説明

通信制御装置及び通信制御プログラム

【課題】ルータやゲートウェイ等の中継装置を介して通信端末が互いにネットワーク接続されている通信システムにおいて、最も通信効率の高いデータサイズでの通信を端末装置内で実現することが可能な通信制御装置及び通信制御プログラムを提供する。
【解決手段】他の端末装置との間でデータを送受信する手段と、受信した他の端末装置から送信されたデータが中継装置によって断片化されているか否かを判断する手段と、受信したデータが断片化されていると判断された場合、受信した他の端末装置から送信されたデータに基づいて、断片化されないで送受信できる最大データサイズを算出する手段と、算出した最大データサイズを、他の端末装置を特定するための端末装置識別子と対応付けてメモリに格納する手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中継装置を介して他の端末装置とネットワーク接続されている端末装置内の通信制御装置及び当該通信制御装置内で実行される通信制御プログラムに関し、特に、最も通信効率の高いデータサイズでの通信を端末装置内で実現することが可能な通信制御技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の通信ネットワークは、有線ネットワーク及び無線ネットワーク等、様々な形態のネットワークが互いに接続することで構成されている。そして、その通信ネットワーク上には、ルータやゲートウェイを始めとして、様々な性能を備える中継装置が設置され、送信側の端末装置と受信側の端末装置との通信データを中継しているが、端末装置が送信若しくは受信可能なデータの大きさ、又は各中継装置が中継可能なデータの大きさには制限がある。従って、ネットワーク毎に通信可能な最大のデータの大きさが設定されている。
【0003】
例えば、TCP(Transmission Control Protocol)で通信を行なう場合、端末装置間での通信を確立する際、通信可能な最大のデータの大きさをMSS(Maximum Segment Size:最大セグメント長)として設定する。しかし、このMSS内の大きなデータサイズのパケットであってもそのサイズのパケットを中継できない中継装置が介在した場合、その中継装置においてTCPパケットのフラグメンテーション(断片化、フラグメント化)が発生し、フラグメンテーションにより分割された複数のパケット(フラグメント)を転送することが行われる。分割されたパケット(フラグメント)は、これを受信した中継装置若しくは受信側の端末装置で再構成される。
【0004】
従って、送信側の端末装置から最初のネットワークに1パケットで送信されても、いずれかのネットワークでMSSが小さく設定されていると、中継装置でパケットが分割され、その後の中継装置等で再構成されるということが起こってしまう。
【0005】
なお、IP(Internet Protocol)で通信するIPパケットもTCPと同様、設定のサイズより大きなサイズの場合にフラグメンテーションが発生する。
このようなパケットのフラグメンテーション及び再構成は、中継装置、端末装置若しくはネットワークにとって負荷のかかる処理であり、極力避けることが望ましい。そこで予め通信ネットワーク全体のMSSが分かっていれば、フラグメンテーションが発生しない適切なサイズのパケットを送信することができる。このような通信ネットワークのMSS(実際には、MSSにヘッダ部を加えたMTU(Maximum Transmission Unit:最大パケット長))を調査する方法を「PMTU検出(Path MTU Discovery)」といい、IETF(Internet Engineering Task Force:インターネット技術検討部会)が発行するRFC(Request For Comment)1191で標準化されている(例えば、非特許文献1参照。)。
【0006】
よって、通信ネットワークがこのRFC1191に準拠していれば、通信ネットワークに存在する中継装置がパケットを中継するのに断片化する必要が発生した場合、そのことを送信元の端末装置に知らせることで、ネットワーク上のMTUを検出することができる。
【0007】
【特許文献1】RFC1191(Path MTU Discovery)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、RFC1191(Path MTU Discovery)は、経由する全ての中継装置がこの機能をサポートする必要があるが、中にはこの機能をサポートしていない中継装置が存在するネットワークがある。この機能をサポートしていない中継装置がネットワーク中に存在すると、データ(パケット)が中継されないという問題点があった。
【0009】
また、RFC1191(Path MTU Discovery)は、ネットワークの途中で断片化する必要が発生した場合、そのパケットを破棄し、中継できない旨を返す規格になっているため、パケットを再送する必要が発生する。そのため、通信の遅延が発生してしまうという問題点があった。
【0010】
本発明の課題は、ルータやゲートウェイ等の中継装置を介して通信端末が互いにネットワーク接続されている通信システムにおいて、最も通信効率の高いデータサイズでの通信を端末装置内で実現することが可能な通信制御装置及び当該通信制御装置内で実行される通信制御プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記課題を解決するため、下記のような構成を採用した。
すなわち、本発明の一態様によれば、本発明の通信制御装置は、中継装置を介して他の端末装置とネットワーク接続されている端末装置内の通信制御装置であって、前記他の端末装置との間でデータを送受信する通信手段と、前記通信手段によって受信した前記他の端末装置から送信されたデータが前記中継装置によって断片化されているか否かを判断するデータ断片化判断手段と、前記データ断片化判断手段によって前記受信したデータが断片化されていると判断された場合、前記通信手段によって受信した前記他の端末装置から送信されたデータに基づいて、断片化されないで送受信できる最大データサイズを算出する最大データサイズ算出手段と、前記最大データサイズ算出手段によって算出した最大データサイズを、前記他の端末装置を特定するための端末装置識別子と対応付けてメモリに格納する最大データサイズ格納手段とを備えることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の通信制御装置は、前記最大データサイズ格納手段が、前記通信手段によってデータを受信した際の時刻を示す受信時刻情報を、前記端末装置識別子と対応付けてメモリに格納し、さらに、前記最大データサイズ格納手段を参照することにより、現在の時刻を示す現在時刻情報と前記メモリに格納された受信時刻情報との差分が予め定めた閾値より小さい場合、前記他の端末装置と対応付けられた最大データサイズを取得する最大データサイズ取得手段と、前記他の端末装置とのネットワーク接続の切断後に、前記最大データサイズ取得手段によって取得した最大データサイズと前記他の端末装置への接続を要求するための接続要求信号とを前記他の端末装置に通知することにより、前記他の端末装置に再接続を要求する再接続要求手段とを備えることが望ましい。
