透過型ディスプレイ装置及びディスプレイユニット
【課題】ホログラムの虚像を十分目視できるとともにホログラム素子の周囲のサングラスレンズを透過する日中の外光が必要以上に抑制されない透過型ディスプレイ装置及びディスプレイユニットを提供すること。
【解決手段】ユーザーの眼球の直前に配置される視度補正用のサングラスレンズ14とその前方(物体側)に配置される映像投影モニターとしての透明基板22とを備え、透明基板22内部のホログラム素子表面にハーフミラー層を配置する。サングラスレンズ14は青色可視光の透過率が特異的に低く設定されており、青色以外の他の波長域の可視光の透過率が特異的に高く設定されている。一方、ハーフミラー層はサングラスレンズ14の透過特性とは逆に設定するようにした。これによって、ホログラム素子に投影される比較的輝度の低いホログラムの虚像が外光によって見にくくなることはなく、ユーザーは目視可能となる。
【解決手段】ユーザーの眼球の直前に配置される視度補正用のサングラスレンズ14とその前方(物体側)に配置される映像投影モニターとしての透明基板22とを備え、透明基板22内部のホログラム素子表面にハーフミラー層を配置する。サングラスレンズ14は青色可視光の透過率が特異的に低く設定されており、青色以外の他の波長域の可視光の透過率が特異的に高く設定されている。一方、ハーフミラー層はサングラスレンズ14の透過特性とは逆に設定するようにした。これによって、ホログラム素子に投影される比較的輝度の低いホログラムの虚像が外光によって見にくくなることはなく、ユーザーは目視可能となる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はカメラで撮影した映像あるいは外部データに基づく画像や映像等を目前に展開させるようにした透過型ディスプレイ装置及び透過型ディスプレイ装置からなるディスプレイユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来からカメラ等で撮影した映像や映画のような外部データに基づく映像等をユーザーの眼球の近傍あるいは網膜に直接映し出す技術が開発されている。
ホログラム技術を利用したディスプレイ装置の一例として特許文献1及び2を示す。またこれらディスプレイ装置の応用の一例として例えば弱視の視覚障害者用に利用することが考えられる。つまり、ユーザーとなる視覚障害者の周囲(特に前方)の景色をカメラで映像化し、ディスプレイ装置によってユーザーの目前にホログラムの虚像として展開させて視覚補助とするものである。一般に残存視覚を有する「弱視」の視覚障害者は大きな光エネルギーが網膜によくないことから、特に昼間には遮光機能を有するレンズ(以下、そのようなレンズをサングラスレンズという)をかけて外光が眼に入るのを制限するようにしている。
ディスプレイ装置を利用した視覚補助用のディスプレイユニットとしては例えば図12のような構成が想定される。
図12は透過型ディスプレイ装置を利用した一例である。透過型ディスプレイ装置101は透明基板102とその上部に配置された映像投影部103を備えている。透過型ディスプレイ装置101では透明基板102を通した実像とホログラムの虚像との両方を重複状態で目視できるため「透過型」と呼ぶ。
透明基板102内に入射された映像光束は透明基板102内のホログラム素子104に導かれ、回析反射されて瞳に入射することとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−85011号公報
【特許文献2】特開2006−98827号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ホログラム素子104に投影される映像の輝度はそれほど大きくないため、夜間の光量が少ない環境下であればともかく、日中の光量が多い状態ではホログラム素子104に投影される投影光の強度よりも外光の強度の方が大きくなってしまい、十分にホログラムの虚像が目視できない状況が生じてしまう。そのため、例えば、図13に示すように透過型ディスプレイ装置101の透明基板102に重複状に(ここでは透明基板102の前方)ホログラムの虚像が目視できる程度に透過率を制限したサングラスレンズ105を配置することが想定される。これによって日中の光量が多い状態でもホログラム素子104の映像が目視できることととなる。
ところが、このサングラスレンズ105は図14(a)のように通常弱視の視覚障害者が通常使用するサングラスレンズよりもかなり可視光の透過率が低く設定されているため図14(b)のようにホログラムの虚像を構成する3原色は見えるようになるものの、弱視の視覚障害者にとってはホログラム素子104の周囲の外景が斜線で示す部分しか透過せず非常に見えにくくなってしまうという問題がある。そのため、サングラスレンズと透過型ディスプレイ装置を併用した場合にホログラムの虚像を十分目視できるとともにホログラム素子の周囲のサングラスレンズを透過する日中の外光が必要以上に抑制されない技術が求められていた。以上はサングラスレンズとディスプレイ装置を併用した場合において視覚障害者用を例に挙げたものであるが、視覚障害者用以外においてもサングラスレンズとディスプレイ装置を併用した場合に同様に生じる問題である。
本発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的は、ホログラムの虚像を十分目視できるとともにホログラム素子の周囲のサングラスレンズを透過する日中の外光が必要以上に抑制されない透過型ディスプレイ装置及びディスプレイユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための請求項1の発明では、少なくとも所定の透過特性を有するサングラスレンズと、同サングラスレンズが直接的又は間接的に配設されユーザーの鼻背及び耳輪基部を支持部分としてセットされるフレーム体とを備える第1の眼鏡と、少なくともサングラスレンズではないレンズと、同レンズが直接的又は間接的に配設されユーザーの鼻背及び耳輪基部を支持部分としてセットされるフレーム体とを備える第2の眼鏡のいずれか一方の眼鏡に搭載される透過型ディスプレイ装置であって、前記フレーム体に搭載した状態で映像データ出力手段から出力される映像データを映像化し、その映像光を内部の反射光学素子に導く前記サングラスレンズ又は前記レンズの前後方向に重複状に配置される透明基板を備え、前記反射光学素子表面あるいは前記透明基板の同反射光学素子に面した領域に波長分離フィルターを配置する一方、前記サングラスレンズの透過特性として所定の第1の波長域の可視光の透過率を特異的に低く設定し、それとは異なる所定の第2の波長域の可視光の透過率を特異的に高く設定するとともに、前記波長分離フィルターの透過特性として前記サングラスレンズの第1の波長域の可視光の透過率を特異的に高く設定し、第2の波長域の可視光の透過率を特異的に低く設定することで前記第1の眼鏡に搭載した状態で可視光の前記サングラスレンズ及び反射光学素子位置の透過を抑制するとともに、前記反射光学素子位置以外における第2の波長域の可視光の前記サングラスレンズの透過を許容し、前記第2の眼鏡に搭載した状態で第1の波長域の可視光の前記反射光学素子位置の透過を許容するようにしたことをその要旨とする。
【0006】
請求項1のような構成では、透過型ディスプレイ装置では映像データ出力手段から出力される映像データに基づいて映像化した映像を反射光学素子に投影して虚像(ホログラムによる映像光)としてユーザーの眼に認識させる。サングラスレンズはその透過特性として所定の第1の波長域の可視光の透過率が特異的に低く設定され、それとは異なる所定の第2の波長域の可視光の透過率が特異的に高く設定されている。ここに反射光学素子とは透明基板内においてユーザーの目の注視方向線に対して交差する面を有する素子で、外界光を透過させるとともに透明基板内で反射されて導かれた映像光が投影される面を有する素子であり、例えばホログラム素子やハーフミラーが挙げられる。
そのため、サングラスレンズを装着するような主として日中の外光が多い状態では第1の眼鏡に透過型ディスプレイ装置を搭載する。この場合には反射光学素子位置では可視光において所定の第1の波長域の可視光も第2の波長域の可視光も透過できずサングラスレンズと反射光学素子位置を透過する外光を極めて制限できるため外光に邪魔されることなく虚像を目視することが可能となる。また、反射光学素子位置以外のサングラスレンズの部分は第2の波長域の可視光が透過するため景色が目視可能となる。
