説明

通信システム

【課題】スレーブ制御手段およびこれが制御するアクチュエータの大型化を抑制しつつ、スレーブ制御手段およびアクチュエータを共通化することが可能な通信システムを提供すること。
【解決手段】各アクチュエータ制御ユニットは、マスタECUから多重通信のためのアドレスの設定を指示された場合には(510)、ドアサーボを作動して接続した各ドアを駆動し(520、530)、ドアサーボ出力軸の回転作動方向両端側の作動限界位置から回転量を検出し(540)、検出した回転量をマスタECU内に予め設定された回転量とアドレスとの対応関係に照合し(550)、各ドアサーボに接続したそれぞれのドアに対応したアドレスを特定して設定する(560)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マスタ制御手段と複数のアクチュエータをそれぞれ駆動制御する複数のスレーブ制御手段との間で多重通信を行う通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術として、下記特許文献1に開示された多重通信制御装置を用いた通信システムがある。この通信システムでは、スレーブ制御手段となる制御ユニットの電子回路内に機械的に開閉する複数の接点とアドレス認識回路とを備えている。そして、制御ユニットをコネクタ内に配設し、コネクタが接続するアクチュエータ等に突起部品を設けて、コネクタをアクチュエータに接続する際に突起部品が接点を閉じる組み合わせパターンにより、アクチュエータを作動制御するスレーブ制御手段側のアドレス設定を行うようになっている。
【0003】
また、制御ユニットをコネクタが接続するアクチュエータ内に配設し、アクチュエータが取り付けられる側の部材に突起部品を設けて、アクチュエータを取り付ける際に突起部品が接点を閉じる組み合わせパターンにより、スレーブ制御手段側のアドレス設定を行うものも開示されている。
【特許文献1】特開2006−41785号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術のうち前者の場合には、コネクタ内に収納されたスレーブ制御手段に複数の接点を設ける必要があるため、スレーブ制御手段が大型化するという問題がある。さらに、コネクタが接続するアクチュエータ側に突起部品を設ける必要があるため、アクチュエータが大型化するとともに複数のアクチュエータを共通化できないという問題がある。
【0005】
また、上記従来技術のうち後者の場合には、スレーブ制御手段を収納するアクチュエータ内に複数の接点を設ける必要があるため、スレーブ制御手段およびスレーブ制御手段を備えるアクチュエータが大型化するという問題がある。
【0006】
本発明は、上記点に鑑みてなされたものであり、スレーブ制御手段およびこれが制御するアクチュエータの大型化を抑制しつつ、スレーブ制御手段およびアクチュエータを共通化することが可能な通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、
複数の被駆動体(30、50、70)をそれぞれ駆動するために設けられ、複数の被駆動体(30、50、70)のそれぞれが接続した際の作動限界から定まる作動特徴量が互いに異なる複数のアクチュエータ(110、120、130)と、
複数のアクチュエータ(110、120、130)のそれぞれに対応して設けられ、アクチュエータ(110、120、130)に作動信号を出力してアクチュエータ(110、120、130)を作動制御する複数のスレーブ制御手段(110B、120B、130B)と、
複数のスレーブ制御手段(110B、120B、130B)が共通接続されたバスライン(300)と、
バスライン(300)に接続され、バスライン(300)を介した多重通信により複数のスレーブ制御手段(110B、120B、130B)を制御するマスタ制御手段(200)とを備え、
複数のスレーブ制御手段(110B、120B、130B)は、マスタ制御手段(200)から多重通信のためのアドレスの設定を指示された場合には、アクチュエータ(110、120、130)を作動して、接続されている被駆動体(30、50、70)を駆動し、アクチュエータ(110、120、130)の作動方向両端側の作動限界位置からアクチュエータ(110、120、130)の作動特徴量を検出し、検出した作動特徴量を、予め設定されたアクチュエータ(110、120、130)の作動特徴量とアドレスとの対応関係に照合し、被駆動体(30、50、70)に対応したアドレスを特定して設定することを特徴としている。
【0008】
これによると、それぞれのスレーブ制御手段(110B、120B、130B)は、被駆動体(30、50、70)が接続したことにより決定されるアクチュエータ(110、120、130)の作動方向両端側の作動限界位置から検出した作動特徴量に応じてアドレスを設定することができる。
【0009】
したがって、スレーブ制御手段(110B、120B、130B)内に予めアドレスを設定する必要がないので、スレーブ制御手段(110B、120B、130B)を共通化することができる。また、被駆動体(30、50、70)をそれぞれ接続したときのアクチュエータ(110、120、130)の作動特徴量に応じてアドレスを設定するので、アクチュエータ(110、120、130)を共通化することもできる。さらに、スレーブ制御手段(110B、120B、130B)およびアクチュエータ(110、120、130)のそれぞれの組み合わせに、アドレスを特定するための構成を設ける必要がないので、スレーブ制御手段(110B、120B、130B)およびアクチュエータ(110、120、130)が大型化することを抑制することができる。
