説明

通信端末、NW機器、通信方法、集積回路、コンピュータプログラム

【課題】宅内NWで別ルータ配下に複数のNW機器が存在する場合、NW機器間の機器発見ができず、かつP2P通信路を確立するには、複数のルータを手動で設定をしなければ、確立することができない。
【解決手段】
第1のNW機器208とモバイル端末210間で、近接無線通信を用いて、移動体通信網203とインターネット204を経由した通信路確立を行う。その後、第2のNW機器209との間でも通信路確立を行う。モバイル端末210は、2つのNW機器208、209からNW環境情報を取得し、2つのNW機器208、209間のP2P通信路上にある、設定が必要なルータを推測し、2つのNW機器208、209へ、モバイル−NW機器間通信路を用いて、NW機器へルータ設定命令を送信する。NW機器はルータ設定命令を実行して、ポートフォワード設定を行うことで、機器発見及びP2P通信路確立を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モバイル端末を利用した宅内ネットワーク機器間の機器発見、及び宅内ネットワーク機器間のP2P通信路(直接通信路)確立手法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、コンピュータやAV(Audio Visual)機器で、宅内ネットワークを利用する製品が増えてきている。それに伴い、宅内ネットワークの規模も、増大傾向にある。宅内ネットワークが大規模化した場合には、NAT(Network Address Translation、アドレス変換)機能を有したルータを用いるのが一般的であり、ルータを複数用いる宅内ネットワークも多い。
【0003】
図1Aは、従来の技術によるネットワーク構成の例を示す図である。
【0004】
図1Aのような1つのルータ102と、複数のNW(NetWork)機器103、104で構成された宅内ネットワークの場合、NW機器間での機器発見、及び、P2P通信(Peer to Peer通信、直接通信)が可能である。この時、通信相手となるNW機器のIP(Internet Protocol)アドレス等の機器情報を取得しておく必要がある。そして、機器情報を取得する標準規格としては、例えば、DLNA(Digital Living Network Alliance)などがある(非特許文献1参照)。
【0005】
図1Bは、従来の技術によるネットワーク構成の他の例を示す図である。
【0006】
しかし、宅内ネットワークが大規模化した場合には、図1Bのように、複数のルータを用いて、ネットワークを構成することになる。この場合、特定の設定をルータに行わない限り、NW機器間での機器発見及びP2P通信ができない場合が多い。
【0007】
機器発見及びP2P通信ができない理由としては、次の点が挙げられる。つまり、一般的に、NAT機能を有したルータは、セキュリティの観点から、LAN(Local Area Network)側からの通信なしに、WAN(Wide Area Network)側から通信パケットを受信した場合には、該当通信パケットを、フィルタリングする場合が多い。このため、機器発見を行う通信パケットが通信相手に届かない。このために、機器発見及びP2P通信ができなくなる。
【0008】
図1Bを例とし、事前に、第1のNW機器115が、第2のNW機器116のIPアドレス情報を取得している状態で、前記第1のNW機器から前記第2のNW機器へ、NW機器発見パケットを送信する場合を考える。この場合、NW機器発見パケットは、第1のNW機器から、第2のルータ113と、第1のルータ112とを経て、第3のルータ114へと届く。
【0009】
すなわち、第3のルータには、この第3のルータのWAN側から、通信パケットが届く。このため、第3のルータは、届いたこの通信パケットを、フィルタリングする。
【0010】
そのため、前記第2のNW機器に、NW機器発見パケットが届かない。このため、宅内NW機器発見が行えない。
【0011】
上記課題に対する回避策の一例として、静的ポートフォワード設定といった方法がある。
【0012】
静的ポートフォワード設定とは、ルータ(上記の例では第3のルータ)の内部設定を変更し、特定の通信パケット(上記のNW機器発見パケット)や、特定のポートを利用する通信を、フィルタリングせずに、通過させるようにするというものである。
【0013】
しかしながら、この静的ポートフォワード設定のような方法の場合、宅内NW環境を把握すること、および、ルータを設定できる権限を持つユーザにより、そのユーザが把握した宅内NW環境に適合した設定が行われることなどが必要である。このため、このような方法は、全ての環境・利用者が行うことは難しいものである。
【0014】
上記課題を解決するために、特許文献1および特許文献2のような技術が提案されている。
【0015】
特許文献1では、インターネット上に、P2Pサーバを設置し、各ユーザ端末(NW機器)が、このP2Pサーバへ、相手通信端末となるユーザ端末の識別情報を送信することで、このP2Pサーバ経由で、機器発見を行う。
【0016】
また、P2Pサーバが、2つのユーザ端末の間の、P2P通信の通信路を指示し、非特許文献2のUPnP IGD(Universal Plug and Play Internet Gateway Device)等を用いて、そのP2P通信路上にある、NAT機能を有したルータを設定する。このことにより、P2P通信路の確立が行われる。これにより、2つのユーザ端末(NW機器)の、NWにおける位置関係を考えることなく、機器発見、及び、P2P通信路確立(NAT越え)が可能になる。
【0017】
また、特許文献2では、上述した特許文献1の方法に加え、各ユーザ端末と、P2Pサーバとの間にあるルータのUPnP IGD機能の有無の情報等を、P2Pサーバに蓄積することで、P2P通信路確立の成功率を、より向上させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】特開2005−323347号公報
【特許文献2】特開2008−236278号公報
【非特許文献】
【0019】
【非特許文献1】Digital Living Network Alliance (http://www.dlna.org/home)
【非特許文献2】Universal Plug and Play Internet Gateway Device (IGD) V1.0、 http://upnp.org/specs/gw/UPnP-gw-InternetGatewayDevice-v1-Device.pdf
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
しかしながら、特許文献1および特許文献2の技術では、インターネット上に、外部サーバが必要であり、運用コストやメンテナンスなどが必要になる。また、各NW機器が、特許文献1および特許文献2の技術を利用するには、常時もしくは定期的に、P2Pサーバへアクセスし、自端末宛ての通信パケットの有無をチェックする必要があり、NW機器の消費電力やセキュリティの点で、不利であるという課題を有していた。
【0021】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたもので、インターネット上に外部サーバを必要とすることなく、かつ、各NW機器が常時もしくは定期的に、外部サーバやNW機器へアクセスすることなく、通信相手となるNW機器の発見、及び、P2P通信路を確立することができる通信端末を提供することを目的とする。
【0022】