一方、外光が少ない状態では透過型ディスプレイ装置を第2の眼鏡に搭載する。その場合には反射光学素子位置では外光のうち第1の波長域の可視光が透過して目視されることとなる。
ここに、サングラスレンズとしての透過特性として特異的に低く設定された所定の第1の波長域の可視光及び特異的に高く設定された所定の第2の波長域の可視光はある一定の連続した幅の可視光であって、適宜透過率や波長域を変更することが可能である。「特異的」とは隣接した領域に比較して極端に突出した特性であることを意味する。低く設定とは必ずしも0%の透過率でなくともその前後の可視光に対して顕著に透過率が低い場合を広く含むものである。同じく高く設定とは必ずしも100%の透過率でなくともその前後の可視光に対して顕著に透過率が高い場合を広く含むものである。特性曲線は複数のピークを持っていても良く、第1の波長域と第2の波長域とは必ずしもシャープカットに接続されるような特性曲線でなくともよい。また、第1の波長域の可視光及び第2の波長域の可視光はそれぞれ1つだけに限定されるわけではない。
サングラスレンズに所定の透過特性を与えるためには例えば、所定の波長域に対する吸収と透過の特性を示す顔料を含んだ色ガラス等を使用することが一般的であるが、特定の波長を反射させる場合には例えば干渉フィルターを使用することも可能である。干渉フィルターとは、光のスペクトルから特定の波長光だけを選択し透過させるフィルターであって、任意の誘電体薄膜や金属薄膜を所望の透過特性を与えるために任意の順序で積層して構成される多層構造体である。
波長分離フィルターは一部の波長域の可視光を透過し、一部の可視光を透過させずに反射する機能を有する。例えばハーフミラーや色ガラスは波長分離フィルターの一種と考えることができる。波長分離フィルターの透過及び反射特性は適宜変更可能である。波長分離フィルターは任意の誘電体薄膜や金属薄膜を周知の手段、例えば蒸着法あるいはスパッタリング法等の手段で成膜させることができる。尚、レンズには近視や乱視の矯正用の度数が設定されていなくともよい。
【0007】
また、請求項2の発明では、映像データ出力手段と、映像データ出力手段と、前記映像データ出力手段から出力される映像データを映像化し、その映像光を内部の反射光学素子に導く透明基板とを有する透過型ディスプレイ装置と、前記透過型ディスプレイ装置が搭載され、ユーザーの顔の眼球前方位置に前記透明基板を配設させた状態でユーザーの鼻背及び耳輪基部を支持部分としてセットされるフレーム体と、同フレーム体に直接的又は間接的に着脱可能に配設され前記透明基板の前後方向に重複状に配置される所定の透過特性を有する着脱可能なサングラスレンズとを備え、前記反射光学素子表面あるいは前記透明基板の同反射光学素子に面した領域に波長分離フィルターを配置する一方、前記サングラスレンズの透過特性として所定の第1の波長域の可視光の透過率を特異的に低く設定し、それとは異なる所定の第2の波長域の可視光の透過率を特異的に高く設定するとともに、前記波長分離フィルターの透過特性として前記サングラスレンズの第1の波長域の可視光の透過率を特異的に高く設定し、第2の波長域の可視光の透過率を特異的に低く設定することで前記サングラスレンズ装着状態における可視光の前記反射光学素子位置の透過を抑制するとともに、前記反射光学素子位置以外における第2の波長域の可視光の前記サングラスレンズの透過を許容し、前記サングラスレンズの取り外し状態における第1の波長域の可視光の前記反射光学素子位置の透過を許容するようにしたことをその要旨とする。
【0008】
請求項2のような構成では、透過型ディスプレイ装置では映像データ出力手段から出力される映像データに基づいて映像化した映像を反射光学素子に投影して虚像(ホログラムによる映像光)としてユーザーの眼に認識させる。サングラスレンズはその透過特性として所定の第1の波長域の可視光の透過率が特異的に低く設定され、それとは異なる所定の第2の波長域の可視光の透過率が特異的に高く設定されている。そのため、サングラスレンズを装着するような主として日中の外光が多い状態では反射光学素子位置では可視光において所定の第1の波長域の可視光も第2の波長域の可視光も透過できずサングラスレンズと反射光学素子位置を透過する外光を極めて制限できるため外光に邪魔されることなく虚像を目視することが可能となる。また、反射光学素子位置以外のサングラスレンズの部分は第2の波長域の可視光が透過するため景色が目視可能となる。
一方、外光が少ない状態ではサングラスレンズは不要であるため、取り外すことになるが、その場合には反射光学素子位置では外光のうち第1の波長域の可視光が透過して目視されることとなる。サングラスレンズ及び波長分離フィルターの透過特性や構成等は上記と同様である。
【0009】
また、請求項3の発明では請求項2に記載の発明の構成に加え、前記サングラスレンズの特異的に低く設定した所定の第1の波長域の可視光は第2の波長域の可視光に対して短波長側にあることをその要旨とする。これは、一般的にサングラスレンズはエネルギーの大きな短波長側をカットするような特性とすることが多いためである。
また、請求項4の発明では請求項2又は3に記載の発明の構成に加え、前記映像データ出力手段は撮影手段であることをその要旨とする。つまり、上位概念としては実際に撮影した映像データ以外を目視させるような場合も含める意である。撮影手段はフレーム体に併設させることが好ましい。
また、請求項5の発明では請求項2〜4のいずれかに記載の発明の構成に加え、前記透明基板は前記サングラスレンズよりも眼球側に配置されることをその要旨とする。
これによって反射光学素子の周囲についても外光が制限されるため、反射光学素子部分がより目視しやすくなる。
【0010】
また、請求項6の発明では請求項2〜4のいずれかに記載の発明の構成に加え、前記サングラスレンズは前記透明基板よりも眼球側に配置されることをその要旨とする。
また、請求項7の発明では請求項6に記載の発明の構成に加え、前記透過型ディスプレイ装置によって映像化された映像光の発色を前記サングラスレンズの透過可視光の透過特性とは異なる波長光から構成することで外光による実像に対して映像光が異なる色相となるようにしたことをその要旨とする。
これら請求項は特に反射光学素子位置における色がサングラスレンズを透過することによって一部波長がカットされて、サングラスレンズと同色になることによってホログラムの虚像が目視しにくくなるのを防止するための技術である。この時、映像光はサングラスレンズを透過して眼球に達する外光からなる実像とは異なる色相、つまり色が違っているため映像と実像との差異が明確になるためユーザーは映像と実像を混同することなく別の像として認識することができる。例えば、レンズ(つまりサングラスレンズ)において可視光のうち青色のみをカットすると残った波長域の光線によってレンズを透過する外光は黄色となる。この場合には映像光として黄色以外の色を使用することが可能である。
【0011】
また、請求項8の発明では請求項7に記載の発明の構成に加え、前記映像光の色相は前記サングラスレンズの透過可視光の色相とは異なる青、緑色又は赤色のいずれかであることをその要旨とする。
カラー画像はRGBの3原色から合成されるが、このうちの1色のみを使用することで容易に実像との区別のある色相とすることができる。特に、人の最大感度波長は明所視では560nm付近、暗所視では500nm付近であるため、ちょうど緑色に該当する波長域である。そのため、緑色を映像の色として使用することで、映像をより認識しやすくなる。
また、請求項9の発明では請求項8に記載の発明の構成に加え、前記映像光は撮影手段によって撮影した画像をRGBの3原色のいずれかの色の光で投影したもであることをその要旨とする。
また、請求項10の発明では請求項7〜9のいずれかに記載の発明の構成に加え、前記サングラスレンズは視度補正レンズを兼用することをその要旨とする。
【発明の効果】
【0012】
上記各請求項の発明では、サングラスレンズと透過型ディスプレイ装置の透明基板のが重複状態にある場合には外光が透明基板の反射光学素子位置を透過することを制限でき、ホログラムの虚像を十分目視できることとなり、反射光学素子位置から外れたサングラスレンズは一部外光を所望の透過率で透過させることが可能となる。一方、サングラスレンズがない状態での目視では透明基板の反射光学素子位置は外光を一部外光を所望の透過率で透過させることが可能となるため、透明基板に外光が目視できない箇所が発生することがない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施例1の視覚補助用のディスプレイユニットの斜視図。
