帯可能な大きさに形成された平面視略矩形の薄箱状の筐体2を備えている。筐体2の厚み方向に対して直交する前面2aには表示部4が設けられる。表示部4は液晶表示パネル等により形成され、送風装置1の動作状態等を表示する。
【0021】
前面2aに対向する背面2bは筐体2の厚み方向に対して直交し、回動自在の蓋部3により覆われる。前面2a及び背面2bに隣接して筐体2の周面を形成する一方の側面2cには電源スイッチ5が設けられる。筐体2の周面を形成する上面2dには吹出口7が開口する。吹出口7には格子状のグリル7aが設けられる。
【0022】
図2は送風装置1を背面から見た斜視図であり、蓋部3を開いた状態を示している。蓋部3は吹出口7から離れた下端部で筐体2に枢支され、筐体2の背面2bには複数の小孔から成る吸込口6が開口する。蓋部3を開くと吸込口6が露出し、蓋部3を閉じると吸込口6及び吸込口6の周囲が覆われる。また、蓋部3を開いた際に蓋部3の支持によって筐体2を卓上に立設して送風装置1を設置することができる。
【0023】
図3、図4は送風装置1の蓋部3を閉じた状態の右側面断面図及び蓋部3を開いた状態の左側面断面図を示している。また、図5、図6は図3のB−B断面図及びC−C断面図を示している。筐体2は背面2bを形成する背面パネル2fを有している。背面パネル2fは前面を開口して上面断面が断面コ字状に形成される。
【0024】
背面パネル2fの前面の開口部は仕切パネル22により覆われる。仕切パネル22はネジ孔22aに螺合するネジ(不図示)により背面パネル2fに取り付けられる。仕切パネル22の前面には筐体2の前面2aを形成する上面断面が断面コ字状の前面パネル2eが係着される。
【0025】
前面パネル2e及び背面パネル2fの上部にはキャップ状の上部カバー2gが被嵌される。筐体2の側面は断面コ字状の前面パネル2e及び背面パネル2fにより形成される。尚、背面パネル2fの上部にはネックストラップを取り付ける取付孔2hが設けられ、送風装置1を使用者の首から吊り下げて携行することができる。
【0026】
蓋部3はヒンジ機構10により筐体2に枢支される。ヒンジ機構10は第1シャフト11、第2シャフト12、ギヤ13及び引っ張りバネ14を備えている。第1シャフト11は蓋部3と一体に設けられ、背面パネル2fに回転自在に支持される。第1シャフト11により蓋部3の回動軸が形成される。
【0027】
第2シャフト12は背面パネル2fに支持され、第1シャフト11の径方向に移動可能に配される。ギヤ13は第1シャフト11と一体に設けられ、中心角が90゜よりも狭い範囲に複数の歯13aが形成される。ギヤ13の隣接する歯13a間に第2シャフト12が配される。引っ張りバネ14は第1シャフト11及び第2シャフト12に両端が掛着され、第2シャフト12をギヤ13に押しつける方向に付勢する付勢手段を構成する。
【0028】
蓋部3の回動により第1シャフト11及びギヤ13が一体に回動し、引っ張りバネ14の付勢力に抗して第2シャフト12がギヤ13の歯先の方向に移動する。そして、歯13a間を第2シャフト12が周方向に相対移動し、筐体2に対して蓋部3を90゜以下の所望の角度に配することができる。
【0029】
蓋部3は閉じた際に背面パネル2fとの間に隙間23が形成される。隙間23は蓋部3の両側端面間にわたって設けられ、蓋部3を閉じた状態で外気が隙間23を介して吸込口6に流入可能になっている。また、蓋部3の内面には吸込口6に対向する部分に凹部3aが設けられる。凹部3aによって吸込口6に対向する隙間23の大きさD1が吸込口6の周囲に対向する隙間23の大きさD2よりも大きくなっている。尚、吸込口6の周囲に対向する隙間23を省き、D2=0としてもよい。
【0030】
凹部3aにより蓋部3の肉厚が薄くなるが、送風装置1の大型化を抑制できるとともに吸込口6の周囲に対向する部分の肉厚によって蓋部3の強度を確保することができる。尚、蓋部3の凹部3aの背面側を突出させて肉厚を大きくし、蓋部3の強度を向上させてもよい。この時、蓋部3の突出した部分が吸込口6に対向した一部であるため、送風装置1の大型化を抑制することができる。
【0031】
背面パネル2f内には仕切パネル22により前面が覆われて吸込口6と吹出口7とを連結する空気通路8が形成される。空気通路8内には遠心ファンから成る送風ファン17が配される。
【0032】
送風ファン17はPWM制御されるファンモータ及び羽根車(いずれも不図示)を備えている。PWM制御によって送風ファン17のファンモータは設定回転数に維持するように駆動電圧のデューティー比を可変される。
