説明

通信装置、通信システム及びプログラム

【課題】第1の通信規格での通信に用いられる第1の通信経路と第2の通信規格での通信に用いられる第2の通信経路とで中継装置と接続されている通信装置と第2の通信規格での通信を行っている装置の数が予め定められた数に達している状況で、通信装置が第2の通信規格での通信開始要求を第1の通信経路経由で受け付けても、接続拒否を示す応答が中継装置から出力されることを防ぐ。
【解決手段】第2の通信装置18−2はLANケーブル22経由で第1の通信装置18−1に第2の通信規格での通信開始要求を出力する。第1の通信装置18−1はLANケーブル22経由で第2の通信装置18−2からの通信開始要求を受け付ける。第1の通信装置18−1は第3の通信装置18−3との第2の通信規格での通信中に第2の通信装置18−2からの通信開始要求を受け付けた場合に通信中であることを示す応答通知をLANケーブル22経由で中継装置20に出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置、通信システム及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
インターネットプロトコルを利用して画像情報のデジタル通信を行うIPファクシミリ装置が存在する。そして、IPファクシミリ装置のなかには、インターネットプロトコルを利用した画像情報のデジタル通信だけではなく、公衆電話交換回線(PSTN)経由での画像情報のアナログ通信も行えるものがある。そのようなIPファクシミリ装置は、LANカードなどのインターネットプロトコルに対応した通信インタフェースだけではなく、アナログファクシミリ通信カードなどの公衆電話交換回線に対応した通信インタフェースも備えている。
【0003】
また、近年、固定通信と移動通信を融合し、電話・データ通信・ストリーミング放送の融合した新しい情報通信サービスを提供する基盤ネットワークである次世代ネットワーク(NGN)を利用したファクシミリ装置間の通信が行われるようになってきている。そして、次世代ネットワークとIPファクシミリ装置との通信を中継する装置として、ホームゲートウェイ装置などの中継装置が用いられることがある。
【0004】
また、特許文献1には、発呼側のファクシミリに対し、ファクシミリデータ信号が受信可能であることを示す疑似信号を出力することで発呼側のファクシミリによる再発呼を防止した、アナログ回線に接続された電話機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−226810号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
次世代ネットワークとIPファクシミリ装置との通信をホームゲートウェイ装置などの中継装置が中継する際には、一般的には、次世代ネットワークに接続された光ファイバが対応する中継装置のポートに接続される。また、IPファクシミリ装置が備えるLANカードに接続されたLANケーブル、IPファクシミリ装置が備えるアナログファクシミリ通信カードに接続されたモジュラケーブルも、それぞれ対応する中継装置のポートに接続される。
【0007】
そして、一般的に、次世代ネットワークと公衆電話交換回線とが接続されている状況で、公衆電話交換回線に接続されたアナログファクシミリ装置と、次世代ネットワークに接続されたIPファクシミリ装置とが、通信を行う際には、次世代ネットワークと公衆電話交換回線とを接続する装置(以下、回線接続装置と呼ぶ。)や、中継装置で、アナログデジタル変換やアナログデジタル変換が行われる。例えば、次世代ネットワークに接続されたIPファクシミリ装置に信号を送信する際には、回線接続装置で、アナログファクシミリ装置から出力される信号を音声とみなしてデジタル化、パケット化が行われる。この通信方式は、みなし音声方式と呼ばれている。
【0008】
公衆電話交換回線に接続されたアナログファクシミリ装置と、次世代ネットワークに接続されたIPファクシミリ装置と、の間のみなし音声方式での通信において、通信装置同士の接続の開始と変更、終了については、SIP(Session Initiation Protocol)が用いられることがある。そして、中継装置には、アナログファクシミリ装置から、公衆電話交換回線、次世代ネットワーク経由で相手方のIPファクシミリ装置に対してインターネットプロトコルによる通信の開始要求(例えば、SIPにおけるINVITEリクエスト)が送信された際に、中継装置のすべてのポートに開始要求を着信させ、すべてのポートからの応答が揃った際に、これらの応答間の調停処理を実行することにより決定される(例えば、予め定められた優先順位に基づいて決定される)、SIP応答を回線接続装置に送信するものが存在する。また、回線接続装置には、受け付けるSIP応答を、対応する可聴音信号に変換して、アナログファクシミリ装置に送信するものが存在する。