【0013】
また、本発明の一態様によれば、本発明の通信制御装置は、中継装置を介して他の端末装置とネットワーク接続されている端末装置内の通信制御装置であって、前記他の端末装置から送信された前記他の端末装置との接続を要求する接続要求信号を受信する接続要求信号受信手段と、前記接続要求信号受信手段によって受信した前記接続要求信号が前記中継装置によって断片化されているか否かを判断するデータ断片化判断手段と、前記データ断片化判断手段によって前記接続要求信号が断片化されていると判断された場合、前記接続要求信号受信手段によって受信した前記接続要求信号に基づいて、断片化されないで送受信できる最大データサイズを算出する最大データサイズ算出手段と、前記最大データサイズ算出手段によって算出した最大データサイズを、前記他の端末装置を特定するための端末装置識別子と対応付けてメモリに格納する最大データサイズ格納手段とを備えることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の通信制御装置は、前記最大データサイズ格納手段が、前記接続要求信号受信手段によって接続要求信号を受信した際の時刻を示す受信時刻情報を、前記端末装置識別子と対応付けてメモリに格納し、さらに、前記最大データサイズ格納手段を参照することにより、現在の時刻を示す現在時刻情報と前記メモリに格納された受信時刻情報との差分が予め定めた閾値より小さい場合、前記他の端末装置と対応付けられた最大データサイズを取得する最大データサイズ取得手段と、前記他の端末装置と間で、前記最大データサイズ取得手段によって取得した最大データサイズに基づいてデータを送受信する通信手段とを備えることが望ましい。
【0015】
また、本発明の一態様によれば、本発明の通信制御装置は、中継装置を介して他の端末装置とネットワーク接続されている端末装置内の通信制御装置であって、前記他の端末装置との間で前記他の端末装置との接続を要求する接続要求信号を送受信する接続要求信号送受信手段と、前記接続要求信号送受信手段によって受信した前記接続要求信号に基づいて前記他の端末装置との接続を確立した後、前記他の端末装置との間で仮のデータであるダミーデータを送受信するダミーデータ通信手段と、前記ダミーデータ通信手段によって受信した前記他の端末装置から送信されたダミーデータが前記中継装置によって断片化されているか否かを判断するデータ断片化判断手段と、前記データ断片化判断手段によって前記受信したダミーデータが断片化されていると判断された場合、前記ダミーデータ通信手段によって受信した前記他の端末装置から送信されたダミーデータに基づいて、断片化されないで送受信できる最大データサイズを算出する最大データサイズ算出手段と、前記最大データサイズ算出手段によって算出した最大データサイズを、前記他の端末装置を特定するための端末装置識別子と対応付けてメモリに格納する最大データサイズ格納手段とを備えることを特徴とする。
【0016】
また、本発明の通信制御装置は、前記最大データサイズ格納手段が、前記ダミーデータ通信手段によってダミーデータを受信した際の時刻を示す受信時刻情報を、前記端末装置識別子と対応付けてメモリに格納し、さらに、前記最大データサイズ格納手段を参照することにより、現在の時刻を示す現在時刻情報と前記メモリに格納された受信時刻情報との差分が予め定めた閾値より小さい場合、前記他の端末装置と対応付けられた最大データサイズを取得する最大データサイズ取得手段と、前記他の端末装置と間で、前記最大データサイズ取得手段によって取得した最大データサイズに基づいてデータを送受信する通信手段とを備えることが望ましい。
【0017】
また、本発明の通信制御装置は、前記最大データサイズ格納手段が、前記最大データサイズ算出手段によって算出した最大データサイズが前記メモリに格納されている最大データサイズより小さい場合、前記メモリに格納されている最大データサイズを前記最大データサイズ算出手段によって算出した最大データサイズに更新することが望ましい。
【0018】
また、本発明の通信制御装置は、前記他の端末装置と前記端末装置との間で確立される通信プロトコルは、TCP(Transmission Control Protocol)/IP(Internet Protocol)であることが望ましい。
【0019】
また、本発明の一態様によれば、本発明の通信制御プログラムは、中継装置を介して他の端末装置とネットワーク接続されている端末装置内の通信制御装置のコンピュータを、前記他の端末装置との間でデータを送受信する通信手段、前記通信手段によって受信した前記他の端末装置から送信されたデータが前記中継装置によって断片化されているか否かを判断するデータ断片化判断手段、前記データ断片化判断手段によって前記受信したデータが断片化されていると判断された場合、前記通信手段によって受信した前記他の端末装置から送信されたデータに基づいて、断片化されないで送受信できる最大データサイズを算出する最大データサイズ算出手段、前記最大データサイズ算出手段によって算出した最大データサイズを、前記他の端末装置を特定するための端末装置識別子と対応付けてメモリに格納する最大データサイズ格納手段として機能させるための通信制御プログラムである。
【0020】
また、本発明の一態様によれば、本発明の通信制御プログラムは、中継装置を介して他の端末装置とネットワーク接続されている端末装置内の通信制御装置のコンピュータを、前記他の端末装置から送信された前記他の端末装置との接続を要求する接続要求信号を受信する接続要求信号受信手段、前記接続要求信号受信手段によって受信した前記接続要求信号が前記中継装置によって断片化されているか否かを判断するデータ断片化判断手段、前記データ断片化判断手段によって前記接続要求信号が断片化されていると判断された場合、前記接続要求信号受信手段によって受信した前記接続要求信号に基づいて、断片化されないで送受信できる最大データサイズを算出する最大データサイズ算出手段、前記最大データサイズ算出手段によって算出した最大データサイズを、前記他の端末装置を特定するための端末装置識別子と対応付けてメモリに格納する最大データサイズ格納手段として機能させるための通信制御プログラムである。
【0021】
