説明

通信の宛先変更および処理を用いて提供される高度なサービス

通信処理が開示されている。要求元の通信参加者からの、通信の確立を求める第1の要求が宛先変更ノードで受信される。要求に関係する着信側通信参加者が特定される。要求元の通信参加者、宛先変更ノードおよび着信側通信参加者を参加者とする通信セッションが確立されるが、これに際し、着信側通信参加者と対応付けられた機器に、通信を確立することを求める第2の要求を送ることが含まれる。通信セッションを確立および提供するために使用されるサービスプロバイダネットワークと対応付けられた通信サービスプロバイダによる通信セッションには与えられていない通信セッション処理機能が、要求元の通信参加者および着信側通信参加者の少なくとも一方に利用可能となる。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
従来、通信処理は通信接続業者によって提供される処理機能に限られていた。通常、着信転送などの機能は、通信接続業者が保守するコール処理システムを利用するために通信接続業者とサービス契約を結ぶ必要がある。通信処理は通信デバイスおよび/またはユーザエンティティの制御を上回るインフラストラクチャを使用する必要があるため、ユーザエンティティが新たなコール処理機能を実行したり、既存のサービスおよびコール処理機能を設定または変更することは困難である。例えばPBX(構内交換)システムなどの私設通信システムを実行する試行が行なわれてきたが、そのような私設通信システムは、一般に、物理的ローカルエリアの範囲外に処理機能を及ぼす能力を有しない。また、これまでのシステムは多くの望ましい処理機能を利用できなかった。したがって、通信処理を実行および制御する新たな手段を通信ユーザエンティティに与える必要があることが望まれている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0002】
以下の詳細な説明および添付図面に本発明の種々の実施形態を開示する。
【0003】
本発明は、プロセス、装置、システム、組成物、コンピュータ読取可能媒体などのコンピュータ読取可能な記憶媒体、または光もしくは電子通信リンクを介してプログラム命令を送るコンピュータネットワークを含む多くの手段で実施可能である。本願明細書では、これらを実施すること、または本発明が取りうるいずれかの他の形態のことを「技術」と呼ぶ場合がある。タスクを実行するように設定されたプロセッサまたはメモリなどの構成要素は、任意の時点にそのタスクを実行するように仮構成された汎用構成要素と、そのタスクを実行するように製造された特定構成要素との両方を含む。開示されているプロセスのステップの順序は、一般に本発明の範囲内で変更可能である。
【0004】
本発明の1つまたはそれより多い実施形態の詳細な説明を、本発明の原理を示す添付図とともに、以下に記載する。そのような実施形態に絡めて本発明の説明を行なうが、本発明はいずれかの実施形態に限定されるものではない。本発明の範囲は請求項によってのみ限定されるものであり、本発明は数多くの変形例、変更例、均等の範囲を含む。以下の説明では、本発明を完全に理解させるために、数多くの具体的な細目を記載する。これらの細目は例として記載されるものであり、本発明は、これらの具体的細目の一部または全部なしで請求項にしたがって実施できる。分かりやすくするために、本発明が不必要に不明瞭にならないようにするため、本発明に関連する技術分野で周知の技術項目については詳述していない。
【0005】
通信処理について明らかにする。実施形態によっては、コールステーションと対応付けられたコールの全部または一部が監視および/または宛先変更(redirect)される。コールステーションとは、コールの宛先変更をするおよび/またはコールに他の処理を施すことに関係するユーザ、システムおよび/またはデバイスなどのことである。例えば、実施形態によっては、コールステーションから、対象の着信側コール参加者(すなわち、いずれかの通信ユーザ、システムまたはデバイス)へのすべてのコールがコール宛先変更・処理システムへ送られる。コールを受信すると、コール宛先変更・処理システムは、設定された転送番号の着信側コール参加者を呼び出し、受信コールと着信側コール参加者へのコールをコンファレンス(conference)する。通話中に送受信された情報の少なくとも一部に基づいて別の処理が実施されることもある。実施可能であるのは、着信転送、通話中着信、会議通話、仮想オフィスマッピング、呼出番号再マッピング、音声コマンド処理、コールアーカイブ、コール監視、コンプライアンス処理、およびいずれか他のコール処理をはじめとする、1つまたはそれより多い通信処理である。コンプライアンス処理およびコール宛先変更については、2005年6月30日に出願された、名称を「TELEPHONIC REDIRECTION AND COMPLIANCE PROCESSING」とする米国特許出願第11/174288号明細書(代理人整理番号第LEGAP063号)に詳述されており、その内容を本願明細書に引用したものとする。
【0006】