【0009】
そして、相手方のIPファクシミリ装置がアナログ通信を行っているアナログファクシミリ装置の数が予め定められた数に達している状況で、みなし音声方式による通信の開始要求が相手方のIPファクシミリ装置に送信された際に、中継装置のLANポートからの接続拒否を示す応答(例えば、SIPにおける488レスポンス)と、中継装置のアナログポートからの通信中であることを示す応答(例えば、SIPにおける486レスポンス)との間での調停処理により、接続拒否を示す応答(例えば、SIPにおける488レスポンス)が中継装置から回線接続装置に送信されることがある。そして、この場合に、回線接続装置が、接続拒否を示す応答(例えば、SIPにおける488レスポンス)を、通信中であることを示す可聴音信号とは異なる可聴音信号に変換してしまうことが起こりうる。
【0010】
本発明は、第1の通信規格での通信に用いられる第1の通信経路と第2の通信規格での通信に用いられる第2の通信経路とで中継装置と接続されている通信装置と第2の通信規格での通信を行っている装置の数が予め定められた数に達している状況で、通信装置が第2の通信規格での通信開始要求を第1の通信経路経由で受け付けても、接続拒否を示す応答が中継装置から出力されることを防ぐことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に記載の発明は、通信装置であって、第1の通信規格での通信に用いられる第1の通信経路と、第2の通信規格での通信に用いられる第2の通信経路とで、出力元通信装置との間の通信を中継する中継装置と接続されており、前記出力元通信装置から出力され前記中継装置を経由する通信開始要求を前記第1の通信経路経由で受け付ける通信開始要求受付手段と、前記第2の通信規格での通信を行っている他の装置の数が予め定められた数に達している際に、前記通信開始要求受付手段が前記第2の通信規格での通信開始要求を前記第1の通信経路経由で受け付けた場合は、前記中継装置により実行される当該中継装置から出力される情報間の調停処理における優先順位が通信中であることを示す応答通知よりも低い応答通知、又は、通信中であることを示す応答通知を前記第1の通信経路経由で当該中継装置に出力する応答通知出力手段と、を含むこととしたものである。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の通信装置であって、前記応答通知出力手段は、前記第2の通信規格での通信を行っている他の装置の数が予め定められた数に達していない際に、前記通信開始要求受付手段が前記第2の通信規格での通信開始要求を前記第1の通信経路経由で受け付けた場合は、接続拒否であることを示す応答通知を前記第1の通信経路経由で前記中継装置に出力することとしたものである。
【0013】
請求項3に記載の発明は、通信システムであって、出力元通信装置と出力先通信装置とを備え、前記出力元通信装置は、中継装置を経由する経路で前記出力先通信装置に通信開始要求を出力する通信開始要求出力手段と、前記中継装置を経由する経路で前記出力先通信装置から出力される前記通信開始要求に対する応答通知を受け付ける応答通知受付手段と、を含み、前記出力先通信装置は、第1の通信規格での通信に用いられる第1の通信経路と、第2の通信規格での通信に用いられる第2の通信経路とで、前記中継装置と接続されており、前記出力元通信装置から出力され前記中継装置を経由する通信開始要求を前記第1の通信経路経由で受け付ける通信開始要求受付手段と、前記第2の通信規格での通信を行っている他の装置の数が予め定められた数に達している際に、前記通信開始要求受付手段が前記第2の通信規格での通信開始要求を前記第1の通信経路経由で受け付けた場合は、前記中継装置により実行される当該中継装置から出力される情報間の調停処理における優先順位が通信中であることを示す応答通知よりも低い応答通知、又は、通信中であることを示す応答通知を前記第1の通信経路経由で当該中継装置に出力する応答通知出力手段と、を含むこととしたものである。
【0014】