また、本発明の一態様によれば、本発明の通信制御プログラムは、中継装置を介して他の端末装置とネットワーク接続されている端末装置内の通信制御装置のコンピュータを、前記他の端末装置との間で前記他の端末装置との接続を要求する接続要求信号を送受信する接続要求信号送受信手段、前記接続要求信号送受信手段によって受信した前記接続要求信号に基づいて前記他の端末装置との接続を確立した後、前記他の端末装置との間で仮のデータであるダミーデータを送受信するダミーデータ通信手段、前記ダミーデータ通信手段によって受信した前記他の端末装置から送信されたダミーデータが前記中継装置によって断片化されているか否かを判断するデータ断片化判断手段、前記データ断片化判断手段によって前記受信したダミーデータが断片化されていると判断された場合、前記ダミーデータ通信手段によって受信した前記他の端末装置から送信されたダミーデータに基づいて、断片化されないで送受信できる最大データサイズを算出する最大データサイズ算出手段、前記最大データサイズ算出手段によって算出した最大データサイズを、前記他の端末装置を特定するための端末装置識別子と対応付けてメモリに格納する最大データサイズ格納手段として機能させるための通信制御プログラムである。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、ルータやゲートウェイ等の中継装置を介して通信端末が互いにネットワーク接続されている通信システムにおいて、最も通信効率の高いデータサイズでの通信を端末装置内で実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、中継装置を介して互いにネットワーク接続されている複数の端末装置から構成される通信システムの概略を示す図である。
【0024】
図1において、端末装置1及び中継装置2から構成される通信システムは、複数の端末装置1が1つの若しくは複数の中継装置2を介して互いにネットワーク接続されている。
このような通信システムでのネットワーク通信において、受信側の端末装置1は、送信側の端末装置1から送信されたパケットを受信し、その受信したパケットが断片化していることをチェックする。そして、受信したパケットが断片化していた場合は、断片化せずに伝送できる最大データサイズを検出する。
【0025】
次に同じ通信相手の端末装置1と接続する時には、検出された最大データサイズを受信可能最大サイズとしてその端末装置1に通知することにより、パケットが断片化する可能性を低くすることができる。
【0026】
そのために、端末装置1は、接続先の端末装置1を特定するための識別子と、その通信相手である端末装置1と通信することが可能な最大データサイズと、その最大データサイズを算出するために受信したデータの受信時刻をセットで保持する機能を持ち、次に接続要求処理を行なう時に保持した最大データサイズを使用するかどうかを、保持している受信時刻と現在時刻との時間差により決める機能を持つ。
【0027】
また、このような通信システムでのネットワーク通信において、端末装置1は、本来の接続の前に仮接続を行ない、使用する予定の最大データサイズを持ったダミーのパケット伝送を行ない、断片化していたらそこから再度最大データサイズを計算しなおしてからその仮接続を終了し、その計算しなおした最大データサイズの値を用いてすぐに本接続の接続要求を行なう。
【0028】
図2は、本発明を適用した端末装置1の構成の概略を示す図である。
図2において、端末装置1は、CPU(中央処理装置:Central Processing Unit)11、画像やその他の情報を表示するためのLCD等の表示装置12、後述する通信制御プログラムを始め端末装置1の各機能を制御し実行するための制御プログラムが収納されたROM13、キーボードやマウス等であって各種のデータや信号等を入力するための入力装置14、後述するIP−MSS対応表等の各種データを一時的に格納するRAM15、無線LANや携帯電話網等のネットワークを介して他の端末装置1等と接続するための通信I/F(インターフェース)16、表示装置12に表示するための画像を一時的に格納するフレームバッファ等のVRAM17がバス18に接続されて構成され、CPU11がこれらの各部12乃至18を制御している。
【0029】
次に、上述したような端末装置1の動作状態について説明する。
(第1の実施の形態)
図3は、第1の実施の形態における端末装置1で実行される通信制御処理の流れを示すフローチャートである。
【0030】
まず、通常のTCP/IP接続処理を実行してデータ通信を実行中の端末装置1は、CPU11の制御の下でステップS301において、TCP/IP接続している他の端末装置1から送信されてくるパケットの受信を待つ。
【0031】
他の端末装置1から送信されてくるパケットを受信した端末装置1は、必要な処理を施して受信したパケットをIP層に渡し、ステップS302において、IPヘッダにある「Flags」フィールドの「Bit2」の値が「1」であるか否かを判断する。この「Flags」フィールドの「Bit2」は「最後のフラグメントか否か」という意味であり、値が「0」であれば「最後のフラグメント」であることを示し、「1」であれば「途中のフラグメント」であることを示す。
【0032】
「Flags」フィールドの「Bit2」の値が「1」でないと判断した場合、すなわち「0」であると判断した場合(ステップS302:N)は、ステップS301で受信したパケットが「最後のフラグメント」であるので、ステップS303において、通常の受信処理を実行する。通常の受信処理とは従来の受信処理と同様であるので説明は省略する。なお、この段階では、フラグメンテーションされていないために「途中のフラグメント」でないのか、フラグメンテーションされた上で「最後のフラグメント」であるのかは不明である。
【0033】
他方、「Flags」フィールドの「Bit2」の値が「1」であると判断した場合(ステップS302:Y)は、ステップS301で受信したパケットが「途中のフラグメント」である、すなわちフラグメンテーションが発生していると判断できるので、ステップS304において、IPヘッダにある「Fragment Offset」フィールドの値が「0」であるか否かを判断する。このIPヘッダの「Fragment Offset」フィールドは分割されたパケット(フラグメント)が元のデータパケットのどこに位置するのかをあらわしており、「0」は最初のフラグメントであることを意味する。
【0034】
そして、「Fragment Offset」フィールドの値が「0」でないと判断した場合(ステップS304:N)は、ステップS301で受信したパケットが2番目以降のフラグメントであるので、ステップS303において、通常の受信処理を実行する。
【0035】
他方、「Fragment Offset」フィールドの値が「0」であると判断した場合(ステップS304:Y)は、ステップS301で受信したパケットが1番目のフラグメント、すなわち、IP層でフラグメンテーションされている最初のフラグメントであるということになり、同時にフラグメンテーションしないで受信できる最大のサイズということになる。そこで、ステップS305において、フラグメンテーションしないMSSを算出する。具体的には、ステップS301で受信したパケット(1番目のフラグメント)のIPヘッダにある「Total Length」フィールドの値から、「IPヘッダ長」及び「TCPヘッダ長」のビット数を減算した値(以下、αという)が、IP層でフラグメンテーションしないで受信することができる最大のTCPセグメントサイズ(MSS)とする。
【0036】
次に、ステップS306において、現在の通信相手である他の端末装置1が、RAM15に一時的に格納されているIP−MSS対応表に登録されているか否かを判断する。
図4は、算出するMSSの登録前のIP−MSS対応表の例を示す図である。
【0037】