また、他の目的は、外部サーバへ、常時もしくは定期的にアクセスする必要がないために、消費電力が少なく、宅内ネットワーク外からの不正アクセスを受ける可能性が低い通信端末を提供することを含む。
【課題を解決するための手段】
【0023】
前記従来の課題を解決するために、本発明の通信端末は、複数のルータを含む第1の通信路を介してインターネットに接続された第1のネットワーク機器及び複数のルータを含む第2の通信路を介してインターネットに接続された第2のネットワーク機器のそれぞれと近接無線通信を行うことにより、前記第1のネットワーク機器の通信路に関する第1の通信路情報及び前記第2のネットワーク機器の通信路に関する第2の通信路情報を取得するNW環境情報受信部と、前記第1の通信路情報及び前記第2の通信路情報に基づき、前記第1のネットワーク機器と前記第2のネットワーク機器との間の通信路である第3の通信路を推測する第1の判断部と、前記第1の判断部で推測された前記第3の通信路上に存在する前記ルータに対してポートフォワード設定を行うための命令を、前記第1のネットワーク機器及び前記第2のネットワーク機器の少なくとも一方へ送信するルータ設定命令送信部とを備える。
【0024】
つまり、無線通信を利用できるモバイル端末を用いて、NW環境情報取得命令やNW設定命令送信、及びNW機器が得た情報の取得が行える無線通信路を、モバイル端末とNW機器間で確立・保持する。この無線通信路を用いて、モバイル端末は、2つのNW機器から情報を取得するとともに、2つのNW機器へ、NW設定命令を送信することで、2つのNW機器間の機器発見、及び、P2P通信路確立が可能となる。
【発明の効果】
【0025】
本発明に関わる通信装置及び通信方法によれば、インターネット上に外部サーバを必要とすることなく、かつ、各NW機器が常時もしくは定期的に、外部サーバやNW機器へアクセスすることなく、通信相手となるNW機器の発見、及び、P2P通信路を確立することができる。
【0026】
また、ユーザ視点では、ユーザが、複雑な操作をさせることなく、宅内NWで、NW機器間のP2P通信を用いたサービス・機能を利用することができる。
【0027】
また、本発明に関わる通信装置及び通信方法では、NW機器間で、機器発見・P2P通信路確立するために、外部サーバへ、常時もしくは定期的にアクセスする必要がないため、消費電力が少なくできる、宅内ネットワーク外からの不正アクセスを受ける可能性が低くできる、などの効果も得られる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1A】図1Aは、従来の技術による宅内ネットワークの例である。
【図1B】図1Bは、従来の技術による宅内ネットワークの例である。
【図2】図2は、本発明の実施の形態1におけるネットワーク構成図である。
【図3】図3は、本発明の実施の形態1におけるNW機器のハード構成図である。
【図4】図4は、本発明の実施の形態1におけるモバイル端末のハード構成図である。
【図5】図5は、本発明の実施の形態1におけるNW機器の機能ブロック図である。
【図6】図6は、本発明の実施の形態1におけるモバイル端末の機能ブロック図である。
【図7】図7は、本発明の実施の形態1における通信処理全体のフローチャートである。
【図8】図8は、本発明の実施の形態1におけるモバイル端末−NW機器間の通信路確立のフローチャートである。
【図9】図9は、本発明の実施の形態1における2つのNW機器間通信路確立のフローチャートである。
【図10】図10は、本発明の実施の形態1におけるモバイル端末−NW機器間の通信路確立のフローチャートである。
【図11】図11は、本発明の実施の形態1における2つのNW機器間の通信路確立のフローチャートである。
【図12】図12は、モバイル端末を用いたネットワーク機器発見及び通信路確立の動作の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0030】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1について述べる。
【0031】
図2は、本実施の形態において想定しているNW環境について示す図である。
【0032】
複数のルータ205、206、207と、NW通信機能を有した2つのNW機器208、209から構成される宅内ネットワーク211が、インターネット204に接続されている。
【0033】
また、インターネット204には、サーバ(一般サーバ)201と、移動体通信網203が接続される。
【0034】
なお、一般サーバ201は、本実施形態の説明の便宜上、図示しているが、本実施形態で、必須ではなく、インターネット上に存在するNW機器であれば、何でも良い。
【0035】
モバイル端末210は、携帯電話やPHS(Personal handy-hone System)などの通信に用いる基地局202を経由して、移動体通信網203と通信し、インターネット204へのアクセスも可能であるとする。
【0036】
図3は、本発明の実施の形態1におけるNW機器208、209のハードウェア構成図である。
【0037】
NW機器208xは、図示されるハードウェア構成を有するNW機器を示す。そして、例えば、2個のNW機器208xのうちの一方のNW機器208xが、図2に示されるNW機器208であり、他方のNW機器208xが、NW機器209である。
【0038】
NW機器208xは、通信デバイスとして、2つのデバイスを搭載しているものとする。
【0039】
1つは、近接無線通信デバイス304であり、一般的には、NFC(Near Field Communication)といわれるものである。
【0040】
もう1つは、宅内ネットワーク通信デバイス305であり、宅内ネットワークで用いられる有線LANや、Wi−Fi(Wireless Fidelity)や、ZigBeeなどの通信デバイスである。
【0041】
さらに、NW機器208xは、ユーザインタフェースデバイス(ユーザIFデバイス)301と、CPU(Central Processing Unit)302と、メモリ303とを備えるものとする。
【0042】
ここで、ユーザインタフェースデバイス301とは、ボタンなどの入力デバイス、および、ディスプレイ、LED(Light Emitting Diode)などの出力デバイスを示したものである。
【0043】
なお、本実施の形態では、モバイル端末210と、NW機器208xとの間の通信方法として、NFCを用いる場合の説明を行うが、NFCに限らず、赤外線通信やWi−FiやBluetoothなどの無線通信を用いても良い。
【0044】
図4は、実施の形態1におけるモバイル端末210(図2)のハードウェア構成図である。
【0045】
本発明におけるモバイル端末210は、通信デバイスとして、2つのデバイスを搭載しているものとする。
【0046】
1つは、近接無線通信デバイス404であり、前述のNFCである。
【0047】
もう1つは、移動体通信デバイス405であり、携帯電話やPHSなどの無線通信デバイスである。
【0048】
さらに、モバイル端末210は、ユーザインタフェースデバイス401と、CPU402と、メモリ403とを備えるものとする。
【0049】
なお、前述のNW機器と同様、近接無線通信デバイスとして、NFCに限らず、赤外線通信や、Wi−Fiや、Bluetoothなどの無線通信を用いても良い。
【0050】
図5は、NW機器208xの機能ブロック図である。
【0051】
図5に示す各機能ブロックは、例えば、端末(NW機器208x)のCPU(例えば図3のCPU302)、メモリ(例えばメモリ303)、及び各通信デバイス(近接無線通信デバイス304、宅内ネットワーク通信デバイス305)により実現される。
【0052】