【図2】同じ視覚補助用のディスプレイユニットの平面図。
【図3】カメラの光学系と電気的構成を説明するブロック図。
【図4】映像投影部の光学的構成を説明する説明図。
【図5】ハーフミラー層の透過特性レンズの透過特性と重ねて示すグラフ。
【図6】レンズの透過特性をホログラム素子のG光と重ねて示すグラフ。
【図7】ユーザーが目視する景色の一例を模式化した説明図。
【図8】本発明の実施例2の視覚補助用のディスプレイユニットの斜視図。
【図9】ハーフミラー層の透過特性レンズの透過特性と重ねて示すグラフ。
【図10】サングラスレンズの透過特性を示すグラフ。
【図11】他の実施例の透過型ディスプレイ装置において第1の眼鏡と第2の眼鏡の両方に選択的に搭載させることを説明する説明図。
【図12】透過型ディスプレイ装置と眼の関係を説明する模式図。
【図13】図12においてサングラスレンズを配した模式図。
【図14】(a)はサングラスレンズの透過率を示すグラフ、(b)はサングラスレンズの透過率とホログラムの画像の光との関係を説明するグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の視覚補助用のディスプレイユニットの実施例について図面に従って説明をする。
(実施例1)
図1及び図2に示すように、視覚補助用のディスプレイユニット(以下、ディスプレイユニット)11はフレーム体12に搭載された透過型ディスプレイ装置13及びサングラスレンズを兼ねた左右一対の視度補正用のレンズ14とより構成されている。フレーム体12は主フレーム15と主フレームの両端に蝶番16によって連結された一対のテンプル17から構成されている。主フレーム15の中央内面にはブラケット18が取着されている。レンズ14はブラケット18に対してレバー19によって固定されており、レバー19の操作によって取り外し可能とされている。
透過型ディスプレイ装置13は撮影手段としてのカメラ20と映像投影部21と透明基板22から構成されている。カメラ20は本実施例では左側の主フレーム15の端寄りに着脱可能に取着されている。映像投影部21は本実施例では右側の透明基板22の上端に取り付けられているが、左側の透明基板22あるいは両側共に取り付けるようにしてもよい。カメラ20と映像投影部21とはケーブル23によって接続されている。尚、本実施例ではカメラ20及び映像投影部21への電源は図示を省略している。
【0015】
図3に示すように、本実施例のカメラ20の光学系はビームスプリッター及びプリズムから構成されるRGB分割光学回路25と、RGB分割光学回路25の後方に配置されたRGBの各光に応じて配置された3つの集光レンズ26及び撮像菅27を備えている。撮像菅27はアンプ28及び制御回路29に接続されている。撮影された映像はRGB分割光学回路25においてRGBの3原色に分割されてそれぞれ撮像菅27に導かれて信号化される。そして各撮像菅27で信号化されたRGBの映像はそれぞれアンプ28及び制御回路29によって処理され所定の信号方式に乗っ取って映像投影部21に出力されることとなる。
但し、本実施例ではR光とB光は制御回路29においてそれらの波長光のピークがG光のピークである560nmとなるように変調されることとなっている。つまり、R光とB光は映像としての情報はそのままに色相のみ緑色に変調されることとなる。尚、ピークの位置は適宜変更可能である。
【0016】
図4に示すように、本実施例の映像投影部21は筐体30に収容された発光ダイオード(LED)31と、集光レンズ32と液晶表示素子(LCD)33から構成されている。本実施例ではLED31はすべて緑色を発光する緑色発光ダイオードとされている。従って、上記RGBの3原色に分割された映像データは緑色で投影されることとなる。カメラ20からケーブル23を介して出力された画像データは映像投影部21においてLED31から集光レンズ32方向に投影され、LCD33によって変調されて映像光束となって透明基板22上部の補正プリズム22aから内部に入射する。透明基板22は全反射プリズムとなって映像光束を全反射し、映像光束は内部で反射しながら透明基板22内のホログラム素子34に導かれ、回析反射されてう瞳に入射する。これによってユーザーはLCD33に展開された映像の虚像を目視することとなる。
ホログラム素子34の上面(瞳側を向いた面)には波長分離フィルターとしてのハーフミラー層35が成膜されている。本実施例ではハーフミラー層35の透過及び反射特性は図5の実線の通りである。ここではハーフミラー層35の特性曲線は緩やかに減少する透過率の高い短波長側の緩調部(傾斜の緩やかに推移する部分)と、ほぼ0%の透過率の長波長側の緩調部と、これらをごく短い波長域で結ぶほとんど直角な急調部から構成されている。急調部は実施例1では520nm付近に存在する。レンズ14がない状態では図5のように520nmから短波長側は可視光が透過することとなる。
【0017】
図6は本実施例のレンズ14の透過特性をホログラム素子34のピークが560nm付近のG光と重ねて示すグラフである。本実施例では520nm以下の波長域をカットしてサングラスレンズを兼用している。そのため、レンズ14は可視光外光の内、青色系がカットされるため、レンズ14を透過して目視される実像は黄味を帯びた色相(色調)となる。ここで、もしRGBの3色でホログラム素子34上にカラーの虚像が投影された場合にはレンズ14の透過特性からB光がカットされるためG光とR光によって黄味を帯びた虚像となってしまい、同じく黄味を帯びたレンズ14の実像との区別がつきにくくなるところであるが、本実施例ではホログラム素子34にはG光のみによって虚像が表示されることとなる。そのため、例えば図7に示すように、ユーザーの視野にはレンズ14を透過する黄味を帯びた実像RLに対してそれよりも小さな領域で緑色の虚像Vが重なって目視されることとなる。
ここで改めて図5の実線のハーフミラー層35の特性と破線のレンズ14の透過特性を重ねた状態を見ると、結局レンズ14(サングラスレンズ)とハーフミラー層35(ホログラム素子34)の両方を透過する可視光は斜線で示すごくわずかな部分であって、ほとんどの可視光は透過していないことが理解できる。
【0018】
このような構成とすることで実施例では次のような効果を奏する。
(1)レンズ14の透過特性とハーフミラー層35の透過特性はほぼ真逆となっており、両者が重なっている部分については外光はほとんど透過することはない。そのため、ホログラム素子34に投影される比較的輝度の低いホログラムの虚像は外光によって見にくくなることはなく、ユーザーは目視可能となる。また、レンズ14のホログラム素子34と重なっていない部分についてはレンズ14の透過性能に基づいて青を除くほぼ長波長側の可視光が外光として目視可能である。
一方、レンズ14を取り外した場合にあっては透明基板22は基本的に外光はそのまま透過し、ホログラム素子34部分のみがハーフミラー層35によって可視光の長波長側がカットされて青みがかって目視されることとなる。
(2)サングラスレンズを兼用したレンズ14を透過型ディスプレイ装置13の透明基板22よりも眼球側に配置した場合には、サングラスレンズの透過特性によってレンズ14を通して目視する実像RLと透明基板22のホログラム素子34に表示される虚像Vとが同系統の色相となってしまう可能性があったが、本実施例ではホログラム素子34に表示される虚像Vを緑色で表示し、背景となるレンズ14を通して目視される黄味を帯びた実像RLとは異なるコントラストとなるため、両者の差異を容易に判別することができる。特に、緑色は人の眼で認識しやすい波長帯であるため判別しやすくなっている。
(3)ホログラム素子34に表示される虚像Vは撮影された画像データからR光とB光をカットするのではなく、G光で投影するようにしているため、映像としての情報が劣化することはない。
【0019】
(実施例2)
実施例2は図8に示すように実施例1においてレンズ14の代わりに主フレーム15の物体側(外側)に着脱可能にサングラスレンズ41を配設したものである。実施例1と同じ構成については詳しい説明を省略する。サングラスレンズ41はフック42によって主フレーム15に対して着脱可能となっており、夜間の外光が少ない状態では取り外して使用するものである。