図4において、IP−MSS対応表40は、通信相手の端末装置1を特定するための識別子である端末アドレス41、通信可能な最大のデータの大きさを示すMSS値42及び受信したデータの時刻情報を示す登録時刻43の各項目から構成されるデータテーブルであり、例えば、1レコード目には、端末装置1の端末アドレス41として「IP1」、MSS値42として「1400」バイト、登録時刻43として「10時00分」が登録されている。なお、ここで、受信したデータの時刻情報は、データパケットの受信時刻でもよいし、フラグメンテーションしているか否かを判断して時刻でもよいし、MSSを算出した時刻でもよいし、IP−MSS対応表40に登録する時刻でもよい。
【0038】
図3の説明に戻る。
図3のステップS306で現在の通信相手である他の端末装置1がIP−MSS対応表40に登録されていないと判断した場合(ステップS306:N)は、ステップS307において、IP−MSS対応表40の端末アドレス41、MSS値42及び登録時刻43に、それぞれの値を登録した後、ステップS303において、通常の受信処理を実行する。
【0039】
他方、現在の通信相手である他の端末装置1がIP−MSS対応表40に登録されていると判断した場合(ステップS306:Y)は、ステップS308において、その端末装置1を特定するための識別子に対応してIP−MSS対応表40のMSS値42に登録されているMSSとステップS305で算出したMSSとを比較し、算出したMSSの方が登録されているMSSより小さいか否かを判断する。
【0040】
そして、算出したMSSの方が小さくないと判断した場合(ステップS308:N)は、ステップS303において、通常の受信処理を実行し、他方、算出したMSSの方が小さいと判断した場合(ステップS308:Y)は、ステップS309において、その端末装置1を特定するための識別子と対応するMSS値42にステップS305で算出したMSSを登録することにより更新し、同様に登録時刻43に受信したデータの時刻情報を登録することにより更新した後、ステップS303において、通常の受信処理を実行する。
【0041】
図5は、算出したMSSの登録後のIP−MSS対応表の例を示す図である。
図5において、IP−MSS対応表40は、図4に示したIP−MSS対応表40の状態から、図3のステップS305でMSS値42及び登録時刻43が更新された状態を示す。例えば、1レコード目には、端末装置1の端末アドレス41として「IP1」、更新したMSS値42として「1300」バイト、更新した登録時刻43として「15時10分」が登録されている。
【0042】
以上のようにして、データ通信を行っている最中にIP−MSS対応表40が作成できる。
以上説明したような本発明の第1の実施の形態を実現することにより、受信したパケットがフラグメンテーションされていたら、そのフラグメントから最適な通信データのサイズを算出しておき、次に同じ端末装置1と接続する際に、受信可能なフラグメントのサイズを通知することが可能となる。
【0043】
また、本発明の第1の実施の形態を実現することにより、最適な通信データのサイズを通信相手である端末装置を特定するための情報と一元的に管理、使用することができ、その他の端末装置との接続に対する影響を無くすことができる。
【0044】
また、本発明の第1の実施の形態を実現することにより、最適なサイズを算出するために用いたパケットの受信時刻を一元的に管理することができ、次に同じ端末装置1と接続するまでにある程度の時間が経っている場合は、通常の通信データサイズを使用するようにすることができ、ネットワーク変更などによる影響を吸収することができる。
【0045】
また、IPSec(Security Architecture for Internet Protocol)のトンネルモードを使用するVPN(Virtual Private Network)環境においては、通常のTCP/IPのパケットを暗号化し、認証部やIPSecヘッダなどが追加されたIPパケットで通信が行われるため、通信パケットサイズが大きくなってしまうが、本発明の第1の実施の形態を実現することにより、受信する端末装置1がモバイル端末のようなVPN機能をモバイル端末内部に保持しているような環境にも対応することができる。
【0046】
なお、上述の第1の実施の形態においては、TCP/IPを用いた通信を用いて説明したが、受信したデータが断片化されていることと1つのパケットに格納できるサイズを算出することができるような通信プロトコルであれば他の通信プロトコルでもよい。
【0047】
(第2の実施の形態)
次に、TCP接続処理が実行される際の、接続要求側の端末装置1で実行される通信制御処理及び接続応答側の端末装置1で実行される通信制御処理について説明する。
【0048】
図6は、第2の実施の形態における接続要求側の端末装置1で実行される通信制御処理の流れを示すフローチャートである。
まず、TCP接続要求を行なう側である端末装置1(接続要求側の端末装置1)は、CPU11の制御の下で実行されるプログラムによりステップS601において、TCP接続応答を行なう側である端末装置1(接続応答側の端末装置1)が、IP−MSS対応表40に登録されているか否かを判断する。
【0049】
登録されていないと判断した場合(ステップS601:N)は、ステップS602において、MSSとして通常の値をセットする。ここで通常の値とは、接続する物理回線種別からMTUが設定されており、そのMTUのビット数からTCP及びIPそれぞれのヘッダ分である各20バイトが減算された値であり、通常のLANでは1460バイトが一般的である。受信Windowサイズが影響することもある。
【0050】
他方、接続応答側の端末装置1がIP−MSS対応表40に登録されていると判断した場合(ステップS601:Y)は、ステップS603において、接続応答側の端末装置1を特定するための識別子である端末アドレス41と対応する登録時刻43に登録されている時刻情報と現在の時刻情報との差分が予め定めた閾値以内であるか否かを判断する。
【0051】
差分が閾値以内でないと判断した場合(ステップS603:N)は、ステップS602において、MSSとして通常の値をセットし、差分が閾値以内であると判断した場合(ステップS603:Y)は、ステップS604において、接続応答側の端末装置1を特定するための識別子である端末アドレス41と対応するMSS値42に登録されているMSSとしてセットする。
【0052】
次に、ステップS605において、TCPセッションの接続要求を行なうために、TCPヘッダの「Control Bits」の「SYN」をセットするなどの通常の接続要求を作成し、TCPヘッダのオプション領域にステップS604でセットしたMSSを代入した上で、接続要求を接続応答側の端末装置1に送信する。
【0053】
その後、ステップS606において、通常のTCP/IP通信処理を実行する。
次に、TCP接続要求を受信した際の応答処理として端末装置1で実行される通信制御処理について説明する。
【0054】
図7は、第2の実施の形態における接続応答側の端末装置1で実行される通信制御処理の流れを示すフローチャートである。