請求項4に記載の発明は、通信システムであって、出力元通信装置と出力先通信装置と中継装置とを備え、第1の通信規格での通信に用いられる第1の通信経路と、第2の通信規格での通信に用いられる第2の通信経路とで、前記出力先通信装置と前記中継装置とが接続されており、前記出力元通信装置は、前記中継装置を経由する経路で前記出力先通信装置に通信開始要求を出力する通信開始要求出力手段と、前記中継装置を経由する経路で前記出力先通信装置から出力される前記通信開始要求に対する応答通知を受け付ける応答通知受付手段と、を含み、前記中継装置は、前記出力元通信装置から前記出力先通信装置に出力される通信開始要求を中継する通信開始要求中継手段と、出力される情報間の調停処理を実行する調停処理実行手段と、前記出力先通信装置から前記出力元通信装置に出力される応答通知を中継する応答通知中継手段と、を含み、前記出力先通信装置は、前記通信開始要求中継手段により中継される通信開始要求を前記第1の通信経路経由で受け付ける通信開始要求受付手段と、前記第2の通信規格での通信を行っている他の装置の数が予め定められた数に達している際に、前記通信開始要求受付手段が前記第2の通信規格での通信開始要求を前記第1の通信経路経由で受け付けた場合は、前記調停処理実行手段により実行される調停処理における優先順位が通信中であることを示す応答通知よりも低い応答通知、又は、通信中であることを示す応答通知を当該中継装置に前記第1の通信経路経由で出力する応答通知出力手段と、を含むこととしたものである。
【0015】
請求項5に記載の発明は、プログラムであって、第1の通信規格での通信に用いられる第1の通信経路と、第2の通信規格での通信に用いられる第2の通信経路とで、出力元通信装置との間の通信を中継する中継装置と接続されているコンピュータを、前記出力元通信装置から出力され前記中継装置を経由する通信開始要求を前記第1の通信経路経由で受け付ける通信開始要求受付手段、前記第2の通信規格での通信を行っている他の装置の数が予め定められた数に達している際に、前記通信開始要求受付手段が前記第2の通信規格での通信開始要求を前記第1の通信経路経由で受け付けた場合は、前記中継装置により実行される当該中継装置から出力される情報間の調停処理における優先順位が通信中であることを示す応答通知よりも低い応答通知、又は、通信中であることを示す応答通知を前記第1の通信経路経由で当該中継装置に出力する応答通知出力手段、として機能させることとしたものである。
【発明の効果】
【0016】
請求項1,3,4,5に記載の発明によれば、第1の通信規格での通信に用いられる第1の通信経路と第2の通信規格での通信に用いられる第2の通信経路とで中継装置と接続されている通信装置と第2の通信規格での通信を行っている装置の数が予め定められた数に達している状況で、通信装置が第2の通信規格での通信開始要求を第1の通信経路経由で受け付けても、接続拒否を示す応答が中継装置から出力されることを防ぐことができる。
【0017】
請求項2に記載の発明によれば、第1の通信規格での通信に用いられる第1の通信経路と第2の通信規格での通信に用いられる第2の通信経路とで中継装置と接続されている通信装置と第2の通信規格での通信を行っている装置の数が予め定められた数に達している状況で、通信装置が第2の通信規格での通信開始要求を第1の通信経路経由で受け付けても、接続拒否を示す応答が中継装置から出力されることを防ぎつつ、その通信装置と第2の通信規格での通信を行っている装置の数が予め定められた数に達していない状況では、接続拒否を示す応答が第1の通信経路経由で中継装置に送信されることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態の全体構成の一例を示す図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る第1の通信システム及び第2の通信システムにより実現される機能ブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態で行われる処理の流れの一例を示すフロー図である。
【図4】本発明の一実施形態で行われる処理の流れの一例を示すフロー図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る第1の通信装置で行われる処理の流れの一例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態について図面に基づき詳細に説明する。
【0020】
図1は、本実施形態の全体構成の一例を示す図である。図1に例示するように、本実施形態に係る第1の通信システム10−1は、第1の通信手段(本実施形態では、例えば、次世代ネットワーク(NGN)12)に接続されており、第2の通信システム10−2、及び、第3の通信システム10−3は、第2の通信手段(本実施形態では、例えば、公衆電話交換回線(PSTN)14)に接続されている。そして、本実施形態では、接続装置16が、NGN12とPSTN14とを接続している。このようにして、本実施形態では、第1の通信システム10−1、第2の通信システム10−2、及び、第3の通信システム10−3は、互いに通信されるようになっている。そして、第1の通信システム10−1は第1の通信装置18−1と中継装置20とを含んでおり、第2の通信システム10−2は第2の通信装置18−2を含んでおり、第3の通信システム10−3は第3の通信装置18−3を含んでいる。