実施例2のハーフミラー層35は図9の実線ような透過特性を示す。ここではハーフミラー層35の特性曲線はほとんど透過率0%の緩調部と、透過率100%の緩調部とこれらをごく短い波長域で結ぶほとんど直角な急調部から構成されている。急調部は実施例2では530nm付近に存在する。また、実施例2のサングラスレンズ41は図10及び図9の破線のような透過特性を示す。
ここで改めて図9の実線のハーフミラー層35の特性と破線のサングラスレンズ41の透過特性を重ねた状態を見ると、結局サングラスレンズ41とハーフミラー層35(ホログラム素子34)の両方を透過する可視光は斜線で示すごくわずかな部分であって、実施例1と同様ほとんどの可視光は透過していないことが理解できる。サングラスレンズ41がない状態では図9のように530nmから短波長側は可視光が透過することとなる。
【0020】
このような構成とすることで実施例2では次のような効果を奏する。
サングラスレンズ41の透過特性とハーフミラー層35の透過特性はほぼ真逆となっており、両者が重なっている部分については外光はほとんど透過することはない。そのため、ホログラム素子34に投影される比較的輝度の低いホログラムの虚像は外光によって見にくくなることはなく、ユーザーは目視可能となる。また、サングラスレンズ41のホログラム素子34と重なっていない部分についてはサングラスレンズ41の透過性能に基づいて青を除くほぼ長波長側の可視光が外光として目視可能である。
一方、サングラスレンズ41を取り外した場合にあっては透明基板22は基本的に外光はそのまま透過し、ホログラム素子34部分のみがハーフミラー層35によって可視光の長波長側がカットされて青みがかって目視されることとなる。
【0021】
尚、この発明は、次のように変更して具体化することも可能である。
・上記実施例ではハーフミラー層35はホログラム素子34上に形成するようにしたが、ホログラム素子34の存在する領域の透明基板22の表裏いずれか(あるいは両方)の面に形成するようにしてもよい。
・上記実施例1及び実施例2ではフレーム体12に透過型ディスプレイ装置13を搭載し、レンズ14あるいはサングラスレンズ41を着脱可能としたが、要はハーフミラー層とサングラスレンズとが重複配置され、使用状況に応じてサングラスレンズがない状況で使用できればよいわけである。そのため、図11のようにサングラスレンズ43をレンズとした第1の眼鏡44に着脱可能に透過型ディスプレイ装置45を搭載し、夜間にはサングラスレンズではない透明なレンズ46の第2の眼鏡47に搭載するようにすることも可能である。
・G光ではなくR光で虚像Vを表示するようにしてもよい。また、レンズ14の透過特性が代わればB光で虚像Vを表示するようにしてもよい。また、レンズは図5以外の透過特性でももちろん構わない。
・上記実施例ではR光とB光をG光で投影するようにしたが、R光とB光あるいはG光とB光をカットするようにしてもよい。また、R光とB光を制御回路29においてそれらの波長光のピークがG光に変調してもよい。
・映像投影部21の構成は一例であって、上記以外の光学系を設定することも可能である。また、カメラ20の構成も一例であって、上記以外の手段でG光のみによる虚像を表示するようにしてもよい。
・カメラ20は必ずしもフレーム体12に取着されていたが、フレーム体12以外の場所にセットするようにしてもよい。
・上記では視覚補助用のディスプレイユニット11に特化して説明したが、視覚補助用以外の用途で実施することも自由である。
その他本発明の趣旨を逸脱しない態様で実施することは自由である。
【符号の説明】
【0022】
11…視覚補助用のディスプレイユニット、12…フレーム体、14…レンズ(サングラスレンズ)、20…撮影手段としてのカメラ、21…透過型ディスプレイ装置、22…透明基板、34…ホログラム素子、35…波長分離フィルターとしてのハーフミラー層、41…サングラスレンズ。
【技術分野】
【0001】
本発明はカメラで撮影した映像あるいは外部データに基づく画像や映像等を目前に展開させるようにした透過型ディスプレイ装置及び透過型ディスプレイ装置からなるディスプレイユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来からカメラ等で撮影した映像や映画のような外部データに基づく映像等をユーザーの眼球の近傍あるいは網膜に直接映し出す技術が開発されている。
ホログラム技術を利用したディスプレイ装置の一例として特許文献1及び2を示す。またこれらディスプレイ装置の応用の一例として例えば弱視の視覚障害者用に利用することが考えられる。つまり、ユーザーとなる視覚障害者の周囲(特に前方)の景色をカメラで映像化し、ディスプレイ装置によってユーザーの目前にホログラムの虚像として展開させて視覚補助とするものである。一般に残存視覚を有する「弱視」の視覚障害者は大きな光エネルギーが網膜によくないことから、特に昼間には遮光機能を有するレンズ(以下、そのようなレンズをサングラスレンズという)をかけて外光が眼に入るのを制限するようにしている。
ディスプレイ装置を利用した視覚補助用のディスプレイユニットとしては例えば図12のような構成が想定される。
図12は透過型ディスプレイ装置を利用した一例である。透過型ディスプレイ装置101は透明基板102とその上部に配置された映像投影部103を備えている。透過型ディスプレイ装置101では透明基板102を通した実像とホログラムの虚像との両方を重複状態で目視できるため「透過型」と呼ぶ。
透明基板102内に入射された映像光束は透明基板102内のホログラム素子104に導かれ、回析反射されて瞳に入射することとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−85011号公報
【特許文献2】特開2006−98827号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ホログラム素子104に投影される映像の輝度はそれほど大きくないため、夜間の光量が少ない環境下であればともかく、日中の光量が多い状態ではホログラム素子104に投影される投影光の強度よりも外光の強度の方が大きくなってしまい、十分にホログラムの虚像が目視できない状況が生じてしまう。そのため、例えば、図13に示すように透過型ディスプレイ装置101の透明基板102に重複状に(ここでは透明基板102の前方)ホログラムの虚像が目視できる程度に透過率を制限したサングラスレンズ105を配置することが想定される。これによって日中の光量が多い状態でもホログラム素子104の映像が目視できることととなる。
ところが、このサングラスレンズ105は図14(a)のように通常弱視の視覚障害者が通常使用するサングラスレンズよりもかなり可視光の透過率が低く設定されているため図14(b)のようにホログラムの虚像を構成する3原色は見えるようになるものの、弱視の視覚障害者にとってはホログラム素子104の周囲の外景が斜線で示す部分しか透過せず非常に見えにくくなってしまうという問題がある。そのため、サングラスレンズと透過型ディスプレイ装置を併用した場合にホログラムの虚像を十分目視できるとともにホログラム素子の周囲のサングラスレンズを透過する日中の外光が必要以上に抑制されない技術が求められていた。以上はサングラスレンズとディスプレイ装置を併用した場合において視覚障害者用を例に挙げたものであるが、視覚障害者用以外においてもサングラスレンズとディスプレイ装置を併用した場合に同様に生じる問題である。
