説明

通信交換装置、発信優先権管理装置、通信端末、通信システムおよび通信制御方法

【課題】同一の移動通信端末間で略同時に双方から発信した場合であっても、両移動通信端末間での通信を確立させることができる移動通信交換装置を提供する。
【解決手段】第1移動通信交換装置40は、同一の移動通信端末10間での双方発信に係る接続要求信号A及び接続要求信号Bのうち優先される接続要求を示す乱数A,Bを取得する。取得された乱数A,Bに基づいて、接続要求信号Aによる接続要求を接続要求信号Bによる接続要求に対して優先させるか否かを判定する。そして、接続要求信号Aによる接続要求を接続要求信号Bによる接続要求に対して優先させないと判定した場合、接続要求信号Aによる接続要求の取消し処理を行う。このような取消し処理により、他方の接続要求信号Bによる接続要求に基づく通信を確立させて、同一の移動通信端末10間での略同時発信による通信を確立させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信交換装置、発信優先権管理装置、通信端末、通信システムおよび通信制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
移動通信端末による通話中に一時的に電波環境が悪化すると、電波環境が悪化した側の移動通信端末が通信可能圏外となり、電波環境が悪化した側の移動通信端末に対して呼切断が行われ、両移動通信端末間の通信が切断処理される。
【特許文献1】特開平6−133361号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このように、一時的な電波環境の悪化による移動通信端末の呼切断があると2者間の通話が突然、切断されることになる。このため、通話を再開させようとして、通話中であった双方の移動通信端末から相手方の移動通信端末に対して、略同時に発信が行われる場合がある。ところが、同一の移動通信端末間において、相手方の移動通信端末に対して略同時に互いに発信を行おうとすると、発信先の移動通信端末それぞれが相手の移動通信端末に対して発信中であり、仮に発信中の通話と着信した通話のいずれかをキャッチホン等の従来技術によって選択可能とした場合においても、両者が互いに異なる通話の確立を選択した場合には、いつまでも通話が確立されない問題が発生する。そこで、一般的には、同一の移動通信端末間において略同時に互いに発信を行った場合には、両移動通信端末において新たに通話を受け付けることはせず、双方へ話中音が送出されるのみであり、結果的に、同一の移動通信端末間での通信の接続処理を双方で行っているにもかかわらず両移動通信端末間での通信が確立されないといった問題があった。
【0004】
本発明は、以上の問題点を解決するためになされたものであり、同一の通信端末間で略同時に双方から発信した場合であっても、両通信端末間での通信を確立させることができる通信交換装置、発信優先権管理装置、通信端末、通信システムおよび通信制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の通信交換装置は、通信端末間の通信を制御する通信交換装置であって、通信端末からの発信要求を示す発信要求信号に基づいて、他の通信交換装置への接続要求を示す第1接続要求信号を生成する接続要求信号生成手段と、接続要求信号生成手段により生成された第1接続要求信号を他の通信交換装置へ送信する接続要求信号送信手段と、他の通信交換装置からの接続要求を示す第2接続要求信号を他の通信交換装置から受信する接続要求信号受信手段と、第1接続要求信号による接続要求と第2接続要求信号による接続要求とのうち優先される接続要求を示す優先接続情報を取得する優先接続情報取得手段と、接続要求信号送信手段による第1接続要求信号の送信と接続要求信号受信手段による第2接続要求信号の受信とが所定の時間内に行われたか否かを判定する送受信時間判定手段と、送受信時間判定手段で第1接続要求信号の送信と第2接続要求信号の受信とが所定の時間内に行なわれたと判定された場合、第1接続要求信号による発着信に係る両通信端末と第2接続要求信号による発着信に係る両通信端末とが同一であるか否かを判定する同一端末判定手段と、同一端末判定手段で第1接続要求信号による発着信に係る両通信端末と第2接続要求信号による発着信に係る両通信端末とが同一であると判定された場合、優先接続情報取得手段で取得された優先接続情報に基づいて、第1接続要求信号による接続要求を第2接続要求信号による接続要求に対して優先させるか否かを判定する優先接続判定手段と、優先接続判定手段で第1接続要求信号による接続要求を第2接続要求信号による接続要求に対して優先させないと判定された場合、接続要求信号送信手段で送信された第1接続要求信号による接続要求の取消し処理を行う接続要求取消し手段と、を備える。
【0006】
また、本発明の通信制御方法は、通信端末間の通信を制御する通信交換装置における通信制御方法であって、通信交換装置は、通信端末からの発信要求を示す発信要求信号に基づいて、他の通信交換装置への接続要求を示す第1接続要求信号を生成する接続要求信号生成ステップと、接続要求信号生成ステップにより生成された第1接続要求信号を通信交換装置が他の通信交換装置へ送信する接続要求信号送信ステップと、他の通信交換装置からの接続要求を示す第2接続要求信号を通信交換装置が他の通信交換装置から受信する接続要求信号受信ステップと、第1接続要求信号による接続要求と第2接続要求信号による接続要求とのうち優先される接続要求を示す優先接続情報を通信交換装置が取得する優先接続情報取得ステップと、接続要求信号送信ステップによる第1接続要求信号の送信と接続要求信号受信ステップによる第2接続要求信号の受信とが所定の時間内に行われたか否かを通信交換装置が判定する送受信時間判定ステップと、送受信時間判定ステップで第1接続要求信号の送信と第2接続要求信号の受信とが所定の時間内に行なわれたと判定された場合、第1接続要求信号による発着信に係る両通信端末と第2接続要求信号による発着信に係る両通信端末とが同一であるか否かを通信交換装置が判定する同一端末判定ステップと、同一端末判定ステップで第1接続要求信号による発着信に係る両通信端末と第2接続要求信号による発着信に係る両通信端末とが同一であると判定された場合、優先接続情報取得ステップで取得された優先接続情報に基づいて、第1接続要求信号による接続要求を第2接続要求信号による接続要求に対して優先させるか否かを通信交換装置が判定する優先接続判定ステップと、優先接続判定ステップで第1接続要求信号による接続要求を第2接続要求信号による接続要求に対して優先させないと判定された場合、接続要求信号送信ステップで送信された第1接続要求信号による接続要求の取消し処理を通信交換装置が行う接続要求取消しステップと、を含む。
【0007】
このような本発明の通信交換装置及び通信制御方法によれば、第1接続要求信号による接続要求と第2接続要求信号による接続要求とのうち優先される接続要求を示す優先接続情報を取得する。続いて、第1接続要求信号及び第2接続要求信号に係る両通信端末が同一であれば、取得された優先接続情報に基づいて、第1接続要求信号による接続要求を第2接続要求信号による接続要求に対して優先させるか否かを判定する。そして、第1接続要求信号による接続要求を第2接続要求信号による接続要求に対して優先させないと判定した場合に、第1接続要求信号による接続要求の取消し処理を行うようになっている。このように、同一の通信端末間での発信に係る第1接続要求信号及び第2接続要求信号のうち第1接続要求信号による接続要求の取消し処理を行うことにより、他方の第2接続要求信号による接続要求に基づく通信を確立させて、同一の通信端末間での略同時発信による通信を確立させることができる。この結果、同一の通信端末間で略同時に双方から発信した場合であっても、保留等されずに、両通信端末間での通信を確立させることができ、通話を行うことができる。なお、本発明の通信交換装置及び通信制御方法は、一時的な電波環境の悪化による呼切断があった後の略同時発信の場合だけでなく、同一の通信端末間でたまたま略同時発信がなされたような場合にも適用される。
【0008】
また、通信交換装置において、所定の時間は、第1接続要求信号と第2接続要求信号とのうち先に送受信された最先接続要求信号の送受信時から該最先接続要求信号に基づく呼が呼出中の状態に遷移するまでの時間であることが好ましい。これにより、接続要求の取消し処理を行う条件を限定させて、より適切に両通信端末間の接続を円滑に行わせることができる。
【0009】
また、通信交換装置において、優先接続情報取得手段は、第1接続要求信号による接続要求の優先度を示す第1優先度情報を設定又は受信することで取得する第1優先度情報取得手段と、第2接続要求信号による接続要求の優先度を示す第2優先度情報を他の通信交換装置から受信することで取得する第2優先度情報取得手段とを有し、優先接続判定手段は、第1優先度情報の優先度と第2優先度情報の優先度とを比較して、第1接続要求信号による接続要求を第2接続要求信号による接続要求に対して優先させるか否かを判定するようにしてもよい。この場合、第1優先度情報には乱数として取得された第1の数値情報が含まれ、第2優先度情報には、他の通信交換装置で別の乱数として取得された第2の数値情報が含まれ、優先接続判定手段は、第1の数値情報と第2の数値情報との大小に応じて、第1接続要求信号による接続要求を第2接続要求信号による接続要求に対して優先させるか否かを判定することが好ましい。これにより、優先させる接続要求を確実に判定できる。
【0010】
また、通信交換装置において、優先接続情報取得手段は、同一端末判定手段で同一と判定された通信端末間での通話が一方の通信端末側で切断されたことを示す呼切断フラグを設定又は受信することで優先接続情報を取得し、優先接続判定手段は、通話を切断した通信端末側を示す呼切断フラグに基づいて、第1接続要求信号による接続要求を第2接続要求信号による接続要求に対して優先させるか否かを判定するようにしてもよい。このように呼切断フラグを用いて判定するため、優先させる接続要求を確実に判定できる。
【0011】
上記課題を解決するために、本発明の発信優先権管理装置は、通信端末からの発信要求信号に基づく通信交換装置間での接続要求に対する発信優先権を管理する発信優先権管理装置であって、発着信に係る両通信端末を特定する発信要求信号に基づく接続要求であって一方の通信交換装置から他方の通信交換装置への接続要求に対する発信優先権の要求を示すと共に当該両通信端末を特定する端末特定情報を含む発信優先権要求信号を一方の通信交換装置から受信する発信優先権要求信号受信手段と、発信優先権要求信号受信手段で受信した発信優先権要求信号に含まれる端末特定情報で特定される両通信端末と同一の通信端末間の発着信に係る接続要求に対して所定の時間内に発信優先権を付与したか否かを判定する発信優先権付与判定手段と、発信優先権付与判定手段により所定の時間内に発信優先権を付与していないと判定された場合、発信優先権要求信号に対して発信優先権を付与する優先権付与手段と、発信優先権付与判定手段により所定の時間内に発信優先権を付与したと判定された場合、発信優先権要求信号に対して発信規制することを示した発信規制応答信号を生成する発信規制応答信号生成手段と、発信規制応答信号生成手段で生成された発信規制応答信号を一方の通信交換装置へ送信する発信規制応答信号送信手段と、を備える。
【0012】
また、本発明の通信制御方法は、通信端末からの発信要求信号に基づく通信交換装置間での接続要求に対する発信優先権を管理する発信優先権管理装置による通信制御方法であって、発着信に係る両通信端末を特定する発信要求信号に基づく接続要求であって一方の通信交換装置から他方の通信交換装置への接続要求に対する発信優先権の要求を示すと共に当該両通信端末を特定する端末特定情報を含む発信優先権要求信号を発信優先権管理装置が一方の通信交換装置から受信する発信優先権要求信号受信ステップと、発信優先権要求信号受信ステップで受信した発信優先権要求信号に含まれる端末特定情報で特定される両通信端末と同一の通信端末間の発着信に係る接続要求に対して所定の時間内に発信優先権を付与したか否かを判定する発信優先権付与判定ステップと、 発信優先権付与判定ステップにより所定の時間内に発信優先権を付与していないと判定された場合、発信優先権要求信号に対して発信優先権を付与する優先権付与ステップと、発信優先権付与判定ステップにより所定の時間内に発信優先権を付与したと判定された場合、発信優先権要求信号に対して発信規制することを示した発信規制応答信号を生成する発信規制応答信号生成ステップと、発信規制応答信号生成ステップで生成された発信規制応答信号を発信優先権管理装置が一方の通信交換装置へ送信する発信規制応答信号送信ステップと、を含む。
【0013】
このような本発明の発信優先権管理装置及び通信制御方法によれば、一方の通信交換装置からの発信優先権要求信号に含まれる端末特定情報で特定される両通信端末と同一の通信端末間の発着信に係る接続要求に対して所定の時間内に発信優先権を付与したか否かを判定する。そして、同一の通信端末間の発着信に係る接続要求に対して既に発信優先権を付与していないと判定された場合、発信優先権要求信号に対して発信優先権を付与する。そして、発信優先権を所定の時間内に付与したと判定された場合、発信優先権要求信号に対して発信規制することを示した発信規制信号を生成して、一方の通信交換装置へ送信するようになっている。このように、同一の通信端末間における先の接続要求に対して優先権を付与すると共に既に発信優先権が付与された同一の通信端末間における後続の接続要求に対しては発信規制することにより、発信優先権が付与された接続要求に基づいて通信を確立させて、同一の通信端末間での略同時発信による通信を確立させることができる。この結果、同一の通信端末間で略同時に双方から発信した場合であっても、保留等されずに両通信端末間での通信を確立させることができ、通話を行うことができる。なお、本発明の発信優先権管理装置及び通信制御方法は、一時的な電波環境の悪化による呼切断があった後の略同時発信の場合だけでなく、同一の通信端末間でたまたま略同時発信がなされたような場合にも適用される。
【0014】
また、発信優先権管理装置において、所定の時間は、発信優先権要求信号の受信時から該発信優先権要求信号に基づく通話が終話するまでの時間であることが好ましい。これにより、発信優先権を付与する条件を限定させて、より適切に両通信端末間の接続を円滑に行わせることができる。また、発信優先権管理装置において、優先権付与手段により発信優先権要求信号に対して発信優先権を付与した場合、発信優先権要求信号に対して発信優先権を付与した発信優先権応答信号を生成する優先応答信号生成手段と、優先応答信号生成手段で生成された発信優先権応答信号を一方の通信交換装置へ送信する優先応答信号送信手段と、を備えることが好ましい。これにより、優先させる発信優先権要求信号が明確となり、優先権に基づく両通信端末間の接続を円滑に行わせることができる。
【0015】
上記課題を解決するために、本発明の通信端末は、通信交換装置により他の通信端末との間で発着信可能な通信端末であって、他の通信端末への発信要求を示す発信要求信号を通信交換装置へ送信する発信要求信号送信手段と、他の通信端末からの着信要求を示す着信要求信号を通信交換装置から受信する着信要求信号受信手段と、発信要求信号による接続要求と着信要求信号による接続要求とのうち優先される接続要求を示す優先接続情報を取得する優先接続情報取得手段と、発信要求信号送信手段による発信要求信号の送信と着信要求信号受信手段による着信要求信号の受信とが所定の時間内に行われたか否かを判定する送受信時間判定手段と、送受信時間判定手段で発信要求信号の送信と着信要求信号の受信とが所定の時間内に行なわれたと判定された場合、発信要求信号による着信に係る通信端末と着信要求信号による発信に係る通信端末とが同一であるか否かを判定する同一端末判定手段と、同一端末判定手段で発信要求信号による着信に係る通信端末と着信要求信号による発信に係る通信端末とが同一であると判定された場合、優先接続情報取得手段で取得された優先接続情報に基づいて、発信要求信号による接続要求を着信要求信号による接続要求に対して優先させるか否かを判定する優先接続判定手段と、優先接続判定手段で発信要求信号による接続要求を着信要求信号による接続要求に対して優先させないと判定された場合、発信要求信号送信手段で送信された発信要求信号による接続要求の取消し処理を行う発信要求取消し手段と、を備える。
【0016】