【0010】
このようにして、スレーブ制御手段(110B、120B、130B)およびこれが制御するアクチュエータ(110、120、130)の大型化を抑制しつつ、スレーブ制御手段(110B、120B、130B)およびアクチュエータ(110、120、130)を共通化することが可能な通信システムとすることができる。
【0011】
また、請求項2に記載の発明では、被駆動体(30、50、70)が接続していない状態におけるアクチュエータ(110、120、130)の作動可能範囲を、複数の被駆動体(30、50、70)がそれぞれ接続された状態におけるアクチュエータ(110、120、130)の作動限界が異なる領域内に位置するように複数の領域(I〜VIII)に分割し、分割した各領域に異なるアドレスが対応するように作動特徴量とアドレスとの対応関係を予め設定していることを特徴としている。
【0012】
これによると、被駆動体(30、50、70)がそれぞれ接続された状態におけるアクチュエータ(110、120、130)の作動限界に多少のズレがあったとしても、正しいアドレスを設定することが可能である。
【0013】
また、請求項3に記載の発明では、請求項1または請求項2に記載の通信システムにおいて、スレーブ制御手段(110B、120B、130B)は、アクチュエータ(110、120、130)の作動特徴量を検出したときには、検出した作動特徴量をマスタ制御手段(200)に予め設定されたアクチュエータ(110、120、130)の作動特徴量とアドレスとの対応関係に照合してアドレスを特定することを特徴としている。
【0014】
これによると、スレーブ制御手段(110B、120B、130B)は、予めアクチュエータ(110、120、130)の作動特徴量とアドレスとの対応関係を収納しておく必要がない。したがって、スレーブ制御手段(110B、120B、130B)の構成を簡素化しつつ共通化することができる。
【0015】
また、請求項4に記載の発明では、請求項1または請求項2に記載の通信システムにおいて、スレーブ制御手段(110B、120B、130B)は、アクチュエータ(110、120、130)の作動特徴量を検出したときには、検出した作動特徴量をスレーブ制御手段(110B、120B、130B)内に予め設定されたアクチュエータ(110、120、130)の作動特徴量とアドレスとの対応関係に照合して前記アドレスを特定することを特徴としている。
【0016】
これによると、スレーブ制御手段(110B、120B、130B)は、アクチュエータ(110、120、130)の作動特徴量を検出したときに、マスタ制御手段(200)側に通信することなくアドレスを設定することができる。
【0017】
また、請求項5に記載の発明では、マスタ制御手段(200)には、アドレスと被駆動体(30、50、70)との対応関係が設定されていることを特徴としている。
【0018】
これによると、マスタ制御手段(200)は、スレーブ制御手段(110B、120B、130B)が自律的に設定したアドレスに通信することにより、スレーブ制御手段(110B、120B、130B)を介して被駆動体(30、50、70)を駆動制御することができる。
【0019】
また、請求項6に記載の発明では、スレーブ制御手段(110B、120B、130B)は、被駆動体(30、50、70)が接続された状態でのアクチュエータ(110、120、130)の作動可能量を作動特徴量として検出することを特徴としている。
【0020】
これによると、被駆動体(30、50、70)を接続したときのアクチュエータ(110、120、130)の作動可能量がそれぞれ異なるように複数の被駆動体(30、50、70)を設定するだけで、スレーブ制御手段(110B、120B、130B)にアドレス設定をすることが可能である。
【0021】
そして、具体的には、請求項7に記載の発明のように、被駆動体(30、50、70)が接続された状態でのアクチュエータ(110、120、130)の作動方向一端側の作動限界位置を基準位置とし、他端側の作動限界位置を最大作動位置とした場合に、スレーブ制御手段(110B、120B、130B)は、基準位置から最大作動位置までもしくは最大作動位置から基準位置までアクチュエータ(110、120、130)を作動して作動可能量を検出することができる。
【0022】
また、請求項8に記載の発明では、スレーブ制御手段(110B、120B、130B)は、被駆動体(30、50、70)が接続された状態でのアクチュエータ(110、120、130)の作動限界位置を作動特徴量として検出することを特徴としている。
【0023】
これによると、被駆動体(30、50、70)を接続したときのアクチュエータ(110、120、130)の作動可能量が同一であっても、アクチュエータ(110、120、130)の作動限界位置を作動特徴量として検出し、異なるアドレスを設定することが可能である。
【0024】
そして、具体的には、請求項9に記載の発明のように、
被駆動体(30、50、70)が接続された状態でのアクチュエータ(110、120、130)の作動方向一端側の作動限界位置を基準位置とし、他端側の作動限界位置を最大作動位置とした場合に、
複数のアクチュエータ(110、120、130)のうち被駆動体(30、50、70)が接続された状態での作動可能量が同一のアクチュエータにおいては、当該アクチュエータに互いに基準位置をずらして被駆動体を接続し、
スレーブ制御手段(110B、120B、130B)は、基準位置から最大作動位置までもしくは最大作動位置から基準位置までアクチュエータ(110、120、130)を作動して、作動限界位置を異なる作動特徴量として検出することができる。
【0025】