NW機器208xは、宅内ネットワーク通信を行う宅内NW通信部500と、近接無線通信を行う近接無線通信部510とを備える。
【0053】
なお、宅内ネットワーク通信および近接無線通信の2つの通信のそれぞれの手段については、前述のとおりである(近接無線通信デバイス304、宅内ネットワーク通信デバイス305を参照)。
【0054】
宅内NW通信部500は、NW環境情報取得部501と、ルータ設定命令受信部502と、ルータ設定命令実行部503とにより構成される。
【0055】
NW環境情報取得部501は、本NW環境情報取得部501が設けられた本NW機器208xから、インターネット204(図2)上にある一般サーバ201までのNW環境情報(IP(Internet Protocol)アドレス等)を取得する。
【0056】
ルータ設定命令受信部502は、モバイル端末210から本NW機器208xへ、宅内ネットワーク211(図2)を経由して送信されるルータ設定命令を、受信する。
【0057】
ルータ設定命令実行部503は、上述のルータ設定命令受信部502、および、後で詳しく説明されるルータ設定命令受信部511の2つのルータ設定命令受信部のそれぞれで受信したルータ設定命令を、該当ルータに対して、UPnP IGD等を用いて実行する。なお、例えば、ルータ設定命令をルータに対して実行するとは、そのルータ設定命令の処理を、そのルータに対して実行することをいう。
【0058】
近接無線通信部510は、ルータ設定命令受信部511と、NW環境情報送信部512とにより構成される。
【0059】
ルータ設定命令受信部511は、モバイル端末210(図2)から、近接無線通信を経由して、本NW機器208xへと送信される、ルータ設定命令を受信する。
【0060】
NW環境情報送信部512は、前記NW環境情報取得部501で取得したNW環境情報を、前記モバイル端末210へ送信する。
【0061】
図6は、モバイル端末210の機能ブロック図である。
【0062】
図6に示す各機能ブロックは、例えば、各端末(それぞれのモバイル端末210)のCPU、メモリ、及び各通信デバイスにより実現される。
【0063】
モバイル端末210は、移動体通信を行う移動体通信部520と、取得したNW環境情報(図5のNW環境情報取得部501、および、後で詳しく説明されるNW環境情報受信部542など参照)から、設定をすべきルータを判断する処理判断部530と、近接無線通信を行う近接無線通信部540を備える。
【0064】
移動体通信部520は、通信路確立部(モバイル端末−NW機器通信路確立部)521と、ルータ設定命令送信部522により構成される。
【0065】
通信路確立部521は、後で詳しく説明される第2の通信路判断部(モバイル端末−NW機器間通信路判断部)532で判断された結果を元に、モバイル端末210−NW機器208xの間の、移動体通信網203経由の通信路を確立する。
【0066】
ルータ設定命令送信部522は、後で詳しく説明される第1の通信路判断部(NW機器間通信路判断部)531で判断された結果を元に、2つのNW機器208xの間にあるルータへ、ルータ設定命令を送信する。
【0067】
処理判断部530は、第2の通信路判断部(モバイル端末−NW機器間通信路判断部)532と、第1の通信路判断部(NW機器間通信路判断部)531とにより構成される。
【0068】
第2の通信路判断部(モバイル端末−NW機器間通信路判断部)532は、後述のNW環境情報受信部542で取得する、NW機器208x(NW機器208、209)のNW環境情報から、モバイル端末210−NW機器208x間の、移動体通信網203経由で、確立する通信路を判断(特定)する。例えば、その通信路でのそれぞれの機器が特定される。
【0069】
第1の通信路判断部(NW機器間通信路判断部)531は、NW環境情報受信部542で取得する2つのNW機器208x(NW機器208、209)の2つのNW環境情報から、それら2つのNW機器208xの間のP2P通信路を判断(特定)する。すなわち、P2P通信路で経由する全てのルータが特定される。また、それらのルータのうちのそれぞれの、LAN側及びWAN側のIPアドレスが特定される。
【0070】
近接無線通信部540は、ルータ設定命令送信部541と、NW環境情報受信部542により構成される。
【0071】
ルータ設定命令送信部541は、第2の通信路判断部532で判断された結果に基づき、モバイル端末210と、NW機器208xとの間での、移動体通信網203を経由した通信路上に存在する、設定が必要なそれぞれのルータへ、ポートフォワード命令を、近接無線通信208c経由で、NW送信する。
【0072】
NW環境情報受信部542は、NW機器208xから、近接無線通信208cを用いて、NW環境情報208I(図6)を取得する。
【0073】
図7は、実施の形態1における通信処理全体のフローチャートである。
【0074】
なお、この説明におけるネットワーク構成は、前述した図2の通りである。
【0075】
まず、ユーザが、モバイル端末210と、NW機器208との間の通信路を、近接無線通信208cと、移動体通信(移動体通信網203を介した通信)とを用いて、確立させる(ステップS601)。
【0076】
次に、ユーザが、モバイル端末210と共に、NW機器209の周辺へ移動し、モバイル端末210と、NW機器209との間の通信路が、近接無線通信208cと、移動体通信網203を介した通信とを用いて確立される(ステップS602)。なお、ステップS601及びS602の詳細動作は、図8および図10を用いて後述する。
【0077】
モバイル端末210と、両NW機器208、209のそれぞれとの間の、移動体通信網203経由の通信路の確立が完了した後、モバイル端末210から、前記両NW機器208、209のそれぞれへ、命令が送信される。これにより、NW機器208と、NW機器209との間で、機器発見・P2P通信路確立が行われる(ステップS603)。なお、ステップS603の詳細動作は、図9および図11を用いて後述する。
【0078】
図8は、前述したステップS601及びS602の処理、すなわち、モバイル端末210と、NW機器との間の通信路を、近接無線通信208cと、移動体通信網203を介した通信とを用いて確立する際の詳細動作のフローチャートである。
【0079】
まず、NW機器が、NW環境情報を取得する(ステップS701)。
【0080】
ここで、NW環境情報とは、それぞれのNW機器が接続されている、上位NW装置(例えばルータなど)の、全てのIPアドレスが含まれる情報などである。
【0081】
図2のNW環境で、第1のNW機器208を例にすると、第1のNW機器208から見た上位NW装置としては、ルータ205及びルータ206がある。
【0082】
例えば、tracerouteのような、ネットワーク経路情報を取得するための命令を、一般サーバ201へ向けて実行することにより、NW環境情報を取得する。
【0083】
次に、モバイル端末210の近接無線通信デバイス404(図4)、及び、NW機器の近接無線通信デバイス304(図3)を利用して、NW機器と、モバイル端末210との間の通信を実行し、ステップS701で、NW機器が取得したNW環境情報を、モバイル端末210に通知する(ステップS702)。
【0084】
次に、モバイル端末210の近接無線通信デバイス404(図4)、及び、NW機器の近接無線通信デバイス304(図3)を利用して、NW機器と、モバイル端末210との間の通信を実行する。そして、この通信により、モバイル端末210からNW機器へ、ルータ設定命令を送信する(ステップS703)。
【0085】
このとき、設定する任意のポート番号の指定も行う。
【0086】
