説明

通信端末、通信方法、及び通信プログラム

【課題】他の通信端末との間のセッションを確実に切断することができる通信端末、通信方法、及び通信プログラムを提供する。
【解決手段】通信端末11、12、13は、相互にセッションを確立させている。通信端末11は、セッションが確立している他の通信端末のID13を通信端末12に対して通知する。通信端末12は、通知されたID13が確立中IDに記憶されている場合に、通信端末11、12、13間のセッションが有効な状態であると判断する。通信端末12は、通知されたID13が確立中ID及び履歴IDに記憶されていない場合、通信端末13との間のセッションが切断されたものと判断し、通信端末13との間のセッションを確立させる確立通信を行う。一方、通知されたIDが履歴IDに記憶されている場合、通信端末13との間のセッションは故意に切断されたものと判断し、確立通信を実行しない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、Peer to Peer(P2P)型の通信を行う通信端末、通信方法、及び通信プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の通信端末間で行われるテレビ会議が、Peer to Peer(P2P)型の通信によって実行される場合がある。この場合、クライアント−サーバ型の通信によってテレビ会議が実行される従来の場合と比較して、MCU(Multi-point Control Unit)にパケットが集中することを防止できるという利点がある。テレビ会議がP2P型の通信によって実行される場合、通信端末は、他の通信端末とのセッションの有効性を判断することで、テレビ会議を中断させることなく円滑に実行することができる。セッションの有効性は、例えばKeep Aliveパケットを使用した通信によって判断される。
【0003】
通信状態の悪化等によってセッションが切断されたことを検出した場合に、切断されたセッションを自動的に再確立することが可能な通信端末が提案されている。例えば特許文献1に記載された通信端末では、回線の不具合等によってセッションの切断が検出された場合に、切断されたセッションに対する再確立処理が自動的に実行される。セッションが再確立された後、通信は再開される。これによって、通信状態が一時的に悪化した場合でも、テレビ会議は継続して実行される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−247566号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
テレビ会議から脱退するために、特定の通信端末が他の通信端末とのセッションを故意に切断したとする。この場合、上述した通信端末では、切断されたセッションが再確立処理によって確立されてしまう場合がある。従って、特定の通信端末はセッションを切断することができず、テレビ会議からの脱退後もセッションが確立された状態となってしまうという問題点がある。
【0006】
本発明の目的は、他の通信端末との間のセッションを確実に切断することができる通信端末、通信方法、及び通信プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第一態様に係る通信端末は、複数の他の通信端末とのセッションを確立して通信を行う通信端末であって、セッションが確立している前記他の通信端末のIDを記憶する第一記憶手段と、一連のセッションの開始から終了までの間にセッションが確立したことのある前記他の通信端末のIDを記憶する第二記憶手段と、セッションが確立している前記複数の他の通信端末のうち特定の前記他の通信端末とのセッションを切断する切断手段と、前記切断手段においてセッションが切断された前記特定の他の通信端末のIDを、前記第一記憶手段から削除する第一削除手段と、前記第一記憶手段に記憶されているIDを、セッションが確立している前記他の通信端末に対して通知する通知手段と、前記他の通信端末から通知された前記IDが、前記第一記憶手段及び前記第二記憶手段に記憶されていない場合に、前記通知されたIDによって特定される前記他の通信端末とのセッションを確立させるための通信を行う確立通信手段と、前記他の通信端末から通知された前記IDが、少なくとも前記第二記憶手段に記憶されている場合、前記通知されたIDによって特定される前記他の通信端末とのセッションが、前記確立通信手段において再度確立されることを禁止する禁止手段とを備えたことを特徴とする。
【0008】
第一態様によれば、通信端末は、他の通信端末から通知されたIDに基づいてセッションの状態を監視し、切断されたセッションを自動的に再確立する再確立機能を有している。通信端末は、第一記憶手段及び第二記憶手段のいずれにも記憶されていないIDが通知された場合、該IDを有する通信端末との間のセッションを確立させる。一方、通信端末は、通知されたIDが第二記憶手段に記憶されている場合、該IDを有する通信端末との間のセッションを確立させるための通信を行わない。これによって、切断を望むセッションが、再確立機能によって再度確立されてしまうことを防止できる。通信端末は、所望するセッションを確実に切断することができる。
【0009】
また第一態様において、前記通知されたIDによって特定される前記他の通信端末とのセッションが、前記確立通信手段において再度確立されるように、前記第二記憶手段に記憶された前記IDを削除する第二削除手段を備えていてもよい。これによって通信端末は、通信状態の悪化等によって切断されたセッションを再確立させ、通信を再開することができる。
【0010】
また第一態様において、前記第二削除手段は、前記第一記憶手段に記憶された前記IDが、前記第一削除手段において全て削除された場合、前記第二記憶手段に記憶された前記IDを全て削除してもよい。これによって通信端末は、全ての他の通信端末とのセッションが切断された場合に、第二記憶手段に記憶されたIDを全て削除することができる。これによって、通信端末が新たに他の通信端末とのセッションを確立する場合に、セッションを確立するための通信が確実に行われる。これによって通信端末は、他の通信端末とのセッションを確実に確立し、通信を開始することができる。
【0011】
また第一態様において、前記通信端末は、複数の前記他の通信端末とのセッションを確立して多地点間通信を行うことが可能なグループに属し、前記第一記憶手段及び前記第二記憶手段は、前記通信端末が属する前記グループ毎に設けられていてもよい。これによって通信端末は、セッションの再確立をグループ毎に制御することができる。従って、通信端末が複数のグループに属している場合において、一のグループ内でセッションが再確立される場合に、他のグループ内のセッションが再確立されてしまうことを防止できる。
【0012】
また第一態様において、前記切断手段は、前記特定の他の通信端末からセッションの切断の要求を直接受け付けた場合にセッションを切断する第一切断手段と、前記他の通信端末から前記IDが所定時間以上通知されなかった場合にセッションを切断する第二切断手段とを備え、前記禁止手段は、前記第一切断手段において切断されたセッションが再度確立されることを禁止してもよい。これによって通信端末は、故意に切断されたセッションと、IDの通知が所定時間以上通知されなかった場合に切断されたセッションとを区別することができる。従って通信端末は、IDの通知が所定時間以上通知されなかった場合に切断されたセッションのみ再確立させることができる。通信端末は、故意に切断されたセッションが再度確立されてしまうことを確実に防止することができる。