なお、上記各手段に付した括弧内の符号は、後述する実施形態記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
【0027】
(第1の実施形態)
本発明の通信システムを車両用空調システムに適用した第1の実施形態について図1ないし図9を参照して説明する。
【0028】
図1には、空調システム1の全体構成を示している。この空調システム1は、図示するようにブロワファン10により空調ケース20内部に導入する空気を内外気ドア(内外気切換ドア)30により選択し、導入した空気を冷却用熱交換器40で熱交換する。
【0029】
そして、エアミックスドア50の開度制御により、冷却用熱交換器40を通過した空気のうち加熱用熱交換器60へと導く空気と、この加熱用熱交換器60をバイパスする空気との配分割合を調整する。この後、加熱用熱交換器60を通過した空気とバイパスした空気とを混合して空調空気を作る。最後に、各吹出し口を開閉するモードドア(吹出モードドア)70(71、72、73)の開度パターンを制御し、各吹出し口から吹き出される空調空気の風量割合を調整する。
【0030】
この空調システム1の構成要素のうち、内外気ドア30、エアミックスドア50、及びモードドア70(被駆動体に相当)は、それぞれドアサーボ110、120、130(アクチュエータに相当)によって回動駆動される構成となっている。このうち、内外気ドアサーボ110は、内外気ドア30を回動駆動することで内気導入口あるいは外気導入口を選択的に開放する。また、エアミックス(A/M)ドアサーボ120は、エアミックスドア50の開度を所定の開度へと回動駆動することで、加熱用交換器60へと導く空気と、加熱用熱交換器60をバイパスする空気との配分割合を調整する。最後に、モード(MODE)ドアサーボ130は、被駆動体の一部をなすリンク機構を介して各モードドア71、72、73の開度パターンを切り換えることにより、各吹出し口から吹き出される空調空気の風量割合を調整する。
【0031】
図2に示すように、各ドアサーボ110、120、130は、空調システム1内の各構成要素を制御するマスタECU200(A/CECU、マスタ制御手段に相当)からの指示に従って、それぞれが担当するドア30、50、70を回動駆動するようになっている。空調システム1内には、ローカルネットワークが構築されており、このネットワーク内にマスタECU200、各ドアサーボ110、120、130、及びその他の制御装置(図示せず)が接続された形態とされており、公知のLINプロトコルに従って多重通信が行われるようになっている。
【0032】
LINバス300(バスラインに相当)には、その一端にマスタECU200が接続されているとともに、図3、図4にも示すように各コネクタ110A、120A、130Aを介してドアサーボ110、120、130が共通接続されており、電源ラインVcc及びグランドラインGNDにも、それぞれマスタECU200、及び、コネクタ110A、120A、130Aを介して各ドアサーボ110、120、130が接続されている。また、LINバス300の終端は開放されている。
【0033】
各ドアサーボ110、120、130には、圧接タイプコネクタ110A,120A,130Aが嵌合されており、これらのコネクタ110A、120A、130AがLINバス300、電源ラインVcc及びグランドラインGNDに接続されることで、各ドアサーボ110、120、130がLINバス300、電源ラインVcc、及びグランドラインGNDに共通接続される構成とされている。
【0034】
各ドアサーボ110、120、130に嵌合されるコネクタ110A、120A、130AのLINバス300への接続形態を図3に示す。各コネクタ110A、120A、130Aには、接続ポートの役割を果たす圧接ターミナル111、121、131が設けられており、これら圧接ターミナル111、121、131のそれぞれにLINバス300を接続するようになっている。従って、LINバス300を圧接ターミナル111、121、131のターミナル凹部に圧入することで、LINバス300のケーブルの被覆が切断され、その内部導体がターミナル凹部に挟まれて接触することで、LINバス300に対する各ドアサーボ110、120、130の接続がなされる。
【0035】
また、各コネクタ110A、120A、130Aには、電源ラインVccに接続するための圧接ターミナル112、122、132及びグランドラインGNDに接続するための圧接ターミナル113、123、133が設けられており、LINバス300への接続方法と同様にして接続されている。
【0036】
図4に各ドアサーボ110、120、130およびコネクタ110A、120A、130Aの内部構成を示す。尚、各ドアサーボ110、120、130の構成は共通であり、各コネクタ110A、120A、130Aの構成も共通であるため、図4には内外気ドアサーボ110およびコネクタ110Aに対応する符号を付している。また、A/Mドアサーボ120及びMODEドアサーボ130については必要に応じて対応する符号を図中に付している。
【0037】
まず、図4に基づいて、アクチュエータであるドアサーボ110と、これに接続し内部にスレーブ制御手段であるアクチュエータ制御ユニット110Bを収納したコネクタ110Aの構成について説明する。アクチュエータ制御ユニット110Bは、主要部である制御部114(実質的なスレーブ制御手段)、アドレス記憶部114A、駆動手段115、回転角度記憶部118B等からなっている。また、ドアサーボ110は、モータ116、減速機117、角度検出手段118A等により構成されている。
【0038】