また、本発明の通信制御方法は、通信交換装置により他の通信端末との間で発着信可能な通信端末による通信制御方法であって、他の通信端末への発信要求を示す発信要求信号を通信端末が通信交換装置へ送信する発信要求信号送信ステップと、他の通信端末からの着信要求を示す着信要求信号を通信端末が通信交換装置から受信する着信要求信号受信ステップと、発信要求信号による接続要求と着信要求信号による接続要求とのうち優先される接続要求を示す優先接続情報を通信端末が取得する優先接続情報取得ステップと、発信要求信号送信ステップによる発信要求信号の送信と着信要求信号受信ステップによる着信要求信号の受信とが所定の時間内に行われたか否かを通信端末が判定する送受信時間判定ステップと、送受信時間判定ステップで発信要求信号の送信と着信要求信号の受信とが所定の時間内に行なわれたと判定された場合、発信要求信号による着信に係る通信端末と着信要求信号による発信に係る通信端末とが同一であるか否かを通信端末が判定する同一端末判定ステップと、同一端末判定ステップで発信要求信号による着信に係る通信端末と着信要求信号による発信に係る通信端末とが同一であると判定された場合、優先接続情報取得ステップで取得された優先接続情報に基づいて、発信要求信号による接続要求を着信要求信号による接続要求に対して優先させるか否かを通信端末が判定する優先接続判定ステップと、優先接続判定ステップで発信要求信号による接続要求を着信要求信号による接続要求に対して優先させないと判定された場合、発信要求信号送信ステップで送信された発信要求信号による接続要求の取消し処理を通信端末が行う発信要求取消しステップと、を含む。
【0017】
このような本発明の通信端末及び通信制御方法によれば、発信要求信号による接続要求と着信要求信号による接続要求とのうち優先される接続要求を示す優先接続情報を取得する。続いて、発信要求信号及び着信要求信号に係る相手方の通信端末が同一であれば、取得された優先接続情報に基づいて、発信要求信号による接続要求を着信要求信号による接続要求に対して優先させるか否かを判定する。そして、発信要求信号による接続要求を着信要求信号による接続要求に対して優先させないと判定した場合に、発信要求信号による接続要求の取消し処理を行うようになっている。このように、同一の通信端末間での発信に係る発信要求信号及び着信要求信号のうち発信要求信号による接続要求の取消し処理を行うことにより、他方の着信要求信号による接続要求に基づく通信を確立させて、同一の通信端末間での略同時発信による通信を確立させることができる。この結果、同一の通信端末間で略同時に双方から発信した場合であっても、保留等されずに両通信端末間での通信を確立させることができ、通話を行うことができる。なお、本発明の通信端末及び通信制御方法は、一時的な電波環境の悪化による呼切断があった後の略同時発信の場合だけでなく、同一の通信端末間でたまたま略同時発信がなされたような場合にも適用される。
【0018】
また、通信端末において、所定の時間は、発信要求信号と着信要求信号とのうち先に送受信された最先発着信要求信号の送受信時から該最先発着信要求信号に基づく呼が呼出中の状態に遷移するまでの時間であることが好ましい。これにより、接続要求の取消し処理を行う条件を限定させて、より適切に両通信端末間の接続を円滑に行わせることができる。
【0019】
また、通信端末において、優先接続情報取得手段は、発信要求信号による接続要求の優先度を示す第1優先度情報を設定することで取得する第1優先度情報取得手段と、着信要求信号による接続要求の優先度を示す第2優先度情報を通信交換装置から受信することで取得する第2優先度情報取得手段とを有し、優先接続判定手段は、第1優先度情報の優先度と第2優先度情報の優先度とを比較して、発信要求信号による接続要求を着信要求信号による接続要求に対して優先させるか否かを判定するようにしてもよい。この場合、第1優先度情報には乱数として取得された第1の数値情報が含まれ、第2優先度情報には、別の乱数として取得された第2の数値情報が含まれ、優先接続判定手段は、第1の数値情報と第2の数値情報との大小に応じて、発信要求信号による接続要求を着信要求信号による接続要求に対して優先させるか否かを判定することが好ましい。これにより、優先させる接続要求を確実に判定できる。
【0020】
上記課題を解決するために、本発明の通信システムは、他の通信端末との間で発着信可能な第1通信端末と、第1通信端末の通信を制御する第1通信交換装置と、第1通信端末との間で発着信可能な第2通信端末と、第2通信端末の通信を制御する第2通信交換装置と、を含んで構成される通信システムであって、第1通信端末から第2通信端末への第1発信要求と第2通信端末から第1通信端末への第2発信要求とが所定の時間内に行われた場合に、第1発信要求による接続要求と第2発信要求による接続要求とのうち優先される接続要求を示す優先接続情報に基づいて、第1発信要求による接続要求を第2発信要求による接続要求に対して優先させるか否かを判定する優先接続判定手段と、優先接続判定手段で第1発信要求による接続要求を第2発信要求による接続要求に対して優先させないと判定された場合、第1発信要求による接続要求の取消し処理を行う接続要求取消し手段とを備える。
【0021】
このような本発明の通信システムによれば、第1発信要求による接続要求と第2発信要求による接続要求とのうち優先される接続要求を示す優先接続情報に基づいて、第1発信要求による接続要求を第2発信要求による接続要求に対して優先させるか否かを判定する。そして、第1発信要求による接続要求を第2発信要求による接続要求に対して優先させないと判定された場合、第1発信要求による接続要求の取消し処理を行う。このように、同一の通信端末間での発信に係る第1発信要求及び第2発信要求のうち第1発信要求による接続要求の取消し処理を行うことにより、他方の第2発信要求による接続要求に基づく通信を確立させて、同一の通信端末間での略同時発信による通信を確立させることができる。この結果、同一の通信端末間で略同時に双方から発信した場合であっても、保留等されずに両通信端末間での通信を確立させることができ、通話を行うことができる。なお、本発明の通信システムは、一時的な電波環境の悪化による呼切断があった後の略同時発信の場合だけでなく、同一の通信端末間でたまたま略同時発信がなされたような場合にも適用される。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、同一の通信端末間での略同時発信による通信を確立させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、添付図面を参照して本発明の一実施形態である通信システム、移動通信交換装置(MSC:Mobile Switching Center)及び通信制御方法の好適な実施形態について説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
[第1実施形態]
【0024】
まず、本発明の第1実施形態にかかる通信システム1の全体構成について、図1を参照しながら説明する。図1に示すように、通信システム1は、移動通信端末10間での通信を確立させて移動通信端末10と他の移動通信端末10との間で通話を行えるようにするための通信システムである。この通信システム1は、第1加入者情報管理装置(HLR−A:Home Location Register)20、第2加入者情報管理装置(HLR−B)30、第1移動通信交換装置(MSC-A)40、第2移動通信交換装置(MSC-B)50、及び、複数の他の移動通信交換装置(MSC、不図示)を含んで構成される。第1加入者情報管理装置20は、複数の移動通信端末10の在圏情報や加入者情報等を管理する。第2加入者情報管理装置30は、第1加入者情報管理装置20で管理する加入者情報とは別の複数の移動通信端末10の在圏情報や加入者情報等を管理する。在圏情報は、移動通信端末10の在圏する通信エリアを示す情報(移動通信端末10を制御する移動通信交換装置40,50を特定する情報)であり、移動通信端末からの位置登録により生成、更新される。なお、通信システム1は、上記した第1加入者情報管理装置20や第2加入者情報管理装置30と同様の機能を有する別の加入者情報管理装置を更に含んで構成されてもよい。
【0025】
第1移動通信交換装置40は、一般的な通信制御機能として、移動通信端末10が所定の通信エリアAに在圏する場合に、通信エリアAに在圏する移動通信端末10の通信を制御するものである。第1移動通信交換装置40は、各移動通信端末10の加入者情報がいずれの加入者情報管理装置に収容されているかを示す管理装置特定情報を備えており、この管理装置特定情報に基づいて、第1加入者情報管理装置20や第2加入者情報管理装置30との間で加入者情報を送受信できるように、両加入者情報管理装置20,30と接続可能となっている。そして、この第1移動通信交換装置40は、不図示の基地局や無線網を介して、通信エリアAに在圏する移動通信端末10の通信を、第1加入者情報管理装置20や第2加入者情報管理装置30から送信された加入者情報に基づいて制御する。
【0026】
第2移動通信交換装置50は、移動通信端末10が通信エリアAとは別の通信エリアBに在圏する場合に、通信エリアBに在圏する移動通信端末10の通信を制御するものである。第2移動通信交換装置50も、管理装置特定情報を備えており、この管理装置特定情報に基づいて、第1加入者情報管理装置20や第2加入者情報管理装置30との間で加入者情報を送受信できるように、両加入者情報管理装置20,30と接続可能となっている。そして、この第2移動通信交換装置50は、不図示の基地局や無線網を介して、通信エリアBに在圏する移動通信端末10の通信を、第1加入者情報管理装置20や第2加入者情報管理装置30から送信された加入者情報に基づいて制御する。なお、他の移動通信交換装置も、第1移動通信交換装置40等と同様の機能を有する。
【0027】
上記の通信システム1では、例えば、図1に示されるように、第1加入者情報管理装置20で加入者情報が管理される移動通信端末10Aが通信エリアAに在圏して、この通信エリアAに在圏中の移動通信端末10Aの通信を第1移動通信交換装置40が制御するようになっている。また、第2加入者情報管理装置30で加入者情報が管理される移動通信端末10Bが通信エリアBに在圏して、この通信エリアBに在圏中の移動通信端末10Bの通信を第2移動通信交換装置50が制御するようになっている。この通信システム1は、移動通信端末10A,10Bが移動することで在圏する通信エリアを変えると、移動通信端末10Aの通信を第2移動通信交換装置50や他の移動通信交換装置が制御したり、移動通信端末10Bの通信を第1移動通信交換装置40や他の移動通信交換装置が制御したり、又は、移動通信端末10A,10Bの通信を一の移動通信交換装置(例えば第1移動通信交換装置40)が制御できるようになっている。なお、以下では、説明を容易にするため、第1移動通信交換装置40が移動通信端末10Aの通信を制御し、第2移動通信交換装置50が移動通信端末10Bの通信を制御する場合を例にとって説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0028】
ここで、例えば、上記で説明したような通信システム1によって移動通信端末10Aと移動通信端末10Bとの間で通話を行っている最中に一方の移動通信端末10A側の電波環境が一時的に悪化して呼切断され、両移動通信端末10A,10B間の通信が突然、切断される状況になった場合について説明する。このように、通話中の移動通信端末10A,10B間の通信が突然、切断されて両者間の通話が強制終了されると、通話途中であったことから、通話を再開させようとして、電波環境の回復後、移動通信端末10Aから移動通信端末10Bへの発信と移動通信端末10Bから移動通信端末10Aへの発信とが略同時に行われることがある。そして、同じ移動通信端末10A,10B間で双方から略同時に互いに発信が行われると、発信先の移動通信端末10B,10Aへの発信要求が第1移動通信交換装置40及び第2移動通信交換装置50に対して略同時に行われる。このような双方発信の状態が維持されると、従来の通信システムでは、両移動通信端末10B,10Aにおいて新たに通話を受け付けることはせずに、話中音が第1移動通信交換装置40又は第2移動通信交換装置50から発信元の移動通信端末10A,10Bに対して送出されるのみであり、結果として、両移動通信端末10A,10B間での通信が確立されなくなってしまう。特に、第1加入者情報管理装置20や第2加入者情報管理装置30といったように加入者情報管理装置が複数ある通信システムでは、システムが複雑化していることから、上記のような状態を防止することが難しかった。
【0029】
そこで、本実施形態では、両移動通信端末10A,10B間で所定の時間内に互いに発信要求が行われた場合には、移動通信端末10Aからの発信要求による接続要求と移動通信端末10Bからの発信要求による接続要求とのうち優先される接続要求を示す優先接続情報に基づいて、例えば、一方の移動通信端末10Bからの発信要求による接続要求を他方の移動通信端末10Aからの発信要求による接続要求に対して優先させるか否かを判定する。そして、例えば、一方の移動通信端末10Bからの発信要求による接続要求を他方の移動通信端末10Aからの発信要求による接続要求に対して優先させないと判定された場合に、移動通信端末10Bからの発信要求による接続要求の取消し処理を行うようにしている。具体的には、本実施形態の第1移動通信交換装置40及び第2移動通信交換装置50では、次の機能を備えることにより、一方の接続要求の取消し処理を行うと共に、他方の接続要求による接続処理を行って、双方発信の状態を維持しないようにしている。そのため、複雑な通信システムであっても、上記したような状態を事前に防止できる。以下、第1移動通信交換装置40について説明するが、第2移動通信交換装置50は、第1移動通信交換装置40と略同様の構成を有する。
【0030】
第1移動通信交換装置40について説明する。図2は、第1移動通信交換装置40のハードウェア構成図である。図2に示すように、第1移動通信交換装置40は、物理的には、CPU40a、ROM40bおよびRAM40c等の主記憶装置、第1加入者情報管理装置20、第2加入者情報管理装置30、第2移動通信交換装置50、他の移動通信交換装置、および移動通信端末10との間でデータの送受信を行うためのネットワークカード等の通信モジュール40d、ハードディスク等の補助記憶装置40eなどを含む通常のコンピュータシステムとして構成される。後述する第1移動通信交換装置40の各機能は、CPU40a、ROM40b、RAM40c等のハードウェア上に所定のコンピュータソフトウェアを読み込ませることにより、CPU40aの制御の元で通信モジュール40dを動作させると共に、主記憶装置40b,40cや補助記憶装置40eにおけるデータの読み出しおよび書き込みを行うことで実現される。
【0031】
図3は、第1移動通信交換装置40の構成概要図である。図3に示すように、第1移動通信交換装置40は、機能的には、送受信部(接続要求信号送信手段、接続要求信号受信手段)41、接続切断処理部42、乱数設定部(第1優先度情報取得手段)43、接続要求信号生成部(接続要求信号生成手段)44、送受信時間判定部(送受信時間判定手段)45、同一端末判定部(同一端末判定手段)46、優先接続判定部(優先接続判定手段)47、及び接続要求取消し部(接続要求取消し手段)48を備えて構成される。
【0032】
送受信部41は、通信モジュール40dを動作させて各種の信号を送受信するものである。例えば、送受信部41は、通信エリアAに在圏して第1移動通信交換装置40によって制御される移動通信端末10Aから、発信先の移動通信端末10Bへの発信要求を示す発信要求信号(例えば発信要求信号A、図4参照)を受信する。この発信要求信号には、発信元の移動通信端末10Aの電話番号と発信先の移動通信端末10Bの電話番号といった端末特定情報が含まれる。送受信部41は、受信した発信要求信号を、接続切断処理部42、乱数設定部43、及び接続要求信号生成部44へ出力する。なお、送受信部41が送受信する他の信号については後述する。
【0033】