【0013】
また第一態様において、前記第二記憶手段に前記IDが記憶されてからの経過時間を監視する監視手段を備え、第二削除手段は、前記監視手段において監視された前記経過時間が所定以上となった場合に、前記経過時間が所定以上となった前記IDを前記第二記憶手段から削除してもよい。これによって通信端末は、一旦セッションを切断した他の通信端末が、所定時間経過後に再度セッションの確立を要求した場合に、該他の通信端末とのセッションを確立させることができる。
【0014】
本発明の第二態様に係る通信方法は、複数の他の通信端末とのセッションを確立して通信を行うための通信方法であって、セッションが確立している前記複数の他の通信端末のうち特定の前記他の通信端末とのセッションの切断の要求を受け付けた場合に、前記特定の他の通信端末とのセッションを切断する切断ステップと、前記切断ステップにおいてセッションが切断された前記特定の他の通信端末のIDを、セッションが確立している前記他の通信端末のIDを記憶する第一記憶手段から削除する第一削除ステップと、前記第一記憶手段に記憶されているIDを、セッションが確立している前記他の通信端末に対して通知する通知ステップと、前記他の通信端末から通知された前記IDが、前記第一記憶手段、及び、一連のセッションの開始から終了までの間にセッションが確立したことのある前記他の通信端末のIDを記憶する第二記憶手段に記憶されていない場合に、前記通知されたIDによって特定される前記他の通信端末とのセッションを確立させるための通信を行う確立通信ステップと、前記他の通信端末から通知された前記IDが、少なくとも前記第二記憶手段に記憶されている場合、前記通知されたIDによって特定される前記他の通信端末とのセッションが、前記確立通信ステップにおいて再度確立されることを禁止する禁止ステップとを備えている。
【0015】
第二態様によれば、他の通信端末から通知されたIDに基づいてセッションの状態が監視され、切断されたセッションは自動的に再確立される。第一記憶手段及び第二記憶手段のいずれにも記憶されていないIDが通知された場合、該IDを有する通信端末との間のセッションが確立される。一方、通知されたIDが第二記憶手段に記憶されている場合、該IDを有する通信端末との間のセッションを確立するための通信は行われない。これによって、切断を望むセッションが再度確立されてしまうことを防止できる。所望するセッションは確実に切断される。
【0016】
本発明の第三態様に係る通信プログラムは、複数の他の通信端末とのセッションを確立して通信を行うための通信プログラムであって、セッションが確立している前記複数の他の通信端末のうち特定の前記他の通信端末とのセッションの切断の要求を受け付けた場合に、前記特定の他の通信端末とのセッションを切断する切断ステップと、前記切断ステップにおいてセッションが切断された前記特定の他の通信端末のIDを、セッションが確立している前記他の通信端末のIDを記憶する第一記憶手段から削除する第一削除ステップと、前記第一記憶手段に記憶されているIDを、セッションが確立している前記他の通信端末に対して通知する通知ステップと、前記他の通信端末から通知された前記IDが、前記第一記憶手段、及び、一連のセッションの開始から終了までの間にセッションが確立したことのある前記他の通信端末のIDを記憶する第二記憶手段に記憶されていない場合に、前記通知されたIDによって特定される前記他の通信端末とのセッションを確立させるための通信を行う確立通信ステップと、前記他の通信端末から通知された前記IDが、少なくとも前記第二記憶手段に記憶されている場合、前記通知されたIDによって特定される前記他の通信端末とのセッションが、前記確立通信ステップにおいて再度確立されることを禁止する禁止ステップとをコンピュータに実行させる。
【0017】
第三態様によれば、他の通信端末から通知されたIDに基づいてセッションの状態が監視され、切断されたセッションは自動的に再確立される。第一記憶手段及び第二記憶手段のいずれにも記憶されていないIDが通知された場合、該IDを有する通信端末との間のセッションが確立される。一方、通知されたIDが第二記憶手段に記憶されている場合、該IDを有する通信端末との間のセッションを確立するための通信は行われない。これによって、切断を望むセッションが再度確立されてしまうことを防止できる。所望するセッションは確実に切断される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】通信システム1の概要、及び通信端末10の電気的構成を示す図である。
【図2】通信の流れを説明するための図である。
【図3】通信の流れを説明するための図である。
【図4】通信の流れを説明するための図である。
【図5】通信の流れを説明するための図である。
【図6】通信の流れを説明するための図である。
【図7】通信の流れを説明するための図である。
【図8】通信の流れを説明するための図である。
【図9】通信の流れを説明するための図である。
【図10】通信の流れを説明するための図である。
【図11】通信シーケンスを示す図である。
【図12】メイン処理を示すフローチャートである。
【図13】監視処理を示すフローチャートである。
【図14】監視処理を示すフローチャートであって、図13の続きである。
【図15】監視処理を示すフローチャートであって、図14の続きである。
【図16】変形例における削除処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。これらの図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明するために用いられるものである。記載されている装置の構成、各種処理のフローチャート等は、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。
【0020】
図1を参照し、通信システム1について説明する。通信システム1は、通信端末11、12、及び13を備えている。以下、これらを区別しない場合、又は総称する場合、通信端末10という。通信端末10は、ネットワーク2を介してP2P型の通信を行うことで、他の通信端末10との間でテレビ会議を行うことができる。通信端末10は、例えば周知のPCやテレビ会議用の専用端末である。図1のうち通信端末10に付された符号(11、12、及び13)は、通信端末10のIDも示している。通信端末10間に示された点線は、P2P型の通信を行うためのセッションが通信端末10間で確立していることを示している。
【0021】
