通信装置、通信システムおよび電源制御方法
【課題】異なる周波数帯で通信する複数のパッシブ型RFタグが共存している場合にも各RFタグでのデータ共有を可能とすること。
【解決手段】RFタグ部15は、周波数帯f1の電磁波により通信する。RFタグ部16は周波数帯f1とは異なる周波数帯f2の電磁波により通信する。記憶部14は、RFタグ部15,16とがアクセス可能な共有領域を有する。電源制御部13は、周波数帯f1の電磁波により記憶部14およびRFタグ部15を駆動する電力を生成して、生成した電力を記憶部14およびRFタグ部15に供給する。また、電源制御部13は、周波数帯f2の電磁波により記憶部14およびRFタグ部16を駆動する電力を生成して、生成した電力を記憶部14およびRFタグ部16に供給する。
【解決手段】RFタグ部15は、周波数帯f1の電磁波により通信する。RFタグ部16は周波数帯f1とは異なる周波数帯f2の電磁波により通信する。記憶部14は、RFタグ部15,16とがアクセス可能な共有領域を有する。電源制御部13は、周波数帯f1の電磁波により記憶部14およびRFタグ部15を駆動する電力を生成して、生成した電力を記憶部14およびRFタグ部15に供給する。また、電源制御部13は、周波数帯f2の電磁波により記憶部14およびRFタグ部16を駆動する電力を生成して、生成した電力を記憶部14およびRFタグ部16に供給する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置、通信システムおよび電源制御方法に関し、特にRFID(Radio Frequency IDentification)技術により通信する通信装置、通信システムおよび通信装置の電源制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、RFID技術を用いた通信システムが普及している。この通信システムでは、読み取り/書き込み装置(以下、単にタグリーダという)とRF(Radio Frequency)タグとが無線通信する。RFタグは、微小なIC(Intelligent Circuit)チップにより構成される。ICチップには、個体の識別情報や所定の演算処理機能などが搭載され、RFタグを付与された各個体および各個体に対応付けられた各種情報の管理を可能とする。このようなRFタグを用いた通信システムには、例えば、商品在庫や備品を管理する物品管理システムや鉄道の改札システム等がある。
【0003】
ここで、RFタグの電源供給の方法には、アクティブ型とパッシブ型とがある。アクティブ型のRFタグは、内蔵された電源により駆動する。パッシブ型のRFタグは、タグリーダからの給電により駆動する。
【0004】
パッシブ型では、タグリーダ側のコイルアンテナとRFタグ側のコイルアンテナとを磁束結合させて電磁誘導により給電する方法や、タグリーダからの電磁波の受信電力で給電する方法が用いられる。これらの給電方法は、通信に利用する周波数帯によって使い分けられている。例えば、電磁誘導により給電する方法は、HF(High Frequency)帯の周波数で通信するRFタグに採用されている。また、電磁波の受信電力により給電する方法はUHF(Ultra High Frequency)帯の周波数で通信するRFタグに採用されている。
【0005】
ところで、RFID技術を用いた通信システムにおいて移動通信システムと組み合わせる(例えば、特許文献1参照)、機能の異なる複数のRFタグを組み合わせて利用可能とする(例えば、特許文献2,3参照)等により高機能な通信システムを実現することが考えられる。特に、用途の異なる2つのRFタグでデータ共有可能とすることで、これらを複合した利便性の高いサービスを実現することが考えられる(例えば、特許文献4参照)。
【特許文献1】特開2002−247157号公報
【特許文献2】特開2006−048094号公報
【特許文献3】特開2006−172040号公報
【特許文献4】特開2004−046904号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記特許文献4に記載の方法では、異なる周波数帯(例えば、HF帯およびUHF帯)で通信する複数のパッシブ型のRFタグを組み合わせる場合のデータ共有方法に関しては考慮されていない。パッシブ型では、各RFタグの周波数帯がHF帯およびUHF帯のように異なると上述のように給電方法が異なる。すなわち、両者を共存させて用いようとすると、それぞれ独立の電源で駆動させることになる。このため、各RFタグ同士でデータ共有可能な領域を設けることが困難であるという問題がある。
【0007】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、異なる周波数帯で通信する複数のパッシブ型RFタグが共存している場合にも各RFタグでのデータ共有を可能とする通信装置、通信システムおよび電源制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、通信装置が提供される。この通信装置は、第1のRFタグ部、第2のRFタグ部、記憶部および電源制御部を有する。第1のRFタグ部は、第1の周波数帯の電磁波により通信する。第2のRFタグ部は第1の周波数帯とは異なる第2の周波数帯の電磁波により通信する。記憶部は、第1のRFタグ部と第2のRFタグ部とがアクセス可能な共有領域を格納する。電源制御部は、第1の周波数帯の電磁波により第1のRFタグ部および記憶部を駆動する電力を生成して、生成した電力を第1のRFタグ部および記憶部に供給し、第2の周波数帯の電磁波により第2のRFタグ部および記憶部を駆動する電力を生成して、生成した電力を第2のRFタグ部および記憶部に供給する。
【0009】
このような通信装置によれば、電源制御部により、第1の周波数帯の電磁波により、この電磁波で通信する第1のRFタグ部を駆動する電力および第1のRFタグ部と第1の周波数帯とは異なる第2の周波数帯の電磁波により通信する第2のRFタグ部とがアクセス可能な共有領域を有する記憶部を駆動する電力が生成され、生成された電力が第1のRFタグ部および記憶部に供給される。また、電源制御部により、第2の周波数帯の電磁波により、第2のRFタグ部および記憶部を駆動する電力が生成され、生成された電力が第2のRFタグ部および記憶部に供給される。
【0010】
また、上記課題を解決するために、通信システムが提供される。この通信システムは、第1の通信装置および第2の通信装置を有する。第1の通信装置は、第1のRFタグ部、第2のRFタグ部、記憶部および電源制御部を有する。第1のRFタグ部は、第1の周波数帯の電磁波により通信する。第2のRFタグ部は、第1の周波数帯とは異なる第2の周波数帯の電磁波により通信する。記憶部は、第1のRFタグ部と第2のRFタグ部とがアクセス可能な共有領域を有する。電源制御部は、第1の周波数帯の電磁波により第1のRFタグ部および記憶部を駆動する電力を生成して、生成した電力を第1のRFタグ部および記憶部に供給し、第2の周波数帯の電磁波により第2のRFタグ部および記憶部を駆動する電力を生成して、生成した電力を第2のRFタグ部および記憶部に供給する。また、第2の通信装置は、第1の通信部および第2の通信部を有する。第1の通信部は、第1の通信装置の第1のRFタグ部に実行させる処理に応じた情報を含む第1の周波数帯の電磁波を第1の通信装置に送信する。第2の通信部は、第1の通信装置の第2のRFタグ部に実行させる処理に応じた情報を含む第2の周波数帯の電磁波を第1の通信装置に送信する。
【0011】
このような通信システムによれば、第1の通信装置の電源制御部により、第1の周波数帯の電磁波を用いて、この電磁波で通信する第1のRFタグ部を駆動する電力および第1のRFタグ部と第1の周波数帯とは異なる第2の周波数帯の電磁波により通信する第2のRFタグ部とがアクセス可能な共有領域を有する記憶部を駆動する電力が生成され、生成された電力が第1のRFタグ部および記憶部に供給される。また、第1の通信装置の電源制御部により、第2の周波数帯の電磁波を用いて、第2のRFタグ部および記憶部を駆動する電力が生成され、生成された電力が第2のRFタグ部および記憶部に供給される。一方、第2の通信装置の第1の通信部により、第1の通信装置の第1のRFタグ部に実行させる処理に応じた情報を含む第1の周波数帯の電磁波が第1の通信装置に送信される。また、第2の通信装置の第2の通信部により、第1の通信装置の第2のRFタグ部に実行させる処理に応じた情報を含む第2の周波数帯の電磁波が第1の通信装置に送信される。
【0012】
また、上記課題を解決するために上記通信装置と同様の処理を行う電源制御方法が提供される。
【発明の効果】
【0013】
上記通信装置、通信システムおよび電源制御方法によれば、異なる周波数帯で通信する複数のパッシブ型RFタグが共存している場合にも各RFタグでのデータ共有を可能とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
図1は、通信装置の概要を示す図である。通信装置10は、パッシブ型のRFタグを備え、他の通信装置(例えば、タグリーダ)との電磁誘導の効果や電磁波の受信電力による給電で駆動する。
【0015】
通信装置10は、アンテナ11,12、電源制御部13、記憶部14およびRFタグ部15,16を有する。
アンテナ11は、周波数帯f1(例えば、UHF帯)の電磁波を送受信するためのアンテナである。アンテナ11は、他の通信装置から受信した電磁波に含まれる受信信号をRFタグ部15に出力する。また、アンテナ11は、RFタグ部15から取得する送信信号を他の通信装置に送信する。
【0016】
アンテナ12は、周波数帯f1とは異なる周波数帯f2(例えば、HF帯)の電磁波を送受信するためのアンテナである。アンテナ12は、他の通信装置から受信した電磁波に含まれる受信信号をRFタグ部16に出力する。また、アンテナ12は、RFタグ部16から取得する送信信号を他の通信装置に送信する。
【0017】
電源制御部13は、アンテナ11が受信した電磁波によりRFタグ部15を駆動する電力を生成すると共に記憶部14を駆動する電力を生成し、記憶部14およびRFタグ部15に供給する。例えば、アンテナ11がUHF帯の電磁波で通信する場合、この電磁波の受信電力によりRFタグ部15および記憶部14を駆動する電力を生成する。また、電源制御部13は、アンテナ12が受信した電磁波によりRFタグ部16を駆動する電力を生成すると共に記憶部14を駆動する電力を生成し、記憶部14およびRFタグ部16に供給する。例えば、アンテナ12がHF帯の電磁波で通信する場合、電磁誘導により得た電力によりRFタグ部16および記憶部14を駆動する電力を生成する。なお、電磁誘導で給電する場合には、アンテナ形状はコイル状に形成される。
【0018】
記憶部14は、RFタグ部15,16がアクセス可能な共有領域を格納する。記憶部14は、電源制御部13により供給される電力により駆動する。
RFタグ部15は、アンテナ11が受信する信号に含まれる情報(処理要求)に基づく演算処理を実行し、その処理結果をアンテナ11を介して応答する。RFタグ部15は、通信部15aおよび演算部15bを有する。
【0019】
通信部15aは、アンテナ11から取得する受信信号をベースバンド帯の信号に周波数変換し、その後、所定の復調処理を施してベースバンド信号に含まれる情報を取得する。通信部15aは、取得した情報を演算部15bに出力する。また、通信部15aは、演算部15bから取得する処理応答をベースバンド帯の信号に変調し、変調した信号を更にRF帯の送信信号に周波数変換してアンテナ11に出力する。
【0020】
演算部15bは、通信部15aから取得する情報に基づく演算処理を行う。このとき、演算部15bは、必要に応じて記憶部14に格納された共有情報にアクセスすることができ、例えば、この共有情報に基づく処理を実行して、その処理結果を通信部15aに出力する。
【0021】
RFタグ部16は、アンテナ12が受信する信号に含まれる情報(処理要求)に基づく演算処理を実行し、その処理結果をアンテナ12を介して応答する。RFタグ部16は、通信部16aおよび演算部16bを有する。
【0022】
通信部16aは、アンテナ12から取得するRF帯(例えば、HF帯)の電磁波に含まれる受信信号をベースバンド帯の信号に周波数変換し、その後、所定の復調処理を施してベースバンド信号に含まれる情報を取得する。通信部16aは、取得した情報を演算部16bに出力する。また、通信部16aは、演算部16bから取得する処理応答をベースバンド帯の信号に変調し、変調した信号を更にRF帯の送信信号に周波数変換してアンテナ12に出力する。
【0023】
演算部16bは、通信部16aから取得する情報に基づく演算処理を行う。このとき、演算部16bは、必要に応じて記憶部14に格納された共有情報にアクセスし、例えば、この共有情報に基づく処理を実行して、その処理結果を通信部16aに出力する。
【0024】
このような通信装置10によれば、周波数帯f1の電磁波で通信する場合には、電源制御部13により、アンテナ11からの給電によりRFタグ部15を駆動する電力が生成されると共に記憶部14を駆動する電力が生成され、これらの各部に供給される。また、周波数帯f2の電磁波で通信する場合には、電源制御部13により、アンテナ12からの給電によりRFタグ部16を駆動する電力が生成されると共に記憶部14を駆動する電力が生成され、これらの各部に供給される。
【0025】
これにより、異なる周波数帯で通信するRFタグが共存する場合にも各RFタグでデータを共有することができる。すなわち、複数の周波数帯で通信するRFタグを用途に応じて使い分けると共に、各RFタグで共通のデータを利用することができ、利便性の高いサービスの提供が可能となる。
【0026】
なお、RFタグ部15,16には、上記の構成の他に必要に応じて各部で専用に扱うデータを格納するための記憶部を設けることができる。これにより、RFタグ部15,16が扱う共通の情報を保持することができると共に、RFタグ部15,16でそれぞれ独立に扱う情報を保持できるようになる。また、RFタグ部15,16は、それぞれが異なる周波数帯の電磁波で通信を行う。このため、各通信路の物理的な独立性も確保することができ、各RFタグで扱う情報に対するセキュリティ性を向上することができる。
【0027】
ところで、通信装置10は、例えばスーパーやショッピングセンターで利用されているセルフチェックアウト(SCO:Self CheckOut)システム(以下、SCOシステムと略記する)で提供されるサービスに用いることができる。SCOシステムとは、顧客が自身の操作で、店員の介入なしに商品の会計を行うためのシステムである。以下では、通信装置10をSCOシステムに適用する場合を例に採り、具体的な利用例を更に詳細に説明する。
【0028】
図2は、SCOシステムのシステム構成を示す図である。このSCOシステムは、SCO装置200,200a,200bおよび店舗サーバ300がネットワーク20を介して接続される。
【0029】
SCO装置200,200a,200bは、顧客がセルフで商品会計を行うことを可能にする情報処理装置である。SCO装置200,200a,200bは、顧客により所定の位置に提示された商品バーコードを読み取り、店舗サーバ300と連携して商品の価格を取得し、顧客に提示する。また、商品の売り上げ情報を店舗サーバ300に送信する。
【0030】
店舗サーバ300は、商品の価格や重量等を登録した商品マスタや顧客情報を管理する。店舗サーバ300は、SCO装置200,200a,200bから、適宜これらの情報への問い合わせを受け付け、応答する。
【0031】
なお、ネットワーク20には、図示しない通常の対人レジに設置されるPOS(Point Of Sale)端末や各SCO装置を監視するための店員用端末装置等が接続されることも考えられる。
【0032】
このSCOシステムでは、2つのRFタグを備えたICカードが取り付けられたIC付バスケットが利用される。各IC付バスケットは、顧客毎に所有され、店舗で配布するポリ袋を使用せず、IC付バスケットに商品を格納した状態で自宅に持ち帰ることができる。これにより、ポリ袋の使用削減を図ることができ、環境保全を推進することができる。
【0033】
ここで、IC付バスケットを利用した商品購入の手順に関して簡単に説明する。
顧客50は、IC付バスケット30を所有する。顧客50は、IC付バスケット30を店舗に持参し、店舗に備えられるバスケット40をIC付バスケット30の上に重ねるようにして売り場を移動し、所望の商品をバスケット40に投入する。次に、顧客50は、SCO装置200で商品の会計を行う際に、IC付バスケット30を所定の台上に設置する。そして、顧客50は、バスケット40に投入した商品をSCO装置200に登録し、登録済みの商品をIC付バスケット30に順次投入する。顧客50は、全ての商品の登録が完了した時点で、SCO装置200で会計を行い、その後IC付バスケット30ごと持ち帰る。このようにして、顧客50は、ポリ袋を使用することなく、商品を持ち帰ることができる。
【0034】
このSCOシステムでは、ポリ袋の使用削減を図るために、各顧客にIC付バスケットの利用を奨励し、かつ、利便性の高いサービスを提供する。具体的には、(1)各顧客によるIC付バスケットの利用有無を自動的に判別してポイント化するサービス、(2)IC付バスケットに取り付けられたICカードにチャージされた電子マネーでの簡便な決済を可能とするサービス、である。
【0035】
以下では、このようなサービスを提供するSCOシステムの各装置の構成に関して説明する。また、以下の説明では、SCO装置200を例示して説明するが、SCO装置200a,200bに関しても同様である。
【0036】
図3は、IC付バスケットを示す図である。(A)はIC付バスケット30の斜視図、(B)はIC付バスケット30の(A)におけるa方向から見た上面図を示している。IC付バスケット30は、その底面内部、かつ、底面中央部にICカード100を有している。ICカード100は、2つのRFタグを備える通信装置として機能する。なお、(B)では、ICカード100の底面中央部の設置位置が図示されている(実際には、底面内部に取り付けられるためICカード100は見えない)。
【0037】
図4は、ICカードの第1の構成例を示す図である。ICカード100は、ICチップ110、アンテナ120,130を有する。
ICチップ110は、その内部に2つのRFタグを備えている。このうち、一方のRFタグは、UHF帯(例えば、950MHz)の電磁波を用いて通信する。また、他方のRFタグは、HF帯(例えば、13.56MHz)の電磁波を用いて通信する。
【0038】
アンテナ120は、SCO装置200が有するタグリーダとの間でUHF帯の電磁波を送受信するためのダイポールアンテナである。
アンテナ130は、SCO装置200が有するタグリーダとの間でHF帯の電磁波を送受信するためのコイルアンテナである。
【0039】
第1の構成例では、ICチップ110は、ICカード100の面中央部に配設される。そして、アンテナ120,130は、ICカード100の長手方向において、ICチップ110を挟む両側の領域に配設される。