本発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的は、ホログラムの虚像を十分目視できるとともにホログラム素子の周囲のサングラスレンズを透過する日中の外光が必要以上に抑制されない透過型ディスプレイ装置及びディスプレイユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための請求項1の発明では、少なくとも所定の透過特性を有するサングラスレンズと、同サングラスレンズが直接的又は間接的に配設されユーザーの鼻背及び耳輪基部を支持部分としてセットされるフレーム体とを備える第1の眼鏡と、少なくともサングラスレンズではないレンズと、同レンズが直接的又は間接的に配設されユーザーの鼻背及び耳輪基部を支持部分としてセットされるフレーム体とを備える第2の眼鏡のいずれか一方の眼鏡に搭載される透過型ディスプレイ装置であって、前記フレーム体に搭載した状態で映像データ出力手段から出力される映像データを映像化し、その映像光を内部の反射光学素子に導く前記サングラスレンズ又は前記レンズの前後方向に重複状に配置される透明基板を備え、前記反射光学素子表面あるいは前記透明基板の同反射光学素子に面した領域に波長分離フィルターを配置する一方、前記サングラスレンズの透過特性として所定の第1の波長域の可視光の透過率を特異的に低く設定し、それとは異なる所定の第2の波長域の可視光の透過率を特異的に高く設定するとともに、前記波長分離フィルターの透過特性として前記サングラスレンズの第1の波長域の可視光の透過率を特異的に高く設定し、第2の波長域の可視光の透過率を特異的に低く設定することで前記第1の眼鏡に搭載した状態で可視光の前記サングラスレンズ及び反射光学素子位置の透過を抑制するとともに、前記反射光学素子位置以外における第2の波長域の可視光の前記サングラスレンズの透過を許容し、前記第2の眼鏡に搭載した状態で第1の波長域の可視光の前記反射光学素子位置の透過を許容するようにしたことをその要旨とする。
【0006】
請求項1のような構成では、透過型ディスプレイ装置では映像データ出力手段から出力される映像データに基づいて映像化した映像を反射光学素子に投影して虚像(ホログラムによる映像光)としてユーザーの眼に認識させる。サングラスレンズはその透過特性として所定の第1の波長域の可視光の透過率が特異的に低く設定され、それとは異なる所定の第2の波長域の可視光の透過率が特異的に高く設定されている。ここに反射光学素子とは透明基板内においてユーザーの目の注視方向線に対して交差する面を有する素子で、外界光を透過させるとともに透明基板内で反射されて導かれた映像光が投影される面を有する素子であり、例えばホログラム素子やハーフミラーが挙げられる。
そのため、サングラスレンズを装着するような主として日中の外光が多い状態では第1の眼鏡に透過型ディスプレイ装置を搭載する。この場合には反射光学素子位置では可視光において所定の第1の波長域の可視光も第2の波長域の可視光も透過できずサングラスレンズと反射光学素子位置を透過する外光を極めて制限できるため外光に邪魔されることなく虚像を目視することが可能となる。また、反射光学素子位置以外のサングラスレンズの部分は第2の波長域の可視光が透過するため景色が目視可能となる。
一方、外光が少ない状態では透過型ディスプレイ装置を第2の眼鏡に搭載する。その場合には反射光学素子位置では外光のうち第1の波長域の可視光が透過して目視されることとなる。
ここに、サングラスレンズとしての透過特性として特異的に低く設定された所定の第1の波長域の可視光及び特異的に高く設定された所定の第2の波長域の可視光はある一定の連続した幅の可視光であって、適宜透過率や波長域を変更することが可能である。「特異的」とは隣接した領域に比較して極端に突出した特性であることを意味する。低く設定とは必ずしも0%の透過率でなくともその前後の可視光に対して顕著に透過率が低い場合を広く含むものである。同じく高く設定とは必ずしも100%の透過率でなくともその前後の可視光に対して顕著に透過率が高い場合を広く含むものである。特性曲線は複数のピークを持っていても良く、第1の波長域と第2の波長域とは必ずしもシャープカットに接続されるような特性曲線でなくともよい。また、第1の波長域の可視光及び第2の波長域の可視光はそれぞれ1つだけに限定されるわけではない。
サングラスレンズに所定の透過特性を与えるためには例えば、所定の波長域に対する吸収と透過の特性を示す顔料を含んだ色ガラス等を使用することが一般的であるが、特定の波長を反射させる場合には例えば干渉フィルターを使用することも可能である。干渉フィルターとは、光のスペクトルから特定の波長光だけを選択し透過させるフィルターであって、任意の誘電体薄膜や金属薄膜を所望の透過特性を与えるために任意の順序で積層して構成される多層構造体である。
波長分離フィルターは一部の波長域の可視光を透過し、一部の可視光を透過させずに反射する機能を有する。例えばハーフミラーや色ガラスは波長分離フィルターの一種と考えることができる。波長分離フィルターの透過及び反射特性は適宜変更可能である。波長分離フィルターは任意の誘電体薄膜や金属薄膜を周知の手段、例えば蒸着法あるいはスパッタリング法等の手段で成膜させることができる。尚、レンズには近視や乱視の矯正用の度数が設定されていなくともよい。
【0007】
また、請求項2の発明では、映像データ出力手段と、映像データ出力手段と、前記映像データ出力手段から出力される映像データを映像化し、その映像光を内部の反射光学素子に導く透明基板とを有する透過型ディスプレイ装置と、前記透過型ディスプレイ装置が搭載され、ユーザーの顔の眼球前方位置に前記透明基板を配設させた状態でユーザーの鼻背及び耳輪基部を支持部分としてセットされるフレーム体と、同フレーム体に直接的又は間接的に着脱可能に配設され前記透明基板の前後方向に重複状に配置される所定の透過特性を有する着脱可能なサングラスレンズとを備え、前記反射光学素子表面あるいは前記透明基板の同反射光学素子に面した領域に波長分離フィルターを配置する一方、前記サングラスレンズの透過特性として所定の第1の波長域の可視光の透過率を特異的に低く設定し、それとは異なる所定の第2の波長域の可視光の透過率を特異的に高く設定するとともに、前記波長分離フィルターの透過特性として前記サングラスレンズの第1の波長域の可視光の透過率を特異的に高く設定し、第2の波長域の可視光の透過率を特異的に低く設定することで前記サングラスレンズ装着状態における可視光の前記反射光学素子位置の透過を抑制するとともに、前記反射光学素子位置以外における第2の波長域の可視光の前記サングラスレンズの透過を許容し、前記サングラスレンズの取り外し状態における第1の波長域の可視光の前記反射光学素子位置の透過を許容するようにしたことをその要旨とする。
【0008】
請求項2のような構成では、透過型ディスプレイ装置では映像データ出力手段から出力される映像データに基づいて映像化した映像を反射光学素子に投影して虚像(ホログラムによる映像光)としてユーザーの眼に認識させる。サングラスレンズはその透過特性として所定の第1の波長域の可視光の透過率が特異的に低く設定され、それとは異なる所定の第2の波長域の可視光の透過率が特異的に高く設定されている。そのため、サングラスレンズを装着するような主として日中の外光が多い状態では反射光学素子位置では可視光において所定の第1の波長域の可視光も第2の波長域の可視光も透過できずサングラスレンズと反射光学素子位置を透過する外光を極めて制限できるため外光に邪魔されることなく虚像を目視することが可能となる。また、反射光学素子位置以外のサングラスレンズの部分は第2の波長域の可視光が透過するため景色が目視可能となる。
一方、外光が少ない状態ではサングラスレンズは不要であるため、取り外すことになるが、その場合には反射光学素子位置では外光のうち第1の波長域の可視光が透過して目視されることとなる。サングラスレンズ及び波長分離フィルターの透過特性や構成等は上記と同様である。
【0009】
また、請求項3の発明では請求項2に記載の発明の構成に加え、前記サングラスレンズの特異的に低く設定した所定の第1の波長域の可視光は第2の波長域の可視光に対して短波長側にあることをその要旨とする。これは、一般的にサングラスレンズはエネルギーの大きな短波長側をカットするような特性とすることが多いためである。
また、請求項4の発明では請求項2又は3に記載の発明の構成に加え、前記映像データ出力手段は撮影手段であることをその要旨とする。つまり、上位概念としては実際に撮影した映像データ以外を目視させるような場合も含める意である。撮影手段はフレーム体に併設させることが好ましい。
また、請求項5の発明では請求項2〜4のいずれかに記載の発明の構成に加え、前記透明基板は前記サングラスレンズよりも眼球側に配置されることをその要旨とする。
これによって反射光学素子の周囲についても外光が制限されるため、反射光学素子部分がより目視しやすくなる。
【0010】
また、請求項6の発明では請求項2〜4のいずれかに記載の発明の構成に加え、前記サングラスレンズは前記透明基板よりも眼球側に配置されることをその要旨とする。