前記ルータ設定命令は、NW機器から、NW機器の上位に接続されている、ルータなどの上位NW装置へ、UPnP IGD等で、ルータのポートフォワード設定を実行させる命令である。つまり、モバイル端末210は、動作ステップS702で取得した前記NW環境情報から、設定すべきルータ(アドレス変換を行っているルータ)を判断し、該当する全てのルータの設定命令を送信する。なお、該当するルータの個数は1つ以上である。ここで、全てのルータの設定命令を送信するとは、それら1つ以上のルータのうちの何れのルータについても、そのルータに対する設定をさせる設定命令を送信すること等をいう。
【0087】
前記ルータ設定命令には、設定すべきルータのIPアドレスや、ポートフォワード設定するポート番号等を含む。
【0088】
図2のNW環境で、NW機器208を例にすると、設定すべきルータは、第1のルータ205と、第2のルータ206とである。設定するポートフォワード命令例としては、第1のルータ205への、“IPアドレス10.0.0.1&ポート番号10000番のパケットを、IPアドレス192.168.1.2&ポート番号10000番へ転送”の設定の命令、および、第2のルータへの、“IPアドレス192.168.1.2&ポート番号10000番のパケットを、IPアドレス192.168.2.2&ポート番号10000番へ転送”の設定の命令などである。
【0089】
次に、モバイル端末210からルータ設定命令を受信したNW機器が、上位NW装置に対して、受信されたルータ設定命令を実行する(ステップS704)。
【0090】
このとき、ルータ設定命令を実行完了した後に、NW機器は、モバイル端末210へ、ルータ設定完了通知を送っても良い。
【0091】
次に、モバイル端末210が、移動体通信デバイス405(図4)を用いて、移動体通信網203、及び、インターネット204を経由して、宅内ネットワーク211へアクセスし、当該モバイル端末210と、NW機器との間での通信が行える状態を確立する(ステップS705)。
【0092】
図2のNW環境を例とし、前記動作ステップS703で、第1のルータ205へ設定した、ポートフォワード設定のポート番号を、10000番とすると、モバイル端末210は、移動体通信網203へ、宛先IPアドレスを、第1のルータ205のWAN側IPである10.0.0.1として、ポートフォワード設定したポート番号10000番へ、パケットを送信する。
【0093】
送信されたこのパケットは、前記動作ステップS703で、第1のルータ205及び第2のルータ207に、それぞれ、ポートフォワード設定されているため、第1のNW機器まで届き、モバイル端末210と、第1のNW機器208との通信路が確立する。モバイル端末210と、NW機器との間の、移動体通信網203経由の通信路が確立した後には、セキュリティの観点から、NW機器が、設定したルータへのポートフォワード設定を解除してもよい。
【0094】
図9は、前述したステップS603、すなわち、NW機器間の通信路を確立する際の詳細動作のフローチャートである。
【0095】
まず、図8のステップS702の処理によって、モバイル端末210が、両NW機器208、209から取得した2つのNW環境情報の差分を計算することにより、両NW機器間208、209の間のP2P通信路を推測する(ステップS801)。
【0096】
図2のNW環境を例とすると、モバイル端末210は、第1のNW機器208のNW環境情報の“第1のNW機器208 − 第2のルータ206 − 第1のルータ205 − インターネット204”と、第2のNW機器209のNW環境情報の“第2のNW機器209 − 第3のルータ207 − 第1のルータ205 − インターネット204”の情報を差分計算する。
【0097】
これにより、第1のルータ205が、2つのNW機器208、209の共通ルータ(大1のルータ205)であることが分かり、両NW機器208、209の間のP2P通信路が、“第1のNW機器20 − 第2のルータ206 − 第1のルータ205 − 第3のルータ207 − 第2のNW機器209”であると推測する。
【0098】
次に、ステップS801で推測した両NW機器208、209の間のP2P通信路から、前記P2P通信路上にある1つ以上のルータ(ルータ206、205、207)のうちの、両NW機器208、209の共通ルータ205を除くルータ(ルータ206)への設定命令を、モバイル端末210から、第1のNW機器208へ、移動体通信網203経由で送信する(ステップS802)。
【0099】
図2のNW環境を例とすると、モバイル端末210は、第1のNW機器208へ、第2のルータ206への設定の設定命令を送信する。このとき、設定する、任意のポート番号も指定する。ここでは、10000番ポートを、ポートフォワード設定したものとする。
【0100】
次に、ステップS801で推測した、両NW機器208、209の間のP2P通信路から、前記P2P通信路上にある、両NW機器208、209の共通ルータを除くルータ(ルータ207)への設定命令を、モバイル端末210から、第2のNW機器209へ、移動体通信網203経由で送信する(ステップS803)。
【0101】
図2のNW環境を例とすると、モバイル端末210は、第2のNW機器209へ、第3のルータ207への設定の設定命令を送信する。このとき、設定する、任意のポート番号も指定する。ここでは、20000番ポートを、ポートフォワード設定したものとする。
【0102】
次に、前記動作ステップS802及びS803の完了後、モバイル端末210から、第1、第2のNW機器208、209のうちのどちらか1つのNW機器へ、導通確認パケット送信命令(NW機器間P2P通信路導通確認パケット送信命令)を、移動体通信網203経由で送信する(ステップS804)。
【0103】
この時、導通確認パケットの宛先IPアドレスとポートとなる、相手側NW機器の設定した、最上段のルータ(第1のルータ205)のWAN側IPアドレスと、ポート番号を通知する。
【0104】
図2のNW環境を例とし、導通確認パケット送信命令を第1のNW機器208へ送信する場合、モバイル端末210は、第3のルータ207のWAN側IPアドレス192.168.1.3と、ポートフォワード設定したポート番号20000番を宛先として、導通確認パケットの送信命令を、第1のNW機器208へ、移動体通信網203経由で送信する。
【0105】
次に、ステップS804で、モバイル端末210から導通確認パケット送信命令を受信したNW機器が、もう一方のNW機器へ、前記導通確認パケットを、宅内ネットワーク通信デバイス305を使って送信する(ステップS805)。
【0106】
導通確認パケットの宛先は、ステップS804で、モバイル端末210から指定された宛先であり、相手側NW機器の最上位にあるルータ(第1のルータ205)のWAN側の、ポートフォワード設定されたIPアドレスとポート番号へ送られる。このため、相手側NW機器へと前記導通確認パケットが届き、第1、第2のNW機器208、209の間で、機器発見・P2P通信路確立が完了する。
【0107】
ここで、第1、第2のNW機器208、209の間での、機器発見・P2P通信路確立の後に、前記動作ステップS802及びS803で設定したルータのポートフォワード設定を解除してもよい。
【0108】
なお、ステップS803及びS804で、モバイル端末から第2のNW機器209へ、ルータ設定命令及び導通確認パケット送信命令を通知する通信手段を、近接無線通信を用いて行うことにより、第2のNW機器209(どちらか一方のNW機器)への動作ステップS703及びS704及びS705を省略してもよい。
【0109】
図10は、前述したステップS601、すなわちモバイル端末210と第1のNW機器208との間で通信路を確立する際の詳細動作のフローチャートである。