通信端末10の電気的構成について説明する。通信端末10は、通信端末10の制御を司るCPU20を備えている。CPU20は、ROM21、RAM22、ハードディスクドライブ(HDD)23、入力部24、ディスプレイ25、カメラ26、スピーカ27、マイク28、通信I/F29、及びドライブ装置30と電気的に接続している。ROM21には、ブートプログラムやBIOS、OS等が記憶される。RAM22には、タイマやカウンタ、一時的なデータが記憶される。HDD23には、CPU20の通信プログラム、及び、確立中ID及び履歴IDが格納されたテーブル31(図8等参照、詳細は後述する。)が記憶される。入力部24は、ユーザからの入力を受け付けるキーボードやマウスである。通信I/F29は、ネットワーク2を介して他の通信端末10と通信を行う場合のタイミング制御を行う。ドライブ装置30は、記憶媒体301に記憶された情報を読み出すことができる。例えば、通信端末10のセットアップ時、記憶媒体301に記憶された通信プログラムはドライブ装置30によって読み出され、HDD23に記憶される。
【0022】
図2から図4を参照し、通信端末10間で実行されるセッションの再確立通信について説明する。セッションが相互に確立している通信端末10間では、セッションが確立している他の通信端末10のIDを通知する通信が継続して実行される。以下、セッションが確立している他の通信端末10のIDを通知する通信を、確立通知通信ともいう。
【0023】
図2に示すように、通信端末11、12、及び13間で相互にセッションが確立した状態であるとする。この場合、通信端末11は、セッションが確立している通信端末13のIDを通知するためのパケットを、通信端末12に対して周期的に送信する。通信端末11は、セッションが確立している通信端末12のIDを通知するためのパケットを、通信端末13に対して周期的に送信する。通信端末12、13でも同様に、IDを通知するためのパケットが周期的に送信される。このように通信端末10は、セッションが確立している他の通信端末10のIDのうち、確立通知通信を行う相手の通信端末10のID以外のIDを通知する。以下、確立通知通信時においてIDを通知するために周期的に送信されるパケットを、確立通知パケットという。
【0024】
通信端末11から確立通知パケットを受信した通信端末12は、通信端末11に対してACKを返信する。通信端末12は、通信端末11から送信された確立通知パケットを正常に受信できているので、通信端末11との間のセッションを介して通信を行うことが可能な状態であることを認識する。また通信端末12は、確立通知パケットを送信した通信端末11と、通知されたIDを有する通信端末13との間のセッションを介して、通信端末11、13間で通信を行うことが可能な状態であることを認識する。更に通信端末12は、通知されたIDを有する通信端末13との間のセッションを介して通信を行うことが可能であるか否かを確認する。図2の場合、通信端末12、13間のセッションを介して通信を行うことが可能な状態となっている。従って通信端末12は、通信端末11、12、及び13間のセッションを介して相互に通信を行うことが可能な状態であることを認識する。
【0025】
通信端末11、13でも同様に、他の通信端末10から確立通知パケットが受信されることによって、通信端末11、12、及び13間のセッションを介して相互に通信を行うことが可能な状態であることが認識される。
【0026】
図3に示すように、通信端末12、13間の通信路の通信状態が悪化したとする。通信端末12から通信端末13に対して送信された確立通知パケットが通信路上で破棄された場合、通信端末13は、確立通知パケットを通信端末12から受信できない。又、通信端末12は、送信した確立通知パケットに対するACKを受信できない。同様に、通信端末13から通信端末12に対して送信された確立通知パケットが通信路上で破棄された場合、通信端末12は、確立通知パケットを通信端末13から受信できない。又、通信端末13は、送信した確立通知パケットに対するACKを受信できない。このような場合、該通信路がテレビ会議時の通信時に使用されると、テレビ会議の品質が悪くなる可能性がある。
【0027】
これに対して通信端末12は、送信された確立通知パケットに対するACKを受信できない場合、又は、通信端末13からの確立通知パケットが受信できない状態が所定時間以上続いた場合、通信端末13との間で、セッションを切断させるための所定の通信を行う。これによって通信端末12は、通信端末13との間のセッションを切断する。同様に通信端末13は、送信された確立通知パケットに対するACKを受信できない場合、又は、通信端末12からの確立通知パケットが受信できない状態が所定時間以上続いた場合、通信端末12との間で、セッションを切断させるための所定の通信を行う。これによって通信端末13は、通信端末12との間のセッションを切断する。通信端末12、13間でP2P型の通信を行うことができない状態になる。
【0028】
通信端末12、13間のセッションが切断された後も、通信端末11は、ID 13を通知するための確立通知パケットを通信端末12に対して送信し、ID 12を通知するための確立通知パケットを通信端末13に対して送信する。通信端末12は、通信端末13との間のセッションが切断された状態で、ID 13を通知する確立通知パケットを通信端末11から受信する。通信端末12には、セッションが確立していない通信端末13のIDが通知されたことになる。この場合、図4に示すように、通信端末12は、通知されたIDを有する通信端末13とのセッションを確立させるための確立通信を、通信端末13との間で開始する。同様に通信端末13には、セッションが確立していない通信端末12のIDが通知されるので、通知されたIDを有する通信端末12とのセッションを確立させるための確立通信を、通信端末12との間で開始する。通信端末12、13間の通信路の通信状態が改善した場合、通信端末12、13で実行される確立通信によって、通信端末12、13間のセッションは確立される。
【0029】
以上のようにして通信端末10は、確立通知通信を行うことによって、通信路の通信状態の悪化を検出し、セッションを切断することができる。これによって、通信状態の悪い通信路が原因で通信の信頼性が悪化し、通信端末10間で実行されるアプリケーションの品質が低下してしまうことを防止している。また通信端末10は、確立通知パケットにより通知されたIDを有する通信端末10との間で確立通信を自動的に実行することができる。従って通信端末10は、通信路の通信状態が改善した場合に、確立通信によってセッションを再度確立させ、通信を再開することができる。
【0030】
なお、通信端末12、13間のセッションを確立させるための確立通信の概要は次のとおりである。通信端末12は、通信端末11を介して通信端末13に対して、セッションの確立を依頼する。依頼を受けた通信端末13は、通信端末12に対してセッションの確立を要求する。通信端末12は、要求に応じる。同様に通信端末13は、通信端末11を介して通信端末12に対して、セッションの確立を依頼する。依頼を受けた通信端末12は、通信端末13に対してセッションの確立を要求する。通信端末13は、要求に応じる。結果、通信端末12、13間のセッションは確立する。詳細は、図11を参照して後述する。
【0031】
図5から図7を参照し、相互にセッションが確立している通信端末10のうち一が、故意にセッションを終了させる場合の通信について説明する。図5では、通信端末11、12、及び13間でセッションが相互に確立している状態で、通信端末12が、通信端末11、13とのセッションを故意に切断させようとしている。通信端末12は、セッションの切断を要求する切断要求パケットを、通信端末11、13に対して送信する。通信端末11、13は、切断要求パケットを受信する。通信端末12と通信端末11、13との間で、セッションを切断させるための所定の通信が実行される。これによってセッションは切断される。