接続切断処理部42は、移動通信端末10Aと移動通信端末10Bとの間の通信を接続又は切断させたりする処理を行うものである。接続切断処理部42は、発信先の移動通信端末10Bに対する発信要求を示す発信要求信号が送受信部41から入力されると、上述した管理装置特定情報に基づいて、発信先となる移動通信端末10Bの在圏情報を第2加入者情報管理装置30から取得する。そして、詳細は後述するが、第1移動通信交換装置40によって制御される移動通信端末10Aからの発信要求に基づいて移動通信交換装置間の接続を行うと優先接続判定部47により判定された場合には、接続切断処理部42は、移動通信端末10Aと移動通信端末10Bとの間で通話が行えるように第1移動通信交換装置40を、発信先の移動通信端末10Bを制御する第2移動通信交換装置50に接続させる。
【0034】
接続切断処理部42は、優先接続判定部47等による判定処理に伴う時間経過による発信処理や着信処理のタイムアウト(各処理が所定の時間内に完了しなかった場合に各処理を強制的に終了させる処理)を防止するため、発信処理や着信処理の一時的な待ち合わせ処理を行う。このような待ち合わせ処理としては、例えば、タイムアウトとされる所定の時間が過ぎても、各処理が強制終了されないように所定の時間を一定時間延ばしてタイムアウトさせないものがある。また、移動通信端末10A,10B間での通話中に第1移動通信交換装置40が制御する移動通信端末10A側の電波環境が悪化等して移動通信端末10Aの呼切断が自動的に行われると、接続切断処理部42は、この呼切断を検出して第1移動通信交換装置40と第2移動通信交換装置50との通信接続を切断する。
【0035】
乱数設定部43は、移動通信端末10Aから発信要求があると、その都度、所定の乱数A(第1優先度情報、第1の数値情報)を設定するものである。乱数設定部43は、他の移動通信端末10Bへの発信要求を示す発信要求信号が送受信部41から入力されると、接続要求の優先度を示す乱数Aを設定する。乱数Aの設定は、ROM40b等に格納されている乱数設定プログラムを呼び出すことなどにより行われる。乱数Aを設定した乱数設定部43は、乱数Aを示す数値情報を接続要求信号生成部44に出力すると共に、この乱数Aを示す数値情報を優先接続判定部47に出力する。なお、発信要求のあった場合に一律に乱数を設定するのではなくて、呼切断があった場合にのみ、乱数を設定するようにしてもよい。
【0036】
接続要求信号生成部44は、移動通信端末10Aからの発信要求を示す発信要求信号Aに基づいて、第2移動通信交換装置50への接続要求を示す接続要求信号A(第1接続要求信号)を生成するものである。接続要求信号生成部44は、他の移動通信端末10Bへの発信要求を示す発信要求信号Aが送受信部41から入力されると、第1移動通信交換装置40から通話先の移動通信端末10Bを管理する第2移動通信交換装置50への接続要求を示す接続要求信号Aを生成する。この接続要求信号Aには、発信要求信号Aに含まれる発信元の移動通信端末10Aの電話番号と発信先の移動通信端末10Bの電話番号とを示す端末特定情報が含まれ、さらに、乱数設定部43から出力された乱数Aを示す数値情報が付与されている。接続要求信号生成部44は、このような情報を含む接続要求信号Aを送受信部41及び同一端末判定部46に出力する。なお、上記した接続切断処理部42により接続処理全般が行われ、この接続要求信号生成部44では、主に接続要求信号Aの生成が行われる。
【0037】
ここで、送受信部41に戻って説明する。接続要求信号生成部44から接続要求信号Aが入力されると、送受信部41は、接続要求信号生成部44で生成されて入力された接続要求信号Aを第2移動通信交換装置50へ送信する。そして、送受信部41は、接続要求信号Aを送信すると、接続要求信号Aの送信時刻を示す送信時刻情報を送受信時間判定部45に出力する。送受信部41から接続要求信号が送信された第2移動通信交換装置50は、この接続要求信号Aを受信する。なお、第2移動通信交換装置50は、送受信部41と同様の送受信部51や、接続切断処理部42と同様の接続切断処理部52や、乱数設定部43と同様に乱数B(第2優先度情報、第2の数値情報)を設定する乱数設定部(第2優先度情報取得手段)53や、接続要求信号生成部44と同様の接続要求信号生成部54を備えている。接続要求信号生成部54では、移動通信端末10Bからの発信要求を示す発信要求信号Bに基づいて、他の移動通信交換装置である第1移動通信交換装置40への接続要求を示す接続要求信号B(第2接続要求信号)が生成される。
【0038】
一方、接続要求信号生成部54で生成された接続要求信号Bが第2移動通信交換装置50から第1移動通信交換装置40へ送信されると、送受信部41は、接続要求信号Bを受信する。この第2移動通信交換装置50からの接続要求信号Bには、発信元の移動通信端末10Bの電話番号と発信先の移動通信端末10Aの電話番号とを示す端末特定情報が含まれ、さらに、乱数設定部53等から出力された乱数Bを示す数値情報が付与されている。そして、送受信部41は、第2移動通信交換装置50から接続要求信号Bを受信すると、接続要求信号Bの受信時刻を示す受信時刻情報を送受信時間判定部45に出力すると共に、第2移動通信交換装置50からの接続要求信号Bを同一端末判定部46や優先接続判定部47に出力する。なお、乱数設定部43で設定される乱数Aと乱数設定部53で設定される乱数Bとは、同一の移動通信端末10間、例えば移動通信端末10A,10B間で双方から略同時に発信が行われた場合に、優先させる接続要求を示すための優先接続情報となる。そのため、第1移動通信交換装置40においては、乱数Aを設定する乱数設定部43と乱数Bを受信する送受信部41とにより、優先接続情報取得手段が構成される。
【0039】
送受信時間判定部45は、送受信部41による第2移動通信交換装置50への接続要求信号Aの送信と、送受信部41による第2移動通信交換装置50からの接続要求信号Bの受信とが所定の時間内に行われたか否かを判定するものである。送受信時間判定部45は、送受信部41から入力された接続要求信号Aの送信時刻情報と第2移動通信交換装置50からの接続要求信号Bの受信時刻情報とに基づき、接続要求信号Aと接続要求信号Bとのうち先に送受信された最早の接続要求信号の送受信時からその最早の接続要求信号に基づく呼が呼出中の状態に遷移するまでの間に後続の接続要求信号を受信した場合には、接続要求信号Aの送信と接続要求信号Bの受信とが所定の時間内に行われたと判定する。送受信時間判定部45は、両接続要求信号の送受信が所定の時間内に行われたと判定した場合には、同一タイミングでの送受信を示す同時送受信判定情報を同一端末判定部46に出力する。一方、両接続要求信号の送受信が所定の時間内に行われなかったと判定された場合には、送受信時間判定部45は、単独送受信判定情報を接続切断処理部42に出力し、それぞれの接続要求信号に対する通常の通信接続を接続切断処理部42に行わせる。
【0040】
同一端末判定部46は、送受信時間判定部45で接続要求信号Aの送信と接続要求信号Bの受信とが所定の時間内に行われたと判定された場合、送受信部41から発信された接続要求信号Aによる発着信に係る両移動通信端末と、送受信部41で受信した接続要求信号Bによる発着信に係る両移動通信端末とが同一であるか否かを判定するものである。同一端末判定部46は、送受信時間判定部45から同時送受信判定情報が入力されると、接続要求信号生成部44から入力される接続要求信号Aに含まれる端末特定情報や送受信部41から入力される接続要求信号Bに含まれる端末特定情報を参照する。
【0041】
同一端末判定部46は、参照した端末特定情報に基づいて、接続要求信号Aによる発信元の移動通信端末の電話番号と接続要求信号Bによる発信先の移動通信端末の電話番号とが同一であって、且つ、接続要求信号Aによる発信先の移動通信端末の電話番号と接続要求信号Bによる発信元の移動通信端末の電話番号とが同一であるか否かを判定する。つまり、同一端末判定部46は、接続要求信号Aによる発着信に係る両移動通信端末と接続要求信号Bによる発着信に係る両移動通信端末とが同一か否かを判定する。同一端末判定部46は、両接続要求信号に係る両移動通信端末が同一であると判定した場合には、同一端末判定情報を優先接続判定部47に出力する。一方、両移動通信端末が同一でないと判定した場合には、双方発信の状態とならないため、同一端末判定部46は、非同一端末判定情報を接続切断処理部42に出力し、それぞれの接続要求信号に対する通常の接続処理を接続切断処理部42に行わせる。
【0042】
優先接続判定部47は、同一端末判定部46で接続要求信号Aによる発着信に係る両移動通信端末と接続要求信号Bによる発着信に係る両移動通信端末とが同一であると判定された場合、乱数設定部43で設定された乱数Aなどに基づいて、接続要求信号Aによる接続要求を、接続要求信号Bによる接続要求に対して優先させるか否かを判定するものである。例えば、移動通信端末10A及び移動通信端末10B間で双方から略同時に互いに発信が行われた場合、同一端末判定部46は、両移動通信端末10A,10Bが同一であると判定する。そして、優先接続判定部47は、乱数設定部43から入力される乱数Aと送受信部41から入力される乱数Bとの大小を比較し、数値が大きい数値が付与された接続要求信号による接続要求を、他方の小さい数値が付与された接続要求に対して優先させるといった判定をする。つまり、優先接続判定部47は、乱数Aが乱数Bより大きければ、第1移動通信交換装置40からの接続要求を第2移動通信交換装置50からの接続要求に対して優先させる判定を行う。
【0043】
優先接続判定部47は、第1移動通信交換装置40からの接続要求を優先させる場合には、優先判定情報を接続切断処理部42に出力する。この場合、第1移動通信交換装置40では、送受信部41で受信した接続要求の取消し処理が完了するのを待つ必要があるため、優先判定情報を受信した接続切断処理部42に、優先判定された接続要求の基礎となった発信処理の待ち合わせ処理を行わせる。一方、乱数Bが乱数Aより大きければ、第2移動通信交換装置50からの接続要求を第1移動通信交換装置40からの接続要求に対して優先させる判定を行う。優先接続判定部47は、第2移動通信交換装置50等の他の移動通信交換装置からの接続要求を優先させる場合には、非優先判定情報を接続切断処理部42と接続要求取消し部48に出力する。この場合、第1移動通信交換装置40では、送受信部41から送信した接続要求を後述する接続要求取消し部48で取り消すため、非優先判定情報を受信した接続切断処理部42に、優先判定された他方の接続要求に基づく着信処理の待ち合わせ処理を行わせる。
【0044】
接続要求取消し部48は、優先接続判定部47で第1移動通信交換装置40からの接続要求を他の移動通信交換装置からの接続要求に対して優先させないと判定された場合、つまり、第2移動通信交換装置50からの接続要求を第1移動通信交換装置40からの接続要求に対して優先させると判定された場合、送受信部41から第2移動通信交換装置50へ送信された接続要求信号Aによる接続要求の取消し処理を行うものである。接続要求取消し部48は、優先接続判定部47から非優先判定情報が入力されると、第1移動通信交換装置40が制御する移動通信端末10Aからの発信要求に対する切断要求を示す切断要求信号を、送受信部41から発信元の移動通信端末10Aへ送信して、移動通信端末10Aに対して発信要求の切断を促す。そして、接続要求取消し部48は、発信要求に対する切断要求を受け付けた移動通信端末10Aから送受信部41を介して開放要求信号を受信すると、移動通信端末10Aからの発信要求を開放する処理を行う。接続要求取消し部48は、この開放処理が終了したら、開放要求信号への応答である開放応答信号を送受信部41から移動通信端末10Aに送信させる。
【0045】
接続要求取消し部48は、移動通信端末10Aへの切断要求信号の送信に併せて、第1移動通信交換装置40から送信した接続要求信号による接続要求の開放を要求する開放要求信号を、送受信部41から第2移動通信交換装置50へ送信させる。そして、接続要求取消し部48は、接続要求の開放処理を行った第2移動通信交換装置50から開放応答信号を送受信部41を介して受信する。これらの開放処理により、第1移動通信交換装置40からの接続要求が取り消される。一方、優先接続判定部47で第1移動通信交換装置40からの接続要求を第2移動通信交換装置50からの接続要求に対して優先させると判定された場合には、第2移動通信交換装置50において、接続要求取消し部48と略同様の構成を有する接続要求取消し部58により、第2移動通信交換装置50からの接続要求が同様に取り消される。この場合、接続要求取消し部48は、第2移動通信交換装置50からの接続要求の開放処理を、接続要求取消し部58からの開放要求信号に応じて補完的に行う。
【0046】
このように接続要求取消し部48により、例えば、第1移動通信交換装置40からの接続要求が取り消されると、接続要求が取り消された側の接続切断処理部42は、優先判定された接続要求に基づいた着信要求信号を移動通信端末10Aへ送受信部41を介して送信させる。着信要求信号を受信した移動通信端末10Aからの着信要求受付応答信号を受信した接続切断処理部42は、他方の第2移動通信交換装置50に接続要求応答信号と接続準備完了通知信号とを送受信部41を介して送信する。これにより、移動通信端末10A,10B間の通信が確立され、第1移動通信交換装置40は、着信要求信号に基づく呼が呼出中となる状態に遷移する。なお、第2移動通信交換装置50は、上述した第1移動通信交換装置40の送受信時間判定部45、同一端末判定部46および優先接続判定部47と同様の送受信時間判定部55、同一端末判定部56および優先接続判定部57を含んで構成される。
【0047】
続いて、通信システム1により行われる動作(通信制御方法)について、図4及び図5を参照しながら説明する。図4及び図5は、通信システム1の動作を示すシーケンス図である。
【0048】
まず、移動通信端末10Aと移動通信端末10Bとが接続されて通話中である場合(S101)に、移動通信端末10A側の電波状態が悪化するようなことがあると、移動通信端末10Aが呼切断される(S102)。この呼切断を検出すると、第1移動通信交換装置40の接続切断処理部42は、第2移動通信交換装置50との間の通信接続を切断する(S103)。このように電波状態の悪化により通話が突然、切断されると、通話中であった両者は、通話を再開させようとして、その後、移動通信端末10Aから移動通信端末10Bへの発信要求(発信要求信号A)と移動通信端末10Bから移動通信端末10Aへの発信要求(発信要求信号B)とが略同時に行われる場合がある。
【0049】
このような場合において、第1移動通信交換装置40では、移動通信端末10Aからの発信要求信号Aを送受信部41が受信すると(S104)、乱数設定部43は、発信要求信号Aの優先度を示す優先度情報である乱数Aを設定する(S105)。乱数設定部43は、乱数Aを設定すると、乱数Aを示す数値情報を接続要求信号生成部44に出力すると共に、この乱数Aを示す数値情報を優先接続判定部47に出力する。その後、第1移動通信交換装置40は、発信要求信号Aに基づいて、発信先の移動通信端末10Bの在圏情報を第2加入者情報管理装置30から取得する(S106)。一方、第2移動通信交換装置50でも、同様に、移動通信端末10Bからの発信要求信号Bを送受信部51が受信すると(S107)、乱数設定部53は、発信要求信号Bの優先度を示す優先度情報である乱数Bを設定する(S108)。その後、第2移動通信交換装置50は、発信要求信号Bに基づいて発信先の移動通信端末10Bの在圏情報を第1加入者情報管理装置20から取得する(S109)。
【0050】
第1移動通信交換装置40で発信先の移動通信端末10Bの在圏情報が取得されると、接続要求信号生成部44は、移動通信端末10Aからの発信要求を示す発信要求信号Aに基づいて、第2移動通信交換装置50への接続要求を示す接続要求信号Aを生成する(接続要求信号生成ステップ)。そして、送受信部41は、生成された接続要求信号Aを第2移動通信交換装置50へ送信する(接続要求信号送信ステップ、S110)。また、送受信部41は、接続要求信号Aの送信時刻を示す送信時刻情報を送受信時間判定部45に出力する。一方、第2移動通信交換装置50でも、同様に、移動通信端末10Bからの発信要求信号Bに基づいて、第1移動通信交換装置40への接続要求信号Bが生成され、送受信部51により、接続要求信号Bが第1移動通信交換装置40へ送信される。第1移動通信交換装置40の送受信部41は、この第2移動通信交換装置50からの接続要求信号Bを受信する(接続要求信号受信ステップ、S111)。また、送受信部41は、接続要求信号Bの受信時刻を示す受信時刻情報を送受信時間判定部45に出力する。第2移動通信交換装置50でも、同様に、送信時刻情報と受信時刻情報とが送受信時間判定部55へ出力される。なお、ステップS105の乱数Aの設定ステップと、ステップS111の乱数Bを含む接続要求信号Bの受信ステップとにより、第1移動通信交換装置40において、接続要求信号Aによる接続要求と接続要求信号Bによる接続要求とのうち優先される接続要求を示す優先接続情報が取得される優先接続情報取得ステップが構成される。