まず、接続応答側の端末装置1は、CPU11の制御の下で実行されるプログラムによりステップS701において、図6のステップS605で接続要求側の端末装置1から送信されたTCP接続要求を受信する。
【0055】
そして、ステップS702において、接続要求側の端末装置1がIP−MSS対応表40に登録されているか否かを判断する。
登録されていないと判断した場合(ステップS702:N)は、ステップS703において、MSSとして通常の値をセットする。
【0056】
他方、接続要求側の端末装置1がIP−MSS対応表40に登録されていると判断した場合(ステップS702:Y)は、ステップS704において、接続要求側の端末装置1を特定するための識別子である端末アドレス41と対応する登録時刻43に登録されている時刻情報と現在の時刻情報との差分が予め定めた閾値以内であるか否かを判断する。
【0057】
差分が閾値以内でないと判断した場合(ステップS704:N)は、ステップS703において、MSSとして通常の値をセットし、差分が閾値以内であると判断した場合(ステップS704:Y)は、ステップS705において、接続要求側の端末装置1を特定するための識別子である端末アドレス41と対応するMSS値42に登録されているMSSとしてセットする。
【0058】
次に、ステップS706において、TCPセッションの接続応答を行なうために、TCPヘッダの「Control Bits」の「SYN」と「Acknowledgement」をセットするなどの通常の接続応答を作成し、TCPヘッダのオプション領域にステップS705でセットしたMSSを代入した上で、接続応答を接続要求側の端末装置1に送信する。
【0059】
その後、ステップS707において、通常のTCP/IP通信処理を実行する。
以上説明したような本発明の第2の実施の形態を実現することにより、同じ端末装置1と再接続する際に、受信したフラグメントから算出した最適な通信データのサイズを、受信可能なフラグメントのサイズに置き換えて通知することにより、次からの接続ではフラグメンテーションされないで通信することができるようになり、通信を効率的に行なうことが可能となる。
【0060】
また、本発明の第2の実施の形態を実現することにより、一元的に管理されたパケットの受信時刻を利用することにより、次に同じ端末装置1と接続するまでにある程度の時間が経っている場合は、通常の通信データサイズを使用するようにすることができ、ネットワーク変更などによる影響を吸収することができる。
【0061】
また、IPSec(Security Architecture for Internet Protocol)のトンネルモードを使用するVPN(Virtual Private Network)環境においては、通常のTCP/IPのパケットを暗号化し、認証部やIPSecヘッダなどが追加されたIPパケットで通信が行われるため、通信パケットサイズが大きくなってしまうが、本発明の第2の実施の形態を実現することにより、受信する端末装置1がモバイル端末のようなVPN機能をモバイル端末内部に保持しているような環境にも対応することができる。
【0062】
なお、上述の第2の実施の形態においては、TCP/IPを用いた通信を用いて説明したが、受信可能なデータサイズを接続先の端末装置1に通知できるような通信プロトコルであれば他の通信プロトコルでもよい。
【0063】
また、IP−MSS対応表40に登録された登録時刻と現在時刻との差分が予め定めた閾値以上であったら、IP−MSS対応表40のMSS値42に登録されているMSSを使用しないとしたが、IP−MSS対応表40のMSS値42からMSSを削除しても構わない。
【0064】
(第3の実施の形態)
次に、MSSを算出するためにダミーデータを用いる通信制御処理について説明する。
まず、図8を用いて第3の実施の形態における通信制御処理全体の概要を説明し、図9及び図10を用いて接続要求側の端末装置1及び接続応答側の端末装置1で実行される通信制御処理の詳細について説明する。
【0065】
図8は、第3の実施の形態における通信制御処理の流れを示す図である。
まず、ステップS801において、接続要求側の端末装置1(図中の左側)から接続応答側の端末装置1(図中の右側)に対して、TCP通信でデフォルトのMSSを付加した接続要求(SYN)を送信する。
【0066】
そして、ステップS802において、ステップS801の接続要求を受信した接続応答側の端末装置1から接続要求側の端末装置1に対して、TCP通信でデフォルトのMSSを付加した接続要求のアック(SYN/ACK)を送信する。
【0067】
すると、ステップS803において、接続要求側の端末装置1から接続応答側の端末装置1に対して、TCP通信の接続確認のアックを返すことにより、TCP接続が完了する。
【0068】
次に、ステップS804において、接続要求側の端末装置1から接続応答側の端末装置1に対して、ステップS801で通知されたMSSのサイズでダミーのデータ(パケット)を作成し送信する。
【0069】
そして、ステップS805において、接続応答側の端末装置1は、ステップS804で送信されてきたデータを用いてMSSを算出し、算出されたMSSを接続応答側の端末装置1が備えるIP−MSS対応表40のMSS値42に登録する。
【0070】
次に、ステップS806において、接続応答側の端末装置1から接続要求側の端末装置1に対して、ステップS802で通知されたMSSのサイズでダミーのデータ(パケット)を作成し送信する。
【0071】
そして、ステップS807において、接続要求側の端末装置1は、ステップS806で送信されてきたデータを用いてMSSを算出し、算出されたMSSを接続要求側の端末装置1が備えるIP−MSS対応表40のMSS値42に登録する。
【0072】
次に、ステップS808において、接続要求側の端末装置1から接続応答側の端末装置1に対して、TCP通信で接続終了(FIN)を送信する。
そして、ステップS809において、ステップS808の接続終了を受信した接続応答側の端末装置1から接続要求側の端末装置1に対して、TCP通信で接続終了のアック(FIN/ACK)を送信する。
【0073】
すると、ステップS810において、接続要求側の端末装置1から接続応答側の端末装置1に対して、TCP通信の接続終了確認のアックを返すことにより、TCP接続の切断が完了する。
【0074】
次に、ステップS811において、接続要求側の端末装置1から接続応答側の端末装置1に対して、ステップS807で算出し接続要求側の端末装置1が備えるIP−MSS対応表40のMSS値42に登録されているMSSを付加した接続要求(SYN)を、TCP通信で送信する。
【0075】
そして、ステップS812において、ステップS811の接続要求を受信した接続応答側の端末装置1から接続要求側の端末装置1に対して、ステップS805で算出し接続応答側の端末装置1が備えるIP−MSS対応表40のMSS値42に登録されているMSSを付加した接続要求のアック(SYN/ACK)を、TCP通信で送信する。
【0076】
すると、ステップS813において、接続要求側の端末装置1から接続応答側の端末装置1に対して、TCP通信の接続確認のアックを返すことにより、再度TCP接続が完了する。