【0032】
ここで図6に示すように、通信端末11、12間のセッションが先に切断されたとする。通信端末12、13間では、セッションを切断させるための所定の通信が完全に終了しておらず、セッションは未だ確立された状態であるとする。通信端末11は、通信端末13とのみセッションが確立した状態となっている。従って、通信端末11、13間で実行される確立通知通信では、通信端末11から通信端末13に対して、通知するIDのない確立通知パケットが送信される。
【0033】
一方、通信端末13は、通信端末12とのセッションが未だ確立された状態であるので、通信端末11に対して、ID 12を通知する確立通知パケットが送信される。通信端末11では、セッションが確立していない通信端末12のIDが通知されたことになる。この場合通信端末11では、図7に示すように、通知されたIDの通信端末12とのセッションを確立させるための確立通信が、通信端末12との間で開始されてしまう。なお通信端末12、13間では、セッションを切断させるための所定の通信が完了し、通信端末12、13間のセッションは切断される。以上のように、セッションの切断のタイミングによっては、故意に切断させた通信端末10間のセッションが、再度自動的に確立されてしまう場合がある。
【0034】
これに対して本発明では、次に説明する方法に基づいて通信を行うことによって、故意に切断されたセッションが再度確立されてしまうことを防止している。通信端末10は、セッションが確立している他の通信端末10のIDと、一連のセッションの開始から終了までの間にセッションが確立したことのある他の通信端末10のIDとを、テーブル31(図8等参照)によって管理する。ここで一連のセッションの開始から終了までの間とは、何れか一つの他の通信端末10との間のセッションが確立してから、セッションが確立した状態の他の通信端末10が存在しなくなるまでの期間を示す。図8から図10では、セッションが確立している他の通信端末10のIDが、確立中IDとしてテーブル31に格納されている。一連のセッションの開始から終了までの間にセッションが確立したことのある他の通信端末10のIDが、履歴IDとしてテーブル31に格納されている。テーブル31は、HDD23に記憶される。
【0035】
図8に示すように、通信端末10間では相互にセッションが確立し、相互に確立通知通信が実行されている。通信端末11は、通信端末12、13とのセッションが確立しているので、通信端末11が有するテーブル31には、確立中ID及び履歴IDとして12、及び13が其々記憶されている。通信端末12が有するテーブル31には、確立中ID及び履歴IDとして11、及び13が其々記憶されている。通信端末13が有するテーブル31には、確立中ID及び履歴IDとして11、12が其々記憶されている。
【0036】
通信端末12が、通信端末11、13との間のセッションを故意に切断させようとしているとする。図5の場合と同様、通信端末12は、通信端末11、13に対して切断要求パケットを送信する。通信端末11、13は、切断要求パケットを受信する。通信端末12と通信端末11、13との間で、セッションを切断させるための所定の通信が開始される。そして図9に示すように、通信端末11、12間のセッションが先に切断され、通信端末12、13間のセッションは未だ確立された状態になったとする。通信端末11、12間のセッションは切断されているので、通信端末11が有するテーブル31のうち確立中IDからID 12が削除されている。通信端末12が有するテーブル31のうち確立中IDからID 11が削除されている。
【0037】
通信端末11は、通信端末13とのみセッションが確立した状態となっているので、通信端末11から通信端末13に対して、通知するIDのない確立通知パケットが送信される。通信端末13は、通信端末12とのセッションが未だ確立した状態となっているので、通信端末11に対して、ID 12を通知する確立通知パケットが送信される。
【0038】
通信端末11では、確立通知パケットによって通知されたID 12は、確立中IDとして記憶されておらず、履歴IDとして記憶されていることになる。このように、通知されたIDが履歴IDとして記憶されている場合には、通信端末11は、通知されたIDが確立中IDとして記憶されていない場合であっても、通知されたIDを有する通信端末12とのセッションを確立させる確立通信を開始しない。従って、通信端末11、12間のセッションは確立されない。通信端末12、13間では、セッションを切断させるための所定の通信が完了し、通信端末12、13間のセッションは切断される。結果、図10に示すように、通信端末12と、通信端末11、13との間のセッションは切断される。
【0039】
以上のように通信端末10は、確立通知パケットによって他の通信端末10から通知されたIDが履歴IDとして記憶されている場合には、通知されたIDを有する通信端末10とのセッションが確立していない場合でも、通知されたIDを有する通信端末10との確立通信を開始しない。履歴IDには、過去にセッションが確立していた他の通信端末10のIDが記憶されるので、通知されたIDが履歴IDとして記憶されている場合には、通知されたIDを有する通信端末10とのセッションは故意に切断された可能性があるためである。これによって通信端末10は、故意に切断されたセッションが再度自動的に確立されてしまうことを防止している。通信端末10は、セッションを確実に切断させることができる。一方通信端末10は、通知されたIDが確立中IDとして記憶されておらず、且つ履歴IDとして記憶されていない場合には、通知されたIDを有する通信端末10とのセッションを確立させるために確立通信を開始する。これによって通信端末10は、他の通信端末10との間のセッションを確立させることができる。
【0040】
なお、通信端末12、13間の通信路の通信状態が悪化して通信端末12、13間のセッションが切断された場合(図3参照)に上述の方法をそのまま適用した場合を想定する。通信端末12、13間のセッションは確立していたことになる(図2参照)ので、通信端末12が有するテーブル31には、履歴IDとして13が少なくとも記憶されている。通信端末13が有するテーブル31には、履歴IDとして12が少なくとも記憶されている。図3のように、通信端末11から通信端末12に対してID 13が通知された場合、通信端末12では、通知されたIDは履歴IDとして記憶されていることになるので、通信端末13とのセッションを確立させる確立通信が開始されない。同様に、通信端末11から通信端末13に対してID 12が通知された場合、通信端末13では、通信端末12とのセッションを確立させる確立通信が開始されない。このように、上述の方法がそのまま適用された場合、通信状態の悪化によって切断されたセッションが再度確立されなくなってしまう。
【0041】