【0021】
第1の通信装置18−1は、例えば、IPファクシミリ装置であり、通信装置18にインストールされるプログラムに従って動作するCPU等のプログラム制御デバイスである制御部、ROMやRAM等の記憶素子やハードディスクドライブなどである記憶部、用紙の表面上に形成された画像を読み取る読み取り部、他の通信装置18から受信した画像が形成された用紙を印刷する印刷部、LANカードなどのデジタル通信用の通信インタフェースであるデジタル通信部、アナログファクシミリ通信カードなどのアナログ通信用の通信インタフェースであるアナログ通信部、を含んで構成されている。これらの要素は、バスなどを介して接続される。
【0022】
接続装置16は、例えば、PSTNゲートウェイ装置であり、アナログ信号と、デジタル信号(VoIP信号等)と、の変換を行う。第2の通信装置18−2、及び、第3の通信装置18−3は、例えば、アナログファクシミリ装置である。
【0023】
中継装置20は、例えば、第1の通信装置18−1とNGN12との間の通信を中継するホームゲートウェイ装置であり、通信装置18にインストールされるプログラムに従って動作するCPU等のプログラム制御デバイスである制御部、ROMやRAM等の記憶素子やハードディスクドライブなどである記憶部、通信装置18との間でのデジタル通信に用いられる通信ポートである第1ポート、通信装置18との間でのアナログ通信に用いられる通信ポートである第2ポート、NGN12との間でのデジタル通信に用いられる通信ポートである第3ポート、を含んで構成されている。
【0024】
そして、中継装置20の第1ポートと通信装置18のデジタル通信部とはデジタル通信用ケーブル(本実施形態では、例えば、LANケーブル22)により接続されている。そして、中継装置20の第2ポートと通信装置18のアナログ通信部との間はアナログ通信用ケーブル(本実施形態では、例えば、第1のモジュラケーブル24−1)により接続されている。そして、中継装置20の第3ポートとNGN12とは、本実施形態では、例えば、第1の光ファイバ26−1により接続されている。
【0025】
また、PSTN14と第2の通信装置18−2、PSTN14と第3の通信装置18−3とは、アナログ通信用ケーブルにより接続されている。本実施形態では、例えば、PSTN14と第2の通信装置18−2とは第2のモジュラケーブル24−2により、PSTN14と第3の通信装置18−3とは第3のモジュラケーブル24−3により接続されている。
【0026】
また、本実施形態では、例えば、NGN12と接続装置16とは、第2の光ファイバ26−2により接続されており、PSTN14と接続装置16とは、本実施形態では、例えば、第4のモジュラケーブル24−4により接続されている。
【0027】
図2は、本実施形態に係る第1の通信システム10−1及び第2の通信システム10−2により実現される機能の一例を示す機能ブロック図である。なお、図2には、以下の説明と特に関係がある機能が示されているにすぎず、本実施形態に係る第1の通信システム10−1では、図2に示す機能以外の機能(例えば、通信開始要求の出力機能など)も実現されており、本実施形態に係る第2の通信システム10−2では、図2に示す機能以外の機能(例えば、通信開始要求の受付機能など)も実現されている。図2に例示するように、第1の通信装置18−1は、通信開始要求受付部30、応答通知出力部32、画像情報受付部34、切断要求受付部36、を含んでいる。中継装置20は、要求中継部40と、応答通知中継部42と、調停処理実行部44と、画像情報中継部46と、を含んでいる。第2の通信装置18−2は、通信開始要求出力部50、応答通知受付部52、画像情報出力部54、切断要求出力部56、を含んでいる。なお、本実施形態に係る第3の通信装置18−3では、図2に例示されている、第2の通信装置18−2で実現されている機能と同様の機能が実現されている。
【0028】
これらの要素は、コンピュータである通信装置18や中継装置20にインストールされたプログラムを、通信装置18や中継装置20の制御部で実行することにより実現されている。このプログラムは、例えば、CD−ROM、DVD−ROMなどのコンピュータ可読な情報記憶媒体を介して、あるいは、インターネットなどの通信手段を介して通信装置18や中継装置20に供給される。