図1は、PBX環境における通信宛先変更・処理システムの実施形態を示すブロック図である。コールステーション106、コールステーション108および宛先変更・処理システム110がPBX104に接続されている。コールステーションは任意個数とすることができる。外部コール参加者112、移動コールステーション114およびPBX104は外部ネットワーク102に接続されている。外部コール参加者および移動コールステーションは任意個数とすることができる。外部ネットワーク102は、直接または間接の物理的通信接続、移動通信ネットワーク、公衆交換電話網、PBX電話ネットワーク、ボイスオーバIPネットワーク、インターネット、イントラネット、LAN、WANおよび2つ以上のシステムを互いに接続するいずれか他の形態のうち、1つ以上を含むことができる。PBXは、PBXに接続された任意のデバイス間でコールをルーティングし、また、外部ネットワーク102との間でコールをルーティングする。
【0007】
コールステーション106、108、114は、宛先変更・処理システム110と関係付けられている。移動コールステーション114はPBX104に直接接続されないあらゆる関係コールステーションを含み、例えば、携帯電話、遠隔定位置にある電話、コンピュータ、ページャ、携帯情報端末、および/または、電話系データを送受信できるいずれかのデバイスなどである。宛先変更・処理システム110は、この関連コールステーションへのコールおよびこの関連コールステーションからのコールを転送および/または処理する。例えば、関連コールステーションのうちの1つへのコールおよび関連コールステーションのうちの1つからのコールはシステム110で受信される。システム110は、受信コールの対象の着信側への新たなコールを終了し、受信コールとこの新コールをコンファレンスする。システム110は転送ポイントとして働くので、システム110は通話中に送受信される情報を監視できる。この通話中に送受信された情報の少なくとも一部に基づいて種々の処理を実施できる。
【0008】
外部コール参加者112は、コールステーションと通信できる1つ以上の通信参加者のうちの1つである。外部コール参加者112はシステム110と直接関係がないのでシステム110の外部におり、すなわち、システム110と関係がないコール参加者との通信中、外部通信参加者はシステム110の転送および処理機能を利用できない場合がある。実施形態によっては、外部コール参加者112が関係コールステーションと通信しているとき、コール参加者112は転送および/または処理システムの機能のうちの少なくとも一部を利用できる。
【0009】
実施形態によっては、宛先変更・処理システムはPBXに接続されない。実施形態によっては、PBXの支援なしで宛先変更が実行される。別の転送および経路選択デバイスが宛先変更・処理システムと関連付けられてもよいし、この宛先変更・処理システムに完全な転送および経路選択機能が備わっていてもよい。実施形態によっては、宛先変更・処理システムは外部ネットワークと直接接続される。
【0010】
図2は、受信されたコールを転送するプロセスの実施形態を示すフローチャートである。このプロセスは、例えば図1のシステム110などの宛先変更・処理システム上で実施できる。202で、コールを受信する。コールは、外部コール参加者またはコールステーションなど、あらゆるコール参加者から受信できる。コールは、宛先変更・処理システムに受信される前に、例えばPBXなどの他のシステムに受信されてもよい。204で、コール着信側がコールステーションに対してマッピングされる。実施形態によっては、コールステーションへのマッピングは、着信側呼出番号を確定することおよび呼出番号をコールステーションへマッピングすることを含む。例えば、コール参加者は呼出番号をダイヤルしてコールステーションへ達する。呼出番号は、電話番号、内線番号、IPアドレス、または任意の数字、英字もしくは英数字による識別子とすることができる。コールは、着信側コールステーションと対応付けられた回線上の宛先変更・処理システムに受信される。受信されたコールは、この回線と対応付けられた着信側コールステーションへマッピングされる。206で、コールステーションが不在か否か判断する。この判断は、予め設定されているかまたは直接設定される不在時インジケータを少なくとも部分的に使用することによって行なうことができる。コールステーションに対応付けられたユーザが着信側コールステーションに到達できないかもしれない場合、この不在時呼出番号がユーザ到達可能な呼出番号に対応する。ユーザとは、通話中に情報通信可能な人であってもデバイスであってもよい。実施形態によっては、不在時番号は、着信側コールステーションと対応付けられたユーザが着信側コールステーションへ到達不可能な場合に着信側コールステーション宛のコールを転送する、予め設定された番号であってもよい。実施形態によっては、不在時番号は、例えば、ユーザと対応付けられた着信側コールステーションへの電話を転送すべき番号をユーザが提供することなどによって設定される。不在時番号は任意個数とすることができる。例えば、着信側コールステーションと対応付けられたユーザがコールステーションから遠く離れている場合、ユーザは宛先変更・処理システムに対して、ユーザが特定の不在時番号に到達できることを通知する。特定番号は任意の適当な番号とすることができる。実施形態によっては、予め設定されたユーザ関係の不在時番号リストから選択することができる。206で、着信側コールステーションが不在であると判断された場合、208で、受信コールは不在時呼出番号に接続される。コールステーションが不在であると判断されなかった場合、コールは、着信側コールステーションと直接対応付けられた着信側コールステーション回線の呼出番号に接続される。