【0077】
以降は、通常のTCP/IP通信が実行される。
図9は、第3の実施の形態における接続要求側の端末装置1で実行される通信制御処理の流れを示すフローチャートである。
【0078】
まず、接続要求側の端末装置1は、CPU11の制御の下で実行されるプログラムによりステップS901において、接続要求先の端末装置1(図10を用いて説明する接続応答側の端末装置1)に対して、TCP通信で接続要求を送信する。この接続要求のTCPヘッダのオプション部にはデフォルトのMSSが挿入されている。ここで、デフォルトのMSSとは、通常回線の種類により決められるMTUに対応して決められ、LANでは1460が主に使用されている。
【0079】
次に、ステップS902において、接続応答側の端末装置1からの接続応答を受信し、この接続応答に含まれるMSSを取得する。
次に、ステップS903において、ステップS902で取得したMSSをIP−MSS対応表40のMSS値42に登録し、接続要求の確認通知を接続応答側の端末装置1に送信し、接続応答側の端末装置1とのTCP接続を確立する。
【0080】
以上は、通常のTCP接続確立処理である。
次に、ステップS904において、ステップS902で取得したMSSを用いて(そのMSSの長さで)ダミーのTCPデータパケットを作成し、接続応答側の端末装置1に送信する。
【0081】
次に、ステップS905において、IP層で接続応答側の端末装置1から送信されてくるデータパケットを受信し、ステップS906において、受信したデータパケットがフラグメンテーションしていたか否かを判断する。
【0082】
フラグメンテーションしていたと判断した場合(ステップS906:Y)は、ステップS907において、そのデータパケットのパケット長に基づいてフラグメンテーションしないで受信可能なMSSを算出し、IP−MSS対応表40のMSS値42に登録する。他方、フラグメンテーションしていないと判断した場合(ステップS906:N)は、ステップS908において、そのままデフォルトのMSSを代入する。
【0083】
次に、ステップS909において、接続応答側の端末装置1に対してTCP通信で切断要求を送信し、ステップS910において、接続応答側の端末装置1から切断応答を受信したら、ステップS911において、接続応答側の端末装置1に対して確認通知を送信し、接続応答側の端末装置1との接続を切断する。
【0084】
そして、ステップS912において、再度、接続応答側の端末装置1に対して接続要求を送信する。この際、接続要求のTCPヘッダのオプション部にはステップS907でIP−MSS対応表40のMSS値42に登録したMSSを挿入する。
【0085】
その後、ステップS913において、通常のTCP/IP通信処理を実行する。
図10は、第3の実施の形態における接続応答側の端末装置1で実行される通信制御処理の流れを示すフローチャートである。
【0086】
まず、接続応答側の端末装置1は、CPU11の制御の下で実行されるプログラムによりステップS1001において、接続要求をしてきた端末装置1(図9を用いて説明した接続要求側の端末装置1)から送信されてきた接続要求を受信し、この接続要求に含まれるMSSを取得してIP−MSS対応表40のMSS値42に登録する。
【0087】
次に、ステップS1002において、TCPヘッダのオプション部にデフォルトのMSSを挿入した接続応答を、接続要求側の端末装置1に送信する。
次に、ステップS1003において、接続要求側の端末装置1から送信されてきた確認通知を受信し、接続要求側の端末装置1との接続を確立する。
【0088】
以上は、通常のTCP接続確立処理である。
次に、ステップS1004において、IP層で接続要求側の端末装置1から送信されてくるデータパケットを受信し、ステップS1005において、受信したデータパケットがフラグメンテーションしていたか否かを判断する。
【0089】
フラグメンテーションしていたと判断した場合(ステップS1005:Y)は、ステップS1006において、そのデータパケットのパケット長に基づいてフラグメンテーションしないで受信可能なMSSを算出し、IP−MSS対応表40のMSS値42に登録する。他方、フラグメンテーションしていないと判断した場合(ステップS1005:N)は、ステップS1007において、そのままデフォルトのMSSを代入する。
【0090】
次に、ステップS1008において、ステップS1001で取得したMSSを用いて(そのMSSの長さで)ダミーのTCPデータパケットを作成し、接続要求側の端末装置1に送信する。
【0091】
次に、ステップS1009において、接続要求側の端末装置1から送信されたTCP通信での切断要求を受信し、ステップS1010において、接続要求側の端末装置1へ切断応答を送信したら、ステップS1011において、接続要求側の端末装置1から送信された確認通知を受信し、接続要求側の端末装置1との接続を切断する。
【0092】
そして、ステップS1012において、再度、接続要求側の端末装置1から送信された接続要求を受信し、ステップS1013において、接続要求側の端末装置1に対して接続応答を送信する。この際、接続応答のTCPヘッダのオプション部にはステップS1006でIP−MSS対応表40のMSS値42に登録したMSSを挿入する。
【0093】
その後、ステップS1014において、通常のTCP/IP通信処理を実行する。
以上説明したような本発明の第3の実施の形態では、一旦仮の接続をして最大サイズのデータパケット(ダミー)で仮通信を行ない、フラグメンテーションしないかどうかを確認してから、その結果を用いてすぐに再接続するので、実際のデータを用いた本通信を早急に最適な最大データサイズで行なうことができる。
【0094】
また、本発明の第3の実施の形態では、端末装置1同士での通信により最大データサイズを算出するため、途中で経由する中継装置がこの機能をサポートする必要ない。
なお、上述の第3の実施の形態においては、TCP/IPを用いた通信を用いて説明したが、受信したデータが断片化されていることと1つのパケットに格納できるサイズを算出することができ、受信可能なデータサイズを接続先の端末装置1に通知できるような通信プロトコルであれば他の通信プロトコルでもよい。
【0095】
また、一旦接続してTCPデータ通信を行った後切断して再接続するとしているが、接続要求側の端末装置1から接続応答側の端末装置1への通信及びその反対方向の通信の双方向でフラグメンテーションが発生していないのであれば、通信を切断せずにそのまま継続するようにしても良い。
【0096】
また、端末装置1が、接続要求側の端末装置1と接続応答側の端末装置1との接続中にMSSを調整できるような機能を有していれば、その機能を使用しても良い。
また、接続相手の端末装置1に関わらずMSSの調査をするとしているが、第1の実施の形態のように端末アドレス41、MSS値42及び登録時刻43を保持しておき、決められた時間以内であればそのMSSを使用するようにしても良い。
【0097】