【0110】
なお、この説明におけるネットワーク構成は、前述した図2のとおりである。
【0111】
まず、第1のNW機器208は、宅内ネットワーク通信を用いて、自端末のNW環境情報を取得する(ステップS901)。この処理は、例えば、公知である一般サーバに向けて、traceroute等のネットワーク経路情報を取得するためのコマンドを発行することにより実現できる。図2のネットワーク構成の場合、ステップS201により取得できる情報は、“第1のNW機器208(192.168.2.2) − 第2のルータ206(LAN側:192.168.1.2、WAN側:192.168.1.2) − 第1のルータ205(LAN側:192.168.1.1、WAN側:10.0.0.1) − インターネット204 − 一般サーバ201”である。
【0112】
次に、モバイル端末210は、第1のNW機器208と、近接無線通信を用いて、第1のNW機器208に対して、NW環境情報送信命令を送信する(ステップS902)。
【0113】
次に、ステップS902で、NW環境情報送信命令を受信した第1のNW機器208が、S901で取得したNW環境情報を、近接無線通信を用いてモバイル端末210へ送信する(ステップS903)。
【0114】
次に、ステップS903で、NW環境情報を受信したモバイル端末210が、ステップS901で取得したNW環境情報から、第1のNW機器208の、宅内ネットワーク211での、最も上位にあたるNW装置である第1のルータ205を推測(特定)し、移動体通信網203経由で、モバイル端末210と、第1のNW機器208が通信するための通信路を計算(特定)する(ステップS904)。
【0115】
次に、モバイル端末210は、ステップS904で推測した、モバイル端末210と第1のNW機器208の通信路における、モバイル端末210と第1のNW機器208との間にある、ポートフォワード設定可能な第1のルータ205及び第2のルータ206への、ルータ設定を実行させるルータ設定送信命令を、近接無線通信を用いて、第1のNW機器208へ送信する(ステップS905)。
【0116】
このとき、設定するルータとして、第1のルータ205のLAN側IPアドレス192.168.1.1と、設定する任意のポート番号(ここでは10000番とする)、第2のルータ206の、LAN側IPアドレス192.168.2.1と、設定するポート番号(第1のルータで設定したポートと同じポート番号)を指示する。
【0117】
次に、ステップS905の、ルータ設定命令を受けた第1のNW機器208が、指示されたルータである第1のルータ205と第2のルータと205へ、それぞれ、UPnP等を用いて、ポートフォワード設定を実行する(ステップS906)。
【0118】
これにより、第1のルータ205の、WAN側IPアドレス10.0.0.1と、ポート番号10000番に通信パケットが来た場合、第1のNW機器208へとパケットが転送されることになる。
【0119】
次に、モバイル端末210は、ステップS904で推測した、第1のNW機器208の、宅内ネットワーク211での、最も上位にあたるNW装置である第1のルータ205のWAN側IPアドレスと、前記動作ステップS905で第1のNW機器へ指示したポート番号(10000番)を宛先とした導通確認パケットを、移動体通信網203経由で送信する(ステップS907)。
【0120】
送信された導通確認パケットは、S906の第1のルータ205及び第2のルータ206へのポートフォワード設定により、第1のルータ205から第1のNW機器208へと転送される。このため、モバイル端末210と、第1のNW機器208との間の通信路が確立できる。
【0121】
以上が、前述したステップS601の詳細動作である。
【0122】
ステップS602の詳細動作は、前述したステップS601のフローチャートでの動作とほぼ同等のため、詳しい説明を省略する。
【0123】
なお、前述したステップS905において、モバイル端末210が指示する、設定するポート番号について、ステップS601とS602とで、別の番号を選ばなければならない。なぜなら、同一のポート番号に、2つのポートフォワード設定ができないためである。
【0124】
図11は、ステップS603の処理がされる際、すなわち、第1のNW機器208と、第2のNW機器209との間で、機器発見およびP2P通信路の確立を行う際の詳細動作のフローチャートである。
【0125】
なお、この説明におけるネットワーク構成は、前述した図2のとおりである。
【0126】
まず、モバイル端末210が、ステップS903で、2つのNW機器208、209から取得した、2つのNW環境情報を差分計算し、第1のNW機器208と、第2のNW機器209との間でのP2P通信路を推測する(ステップS1001)。
【0127】
図2のNW環境では、“第1のNW機器208 − 第2のルータ206 − 第1のルータ205 − 第3のルータ207 − 第2のNW機器209”であることが推測される。
【0128】
次に、モバイル端末210は、移動体通信網203を経由した、NW機器208xとの間の通信路を用いて、第1のNW機器208及び第2のNW機器209へ、ステップS1001で推測した、第1、第2のNW機器208、209の間のP2P通信路上にあるそれぞれルータへのポートフォワード設定命令を送信する(ステップS1002)。
【0129】
なお、図2のNW環境では、第1のNW機器208には、第2のルータ206(192.168.2.1)へのポートフォワード命令が、第2のNW機器209には、第3のルータ207(192.168.3.1)へのポートフォワード命令が送信される。ここで、ポートフォワード設定する任意のポート番号も指示するが、S905で設定したポートフォワード設定のポート番号と異なるポート番号を用いなければならない(ここでは30000番とする)。
【0130】
次に、2つのNW機器208、209は、ステップS1002で、モバイル端末210から指示されたルータ設定命令を実行する(ステップS1003)。第1のNW機器208は、第2のルータ206(192.168.2.1)へ30000番ポートのポートフォワード命令を実行する。第2のNW機器209は、第3のルータ207(192.168.3.1)へ30000番ポートのポートフォワード命令を実行する。
【0131】
次に、モバイル端末210は、移動体通信網203を経由した、NW機器208xとの間での通信路を用いて、どちらか一方のNW機器208xへ、NW機器間導通確認パケット送信命令を送信する(ステップS1004)。ここでは、第1のNW機器208へ、NW機器間導通確認パケット送信命令を送信することとする。ここで、NW機器間導通確認パケットの宛先IPアドレスとポートも指示する必要がある。本NW環境では、NW機器間導通確認パケットの宛先は、第3のルータ207のWAN側IPアドレス192.168.1.3と、前記動作ステップS1003でポートフォワード設定したポート番号30000番である。
【0132】
次に、前記動作ステップS1004のNW機器間導通確認パケット送信命令を受信した第1のNW機器208は、指示された宛先の第3のルータ207のWAN側IPアドレス192.168.1.3と、前記動作ステップS1003でポートフォワード設定したポート番号30000番へ、NW機器間導通確認パケットを送信する(ステップS1005)。これにより、NW機器間の機器発見・P2P通信路確立が完了する。
【0133】
最後に、本発明によるモバイル端末を用いたネットワーク機器発見及び通信路確立の具体的動作について説明する。
【0134】
図12は、モバイル端末を用いたネットワーク機器発見及び通信路確立の動作の一例を示す図である。