【0011】
実施形態によっては、受信コールの接続は、該当する場合に不在時呼出番号または着信側コールステーションに新たに電話をかけること、および、受信コールと新コールをコンファレンス(conference)すること、を含む。実施形態によっては、受信コールの接続は、本願明細書に記載されているようなコールの宛先変更・処理に直接関与しないシステム、例えばPBXシステムによって少なくとも部分的に取り扱われる。通話中に転送される情報を監視しやすくするために、実施形態によっては、受信コールをコンファレンスとして接続することが用いられる。実施形態によっては、受信コールを着信側に接続した後、必ずしもコールを監視しない。実施形態によっては、着信側コールステーション番号へのコールがユーザに受信されない場合に、このコールステーションと対応付けられた1つまたはそれより多い不在時呼出番号へコールを転送する。例えば、着信側コールステーションへのコールをユーザが受信しない場合、ユーザがコールを受信するまで、ユーザと対応付けられた不在時呼出番号への新コールが連続的に行なわれる。ユーザが、ユーザと対応付けられたいずれの番号でも応答しない場合、コールを音声メールシステムに接続してもよい。実施形態によっては、受信コールは、いずれの接続を試みることなく音声メールに接続される。実施形態によっては、コール参加者に通信宛先変更が分からないように発信者IDデータが変更される。
【0012】
図3は、コール開始を取り扱うプロセスの実施形態を示すフローチャートである。このプロセスは図1のPBX104上で実施できる。302で、コールステーションからコール開始データを受信する。コール開始データは、フックオン/オフデータ、フックフラッシュデータ、DTMF(デュアルトーンマルチフリーケンシ)データ、通信ハンドシェークデータ、バイナリデータ、音声データ、およびコールステーションがコールを確立したいことを示すために使用されるいずれかのデータ、のうちの1つ以上を含むことができる。304で、コール開始者を宛先変更システムに接続する。接続はコールまたはいずれかの通信接続を介して確立されてもよい。306で、コールの所望着信先と対応付けられた呼出番号を宛先変更システムに渡す。呼出番号は、回転ダイヤルによるパルス、DTMFおよびバイナリデータをはじめとする、データ符号化の1つまたは組合せとして渡すことができる。実施形態によっては、306で、宛先変更プロンプトが、コール開始者に対し、所望着信先と対応付けられた呼出番号を入力するように要求する。このプロンプトは、音声プロンプト、UI(ユーザインタフェース)プロンプト、通信ハンドシェークプロンプト、または、宛先変更システムが着信側呼出番号を受信することの準備が整ったことをコール開始者に知らせるいずれか他の形態とすることができる。
【0013】
図4は、着信側呼出番号へのコールを確立するプロセスの実施形態を示すフローチャートである。このプロセスは、図1のコールステーション106、108または114と対応付けられたデバイスで実施される。402で、着信側呼出番号を受信する。実施形態によっては、着信側番号はコールステーションに対応付けられたユーザから受信される。404で、宛先変更システムへの接続を確立する。実施形態によっては、宛先変更システムに対し、宛先変更システムと対応付けられた呼出番号へコールが行なわれる。406で、受信された着信側番号を宛先変更システムへ渡す。408で、渡された呼出番号に対応付けられたコール着信側が接続にコンファレンスされるのを待機する。着信側がコンファレンスされると、着信側呼出番号へのコール開始者のコールが確立される。宛先変更・処理システムはコール内の転送情報を監視できるので、通信の少なくとも一部分に対して処理を実行できる。実施形態によっては、図4のプロセスを実行するように設定された機器がコールの開始に使用される場合、例えば、呼出機器と宛先変更システムとの間のコールのルーティングにPBXを使用する実施形態では、PBXはコールを通常通り、宛先変更・処理システムに対応付けられたダイヤルされた(または他の方法で入力された)識別子を用いて、PBXと対応付けられた回線にコールを接続するだけなので、本願明細書に記載されるコールの宛先変更・処理を、この機器が対応付けられたPBXの動作を何ら変更する必要なく実施できる。
【0014】
実施形態によっては、宛先変更・処理システムは、電話またはコールを開始するために使用される他の機器を少なくとも一部として含む。
【0015】