【0029】
ここで、本実施形態で行われる処理の流れの一例を図3に示すフロー図を参照しながら説明する。本処理例では、第1の通信装置18−1が第3の通信装置18−3と通信中ではない際に、第2の通信装置18−2が第1の通信装置18−1に通信開始要求を送信した際における処理の流れの一例を説明する。
【0030】
まず、第2の通信装置18−2の通信開始要求出力部50が、第1の通信装置18−1に対するアナログファクシミリ通信の開始を要求する通信開始要求(例えば、発呼信号)を出力する(S101)。そして、接続装置16が、この通信開始要求を受信して、この通信開始要求に対応する、アナログファクシミリ通信の開始を要求する、インターネットプロトコルによるみなし音声方式での通信開始要求(本処理例では、例えば、SIP(Session Initiation Protocol)におけるINVITEリクエスト)に変換して、変換された通信開始要求を、中継装置20に出力する(S102)。そして、中継装置20の要求中継部40が、この通信開始要求を受け付けて、この通信開始要求を中継装置20の第1ポート及び第2ポートに着信させる(S103)。
【0031】
そして、中継装置20の要求中継部40は、第1ポートから第1の通信装置18−1のデジタル通信部へ、LANケーブル22経由で、第1ポートに着信した通信開始要求(アナログ通信の開始要求)を中継出力する(S104)。そして、第1の通信装置18−1の通信開始要求受付部30は、デジタル通信部経由でこの通信開始要求を受け付ける。
【0032】
また、中継装置20の要求中継部40は、第2ポートに着信した通信開始要求をアナログ信号(例えば、発呼信号)に変換して、中継装置20の第2ポートから第1の通信装置18−1のアナログ通信部へ、第1のモジュラケーブル24−1経由でこの通信開始要求を中継出力する(S105)。そして、第1の通信装置18−1の通信開始要求受付部30は、アナログ通信部経由でこの通信開始要求を受け付ける。
【0033】
そして、第1の通信装置18−1の応答通知出力部32は、デジタル通信部から受け付けた通信開始要求に対しては、この通信開始要求がアナログ通信の開始要求であることに基づいて、接続拒否であることを示す応答通知(本処理例では、例えば、SIPにおけるレスポンスコードの値が488(Not Acceptable Here)である通知)を、LANケーブル22経由で第2の通信装置18−2に宛てて出力する(S106)。そして、中継装置20の応答通知中継部42は、この応答通知を第1ポートから受け付ける。
【0034】
一方、第1の通信装置18−1の応答通知出力部32は、アナログ通信部から受け付けた通信開始要求に対しては、第2の通信装置18−2との間での通信を承諾することを示すアナログ応答信号を、第1のモジュラケーブル24−1経由で第2の通信装置18−2に宛てて出力する(S107)。そして、中継装置20の応答通知中継部42は、このアナログ応答信号を第2ポートから受け付けて、第2の通信装置18−2との間での通信を承諾することを示す応答通知(例えば、SIPにおけるレスポンスコードの値が200(OK)である確定応答の通知)に変換する。
【0035】
そして、中継装置20の調停処理実行部44が、応答通知中継部42が、これら2つの応答通知(接続拒否であることを示す応答通知、及び、通信を承諾することを示す応答通知)の間での調停処理を実行する(S108)。本実施形態では、調停処理実行部44は、通信を承諾することを示す応答通知が、接続拒否であることを示す応答通知よりも優先順位が高いと判断して、中継装置20の応答通知中継部42に、第2の通信装置18−2に宛てて通信を承諾することを示す応答通知を出力することを指示する。
【0036】
そして、中継装置20の応答通知中継部42が、第2の通信装置18−2に宛てて通信を承諾することを示す応答通知をNGN12経由で接続装置16に出力する(S109)。そして、接続装置16が、この応答通知を、対応するアナログ応答信号に変換して、PSTN14経由で第2の通信装置18−2に出力する。そして、第2の通信装置18−2の応答通知受付部52が、この応答通知を受け付ける(S110)。
【0037】
その後、第2の通信装置18−2の画像情報出力部54は、出力対象となる画像情報を、アナログ通信により、接続装置16、中継装置20の画像情報中継部46を経由して、第1の通信装置18−1に出力する。そして、第1の通信装置18−1の画像情報受付部34がこの画像情報を受け付ける。このようにして、第2の通信装置18−2から第1の通信装置18−1に画像情報が送信される。
【0038】