【0135】
図12では宅内ネットワーク211において、第1のルータ205、第1のルータに接続された第2のルータ206および第3のルータ207を有する。そして、2つのNW機器208xを有する。説明の便宜上、第2のルータ206に接続されたNW機器208xを第1のNW機器208、第3のルータ207に接続されたNW機器208xを第2のNW機器209と適宜称する。
【0136】
第1のNW機器208は、第2のルータ206、第1のルータ205を介してインターネット204に接続されており、第2のNW機器209は、第3のルータ207、第1のルータ205を介してインターネット204に接続されている。
【0137】
また、2つのNW機器208xは、その機器との間の距離が、例えば数センチメートルなどの、予め定められた距離よりも短い距離である場合に、その機器と通信を行う、上述のNFCの通信などの近接無線通信をする機能を備えているものとする(図3の近接無線通信デバイス304などを参照)。
【0138】
なお、図12において、第1のルータ205と、インターネット204との間の実線は、通信ケーブルなどの、物理的な通信線を示す。第1のルータ205と、インターネット204との間の2つの点線のそれぞれにより示される通信は、何れも、この実線により示される通信路上に、論理的に確立される。
【0139】
なお、2つのNW機器208xのうちの少なくとも一方は、例えば、テレビ、DVD(Digital Versatile Disc)レコーダ、ブルーレイディスクレコーダなどのAV(Audio Visual)機器でもよい。また、少なくとも一方は、パソコンなどでもよいし、冷蔵庫、エアコンなどの家電製品などでもよいし、共有されるデータを記憶するサーバなどであるホームサーバ等でもよい。
【0140】
一方で、例えば宅内ネットワーク211が設けられた住宅の住人などである、宅内ネットワーク211のユーザは、通常の場合には、例えば携帯電話、スマートフォンなどであるモバイル端末210を有する。
【0141】
モバイル端末210は、ユーザにより携帯されて、ユーザが移動することにより、ユーザと共に、移動(移動210mを参照)をする。
【0142】
また、モバイル端末210は、移動体通信網203を介してインターネット204に接続されている。
【0143】
さらに、モバイル端末210は、上述のNFCの通信などの近接無線通信をする機能を備えているものとする(図4の近接無線通信デバイス404などを参照)。
【0144】
このような状況において、第1のNW機器208と第2のNW機器209との間で宅内通信(通信路205cによる通信)を確立する場合の動作を説明する。
【0145】
まず、2つのNW機器208xのうちの第1のNW機器208に対して、モバイル端末210のタッチ208tがされて、第1のNW機器208と、モバイル端末210との間の近接無線通信208rがなされる。
【0146】
このとき、そのタッチにより行われる近接無線通信(近接無線通信208r)を通じて、そのNW機器208xから情報(情報208I)が、モバイル端末210により取得される(図6のNW環境情報受信部542、図5のNW環境情報送信部512などを参照)。ここで取得される情報は、例えば、そのNW機器(例えば第1のNW機器208)と、インターネット204との間にある(そのNW機器の上位にある)、それぞれのルータ(第1、第2のルータ205、206)を特定する情報などである。
【0147】
なお、このような情報は、第1のNW機器208と、モバイル端末210との間における、近接無線通信の通信路以外の他の通信路(通信路208q)に基づく情報であるため、通信路208qは、少なくとも、タッチによる、情報208Iの取得の時点で確立される必要がある。
【0148】
よって、そのタッチにより行われる近接無線通信(近接無線通信208r)の際に、第1のNW機器208と、モバイル端末210との間における、近接無線通信の通信路以外の他の通信路(通信路208q)が確立されるようにしてもよい。なお、他の通信路は、近接無線通信208rを行うより前に確立されていてもよいことはいうまでもない。
【0149】
なお、他の通信路は、先述のように、インターネット204、および、移動体通信網(3G網など)203を介した通信路などである。
【0150】
そして、第1のNW機器208と、モバイル端末210との間の近接無線通信を行った後に、第1のNW機器208が設置された場所から、他方の第2のNW機器209が設置された場所までの、モバイル端末210の移動210mがなされる。
【0151】
そして、この移動210mがされた後に、第2のNW機器209にタッチがされて、第2のNW機器209も、モバイル端末210との近接無線通信209rがなされる。
【0152】
このとき、そのタッチで行われる近接無線通信(近接無線通信209r)を通じて、第2のNW機器209から情報(情報209I)が、モバイル端末210により取得される(図6のNW環境情報受信部542、図5のNW環境情報送信部512などを参照)。ここで取得される情報は、例えば、そのNW機器(例えば第2のNW機器209)と、インターネット204との間にある(そのNW機器の上位にある)、それぞれのルータ(第1、第3のルータ205、207)を特定する情報などである。
【0153】
なお、このような情報は、第2のNW機器209と、モバイル端末210との間における、近接無線通信の通信路以外の他の通信路(通信路209q)に基づく情報であるため、通信路209qは、少なくとも、タッチによる情報209Iの取得の時点で確立される必要がある。
【0154】
よって、そのタッチにより行われる近接無線通信(近接無線通信209r)の際に、第2のNW機器209と、モバイル端末210との間における、近接無線通信の通信路以外の他の通信路(通信路209q)が確立されるようにしてもよい。なお、他の通信路は、近接無線通信209rを行うより前に予め確立されていてもよいことはいうまでもない。
【0155】
なお、他の通信路は、先述のように、インターネット204、および、移動体通信網(3G網など)203を介した通信路などである。また、他の通信路は、近接無線通信209rを行うより前に予め確立されていてもよい。
【0156】
そして、それぞれのNW機器208xについて、そのNW機器208xから取得される情報により特定される2以上のルータのうちで、他方のNW機器208xからの情報によっても特定されるルータと、他方のNW機器208xからの情報によっても特定されないルータとが特定される(図6の第1の通信路判断部531を参照)。例えば、第1のNW機器208に着目すると、情報208Iから特定される2以上のルータ(第1、第2のルータ205、206)のうちで、第2のNW機器209からの情報209Iによっても特定される第1のルータ205が共通のルータとして特定され、第2のNW機器209からの情報209Iによっても特定されない第2のルータ206が非共通ルータとして特定される。また、第2のNW機器209に着目すると、情報209Iから特定される2以上のルータ(第1、第2のルータ205、207)のうちで、第1のNW機器208からの情報208Iによっても特定される第1のルータ205が共通のルータとして特定され、第1のNW機器208からの情報208Iによっても特定されない第3のルータ207が非共通ルータとして特定される。
【0157】
そして、特定された非共通ルータ(例えば、第1のNW機器208に対する第2のルータ206)は、2つのNW機器208xの間の宅内通信(通信路205cでの通信)がされるために、その非共通ルータに対する設定(先述の静的ポートフォワード設定(設定206n、207nを参照))が必要であるルータである。