図5は、コール情報を監視および処理するプロセスの実施形態を示すフローチャートである。このプロセスは、例えば図1の宛先変更・処理システム110で実施できる。502で、対象着信側へのコールを割り込ませる。受信コールは、コールステーションに入ってくる、またはコールステーション出て行く、割り込みコール要求であってもよい。コールの割り込みは、コールステーションからのコールを受信すること、または、コールステーション向けのコールを受信することを含む。504で、受信コールと対応付けられた対象の受信側を割込コールとコンファレンスする。コールのコンファレンスは、対象の着信側への新たなコールを確立し、コール開始者と対象の着信側との間の通信を可能とすることを含む。対象の着信側は、コールの割込に対応して受信される着信側呼出番号から確定されてもよいし、割込コールに対応付けられた通信回線から確定されてもよい。506で、話中に転送されるコール情報を監視および処理する。話中に転送される情報は、音声データ(通話内容、声の音調/特徴/アクセント/性別)、背景のコールノイズ、いずれかの可聴データ、いずれかのバイナリデータ、デバイスまたはコール参加者に関係のあるデータ、通信サービスプロバイダに関係のあるデータ、ルーティングデバイスに関係のあるデータ、および/または、宛先変更・処理システムに対応付けられた他のデバイスと関係のあるデータなどとすることができる。実施形態によっては、コール情報の監視および処理は任意に行なわれる。
【0016】
実施形態によっては、通話中着信処理が実行される。当初の通信セッション中、新たな発信者から当初の通信参加者の少なくとも1つへのコール要求は、宛先変更ノードで受信される。宛先変更ノードは、新たな発呼者からの別の通信要求を受信したことを、着信側通信参加者に通知する。要求を受けた通信参加者は、この要求を無視してもよいし、宛先変更ノードに対して、当初の通信を保留にして、新たな発呼者との通信を確立するように指示してもよい。宛先変更ノードに対する指示を行なうために、音声コマンド、ユーザコマンド、キーコマンド、UIコマンド、DTMFコマンド、フックオン/オフコマンド、および/または、フックフラッシュコマンドをはじめとする、どのような指示も使用することができる。実施形態によっては、新コール要求が無視された場合、この新コールの要求者が音声メールに接続される。実施形態によっては、新コール要求を無視するようにとの指示が宛先変更ノードに送られる。実施形態によっては、当初の通信を保留中にすることは、当初の通信参加者間の音声通信ができないようにすることを含む。実施形態によっては、2つ以上の当初の通信参加者および新たな発呼者との間の会議通話が確立される。
【0017】
図6は、要求された動作を話中に実施するプロセスの実施形態を示すフローチャートである。このプロセスは、例えば図1の宛先変更・処理システム110で実施できる。実施形態によっては、図5の506で、コール情報の監視および処理が図6のプロセスを含む。602で、コマンドデータについて通信情報を監視する。種々の実施形態において、コマンドデータは、音声コマンド、ユーザコマンド、キーコマンド、UIコマンド、DTMFコマンド、オン/オフフックコマンド、フックフラッシュコマンド、または処理動作と対応付けられた任意の識別子、のうちの1つ以上を含む。例えば、着信転送、会議通話、仮想オフィスマッピング、呼出番号再マッピング、コールアーカイブ、コール監視、コンプライアンス処理、ディレクトリ支援検索、他のデータ検索およびいずれか他のコール処理などの処理は、コマンドデータの呼出しによって、起動、変更、設定または停止できる。604で、コマンドが検出されない場合、602で、コール情報を監視する。604で、コマンドデータが検出された場合、606で、コマンドデータを処理動作にマッピングする。実施形態によっては、コマンドデータが通信されるという指示は、コマンドデータが通信される前に通信される。608で、マッピングされた処理動作を実行し、602で、コマンドデータについてコール情報を監視する。実施形態によっては、図6のプロセスは、話中に参加している監視対象のコールステーションと関係のある企業またはサードパーティベンダによって操作および/または制御されるコール宛先変更・処理システム上で実施される。これにより、電話または他の通信サービスプロバイダからの特別な機器、処理、サービスも必要とせず、また、敷設されている電話または通信サービスプロバイダのネットワークのなんらかの変更も必要とせずに、上述のプロセス機能をはじめとする高度なサービスを提供することが可能となる。
【0018】
図7は、仮想オフィス環境の実施形態を示すブロック図である。通信サービスネットワーク712を介して、宛先変更・処理システム702、外部コール参加者704、仮想オフィスコールステーション1(706)、仮想オフィスコールステーション2(708)、および仮想オフィスコールステーション3(710)がすべてつなぎ合わされている。宛先変更・処理システム、外部コール参加者および任意の移動コールステーションは任意個数とすることができる。1つのネットワークまたは複数ネットワークの組合せは、直接または間接の物理的接続、移動通信ネットワーク、公衆交換電話網、PBX電話ネットワーク、ボイスオーバIPネットワーク、インターネット、イントラネット、LAN、WANおよび/または2つ以上のシステムを互いに接続するいずれか他の形態を限定されずに含む、通信サービスネットワークを含む。仮想オフィスコールステーションは、宛先変更・処理システムに対応付けられた移動および/または非移動コールステーションを含む。