【0051】
続いて、送信時刻情報と受信時刻情報とが入力された第1移動通信交換装置40では、接続要求信号Aの送信と接続要求信号Bの受信とが所定の時間内に行われたか否かを送受信時間判定部45が判定する(送受信時間判定ステップ、S112)。送受信時間判定部45が両接続要求信号の送受信が所定の時間内に行なわれたと判定した場合には、ステップS113に進み、両接続要求信号の送受信が所定の時間内に行なわれなかったと判定した場合には、ステップS114に進んで通常の接続処理を行う。接続要求信号Aを受信して接続要求信号Bを送信した第2移動通信交換装置50の送受信時間判定部55でも、同様の判定を行う(S115、S114)。
【0052】
続いて、送受信時間判定部45にて両接続要求信号の送受信が所定の時間内に行なわれたと判定された場合には、受信した接続要求信号Bによる発着信に係る両移動通信端末と送信した接続要求信号Aによる発着信に係る両移動通信端末とが同一であるか否かを同一端末判定部46が判定する(同一端末判定ステップ、S113)。同一端末判定部46が両移動通信端末は同一であると判定した場合には、ステップS116に進み、両移動通信端末は同一でないと判定した場合には、ステップS114に進んで通常の接続処理を行う。接続要求信号Aを受信した第2移動通信交換装置50の同一端末判定部56でも、同様の判定を行う(S117、S114)。
【0053】
続いて、同一端末判定部46にて両移動通信端末が同一と判定された場合には、接続要求信号Aに付与されている乱数Aと接続要求信号Bに付与されている乱数Bとから、優先接続判定部47は、接続要求信号Aによる接続要求を、接続要求信号Bによる接続要求に対して優先させるか否かを判定する(優先接続判定ステップ、S116)。第2移動通信交換装置50の優先接続判定部57でも、同様の判定を行う(S118)。なお、本動作説明では、以下、乱数Aが付与された接続要求信号Aが優先される場合について説明するが、乱数Bが付与された接続要求信号Bが優先される場合についても、第1、第2移動通信交換装置40,50の動作が入れ替わって同様の動作がなされる。
【0054】
まず、第1移動通信交換装置40では、優先接続判定部47により、乱数Aと乱数Bとの大小が比較され、乱数Aが大と判定されることで、接続要求信号Aが優先されると判定される。また、第2移動通信交換装置50では、優先接続判定部57により、乱数Aと乱数Bとの大小が比較され、乱数Aが大と判定されることで、接続要求信号Aが優先されると判定される。なお、優先接続判定部47,57により接続要求信号Bが優先されると判定される場合には、ステップS119に進む。
【0055】
優先接続判定部47により接続要求信号Aが優先されると判定されると、接続切断処理部42は、接続要求信号Aによる発信処理の待ち合わせ処理を行う(S120)。また、優先接続判定部57により接続要求信号Aが優先されると判定されると、接続切断処理部52は、接続要求信号Aによる着信処理の待ち合わせ処理を行う(S121)。これら待ち合わせ処理により、送信済みの接続要求信号Aによる接続要求処理のタイムアウトが防止される。
【0056】
続いて、優先接続判定部57により接続要求信号Bを優先させないといった非優先判定情報が入力されると、接続要求取消し部58は、第2移動通信交換装置50が制御する移動通信端末10Bからの発信要求に対する切断要求を示す切断要求信号を、送受信部51から発信元の移動通信端末10Bへ送信して、移動通信端末10Bに対して発信要求の切断を促す(S122))。そして、接続要求取消し部58は、発信要求に対する切断要求を受け付けた移動通信端末10Bから送受信部51を介して開放要求信号を受信すると(S123)、移動通信端末10Bからの発信要求を開放する処理を行う。接続要求取消し部58は、この開放処理が終了したら、開放要求信号への応答である開放応答信号を送受信部51から移動通信端末10Bに送信させる(S124)。
【0057】
また、接続要求取消し部58は、移動通信端末10Bへの切断要求信号の送信に併せて、第2移動通信交換装置50から送信した接続要求信号Bによる接続要求の開放を要求する開放要求信号を、送受信部51から第1移動通信交換装置40へ送信させる(S125)。開放要求信号を受信した第1移動通信交換装置40では、接続要求取消し部48が接続要求信号Bによる接続要求の開放処理を行い、開放処理の終了後、接続要求取消し部48が開放応答信号を送受信部41を介して、第2移動通信交換装置50へ送信する(S126)。これらステップS122〜ステップS126によって接続要求取消しステップが構成され、第2移動通信交換装置50からの接続要求が取り消される。
【0058】
このように接続要求取消し部48,58により、第2移動通信交換装置50からの接続要求が取り消されると、接続要求が取り消された側の接続切断処理部52は、優先判定された接続要求に基づいた着信要求信号を移動通信端末10Bへ送信させる(S127)。このように、接続要求信号Aに係る接続の処理は、接続要求信号Bに係る処理を行っている間は行うことができないため、当該接続要求信号Bに係る処理が終了した後に行われる。そして、着信要求信号を受信した移動通信端末10Bからの着信要求受付応答信号を接続切断処理部52が受信すると(S128)、接続切断処理部52は、接続要求信号Aに対する接続要求応答信号と接続準備完了通知信号とを第1移動通信交換装置40に送信する(S129,S130)。接続準備完了通知が送信されると、第1移動通信交換装置40と第2移動通信交換装置50との間で通信が接続され、移動通信端末10Aと移動通信端末10Bとの間で通話が再開される(S131)。
【0059】
本実施形態によれば、接続要求信号Aによる接続要求と接続要求信号Bによる接続要求とのうち優先される接続要求を示す優先接続情報を取得する。続いて、接続要求信号A及び接続要求信号Bに係る両通信端末が同一であれば、取得された優先接続情報に基づいて、接続要求信号Aによる接続要求を接続要求信号Bによる接続要求に対して優先させるか否かを判定する。そして、接続要求信号Aによる接続要求を接続要求信号Bによる接続要求に対して優先させないと判定した場合に、接続要求信号Aによる接続要求の取消し処理を行うようになっている。このように、同一の移動通信端末10間での発信に係る接続要求信号A及び接続要求信号Bのうち接続要求信号Aによる接続要求の取消し処理を行うことにより、他方の接続要求信号Bによる接続要求に基づく通信を確立させて、同一の移動通信端末10間での略同時発信による通信を確立させることができる。この結果、同一の移動通信端末10間で略同時に双方から発信した場合であっても、保留等されずに、両移動通信端末10間での通信を確立させることができ、通話を行うことができる。
【0060】
また、本実施形態では、送受信時間を判定する際の所定の時間は、接続要求信号Aと接続要求信号Bとのうち先に送受信された最先接続要求信号の送受信時から該最先接続要求信号に基づく呼が呼出中の状態に遷移するまでの時間である。これにより、接続要求の取消し処理を行う条件を限定させて、より適切に両移動通信端末10間の接続を円滑に行わせることができる。
【0061】
また、本実施形態では、優先接続情報取得手段が、接続要求信号Aによる接続要求の優先度を示す乱数Aを設定することで取得する乱数設定部43と、接続要求信号Bによる接続要求の優先度を示す乱数Bを他の移動通信交換装置50から受信することで取得する送受信部41とから構成され、優先接続判定部47は、乱数Aと乱数Bの優先度との大小を比較して、接続要求信号Aによる接続要求を接続要求信号Bによる接続要求に対して優先させるか否かを判定する。これにより、優先させる接続要求を確実に判定できる。
[第2実施形態]
【0062】
次に、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態は、移動通信交換装置40,50が移動通信端末10から発信要求信号を受信する度に乱数を設定していた乱数設定部43,53に換えて、電波環境が悪化して呼切断された側の移動通信端末10を制御していた移動通信交換装置で呼切断を検出した場合に呼切断フラグを設定する呼切断フラグ設定部(優先接続情報取得手段)43f,53fを備えた点、及び、優先接続判定部47f,57fが両接続要求信号A,Bのうち優先させる接続要求を呼切断フラグの有無に基づいて判定する点が第1実施形態と異なっている。以下、第1実施形態と相違する点を中心に説明する。
【0063】
最初に、本実施形態にかかる第1移動通信交換装置40fについて説明する。第1移動通信交換装置40fは、第1実施形態と同様に、物理的には、CPU40a、ROM40b、RAM40c、通信モジュール40d、補助記憶装置40eなどを含む通常のコンピュータシステムとして構成される。そして、機能的には、第1移動通信交換装置40fは、乱数設定部43に換えて、呼切断フラグ設定部43fを備え、その他の機能構成は第1実施形態と同様である。また、第2移動通信交換装置50fは、第1移動通信交換装置40fと略同様の構成を有する。
【0064】
呼切断フラグ設定部43fは、両移動通信端末10A,10B間での通話が一方の移動通信端末10A側で切断されたことを示す呼切断フラグを設定するものである。第1移動通信交換装置40fが制御している移動通信端末10Aと他の移動通信端末10Bとの間で行われていた通信が移動通信端末10A側の電波環境の悪化等により呼切断されると、接続切断処理部42が呼切断を検出して、呼切断が発生したことを示す呼切断発生情報を生成する。接続切断処理部42は、生成した呼切断発生情報を、呼切断フラグ設定部43fへ出力する。この呼切断発生情報には、呼切断された通信を行っていた両移動通信端末10A,10Bの電話番号といった端末特定情報や呼切断された側の端末を示す呼切断端末特定情報が含まれる。
【0065】
呼切断発生情報が入力された呼切断フラグ設定部43fは、この呼切断発生情報を接続要求信号生成部44fと優先接続判定部47fに通知すると共に呼切断発生情報を第1移動通信交換装置40fのRAM40c等に記憶させることで、両移動通信端末10A,10Bについての呼切断フラグを設定する。呼切断発生情報は、優先される接続要求を示す優先接続情報となる。接続要求信号生成部44fは、移動通信端末10Aから発信要求信号Aを受信すると、通知された呼切断発生情報を照会して、呼切断フラグ設定部43fで、両移動通信端末10A,10B間についての呼切断フラグが設定されているかどうかを判定する。呼切断フラグが設定されているかどうかの判定は、記憶した呼切断発生情報に含まれる端末特定情報や呼切断端末特定情報に、移動通信端末10A,10Bの通信が呼切断されたことを示す情報が含まれているか否かを判断することによって行なわれる。接続要求信号発生部44fは、移動通信端末10A,10Bの通信が呼切断されたことを示す情報が含まれており、両移動通信端末10A,10Bについての呼切断フラグが設定されていたと判定した場合には、第1実施形態における乱数Aの付与に換えて、接続要求信号Aに発信要求元の移動通信端末10Aで呼切断されたことを示す呼切断フラグ情報を付与し、呼切断フラグ情報が付与された接続要求信号Aを送受信部41fを介して第2移動通信交換装置50fへ送信する。一方、呼切断フラグ設定部43fで呼切断フラグが設定されていない場合には、接続要求信号Aに呼切断フラグ情報を付与せず、呼切断フラグ情報が付与されていない接続要求信号Aを第2移動通信交換装置50fへ送信する。
【0066】
第2移動通信交換装置50fにおいても、第1移動通信交換装置40fと同様の呼切断フラグ設定部53fが備えられ、移動通信端末10B側で呼切断がされた場合には、接続要求信号生成部54fは、呼切断フラグ情報が付与された接続要求信号Bを第1移動通信交換装置40fへ送信するようになっている。なお、呼切断フラグ設定部43f,53fは、付与された接続要求信号A又はBに基づく通信が接続された場合に通知した各呼切断発生情報を消去することで、接続された移動通信端末10A,10Bについての呼切断フラグの設定を取消すようになっている。また、呼切断は、通常、電波環境が悪化した一方の移動通信端末側で発生するため、呼切断フラグ情報が共に付与された接続要求信号Aと接続要求信号Bとが所定の時間内に同時に送受信されることはない。
【0067】
優先接続判定部47fは、第1実施形態と同様に、同一端末判定部46で接続要求信号Aに係る両移動通信端末と接続要求信号Bに係る両移動通信端末とが同一であると判定された場合、呼切断フラグ設定部43fからの呼切断発生情報に基づいて、接続要求信号Aによる接続要求を、接続要求信号Bによる接続要求に対して優先させるか否かを判定するものである。優先接続判定部47fは、同一端末判定部46で、接続要求信号A,Bに係る両移動通信端末が同一であると判定されると、呼切断フラグ設定部43fから通知される呼切断発生情報又は接続要求信号Bに付加された呼切断発生情報を参照し、呼切断側の移動通信端末(例えば移動通信端末10A)を特定する。そして、優先接続判定部47fは、呼切断側の移動通信端末からの発信要求に基づく接続要求信号、つまり、呼切断発生情報が付与された接続要求信号による接続要求を、他方の呼切断発生情報が付与されていない接続要求信号による接続要求に対して優先させるといった判定をする。優先接続判定部47による優先判定処理後の各機能は、第1実施形態と同様である。
【0068】
続いて、通信システム1により行われる動作(通信制御方法)について、図6を参照しながら説明する。図6は、通信システム1の動作を示すシーケンス図である。なお、本実施形態では、移動通信端末10A,10B間で通話中に移動通信端末10A側で呼切断が発生した場合を例にとって説明するが、移動通信端末B側で呼切断が発生した場合には、第1、第2移動通信交換装置40f,50fの動作が入れ替わって同様の動作がなされる。
【0069】
まず、移動通信端末10A、10B間で通話中(S101)に、移動通信端末10A側の電波状態が悪化するようなことがあると、移動通信端末10Aが呼切断される(S102)。第1移動通信交換装置40fの接続切断処理部42は、この呼切断を検出すると、第2移動通信交換装置50fとの間の通信接続を切断する(S103)と共に、呼切断が発生したことを示す呼切断発生情報を生成する。そして、接続切断処理部42は、生成した呼切断発生情報を、呼切断フラグ設定部43fへ出力する。呼切断発生情報が入力された呼切断フラグ設定部43fは、この呼切断発生情報を接続要求信号生成部44fと優先接続判定部47fに通知することで、両移動通信端末10A,10Bについての呼切断フラグを設定する(S140)。その後、第1実施形態と同様に、各移動通信端末10A,10Bからの発信要求信号の送受信や在圏情報の取得処理等(S104、S106、S107、S109)が行われる。
【0070】
第1移動通信交換装置40fで発信先の移動通信端末10Bの在圏情報が取得されると、接続要求信号生成部44fは、呼切断発生情報が呼切断フラグ設定部43fから通知されていれば、発信要求信号Aに基づいて、呼切断フラグ情報が付与された接続要求信号Aを生成し(接続要求信号生成ステップ)、送受信部41を介して、接続要求信号Aを第2移動通信交換装置50へ送信する(接続要求信号送信ステップ、S110)。一方、第2移動通信交換装置50fでも、同様に、移動通信端末10Bからの発信要求信号Bに基づいて接続要求信号Bが生成され、送受信部51により、接続要求信号Bが第1移動通信交換装置40へ送信される。なお、接続要求信号Bには、呼切断フラグ情報が付与されていない。その後、第1実施形態と同様に、送受信時間の判定や同一端末の判定(S112〜S115、S117)が行われる。なお、ステップS140の呼切断フラグの設定ステップ又はステップS111の呼切断フラグを含む接続要求信号Bの受信ステップにより、第1移動通信交換装置40fにおいて、接続要求信号Aによる接続要求と接続要求信号Bによる接続要求とのうち優先される接続要求を示す優先接続情報が取得される優先接続情報取得ステップが構成される。
【0071】