【0158】
そして、その非共通ルータへの上述の設定は、先述の通り、例えば、その非共通ルータ(第2のルータ206)の下位に存在するNW機器208x(第1のNW機器208)が行うことが可能なものである。
【0159】
そこで、モバイル端末210から、モバイル端末210がタッチされたNW機器208x(208、209)へと、命令(命令208a、209a)が送信される。図12の例では、モバイル端末210が第2のNW機器209にタッチされ、情報209Iが取得された後、続けて命令209aが第2のNW機器209に対して送信される。その後、移動210mとは逆の移動(矢印などでの図示は省略した)が行われ、モバイル端末210が第1のNW機器208にタッチされ、命令208aが第1のNW機器208に対して送信される、という方式が考えられる。言い換えると、この方式では、第1のNW機器208には、第1のNW機器208と第2のNW機器209との間の通信路に含まれるルータのうち第1のNW機器208がインターネット204に接続される経路にも含まれるルータを設定するための命令がモバイル端末210から送信され、第2のNW機器209には、第1のNW機器208と第2のNW機器209との間の通信路に含まれるルータのうち第2のNW機器209がインターネット204に接続される経路にも含まれるルータを設定するための命令がモバイル端末210から送信されることになる。
【0160】
送信される命令は、例えば、NW機器208xによって受信されることにより、そのNW機器208xが、特定された、そのNW機器208xの上位に存在する非共通ルータに対して必要な設定(先述の静的ポートフォワード設定)をするといった命令である。具体的には、命令208aは、第1のNW機器208の上位に存在する非共通ルータである第2のルータ206に対して設定206nを行うといった命令であり、命令209aは、第2のNW機器209の上位に存在する非共通ルータである第3のルータ207に対して設定207nを行うといった命令である。
【0161】
これにより、非共通ルータ(第2のルータ206、第3のルータ207)があるにも関わらず、それぞれのNW機器208xへの、モバイル端末210のタッチがされるだけで、非共通ルータへの設定(設定206n、207n)を行うことが可能となる。これにより、この設定を行うために、ユーザによる、複雑な操作等が不要となる。これにより、操作が、十分に簡単にできたり、大幅に簡単にできる。
【0162】
なお、例えば、第2のNW機器209に対する近接無線通信(近接無線通信209r)を通じて、第1のNW機器208に対する命令(命令208b)が送信されてもよい。
【0163】
このとき、命令208bの送信は、この命令の送信時または予め確立された他の通信路(通信路208q)を介した通信により行われる。言い換えると、この方式では、第2のNW機器209には、第1のNW機器208と第2のNW機器209との間の通信路に含まれるルータのうち第1のNW機器208がインターネット204に接続される経路にも含まれるルータを設定するための命令と、第1のNW機器208と第2のNW機器209との間の通信路に含まれるルータのうち第2のNW機器209がインターネット204に接続される経路にも含まれるルータを設定するための命令の双方が、モバイル端末210から送信されることになる。
【0164】
なお、この命令208bの内容は、上述された、第1のNW機器208によって受信されることにより、第1のNW機器208の上位に存在する非共通ルータである第2のルータ206に対して設定206nを行うといった命令などである。
【0165】
これにより、移動210mがされた後に、先述された、非共通ルータの特定がされてから、移動210mとは逆の移動(矢印などでの図示は省略した)がされるなどで、再び、第1のNW機器208への、モバイル端末210のタッチがされる必要がないようにされる。つまり、単に、先に確立された他の通信路(通信路208q)が用いられるだけで済み、より十分に、操作が簡単にできる。
【0166】
しかも、設定207nがされる際には、単に、近接無線通信209rが用いられるだけで済んで、例えば、処理が簡単にできるなどの、近接無線通信209rが用いられることでのメリットが得られる。
【0167】
以上のような構成により、無線通信を利用できるモバイル端末210を用いて、NW環境情報取得命令や、NW設定命令送信、及び、NW機器が得た情報の取得が行える無線通信路を、モバイル端末210と、NW機器208xとの間で確立・保持する。この無線通信路を用いて、モバイル端末は、2つのNW機器208、209から、情報を取得するとともに、2つのNW機器へ、NW設定命令を送信することで、2つのNW機器208、209の間の、機器発見及びP2P通信路確立が可能となる。
【0168】
その結果、インターネット204上に外部サーバを必要とすることなく、かつ、各NW機器が、常時もしくは定期的に、外部サーバやNW機器へアクセスすることなく、通信相手となるNW機器の発見及びP2P通信路を確立することができる。
【0169】
また、ユーザ視点では、ユーザが複雑な操作をさせることなく、宅内NWで、NW機器間のP2P通信を用いたサービス・機能を利用することができる。
【0170】
また、本発明に関わる通信装置及び通信方法では、NW機器間で機器発見・P2P通信路確立するために、外部サーバへ、常時もしくは定期的に、アクセスする必要がない。このため、消費電力が少なくできるとの効果、宅内ネットワーク外からの不正アクセスを受ける可能性が低くできる、などの効果も得ることができる。
【0171】
なお、本発明は、上記の実施の形態におけるNW機器が実行する特徴的な処理を含む通信方法として実現することもできる。
【0172】
また、本発明は、本発明の通信方法が含む各処理をコンピュータに実行させるためのプログラムとして実現すること、および、そのプログラムが記録された記録媒体として実現することもできる。そして、そのプログラムをインターネット等の伝送媒体またはDVD等の記録媒体を介して配信することもできる。
【0173】
また、本発明は、上記の実施の形態におけるNW機器が有する特徴的な構成部を備える集積回路として実現することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0174】
本発明によって、宅内NWで複数NW機器間P2P通信を用いる、AV機器やモバイル端末などのNW通信機能を備える機器で、NW機器同士の発見、及び機器発見後の通信路確立が必要となる場合の、NW機器間P2P通信の初期設定等に有用である。
【符号の説明】
【0175】
101、111、204 インターネット
102、112、113、114、205、206、207 ルータ
103、104、115、116、208、209 NW機器
201 一般サーバ
202 基地局
203 移動体通信網
210 モバイル端末
211 宅内ネットワーク
301、401 ユーザIFデバイス
302、402 CPU
303、403 メモリ
304、404 近接無線通信デバイス
305 宅内ネットワーク通信デバイス
405 移動体通信デバイス
500 宅内NW通信部
501 NW環境情報取得部
502、511 ルータ設定命令受信部
503 ルータ設定命令実行部
510、540 近接無線通信部
512 NW環境情報送信部
520 移動体通信部
521 通信路確立部
522、541 ルータ設定命令送信部
530 処理判断部
531 第1の通信路判断部
532 第2の通信路判断部