また、請求項7の発明では請求項6に記載の発明の構成に加え、前記透過型ディスプレイ装置によって映像化された映像光の発色を前記サングラスレンズの透過可視光の透過特性とは異なる波長光から構成することで外光による実像に対して映像光が異なる色相となるようにしたことをその要旨とする。
これら請求項は特に反射光学素子位置における色がサングラスレンズを透過することによって一部波長がカットされて、サングラスレンズと同色になることによってホログラムの虚像が目視しにくくなるのを防止するための技術である。この時、映像光はサングラスレンズを透過して眼球に達する外光からなる実像とは異なる色相、つまり色が違っているため映像と実像との差異が明確になるためユーザーは映像と実像を混同することなく別の像として認識することができる。例えば、レンズ(つまりサングラスレンズ)において可視光のうち青色のみをカットすると残った波長域の光線によってレンズを透過する外光は黄色となる。この場合には映像光として黄色以外の色を使用することが可能である。
【0011】
また、請求項8の発明では請求項7に記載の発明の構成に加え、前記映像光の色相は前記サングラスレンズの透過可視光の色相とは異なる青、緑色又は赤色のいずれかであることをその要旨とする。
カラー画像はRGBの3原色から合成されるが、このうちの1色のみを使用することで容易に実像との区別のある色相とすることができる。特に、人の最大感度波長は明所視では560nm付近、暗所視では500nm付近であるため、ちょうど緑色に該当する波長域である。そのため、緑色を映像の色として使用することで、映像をより認識しやすくなる。
また、請求項9の発明では請求項8に記載の発明の構成に加え、前記映像光は撮影手段によって撮影した画像をRGBの3原色のいずれかの色の光で投影したもであることをその要旨とする。
また、請求項10の発明では請求項7〜9のいずれかに記載の発明の構成に加え、前記サングラスレンズは視度補正レンズを兼用することをその要旨とする。
【発明の効果】
【0012】
上記各請求項の発明では、サングラスレンズと透過型ディスプレイ装置の透明基板のが重複状態にある場合には外光が透明基板の反射光学素子位置を透過することを制限でき、ホログラムの虚像を十分目視できることとなり、反射光学素子位置から外れたサングラスレンズは一部外光を所望の透過率で透過させることが可能となる。一方、サングラスレンズがない状態での目視では透明基板の反射光学素子位置は外光を一部外光を所望の透過率で透過させることが可能となるため、透明基板に外光が目視できない箇所が発生することがない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施例1の視覚補助用のディスプレイユニットの斜視図。
【図2】同じ視覚補助用のディスプレイユニットの平面図。
【図3】カメラの光学系と電気的構成を説明するブロック図。
【図4】映像投影部の光学的構成を説明する説明図。
【図5】ハーフミラー層の透過特性レンズの透過特性と重ねて示すグラフ。
【図6】レンズの透過特性をホログラム素子のG光と重ねて示すグラフ。
【図7】ユーザーが目視する景色の一例を模式化した説明図。
【図8】本発明の実施例2の視覚補助用のディスプレイユニットの斜視図。
【図9】ハーフミラー層の透過特性レンズの透過特性と重ねて示すグラフ。
【図10】サングラスレンズの透過特性を示すグラフ。
【図11】他の実施例の透過型ディスプレイ装置において第1の眼鏡と第2の眼鏡の両方に選択的に搭載させることを説明する説明図。
【図12】透過型ディスプレイ装置と眼の関係を説明する模式図。
【図13】図12においてサングラスレンズを配した模式図。
【図14】(a)はサングラスレンズの透過率を示すグラフ、(b)はサングラスレンズの透過率とホログラムの画像の光との関係を説明するグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の視覚補助用のディスプレイユニットの実施例について図面に従って説明をする。
(実施例1)
図1及び図2に示すように、視覚補助用のディスプレイユニット(以下、ディスプレイユニット)11はフレーム体12に搭載された透過型ディスプレイ装置13及びサングラスレンズを兼ねた左右一対の視度補正用のレンズ14とより構成されている。フレーム体12は主フレーム15と主フレームの両端に蝶番16によって連結された一対のテンプル17から構成されている。主フレーム15の中央内面にはブラケット18が取着されている。レンズ14はブラケット18に対してレバー19によって固定されており、レバー19の操作によって取り外し可能とされている。
透過型ディスプレイ装置13は撮影手段としてのカメラ20と映像投影部21と透明基板22から構成されている。カメラ20は本実施例では左側の主フレーム15の端寄りに着脱可能に取着されている。映像投影部21は本実施例では右側の透明基板22の上端に取り付けられているが、左側の透明基板22あるいは両側共に取り付けるようにしてもよい。カメラ20と映像投影部21とはケーブル23によって接続されている。尚、本実施例ではカメラ20及び映像投影部21への電源は図示を省略している。
【0015】
図3に示すように、本実施例のカメラ20の光学系はビームスプリッター及びプリズムから構成されるRGB分割光学回路25と、RGB分割光学回路25の後方に配置されたRGBの各光に応じて配置された3つの集光レンズ26及び撮像菅27を備えている。撮像菅27はアンプ28及び制御回路29に接続されている。撮影された映像はRGB分割光学回路25においてRGBの3原色に分割されてそれぞれ撮像菅27に導かれて信号化される。そして各撮像菅27で信号化されたRGBの映像はそれぞれアンプ28及び制御回路29によって処理され所定の信号方式に乗っ取って映像投影部21に出力されることとなる。
但し、本実施例ではR光とB光は制御回路29においてそれらの波長光のピークがG光のピークである560nmとなるように変調されることとなっている。つまり、R光とB光は映像としての情報はそのままに色相のみ緑色に変調されることとなる。尚、ピークの位置は適宜変更可能である。
【0016】
図4に示すように、本実施例の映像投影部21は筐体30に収容された発光ダイオード(LED)31と、集光レンズ32と液晶表示素子(LCD)33から構成されている。本実施例ではLED31はすべて緑色を発光する緑色発光ダイオードとされている。従って、上記RGBの3原色に分割された映像データは緑色で投影されることとなる。カメラ20からケーブル23を介して出力された画像データは映像投影部21においてLED31から集光レンズ32方向に投影され、LCD33によって変調されて映像光束となって透明基板22上部の補正プリズム22aから内部に入射する。透明基板22は全反射プリズムとなって映像光束を全反射し、映像光束は内部で反射しながら透明基板22内のホログラム素子34に導かれ、回析反射されてう瞳に入射する。これによってユーザーはLCD33に展開された映像の虚像を目視することとなる。
ホログラム素子34の上面(瞳側を向いた面)には波長分離フィルターとしてのハーフミラー層35が成膜されている。本実施例ではハーフミラー層35の透過及び反射特性は図5の実線の通りである。ここではハーフミラー層35の特性曲線は緩やかに減少する透過率の高い短波長側の緩調部(傾斜の緩やかに推移する部分)と、ほぼ0%の透過率の長波長側の緩調部と、これらをごく短い波長域で結ぶほとんど直角な急調部から構成されている。急調部は実施例1では520nm付近に存在する。レンズ14がない状態では図5のように520nmから短波長側は可視光が透過することとなる。
【0017】
図6は本実施例のレンズ14の透過特性をホログラム素子34のピークが560nm付近のG光と重ねて示すグラフである。本実施例では520nm以下の波長域をカットしてサングラスレンズを兼用している。そのため、レンズ14は可視光外光の内、青色系がカットされるため、レンズ14を透過して目視される実像は黄味を帯びた色相(色調)となる。ここで、もしRGBの3色でホログラム素子34上にカラーの虚像が投影された場合にはレンズ14の透過特性からB光がカットされるためG光とR光によって黄味を帯びた虚像となってしまい、同じく黄味を帯びたレンズ14の実像との区別がつきにくくなるところであるが、本実施例ではホログラム素子34にはG光のみによって虚像が表示されることとなる。そのため、例えば図7に示すように、ユーザーの視野にはレンズ14を透過する黄味を帯びた実像RLに対してそれよりも小さな領域で緑色の虚像Vが重なって目視されることとなる。