続いて、同一端末判定部46にて両移動通信端末が同一と判定された場合には、接続要求信号に付与されている呼切断フラグから、優先接続判定部47fは、接続要求信号Aによる接続要求を、接続要求信号Bによる接続要求に対して優先させるか否かを判定する(優先接続判定ステップ、S141)。第2移動通信交換装置50fの優先接続判定部57fでも、同様の判定を行う(S142)。なお、本動作説明では、上記したように、移動通信端末10A側で呼切断が発生したため、呼切断フラグ設定部140からの呼切断発生情報に基づいて、接続要求信号Aが優先と判定され、第2移動通信交換装置50fの優先接続判定部57fでも同様に呼切断フラグ情報が付与された接続要求信号Aが優先と判定される。なお、優先接続判定部47f,57fでの接続要求の優先判定後の動作は、第1実施形態におけるステップS120〜S131(図5参照)と同様である。
【0072】
本実施形態によれば、呼切断フラグ設定部43f,53fは、同一端末判定部46,56で同一と判定された移動通信端末10A,10B間での通話が一方の移動通信端末10A側で切断されたことを示す呼切断フラグを設定することで優先接続情報を取得し、優先接続判定部47f,57fは、例えば、通話を切断した移動通信端末A側を示す呼切断フラグに基づいて、接続要求信号Aによる接続要求を接続要求信号Bによる接続要求に対して優先させるか否かを判定している。このように呼切断フラグを用いて判定するため、優先させる接続要求を確実に判定できる。なお、呼切断フラグ情報を、呼切断された移動通信端末10A又は10Bで生成して、移動通信交換装置40,50への発信要求信号に含ませるようにしてもよい。この場合、移動通信交換装置40f,50fは、呼切断された移動通信端末10A又は10Bからの発信要求信号を受信する。そして、移動通信交換装置40f,50fは、その発信要求信号に含まれる呼切断フラグ情報を抽出し、抽出した呼切断フラグ情報に基づいて上記と同様な優先判定を行い、いずれか一方の接続要求に基づく通信を接続させる。また、上記の実施形態では、呼切断フラグが設定された側の接続要求信号を優先させるようにしているが、これに限定されるわけではなく、呼切断フラグが設定されていない側の接続要求信号を優先させるようにしてもよい。
[第3実施形態]
【0073】
次に、本発明の第3実施形態について説明する。本実施形態は、優先接続情報を各移動通信交換装置40,50等でそれぞれ取得及び管理する第1、第2実施形態と異なり、すべての優先接続情報を発信優先権として一括管理する発信優先権管理装置を用いている点で相違する。
【0074】
まず、本実施形態にかかる通信システム1aの全体構成について、図7を参照しながら説明する。図7に示すように、通信システム1aは、移動通信端末10間での通信を確立させて通話を行えるようにするための通信システムである。この通信システム1aは、第1加入者情報管理装置20、第2加入者情報管理装置30、発信優先権管理装置60、第1移動通信交換装置70、第2移動通信交換装置80及び複数の他の移動通信交換装置(不図示)を含んで構成される。なお、通信システム1aが別の加入者情報管理装置を更に含んで構成されていてもよいことは第1実施形態と同様である。この通信システム1aによって、移動通信端末10A,10B間で通話を行おうとすると、両移動通信端末10A,10Bを制御する各移動通信交換装置70,80は、発信優先権管理装置60を一元管理装置とした発信要求信号の送受信を行って、通信を接続させるようになっている。
【0075】
続いて、発信優先権管理装置60について説明する。図2に示すように、発信優先権管理装置60は、物理的には、CPU60a、ROM60bおよびRAM60c等の主記憶装置、各移動通信交換装置70,80等との間でデータの送受信を行うためのネットワークカード等の通信モジュール60d、ハードディスク等の補助記憶装置60eなどを含む通常のコンピュータシステムとして構成される。後述する発信優先権管理装置60の各機能は、CPU60a、ROM60b、RAM60c等のハードウェア上に所定のコンピュータソフトウェアを読み込ませることにより、CPU60aの制御の元で通信モジュール60dを動作させると共に、主記憶装置60b,60cや補助記憶装置60eにおけるデータの読み出しおよび書き込みを行うことで実現される。
【0076】
図8は、発信優先権管理装置60の構成概要図である。図8に示すように、発信優先権管理装置60は、機能的には、発信優先権管理部61、送受信部(発信優先権要求信号受信手段、優先応答信号送信手段、発信規制応答信号送信手段)62、発信優先権付与判定部(発信優先権付与判定手段)63、優先応答信号生成部(優先権付与手段、優先応答信号生成手段)64、及び発信規制応答信号生成部(発信規制応答信号生成手段)65を備えて構成される。
【0077】
発信優先権管理部61は、2つの移動通信端末の電話番号で特定される同一発着信グループ毎に一の発信優先権を付与したか否かの情報を同一発着信グループ毎に管理するものである。この発信優先権とは、同一の移動通信端末10A,10B間で所定の時間内に互いに発信が行われた場合、各発信に基づく接続要求のうち優先させる一方の接続要求に対して与えられる優先権である。このような所定の時間は、例えば、同じ発着信グループ内で優先させる一方の接続要求のための発信優先権要求信号を送受信部62が受信した後、その発信優先権要求信号に基づく通話が終話するまでの時間である。
【0078】
発信優先権管理部61は、この発信優先権の付与済み情報と各発信優先権に係る両移動通信端末10A,10Bの端末特定情報とを対応させた情報を照会可能な状態で保持する。そして、発信優先権管理部61は、後述する発信優先権付与判定部63から端末特定情報等で特定された発着信グループについての発信優先権の付与状況の照会が行われると、その特定の発着信グループについての発信優先権の付与状況についての情報を発信優先権付与判定部63に出力する。なお、発信優先権管理部61は、管理している発信優先権に係る両移動通信端末10A,10B間で通信が行われて、その通信にかかる終話処理を検出し(例えば、移動通信交換装置70又は80の一方からの終話通知信号を受けて検出)、その発信優先権の付与済み情報を消去する。このように終話後にその発信優先権を消去することで、不要な電話番号がプロファイルに残存せず、呼切断の判定が複雑になることを避けられたり、次回、同じ発着信グループで通信が行われた場合に、通常の接続処理を支障なく行うことができる。つまり、発信優先権管理部61は、発信優先権が付与されている状態を開放する処理も行う。
【0079】
送受信部62は、通信モジュール60dを動作させて各種の信号を送受信するものである。例えば、送受信部62は、第1移動通信交換装置70から、発信優先権要求信号(例えば発信優先権要求信号A、図12参照)を受信する。この発信優先権要求信号は、同じ発着信グループ内で複数の接続要求が所定の時間内にあった場合、それら複数の接続要求のうち優先させる一の接続要求を示す発信優先権を要求するための信号である。発信優先権要求信号Aは、移動通信端末10Bから移動通信端末10Aへの発信要求による接続に対して、移動通信端末10Aから移動通信端末10Bへの発信要求による接続を優先させる発信優先権を要求する信号であり、発信元の移動通信端末10Aの電話番号と発信先の移動通信端末10Bの電話番号といった端末特定情報を含んでいる。また、送受信部62は、第2移動通信交換装置80等からも同様に発信優先権要求信号(例えば発信優先権要求信号B、図12参照)を受信する。送受信部62は、受信した発信優先権要求信号A,Bを発信優先権付与判定部63へ出力する。なお、送受信部62が送信する信号については後述する。
【0080】
発信優先権付与判定部63は、送受信部62で受信した発信優先権要求信号A又はBに含まれる端末特定情報で特定される両移動通信端末10A,10Bと同一の移動通信端末間の発着信に係る接続要求に対して所定の時間内に発信優先権を付与したか否かを判定するものである。発信優先権付与判定部63は、送受信部62から発信優先権要求信号A又はBが入力されると、入力された発信優先権要求信号A又はBの端末特定情報で特定される両移動通信端末10A,10Bからなる発着信グループについて、発信優先権の付与状況を発信優先権管理部61に対して照会する。照会の結果、同一の発着信グループに対して発信優先権が付与されていないとの情報が入力されると、発信優先権付与判定部63は、発信優先権要求信号A又はBに含まれる端末特定情報で特定される両移動通信端末10A,10Bと同一の移動通信端末間の発着信に係る接続要求に対して発信優先権を付与していないと判定する。そして、発信優先権付与判定部63は、発信優先権を付与していないと判定すると、発信優先権の未付与情報を優先応答信号生成部64に出力する。
【0081】
一方、発信優先権付与判定部63は、照会の結果、同一の発着信グループに対して発信優先権が付与済みとの情報が入力されると、発信優先権要求信号A又はBに含まれる端末特定情報で特定される両移動通信端末10A,10Bと同一の移動通信端末間の発着信に係る接続要求に対して発信優先権を付与済みと判定する。そして、発信優先権付与判定部63は、発信優先権の付与済み情報を発信規制応答信号生成部65に出力する。つまり、発信優先権付与判定部63は、一方の移動通信端末10A又は10Bで呼切断された後、先に受信された発信優先権要求信号A又はBに対して、発信優先権がまだ付与されていないと判定するものである。
【0082】
優先応答信号生成部64は、発信優先権付与判定部63により所定の時間内に発信優先権を付与していないと判定された場合、発信優先権要求信号A又はBに対する発信優先権を付与した発信優先権応答信号を生成するものである。優先応答信号生成部64は、発信優先権付与判定部63から発信優先権の未付与情報が入力されると、対象となる発信優先権要求信号A又はBの端末特定情報で特定される発着信グループに対する発信優先権を発生付与させて、この発信優先権を付与した発信優先権応答信号を生成する。そして、優先応答信号生成部64は、対象の発信優先権要求信号A又はBの送信元となる第1移動通信交換装置70又は第2移動通信交換装置80に対して、送受信部62を介して、発信優先権応答信号を送信する。
【0083】
優先応答信号生成部64は、発信優先権を新たに発生させた場合には、発信優先権に係る両移動通信端末の端末特定情報とその両移動通信端末に対して新たに発信優先権を付与したことを示す新規付与情報とを、発信優先権管理部61に出力する。これにより、発信優先権管理部61で管理する発信優先権の情報が更新され、同一の発着信グループにかかる後続の発信優先権要求信号による発信を、後述する発信規制応答信号生成部65で生成される発信規制応答信号に基づいて規制させることができる。なお、発信優先権応答信号を生成せずに、発信優先権の発生付与のみを行って発信優先権管理部61で管理する発信優先権の情報を更新するようにしてもよい。
【0084】
発信規制応答信号生成部65は、発信優先権付与判定部63により所定の時間内に発信優先権を付与したと判定された場合、発信優先権要求信号に対して発信規制することを示した発信規制応答信号を生成するものである。発信規制応答信号生成部65は、発信優先権付与判定部63から発信優先権の付与済み情報が入力されると、対象となる発信優先権要求信号A又はBの端末特定情報で特定される発着信グループに対する発信を規制させる発信規制応答信号を生成する。発信規制応答信号生成部65は、対象の発信優先権要求信号A又はBの送信元となる第1移動通信交換装置70又は第2移動通信交換装置80に対して、送受信部62を介して、発信規制応答信号を送信する。なお、発信規制応答信号を受信した移動通信交換装置70,80は、受信中の発信要求信号A又はBによる接続要求を切断する処理を行う。
【0085】
続いて、第1移動通信交換装置70について説明する。第1移動通信交換装置70は、第1実施形態の第1移動通信交換装置40等と同様のハードウェア構成を備え、通信エリアAに在圏する移動通信端末10Aの通信を制御する。この第1移動通信交換装置70は、図9に示すように、機能的には、送受信部71、接続切断処理部72、切断有無判定部73、及び発信優先権要求信号生成部74を備えて構成される。なお、第2移動通信交換装置80は、送受信部71〜発信優先権要求信号生成部74と同様の、送受信部81、接続切断処理部82、切断有無判定部83、及び発信優先権要求信号生成部84を含んで構成される。
【0086】
送受信部71は、通信モジュールを動作させて各種の信号を送受信するものである。例えば、送受信部71は、第1移動通信交換装置が制御する移動通信端末10Aからの発信要求信号Aを受信する。また、送受信部71は、上記した発信優先権要求信号Aを発信優先権管理装置60に送信したり、発信優先権管理装置60から発信優先権応答信号や発信規制応答信号を受信したりする。そして、送受信部71は、発信優先権応答信号や発信規制応答信号を受信すると、これら信号を接続切断処理部72に出力する。
【0087】
接続切断処理部72は、第1実施形態の接続切断処理部42等における在圏情報の取得処理等の一般的な通信機能と略同様の機能を備え、移動通信端末10A,10B間の通信を接続又は切断させたりする処理を行うものである。そして、接続切断処理部72は、送受信部71から発信優先権応答信号が入力されると、発信先の移動通信端末10Bの在圏情報の取得処理やその後の一般的な接続処理を行って、第1移動通信交換装置70と第2移動通信交換装置80とを接続させ、両移動通信端末10A,10B間で通話を行えるようにする。
【0088】
接続切断処理部72は、送受信部71から発信規制応答信号が入力されると、発信元の移動通信端末10Aからの発信要求を切断する処理(例えば第1実施形態のステップS122〜S124の処理に相当)を移動通信端末10Aに対して行って双方発信の状態を解消する。接続切断処理部72は、この解消処理の際、発信優先権を取得できなかった理由(例えば「発信先の移動通信端末10Bからの発信要求が発信優先権を取得したので移動通信端末10Bからすぐに電話がかかってくるため」)を発信者に通知すると共に、数秒間、移動通信端末10Aからの発信操作を規制する。なお、接続切断処理部72が、上記の理由等を音声情報として移動通信端末10Aに送信し、移動通信端末10Aで再生できるようにしてもよい。また、接続切断処理部72は、双方発信状態の解消後、発信優先権応答信号が入力された他の移動通信交換装置からの接続要求信号が第1移動通信交換装置70に送信されると、その接続要求信号に対応した接続処理を行う。
【0089】
接続切断処理部72は、移動通信端末10A,10B間での通話中に第1移動通信交換装置70が制御する移動通信端末10A側の電波環境が悪化等して移動通信端末10Aの呼切断が自動的に行われると、この呼切断を検出して第1移動通信交換装置70と第2移動通信交換装置80との通信接続を切断する。また、接続切断処理部72は、上記の呼切断を検出した場合には、両移動通信端末10A,10Bの端末特定情報と呼切断されたことを示す情報とを含む呼切断発生情報を生成して、移動通信端末10Aのプロファイル上で管理する。これにより、切断状態が保持される。このようにプロファイル上で管理される呼切断発生情報としては、例えば、図10に示すように、第1移動通信交換装置70で制御していた移動通信端末10の電話番号と他の移動通信交換装置で制御していた相手先の移動通信端末10の電話番号とが対応したデータがある。接続切断処理部72は、この呼切断発生情報を切断有無判定部73に出力すると共に、他の移動通信交換装置が第2移動通信交換装置80である場合には、第2移動通信交換装置80への切断要求信号に呼切断発生情報を含ませて送信する。呼切断発生情報を含む切断要求信号を受信した第2移動通信交換装置80は、呼切断発生情報を抽出して、第1移動通信交換装置70と同様に呼切断情報を保持する。なお、上記呼切断を検出していなかった場合、呼切断発生情報における相手の電話番号を「無」とする(図10のテーブルの1行目、3行目のデータ参照)。管理プロファイル上、相手先電話番号が「無」の場合には、呼切断情報を含む切断要求信号の送信は行えない。
【0090】
切断有無判定部73は、移動通信端末Aから発信要求信号Aを受信すると、発信要求信号Aに含まれる端末特定情報で特定される両移動通信端末10A,10B間の通話が過去に呼切断されたか否かその有無を判定するものである。切断有無判定部73は、発信元の移動通信端末10Aから発信要求信号Aを送受信部71を介して受信すると、発信要求信号Aに含まれる端末特定情報と接続切断処理部72から入力された呼切断発生情報とを比較し、発信要求信号Aにかかる移動通信端末10A,10B間の通話が過去の所定時間内に呼切断されたものであるか否かを判定する。切断有無判定部73は、判定の結果、発信要求信号Aが過去に呼切断された発着信グループに係るものである場合には、呼切断有りとの情報を発信優先権要求信号生成部74に出力する。一方、判定の結果、発信要求信号Aが過去に呼切断された発着信グループにかかるものでない場合には、呼切断なしとの情報を接続切断処理部72に出力する。呼切断なしとの情報が入力された接続切断処理部72は、発信要求信号Aに基づいて通常の接続処理を行う。