【0033】
送風ファン17の吸気口(不図示)は吸込口6に対向して配され、排気口(不図示)が吹出口7の方向に向けて配される。送風ファン17は背面パネル2fに対して軸方向に所定の距離を隔てて配され、吸込口6には背面パネル2fの内面側に固着して塵埃を捕集する集塵フィルター16が配される。
【0034】
仕切パネル22によって筐体2の前面側上部には隔離室22bが形成され、前面側下部には隔離室22cが形成される。仕切パネル22の背面側には送風装置1の制御回路を実装した制御基板15が取り付けられる。制御基板15には隔離室22b、22cにそれぞれ臨む端子部15aが接続される。隔離室22b、22cにそれぞれ収納されるイオン発生装置18及びバッテリ19は端子部15aを介して制御回路に接続される。
【0035】
イオン発生装置18は空気通路8に臨む複数の電極(不図示)を有している。電極には交流波形またはインパルス波形から成る電圧が印加される。一の電極には正電圧が印加され、電離により発生する水素イオンが空気中の水分と結合して主としてH+(H2O)mから成る電荷が正のクラスタイオンが形成される。他の電極には負電圧が印加され、電離により発生する酸素イオンが空気中の水分と結合して主としてO2-(H2O)nから成る電荷が負のクラスタイオンが形成される。ここで、m、nは任意の自然数である。
【0036】
+(H2O)m及びO2-(H2O)nは空気中の浮遊菌や臭い成分の表面で凝集してこれらを取り囲む。そして、式(1)〜(3)に示すように、衝突により活性種である[・OH](水酸基ラジカル)やH22(過酸化水素)を浮遊菌や臭い成分等の表面上で凝集生成してこれらを破壊する。ここで、m’、n’は任意の自然数である。
【0037】
+(H2O)m+O2-(H2O)n→・OH+1/2O2+(m+n)H2O ・・・(1)
+(H2O)m+H+(H2O)m’+O2-(H2O)n+O2-(H2O)n’
→ 2・OH+O2+(m+m'+n+n')H2O ・・・(2)
+(H2O)m+H+(H2O)m’+O2-(H2O)n+O2-(H2O)n’
→ H22+O2+(m+m'+n+n')H2O ・・・(3)
【0038】
上記構成の送風装置1において、送風装置1は蓋部3を閉じた状態で携行される。蓋部3を所望の角度に開いて卓上に置くと、蓋部3の支持により筐体2が卓上に立設される。電源スイッチ5が入れられると送風ファン17及びイオン発生装置18が駆動される。送風ファン17の駆動によって矢印A1(図4参照)に示すように吸込口6を介して空気通路8内に外気が流入する。
【0039】
この時、送風ファン17のファンモータの駆動電圧は例えば25kHz(周期40μs)で駆動され、PMW制御によってデューティー比が可変される。そして、送風ファン17が所定の設定回転数(例えば、1000rpm)に維持される。送風ファン17の回転数が1000rpmに到達した時に送風ファン17のファンモータの駆動電圧のデューティー比は例えば、65%になっている。設定回転数は蓋部3が開いた状態で所望の風量となるように予め設定されている。
【0040】
空気通路8内に流入した空気は集塵フィルター16により塵埃を捕集して除塵される。矢印A2(図3、図4参照)に示すように空気通路8を流通する空気にはイオン発生装置18で発生したイオンが含まれる。そして、矢印A3(図3、図4参照)に示すように吹出口7から上方の使用者の頭部等に向けてプラスイオン及びマイナスイオンを含む空気流が送出される。これにより、屋外や屋内で手軽に涼しさを得ることができるとともに、使用者の周囲の除菌や臭い除去を行うことができる。
【0041】
また、送風装置1の携行時に蓋部3が閉じられると、吸込口6が蓋部3により覆われる。これにより、集塵フィルター16に付着した塵埃の脱落が防止され、周囲への塵埃の飛散や衣服への塵埃の付着を防止することができる。
【0042】
送風装置1を使用者の首から吊り下げて携行した状態や把持した状態で電源スイッチ5が入れられると、矢印A4(図5、図6参照)に示すように隙間23を介して外気が吸込口6に導かれる。
【0043】
この時、蓋部3が閉じられるため開いたときよりも空気通路8の流通抵抗が大きくなる。これにより、吸込口6から吸い込まれる空気量が減少して送風ファン17の負荷が小さくなり、送風ファン17の駆動電圧のデューティー比が低くなる。即ち、上記例で示したように初期の設定回転数を1000rpmとすると、蓋部3が閉じた状態で1000rpmに到達した時のデューティー比が65%よりも低くなる。