【0040】
ICカード100は、ICチップ110、アンテナ120およびアンテナ130が、例えば、ポリエチレンテレフタラート(PET:PolyEthylene Terephthalate)等のプラスチック樹脂により封止されてカード状に形成される。その大きさは、例えば、キャッシュカードやクレジットカード等と同等の大きさ・厚さとすることが考えられる。
【0041】
ここで、ICカード100は、UHF帯およびHF帯での通信について、それぞれの通信可能距離が運用に際して適切な距離となるよう調整される。このために、例えば、ICカード100を誘電体により覆われた構成とする。誘電体の比誘電率は、インピーダンスマッチングにより各周波数帯の通信可能距離が適切な距離となるよう選択される。具体的な構成は、図19〜22で詳述する。
【0042】
図5は、ICカードの第2の構成例を示す図である。ICカード100aは、ICチップ110、アンテナ120a,130aを有する。
ICチップ110は、図4で同一の符号により説明した構成と同一である。
【0043】
アンテナ120aは、図4のアンテナ120に対応する。
アンテナ130aは、図4のアンテナ130に対応する。
第2の構成例では、ICチップ110は、ICカード100aの一方の基端側に配設される。そして、アンテナ120a,130aは、ICカード100aの長手方向において、ICチップ110に対して各アンテナとも同一の方向となる領域(図5では、ICチップ110の紙面に対して左側となる領域)に配設される。
【0044】
ICカード100aもICカード100と同様にPET等のプラスチック樹脂によってカード状に形成される。また、UHF帯での通信可能距離が適切な距離となるように、所定の比誘電率である誘電体で覆うように構成される。
【0045】
以下では、ICカードの構成として図4に示したICカード100を想定して説明するが、図5に示したICカード100aに関しても同様である。
ここで、以下の説明では、名称の区別の便宜上、UHF帯の電磁波により通信するRFタグをRFIDタグと呼び、HF帯の電磁波により通信するRFタグをICタグと呼ぶこととする。RFIDタグは、上述したIC付バスケットの自動判別サービスを実現するため、IC付バスケット30の利用有無を判別するための情報(識別情報等)のみを扱う簡易なRFタグとする。このため、RFIDタグは、内蔵されるメモリ容量も小さくて済み、演算機能も限られたものとなる。ICタグは、上述した電子マネー決済のサービスを実現するため、電子マネー等を利用するために従来用いられている非接触ICカードのように所定の演算機能やセキュリティ機能を備えたRFタグとする。以下では、このようなICカード100が備えるICチップ110の構成に関して説明する。
【0046】
図6は、ICチップのハードウェア構成を示す図である。ICチップ110は、電源制御部140、共有メモリ150、RFIDタグ部160およびICタグ部170を有する。
【0047】
電源制御部140は、共有メモリ150、RFIDタグ部160およびICタグ部170を駆動する電力を供給する。電源制御部140は、RFIDタグ用電源生成部141、ICタグ用電源生成部142および共有メモリ用電源生成部143を有する。
【0048】
RFIDタグ用電源生成部141は、RFIDタグ部160に接続されるアンテナ120がSCO装置200からの電磁波の受信電力によりRFIDタグ部160を駆動する電力を生成して、RFIDタグ部160の各部に供給する。
【0049】
ICタグ用電源生成部142は、ICタグ部170に接続されるアンテナ130で電磁誘導により発生した電力によりICタグ部170を駆動する電力を生成して、ICタグ部170の各部に供給する。
【0050】
共有メモリ用電源生成部143は、RFIDタグ用電源生成部141が生成した電力またはICタグ用電源生成部142が生成した電力により共有メモリ150を駆動する電力を生成して共有メモリ150に供給する。
【0051】
共有メモリ150は、RFIDタグ部160およびICタグ部170からアクセス可能な共有の記憶領域を格納する。この記憶領域には、IC付バスケット30を識別するための情報が記憶される。
【0052】
RFIDタグ部160は、IC付バスケット30を識別するための情報を扱う。RFIDタグ部160は、RFIDタグ用電源生成部141から供給される電力により駆動する。RFIDタグ部160は、アンテナ端161、受信部162、送信部163、制御部164およびNVRAM(Non Versatile Random Access Memory)165を有する。
【0053】
アンテナ端161は、アンテナ120と接続される。アンテナ端161は、アンテナ120から取得する受信信号をRFIDタグ用電源生成部141、受信部162に出力する。また、アンテナ端161は、送信部163から取得する送信信号をアンテナ120に出力する。
【0054】
受信部162は、アンテナ端161から取得するUHF帯の受信信号を周波数変換および復調して、受信信号に含まれる処理要求を抽出し、制御部164に出力する。
送信部163は、制御部164から取得する処理結果を変調およびUHF帯の送信信号に周波数変換してアンテナ端161に出力する。
【0055】
制御部164は、受信部162から取得する処理要求に応じた処理を実行し、その結果を送信部163に出力する。なお、制御部164は、この処理要求の必要に応じて共有メモリ150にアクセスし、共有メモリ150に格納された情報を読み出す。
【0056】
NVRAM165は、制御部164の処理に必要なプログラムやRFIDタグ部160で扱うデータを格納するための不揮発性のメモリである。
ICタグ部170は、電子マネーの管理情報を扱う。ICタグ部170は、ICタグ用電源生成部142から供給される電力により駆動する。ICタグ部170は、アンテナ端171、受信部172、送信部173、演算部174、NVRAM175および暗号制御部176を有する。
【0057】
アンテナ端171は、アンテナ130と接続される。アンテナ端171は、アンテナ130から取得する受信信号をICタグ用電源生成部142、受信部172に出力する。
受信部172は、アンテナ端171から取得するHF帯の受信信号を周波数変換および復調して、受信信号に含まれる処理要求を抽出し、演算部174に出力する。
【0058】
送信部173は、演算部174から取得する処理結果を変調およびHF帯の送信信号に周波数変換してアンテナ端171に出力する。
演算部174は、受信部172から取得する処理要求に応じた演算処理を実行し、その結果をNVRAM175に格納する、または、送信部173に出力する。なお、演算部174は、必要に応じて共有メモリ150にアクセスし、共有メモリ150に格納された情報を読み出す。
【0059】
NVRAM175は、演算部174の処理に必要なプログラムやICタグ部170で扱うデータを格納するための不揮発性のメモリである。NVRAM175は、電子マネーの管理情報を記憶する。
【0060】
暗号制御部176は、NVRAM175に格納するデータを必要に応じて暗号化・復号する。
図7は、SCO装置のハードウェア構成を示す図である。SCO装置200は、SCO装置本体210、台220,230を有する。
【0061】
SCO装置本体210は、演算部211、メモリ212、タッチパネル式ディスプレイ213、バーコードスキャナ214、貨幣管理部215、タグリーダ216および通信部217を有する。
【0062】
演算部211は、SCO装置200全体を制御する。また、演算部211は、各部から取得する情報を必要に応じて通信部217に出力する。更に、演算部211は、通信部217から取得する情報を必要に応じて各部に出力する。
【0063】
メモリ212は、演算部211の処理に必要なプログラムやデータを格納するための記憶領域である。
タッチパネル式ディスプレイ213は、顧客50に対する情報の表示を行うと共に、顧客50による操作入力を受け付ける。顧客50は、タッチパネル式ディスプレイ213に表示されるインタフェースに従った操作を行うことで、自身の操作により商品の会計を行うことができる。
【0064】
バーコードスキャナ214は、レーザ走査線を商品に照射して、商品に付与されたバーコードを読み取る。バーコードスキャナ214は、バーコードを読み取って取得した商品の識別情報を演算部211に出力する。演算部211は、例えば、バーコードスキャナ214から取得する商品の識別情報に基づいて、通信部217を介して店舗サーバ300から商品の価格等の情報を取得することができる。
【0065】
貨幣管理部215は、SCO装置200における硬貨や紙幣の入出金管理を行う。
タグリーダ216は、IC付バスケット30が有するICカード100のRFIDタグ部160とUHF帯の電磁波で通信する。タグリーダ216は、顧客50が会計処理を開始する際に、IC付バスケット30と通信し、その結果を演算部211に出力する。
【0066】
通信部217は、ネットワーク20と接続する通信インタフェースである。通信部217は、ネットワーク20を介して店舗サーバ300とデータ通信する。
台220は、商品会計時にバスケット40を設置するための台である。
【0067】
台230は、商品会計時にIC付バスケット30を設置するための台である。台230は、ICリーダ231および重量計測部232を有する。
ICリーダ231は、IC付バスケット30が有するICカード100のICタグ部170とHF帯の電磁波で通信する。ICリーダ231は、会計処理の際にICタグ部170で管理される電子マネー情報の読み出し/書き込みを行う。
【0068】
重量計測部232は、台230に置かれたIC付バスケット30および商品の重量を計測する。重量計測部232は、計測結果を演算部211に出力する。
図8は、IC付バスケット設置用の台を示す図である。図8では、台230の上面図を示している。台230は、バスケット設置枠233を有する。
【0069】
バスケット設置枠233は、その枠内にIC付バスケット30が設置されると、IC付バスケット30が有するICカード100の真下にICリーダ231が配置されるように設けられる。このように、顧客50に対してIC付バスケット30の設置位置を指定することで、ICリーダ231とICカード100とが適正な通信距離内に収まるようにすることができる。また、同時にタグリーダ216とICカード100とが適正な通信距離内に収まるようにすることができる。
【0070】
図9は、店舗サーバのハードウェア構成を示す図である。店舗サーバ300は、演算部301によって装置全体が制御されている。演算部301には、バスを介してRAM(Random Access Memory)302、HDD(Hard Disk Drive)303、グラフィックインタフェース304、入力インタフェース305および通信インタフェース306が接続されている。
【0071】
RAM302には、演算部301に実行させるOS(Operating System)のプログラムやアプリケーションプログラムの少なくとも一部が一時的に格納される。また、RAM302には、演算部301による処理に必要な各種データが格納される。
【0072】
HDD303には、OSやアプリケーションが扱うデータが格納される。また、HDD303には、演算部301による処理に必要な各種データが格納される。
グラフィックインタフェース304には、モニタ61が接続されている。グラフィックインタフェース304は、演算部301からの命令に従って、画像をモニタ61の画面に表示させる。
【0073】
入力インタフェース305は、外部装置からのデータの入力を受け付けるインタフェースである。入力インタフェース305には、キーボード62とマウス63とが接続されている。入力インタフェース305は、キーボード62やマウス63から送られてくる信号を演算部301に出力する。
【0074】
通信インタフェース306は、ネットワーク20に接続されている。通信インタフェース306は、ネットワーク20を介して、SCO装置200,200a,200bやその他の装置(POS端末装置等)との間でデータの送受信を行う。
【0075】
図10は、SCOシステムを構成する各装置の機能を示すブロック図である。ICカード100は、上述の通り共有メモリ150、RFIDタグ部160およびICタグ部170を有しており、これら各部によってそれぞれの機能が実現される。
【0076】
共有メモリ150は、共有情報記憶部151を有する。共有情報記憶部151は、IC付バスケット30の利用に応じて顧客50に付与されるポイント情報やIC付バスケット30の重量情報を記憶する。
【0077】
RFIDタグ部160は、ポイント管理部164aおよび重量情報取得部164bを有する。各部の機能は、制御部164によりNVRAM165に格納されたプログラムが実行されることでその機能が実現される。
【0078】
ポイント管理部164aは、SCO装置200からの要求に応じて、共有情報記憶部151に記憶されるポイント情報の読み出しおよび更新を行う。
重量情報取得部164bは、SCO装置200からの要求に応じて、共有情報記憶部151からIC付バスケット30の重量情報を取得し、SCO装置200に送信する。
【0079】
ICタグ部170は、電子マネー管理部174a、ポイント管理部174b、電子マネー情報記憶部175aおよび暗号処理部176aを有する。電子マネー管理部174aおよびポイント管理部174bは、演算部174によりNVRAM175に格納されたプログラムが実行されることでその機能が実現される。電子マネー情報記憶部175aは、NVRAM175に格納される。暗号処理部176aは、暗号制御部176によってその機能が実現される。
【0080】
電子マネー管理部174aは、SCO装置200からの要求に応じて、電子マネー情報記憶部175aに記憶された電子マネー残高を読み出し、チャージや減額等の処理を行う。
【0081】
ポイント管理部174bは、SCO装置200からの要求に応じて、共有情報記憶部151に記憶されるポイント情報の読み出しおよび更新を行う。
電子マネー情報記憶部175aは、チャージされた電子マネー残高を記憶する。
【0082】
暗号処理部176aは、電子マネー情報記憶部175aに記憶されるデータを暗号化・復号する。
SCO装置200は、会計処理部211a、ポイント処理部211b、バスケット重量検査部211cおよび商品重量検査部211dを有する。各部の機能は、演算部211によりメモリ212に格納されたプログラムが実行されることでその機能が実現される。
【0083】
会計処理部211aは、顧客50により入力された商品の金額を店舗サーバ300から取得して合計し、商品の代金受け付けおよび釣銭の払い出しを行う。なお、会計処理部211aは、ポイント処理部211bから利用ポイントの情報を受け付ける場合には、受け付けたポイント分の金額を商品の代金から減額する。
【0084】
ポイント処理部211bは、IC付バスケット30の利用等に応じてICカード100にポイント情報の取得要求を送信し、この取得要求に応じて取得したポイント情報に所定のポイント加算処理を行う。そして、ポイント処理部211bは、加算後のポイント情報に更新するようICカード100にポイント情報の更新要求を送信する。
【0085】
また、ポイント処理部211bは、会計時に顧客50の操作入力によりポイントの利用が指定される場合には、ICカード100にポイント情報の取得要求を送信し、この取得要求に応じて取得したポイント情報に所定のポイント減算処理を行う。そして、ポイント処理部211bは、減算後のポイント情報に更新するようICカード100にポイント情報の更新要求を送信する。更に、このときに減算したポイント分(利用ポイント)会計処理部211aに出力する。
【0086】
バスケット重量検査部211cは、IC付バスケット30の重量を検査する。具体的には、ICカード100からIC付バスケット30の重量情報を取得し、更に、重量計測部232によるIC付バスケット30の空の状態の重量の計測結果を取得して、両者を比較する。これにより、IC付バスケット30の不正使用を防止することができる。
【0087】
商品重量検査部211dは、SCO装置200への登録後、IC付バスケット30に投入される商品の重量を検査する。具体的には、店舗サーバ300から、登録した商品の重量情報を取得し、更に、重量計測部232から前回の重量計測結果からの差分の重量を取得して、両者を比較する。これにより、IC付バスケット30に実際にSCO装置200に登録された商品と別の商品が投入されることを防止することができる。
【0088】
店舗サーバ300は、ポイント情報記憶部310および商品マスタ記憶部320を有する。
ポイント情報記憶部310は、登録された顧客毎の現在のポイント情報を顧客IDに対応付けて記憶する。
【0089】
商品マスタ記憶部320は、商品毎の価格や重量情報を商品毎のバーコード情報に対応付けて記憶する。
店舗サーバ300は、ポイント情報記憶部310や商品マスタ記憶部320に記憶された情報をSCO装置200からの問い合わせに応じてSCO装置200に応答する。また、店舗サーバ300は、ポイント情報記憶部310に記憶された情報をSCO装置200からの更新要求に応じて更新する。
【0090】
図11は、共有情報管理テーブルのデータ構造例を示す図である。共有情報管理テーブル151aは、共有情報記憶部151に格納される。共有情報管理テーブル151aには、顧客IDを示す項目、ポイント情報を示す項目および重量情報を示す項目が設けられている。各項目の横方向に並べられた情報同士が互いに関連付けられて、1つの共有情報に関する情報を構成する。
【0091】
顧客IDを示す項目には、顧客に付与されたID情報が設定される。ポイント情報を示す項目には、各顧客にIC付バスケットの利用に応じて付与されるポイントが設定される。重量情報を示す項目には、IC付バスケットの重量を示す情報が設定される。
【0092】
共有情報管理テーブル151aには、例えば、顧客IDが“0001”、ポイント情報が“100”、重量情報が“500(g)”という情報が設定される。
次に、以上のような構成を備えるSCOシステムにより実現される処理の詳細を説明する。
【0093】
図12は、SCO装置の会計処理の手順を示すフローチャートである。以下、図12に示す処理をステップ番号に沿って説明する。
[ステップS1]会計処理部211aは、顧客50によるタッチパネル式ディスプレイ213への所定の操作入力により、会計処理の開始を受け付ける。このとき、顧客50により、IC付バスケット30が台230のバスケット設置枠233に設置される。
【0094】
[ステップS2]会計処理部211aは、IC付バスケット30の利用ポイントの付与処理を実行する。
[ステップS3]会計処理部211aは、タッチパネル式ディスプレイ213に商品登録画面を表示し、顧客50へ商品のバーコードスキャナ214による登録を促す。
【0095】