【0019】
同一の共通サブコミュニケーションネットワークに物理的に位置しないコールステーションに、共通ユーザエンティティ制御通信ネットワークと関係のある機能を備えることが望まれることが多い。PBXシステムは、複数コールステーションの通常電話番号、内線呼出し、ダイナミック呼出番号マッピング、着信転送、PBXに直接接続されたコールステーションのための会議通話などの機能を提供する。これはPBXへの直接接続を必要とし、物理的に異なるサブネットワーク構成にあるコールステーションは同様機能を利用できない。そのような機能を提供するために仮想私設ネットワークおよび同様技術を用いることもできるが、通常、そのようなサービスのために電話または他の通信サービスプロバイダと契約を行なう必要があり、高価になったり、汎用性が悪くなったりすることがある。また、通信サービスプロバイダは、特定のユーザまたはユーザセットが希望するすべての機能を提供しなかったり、望まれるような特定のやり方でサービスをまとめなかったり価格設定しないことがある。仮想オフィスコールステーションに対するすべてのコールを、本願明細書に記載されているような宛先変更・処理システムを介して宛先変更できるようにすることにより、必ずしもPBXを必要とせずに(いずれにしても、特別に設定されたPBXを必要とせずに)、また、コールを接続するために使われる通信サービスプロバイダからの高度なサービスやそのようなサービスプロバイダのインフラストラクチャへの変更を必ずしも必要とせずに、同じまたは異なるサブネットワークにあるコールステーションおよび/または同じまたは異なる物理的すなわち地理的位置にあるコールステーションを、宛先変更・処理システムを介して仮想的につなぎ合わせることができる「仮想オフィス」をセットアップできる。例えば、外部コール参加者704が、例えば、仮想オフィスコールステーション1と関係するものとして提供および/または宣伝されている「公開」番号など、仮想オフィスコールステーション1(706)へアクセスするための呼出番号をダイヤルすると、実施形態によっては、例えば、ダイヤルされた番号が通信サービスネットワーク712上の宛先変更・処理システム702に実際に対応付けられているため、コールがシステム702で受信される。宛先変更・処理システム702は、例えば、通信サービスネットワーク上の仮想オフィスコールステーション1に対応付けられた番号(例えば、通信サービスネットワーク712を介したステーション1(706)へのコールを終了するために使うことができる「非公開」番号)を使って、仮想オフィスコールステーション1を当初のコールにコンファレンスすることによって、コールを仮想オフィスコールステーション1に宛先変更する。システム702は、仮想オフィスコールステーションに対応付けられるすべてのコールを潜在的に監視する位置にあるため、どのような宛先変更・処理機能も提供できる。宛先変更・処理機能は、PBXのような機能、複数のコールステーションのための普通電話番号、内線呼出、ダイナミック呼出番号マッピング、内線番号マッピング、着信転送、会議通話およびコールハントグループ呼出を含むことができる。実施形態によっては、コールハントグループ呼出は、ある回数の呼出音またはある時間経過後に対象とする受信者がコールに応答しなかった場合、コールステーションリストの1つまたはそれより多いステーションへコールを再ルーティングすることを含む。ステーションがコールに応答するまでリストの他のステーションにコールをルーティングでき、リスト上のすべてのステーションがコールされると、音声メールがコールされるか、コール開始者が音声メールを要求するか、コール開始者が特定のステーションを要求する。コールハントグループリストは予め設定しておいてもよいし、動的に設定することもできる。コールハントグループリストは有限(例えば、リストを1回だけ通してハント)とすることもできるし、繰返し(例えば、リストを複数回通してハント)とすることもできる。リストの通し順序は、事前に設定することも、動的に設定することも、ランダム設定することもできる。実施形態によっては、図4のプロセスが仮想オフィスコールステーション706〜710で実施される。実施形態によっては、図5のプロセスが宛先変更・処理システム702で実施される。
【0020】
例えば実施形態によっては、例えばダイヤルされる番号は、実際には、通信サービスネットワーク712上のシステム702に対応付けられているため、外部コール参加者704は、ステーション1(706)に対応付けられているが、実際には宛先変更・処理システム702でコールを止めることになる番号をダイヤルすることによって、仮想オフィスコールステーション1(706)へのコールを完了する。システム702は、例えばコールが入ってくる回線などによってステーション1と対応付けがなされようとしているコールを認識し、システム702に受信された、外部コール参加者704からのコールにステーション1(706)をコンファレンスする。話中にコマンドを入れることによって、ステーション1(706)またはそれに対応付けられたユーザが、受信コールを他の仮想オフィスコールステーションへコンファレンスしたり転送したりするといったPBXおよびVPNのような機能をシステム702に実行させることができる。実施形態によっては、コールがコンファレンスまたは転送される他のステーションを、通信サービスネットワーク712上の、例えばステーションに直接アクセスできるなど、既知の完全な番号を提供するのではなく、このステーションに対応付けられた内線番号または他の識別子を使って指定することができる。通信サービスプロバイダのプロバイダネットワークからの他のサービスおよび/または通信サービスプロバイダのプロバイダネットワークの変更を要するサービスおよび機能であれば、どのようなサービスおよび機能であっても、本願明細書に記載の技術を使って、安価に、柔軟に、ローカル制御式にいくつでも提供できる。