これに対して本発明では、次のような方法によって、切断されたセッションを再度確立させている。通信状態の悪化によって通信端末12、13間のセッションが切断された場合、通信端末12は、通信端末13のIDをRAM22に一時的に記憶する。確立通知通信によって通信端末11から通信端末12に対してID 13が通知された場合、通知されたID 13は、通信端末12が有するRAM22に記憶されていることになる。このような場合、通信端末12は、通知されたIDが履歴IDとして記憶されている場合であっても、通知されたIDが確立中IDとして記憶されていない場合には、通知されたIDを有する通信端末13とのセッションを確立させる確立通信を実行する。同様に、通信端末11から通信端末13に対してID 12が通知された場合、通信端末13は、通知されたID 12がRAM22に記憶されているので、通信端末12とのセッションを確立させる確立通信を実行する。以上のようにして通信端末10は、通信状態の悪化によって切断したセッションを、通信状態が改善した場合に再度確立させている。
【0042】
図11を参照し、確立通信の通信シーケンスについて説明する。図11のテーブル31の記載は、「確立中ID/履歴ID」を示している。通信端末11、12間でセッションが確立され、P2P型の通信が実行されているとする(S11)。通信端末12、13間でセッションが確立され、P2P型の通信が実行されているとする(S13)。通信端末11、13間ではセッションが確立されておらず、P2P型の通信は行われていないとする。
【0043】
通信端末11は、通信端末12に対して確立通知パケットを送信する。通信端末11は通信端末12とのみセッションが確立した状態であるので、通知するIDのない確立通知パケットが送信される。通信端末12は、確立通知パケットを受信する(S15)。通信端末12は、通信端末11に対して確立通知パケットを送信する。通信端末12は、通信端末11、13とセッションが確立した状態であるので、確立通知パケットによってID 13が通知される。通信端末11は、確立通知パケットを受信する(S17)。
【0044】
通信端末11が有するテーブル31には、通知されたID 13が確立中IDとして記憶されていない。従って通信端末11は、通知されたIDを有する通信端末13とのセッションを確立するために、通信端末13との間で確立通信を開始する。
【0045】
はじめに通信端末11は、セッションの確立を望む通信端末13のIDを通知するパケットを、通信端末12に対して送信する。以下、セッションの確立を望む通信端末10のIDを通知するパケットを、未確立通知パケットという。通信端末12は、未確立通知パケットを受信する(S19)。通信端末12は、通信端末13から通信端末11に対してセッションの確立を要求するように依頼するパケットを、通信端末13に対して送信する。該パケットでは、セッションを確立させる通信端末11のIDが通知される。以下、セッションの確立を要求するように依頼するパケットを、確立依頼パケットという。通信端末13は、確立依頼パケットを受信する(S21)。
【0046】
通信端末13は、確立依頼パケットによって通知されたIDが確立中IDとして記憶されていないため、通信端末11との間のセッションが確立していない状態であることを認識する。通信端末13は、確立依頼パケットによって通知されたIDの通信端末11に対して、セッションの確立を要求するパケットを送信する。以下、セッションの確立を要求するパケットを、確立要求パケットという。通信端末11は、確立要求パケットを受信する(S23)。通信端末11は、確立要求パケットに応じ、セッションの確立を許可するパケットを、通信端末13に対して送信する。以下、確立要求パケットに応じてセッションの確立を許可するパケットを、確立応答パケットという。通信端末13は、確立応答パケットを受信する(S25)。通信端末11、13間のセッションは確立され、P2P型の通信が実行される(S27)。以上のように通信端末10は、セッションが確立していない他の通信端末10との間で確立通信を実行することによって、他の通信端末10との間で新たにセッションを確立させることができる。
【0047】
以上の確立通信を実行することによって、通信端末13において、通信端末11とのセッションが確立された状態であるかを判断し、セッションが確立されていないと判断した場合に、通信端末11、13間でセッションを確立させることができる。通信端末11、13の双方でセッションが確立されていないと判断された場合にのみ、セッションが確立されるので、一方向のみセッションが確立されている状態で確立通信が実行され、重複するセッションが確立されてしまうことを防止できる。
【0048】
図12から図15を参照し、通信端末10のCPU20において実行されるメイン処理及び監視処理について説明する。メイン処理は、通信端末10が他の通信端末10とセッションを確立してテレビ会議を開始した場合に、CPU20において起動され実行される。監視処理は、メイン処理中で起動され実行される。メイン処理及び監視処理は、並列して実行される。
【0049】
図12を参照し、メイン処理について説明する。セッションが確立された状態の他の通信端末10のIDは、確立中ID及び履歴IDとしてテーブル31に記憶されているものとする。監視処理(図13、14、及び15参照)が起動される(S37)。監視処理の詳細は後述する。セッションが確立された状態の他の通信端末10との間で、P2P型の通信が実行され、テレビ会議が実行される(S39)。
【0050】
S97(図14参照)及びS111(図15参照)でセッションが確立された他の通信端末10が存在するかが判断される。セッションが確立された他の通信端末10が存在する場合(S41:YES)、セッションが確立された他の通信端末10のIDが、確立中IDに追加される(S43)。セッションが確立された他の通信端末10のIDが、履歴IDに追加される(S45)。なお、他の通信端末10のIDが既にテーブル31に記憶されている場合、上既に記憶されているIDに上書きすることで、IDは更新される。処理はS39に戻る。
【0051】
セッションが確立された他の通信端末10が存在しない場合(S41:NO)、セッションが確立している他の通信端末10から周期的に送信される確立通知パケットの受信間隔が特定される。確立通知パケットを受信できない状態が所定時間以上継続したかが、セッションが確立している他の通信端末10毎に判断される(S47)。確立通知パケットを所定時間以上継続して受信できない場合(S47:YES)、他の通信端末10との間の通信路の通信状態が悪化している可能性がある。この場合、他の通信端末10との間のセッションが一旦切断された後、通信状態が改善した場合に再確立させることが可能なように(S98、図14参照)、RAM22に他の通信端末10のIDが記憶される(S49)。処理はS53に進む。
【0052】
一方、セッションが確立している他の通信端末10の全てから、所定時間内に確立通知パケットを受信している場合(S47:NO)、他の通信端末10から切断要求パケットを受信したかが判断される(S51)。他の通信端末10から切断要求パケットが受信された場合(S51:YES)、切断要求パケットを送信した他の通信端末10は、セッションを故意に切断させようとしていることになる。この場合、他の通信端末10との間のセッションを切断させるために、処理はS53に進む。なおこの場合、セッションが再度確立されないように(S98、図14参照)、他の通信端末10のIDはRAM22に記憶されない。一方、切断要求パケットが受信されていない場合(S51:NO)、処理はS39に戻る。
【0053】