[ステップS4]会計処理部211aは、バーコードスキャナ214が読み取ったバーコード情報を取得する。会計処理部211aは、該当のバーコード情報に対応する商品の重量を店舗サーバ300の商品マスタ記憶部320から取得し、商品重量検査部211dに出力する。
【0096】
[ステップS5]商品重量検査部211dは、IC付バスケット30に投入された商品の重量を測定し、会計処理部211aから取得した重量と照合する。このとき、重量が所定の誤差の範囲内で一致する場合にのみ、会計処理部211aによる商品登録が行われ、一致しない場合には重量エラーとなり商品登録が行われない。
【0097】
[ステップS6]会計処理部211aは、バーコード入力が行われたか否かを判定する。行われた場合、処理がステップS4に移される。行われていない場合、処理がステップS7に移される。
【0098】
[ステップS7]会計処理部211aは、顧客50によるタッチパネル式ディスプレイ213への所定の操作入力により支払いを行う旨を受け付けたか否かを判定する。支払い操作入力を受け付けた場合、処理がステップS8に移される。支払い操作入力を受け付けていない場合、処理がステップS6に移される。
【0099】
[ステップS8]会計処理部211aは、顧客50によるタッチパネル式ディスプレイ213への所定の操作入力により電子マネーで支払いを行う旨を受け付けたか否かを判定する。電子マネーでの支払いでない場合、処理がステップS9に移される。電子マネーでの支払いの場合、処理がステップS10に移される。
【0100】
[ステップS9]会計処理部211aは、現金による商品代金の決済を行い、処理が完了する。
[ステップS10]会計処理部211aは、電子マネーによる商品代金の決済を行い、処理が完了する。
【0101】
このように、SCO装置200は、IC付バスケット30の利用に応じて顧客50にポイントを付与する。顧客50は、付与されたポイントを利用することで、商品代金の減額サービスを受けることができる。
【0102】
以下では、上記ステップS2,S9,S10におけるICカード100とSCO装置200との処理の詳細を説明する。
まず、図11のステップS2におけるマイバスケット利用ポイント付与処理に関して詳細に説明する。
【0103】
図13は、ポイント付与処理の手順を示す第1のフローチャートである。以下、図13に示す処理をステップ番号に沿って説明する。なお、以下に示す処理は、図12のステップS2に示す処理を詳細に説明するものである。
【0104】
[ステップS11]会計処理部211aは、タグリーダ216を起動する。
[ステップS12]バスケット重量検査部211cは、タグリーダ216を介してICカード100のRFIDタグ部160に重量情報の読み出し要求を送信する。
【0105】
[ステップS13]重量情報取得部164bは、SCO装置200から取得した重量情報の読み出し要求に応じて、共有情報記憶部151に記憶された共有情報管理テーブル151aから重量情報を取得する。
【0106】
[ステップS14]重量情報取得部164bは、取得した重量情報をSCO装置200に応答する。
[ステップS15]バスケット重量検査部211cは、タグリーダ216を介してICカード100から重量情報を取得する。重量情報の取得により、IC付バスケット30の利用を検知することができる。すなわち、重量情報が取得されない場合には、IC付バスケット30が利用されていないこととなる。また、バスケット重量検査部211cは、重量計測部232によるIC付バスケットの重量計測結果を取得する。
【0107】
[ステップS16]バスケット重量検査部211cは、ICカード100から取得した重量と重量計測部232が測定したIC付バスケットの重量とが所定の誤差の範囲内で一致するか否かを判定する。一致する場合、バスケット重量検査部211cは、重量計測部232のスケールをリセットして、処理がステップS17に移される。一致しない場合、処理が図14のステップS34に移される。
【0108】
[ステップS17]ポイント処理部211bは、IC付バスケット30の利用によりポイントが付与される旨をタッチパネル式ディスプレイ213に表示する。
[ステップS18]ポイント処理部211bは、タグリーダ216を介してICカード100のRFIDタグ部160に顧客IDの読み出し要求を送信する。
【0109】
[ステップS19]ポイント管理部164aは、SCO装置200から取得した顧客IDの読み出し要求に応じて、共有情報記憶部151に記憶された共有情報管理テーブル151aから顧客IDを取得する。
【0110】
[ステップS20]ポイント管理部164aは、取得した顧客IDをSCO装置200に応答する。
[ステップS21]ポイント処理部211bは、タグリーダ216を介してICカード100から顧客IDを取得する。
【0111】
[ステップS22]ポイント処理部211bは、該当の顧客IDに対応する現在のポイント情報を店舗サーバ300のポイント情報記憶部310から取得する。
図14は、ポイント付与処理の手順を示す第2のフローチャートである。以下、図14に示す処理をステップ番号に沿って説明する。なお、以下の処理は、図13に引き続いて実行される。
【0112】
[ステップS23]ポイント処理部211bは、店舗サーバ300から取得したポイント情報をタグリーダ216を介してICカード100のRFIDタグ部160に送信する。
【0113】
[ステップS24]ポイント管理部164aは、SCO装置200から現在のポイント情報を取得する。ポイント管理部164aは、共有情報記憶部151に記憶された共有情報管理テーブル151aからポイント情報を取得する。
【0114】
[ステップS25]ポイント管理部164aは、SCO装置200から取得したポイント情報と共有情報管理テーブル151aから取得したポイント情報とが一致するか否かを判定する。一致する場合、処理がステップS26に移される。一致しない場合、処理がステップS27に移される。
【0115】
[ステップS26]ポイント管理部164aは、ポイント情報が一致した旨(ポイント照合OK)をSCO装置200に送信する。
[ステップS27]ポイント管理部164aは、ポイント情報が一致しない旨(ポイント照合NG)をSCO装置200に送信する。
【0116】
[ステップS28]ポイント処理部211bは、タグリーダ216を介してICカード100からポイント照合結果を取得する。そして、ポイント処理部211bは、ポイントの照合結果がOKであるかNGであるかを判定する。ポイント照合OKである場合、処理がステップS29に移される。ポイント照合NGである場合、処理がステップS34に移される。
【0117】
[ステップS29]ポイント処理部211bは、図13のステップS22で取得したポイント情報に、IC付バスケット30の利用ポイントとして所定の値を加算する。
[ステップS30]ポイント処理部211bは、上記ステップS29により求められたポイント情報への更新要求を店舗サーバ300に送信する。これにより、店舗サーバ300のポイント情報記憶部310に記憶された該当の顧客のポイント情報が更新される。また、ポイント処理部211bは、同様にICカード100のRFIDタグ部160に対してもタグリーダ216を介してポイント情報の更新要求を送信する。
【0118】
[ステップS31]ポイント管理部164aは、SCO装置200から取得したポイント情報の更新要求に応じて、共有情報記憶部151に記憶された共有情報管理テーブル151aのポイント情報を更新する。
【0119】
[ステップS32]ポイント管理部164aは、ポイント情報の更新が完了した旨をSCO装置200に応答する。
[ステップS33]ポイント処理部211bは、タグリーダ216を介してICカード100からポイント更新完了の応答を取得する。
【0120】
[ステップS34]会計処理部211aは、ポイント処理部211bにおけるエラー(ポイント照合NG)またはバスケット重量検査部211cにおけるエラー(バスケット重量の不一致)を検出して、エラー処理を実行する。エラー処理としては、例えば、店員に通知し、個別対応を促すことが考えられる。個別対応の結果、エラーが解消されてポイント付与が完了すると、処理がステップS35に移される。
【0121】
[ステップS35]会計処理部211aは、タグリーダ216を停止し、処理が完了する。
このように、SCO装置200は、ICカード100と通信することでIC付バスケット30の利用の有無を自動的に検知することができる。このため、例えば、顧客50が有するIC付バスケット30の利用有無を、店員が逐一確認する手間が生じることがなく、ポイント運用を効率的に行うことができる。
【0122】
また、SCO装置200は、ICカード100と通信可能な場合には、ICカード100から読み出した重量情報と実際に測定した重量情報とを比較する。これにより、IC付バスケット30に登録前の商品が投入された状態で会計処理が行われることを防止することができる。
【0123】
更に、SCO装置200は、IC付バスケット30の利用を検知すると所定の値だけポイント加算する。そして、ICカード100は、加算後のポイント情報で自装置に記憶されたポイント情報を更新する。また、店舗サーバ300は、加算後のポイント情報で自装置に記憶された該当の顧客のポイント情報を更新する。このように、ICカード100で管理されるポイント情報と店舗サーバ300で管理されるポイント情報との同期を取ることで、ポイント管理の信頼性を向上することができる。
【0124】
次に、図12のステップS9における現金決済処理に関して説明する。
図15は、現金決済処理の手順を示す第1のフローチャートである。以下、図15に示す処理をステップ番号に沿って説明する。なお、以下の処理は、図12のステップS9の処理を詳細に説明するものである。
【0125】
[ステップS41]会計処理部211aは、顧客50によるタッチパネル式ディスプレイ213への所定の操作入力によりポイントを利用する旨を受け付けたか否かを判定する。ポイント利用の入力を受け付けた場合、処理がステップS42に移される。ポイント利用の入力を受け付けない場合、処理が図16のステップS59に移される。
【0126】
[ステップS42]会計処理部211aは、タグリーダ216を起動する。
[ステップS43]ポイント処理部211bは、タグリーダ216を介してICカード100のRFIDタグ部160に顧客IDの読み出し要求を送信する。
【0127】
[ステップS44]ポイント管理部164aは、SCO装置200から取得した顧客IDの読み出し要求に応じて、共有情報記憶部151に記憶された共有情報管理テーブル151aから顧客IDを取得する。
【0128】
[ステップS45]ポイント管理部164aは、取得した顧客IDをSCO装置200に応答する。
[ステップS46]ポイント処理部211bは、タグリーダ216を介してICカード100から顧客IDを取得する。
【0129】
[ステップS47]ポイント処理部211bは、該当の顧客IDに対応する現在のポイント情報を店舗サーバ300のポイント情報記憶部310から取得する。
[ステップS48]ポイント処理部211bは、店舗サーバ300から取得したポイント情報をタグリーダ216を介してICカード100のRFIDタグ部160に送信する。
【0130】
[ステップS49]ポイント管理部164aは、共有情報記憶部151に記憶された共有情報管理テーブル151aからポイント情報を取得する。
[ステップS50]ポイント管理部164aは、SCO装置200から取得したポイント情報と共有情報管理テーブル151aから取得したポイント情報とが一致するか否かを判定する。一致する場合、処理がステップS51に移される。一致しない場合、処理がステップS52に移される。
【0131】
[ステップS51]ポイント管理部164aは、ポイント情報が一致した旨(ポイント照合OK)をSCO装置200に送信する。
[ステップS52]ポイント管理部164aは、ポイント情報が一致しない旨(ポイント照合NG)をSCO装置200に送信する。
【0132】
図16は、現金決済処理の手順を示す第2のフローチャートである。以下、図16に示す処理をステップ番号に沿って説明する。なお、以下の処理は、図15の処理に引き続いて実行される。
【0133】
[ステップS53]ポイント処理部211bは、タグリーダ216を介してICカード100からポイント照合結果を取得する。そして、ポイント処理部211bは、ポイントの照合結果がOKであるかNGであるかを判定する。ポイント照合OKである場合、処理がステップS54に移される。ポイント照合NGである場合、処理がステップS60に移される。
【0134】
[ステップS54]ポイント処理部211bは、図15のステップS47で取得したポイント情報に、ポイント利用分の値を減算する。そして、会計処理部211aは、ポイント利用分に応じた代金を商品代金から減額する。
【0135】
[ステップS55]ポイント処理部211bは、上記ステップS54により求められたポイント情報への更新要求を店舗サーバ300に送信する。これにより、店舗サーバ300のポイント情報記憶部310に記憶された該当の顧客のポイント情報が更新される。また、ポイント処理部211bは、同様にICカード100のRFIDタグ部160に対してもタグリーダ216を介してポイント情報の更新要求を送信する。
【0136】
[ステップS56]ポイント管理部164aは、SCO装置200から取得したポイント情報の更新要求に応じて、共有情報記憶部151に記憶された共有情報管理テーブル151aのポイント情報を更新する。
【0137】
[ステップS57]ポイント管理部164aは、ポイント情報の更新が完了した旨をSCO装置200に応答する。
[ステップS58]ポイント処理部211bは、タグリーダ216を介してICカード100からポイント更新完了の応答を取得する。
【0138】
[ステップS59]会計処理部211aは、現金による商品代金の決済を行う。
[ステップS60]会計処理部211aは、ポイント処理部211bにおけるエラー(ポイント照合NG)を検出して、エラー処理を実行する。エラー処理としては、例えば、店員に通知し、個別対応を促すことが考えられる。個別対応の結果、商品代金の決済が完了すると、処理がステップS61に移される。
【0139】
[ステップS61]会計処理部211aは、タグリーダ216を停止し、処理が完了する。
このように、SCO装置200は、現金による支払いの場合にはRFIDタグ部160との通信によってポイント情報の読み出し・更新を行い、利用ポイントに応じた代金を商品代金から減算する。
【0140】
次に、図12のステップS10における電子マネー決済処理に関して説明する。
図17は、電子マネー決済処理の手順を示す第1のフローチャートである。以下、図17に示す処理をステップ番号に沿って説明する。なお、以下の処理は、図12のステップS10の処理を詳細に説明するものである。
【0141】
[ステップS71]会計処理部211aは、顧客50によるタッチパネル式ディスプレイ213への所定の操作入力によりポイントを利用する旨を受け付けたか否かを判定する。ポイント利用の入力を受け付けた場合、処理がステップS72に移される。ポイント利用の入力を受け付けない場合、処理が図18のステップS89に移される。
【0142】
[ステップS72]会計処理部211aは、ICリーダ231を起動する。
[ステップS73]ポイント処理部211bは、ICリーダ231を介してICカード100のICタグ部170に顧客IDの読み出し要求を送信する。
【0143】
[ステップS74]ポイント管理部174bは、SCO装置200から取得した顧客IDの読み出し要求に応じて、共有情報記憶部151に記憶された共有情報管理テーブル151aから顧客IDを取得する。
【0144】
[ステップS75]ポイント管理部174bは、取得した顧客IDをSCO装置200に応答する。
[ステップS76]ポイント処理部211bは、ICリーダ231を介してICカード100から顧客IDを取得する。
【0145】
[ステップS77]ポイント処理部211bは、該当の顧客IDに対応する現在のポイント情報を店舗サーバ300のポイント情報記憶部310から取得する。
[ステップS78]ポイント処理部211bは、店舗サーバ300から取得したポイント情報をICリーダ231を介してICカード100のICタグ部170に送信する。
【0146】
[ステップS79]ポイント管理部174bは、共有情報記憶部151に記憶された共有情報管理テーブル151aからポイント情報を取得する。
[ステップS80]ポイント管理部174bは、SCO装置200から取得したポイント情報と共有情報管理テーブル151aから取得したポイント情報とが一致するか否かを判定する。一致する場合、処理がステップS81に移される。一致しない場合、処理がステップS82に移される。
【0147】
[ステップS81]ポイント管理部174bは、ポイント情報が一致した旨(ポイント照合OK)をSCO装置200に送信する。
[ステップS82]ポイント管理部174bは、ポイント情報が一致しない旨(ポイント照合NG)をSCO装置200に送信する。
【0148】
図18は、電子マネー決済処理の手順を示す第2のフローチャートである。以下、図18に示す処理をステップ番号に沿って説明する。なお、以下の処理は、図17の処理に引き続いて実行される。
【0149】
[ステップS83]ポイント処理部211bは、ICリーダ231を介してICカード100からポイント照合結果を取得する。そして、ポイント処理部211bは、ポイント照合結果がOKであるかNGであるかを判定する。ポイント照合OKである場合、処理がステップS84に移される。ポイント照合NGである場合、処理がステップS94に移される。
【0150】
[ステップS84]ポイント処理部211bは、図17のステップS77で取得したポイント情報に、ポイント利用分の値を減算する。そして、会計処理部211aは、ポイント利用分に応じた代金を商品代金から減額する。
【0151】
[ステップS85]ポイント処理部211bは、上記ステップS84により求められたポイント情報への更新要求を店舗サーバ300に送信する。これにより、店舗サーバ300のポイント情報記憶部310に記憶された該当の顧客のポイント情報が更新される。また、ポイント処理部211bは、同様にICカード100のICタグ部170に対してもICリーダ231を介してポイント情報の更新要求を送信する。
【0152】
[ステップS86]ポイント管理部174bは、SCO装置200から取得したポイント情報の更新要求に応じて、共有情報記憶部151に記憶された共有情報管理テーブル151aのポイント情報を更新する。
【0153】
[ステップS87]ポイント管理部174bは、ポイント情報の更新が完了した旨をSCO装置200に応答する。
[ステップS88]ポイント処理部211bは、ICリーダ231を介してICカード100からポイント更新完了の応答を取得する。
【0154】
[ステップS89]会計処理部211aは、商品代金をICカード100にICリーダ231を介して送信する。