ここで改めて図5の実線のハーフミラー層35の特性と破線のレンズ14の透過特性を重ねた状態を見ると、結局レンズ14(サングラスレンズ)とハーフミラー層35(ホログラム素子34)の両方を透過する可視光は斜線で示すごくわずかな部分であって、ほとんどの可視光は透過していないことが理解できる。
【0018】
このような構成とすることで実施例では次のような効果を奏する。
(1)レンズ14の透過特性とハーフミラー層35の透過特性はほぼ真逆となっており、両者が重なっている部分については外光はほとんど透過することはない。そのため、ホログラム素子34に投影される比較的輝度の低いホログラムの虚像は外光によって見にくくなることはなく、ユーザーは目視可能となる。また、レンズ14のホログラム素子34と重なっていない部分についてはレンズ14の透過性能に基づいて青を除くほぼ長波長側の可視光が外光として目視可能である。
一方、レンズ14を取り外した場合にあっては透明基板22は基本的に外光はそのまま透過し、ホログラム素子34部分のみがハーフミラー層35によって可視光の長波長側がカットされて青みがかって目視されることとなる。
(2)サングラスレンズを兼用したレンズ14を透過型ディスプレイ装置13の透明基板22よりも眼球側に配置した場合には、サングラスレンズの透過特性によってレンズ14を通して目視する実像RLと透明基板22のホログラム素子34に表示される虚像Vとが同系統の色相となってしまう可能性があったが、本実施例ではホログラム素子34に表示される虚像Vを緑色で表示し、背景となるレンズ14を通して目視される黄味を帯びた実像RLとは異なるコントラストとなるため、両者の差異を容易に判別することができる。特に、緑色は人の眼で認識しやすい波長帯であるため判別しやすくなっている。
(3)ホログラム素子34に表示される虚像Vは撮影された画像データからR光とB光をカットするのではなく、G光で投影するようにしているため、映像としての情報が劣化することはない。
【0019】
(実施例2)
実施例2は図8に示すように実施例1においてレンズ14の代わりに主フレーム15の物体側(外側)に着脱可能にサングラスレンズ41を配設したものである。実施例1と同じ構成については詳しい説明を省略する。サングラスレンズ41はフック42によって主フレーム15に対して着脱可能となっており、夜間の外光が少ない状態では取り外して使用するものである。
実施例2のハーフミラー層35は図9の実線ような透過特性を示す。ここではハーフミラー層35の特性曲線はほとんど透過率0%の緩調部と、透過率100%の緩調部とこれらをごく短い波長域で結ぶほとんど直角な急調部から構成されている。急調部は実施例2では530nm付近に存在する。また、実施例2のサングラスレンズ41は図10及び図9の破線のような透過特性を示す。
ここで改めて図9の実線のハーフミラー層35の特性と破線のサングラスレンズ41の透過特性を重ねた状態を見ると、結局サングラスレンズ41とハーフミラー層35(ホログラム素子34)の両方を透過する可視光は斜線で示すごくわずかな部分であって、実施例1と同様ほとんどの可視光は透過していないことが理解できる。サングラスレンズ41がない状態では図9のように530nmから短波長側は可視光が透過することとなる。
【0020】
このような構成とすることで実施例2では次のような効果を奏する。
サングラスレンズ41の透過特性とハーフミラー層35の透過特性はほぼ真逆となっており、両者が重なっている部分については外光はほとんど透過することはない。そのため、ホログラム素子34に投影される比較的輝度の低いホログラムの虚像は外光によって見にくくなることはなく、ユーザーは目視可能となる。また、サングラスレンズ41のホログラム素子34と重なっていない部分についてはサングラスレンズ41の透過性能に基づいて青を除くほぼ長波長側の可視光が外光として目視可能である。
一方、サングラスレンズ41を取り外した場合にあっては透明基板22は基本的に外光はそのまま透過し、ホログラム素子34部分のみがハーフミラー層35によって可視光の長波長側がカットされて青みがかって目視されることとなる。
【0021】
尚、この発明は、次のように変更して具体化することも可能である。
・上記実施例ではハーフミラー層35はホログラム素子34上に形成するようにしたが、ホログラム素子34の存在する領域の透明基板22の表裏いずれか(あるいは両方)の面に形成するようにしてもよい。
・上記実施例1及び実施例2ではフレーム体12に透過型ディスプレイ装置13を搭載し、レンズ14あるいはサングラスレンズ41を着脱可能としたが、要はハーフミラー層とサングラスレンズとが重複配置され、使用状況に応じてサングラスレンズがない状況で使用できればよいわけである。そのため、図11のようにサングラスレンズ43をレンズとした第1の眼鏡44に着脱可能に透過型ディスプレイ装置45を搭載し、夜間にはサングラスレンズではない透明なレンズ46の第2の眼鏡47に搭載するようにすることも可能である。
・G光ではなくR光で虚像Vを表示するようにしてもよい。また、レンズ14の透過特性が代わればB光で虚像Vを表示するようにしてもよい。また、レンズは図5以外の透過特性でももちろん構わない。
・上記実施例ではR光とB光をG光で投影するようにしたが、R光とB光あるいはG光とB光をカットするようにしてもよい。また、R光とB光を制御回路29においてそれらの波長光のピークがG光に変調してもよい。
・映像投影部21の構成は一例であって、上記以外の光学系を設定することも可能である。また、カメラ20の構成も一例であって、上記以外の手段でG光のみによる虚像を表示するようにしてもよい。
・カメラ20は必ずしもフレーム体12に取着されていたが、フレーム体12以外の場所にセットするようにしてもよい。
・上記では視覚補助用のディスプレイユニット11に特化して説明したが、視覚補助用以外の用途で実施することも自由である。
その他本発明の趣旨を逸脱しない態様で実施することは自由である。
【符号の説明】
【0022】
11…視覚補助用のディスプレイユニット、12…フレーム体、14…レンズ(サングラスレンズ)、20…撮影手段としてのカメラ、21…透過型ディスプレイ装置、22…透明基板、34…ホログラム素子、35…波長分離フィルターとしてのハーフミラー層、41…サングラスレンズ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも所定の透過特性を有するサングラスレンズと、同サングラスレンズが直接的又は間接的に配設されユーザーの鼻背及び耳輪基部を支持部分としてセットされるフレーム体とを備える第1の眼鏡と、少なくともサングラスレンズではないレンズと、同レンズが直接的又は間接的に配設されユーザーの鼻背及び耳輪基部を支持部分としてセットされるフレーム体とを備える第2の眼鏡のいずれか一方の眼鏡に搭載される透過型ディスプレイ装置であって、
前記フレーム体に搭載した状態で映像データ出力手段から出力される映像データを映像化し、その映像光を内部の反射光学素子に導く前記サングラスレンズ又は前記レンズの前後方向に重複状に配置される透明基板を備え、
前記反射光学素子表面あるいは前記透明基板の同反射光学素子に面した領域に波長分離フィルターを配置する一方、前記サングラスレンズの透過特性として所定の第1の波長域の可視光の透過率を特異的に低く設定し、それとは異なる所定の第2の波長域の可視光の透過率を特異的に高く設定するとともに、前記波長分離フィルターの透過特性として前記サングラスレンズの第1の波長域の可視光の透過率を特異的に高く設定し、第2の波長域の可視光の透過率を特異的に低く設定することで前記第1の眼鏡に搭載した状態で可視光の前記サングラスレンズ及び反射光学素子位置の透過を抑制するとともに、前記反射光学素子位置以外における第2の波長域の可視光の前記サングラスレンズの透過を許容し、前記第2の眼鏡に搭載した状態で第1の波長域の可視光の前記反射光学素子位置の透過を許容するようにしたことを特徴とする透過型ディスプレイ装置。
【請求項2】
映像データ出力手段と、
前記映像データ出力手段から出力される映像データを映像化し、その映像光を内部の反射光学素子に導く透明基板とを有する透過型ディスプレイ装置と、