【0044】
この状態で送風ファン17が初期の設定回転数に維持されると風量が低下する。このため、デューティー比が所定値よりも低いことを検知すると、設定回転数を変更して大きくする。そして、変更後の設定回転数(例えば、1300rpm)に維持されるように送風ファン17がPMW制御される。送風ファン17の回転数が1300rpmに到達した時に送風ファン17のファンモータの駆動電圧のデューティー比は例えば、55%になっている。
【0045】
これにより、蓋部3を閉じた際の風量の低下を防止することができる。この時、送風ファン17の負荷の低下をデューティー比により判別できるため、別途検知センサを設ける必要がない。送風ファン17の駆動電圧のパルス幅の検知によりデューティー比の低下を判別してもよい。
【0046】
尚、蓋部3に設けた凹部3aにより吸込口6に対向する部分の流路面積が吸込口6の周囲に対向する部分よりも大きくなる。従って、流量の減少を抑制することができ、変更後の設定回転数を小さくして省電力化を図ることができる。
【0047】
イオンを含む空気流は上面2dに配される吹出口7から上方に向けて送出される。これにより、送風装置1の携行時においても涼しさを得ることができるとともに、使用者の周囲の除菌や臭い除去を行うことができる。
【0048】
本実施形態によると、PWM制御される送風ファン17が設定回転数に到達した際に駆動電圧のデューティー比に基づいて設定回転数を変更し、送風ファン17の回転数を変更後の設定回転数に維持している。これにより、空気通路8の流通抵抗が初期の設定回転数に対応した流通抵抗に対して大きくなると、設定回転数を大きく変更して風量低下を防止することができる。この時、空気通路8の流通抵抗の変化を設定回転数に到達した際の送風ファン17の駆動電圧のデューティー比によって容易に検知することができる。
【0049】
また、蓋部3を開いた際に筐体2が蓋部3の支持により卓上に立設されて送風装置1を設置できるので、筐体2を立設するスタンドを別途設ける必要がなくコストを削減できる。また、蓋部3を閉じた際に蓋部3と筐体2との間に隙間23が設けられ、送風ファン17の駆動によって隙間23を介して外気が吸込口6に導かれるので、送風装置1の携行時においても涼しさを得ることができる。この時、蓋部3を閉じて空気通路8の流通抵抗が大きくなるとデューティー比の検知によって設定回転数を大きし、所望の風量が得られる。
【0050】
また、空気通路8内にイオンを放出するイオン発生装置18を設けたので、使用者の周囲の除菌や臭い除去を行うことができる。
【0051】
本実施形態において、蓋部3が閉じた際に所望の風量が送出されるように送風ファン17の初期の設定回転数(例えば、1300rpm)を設定してもよい。これにより、蓋部3を開いた際に流通抵抗の低下により送風ファン17の負荷が増加してデューティー比が大きくなると、設定回転数を変更して小さくする。そして、送風ファン17がPWM制御によって変更後の設定回転数(例えば、1000rpm)に維持される。従って、蓋部3の開成時に送風ファン17の省電力化を図ることができるとともに、ファンモータの定格電流を超える過電流を防止することができる。
【0052】
次に、図7は第2実施形態の送風装置の斜視図を示している。説明の便宜上、前述の図1〜図6に示す第1実施形態と同様の部分には同一の符号を付している。送風装置31は加湿機を構成し、底面に複数のキャスター33を有して床面等に設置される筐体32を備えている。筐体32の上面には吹出口7が開口し、背面には吸込口6(図8参照)が開口する。また、筐体32の上面には操作部34が設けられる。
【0053】
図8は送風装置31の側面断面図を示している。筐体32の内部には吸込口6と吹出口7とを連通させる空気通路40が設けられる。空気通路40は筐体32の上端から下方に延びる仕切壁40aによって上部を前後方向に分割される。空気通路40内の下部には遠心ファンから成る送風ファン17が配される。空気通路40は送風ファン17の上流側となる仕切壁40aの後方に吸気路41が形成され、下流側となる仕切壁40aの前方に上方に延びる排気路42が形成される。
【0054】
送風ファン17はPWM制御されるファンモータ17aとファンモータ17aにより回転する羽根車17bとを有している。PWM制御によって送風ファン17は設定回転数に維持するように駆動電圧のデューティー比を可変される。
【0055】