アクチュエータ制御ユニット110Bの制御部114はマスタECU200と通信を行うものであり、半導体集積回路に所定のソフトウェアを組み込んで構成されているとともに、LIN通信を行うために必要なトランシーバの機能も備えている。また、制御部114は、マスタECU200からの指示に従ってドアサーボ110内部に備えられたモータ116を内外気ドア30の目標開度に基づいて回転制御し、内外気ドア30の開度を調整するようになっている。
【0039】
アドレス記憶部114A(アドレス記憶手段)は、後述するアドレス設定により、自己に設定されたアドレスを記憶するようになっており、電源供給が遮断されたとしてもその内容を保持することができる不揮発性メモリにより構成されている。駆動手段115は、制御部114からの制御信号に基づいて、モータ116に対して駆動電流を供給する。
【0040】
ドアサーボ110のモータ116は、駆動手段115から供給される駆動電流を受けて回転動作するものであり、その回転軸の回転が減速機117を介してドア30の回動軸に設けられた歯車に伝達されるようになっている。
【0041】
角度検出手段118A(出力軸の回転方向の位置検出手段)は、減速機117の出力段(ドアへの出力軸110C)の回転角度(ドア30の開度)を検出するものであり、例えば、カーボンタイプのポテンショメータにより構成されている。そして、検出した回転角度に応じた特性信号をアクチュエータ制御ユニット110Bの回転角度記憶部118B(特徴量記憶手段)に出力する。回転角度記憶部118Bは、ドア30の基準位置(出力軸110Cの基準位置でもある。これについては後述する。)からの回転角度を特性信号値として記憶するものであって、制御部114からの要求に応じて特性信号値を当該制御部114に出力する。
【0042】
A/Mドアサーボ120、コネクタ120A及びMODEドアサーボ130、コネクタ130Aの構成についても内外気ドアサーボ110の構成と略同様であり、以下に相違点について説明する。
【0043】
コネクタ120A内に収納されたアクチュエータ制御ユニット120Bの制御部124は、マスタECU200からの指示に従ってドアサーボ120内部に備えられたモータ116をエアミックスドア50の目標開度に基づいて回転制御する。また、モータ116の回転は減速機117を介してエアミックスドア50の回動軸に設けられた歯車に伝達されるようになっている。従って、角度検出手段118Aは、減速機117の出力段(ドアへの出力軸110C)の回転角度(ドア50の開度)を検出し、回転角度記憶部118Bには、ドア50の開度が特性信号値として記憶される。
【0044】
コネクタ130A内に収納されたアクチュエータ制御ユニット130Bの制御部134は、マスタECU200からの指示に従ってドアサーボ130内部に備えられたモータ116をモードドア70の目標開度パターンに基づいて回転制御してその開度パターンを切り換えるようになっている。また、モータ116の回転は減速機117を介してリンク機構に設けられた歯車に伝達されるようになっている。従って、角度検出手段118Aは、減速機117の出力段(リンク機構への出力軸110C)の回転角度を検出し、回転角度記憶部118Bには、リンク機構の歯車の回転角度が特性信号値として記憶される。
【0045】
上述したように、各コネクタ110A、120A、130A、および、アクチュエータである各ドアサーボ110、120、130はそれぞれ共通の構造をなしており、ドアサーボ110、120、130は、具体的には図5に示すような構成となっている。
【0046】
ドアサーボ110、120、130は、図5に示すように、モータ(サーボモータ)116、複数枚の歯車G1〜G4からなる減速機117等からなるものである。そして、各ドア30、50、70への出力軸110Cが固定された出力歯車G4には、出力歯車G4と一体的に回転する円弧状の導電部及び非導電部からなるプリント基板21aが組み付けられ、ケーシング21bにはプリント基板21aに対して摺動しながら接触するプレートコンタクト(接点)21cが組み付けられている。このプレートコンタクト21c及びプリント基板21aにより出力歯車G4の回転角を検出する角度検出手段118A(ポテンショメータ)が構成されている。
【0047】
また、ケーシング21bには、プレートコンタクト21c及びサーボモータ116に電気的に接続され、コネクタ110A、120A、130Aに接続するための端子21dが組み付けられており、ポテンショメータの検出信号及びサーボモータに供給される駆動電流は、端子を介して授受されるようになっている。
【0048】
次に、上記構成に基づき空調システム1の通信システムの作動について説明する。図6は、マスタECU200の概略制御動作の流れを示すフローチャートであり、図7は、各アクチュエータ制御ユニット110B、120B、130BがマスタECUからLINバス300を介した多重通信のためのアドレス設定指示を受けた際に、自律的に自己のアドレス設定を行う制御動作を示すフローチャートである。
【0049】
図6に示すように、マスタECU200は、まず、LINバス300を介して、各アクチュエータ制御ユニット110B、120B、130Bに、多重通信のためのアドレス設定の指示を出力する(ステップ410)。そして、各アクチュエータ制御ユニット110B、120B、130Bからアドレス設定が完了している旨の信号を受信したら、空調制御のための各種制御信号を出力する(ステップ420)。
【0050】
一方、図7に示すように、アクチュエータ制御ユニット110B、120B、130Bは、マスタECU200からアドレス設定指示信号を受信すると(ステップ510)、アドレスが設定されていない状態のアクチュエータ制御ユニットは命令を受け付け、まず、ドアサーボ110、120、130を駆動して、各ドア30、50、70を最大作動角位置にまで回転駆動する(ステップ520)。そして、次に、ドアサーボ110、120、130を駆動して、各ドア30、50、70を基準位置にまで回転駆動する(ステップ530)。