前記透過型ディスプレイ装置が搭載され、ユーザーの顔の眼球前方位置に前記透明基板を配設させた状態でユーザーの鼻背及び耳輪基部を支持部分としてセットされるフレーム体と、
同フレーム体に直接的又は間接的に着脱可能に配設され前記透明基板の前後方向に重複状に配置される所定の透過特性を有する着脱可能なサングラスレンズとを備え、
前記反射光学素子表面あるいは前記透明基板の同反射光学素子に面した領域に波長分離フィルターを配置する一方、前記サングラスレンズの透過特性として所定の第1の波長域の可視光の透過率を特異的に低く設定し、それとは異なる所定の第2の波長域の可視光の透過率を特異的に高く設定するとともに、前記波長分離フィルターの透過特性として前記サングラスレンズの第1の波長域の可視光の透過率を特異的に高く設定し、第2の波長域の可視光の透過率を特異的に低く設定することで前記サングラスレンズ装着状態における可視光の前記反射光学素子位置の透過を抑制するとともに、前記反射光学素子位置以外における第2の波長域の可視光の前記サングラスレンズの透過を許容し、前記サングラスレンズの取り外し状態における第1の波長域の可視光の前記反射光学素子位置の透過を許容するようにしたことを特徴とするディスプレイユニット。
【請求項3】
前記サングラスレンズの特異的に低く設定した所定の第1の波長域の可視光は第2の波長域の可視光に対して短波長側にあることを特徴とする請求項2に記載のディスプレイユニット。
【請求項4】
前記映像データ出力手段は撮影手段であることを特徴とする請求項2又は3に記載のディスプレイユニット。
【請求項5】
前記透明基板は前記サングラスレンズよりも眼球側に配置されることを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載のディスプレイユニット。
【請求項6】
前記サングラスレンズは前記透明基板よりも眼球側に配置されることを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載のディスプレイユニット。
【請求項7】
前記透過型ディスプレイ装置によって映像化された映像光の発色を前記サングラスレンズの透過可視光の透過特性とは異なる波長光から構成することで外光による実像に対して映像光が異なる色相となるようにしたことを特徴とする請求項6に記載のディスプレイユニット。
【請求項8】
前記映像光の色相は前記サングラスレンズの透過可視光の色相とは異なる青、緑色又は赤色のいずれかであることを特徴とする請求項7に記載のディスプレイユニット。
【請求項9】
前記映像光は撮影手段によって撮影した画像をRGBの3原色のいずれかの色の光で投影したものであることを特徴とする請求項8に記載のディスプレイユニット。
【請求項10】
前記サングラスレンズは視度補正レンズを兼用することを特徴とする請求項7〜9のいずれかに記載のディスプレイユニット。
【請求項1】
少なくとも所定の透過特性を有するサングラスレンズと、同サングラスレンズが直接的又は間接的に配設されユーザーの鼻背及び耳輪基部を支持部分としてセットされるフレーム体とを備える第1の眼鏡と、少なくともサングラスレンズではないレンズと、同レンズが直接的又は間接的に配設されユーザーの鼻背及び耳輪基部を支持部分としてセットされるフレーム体とを備える第2の眼鏡のいずれか一方の眼鏡に搭載される透過型ディスプレイ装置であって、
前記フレーム体に搭載した状態で映像データ出力手段から出力される映像データを映像化し、その映像光を内部の反射光学素子に導く前記サングラスレンズ又は前記レンズの前後方向に重複状に配置される透明基板を備え、
前記反射光学素子表面あるいは前記透明基板の同反射光学素子に面した領域に波長分離フィルターを配置する一方、前記サングラスレンズの透過特性として所定の第1の波長域の可視光の透過率を特異的に低く設定し、それとは異なる所定の第2の波長域の可視光の透過率を特異的に高く設定するとともに、前記波長分離フィルターの透過特性として前記サングラスレンズの第1の波長域の可視光の透過率を特異的に高く設定し、第2の波長域の可視光の透過率を特異的に低く設定することで前記第1の眼鏡に搭載した状態で可視光の前記サングラスレンズ及び反射光学素子位置の透過を抑制するとともに、前記反射光学素子位置以外における第2の波長域の可視光の前記サングラスレンズの透過を許容し、前記第2の眼鏡に搭載した状態で第1の波長域の可視光の前記反射光学素子位置の透過を許容するようにしたことを特徴とする透過型ディスプレイ装置。
【請求項2】
映像データ出力手段と、
前記映像データ出力手段から出力される映像データを映像化し、その映像光を内部の反射光学素子に導く透明基板とを有する透過型ディスプレイ装置と、
前記透過型ディスプレイ装置が搭載され、ユーザーの顔の眼球前方位置に前記透明基板を配設させた状態でユーザーの鼻背及び耳輪基部を支持部分としてセットされるフレーム体と、
同フレーム体に直接的又は間接的に着脱可能に配設され前記透明基板の前後方向に重複状に配置される所定の透過特性を有する着脱可能なサングラスレンズとを備え、
前記反射光学素子表面あるいは前記透明基板の同反射光学素子に面した領域に波長分離フィルターを配置する一方、前記サングラスレンズの透過特性として所定の第1の波長域の可視光の透過率を特異的に低く設定し、それとは異なる所定の第2の波長域の可視光の透過率を特異的に高く設定するとともに、前記波長分離フィルターの透過特性として前記サングラスレンズの第1の波長域の可視光の透過率を特異的に高く設定し、第2の波長域の可視光の透過率を特異的に低く設定することで前記サングラスレンズ装着状態における可視光の前記反射光学素子位置の透過を抑制するとともに、前記反射光学素子位置以外における第2の波長域の可視光の前記サングラスレンズの透過を許容し、前記サングラスレンズの取り外し状態における第1の波長域の可視光の前記反射光学素子位置の透過を許容するようにしたことを特徴とするディスプレイユニット。
【請求項3】
前記サングラスレンズの特異的に低く設定した所定の第1の波長域の可視光は第2の波長域の可視光に対して短波長側にあることを特徴とする請求項2に記載のディスプレイユニット。
【請求項4】
前記映像データ出力手段は撮影手段であることを特徴とする請求項2又は3に記載のディスプレイユニット。
【請求項5】
前記透明基板は前記サングラスレンズよりも眼球側に配置されることを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載のディスプレイユニット。
【請求項6】
前記サングラスレンズは前記透明基板よりも眼球側に配置されることを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載のディスプレイユニット。
【請求項7】
前記透過型ディスプレイ装置によって映像化された映像光の発色を前記サングラスレンズの透過可視光の透過特性とは異なる波長光から構成することで外光による実像に対して映像光が異なる色相となるようにしたことを特徴とする請求項6に記載のディスプレイユニット。
【請求項8】
前記映像光の色相は前記サングラスレンズの透過可視光の色相とは異なる青、緑色又は赤色のいずれかであることを特徴とする請求項7に記載のディスプレイユニット。
【請求項9】
前記映像光は撮影手段によって撮影した画像をRGBの3原色のいずれかの色の光で投影したものであることを特徴とする請求項8に記載のディスプレイユニット。
【請求項10】
前記サングラスレンズは視度補正レンズを兼用することを特徴とする請求項7〜9のいずれかに記載のディスプレイユニット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2010−256657(P2010−256657A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−107378(P2009−107378)
【出願日】平成21年4月27日(2009.4.27)
【出願人】(000219738)東海光学株式会社 (112)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年4月27日(2009.4.27)
【出願人】(000219738)東海光学株式会社 (112)
【Fターム(参考)】
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