[ステップS90]電子マネー管理部174aは、電子マネー情報記憶部175aに記憶された電子マネー残高から商品代金分の金額を減額する。電子マネー管理部174aによる電子マネー残高の読み出しの際、電子マネー情報記憶部175aに記憶された電子マネー情報は暗号化されているため暗号処理部176aにより復号される。また、電子マネー管理部174aによる電子マネー情報記憶部175aへの書き込みの際、暗号処理部176aにより残高更新後の電子マネー情報が暗号化されて書き込みが行われる。
【0155】
[ステップS91]電子マネー管理部174aは、電子マネー残高の更新完了の応答をSCO装置200に送信する。
[ステップS92]会計処理部211aは、電子マネーの決済を行う決済処理センター(図2では図示せず)と連携して電子マネーによる決済処理を実行する。
【0156】
[ステップS93]会計処理部211aは、正常に決済処理が終了したか否かを判定する。正常終了した場合、処理がステップS95に移される。正常終了しなかった場合、処理がステップS94に移される。
【0157】
[ステップS94]会計処理部211aは、ポイント処理部211bにおけるエラー(ポイント照合NG)や電子マネーの決済処理エラーを検出して、エラー処理を実行する。エラー処理としては、例えば、店員に通知し、個別対応を促すことが考えられる。個別対応の結果、商品代金の決済が完了すると、処理がステップS95に移される。
【0158】
[ステップS95]会計処理部211aは、ICリーダ231を停止し、処理が完了する。
このように、SCO装置200は、電子マネーによる支払いの場合にはICタグ部170との通信によってポイント情報の読み出し・更新を行い、利用ポイントに応じた代金を商品代金から減算する。更に、SCO装置200は、ICタグ部170との通信によって電子マネーによる商品代金の決済処理を行う。
【0159】
以上のようにして、ICカード100とSCO装置200との間の異なる周波数帯の電磁波を用いた通信により、(a)現金決済+ポイント利用、(b)電子マネー決済+ポイント利用、という異なるサービスの提供が行われる。(a)のサービスは、通信路やデータ管理においてセキュリティ性を要しない、または、ある程度のセキュリティ性が保たれていれば十分である。また、(b)のサービスは、電子マネー決済を伴うため、高いセキュリティ性を確保する必要がある。
【0160】
このため、上述のように(a)のサービス提供には、機能が簡略化され通信可能距離の長いUHF帯の電磁波で通信するRFIDタグ部160を用いる。そして、(b)のサービス提供には、演算機能や暗号制御機能を備え、通信可能距離の短いHF帯の電磁波で通信するICタグ部170を用いる。
【0161】
このように、セキュリティ性の要件に応じて通信路を複数設けて使い分けることで、利便性およびセキュリティ性を両立したシステムを実現することができる。
そして、SCO装置200は、IC付バスケット30の利用有無をICカード100のRFIDタグ部160との通信によって自動的に検知することができる。このため、例えば、顧客50が有するIC付バスケット30の利用有無を、店員が逐一確認する手間が生じることがなく、ポイント運用を効率的に行うことができる。
【0162】
また、顧客50は、IC付バスケット30を利用することによって、ICカード100にチャージされた電子マネーで簡便に決済を行うことができる。これにより、顧客50の会計処理の効率が向上すると共に、SCO装置200での混雑抑制を図ることもできる。
【0163】
更に、上記の説明では、IC付バスケット30の利用に応じてポイントを付与するものとしたが、これに限らず他の条件でポイントを付与することも考えられる。
なお、ICカード100とSCO装置200との通信に関して、RFIDタグ部160およびICタグ部170は、それぞれタグリーダ216およびICリーダ231と独立に通信が可能である。このため、一方のRFタグ部が通信している間にもう一方のRFタグ部との通信が行われる可能性もある。例えば、RFIDタグ部160により既に通信が開始され共有メモリ150が駆動した状態で、ICタグ部170による通信が開始される場合である。また、両方のRFタグ部で同時に通信を開始することも考えられる。
【0164】
これらの場合、電源制御部140は、いずれか一方の電磁波により共有メモリ150への電力を生成する、両方の電磁波を用いて共有メモリ150への電力を生成する、等の制御を行うことが回路保護の観点からは望ましい。このため、電源制御部140に共有メモリ150の電源とする電磁波の選択に関して、例えば、次に示す(1)〜(3)のいずれかの優先順位(制御方法)を設定することが考えられる。
【0165】
(1)双方のRFタグ部が通信状態にある場合には、電力レベルの高い電磁波を用いて共有メモリ150への電力を生成する。
(2)双方のRFタグ部が通信状態にある場合には、先に受信した電磁波により共有メモリ150への電力を継続して生成して駆動し、後に受信した電磁波による共有メモリ150への給電は行わない。
【0166】
(3)双方のRFタグ部が通信状態にある場合には、双方が受信する電磁波を用いて共有メモリ150への電力を生成する。
なお、電源制御部140は、上記(1)〜(3)において、共有メモリ150への給電に用いる電磁波での通信が完了し、他方の電磁波での通信が継続している場合には、継続して受信する電磁波により共有メモリ150への電力が生成されるよう制御することになる。
【0167】
次に、IC付バスケット30へのICカード100の搭載方法の具体例を示す。
図19は、IC付バスケットの底面部の構成例を示す図である。(A)はIC付バスケット30の側面図、(B)はIC付バスケット30の正面図を示している。IC付バスケット30は、セットボックス31およびセットトレイ32を有する。ただし、(A)に示すセットトレイ32は、実際にはセットボックス31に隠れて不可視であり、説明の便宜上のため図示している。
【0168】
セットボックス31は、IC付バスケット30の底面に設けられたセットトレイ32を設置して保持するための保持部材である。セットボックス31は、セットトレイ32を正面側から挿入するための挿入孔を有しており、この挿入孔にセットトレイ32が挿入されて保持される。
【0169】
セットトレイ32は、ICカード100を保持するための部材である。セットトレイ32を更にセットボックス31に挿入して保持することにより、ICカード100がIC付バスケット30に搭載される。なお、セットトレイ32は、一方の基端部にICカード100を保持するためのカードホルダを有している。セットトレイ32は、カードホルダを有する基端部からセットボックス31に挿入されることにより、その配置がSCO装置200との通信に適した位置(IC付バスケット30の底面のほぼ中央)となる。
【0170】
図20は、セットトレイの構成例を示す図である。(A)はセットトレイ32の斜視図、(B)はセットトレイ32の(A)におけるb方向から見た側面図を示している。
セットトレイ32は、ホルダ保持部32a、カードホルダ32bおよびダミーケース32cを有する。
【0171】
ホルダ保持部32aは、カードホルダ32bおよびダミーケース32cを載置して保持する部材である。
カードホルダ32bは、ICカード100を挿入して保持するための部材である。カードホルダ32bは、ホルダ保持部32aに対して着脱可能である。なお、(A),(B)には、カードホルダ32bに保持されたICカード100を示している(実際は不可視である)。
【0172】
ダミーケース32cは、セットトレイ32をIC付バスケット30に挿入した際にカードホルダ32bを底面中央まで誘導するために設けられている。
このように、ICカード100をIC付バスケット30から取り外し可能とする。これにより、IC付バスケット30の商品を投入するバスケット部分(セットボックス31を含む)が破損した場合にも、このバスケット部分のみの交換で対応することができる。
【0173】
図21は、カードホルダを示す図である。カードホルダ32bは、ICカード100を挿入するための孔であるカード挿入孔32dを有している。カードホルダ32bは、カード挿入孔32dにICカード100が挿入されるとICカード100をその内部に保持する。
【0174】
ここで、カードホルダ32bは、所定の比誘電率である誘電体により形成されている。誘電体には、ICカード100の各RFの通信可能距離がSCO装置200との通信においてインピーダンスマッチングにより適切な距離に延長される比誘電率のものが選択される。具体的には、通信可能距離を適切な距離に延長するため、3〜8程度の比誘電率をもつ誘電体の利用が想定される。本例では、ICカード100とSCO装置200とが正常に通信可能となるように、アンテナ120による通信可能距離を数十cmに構成する。
【0175】
なお、カードホルダ32bを利用しない場合のICカード100の通信可能距離は、カードホルダ32bを利用する場合に比べて短く(例えば、数cm程度)なる。このため、ICカード100を単体として保持する場合の盗聴等の防止に優れ、セキュリティ性が高い。すなわち、ICカード100は、IC付バスケット30から分離し、単体として電子マネーの決済等、高いセキュリティ性を要する通信に用いる場合にも適している。
【0176】
図22は、IC付バスケットとSCO装置との通信距離を示す図である。SCO装置200aは、SCO装置本体210および台230aを有する(台220は図示を省略)。
台230aは、図7の台230に対応している。
【0177】
台230aは、IC付バスケット30,30aを同時に設置することが可能な台である。台230aは、ICリーダ231,231aを有する。
ICリーダ231,231aは、IC付バスケット30,30aの各ICタグ部と通信する。なお、IC付バスケット30,30aの各RFIDタグ部は、タグリーダ216と通信することになる。
【0178】
ここで、IC付バスケット30,30aを同時に設置しようとすると、例えば、IC付バスケット30aとタグリーダ216との間の距離がIC付バスケット30とタグリーダ216との間の距離よりも長くなることが考えられる。すなわち、単一のバスケットを設置する場合と複数のバスケットを設置する場合とで、ICカード100のUHF帯での通信可能距離の変更を要することも想定される。
【0179】
これに対し、ICカード100を保持するカードホルダ32bの誘電体を適切に選択することで、ICカード100の通信可能距離を調整することが可能である。このように、システムの運用に応じた通信可能距離の調整をカードホルダ32b側で行うことで、ICカード100の汎用性を向上することができる。
【0180】
以上、本発明の通信装置、通信システムおよび電源制御方法を図示の実施の形態に基づいて説明したが、これらに限定されるものではなく、各部の構成は同様の機能を有する任意の構成のものに置き換えることができる。また、他の任意の構成物や工程が付加されてもよい。また、本発明は前述した実施の形態のうちの任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0181】
【図1】本実施の形態の概要を示す図である。
【図2】SCOシステムのシステム構成を示す図である。
【図3】IC付バスケットを示す図である。
【図4】ICカードの第1の構成例を示す図である。
【図5】ICカードの第2の構成例を示す図である。
【図6】ICチップのハードウェア構成を示す図である。
【図7】SCO装置のハードウェア構成を示す図である。
【図8】IC付バスケット設置用の台を示す図である。
【図9】店舗サーバのハードウェア構成を示す図である。
【図10】SCOシステムを構成する各装置の機能を示すブロック図である。
【図11】共有情報管理テーブルのデータ構造例を示す図である。
【図12】SCO装置の会計処理の手順を示すフローチャートである。
【図13】ポイント付与処理の手順を示す第1のフローチャートである。
【図14】ポイント付与処理の手順を示す第2のフローチャートである。
【図15】現金決済処理の手順を示す第1のフローチャートである。
【図16】現金決済処理の手順を示す第2のフローチャートである。
【図17】電子マネー決済処理の手順を示す第1のフローチャートである。
【図18】電子マネー決済処理の手順を示す第2のフローチャートである。
【図19】IC付バスケットの底面部の構成例を示す図である。
【図20】セットトレイの構成例を示す図である。
【図21】カードホルダを示す図である。
【図22】IC付バスケットとSCO装置との通信距離を示す図である。
【符号の説明】
【0182】
1 通信装置
11,12 アンテナ
13 電源制御部
14 記憶部
15,16 RFタグ部
15a,16a 通信部
15b,16b 演算部
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置、通信システムおよび電源制御方法に関し、特にRFID(Radio Frequency IDentification)技術により通信する通信装置、通信システムおよび通信装置の電源制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、RFID技術を用いた通信システムが普及している。この通信システムでは、読み取り/書き込み装置(以下、単にタグリーダという)とRF(Radio Frequency)タグとが無線通信する。RFタグは、微小なIC(Intelligent Circuit)チップにより構成される。ICチップには、個体の識別情報や所定の演算処理機能などが搭載され、RFタグを付与された各個体および各個体に対応付けられた各種情報の管理を可能とする。このようなRFタグを用いた通信システムには、例えば、商品在庫や備品を管理する物品管理システムや鉄道の改札システム等がある。
【0003】
ここで、RFタグの電源供給の方法には、アクティブ型とパッシブ型とがある。アクティブ型のRFタグは、内蔵された電源により駆動する。パッシブ型のRFタグは、タグリーダからの給電により駆動する。
【0004】
パッシブ型では、タグリーダ側のコイルアンテナとRFタグ側のコイルアンテナとを磁束結合させて電磁誘導により給電する方法や、タグリーダからの電磁波の受信電力で給電する方法が用いられる。これらの給電方法は、通信に利用する周波数帯によって使い分けられている。例えば、電磁誘導により給電する方法は、HF(High Frequency)帯の周波数で通信するRFタグに採用されている。また、電磁波の受信電力により給電する方法はUHF(Ultra High Frequency)帯の周波数で通信するRFタグに採用されている。
【0005】
ところで、RFID技術を用いた通信システムにおいて移動通信システムと組み合わせる(例えば、特許文献1参照)、機能の異なる複数のRFタグを組み合わせて利用可能とする(例えば、特許文献2,3参照)等により高機能な通信システムを実現することが考えられる。特に、用途の異なる2つのRFタグでデータ共有可能とすることで、これらを複合した利便性の高いサービスを実現することが考えられる(例えば、特許文献4参照)。
【特許文献1】特開2002−247157号公報
【特許文献2】特開2006−048094号公報
【特許文献3】特開2006−172040号公報
【特許文献4】特開2004−046904号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記特許文献4に記載の方法では、異なる周波数帯(例えば、HF帯およびUHF帯)で通信する複数のパッシブ型のRFタグを組み合わせる場合のデータ共有方法に関しては考慮されていない。パッシブ型では、各RFタグの周波数帯がHF帯およびUHF帯のように異なると上述のように給電方法が異なる。すなわち、両者を共存させて用いようとすると、それぞれ独立の電源で駆動させることになる。このため、各RFタグ同士でデータ共有可能な領域を設けることが困難であるという問題がある。
【0007】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、異なる周波数帯で通信する複数のパッシブ型RFタグが共存している場合にも各RFタグでのデータ共有を可能とする通信装置、通信システムおよび電源制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、通信装置が提供される。この通信装置は、第1のRFタグ部、第2のRFタグ部、記憶部および電源制御部を有する。第1のRFタグ部は、第1の周波数帯の電磁波により通信する。第2のRFタグ部は第1の周波数帯とは異なる第2の周波数帯の電磁波により通信する。記憶部は、第1のRFタグ部と第2のRFタグ部とがアクセス可能な共有領域を格納する。電源制御部は、第1の周波数帯の電磁波により第1のRFタグ部および記憶部を駆動する電力を生成して、生成した電力を第1のRFタグ部および記憶部に供給し、第2の周波数帯の電磁波により第2のRFタグ部および記憶部を駆動する電力を生成して、生成した電力を第2のRFタグ部および記憶部に供給する。
【0009】
このような通信装置によれば、電源制御部により、第1の周波数帯の電磁波により、この電磁波で通信する第1のRFタグ部を駆動する電力および第1のRFタグ部と第1の周波数帯とは異なる第2の周波数帯の電磁波により通信する第2のRFタグ部とがアクセス可能な共有領域を有する記憶部を駆動する電力が生成され、生成された電力が第1のRFタグ部および記憶部に供給される。また、電源制御部により、第2の周波数帯の電磁波により、第2のRFタグ部および記憶部を駆動する電力が生成され、生成された電力が第2のRFタグ部および記憶部に供給される。
【0010】
また、上記課題を解決するために、通信システムが提供される。この通信システムは、第1の通信装置および第2の通信装置を有する。第1の通信装置は、第1のRFタグ部、第2のRFタグ部、記憶部および電源制御部を有する。第1のRFタグ部は、第1の周波数帯の電磁波により通信する。第2のRFタグ部は、第1の周波数帯とは異なる第2の周波数帯の電磁波により通信する。記憶部は、第1のRFタグ部と第2のRFタグ部とがアクセス可能な共有領域を有する。電源制御部は、第1の周波数帯の電磁波により第1のRFタグ部および記憶部を駆動する電力を生成して、生成した電力を第1のRFタグ部および記憶部に供給し、第2の周波数帯の電磁波により第2のRFタグ部および記憶部を駆動する電力を生成して、生成した電力を第2のRFタグ部および記憶部に供給する。また、第2の通信装置は、第1の通信部および第2の通信部を有する。第1の通信部は、第1の通信装置の第1のRFタグ部に実行させる処理に応じた情報を含む第1の周波数帯の電磁波を第1の通信装置に送信する。第2の通信部は、第1の通信装置の第2のRFタグ部に実行させる処理に応じた情報を含む第2の周波数帯の電磁波を第1の通信装置に送信する。
【0011】