以上、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明してきたが、上述してきた本発明の実施の形態は、端末装置1の一機能としてハードウェアまたはDSP(Digital Signal Processor)ボードやCPUボードでのファームウェアもしくはソフトウェアにより実現することができる。
【0098】
また、本発明が適用される端末装置1は、その機能が実行されるのであれば、上述の実施の形態に限定されることなく、単体の装置であっても、複数の装置からなるシステムあるいは統合装置であっても、LAN、WAN等のネットワークを介して処理が行なわれるシステムであってもよいことは言うまでもない。
【0099】
また、バスに接続されたCPU、ROMやRAMのメモリ、入力装置、出力装置、外部記録装置、媒体駆動装置、ネットワーク接続装置で構成されるシステムでも実現できる。すなわち、前述してきた実施の形態のシステムを実現するソフトェアのプログラムを記録したROMやRAMのメモリ、外部記録装置、可搬記録媒体を、端末装置1に供給し、その端末装置1のコンピュータがプログラムを読み出し実行することによっても、達成されることは言うまでもない。
【0100】
この場合、可搬記録媒体等から読み出されたプログラム自体が本発明の新規な機能を実現することになり、そのプログラムを記録した可搬記録媒体等は本発明を構成することになる。
【0101】
プログラムを供給するための可搬記録媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、DVD−ROM、DVD−RAM、磁気テープ、不揮発性のメモリーカード、ROMカード、電子メールやパソコン通信等のネットワーク接続装置(言い換えれば、通信回線)を介して記録した種々の記録媒体などを用いることができる。
【0102】
また、コンピュータ(情報処理装置)がメモリ上に読み出したプログラムを実行することによって、前述した実施の形態の機能が実現される他、そのプログラムの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOSなどが実際の処理の一部または全部を行ない、その処理によっても前述した実施の形態の機能が実現される。
【0103】
さらに、可搬型記録媒体から読み出されたプログラムやプログラム(データ)提供者から提供されたプログラム(データ)が、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれた後、そのプログラムの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行ない、その処理によっても前述した実施の形態の機能が実現され得る。
【0104】
すなわち、本発明は、以上に述べた実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の構成または形状を取ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】中継装置を介して互いにネットワーク接続されている複数の端末装置から構成される通信システムの概略を示す図である。
【図2】本発明を適用した端末装置1の構成の概略を示す図である。
【図3】第1の実施の形態における端末装置1で実行される通信制御処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】算出するMSSの登録前のIP−MSS対応表の例を示す図である。
【図5】算出したMSSの登録後のIP−MSS対応表の例を示す図である。
【図6】第2の実施の形態における接続要求側の端末装置1で実行される通信制御処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】第2の実施の形態における接続応答側の端末装置1で実行される通信制御処理の流れを示すフローチャートである。
【図8】第3の実施の形態における通信制御処理の流れを示す図である。
【図9】第3の実施の形態における接続要求側の端末装置1で実行される通信制御処理の流れを示すフローチャートである。
【図10】第3の実施の形態における接続応答側の端末装置1で実行される通信制御処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0106】
1 端末装置
2 中継装置
11 CPU
12 表示装置
13 ROM
14 入力装置
15 RAM
16 通信I/F(インターフェース)
17 VRAM
18 バス
40 IP−MSS対応表
41 端末アドレス
42 MSS値
43 登録時刻

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中継装置を介して他の端末装置とネットワーク接続されている端末装置内の通信制御装置であって、
前記他の端末装置との間でデータを送受信する通信手段と、
前記通信手段によって受信した前記他の端末装置から送信されたデータが前記中継装置によって断片化されているか否かを判断するデータ断片化判断手段と、
前記データ断片化判断手段によって前記受信したデータが断片化されていると判断された場合、前記通信手段によって受信した前記他の端末装置から送信されたデータに基づいて、断片化されないで送受信できる最大データサイズを算出する最大データサイズ算出手段と、
前記最大データサイズ算出手段によって算出した最大データサイズを、前記他の端末装置を特定するための端末装置識別子と対応付けてメモリに格納する最大データサイズ格納手段と、
を備えることを特徴とする通信制御装置。
【請求項2】
前記最大データサイズ格納手段は、前記通信手段によってデータを受信した際の時刻を示す受信時刻情報を、前記端末装置識別子と対応付けてメモリに格納し、
さらに、
前記最大データサイズ格納手段を参照することにより、現在の時刻を示す現在時刻情報と前記メモリに格納された受信時刻情報との差分が予め定めた閾値より小さい場合、前記他の端末装置と対応付けられた最大データサイズを取得する最大データサイズ取得手段と、
前記他の端末装置とのネットワーク接続の切断後に、前記最大データサイズ取得手段によって取得した最大データサイズと前記他の端末装置への接続を要求するための接続要求信号とを前記他の端末装置に通知することにより、前記他の端末装置に再接続を要求する再接続要求手段と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の通信制御装置。
【請求項3】
中継装置を介して他の端末装置とネットワーク接続されている端末装置内の通信制御装置であって、
前記他の端末装置から送信された前記他の端末装置との接続を要求する接続要求信号を受信する接続要求信号受信手段と、
前記接続要求信号受信手段によって受信した前記接続要求信号が前記中継装置によって断片化されているか否かを判断するデータ断片化判断手段と、
前記データ断片化判断手段によって前記接続要求信号が断片化されていると判断された場合、前記接続要求信号受信手段によって受信した前記接続要求信号に基づいて、断片化されないで送受信できる最大データサイズを算出する最大データサイズ算出手段と、