そして、第2の通信装置18−2の切断要求出力部56は、切断要求を、接続装置16、中継装置20の要求中継部40を経由して、第1の通信装置18−1に出力する。そして、第1の通信装置18−1の切断要求受付部36がこの切断要求を受け付ける。そして、第1の通信装置18−1の応答通知出力部32が、回線を切断する通知を、中継装置20の応答通知中継部42、接続装置16を経由して、第2の通信装置18−2に出力する。そして、第2の通信装置18−2の応答通知受付部52が、この通知を受け付ける。このようにして、第1の通信装置18−1と第2の通信装置18−2との通信が切断される。
【0039】
次に、本実施形態で行われる処理の流れの別の一例を図4に示すフロー図を参照しながら説明する。本処理例では、第1の通信装置18−1と第3の通信装置18−3とがアナログ通信による通信中である際に、第2の通信装置18−2が第1の通信装置18−1に通信開始要求を送信した際における処理の流れの一例を説明する。なお、本実施形態では、第1の通信装置18−1が、アナログ通信での通信を同時に行える装置の最大数は1であることとする。
【0040】
まず、第2の通信装置18−2の通信開始要求出力部50が、上述のS101に例示する処理と同様に、第1の通信装置18−1に対するアナログファクシミリ通信の開始を要求する通信開始要求(例えば、発呼信号)を出力する(S201)。そして、接続装置16が、上述のS102に例示する処理と同様に、この通信開始要求を受信して、アナログファクシミリ通信の開始を要求する、インターネットプロトコルによるみなし音声方式での通信開始要求に変換して、変換された通信開始要求を、中継装置20に出力する(S202)。そして、中継装置20の要求中継部40が、上述のS103に例示するする処理と同様に、この通信開始要求を受け付けて、この通信開始要求を中継装置20の第1ポート及び第2ポートに着信させる(S203)。
【0041】
そして、中継装置20の要求中継部40は、第1ポートから第1の通信装置18−1のデジタル通信部へ、LANケーブル22経由で、第1ポートに着信した通信開始要求(アナログ通信の開始要求)を中継出力する(S204)。そして、第2ポートが通信中であることに基づいて、中継装置20の要求中継部40の第2ポートは、第1の通信装置18−1へ第1のモジュラケーブル24−1経由での発呼信号を出力することなく、通信中であることを示す応答通知(本処理例では、例えば、SIPにおけるレスポンスコードの値が486(Busy Here)である通知)を中継装置20の応答通知中継部42に出力する。
【0042】
そして、中継装置20の第1ポートから出力される通信開始要求を、第1の通信装置18−1の通信開始要求受付部30が受け付けると、第1の通信装置18−1の応答通知出力部32は、受け付けた通信開始要求がアナログ通信の開始要求であること、第1の通信装置18−1が第3の通信装置18−3と通信中であること、及び、第1の通信装置18−1とアナログ通信での通信を行っている装置の数が、第1の通信装置18−1がアナログ通信での通信を同時に行える装置の最大数に達していることに基づいて、通信中であることを示す応答通知(本処理例では、例えば、SIPにおけるレスポンスコードの値が486(Busy Here)である通知)を、LANケーブル22経由で第2の通信装置18−2に宛てて出力する。そして、中継装置20の応答通知中継部42は、第1ポートを介してこの応答通知を受け付ける(S205)。
【0043】
そして、中継装置20の調停処理実行部44が、応答通知中継部42が第1ポートから受け付けた通信中であることを示す応答通知と、応答通知中継部42が第2ポートから受け付けた通信中であることを示す応答通知と、の間での調停処理を実行する(S206)。本実施形態では、調停処理実行部44は、2つの信号が両方とも通信中であることを示す応答通知であるので、中継装置20の応答通知中継部42に、第2の通信装置18−2に宛てて通信中であることを示す応答通知を出力することを指示する。
【0044】
そして、中継装置20の応答通知中継部42が、第2の通信装置18−2に宛てて通信中であることを示す応答通知をNGN12経由で接続装置16に出力する(S207)。そして、接続装置16が、この応答通知を、対応するアナログ応答信号(例えば、話中音信号)に変換して、PSTN14経由で第2の通信装置18−2に出力する。そして、第2の通信装置18−2の応答通知受付部52が、この応答通知を受け付ける(S208)。
【0045】
このようにして、本処理例に示す処理では、第2の通信装置18−2は、話中音信号を受け付けることとなる。
【0046】