このような通信システムによれば、第1の通信装置の電源制御部により、第1の周波数帯の電磁波を用いて、この電磁波で通信する第1のRFタグ部を駆動する電力および第1のRFタグ部と第1の周波数帯とは異なる第2の周波数帯の電磁波により通信する第2のRFタグ部とがアクセス可能な共有領域を有する記憶部を駆動する電力が生成され、生成された電力が第1のRFタグ部および記憶部に供給される。また、第1の通信装置の電源制御部により、第2の周波数帯の電磁波を用いて、第2のRFタグ部および記憶部を駆動する電力が生成され、生成された電力が第2のRFタグ部および記憶部に供給される。一方、第2の通信装置の第1の通信部により、第1の通信装置の第1のRFタグ部に実行させる処理に応じた情報を含む第1の周波数帯の電磁波が第1の通信装置に送信される。また、第2の通信装置の第2の通信部により、第1の通信装置の第2のRFタグ部に実行させる処理に応じた情報を含む第2の周波数帯の電磁波が第1の通信装置に送信される。
【0012】
また、上記課題を解決するために上記通信装置と同様の処理を行う電源制御方法が提供される。
【発明の効果】
【0013】
上記通信装置、通信システムおよび電源制御方法によれば、異なる周波数帯で通信する複数のパッシブ型RFタグが共存している場合にも各RFタグでのデータ共有を可能とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
図1は、通信装置の概要を示す図である。通信装置10は、パッシブ型のRFタグを備え、他の通信装置(例えば、タグリーダ)との電磁誘導の効果や電磁波の受信電力による給電で駆動する。
【0015】
通信装置10は、アンテナ11,12、電源制御部13、記憶部14およびRFタグ部15,16を有する。
アンテナ11は、周波数帯f1(例えば、UHF帯)の電磁波を送受信するためのアンテナである。アンテナ11は、他の通信装置から受信した電磁波に含まれる受信信号をRFタグ部15に出力する。また、アンテナ11は、RFタグ部15から取得する送信信号を他の通信装置に送信する。
【0016】
アンテナ12は、周波数帯f1とは異なる周波数帯f2(例えば、HF帯)の電磁波を送受信するためのアンテナである。アンテナ12は、他の通信装置から受信した電磁波に含まれる受信信号をRFタグ部16に出力する。また、アンテナ12は、RFタグ部16から取得する送信信号を他の通信装置に送信する。
【0017】
電源制御部13は、アンテナ11が受信した電磁波によりRFタグ部15を駆動する電力を生成すると共に記憶部14を駆動する電力を生成し、記憶部14およびRFタグ部15に供給する。例えば、アンテナ11がUHF帯の電磁波で通信する場合、この電磁波の受信電力によりRFタグ部15および記憶部14を駆動する電力を生成する。また、電源制御部13は、アンテナ12が受信した電磁波によりRFタグ部16を駆動する電力を生成すると共に記憶部14を駆動する電力を生成し、記憶部14およびRFタグ部16に供給する。例えば、アンテナ12がHF帯の電磁波で通信する場合、電磁誘導により得た電力によりRFタグ部16および記憶部14を駆動する電力を生成する。なお、電磁誘導で給電する場合には、アンテナ形状はコイル状に形成される。
【0018】
記憶部14は、RFタグ部15,16がアクセス可能な共有領域を格納する。記憶部14は、電源制御部13により供給される電力により駆動する。
RFタグ部15は、アンテナ11が受信する信号に含まれる情報(処理要求)に基づく演算処理を実行し、その処理結果をアンテナ11を介して応答する。RFタグ部15は、通信部15aおよび演算部15bを有する。
【0019】
通信部15aは、アンテナ11から取得する受信信号をベースバンド帯の信号に周波数変換し、その後、所定の復調処理を施してベースバンド信号に含まれる情報を取得する。通信部15aは、取得した情報を演算部15bに出力する。また、通信部15aは、演算部15bから取得する処理応答をベースバンド帯の信号に変調し、変調した信号を更にRF帯の送信信号に周波数変換してアンテナ11に出力する。
【0020】
演算部15bは、通信部15aから取得する情報に基づく演算処理を行う。このとき、演算部15bは、必要に応じて記憶部14に格納された共有情報にアクセスすることができ、例えば、この共有情報に基づく処理を実行して、その処理結果を通信部15aに出力する。
【0021】
RFタグ部16は、アンテナ12が受信する信号に含まれる情報(処理要求)に基づく演算処理を実行し、その処理結果をアンテナ12を介して応答する。RFタグ部16は、通信部16aおよび演算部16bを有する。
【0022】
通信部16aは、アンテナ12から取得するRF帯(例えば、HF帯)の電磁波に含まれる受信信号をベースバンド帯の信号に周波数変換し、その後、所定の復調処理を施してベースバンド信号に含まれる情報を取得する。通信部16aは、取得した情報を演算部16bに出力する。また、通信部16aは、演算部16bから取得する処理応答をベースバンド帯の信号に変調し、変調した信号を更にRF帯の送信信号に周波数変換してアンテナ12に出力する。
【0023】
演算部16bは、通信部16aから取得する情報に基づく演算処理を行う。このとき、演算部16bは、必要に応じて記憶部14に格納された共有情報にアクセスし、例えば、この共有情報に基づく処理を実行して、その処理結果を通信部16aに出力する。
【0024】
このような通信装置10によれば、周波数帯f1の電磁波で通信する場合には、電源制御部13により、アンテナ11からの給電によりRFタグ部15を駆動する電力が生成されると共に記憶部14を駆動する電力が生成され、これらの各部に供給される。また、周波数帯f2の電磁波で通信する場合には、電源制御部13により、アンテナ12からの給電によりRFタグ部16を駆動する電力が生成されると共に記憶部14を駆動する電力が生成され、これらの各部に供給される。
【0025】
これにより、異なる周波数帯で通信するRFタグが共存する場合にも各RFタグでデータを共有することができる。すなわち、複数の周波数帯で通信するRFタグを用途に応じて使い分けると共に、各RFタグで共通のデータを利用することができ、利便性の高いサービスの提供が可能となる。
【0026】
なお、RFタグ部15,16には、上記の構成の他に必要に応じて各部で専用に扱うデータを格納するための記憶部を設けることができる。これにより、RFタグ部15,16が扱う共通の情報を保持することができると共に、RFタグ部15,16でそれぞれ独立に扱う情報を保持できるようになる。また、RFタグ部15,16は、それぞれが異なる周波数帯の電磁波で通信を行う。このため、各通信路の物理的な独立性も確保することができ、各RFタグで扱う情報に対するセキュリティ性を向上することができる。
【0027】
ところで、通信装置10は、例えばスーパーやショッピングセンターで利用されているセルフチェックアウト(SCO:Self CheckOut)システム(以下、SCOシステムと略記する)で提供されるサービスに用いることができる。SCOシステムとは、顧客が自身の操作で、店員の介入なしに商品の会計を行うためのシステムである。以下では、通信装置10をSCOシステムに適用する場合を例に採り、具体的な利用例を更に詳細に説明する。
【0028】
図2は、SCOシステムのシステム構成を示す図である。このSCOシステムは、SCO装置200,200a,200bおよび店舗サーバ300がネットワーク20を介して接続される。
【0029】
SCO装置200,200a,200bは、顧客がセルフで商品会計を行うことを可能にする情報処理装置である。SCO装置200,200a,200bは、顧客により所定の位置に提示された商品バーコードを読み取り、店舗サーバ300と連携して商品の価格を取得し、顧客に提示する。また、商品の売り上げ情報を店舗サーバ300に送信する。
【0030】
店舗サーバ300は、商品の価格や重量等を登録した商品マスタや顧客情報を管理する。店舗サーバ300は、SCO装置200,200a,200bから、適宜これらの情報への問い合わせを受け付け、応答する。
【0031】
なお、ネットワーク20には、図示しない通常の対人レジに設置されるPOS(Point Of Sale)端末や各SCO装置を監視するための店員用端末装置等が接続されることも考えられる。
【0032】
このSCOシステムでは、2つのRFタグを備えたICカードが取り付けられたIC付バスケットが利用される。各IC付バスケットは、顧客毎に所有され、店舗で配布するポリ袋を使用せず、IC付バスケットに商品を格納した状態で自宅に持ち帰ることができる。これにより、ポリ袋の使用削減を図ることができ、環境保全を推進することができる。
【0033】
ここで、IC付バスケットを利用した商品購入の手順に関して簡単に説明する。
顧客50は、IC付バスケット30を所有する。顧客50は、IC付バスケット30を店舗に持参し、店舗に備えられるバスケット40をIC付バスケット30の上に重ねるようにして売り場を移動し、所望の商品をバスケット40に投入する。次に、顧客50は、SCO装置200で商品の会計を行う際に、IC付バスケット30を所定の台上に設置する。そして、顧客50は、バスケット40に投入した商品をSCO装置200に登録し、登録済みの商品をIC付バスケット30に順次投入する。顧客50は、全ての商品の登録が完了した時点で、SCO装置200で会計を行い、その後IC付バスケット30ごと持ち帰る。このようにして、顧客50は、ポリ袋を使用することなく、商品を持ち帰ることができる。
【0034】
このSCOシステムでは、ポリ袋の使用削減を図るために、各顧客にIC付バスケットの利用を奨励し、かつ、利便性の高いサービスを提供する。具体的には、(1)各顧客によるIC付バスケットの利用有無を自動的に判別してポイント化するサービス、(2)IC付バスケットに取り付けられたICカードにチャージされた電子マネーでの簡便な決済を可能とするサービス、である。
【0035】
以下では、このようなサービスを提供するSCOシステムの各装置の構成に関して説明する。また、以下の説明では、SCO装置200を例示して説明するが、SCO装置200a,200bに関しても同様である。
【0036】
図3は、IC付バスケットを示す図である。(A)はIC付バスケット30の斜視図、(B)はIC付バスケット30の(A)におけるa方向から見た上面図を示している。IC付バスケット30は、その底面内部、かつ、底面中央部にICカード100を有している。ICカード100は、2つのRFタグを備える通信装置として機能する。なお、(B)では、ICカード100の底面中央部の設置位置が図示されている(実際には、底面内部に取り付けられるためICカード100は見えない)。
【0037】
図4は、ICカードの第1の構成例を示す図である。ICカード100は、ICチップ110、アンテナ120,130を有する。
ICチップ110は、その内部に2つのRFタグを備えている。このうち、一方のRFタグは、UHF帯(例えば、950MHz)の電磁波を用いて通信する。また、他方のRFタグは、HF帯(例えば、13.56MHz)の電磁波を用いて通信する。
【0038】
アンテナ120は、SCO装置200が有するタグリーダとの間でUHF帯の電磁波を送受信するためのダイポールアンテナである。
アンテナ130は、SCO装置200が有するタグリーダとの間でHF帯の電磁波を送受信するためのコイルアンテナである。
【0039】
第1の構成例では、ICチップ110は、ICカード100の面中央部に配設される。そして、アンテナ120,130は、ICカード100の長手方向において、ICチップ110を挟む両側の領域に配設される。
【0040】
ICカード100は、ICチップ110、アンテナ120およびアンテナ130が、例えば、ポリエチレンテレフタラート(PET:PolyEthylene Terephthalate)等のプラスチック樹脂により封止されてカード状に形成される。その大きさは、例えば、キャッシュカードやクレジットカード等と同等の大きさ・厚さとすることが考えられる。
【0041】
ここで、ICカード100は、UHF帯およびHF帯での通信について、それぞれの通信可能距離が運用に際して適切な距離となるよう調整される。このために、例えば、ICカード100を誘電体により覆われた構成とする。誘電体の比誘電率は、インピーダンスマッチングにより各周波数帯の通信可能距離が適切な距離となるよう選択される。具体的な構成は、図19〜22で詳述する。
【0042】
図5は、ICカードの第2の構成例を示す図である。ICカード100aは、ICチップ110、アンテナ120a,130aを有する。
ICチップ110は、図4で同一の符号により説明した構成と同一である。
【0043】
アンテナ120aは、図4のアンテナ120に対応する。
アンテナ130aは、図4のアンテナ130に対応する。
第2の構成例では、ICチップ110は、ICカード100aの一方の基端側に配設される。そして、アンテナ120a,130aは、ICカード100aの長手方向において、ICチップ110に対して各アンテナとも同一の方向となる領域(図5では、ICチップ110の紙面に対して左側となる領域)に配設される。
【0044】
ICカード100aもICカード100と同様にPET等のプラスチック樹脂によってカード状に形成される。また、UHF帯での通信可能距離が適切な距離となるように、所定の比誘電率である誘電体で覆うように構成される。
【0045】
以下では、ICカードの構成として図4に示したICカード100を想定して説明するが、図5に示したICカード100aに関しても同様である。
ここで、以下の説明では、名称の区別の便宜上、UHF帯の電磁波により通信するRFタグをRFIDタグと呼び、HF帯の電磁波により通信するRFタグをICタグと呼ぶこととする。RFIDタグは、上述したIC付バスケットの自動判別サービスを実現するため、IC付バスケット30の利用有無を判別するための情報(識別情報等)のみを扱う簡易なRFタグとする。このため、RFIDタグは、内蔵されるメモリ容量も小さくて済み、演算機能も限られたものとなる。ICタグは、上述した電子マネー決済のサービスを実現するため、電子マネー等を利用するために従来用いられている非接触ICカードのように所定の演算機能やセキュリティ機能を備えたRFタグとする。以下では、このようなICカード100が備えるICチップ110の構成に関して説明する。
【0046】
図6は、ICチップのハードウェア構成を示す図である。ICチップ110は、電源制御部140、共有メモリ150、RFIDタグ部160およびICタグ部170を有する。
【0047】
電源制御部140は、共有メモリ150、RFIDタグ部160およびICタグ部170を駆動する電力を供給する。電源制御部140は、RFIDタグ用電源生成部141、ICタグ用電源生成部142および共有メモリ用電源生成部143を有する。
【0048】
RFIDタグ用電源生成部141は、RFIDタグ部160に接続されるアンテナ120がSCO装置200からの電磁波の受信電力によりRFIDタグ部160を駆動する電力を生成して、RFIDタグ部160の各部に供給する。
【0049】
ICタグ用電源生成部142は、ICタグ部170に接続されるアンテナ130で電磁誘導により発生した電力によりICタグ部170を駆動する電力を生成して、ICタグ部170の各部に供給する。
【0050】
共有メモリ用電源生成部143は、RFIDタグ用電源生成部141が生成した電力またはICタグ用電源生成部142が生成した電力により共有メモリ150を駆動する電力を生成して共有メモリ150に供給する。
【0051】
共有メモリ150は、RFIDタグ部160およびICタグ部170からアクセス可能な共有の記憶領域を格納する。この記憶領域には、IC付バスケット30を識別するための情報が記憶される。
【0052】
RFIDタグ部160は、IC付バスケット30を識別するための情報を扱う。RFIDタグ部160は、RFIDタグ用電源生成部141から供給される電力により駆動する。RFIDタグ部160は、アンテナ端161、受信部162、送信部163、制御部164およびNVRAM(Non Versatile Random Access Memory)165を有する。
【0053】
アンテナ端161は、アンテナ120と接続される。アンテナ端161は、アンテナ120から取得する受信信号をRFIDタグ用電源生成部141、受信部162に出力する。また、アンテナ端161は、送信部163から取得する送信信号をアンテナ120に出力する。
【0054】
受信部162は、アンテナ端161から取得するUHF帯の受信信号を周波数変換および復調して、受信信号に含まれる処理要求を抽出し、制御部164に出力する。
送信部163は、制御部164から取得する処理結果を変調およびUHF帯の送信信号に周波数変換してアンテナ端161に出力する。
【0055】
制御部164は、受信部162から取得する処理要求に応じた処理を実行し、その結果を送信部163に出力する。なお、制御部164は、この処理要求の必要に応じて共有メモリ150にアクセスし、共有メモリ150に格納された情報を読み出す。
【0056】
NVRAM165は、制御部164の処理に必要なプログラムやRFIDタグ部160で扱うデータを格納するための不揮発性のメモリである。
ICタグ部170は、電子マネーの管理情報を扱う。ICタグ部170は、ICタグ用電源生成部142から供給される電力により駆動する。ICタグ部170は、アンテナ端171、受信部172、送信部173、演算部174、NVRAM175および暗号制御部176を有する。
【0057】
アンテナ端171は、アンテナ130と接続される。アンテナ端171は、アンテナ130から取得する受信信号をICタグ用電源生成部142、受信部172に出力する。
受信部172は、アンテナ端171から取得するHF帯の受信信号を周波数変換および復調して、受信信号に含まれる処理要求を抽出し、演算部174に出力する。
【0058】
送信部173は、演算部174から取得する処理結果を変調およびHF帯の送信信号に周波数変換してアンテナ端171に出力する。
演算部174は、受信部172から取得する処理要求に応じた演算処理を実行し、その結果をNVRAM175に格納する、または、送信部173に出力する。なお、演算部174は、必要に応じて共有メモリ150にアクセスし、共有メモリ150に格納された情報を読み出す。
【0059】
NVRAM175は、演算部174の処理に必要なプログラムやICタグ部170で扱うデータを格納するための不揮発性のメモリである。NVRAM175は、電子マネーの管理情報を記憶する。
【0060】
暗号制御部176は、NVRAM175に格納するデータを必要に応じて暗号化・復号する。
図7は、SCO装置のハードウェア構成を示す図である。SCO装置200は、SCO装置本体210、台220,230を有する。
【0061】
SCO装置本体210は、演算部211、メモリ212、タッチパネル式ディスプレイ213、バーコードスキャナ214、貨幣管理部215、タグリーダ216および通信部217を有する。
【0062】
演算部211は、SCO装置200全体を制御する。また、演算部211は、各部から取得する情報を必要に応じて通信部217に出力する。更に、演算部211は、通信部217から取得する情報を必要に応じて各部に出力する。
【0063】