空気通路40の吸気路41内には吸込口6に面して脱臭フィルター35及び集塵フィルター36が積層して配置される。脱臭フィルター35は例えば、不織布に活性炭を分散保持して形成され、空気中の臭い成分を吸着して除去する。集塵フィルター36は例えば、HEPAフィルターにより形成され、空気中の微細な塵埃を捕集する。従って、送風装置31は室内の空気を取り込んで塵埃や臭い成分を除去する空気清浄機としても機能する。
【0056】
送風ファン17と集塵フィルター36との間には加湿フィルター50が配される。加湿フィルター50は円板状の吸水材50aを保持枠50bにより保持して形成され、保持枠50bの中央には軸部50cが設けられる。加湿フィルター50の下方には水受け皿53が配され、軸部50cによって加湿フィルター50が水受け皿53に回転自在に支持される。
【0057】
水受け皿53は筐体32に対して側方にスライド自在に形成され、着脱自在の給水タンク(不図示)から給水される。これにより、加湿フィルター50の下部が水受け皿53に浸漬される。また、加湿フィルター50は水受け皿53に対して着脱自在に設けられる。
【0058】
加湿フィルター50の吸水材50aは通気性及び吸水性を有する不織布等により形成される。これにより、吸水材50aが水受け皿53から吸水し、吸気路41を流通して加湿フィルター50を通過する空気を加湿する。加湿フィルター50の保持枠50bの周面にはギヤ部50dが形成される。ギヤ部50dは筐体32に支持された駆動モータ51により回転を伝達される複数の伝達ギヤ52に噛合する。これにより、加湿フィルター50が回転し、吸気路41を流通する空気を均一に加湿することができる。
【0059】
吹出口7近傍には第1実施形態と同様のイオン発生装置18が空気通路40の排気路42に面して配される。これにより、空気通路40内にイオンが放出される。また、筐体32の表面には室内の空気中の塵埃量や臭い成分を検知する埃センサ及び臭いセンサ(いずれも不図示)が設けられる。
【0060】
上記構成の送風装置31において、操作部34の操作により送風装置31の運転が開始されると、駆動モータ51、送風ファン17及びイオン発生装置18が駆動される。送風装置31は複数の動作モードを備え、埃センサや臭いセンサの検知によって表1に示すように送風ファン17の設定回転数が異なる弱、中、強の各動作モードに切り替える。
【0061】
【表1】

【0062】
即ち、室内の空気中の塵埃量や臭い成分が第1閾値よりも少ない場合は動作モードが弱に設定される。この時、送風ファン17の回転数が低速の設定回転数(430rpm)に設定される。室内の空気中の塵埃量や臭い成分が第1閾値よりも多い場合は動作モードが中に設定される。この時、送風ファン17の回転数が中速の設定回転数(960rpm)に設定される。
【0063】
更に、室内の空気中の塵埃量や臭い成分が第1閾値よりも大きい第2閾値よりも多い場合は動作モードが強に設定される。この時、送風ファン17の回転数が高速の設定回転数(1420rpm)に設定される。また、操作部34の操作によって手動で動作モードを切り替えることもできる。
【0064】
送風ファン17の駆動によって矢印B1(図8参照)に示すように吸込口6を介して空気通路40内に外気が流入する。この時、送風ファン17のファンモータ17aの駆動電圧は例えば25kHz(周期40μs)で駆動され、PMW制御によってデューティー比が可変される。そして、送風ファン17が動作モードに応じた設定回転数に維持され、所望の風量が得られる。
【0065】
即ち、表1に示すように、動作モードが弱の場合は設定回転数に到達時に送風ファン17の消費電力が例えば2.80Wになり、風量が例えば0.83CMM(m3/min)になっている。動作モードが中の場合は設定回転数に到達時に送風ファン17の消費電力は例えば12.72Wになり、風量は例えば2.81CMM(m3/min)になっている。動作モードが強の場合は設定回転数に到達時に送風ファン17の消費電力は例えば42.07Wになり、風量は例えば4.63CMM(m3/min)になっている。また、送風ファン17のファンモータ17aの駆動電圧のデューティー比は例えば、65%になっている。
【0066】
空気通路40内に流入した空気は脱臭フィルター35により臭い成分を除去され、集塵フィルター36により塵埃を捕集して除塵される。塵埃及び臭い成分が除去された空気は加湿フィルター50を通過して加湿される。加湿された空気は矢印B2(図8参照)に示すように排気路42を流通し、イオン発生装置18で発生したイオンが含まれる。そして、矢印B3(図8参照)に示すように吹出口7から室内にプラスイオン及びマイナスイオンを含む空気流が送出される。これにより、室内の加湿や空気清浄を行うとともに除菌や臭い除去を行うことができる。