【0051】
ここで、基準位置とは、ドアサーボの駆動によってドア部を一方向に回動させたときに、一方向側の回動が規制されてそれ以上動かなくなったときのドア部の位置のことである。また、最大作動角位置とは、ドアサーボの駆動によってドア部を逆方向に回動させたときに、逆方向側の回動が規制されてそれ以上動かなくなったときのドア部の位置のことである。
【0052】
換言すれば、基準位置とは、各ドアが接続したドアサーボ110、120、130の出力軸110Cの回転作動方向(出力軸周方向)一端側の作動限界位置(ロック位置)であり、最大作動角位置とは、出力軸110Cの回転作動方向(出力軸周方向)他端側の作動限界位置(ロック位置)である。
【0053】
そして、アクチュエータ制御ユニット110B、120B、130Bは、ステップ520、530を実行した際に角度検出手段118Aで検出した出力軸110Cの角度位置情報から回転量(基準位置と最大作動角位置の角度差)を算出する(ステップ540)。
【0054】
次に、各アクチュエータ制御ユニット110B、120B、130Bは、LINバス300を介してマスタECU200にアクセスし、ステップ540で算出した回転量を、マスタECU200のメモリに予め収納されている回転量とアドレスとの対応関係に照合し、アドレスを特定する(ステップ550)。
【0055】
そして、特定したアドレスを各アクチュエータ制御ユニット110B、120B、130Bのアドレス記憶部114Aに記憶してアドレス設定を完了する(ステップ560)。自己のアドレスを設定した各アクチュエータ制御ユニット110B、120B、130Bは、LINバス300を介してマスタECU200にアドレス設定完了信号を出力し(ステップ570)、アドレス設定制御を終了する。
【0056】
マスタECU200のメモリには、例えば図8に示すような対応関係が収納されている。この場合には、アクチュエータ制御ユニット110Bがステップ550において回転量を180°と算出した場合には、自分のアドレス「2」を設定し、アクチュエータ制御ユニット120Bがステップ550において回転量を90°と算出した場合には、自分のアドレス「1」を設定する。
【0057】
具体的には、図9に示すように、各ドア30、50、70が接続していない状態におけるドアサーボ110、120、130の作動可能範囲(作動可能角度範囲、図示例では280°)を、各ドア30、50、70がそれぞれ接続された状態におけるドアサーボ110、120、130の作動限界が異なる領域内に位置するように(基準位置を同一としたときに最大作動角位置が異なる領域に入るように)複数の領域I〜VIIIに分割し、分割した各領域に異なるアドレスが対応するように回転量とアドレスとの対応関係を予め設定している。
【0058】
図9に図示した例では、算出した回転量が70〜105°のIII領域では回転量を90°であるものとしてアドレス「1」を設定し、算出した回転量が175〜210°のVI領域では回転量を180°であるものとしてアドレス「2」を設定する。
【0059】
このようにすることにより、各ドア30、50、70がそれぞれ接続された状態におけるドアサーボ110、120、130の作動限界(ロック位置)に多少のズレがあったとしても、正しいアドレスを設定することができる。なお、図9では、基準位置を実線矢印で、最大作動角位置を破線矢印で示している。
【0060】
本実施形態では、ステップ550において算出した回転量が、アクチュエータであるドアサーボの出力軸回転作動方向両端側の作動限界位置(ロック位置)から決まる作動可能量であり、作動限界位置から検出される作動特徴量であると言える。
【0061】
前述したように、マスタECU200は、各アクチュエータ制御ユニット110B、120B、130Bからアドレス設定が完了している旨の信号を受信したら、ステップ420を実行して、空調制御のための各種制御信号を出力し、各アクチュエータ制御ユニット110B、120B、130B及びその他の制御装置を制御する。
【0062】
具体的には、マスタECU200は、アクチュエータ制御ユニット110B、120B、130Bに対して、各ドアサーボ110、120、130が駆動するドア30、50、70の開度をそれぞれ指示し、各アクチュエータ制御ユニット110B、120B、130Bは当該指示に従ってモータ116を回転駆動することで自己が制御するドア30、50、70を所定の開度に設定する。
【0063】
ここで、各アクチュエータ制御ユニット110B、120B、130Bには、アドレス「2」、「1」、「3」がそれぞれ個別に割り当てられている。そして、マスタECU200は、図8に示すような制御対象ドアとアドレスとの対応関係にしたがって、アドレスを指定した各ドアの制御信号をLINバス300に出力することにより、各アクチュエータ制御ユニット110B、120B、130Bおよびドアサーボ110、120、130を介して各ドア30、50、70の開度制御を行う。
【0064】
上述の構成および作動によれば、各アクチュエータ制御ユニット110B、120B、130Bは、マスタECU200から多重通信のためのアドレスの設定を指示された場合には、ドアサーボ110、120、130を作動して接続した各ドア30、50、70を駆動し、ドアサーボ110、120、130出力軸110Cの回転作動方向両端側の作動限界位置(ロック位置)から回転量(回転可能角度)を検出し、検出した回転量をマスタECU200内に予め設定された回転量とアドレスとの対応関係に照合し、各ドアサーボ110、120、130に接続したそれぞれのドア30、50、70に対応したアドレスを特定して設定することができる。