【0021】
図8は、仮想オフィスコールステーションと対応付けられたデバイスへ接続するプロセスの実施形態を示すフローチャートである。このプロセスは図7のシステム702上で実施できる。802で、コールを受信する。804で、コールは仮想オフィスステーションへマッピングされる。実施形態によっては、マッピングは、着信側仮想オフィスコールステーションを確定し、この仮想コールステーションへ到達するために使用できる呼出番号を確定することを含む。着信側仮想オフィスコールステーションを確定することは、どのラインでコールが受信されたかを確定すること、および/または、コール開始者から内線番号を受信することを含む。806で、対象の仮想オフィスステーションと対応付けられたデバイスへコールを接続する。コールの接続は、確定された呼出番号の着信側仮想オフィスコールステーションをコールすること、および、コール開始者と着信側仮想オフィスコールステーションとの間の通信を可能にすることを含む場合がある。
【0022】
図2、3、4、5、6および8に示され、上に説明された各プロセスは、1つまたはそれより多い集積回路および/または他のデバイス、またはファームウェア、ソフトウェア等として、適切な方法であればどのような方法で実施されてもよい。
【0023】
以上、明瞭な理解のために上記実施形態について幾分か詳しく説明したが、本発明は記載されている細目に限定されるものではない。本発明を実施するための別のやり方は数多く存在する。開示された実施形態は説明を目的とするものであり、何ら制限的なものではない。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】PBX環境における通信宛先変更・処理システムの実施形態を示すブロック図である。
【図2】受信コールを転送するプロセスの実施形態を示すフローチャートである。
【図3】コール開始を取り扱うプロセスの実施形態を示すフローチャートである。
【図4】着信側呼出番号へのコールを確立するプロセスの実施形態を示すフローチャートである。
【図5】コール情報を監視および処理するプロセスの実施形態を示すフローチャートである。
【図6】要求された動作を通話中に実施するプロセスの実施形態を示すフローチャートである。
【図7】仮想オフィス環境の実施形態を示すブロック図である。
【図8】仮想オフィスコールステーションと対応付けられたデバイスへ接続するプロセスの実施形態を示すフローチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
要求元通信参加者からの、通信の確立を求める第1の要求を、宛先変更ノードで受信するステップと、
前記要求に関係する着信側通信参加者を確定するステップと、
前記要求元の通信参加者、前記転送ノードおよび前記着信側通信参加者を参加者とする通信セッションを確立するステップであって、前記通信参加者と対応付けられた機器に通信を確立することを求める第2の要求を送ることを含むステップと、
前記通信セッションを確立および提供するために使用されるサービスプロバイダネットワークと対応付けられた通信サービスプロバイダによる通信セッションには与えられていない通信セッション処理機能を、前記要求元の通信参加者および前記着信側通信参加者の少なくとも一方に利用可能とするステップと、
を含む、通信処理方法。
【請求項2】
前記通信セッション処理機能が、着信転送、通話中着信、内線呼出し、会議通話、通話中転送、呼出番号再マッピング、音声コマンド処理、コールアーカイブ、コール監視、コンプライアンス処理、コール記録、コール索引作成、コール分析、コール管理、コールブロッキング、およびコール変更からなる群から選択される1つまたはそれより多い機能を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記宛先変更ノードの前記参加者が、前記要求元通信参加者および前記着信側通信参加者の少なくとも一方にトランスペアレントである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記宛先変更ノードがPBXシステムに付随している、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記通信参加者は、前記通信に関与するあらゆるユーザ、システムまたはデバイスを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