メモリ212は、演算部211の処理に必要なプログラムやデータを格納するための記憶領域である。
タッチパネル式ディスプレイ213は、顧客50に対する情報の表示を行うと共に、顧客50による操作入力を受け付ける。顧客50は、タッチパネル式ディスプレイ213に表示されるインタフェースに従った操作を行うことで、自身の操作により商品の会計を行うことができる。
【0064】
バーコードスキャナ214は、レーザ走査線を商品に照射して、商品に付与されたバーコードを読み取る。バーコードスキャナ214は、バーコードを読み取って取得した商品の識別情報を演算部211に出力する。演算部211は、例えば、バーコードスキャナ214から取得する商品の識別情報に基づいて、通信部217を介して店舗サーバ300から商品の価格等の情報を取得することができる。
【0065】
貨幣管理部215は、SCO装置200における硬貨や紙幣の入出金管理を行う。
タグリーダ216は、IC付バスケット30が有するICカード100のRFIDタグ部160とUHF帯の電磁波で通信する。タグリーダ216は、顧客50が会計処理を開始する際に、IC付バスケット30と通信し、その結果を演算部211に出力する。
【0066】
通信部217は、ネットワーク20と接続する通信インタフェースである。通信部217は、ネットワーク20を介して店舗サーバ300とデータ通信する。
台220は、商品会計時にバスケット40を設置するための台である。
【0067】
台230は、商品会計時にIC付バスケット30を設置するための台である。台230は、ICリーダ231および重量計測部232を有する。
ICリーダ231は、IC付バスケット30が有するICカード100のICタグ部170とHF帯の電磁波で通信する。ICリーダ231は、会計処理の際にICタグ部170で管理される電子マネー情報の読み出し/書き込みを行う。
【0068】
重量計測部232は、台230に置かれたIC付バスケット30および商品の重量を計測する。重量計測部232は、計測結果を演算部211に出力する。
図8は、IC付バスケット設置用の台を示す図である。図8では、台230の上面図を示している。台230は、バスケット設置枠233を有する。
【0069】
バスケット設置枠233は、その枠内にIC付バスケット30が設置されると、IC付バスケット30が有するICカード100の真下にICリーダ231が配置されるように設けられる。このように、顧客50に対してIC付バスケット30の設置位置を指定することで、ICリーダ231とICカード100とが適正な通信距離内に収まるようにすることができる。また、同時にタグリーダ216とICカード100とが適正な通信距離内に収まるようにすることができる。
【0070】
図9は、店舗サーバのハードウェア構成を示す図である。店舗サーバ300は、演算部301によって装置全体が制御されている。演算部301には、バスを介してRAM(Random Access Memory)302、HDD(Hard Disk Drive)303、グラフィックインタフェース304、入力インタフェース305および通信インタフェース306が接続されている。
【0071】
RAM302には、演算部301に実行させるOS(Operating System)のプログラムやアプリケーションプログラムの少なくとも一部が一時的に格納される。また、RAM302には、演算部301による処理に必要な各種データが格納される。
【0072】
HDD303には、OSやアプリケーションが扱うデータが格納される。また、HDD303には、演算部301による処理に必要な各種データが格納される。
グラフィックインタフェース304には、モニタ61が接続されている。グラフィックインタフェース304は、演算部301からの命令に従って、画像をモニタ61の画面に表示させる。
【0073】
入力インタフェース305は、外部装置からのデータの入力を受け付けるインタフェースである。入力インタフェース305には、キーボード62とマウス63とが接続されている。入力インタフェース305は、キーボード62やマウス63から送られてくる信号を演算部301に出力する。
【0074】
通信インタフェース306は、ネットワーク20に接続されている。通信インタフェース306は、ネットワーク20を介して、SCO装置200,200a,200bやその他の装置(POS端末装置等)との間でデータの送受信を行う。
【0075】
図10は、SCOシステムを構成する各装置の機能を示すブロック図である。ICカード100は、上述の通り共有メモリ150、RFIDタグ部160およびICタグ部170を有しており、これら各部によってそれぞれの機能が実現される。
【0076】
共有メモリ150は、共有情報記憶部151を有する。共有情報記憶部151は、IC付バスケット30の利用に応じて顧客50に付与されるポイント情報やIC付バスケット30の重量情報を記憶する。
【0077】
RFIDタグ部160は、ポイント管理部164aおよび重量情報取得部164bを有する。各部の機能は、制御部164によりNVRAM165に格納されたプログラムが実行されることでその機能が実現される。
【0078】
ポイント管理部164aは、SCO装置200からの要求に応じて、共有情報記憶部151に記憶されるポイント情報の読み出しおよび更新を行う。
重量情報取得部164bは、SCO装置200からの要求に応じて、共有情報記憶部151からIC付バスケット30の重量情報を取得し、SCO装置200に送信する。
【0079】
ICタグ部170は、電子マネー管理部174a、ポイント管理部174b、電子マネー情報記憶部175aおよび暗号処理部176aを有する。電子マネー管理部174aおよびポイント管理部174bは、演算部174によりNVRAM175に格納されたプログラムが実行されることでその機能が実現される。電子マネー情報記憶部175aは、NVRAM175に格納される。暗号処理部176aは、暗号制御部176によってその機能が実現される。
【0080】
電子マネー管理部174aは、SCO装置200からの要求に応じて、電子マネー情報記憶部175aに記憶された電子マネー残高を読み出し、チャージや減額等の処理を行う。
【0081】
ポイント管理部174bは、SCO装置200からの要求に応じて、共有情報記憶部151に記憶されるポイント情報の読み出しおよび更新を行う。
電子マネー情報記憶部175aは、チャージされた電子マネー残高を記憶する。
【0082】
暗号処理部176aは、電子マネー情報記憶部175aに記憶されるデータを暗号化・復号する。
SCO装置200は、会計処理部211a、ポイント処理部211b、バスケット重量検査部211cおよび商品重量検査部211dを有する。各部の機能は、演算部211によりメモリ212に格納されたプログラムが実行されることでその機能が実現される。
【0083】
会計処理部211aは、顧客50により入力された商品の金額を店舗サーバ300から取得して合計し、商品の代金受け付けおよび釣銭の払い出しを行う。なお、会計処理部211aは、ポイント処理部211bから利用ポイントの情報を受け付ける場合には、受け付けたポイント分の金額を商品の代金から減額する。
【0084】
ポイント処理部211bは、IC付バスケット30の利用等に応じてICカード100にポイント情報の取得要求を送信し、この取得要求に応じて取得したポイント情報に所定のポイント加算処理を行う。そして、ポイント処理部211bは、加算後のポイント情報に更新するようICカード100にポイント情報の更新要求を送信する。
【0085】
また、ポイント処理部211bは、会計時に顧客50の操作入力によりポイントの利用が指定される場合には、ICカード100にポイント情報の取得要求を送信し、この取得要求に応じて取得したポイント情報に所定のポイント減算処理を行う。そして、ポイント処理部211bは、減算後のポイント情報に更新するようICカード100にポイント情報の更新要求を送信する。更に、このときに減算したポイント分(利用ポイント)会計処理部211aに出力する。
【0086】
バスケット重量検査部211cは、IC付バスケット30の重量を検査する。具体的には、ICカード100からIC付バスケット30の重量情報を取得し、更に、重量計測部232によるIC付バスケット30の空の状態の重量の計測結果を取得して、両者を比較する。これにより、IC付バスケット30の不正使用を防止することができる。
【0087】
商品重量検査部211dは、SCO装置200への登録後、IC付バスケット30に投入される商品の重量を検査する。具体的には、店舗サーバ300から、登録した商品の重量情報を取得し、更に、重量計測部232から前回の重量計測結果からの差分の重量を取得して、両者を比較する。これにより、IC付バスケット30に実際にSCO装置200に登録された商品と別の商品が投入されることを防止することができる。
【0088】
店舗サーバ300は、ポイント情報記憶部310および商品マスタ記憶部320を有する。
ポイント情報記憶部310は、登録された顧客毎の現在のポイント情報を顧客IDに対応付けて記憶する。
【0089】
商品マスタ記憶部320は、商品毎の価格や重量情報を商品毎のバーコード情報に対応付けて記憶する。
店舗サーバ300は、ポイント情報記憶部310や商品マスタ記憶部320に記憶された情報をSCO装置200からの問い合わせに応じてSCO装置200に応答する。また、店舗サーバ300は、ポイント情報記憶部310に記憶された情報をSCO装置200からの更新要求に応じて更新する。
【0090】
図11は、共有情報管理テーブルのデータ構造例を示す図である。共有情報管理テーブル151aは、共有情報記憶部151に格納される。共有情報管理テーブル151aには、顧客IDを示す項目、ポイント情報を示す項目および重量情報を示す項目が設けられている。各項目の横方向に並べられた情報同士が互いに関連付けられて、1つの共有情報に関する情報を構成する。
【0091】
顧客IDを示す項目には、顧客に付与されたID情報が設定される。ポイント情報を示す項目には、各顧客にIC付バスケットの利用に応じて付与されるポイントが設定される。重量情報を示す項目には、IC付バスケットの重量を示す情報が設定される。
【0092】
共有情報管理テーブル151aには、例えば、顧客IDが“0001”、ポイント情報が“100”、重量情報が“500(g)”という情報が設定される。
次に、以上のような構成を備えるSCOシステムにより実現される処理の詳細を説明する。
【0093】
図12は、SCO装置の会計処理の手順を示すフローチャートである。以下、図12に示す処理をステップ番号に沿って説明する。
[ステップS1]会計処理部211aは、顧客50によるタッチパネル式ディスプレイ213への所定の操作入力により、会計処理の開始を受け付ける。このとき、顧客50により、IC付バスケット30が台230のバスケット設置枠233に設置される。
【0094】
[ステップS2]会計処理部211aは、IC付バスケット30の利用ポイントの付与処理を実行する。
[ステップS3]会計処理部211aは、タッチパネル式ディスプレイ213に商品登録画面を表示し、顧客50へ商品のバーコードスキャナ214による登録を促す。
【0095】
[ステップS4]会計処理部211aは、バーコードスキャナ214が読み取ったバーコード情報を取得する。会計処理部211aは、該当のバーコード情報に対応する商品の重量を店舗サーバ300の商品マスタ記憶部320から取得し、商品重量検査部211dに出力する。
【0096】
[ステップS5]商品重量検査部211dは、IC付バスケット30に投入された商品の重量を測定し、会計処理部211aから取得した重量と照合する。このとき、重量が所定の誤差の範囲内で一致する場合にのみ、会計処理部211aによる商品登録が行われ、一致しない場合には重量エラーとなり商品登録が行われない。
【0097】
[ステップS6]会計処理部211aは、バーコード入力が行われたか否かを判定する。行われた場合、処理がステップS4に移される。行われていない場合、処理がステップS7に移される。
【0098】
[ステップS7]会計処理部211aは、顧客50によるタッチパネル式ディスプレイ213への所定の操作入力により支払いを行う旨を受け付けたか否かを判定する。支払い操作入力を受け付けた場合、処理がステップS8に移される。支払い操作入力を受け付けていない場合、処理がステップS6に移される。
【0099】
[ステップS8]会計処理部211aは、顧客50によるタッチパネル式ディスプレイ213への所定の操作入力により電子マネーで支払いを行う旨を受け付けたか否かを判定する。電子マネーでの支払いでない場合、処理がステップS9に移される。電子マネーでの支払いの場合、処理がステップS10に移される。
【0100】
[ステップS9]会計処理部211aは、現金による商品代金の決済を行い、処理が完了する。
[ステップS10]会計処理部211aは、電子マネーによる商品代金の決済を行い、処理が完了する。
【0101】
このように、SCO装置200は、IC付バスケット30の利用に応じて顧客50にポイントを付与する。顧客50は、付与されたポイントを利用することで、商品代金の減額サービスを受けることができる。
【0102】
以下では、上記ステップS2,S9,S10におけるICカード100とSCO装置200との処理の詳細を説明する。
まず、図11のステップS2におけるマイバスケット利用ポイント付与処理に関して詳細に説明する。
【0103】
図13は、ポイント付与処理の手順を示す第1のフローチャートである。以下、図13に示す処理をステップ番号に沿って説明する。なお、以下に示す処理は、図12のステップS2に示す処理を詳細に説明するものである。
【0104】
[ステップS11]会計処理部211aは、タグリーダ216を起動する。
[ステップS12]バスケット重量検査部211cは、タグリーダ216を介してICカード100のRFIDタグ部160に重量情報の読み出し要求を送信する。
【0105】
[ステップS13]重量情報取得部164bは、SCO装置200から取得した重量情報の読み出し要求に応じて、共有情報記憶部151に記憶された共有情報管理テーブル151aから重量情報を取得する。
【0106】
[ステップS14]重量情報取得部164bは、取得した重量情報をSCO装置200に応答する。
[ステップS15]バスケット重量検査部211cは、タグリーダ216を介してICカード100から重量情報を取得する。重量情報の取得により、IC付バスケット30の利用を検知することができる。すなわち、重量情報が取得されない場合には、IC付バスケット30が利用されていないこととなる。また、バスケット重量検査部211cは、重量計測部232によるIC付バスケットの重量計測結果を取得する。
【0107】
[ステップS16]バスケット重量検査部211cは、ICカード100から取得した重量と重量計測部232が測定したIC付バスケットの重量とが所定の誤差の範囲内で一致するか否かを判定する。一致する場合、バスケット重量検査部211cは、重量計測部232のスケールをリセットして、処理がステップS17に移される。一致しない場合、処理が図14のステップS34に移される。
【0108】
[ステップS17]ポイント処理部211bは、IC付バスケット30の利用によりポイントが付与される旨をタッチパネル式ディスプレイ213に表示する。
[ステップS18]ポイント処理部211bは、タグリーダ216を介してICカード100のRFIDタグ部160に顧客IDの読み出し要求を送信する。
【0109】
[ステップS19]ポイント管理部164aは、SCO装置200から取得した顧客IDの読み出し要求に応じて、共有情報記憶部151に記憶された共有情報管理テーブル151aから顧客IDを取得する。
【0110】
[ステップS20]ポイント管理部164aは、取得した顧客IDをSCO装置200に応答する。
[ステップS21]ポイント処理部211bは、タグリーダ216を介してICカード100から顧客IDを取得する。
【0111】
[ステップS22]ポイント処理部211bは、該当の顧客IDに対応する現在のポイント情報を店舗サーバ300のポイント情報記憶部310から取得する。
図14は、ポイント付与処理の手順を示す第2のフローチャートである。以下、図14に示す処理をステップ番号に沿って説明する。なお、以下の処理は、図13に引き続いて実行される。
【0112】
[ステップS23]ポイント処理部211bは、店舗サーバ300から取得したポイント情報をタグリーダ216を介してICカード100のRFIDタグ部160に送信する。
【0113】
[ステップS24]ポイント管理部164aは、SCO装置200から現在のポイント情報を取得する。ポイント管理部164aは、共有情報記憶部151に記憶された共有情報管理テーブル151aからポイント情報を取得する。
【0114】
[ステップS25]ポイント管理部164aは、SCO装置200から取得したポイント情報と共有情報管理テーブル151aから取得したポイント情報とが一致するか否かを判定する。一致する場合、処理がステップS26に移される。一致しない場合、処理がステップS27に移される。
【0115】
[ステップS26]ポイント管理部164aは、ポイント情報が一致した旨(ポイント照合OK)をSCO装置200に送信する。
[ステップS27]ポイント管理部164aは、ポイント情報が一致しない旨(ポイント照合NG)をSCO装置200に送信する。
【0116】
[ステップS28]ポイント処理部211bは、タグリーダ216を介してICカード100からポイント照合結果を取得する。そして、ポイント処理部211bは、ポイントの照合結果がOKであるかNGであるかを判定する。ポイント照合OKである場合、処理がステップS29に移される。ポイント照合NGである場合、処理がステップS34に移される。
【0117】
[ステップS29]ポイント処理部211bは、図13のステップS22で取得したポイント情報に、IC付バスケット30の利用ポイントとして所定の値を加算する。
[ステップS30]ポイント処理部211bは、上記ステップS29により求められたポイント情報への更新要求を店舗サーバ300に送信する。これにより、店舗サーバ300のポイント情報記憶部310に記憶された該当の顧客のポイント情報が更新される。また、ポイント処理部211bは、同様にICカード100のRFIDタグ部160に対してもタグリーダ216を介してポイント情報の更新要求を送信する。
【0118】
[ステップS31]ポイント管理部164aは、SCO装置200から取得したポイント情報の更新要求に応じて、共有情報記憶部151に記憶された共有情報管理テーブル151aのポイント情報を更新する。
【0119】
[ステップS32]ポイント管理部164aは、ポイント情報の更新が完了した旨をSCO装置200に応答する。
[ステップS33]ポイント処理部211bは、タグリーダ216を介してICカード100からポイント更新完了の応答を取得する。
【0120】