S53では、S47で所定時間以上継続して確立通知パケットを受信できないと判断された他の通信端末10、又は、S51で受信された切断要求パケットを送信した他の通信端末10との間で、セッションを切断させるための所定の通信が実行される。セッションは切断される(S53)。セッションが切断された他の通信端末10のIDは、確立中IDから削除される(S55)。セッションが確立している他の通信端末10が残存しているかが判断される(S57)。一以上の確立中IDが記憶されているか否かによって、セッションが確立している他の通信端末10が残存しているか否かが判断される。確立中IDが一以上記憶されている場合、セッションが確立している他の通信端末10が残存していることになるので(S57:YES)、処理はS39に戻る。
【0054】
一方、確立中IDが記憶されていない場合、セッションが確立している他の通信端末10がないことになる(S57:NO)。この場合、履歴IDは全て削除される(S59)。これによって、確立通信が禁止されることがなくなるので(S89、図14参照)、他の通信端末10と新たにセッションを確立する場合に、確立通信は確実に行われる。従って通信端末10は、他の通信端末10と自由にセッションを確立し、通信を開始することができる。S37で開始された監視処理(図13、14、15参照)が終了される(S60)。メイン処理は終了する。
【0055】
図13から図15を参照し、監視処理について説明する。確立通知パケットの送信周期が監視され、確立通知パケットの送信タイミングが到来したかが判断される(S61)。確立通知パケットの送信タイミングが到来した場合(S61:YES)、テーブル31に格納された確立中IDに基づいて、セッションが確立している他の通信端末10が特定される。セッションが確立している他の通信端末10に対して、確立通知パケットが送信される(S63)。確立中IDのうち、確立通知パケットの宛先の通信端末10のID以外のIDが、確立通知パケットによって通知される。
【0056】
S63で送信された確立通知パケットに応じ、他の通信端末10から返信されるACKの受信が監視される(S65)。ACKが受信された場合(S65:YES)、他の通信端末10との間の通信路の通信状態は良好であると判断され、セッションは維持される。処理はS61に戻る。
【0057】
確立通知パケットに対するACKが受信されない場合(S65:NO)、S63で確立通知パケットを送信してからの経過時間が監視される(S67)。確立通知パケットを送信してからの経過時間が所定時間未満である場合(S67:NO)、処理はS65に戻る。確立通知パケットを送信してからの経過時間が所定時間以上となった場合(S67:YES)、他の通信端末10との間の通信路の通信状態が悪化していると判断される。この場合、他の通信端末10との間のセッションが一旦切断された後、通信状態が改善した場合に再確立させることが可能なように(S98、図14参照)、RAM22に他の通信端末10のIDが記憶される(S69)。
【0058】
ACKを受信できない他の通信端末10との間のセッションを切断させるための所定の通信が実行される。セッションは切断される(S71)。セッションが切断された他の通信端末10のIDは、確立中IDから削除される(S73)。セッションが確立している他の通信端末10が残存しているかが判断される(S75)。確立中IDが一以上記憶されている場合、セッションが確立している他の通信端末10が残存していることになるので(S75:YES)、処理はS61に戻る。一方、確立中IDが記憶されていない場合、セッションが確立している他の通信端末10がないことになる(S75:NO)。この場合、履歴IDは全て削除される(S77)。これによって、確立通信が禁止されることがなくなるので(S89、図14参照)、他の通信端末10と新たにセッションを確立する場合に、確立通信は確実に行われる。従って通信端末10は、他の通信端末10と自由にセッションを確立し、通信を開始することができる。処理はS61に戻る。
【0059】
一方、S61で、確立通知パケットの送信タイミングが到来していないと判断された場合(S61:NO)、図14に示すように、セッションが確立された状態の他の通信端末10から、確立通知パケットを受信したかが判断される(S81)。確立通知パケットが受信された場合(S81:YES)、確立通知パケットによって通知されるIDが特定される。通知されたIDと確立中IDとが比較される(S83)。通知されたIDが確立中IDとして既に記憶されている場合(S85:YES)、通知されたIDを有する通信端末10とのセッションは確立された状態にある。この場合、通知されたIDを有する通信端末10との間で確立通信を行う必要はない。確立通知パケットを送信した他の通信端末10に対してACKが返信され(S99)、処理はS61(図13参照)に戻る。
【0060】
一方、確立通知パケットによって通知されたIDが、確立中IDとして記憶されていない場合(S85:NO)、通知されたIDを有する通信端末10との間のセッションは確立していないことになる。このような場合、通知されたIDと履歴IDとが比較される(S87)。通知されたIDが履歴IDとして記憶されていない場合(S89:NO)、他の通信端末10との間のセッションを確立させることが許可されている。通知されたIDを有する通信端末10との間で確立通信を実行させるために、処理はS91に進む。
【0061】
通知されたIDが履歴IDとして記憶されている場合(S89:YES)、通知されたIDが、S49(図12参照)、又はS69(図13参照)でRAM22に記憶されたIDと比較される(S98)。通知されたIDが、RAM22に記憶されたIDと一致する場合(S98:YES)、他の通信端末10との間のセッションを確立させることが許可されている。通知されたIDを有する通信端末10との間で確立通信を実行させるために、処理はS91に進む。一方、通知されたIDが、RAM22に記憶されるIDと一致しない場合(S98:NO)、通知されたIDを有する通信端末10とのセッションを確立させることが禁止されていることになる。この場合、確立通信を行うことなく処理はS61(図13参照)に戻る。
【0062】
S91、93、95、及び97では、確立通知パケットによって通知されたIDを有する通信端末10との間のセッションを確立させるための確立通信が、次のようにして実行される。図11で説明した確立通信を適宜参照しながら説明する。図11における通信端末11のCPU20が、S91、93、95、及び97の各処理を実行することになる。
【0063】
確立通知パケットを送信した通信端末12に対して、未確立通知パケットが送信される(S91、S19(図11参照))。セッションが確立していない通信端末13のIDが、未確立通知パケットによって通知される。未確立通知パケットを受信した通信端末12は、通知されたIDを有する通信端末13に対して、確立依頼パケットを送信する(S115(図15参照、後述)、S21(図11参照))。セッションを確立させる通信端末11のIDが、確立依頼パケットによって通知される。確立依頼パケットを受信した通信端末13は、通知されたIDを有する通信端末11に対して、確立要求パケットを送信する(S107(図15参照)、S23(図11参照))。確立要求パケットが受信される(S93)。受信された確立要求パケットに応じ、確立応答パケットが送信される(S95、S25(図11参照))。これによって、S81で受信された確立通知パケットによって通知されたIDを有する通信端末10との間でセッションが確立される(S97)。処理はS61(図13参照)に戻る。