記着信側通信参加者は、前記宛先変更ノードと対応付けられたコールステーションであり、前記宛先変更ノードは、前記コールステーションと対応付けられたコールを前記コールステーションに宛先変更するように設定される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の要求は、前記要求元通信参加者によって前記着信側コール参加者に関係付けた番号に対して行なわれるコールを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記番号は、前記通信サービスプロバイダによって前記宛先変更ノードに関係付けられる、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記番号が、電話番号、内線番号、IPアドレス、または、任意の数字、英字もしくは英数字による識別子のうちの1つ以上を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記要求元通信参加者が前記宛先変更ノードと対応付けられたコールステーションであり、前記コールステーションからの、少なくとも選択されたコールが前記宛先変更ノードへ宛先変更される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記通信を確立する要求が電話コールの開始を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記サービスプロバイダネットワークが、直接または間接の物理的接続、移動通信ネットワーク、公衆交換電話網、電話ネットワーク、ボイスオーバIPネットワーク、インターネット、イントラネット、LAN、WANおよび2つ以上のシステムを互いに接続するいずれか他の形態のうちの1つ以上を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記要求と関係のある着信側通信参加者を確定する前記ステップが、コール送信元の通信回線を確定すること、前記要求元通信参加者に着信側呼出番号の入力を要求すること、および前記要求元通信参加者から着信側呼出番号を受信すること、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
通信セッションを確立する前記ステップが、前記着信側コール参加者と対応付けられた呼出番号の前記着信側コール参加者をコールすることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記宛先変更ノードが前記通信セッションの参加者であることを前記少なくとも一方の通信参加者に分からないように発信者IDデータを変更することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記着信側通信参加者へのコールを確立する前記ステップが、前記コールを1つまたはそれより多い不在時呼出番号へ転送することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
コマンドを検出するステップ、前記通信セッション処理機能と対応付けられた処理動作に前記コマンドをマッピングするステップ、および前記処理動作を実行するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記コマンドが、音声コマンド、ユーザコマンド、キーパッド入力、ユーザインタフェースを用いて入力されるコマンド、DTMFコマンド、フックオン/オフコマンド、フックフラッシュコマンド、または処理動作と対応付けられた任意の動作もしくはデータ、のうちの1つ以上を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記処理動作を実行する前記ステップが、前記通信セッション処理機能の起動、変更、設定、および/または停止を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記通信セッション処理機能が、2つまたはそれより多い関係通信参加者に対して仮想私設交換処理を提供することを含み、前記仮想私設交換処理が、複数のコールステーションへの普通電話番号のマッピング、内線呼出し、ダイナミック呼出番号マッピング、内線番号マッピング、着信転送、通話中着信、会議通話、およびコールハントグループ呼出のうちの1つ以上を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
通信処理用のシステムであって、
要求元通信参加者からの、通信の確立を求める第1の要求を受信するように設定された通信インタフェースと、
前記要求に対応付けられた着信側コール参加者を確定し、前記要求元通信参加者、前記システムおよび前記着信側コール参加者を参加者とし且つ前記通信参加者と対応付けられた機器に通信を確立することを求める第2の要求を送信することによって通信セッションを確立し、前記通信セッションを確立および提供するために使用されるサービスプロバイダネットワークに対応付けられた通信サービスプロバイダによる前記通信セッションには与えられていない通信セッション処理機能を、前記要求元の通信参加者および前記着信側通信参加者の少なくとも一方に利用可能とするように設定されたプロセッサと、