【0091】
発信優先権要求信号生成部74は、切断有無判定部73から呼切断ありとの情報が入力されると、発信要求信号Aに対する発信優先権要求信号Aを生成するものである。発信優先権要求信号生成部74は、発信優先権要求信号Aを生成すると、送受信部71を介して発信優先権要求信号Aを、発信優先権管理装置60に送信する。なお、発信優先権要求信号Aに対する応答信号である発信優先権応答信号等は上記のように送受信部71で受信される。
【0092】
続いて、通信システム1aにより行われる動作(通信制御方法)について、図11及び図12を参照しながら説明する。図11及び図12は、通信システム1aの動作を示すシーケンス図である。なお、本実施形態では、移動通信端末10A,10B間で通話中に移動通信端末10A側で呼切断が発生した場合を例にとって説明するが、移動通信端末B側で呼切断が発生した場合には、第1、第2移動通信交換装置70,80の動作が入れ替わり、発信優先権管理装置60で同様の動作がなされる。
【0093】
まず、移動通信端末10A、10B間で通話中(S201)に、移動通信端末10A側の電波状態が悪化するようなことがあると、移動通信端末10Aが呼切断される(S202)。この呼切断が検出されると、第1移動通信交換装置70の接続切断処理部72により、呼切断が発生したことを示す呼切断発生情報が生成される。そして、接続切断処理部72により、呼切断発生情報が切断有無判定部73に出力され、呼切断状態が保持される(S203)。また、接続切断処理部72により、呼切断発生情報を含む切断要求信号が第2移動通信交換装置80に送信され(S204)、第2移動通信交換装置80側でも呼切断状態が保持される(S205)。その後、接続切断処理部72により、第2移動通信交換装置80との間の通信接続が切断される(S206)。
【0094】
続いて、第1移動通信交換装置70では、移動通信端末10Aからの発信要求信号Aが送受信部71により受信されると(S207)、切断有無判定部73により、呼切断発生情報に基づいて、発信要求信号Aにかかる両移動通信端末10A,10B間の通信が電波環境の悪化等で呼切断されたものであるか否かが判定される(S208)。判定の結果、呼切断されたものでないと切断有無判定部73により判定された場合には、ステップS209に進んで通常の接続処理を行い、呼切断されたものであると判定された場合には、ステップS210に進む。
【0095】
続いて、発信要求信号Aにかかる両移動通信端末10A,10B間の通信が呼切断されたものであると判定された場合、発信優先権要求信号生成部74により、発信要求信号Aに対する発信優先権要求信号Aが生成される。そして、発信優先権要求信号生成部74により、生成された発信優先権要求信号Aが発信優先権管理装置60へ送信される(S211)。
【0096】
第1移動通信交換装置70から発信優先権要求信号Aが送信されると、発信優先権管理装置60は、送受信部62を介して、発信優先権要求信号Aを受信する(発信優先権要求信号受信ステップ、S211)。そして、送受信部62から発信優先権要求信号Aが入力されると、発信優先権付与判定部63は、入力された発信優先権要求信号Aの端末特定情報で特定される両移動通信端末10A,10Bからなる発着信グループについて、発信優先権の付与状況を発信優先権管理部61に対して照会する。照会の結果、同一の発着信グループに対して発信優先権が付与されていないとの情報が入力されると、発信優先権付与判定部63は、発信優先権要求信号Aによる発着信に係る両移動通信端末10A,10Bと同一の移動通信端末間の発着信にかかる接続要求に対して発信優先権を付与していないと判定する(発信優先権付与判定ステップ、S212)。そして、発信優先権付与判定部63は、発信優先権を付与していないと判定すると、発信優先権の未付与情報を優先応答信号生成部64に出力して、ステップS213に進む。
【0097】
一方、照会の結果、同一の発着信グループに対して発信優先権が付与済みとの情報が入力されると、発信優先権付与判定部63は、発信優先権要求信号Aによる発着信に係る両移動通信端末10A,10Bと同一の移動通信端末間の発着信にかかる接続要求に対して発信優先権を付与済みと判定する。そして、発信優先権付与判定部63は、発信優先権の付与済み情報を発信規制応答信号生成部65に出力し、ステップS214に進んで、発信要求信号Aに対する発信規制処理(後述するステップS224,S225に相当)を行う。
【0098】
続いて、ステップS213に進んで、発信優先権要求信号Aに対して優先権を与える場合について説明する。ステップS213では、優先応答信号生成部64は、発信優先権付与判定部63から発信優先権の未付与情報が入力されると、対象となる発信優先権要求信号Aの端末特定情報で特定される発着信グループに対する発信優先権を発生させて、この発信優先権を付与した発信優先権応答信号を生成する(優先権付与ステップ)。そして、優先応答信号生成部64は、第1移動通信交換装置70に対して、発信優先権応答信号を送信する(S215)。また、優先応答信号生成部64は、発信優先権に係る両移動通信端末10A,10Bの端末特定情報とその両移動通信端末10A,10Bに対して新たに発信優先権を付与したことを示す新規付与情報とを、発信優先権管理部61に出力して記憶する。なお、発信優先権応答信号を受信した第1移動通信交換装置70側では、ステップS215における発信優先権応答信号を受信し、接続切断処理部72により、移動通信端末10Bの在圏情報が取得される(S216)。
【0099】
一方、第2移動通信交換装置80でも、移動通信端末10Bからの発信要求信号Bが、第1移動通信交換装置70と略同時に受信される(S217)。移動通信端末10Bからの発信要求信号Bが受信されると、切断有無判定部83により、呼切断発生情報に基づいて、発信要求信号Bにかかる両移動通信端末10A,10B間の通信が電波環境の悪化等で呼切断されたものであるか否かが判定される(S218)。判定の結果、呼切断されたものでないと切断有無判定部83により判定された場合には、ステップS219に進んで通常の接続処理が行われ、呼切断されたものであると判定された場合には、ステップS220に進む。
【0100】
続いて、発信要求信号Bにかかる両移動通信端末10A,10B間の通信が呼切断されたものであると判定された場合、発信優先権要求信号生成部84により、発信要求信号Bに対する発信優先権要求信号Bが生成される(S220)。そして、発信優先権要求信号生成部84により、生成した発信優先権要求信号Bが発信優先権管理装置60へ送信される(S221)。その後、ステップS212と同様の判定が行われる(S222)。ステップS222の判定では、発信優先権要求信号Bにかかる同一の発着信グループ(つまり移動通信端末10A,10B)に対して既にステップS213で発信優先権が付与済みであり、発信優先権管理部61から付与済みとの情報が入力されると、発信優先権付与判定部63は、発信優先権の付与済み情報を発信規制応答信号生成部65に出力する。
【0101】
一方、ステップS222で発信優先権が付与済みでない場合には、ステップS223に進んで発信優先処理(上述したステップS215,S216及び後述するS226に相当)が行われる。発信優先権の付与済み情報が入力されると、発信規制応答信号生成部65は、発信要求信号Bに対する発信規制応答信号を生成し(発信規制応答信号生成ステップ)、第2移動通信交換装置80に送信する(発信規制応答信号送信ステップ、S224)。発信規制応答信号を受信した第2移動通信交換装置80では、発信要求信号Bによる発信要求を切断する処理が行われる(S225)。その後、ステップS216で移動通信端末10Bの在圏情報取得処理を行った接続切断処理部72により、第1移動通信交換装置70と第2移動通信交換装置80とが接続され、移動通信端末10Aと移動通信端末10Bとの間で通話が再開される(S226)。なお、通話が再開された後、発信優先権管理装置60が終話通知信号を受けとると、上述した発信優先権の開放処理を行って、発信優先権を消去する(S227)。
【0102】
本実施形態によれば、一方の通信交換装置70又は80からの発信優先権要求信号A又はBに含まれる端末特定情報で特定される両移動通信端末10A,10Bと同一の通信端末間の発着信にかかる接続要求に対して所定の時間内に発信優先権を付与したか否かを判定する。そして、同一の移動通信端末10A,10B間の発着信にかかる接続要求に対して所定の時間内に発信優先権を付与していないと判定された場合、発信優先権要求信号A又はBに対して発信優先権を付与した発信優先権応答信号を生成して、一方の通信交換装置70又は80へ送信し、また、発信優先権を付与したと判定された場合、発信優先権要求信号A又はBに対して発信規制することを示した発信規制信号を生成して、他方の通信交換装置70又は80へ送信するようになっている。このように、同一の移動通信端末10A,10B間における先の接続要求に対して優先権を与えると共に既に発信優先権が付与された同一の移動通信端末10A,10B間における後続の接続要求に対しては発信規制することにより、発信優先権が付与された接続要求に基づいて通信を確立させて、同一の移動通信端末10A,10B間での略同時発信による通信を確立させることができる。この結果、同一の移動通信端末10A,10B間で略同時に双方から発信した場合であっても、保留等されずに両移動通信端末10A,10B間での通信を確立させることができ、通話を行うことができる。なお、本実施形態は、切断されたすべての通信に対して行うことが可能であるが、電波環境の悪化による呼切断に基づく通信の再接続に限定して行うことで、管理する通信接続の処理数を少なくすることができ、発信優先権の一元管理を効率的にすることができる。
[第4実施形態]
【0103】
次に、本発明の第4実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態において移動通信交換装置40,50で行っていた乱数の設定や各種判定(送受信時間判定、同一端末判定、及び優先接続判定)を各移動通信端末で行うものである。なお、用いられる通信システム1は、第1実施形態と略同様であり、図1の移動通信端末10(10A,10B)が下記の移動通信端末90(90A,90B)に替わる点が相違する。また、本実施形態における移動通信交換装置40,50は、従来の移動通信交換装置と同様である。
【0104】
まず、本実施形態にかかる移動通信端末90について説明する。図13は、移動通信端末90のハードウェア構成図である。図13に示すように、移動通信端末90は、物理的には、CPU90a、ROM90bおよびRAM90C等の主記憶装置、使用者による入力を受け付けるための操作部90d、移動通信交換装置40,50等との間で無線通信を行うための無線通信部90e、各種の情報を表示するディスプレイ90fなどを含む通常のコンピュータシステムとして構成される。後述する移動通信端末90の各機能は、CPU90a、ROM90b、RAM90c等のハードウェア上に所定のコンピュータソフトウェアを読み込ませることにより、CPU90aの制御の元で無線通信部90eを動作させると共に、主記憶装置90b,90cにおけるデータの読み出しおよび書き込みを行うことで実現される。
【0105】
図14は、移動通信端末90の構成概要図である。図14に示すように、移動通信端末90は、機能的には、送受信部(発信要求信号送信手段、着信要求信号受信手段)91、乱数設定部(第1優先度情報取得手段)92、発信要求信号生成部93、送受信時間判定部(送受信時間判定手段)94、同一端末判定部(同一端末判定手段)95、優先接続判定部(優先接続判定手段)96、及び通信開放処理部(発信要求取消し手段)97を備えて構成される。
【0106】
送受信部91は、無線通信部90eを動作させて各種の信号を送受信するものである。例えば、送受信部91は、他の移動通信端末90への発信要求を示す発信要求信号(例えば発信要求信号A、図15参照)を、在圏中の通信エリアの通信を制御している移動通信交換装置40又は50へ送信する。また、送受信部91は、他の移動通信端末90からの発信要求による着信要求信号(例えば着信要求信号B、図15参照)を、在圏中の通信エリアの通信を制御している移動通信交換装置40又は50から受信する。この着信要求信号には、後述するように、乱数情報が付与されている。また、送受信部91は、移動通信交換装置40又は50へ発信要求信号を送信した送信時刻情報や移動通信交換装置40又は50から着信要求信号を受信した受信時刻情報を送受信時間判定部94に出力する。
【0107】
乱数設定部92は、移動通信端末90から発信要求を行なうとする際に、その都度、所定の乱数A(第1優先度情報、第1の数値情報)を設定するものである。乱数設定部92は、移動通信端末90の使用者によって操作部90dが操作されて、他の移動通信端末90への発信処理がROM90b等に格納されている発信プログラムを呼び出すことなどにより行われると、接続要求の優先度を示す乱数Aを設定する。乱数Aの設定は、ROM90b等に格納されている乱数設定プログラムを呼び出すことなどにより行われる。乱数Aを設定した乱数設定部92は、乱数Aを示す数値情報を発信要求信号生成部93に出力すると共に、この乱数Aを示す数値情報を優先接続判定部96に出力する。
【0108】
発信要求信号生成部93は、他の移動通信端末90に対する発信要求を示す発信要求信号を生成するものである。発信要求信号生成部93は、使用者によって操作部90dが操作されて、他の移動通信端末90への発信処理が行われると、発信要求信号を生成する。この発信要求信号には、発信元の移動通信端末90の電話番号と発信先の移動通信端末90の電話番号とを示す端末特定情報が含まれ、さらに、乱数設定部92から出力された乱数Aを示す数値情報が付与されている。発信要求信号生成部93は、このような情報を含む発信要求信号を送受信部91及び同一端末判定部95に出力する。送受信部91に出力された発信要求信号は、その移動通信端末90の通信を制御している移動通信交換装置40,50に送信される。他の移動通信端末90でも同様の発信要求信号が生成され、移動通信交換装置40,50等に送信される。乱数設定部92で設定される乱数Aと、他の移動通信端末90の乱数設定部92で設定される乱数Bとは、同一の移動通信端末90間で双方から略同時に発信が行われた場合に、優先させる接続要求を示すための優先接続情報となる。そのため、一の移動通信端末90においては、乱数Aを設定する乱数設定部92と、他の移動通信端末90で設定された乱数Bを含む着信要求信号を受信する送受信部91とにより、優先接続情報取得手段が構成される。
【0109】
送受信時間判定部94は、送受信部91による移動通信交換装置40,50への発信要求信号の送信と、送受信部91による移動通信交換装置40,50からの着信要求信号の受信とが所定の時間内に行われたか否かを判定するものである。送受信時間判定部94は、送受信部91から入力された発信要求信号の送信時刻情報と着信要求信号の受信時刻情報とに基づき、発信要求信号と着信要求信号とのうち先に送受信された最早の発着信要求信号の送受信時からその最早の発着信要求信号に基づく呼が呼出中の状態に遷移するまでの間に後続の発着信要求信号を受信した場合には、発信要求信号の送信と着信要求信号の受信とが所定の時間内に行われたと判定する。送受信時間判定部94は、発着信要求信号の送受信が所定の時間内に行われたと判定した場合には、同一タイミングでの送受信を示す同時送受信判定情報を同一端末判定部95に出力する。一方、発着信要求信号の送受信が所定の時間内に行われなかったと判定された場合には通常の発着信処理を行わせる。
【0110】
同一端末判定部95は、送受信時間判定部94で発信要求信号の送信と着信要求信号の受信とが所定の時間内に行われたと判定された場合、送受信部91から発信された発信要求信号による着信に係る移動通信端末と、送受信部91で受信した着信要求信号による発信に係る移動通信端末とが同一であるか否かを判定するものである。同一端末判定部95は、送受信時間判定部94から同時送受信判定情報が入力されると、発信要求信号生成部93から入力される発信要求信号に含まれる端末特定情報や送受信部91から入力される着信要求信号に含まれる端末特定情報を参照する。同一端末判定部95は、参照した端末特定情報に基づいて、発信要求信号による発信先の移動通信端末の電話番号と着信要求信号による発信元の移動通信端末の電話番号とが同一であるか否かを判定する。同一端末判定部95は、発着信要求信号に係る移動通信端末が同一であると判定した場合には、同一端末判定情報を優先接続判定部96に出力する。一方、移動通信端末が同一でないと判定した場合には、双方発信の状態とならないため、通常の発着信処理を行わせる。