【0067】
また、加湿フィルター50を取り外すと、集塵フィルター36及び脱臭フィルター35により室内の空気清浄を行うことができる。この時、加湿フィルター50の装着時よりも空気通路40の流通抵抗が小さくなる。これにより、吸込口6から吸い込まれる空気量が増加して送風ファン17の負荷が大きくなり、送風ファン17の駆動電圧のデューティー比が高くなる。即ち、初期の設定回転数を1420rpm(動作モードが強の場合)とすると、加湿フィルター50を脱着した状態で1420rpmに到達した時のデューティー比が65%よりも高くなる。
【0068】
この状態で送風ファン17が初期の設定回転数に維持されると、電力消費が大きくなるとともにファンモータ17aに過電流が流れて定格電流を超える危険がある。このため、デューティー比が所定値よりも高いことを検知すると、設定回転数を変更して小さくする。そして、変更後の設定回転数(例えば、1350rpm)に維持されるように送風ファン17がPMW制御される。
【0069】
即ち、表1に示すように、加湿フィルター50の脱着状態をデューティー比により検知すると、動作モードが弱の場合は設定回転数が430rpmから360rpmに変更される。変更後の設定回転数に到達時に送風ファン17の消費電力は例えば2.40Wになり、風量は例えば加湿フィルター50の装着時と同じ0.83CMM(m3/min)になっている。
【0070】
動作モードが中の場合は設定回転数が960rpmから890rpmに変更される。変更後の設定回転数に到達時に送風ファン17の消費電力は例えば10.2Wになり、風量は例えば加湿フィルター50の装着時と同じ2.81CMM(m3/min)になっている。
【0071】
動作モードが強の場合は設定回転数が1420rpmから1350rpmに変更される。変更後の設定回転数に到達時に送風ファン17の消費電力は例えば37.9Wになり、風量は例えば加湿フィルター50の装着時と同じ4.63CMM(m3/min)になっている。また、送風ファン17のファンモータ17aの駆動電圧のデューティー比は例えば、75%になっている。
【0072】
これにより、加湿フィルター50を脱着した際の省電力化を図るとともに過電流を防止することができる。この時、送風ファン17の負荷の増加をデューティー比により判別できるため、別途検知センサを設ける必要がない。送風ファン17の駆動電圧のパルス幅の検知によりデューティー比の増加を判別してもよい。
【0073】
本実施形態によると、PWM制御される送風ファン17が設定回転数に到達した際に駆動電圧のデューティー比に基づいて設定回転数を変更し、送風ファン17の回転数を変更後の設定回転数に維持した。これにより、空気通路40の流通抵抗が初期の設定回転数に対応した流通抵抗に対して小さくなると、設定回転数を小さくして送風ファン17の省電力化を図るとともに過電流を防止することができる。この時、空気通路40の流通抵抗の変化を設定回転数に到達した際の送風ファン17の駆動電圧のデューティー比によって容易に検知することができる。
【0074】
また、集塵フィルター16と着脱自在の加湿フィルター50とを備えたので、加湿フィルター50を取り外して室内の空気清浄を行うことができる。この時、加湿フィルター50を脱着して空気通路40の流通抵抗が小さくなると、送風ファン17のデューティー比の検知によって設定回転数を変更して小さくする。これにより、送風装置31の省電力化を図ることができる。
【0075】
また、空気通路40内にイオンを放出するイオン発生装置18を設けたので、室内の周囲の除菌や臭い除去を行うことができる。
【0076】
本実施形態において、加湿フィルター50を脱着した際に所望の風量が送出されるように送風ファン17の初期の設定回転数(例えば、動作モードが強の場合に1350rpm)を設定してもよい。これにより、加湿フィルター50を装着した際に流通抵抗の増加により送風ファン17の負荷が低下してデューティー比が小さくなると、設定回転数を変更して大きくする。そして、送風ファン17がPWM制御によって変更後の設定回転数(例えば、1420rpm)に維持される。従って、加湿フィルター50の装着時に送風ファン17の風量低下を防止することができる。
【0077】