ここで、本実施形態に係る第1の通信装置18−1が、デジタル通信部経由で通信開始要求を受け付けた際の処理の流れの一例を図5に示すフロー図を参照しながら説明する。
【0047】
まず、第1の通信装置18−1の応答通知出力部32は、受け付けた通信開始要求が、IPファクシミリ通信の通信開始要求であるか否かを確認する(S301)。そうである場合は、(S301:Y)、通信開始要求の出力元の装置との通信を承諾することを示す応答通知(例えば、SIPにおけるレスポンスコードの値が200(OK)である確定応答の通知)をLANケーブル22経由で中継装置20に出力する(S302)。そうでない場合は(S301:N)、第1の通信装置18−1の応答通知出力部32は、受け付けた通信開始要求の通信種別が音声通信であるか否か(みなし音声方式でのアナログ通信の開始要求であるか否か)を確認する(S303)。
【0048】
そうでない場合は(S303:N)、第1の通信装置18−1の応答通知出力部32は、接続拒否であることを示す応答通知(本処理例では、例えば、SIPにおけるレスポンスコードの値が488(Not Acceptable Here)である通知)をLANケーブル22経由で中継装置20に出力する(S304)。そうである場合は(S303:Y)、第1の通信装置18−1の応答通知出力部32は、第1の通信装置18−1がアナログ通信での通信を行っている装置の数が、予め定められた、第1の通信装置18−1がアナログ通信での通信を同時に行える装置の最大数(例えば、1)に達しているか否かを確認する(S305)。
【0049】
そうでない場合は(S305:N)、第1の通信装置18−1の応答通知出力部32は、接続拒否であることを示す応答通知(本処理例では、例えば、SIPにおけるレスポンスコードの値が488(Not Acceptable Here)である通知)をLANケーブル22経由で中継装置20に出力する(S304)。そうである場合は(S305:Y)、通信中であることを示す応答通知(本処理例では、例えば、SIPにおけるレスポンスコードの値が486(Busy Here)である通知)を、LANケーブル22経由で中継装置20に出力する(S306)。
【0050】
なお、本発明は上述の実施形態に限定されるものではない。
【0051】
例えば、上述のS205やS306に例示する処理において、第1の通信装置18−1の応答通知出力部32が、通信中であることを示す応答通知とは異なる、中継装置20の調停処理実行部44における調停処理で、通信中であることを示す応答通知よりも優先順位が低いと判断する応答通知を中継装置20に出力するようにしてもよい。
【0052】
また、本実施形態を、通信装置18間の情報のやりとりが、SIP以外のプロトコル(例えば、H.323やMGCPなど)で行われる場面に応用しても構わない。また、本実施形態を、NGN12やPSTN14とは異なる通信手段に接続された通信システム10間の通信に応用しても構わない。また、本実施形態をファクシミリ装置以外の装置(例えば、電話装置やストリーム配信装置など)に応用しても構わない。
【0053】
なお、上述の具体的な数値や文字列は例示であり、これらの数値や文字列には限定されない。
【符号の説明】
【0054】
10 通信システム、12 次世代ネットワーク(NGN)、14 公衆電話交換回線(PSTN)、16 接続装置、18 通信装置、20 中継装置、22 LANケーブル、24 モジュラケーブル、26 光ファイバ、30 通信開始要求受付部、32 応答通知出力部、34 画像情報受付部、36 切断要求受付部、40 要求中継部、42 応答通知中継部、44 調停処理実行部、46 画像情報中継部、50 通信開始要求出力部、52 応答通知受付部、54 画像情報出力部、56 切断要求出力部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の通信規格での通信に用いられる第1の通信経路と、第2の通信規格での通信に用いられる第2の通信経路とで、出力元通信装置との間の通信を中継する中継装置と接続されており、
前記出力元通信装置から出力され前記中継装置を経由する通信開始要求を前記第1の通信経路経由で受け付ける通信開始要求受付手段と、
前記第2の通信規格での通信を行っている他の装置の数が予め定められた数に達している際に、前記通信開始要求受付手段が前記第2の通信規格での通信開始要求を前記第1の通信経路経由で受け付けた場合は、前記中継装置により実行される当該中継装置から出力される情報間の調停処理における優先順位が通信中であることを示す応答通知よりも低い応答通知、又は、通信中であることを示す応答通知を前記第1の通信経路経由で当該中継装置に出力する応答通知出力手段と、