【0065】
したがって、各アクチュエータ制御ユニット110B、120B、130B内に予めアドレスを設定する必要がなく同一回路を採用することができるので、各アクチュエータ制御ユニット110B、120B、130Bを共通化することができる。すなわち、各アクチュエータ制御ユニット110B、120B、130Bをそれぞれ備えるコネクタ110A、120A、130Aを共通化することができる。
【0066】
また、ドアサーボ110、120、130に各ドア30、50、70をそれぞれ接続したときの回転量に応じてアドレスを設定するので、ドアサーボ110、120、130も共通化することができる。
【0067】
各アクチュエータ制御ユニット110B、120B、130Bを備えるコネクタ110A、120A、130Aおよび各ドアサーボ110、120、130を共に共通化することにより、アドレス増加に伴う品番や管理コストの増加を防止することができる。また、各ドアサーボの作動可能量がそれぞれ異なるように空調システム1の各ドア30、50、70を設定するだけで、各アクチュエータ制御ユニット110B、120B、130Bにアドレス設定をすることができる。
【0068】
さらに、アクチュエータ制御ユニット110B、120B、130Bおよびドアサーボ110、120、130のそれぞれの組み合わせに、アドレスを特定するための突起部品等の構成を設ける必要がないので、各アクチュエータ制御ユニット110B、120B、130Bおよびドアサーボ110、120、130が大型化することを抑制することができる。
【0069】
このように、各アクチュエータ制御ユニット110B、120B、130Bがバッテリ接続時等に自ら自己のアドレスを設定するので、バスラインに対するコネクタ110A、120A、130Aの配設位置や取り付け順序に係わらず、容易にアドレス設定を行うことができる。これに伴いマスタECU200の負荷を軽減することができる。
【0070】
また、各アクチュエータ制御ユニット110B、120B、130Bはアドレスを特定する際に、検出した回転量をマスタECU200に予め設定された回転量とアドレスとの対応関係に照合している。これにより、各アクチュエータ制御ユニット110B、120B、130Bに予め回転量とアドレスとの対応関係を収納しておく必要がないので、アクチュエータ制御ユニットの構成を簡素化しつつ共通化することができ、各アクチュエータ制御ユニットもしくは各アクチュエータ制御ユニットを備えるコネクタを複数のタイプの空調ユニットにわたって共通使用することが可能である。
【0071】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について図10に基づいて説明する。
【0072】
本第2の実施形態は、前述の第1の実施形態と比較して、被駆動体であるドアを接続したアクチュエータであるドアサーボの回転量が同一であってもアドレスを設定可能にした点が異なる。
【0073】
前述の第1の実施形態では、各ドア30、50、70が接続された状態でのドアサーボ110、120、130の回転作動方向一端側の作動限界位置を基準位置とし、他端側の作動限界位置を最大作動角位置とした場合に、アクチュエータ制御ユニット110B、120B、130Bは、最大作動角位置から基準位置までドアサーボ110、120、130を作動して回転量を作動可能量として検出し、この回転量に基づいてアドレス設定をしていた。
【0074】
これに対し、本第2の実施形態では、ドアサーボのうちドアが接続された状態での回転量(作動可能量)が同一のドアサーボにおいては、当該ドアサーボの出力軸に、互いに基準位置をずらしてドアを接続し、各アクチュエータ制御ユニットは、最大作動角位置から基準位置までドアサーボを作動して、作動限界位置である基準位置と最大作動角位置を検出し、この両作動限界位置(ロック位置)の組み合わせに基づいてアドレスを設定する。本実施形態では、ドアサーボの回転作動方向両端の作動限界位置の組み合わせが、作動特徴量であると言える。
【0075】
これによると、ドアを接続したときのドアサーボの回転量が同一であっても、ドア組付け時にドアサーボの出力軸の取り付け角度を異ならせて相互に基準位置をずらすことで、ドアサーボの作動限界位置を異なる作動特徴量として検出し、異なるアドレスを設定することができる。
【0076】
例えば、左右独立コントロールの空調システムにおいて運転席側A/Mドアと助手席側A/Mドアとに同一構成のドアを採用し、それぞれを駆動するドアサーボを制御するアクチュエータ制御ユニットのアドレスを区別したい場合には、図10に例示するように、運転席側のA/Mドアを組付ける際の基準位置を2とし助手席側のA/Mドアを組付ける際の基準位置を3とする。
【0077】
運転席側のA/Mドアは、基準位置2から90°回動するので、ドアサーボの左右ロック位置(回転作動方向の両側作動限界位置)の組合せは基準位置2−領域IIIとなる。一方助手席側のA/Mドアは基準位置3から90°回動するので、ドアサーボの左右ロック位置(回転作動方向の両側作動限界位置)の組合せは基準位置3−領域IVとなる。このように回転量は同じでも、両端ロック位置から決まる回動可能範囲を異ならせることができる。
【0078】
すなわち、ドアが接続されたときのドアサーボの両側ロック位置の組み合わせ毎に異なるアドレスを予め対応させておけば、図10に示した例では、回転量が90°の場合に6通り、180°場合に3通りなど、ドアサーボの回転範囲と角度に応じてアドレスの種類を増やすことができる。なお、図10でも、基準位置を実線矢印で、最大作動角位置を破線矢印で示している。