【0064】
一方、S81で、確立通知パケットが受信されていない場合(S81:NO)、図15に示すように、他の通信端末10から確立依頼パケットを受信したかが判断される(S101)。他の通信端末10から確立依頼パケットが受信された場合(S101:YES)、確立依頼パケットによって通知されるIDが特定される。通知されたIDを有する通信端末10との間のセッションを確立させるための確立通信が、次のようにして実行される(S103、105、107、109、及び111)。図11で説明した確立通信を適宜参照しながら説明する。図11における通信端末13のCPU20が、S103、105、107、109、及び111の各処理を実行することになる。
【0065】
通信端末12から受信された確立依頼パケット(S21(図11参照))によって通知されたID(11)と履歴IDとが比較される(S103)。通知されたIDが履歴IDとして既に記憶されている場合(S105:YES)、通知されたIDを有する通信端末11とセッションを確立させることが禁止されていることになる。処理はS61(図13参照)に戻る。
【0066】
一方、通知されたID(11)が履歴IDとして記憶されていない場合(S105:NO)、通信端末11との間のセッションを確立させることが許可されている。通信端末11との間のセッションを確立させるために、通信端末11との間で確立通信が次のようにして実行される。通知されたIDを有する通信端末11に対して、確立要求パケットが送信される(S107、S23(図11参照))。確立要求パケットを受信した通信端末11から返信される確立応答パケット(S95(図14参照)が受信される(S109、S25(図11参照))。これによって、S101で受信された確立依頼パケットによって通知されたIDを有する通信端末10との間でセッションが確立される(S111)。処理はS61(図13参照)に戻る。
【0067】
S101で、確立依頼パケットが受信されていない場合(S101:NO)、他の通信端末10から未確立通知パケットを受信したかが判断される(S113)。他の通信端末10から未確立通知パケットが受信された場合(S113:YES)、未確立通知パケットによって通知されるIDが特定される。通知されたIDを有する通信端末10宛に、確立依頼パケットが送信される(S115)。セッションを接続させる他の通信端末10のIDが、確立依頼パケットによって通知される。なお、図11における通信端末12のCPU20が、S113、115の各処理を実行することになる(S19、S21、図11参照)。
【0068】
以上説明したように、通信端末10は、確立通知パケットによって他の通信端末10から通知されるIDに基づいてセッションの状態を監視し、切断されたセッションを自動的に再確立する機能を有している。通信端末10は、通知されたIDが、テーブル31に格納された確立中ID及び履歴IDのいずれにも該当しない場合、通知されたIDを有する通信端末10との間のセッションを確立させる。一方、通信端末10は、通知されたIDが履歴IDとして記憶されている場合、通知されたIDを有する通信端末10との間のセッションは故意に切断されたものと判断し、セッションを確立させるための通信を禁止する。これによって、故意に切断されたセッションが再度確立されてしまうことを防止できる。通信端末10は、所望するセッションを確実に切断することができる。
【0069】
また通信端末10は、故意に切断されたセッションと、確立通知パケットによる通信が失敗した場合に切断されたセッションとを、通信端末10のIDがRAM22に記憶されたか否かによって区別することができる。従って通信端末10は、故意に切断されたセッションが再度確立されてしまうことを確実に防止することができる。
【0070】
なお本発明は上述の実施形態に限定されず、種々の変形が可能である。上述の実施形態では、セッションが確立した際に履歴IDに追加されたIDは、全てのセッションが切断されるまで消去されなかった(S59(図12参照)、S77(図13参照))。しかしながら本発明はこれに限定されない。例えば、履歴IDにIDが追加されてからの経過時間に基づいて、履歴IDを消去してもよい。図16は、CPU20において実行される削除処理を示している。削除処理は、CPU20の電源が投入された場合に起動され、実行される。削除処理は、メイン処理及び監視処理と並列して実行される。削除処理では、履歴IDにIDが追加されてからの経過時間が、ID毎に監視される。履歴IDにIDが追加されてからの経過時間が所定以上となったかが判断される(S121)。経過時間が所定未満である場合(S121:NO)、処理はS121に戻る。経過時間が所定以上となった場合(S121:YES)、該当するIDが履歴IDから削除される(S123)。処理はS121に戻る。
【0071】
以上のように、履歴IDにIDが追加されてからの経過時間が所定以上となった場合に、該当するIDを履歴IDから削除する。これによって通信端末10は、一旦セッションを切断した他の通信端末10が、所定時間経過後に再度セッションの確立を要求した場合に、他の通信端末10とのセッションを確立させることができる。
【0072】
なお上述において、削除周期が到来したかの判断は、最初に履歴IDが記憶されてからの経過時間に基づいて一律に判断されてもよい。
【0073】
上述の実施形態では、通信端末10は、確立中ID及び履歴IDを格納したテーブル31を一つ管理していたが、本発明はこれに限定されない。通信端末10が、セッションが相互に確立してテレビ会議が実行されている複数のグループに属している場合、テーブル31はグループ毎に設けられ、HDD23に記憶されてもよい。これによって通信端末10は、グループ毎にセッションを再確立させる制御を管理することができる。従って、通信端末10が複数のグループに属している場合において、一のグループ内のセッションの再確立制御によって、他のグループ内のセッションを再確立させてしまうことを防止できる。
【0074】
上述の実施形態では、未確立通知パケット、確立依頼パケット、確立要求パケット及び確率応答パケットが使用されて確立通信が実行されていた(図11参照)。しかしながら本発明はこれに限定されない。例えば図11で、通信端末11は、通信端末13に対して確立要求パケットを直接送信してもよい。通信端末13は、通信端末11から確立要求パケットを受信した場合、通信端末11に対して確立応答パケットを送信してもよい。これによって通信端末10は、確立通信時に要するパケット数を抑制できるので、確立通信を早期に実行し、セッションを確立させることができる。
【0075】
上述の確立通信、及び、セッションを切断させるための所定の通信は、通信端末10間で実行されてもよいし、サーバ等を介して実行されてもよい。
【0076】