【0111】
優先接続判定部96は、同一端末判定部95で発信要求信号による着信に係る移動通信端末と着信要求信号による発信に係る移動通信端末とが同一であると判定された場合、乱数設定部92で設定された乱数Aなどに基づいて、発信要求信号による接続要求を、着信要求信号にかかる接続要求に対して優先させるか否かを判定するものである。例えば、移動通信端末90間で双方から略同時に互いに発信が行われた場合、同一端末判定部95は、移動通信端末90が同一であると判定する。そして、優先接続判定部96は、乱数設定部92から入力される乱数Aと送受信部91から入力される乱数Bとの大小を比較し、大きい数値が付与された発着信要求信号による接続要求を、他方の小さい数値が付与された発着信要求信号による接続要求に対して優先させるといった判定をする。
【0112】
つまり、優先接続判定部96は、乱数Aが乱数Bより大きければ、移動通信交換装置40,50への発信要求信号による接続要求を、移動通信交換装置40,50からの着信要求信号による接続要求に対して優先させる判定を行う。一方、乱数Bが乱数Aより大きければ、移動通信交換装置40,50からの着信要求信号による接続要求を、移動通信交換装置40,50への発信要求信号による接続要求に対して優先させる判定を行う。優先接続判定部96は、移動通信交換装置40,50からの着信要求信号による接続要求を優先させる場合には、非優先判定情報を通信開放処理部97に出力する。
【0113】
通信開放処理部97は、優先接続判定部96で移動通信交換装置40,50への発信要求信号による接続要求を、移動通信交換装置40,50からの着信要求信号による接続要求に対して優先させる判定を行う場合には、着信要求信号に基づく移動通信端末90と制御する移動通信交換装置40,50との間における接続を切断する処理を行う。この切断処理として、具体的には、移動通信交換装置40,50からの着信要求信号に対する切断を要求する切断要求信号を移動通信交換装置40,50に送信し、移動通信交換装置40,50側の切断処理を促す。その後、移動通信交換装置40,50側で切断処理が行われると、移動通信交換装置40,50から開放要求が送信される。通信開放処理部97は、送信された開放要求信号を受信すると、開放処理を行い、開放処理が完了すると、開放応答信号を移動通信交換装置40,50へ送信する。
【0114】
一方、通信開放処理部97は、優先接続判定部96で移動通信交換装置40,50からの着信要求信号による接続要求を、移動通信交換装置40,50への発信要求信号による接続要求に対して優先させる判定を行う場合には、発信要求信号に基づく移動通信端末90と制御する移動通信交換装置40,50との間における接続や移動通信交換装置40,50間における接続を切断する処理を行う。この切断処理として、具体的には、移動通信交換装置40,50への発信要求信号に対する切断を要求する切断要求信号を移動通信端末90から移動通信交換装置40,50に送信し、切断処理を促す。その後、移動通信交換装置40,50側で切断処理が行われると、移動通信交換装置40,50から開放要求が送信される。通信開放処理部97は、送信された開放要求信号を受信すると、開放処理を行い、開放処理が完了すると、開放応答信号を移動通信交換装置40,50へ送信する。なお、非優先の移動通信端末90からの切断要求信号を受信した移動通信交換装置40,50は、非優先の移動通信端末90からの発信要求による接続要求が行なわれた他の移動通信交換装置40,50に対して、開放要求信号を送信し、他の移動通信交換装置40,50で開放要求が完了すると、開放応答信号を受信する。
【0115】
このように通信開放処理部97により、同時発信時における一方の移動通信端末90からの発信要求による接続要求が取り消されると、接続要求が取消された側の移動通信端末90は、優先判定された接続要求に基づいた着信要求信号に応じた着信要求応答受付信号を自動的に移動通信交換装置40,50に送信する。このように、同時発信時における他方の移動通信端末90からの発信要求による接続要求信号に係る接続の処理は、一方の接続要求信号に係る処理を行っている間は行うことができないため、当該接続要求信号に係る処理が終了した後に行われる。接続要求が取り消された側の移動通信端末90を制御する移動通信交換装置40,50がこの着信要求応答受付信号を移動通信端末90から受信すると、着信要求受付応答信号を受信した移動通信交換装置40,50は、優先判定された移動通信端末90を制御する移動通信交換装置40,50に対して、接続要求応答信号と接続準備完了通知信号とを送信する。これにより、移動通信端末90間の通信が確立される。
【0116】
続いて、通信システム1により行われる動作(通信制御方法)について、図15及び図16を参照しながら説明する。図15及び図16は、通信システム1の動作を示すシーケンス図である。なお、本実施形態では、移動通信端末90(90A,90B)間で通話中に移動通信端末90A側で呼切断が発生した場合を例にとって説明するが、移動通信端末90B側で呼切断が発生した場合には、移動通信端末90A,90Bの動作が入れ替わって同様の動作がなされる。
【0117】
まず、移動通信端末90Aと移動通信端末90Bとが接続されて通話中である場合(S301)に、移動通信端末90A側の電波状態が悪化するようなことがあると、移動通信端末90Aが呼切断される(S302)。この呼切断を検出すると、第1移動通信交換装置40は、第2移動通信交換装置50との間の通信接続を切断する(S303)。このように電波状態の悪化により通話が突然、切断されると、通話中であった両者は、通話を再開させようとして、その後、移動通信端末90Aから移動通信端末90Bへの発信要求(発信要求信号A)と移動通信端末90Bから移動通信端末90Aへの発信要求(発信要求信号B)とが略同時に行われる場合がある。
【0118】
このような場合において、移動通信端末90Aでは、発信要求信号Aを送受信部91から送信する前に、乱数設定部92が発信要求信号Aの優先度を示す優先度情報である乱数Aを設定する(S304)。乱数設定部92は、乱数Aを設定すると、乱数Aを示す数値情報を発信要求信号生成部93に出力すると共に乱数Aを示す数値情報を優先接続判定部96に出力する。その後、発信要求信号生成部93は、乱数Aを含む発信要求信号Aを生成して、発信要求信号Aを第1移動通信交換装置40に送信する(発信要求信号送信ステップ、S305)。送受信部91は、第1移動通信交換装置40へ発信要求信号Aを送信した送信時刻情報を送受信時間判定部94に出力する。また、他方の移動通信端末90Bでも、同様に乱数Bが設定され(S306)、発信要求信号生成部93により、乱数Bを含む発信要求信号Bが第2移動通信交換装置50へ送信される(S307)。なお、発信要求信号A、Bを受信した各移動通信交換装置40,50では、接続切断処理部42,52により、発信先の移動通信端末90の在圏情報を各加入者情報管理装置20,30から取得する(S308、S309)。
【0119】
在圏情報を取得した移動通信交換装置40,50は、他方の移動通信交換装置40,50に対して、それぞれ接続要求信号A又はBを送信する(S310,S311)。そして、接続要求信号A又はBを受信した移動通信交換装置40,50は、移動通信端末90Aに対しては、接続要求信号Bによる着信要求信号Bを送信し、移動通信端末90Bに対しては、接続要求信号Aによる着信要求信号Aを送信する(S312,S313)。
【0120】
続いて、移動通信端末90Aでは、着信要求信号Bを送受信部91で受信する(着信要求信号受信ステップ、S312)。送受信部91は、着信要求信号Bを受信した受信時刻情報を送受信時間判定部94へ出力する。送受信時間判定部94は、送信時刻情報と受信時刻情報とが入力されると、発信要求信号Aの送信と着信要求信号Bの受信とが所定の時間内に行われたか否かを判定する(送受信時間判定ステップ、S314)。送受信時間判定部94が発着信要求信号の送受信が所定の時間内に行なわれたと判定した場合には、ステップS315に進み、発着信要求信号の送受信が所定の時間内に行なわれなかったと判定した場合には、ステップS316に進んで通常の発着信処理を行う。着信要求信号Aを受信した移動通信端末90Bの送受信時間判定部94でも、同様の判定を行う(S317、S316)。なお、ステップS304の乱数Aの設定ステップと、ステップS312の乱数Bを含む着信要求信号Bの受信ステップとにより、移動通信端末90Aにおいて、発信要求信号Aによる接続要求と着信要求信号Bによる接続要求とのうち優先される接続要求を示す優先接続情報が取得される優先接続情報取得ステップが構成される。
【0121】
続いて、送受信時間判定部94にて発着信要求信号の送受信が所定の時間内に行なわれたと判定された場合には、受信した着信要求信号Bによる発信に係る移動通信端末90Bと送信した発信要求信号Aによる着信に係る移動通信端末90Bとが同一であるか否かを同一端末判定部95が判定する(同一端末判定ステップ、S315)。同一端末判定部95が両移動通信端末90Bは同一であると判定した場合には、ステップS317に進み、両移動通信端末90Bは同一でないと判定した場合には、ステップS316に進んで通常の発着信処理を行う。発信要求信号Aを受信した移動通信端末90Bの同一端末判定部95でも、同様の判定を行う(S318、S316)。
【0122】
続いて、同一端末判定部95にて両移動通信端末が同一と判定された場合には、発信要求信号Aに付与されている乱数Aと着信要求信号Bに付与されている乱数Bとから、優先接続判定部96は、発信要求信号Aによる接続要求Aを、着信要求信号Bによる接続要求Bに対して優先させるか否かを判定する(優先接続判定ステップ、S317)。移動通信端末90Bの優先接続判定部96でも、同様の判定を行う(S319)。なお、本動作説明では、以下、乱数Aが付与された発信要求信号Aが優先される場合について説明するが、乱数Bが付与された着信要求信号Bが優先される場合(S320)についても、移動通信端末90A,90Bの動作が入れ替わって同様の動作がなされる。
【0123】
まず、移動通信端末90Aにおいて、通信開放処理部97は、第1移動通信交換装置40からの着信要求信号Bに対する切断を要求する切断要求信号を第1移動通信交換装置50に送信し(S321)、接続要求信号Bによる接続要求の切断処理を第1移動通信交換装置40に対して促す。その後、第1移動通信交換装置40で切断処理が行われると、第1移動通信交換装置40から開放要求信号が移動通信端末90Aに対して送信される(S322)。移動通信端末90Aが送信された開放要求信号を受信すると(S322)、通信開放処理部97は、開放処理を行い、開放処理が完了すると、開放応答信号を第1移動通信交換装置40へ送信する(S323)。ステップS321〜S323の各処理により、接続要求信号Bに基づく移動通信端末90Aと第1移動通信交換装置40との間における接続が切断処理される。
【0124】
一方、移動通信端末90Bにおいて、通信開放処理部97は、第2移動通信交換装置50への発信要求信号Bに対する切断を要求する切断要求信号を第2移動通信交換装置50に送信し(S324)、接続要求信号Bによる接続要求の切断処理を第2移動通信交換装置50に対して促す。その後、第2移動通信交換装置50で切断処理が行われると、第2移動通信交換装置50から開放要求信号が移動通信端末90Bに対して送信される(S325)。移動通信端末90Bが送信された開放要求信号を受信すると(S325)、通信開放処理部97は、開放処理を行い、開放処理が完了すると、開放応答信号を第2移動通信交換装置50へ送信する(S326)。ステップS324〜S326の各処理により、発信要求信号Bに基づく移動通信端末90Bと第2移動通信交換装置50との間における接続が切断処理される。なお、移動通信端末90Bからの切断要求信号を受信した第2移動通信交換装置50は、移動通信端末90Bからの発信要求信号Bによる接続要求信号Bの送信が行なわれた第1移動通信交換装置40に対して、開放要求信号を送信し(S327)、第1移動通信交換装置40における接続要求信号Bに対する開放処理が終了すると、開放要求が終了したことを示す開放応答信号を受信する(S328)。これらステップS321〜ステップS328によって発信要求取消しステップが構成され、移動通信端末90Bからの発信要求信号Bによる接続要求が取り消される。
【0125】
このように通信開放処理部97により、移動通信端末90Bからの発信要求信号Bによる接続要求が取り消されると、移動通信端末90Aからの発信要求信号Aによる着信要求信号を受信した移動通信端末90Bからの着信要求受付応答信号を第2移動通信交換装置50が受信すると(S329)、第2移動通信交換装置50は、接続要求信号Aに対する接続要求応答信号と接続準備完了通知信号とを第1移動通信交換装置40に送信する(S330,S331)。接続準備完了通知が送信されると、第1移動通信交換装置40と第2移動通信交換装置50との間で通信が接続され、移動通信端末90Aと移動通信端末90Bとの間で通話が再開される(S332)。
【0126】
本実施形態によれば、発信要求信号A又はBによる接続要求と着信要求信号B又はAによる接続要求とのうち優先される接続要求を示す優先接続情報を取得する。続いて、発信要求信号A又はB及び着信要求信号B又はAに係る相手方の移動通信端末90が同一であれば、取得された優先接続情報に基づいて、発信要求信号A又はBによる接続要求を着信要求信号B又はAによる接続要求に対して優先させるか否かを判定する。そして、発信要求信号A又はBによる接続要求を着信要求信号B又はAによる接続要求に対して優先させないと判定した場合に、発信要求信号A又はBによる接続要求の取消し処理を行うようになっている。このように、同一の移動通信端末90A,90B間での発信に係る発信要求信号A又はB及び着信要求信号B又はAのうち一方の発着信要求信号による接続要求の取消し処理を行うことにより、他方の発着信要求信号による接続要求に基づく通信を確立させて、同一の移動通信端末90A,90B間での略同時発信による通信を確立させることができる。この結果、同一の移動通信端末90A,90B間で略同時に双方から発信した場合であっても、保留等されずに両移動通信端末90A,90B間での通信を確立させることができ、通話を行うことができる。
【0127】
以上、本発明を実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、一時的な電波環境の悪化による呼切断があった後の略同時発信の場合に適用した例で説明したが、呼切断以外の場合であっても、同一の移動通信端末間でたまたま略同時発信がなされたような場合にも適用される。また、上記実施形態では、移動通信端末の場合について説明したが、移動通信端末以外の固定端末等に本発明を適用してももちろんよい。
【図面の簡単な説明】
【0128】
【図1】第1実施形態に係る通信システムの構成概要図である。
【図2】第1実施形態に係る第1移動通信交換装置のハードウェア構成図である。
【図3】第1実施形態に係る第1移動通信交換装置の構成概要図である。
【図4】第1実施形態に係る通信システムの動作を示すシーケンス図である。
【図5】第1実施形態に係る通信システムの動作を示すシーケンス図である。
【図6】第2実施形態に係る通信システムの動作を示すシーケンス図である。
【図7】第3実施形態に係る通信システムの構成概要図である。
【図8】第3実施形態に係る発信優先権管理装置の構成概要図である。
【図9】第3実施形態に係る第1移動通信交換装置の構成概要図である。
【図10】呼切断発生情報の一例を示す図である。
【図11】第3実施形態に係る通信システムの動作を示すシーケンス図である。
【図12】第3実施形態に係る通信システムの動作を示すシーケンス図である。
【図13】第4実施形態に係る移動通信端末のハードウェア構成図である。
【図14】第4実施形態に係る移動通信端末の構成概要図である。
【図15】第4実施形態に係る通信システムの動作を示すシーケンス図である。
【図16】第4実施形態に係る通信システムの動作を示すシーケンス図である。
【符号の説明】
【0129】