【0079】
(他の実施形態)
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0080】
上記各実施形態では、各アクチュエータ制御ユニット110B、120B、130Bはアドレスを特定する際に、検出した作動特徴量をマスタECU200に予め設定された作動特徴量とアドレスとの対応関係に照合していたが、各アクチュエータ制御ユニット内に予め作動特徴量とアドレスとの対応関係を設定し、これに照合するものであってもよい。これによれば、アクチュエータ制御ユニット110B、120B、130Bは、ドアサーボ110、120、130の作動特徴量を検出したときに、マスタECU200に通信することなくアドレスを設定することができる。
【0081】
また、上記各実施形態では、回転作動方向両端のロック位置検出を最大作動角位置、基準位置の順に行っていたが、順番は逆であってもかまわない。ただし、アドレス設定後の空調制御を開始する際には各ドアを基準位置から始動するので、両ロック位置検出を基準位置で終了する方が好ましい。
【0082】
また、上記各実施形態では、各アクチュエータ制御ユニット110B、120B、130Bをコネクタ110A、120A、130Aに内蔵した場合について説明したが、各アクチュエータ制御ユニット110B、120B、130Bはドアサーボ110、120、130に内蔵されるものであってもよい。
【0083】
また、上記各実施形態では、各ドアサーボをポテンショタイプのサーボモータとしていたが、これに限定されるものではなく、パルスカウントタイプのサーボモータとするものであってもよい。
【0084】
また、上記各実施形態では、LINバス300は、一端にマスタECU200が接続し終端は開放されていたが、バスラインをリング状に形成し、断線時の信頼性を向上するものであってもよい。
【0085】
また、上記各実施形態では、スレーブ制御手段は3つのアクチュエータ制御ユニット110B、120B、130Bであったが、スレーブ制御手段は2つもしくは4つ以上であってもよい。
【0086】
また、上記各実施形態では、LINプロトコルに従ってマスタECU200と各アクチュエータ制御ユニット110B、120B、130Bとが通信を行う例を示したが、共通のバスラインによって多重通信を行うことができるものであれば他のプロトコルに従う通信形態でもかまわない。
【0087】
また、上記各実施形態では、アドレス記憶部114Aを不揮発性メモリで構成した例を示したが、これらアドレス記憶部114AをRAMで構成しても良い。この場合、空調システム1が停止して電源供給が遮断されると記憶されているアドレスが消去されるため、空調システム1の起動時毎にアドレス割り当てを行なうようにする。または、アドレス記憶部114A内の記憶が消えないように、空調システム1が停止しても電源(Vcc、GND)は常時供給し続けるシステムとしてもよい。
【0088】
また、上記各実施形態では、アクチュエータである各ドアサーボを出力軸が回転出力するサーボモータとした場合について説明したが、アクチュエータはこれに限定されるものではない。例えば、出力軸が直線状に移動するリニアタイプのアクチュエータを採用し、直線移動方向両端のロック位置に基づいて移動量やロック位置の組み合わせ等の作動特徴量を検出し、作動特徴量とアドレスとの対応関係に照合してアドレスを設定するものであってもよい。
【0089】
また、上記各実施形態では、本発明の通信システムを車両用空調システムに適用した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、定置式の空調システムの通信システムや他の通信システムに適用するものであってもかまわない。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】本発明を適用した第1の実施形態における空調システムの全体構成を示した概略図である。
【図2】空調システム内に構築されたローカルネットワークの構成を示したブロック図である。
【図3】各ドアサーボに嵌合されるコネクタのバスラインへの接続形態を示した図である。
【図4】各ドアサーボおよびコネクタの内部構成を示したブロック図である。
【図5】各ドアサーボの具体的構成を示す構造図である。
【図6】マスタECUの概略制御動作の流れを示すフローチャートである。
【図7】各アクチュエータ制御ユニットのアドレス設定制御動作を示すフローチャートである。
【図8】マスタECUに収納されたアドレスと制御対象ドアと回転量との対応関係を示す表である。
【図9】ポテンショメータの回転可能範囲を複数の領域に区画しアドレスと対応させる例を示した図である。
【図10】第2の実施形態においてポテンショメータの回転可能範囲を複数の領域に区画しアドレスと対応させる例を示した図である。
【符号の説明】
【0091】
30 内外気ドア(被駆動体)
50 エアミックスドア(被駆動体)
70 モードドア(被駆動体)
110 内外気ドアサーボ(アクチュエータ)
120 エアミックスドアサーボ(アクチュエータ)
130 モードドアサーボ(アクチュエータ)
110A、120A、130A コネクタ
110B、120B、130B アクチュエータ制御ユニット(スレーブ制御手段)
200 マスタECU(マスタ制御手段)
300 LINバス(バスライン)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の被駆動体(30、50、70)をそれぞれ駆動するために設けられ、前記複数の被駆動体(30、50、70)のそれぞれが接続した際の作動限界から定まる作動特徴量が互いに異なる複数のアクチュエータ(110、120、130)と、