を含むことを特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記応答通知出力手段は、前記第2の通信規格での通信を行っている他の装置の数が予め定められた数に達していない際に、前記通信開始要求受付手段が前記第2の通信規格での通信開始要求を前記第1の通信経路経由で受け付けた場合は、接続拒否であることを示す応答通知を前記第1の通信経路経由で前記中継装置に出力する、
ことを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
出力元通信装置と出力先通信装置とを備え、
前記出力元通信装置は、
中継装置を経由する経路で前記出力先通信装置に通信開始要求を出力する通信開始要求出力手段と、
前記中継装置を経由する経路で前記出力先通信装置から出力される前記通信開始要求に対する応答通知を受け付ける応答通知受付手段と、を含み、
前記出力先通信装置は、
第1の通信規格での通信に用いられる第1の通信経路と、第2の通信規格での通信に用いられる第2の通信経路とで、前記中継装置と接続されており、
前記出力元通信装置から出力され前記中継装置を経由する通信開始要求を前記第1の通信経路経由で受け付ける通信開始要求受付手段と、
前記第2の通信規格での通信を行っている他の装置の数が予め定められた数に達している際に、前記通信開始要求受付手段が前記第2の通信規格での通信開始要求を前記第1の通信経路経由で受け付けた場合は、前記中継装置により実行される当該中継装置から出力される情報間の調停処理における優先順位が通信中であることを示す応答通知よりも低い応答通知、又は、通信中であることを示す応答通知を前記第1の通信経路経由で当該中継装置に出力する応答通知出力手段と、を含む、
ことを特徴とする通信システム。
【請求項4】
出力元通信装置と出力先通信装置と中継装置とを備え、
第1の通信規格での通信に用いられる第1の通信経路と、第2の通信規格での通信に用いられる第2の通信経路とで、前記出力先通信装置と前記中継装置とが接続されており、
前記出力元通信装置は、
前記中継装置を経由する経路で前記出力先通信装置に通信開始要求を出力する通信開始要求出力手段と、
前記中継装置を経由する経路で前記出力先通信装置から出力される前記通信開始要求に対する応答通知を受け付ける応答通知受付手段と、を含み、
前記中継装置は、
前記出力元通信装置から前記出力先通信装置に出力される通信開始要求を中継する通信開始要求中継手段と、
出力される情報間の調停処理を実行する調停処理実行手段と、
前記出力先通信装置から前記出力元通信装置に出力される応答通知を中継する応答通知中継手段と、を含み、
前記出力先通信装置は、
前記通信開始要求中継手段により中継される通信開始要求を前記第1の通信経路経由で受け付ける通信開始要求受付手段と、
前記第2の通信規格での通信を行っている他の装置の数が予め定められた数に達している際に、前記通信開始要求受付手段が前記第2の通信規格での通信開始要求を前記第1の通信経路経由で受け付けた場合は、前記調停処理実行手段により実行される調停処理における優先順位が通信中であることを示す応答通知よりも低い応答通知、又は、通信中であることを示す応答通知を当該中継装置に前記第1の通信経路経由で出力する応答通知出力手段と、を含む、
ことを特徴とする通信システム。
【請求項5】
第1の通信規格での通信に用いられる第1の通信経路と、第2の通信規格での通信に用いられる第2の通信経路とで、出力元通信装置との間の通信を中継する中継装置と接続されているコンピュータを、
前記出力元通信装置から出力され前記中継装置を経由する通信開始要求を前記第1の通信経路経由で受け付ける通信開始要求受付手段、
前記第2の通信規格での通信を行っている他の装置の数が予め定められた数に達している際に、前記通信開始要求受付手段が前記第2の通信規格での通信開始要求を前記第1の通信経路経由で受け付けた場合は、前記中継装置により実行される当該中継装置から出力される情報間の調停処理における優先順位が通信中であることを示す応答通知よりも低い応答通知、又は、通信中であることを示す応答通知を前記第1の通信経路経由で当該中継装置に出力する応答通知出力手段、
として機能させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−142854(P2012−142854A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−684(P2011−684)
【出願日】平成23年1月5日(2011.1.5)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】