第1、第2実施形態において、空気通路8、40を流通する空気を吹出口7から送出する送風装置1、31について説明しているが、空気通路に空気を循環させるように送風する送風装置であってもよい。また、イオン発生装置18によってマイナスイオンのみを放出してもよい。これにより、使用者のリラクゼーション効果を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明によると、PMW制御される送風ファンを備えた送風装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0079】
1、31 送風装置
2、32 筐体
2e 前面パネル
2f 背面パネル
2g 上部カバー
3 蓋部
4 表示部
5 電源スイッチ
6 吸込口
7 吹出口
8、40 空気通路
9 マグネット
10 ヒンジ機構
11 第1シャフト
12 第2シャフト
13 ギヤ
14 引っ張りバネ
15 制御基板
16、36 集塵フィルター
17 送風ファン
18 イオン発生装置
19 バッテリ
22 仕切パネル
23 隙間
35 脱臭フィルター
41 吸気路
42 排気路
50 加湿フィルター
50a 吸水材
51 駆動モータ
52 伝達ギヤ
53 水受け皿

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気通路と、前記空気通路内に配されるとともにPWM制御によって駆動電圧のデューディー比を可変して所定の設定回転数に維持される送風ファンとを備え、前記送風ファンにより送風して前記空気通路内に気流を流通させる送風装置において、前記設定回転数に到達した際に前記空気通路の流通抵抗に応じて異なる前記デューティー比に基づいて前記設定回転数を変更し、前記送風ファンの回転数を変更後の前記設定回転数に維持したことを特徴とする送風装置。
【請求項2】
前記設定回転数に到達した際の前記デューティー比が所定値よりも小さいときに変更後の前記設定回転数を変更前よりも大きくしたことを特徴とする請求項1に記載の送風装置。
【請求項3】
前記設定回転数に到達した際の前記デューティー比が所定値よりも大きいときに変更後の前記設定回転数を変更前よりも小さくしたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の送風装置。
【請求項4】
前記空気通路により連通する吸込口及び吹出口を開口した筐体と、前記筐体に取り付けられて前記吸込口を開閉する蓋部とを備え、前記送風ファンの駆動によって前記吸込口から吸い込まれた空気を前記吹出口から送出し、前記蓋部を開いた際に前記筐体が前記蓋部の支持により卓上に立設されるとともに、前記蓋部を閉じた際に前記蓋部と前記筐体との隙間を介して前記吸込口から吸気され、前記蓋部の開閉による前記空気通路の流通抵抗の変化を前記デューティー比により検知して前記設定回転数を変更したことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の送風装置。
【請求項5】
前記空気通路により連通する吸込口及び吹出口を開口した筐体と、前記空気通路内に配されるとともに通気性及び吸水性を有して前記空気通路を流通する空気を加湿する着脱自在の加湿フィルターと、前記加湿フィルターが浸漬される水受け皿と、前記空気通路内に配される集塵フィルターとを備え、前記送風ファンの駆動によって前記吸込口から吸い込まれた空気を前記集塵フィルターにより除塵するとともに前記加湿フィルターにより加湿して前記吹出口から送出し、前記加湿フィルターの着脱による前記空気通路の流通抵抗の変化を前記デューティー比により検知して前記設定回転数を変更したことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の送風装置。
【請求項6】
前記空気通路内にイオンを放出するイオン発生装置を設けたことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の送風装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−87715(P2013−87715A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−230372(P2011−230372)
【出願日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】