前記複数のアクチュエータ(110、120、130)のそれぞれに対応して設けられ、前記アクチュエータ(110、120、130)に作動信号を出力して前記アクチュエータ(110、120、130)を作動制御する複数のスレーブ制御手段(110B、120B、130B)と、
前記複数のスレーブ制御手段(110B、120B、130B)が共通接続されたバスライン(300)と、
前記バスライン(300)に接続され、前記バスライン(300)を介した多重通信により前記複数のスレーブ制御手段(110B、120B、130B)を制御するマスタ制御手段(200)とを備え、
前記複数のスレーブ制御手段(110B、120B、130B)は、前記マスタ制御手段(200)から前記多重通信のためのアドレスの設定を指示された場合には、前記アクチュエータ(110、120、130)を作動して接続した前記被駆動体(30、50、70)を駆動し、前記アクチュエータ(110、120、130)の作動方向両端側の作動限界位置から前記作動特徴量を検出し、検出した前記作動特徴量を予め設定された前記作動特徴量と前記アドレスとの対応関係に照合し、前記被駆動体(30、50、70)に対応した前記アドレスを特定して設定することを特徴とする通信システム。
【請求項2】
前記被駆動体(30、50、70)が接続していない状態における前記アクチュエータ(110、120、130)の作動可能範囲を、前記複数の被駆動体(30、50、70)がそれぞれ接続された状態における前記アクチュエータ(110、120、130)の作動限界が異なる領域内に位置するように複数の領域(I〜VIII)に分割し、分割した各領域に異なるアドレスが対応するように前記作動特徴量と前記アドレスとの対応関係を予め設定していることを特徴とする請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
前記スレーブ制御手段(110B、120B、130B)は、前記作動特徴量を検出したときには、検出した前記作動特徴量を前記マスタ制御手段(200)に予め設定された前記作動特徴量と前記アドレスとの対応関係に照合して前記アドレスを特定することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の通信システム。
【請求項4】
前記スレーブ制御手段(110B、120B、130B)は、前記作動特徴量を検出したときには、検出した前記作動特徴量を前記スレーブ制御手段(110B、120B、130B)内に予め設定された前記作動特徴量と前記アドレスとの対応関係に照合して前記アドレスを特定することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の通信システム。
【請求項5】
前記マスタ制御手段(200)には、前記アドレスと前記被駆動体(30、50、70)との対応関係が設定されていることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の通信システム。
【請求項6】
前記スレーブ制御手段(110B、120B、130B)は、前記被駆動体(30、50、70)が接続された状態での前記アクチュエータ(110、120、130)の作動可能量を前記作動特徴量として検出することを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の通信システム。
【請求項7】
前記被駆動体(30、50、70)が接続された状態での前記アクチュエータ(110、120、130)の作動方向一端側の作動限界位置を基準位置とし、他端側の作動限界位置を最大作動位置とした場合に、
前記スレーブ制御手段(110B、120B、130B)は、前記基準位置から前記最大作動位置までもしくは前記最大作動位置から前記基準位置まで前記アクチュエータ(110、120、130)を作動して前記作動可能量を検出することを特徴とする請求項6に記載の通信システム。
【請求項8】
前記スレーブ制御手段(110B、120B、130B)は、前記被駆動体(30、50、70)が接続された状態での前記アクチュエータ(110、120、130)の作動限界位置を前記作動特徴量として検出することを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の通信システム。
【請求項9】
前記被駆動体(30、50、70)が接続された状態での前記アクチュエータ(110、120、130)の作動方向一端側の作動限界位置を基準位置とし、他端側の作動限界位置を最大作動位置とした場合に、
前記複数のアクチュエータ(110、120、130)のうち前記被駆動体(30、50、70)が接続された状態での作動可能量が同一のアクチュエータにおいては、当該アクチュエータに互いに前記基準位置をずらして前記被駆動体を接続し、
前記スレーブ制御手段(110B、120B、130B)は、前記基準位置から前記最大作動位置までもしくは前記最大作動位置から前記基準位置まで前記アクチュエータ(110、120、130)を作動して前記作動限界位置を検出することを特徴とする請求項8に記載の通信システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2009−189075(P2009−189075A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−23098(P2008−23098)
【出願日】平成20年2月1日(2008.2.1)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】