[ステップS34]会計処理部211aは、ポイント処理部211bにおけるエラー(ポイント照合NG)またはバスケット重量検査部211cにおけるエラー(バスケット重量の不一致)を検出して、エラー処理を実行する。エラー処理としては、例えば、店員に通知し、個別対応を促すことが考えられる。個別対応の結果、エラーが解消されてポイント付与が完了すると、処理がステップS35に移される。
【0121】
[ステップS35]会計処理部211aは、タグリーダ216を停止し、処理が完了する。
このように、SCO装置200は、ICカード100と通信することでIC付バスケット30の利用の有無を自動的に検知することができる。このため、例えば、顧客50が有するIC付バスケット30の利用有無を、店員が逐一確認する手間が生じることがなく、ポイント運用を効率的に行うことができる。
【0122】
また、SCO装置200は、ICカード100と通信可能な場合には、ICカード100から読み出した重量情報と実際に測定した重量情報とを比較する。これにより、IC付バスケット30に登録前の商品が投入された状態で会計処理が行われることを防止することができる。
【0123】
更に、SCO装置200は、IC付バスケット30の利用を検知すると所定の値だけポイント加算する。そして、ICカード100は、加算後のポイント情報で自装置に記憶されたポイント情報を更新する。また、店舗サーバ300は、加算後のポイント情報で自装置に記憶された該当の顧客のポイント情報を更新する。このように、ICカード100で管理されるポイント情報と店舗サーバ300で管理されるポイント情報との同期を取ることで、ポイント管理の信頼性を向上することができる。
【0124】
次に、図12のステップS9における現金決済処理に関して説明する。
図15は、現金決済処理の手順を示す第1のフローチャートである。以下、図15に示す処理をステップ番号に沿って説明する。なお、以下の処理は、図12のステップS9の処理を詳細に説明するものである。
【0125】
[ステップS41]会計処理部211aは、顧客50によるタッチパネル式ディスプレイ213への所定の操作入力によりポイントを利用する旨を受け付けたか否かを判定する。ポイント利用の入力を受け付けた場合、処理がステップS42に移される。ポイント利用の入力を受け付けない場合、処理が図16のステップS59に移される。
【0126】
[ステップS42]会計処理部211aは、タグリーダ216を起動する。
[ステップS43]ポイント処理部211bは、タグリーダ216を介してICカード100のRFIDタグ部160に顧客IDの読み出し要求を送信する。
【0127】
[ステップS44]ポイント管理部164aは、SCO装置200から取得した顧客IDの読み出し要求に応じて、共有情報記憶部151に記憶された共有情報管理テーブル151aから顧客IDを取得する。
【0128】
[ステップS45]ポイント管理部164aは、取得した顧客IDをSCO装置200に応答する。
[ステップS46]ポイント処理部211bは、タグリーダ216を介してICカード100から顧客IDを取得する。
【0129】
[ステップS47]ポイント処理部211bは、該当の顧客IDに対応する現在のポイント情報を店舗サーバ300のポイント情報記憶部310から取得する。
[ステップS48]ポイント処理部211bは、店舗サーバ300から取得したポイント情報をタグリーダ216を介してICカード100のRFIDタグ部160に送信する。
【0130】
[ステップS49]ポイント管理部164aは、共有情報記憶部151に記憶された共有情報管理テーブル151aからポイント情報を取得する。
[ステップS50]ポイント管理部164aは、SCO装置200から取得したポイント情報と共有情報管理テーブル151aから取得したポイント情報とが一致するか否かを判定する。一致する場合、処理がステップS51に移される。一致しない場合、処理がステップS52に移される。
【0131】
[ステップS51]ポイント管理部164aは、ポイント情報が一致した旨(ポイント照合OK)をSCO装置200に送信する。
[ステップS52]ポイント管理部164aは、ポイント情報が一致しない旨(ポイント照合NG)をSCO装置200に送信する。
【0132】
図16は、現金決済処理の手順を示す第2のフローチャートである。以下、図16に示す処理をステップ番号に沿って説明する。なお、以下の処理は、図15の処理に引き続いて実行される。
【0133】
[ステップS53]ポイント処理部211bは、タグリーダ216を介してICカード100からポイント照合結果を取得する。そして、ポイント処理部211bは、ポイントの照合結果がOKであるかNGであるかを判定する。ポイント照合OKである場合、処理がステップS54に移される。ポイント照合NGである場合、処理がステップS60に移される。
【0134】
[ステップS54]ポイント処理部211bは、図15のステップS47で取得したポイント情報に、ポイント利用分の値を減算する。そして、会計処理部211aは、ポイント利用分に応じた代金を商品代金から減額する。
【0135】
[ステップS55]ポイント処理部211bは、上記ステップS54により求められたポイント情報への更新要求を店舗サーバ300に送信する。これにより、店舗サーバ300のポイント情報記憶部310に記憶された該当の顧客のポイント情報が更新される。また、ポイント処理部211bは、同様にICカード100のRFIDタグ部160に対してもタグリーダ216を介してポイント情報の更新要求を送信する。
【0136】
[ステップS56]ポイント管理部164aは、SCO装置200から取得したポイント情報の更新要求に応じて、共有情報記憶部151に記憶された共有情報管理テーブル151aのポイント情報を更新する。
【0137】
[ステップS57]ポイント管理部164aは、ポイント情報の更新が完了した旨をSCO装置200に応答する。
[ステップS58]ポイント処理部211bは、タグリーダ216を介してICカード100からポイント更新完了の応答を取得する。
【0138】
[ステップS59]会計処理部211aは、現金による商品代金の決済を行う。
[ステップS60]会計処理部211aは、ポイント処理部211bにおけるエラー(ポイント照合NG)を検出して、エラー処理を実行する。エラー処理としては、例えば、店員に通知し、個別対応を促すことが考えられる。個別対応の結果、商品代金の決済が完了すると、処理がステップS61に移される。
【0139】
[ステップS61]会計処理部211aは、タグリーダ216を停止し、処理が完了する。
このように、SCO装置200は、現金による支払いの場合にはRFIDタグ部160との通信によってポイント情報の読み出し・更新を行い、利用ポイントに応じた代金を商品代金から減算する。
【0140】
次に、図12のステップS10における電子マネー決済処理に関して説明する。
図17は、電子マネー決済処理の手順を示す第1のフローチャートである。以下、図17に示す処理をステップ番号に沿って説明する。なお、以下の処理は、図12のステップS10の処理を詳細に説明するものである。
【0141】
[ステップS71]会計処理部211aは、顧客50によるタッチパネル式ディスプレイ213への所定の操作入力によりポイントを利用する旨を受け付けたか否かを判定する。ポイント利用の入力を受け付けた場合、処理がステップS72に移される。ポイント利用の入力を受け付けない場合、処理が図18のステップS89に移される。
【0142】
[ステップS72]会計処理部211aは、ICリーダ231を起動する。
[ステップS73]ポイント処理部211bは、ICリーダ231を介してICカード100のICタグ部170に顧客IDの読み出し要求を送信する。
【0143】
[ステップS74]ポイント管理部174bは、SCO装置200から取得した顧客IDの読み出し要求に応じて、共有情報記憶部151に記憶された共有情報管理テーブル151aから顧客IDを取得する。
【0144】
[ステップS75]ポイント管理部174bは、取得した顧客IDをSCO装置200に応答する。
[ステップS76]ポイント処理部211bは、ICリーダ231を介してICカード100から顧客IDを取得する。
【0145】
[ステップS77]ポイント処理部211bは、該当の顧客IDに対応する現在のポイント情報を店舗サーバ300のポイント情報記憶部310から取得する。
[ステップS78]ポイント処理部211bは、店舗サーバ300から取得したポイント情報をICリーダ231を介してICカード100のICタグ部170に送信する。
【0146】
[ステップS79]ポイント管理部174bは、共有情報記憶部151に記憶された共有情報管理テーブル151aからポイント情報を取得する。
[ステップS80]ポイント管理部174bは、SCO装置200から取得したポイント情報と共有情報管理テーブル151aから取得したポイント情報とが一致するか否かを判定する。一致する場合、処理がステップS81に移される。一致しない場合、処理がステップS82に移される。
【0147】
[ステップS81]ポイント管理部174bは、ポイント情報が一致した旨(ポイント照合OK)をSCO装置200に送信する。
[ステップS82]ポイント管理部174bは、ポイント情報が一致しない旨(ポイント照合NG)をSCO装置200に送信する。
【0148】
図18は、電子マネー決済処理の手順を示す第2のフローチャートである。以下、図18に示す処理をステップ番号に沿って説明する。なお、以下の処理は、図17の処理に引き続いて実行される。
【0149】
[ステップS83]ポイント処理部211bは、ICリーダ231を介してICカード100からポイント照合結果を取得する。そして、ポイント処理部211bは、ポイント照合結果がOKであるかNGであるかを判定する。ポイント照合OKである場合、処理がステップS84に移される。ポイント照合NGである場合、処理がステップS94に移される。
【0150】
[ステップS84]ポイント処理部211bは、図17のステップS77で取得したポイント情報に、ポイント利用分の値を減算する。そして、会計処理部211aは、ポイント利用分に応じた代金を商品代金から減額する。
【0151】
[ステップS85]ポイント処理部211bは、上記ステップS84により求められたポイント情報への更新要求を店舗サーバ300に送信する。これにより、店舗サーバ300のポイント情報記憶部310に記憶された該当の顧客のポイント情報が更新される。また、ポイント処理部211bは、同様にICカード100のICタグ部170に対してもICリーダ231を介してポイント情報の更新要求を送信する。
【0152】
[ステップS86]ポイント管理部174bは、SCO装置200から取得したポイント情報の更新要求に応じて、共有情報記憶部151に記憶された共有情報管理テーブル151aのポイント情報を更新する。
【0153】
[ステップS87]ポイント管理部174bは、ポイント情報の更新が完了した旨をSCO装置200に応答する。
[ステップS88]ポイント処理部211bは、ICリーダ231を介してICカード100からポイント更新完了の応答を取得する。
【0154】
[ステップS89]会計処理部211aは、商品代金をICカード100にICリーダ231を介して送信する。
[ステップS90]電子マネー管理部174aは、電子マネー情報記憶部175aに記憶された電子マネー残高から商品代金分の金額を減額する。電子マネー管理部174aによる電子マネー残高の読み出しの際、電子マネー情報記憶部175aに記憶された電子マネー情報は暗号化されているため暗号処理部176aにより復号される。また、電子マネー管理部174aによる電子マネー情報記憶部175aへの書き込みの際、暗号処理部176aにより残高更新後の電子マネー情報が暗号化されて書き込みが行われる。
【0155】
[ステップS91]電子マネー管理部174aは、電子マネー残高の更新完了の応答をSCO装置200に送信する。
[ステップS92]会計処理部211aは、電子マネーの決済を行う決済処理センター(図2では図示せず)と連携して電子マネーによる決済処理を実行する。
【0156】
[ステップS93]会計処理部211aは、正常に決済処理が終了したか否かを判定する。正常終了した場合、処理がステップS95に移される。正常終了しなかった場合、処理がステップS94に移される。
【0157】
[ステップS94]会計処理部211aは、ポイント処理部211bにおけるエラー(ポイント照合NG)や電子マネーの決済処理エラーを検出して、エラー処理を実行する。エラー処理としては、例えば、店員に通知し、個別対応を促すことが考えられる。個別対応の結果、商品代金の決済が完了すると、処理がステップS95に移される。
【0158】
[ステップS95]会計処理部211aは、ICリーダ231を停止し、処理が完了する。
このように、SCO装置200は、電子マネーによる支払いの場合にはICタグ部170との通信によってポイント情報の読み出し・更新を行い、利用ポイントに応じた代金を商品代金から減算する。更に、SCO装置200は、ICタグ部170との通信によって電子マネーによる商品代金の決済処理を行う。
【0159】
以上のようにして、ICカード100とSCO装置200との間の異なる周波数帯の電磁波を用いた通信により、(a)現金決済+ポイント利用、(b)電子マネー決済+ポイント利用、という異なるサービスの提供が行われる。(a)のサービスは、通信路やデータ管理においてセキュリティ性を要しない、または、ある程度のセキュリティ性が保たれていれば十分である。また、(b)のサービスは、電子マネー決済を伴うため、高いセキュリティ性を確保する必要がある。
【0160】
このため、上述のように(a)のサービス提供には、機能が簡略化され通信可能距離の長いUHF帯の電磁波で通信するRFIDタグ部160を用いる。そして、(b)のサービス提供には、演算機能や暗号制御機能を備え、通信可能距離の短いHF帯の電磁波で通信するICタグ部170を用いる。
【0161】
このように、セキュリティ性の要件に応じて通信路を複数設けて使い分けることで、利便性およびセキュリティ性を両立したシステムを実現することができる。
そして、SCO装置200は、IC付バスケット30の利用有無をICカード100のRFIDタグ部160との通信によって自動的に検知することができる。このため、例えば、顧客50が有するIC付バスケット30の利用有無を、店員が逐一確認する手間が生じることがなく、ポイント運用を効率的に行うことができる。
【0162】
また、顧客50は、IC付バスケット30を利用することによって、ICカード100にチャージされた電子マネーで簡便に決済を行うことができる。これにより、顧客50の会計処理の効率が向上すると共に、SCO装置200での混雑抑制を図ることもできる。
【0163】
更に、上記の説明では、IC付バスケット30の利用に応じてポイントを付与するものとしたが、これに限らず他の条件でポイントを付与することも考えられる。
なお、ICカード100とSCO装置200との通信に関して、RFIDタグ部160およびICタグ部170は、それぞれタグリーダ216およびICリーダ231と独立に通信が可能である。このため、一方のRFタグ部が通信している間にもう一方のRFタグ部との通信が行われる可能性もある。例えば、RFIDタグ部160により既に通信が開始され共有メモリ150が駆動した状態で、ICタグ部170による通信が開始される場合である。また、両方のRFタグ部で同時に通信を開始することも考えられる。
【0164】
これらの場合、電源制御部140は、いずれか一方の電磁波により共有メモリ150への電力を生成する、両方の電磁波を用いて共有メモリ150への電力を生成する、等の制御を行うことが回路保護の観点からは望ましい。このため、電源制御部140に共有メモリ150の電源とする電磁波の選択に関して、例えば、次に示す(1)〜(3)のいずれかの優先順位(制御方法)を設定することが考えられる。
【0165】
(1)双方のRFタグ部が通信状態にある場合には、電力レベルの高い電磁波を用いて共有メモリ150への電力を生成する。
(2)双方のRFタグ部が通信状態にある場合には、先に受信した電磁波により共有メモリ150への電力を継続して生成して駆動し、後に受信した電磁波による共有メモリ150への給電は行わない。
【0166】
(3)双方のRFタグ部が通信状態にある場合には、双方が受信する電磁波を用いて共有メモリ150への電力を生成する。
なお、電源制御部140は、上記(1)〜(3)において、共有メモリ150への給電に用いる電磁波での通信が完了し、他方の電磁波での通信が継続している場合には、継続して受信する電磁波により共有メモリ150への電力が生成されるよう制御することになる。
【0167】
次に、IC付バスケット30へのICカード100の搭載方法の具体例を示す。
図19は、IC付バスケットの底面部の構成例を示す図である。(A)はIC付バスケット30の側面図、(B)はIC付バスケット30の正面図を示している。IC付バスケット30は、セットボックス31およびセットトレイ32を有する。ただし、(A)に示すセットトレイ32は、実際にはセットボックス31に隠れて不可視であり、説明の便宜上のため図示している。
【0168】
セットボックス31は、IC付バスケット30の底面に設けられたセットトレイ32を設置して保持するための保持部材である。セットボックス31は、セットトレイ32を正面側から挿入するための挿入孔を有しており、この挿入孔にセットトレイ32が挿入されて保持される。
【0169】
セットトレイ32は、ICカード100を保持するための部材である。セットトレイ32を更にセットボックス31に挿入して保持することにより、ICカード100がIC付バスケット30に搭載される。なお、セットトレイ32は、一方の基端部にICカード100を保持するためのカードホルダを有している。セットトレイ32は、カードホルダを有する基端部からセットボックス31に挿入されることにより、その配置がSCO装置200との通信に適した位置(IC付バスケット30の底面のほぼ中央)となる。
【0170】
図20は、セットトレイの構成例を示す図である。(A)はセットトレイ32の斜視図、(B)はセットトレイ32の(A)におけるb方向から見た側面図を示している。
セットトレイ32は、ホルダ保持部32a、カードホルダ32bおよびダミーケース32cを有する。
【0171】
ホルダ保持部32aは、カードホルダ32bおよびダミーケース32cを載置して保持する部材である。
カードホルダ32bは、ICカード100を挿入して保持するための部材である。カードホルダ32bは、ホルダ保持部32aに対して着脱可能である。なお、(A),(B)には、カードホルダ32bに保持されたICカード100を示している(実際は不可視である)。
【0172】
ダミーケース32cは、セットトレイ32をIC付バスケット30に挿入した際にカードホルダ32bを底面中央まで誘導するために設けられている。
このように、ICカード100をIC付バスケット30から取り外し可能とする。これにより、IC付バスケット30の商品を投入するバスケット部分(セットボックス31を含む)が破損した場合にも、このバスケット部分のみの交換で対応することができる。
【0173】