なお、確立中IDが記憶されるHDD23が本発明の「第一記憶手段」に相当し、履歴IDが記憶されるHDD23が本発明の「第二記憶手段」に相当する。S53の処理を行うCPU20が本発明の「切断手段」に相当する。S55の処理を行うCPU20が本発明の「第一削除手段」に相当する。S63の処理を行うCPU20が本発明の「通知手段」に相当する。S97、S111の処理を行うCPU20が本発明の「確立通信手段」に相当する。S89の処理を行うCPU20が本発明の「禁止手段」に相当する。S59、S77、S123の処理を行うCPU20が本発明の「第二削除手段」に相当する。S51でYESと判断された結果S53でセッションを切断する処理を行うCPU20が本発明の「第一切断手段」に相当する。S47でYESと判断された結果S53でセッションを切断する処理を行うCPU20が本発明の「第二切断手段」に相当する。S121の処理を行うCPU20が本発明の「監視手段」に相当する。S53の処理が本発明の「切断ステップ」に相当する。S55の処理が本発明の「第一削除ステップ」に相当する。S63の処理が本発明の「通知ステップ」に相当する。S97、S111の処理が本発明の「確立通信ステップ」に相当する。S89の処理を行うCPU20が本発明の「禁止ステップ」に相当する。
【符号の説明】
【0077】
1 通信システム
2 ネットワーク
10、11、12、13 通信端末
20 CPU
23 HDD

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の他の通信端末とのセッションを確立して通信を行う通信端末であって、
セッションが確立している前記他の通信端末のIDを記憶する第一記憶手段と、
一連のセッションの開始から終了までの間にセッションが確立したことのある前記他の通信端末のIDを記憶する第二記憶手段と、
セッションが確立している前記複数の他の通信端末のうち特定の前記他の通信端末とのセッションを切断する切断手段と、
前記切断手段においてセッションが切断された前記特定の他の通信端末のIDを、前記第一記憶手段から削除する第一削除手段と、
前記第一記憶手段に記憶されているIDを、セッションが確立している前記他の通信端末に対して通知する通知手段と、
前記他の通信端末から通知された前記IDが、前記第一記憶手段及び前記第二記憶手段に記憶されていない場合に、前記通知されたIDによって特定される前記他の通信端末とのセッションを確立させるための通信を行う確立通信手段と、
前記他の通信端末から通知された前記IDが、少なくとも前記第二記憶手段に記憶されている場合、前記通知されたIDによって特定される前記他の通信端末とのセッションが、前記確立通信手段において再度確立されることを禁止する禁止手段と
を備えたことを特徴とする通信端末。
【請求項2】
前記通知されたIDによって特定される前記他の通信端末とのセッションが、前記確立通信手段において再度確立されるように、前記第二記憶手段に記憶された前記IDを削除する第二削除手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の通信端末。
【請求項3】
前記第二削除手段は、
前記第一記憶手段に記憶された前記IDが、前記第一削除手段において全て削除された場合、前記第二記憶手段に記憶された前記IDを全て削除することを特徴とする請求項2に記載の通信端末。
【請求項4】
前記通信端末は、複数の前記他の通信端末とのセッションを確立して多地点間通信を行うことが可能なグループに属し、
前記第一記憶手段及び前記第二記憶手段は、前記通信端末が属する前記グループ毎に設けられることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の通信端末。
【請求項5】
前記切断手段は、
前記特定の他の通信端末からセッションの切断の要求を直接受け付けた場合にセッションを切断する第一切断手段と、
前記他の通信端末から前記IDが所定時間以上通知されなかった場合にセッションを切断する第二切断手段と
を備え、
前記禁止手段は、
前記第一切断手段において切断されたセッションが再度確立されることを禁止することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の通信端末。
【請求項6】
前記第二記憶手段に前記IDが記憶されてからの経過時間を監視する監視手段を備え、
前記第二削除手段は、
前記監視手段において監視された前記経過時間が所定以上となった場合に、前記経過時間が所定以上となった前記IDを前記第二記憶手段から削除することを特徴とする請求項2に記載の通信端末。
【請求項7】
複数の他の通信端末とのセッションを確立して通信を行うための通信方法であって、
セッションが確立している前記複数の他の通信端末のうち特定の前記他の通信端末とのセッションの切断の要求を受け付けた場合に、前記特定の他の通信端末とのセッションを切断する切断ステップと、
前記切断ステップにおいてセッションが切断された前記特定の他の通信端末のIDを、セッションが確立している前記他の通信端末のIDを記憶する第一記憶手段から削除する第一削除ステップと、
前記第一記憶手段に記憶されているIDを、セッションが確立している前記他の通信端末に対して通知する通知ステップと、
前記他の通信端末から通知された前記IDが、前記第一記憶手段、及び、一連のセッションの開始から終了までの間にセッションが確立したことのある前記他の通信端末のIDを記憶する第二記憶手段に記憶されていない場合に、前記通知されたIDによって特定される前記他の通信端末とのセッションを確立させるための通信を行う確立通信ステップと、
前記他の通信端末から通知された前記IDが、少なくとも前記第二記憶手段に記憶されている場合、前記通知されたIDによって特定される前記他の通信端末とのセッションが、前記確立通信ステップにおいて再度確立されることを禁止する禁止ステップと
を備えたことを特徴とする通信方法。
【請求項8】
複数の他の通信端末とのセッションを確立して通信を行うための通信プログラムであって、
セッションが確立している前記複数の他の通信端末のうち特定の前記他の通信端末とのセッションの切断の要求を受け付けた場合に、前記特定の他の通信端末とのセッションを切断する切断ステップと、
前記切断ステップにおいてセッションが切断された前記特定の他の通信端末のIDを、セッションが確立している前記他の通信端末のIDを記憶する第一記憶手段から削除する第一削除ステップと、
前記第一記憶手段に記憶されているIDを、セッションが確立している前記他の通信端末に対して通知する通知ステップと、
前記他の通信端末から通知された前記IDが、前記第一記憶手段、及び、一連のセッションの開始から終了までの間にセッションが確立したことのある前記他の通信端末のIDを記憶する第二記憶手段に記憶されていない場合に、前記通知されたIDによって特定される前記他の通信端末とのセッションを確立させるための通信を行う確立通信ステップと、
前記他の通信端末から通知された前記IDが、少なくとも前記第二記憶手段に記憶されている場合、前記通知されたIDによって特定される前記他の通信端末とのセッションが、前記確立通信ステップにおいて再度確立されることを禁止する禁止ステップと
をコンピュータに実行させるための通信プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−178003(P2012−178003A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−39889(P2011−39889)
【出願日】平成23年2月25日(2011.2.25)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】