を備えるシステム。
【請求項22】
前記通信セッション処理機能が、着信転送、通話中着信、内線呼出し、会議通話、通話中転送、呼出番号再マッピング、音声コマンド処理、コールアーカイブ、コール監視、コンプライアンス処理、コール記録、コール索引作成、コール分析、コール管理、コールブロッキング、およびコール変更からなる群から選択される1つまたはそれより多い機能を含む、請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
前記宛先変更ノードの前記参加者が、前記要求元通信参加者および前記着信側通信参加者の少なくとも一方にトランスペアレントである、請求項21に記載のシステム。
【請求項24】
前記システムがPBXシステムに付随している、請求項21に記載のシステム。
【請求項25】
前記要求と関係のある着信側通信参加者を確定するように設定された前記プロセッサは、コール送信元の通信回線を確定すること、前記要求元通信参加者に着信側呼出番号の入力を要求すること、および前記要求元通信参加者から着信側呼出番号を受信すること、のうちの1つ以上を実行するための設定を含む、請求項21に記載のシステム。
【請求項26】
前記プロセッサが、コマンドを検出し、前記通信セッション処理機能と対応付けられた処理動作に前記コマンドをマッピングし、および前記処理動作を実行するようにさらに設定されている、請求項21に記載のシステム。
【請求項27】
前記通信セッション処理機能が、2つまたはそれより多い関係通信参加者に対して仮想私設交換処理を提供することを含み、前記仮想私設交換処理が、複数のコールステーションへの普通電話番号のマッピング、内線呼出し、ダイナミック呼出番号マッピング、内線番号マッピング、着信転送、通話中着信、および会議通話のうちの1つ以上を含む、請求項21に記載のシステム。
【請求項28】
通信処理用のコンピュータプログラム製品であって、前記コンピュータプログラム製品はコンピュータ読取可能記憶媒体の中で具現化され、
要求元通信参加者からの、通信の確立を求める第1の要求を、宛先変更ノードで受信することを求めるコンピュータ命令と、
前記要求に関係する着信側通信参加者を確定することを求めるコンピュータ命令と、
前記要求元の通信参加者、前記転送ノードおよび前記着信側通信参加者を参加者とする通信セッションを確立し、前記通信参加者と関係がある機器に通信を確立することを求める第2の要求を送ることを求めるコンピュータ命令と、
前記通信セッションを確立および提供するために使用されるサービスプロバイダネットワークと関係がある通信サービスプロバイダによる通信セッションには与えられていない通信セッション処理機能を、前記要求元の通信参加者および前記着信側通信参加者の少なくとも一方に利用可能とすることを求めるコンピュータ命令と、
を含むコンピュータプログラム製品。
【請求項29】
前記通信セッション処理機能が、着信転送、通話中着信、内線呼出し、会議通話、通話中転送、呼出番号再マッピング、音声コマンド処理、コールアーカイブ、コール監視、コンプライアンス処理、コール記録、コール索引作成、コール分析、コール管理、コールブロッキング、およびコール変更からなる群から選択される1つまたはそれより多い機能を含む、請求項28に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項30】
前記要求と関係のある着信側通信参加者を確定する前記コンピュータ命令が、コール送信元の通信回線を確定すること、前記要求元通信参加者に着信側呼出番号の入力を要求すること、および前記要求元通信参加者から着信側呼出番号を受信すること、を含む、請求項28に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項31】
前記通信セッション処理機能が、2つまたはそれより多い関係通信参加者に対して仮想私設交換処理を提供することを含み、前記仮想私設交換処理が、複数のコールステーションへの普通電話番号のマッピング、内線呼出し、ダイナミック呼出番号マッピング、内線番号マッピング、着信転送、通話中着信、および会議通話のうちの1つ以上を含む、請求項28に記載のコンピュータプログラム製品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2008−545344(P2008−545344A)
【公表日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−519577(P2008−519577)
【出願日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際出願番号】PCT/US2006/025434
【国際公開番号】WO2007/005542
【国際公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【出願人】(507024769)イーエムシー コーポレイション (13)
【Fターム(参考)】