図21は、カードホルダを示す図である。カードホルダ32bは、ICカード100を挿入するための孔であるカード挿入孔32dを有している。カードホルダ32bは、カード挿入孔32dにICカード100が挿入されるとICカード100をその内部に保持する。
【0174】
ここで、カードホルダ32bは、所定の比誘電率である誘電体により形成されている。誘電体には、ICカード100の各RFの通信可能距離がSCO装置200との通信においてインピーダンスマッチングにより適切な距離に延長される比誘電率のものが選択される。具体的には、通信可能距離を適切な距離に延長するため、3〜8程度の比誘電率をもつ誘電体の利用が想定される。本例では、ICカード100とSCO装置200とが正常に通信可能となるように、アンテナ120による通信可能距離を数十cmに構成する。
【0175】
なお、カードホルダ32bを利用しない場合のICカード100の通信可能距離は、カードホルダ32bを利用する場合に比べて短く(例えば、数cm程度)なる。このため、ICカード100を単体として保持する場合の盗聴等の防止に優れ、セキュリティ性が高い。すなわち、ICカード100は、IC付バスケット30から分離し、単体として電子マネーの決済等、高いセキュリティ性を要する通信に用いる場合にも適している。
【0176】
図22は、IC付バスケットとSCO装置との通信距離を示す図である。SCO装置200aは、SCO装置本体210および台230aを有する(台220は図示を省略)。
台230aは、図7の台230に対応している。
【0177】
台230aは、IC付バスケット30,30aを同時に設置することが可能な台である。台230aは、ICリーダ231,231aを有する。
ICリーダ231,231aは、IC付バスケット30,30aの各ICタグ部と通信する。なお、IC付バスケット30,30aの各RFIDタグ部は、タグリーダ216と通信することになる。
【0178】
ここで、IC付バスケット30,30aを同時に設置しようとすると、例えば、IC付バスケット30aとタグリーダ216との間の距離がIC付バスケット30とタグリーダ216との間の距離よりも長くなることが考えられる。すなわち、単一のバスケットを設置する場合と複数のバスケットを設置する場合とで、ICカード100のUHF帯での通信可能距離の変更を要することも想定される。
【0179】
これに対し、ICカード100を保持するカードホルダ32bの誘電体を適切に選択することで、ICカード100の通信可能距離を調整することが可能である。このように、システムの運用に応じた通信可能距離の調整をカードホルダ32b側で行うことで、ICカード100の汎用性を向上することができる。
【0180】
以上、本発明の通信装置、通信システムおよび電源制御方法を図示の実施の形態に基づいて説明したが、これらに限定されるものではなく、各部の構成は同様の機能を有する任意の構成のものに置き換えることができる。また、他の任意の構成物や工程が付加されてもよい。また、本発明は前述した実施の形態のうちの任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0181】
【図1】本実施の形態の概要を示す図である。
【図2】SCOシステムのシステム構成を示す図である。
【図3】IC付バスケットを示す図である。
【図4】ICカードの第1の構成例を示す図である。
【図5】ICカードの第2の構成例を示す図である。
【図6】ICチップのハードウェア構成を示す図である。
【図7】SCO装置のハードウェア構成を示す図である。
【図8】IC付バスケット設置用の台を示す図である。
【図9】店舗サーバのハードウェア構成を示す図である。
【図10】SCOシステムを構成する各装置の機能を示すブロック図である。
【図11】共有情報管理テーブルのデータ構造例を示す図である。
【図12】SCO装置の会計処理の手順を示すフローチャートである。
【図13】ポイント付与処理の手順を示す第1のフローチャートである。
【図14】ポイント付与処理の手順を示す第2のフローチャートである。
【図15】現金決済処理の手順を示す第1のフローチャートである。
【図16】現金決済処理の手順を示す第2のフローチャートである。
【図17】電子マネー決済処理の手順を示す第1のフローチャートである。
【図18】電子マネー決済処理の手順を示す第2のフローチャートである。
【図19】IC付バスケットの底面部の構成例を示す図である。
【図20】セットトレイの構成例を示す図である。
【図21】カードホルダを示す図である。
【図22】IC付バスケットとSCO装置との通信距離を示す図である。
【符号の説明】
【0182】
1 通信装置
11,12 アンテナ
13 電源制御部
14 記憶部
15,16 RFタグ部
15a,16a 通信部
15b,16b 演算部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の周波数帯の電磁波により通信する第1のRFタグ部と、
前記第1の周波数帯とは異なる第2の周波数帯の電磁波により通信する第2のRFタグ部と、
前記第1のRFタグ部と前記第2のRFタグ部とがアクセス可能な共有領域を有する記憶部と、
前記第1の周波数帯の電磁波により前記第1のRFタグ部および前記記憶部を駆動する電力を生成して、生成した当該電力を前記第1のRFタグ部および前記記憶部に供給し、前記第2の周波数帯の電磁波により前記第2のRFタグ部および前記記憶部を駆動する電力を生成して、生成した当該電力を前記第2のRFタグ部および前記記憶部に供給する電源制御部と、
を有することを特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記第1の周波数帯の電磁波を送受信するためのダイポールアンテナと、
前記第2の周波数帯の電磁波を送受信するためのコイルアンテナと、
を更に有し、
前記電源制御部は、前記第1の周波数帯の電磁波を受信した場合、前記ダイポールアンテナで受信された電力により前記第1のRFタグ部および前記記憶部を駆動する電力を生成し、前記第2の周波数帯の電磁波を受信した場合、前記コイルアンテナで電磁誘導により誘起された電力により前記第2のRFタグ部および前記記憶部を駆動する電力を生成する、
ことを特徴とする請求項1記載の通信装置。
【請求項3】
前記第1のRFタグ部は、UHF帯の電磁波により通信し、
前記第2のRFタグ部は、HF帯の電磁波により通信する、
ことを特徴とする請求項2記載の通信装置。
【請求項4】
前記電源制御部は、前記第1の周波数帯の電磁波と前記第2の周波数帯の電磁波とを同時に受信する場合、各電磁波のうち所定の優先順位で特定される電磁波、または、前記各電磁波の両方により前記記憶部を駆動する電力を生成することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項5】
第1の周波数帯の電磁波により通信する第1のRFタグ部と、前記第1の周波数帯とは異なる第2の周波数帯の電磁波により通信する第2のRFタグ部と、前記第1のRFタグ部と前記第2のRFタグ部とがアクセス可能な共有領域を有する記憶部と、前記第1の周波数帯の電磁波により前記第1のRFタグ部および前記記憶部を駆動する電力を生成して、生成した当該電力を前記第1のRFタグ部および前記記憶部に供給し、前記第2の周波数帯の電磁波により前記第2のRFタグ部および前記記憶部を駆動する電力を生成して、生成した当該電力を前記第2のRFタグ部および前記記憶部に供給する電源制御部と、を備える第1の通信装置と、
前記第1のRFタグ部に実行させる処理に応じた情報を含む前記第1の周波数帯の電磁波を前記第1の通信装置に送信する第1の通信部と、前記第2のRFタグ部に実行させる処理に応じた情報を含む前記第2の周波数帯の電磁波を前記第1の通信装置に送信する第2の通信部と、を備える第2の通信装置と、
を有することを特徴とする通信システム。
【請求項6】
前記第1の通信装置は、
前記第1の周波数帯の電磁波を送受信するためのダイポールアンテナと、
前記第2の周波数帯の電磁波を送受信するためのコイルアンテナと、
を更に有し、
前記電源制御部は、前記第1の周波数帯の電磁波を受信した場合、前記ダイポールアンテナで受信された電力により前記第1のRFタグ部および前記記憶部を駆動する電力を生成し、前記第2の周波数帯の電磁波を受信した場合、前記コイルアンテナで電磁誘導により誘起された電力により前記第2のRFタグ部および前記記憶部を駆動する電力を生成する、
ことを特徴とする請求項5記載の通信システム。
【請求項7】
前記第1のRFタグ部と前記第1の通信部とは、UHF帯の電磁波により通信し、
前記第2のRFタグ部と前記第2の通信部とは、HF帯の電磁波により通信する、
ことを特徴とする請求項6記載の通信システム。
【請求項8】
前記電源制御部は、前記第1の周波数帯の電磁波と前記第2の周波数帯の電磁波とを同時に受信する場合、各電磁波のうち所定の優先順位で特定される電磁波、または、前記各電磁波の両方により前記記憶部を駆動する電力を生成することを特徴とする請求項5乃至7のいずれか1項に記載の通信システム。
【請求項9】
前記第1の通信装置は、顧客が購入対象とする商品を収納するための所定の容器に設けられ、
前記第2の通信装置は、前記第1の通信装置と通信可能に前記所定の容器を設置するための設置部と前記顧客が前記商品の会計を自身の操作で行うための会計部とを備えるセルフチェックアウト装置に設けられる、
ことを特徴とする請求項5乃至8のいずれか1項に記載の通信システム。
【請求項10】
前記記憶部は、前記共有領域に前記第1の通信装置を識別するための識別情報と前記顧客に付与された所定のポイントの値を示すポイント情報とを記憶し、
前記会計部は、前記第1の通信部を介して前記記憶部に記憶された前記識別情報を取得して前記第1の通信装置の利用の有無の判定を行い、前記第1の通信装置が利用されていると判定した場合、前記第1の通信部を介して前記記憶部に記憶された前記ポイント情報を、当該ポイント情報に所定の値を加算した値で更新する、
ことを特徴とする請求項9記載の通信システム。
【請求項11】
前記第2のRFタグ部は、前記会計の際の決済に利用可能な電子マネー情報を記憶し、
前記会計部は、前記第2の通信部を介して前記記憶部に記憶された前記ポイント情報を取得し、当該ポイント情報の利用分に応じて前記商品の代金を減額すると共に、前記第2の通信部を介して前記第2のRFタグ部に記憶された前記電子マネー情報を取得し、当該電子マネー情報に基づいて、前記減額した代金の会計処理を行う、
ことを特徴とする請求項10記載の通信システム。
【請求項12】
前記第1の通信装置は、カード状に形成され、
前記第1の通信装置の表面の少なくとも一部を所定の誘電率の誘電体で被覆する被覆部材を更に有することを特徴とする請求項9乃至11のいずれか1項に記載の通信システム。
【請求項13】
通信装置の電源制御方法であって、
前記通信装置が第1の周波数帯の電磁波を受信した場合、前記第1の周波数帯の電磁波により当該電磁波で通信する第1のRFタグ部、および、前記第1のRFタグ部と前記第1の周波数帯とは異なる第2の周波数帯の電磁波で通信する第2のRFタグ部とがアクセス可能な共有領域を有する記憶部、を駆動する電力を生成して、生成した当該電力を前記第1のRFタグ部および前記記憶部に供給し、
第2の周波数帯の電磁波を受信した場合、前記第2の周波数帯の電磁波により前記第2のRFタグ部および前記記憶部を駆動する電力を生成して、生成した当該電力を前記第2のRFタグ部および前記記憶部に供給する、
ことを特徴とする電源制御方法。
【請求項1】
第1の周波数帯の電磁波により通信する第1のRFタグ部と、
前記第1の周波数帯とは異なる第2の周波数帯の電磁波により通信する第2のRFタグ部と、
前記第1のRFタグ部と前記第2のRFタグ部とがアクセス可能な共有領域を有する記憶部と、
前記第1の周波数帯の電磁波により前記第1のRFタグ部および前記記憶部を駆動する電力を生成して、生成した当該電力を前記第1のRFタグ部および前記記憶部に供給し、前記第2の周波数帯の電磁波により前記第2のRFタグ部および前記記憶部を駆動する電力を生成して、生成した当該電力を前記第2のRFタグ部および前記記憶部に供給する電源制御部と、
を有することを特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記第1の周波数帯の電磁波を送受信するためのダイポールアンテナと、
前記第2の周波数帯の電磁波を送受信するためのコイルアンテナと、
を更に有し、
前記電源制御部は、前記第1の周波数帯の電磁波を受信した場合、前記ダイポールアンテナで受信された電力により前記第1のRFタグ部および前記記憶部を駆動する電力を生成し、前記第2の周波数帯の電磁波を受信した場合、前記コイルアンテナで電磁誘導により誘起された電力により前記第2のRFタグ部および前記記憶部を駆動する電力を生成する、
ことを特徴とする請求項1記載の通信装置。
【請求項3】
前記第1のRFタグ部は、UHF帯の電磁波により通信し、
前記第2のRFタグ部は、HF帯の電磁波により通信する、
ことを特徴とする請求項2記載の通信装置。
【請求項4】
前記電源制御部は、前記第1の周波数帯の電磁波と前記第2の周波数帯の電磁波とを同時に受信する場合、各電磁波のうち所定の優先順位で特定される電磁波、または、前記各電磁波の両方により前記記憶部を駆動する電力を生成することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項5】
第1の周波数帯の電磁波により通信する第1のRFタグ部と、前記第1の周波数帯とは異なる第2の周波数帯の電磁波により通信する第2のRFタグ部と、前記第1のRFタグ部と前記第2のRFタグ部とがアクセス可能な共有領域を有する記憶部と、前記第1の周波数帯の電磁波により前記第1のRFタグ部および前記記憶部を駆動する電力を生成して、生成した当該電力を前記第1のRFタグ部および前記記憶部に供給し、前記第2の周波数帯の電磁波により前記第2のRFタグ部および前記記憶部を駆動する電力を生成して、生成した当該電力を前記第2のRFタグ部および前記記憶部に供給する電源制御部と、を備える第1の通信装置と、
前記第1のRFタグ部に実行させる処理に応じた情報を含む前記第1の周波数帯の電磁波を前記第1の通信装置に送信する第1の通信部と、前記第2のRFタグ部に実行させる処理に応じた情報を含む前記第2の周波数帯の電磁波を前記第1の通信装置に送信する第2の通信部と、を備える第2の通信装置と、
を有することを特徴とする通信システム。
【請求項6】
前記第1の通信装置は、
前記第1の周波数帯の電磁波を送受信するためのダイポールアンテナと、
前記第2の周波数帯の電磁波を送受信するためのコイルアンテナと、
を更に有し、
前記電源制御部は、前記第1の周波数帯の電磁波を受信した場合、前記ダイポールアンテナで受信された電力により前記第1のRFタグ部および前記記憶部を駆動する電力を生成し、前記第2の周波数帯の電磁波を受信した場合、前記コイルアンテナで電磁誘導により誘起された電力により前記第2のRFタグ部および前記記憶部を駆動する電力を生成する、
ことを特徴とする請求項5記載の通信システム。
【請求項7】
前記第1のRFタグ部と前記第1の通信部とは、UHF帯の電磁波により通信し、
前記第2のRFタグ部と前記第2の通信部とは、HF帯の電磁波により通信する、
ことを特徴とする請求項6記載の通信システム。
【請求項8】
前記電源制御部は、前記第1の周波数帯の電磁波と前記第2の周波数帯の電磁波とを同時に受信する場合、各電磁波のうち所定の優先順位で特定される電磁波、または、前記各電磁波の両方により前記記憶部を駆動する電力を生成することを特徴とする請求項5乃至7のいずれか1項に記載の通信システム。
【請求項9】
前記第1の通信装置は、顧客が購入対象とする商品を収納するための所定の容器に設けられ、
前記第2の通信装置は、前記第1の通信装置と通信可能に前記所定の容器を設置するための設置部と前記顧客が前記商品の会計を自身の操作で行うための会計部とを備えるセルフチェックアウト装置に設けられる、
ことを特徴とする請求項5乃至8のいずれか1項に記載の通信システム。
【請求項10】
前記記憶部は、前記共有領域に前記第1の通信装置を識別するための識別情報と前記顧客に付与された所定のポイントの値を示すポイント情報とを記憶し、
前記会計部は、前記第1の通信部を介して前記記憶部に記憶された前記識別情報を取得して前記第1の通信装置の利用の有無の判定を行い、前記第1の通信装置が利用されていると判定した場合、前記第1の通信部を介して前記記憶部に記憶された前記ポイント情報を、当該ポイント情報に所定の値を加算した値で更新する、
ことを特徴とする請求項9記載の通信システム。
【請求項11】
前記第2のRFタグ部は、前記会計の際の決済に利用可能な電子マネー情報を記憶し、
前記会計部は、前記第2の通信部を介して前記記憶部に記憶された前記ポイント情報を取得し、当該ポイント情報の利用分に応じて前記商品の代金を減額すると共に、前記第2の通信部を介して前記第2のRFタグ部に記憶された前記電子マネー情報を取得し、当該電子マネー情報に基づいて、前記減額した代金の会計処理を行う、
ことを特徴とする請求項10記載の通信システム。
【請求項12】
前記第1の通信装置は、カード状に形成され、
前記第1の通信装置の表面の少なくとも一部を所定の誘電率の誘電体で被覆する被覆部材を更に有することを特徴とする請求項9乃至11のいずれか1項に記載の通信システム。
【請求項13】
通信装置の電源制御方法であって、
前記通信装置が第1の周波数帯の電磁波を受信した場合、前記第1の周波数帯の電磁波により当該電磁波で通信する第1のRFタグ部、および、前記第1のRFタグ部と前記第1の周波数帯とは異なる第2の周波数帯の電磁波で通信する第2のRFタグ部とがアクセス可能な共有領域を有する記憶部、を駆動する電力を生成して、生成した当該電力を前記第1のRFタグ部および前記記憶部に供給し、
第2の周波数帯の電磁波を受信した場合、前記第2の周波数帯の電磁波により前記第2のRFタグ部および前記記憶部を駆動する電力を生成して、生成した当該電力を前記第2のRFタグ部および前記記憶部に供給する、
ことを特徴とする電源制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2010−130457(P2010−130457A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−304065(P2008−304065)
【出願日】平成20年11月28日(2008.11.28)
【出願人】(000237639)富士通フロンテック株式会社 (667)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年11月28日(2008.11.28)
【出願人】(000237639)富士通フロンテック株式会社 (667)
【Fターム(参考)】
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