542 NW環境情報受信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のルータを含む第1の通信路を介してインターネットに接続された第1のネットワーク機器及び複数のルータを含む第2の通信路を介してインターネットに接続された第2のネットワーク機器のそれぞれと近接無線通信を行うことにより、前記第1のネットワーク機器の通信路に関する第1の通信路情報及び前記第2のネットワーク機器の通信路に関する第2の通信路情報を取得するNW環境情報受信部と、
前記第1の通信路情報及び前記第2の通信路情報に基づき、前記第1のネットワーク機器と前記第2のネットワーク機器との間の通信路である第3の通信路を推測する第1の判断部と、
前記第1の判断部で推測された前記第3の通信路上に存在する前記ルータに対してポートフォワード設定を行うための命令を、前記第1のネットワーク機器及び前記第2のネットワーク機器の少なくとも一方へ送信するルータ設定命令送信部とを備える通信端末。
【請求項2】
前記第1の通信路情報及び前記第2の通信路情報は、前記第1の通信路及び前記第2の通信路に存在する1以上のルータを特定する情報を含み、
前記第1の判断部は、前記第1の通信路情報及び前記第2の通信路情報の差分計算により、前記第3の通信路に存在するルータを特定する、請求項1記載の通信端末。
【請求項3】
前記ルータ設定命令送信部は、
前記第3の通信路に存在するルータであって前記第1の通信路に含まれるルータに対してポートフォワード設定を行うための命令を前記第1のネットワーク機器に送信し、
前記第3の通信路に存在するルータであって前記第2の通信路に含まれるルータに対してポートフォワード設定を行うための命令を前記第2のネットワーク機器に送信する、請求項1記載の通信端末。
【請求項4】
前記ルータ設定命令送信部は、
前記第3の通信路に存在するルータであって前記第1の通信路に含まれるルータに対してポートフォワード設定を行うための命令を、前記通信端末と前記第1のネットワーク機器との間の近接無線通信により送信し、
前記第3の通信路に存在するルータであって前記第2の通信路に含まれるルータに対してポートフォワード設定を行うための命令を、前記通信端末と前記第2のネットワーク機器との間の近接無線通信により送信する、請求項3記載の通信端末。
【請求項5】
前記ルータ設定命令送信部は、前記第3の通信路に存在するルータであって前記第1の通信路に含まれるルータに対してポートフォワード設定を行うための命令及び前記第3の通信路に存在するルータであって前記第2の通信路に含まれるルータに対してポートフォワード設定を行うための命令を、前記第2のネットワーク機器に送信する、請求項1記載の通信端末。
【請求項6】
前記ルータ設定命令送信部は、
前記第3の通信路に存在するルータであって前記第1の通信路に含まれるルータに対してポートフォワード設定を行うための命令を、前記第1の通信路を介した通信により送信し、
前記第3の通信路に存在するルータであって前記第2の通信路に含まれるルータに対してポートフォワード設定を行うための命令を、前記通信端末と前記第2のネットワーク機器との間の近接無線通信により送信する、請求項5記載の通信端末。
【請求項7】
前記通信端末は、
前記ポートフォワード設定により確立された、前記第1のネットワーク機器と前記第2のネットワーク機器との間の前記第3の通信路を通じた導通確認パケットを送信させるための命令を、前記第1のネットワーク機器及び前記第2のネットワーク機器のいずれか一方に対して送信する、請求項1記載の通信端末。
【請求項8】
複数のルータを含む第1の通信路を介してインターネットに接続され、複数のルータを含む第2の通信路を介してインターネットに接続された他のネットワーク機器との間で通信を行うネットワーク機器であって、
通信端末と近接無線通信を行うことにより、前記第1のネットワーク機器の通信路に関する第1の通信路情報を、前記通信端末へ送信する送信部と、
前記第1通信路情報から特定されたルータに対して、前記第1のネットワーク機器と前記第2のネットワーク機器との間の通信路である第3の通信路上を確立するためのポートフォワード設定を行う設定部とを備えるNW機器。
【請求項9】
複数のルータを含む第1の通信路を介してインターネットに接続された第1のネットワーク機器及び複数のルータを含む第2の通信路を介してインターネットに接続された第2のネットワーク機器のそれぞれと近接無線通信を行うことにより、前記第1のネットワーク機器の通信路に関する第1の通信路情報及び前記第2のネットワーク機器の通信路に関する第2の通信路情報を取得するNW環境情報受信ステップと、
前記第1の通信路情報及び前記第2の通信路情報に基づき、前記第1のネットワーク機器と前記第2の前記NW機器との間の通信路である第3の通信路を推測する第1の判断ステップと、
前記第1の判断ステップで推測された前記第3の通信路上に存在する前記ルータに対してポートフォワード設定を行うための命令を、前記第1のネットワーク機器及び前記第2のネットワーク機器の少なくとも一方へ送信するルータ設定命令送信ステップとを含む通信方法。
【請求項10】
複数のルータを含む第1の通信路を介してインターネットに接続された第1のネットワーク機器及び複数のルータを含む第2の通信路を介してインターネットに接続された第2のネットワーク機器のそれぞれと近接無線通信を行うことにより、前記第1のネットワーク機器の通信路に関する第1の通信路情報及び前記第2のネットワーク機器の通信路に関する第2の通信路情報を取得するNW環境情報受信部と、
前記第1の通信路情報及び前記第2の通信路情報に基づき、前記第1のネットワーク機器と前記第2のネットワーク機器との間の通信路である第3の通信路を推測する第1の判断部と、
前記第1の前記判断部で推測された前記第3の通信路上に存在する前記ルータに対してポートフォワード設定を行うための命令を、前記第1のネットワーク機器及び前記第2のネットワーク機器の少なくとも一方へ送信するルータ設定命令送信部とを備える集積回路。
【請求項11】
複数のルータを含む第1の通信路を介してインターネットに接続された第1のネットワーク機器及び複数のルータを含む第2の通信路を介してインターネットに接続された第2のネットワーク機器のそれぞれと近接無線通信を行うことにより、前記第1のネットワーク機器の通信路に関する第1の通信路情報及び前記第2のネットワーク機器の通信路に関する第2の通信路情報を取得するNW環境情報受信ステップと、
前記第1の通信路情報及び前記第2の通信路情報に基づき、前記第1のネットワーク機器と前記第2のネットワーク機器との間の通信路である第3の通信路を推測する第1の判断ステップと、
前記第1の判断ステップで推測された前記第3の通信路上に存在する前記ルータに対してポートフォワード設定を行うための命令を、前記第1のネットワーク機器及び前記第2のネットワーク機器の少なくとも一方へ送信するルータ設定命令送信ステップとを、通信端末に設けられたコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム。

【図1A】
image rotate

【図1B】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2012−244552(P2012−244552A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−115236(P2011−115236)
【出願日】平成23年5月23日(2011.5.23)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ZIGBEE
2.Bluetooth
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】