前記最大データサイズ算出手段によって算出した最大データサイズを、前記他の端末装置を特定するための端末装置識別子と対応付けてメモリに格納する最大データサイズ格納手段と、
を備えることを特徴とする通信制御装置。
【請求項4】
前記最大データサイズ格納手段は、前記接続要求信号受信手段によって接続要求信号を受信した際の時刻を示す受信時刻情報を、前記端末装置識別子と対応付けてメモリに格納し、
さらに、
前記最大データサイズ格納手段を参照することにより、現在の時刻を示す現在時刻情報と前記メモリに格納された受信時刻情報との差分が予め定めた閾値より小さい場合、前記他の端末装置と対応付けられた最大データサイズを取得する最大データサイズ取得手段と、
前記他の端末装置と間で、前記最大データサイズ取得手段によって取得した最大データサイズに基づいてデータを送受信する通信手段と、
を備えることを特徴とする請求項3に記載の通信制御装置。
【請求項5】
中継装置を介して他の端末装置とネットワーク接続されている端末装置内の通信制御装置であって、
前記他の端末装置との間で前記他の端末装置との接続を要求する接続要求信号を送受信する接続要求信号送受信手段と、
前記接続要求信号送受信手段によって受信した前記接続要求信号に基づいて前記他の端末装置との接続を確立した後、前記他の端末装置との間で仮のデータであるダミーデータを送受信するダミーデータ通信手段と、
前記ダミーデータ通信手段によって受信した前記他の端末装置から送信されたダミーデータが前記中継装置によって断片化されているか否かを判断するデータ断片化判断手段と、
前記データ断片化判断手段によって前記受信したダミーデータが断片化されていると判断された場合、前記ダミーデータ通信手段によって受信した前記他の端末装置から送信されたダミーデータに基づいて、断片化されないで送受信できる最大データサイズを算出する最大データサイズ算出手段と、
前記最大データサイズ算出手段によって算出した最大データサイズを、前記他の端末装置を特定するための端末装置識別子と対応付けてメモリに格納する最大データサイズ格納手段と、
を備えることを特徴とする通信制御装置。
【請求項6】
前記最大データサイズ格納手段は、前記ダミーデータ通信手段によってダミーデータを受信した際の時刻を示す受信時刻情報を、前記端末装置識別子と対応付けてメモリに格納し、
さらに、
前記最大データサイズ格納手段を参照することにより、現在の時刻を示す現在時刻情報と前記メモリに格納された受信時刻情報との差分が予め定めた閾値より小さい場合、前記他の端末装置と対応付けられた最大データサイズを取得する最大データサイズ取得手段と、
前記他の端末装置と間で、前記最大データサイズ取得手段によって取得した最大データサイズに基づいてデータを送受信する通信手段と、
を備えることを特徴とする請求項5に記載の通信制御装置。
【請求項7】
前記最大データサイズ格納手段は、前記最大データサイズ算出手段によって算出した最大データサイズが前記メモリに格納されている最大データサイズより小さい場合、前記メモリに格納されている最大データサイズを前記最大データサイズ算出手段によって算出した最大データサイズに更新することを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の通信制御装置。
【請求項8】
前記他の端末装置と前記端末装置との間で確立される通信プロトコルは、TCP(Transmission Control Protocol)/IP(Internet Protocol)であることを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項に記載の通信制御装置。
【請求項9】
中継装置を介して他の端末装置とネットワーク接続されている端末装置内の通信制御装置のコンピュータを、
前記他の端末装置との間でデータを送受信する通信手段、
前記通信手段によって受信した前記他の端末装置から送信されたデータが前記中継装置によって断片化されているか否かを判断するデータ断片化判断手段、
前記データ断片化判断手段によって前記受信したデータが断片化されていると判断された場合、前記通信手段によって受信した前記他の端末装置から送信されたデータに基づいて、断片化されないで送受信できる最大データサイズを算出する最大データサイズ算出手段、
前記最大データサイズ算出手段によって算出した最大データサイズを、前記他の端末装置を特定するための端末装置識別子と対応付けてメモリに格納する最大データサイズ格納手段、
として機能させるための通信制御プログラム。
【請求項10】
中継装置を介して他の端末装置とネットワーク接続されている端末装置内の通信制御装置のコンピュータを、
前記他の端末装置から送信された前記他の端末装置との接続を要求する接続要求信号を受信する接続要求信号受信手段、
前記接続要求信号受信手段によって受信した前記接続要求信号が前記中継装置によって断片化されているか否かを判断するデータ断片化判断手段、
前記データ断片化判断手段によって前記接続要求信号が断片化されていると判断された場合、前記接続要求信号受信手段によって受信した前記接続要求信号に基づいて、断片化されないで送受信できる最大データサイズを算出する最大データサイズ算出手段、
前記最大データサイズ算出手段によって算出した最大データサイズを、前記他の端末装置を特定するための端末装置識別子と対応付けてメモリに格納する最大データサイズ格納手段、
として機能させるための通信制御プログラム。
【請求項11】
中継装置を介して他の端末装置とネットワーク接続されている端末装置内の通信制御装置のコンピュータを、
前記他の端末装置との間で前記他の端末装置との接続を要求する接続要求信号を送受信する接続要求信号送受信手段、
前記接続要求信号送受信手段によって受信した前記接続要求信号に基づいて前記他の端末装置との接続を確立した後、前記他の端末装置との間で仮のデータであるダミーデータを送受信するダミーデータ通信手段、
前記ダミーデータ通信手段によって受信した前記他の端末装置から送信されたダミーデータが前記中継装置によって断片化されているか否かを判断するデータ断片化判断手段、
前記データ断片化判断手段によって前記受信したダミーデータが断片化されていると判断された場合、前記ダミーデータ通信手段によって受信した前記他の端末装置から送信されたダミーデータに基づいて、断片化されないで送受信できる最大データサイズを算出する最大データサイズ算出手段、
前記最大データサイズ算出手段によって算出した最大データサイズを、前記他の端末装置を特定するための端末装置識別子と対応付けてメモリに格納する最大データサイズ格納手段、
として機能させるための通信制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−219361(P2008−219361A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−52819(P2007−52819)
【出願日】平成19年3月2日(2007.3.2)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】