1,1a…通信システム、10,90…移動通信端末、20…第1加入者情報管理装置、30…第2加入者情報管理装置、40,70…第1移動通信交換装置,41,51,62,71,81,91…送受信部、42,52,72,82…接続切断処理部、43,53,92…乱数設定部、44,54…接続要求信号生成部、45,55,94…送受信時間判定部、46,56,95…同一端末判定部、47,57,96…優先接続判定部、48,58…接続要求取消し部、50,80…第2移動通信交換装置。60…発信優先権権利装置、61…発信優先権管理部、63…発信優先権付与判定部、64…優先応答信号生成部、65…発信規制応答信号生成部、73,83…切断有無判定部、74,84…発信優先権要求信号生成部、93…発信要求信号生成部、97…通信開放処理部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信端末間の通信を制御する通信交換装置であって、
通信端末からの発信要求を示す発信要求信号に基づいて、他の通信交換装置への接続要求を示す第1接続要求信号を生成する接続要求信号生成手段と、
前記接続要求信号生成手段により生成された前記第1接続要求信号を前記他の通信交換装置へ送信する接続要求信号送信手段と、
前記他の通信交換装置からの接続要求を示す第2接続要求信号を前記他の通信交換装置から受信する接続要求信号受信手段と、
前記第1接続要求信号による接続要求と前記第2接続要求信号による接続要求とのうち優先される接続要求を示す優先接続情報を取得する優先接続情報取得手段と、
前記接続要求信号送信手段による前記第1接続要求信号の送信と前記接続要求信号受信手段による前記第2接続要求信号の受信とが所定の時間内に行われたか否かを判定する送受信時間判定手段と、
前記送受信時間判定手段で前記第1接続要求信号の送信と前記第2接続要求信号の受信とが前記所定の時間内に行なわれたと判定された場合、前記第1接続要求信号による発着信に係る両通信端末と前記第2接続要求信号による発着信に係る両通信端末とが同一であるか否かを判定する同一端末判定手段と、
前記同一端末判定手段で前記第1接続要求信号による発着信に係る両通信端末と前記第2接続要求信号による発着信に係る両通信端末とが同一であると判定された場合、前記優先接続情報取得手段で取得された前記優先接続情報に基づいて、前記第1接続要求信号による接続要求を前記第2接続要求信号による接続要求に対して優先させるか否かを判定する優先接続判定手段と、
前記優先接続判定手段で前記第1接続要求信号による接続要求を前記第2接続要求信号による接続要求に対して優先させないと判定された場合、前記接続要求信号送信手段で送信された前記第1接続要求信号による接続要求の取消し処理を行う接続要求取消し手段と、
を備えることを特徴とする通信交換装置。
【請求項2】
前記所定の時間は、前記第1接続要求信号と前記第2接続要求信号とのうち先に送受信された最先接続要求信号の送受信時から該最先接続要求信号に基づく呼が呼出中の状態に遷移するまでの時間であることを特徴とする請求項1に記載の通信交換装置。
【請求項3】
前記優先接続情報取得手段は、前記第1接続要求信号による接続要求の優先度を示す第1優先度情報を設定又は受信することで取得する第1優先度情報取得手段と、前記第2接続要求信号による接続要求の優先度を示す第2優先度情報を前記他の通信交換装置から受信することで取得する第2優先度情報取得手段とを有し、
前記優先接続判定手段は、前記第1優先度情報の優先度と前記第2優先度情報の優先度とを比較して、前記第1接続要求信号による接続要求を前記第2接続要求信号による接続要求に対して優先させるか否かを判定することを特徴とする請求項1又は2に記載の通信交換装置。
【請求項4】
前記第1優先度情報には乱数として取得された第1の数値情報が含まれ、前記第2優先度情報には、前記他の通信交換装置で別の乱数として取得された第2の数値情報が含まれ、
前記優先接続判定手段は、前記第1の数値情報と前記第2の数値情報との大小に応じて、前記第1接続要求信号による接続要求を前記第2接続要求信号による接続要求に対して優先させるか否かを判定することを特徴とする請求項3に記載の通信交換装置。
【請求項5】
前記優先接続情報取得手段は、前記同一端末判定手段で同一と判定された通信端末間での通話が一方の通信端末側で切断されたことを示す呼切断フラグを設定又は受信することで前記優先接続情報を取得し、
前記優先接続判定手段は、前記通話を切断した通信端末側を示す前記呼切断フラグに基づいて、前記第1接続要求信号による接続要求を前記第2接続要求信号による接続要求に対して優先させるか否かを判定することを特徴とする請求項1又は2に記載の通信交換装置。
【請求項6】
通信端末からの発信要求信号に基づく通信交換装置間での接続要求に対する発信優先権を管理する発信優先権管理装置であって、
発着信に係る両通信端末を特定する発信要求信号に基づく接続要求であって一方の通信交換装置から他方の通信交換装置への接続要求に対する発信優先権の要求を示すと共に当該両通信端末を特定する端末特定情報を含む発信優先権要求信号を前記一方の通信交換装置から受信する発信優先権要求信号受信手段と、
前記発信優先権要求信号受信手段で受信した前記発信優先権要求信号に含まれる前記端末特定情報で特定される両通信端末と同一の通信端末間の発着信に係る接続要求に対して所定の時間内に前記発信優先権を付与したか否かを判定する発信優先権付与判定手段と、
前記発信優先権付与判定手段により前記所定の時間内に前記発信優先権を付与していないと判定された場合、前記発信優先権要求信号に対して前記発信優先権を付与する優先権付与手段と、
前記発信優先権付与判定手段により前記所定の時間内に前記発信優先権を付与したと判定された場合、前記発信優先権要求信号に対して発信規制することを示した発信規制応答信号を生成する発信規制応答信号生成手段と、
前記発信規制応答信号生成手段で生成された前記発信規制応答信号を前記一方の通信交換装置へ送信する発信規制応答信号送信手段と、
を備えることを特徴とする発信優先権管理装置。
【請求項7】
前記所定の時間は、前記発信優先権要求信号の受信時から該発信優先権要求信号に基づく通話が終話するまでの時間であることを特徴とする請求項6に記載の発信優先権管理装置。
【請求項8】
前記優先権付与手段により前記発信優先権要求信号に対して前記発信優先権を付与した場合、前記発信優先権要求信号に対して前記発信優先権を付与した発信優先権応答信号を生成する優先応答信号生成手段と、
前記優先応答信号生成手段で生成された前記発信優先権応答信号を前記一方の通信交換装置へ送信する優先応答信号送信手段と、
を備えることを特徴とする請求項6又は7に記載の発信優先権管理装置。
【請求項9】
通信交換装置により他の通信端末との間で発着信可能な通信端末であって、
前記他の通信端末への発信要求を示す発信要求信号を前記通信交換装置へ送信する発信要求信号送信手段と、
前記他の通信端末からの着信要求を示す着信要求信号を前記通信交換装置から受信する着信要求信号受信手段と、
前記発信要求信号による接続要求と前記着信要求信号による接続要求とのうち優先される接続要求を示す優先接続情報を取得する優先接続情報取得手段と、
前記発信要求信号送信手段による前記発信要求信号の送信と前記着信要求信号受信手段による前記着信要求信号の受信とが所定の時間内に行われたか否かを判定する送受信時間判定手段と、
前記送受信時間判定手段で前記発信要求信号の送信と前記着信要求信号の受信とが前記所定の時間内に行なわれたと判定された場合、前記発信要求信号による着信に係る通信端末と前記着信要求信号による発信に係る通信端末とが同一であるか否かを判定する同一端末判定手段と、
前記同一端末判定手段で前記発信要求信号による着信に係る通信端末と前記着信要求信号による発信に係る通信端末とが同一であると判定された場合、前記優先接続情報取得手段で取得された前記優先接続情報に基づいて、前記発信要求信号による接続要求を前記着信要求信号による接続要求に対して優先させるか否かを判定する優先接続判定手段と、
前記優先接続判定手段で前記発信要求信号による接続要求を前記着信要求信号による接続要求に対して優先させないと判定された場合、前記発信要求信号送信手段で送信された前記発信要求信号による接続要求の取消し処理を行う発信要求取消し手段と、
を備えることを特徴とする通信端末。
【請求項10】
前記所定の時間は、前記発信要求信号と前記着信要求信号とのうち先に送受信された最先発着信要求信号の送受信時から該最先発着信要求信号に基づく呼が呼出中の状態に遷移するまでの時間であることを特徴とする請求項9に記載の通信端末。
【請求項11】
前記優先接続情報取得手段は、前記発信要求信号による接続要求の優先度を示す第1優先度情報を設定することで取得する第1優先度情報取得手段と、前記着信要求信号による接続要求の優先度を示す第2優先度情報を前記通信交換装置から受信することで取得する第2優先度情報取得手段とを有し、
前記優先接続判定手段は、前記第1優先度情報の優先度と前記第2優先度情報の優先度とを比較して、前記発信要求信号による接続要求を前記着信要求信号による接続要求に対して優先させるか否かを判定することを特徴とする請求項9又は10に記載の通信端末。
【請求項12】
前記第1優先度情報には乱数として取得された第1の数値情報が含まれ、前記第2優先度情報には、別の乱数として取得された第2の数値情報が含まれ、
前記優先接続判定手段は、前記第1の数値情報と前記第2の数値情報との大小に応じて、前記発信要求信号による接続要求を前記着信要求信号による接続要求に対して優先させるか否かを判定することを特徴とする請求項11に記載の通信端末。
【請求項13】
他の通信端末との間で発着信可能な第1通信端末と、前記第1通信端末の通信を制御する第1通信交換装置と、前記第1通信端末との間で発着信可能な第2通信端末と、前記第2通信端末の通信を制御する第2通信交換装置と、を含んで構成される通信システムであって、
前記第1通信端末から前記第2通信端末への第1発信要求と前記第2通信端末から前記第1通信端末への第2発信要求とが所定の時間内に行われた場合に、前記第1発信要求による接続要求と前記第2発信要求による接続要求とのうち優先される接続要求を示す優先接続情報に基づいて、前記第1発信要求による接続要求を前記第2発信要求による接続要求に対して優先させるか否かを判定する優先接続判定手段と、
前記優先接続判定手段で前記第1発信要求による接続要求を前記第2発信要求による接続要求に対して優先させないと判定された場合、前記第1発信要求による接続要求の取消し処理を行う接続要求取消し手段と
を備えることを特徴とする通信システム。
【請求項14】
通信端末間の通信を制御する通信交換装置における通信制御方法であって、
前記通信交換装置は、通信端末からの発信要求を示す発信要求信号に基づいて、他の通信交換装置への接続要求を示す第1接続要求信号を生成する接続要求信号生成ステップと、
前記接続要求信号生成ステップにより生成された前記第1接続要求信号を前記通信交換装置が前記他の通信交換装置へ送信する接続要求信号送信ステップと、
前記他の通信交換装置からの接続要求を示す第2接続要求信号を前記通信交換装置が前記他の通信交換装置から受信する接続要求信号受信ステップと、
前記第1接続要求信号による接続要求と前記第2接続要求信号による接続要求とのうち優先される接続要求を示す優先接続情報を前記通信交換装置が取得する優先接続情報取得ステップと、
前記接続要求信号送信ステップによる前記第1接続要求信号の送信と前記接続要求信号受信ステップによる前記第2接続要求信号の受信とが所定の時間内に行われたか否かを前記通信交換装置が判定する送受信時間判定ステップと、
前記送受信時間判定ステップで前記第1接続要求信号の送信と前記第2接続要求信号の受信とが前記所定の時間内に行なわれたと判定された場合、前記第1接続要求信号による発着信に係る両通信端末と前記第2接続要求信号による発着信に係る両通信端末とが同一であるか否かを前記通信交換装置が判定する同一端末判定ステップと、
前記同一端末判定ステップで前記第1接続要求信号による発着信に係る両通信端末と前記第2接続要求信号による発着信に係る両通信端末とが同一であると判定された場合、前記優先接続情報取得ステップで取得された前記優先接続情報に基づいて、前記第1接続要求信号による接続要求を前記第2接続要求信号による接続要求に対して優先させるか否かを前記通信交換装置が判定する優先接続判定ステップと、
前記優先接続判定ステップで前記第1接続要求信号による接続要求を前記第2接続要求信号による接続要求に対して優先させないと判定された場合、前記接続要求信号送信ステップで送信された前記第1接続要求信号による接続要求の取消し処理を前記通信交換装置が行う接続要求取消しステップと、
を含むことを特徴とする通信制御方法。
【請求項15】
通信端末からの発信要求信号に基づく通信交換装置間での接続要求に対する発信優先権を管理する発信優先権管理装置による通信制御方法であって、
発着信に係る両通信端末を特定する発信要求信号に基づく接続要求であって一方の通信交換装置から他方の通信交換装置への接続要求に対する発信優先権の要求を示すと共に当該両通信端末を特定する端末特定情報を含む発信優先権要求信号を前記発信優先権管理装置が前記一方の通信交換装置から受信する発信優先権要求信号受信ステップと、
前記発信優先権要求信号受信ステップで受信した前記発信優先権要求信号に含まれる前記端末特定情報で特定される両通信端末と同一の通信端末間の発着信に係る接続要求に対して所定の時間内に前記発信優先権を付与したか否かを判定する発信優先権付与判定ステップと、
前記発信優先権付与判定ステップにより前記所定の時間内に前記発信優先権を付与していないと判定された場合、前記発信優先権要求信号に対して前記発信優先権を付与する優先権付与ステップと、
前記発信優先権付与判定ステップにより前記所定の時間内に前記発信優先権を付与したと判定された場合、前記発信優先権要求信号に対して発信規制することを示した発信規制応答信号を生成する発信規制応答信号生成ステップと、
前記発信規制応答信号生成ステップで生成された前記発信規制応答信号を前記発信優先権管理装置が前記一方の通信交換装置へ送信する発信規制応答信号送信ステップと、
を含むことを特徴とする通信制御方法。
【請求項16】
通信交換装置により他の通信端末との間で発着信可能な通信端末による通信制御方法であって、
前記他の通信端末への発信要求を示す発信要求信号を前記通信端末が前記通信交換装置へ送信する発信要求信号送信ステップと、
前記他の通信端末からの着信要求を示す着信要求信号を前記通信端末が前記通信交換装置から受信する着信要求信号受信ステップと、
前記発信要求信号による接続要求と前記着信要求信号による接続要求とのうち優先される接続要求を示す優先接続情報を前記通信端末が取得する優先接続情報取得ステップと、
前記発信要求信号送信ステップによる前記発信要求信号の送信と前記着信要求信号受信ステップによる前記着信要求信号の受信とが所定の時間内に行われたか否かを前記通信端末が判定する送受信時間判定ステップと、
前記送受信時間判定ステップで前記発信要求信号の送信と前記着信要求信号の受信とが前記所定の時間内に行なわれたと判定された場合、前記発信要求信号による着信に係る通信端末と前記着信要求信号による発信に係る通信端末とが同一であるか否かを前記通信端末が判定する同一端末判定ステップと、
前記同一端末判定ステップで前記発信要求信号による着信に係る通信端末と前記着信要求信号による発信に係る通信端末とが同一であると判定された場合、前記優先接続情報取得ステップで取得された前記優先接続情報に基づいて、前記発信要求信号による接続要求を前記着信要求信号による接続要求に対して優先させるか否かを前記通信端末が判定する優先接続判定ステップと、
前記優先接続判定ステップで前記発信要求信号による接続要求を前記着信要求信号による接続要求に対して優先させないと判定された場合、前記発信要求信号送信ステップで送信された前記発信要求信号による接続要求の取消し処理を前記通信端末が行う発信要求取消しステップと、
を含むことを特徴とする通信制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−124151(P2010−124151A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−294886(P2008−294886)
【出願日】平成20年11月18日(2008.11.18)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】